(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041780
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】抗GUCY2Cキメラ抗原受容体の組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20240319BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20240319BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240319BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240319BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240319BHJP
A61K 35/17 20150101ALN20240319BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K16/40 ZNA
C07K19/00
C12N15/12
C12N15/13
C12N5/10
A61K39/395 T
A61P35/00
C07K16/28
A61K35/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】39
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217135
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2020573095の分割
【原出願日】2019-03-16
(31)【優先権主張番号】62/643,850
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】301055505
【氏名又は名称】トーマス ジェファーソン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ワルドマン,スコット
(72)【発明者】
【氏名】スヌーク,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ベイバット,トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マギー,マイケル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グアニリルシクラーゼCを発現する癌細胞を有する癌を患っている個体を治療する方法およびグアニリルシクラーゼCを発現する癌細胞を有する癌から個体を保護する方法を提供する。
【解決手段】抗GUCY2C scFvを含むタンパク質および抗GUCY2C scFvをコードする核酸分子が開示されている。ヒンジドメイン配列、膜貫通ドメイン配列およびシグナルドメイン配列に連結された抗GUCY2C scFvに連結されたシグナル配列を含むタンパク質、並びに前記タンパク質をコードする核酸分子が開示されている。そのようなタンパク質およびそのような核酸分子を含むT細胞が開示されている。T細胞を作製する方法およびGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を治療または予防するためにT細胞を使用する方法が開示されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群から選択される5F9抗GCC scFV配列を含むタンパク質。
【請求項2】
シグナル配列、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
シグナル配列、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項2に記載のタンパク質。
【請求項4】
前記シグナル配列は、GM-CSFシグナル配列、CD8アルファシグナル配列、CD8ベータシグナル配列、CD4シグナル配列、TCRアルファシグナル配列、TCRベータシグナル配列、CD3デルタシグナル配列、CD3イプシロンシグナル配列、CD3ガンマシグナル配列、CD28シグナル配列、およびBiPシグナル配列からなる群から選択される、請求項3に記載のタンパク質。
【請求項5】
前記ヒンジ領域が、CD8αヒンジ領域、IgG1-Fcヒンジ領域、IgG4-Fcヒンジ領域、およびCD28ヒンジ領域からなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記膜貫通領域が、CD8α膜貫通領域、IgG1-Fc膜貫通領域、IgG4-Fc膜貫通領域、およびCD28膜貫通領域からなる群から選択される、請求項2~5のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項7】
前記シグナル伝達ドメインは、CD28シグナル伝達ドメイン、4-1BB(CD137)シグナル伝達ドメイン、CD2シグナル伝達ドメイン、CD27シグナル伝達ドメイン、CD30シグナル伝達ドメイン、CD40Lシグナル伝達ドメイン、CD79Aシグナル伝達ドメイン、CD79Bシグナル伝達ドメイン、CD226シグナル伝達ドメイン、DR3シグナル伝達ドメイン、GITRシグナル伝達ドメイン、HVEMシグナル伝達ドメイン、ICOSシグナル伝達ドメイン、LIGHTシグナル伝達ドメイン、OX40シグナル伝達ドメイン、およびSLAMシグナル伝達ドメインからなる群から選択される、請求項2~6のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項8】
少なくとも1つの免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)をさらに含む、請求項2~7のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項9】
CD3ζ、CD79-アルファ、CD79-ベータ、またはFc受容体由来のITAMを含む細胞内配列を含む請求項8に記載のタンパク質。
【請求項10】
アフィニティタグをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項11】
CD8αヒンジドメイン、CD28膜貫通ドメイン、ならびに4-1BB細胞内配列およびCD3ζ細胞内配列を含むシグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項12】
GM-CSFシグナル配列をさらに含む、請求項11に記載のタンパク質。
【請求項13】
配列番号2を有する、請求項12に記載のタンパク質。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子。
【請求項15】
請求項12に記載のタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子。
【請求項16】
前記タンパク質をコードする核酸配列が、ヒトT細胞における発現のための調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸分子を含む組換え細胞。
【請求項18】
請求項16に記載の核酸分子を含む組換えT細胞。
【請求項19】
配列番号1を含む請求項13に記載の核酸分子。
【請求項20】
配列番号1が、ヒトT細胞における発現のための調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項19に記載の核酸分子。
【請求項21】
請求項20に記載の核酸分子を含む組換え細胞。
【請求項22】
請求項20に記載の核酸分子を含む組換えT細胞。
【請求項23】
請求項15に記載の核酸分子を含む組換え細胞。
【請求項24】
請求項15に記載の核酸分子を含む組換えT細胞。
【請求項25】
請求項1~15のいずれか一項に記載のタンパク質を含む組換え細胞。
【請求項26】
請求項1~15のいずれか一項に記載のタンパク質を含む組換えT細胞。
【請求項27】
請求項11に記載のタンパク質を含む組換え細胞。
【請求項28】
請求項11に記載のタンパク質を含む組換えT細胞。
【請求項29】
請求項13に記載のタンパク質を含む組換え細胞。
【請求項30】
請求項13に記載のタンパク質を含む組換えT細胞。
【請求項31】
GUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を有する患者を治療する方法であって、請求項17、18、および21~30のいずれか一項に記載の複数の組換え細胞を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項32】
前記複数の組換え細胞が複数の組換えT細胞である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
GUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者からT細胞を単離するステップと、前記T細胞を請求項20に記載の核酸分子で形質転換して、配列番号1を発現し、膜結合タンパク質として配列番号2を含む形質転換T細胞の集団を産生するステップと、形質転換T細胞の前記集団を増殖して、複数の形質転換T細胞を産生するステップと、前記患者に前記複数の組換えT細胞を投与するステップと、を含む、方法。
【請求項34】
前記患者から細胞を単離する前に、癌細胞のサンプルが前記患者から単離され、GUCY2Cが前記癌細胞上で検出される、請求項31または33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
リスクが高いと特定された患者においてGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を予防する方法であって、請求項17、18、および21~30のいずれか一項に記載の複数の組換え細胞を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項36】
前記複数の組換え細胞が複数の組換えT細胞である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
リスクが高いと特定された患者においてGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を予防する方法であって、前記患者からT細胞を単離するステップと、前記T細胞を請求項20に記載の核酸分子で形質転換して、配列番号1を発現し、膜結合タンパク質として配列番号2を含む形質転換T細胞の集団を産生するステップと、形質転換T細胞の前記集団を増殖して、複数の形質転換T細胞を産生するステップと、前記患者に前記複数の形質転換T細胞を投与するステップと、を含む、方法。
【請求項38】
請求項21に記載の複数の組換え細胞を作製する方法であって、個体から細胞を単離するステップと、前記細胞を、細胞内で機能する調節エレメントに作動可能に連結された配列番号2をコードする核酸分子で形質転換して、膜結合タンパク質として配列番号2を含む形質転換細胞の集団を産生するステップと、形質転換細胞の前記集団を増殖して、複数の組換え細胞を産生するステップと、を含む、方法。
【請求項39】
請求項22に記載の複数の組換えT細胞を作製する方法であって、個体からT細胞を単離するステップと、前記T細胞を、T細胞内で機能する調節エレメントに作動可能に連結された配列番号2をコードする核酸分子で形質転換して、膜結合タンパク質として配列番号2を含む形質転換T細胞の集団を産生するステップと、形質転換T細胞の前記集団を増殖して、複数の組換えT細胞を産生するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グアニリルシクラーゼCに結合するキメラ抗原受容体、およびそのようなキメラ抗原受容体をコードする核酸分子に関する。本発明はまた、そのようなキメラ抗原受容体を含む細胞、そのようなキメラ抗原受容体および細胞を作製する方法、ならびにそのような細胞を使用して、グアニリルシクラーゼCを発現する癌細胞を有する癌を患っている個体を治療する方法およびグアニリルシクラーゼCを発現する癌細胞を有する癌から個体を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞をベースとした免疫療法は、癌を治療するための新たなモダリティとなっている。CARは、細胞表面標的分子のHLA非依存性結合を提供するように機能するドメインと、様々なタイプの宿主免疫細胞、典型的には末梢血T細胞を活性化できるシグナル伝達ドメインを含む融合受容体であり、これらには、細胞毒性リンパ球、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、およびナチュラルキラー細胞(NK)またはヘルパーT細胞と呼ばれる細胞の集団を含み得る。すなわち、典型的にはT細胞に導入されるが、CARをコードする遺伝物質は、NK細胞などのT細胞ではない免疫細胞に加えられてもよい。
【0003】
グアニリルシクラーゼC(同義的にGCCまたはGUCY2Cとも呼ばれる)は、膜結合受容体であり、ホルモンリガンドであるグアニリンまたはウログアニリンによる活性化後にセカンドメッセンジャーcGMPを産生し、腸の恒常性、腫瘍形成、および肥満を調節する。GUCY2C細胞表面の発現は、腸上皮の内腔表面および視床下部ニューロンのサブセットに限定されている。その発現は、95%を超える大腸癌転移において維持され、食道癌、胃癌、口腔癌、唾液腺癌、および膵癌などの腸上皮化生から進展する腫瘍において異所的に発現する。
【0004】
分極した上皮組織の頂端膜では、GUCY2Cの細胞内制限によりGUCY2Cが到達できないことにより、腸毒性を伴うことなく、頂端-側底分極を失った結腸直腸起源の転移性病変を標的とする治療の機会となる。
【0005】
同系の免疫担当マウスモデルは、マウスGUCY2Cを標的とするCAR-T細胞が、腸毒性がない場合に肺への結腸直腸癌転移に対して有効であることを示した。同様に、抗体薬物コンジュゲートおよびワクチンなど、他のGUCY2C標的療法は、前臨床動物モデルにおいて安全であり、転移性食道癌、胃癌、膵癌、および結腸直腸癌の臨床試験において、これらのプラットフォームを利用した治療レジメンがある(NCT02202759、NCT02202785、NCT01972737)。
【0006】
これらの治療レジメンの安全性は、腸の吻側-尾側軸でのGUCY2C発現の文脈において、上皮細胞の頂端膜では多く含まれるが、側底膜では制限されている区画化されたGUCY2Cの発現を反映するものである。GUCY2Cリガンドにコンジュゲートした全身放射性標識造影剤は、腸に局在することなくGUCY2C発現転移を標的とし、これにより受容体の粘膜区画化が確認される。
【0007】
腫瘍は、通常の上皮細胞と比較して、最大10倍高い量のGUCY2Cを発現し、側底膜にGUCY2Cが少ない/存在していない腸上皮から受容体過剰発現腫瘍を区別するための定量的な治療ウィンドウを作り出し得る。
【0008】
米国特許出願公開第20120251509(A1)号および米国特許出願公開第2014-0294784(A1)号(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)は、グアニリルシクラーゼCに結合するCARなどのCAR、GUCY2Cに結合するCARを含むT細胞などのCARを含むT細胞およびGUCY2Cを含む標的細胞など、キメラ抗原受容体およびT細胞を作製する方法、ならびにGUCY2Cに結合するCARを含むT細胞およびGUCY2Cを含む標的細胞を使用して、GUCY2Cが発現する癌細胞から個体を保護するためおよび癌細胞がGUCY2Cを発現する癌に罹患している個体を治療するための方法について開示している。
【0009】
GUCY2Cが発現する癌細胞から個体を保護するため、および癌細胞がGUCY2Cを発現する癌に罹患している個体を治療するための改善された組成物および方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
抗GUCY2C scFV配列を含むタンパク質が提供される。抗GUCY2C scFV配列は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群から選択され得る。
【0011】
5F9抗GUCY2C scFV配列を含み、シグナル配列、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインをさらに含むタンパク質が提供される。
【0012】
そのようなタンパク質をコードする核酸分子が提供される。核酸分子は、ヒトT細胞などのヒト細胞においてタンパク質を発現するように機能し得る調節エレメントに作動可能に連結され得る。核酸分子は、プラスミドまたは組換えウイルスベクターなどの核酸ベクターに組み込むことができ、これらを使用して、ヒト細胞をタンパク質を発現するヒト細胞に形質転換することができる。
【0013】
核酸分子を含み、タンパク質を発現するヒト細胞が提供される。
【0014】
そのような細胞を作製する方法が提供される。
【0015】
GUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を有する患者を治療する方法、およびリスクが高いと特定された患者においてGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を予防する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】パネルA~Eは、ヒトGUCY2C特異的CAR-T細胞の生成を示す図である。
図1パネルA:組換え5F9抗体は、1μg/mLでプレーティングされたhGUCY2CECDまたはBSA(陰性対照)への特異的結合についてELISAにより評価した。二元配置分散分析;
****p<0.0001。
図1パネルB:フローサイトメトリー分析は、親CT26マウス結腸直腸癌細胞またはhGUCY2C(CT26.hGUCY2C)を発現するように操作され、5F9抗体で染色されたCT26細胞で行った。
図1パネルC:マウス配列のBiPシグナル配列、5F9 scFv、CD8αヒンジ領域、CD28の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン、4-1BB(CD137)の細胞内ドメイン、ならびにCD3ζの細胞内ドメインを含む第三世代マウスCAR構築物(5F9.m28BBz)の概略図である。CAR構築物は、MSCVレトロウイルスプラスミドpMIGのIRES-GFPマーカー上流に挿入した。
図1パネルD:対照(1D3.m28BBz)CARまたは5F9抗体由来CAR(5F9.m28BBz)を含むレトロウイルスにより形質導入されたマウスCD8+T細胞は、精製された6xHis-hGUCY2CECD(10μg/mL)で標識し、抗5xHis-Alexa Fluor 647コンジュゲートにより検出した。フロープロットは、生存CD8+細胞でゲーティングした。
図1パネルE:生存CD8+GFP+細胞でゲーティングした、5F9由来または対照(1D3)CARの6xHis-hGUCY2CECD結合曲線(
図5のデータを参照)。3つの独立した実験から組み合わせた。
【
図2】パネルA~E。hGUCY2C特異的CARによる、抗原依存性T細胞の活性化およびエフェクター機能の媒介を示す図である。
図2のパネルA~Eでは、マウスCD8+T細胞を非形質導入(なし)のままにするか、示されているように対照1D3.m28BBzまたは5F9.m28BBz CAR構築物により形質導入した。
図2パネルA:
図2パネルB~Dのすべての分析のゲーティング戦略を示す図である。
