(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004176
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】制振構造
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20240109BHJP
E04F 11/022 20060101ALI20240109BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E04H9/02 301
E04F11/022
F16F15/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103695
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 智裕
【テーマコード(参考)】
2E139
2E301
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC19
2E139AC22
2E139AC26
2E139AC27
2E139AC33
2E139AD03
2E139AD07
2E139BA17
2E139BA19
2E301CC22
2E301CC33
2E301CC93
2E301CD04
2E301CD43
2E301DD15
2E301DD16
3J048AA06
3J048AC05
3J048BD08
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】水平方向の振動エネルギーを吸収しつつ、制振装置の破損を抑制することを目的とする。
【解決手段】制振構造は、下側スラブ10と、下側スラブ10上に配置され、水平方向に変形することにより振動エネルギーを吸収する粘弾性ダンパ40と、下側スラブ10に、粘弾性ダンパ40を介して水平方向に相対移動可能に連結される階段30と、を備え、粘弾性ダンパ40は、階段30の下端部30Lに対し、上下方向に相対移動可能とされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材上に配置され、水平方向に変形することにより振動エネルギーを吸収する制振装置と、
前記支持部材に、前記制振装置を介して水平方向に相対移動可能に連結される階段と、
を備え、
前記制振装置は、前記支持部材及び前記階段の少なくとも一方に対し、上下方向に相対移動可能とされる、
制振構造。
【請求項2】
前記制振装置は、
粘弾性体と、
上下方向に互いに対向するとともに、前記粘弾性体を介して連結される一対のベースプレートと、
一対の前記ベースプレートの少なくとも一方に設けられ、前記支持部材又は前記階段と水平方向に係合可能で、かつ、前記支持部材又は前記階段と上下方向に相対移動可能とされたシアキーと、
を有する請求項1に記載の制振構造。
【請求項3】
前記シアキーは、前記ベースプレートから突出し、前記支持部材又は前記階段のコンクリート部に埋設され、
前記シアキーの外周面には、前記コンクリート部との付着を抑制する付着抑制材が設けられる、
請求項2に記載の制振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
階段に設置される粘弾性ダンパが知られている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
特許文献1に開示された粘弾性ダンパ(制振ユニット)は、例えば、床と、当該床に支持される階段の端部との間に設置される。この制振装置は、上下方向に対向する一対の接合板と、一対の接合板の間に介在する板状の粘弾性体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-029734号公報
【特許文献2】特開2006-15262号公報
【特許文献3】特開2008-274545号公報
【特許文献4】特開2001-207675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、階段の端部と床との水平方向の相対移動に伴って、粘弾性ダンパの粘弾性体がせん断変形することにより、水平方向の振動エネルギーが吸収される。
【0006】
しかしながら、粘弾性ダンパ等の制振装置では、階段の端部と床とが上下方向に相対移動すると、制振装置が破損する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事実を考慮し、水平方向の振動エネルギーを吸収しつつ、制振装置の破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の制振構造は、支持部材と、前記支持部材上に配置され、水平方向に変形することにより振動エネルギーを吸収する制振装置と、前記支持部材に、前記制振装置を介して水平方向に相対移動可能に連結される階段と、を備え、前記制振装置は、前記支持部材及び前記階段の少なくとも一方に対し、上下方向に相対移動可能とされる。
【0009】
請求項1に係る制振構造によれば、制振装置は、支持部材上に配置され、水平方向に変形することにより振動エネルギーを吸収する。この支持部材には、階段が制振装置を介して水平方向に相対移動可能に連結される。また、制振装置は、支持部材及び階段の少なくとも一方に対し、上下方向に相対移動可能とされる。
【0010】
ここで、地震時に、支持部材と階段とが水平方向に相対移動すると、制振装置が水平方向に変形(せん断変形)し、振動エネルギーが吸収される。
