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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041804
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】外傷性脳傷害のバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6825 20180101AFI20240319BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240319BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240319BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240319BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240319BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240319BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALN20240319BHJP
【FI】
C12Q1/6825 Z
C12N15/09 200
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12N15/09 Z
C12Q1/6851 Z
C12N15/113 Z ZNA
C12Q1/6883 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220147
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2022116002の分割
【原出願日】2017-01-30
(31)【優先権主張番号】1603967.9
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】505047832
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ バーミンガム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベリ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ ピエトロ,バレンティナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法を提供する。
【解決手段】本方法は、被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む。miRNAは、miR-425-5p、miR-502、miR-21およびmiR-335から選択され得る。本方法は、被験体が軽度TBIまたは中等度~重度TBIに罹患しているかどうかを決定することを含み得る。また、TBIを診断および/またはモニタリングするためのセンサー素子、検出システム及びキット、ならびにTBIが疑われる被験体に対する適切な処置を決定する方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:
miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせ
からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、およびmiR-671-3p、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7gおよびmiR-335、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、およびmiR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-425-5p;miR-502;miR-21;およびmiR-335、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記TBIが軽度TBI(mTBI)であり、かつ前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-425-5pおよびmiR-502からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
miR-425-5pおよび/またはmiR-502のレベルが、所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下している場合に、前記被験体がmTBIを有すると診断される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記TBIが重度TBI(sTBI)であり、かつ前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-21およびmiR-335からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
miR-21およびmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、前記被験体がsTBIを有すると診断される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下のmiRNA:
(i) miR-425-5pおよびmiR-502から選択される、第1のmiRNA;および
(ii) miR-21およびmiR-335から選択される、第2のmiRNA
のレベルを決定するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
miR-425-5pもしくはmiR-502のレベルが、所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下しており、かつ、miR-21もしくはmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、前記被験体が、いずれかの重症度のTBIを有すると診断される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法がTBIを診断するためのものであり、かつ、前記少なくとも1種のmiRNAのレベルが、傷害後48時間以下で前記被験体から取得された体液サンプル中で決定される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記体液サンプルが、唾液、血液、血漿または血清を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記体液サンプルが唾液である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化されている基板を含む、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システム用センサー素子。
【請求項18】
前記プローブが核酸を含む、請求項17に記載のセンサー素子。
【請求項19】
前記核酸が、前記標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項18に記載のセンサー素子。
【請求項20】
前記基板が、金属、プラスチック、ガラス、シリカ、シリコン、黒鉛もしくはグラフェン、またはいずれかのその組み合わせから形成される、請求項17~19のいずれか1項に記載のセンサー素子。
【請求項21】
以下の構成要素:
・請求項17~20のいずれか1項に記載のセンサー素子;および
・前記プローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能である検出デバイスを備えた、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システム。
【請求項22】
標的miRNAに対して特異的な少なくとも1種のプローブを含む、被験体由来の体液サンプル中で外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法での使用のためのキット。
