(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041750
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】病原体を安全に除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20240319BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206531
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2022559866の分割
【原出願日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】63/003,560
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522289390
【氏名又は名称】フリースタイル パートナーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン、ジェニファー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】フィーニー、ベンジャミン エックス
(72)【発明者】
【氏名】デグラツィア、グレゴリー ディー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遠UVC照射時間を最適化し、暴露を規制閾値へ制限しつつ病原体を迅速に除去できる装置を提供する。
【解決手段】遠紫外線-C(遠UVC)光を放射し、照射ゾーンを生成するランプが提供される。生体センサが、個人が照射ゾーンに存在するか否かを判定する。生体センサは、個人が限界値の遠UVC光に暴露されたか否かを判定するようにプロセッサに信号を送る。プロセッサは、個人が照射ゾーンにいた時間が閾値を超えているか否かを判定する。閾値を超えた時間にわたって個人が照射ゾーンにいた場合、ランプが停止される。病原体検出センサは、病原体の存在のユーザフィードバックを提供し、プロセッサに、照射を終了するか、又は照射を終了するためのユーザフィードバックを提供するように信号を送る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠紫外線-C(遠UVC)光を放射すると共に、照射ゾーンを生成するランプを起動するステップと、
前記照射ゾーンに個人がいるか否かを判定するステップと、
前記照射ゾーンにおいて前記個人が受ける前記遠UVC光への暴露量を判定するステップと、
前記暴露量が閾値を超えているか否かを判定するステップと、
前記暴露量が前記閾値を超えていると判定された場合、前記ランプを停止するステップと、
を含む、病原体を除去するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先行出願)
本願は、2020年4月1日に出願された、出願番号が63/003,560である米国仮特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本願は、一般に、ターゲット領域から病原体を安全に除去するためのシステム及び方法に関する。より具体的に、本願は、病原体を除去するために遠紫外線-C(遠UVC)光を使用し、ターゲット領域を監視することと、病原体を除去するためのターゲット領域における遠UVC光への暴露量を制御することと、ができる装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物病原体の急速な拡大に伴い、人体暴露に関して安全な方法で病原体を除去する新しい方法を見つけることがますます重要になっている。公共の場における表面の殺菌のために化学薬品が使用されることが多くなっている。しかし、化学薬品の使用の増加は、顕在化し始めたばかりの健康被害をもたらしている。生物病原体の除去に対するニーズの高まりに応じて、エアロゾル病原体や表面病原体を殺菌するために、さまざまな形態の紫外線が開発されている。
【0004】
紫外線の使用は、紫外線-C(UVC)光が照射装置に組み込まれている場合に、病原体の除去に特に効果的であることが証明されている。UVC光の発光の範囲は、約100nmから280nmの間である。UVC光は、病原体の除去に非常に効果的であると証明されているものの、人間の表皮や目の組織に暴露された場合に危険な特性を示すことが知られている。従来のUVC光は、皮膚がんや白内障の原因になることが証明されている。従って、UVC光の使用は、人体暴露が起こらない状況に範囲が限定され、人体暴露を防止するために実質的な予防措置が求められる。UVC光のサブセットであって、遠UVC光と一般的に呼ばれるものが、限定的な人体暴露に関して安全である可能性がありつつ病原体を安全に除去するその能力により最近やや注目されている。フィルタリングされた場合、遠UVC光は、約200から230nmの間の紫外線を伝送する。フィルタリングされていない場合、紫外線は、DNA損傷を引き起こすことによって人間の表皮に悪影響を及ぼすと考えられているレベルである230nm以上を伝送する。フィルタリングされているか否かに関わらず、遠UVC光は、照射のピークが222nmである。
【0005】
遠UVC光は、病原体の除去に有望であるものの、提案されているその用途は、30分以上かけて離れた表面でゆっくり除去を行う、エアロゾル病原体を除去するための建物内の天井設置型システムである。天井設置型装置を用いたこのゆっくりとした表面における除去は、表面が殺菌されるのを待つ間、30分以上にわたって空けることができない、人通りの多い場所又は利用頻度の高い場所にとっては問題である。遠UVC光を発生するランプを被殺菌表面に近接して配置した場合、病原体がより迅速に除去され、人体暴露限界が著しく低下する可能性がある。従って、遠UVC照射時間を最適化し、暴露を規制閾値へ制限しつつ病原体を迅速に除去できる装置が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
病原体を除去するための方法及びシステムが開示される。遠紫外線-C(遠UVC)光を放射し、照射ゾーンを生成するランプが提供される。生体センサが、個人が照射ゾーンにいるか否かを判定する。生体センサは、個人が限界値の遠UVC光に暴露されたか否かを判定するようにプロセッサに信号を送る。プロセッサは、個人が照射ゾーンにいて、限界値を超えたか否かを判定する。閾値に達したか又は超える時間にわたって個人が照射ゾーンにいた場合、ランプが停止される。システムは、病原体の有無のユーザフィードバックを提供し、プロセッサに、病原体の存在が検出された場合に照射を起動するか、又は病原体が検出されなかった場合に、照射を終了するか、若しくは照射を終了するためのユーザフィードバックを提供するように信号を送る病原体検出センサを含む。システム及び方法は、表面上及びエアロゾル中の病原体を除去するために、車両の車室に含まれている。限界値は、車両に人が乗っている間の除去を可能にするために含まれている。
【0007】