図2パネルB:CD45RAおよびCD62Lに基づく代表的なCAR-T細胞表現型プロットを示す図である。二元配置分散分析;NS:有意でない。バー:2~3回の独立した実験からの平均±SD。Tn/scm:ナイーブまたはTメモリー幹細胞。Tcm:セントラルメモリーT細胞;Tem:エフェクターメモリーT細胞;Temra:CD45RAを発現するエフェクターメモリーT細胞。(C~D)10
6のCAR-T細胞を、プレートコーティングされた抗原(BSAもしくはhGUCY2C)またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により、6時間刺激した。次に、T細胞活性化マーカー(CD25、CD69、またはCD44)および細胞内サイトカイン産生(IFNγ、TNFα、IL2、およびMIP1α)をフローサイトメトリーによって定量化した。グラフは、平均±SDを示している。
図2のパネルCは、活性化マーカーのアップレギュレーション(MFI)を示し、
図2のパネルDは、3回の独立した実験からの多機能サイトカイン産生(CAR+細胞の%)を示す。
図2パネルE:E-Plate内の親CT26またはCT26.hGUCY2Cマウス結腸直腸癌細胞を、CAR-T細胞(E:T比5:1)、培地、または10%Triton-X 100(Triton)により治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに10時間定量化して、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。二元配置分散分析、B~E;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図3】パネルA~E。hGUCY2C CAR-T細胞が、同系の肺転移モデルにおいて長期的な保護をもたらすことを示す図である。
図3のパネルA~Eでは、BALB/cマウスに5x10
5CT26.hGUCY2C細胞を尾静脈から注射して、肺転移を確立した。対照(4D5.m28BBz)または5F9.m28BBz CAR構築物をマウスCD8+T細胞に形質導入した。
図3パネルA:マウスを3日後に5Gy全身照射(TBI)で治療した後、10
6~10
75F9.m28BBz(N=7~8/群)または10
7対照(N=6)CART細胞で治療した。
図3パネルB:マウスを3日目(D3)または7日目(D7)に5Gy TBIで治療した後、10
7の対照(N=10/群)または5F9.m28BBz(N=9~10/群)CAR-T細胞で治療した。
図3パネルC:マウスを7日目に5Gy TBIで治療した後、7日目および14日目に10
7の対照(N=10)または5F9.m28BBz(N=12)CAR-T細胞で治療した。
図3パネルD:7日目に5Gy TBIおよびPBS、または10
7対照または5F9.m28BBz CAR-T細胞で治療したマウスを、18日目に屠殺し、肺を墨汁で染色し、腫瘍/肺を数えた。一元配置分散分析;*p<0.05。
図3パネルE:5F9.m28BBz CAR-T細胞で治療されたBおよびCの生存マウス、またはナイーブマウスを5x10
5CT26(N=4~7/群)またはCT26.hGUCY2C(N=7/群)細胞でチャレンジした。再チャレンジは、最初のチャレンジの16~40週間後に行った。ログランクマンテル・コックス検定、
図3パネルA~CおよびE;**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。上向き矢印は、CAR-T細胞の治療日を示している。各パネルは、独立した実験を示している。
【
図4】パネルA~E。hGUCY2C CAR-T細胞により、ヒト結腸直腸腫瘍異種移植片が消失することを示す図である。
図4パネルA:T84ヒト結腸直腸癌細胞でのhGUCY2Cの発現は、組換え5F9抗体を使用したフローサイトメトリーによって定量化した。
図4のパネルB~Eでは、対照(1D3.m28BBz)または5F9.m28BBz CAR構築物をマウスCD8+T細胞に形質導入した。
図4パネルB:E-Plate内のT84結腸直腸癌細胞を、5F9-m28BBzまたは対照CAR-T細胞(E:T比5:1)、培地、または10%Triton-X 100(Triton)で2回治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに20時間測定して、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。二元配置分散分析;**p<0.01;2つの独立した実験の代表値。
図4パネルC~Eでは、免疫不全NSGマウスに2.5x10
6ルシフェラーゼ発現T84結腸直腸癌細胞を腹腔内注射で注射し、14日目に腹腔内注射により、10
7の対照(N=5)または5F9-m28BBz(N=4)CAR-T細胞で治療した。
図4のパネルC~Dでは、総腫瘍発光(光子/秒)をT細胞注入の直前およびその後毎週定量化した。二元配置分散分析;*p<0.05。
図4パネルE:生存に関して、マウスを追跡した。ログランクマンテル・コックス検定;*p<0.05。
【
図5】5F9.m28BBz CARの表面発現の検出を示す図である。対照m28BBz CARまたは5F9抗体由来のCAR(5F9.m28BBz)をIRES-GFPマーカーの上流に含むレトロウイルスにより形質導入されたマウスCD8+T細胞を、精製6xHishGUCY2CECD(0~1430nM)により標識し、α5xHis-Alexa-647コンジュゲートにより検出した。フロープロットは、生存CD8+細胞でゲーティングした。
【
図6】hGUCY2C発現マウス結腸直腸癌細胞により、5F9.m28BBz CAR-T細胞が活性化することを示す図である。10
6のCAR-T細胞を、10
6の親CT26、CT26.hGUCY2C結腸直腸癌細胞、またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により、6時間刺激した。T細胞活性化マーカー(CD25、CD69、またはCD44)はフローサイトメトリーによって定量化した。
【
図7】パネルAおよびB。hGUCY2C発現マウス結腸直腸癌細胞が、5F9.m28BBz CAR-T細胞のサイトカイン産生を誘導することを示す図である。10
6のCAR-T細胞をプレートコーティングされた抗原により6時間刺激した。
図7パネルAは、BSA、hGUCY2C、ならびにPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)のデータを示す。
図7パネルBは、10
6の親CT26またはCT26.hGUCY2C結腸直腸癌細胞またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)のデータを示す。細胞内サイトカイン産生(IFNγ、TNFα、IL-2またはMIP1α)はフローサイトメトリーによって定量化した。
【
図8】パネルAおよびB。5F9.m28BBz CAR-T細胞が、hGUCY2Cを発現するマウス結腸直腸癌細胞を死滅させることを示す図である。β-ガラクトシダーゼ発現CT26(
図8パネルAのデータ)またはCT26.hGUCY2C(
図8パネルBのデータ)マウス結腸直腸癌細胞を、様々なエフェクターCAR-T細胞:標的癌細胞比(E:T比)で4時間培養した。特異的溶解は、発光基質によって検出された上清へのβ-ガラクトシダーゼ放出によって決定した。****、p<0.0001(二元配置分散分析)。
【
図9】パネルAおよびB。5F9.m28BBz CAR-T細胞が、hGUCY2C欠損ヒト結腸直腸腫瘍を死滅させないことを示す図である。
図9パネルA:SW480ヒト結腸直腸癌細胞でのhGUCY2Cの発現は、組換え5F9抗体を使用したフローサイトメトリーによって定量化した。
図9パネルB:E-Plate内のSW480細胞を、5F9.m28BBzまたは対照1D3.m28BBz CAR T細胞、培地、または2.5%Triton-X 100(Triton)により治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに20時間定量化して、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。
【
図10】パネルA~C。5F9.h28BBz CARを発現するヒトT細胞が、GUCY2C発現結腸直腸癌細胞を認識して死滅させることを示す図である。
図10パネルA:ヒト5F9 CAR構築物(5F9.h28BBz)発現CAR-T細胞を、プレートコーティングされた抗原(BSAまたはhGUCY2C)またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により、6時間刺激した。次に、T細胞活性化マーカーCD69および細胞内サイトカイン(IFNγ、TNFα、およびIL-2)をフローサイトメトリーで定量化した。
図10のパネルB~Cのデータを参照すると、E-Plate内で培養した親(CT26)、ヒトGUCY2C発現CT26(CT26.hGUCY2C)マウス結腸直腸癌細胞(データは、
図10パネルBに示す)、またはT84ヒト結腸直腸癌細胞(データは、
図10パネルCに示す)を対照または5F9.h28BBz CAR-T細胞(E:T比10:1)、培地、または2.5%Triton-X 100により治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに定量化し、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。***、p<0.001(二元配置分散分析)。
【
図11】パネルAおよびB。5F9.m28BBz CAR-T細胞が、mGUCY2Cを発現するマウス結腸直腸癌細胞を死滅させないことを示す図である。β-ガラクトシダーゼおよびマウスGUCY2C(
図11パネルA;CT26.mGUCY2C)またはヒトGUCY2C(
図11パネルB;CT26.hGUCY2C)を発現するCT26細胞を、様々なエフェクターCAR-T細胞:標的癌細胞の比(E:T比)の範囲で4時間培養した。特異的溶解は、発光基質によって検出された上清へのβ-ガラクトシダーゼ放出によって決定した。****、p<0.0001(二元配置分散分析)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインに結合する一本鎖タンパク質配列は、ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインに結合する抗GUCY2C抗体の可変軽鎖および可変重鎖の断片を使用して生成した。リンカー配列により、可変軽鎖断片を可変重鎖断片に接続して、ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインに結合する一本鎖抗体可変断片融合タンパク質配列(scFv)にする。
【0018】
scFvは、より大きい融合タンパク質であるCARの構成要素である。CARの機能構成要素としては、免疫グロブリン由来の抗原結合ドメイン、抗体配列、すなわちsvFv(ヒトGUCY2Cに結合する)、発現する細胞の細胞膜にタンパク質を固定する膜貫通ドメインにscFVを連結させるヒンジドメイン、およびヒトGUCY2CへのscFv結合時に細胞を活性化するシグナル伝達細胞内配列(細胞質配列とも呼ばれる)として機能するシグナルドメインが挙げられる。CARをコードする核酸配列には、翻訳されたCARの細胞膜への輸送を容易にする細胞タンパク質由来のシグナルペプチドをコードする配列を含む。CARを発現する組換え細胞は、抗体によって指定される標的、すなわちGUCY2Cを提示する細胞に結合し、かつ組換え細胞傷害性リンパ球、組換え細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、組換えナチュラルキラーT細胞(NKT)、および組換えナチュラルキラー細胞(NK)の場合、死滅させるように、CARにより指示される。CARは、発現したときに、細胞表面に輸送され、シグナルペプチドは、典型的には除去される。成熟したCARは、細胞受容体として機能する。scFvおよびヒンジドメインは、細胞表面に提示され、ここで、scFv配列は、他の細胞上のタンパク質に曝され得、これらの細胞上のGUCY2Cに結合する。膜貫通領域では、細胞膜にCARを固定し、細胞内配列は、シグナルドメインとして機能して、細胞内にシグナルを伝達し、その結果、CAR発現細胞が結合しているGUCY2C発現細胞の死をもたらす。
【0019】
いくつかの実施形態では、CARは、例えば、哺乳動物または合成シグナル配列などのシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、例えば、哺乳動物の膜結合タンパク質などの膜結合タンパク質由来のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD8アルファ、CD8ベータ、CD4、TCRアルファ、TCRベータ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD28、およびBiPなどの膜結合タンパク質由来のシグナル配列を含む。シグナル配列の例はまた、あらゆる哺乳動物の膜結合シグナル配列内で見られ得る<http://www.signalpeptide.de/index.php?m=listspdb_mammalia>。いくつかの実施形態では、CARは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸1~22を有する顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列は、配列番号2のアミノ酸1~22を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列は、本質的に配列番号2のアミノ酸1~22からなる。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列は、配列番号2のアミノ酸1~22からなる。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列を含むCARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1の核酸1~66を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列をコードする核酸配列は、配列番号1の核酸1~66を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1の核酸1~66からなる。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列をコードする核酸配列は、配列番号1の核酸1~66からなる。
【0020】
抗GUCY2C結合ドメインは、MHCに依存しない一本鎖キメラ受容体として提供される。抗原結合ドメインは、抗体に由来する。いくつかの実施形態では、CARは、5F9由来の抗グアニリルシクラーゼC(GCCまたはGUCY2Cとも称される)一本鎖可変断片(scFv)(好ましくは、可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)を含む。5F9は、ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインを認識する完全ヒト化モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマである。抗体の重鎖および軽鎖のDNAコード配列を使用して、CAR実装用の新規scFvを作製した。これは、例えば5F9-28BBz CARなどの抗GCC CARの作製に使用され、これによりGUCY2C分子に対して向けられた抗原特異性が付与される。
【0021】
いくつかの実施形態では、5F9-28BBz CARなどの抗GCC scFvは、5F9一本鎖可変断片(scFv)(可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)であってもよい。5F9 scFvは、配列番号2のアミノ酸25~274を含んでもよい。いくつかの実施形態では、5F9 scFvを含むCARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド73~822を含む。いくつかの実施形態では、CARは、抗GCC 5F9 scFvを含む。配列番号2のアミノ酸25~133は、5F9可変軽鎖断片に対応する。配列番号2のアミノ酸154~274は、5F9可変重鎖断片に対応する。いくつかの実施形態では、CARは、(グリシン4セリン)nリンカー((グリシン4セリン)=GGGGS(配列番号3)およびn=2~5)により互いに結合された5F9可変軽断片および5F9可変重断片に対応する抗GCC 5F9一本鎖可変断片(scFv)を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、リンカーは、2つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)2)を含み、リンカーG4S-2(配列番号4)として称され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、3つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)3)を含み、リンカーG4S-3(配列番号5)として称され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、4つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)4)を含み、リンカーG4S-4(配列番号6)として称され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、5つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)5)を含み、リンカーG4S-5(配列番号7)として称され得る。
【0023】
5F9可変断片は、可変軽鎖断片-リンカー-可変重鎖断片または可変重鎖断片-リンカー-可変軽鎖断片の順序でN末端からC末端まで構成され得る。いくつかの実施形態では、CARは、[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)2-5F9可変重鎖断片](配列番号8)、[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)3-5F9可変重鎖断片](配列番号9)、[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)4-5F9可変重鎖断片](配列番号10)、または[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)5-5F9可変重鎖断片](配列番号11)として構成されている抗GCC 5F9 scFvを含む。いくつかの実施形態では、CARは、[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)2-5F9可変軽鎖断片](配列番号12)、[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)3-5F9可変軽鎖断片](配列番号13)、[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)4-5F9可変軽鎖断片](配列番号14)、または[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)5-5F9可変軽鎖断片(配列番号15)として構成されている抗GCC 5F9 scFvを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸25~274を有する抗GCC 5F9 scFvを含む。いくつかの実施形態では、5F9 scFvは、配列番号2のアミノ酸25~274を含む。いくつかの実施形態では、5F9 scFvは、本質的に配列番号2のアミノ酸25~274からなる。いくつかの実施形態では、5F9 scFvは、配列番号2のアミノ酸25~274からなる。いくつかの実施形態では、5F9 scFvをコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド73~822を含む。いくつかの実施形態では、5F9 scFvをコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド73~822からなる。いくつかの実施形態では、5F9 scFvをコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド73~822からなる。