【0011】
一方、地震時に、支持部材と階段とが上下方向に相対移動すると、支持部材及び階段の少なくとも一方と制振装置とが上下方向に相対移動する。したがって、制振装置の破損が抑制される。
【0012】
請求項2に記載の制振構造は、請求項1に記載の制振構造において、前記制振装置は、粘弾性体と、上下方向に互いに対向するとともに、前記粘弾性体を介して連結される一対のベースプレートと、一対の前記ベースプレートの少なくとも一方に設けられ、前記支持部材又は前記階段と水平方向に係合可能で、かつ、前記支持部材又は前記階段と上下方向に相対移動可能とされたシアキーと、を有する。
【0013】
請求項2に係る制振構造によれば、制振装置は、粘弾性体と、一対のベースプレートと、シアキーとを有している。一対のベースプレートは、上下方向に互いに対向するとともに、粘弾性体を介して連結される。シアキーは、一対のベースプレートの少なくとも一方に設けられ、支持部材又は階段と水平方向に係合可能で、かつ、支持部材又は階段と上下方向に相対移動可能とされる。
【0014】
ここで、地震時に、支持部材と階段とが水平方向に相対移動すると、支持部材又は階段とシアキーとが水平方向に係合し、一対のベースプレートが水平方向に相対移動する。これにより、一対のベースプレートを連結する粘弾性体が変形するため、振動エネルギーが吸収される。
【0015】
一方、地震時に、支持部材と階段とが上下方向に相対移動すると、支持部材又は階段とシアキーとが上下方向に相対移動する。したがって、制振装置の粘弾性体の破損等が抑制される。
【0016】
請求項3に記載の制振構造は、請求項2に記載の制振構造において、前記シアキーは、前記ベースプレートから突出し、前記支持部材又は前記階段のコンクリート部に埋設され、前記シアキーの外周面には、前記コンクリート部との付着を抑制する付着抑制材が設けられる。
【0017】
請求項3に係る制振構造によれば、シアキーは、ベースプレートから突出し、支持部材又は階段のコンクリート部に埋設される。また、シアキーの外周面には、コンクリート部との付着を抑制する付着抑制材が設けられる。
【0018】
ここで、地震時に、支持部材と階段とが水平方向に相対移動すると、支持部材又は階段のコンクリート部とシアキーと水平方向に係合し、一対のベースプレートが水平方向に相対移動する。これにより、一対のベースプレートを連結する粘弾性体が変形するため、振動エネルギーが吸収される。
【0019】
一方、地震時に、支持部材と階段とが上下方向に相対移動すると、支持部材又は階段のコンクリート部からシアキーの外周面が剥離し、コンクリート部とシアキーとが上下方向に相対移動する。したがって、制振装置の粘弾性体の破損等が抑制される。
【0020】
さらに、制振装置の施工時には、外周面に付着抑制材が設けられたシアキーをコンクリート部に埋設することにより、シアキーの外周面とコンクリート部との付着が抑制される。この結果、シアキーとコンクリート部とが、水平方向に係合可能で、かつ、上下方向に相対移動可能になる。したがって、制振装置の施工性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、水平方向の振動エネルギーを吸収しつつ、制振装置の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態に係る制振構造が適用された階段を示す側面図である。
【
図2】
図1に示される粘弾性ダンパを示す拡大断面図である。
【
図3】階段と下側スラブとが上下方向に相対移動した状態を示す
図2に対応する拡大断面図である。
【
図4】一実施形態に係る制振構造の変形例を示す
図2に対応する拡大断面図である。
【
図5】一実施形態に係る制振構造の変形例を示す
図2に対応する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る制振構造について説明する。
【0024】
(制振構造)
図1には、本実施形態に係る制振構造が適用された構造物が示されている。構造物は、下側スラブ10と、上側スラブ20と、階段30とを有している。なお、下側スラブ10は、支持部材の一例である。
【0025】
階段(コンクリート階段)30は、鉄筋コンクリート造とされている。また、階段30は、階段状に配列された複数の踏み面30Aを有している。この階段30は、下側スラブ10と、下側スラブ10よりも上方に配置された上側スラブ20とに斜めに架設されている。
【0026】
下側スラブ10は、鉄筋コンクリート造とされており、例えば、下階の床を形成している。この下側スラブ10は、下側梁12に支持されている。また、下側スラブ10の端部10Eは、下側梁12から跳ね出している。
【0027】
下側スラブ10の端部10Eは、例えば、階段30下の開口(吹抜け)の縁部を構成している。この下側スラブ10の端部10Eには、後述する粘弾性ダンパ40を介して、階段30の下端部30Lが水平方向に移動可能に支持されている。
【0028】
上側スラブ20は、鉄筋コンクリート造とされており、例えば、上階の床を形成している。この上側スラブ20は、上側梁22に支持されている。また、上側スラブ20の端部20Eは、上側梁22から跳ね出している。この上側スラブ20の端部20Eに、階段30の上端部30Uが支持されている。階段30の上端部30Uは、上側スラブ20の端部20Eに固定されており、上側スラブ20と一体に振動する。
【0029】
なお、下側梁12及び上側梁22は、鉄筋コンクリート造とされているが、鉄骨鉄筋コンクリート造や、鉄骨造、木造等でも良い。
【0030】
(粘弾性ダンパ)