先行技術で特定された問題は、個人が、ユーザとして、又は受動的にいる場合に、UVC光又は遠UVCを使用し、近接して病原体を除去することに関連している。遠UVC光、より具体的にはフィルタリングされた遠UVC光は、人間の表皮や目にさえも安全に照射する良好な兆候を有するものの、人間による限定された暴露以上の暴露を防止した厳格な安全基準が残っている。本願発明は、人体暴露を制限するためのシステムを提供することによりこれらの問題を解決し、これらの病原体除去システムを乗用車などの小さな車室に含めさえして、先行技術のシステムに比べてより統合された遠UVC光の使用を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の他の利点は、添付図面と関連して考慮された場合、以下の詳細な説明を参照することによってそれがより良く理解されるようになるため、容易に理解されるであろう。
【0009】
【
図1A】本発明の装置の一実施形態の表面図である。
【
図2】
図1Aの装置の中心線に沿った断面図である。
【
図4】距離計測装置を起動させた
図1Aの装置の断面図である。
【
図5】他の距離計測装置を起動させた
図1Aの装置の断面図である。
【
図6】照射ゾーンを識別するために起動している識別子光源を示す
図1Aの装置の部分透視図である。
【
図7】ハウジングが分離された
図1Aの装置の拡大図である。
【
図8】車両に実装された本発明のシステムの第2の実施形態を示す図である。
【
図9】
図8に図示された車両からヘッドライナシステムの透視図である。
【
図11】
図8に示された車両内の病原体除去システムの動作を図示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aを参照すると、本発明の携帯ライトアセンブリは、概して10で示されている。アセンブリ10は、以下でさらに説明するように、ランプ開口部14を画定するハウジング12を含む。2次光開口部16は、ランプ開口部14に近接したハウジング12によって画定される。両開口部14,16は、ハウジング12の表面18によって画定される。2次光開口部16におけるランプ開口部14の目的については、以下でさらに説明する。
【0011】
このタイプの装置は、2020年12月11日に出願された、出願番号が17/119,440であり、発明の名称が「HANDLHELD FAR-UVC DEVICE WITH LIDAR MEASUREMENT AND CLOSED LOOP FEEDBACK」である米国特許出願、2020年3月6日に出願された、出願番号が16/811,522であり、発明の名称が「PORTABLE AND DISPOSABLE FAR-UVC DEVICE」である米国特許出願、2020年3月5日に出願された、出願番号が16/809,976であり、発明の名称が「PORTABLE AND DISPOSABLE FAR-UVC DEVICE」である米国特許出願、2020年1月21日に出願された、出願番号が62/963,682であり、発明の名称が「PORTABLE AND DISPSABLE UV DEVICE 」である米国特許出願、2019年2月19に出願された、出願番号が16/279,253であり、発明の名称が「PORTABLE AND DISPOSABLE FAR-UVC DEVICE」である米国特許出願、2018年7月6日に出願された、出願番号が62/694,482であり、発明の名称が「PORTABLE AND DISPOSABLE FAR-UVC DEVICE」である米国特許出願、及び、2018年2月20日に出願された、出願番号が62/632,716であり、発明の名称が「PORTABLE AND DISPOSABLE FAR-UVC DEVICE」である米国特許出願において企図されており、これらのそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
図1Bに最もよく示されているように、ハウジング12は、インジケータ開口部22を画定する後部20を含む。取り外し可能グリップ21は、ハウジング12の後部20を受け、干渉(interference)保持システムを提供する凸形状をそれぞれが画定する相補当接面23,25(
図3)によって取り外し可能に保持される。取り外し可能グリップ21は、以下でさらに明らかになるように、アセンブリ10を用いた照射によって洗浄可能であり、又は他の方法によって所望通りに洗浄可能である。嵌合されると、表面18と後部20とは、所望の場合に、ランプ14を垂直方向に配向してアセンブリ10が直立し得るようにスタンド19を画定する。
【0013】
インジケータ24は、インジケータ開口部22を囲んでいる。インジケータ24は、ランプ26(
図4)と被照射表面との間の距離が、最適な除去エネルギーを提供するための病原体までの所定の距離内であるか否かを操作者に合図する。例えば、第1のテルテール28は、距離が所定の距離を超えている(又は場合によっては十分に離れていない)場合、操作者に合図する。一実施形態において、テルテールは、赤色又は他の色を点灯し、ランプが遠すぎるか又は近すぎる場合に操作者に合図する。インジケータ24は、ランプが被照射表面から所定の距離にある位置まで近接しているときを示す第2の信号を第2のテルテール30によって生成する。一実施形態において、第2のテルテールは、ランプ26が被照射表面60(
図4)から所定の距離にある位置まで近接していることを合図するために黄色で点灯する。ランプ26が被照射表面から所定の距離にある場合、第3のテルテール32が、ランプが所定の距離において最適効率で動作していることを操作者に合図するために緑色に点灯する。各テルテール28,30,32は、それぞれ対応するライト29,31,33(
図3)、本実施形態では対応する発光ダイオード、によって照明される。
【0014】
当業者には、アセンブリ10が被殺菌表面からの適切な距離で使用されているか否かを操作者に合図するために、異なるテルテール又はインジケータを使用してもよいことが理解できるであろう。これらには、点滅光、音声若しくは可聴フィードバックキュー、振動、又はランプ26が被照射表面から病原体の最適な除去を実現するために適切な距離に配置されていることを操作者に合図するために十分であろう任意のインジケータが含まれるが、これらに限定されない。以下でさらに詳細に説明するように、これらの合図は、暴露限界の標示、病原体の存在又は除去の標示などを含むがこれらに限定されない付加情報をユーザに提供するために使用することができる。
【0015】
本願を通じて「表面」が使用されているが、本願発明は、無生物上のみならず、個人の手、脚、腕及び顔さえも含む表皮上においても病原体の迅速な除去を実現することを理解されたい。以下でさらに説明するように、石鹸又は化学薬品の使用を必要とすることなく皮膚を迅速に殺菌することができるようになった。本発明の携帯アセンブリ10により、数秒のうちに個人の手が殺菌され得る。また、すり傷及び傷口も、投与された抗生物質が効き始めるのを待つ間に、安全かつ迅速に殺菌することができる。ランプ26が表皮まで例えば1インチなどの近い距離に配置された場合、照射エネルギーが極めて高いにもかかわらず、フィルタリングされた遠UVC光は、数秒で広範囲の病原体を迅速に除去する一方、表皮を貫通しない。
【0016】
ここで