【0025】
いくつかの実施形態では、CARは、CD8α、IgG1-Fc、IgG4-Fc、またはCD28ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD8αヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸277~336を有するCD8αヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、配列番号2のアミノ酸277~336を含む。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、本質的に配列番号2のアミノ酸277~336からなる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、配列番号2のアミノ酸277~336からなる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド829~1008を含む。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド829~1008からなる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド829~1008からなる。
【0026】
いくつかの実施形態では、CARは、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAM膜貫通領域を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、CARは、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAM細胞内領域を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、CARは、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAMの膜貫通および細胞内(細胞質)配列を両方とも含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD28膜貫通配列および細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸337~405を有するCD28膜貫通配列および細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通配列および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、本質的に配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、本質的に、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、CARは、CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖およびCD79-ベータ鎖、または特定のFc受容体由来の細胞内(細胞質)配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、CARは、a)CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAM細胞内領域の1つ以上由来の細胞内(細胞質)配列と、b)CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖およびCD79-ベータ鎖、または特定のFc受容体由来の細胞内(細胞質)配列との組み合わせを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζ細胞内配列と組み合わせた4-1BB細胞内配列と共にCD28膜貫通および細胞内配列を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸337~405を有するCD28膜貫通配列および細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通配列および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、本質的に配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、本質的に、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、CARは、4-1BB細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸406~444を有する4-1BB細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸406~444を含む4-1BB細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内配列は、本質的に、配列番号2のアミノ酸406~444からなる。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸406~444からなる。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1216~1332を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド1216~1332からなる。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1216~1332からなる。
【0034】
いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも1つの免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、ITAMを含む細胞シグナル伝達分子由来の配列を含む。典型的には、3つのITAMがこのような配列内に存在する。ITAMを含む細胞シグナル伝達分子の例としては、CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖および-ベータ鎖、ならびに特定のFc受容体が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζなどの細胞シグナル伝達分子、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖および-ベータ鎖、ならびにITAMを含む特定のFc受容体由来の配列を含む。CARに含まれる配列は、1つ以上のITAMを含むこうした分子由来の細胞内配列である。ITAMは、4つのアミノ酸の保存配列であり、免疫系の特定の細胞表面タンパク質の細胞質尾部において2回繰り返されている。ITAMの4つのアミノ配列の保存配列は、任意の他の2つのアミノ酸(Xが独立して任意のアミノ酸配列であるYXXLまたはYXXI)によってロイシンまたはイソロイシンから分離されたチロシンを含む。ITAMは、約6~8個のアミノ酸で分離された2つの4つのアミノ酸の保存配列を有する、典型的には14~16個のアミノ酸の配列を含む。CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)は、3つのITAMを含む。配列番号2のアミノ酸445~557は、CD3ζ細胞内配列である。ITAMは、アミノ酸465~479、504~519および535~549に位置する。いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζ細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸445~557を有するCD3ζ細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内配列は、配列番号2の445~557を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内配列は、本質的に配列番号2の445~557からなる。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内配列は、配列番号2の445~557からなる。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1333~1671を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド1333~1671からなる。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1333~1671からなる。
【0035】
いくつかの実施形態では、CARは、免疫グロブリン由来の抗原結合ドメイン、抗体配列(GUCY2Cに結合する)を含み得、抗体配列は、T細胞受容体のCD3ゼータシグナル伝達鎖などのT細胞シグナル伝達ドメインに、あるいはCD3ゼータ鎖などのT細胞鎖またはIg Fc受容体複合体のガンマシグナル伝達サブユニットに連結されたT細胞共刺激シグナル伝達(例えばCD28)ドメインに融合している。
【0036】
CARのシグナル伝達ドメインは、TCRに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD3ゼータ鎖またはCD3ゼータ鎖に連結されたCD28シグナルドメインなどの膜貫通および細胞質シグナル伝達ドメインに融合した、抗原結合機能をもたらす抗体可変領域の細胞外一本鎖断片を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、スペーサーまたはヒンジによって抗原結合ドメインに連結されている。抗体可変領域の断片がGUCY2Cに結合したときに、シグナル伝達ドメインが免疫細胞の活性化を開始する。これらの組換えT細胞は、細胞外抗GUCY2C結合ドメイン、およびリンパ球を刺激するシグナル伝達機能を実行するTCRに由来する細胞内ドメインを含む、膜結合キメラ受容体を発現する。いくつかの実施形態は、抗GUCY2C抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の抗GUCY2C結合領域を含む一本鎖可変断片(scFv)である抗GUCY2C結合ドメインを提供する。シグナル伝達ドメインには、T細胞共刺激シグナル伝達(例えば、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、SLAM)ドメインおよびT細胞トリガー鎖(例えば、CD3ゼータ)を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、CARはアフィニティタグを含む。このようなアフィニティタグの例としては、Strep-Tag;Strep-TagII;Poly(His);HA;V5;およびFLAGタグが挙げられる。いくつかの実施形態では、アフィニティタグは、scFvの前、またはscFvとヒンジ領域との間、またはヒンジ領域の後に位置し得る。いくつかの実施形態では、アフィニティタグは、Strep-Tag、Strep-TagII、Poly(His)、HA;V5、およびFLAGタグから選択され、scFvの前、またはscFvとヒンジ領域との間、またはヒンジ領域の後に位置する。
【0038】
いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端にかけて、シグナル配列、5F9一本鎖可変断片(scFv)である抗GCC scFv、ヒンジ領域、1つ以上のタンパク質由来の膜貫通領域および細胞内配列、ならびに細胞内配列および免疫受容体チロシン活性化モチーフと、任意によりアフィニティタグとを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端にかけて、GM-CSF、CD8アルファ、CD8ベータ、CD4、TCRアルファ、TCRベータ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD28、BiPから選択される、シグナル配列と、(可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変重鎖断片)および(可変重鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変軽鎖断片)から選択される5F9一本鎖可変断片(scFv)である、抗GCC scFvと、CD8α、IgG1-Fc、IgG4-FcおよびCD28ヒンジ領域から選択される、ヒンジ領域と、CD8α、IgG1-Fc、IgG4-FcおよびCD28膜貫通領域から選択される、膜貫通領域と、CD284-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、SLAM細胞内配列から選択される、細胞内配列と、1つ以上のITAMを含む、CD3ζ、CD79-アルファ、CD79-ベータ、およびFc受容体細胞内配列から選択される配列を含む、免疫受容体チロシン活性化モチーフと、Strep-Tag、Strep-TagII、Poly(His)、HA;V5、およびFLAGタグから選択される、任意のアフィニティタグとが連結され、含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端にかけて、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列、[可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変重鎖断片]または[可変重鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変軽鎖断片]から選択される5F9一本鎖可変断片(scFv)である抗GCC scFv、CD8α、CD28、IgG1-Fc、またはIgG4-Fcヒンジ領域、CD8αまたはCD28膜貫通および細胞内配列、4-1BB細胞内配列ならびにCD3ζ細胞内配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、CARは、本質的に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列、5F9一本鎖可変断片(scFv)(可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)である抗GCC scFv、CD8αヒンジ領域、CD28膜貫通および細胞内配列、4-1BB細胞内配列ならびにCD3ζ細胞内配列からなる。
【0042】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸1~22、25~274、277~336、337~405、406~444および445~557を含む。いくつかの実施形態では、CARは、本質的に配列番号2のアミノ酸1~22、25~274、277~336、337~405、406~444および445~557からなる。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸1~22、25~274、277~336、337~405、406~444および445~557からなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1~66、73~822、829~1008、1009~1215、1216~1332および1333~1671を含む。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド1~66、73~822、829~1008、1009~1215、1216~1332および1333~1671からなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1~66、73~822、829~1008、1009~1215、1216~1332および1333~1671からなる。いくつかの実施形態では、これらの配列は、ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに連結されている。いくつかの実施形態では、ヒトT細胞などのヒト細胞は、コード配列の発現に必要な調節エレメントに連結された配列により形質転換される。
【0043】
いくつかの実施形態では、CARは、新規DNA配列GM.5F9(VL-(G4S)4-VH)-CD8a-CD28tm.ICD-4-1BB-CD3z.stop(5F9-28BBz-配列番号1)によってコードされ、これは、Tリンパ球によって発現され、ヒトグアニリルシクラーゼC(GUCY2C)発現悪性腫瘍の治療用処置のために注入され得る合成受容体である。GM.5F9(VL-(G4S)4-VH)-CD8a-CD28tm.ICD-4-1BB-CD3z.stopは、配列番号2をコードする。5F9-28BBzは、このように連結されたヒトDNAコード配列を含む:(1)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列、(2)5F9一本鎖可変断片(scFv)(可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)、(3)CD8αヒンジ領域、(4)CD28膜貫通ドメイン、(5)CD28細胞内ドメイン、(6)4-1BB細胞内ドメイン、および(7)CD3ζ細胞内ドメイン。CARは、5F9-28BBzと称する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2を含む。いくつかの実施形態では、CARは、本質的に配列番号2からなる。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2からなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1を含むヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、本質的には配列番号1からなるヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1からなるヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、これらの配列は、ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに連結されている。いくつかの実施形態では、ヒトT細胞などのヒト細胞は、コード配列の発現に必要な調節エレメントに連結された配列により形質転換される。