【請求項23】
以下のステップ:
被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップ;および
該少なくとも1種のmiRNAのレベルに基づいて、TBIを軽減させるための療法を施すことが適切であるか否かを決定するステップ
を含む、TBIを軽減させるための療法を被験体に施すことが適切であるか否かを決定するための方法。
【請求項24】
被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、該被験体がTBIを有するか否かを特定するステップを含む、TBIに罹患していることが疑われる被験体の適切な処置を決定する方法。
【請求項25】
前記被験体がTBIを有すると特定される場合に、適切な処置が、以下の処置:該被験体をさらに評価すること;該被験体を活動から除外すること;該被験体を病院または外来に収容すること;および該被験体に対して、TBIを軽減させるための療法を施すこと、のうちの少なくとも1つであると決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
それを必要とする被験体を処置する方法での使用のための、TBIを軽減させるための療法であって、該被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、該被験体がTBIを有すると特定される、上記療法。
【請求項27】
TBIを軽減させるための前記療法が、以下の療法:神経保護薬、鎮静剤;および昇圧蘇生(hypertensive resuscitation)の使用の回避のうちの少なくとも1種から選択される、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
標的miRNAに対して特異的なプローブを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法での使用のための組成物。
【請求項29】
複数のプローブを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項17~29のいずれか1項に記載のセンサー素子、検出システム、キット、方法または組成物。
【請求項31】
前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-425-5p;miR-502;miR-21;およびmiR-335、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、請求項30に記載のセンサー素子、検出システム、キット、方法または組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングするための組成物、キット、システムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、miRNAバイオマーカーを用いるTBIの診断およびモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
外傷性脳傷害(TBI)は、欧米諸国での45歳未満の死亡および身体障害の主な原因である。その医療費負担および社会的コストは上昇し続けることが予想され、世界保健機構は、2020年までに、TBIが全世界での身体障害の3番目に大きな原因となると見積もっている。
【0003】
多数の研究にもかかわらず、TBIの重症度を評価しかつ回復を予測するための信頼性のあるバイオマーカーは見出されていない。これは、現在でも臨床実務での評価が困難な軽度TBI(mTBI)について特に言えることである。TBI患者は、初めに、グラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Score)(GCS)および神経イメージング技術により評価されるが、これらは高価な機器を必要とし、現在の診断ツールは、脳傷害の実際の重症度を精密に規定および定量化する能力に欠けており、つまり、それにより、重度TBIは容易に検出されるが、症例のうちの大多数(75~90%)を占めるmTBIは容易には検出されない。
【0004】
mTBIの正確な診断は、繰り返されるmTBI、および反復されたTBIの相乗的作用により深刻なダメージおよび死亡さえも引き起こされる、セカンドインパクト症候群(SIS)として知られる劇的な形態の脳傷害のリスクが高い、スポーツ選手、軍人および小児などの患者では特に重要である。つまり、TBIの早期診断およびその重症度の評価は、患者の幸福のために、かつ最終的には患者の生命を救うために、非常に重要になる。
【0005】
TBIバイオマーカーに対する必要性は、マスメディアでのスポーツ脳震盪への注目の高まりにより、顕著な推進力を得てきた。ここ数年、多数の研究が、競技場脇またはスポーツ外来での臨床的意思決定をサポートできるバイオマーカーに焦点を当てている。しかしながら、文献中で報告されるタンパク質バイオマーカーは、特異度もしくは感度を欠いているか、または傷害後のしばらくの間は検出可能でない。これは、TBIの一形態である脳震盪後には、脳由来の化合物は非常に少量しか放出されず、かつ血液脳関門がほとんど閉鎖されたままであるという事実に起因する可能性がある。
【0006】
マイクロRNA(miRNA)は、標的遺伝子の3'UTR中の部分的に相補的な部位との対形成を介して、mRNA分解、翻訳抑制、またはそれらの両方を引き起こす、約22ヌクレオチド長の非常に保存された非コードRNA分子の大きなクラスである。ヒトゲノムは、2000種類を超えるmiRNAをコードし、これらはすべての遺伝子のうちの約60%を標的とする可能性がある。しかしながら、miRNAの豊富さにもかかわらず、それらの生体分子機能および病因への関与は完全には明らかになっていない。miRNAは、細胞周期、細胞代謝、アポトーシスおよび免疫応答をはじめとする多数の生物学的プロセスでの中心的役割を担い、かつ癌および神経変性疾患をはじめとする他の疾患状態の検出、特定および分類のための考えられるバイオマーカーとして、臨床研究での注目が高まってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はそれらの事柄を考慮して考案された。
【0008】
本発明は、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断またはモニタリングする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従えば、被験体由来のサンプル中での少なくとも1種のmiRNAの存在を検出し、かつ/またはそのレベルを決定するステップを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングするための方法が提供される。
【0010】
少なくとも1種のmiRNA(本明細書中では、「miR」とも称される)は、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629からなる群より選択することができる。これらのmiRNAは、本明細書中では、対象となるmiRNAまたは標的miRNAと称される場合がある。
【0011】
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、およびmiR-671-3pからなる群より選択される。これらのマイクロRNAは、すべてのTBI患者(軽度または重度)で発現されるバイオマーカーであることが見出されている。
【0012】
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7gおよびmiR-335からなる群より選択される。
【0013】
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、およびmiR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3pからなる群より選択される。
【0014】
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629からなる群より選択される。
【0015】