図3を参照すると、取り外し可能グリップ21がハウジング12上の所定の位置に配置される場合に、それぞれが整列する、ハウジング12の後部20によって画定された開口部37aと、取り外し可能グリップ21によって画定された開口部37bと、を通って部分的に延びるスイッチ35を押下することによって、ランプ26(
図2)は起動される。スイッチカバー39は、スイッチ35とハウジングの後部20との間に配置され、押下された場合、操作者がスイッチ35には接触しないが、スイッチカバー39に接触するようにスイッチ35を隠す。さらに他の実施形態は、グリップ開口部37bの上の取り外し可能グリップ21に恒久的又は一時的に取り付けられ、スイッチカバー39が汚染されることを防ぐ保護バリア41(
図1B)を含む。これにより、バリア41も、グリップ21がハウジング12から取り外された場合に、グリップ21と共に殺菌され得る。一実施形態において、アセンブリ10がスタンド19によって垂直方向に支持されている場合、スイッチ35は、プロセッサ68を任意に起動させて所定の時間にわたってランプ26に給電し、ユーザが、スイッチ35を押下し続けることなく、又は装置10を保持する必要すらなく、例えばユーザ自身の手、取り外し可能グリップ21、又は任意の他の物体を殺菌することができるようにしてもよい。ランプ26の照射波長がフィルタリングされ、透過波長が230nm未満に制限されており、目及び表皮に有害ではないため、ランプ26は、安全装置の使用を必要とすることなく、縦向きに配置された状態で照明され得る。あるいは、装置10を起動又は停止することは、人間の接触を介して装置10を汚染する可能性があるので、任意に、装置10は、(いくつかのモバイル装置で見られるように)顔/目認識を介して、及び/又は(モバイル装置の音声アシスタントと同様に)音声起動を介して、起動/停止されてもよいし、そうでなくてもよい。装置10は、特定の動き(すなわち、それを振ること、特定の動きでそれを動かすことなど)を介して起動/停止されてもよいし、そうでなくてもよい。
【0017】
ここで
図2を参照すると、
図1Aの線2-2を通る断面図が示されている。ランプ26は、ターゲット表面60上へのランプ開口部14を介した照射を発生させるために、ランプフレーム27によってランプ開口部14を覆って定位置に配置される。ランプ26は、塩化クリプトン管、発光ダイオード、又はピーク波長が222nmの光を透過することができる任意の他の照明システムを含む様々な照明技術の使用に適合されている。一実施形態において、ランプ26は、約230nmを超える波長を有する光を除去するようにフィルタリングされる。従って、殺菌光は、約200nmから230nmの間の波長で透過される。一実施形態では、使用中にランプを保護するために、溶融シリカ保護カバー34又は同等のものがランプ開口部14を覆って配置される。溶融シリカ保護カバー34は、ランプ26の照射パワーを著しく低下させることなく光の透過を可能にしつつ、遠UVC光照射によって発生するエネルギーに著しく劣化することなく耐えることができるほど耐久性があると考えられている。しかし、石英、又は著しく劣化することなく遠UVC光の透過を可能にすることができる任意の他の材料を含むものの、これらに限定されない、他のカバー材料組成も、本発明の範囲内である。レンズとカバーとは、本明細書を通じて互換可能に使用されているものの、それぞれが、遠UVC光がレンズ36を透過するように、ランプ26又はランプに含まれた管と、被照射表面60と、の間に配置された要素36を指すことも理解されたい。さらに、230nmを超える波長を除去又は著しく低減するために遠UVC光をフィルタリングするフィルタ(図示せず)は、レンズ36の一部であってもよい。約230nmを超える光を透過しないものの、人間にとって実質的に安全でありつつ病原体を除去することができる約222nmのピーク照射を提供する発光ダイオード又は他の源を含む他の遠UVC光が、本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0018】
ランプ26は、パワーパック36を介して給電される。パワーパック36は、プラグイン充電ポート38を介して再充電可能である。一実施形態において、パワーパック36は、それぞれ約3.6ボルトを供給する2つのリチウムイオン18650PMIセル(図示せず)を含む。従って、パワーパック36は、充電された場合、約7.2ボルトを供給する。あるいは、ランプ26は、充電ポート36を介して供給される電流によって給電される。パワーパック38は、パワーパック36をハウジング12の表面18の内面上に位置するねじボスにファスナー(図示せず)を介して公知の方法で固定するパワーパック支持体40によって受けられる。ファスナーは、支持脚46(
図7)によって画定された支持開口部44を通して受けられる。
【0019】
支持脚46は、パワーパック支持体40が、同じくハウジング12の表面18に固定されたインバータ48を跨ぐことを可能にする。インバータ48は、パワーパック36から7.2ボルトで電流を受け取り、電流の波長を、それをランプ26が受け取ることができるように公知の方法で整形する。インバータ48は、インバータフレーム開口部52を通して受けられたファスナーによってハウジング12の表面18に固定されたインバータフレーム50上に配置されている。
【0020】
変圧器54は、パワーパック36によって生成された約7.2ボルトから約4,000ボルトへ電圧を昇圧し、ランプ26に給電するために十分なエネルギーを供給する。一実施形態において、インバータ48は、ストラテオインバータ(Stratheo inverter)である。しかし、電流波長を整形し、電圧を約4,000ボルトへ昇圧することができる任意のインバータ/変圧器の組み合わせで十分であることを理解されたい。変圧器54は、また、インバータ48及び変圧器54の組み合わせの全体サイズを小さくするためにインバータフレーム50上に搭載されている。
【0021】
ここで
図4及び
図5を参照すると、距離計測装置56は、同じくランプ26をハウジング12の表面18に固定するランプフレーム58に固定されている。ランプフレーム58は、
図4に最もよく示されているように、アセンブリ10の使用時にランプ26が被殺菌表面60に対して水平に配置されるように配向されている。距離計測装置56は、ランプ26からオフセットされ、ランプ26に対して角度をもって配置されている。一実施形態において、距離計測装置56は、ランプ26によって画定された表面60上の照射ゾーン64の中央部62へ信号を送信する。距離計測装置56は、信号の反射フィードバックを中央部62から受信するセンサ66を含む。センサ66は、ランプ26から照射ゾーン64の中央部62までの垂直距離を算出するために、プロセッサ68へフィードバックデータを供給する。従って、距離計測装置56は、ランプ26からオフセットされているにもかかわらず、エネルギーレベルが最も高い位置におけるランプ26と被照射表面60との間の正確な垂直距離を測定し、その目的は、以下で説明されるにつれて、より明らかになるであろう。
【0022】