【0044】
いくつかの実施形態では、5F9-28BBz-配列番号1は、ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに連結されている。ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントとしては、プロモーター、ポリアデニル化部位、および5’および3’非翻訳領域内の他の配列を挙げることができる。いくつかの実施形態では、配列番号1は、pVAXなどのプラスミドなどの発現ベクター、もしくはレンチウイルスベクターなどのレトロウイルス発現ベクター、もしくは組換えアデノウイルス、組換えAAV、もしくは組換えワクシニアウイルスなどの組換えDNAウイルスベクター内に、またはCRISPR/Cas9、TALEN、もしくは他のトランスポゾン技術で使用される二本鎖DNAとして、またはメッセンジャーRNAとして挿入される。
【0045】
いくつかの実施形態では、CARコード配列は、CD4+およびCD8+などのT細胞、インバリアントナチュラルキラーT細胞、ガンマ-デルタT細胞、ナチュラルキラー細胞、および末梢リンパ球由来のCD34+造血幹細胞などの骨髄細胞などの細胞に、ルーチンのin vitro遺伝子導入技術およびレトロウイルスベクターなどの材料を使用して、ex vivoで導入される。遺伝子導入後、組換え細胞を培養して、患者に投与される組換え細胞の数を増やす。組換え細胞は、細胞外抗体由来の抗原結合ドメインによって認識される抗原を提示する細胞を認識し、その細胞に結合する。改変後、細胞をex vivoで増殖させて、患者に投与される多数のこれらの細胞を得ることが記載されている。上記のとおり、自己とは、細胞のドナーとレシピエントが同じヒトであることを指す。同種とは、細胞のドナーとレシピエントが異なるヒトであることを指す。ex vivo培養による抗原特異的T細胞の集団の単離および増殖に加えて、サイトカインなどのタンパク質、例えばIL-2、IL-7、およびIL-15をコードする遺伝物質をそれらに追加することにより、集団を単離した後、増殖させる前にT細胞が改変され得る。
【0046】
GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する複数のT細胞は、細胞ドナーからT細胞を単離し、それを抗GUCY2C CARをコードする核酸分子で形質転換し、形質転換細胞を培養して、形質転換T細胞の数を指数関数的に増殖させて、複数のこうした細胞を産生することにより、得ることができる。
【0047】
細胞ドナーは、増殖させた細胞集団が投与される個体、すなわち自己細胞ドナーであり得る。あるいは、T細胞は、T細胞が投与される個体、すなわち同種T細胞とは異なる個体である細胞ドナーから得られてもよい。同種T細胞が使用される場合、細胞ドナーがタイプマッチングされることが好ましく、それはレシピエントと同じかまたはほぼ同じ白血球抗原のセットを発現するものとして識別される。
【0048】
T細胞は、例えば、血液画分、特に末梢血単球細胞成分から、または骨髄サンプルからの単離など、ルーチン方法によって細胞ドナーから得ることができる。
【0049】
T細胞が細胞ドナーから得られると、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープに結合する抗体の機能的結合断片およびT細胞などの細胞で発現したときにタンパク質を膜結合タンパク質にする部分を含む抗GUCY2C CARをコードする核酸により1つ以上のT細胞を形質転換させ得る。
【0050】
抗GUCY2C CARをコードする核酸分子は、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するB細胞を、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するこうしたB細胞を有する「抗体遺伝子ドナー」から単離することにより得ることができる。こうした抗体遺伝子ドナーは、ワクチン接種以外による免疫原への曝露から生じる免疫応答により、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するB細胞を有し得るか、またはこうした抗体遺伝子ドナーは、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するB細胞の産生を誘導するワクチンを受けたもの、すなわち、ワクチン接種された抗体遺伝的ドナーとして同定され得る。ワクチン接種された抗体遺伝的ドナーは、抗GUCY2C CARをコードする核酸分子でT細胞を形質転換すること、細胞数を増やすこと、および形質転換T細胞を増殖させた集団を個体に投与することを含む方法において使用するために、以前にワクチン接種されている可能性があるか、または特に、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するこうしたB細胞を生成する取り組みの一部としてワクチンを投与してもよい。
【0051】
抗体遺伝子ドナーは、形質転換T細胞のレシピエントになる個体であっても、形質転換T細胞のレシピエントになる個体とは異なる個体であってもよい。抗体遺伝子ドナーは、細胞ドナーと同じ個体であってもよく、または抗体遺伝子ドナーは、細胞ドナーとは異なる個体であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞ドナーは、形質転換T細胞のレシピエントであり、抗体遺伝子ドナーは、異なる個体である。いくつかの実施形態では、細胞ドナーは、抗体遺伝子ドナーと同じ個体であり、形質転換T細胞のレシピエントとは異なる個体である。いくつかの実施形態では、細胞ドナーは、抗体遺伝子ドナーと同じ個体であり、形質転換T細胞のレシピエントと同じ個体である。
【0052】
抗GUCY2C CARをコードする核酸分子は、発現したタンパク質が膜結合タンパク質となるようにするタンパク質配列に連結されたGUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体の機能的結合断片をコードするコード配列を含む。コード配列は、発現される単一の産物をコードするように連結されている。
【0053】
GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体の機能的結合断片をコードするコード配列は、抗体遺伝子ドナー由来のB細胞から単離してもよい。こうしたB細胞を入手し、遺伝情報を単離してもよい。いくつかの実施形態では、B細胞は、抗体を発現し、したがって抗体コード配列を保有しているハイブリッド細胞を生成するために使用される。抗体コード配列を決定して、これをクローン化し、abnti-GUCY2C CARの作製に使用してもよい。GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体の機能的結合断片は、形質転換T細胞において発現したときにGUCY2Cの少なくとも1つのエピトープに対するその結合活性を保持する抗体タンパク質の一部またはすべてを含み得る。
【0054】
発現したタンパク質が膜結合タンパク質となるようにするタンパク質配列のコード配列は、膜結合細胞タンパク質由来のものであってもよく、膜貫通ドメイン、および任意により、細胞質ドメインの少なくとも一部、および/または細胞外ドメインの一部、および発現したタンパク質を細胞膜に転位させるためのシグナル配列を含む。
【0055】
抗GUCY2C CARをコードする核酸分子、すなわち抗GUCY2C CARコード配列は、DNAまたはRNAであり得る。本発明は、グアニリルシクラーゼCに結合するキメラ抗原受容体およびそのようなキメラ抗原受容体をコードする核酸分子に関する。本発明はまた、そのようなキメラ抗原受容体を含む細胞、そのようなキメラ抗原受容体および細胞を作製する方法、ならびにそのような細胞を使用して、グアニリルシクラーゼCを発現する癌細胞を有する癌を患っている個体を治療する方法およびグアニリルシクラーゼCを発現する癌細胞を有する癌から個体を保護する方法に関する。
【0056】
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞をベースとした免疫療法は、癌を治療するための新たなモダリティとなっている。CARは、細胞表面標的分子のHLA非依存性結合を提供するように機能するドメインと、様々なタイプの宿主免疫細胞、典型的には末梢血T細胞を活性化できるシグナル伝達ドメインを含む融合受容体であり、これらには、細胞毒性リンパ球、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、およびナチュラルキラー細胞(NK)またはヘルパーT細胞と呼ばれる細胞の集団を含み得る。すなわち、典型的にはT細胞に導入されるが、CARをコードする遺伝物質は、NK細胞などのT細胞ではない免疫細胞に加えられてもよい。
【0057】
グアニリルシクラーゼC(同義的にGCCまたはGUCY2Cとも呼ばれる)は、膜結合受容体であり、ホルモンリガンドであるグアニリンまたはウログアニリンによる活性化後にセカンドメッセンジャーcGMPを産生し、腸の恒常性、腫瘍形成、および肥満を調節する。GUCY2C細胞表面の発現は、腸上皮の内腔表面および視床下部ニューロンのサブセットに限定されている。その発現は、95%を超える大腸癌転移において維持され、食道癌、胃癌、口腔癌、唾液腺癌、および膵癌などの腸上皮化生から進展する腫瘍において異所的に発現する。
【0058】
分極した上皮組織の頂端膜では、GUCY2Cの細胞内制限によりGUCY2Cが到達できないことにより、腸毒性を伴うことなく、頂端-側底分極を失った結腸直腸起源の転移性病変を標的とする治療の機会となる。
【0059】
同系の免疫担当マウスモデルは、マウスGUCY2Cを標的とするCAR-T細胞が、腸毒性がない場合に肺への結腸直腸癌転移に対して有効であることを示した。同様に、抗体薬物コンジュゲートおよびワクチンなど、他のGUCY2C標的療法は、前臨床動物モデルにおいて安全であり、転移性食道癌、胃癌、膵癌、および結腸直腸癌の臨床試験において、これらのプラットフォームを利用した治療レジメンがある(NCT02202759、NCT02202785、NCT01972737)。
【0060】
これらの治療レジメンの安全性は、腸の吻側-尾側軸でのGUCY2C発現の文脈において、上皮細胞の頂端膜では多く含まれるが、側底膜では制限されている区画化されたGUCY2Cの発現を反映するものである。GUCY2Cリガンドにコンジュゲートした全身放射性標識造影剤は、腸に局在することなくGUCY2C発現転移を標的とし、これにより受容体の粘膜区画化が確認される。
【0061】
腫瘍は、通常の上皮細胞と比較して、最大10倍高い量のGUCY2Cを発現し、側底膜にGUCY2Cが少ない/存在していない腸上皮から受容体過剰発現腫瘍を区別するための定量的な治療ウィンドウを作り出し得る。
【0062】
米国特許出願公開第20120251509(A1)号および米国特許出願公開第2014-0294784(A1)号(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)は、グアニリルシクラーゼCに結合するCARなどのCAR、GUCY2Cに結合するCARを含むT細胞などのCARを含むT細胞およびGUCY2Cを含む標的細胞など、キメラ抗原受容体およびT細胞を作製する方法、ならびにGUCY2Cに結合するCARを含むT細胞およびGUCY2Cを含む標的細胞を使用して、GUCY2Cが発現する癌細胞から個体を保護するためおよび癌細胞がGUCY2Cを発現する癌に罹患している個体を治療するための方法について開示している。
【0063】
GUCY2Cが発現する癌細胞から個体を保護するため、および癌細胞がGUCY2Cを発現する癌に罹患している個体を治療するための改善された組成物および方法が依然として必要とされている。
【0064】
抗GUCY2C scFV配列を含むタンパク質が提供される。抗GUCY2C scFV配列は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群から選択され得る。
【0065】
5F9抗GUCY2C scFV配列を含み、シグナル配列、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインをさらに含むタンパク質が提供される。
【0066】
そのようなタンパク質をコードする核酸分子が提供される。核酸分子は、ヒトT細胞などのヒト細胞においてタンパク質を発現するように機能し得る調節エレメントに作動可能に連結され得る。核酸分子は、プラスミドまたは組換えウイルスベクターなどの核酸ベクターに組み込むことができ、これらを使用して、ヒト細胞をタンパク質を発現するヒト細胞に形質転換することができる。
【0067】
核酸分子を含み、タンパク質を発現するヒト細胞が提供される。
【0068】
そのような細胞を作製する方法が提供される。
【0069】
GUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を有する患者を治療する方法、およびリスクが高いと特定された患者においてGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌を予防する方法が提供される。
【0070】
図1のパネルA~E。ヒトGUCY2C特異的CAR-T細胞の生成。(
図1パネルA)組換え5F9抗体は、1μg/mLでプレーティングされたhGUCY2CECDまたはBSA(陰性対照)への特異的結合についてELISAにより評価した。二元配置分散分析;****p<0.0001。(
図1パネルB)フローサイトメトリー分析は、親CT26マウス結腸直腸癌細胞またはhGUCY2C(CT26.hGUCY2C)を発現するように操作され、5F9抗体で染色されたCT26細胞で行った。(
図1パネルC)マウス配列のBiPシグナル配列、5F9 scFv、CD8αヒンジ領域、CD28の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン、4-1BB(CD137)の細胞内ドメイン、ならびにCD3ζの細胞内ドメインを含む第三世代マウスCAR構築物(5F9.m28BBz)の概略図である。CAR構築物は、MSCVレトロウイルスプラスミドpMIGのIRES-GFPマーカー上流に挿入した。(
図1パネルD)対照(1D3.m28BBz)CARまたは5F9抗体由来CAR(5F9.m28BBz)を含むレトロウイルスにより形質導入されたマウスCD8+T細胞は、精製された6xHis-hGUCY2CECD(10μg/mL)で標識し、抗5xHis-Alexa Fluor 647コンジュゲートにより検出した。フロープロットは、生存CD8+細胞でゲーティングした。(
図1パネルE)生存CD8+GFP+細胞でゲーティングした、5F9由来または対照(1D3)CARの6xHis-hGUCY2CECD結合曲線(
図5のデータを参照)。3つの独立した実験から組み合わせた。
【0071】
図2パネルA~E。hGUCY2C特異的CARは、抗原依存性T細胞の活性化およびエフェクター機能を媒介する。(
図2のパネルA~E)マウスCD8+T細胞を非形質導入(なし)のままにするか、示されているように対照1D3.m28BBzまたは5F9.m28BBz CAR構築物により形質導入した。(
図2パネルA)
図2パネルB~Dのすべての分析のゲーティング戦略。(
図2パネルB)CD45RAおよびCD62Lに基づく代表的なCAR-T細胞表現型プロット。二元配置分散分析;NS:有意でない。バー:2~3回の独立した実験からの平均±SD。Tn/scm:ナイーブまたはTメモリー幹細胞。Tcm:セントラルメモリーT細胞;Tem:エフェクターメモリーT細胞;Temra:CD45RAを発現するエフェクターメモリーT細胞。(C~D)10
6のCAR-T細胞を、プレートコーティングされた抗原(BSAもしくはhGUCY2C)またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により、6時間刺激した。次に、T細胞活性化マーカー(CD25、CD69、またはCD44)および細胞内サイトカイン産生(IFNγ、TNFα、IL2、およびMIP1α)をフローサイトメトリーによって定量化した。グラフは、3回の独立した実験からの平均±SD(
図2パネルC)活性化マーカーのアップレギュレーション(MFI)および(
図2パネルD)多機能サイトカイン産生(CAR+細胞の%)を示している。(
図2パネルE)E-Plate内の親CT26またはCT26.hGUCY2Cマウス結腸直腸癌細胞を、CAR-T細胞(E:T比5:1)、培地、または10%Triton-X 100(Triton)により治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに10時間定量化して、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。二元配置分散分析、B~E;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0072】
図3パネルA~E。hGUCY2C CAR-T細胞は、同系の肺転移モデルにおいて長期的な保護をもたらす。(
図3のパネルA~E)BALB/cマウスに5x10
5CT26.hGUCY2C細胞を尾静脈から注射して、肺転移を確立した。対照(4D5.m28BBz)または5F9.m28BBz CAR構築物をマウスCD8+T細胞に形質導入した。(
図3パネルA)マウスを3日後に5Gy全身照射(TBI)で治療した後、10
6~10
75F9.m28BBz(N=7~8/群)または10
7対照(N=6)CART細胞で治療した。(
図3パネルB)マウスを3日目(D3)または7日目(D7)に5Gy TBIで治療した後、10
7の対照(N=10/群)または5F9.m28BBz(N=9~10/群)CAR-T細胞で治療した。(
図3パネルC)マウスを7日目に5Gy TBIで治療した後、7日目および14日目に10
7の対照(N=10)または5F9.m28BBz(N=12)CAR-T細胞で治療した。(
図3パネルD)7日目に5Gy TBIおよびPBS、または10
7対照または5F9.m28BBz CAR-T細胞で治療したマウスを、18日目に屠殺し、肺を墨汁で染色し、腫瘍/肺を数えた。一元配置分散分析;*p<0.05。(
図3パネルE)5F9.m28BBz CAR-T細胞で治療されたBおよびCの生存マウス、またはナイーブマウスを5x10
5CT26(N=4~7/群)またはCT26.hGUCY2C(N=7/群)細胞でチャレンジした。再チャレンジは、最初のチャレンジの16~40週間後に行った。ログランクマンテル・コックス検定、
図3パネルA~CおよびE;**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。上向き矢印は、CAR-T細胞の治療日を示している。各パネルは、独立した実験を示している。
【0073】
図4パネルA~E。hGUCY2C CAR-T細胞により、ヒト結腸直腸腫瘍異種移植片が消失する。(
図4パネルA)T84ヒト結腸直腸癌細胞でのhGUCY2Cの発現は、組換え5F9抗体を使用したフローサイトメトリーによって定量化した。(
図4のパネルB~E)対照(1D3.m28BBz)または5F9.m28BBz CAR構築物をマウスCD8+T細胞に形質導入した。(
図4パネルB)E-Plate内のT84結腸直腸癌細胞を、5F9-m28BBzまたは対照CAR-T細胞(E:T比5:1)、培地、または10%Triton-X 100(Triton)で2回治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに20時間測定して、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。二元配置分散分析;**p<0.01;2つの独立した実験の代表値。(