疑義を避けるために、「少なくとも1種のmiRNAがmiRNAの群より選択される」とは、本明細書中で用いる場合、問題となる方法が、診断目的、予後診断目的、または治療目的のいずれのために行なわれる場合であっても、列記されるmiRNAのうちのいずれか1種または列記されるmiRNAのうちのいずれかの複数種類(例えば、列記されるmiRNAのうちの2種、3種、4種、またはそれ以上)を用いて行なうことができることを意味すると理解されるであろう。その結果、列記されるmiRNAのうちのいずれか1種以上は、明示的に排除される場合がある。例えば、少なくとも1種のmiRNAがmiR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7gおよびmiR-335からなる群より選択される場合、本方法は、miR-335を排除して、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、およびmiR-let-7gのうちのいずれかの組み合わせを検出し、かつ/またはそのレベルを評価するステップを含むことができる。
【0016】
本発明の一態様に従えば、被験体由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法が提供され、このとき、miRNAは、miR-425-5p;miR-502;miR-21;およびmiR-335からなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-425-5pおよびmiR-502発現を示す図である。
図2】3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-21およびmiR-335発現を示す図である。
図3A】3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-425-5p発現の時間経過を示す図である。
図3B】3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-502発現の時間経過を示す図である。
図4A】3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-21発現の時間経過を示す図である。
図4B】3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-335発現の時間経過を示す図である。
【0018】
外傷性脳傷害は、外的な力が外傷性に脳を傷害する場合に生じる。例えば、重症度、傷害のタイプおよび予後に基づいて、TBIを分類するための種々のシステムがある。TBIを分類するために最も一般的に用いられるシステムは、グラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Scale)(GCS)であり、これは、刺激に対する、言語反応、運動反応および開眼反応に基づいて、3~15のスケールに人物の意識レベルを等級分けする。一般的には、13以上のGCSスコアを有するTBIが軽度であると定義され、9~12が中等度であると定義され、8以下が重度であると定義される。別のシステムであるメイヨー分類システムは、決定的な中等度~重度TBI、推定軽度TBI、およびTBIの可能性を含む、3種類の主な分類を有する。各診断では複数の基準が用いられ、この基準には、意識消失、外傷後健忘、頭蓋骨骨折、ならびに硬膜下血腫、脳挫傷、および出血性挫傷をはじめとする神経放射線学的異常の徴候を含む。GCSまたはメイヨーシステムを用いるTBIの分類は、当業者には公知であろう。
【0019】
本明細書中で用いる場合、「軽度」、「中等度」および「重度」TBIに対する言及は、GCSに従って行なわれる。「中等度~重度」TBIに対する本明細書中での言及は、GCSに従う中等度および重度TBIの両方を包含する。
【0020】
本発明のバイオマーカーを用いるTBIの診断および/またはモニタリングは、以下の状況をはじめとする様々な文脈での、臨床的意思決定および治療レジメンを補助することが予測される:神経外科的専門技術、大型の外傷センターまたは局所外傷ユニットを有する施設へと患者を搬送すべきか否かを決定するためのパラメディカルによる初期評価の一部として;CT脳スキャンの必要性をはじめとする、適切な処置を決定するために病院の救急部門で;選手を競技からはずすための意思決定および選手を病院に運ぶ必要性の評価を補助するために、競技場脇で;脳震盪イベントを確認し、かつ競技に復帰することに関する意思決定を可能にするために、スポーツ外来で;レスキュー隊を派遣し、かつ被害者を避難させる必要性を決定するために、戦闘状況下で。つまり、本発明が特定の利益を提供する被験体は、事故の被害者、スポーツ選手および軍人を含む。
【0021】
いずれの場合にも、特におそらくは被験体が比較的高いTBIのリスクを有する場合(例えば、被験体がプロスポーツ選手であるかまたは軍隊に入隊している場合)には、サンプルは、いずれかの既知または最近の外傷前の時点(例えば、スポーツキャリアの開始近くまたは軍隊派遣前)に被験体から取得することができ、かつ対象となるいずれかのmiRNAを、被験体がTBIを被った可能性がある時点またはその後に、評価することができる。そのようなサンプルは、それにより、内部参照標準を提供することができる。
【0022】
一部の実施形態では、被験体はヒトである。
【0023】
TBIは、軽度TBI(mTBI)、中等度TBIまたは重度TBI(sTBI)であり得る。一部の実施形態では、TBIは、中等度~重度TBI(m-sTBI)である。
【0024】
サンプル中のmiRNAまたは各miRNAのレベルは、定量的または半定量的に決定することができる。「定量的」とは、サンプル中のmiRNAもしくは各miRNAの絶対量または濃度が決定されることであると理解されるであろう。サンプル中のmiRNAまたは各miRNAの絶対量は続いて、所定の閾値(例えば、予測される正常レベルに関する公表された文献値)、健康被験体から採取された対照サンプル中の同一もしくは参照miRNAの既知レベル、または被験体から採取されたサンプル中の参照miRNAの量と比較することができる。一部の実施形態では、被験体は、miRNAのレベルが所定の閾値未満であるか、または参照サンプルもしくは対照サンプルと比較して低下している場合、TBIを有すると診断される。他の実施形態では、被験体は、miRNAのレベルが所定の閾値と比較して増大している場合に、TBIを有すると診断される。
【0025】
「半定量的」とは、対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルが、参照と比較して測定されることであると理解されるであろう。
【0026】
参照は、不変miRNA、すなわち、健康被験体とTBIを有する被験体との間で実質的に変化しないまま保たれる発現レベルを有するmiRNAであり得る。被験体は、対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルが、不変miRNAのものと比較して増大または低下している場合に、TBIに罹患していると診断することができる。好適な不変miRNAとしては、miR-331、miR-223*、miR-23a-3pおよびmiR148b-3pが挙げられる。miR-23a-3pおよびmiR148b-3pは、唾液中でのみ不変である。
【0027】
一部の実施形態では、被験体から取得されるサンプル中のmiRNAまたは各miRNAのレベルは、対照サンプルでのレベル、参照レベルまたは公開された値よりも、約0.01倍~約100倍、約0.05倍~約50倍、約0.1倍~約10倍、約0.5倍~約5倍、約1.0~約3倍、もしくは約1.5倍~約2.0倍、低いかまたは高いことができる。
【0028】
値を生成するためにデバイスまたは方法が用いられる場合、本発明者らは、記載された値および用いられるデバイスまたは方法に固有のその値のいずれかの変動量を獲得するために、用語「約」を用いて値を条件付けする場合がある。値または値の範囲が具体的に開示される場合、「約」は、記載される値または範囲の±10%を意味することができる。例えば、約10分は、9~11分を意味することができる。
【0029】