一実施形態において、距離計測装置56は、照射ゾーン64の中央部62へレーザビーム63を伝送するライダーシステムである。レーザビーム63は、可視又は不可視の何れかである。可視である場合、レーザビームは、照射ゾーン64の中央部62にユーザフィードバックを提供する。他の実施形態において、距離計測装置56は、照射ゾーン64の中央部62へ伝送する赤外線の形態をとり、センサ66は、中央部62からランプ14までの垂直距離を算出するようにプロセッサに信号を送るための中央部62からの反射光を検出する赤外線センサである。レーダ、写真測量などを含む他の種類の距離計測装置は、照射ゾーン64の中央部62を検出できる限り、本発明の範囲内である。光(又は他の信号)と反射を検出するセンサ66との間の飛行時間測定が、中央部62又は場合によっては点と、ランプ26と、の間の垂直距離をプロセッサ68が算出するために十分な精度を提供したことも理解されたい。
【0023】
上述したように、プロセッサ68は、ランプ26が照射ゾーンの中央部62から所定の距離に位置するか否かを合図するようにインジケータ24に信号を送る。一実施形態において、インジケータ24は、例えば1インチから2インチの間などの距離の範囲内にランプ26が配置された場合、病原体の迅速な除去のための適切な距離が保たれていることを合図する。従って、ユーザは、病原体を除去するために三次元表面が照射されているときでさえも、ランプ26が適切な範囲内に保たれているというフィードバックを提供される。距離は、表面60に到達するエネルギーの割合に反比例することが判明している。ランプ14から被照射表面60までの距離が小さいほど、表面60への紫外線エネルギー伝達率が高く、表面の病原体が迅速に除去される。
【0024】
病原体を除去するために必要なエネルギー量を確認するために、溶融シリカ保護レンズ34を採用した場合と、溶融シリカ保護レンズ34を採用しない場合と、の両方において、様々な距離でランプ14をテストした。結果は、溶融シリカレンズ34を採用した場合、遠UVC光エネルギー量の減少が、ごく僅かであることを示している。結果は、表1に示すように、μW単位で計測された。
【0025】
【0026】
被照射表面60から約1インチの距離において、ランプ14は、3030μWのエネルギー伝達率を実現する。あるいは、被照射表面60から約6インチの距離において、ランプ14は、330μWの紫外線エネルギー伝達を実現する。エネルギー伝達量は、特定の病原体を除去するために必要な時間に変換される。溶融シリカ保護カバー(又はレンズ)34は、被照射表面60における照射エネルギー量をある程度減少させる。驚くべきことに、表面60における溶融シリカレンズ34のエネルギーによる照射の減少量は、距離が長くなるにつれて減少する。従って、保護溶融シリカレンズ34に起因する照射エネルギーの減少は、ランプ26と表面との間の距離に反比例する。
【0027】
また、ランプ14が被照射表面から約1インチの距離だけ離れている場合の照射エネルギーは、ランプ14と被照射表面60との間の距離がランプ14から約2インチである場合よりも約1.8倍から約1.83倍(約2倍)大きい。ランプ14は、ランプ14が被照射表面から約4インチに配置された場合よりも、被照射表面60から約1インチに配置された場合の方が、約4.67倍から4.77倍(約5倍)多い表面エネルギーを供給する。ランプ14は、ランプ14が被照射表面60から約6インチに配置された場合よりも、被照射表面60から約1インチに配置された場合の方が、約9.07倍から9.18倍(約10倍)多い表面エネルギーを供給する。
【0028】
テスト結果は、ランプ14が被照射表面60から約1インチの距離に配置された場合、約1秒で病原体の3Log減少(99.9%の除去)を実現することによってCovid-19が除去されることを示している。あるいは、Covid-19は、ランプ14が被照射表面60から約6インチの距離に配置された場合、約9.5秒で3Log減少まで除去され得る。当業者には、異なる病原体が、任意の表面上における完全減少又は3Log減少のために異なる照射量を必要とすることが理解できるであろう。ランプ14が被照射表面60から1インチに配置されている場合、ウイルスは1秒間の照射しか必要としないかもしれないが、細菌又は芽胞は、同じ距離において数秒間の照射を必要とする可能性がある。また、Covid-19の99%の除去を実現する2Log減少は、ランプ26が被照射表面60から約1インチ離れている場合、約0.1秒で実現される。同様に、ランプ14が被照射表面60から約6インチの距離に配置されている場合、Covid-19は、約0.95秒で2Log減少まで除去され得る。被照射表面60からのランプ26の正確な距離を測定することが、実現される病原体の除去のレベルを判定するときに必要であることは明らかであろう。
【0029】
図5は、距離計測装置56が、表面64上の照射ゾーン64と交差する計測領域72上へ2次光を透過させる他の構成を示している。この実施形態において、計測領域72の少なくとも一部は、照射ゾーン64の中央部62と交差している。センサ66は、ランプ26と照射ゾーン64の少なくとも中央部62との間の垂直距離を算出するようにプロセッサ68に信号を送るために照射ゾーン64からの反射光、レーダなどを検出する。
【0030】
距離計測装置56は、ランプ26によって照射される表面60へ信号を送信する送信器74を含むことも理解されたい。送信器74は、プロセッサ68がランプ26と照射ゾーン64の少なくとも中央部62との間の垂直距離を算出できるように、不可視レーザビーム、可視レーザビーム、赤外線、レーダなどの何れかを投射し、センサ66が被照射表面60からの反射信号を検出することを可能にするように企図されている。
【0031】
透過された遠UVC光は、大部分が不可視スペクトルに含まれる。従って、ランプ14が最適な照射を実現している表面領域をユーザが完全に識別することは困難である。さらに、ランプは、表面上の遠UVC光照射が、照射ゾーン64の中央部62(又は領域)から径方向外側へ拡がるにつれて効果を発揮する。しかし、表面60へのエネルギー伝達は、表面60上の照射ゾーン64を越えると減少する。第1の照射ゾーン64の概して径方向外側に位置する第2の照射ゾーン76は、依然として効果を発揮するものの、病原体を除去するためには追加の時間を必要とする。操作者が、少なくとも照射ゾーン64を、及び、所望の場合、第2の照射ゾーン76も、識別することを補助するために、識別子光源70は、
図6に表されるように、第1の照射ゾーン64の周囲に第1のリング78又は同等のものを、第2の照射ゾーン76の周囲に第2のリング80又は同等のものを投射する。識別子光源70は、距離計測装置56の一部である2次光とは別個の光である。
【0032】
一実施形態において、識別子光源70による照明は、第1のリング78が第1の照射ゾーン64の最も広い空間境界にすぐ隣接して表面60上に配置され、第2のリング80が第2の照射ゾーン76の最も広い空間境界にすぐ隣接して配置されるように光を集光するために識別子光源70からの光を集光する識別子光源レンズ82によって調整される。第1のリング78及び第2のリング80の直径は、ランプ26と照射ゾーンの中央部62との間の垂直距離に比例して、第1の照射ゾーン64及び第2の照射ゾーン76の最も広い空間境界に等しい量だけ大きくなる。これにより、識別子光源レンズ82は、屈折光の角変位が、第1の照射ゾーン64及び第2の照射ゾーン76それぞれにおいて遠UVC光が大きくなる割合と同じ割合で、直径が大きくなるリング78,80を生成するように相関して構成される。また、リング78,80は、3次元表面上に伝送され、平面上の物体が照射ゾーン64,76内にあることの識別を実現する。リング64,76と、インジケータ24を介してユーザフィードバックを提供する距離計測装置56と、の組み合わせは、ユーザが、例えば、無生物、及び、手若しくは人体構造の他の部分にさえも使用された場合に実現される病原体除去の実現性を確認することを可能にする。