図2に示されるように、粘弾性ダンパ40は、下側スラブ10の端部10Eの上面に設置されており、階段30の下端部30Lを支持している。この粘弾性ダンパ40は、上側ベースプレート42と、下側ベースプレート44と、粘弾性体46とを有している。
【0031】
なお、粘弾性ダンパ40は、制振装置の一例である。また、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44は、一対のベースプレートの一例である。
【0032】
上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44は、例えば、平面視にて、矩形状の鋼板等によって形成されている。また、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44は、上下方向(矢印Z方向)に互いに対向して配置されている。この上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44の間には、粘弾性体46が配置されている。
【0033】
粘弾性体46は、板状に形成されており、上側ベースプレート42と下側ベースプレート44との間に挟み込まれている。この粘弾性体46は、上側ベースプレート42の下面、及び下側ベースプレート44の上面に、加硫接着等によって接合(固定)されている。
【0034】
なお、本実施形態の粘弾性ダンパ40は、工場等において、上側ベースプレート42、下側ベースプレート44、及び粘弾性体46が予め組み立てられたユニット(制振ユニット)とされている。しかし、上側ベースプレート42、下側ベースプレート44、及び粘弾性体46は、現場において組み立てられても良い。
【0035】
下側ベースプレート44は、下側スラブ10の上面に固定されている。具体的には、下側ベースプレート44の下面には、複数のアンカー部材50が設けられている。複数のアンカー部材50は、例えば、鉄筋(アンカー鉄筋)等によって形成されている。これらのアンカー部材50は、下側ベースプレート44の下面から延出し、下側スラブ10に埋設されている。これにより、下側ベースプレート44が、下側スラブ10の上面に固定されている。
【0036】
一方、上側ベースプレート42は、階段30の下端部30Lに、上下方向(矢印Z方向)に相対移動可能に連結されている。具体的には、上側ベースプレート42の上面には、複数のシアキー52が設けられている。複数のシアキー52は、例えば、丸鋼によって形成されている。
【0037】
なお、シアキー52は、丸鋼に限らず、例えば、角鋼や鉄筋、形鋼等でも良い。
【0038】
複数のシアキー52の下端部は、上側ベースプレート42の上面に突き当てられた状態で、溶接等によって接合されている。これらシアキー52は、上側ベースプレート42の上面から上方へ突出し、階段30の下端部30Lに埋設されている。なお、階段30の下端部30Lは、コンクリート部の一例である。
【0039】
ここで、各シアキー52の外周面には、階段30の下端部30Lとの付着を抑制するコンクリート剥離剤が塗布されている。これにより、複数のシアキー52が、階段30の下端部30Lと水平方向(水平2方向)に係合可能で、かつ、階段30の下端部30Lと上下方向(矢印Z方向)に相対移動可能に連結されている。
【0040】
なお、コンクリート剥離剤は、付着抑制材の一例である。
【0041】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0042】
図2に示されるように、本実施形態によれば、下側スラブ10と階段30の下端部30Lとの間には、粘弾性ダンパ40が設けられている。粘弾性ダンパ40は、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44と、複数のシアキー52とを有している。
【0043】
上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44は、上下方向に互いに対向するとともに、粘弾性体46を介して連結されている。複数のシアキー52は、上側ベースプレート42に設けられている。
【0044】
複数のシアキー52は、上側ベースプレート42の上面から突出し、階段30の下端部30Lに埋設されている。また、各シアキー52の外周面には、コンクリート剥離剤が塗布されている。これにより、複数のシアキー52が、階段30の下端部30Lと水平方向に係合可能で、かつ、階段30の下端部30Lと上下方向に相対移動可能とされている。
【0045】
ここで、地震時に、下側スラブ10と階段30の下端部30Lとが水平方向に相対移動すると、階段30の下端部30Lとシアキー52とが水平方向に係合し、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44が水平方向に相対移動する。これにより、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44の間に介在する粘弾性体46が変形するため、振動エネルギーが吸収される。
【0046】
一方、
図3に示されるように、地震時に、下側スラブ10と階段30とが上下方向(矢印Z方向)に相対移動すると、階段30の下端部30Lからシアキー52の外周面が剥離し、階段30の下端部30Lとシアキー52とが上下方向に相対移動する。したがって、粘弾性体46の破損等が抑制される。
【0047】