対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルは、当業者に公知の方法を用いて決定することができる。一部の実施形態では、対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルを決定するステップは、miRNAを増幅するステップを含む。一部の実施形態では、総miRNAは、標準的な技術を用いて、例えば、miRNeasy miniキット(Qiagen社)を用いて、サンプルからまず単離することができる。対象となるmiRNAの量を、続いて、決定することができる。一部の実施形態では、サンプル中の対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて決定される。例えば、定量的PCRを、対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルの定量的決定に用いることができる。PCRはまた、サンプル中の対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルを、参照(例えば、不変miRNA)のものと比較することにより、半定量的決定に用いることもできる。
【0030】
miRNA検出および/または定量に好適な技術としては、当業者には公知であろうが、qPCR、miRNAアッセイ、次世代シーケンシング(NGS)、およびマルチmiRNAプロファイリングアッセイが挙げられる。
【0031】
一部の実施形態では、対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルは、例えば、miRNAに特異的なプローブ(例えば、標識プローブ)を用いて、in-situハイブリダイゼーションを用いて決定される。
【0032】
miRNAのレベルは、傷害直後(すなわち、傷害後1時間未満)の被験体から取得されたサンプル、および/または傷害の数時間または数日後の1箇所以上の時点で取得されたサンプル中で決定することができる。つまり、miRNAレベルの変化は、TBIのモニタリングを可能にするために、経時的に検出することができる。miRNAレベルが経時的に変化する場合では、本明細書中に記載されるTBIをモニタリングするための方法が拡張されて、それに従って被験体の治療レジメンを維持または調整するステップを含むことができる。
【0033】
具体的なmiRNAおよびTBIの種類によっては、被験体でのmiRNAのレベルが、経時的に著明に変化する場合がある。一部の実施形態では、したがって、正確な診断を可能にするために、傷害後、比較的すぐにmiRNAを測定することが有利であり得る。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害後、72時間以下、48時間以下、36時間以下、24時間以下、12時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下または1時間以下の被験体から取得されたサンプル中で決定される。
【0034】
一部のmiRNAのレベルは、経時的に実質的に安定であるので、傷害から数時間、数日間または数週間後でさえも、診断を行なうことを可能にする。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害から最大で20、18、15、12、10、8、5または2日間までに被験体から取得されたサンプル中で決定される。
【0035】
一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害直後(例えば、T=0h)、傷害から4~12時間後、傷害から48~72時間後、または傷害から15日間後に被験体から取得されたサンプル中で決定される。
【0036】
一部の実施形態では、TBIは、軽度TBI(mTBI)または中等度~重度TBI(m-sTBI)であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAが、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、およびmiR-671-3pからなる群より選択される。
【0037】
一部の実施形態では、TBIは軽度TBI(mTBI)であり、かつmiRNAが、miR-425-5pおよびmiR-502からなる群より選択される。被験体は、miR-425-5pおよび/もしくはmiR-502のレベルが所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下している場合に、mTBIを有すると診断されることができる。
【0038】
一部の実施形態では、所定の閾値未満であるか、もしくは参照と比較して低下しているmiR-425-5pおよび/またはmiR-502のレベルは、傷害後48時間未満で取得されたサンプル中でレベルが決定される場合に、mTBIを診断するものである。
【0039】
一部の実施形態では、TBIは中等度~重度TBI(m-sTBI)であり、かつ、miRNAが、miR-21およびmiR-335からなる群より選択される。miR-21および/もしくはmiR-335のレベルが所定の閾値を超えていると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、被験体は、中等度~重度TBIを有すると診断されることができる。
【0040】
一部の実施形態では、所定の閾値を超えるか、もしくは参照と比較して増大しているmiR-21および/またはmiR-335のレベルは、傷害から最大15日間後までに取得されたサンプル中でレベルが測定される場合に、中等度~重度TBIを診断するものである。
【0041】
一部の実施形態では、TBIは中等度~重度TBI(m-sTBI)であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAが、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629からなる群より選択される。
【0042】
miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642および/もしくはmiR-99aのレベルが所定の閾値を超えていると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、被験体は、m-sTBIを有すると診断されることができる。
【0043】
miR-192、miR-429、miR-520D-3pおよび/もしくはmiR-629のレベルが所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下している場合に、被験体は、m-sTBIを有すると診断されることができる。
【0044】
miRNAは、TBIを診断するために、個別に用いることができる。例えば、スポーツ脳震盪では、miR-502またはmiR-425-5pを、外傷性脳傷害が生じていることを確認するために用いることができるであろう。
【0045】
つまり、本発明のさらなる態様は、TBIの重症度を決定する方法であり、本方法のステップは、経時的に被験体をモニタリングするために反復することができる。単一miRNAについての陽性結果(例えば、単一miRNAのレベルが、所定の閾値を超える/所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して増大/低下している)は、TBIの重症度を決定するためには十分であることが理解されるであろう。例えば、miR-425-5pのレベルが所定の閾値未満であるか、または参照と比較して低下している場合、TBIの重症度は軽度である(mTBI)と決定される。しかしながら、TBI重症度の評価を容易にするために、異なるmiRNAを組み合わせる(例えば、テストパネルで)ことが便利な場合がある。
【0046】
一部の実施形態では、本方法は、サンプル中の複数の(例えば、2種類以上の)miRNAのレベルを決定するステップを含む。一部の実施形態では、2種類以上のmiRNAは、miR-425-5p;miR-502;miR-21;およびmiR-335からなる群より選択される。
【0047】
一部の実施形態では、本方法は、以下のmiRNA:
(i) miR-425-5pおよびmiR-502から選択される第1のmiRNA;および
(ii) miR-21およびmiR-335から選択される第2のmiRNA
のレベルを決定するステップを含む。
【0048】