図4パネルC~E)免疫不全NSGマウスに2.5x10
6ルシフェラーゼ発現T84結腸直腸癌細胞を腹腔内注射で注射し、14日目に腹腔内注射により、10
7の対照(N=5)または5F9-m28BBz(N=4)CAR-T細胞で治療した。(
図4のパネルC~D)総腫瘍発光(光子/秒)をT細胞注入の直前およびその後毎週定量化した。二元配置分散分析;*p<0.05。(
図4パネルE)生存に関して、マウスを追跡した。ログランクマンテル・コックス検定;*p<0.05。
【0074】
図5。5F9.m28BBz CARの表面発現の検出。対照m28BBz CARまたは5F9抗体由来のCAR(5F9.m28BBz)をIRES-GFPマーカーの上流に含むレトロウイルスにより形質導入されたマウスCD8+T細胞を、精製6xHishGUCY2CECD(0~1430nM)により標識し、α5xHis-Alexa-647コンジュゲートにより検出した。フロープロットは、生存CD8+細胞でゲーティングした。
【0075】
図6。hGUCY2C発現マウス結腸直腸癌細胞により、5F9.m28BBz CAR-T細胞が活性化する。10
6のCAR-T細胞を、10
6の親CT26、CT26.hGUCY2C結腸直腸癌細胞、またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により、6時間刺激した。T細胞活性化マーカー(CD25、CD69、またはCD44)はフローサイトメトリーによって定量化した。
【0076】
図7パネルAおよびB。hGUCY2C発現マウス結腸直腸癌細胞は、5F9.m28BBz CAR-T細胞のサイトカイン産生を誘導する。10
6のCAR-T細胞を、プレートコーティングされた抗原(
図7、パネルA;BSAもしくはhGUCY2C)または10
6の親CT26またはCT26.hGUCY2C結腸直腸癌細胞(
図7、パネルB)、またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により6時間刺激した。細胞内サイトカイン産生(IFNγ、TNFα、IL-2またはMIP1α)はフローサイトメトリーによって定量化した。
【0077】
図8パネルAおよびB。5F9.m28BBz CAR-T細胞は、hGUCY2Cを発現するマウス結腸直腸癌細胞を死滅させる。β-ガラクトシダーゼ発現CT26またはCT26.hGUCY2Cマウス結腸直腸癌細胞を、様々なエフェクターCAR-T細胞:標的癌細胞比(E:T比)で4時間培養した。特異的溶解は、発光基質によって検出された上清へのβ-ガラクトシダーゼ放出によって決定した。****、p<0.0001(二元配置分散分析)。
【0078】
図9パネルAおよびB。5F9.m28BBz CAR-T細胞は、hGUCY2C欠損ヒト結腸直腸腫瘍を死滅させない。(
図9パネルA)SW480ヒト結腸直腸癌細胞でのhGUCY2Cの発現は、組換え5F9抗体を使用したフローサイトメトリーによって定量化した。(
図9パネルB)E-Plate内のSW480細胞を、5F9.m28BBzまたは対照1D3.m28BBz CAR T細胞、培地、または2.5%Triton-X 100(Triton)により治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに20時間定量化して、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。
【0079】
図10パネルA~C。5F9.h28BBz CARを発現するヒトT細胞は、GUCY2C発現結腸直腸癌細胞を認識して死滅させる。(
図10パネルA)ヒト5F9 CAR構築物(5F9.h28BBz)発現CAR-T細胞を、プレートコーティングされた抗原(BSAまたはhGUCY2C)またはPMAおよびイオノマイシン(PMA/IONO)により、6時間刺激した。次に、T細胞活性化マーカーCD69および細胞内サイトカイン(IFNγ、TNFα、およびIL-2)をフローサイトメトリーで定量化した。(
図10パネルB~C)E-Plate内で培養した親(CT26)、ヒトGUCY2C発現CT26(CT26.hGUCY2C)マウス結腸直腸癌細胞(
図10パネルB)、またはT84ヒト結腸直腸癌細胞(
図10パネルC)を対照または5F9.h28BBz CAR-T細胞(E:T比10:1)、培地、または2.5%Triton-X 100により治療し、相対電気インピーダンスを15分ごとに定量化し、癌細胞死を定量化した(時間=0に正規化)。特異的溶解値(%)は、正規化のために培地およびTritonを添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ、特異的溶解値は0%および100%)。***、p<0.001(二元配置分散分析)。
【0080】
図11パネルAおよびB。5F9.m28BBz CAR-T細胞は、mGUCY2Cを発現するマウス結腸直腸癌細胞を死滅させない。β-ガラクトシダーゼおよびマウスGUCY2C(A;CT26.mGUCY2C)またはヒトGUCY2C(B;CT26.hGUCY2C)を発現するCT26細胞を、様々なエフェクターCAR-T細胞:標的癌細胞の比(E:T比)の範囲で4時間培養した。特異的溶解は、発光基質によって検出された上清へのβ-ガラクトシダーゼ放出によって決定した。****、p<0.0001(二元配置分散分析)。
【0081】
ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインに結合する一本鎖タンパク質配列は、ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインに結合する抗GUCY2C抗体の可変軽鎖および可変重鎖の断片を使用して生成した。リンカー配列により、可変軽鎖断片を可変重鎖断片に接続して、ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインに結合する一本鎖抗体可変断片融合タンパク質配列(scFv)にする。
【0082】
scFvは、より大きい融合タンパク質であるCARの構成要素である。CARの機能構成要素としては、免疫グロブリン由来の抗原結合ドメイン、抗体配列、すなわちsvFv(ヒトGUCY2Cに結合する)、発現する細胞の細胞膜にタンパク質を固定する膜貫通ドメインにscFVを連結させるヒンジドメイン、およびヒトGUCY2CへのscFv結合時に細胞を活性化するシグナル伝達細胞内配列(細胞質配列とも呼ばれる)として機能するシグナルドメインが挙げられる。CARをコードする核酸配列には、翻訳されたCARの細胞膜への輸送を容易にする細胞タンパク質由来のシグナルペプチドをコードする配列を含む。CARを発現する組換え細胞は、抗体によって指定される標的、すなわちGUCY2Cを提示する細胞に結合し、かつ組換え細胞傷害性リンパ球、組換え細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、組換えナチュラルキラーT細胞(NKT)、および組換えナチュラルキラー細胞(NK)の場合、死滅させるように、CARにより指示される。CARは、発現したときに、細胞表面に輸送され、シグナルペプチドは、典型的には除去される。成熟したCARは、細胞受容体として機能する。scFvおよびヒンジドメインは、細胞表面に提示され、ここで、scFv配列は、他の細胞上のタンパク質に曝され得、これらの細胞上のGUCY2Cに結合する。膜貫通領域は細胞膜にCARを固定し、細胞内配列はシグナルドメインとして機能して、細胞内にシグナルを伝達し、その結果、CAR発現細胞が結合しているGUCY2C発現細胞の死をもたらす。
【0083】
いくつかの実施形態では、CARは、例えば、哺乳動物または合成シグナル配列などのシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、例えば、哺乳動物の膜結合タンパク質などの膜結合タンパク質由来のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD8アルファ、CD8ベータ、CD4、TCRアルファ、TCRベータ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD28、およびBiPなどの膜結合タンパク質由来のシグナル配列を含む。シグナル配列の例はまた、あらゆる哺乳動物の膜結合シグナル配列内で見られ得る<http://www.signalpeptide.de/index.php?m=listspdb_mammalia>。いくつかの実施形態では、CARは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸1~22を有する顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列は、配列番号2のアミノ酸1~22を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列は、本質的に配列番号2のアミノ酸1~22からなる。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列は、配列番号2のアミノ酸1~22からなる。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列を含むCARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1の核酸1~66を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列をコードする核酸配列は、配列番号1の核酸1~66を含む。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1の核酸1~66からなる。いくつかの実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列をコードする核酸配列は、配列番号1の核酸1~66からなる。
【0084】
抗GUCY2C結合ドメインは、MHCに依存しない一本鎖キメラ受容体として提供される。抗原結合ドメインは、抗体に由来する。いくつかの実施形態では、CARは、5F9由来の抗グアニリルシクラーゼC(GCCまたはGUCY2Cとも称される)一本鎖可変断片(scFv)(好ましくは、可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)を含む。5F9は、ヒトGUCY2Cの細胞外ドメインを認識する完全ヒト化モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマである。抗体の重鎖および軽鎖のDNAコード配列を使用して、CAR実装用の新規scFvを作製した。これは、例えば5F9-28BBz CARなどの抗GCC CARの作製に使用され、これによりGUCY2C分子に対して向けられた抗原特異性が付与される。
【0085】
いくつかの実施形態では、5F9-28BBz CARなどの抗GCC scFvは、5F9一本鎖可変断片(scFv)(可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)であってもよい。5F9 scFvは、配列番号2のアミノ酸25~274を含んでもよい。いくつかの実施形態では、5F9 scFvを含むCARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド73~822を含む。いくつかの実施形態では、CARは、抗GCC 5F9 scFvを含む。配列番号2のアミノ酸25~133は、5F9可変軽鎖断片に対応する。配列番号2のアミノ酸154~274は、5F9可変重鎖断片に対応する。いくつかの実施形態では、CARは、(グリシン4セリン)nリンカー((グリシン4セリン)=GGGGS(配列番号3)およびn=2~5)により互いに結合された5F9可変軽断片および5F9可変重断片に対応する抗GCC 5F9一本鎖可変断片(scFv)を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、リンカーは、2つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)2)を含み、リンカーG4S-2(配列番号4)として称され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、3つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)3)を含み、リンカーG4S-3(配列番号5)として称され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、4つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)4)を含み、リンカーG4S-4(配列番号6)として称され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、5つの(グリシン4セリン)単位((グリシン4セリン)5)を含み、リンカーG4S-5(配列番号7)として称され得る。
【0087】
5F9可変断片は、可変軽鎖断片-リンカー-可変重鎖断片または可変重鎖断片-リンカー-可変軽鎖断片の順序でN末端からC末端まで構成され得る。いくつかの実施形態では、CARは、[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)2-5F9可変重鎖断片](配列番号8)、[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)3-5F9可変重鎖断片](配列番号9)、[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)4-5F9可変重鎖断片](配列番号10)、または[5F9可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)5-5F9可変重鎖断片](配列番号11)として構成されている抗GCC 5F9 scFvを含む。いくつかの実施形態では、CARは、[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)2-5F9可変軽鎖断片](配列番号12)、[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)3-5F9可変軽鎖断片](配列番号13)、[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)4-5F9可変軽鎖断片](配列番号14)、または[5F9可変重鎖断片-(グリシン4セリン)5-5F9可変軽鎖断片(配列番号15)として構成されている抗GCC 5F9 scFvを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸25~274を有する抗GCC 5F9 scFvを含む。いくつかの実施形態では、5F9 scFvは、配列番号2のアミノ酸25~274を含む。いくつかの実施形態では、5F9 scFvは、本質的に配列番号2のアミノ酸25~274からなる。いくつかの実施形態では、5F9 scFvは、配列番号2のアミノ酸25~274からなる。いくつかの実施形態では、5F9 scFvをコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド73~822を含む。いくつかの実施形態では、5F9 scFvをコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド73~822からなる。いくつかの実施形態では、5F9 scFvをコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド73~822からなる。
【0089】
いくつかの実施形態では、CARは、CD8α、IgG1-Fc、IgG4-Fc、またはCD28ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD8αヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸277~336を有するCD8αヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、配列番号2のアミノ酸277~336を含む。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、本質的に配列番号2のアミノ酸277~336からなる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、配列番号2のアミノ酸277~336からなる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド829~1008を含む。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド829~1008からなる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド829~1008からなる。
【0090】
いくつかの実施形態では、CARは、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAM膜貫通領域を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、CARは、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAM細胞内領域を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、CARは、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAMの膜貫通および細胞内(細胞質)配列を両方とも含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD28膜貫通配列および細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸337~405を有するCD28膜貫通配列および細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通配列および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、本質的に配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、本質的に、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。
【0093】