【0033】
さらなる実施形態において、装置10は、様々なフォーマット及び/又は形状で可視光を放射し得る。例えば、フォーマット及び/又は形状は、特定のアプリケーション又はユーザによってなされた選択に応じて、名称(又は任意の他の単語)、イニシャル、記号、及び/又は形状(例えば、バットシグナル、星、旗など)、及び/又は写真を含んでもよい。任意に、ユーザは、放射された可視光のために使用するために、1つ以上の画像を装置10へアップロードしてもよい(それによって、アップロードされた画像が、画像が表面に投影されるように光源によってバックライトされる)。任意に、装置10が適切な高さにある場合、カスタマイズされた可視光又は投影された画像又はアイコンは、装置10がどこを狙っているか、及び病原体を除去するための適切な有効高さ若しくは距離に装置10があることをユーザが知るように、焦点が合ってもよい。他の例において、装置10は、ユーザが被照射表面をターゲットにする又は狙うアイコンの形状で可視光を放射してもよい。装置10が有効であるために必要な時間だけ動作した場合、可視光はオフになり、及び/又は減衰してもよく、及び/又は装置10が、可視光をディセーブルしてもよいこと、及び/又は装置10を再充電する必要があること、及び/又は(例えば、可視光の欠如が、遠UVC装置10がもはや病原体を除去していないことを示す場合、)遠UVCユニット全体を交換しなければならないことをユーザへ伝達してもよい。
【0034】
さらに他の実施形態において、装置10は、可視光の代わりに、又はそれに加えて、音を放音してもよい。例えば、視覚障害者のためであっても、単に設定された時間にわたって領域をターゲットにするための代替手段としてであっても、装置10は、時間の長さをユーザへ伝達するために音又は音波メッセージングを使用してもよい。この実施形態において、プロセッサ68は、音出力を実現するためのオーディオトランジスタも含む。装置10は、装置10が被照射表面から適切な又は最適な距離にあることをユーザに知らせるように、所定の時間において病原体を除去するための表面からの適切な距離を示す音を放音する。例えば、可視光を放射することに加えて、又は代替的に、装置10は、病原体を除去するために適切な及び/又は誤った距離にユーザがいる場合に起動する音起動構成を含んでもよい。プロセッサは、加速度計及び/又は表面距離計測によって識別可能である、装置10が表面60上を速く移動しすぎて病原体の十分な除去を実現することができない場合に、音トランジスタを介し可聴ユーザフィードバックを提供することもできる。
【0035】
さらなる実施形態において、装置10は、(例えば、超音波センサ、ライダー又は他の距離検出システムを使用し、)装置10がターゲット表面に近づきすぎた又は離れすぎたときを示す音を放音する。このような音は、恒久的なものであってもよく、及び/又は(携帯電話の着信音と同様に)カスタマイズ可能なものであってもよい。装置10が有効である(例えば、病原体を除去する)ために必要な時間だけ動作した場合、音はオフになり及び/又は減衰してもよく、及び/又は装置10が、装置10を再充電する必要があること、及び/又は(例えば、音の欠如が、ランプが使用限界を超えたため遠UVC装置10がもはや病原体を除去していないことを示す場合、)遠UVCユニット全体を交換する必要があることをユーザへ伝達してもよい。任意に、音は、(例えば、携帯電話の着信音及び通知音がカスタマイズ可能であるのと同様に)ユーザの好みに合わせてカスタマイズ可能であってもよい。
【0036】
さらに他の実施形態において、装置10は、据え置き用途のために可視光を放射する代わりに、又はそれに加えて、香りを発する。視覚障害者のためであっても、聴覚障害者のためであっても、装置10は、装置10が使用中である場合、又は装置10が交換若しくは再充電される必要があるときを示すために香りを発する。可視光の代わりに、又は可視光と組み合わせて、装置10は、本願を通じて開示されるように、装置10の動作上の処置に関するユーザフィードバックを提供する取り付け可能な香りユニットによって装置10が起動された場合に発せられる香りを発する。
【0037】
場合によっては、人体暴露は、8時間以上又は24時間以上などの所定の時間のUVC又は遠UVC光エネルギーに基づく規制又は基準によって制限され得る。そのため、本発明の装置10は、人間の表皮の存在を判定することができる生体センサ90を含む。再び
図1~
図3を参照すると、生体センサ90は、図式において携帯ライトアセンブリ10上に表されており、これは、照射ゾーン64にいる個人を検出し識別するための生体センサ90も含む。例えば、生体センサ90は、心拍、体温、皮膚認識を識別することにより、人間の表皮の存在を検出する。さらに、生体センサ90は、例えば、後方散乱又は青色LED技術を用いた熱又は皮膚認識を通じて、皮膚及び/又は目の存在を検出する。心臓律動、静脈パターン、指紋、手の形状、DNA、音声パターン、虹彩パターン及び顔検出を含むが、これらに限定されない様々なタイプの生体センサが本発明の範囲内である。適応生体センシングも、本発明の範囲内である。例えば、生体センサ10及びプロセッサ68は、心拍、静脈認識などを用いて、あるユーザを、又は、より重要には、遠UVC光に暴露されたある個人を、他の個人と区別するようにプログラムされている。以下でさらに説明するように、装置10は、個人が所定の閾値又は限界まで遠UVC光に暴露された場合、照射を自動的に終了させる。生体センサ90は、複数のユーザを区別し、ある任意のユーザが限界値を満たした場合に装置10を停止するものの、未だ限界値を満たしていない他のユーザのために起動することを可能にする。生体センサ90は、複数のユーザが装置10の照射ゾーン内にいるか否かを識別し、プロセッサ68に、任意のユーザが照射ゾーン内にいる時間の長さを集計し、それによって装置10による照射を終了するように信号を送る。プロセッサ68は、所定の限界値が満たされたか否かを識別する目的で、装置10から表皮までの距離を、表皮へ伝達される遠UVC光エネルギーの量に関連付けるようにプログラムされていることを理解されたい。従って、装置10に近接している表皮は、装置10からより離れている表皮よりも少ない暴露時間を許容される。
【0038】