miR-425-5pもしくはmiR-502のレベルが所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下しているか、あるいはmiR-21もしくはmiR-335のレベルが所定の閾値を超えていると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、被験体は、TBIを有すると診断されることができる。
【0049】
一部の実施形態では、TBIは軽度TBI(mTBI)であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAが、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miRmmiR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p、miR-107、miR-135b-5p、miR-199b-5p、miR-324-5p、およびmiR-652-3p、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。参照と比較して、マイクロRNAのレベルの変化倍率が、少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも1.5、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも3.5または少なくとも4.0である場合に、被験体は、mTBIを有すると診断されることができる。一部の実施形態では、マイクロRNAのレベルが参照と比較して増大している場合に、被験体は、mTBIを有すると診断される。
【0050】
本明細書中に記載されるmiRNAに関する配列および登録番号が、表1に提供される:
【表1】
【0051】
簡便には、サンプルは、被験体から取得されたいずれかの適切な体液または組織サンプルであり得る。例えば、生物学的サンプルは、以下のサンプル:尿、唾液、全血、血漿、血清、喀痰、精液、糞便、鼻内スワブ、涙液、膣内スワブ、直腸スワブ、子宮頸部スメア、組織生検、および尿道スワブからなる群のうちの少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、サンプルは、体液サンプルである。好適には、サンプルは、尿、唾液、血液および喀痰などの、個体から容易に取得できるものである。一部の実施形態では、サンプルは、唾液、血液、血漿または血清を含む。一部の実施形態では、サンプルを取得するプロセスは、本明細書中に記載される本発明の一部分を形成しないことが、理解されるであろう。
【0052】
一部の実施形態では、サンプルは、血清を含むかまたは血清から構成される。血清は、実用的な利点を有するだけでなく、PCR反応の潜在的な阻害物質であるヘパリンなどの抗凝固成分も含まない。血清は、血漿と比較して、溶血の影響も受けにくい可能性がある。
【0053】
一部の実施形態では、サンプルは、唾液である。唾液は、専門家の訓練または医療設備を用いずに、患者から容易に取得することができる(例えば、競技場脇で、または野外で)。
【0054】
唾液中の、mTBIを示すものであることが見出されているmiRNAとしては:hsa-let-7ca-5p、hsa-let-7i-5p、hsa-miR-1421-3p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-15b-5p、hsa-miR-16-5p、hsa-miR-181a-5p、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-221-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-27b-3p、hsa-miR-29a-3p、hsa-miR-29c-3p、hsa-miR-340-5p、hsa-miR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199bが挙げられ、-5p;miR-324-5p;およびmiR-652-3pからなる群より選択される。
【0055】
miRNAのレベルは、傷害からの被験体の回復を追跡するために用いることができる。つまり、本発明は、初期診断の代替として、またはそれに加えて、TBIからの被験体の回復をモニタリングすることを包含する。
【0056】
一部の実施形態では、本方法は、TBIをモニタリングするステップを含み、少なくとも1種のmiRNAのレベルは、傷害から少なくとも2日間後、少なくとも3日間後、少なくとも5日間後、少なくとも7日間後、少なくとも10日間後または少なくとも14日間後に被験体から取得されたサンプル中で決定される。一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAのレベルは、傷害から15日間後に被験体から取得されたサンプル中で決定される。一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAのレベルは、傷害後の異なる時間間隔で取得された少なくとも2種のサンプル中で決定され、つまり、回復をモニタリングすることを可能にする。例えば、miRNAレベルは、傷害から7日間後および14日間後、または傷害から5日間後、10日間後および15日間後に決定することができるであろう。正常値へのmiRNAレベルの復帰は、TBIからの被験体の回復を示すものであり得る。
【0057】
一部の実施形態では、被験体は、miR-425-5pおよび/もしくはmiR-502のレベルがもはや所定の閾値未満でないか、またはもはや参照と比較して低下していない場合に、mTBIから回復したと決定される。
【0058】
一部の実施形態では、被験体は、miR-21および/もしくはmiR-335のレベルがもはや所定の閾値を超えていないか、またはもはや参照と比較して増大していない場合に、中等度~重度TBIから回復したと決定される。
【0059】
TBIに罹患している被験体の診断、特に軽度TBIまたは中等度~重度TBIの診断は、適切な処置の決定を促進する場合がある。つまり、本発明は、外科医、臨床医、パラメディカルなどの医療従事者、および非医療人(例えば、教師、スポーツコーチ、軍人)でさえも、TBIを有することが疑われる被験体に対する適切な行動を決意することを可能にする試験を提供する。TBIを有すると決定された被験体は、したがって、なされた診断の結果として、最も適切な処置を受けることができる。つまり、本発明の方法は、TBIを有すると診断された被験体に対して適切な療法を受けさせるステップをさらに含むことができる。
【0060】
TBIを有すると診断された被験体は、例えば、CTスキャンにより、さらに評価することができる。一部の実施形態では、被験体を病院に入院させる。一部の実施形態では、中等度~重度TBIが排除できる場合、被験体は、評価のために病院に入院する必要がない場合がある。中等度~重度TBIを有すると診断された被験体は、病院、または神経外傷専門技術を有する専門センターに入院することができる。
【0061】
病院環境外の、例えば、運動イベント中、戦闘中または競技中の、TBI(特にmTBI)を有すると診断された被験体は、競技または戦闘から速やかに除外されることができる。続いて、被験体に、競技または戦闘への段階的な復帰を開始させることができる。
【0062】
さらなる態様では、以下のステップ:
被験体由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップ;および
該少なくとも1種のmiRNAのレベルに基づいて、TBIを軽減させるための療法を施すことが適切か否かを決定するステップ
を含む、TBIを軽減させるための療法を被験体に施すことが適切か否かを決定するための方法が提供される。
【0063】
被験体に療法を施すステップが、具体的に明記されない限り、特許請求される方法の一部分を形成しないことが、理解されるであろう。
【0064】
一部の実施形態では、本方法は、適切な処置を被験体に施すステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、処置は、TBIを軽減させるための療法を含むことができる。したがって、本発明は、以下のステップ:(a) 被験体からサンプル(例えば、血液、血漿、血清、尿、または唾液のサンプル)を取得するステップ;(b) 1種以上のmiRNA(本明細書中に記載されるものから選択される)を検出するステップ;miRNAのレベルが参照標準(本明細書中に記載される通り)とは異なる場合に、TBIを有するものと患者を診断するステップ;およびTBIに対する処置を施すステップを含む、被験体でのTBIを診断および処置する方法を特徴とする。