いくつかの実施形態では、CARは、CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖およびCD79-ベータ鎖、または特定のFc受容体由来の細胞内(細胞質)配列を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、CARは、a)CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、またはSLAM細胞内領域の1つ以上由来の細胞内(細胞質)配列と、b)CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖およびCD79-ベータ鎖、または特定のFc受容体由来の細胞内(細胞質)配列との組み合わせを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζ細胞内配列と組み合わせた4-1BB細胞内配列と共にCD28膜貫通および細胞内配列を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸337~405を有するCD28膜貫通配列および細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通配列および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、本質的に配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸337~405からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215を含む。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、本質的に、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通および細胞内配列をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1009~1215からなる。
【0097】
いくつかの実施形態では、CARは、4-1BB細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸406~444を有する4-1BB細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸406~444を含む4-1BB細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内配列は、本質的に、配列番号2のアミノ酸406~444からなる。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内配列は、配列番号2のアミノ酸406~444からなる。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1216~1332を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド1216~1332からなる。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1216~1332からなる。
【0098】
いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも1つの免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、ITAMを含む細胞シグナル伝達分子由来の配列を含む。典型的には、3つのITAMがこのような配列内に存在する。ITAMを含む細胞シグナル伝達分子の例としては、CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖および-ベータ鎖、ならびに特定のFc受容体が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζなどの細胞シグナル伝達分子、B細胞受容体複合体のCD79-アルファ鎖および-ベータ鎖、ならびにITAMを含む特定のFc受容体由来の配列を含む。CARに含まれる配列は、1つ以上のITAMを含むこうした分子由来の細胞内配列である。ITAMは、4つのアミノ酸の保存配列であり、免疫系の特定の細胞表面タンパク質の細胞質尾部において2回繰り返されている。ITAMの4つのアミノ配列の保存配列は、任意の他の2つのアミノ酸(Xが独立して任意のアミノ酸配列であるYXXLまたはYXXI)によってロイシンまたはイソロイシンから分離されたチロシンを含む。ITAMは、約6~8個のアミノ酸で分離された2つの4つのアミノ酸の保存配列を有する、典型的には14~16個のアミノ酸の配列を含む。CD3に関連するζ鎖(CD3ζ)は、3つのITAMを含む。配列番号2のアミノ酸445~557は、CD3ζ細胞内配列である。ITAMは、アミノ酸465~479、504~519および535~549に位置する。いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζ細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸445~557を有するCD3ζ細胞内配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内配列は、配列番号2の445~557を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内配列は、本質的に配列番号2の445~557からなる。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内配列は、配列番号2の445~557からなる。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1333~1671を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内をコードする核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド1333~1671からなる。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内をコードする核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1333~1671からなる。
【0099】
いくつかの実施形態では、CARは、免疫グロブリン由来の抗原結合ドメイン、抗体配列(GUCY2Cに結合する)を含み得、抗体配列は、T細胞受容体のCD3ゼータシグナル伝達鎖などのT細胞シグナル伝達ドメインに、あるいはCD3ゼータ鎖などのT細胞鎖またはIg Fc受容体複合体のガンマシグナル伝達サブユニットに連結されたT細胞共刺激シグナル伝達(例えばCD28)ドメインに融合している。
【0100】
CARのシグナル伝達ドメインは、TCRに由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD3ゼータ鎖またはCD3ゼータ鎖に連結されたCD28シグナルドメインなどの膜貫通および細胞質シグナル伝達ドメインに融合した、抗原結合機能をもたらす抗体可変領域の細胞外一本鎖断片を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、スペーサーまたはヒンジによって抗原結合ドメインに連結されている。抗体可変領域の断片がGUCY2Cに結合したときに、シグナル伝達ドメインが免疫細胞の活性化を開始する。これらの組換えT細胞は、細胞外抗GUCY2C結合ドメイン、およびリンパ球を刺激するシグナル伝達機能を実行するTCRに由来する細胞内ドメインを含む、膜結合キメラ受容体を発現する。いくつかの実施形態は、抗GUCY2C抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の抗GUCY2C結合領域を含む一本鎖可変断片(scFv)である抗GUCY2C結合ドメインを提供する。シグナル伝達ドメインには、T細胞共刺激シグナル伝達(例えば、CD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、SLAM)ドメインおよびT細胞トリガー鎖(例えば、CD3ゼータ)を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、CARはアフィニティタグを含む。このようなアフィニティタグの例としては、Strep-Tag;Strep-TagII;Poly(His);HA;V5;およびFLAGタグが挙げられる。いくつかの実施形態では、アフィニティタグは、scFvの前、またはscFvとヒンジ領域との間、またはヒンジ領域の後に位置し得る。いくつかの実施形態では、アフィニティタグは、Strep-Tag、Strep-TagII、Poly(His)、HA;V5、およびFLAGタグから選択され、scFvの前、またはscFvとヒンジ領域との間、またはヒンジ領域の後に位置する。
【0102】
いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端にかけて、シグナル配列、5F9一本鎖可変断片(scFv)である抗GCC scFv、ヒンジ領域、1つ以上のタンパク質由来の膜貫通領域および細胞内配列、ならびに細胞内配列および免疫受容体チロシン活性化モチーフと、任意によりアフィニティタグとを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端にかけて、GM-CSF、CD8アルファ、CD8ベータ、CD4、TCRアルファ、TCRベータ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD28、BiPから選択される、シグナル配列と、(可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変重鎖断片)および(可変重鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変軽鎖断片)から選択される5F9一本鎖可変断片(scFv)である、抗GCC scFvと、CD8α、IgG1-Fc、IgG4-FcおよびCD28ヒンジ領域から選択される、ヒンジ領域と、CD8α、IgG1-Fc、IgG4-FcおよびCD28膜貫通領域から選択される、膜貫通領域と、CD284-1BB(CD137)、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD79A、CD79B、CD226、DR3、GITR、HVEM、ICOS、LIGHT、OX40、SLAM細胞内配列から選択される、細胞内配列と、1つ以上のITAMを含む、CD3ζ、CD79-アルファ、CD79-ベータ、およびFc受容体細胞内配列から選択される配列を含む、免疫受容体チロシン活性化モチーフと、Strep-Tag、Strep-TagII、Poly(His)、HA;V5、およびFLAGタグから選択される、任意のアフィニティタグとが連結され、含まれる。
【0104】
いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端にかけて、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列、[可変軽鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変重鎖断片]または[可変重鎖断片-(グリシン4セリン)2-5リンカー-可変軽鎖断片]から選択される5F9一本鎖可変断片(scFv)である抗GCC scFv、CD8α、CD28、IgG1-Fc、またはIgG4-Fcヒンジ領域、CD8αまたはCD28膜貫通および細胞内配列、4-1BB細胞内配列ならびにCD3ζ細胞内配列を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、CARは、本質的に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列、5F9一本鎖可変断片(scFv)(可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)である抗GCC scFv、CD8αヒンジ領域、CD28膜貫通および細胞内配列、4-1BB細胞内配列ならびにCD3ζ細胞内配列からなる。
【0106】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸1~22、25~274、277~336、337~405、406~444および445~557を含む。いくつかの実施形態では、CARは、本質的に配列番号2のアミノ酸1~22、25~274、277~336、337~405、406~444および445~557からなる。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2のアミノ酸1~22、25~274、277~336、337~405、406~444および445~557からなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1~66、73~822、829~1008、1009~1215、1216~1332および1333~1671を含む。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、本質的に配列番号1のヌクレオチド1~66、73~822、829~1008、1009~1215、1216~1332および1333~1671からなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1~66、73~822、829~1008、1009~1215、1216~1332および1333~1671からなる。いくつかの実施形態では、これらの配列は、ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに連結されている。いくつかの実施形態では、ヒトT細胞などのヒト細胞は、コード配列の発現に必要な調節エレメントに連結された配列により形質転換される。
【0107】
いくつかの実施形態では、CARは、新規DNA配列GM.5F9(VL-(G4S)4-VH)-CD8a-CD28tm.ICD-4-1BB-CD3z.stop(5F9-28BBz-配列番号1)によってコードされ、これは、Tリンパ球によって発現され、ヒトグアニリルシクラーゼC(GUCY2C)発現悪性腫瘍の治療用処置のために注入され得る合成受容体である。GM.5F9(VL-(G4S)4-VH)-CD8a-CD28tm.ICD-4-1BB-CD3z.stopは、配列番号2をコードする。5F9-28BBzは、このように連結されたヒトDNAコード配列を含む:(1)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)シグナル配列、(2)5F9一本鎖可変断片(scFv)(可変軽断片-(グリシン4セリン)4リンカー-可変重断片)、(3)CD8αヒンジ領域、(4)CD28膜貫通ドメイン、(5)CD28細胞内ドメイン、(6)4-1BB細胞内ドメイン、および(7)CD3ζ細胞内ドメイン。CARは、5F9-28BBzと称する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2を含む。いくつかの実施形態では、CARは、本質的に配列番号2からなる。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号2からなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1を含むヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、本質的には配列番号1からなるヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、CARをコードする構築物の核酸配列は、配列番号1からなるヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、これらの配列は、ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに連結されている。いくつかの実施形態では、ヒトT細胞などのヒト細胞は、コード配列の発現に必要な調節エレメントに連結された配列により形質転換される。
【0108】
いくつかの実施形態では、5F9-28BBz-配列番号1は、ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに連結されている。ヒトT細胞などのヒト細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントとしては、プロモーター、ポリアデニル化部位、および5’および3’非翻訳領域内の他の配列を挙げることができる。いくつかの実施形態では、配列番号1は、pVAXなどのプラスミドなどの発現ベクター、もしくはレンチウイルスベクターなどのレトロウイルス発現ベクター、もしくは組換えアデノウイルス、組換えAAV、もしくは組換えワクシニアウイルスなどの組換えDNAウイルスベクター内に、またはCRISPR/Cas9、TALEN、もしくは他のトランスポゾン技術で使用される二本鎖DNAとして、またはメッセンジャーRNAとして挿入される。
【0109】
いくつかの実施形態では、CARコード配列は、CD4+およびCD8+などのT細胞、インバリアントナチュラルキラーT細胞、ガンマ-デルタT細胞、ナチュラルキラー細胞、および末梢リンパ球由来のCD34+造血幹細胞などの骨髄細胞などの細胞に、ルーチンのin vitro遺伝子導入技術およびレトロウイルスベクターなどの材料を使用して、ex vivoで導入される。遺伝子導入後、組換え細胞を培養して、患者に投与される組換え細胞の数を増やす。組換え細胞は、細胞外抗体由来の抗原結合ドメインによって認識される抗原を提示する細胞を認識し、その細胞に結合する。改変後、細胞をex vivoで増殖させて、患者に投与される多数のこれらの細胞を得ることが記載されている。上記のとおり、自己とは、細胞のドナーとレシピエントが同じヒトであることを指す。同種とは、細胞のドナーとレシピエントが異なるヒトであることを指す。ex vivo培養による抗原特異的T細胞の集団の単離および増殖に加えて、サイトカインなどのタンパク質、例えばIL-2、IL-7、およびIL-15をコードする遺伝物質をそれらに追加することにより、集団を単離した後、増殖させる前にT細胞が改変され得る。
【0110】
GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する複数のT細胞は、細胞ドナーからT細胞を単離し、それを抗GUCY2C CARをコードする核酸分子で形質転換し、形質転換細胞を培養して、形質転換T細胞の数を指数関数的に増殖させて、複数のこうした細胞を産生することにより、得ることができる。
【0111】
細胞ドナーは、増殖させた細胞集団が投与される個体、すなわち自己細胞ドナーであり得る。あるいは、T細胞は、T細胞が投与される個体、すなわち同種T細胞とは異なる個体である細胞ドナーから得られてもよい。同種T細胞が使用される場合、細胞ドナーがタイプマッチングされることが好ましく、それはレシピエントと同じかまたはほぼ同じ白血球抗原のセットを発現するものとして識別される。
【0112】
T細胞は、例えば、血液画分、特に末梢血単球細胞成分から、または骨髄サンプルからの単離など、ルーチン方法によって細胞ドナーから得ることができる。
【0113】
T細胞が細胞ドナーから得られると、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープに結合する抗体の機能的結合断片およびT細胞などの細胞で発現したときにタンパク質を膜結合タンパク質にする部分を含む抗GUCY2C CARをコードする核酸により1つ以上のT細胞を形質転換させ得る。
【0114】