場合によっては、エアロゾルであるか又は表面上に配置されている病原体を検出する能力を含むことも望ましい。そのため、他の実施形態において、装置10は、照射ゾーン64内の任意の病原体を検出し識別するための病原体センサ91を含む。Nuwave Sensorsによって提供される微生物センサ及びその同等物は、空中浮遊微生物の迅速な検出のために使用され得る。表面病原体の存在を検出する場合、長距離表面プラズモン増強蛍光分光法が、迅速な検出を実現すると考えられている。表面プラズモン共鳴センサは、表面病原体が除去されたか否かに関する迅速なユーザフィードバックを実現する、リアルタイムでの生体分子の相互作用の高感度かつ詳細な計測ができる光学プラットフォームである。照射ゾーン64内で病原体が検出された場合、プロセッサ68は、病原体が除去されることを確保するために照射を続ける。例えば、プロセッサ68は、それ以上病原体が検出されなくなるまで、又は2Log、3Log若しくは他の除去レベルが実現されるまで、ランプ26による照射を続ける。病院のセッティングでは、病原体の3Log又は4Log減少すら必要である可能性がある一方、個人的な又は他の商業的用途では、2Log減少しか必要ではない可能性がある。プロセッサ68は、これらの所望の除去結果の何れかに装置10を適応させるようにプログラム可能である。さらに他の実施形態では、操作者が自らの裁量で装置10を停止できるように、さらなる病原体が検出されていないことを操作者に通知する可聴標示又は可視信号が生成される。
【0039】
例えば、乗用車、飛行機などの閉じた空間において、病原体の除去のさらなる使用が望ましい。
図8~
図10は、車両102に実装された、病原体を安全に除去するためのシステム100のさらなる実施形態を図示している。乗用車が示されているものの、本願発明は、バス、タクシー、ライドシェア車両、完全又は自律走行車、及び飛行機さえも含むがこれらに限定されない、乗員が乗る任意の車両に実装できることを理解されたい。車両102は、上述の携帯アセンブリ10と同様に動作する、携帯使用のためにヘッドライナ106から取り外すこともできる、車両102のヘッドライナ106に組み込まれた遠UVCランプ104を含む。本明細書を通じてヘッドライナに言及しているものの、ランプ104は、シート、ピラーカバー、スピーカグリル、ドアパネル、ステアリングホイール並びにコラム、計器パネルなどを含むがこれらに限定されない任意の内装トリム部品と一体化されてもよいことを理解されたい。ランプ104は、車両シート108、及び他の内装表面の上の病原体を除去するだけではなく、ランプ104は、以下でさらに説明するように、車両102内に着座している任意の乗員110の上と共に、車両102内の周囲の空気の病原体も除去する。ランプ104は、電気ケーブル114を介してプロセッサ112によって制御され、その両方が、ヘッドライナ106に組み込まれている。あるいは、プロセッサ112は、車両102内の任意の場所に配置され、メイン車両プロセッサと一体化され、ランプ104と無線で通信することすらできる。プロセッサ112は、携帯装置10に配置されたプロセッサ68と同様の方法でプログラムされている。本実施形態において、システム110は、ヘッドライナ106へランプ104に近接して組み込まれた、又はランプ104と一体化された、ファン又は空気循環装置116も含む。ファン116は、車両HVACシステムを補助して、ランプ104によって病原体が除去された空気を循環させると共に、エアロゾル病原体がランプ104の照射ゾーンへ誘導される確率を高めるために、
図8において破線で特定されているようにランプ104の照射ゾーンの経路において空気を誘導する。
【0040】
車両実装システム100は、車両102内の乗員110の存在を検出するための生体センサ118をさらに含む。携帯装置10に含まれる生体センサ90と同様に、生体センサ118は、心拍モニタ又は指紋検出器を含んでもよく、又は、それは、本明細書において先の実施形態で上述されているように、例えば、後方散乱又は青色LED技術を使用した、熱又は皮膚認識を通じて皮膚及び/又は目の存在を検出してもよい。システムは、換気システムから車両102内に循環する空気を除去するために、車両102のHVACシステム内にHVAC遠UVCランプ120も含み得る。
図8に最もよく表されているように、遠UVCランプ120は、車両102の車室全体に空気を誘導するために使用されるHVACベントに近接した計器パネル121の上又は内部にも配置可能である。これにより、エアロゾル化された病原体は、空気が車室全体に循環される前に除去される。
【0041】
先の実施形態のシステム100及び装置10が、さらなる安全対策として、複数の装置が任意のユーザの暴露を知らせるように、無線伝送を介して、又はインターネット上で通信することは、本発明の範囲内である。さらに、複数の装置には、携帯電話アプリと一体化している場合ですら、所定のユーザの暴露を知らせるために、ブルートゥース又は携帯電話サービスを介する無線通信が提供される。
【0042】
さらに、車両をベースとするシステム100は、任意に、本明細書における先の実施形態で上述されたものと同様の方法でエアロゾル又は表面病原体を検知するための病原体センサ119を含む。システムは、病原体が検出された場合、又は検出されない場合すらも、ユーザ又は乗員入力を提供する。車両に入る乗員は、病原体センサ119によって病原体についてスキャンされ、病原体が検出された場合、システム100にランプ120を起動させる。あるいは、病原体が検出された場合、車両102のドアがロックされたままであり、乗員が入ることを防止する。
【0043】
病原体又はその不存在を示し、芳香剤のように機能する香りも、(可視光の代わりに、又はそれに加えて)車両110内で循環させることができる。香りは、ユーザの好みに合わせてカスタマイズ可能であってもよい。システム100は、香りが薄れた場合、香りを交換する必要があるか、及び/又は装置を再充電する必要があること、及び/又は(例えば、香りの欠如が、遠UVCランプ120が自動車の内装内の空気中の病原体をもはや除去していないことを示す場合、)遠UVC100全体を交換する必要があることを示してもよい。又は、例えば、乗用車エアベントに携帯可能に取り付けられた場合の据え置き用途のためだけに、システム100は、香りを発し、ランプ120が起動された場合、又はランプ120を交換若しくは再充電する必要があるときを示してもよい。例えば、システム100は、乗用車換気システムの内装内部に、又は乗用車換気システムに近接して付く匂い発生アタッチメントを含んでもよい。
【0044】
図10A~
図10Bは、携帯光装置10を動作させるための例示的な方法を示している。装置10が起動されると(ステップ130)、センサ90は、個人が照射ゾーン64内にいるか否かを判定する(ステップ132)。個人が照射ゾーン64内に入ったとセンサ90が判定した場合、センサ90は、この個人が装置10から受ける遠UVC光暴露量を追跡するために、この特定の個人を識別する(ステップ132)。様々な非政府機関によって管理されている規制が、人間が所定の暴露期間内に受けてもよい遠UVC光に対する暴露の最大継続時間を制限しているので、各個人が受ける遠UVC光暴露量を追跡することは重要である。例えば、現在の規制の下において、個人は、遠UVC光に対して自身が受ける暴露の量を所定の限界値に制限しなければならない。照射ゾーン64内の特定の個人が推奨限界を超えないことを確保するために、プロセッサ68は、タイマ又はカウンタを実装することによって、特定の個人が遠UVC光に暴露されている時間の長さを追跡する。装置10が依然として起動されている場合(ステップ134)、プロセッサ68は、特定の個人が装置10からの遠UVC光に暴露されてもよいか否かを判定する(ステップ136)。言い換えれば、プロセッサ68は、特定の個人が、規制の下における自分自身の最大継続時間に既に達しているか否かを判定する。プロセッサ68が、特定の個人が装置10からの遠UVC光への暴露の限界値を満たしていると判定した場合、プロセッサ68は、ステップ132において人物が照射ゾーン64を離れるか、又はステップ134において装置が停止されるまでループ内に留まる(ステップ132、134及び136)。規制は定期的に更新されるので、本発明は、個人が装置10からの遠UVC光に暴露されてもよい最大継続時間を、ウェブサイトを介して、又はソフトウェア及び/又はコードを更新するための装置10とのモバイルペアリングを介して更新する。