【0065】
さらなる態様では、本発明は、被験体由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、被験体がTBIを有するか否かを特定するステップを含む、TBIに罹患していることが疑われる被験体に対する適切な処置を決定する方法を提供する。
【0066】
被験体がTBIを有すると特定される場合、適切な処置は、以下の処置:例えば、さらなる検査(例えば、言語検査、認知検査、運動検査および/または視覚検査)、CTおよび/またはMRIスキャンにより、被験体をさらに評価すること;被験体を活動(例えば、その最中にTBIが生じた活動)から除外すること;被験体を、病院または専門外来に収容すること;外科手術;およびTBIを軽減させるための療法を該被験体に施すことのうちの1つ以上を含むことができる。
【0067】
TBIを軽減させるための療法としては、神経保護薬、例えば、マンニトールおよび高張食塩液などの脳腫脹を治療するための薬物、ならびに/または昇圧蘇生(hypertensive resuscitation)の回避および鎮静剤の使用などの他の神経保護的手段が挙げられる。
【0068】
一部の実施形態では、被験体を、続いて、例えば、病院または臨床環境で、その回復を追跡するためにモニタリングすることができる。
【0069】
本発明のさらなる態様に従えば、以下のステップ:(a) 被験体からサンプルを取得するステップ;および(b) 標的miRNAに対して特異的なプローブと該サンプルを接触させることにより、該サンプル中の標的miRNAを検出し、かつ/またはそのレベルを決定するステップを含む、被験体での標的miRNAを検出し、かつ/またはそのレベルを決定する方法が提供される。
【0070】
サンプルは、上記で定義された通りの、被験体から取得されたいずれかの適切な体液または組織サンプルであり得る。一部の実施形態では、サンプルは、血液、血清、血漿、尿または唾液である。
【0071】
一部の実施形態では、本方法は、前記サンプル中の2種以上の標的miRNAのレベルを決定するステップを含むことができる。
【0072】
本発明のさらなる態様に従えば、それを必要とする被験体を処置する方法での使用のための、TBIを軽減させるための療法が提供され、このとき、該被験体は、該被験体由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、TBIを有すると特定されている。
【0073】
標的miRNAのレベルを決定するステップは、プローブを用いて官能化(functionalized)された基板、例えば、プローブを備えたチップと、サンプルを接触させるステップを含むことができる。基板またはチップは、便利なことには、異なる標的miRNAに対してそれぞれ特異的である複数のプローブを含むことができる。
【0074】
被験体は、傷害、特に頭部傷害に罹患していることができる。被験体は、TBIを有することが疑われている場合がある。一部の実施形態では、サンプルは、傷害後、72時間以下、48時間以下、36時間以下、24時間以下、12時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下または1時間以下で取得される。
【0075】
一部の実施形態では、本方法は、被験体を処置するステップをさらに含む。処置としては、以下の処置:例えば、さらなる検査(例えば、言語検査、認知検査、運動検査および/または視覚検査)、CTおよび/またはMRIスキャンにより、被験体をさらに評価すること;被験体を活動(例えば、その最中にTBIが生じた活動)から除外すること;被験体を、病院または専門外来に収容すること;およびTBIを軽減させるための療法を被験体に施すことのうちの1つ以上が挙げられる。一部の実施形態では、処置は、有効量の神経保護薬を投与することを含む。
【0076】
つまり、またさらなる態様では、本発明は、以下のステップ:
被験体由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップ;および
該少なくとも1種のmiRNAのレベルがmTBIを示すものである場合に、mTBIに対して適切な処置を施すステップ;または
該少なくとも1種のmiRNAのレベルがm-sTBIを示すものである場合に、m-sTBIに対して適切な処置を施すステップ
を含む、TBIを処置する方法を提供する。
【0077】
mTBIおよびm-sTBIに対しては、異なる処置経路が用いられ得ることは、当業者により理解されるであろう。
【0078】
mTBIに対する適切な処置としては、以下の処置:被験体を活動から除外すること;現場または地域内での処置;泊りがけの入院を含まずに、病院で被験体をさらに評価すること(典型的には、mTBI患者は、頭部傷害通知を得て迅速に退院する);または観察期間(典型的には1~2日間)にわたる病院への入院が挙げられる。被験体は、検査(例えば、言語検査、認知検査、運動検査および/または視覚検査)を用いてさらに評価することができる。CTスキャンは、一般的には、NICEガイドラインに従えば、頭蓋骨骨折の疑い、外傷後発作、局所神経障害、繰り返す嘔吐、当初の評価での13未満(小児に対しては14未満、または1歳未満の乳幼児に対しては15未満)のGCSスコアをはじめとする、特定の徴候が存在する場合にのみ、必要とされる。
【0079】
m-sTBIに対する適切な処置としては、以下の処置:MRIまたはCTスキャン(特に、傷害から1時間以内);病院への入院(集中治療室への収容および/または専門外来もしくは神経外科施設を有する大規模外傷センターへの移送を含む場合がある);神経モニタリング;外科手術;神経保護薬(例えば、マンニトールおよび高張食塩液などの脳腫脹を治療するための薬物)の投与、および/または昇圧蘇生の回避および鎮静剤の使用などの他の神経保護的手段などの、TBIを軽減させるための療法を施すことが挙げられる。
【0080】
つまり、本発明は、TBIを有する被験体が、mTBIまたはm-sTBIへと速やかに分類されることを可能にし、それにより、被験体は最も適切な処置を受けることができるようになる。
【0081】
本発明のさらなる態様に従えば、標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化された基板を含むセンサー素子を備えた、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システムが提供される。本検出システムは、プローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能な検出デバイスをさらに備えることができる。
【0082】
本発明のまたさらなる態様に従えば、標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化された基板を含む、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システム中での使用のためのセンサー素子が提供される。
【0083】
センサー素子は、その上にサンプル(例えば、体液サンプル)を受け入れるためのサンプル添加ゾーンをさらに含むことができる。
【0084】
プローブは、対象となるmiRNAに選択的に結合することが可能である。基板は、複数のプローブを用いて官能化されることができる。プローブは、すべて同一であり得、または2種類以上の異なるプローブを提供することができる。例えば、一部の実施形態では、基板は、第1のmiRNAに対して特異的な第1のプローブ、および第2のmiRNAに対して特異的な第2のプローブを用いて官能化することができる。第1および第2のプローブは、例えば、センサー素子の異なる部分の上で、一緒にグループ化することができる。
【0085】
本発明のさらなる態様では、標的miRNAに対して特異的なプローブを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法での使用のための組成物が提供される。本組成物は、列記されたmiRNAのうちのいずれか1種、または列記されたmiRNAのうちのいずれかの複数種類(例えば、列記されたmiRNAのうちの2種、3種、4種、またはそれ以上)を含むことができる。