また、粘弾性ダンパ40の施工時には、外周面にコンクリート剥離剤が塗布されたシアキー52を、階段30の下端部30Lに埋設することにより、シアキー52の外周面とコンクリート部との付着が抑制される。この結果、シアキー52と階段30の下端部30Lとが、水平方向に係合可能で、かつ、上下方向に相対移動可能になる。したがって、粘弾性ダンパ40の施工性が向上する。
【0048】
さらに、例えば、柱梁架構に壁型やブレース型の粘弾性ダンパを設ける場合は、粘弾性ダンパによって柱梁架構の開口が塞がれるため、建築プランや設備プランが制限される可能性がある。
【0049】
これに対して本実施形態では、下側スラブ10と階段30の下端部30Lとの間に粘弾性ダンパ40を設けることにより、柱梁架構の開口が確保されるため、建築プランや設備プランの自由度が向上する。
【0050】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0051】
上記実施形態では、付着抑制材が、シアキー52の外周面に塗布されるコンクリート剥離剤とされている。しかし、付着抑制材は、コンクリート剥離剤に限らない。例えば、
図4に示される変形例では、付着抑制材が、スリーブ60とされている。
【0052】
スリーブ60は、例えば、円筒状の金属管やビニール管とされている。また、スリーブ60の内部には、シアキー52が挿入されている。このスリーブ60によって、シアキー52の外周面が被覆されている。また、スリーブ60は、シアキー52に取り付けられた状態で、階段30の下端部30Lに埋設されており、階段30の下端部30Lに固定されている。
【0053】
ここで、地震時に、下側スラブ10と階段30の下端部30Lとが水平方向に相対移動すると、階段30の下端部30Lとシアキー52とがスリーブ60を介して水平方向に係合し、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44が水平方向に相対移動する。これにより、上側ベースプレート42及び下側ベースプレート44の間に介在する粘弾性体46が変形するため、振動エネルギーが吸収される。
【0054】
一方、地震時に、下側スラブ10と階段30とが上下方向に相対移動すると、階段30の下端部30Lに固定されたスリーブ60に対してシアキー52が抜き挿しされ、階段30の下端部30Lとシアキー52とが上下方向に相対移動する。したがって、粘弾性体46の破損等が抑制される。
【0055】
また、付着抑制手段は、シアキー52の外周面に取り付けられるとともに、階段30の下端部30Lに埋設されるゴムブッシュ等でも良い。ゴムブッシュは、例えば、二重管と、二重管の隙間に設けられ、二重管を軸方向の相対移動可能に連結するゴム(弾性体)とを有している。二重管の内側管は、その内部にシアキー52の端部が挿入された状態でシアキー52の外周面に固定される。また、二重管の外側管は、階段30の下端部30Lに埋設され、当該下端部30Lに固定される。
【0056】
これにより、地震時に、下側スラブ10と階段30とが上下方向に相対移動すると、階段30の下端部30Lに固定された二重管の外側管に対して内側管が抜き挿しされ、階段30の下端部30Lとシアキー52とが上下方向に相対移動する。したがって、粘弾性ダンパ40の粘弾性体46の破損等が抑制される。
【0057】
次に、上記実施形態では、階段30が、鉄筋コンクリート造とされている。しかし、階段30は、鉄筋コンクリート造に限らず、鉄骨造又は木造でも良い。
【0058】
例えば、
図5に示される変形例では、階段(鉄骨階段)70が、鉄骨造とされている。この階段70は、一対のささら桁72と、複数の踏板74と、フランジ76とを有している。
【0059】
フランジ76は、ささら桁72の下端部に設けられている。このフランジ76は、粘弾性ダンパ40の上側ベースプレート42の上に載置されている。また、フランジ76には、複数の係合孔78が形成されている。
【0060】
複数の係合孔78は、フランジ76を厚み方向に貫通する円形状の貫通孔とされている。これらの係合孔78には、上側ベースプレート42から上方へ突出するシアキー52が、水平方向に係合可能に、かつ、上下方向に抜き挿し可能にそれぞれ挿入されている。これにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、粘弾性ダンパ40と階段30の下端部30Lとが上下方向に相対移動可能とされている。しかし、例えば、粘弾性ダンパ40と下側スラブ10とが上下方向に相対移動可能とされても良い。つまり、階段30の下端部30L及び下側スラブ10の少なくとも一方と、粘弾性ダンパ40とが上下方向に相対移動可能であれば良い。
【0062】
また、上記実施形態では、階段30の下端部30Lが、粘弾性ダンパ40を介して下側スラブ10の上面に支持されている。しかし、例えば、階段30の上端部30Uが、粘弾性ダンパを介して、上側スラブ20の上面に支持されても良い。この場合、上側スラブ20が支持部材の一例となる。
【0063】
また、上記実施形態では、制振装置が粘弾性ダンパ40とされている。しかし、制振装置は、粘弾性ダンパ40に限らず、例えば、水平方向に変形することにより振動エネルギーを吸収する摩擦ダンパ等でも良い。
【0064】
また、支持部材は、スラブに限らず、例えば、梁や、基礎、階段の踊り場等でも良い。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10 下側スラブ(支持部材)
30 階段
30L 下端部(階段のコンクリート部)
40 粘弾性ダンパ(制振装置)
42 上側ベースプレート(ベースプレート)
44 下側ベースプレート(ベースプレート)
46 粘弾性体
52 シアキー
60 スリーブ(付着抑制材)
70 階段