抗GUCY2C CARをコードする核酸分子は、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するB細胞を、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するこうしたB細胞を有する「抗体遺伝子ドナー」から単離することにより得ることができる。こうした抗体遺伝子ドナーは、ワクチン接種以外による免疫原への曝露から生じる免疫応答により、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するB細胞を有し得るか、またはこうした抗体遺伝子ドナーは、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するB細胞の産生を誘導するワクチンを受けたもの、すなわち、ワクチン接種された抗体遺伝的ドナーとして同定され得る。ワクチン接種された抗体遺伝的ドナーは、抗GUCY2C CARをコードする核酸分子でT細胞を形質転換すること、細胞数を増やすこと、および形質転換T細胞を増殖させた集団を個体に投与することを含む方法において使用するために、以前にワクチン接種されている可能性があるか、または特に、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体を産生するこうしたB細胞を生成する取り組みの一部としてワクチンを投与してもよい。
【0115】
抗体遺伝子ドナーは、形質転換T細胞のレシピエントになる個体であっても、形質転換T細胞のレシピエントになる個体とは異なる個体であってもよい。抗体遺伝子ドナーは、細胞ドナーと同じ個体であってもよく、または抗体遺伝子ドナーは、細胞ドナーとは異なる個体であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞ドナーは、形質転換T細胞のレシピエントであり、抗体遺伝子ドナーは、異なる個体である。いくつかの実施形態では、細胞ドナーは、抗体遺伝子ドナーと同じ個体であり、形質転換T細胞のレシピエントとは異なる個体である。いくつかの実施形態では、細胞ドナーは、抗体遺伝子ドナーと同じ個体であり、形質転換T細胞のレシピエントと同じ個体である。
【0116】
抗GUCY2C CARをコードする核酸分子は、発現したタンパク質が膜結合タンパク質となるようにするタンパク質配列に連結されたGUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体の機能的結合断片をコードするコード配列を含む。コード配列は、発現される単一の産物をコードするように連結されている。
【0117】
GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体の機能的結合断片をコードするコード配列は、抗体遺伝子ドナー由来のB細胞から単離してもよい。こうしたB細胞を入手し、遺伝情報を単離してもよい。いくつかの実施形態では、B細胞は、抗体を発現し、したがって抗体コード配列を保有しているハイブリッド細胞を生成するために使用される。抗体コード配列を決定して、これをクローン化し、abnti-GUCY2C CARの作製に使用してもよい。GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識する抗体の機能的結合断片は、形質転換T細胞において発現したときにGUCY2Cの少なくとも1つのエピトープに対するその結合活性を保持する抗体タンパク質の一部またはすべてを含み得る。
【0118】
発現したタンパク質が膜結合タンパク質となるようにするタンパク質配列のコード配列は、膜結合細胞タンパク質由来のものであってもよく、膜貫通ドメイン、および任意により、細胞質ドメインの少なくとも一部、および/または細胞外ドメインの一部、および発現したタンパク質を細胞膜に転位させるためのシグナル配列を含む。
【0119】
分子。核酸分子は、ドナーT細胞におけるコード配列の発現に必要な調節エレメントに作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARコード配列を含む核酸分子は、プラスミドDNA分子である。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARコード配列を含む核酸分子は、発現ベクターであるプラスミドDNA分子であり、ここで、コード配列は、ドナーT細胞において抗GUCY2C CARコード配列の発現に必要なプラスミドにおいて調節エレメントに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARコード配列を含む核酸分子は、ドナーT細胞を感染させるために使用されるウイルス粒子に組み込まれ得る。そのような粒子を調製するためのパッケージング技術は知られている。粒子に組み込まれたコード配列は、ドナーT細胞における抗GUCY2C CARコード配列の発現に必要なプラスミド内の調節エレメントに作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARコード配列を含む核酸分子は、ウイルスゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは、ドナーT細胞を感染させるために使用されるウイルス粒子に組み込まれる。核酸分子を細胞に送達するためのウイルスベクターは周知であり、これらのベクターとしては、例えば、ワクチンウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、ならびに様々なレトロウイルスに基づくウイルスベクターが挙げられる。ウイルスゲノムに組み込まれた抗GUCY2C CARコード配列は、ドナーT細胞内での抗GUCY2C CARコード配列の発現に必要なプラスミド内の調節エレメントに作動可能に連結され得る。
【0120】
形質転換T細胞内での核酸の発現時に、形質転換細胞を試験して、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識するT細胞を同定することができる。こうした形質転換T細胞は、標準技術を使用してサンプルから同定し、単離され得る。GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを含むタンパク質を固体支持体に付着させ、サンプルと接触させてもよい。次に、洗浄後に表面に残存しているT細胞の試験をさらに行い、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識するT細胞を同定する。カラム、細胞に結合する標識タンパク質、セルソーター技術などのアフィニティー分離法も様々に使用することができる。また、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを認識するT細胞は、GUCY2Cの少なくとも1つのエピトープを有するタンパク質の存在下でのそれらの反応性によっても同定され得る。
【0121】
T細胞が少なくとも1つのエピトープGUCY2Cを認識するT細胞として同定されると、細胞の成長および分裂を促進し、維持して指数関数的な数の同一細胞を産生する条件を用いて組織培養技術を使用して、クローン増殖させ得る。T細胞の増殖集団は、患者への投与のために収集され得る。
【0122】
いくつかの実施形態による少なくともGUCY2Cのエピトープを認識する複数のT細胞は、細胞と組み合わせて薬学的に許容される担体を含む。細胞を含む医薬配合物は周知であり、当業者によって日常的に配合され得る。好適な医薬担体は、この分野の標準的な参照テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolに記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、注入用の医薬組成物に関する。
【0123】
いくつかの実施形態では、例えば、複数の細胞は、薬学的に受容可能なビヒクルと関連する懸濁液として配合され得る。こうしたビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンである。ビヒクルは、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えば、緩衝液および保存剤)を維持する添加物を含み得る。ビヒクルは、一般的に使用される技術により細胞を加える前に滅菌される。
【0124】
複数の細胞は、それらが癌細胞と接触できるようにする任意の手段によって投与され得る。医薬組成物は、例えば静脈内投与されてもよい。
【0125】
投薬量は、複数の細胞の性質、レシピエントの年齢、健康、および体重;症状の性質および程度、同時治療の種類、治療の頻度、および望ましい効果によって異なる。一般に、1x1010~1x1012のT細胞が投与されるが、1x109~1x1013など、より多くまたはより少ない数も投与され得る。典型的には、1x1011 T細胞が投与される。送達される細胞の数は、防御的または治療的応答を誘発するのに十分な量である。当業者は、ルーチンの方法により範囲および最適な投薬量を容易に決定することができる。
【0126】
抗GUCY2C CARにより治療される患者としては、GUCY2Cを発現する癌細胞を有する患者が挙げられる。いくつかの実施形態では、こうした癌は、転移性結腸直腸癌、転移性もしくは原発性胃癌、転移性もしくは原発性食道癌、転移性もしくは原発性口腔癌、転移性もしくは原発性唾液腺癌または転移性もしくは原発性膵癌またはGUCY2C発現を有すると同定された他の任意の癌であり得る。いくつかの実施形態では、GUCY2Cを発現する癌細胞を含む癌を有することが疑われる患者は、抗GUCY2C CARにより治療される。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARによる治療の前に、患者は、転移性結腸直腸癌、転移性もしくは原発性胃癌、転移性もしくは原発性食道癌、転移性もしくは原発性口腔癌、転移性もしくは原発性唾液腺癌、または転移性もしくは原発性膵癌患者として同定される。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARによる治療の前に、患者からの癌のサンプルをGUCY2C発現について試験し、GUCY2C発現について陽性である癌を有するそれらの患者を抗GUCY2C CARにより治療する。いくつかの実施形態では、抗GUCY2C CARによる治療の前に、患者は腫瘍を除去するために手術を受け、患者から除去された腫瘍のサンプルは、GUCY2C発現について試験され、GUCY2C発現について陽性である癌を有する患者は、抗GUCY2C CARにより治療する。
【0127】
抗GUCY2C CARは、転移性結腸直腸癌、転移性もしくは原発性胃癌、転移性もしくは原発性食道癌、転移性もしくは原発性口腔癌、転移性もしくは原発性唾液腺癌または転移性もしくは原発性膵癌などのGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌のリスクが高いと同定された個体において、癌を予防するのに有用であり得る。個体は、家族の病歴、遺伝的背景、または転移性結腸直腸癌、転移性もしくは原発性胃癌、転移性もしくは原発性食道癌、転移性もしくは原発性口腔癌、転移性もしくは原発性唾液腺癌または転移性もしくは原発性膵癌などのGUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌の以前の診断および癌を除去する治療であるか、または明らかな寛解もしくは無癌状態となる治療に基づいて、GUCY2Cを発現する癌細胞を有する癌のリスクが高くなっていると同定され得る。
実施例
実施例1
【0128】
転移性結腸直腸癌、転移性または原発性胃癌、食道癌、口腔癌、唾液腺癌、膵癌、またはGUCY2Cを発現する他の癌などのGUCY2C発現悪性腫瘍の患者に使用され得るヒトGUCY2C標的型CARが同定されている。この抗GUCY2C CARは、抗原依存性T細胞活性化、サイトカイン産生、および細胞溶解活性を誘導した。ヒトGUCY2Cを標的とするCAR-T細胞は、免疫担当同系マウスモデル、およびヒト結腸直腸癌の異種移植モデルにおける転移性腫瘍に対して有効であった。
材料および方法
【0129】
細胞株および試薬。CT26およびβ-ガラクトシダーゼ発現CT26.CL25マウス結腸直腸癌細胞株およびヒト結腸直腸癌細胞株T84およびSW480はATCCから入手し、大量の低継代細胞を凍結保存した。細胞は元の供給業者によって認証され、形態、成長、抗生物質耐性(適切な場合はGUCY2Cおよびβ-ガラクトシダーゼの発現)、およびin vivoでの転移パターンによって通常どおり認証され、Universal Mycoplasma Detection Kit(ATCC、カタログ番号、30-1012K)を用いて、マイコプラズマについて通常どおりスクリーニングした。マウスに注射する前に、細胞を通常どおり2週間未満培養した。ヒトGUCY2Cをコードする遺伝子をコドン最適化し、かつ合成し(Gene Art、Life Technologies)、レトロウイルス構築物pMSCVpuro(Clontech)にクローニングした。CT26.hGUCY2CおよびCT26.CL25.hGUCY2Cは、CT26およびCT26.CL25細胞にhGUCY2Cをコードするレトロウイルス上清を形質導入し、その後ピューロマイシンで選択することにより生成した。レトロウイルス上清は、pMSCV-Puro(Clontech)またはhGUCY2C-pMSCV PuroおよびpCL-Eco(Imgenex)レトロウイルスパッケージングベクター(12)を使用して、Phoenix-Ecoレトロウイルスパッケージング細胞株(Gary Nolan,Stanford University)をトランスフェクトすることによって産生した。ルシフェラーゼを含むT84.fLuc細胞は、293FT細胞(Invitrogen)をpLenti4-V5-GW-luciferase.puro(Andrew Aplin,Thomas Jefferson Universityのご厚意により提供された)およびViraPower Lentiviral Packaging Mix(Invitrogen)によりトランスフェクトすること(製造業者の指示に準拠)によって生成したレンチウイルス上清を形質導入し、その後ピューロマイシンで選択することによって生成した。ヒトGUCY2C特異的抗体5F9からの一本鎖可変断片(scFv)をpFUSE-rIgG-Fc2(IL2ss)プラスミド(Invivogen)にクローン化し、ウサギFc(5F9-rFc)との5F9 scFv融合タンパク質を産生した。5F9-rFcは、トランスフェクションされた293F細胞(Life Technologies)の上清に収集され、BSAまたは組換え6xHisタグ付きhGUCY2C細胞外ドメイン(6xHis-hGUCY2CECD)タンパク質でコーティングされたELISAプレート(Nunc-Immuno PolySorp)で滴定され、GenScriptによりHEK293-6E細胞からの契約(under contract)で精製し、HRPコンジュゲートヤギ抗ウサギ(Jackson ImmunoResearch)で検出した。フローサイトメトリーでは、細胞を、FACSバッファー(1%熱不活化FBSを含むPBS)で希釈した5F9-rFcまたは非トランスフェクト293F細胞からの対照上清で染色し、その後FACSバッファーで二次Alexa Fluor 488-コンジュゲート抗ウサギ(Life Technologies)で染色した。細胞を2%パラホルムアルデヒド(PFA;Affymetrix)で固定し、BD LSR IIフローサイトメーターおよびFlowJo v10ソフトウェア(Tree Star)を用いて分析した。
【0130】
マウスCAR-T細胞の生成。前述のように、マウスCAR成分を使用して、第三世代のコドン最適化レトロウイルスCAR構築物を作製した。5F9ヒトGUCY2C特異的抗体に由来するコドン最適化scFv配列を、マウス配列のBiPシグナルペプチド、CD8αヒンジ領域、CD28膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン、ならびに4-1BB(CD137)およびCD3ζ細胞内ドメインを含むCAR構築物にクローニングして、5F9.m28BBz CAR構築物を産生した。ヒトERBB2(Her2)特異的抗体4D5またはマウスCD19特異的抗体1D3に由来するCARを、示されるように対照として使用した(対照m28BBz)。CARをpMSCV-IRES-GFP(pMIG)レトロウイルスベクター(Addgene#27490)にサブクローニングした。Calcium Phosphate ProfectionR Mammalian Transfection System(Promega)を使用して、Phoenix-Ecoレトロウイルスパッケージング細胞株(Gary Nolan,Stanford University)を、CAR-pMIGベクターおよびpCL-Ecoレトロウイルスパッケージングベクター(Imgenex)によりトランスフェクトした。レトロウイルスを含む上清を48時間後に収集し、0.45μMフィルタで濾過し、アリコートを-80℃で凍結した。マウスCD8+T細胞は、CD8α+T細胞分離キットIIおよびLS磁気カラム(Miltenyi Biotec)を使用して、BALB/c脾細胞からネガティブに選択した。続いて、CD8+T細胞を抗CD3/抗CD28コーティングビーズ(T Cell Activation/Expansion Kit、Miltenyi Biotec)を用いて、100U/mLの組換えヒトIL2(NCIリポジトリ)を含むcRPMI中、1x106細胞/mlの1:1のビーズ:細胞比で刺激した。刺激の翌日、培地の1/2を、8μg/mlポリブレン(Millipore)の存在下で等量の解凍したレトロウイルス上清と注意深く交換した。スピノキュレーションは、室温で2500rpmで90分間行い、その後37℃で2.5時間インキュベートし、その時点で細胞をペレット化し、100U/mL IL2を含む新鮮な培地に再懸濁した。T細胞は、新鮮なcRPMIおよびIL2により1x106細胞/mlに毎日希釈することにより7~10日間増殖させ、その時点で機能アッセイに使用した。
【0131】
ヒトCAR-T細胞の生成。ヒトT細胞を用いた研究では、規制および制度上の要件に従って、同意したボランティアからPBMCを収集した。MACS(Stemcell Technologies)で精製したCD8+T細胞は、90%を超える純度で個々の正常な健康ドナー全血からネガティブに選択した。ヒト配列を使用するCARドメインを使用して、5F9ヒトGUCY2C特異的scFvと、ヒト配列のGM-CSFシグナルペプチド、CD8αヒンジ領域、CD28膜貫通および細胞内ドメイン、ならびに4-1BB(CD137)およびCD3ζ細胞内ドメインとを含む第三世代のコドン最適化レトロウイルスCAR構築物を作製して、5F9.h28BBz(配列番号1)を産生した。CARをコードする両種性γ-166レトロウイルスの産生は、マウスT細胞の産生と類似していたが、pCL-EcoをpCL-Amphoパッケージングプラスミド(Imgenex)に置き換えた。レトロウイルスの形質導入は、ImmunoCult CD3/CD28 Activator(Stem Cell Technologies)による活性化後3日目または4日目に生じた。細胞は、7日目にGFP濃縮のためのフローソーティングを受け、その後10日目に実験的に使用した。培養期間中、ヒトCD8+T細胞は、100U/mLの組換えヒトIL2(NCIリポジトリ)を補充したImmunoCult-XF培地(Stemcell Technologies)で維持した。
【0132】