【0086】
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629からなる群より選択される。
【0087】
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、およびmiR-671-3pからなる群より選択される。これらのマイクロRNAは、すべてのTBI患者(軽度または重度)で発現されるバイオマーカーであることが見出されている。
【0088】
一部の実施形態では、標的miRNAは、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7gおよびmiR-335からなる群より選択される。
【0089】
一部の実施形態では、標的miRNAは、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、およびmiR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3pからなる群より選択される。
【0090】
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629からなる群より選択される。
【0091】
一部の実施形態では、標的miRNAは、以下のmiRNA:miR-425-5p、miR-502、miR-21およびmiR-335からなる群より選択される。
【0092】
プローブは、タンパク質(例えば、抗体)または核酸などの生物学的分子を含み得る。一部の実施形態では、プローブは、核酸を含む。核酸は、標的miRNAの全長配列の相補体である配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%同一である配列を含むことができる。一部の実施形態では、核酸は、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して100%同一である配列を含む(すなわち、受容体が、標的miRNA配列の正確な相補体である核酸配列を含む)。
【0093】
プローブは、当業者に公知のカップリング化学によるものなどの、いずれかの好適な手段により、基板の表面に連結させることができる。一部の実施形態では、各プローブは、リンカーを介して基板の表面に連結される。一部の実施形態では、プローブは、基板上にプローブを固定化するための、または基板上に固定化されたリンカーにプローブを連結するための部分を含む。
【0094】
あるいは、またはこれに加えて、プローブは、検出可能な標識を含むことができる。検出可能な標識は、例えば、放射活性、蛍光性、発光性、または抗体ベースであり得る(例えば、慣用の四量体抗体または検出可能なその断片を構成することができる)。
【0095】
センサー素子の基板は、いずれかの好適な材料から形成することができる。一部の実施形態では、基板は、金属、プラスチック、ガラス、シリカ、シリコン、黒鉛、グラフェン、もしくはいずれかのそれらの組み合わせを含むか、またはそれから形成される。一部の実施形態では、基板は、複数の層を含む。例えば、基板は、炭化ケイ素もしくはシリカの層上にグラフェンの表面または層を形成することにより作製することができる。グラフェン表面は、例えば、酸化グラフェン(GO)またはグラフェンアミン(graphene-amine)(GA)へと、化学的に修飾されていることができる。エピタキシャル成長および昇華成長などの、グラフェン層を形成するための方法は、当業者に公知であろう。
【0096】
慣用的には、核酸を含むかまたは核酸から構成されるプローブは、アミノカップリング試薬(例えば、(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU))を用いて、リンカーを介してGO表面に連結することができる。核酸プローブを用いて官能化された表面を含むセンサー素子は、続いて、それに相補的なmiRNAを選択的に検出するために用いることができる。
【0097】
好適なリンカーは、アニリン部分(またはその誘導体)、安息香酸部分(またはその誘導体)またはエテンジアミン部分(またはその誘導体)を含むことができる。アニリンリンカーは、グラフェン表面に(例えば、ジアゾニウム塩を用いて)ニトロベンゼン分子(または誘導体)を連結させるステップ、およびニトロベンゼンをアニリンへと還元するステップにより、形成することができる。続いて、アニリンのアミン基を、プローブに連結するために用いることができる。同様に、ジアゾニウム塩(例えば、4-安息香酸ジアゾニウムテトラフルオロボレート)を、安息香酸または安息香酸誘導体をグラフェン表面に連結させるために用いることができる。エタンジアミン部分を、カルボキシル化グラフェンまたは酸化グラフェンに連結することができる。
【0098】
センサー素子は、試験紙内に含まれることができる。試験紙は、使い捨てであり得る。
【0099】
検出デバイスは、当業者に公知のいずれかの好適な手段により、例えば、電気インピーダンスの変化、水素イオン濃度、またはハイブリダイゼーションにより生じるコンホメーション変化を検出することにより、受容体への標的miRNAの結合を検出するために構成することができる。
【0100】
検出デバイスは、ユーザーにデータを出力するユーザーインターフェースをさらに備えることができる。
【0101】
一部の実施形態では、検出デバイスは、処置情報のデータベースを備える。デバイスは、対象となるmiRNAまたは各miRNAのレベルに応じて、データベースから好適な処置オプションを特定することが可能であり得る。処置情報は、ユーザーインターフェースを介してユーザーに提供されることができる。
【0102】
便利なことには、検出デバイスは、携帯可能、例えば、手持ち式であり得る。検出デバイスは、miRNAレベルおよび被験体に関する他の情報を格納するためのデータ格納ユニットを備えることができる。一部の実施形態では、デバイスは、他のデバイスに対してデータを通信するためのデータ通信手段を含む。例えば、デバイスは、WiFi、3G、4G、Bluetooth(登録商標)、または他のモバイルアプリを介して、無線でデータを通信することができる。このことは、便利なことに、必要であれば、医療専門家が容易にデータにアクセスすることを可能にし得る。
【0103】
つまり、本発明の検出デバイスは、手頃であり、携帯可能であり、非侵襲的にTBIを診断およびモニタリングするためのPOC(point of care)手段を提供することが予想される。デバイスは、救急隊員、軍隊、学校、スポーツクラブおよび医療専門家により用いられて、それにより、TBIを有することが疑われる患者の正確な評価およびトリアージを可能にすることができる。
【0104】
さらなる態様では、本方法での使用のためのキットが提供される。キットは、対象となるmiRNAに選択的に結合することが可能であるプローブ(例えば、抗体などのタンパク質、または核酸)を少なくとも含むことができる。一部の実施形態では、キットは、複数のプローブを含むアレイを含む。一部の実施形態では、少なくとも1種のプローブは、PCRを行なうためのプライマーである。キットは、使用説明書、例えば、TBIの診断および/またはモニタリングでの使用のための取扱説明書をさらに含むことができる。キットは、増幅プライマーおよび酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、miRNAからcDNAへの変換のための逆転写酵素)などの、好適なバッファーおよび試薬をさらに含むことができる。
【0105】
本発明のいずれかの態様と関連して本明細書中に行なわれる記述は、適切な場合、本発明のいずれかの他の態様に等しく適用できることが理解されるであろう。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法。
[実施形態2]前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:
miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせ
からなる群より選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、およびmiR-671-3p、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態4]前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7gおよびmiR-335、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