【0045】
ステップ136において、プロセッサ68が、特定の個人が装置10からの遠UVC光に暴露されることを許容されていると判定した場合、プロセッサ68は、ランプ26を点灯させ、特定の個人が装置10からの遠UVC光に暴露されている時間の長さを追跡するために、特定の個人のためのタイマをスタートさせる(ステップ138)。センサ90は、特定の個人が照射ゾーン64内に留まっているか否かを監視し続け(ステップ140)、プロセッサ68は、装置10が依然として起動されている間に(ステップ144)、その個人が最大継続時間を超えないことを確保するために、個人が照射ゾーン64内に留まっている時間を監視する(ステップ142)。ステップ142において、プロセッサ68が、特定の個人が自分自身の最大継続時間に達し、装置10からの遠UVC光に暴露されることがもはや許容されないと判定した場合、プロセッサ68は、ランプ26を消灯させ(ステップ146)、特定の個人のタイマをオフにし、その時間をその個人の遠UVC光への最後の暴露として記録する(ステップ148)。そして、システムは、ループ132、134、136へ戻り、個人が照射ゾーン64を離れることを待つ。
【0046】
ステップ144において、プロセッサ68が、装置10がもはや起動状態ではないと判定した場合、プロセッサ68は、ランプ26を消灯させ、その個人のタイマをオフにし、終了時刻をその個人の遠UVC光への最後の暴露として記録する(ステップ150)。限界値は、8時間又は24時間の期間であって、その期間の後にプロセッサ68が各個人のためのタイマをリセットして追加の暴露を可能にする、期間に基づいている。
【0047】
ステップ132において、センサ90が照射ゾーン64内の個人を検出していない場合、プロセッサ68は、ランプ26を点灯させる(ステップ152)。センサ90は、照射ゾーン64に個人が入ったか否かを監視し続ける(ステップ154)。センサ90が、個人が照射ゾーン64に入ったと判定した場合、プロセッサ68は、ステップ142へ移行し、特定の個人が装置10からの遠UVC光に暴露されてよいか否かを判定する。ステップ154において、センサが照射ゾーン64内の個人を検出していない場合、プロセッサ68は、装置10が停止されたとそれが判定するまで(ステップ156)、ループ154、156に留まり、その時点で、プロセッサ68は、ランプ26を消灯させる(ステップ158)。ステップ140において、特定の個人が照射ゾーン64を離れた場合、プロセッサ68は、その個人のタイマをオフにし、終了時刻をその個人の遠UVC光への最後の暴露として記録する(ステップ160)。そして、方法は、ステップ154へ戻る。 装置10が起動されている限り(ステップ156)、ランプ26は、照射ゾーン64内で他の個人が検出される(ステップ154)まで点灯したままである。個人が遠UVC光に暴露されたときに個人を識別するための生体センサを使用することが、限界値を超えていないことを確認しつつ装置10を使用するためのフェイルセーフ能力を提供する。
【0048】
図11A~
図11Bは、
図8で図示された車両102内において車室の内部かつ助手席108の上で除去システム100を動作させるための例示的な方法を示している。システム100が起動されると(ステップ162)、プロセッサ112は、ランプ104を点灯させ(ステップ164)、ランプ104が起動されている継続時間を制御するためにタイマをスタートさせる(ステップ166)。生体センサ118は、乗員110が車両シート108内にいるか否かを判定する(ステップ168)。生体センサ118が車両シート108内で乗員110を検出していない場合、プロセッサは、システムが依然として起動されていることを確認する(ステップ170)。システムが依然として起動されている場合、プロセッサ112は、第1の閾値時間に達したか否かを判定する(ステップ172)。第1の閾値時間は、車両シート108内で乗員110が検出されない場合にランプ104が起動される時間の長さである。第1の閾値に達した場合、プロセッサは、ランプ104を消灯させ(ステップ174)、タイマをオフにする(ステップ176)。この時点で、車両シート108及び他の表面から病原体が除去されており、システム100は、乗員の進入を待機する(ステップ178)。乗員110の進入後、プロセッサ112は、ランプ104を点灯させ(ステップ180)、タイマをスタートさせる(ステップ182)。プロセッサ112は、タイマが、乗員が遠UVC光に安全に暴露され得る最大の時間の長さである第2の閾値に達したか、すなわち十分な時間が経過して病原体が除去されたことを判定する。
【0049】
第2の閾値に達していない場合、システム110は、第2の時間閾値に達するか(ステップ184)、又は乗員110が車両を離れる(ステップ186)まで、車両シート108内の乗員110を照射し続ける。第2の時間閾値に達したとプロセッサが判定した場合、プロセッサ112は、ランプ104を消灯させ(ステップ188)、タイマをオフにする(ステップ190)。
【0050】
運転者が自分自身の上の任意の病原体を除去したい場合、運転者は、運転席の上にあるランプ104を起動することができる。このプロセスは、
図11Bで提供されたステップ182~190に続くであろう。あるいは、プロセスは、装置10について提供されたステップ140~150に従ってもよい。
【0051】
装置10及び/又はシステム100は、特定の病原体をターゲットにするために照射される遠UVC光の時間及び強度をターゲットにするための病原体検出センサも含み得る。
【0052】
本発明は、例示的に説明されており、上述の教示に鑑みて、流体からの毒素の除去を含む、本発明の多くの修正及び変形が可能である。従って、本明細書内において、参照番号は単に便宜上のものであり、いかなる意味でも限定するものではなく、本発明は具体的に記載されているもの以外の方法で実施することができることを理解されたい。従って、本発明は、この最初に開示された実施形態に続く記載された請求項の範囲内において、具体的に記載されているもの以外の方法で実施することができる。
【0053】
(付記)
(付記1)
遠紫外線-C(遠UVC)光を放射すると共に、照射ゾーンを生成するランプを起動するステップと、
前記照射ゾーンに個人がいるか否かを判定するステップと、
前記照射ゾーンにおいて前記個人が受ける前記遠UVC光への暴露量を判定するステップと、
前記暴露量が閾値を超えているか否かを判定するステップと、