CAR表面検出。CARで形質導入したT細胞は、PBS中のLIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stainキット(Invitrogen)で染色し、PBS0.5%BSA中、様々な濃度の6xHis-hGUCY2CECDで1時間標識し、抗5xHis-Alexa Fluor 647コンジュゲート(Qiagen)および抗CD8b-PE(クローンH35.17.2、BD Biosciences)によりPBS0.5%BSA中で1時間染色し、2%PFAで固定し、BD LSR IIフローサイトメーターおよびFlowJoソフトウェアv10(Tree Star)を使用して分析した。hGUCY2C結合は、生CD8+CAR+(GFP+)細胞でのAlexa Fluor 647の平均蛍光強度によって決定した。非線形回帰分析(GraphPad Prism v6)を使用して、GUCY2C-CAR結合のKavおよびBmaxを決定した。
【0133】
マウスT細胞の表現型、活性化マーカー、および細胞内サイトカイン染色。表現型解析では、1x106の非形質導入またはCAR形質導入マウスT細胞をPBS中、LIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stainキット(Invitrogen)で染色し、その後抗CD8α-BV570(クローンRPA-T8;Biolegend)、抗CD45RA-PerCP-Cy5.5(クローン14.8;BD Biosciences)、および抗CD62L-PE-Cy7(クローンMEL-14;BD Biosciences)を用いて、PBS 0.5%BSA中30分間表面マーカーを染色した。その後細胞を固定し、Cytofix/Cytopermバッファーで、4℃で20分間透過処理し(BD Cytofix/Cytoperm Kit;BD Biosciences)、細胞内GFP(anti-GFP-Alexa Fluor 488;Invitrogen)で45分間Perm/洗浄バッファーで染色し、CARで形質導入された細胞を特定した。次に、CD45RAおよびCD62L染色に基づいて、サブセット:Tn/scm(ナイーブまたはTメモリー幹細胞;CD62L+CD45RA+)、Tcm(セントラルメモリーT細胞;CD62L+CD45RA-)、Tem(エフェクターメモリーT細胞;CD62L CD45RA-)、およびTemra(CD45RAを発現するエフェクターメモリーT細胞;CD62L CD45RA+)を定量化した。活性化マーカーおよびサイトカインの分析のために、1x106CARを形質導入したマウスT細胞を、事前に1μg/mLGUCY2Cを含むPBSを4℃で一晩コーティングした組織培養プレート、または1x106CT26もしくはCT26.hGUCY2C細胞を含む組織培養プレートにより、6時間刺激した。陽性対照として、CAR-T細胞を1X細胞刺激カクテル(PMA/イオノマイシン、eBioscience)とともに6時間インキュベートした。細胞内サイトカインを評価する際、インキュベーションには、1Xタンパク質輸送阻害剤カクテル(eBioscience)を含めた。細胞をLIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stainキット(Invitrogen)で染色し、その後抗CD8α-PerCP-Cy5.5(クローン53.6-7;BD Biosciences)、抗CD69-PE(クローンH1.2F3;BD Biosciences)、抗CD25-PE(クローンPC61.5、eBioscience)、および抗CD44-APC(クローンIM7;Biolegend)を用いて表面マーカーを染色した。細胞内サイトカイン染色は、BD Cytofix/Cytoperm Kit(BD Biosciences)を使用し、抗GFP-Alexa488(Invitrogen)、抗IFNγ-APC-Cy7(クローンXMG1.2;BD Biosciences)、抗TNFα-PE-Cy7(クローンMP6-XT22;BD Biosciences)、抗IL2-APC(クローンJES6-5H4;BD Biosciences)およびαMIP1α-PE(クローン39624;R&D Systems)で染色した。細胞を2%PFAで固定し、BD LSR IIフローサイトメーターで分析した。分析は、FlowJo v10ソフトウェア(Tree Star)を用いて行った。
【0134】
ヒトT細胞活性化マーカーおよび細胞内サイトカイン染色。活性化マーカーおよびサイトカインの分析のために、1x106ヒトGUCY2C指向CAR形質導入ヒトT細胞を、10μg/mLヒトGUCY2CまたはBSA対照抗原を含むPBSで4℃で一晩コーティングした組織培養プレートにより、またはCAR-T細胞のプレーティング時に添加した1X細胞刺激カクテル(PMA/イオノマイシン、eBioscience)により、6時間刺激した。すべての状態に、インキュベーション期間の開始時に1Xタンパク質輸送阻害剤カクテル(eBioscience)を含めた。細胞は、LIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stainキット(Invitrogen)を含むPBSで10分間染色し、その後抗CD8-Qdot 800(クローン3B5、Invitrogen)および抗CD69-APC(クローンL78、BD Biosciences)を含むPBS0.5%BSAを用いて25分間表面マーカーを染色した。細胞内サイトカイン染色は、Cytofix/Cytopermバッファーでの20分間固定、および抗GFP-Alexa Fluor 488(Invitrogen)、抗IFNγ-BV605(クローン4S.B3;BioLegend)、抗TNFα-PerCP-Cy5.5(クローンMab11;BD Biosciences)、および抗IL2-PE(クローンMQ1-17H12;BD Biosciences)を含むBD perm洗浄バッファーによる45分間の染色から構成されたBD Cytofix/Cytoperm Kit(BD Biosciences)を使用して行った。細胞を2%PFAで固定し、BD LSR IIフローサイトメーターで分析した。分析は、FlowJo v10ソフトウェア(Tree Star)を用いて行った。
【0135】
T細胞細胞傷害性アッセイ。xCELLigenceリアルタイム細胞性細胞毒性システム(Acea Biosciences Inc.)は、前述のようにCAR T細胞性細胞毒性の評価に利用した(12)。簡潔に説明すると、1x104 CT26またはCT26.hGUCY2Cまたは2.5x104 T84またはSW480癌細胞標的を、E-Plate 16(Acea Biosciences)の各ウェルに入れた150μLの成長培地にプレーティングし、37℃のインキュベーターで一晩成長させ、RTCA DPアナライザーシステムおよびRTCAソフトウェアバージョン2.0(Acea Biosciences Inc.)を使用して、15分ごとに電気インピーダンスを定量化した。T細胞実験は、マウスの場合は約24時間後、ヒトの場合は6時間後に、50μLのCAR-T細胞を添加する(マウスT細胞の場合はE:T比5:1、またはヒトT細胞の場合はE:T比10:1)か、またはそれぞれ陰性対照および陽性対照として、50μL培地を、または10%Triton-X 100(Fisher)を最終2.5%(v/v)Triton-X 100となるように添加した。細胞媒介殺傷は、15分ごとに電気インピーダンスを読み取り、次の10~20時間にわたって定量化した。特異的溶解値(%)は、各時点での各複製についてGraphPad Prism Software v6を使用して、正規化のために培地およびTriton-X 100を添加後、インピーダンス値を使用して計算した(それぞれ0%および100%の特異的溶解値)。あるいは、β-gal放出T細胞細胞傷害性アッセイは、β-ガラクトシダーゼを発現するCT26癌細胞標的(CT26.CL25)を利用した。癌細胞標的は、96ウェルプレートに2x105細胞/ウェルでプレーティングし、複数の漸増量のエフェクターCAR T細胞と癌細胞標的の比で37℃で4時間インキュベートした。放出されたβ-ガラクトシダーゼは、Galacto-Light Plus System(Applied Biosystems,Carlsbad,California)を使用して培地で測定した。最大放出は、供給された溶解緩衝液で溶解された細胞の上清から決定した。258%特異的溶解値=[(実験的放出-自然放出)/(最大放出-自然放出)]x100
【0136】
転移性腫瘍モデル。BALB/cマウスおよびNSG(NOD-scid IL2Rγnull)マウスは、それぞれNCI Animal Production Program(Frederick,MD)およびJackson Labs(Bar Harbor,ME)から入手した。動物プロトコルは、Thomas Jefferson University Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたものである。同系マウスモデルでは、肺転移を確立するために、5x105CT26.hGUCY2C細胞を含む100μLのPBSを尾静脈注射によってBALB/cマウスに注射した。示された日に、マウスは、PanTak、310kVe X線装置で5Gyの全身照射の非骨髄破壊的線量を受けた。マウスは、示された時点で、尾静脈によって、CD8+BALB/c T細胞を含む100μLのPBSから産生された示された用量のCAR-T細胞を受けた。癌細胞注射後18日目にマウスの生存を追跡するか、屠殺し、肺を墨汁で染色し、腫瘍を数えるためにFeketeの溶液で固定した。再チャレンジ実験では、ナイーブマウスまたはCAR-T細胞によって確立された腫瘍を取り除いたマウス(「生存マウス」と呼ばれる)に、尾静脈注射により5x105CT26またはCT26.hGUCY2Cを1回投与した。生存マウスは、再チャレンジ実験の16~40週間前に最初にチャレンジした。ヒト腫瘍異種移植モデルでは、NSG(23)マウス(JAXストック#005557)に腹腔内注射により2.5x106T84.fLuc細胞を含む100μLPBSを注射した。マウスは、癌細胞接種後14日目に、CD8+BALB/c T細胞を含む100μLPBSから産生された合計107のT細胞(CAR+で分類されていない)の用量の腹腔内注射を受けた。腫瘍の成長は、15mg/ml D-ルシフェリンカリウム塩(Gold Biotechnologies)を含む250μL PBS溶液の皮下注射と、Caliper IVIS Lumina-XR imaging station(Perkin Elmer)を使用して、8分間の曝露後に撮像して毎週281回モニターした。総放射輝度(光子/秒)は、Living Image In Vivo Imagingソフトウェア(Perkin Elmer)を使用して定量化した。
結果および考察
hGUCY2C CAR-T細胞
【0137】
ヒトGUCY2C(hGUCY2C)に特異的な組換え抗体(クローン5F9)は、精製されたhGUCY2C細胞外ドメイン(
図1パネルA)およびhGUCY2Cを発現するように設計されたマウスCT26結腸直腸癌細胞に結合したが、hGUCY2C欠損CT26癌細胞には結合しなかった(
図1パネルB)。5F9 scFvを使用して、BiPシグナル配列、CD8αヒンジ領域、細胞内CD28、4-1BB、およびCD3ζシグナル伝達部分を含む第三世代マウスCAR構築物(5F9.m28BBz)を生成し、レトロウイルス構築物に挿入した(
図1パネルC)。対照m28BBzまたは5F9.m28BBz CARコードレトロウイルスを使用して、マウスT細胞をGFP形質導入マーカーによる定量化で約35~45%の形質導入効率にて形質導入した(
図1パネルD)。hGUCY2C結合アビディティ(Kav=11.2nM)およびCAR発現(Bmax=957.8 MFI)は、CAR-T細胞を複数の漸増濃度の精製6xHisタグ付きhGUCY2CECDとインキュベートし、その後標識α5xHis抗体で検出し、フローサイトメトリーで評価することにより定量化したもので、マウスGUCY2Cに対して機能的反応性を示したCARと同等であった(12)(
図1パネルD~Eおよび配列番号1)。
hGUCY2C CARによるT細胞の活性化およびエフェクター機能の媒介
【0138】
対照m28BBzまたはhGUCY2C特異的5F9.m28BBz CAR構築物による精製マウスCD8
+T細胞の形質導入は、非形質導入細胞と比較してT細胞表現型に影響を与えることはなく(
図2パネルB)、メモリーおよびエフェクターの表現型の混合物[Tn/scm(CD62L+CD45RA+)、Tcm(CD62L+CD45RA-)、Tem(CD62L-CD45RA-)、およびTemra(CD62L-CD45RA+)]を産生し、これは、IL2の存在下で産生されたCAR-T細胞の他のCAR構築物と同様であった。hGUCY2C特異的であるが、対照ではないCAR-T細胞は、固定化されたhGUCY2CECDタンパク質またはCT26.hGUCY2C細胞(
図6および
図7のパネルAおよびB)で刺激したときに、活性化マーカーCD25、CD69、およびCD44をアップレギュレートし(
図2パネルC)、エフェクターサイトカインIFNγ、TNFα、IL2、およびMIP1αを産生した(
図2パネルD)。5F9.m28BBz CAR-T細胞をBSAまたはhGUCY2C欠損CT26細胞で刺激した場合、活性化マーカーおよびサイトカイン応答はなく、5F9.m28BBz CARによるT細胞の活性化が抗原依存性であることが確認された((
図2パネルC~D、
図6および
図7のパネルAおよびB)。5F9.m28BBz CAR-T細胞は、in vitroでhGUCY2C欠損CT26細胞に対して不活性であったが(
図2パネルE)、電気インピーダンスアッセイを使用して定量化させ(
図2パネルE)、β-ガラクトシダーゼ放出T細胞細胞傷害性アッセイで確認した(
図8パネルAおよびB)ところ、時間依存的なCT26.hGUCY2C細胞の死滅を示した(
図2パネルE)。
hGUCY2C CAR-T細胞は、転移性結腸直腸癌に対抗する。
【0139】
内因性免疫系は、腫瘍微小環境で免疫抑制を誘発し、長期持続に必要なリソースのために養子移入T細胞と競合する可能性がある。その文脈では、低用量全身照射(TBI)または化学療法などのリンパ球枯渇コンディショニングレジメンでは、免疫抑制細胞を排除し、IL7およびIL15などの恒常性サイトカインの競合を減少させることによって養子移入T細胞の有効性を高める。免疫担当マウスモデルおよび5Gy全身照射(TBI)の非骨髄破壊的線量を利用して、臨床治療レジメンを模倣した。免疫担当BALB/cマウスは、CT26.hGUCY2C細胞を尾静脈より受けて肺転移を引き起こし、3日後にTBIおよび複数の漸増用量のマウスCAR-T細胞で治療した(
図3パネルA)。hGUCY2C標的5F9.m28BBz CAR-T細胞では(対照ではない)、用量10
7T細胞でマウスの生存が改善した(
図3パネルA)。この用量は、癌細胞接種の7日後に投与した場合にも有効であり(
図3パネルB)、14日目に投与した2回目の用量は、7日目の単回投与と比較して生存期間中央値がさらに上昇した(150超vs93.5日、p<0.05;
図3パネルC)。癌細胞接種の18日後(治療後11日)に収集された肺には腫瘍結節が含まれ、5F9.m28BBz CAR-T細胞治療により肉眼的腫瘍が消失した一方で、対照マウスは肺転移に負けたことが確認された(
図3パネルD)。生存マウスがhGUCY2C発現腫瘍に対して持続的な保護を呈したかを判断するために、長期生存者(最初の癌細胞接種後161~282日)に対して尾静脈注射によって親CT26またはCT26.hGUCY2C細胞のいずれかでチャレンジし、hGUCY2C特異的保護を調査した(
図3パネルE)。CT26腫瘍は、一部のワクチン接種レジメンにおいて、防御的gp70特異的CD8+T細胞応答を生じさせるマウス白血病ウイルスに由来するgp70エンベロープタンパク質を保有することが知られている。親CT26癌細胞でチャレンジさせた長期生存およびナイーブマウスは、同一の死亡率を示し、長期生存マウスは、CT26細胞において発現したgp70または他の抗原に対する防御免疫応答を生じなかったことを示している(
図3パネルE)。逆に、長期生存マウスは、ナイーブ対照マウスと比較して、CT26.hGUCY2C癌細胞から保護されており、5F9.m28BBz CAR-T細胞がhGUCY2C発現腫瘍に対して持続的な保護をもたらすことを示している(
図3パネルE)。
hGUCY2C CAR-T細胞は、ヒト結腸直腸腫瘍を認識する。
【0140】
次に、hGUCY2C CAR-T細胞がヒト結腸直腸腫瘍においてネイティブhGUCY2Cを認識するかを判断した。組換えhGUCY2C特異的抗体5F9は、GUCY2C発現T84(
図4パネルA)の表面でhGUCY2Cを染色したが、GUCY2C欠損SW480(
図9パネルA)、ヒト結腸直腸癌細胞は染色しなかった。これに対応して、5F9.m28BBz CAR-T細胞は、in vitroにおいて、時間依存的にT84(
図4パネルB)癌細胞を溶解したが、SW480(
図9パネルB)癌細胞は溶解しなかった。対照CAR-T細胞は、いずれのタイプのヒト癌細胞も死滅させることはなく、これは、死滅が抗原依存性であることを示している(
図4パネルAおよび
図9パネルA)。ヒト5F9 CAR構築物(5F9.h28BBz)を発現するヒトT細胞は、GUCY2C刺激後にエフェクターサイトカインを産生し、hGUCY2Cを内因的に発現させるヒト結腸直腸癌細胞を死滅させた(
図10パネルA~C)。対照ではないhGUCY2C特異的CAR(5F9.m28BBz)発現マウスT細胞は、腹膜転移モデルにおいてT84ヒト結腸直腸腫瘍異種移植片を効果的に治療した(
図4パネルC~E)。一緒に、これらのデータは、5F9 scFvを用いて産生されたhGUCY2C特異的CAR構築物が、hGUCY2Cを内因的に発現するヒト結腸直腸腫瘍のT細胞媒介性殺傷を再指示できることを示した。
【0141】
結腸直腸腫瘍抗原を標的とする養子T細胞療法は、抗原の「オンターゲット、オフ腫瘍」毒性によって制限されている。GUCY2Cは、完全同系マウスモデルにおけるCAR-T細胞治療の潜在的な標的として以前に検証を行っており、このモデルでは、マウスGUCY2Cを標的とするCARが、正常なGUCY2C発現腸上皮への毒性がない場合に抗腫瘍効果を促進した。このモデルでは、ヒトGUCY2C特異的CARは、GUCY2C発現悪性腫瘍(NCT02202759、NCT02202785)の臨床試験で抗体薬物コンジュゲートとして現在使用されている抗体から産生され、マウスT細胞を使用した同系およびヒト結腸直腸腫瘍異種移植マウスモデルの両方において、T細胞の活性化、エフェクター機能および抗腫瘍効果を誘導する能力を示した。5F9 scFvから産生されたCARは、マウスGUCY2Cと交差反応しない(
図11パネルAおよびB)ため、マウスモデルにおいて腸毒性の定量化ができない。本明細書に記載のCARと前述のマウスCARの抗原認識ドメインの違い、およびマウスとヒトとの固有の違いは、マウスGUCY2C CAR-T細胞の安全性データにもかかわらず、ヒトへのGUCY2C CAR-T細胞投与の注意を示唆している。したがって、GUCY2C CAR-T細胞の使用を診療所に移す場合には、mRNAエレクトロポレーションまたは自殺遺伝子の取り込みによる一過性のCAR発現など、適切な安全対策を検討する必要がある。それにもかかわらず、GUCY2C標的CAR-T細胞は、好適な抗原標的がないことによって制限されるパラダイムであるT細胞療法の装備として魅力的な手段である。ヒトT細胞系のさらなる開発およびヒト臨床試験への変換後、GUCY2C CAR-T細胞療法は、米国では年間140,000人を超える死亡をもたらし、治療選択肢が限られている疾患設定である転移性胃腸悪性腫瘍の治療を変える可能性がある。
実施例2
【0142】
移入には、サイトカイン投与(主にIL-2)、CMA指向ワクチン接種および/または抗体療法、化学療法、シクロホスファミドによる宿主の前処置(preparative)リンパ球枯渇およびフルダラビン全身照射(TBI)、他の潜在的な補助療法など、様々な治療と組み合わせてもよい。
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