前記暴露量が前記閾値を超えていると判定された場合、前記ランプを停止するステップと、
を含む、病原体を除去するための方法。
【0054】
(付記2)
前記暴露量を判定するステップは、前記個人が前記照射ゾーンにいた時間の長さを判定することを含む、付記1に記載の方法。
【0055】
(付記3)
前記照射ゾーンにいる前記個人を識別するステップと、
所定の時間にわたって前記個人が前記照射ゾーンにいた時間の長さを記録するステップと、
をさらに含む、付記2に記載の方法。
【0056】
(付記4)
前記照射ゾーンに個人がいるか否かを判定するステップは、前記個人の皮膚、目、心臓律動、静脈パターン、指紋、手の形状、DNA、音声パターン、虹彩パターン又は顔検出を検出することによってさらに定義される、付記1に記載の方法。
【0057】
(付記5)
前記照射ゾーン内の病原体を検出するステップと、
前記照射ゾーン内の前記病原体を識別するステップと、
前記病原体を除去するために必要な時間を判定するステップと、
前記時間が経過したときを示す信号を生成するステップと、
をさらに含む、付記1に記載の方法。
【0058】
(付記6)
前記信号は、視覚標示及び可聴標示のうちの少なくとも1つを含む、付記5に記載の方法。
【0059】
(付記7)
前記ランプと前記個人との間の距離を判定するステップと、
前記距離が所定の距離よりも大きいか否かを判定するステップと、
前記距離が前記所定の距離よりも大きいと判定された場合、前記距離が前記所定の距離よりも大きいことを示す信号を生成するステップと、
をさらに含む、付記1に記載の方法。
【0060】
(付記8)
前記信号は、視覚標示及び可聴標示のうちの少なくとも1つを含む、付記7に記載の方法。
【0061】
(付記9)
前記視覚標示は、少なくとも1つの光のリングを含む、付記8に記載の方法。
【0062】
(付記10)
前記視覚標示は、同心円状の光のリングを含む、付記8に記載の方法。
【0063】
(付記11)
遠紫外線-C(遠UVC)光を放射し、それによって照射ゾーンを生成するランプと、
前記照射ゾーンにおける個人の存在を検出する生体センサと、
前記個人が前記照射ゾーンにいる間に受ける前記遠UVC光への暴露量を判定するために、前記生体センサから信号を受信するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記個人が前記照射ゾーン内にいる間に受けた暴露量を集計するためのカウンタを含み、それによって前記暴露量が閾値を超えるか否かを判定し、
前記プロセッサは、前記個人が前記閾値に達したか又は超えた場合、前記ランプによる照射を終了する、
病原体を除去するためのシステム。
【0064】
(付記12)
前記カウンタは、時間又は前記個人が前記照射ゾーンにいる間に受ける照射エネルギーのうちの少なくとも1つをカウントする、付記11に記載のシステム。
【0065】
(付記13)
前記生体センサは、前記照射ゾーンにいる前記個人を識別すると共に、前記プロセッサは、所定の時間にわたって前記個人が前記照射ゾーンにいた時間の長さを記録する、付記12に記載のシステム。
【0066】
(付記14)
前記生体センサは、前記個人の皮膚、目、心臓律動、静脈パターン、指紋、手の形状、DNA、音声パターン、虹彩パターン及び顔検出のうちの少なくとも1つを検出することによって、前記個人が前記照射ゾーンにいるか否かを判定するように構成されている、付記11に記載のシステム。
【0067】
(付記15)
前記照射ゾーン内の病原体を検出すると共に、前記病原体を識別するための病原体センサをさらに備え、前記プロセッサは、前記病原体を除去するために必要な時間を判定すると共に、前記時間が経過したときを示す信号を生成するようにプログラムされている、付記11に記載のシステム。
【0068】
(付記16)
前記病原体センサは、微生物センサ及び表面プラズモン共鳴センサのうちの1つを備える、付記15に記載のシステム。
【0069】
(付記17)
前記ランプ及び前記生体センサは、携帯装置のハウジング内に配置されている、付記11に記載のシステム。
【0070】
(付記18)
前記ランプは、車両の車室内に配置されている、付記11に記載のシステム。
【0071】
(付記19)
前記ランプは、乗用車のヘッドライナ、HVACベント及び計器パネルのうちの少なくとも1つ内に配置されている、付記18に記載のシステム。
【0072】
(付記20)
前記ランプは、前記車両の前記車室内の空気循環装置と協調的に整列しており、それによって、前記空気循環装置が、前記車室内にある空気を前記ランプの前記照射ゾーンを通って循環させることを可能にする、付記19に記載のシステム。
【0073】
(付記21)
車両の車室内部の病原体を除去するためのシステムであって、
遠紫外線-C(遠UVC)光を伝送し、それによって前記車両の前記車室内に照射ゾーンを生成するランプと、
前記ランプが組み込まれた内装トリム部品と、
前記ランプの前記照射ゾーンを通って空気を循環させ、それによって前記車室内にあるエアロゾル病原体を除去するための空気循環システムと、
を備え、
前記ランプは、前記照射ゾーンを乗員及び前記車両の内装の表面へ向け、それによって前記乗員及び前記車両の前記内装の表面の少なくとも1つの上にある病原体を除去する、
車両の車室内部の病原体を除去するためのシステム。
【0074】
(付記22)
前記内装トリム部品は、ヘッドライナ、HVACベント、計器パネル、ドアパネル、ピラーカバー、シート及びステアリングホイール並びにコラムのうちの1つを備える、付記20に記載のシステム。
【0075】
(付記23)
前記空気循環システムは、前記車両のファン又はHVACシステムのうちの1つを備える、付記20に記載のシステム。
【0076】
(付記24)
前記照射ゾーン内で暴露された乗員の表皮を検出するための生体センサシステムをさらに含む、付記20に記載のシステム。
【0077】
(付記25)
前記生体センサシステムは、前記照射ゾーンに表皮が暴露された個人を識別するためにプログラムされているプロセッサに電気的に接続されている、付記24に記載のシステム。
【0078】
(付記26)
前記プロセッサは、個人の表皮が所定の閾値を超えて前記照射ゾーンに暴露された場合、前記ランプによる遠UVC光の伝送を終了する、付記25に記載のシステム。
【0079】
(付記27)
前記車両の前記車室内にある病原体の存在を検知するための病原体センサをさらに含む、付記20に記載のシステム。
【0080】
(付記28)
前記病原体センサは、エアロゾル病原体を検知するための微生物センサ及び表面病原体を検知するための表面プラズモン共鳴センサのうちの1つを備える、付記27に記載のシステム。
【0081】
(付記29)
前記病原体センサは、前記ランプによる照射を開始するように前記プロセッサに信号を送るために、前記プロセッサに電気的に接続されている、付記28に記載のシステム。
【0082】
(付記30)
前記プロセッサは、前記車両の前記車室内部の病原体の存在を前記病原体センサが検知した場合、前記車両の前記車室への入室を防止するようにプログラムされている、付記29に記載のシステム。
【0083】
(付記31)
前記ランプは、前記内装トリム部品から取り外し可能な携帯装置内に配置されている、付記20に記載のシステム。