[実施形態5]前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、およびmiR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態6]前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態7]前記少なくとも1種のmiRNAが、以下のmiRNA:miR-425-5p;miR-502;miR-21;およびmiR-335、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態8]前記TBIが軽度TBI(mTBI)であり、かつ前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-425-5pおよびmiR-502からなる群より選択される、実施形態7に記載の方法。
[実施形態9]miR-425-5pおよび/またはmiR-502のレベルが、所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下している場合に、前記被験体がmTBIを有すると診断される、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]前記TBIが重度TBI(sTBI)であり、かつ前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-21およびmiR-335からなる群より選択される、実施形態7に記載の方法。
[実施形態11]miR-21およびmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、前記被験体がsTBIを有すると診断される、実施形態10に記載の方法。
[実施形態12]以下のmiRNA:
(i) miR-425-5pおよびmiR-502から選択される、第1のmiRNA;および
(ii) miR-21およびmiR-335から選択される、第2のmiRNA
のレベルを決定するステップを含む、実施形態7に記載の方法。
[実施形態13]miR-425-5pもしくはmiR-502のレベルが、所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下しており、かつ、miR-21もしくはmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または参照と比較して増大している場合に、前記被験体が、いずれかの重症度のTBIを有すると診断される、実施形態12に記載の方法。[実施形態14]前記方法がTBIを診断するためのものであり、かつ、前記少なくとも1種のmiRNAのレベルが、傷害後48時間以下で前記被験体から取得された体液サンプル中で決定される、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
[実施形態15]前記体液サンプルが、唾液、血液、血漿または血清を含む、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
[実施形態16]前記体液サンプルが唾液である、実施形態15に記載の方法。
[実施形態17]標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化されている基板を含む、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システム用センサー素子。
[実施形態18]前記プローブが核酸を含む、実施形態17に記載のセンサー素子。
[実施形態19]前記核酸が、前記標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも80%同一である配列を含む、実施形態18に記載のセンサー素子。
[実施形態20]前記基板が、金属、プラスチック、ガラス、シリカ、シリコン、黒鉛もしくはグラフェン、またはいずれかのその組み合わせから形成される、実施形態17~19のいずれかに記載のセンサー素子。
[実施形態21]以下の構成要素:
・実施形態17~20のいずれかに記載のセンサー素子;および
・前記プローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能である検出デバイスを備えた、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システム。
[実施形態22]標的miRNAに対して特異的な少なくとも1種のプローブを含む、被験体由来の体液サンプル中で外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法での使用のためのキット。
[実施形態23]以下のステップ:
被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップ;および
該少なくとも1種のmiRNAのレベルに基づいて、TBIを軽減させるための療法を施すことが適切であるか否かを決定するステップ
を含む、TBIを軽減させるための療法を被験体に施すことが適切であるか否かを決定するための方法。
[実施形態24]被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、該被験体がTBIを有するか否かを特定するステップを含む、TBIに罹患していることが疑われる被験体の適切な処置を決定する方法。
[実施形態25]前記被験体がTBIを有すると特定される場合に、適切な処置が、以下の処置:該被験体をさらに評価すること;該被験体を活動から除外すること;該被験体を病院または外来に収容すること;および該被験体に対して、TBIを軽減させるための療法を施すこと、のうちの少なくとも1つであると決定される、実施形態24に記載の方法。
[実施形態26]それを必要とする被験体を処置する方法での使用のための、TBIを軽減させるための療法であって、該被験体由来の体液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、該被験体がTBIを有すると特定される、上記療法。
[実施形態27]TBIを軽減させるための前記療法が、以下の療法:神経保護薬、鎮静剤;および昇圧蘇生(hypertensive resuscitation)の使用の回避のうちの少なくとも1種から選択される、実施形態24~26のいずれかに記載の方法。
[実施形態28]標的miRNAに対して特異的なプローブを含む、被験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングする方法での使用のための組成物。
[実施形態29]複数のプローブを含む、実施形態28に記載の組成物。
[実施形態30]前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態17~29のいずれかに記載のセンサー素子、検出システム、キット、方法または組成物。
[実施形態31]前記miRNAが、以下のmiRNA:miR-425-5p;miR-502;miR-21;およびmiR-335、またはいずれかのその組み合わせからなる群より選択される、実施形態30に記載のセンサー素子、検出システム、キット、方法または組成物。
【0106】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態を、ここで、例として、かつ添付の図面を参照して、説明する。
【0107】
図1:3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-425-5pおよびmiR-502発現を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、10名のHV、10名のmTBI+EC(1日間)、10名のmTBI+EC(15日間)、10名のEC(1日間)、10名のEC(15日間)、10名のsTBI+EC(1日間)および10名のsTBI+EC(15日間)患者での、miR-425-5pおよびmiR-502発現。miR-425-5p発現は、mTBI+EC(1日間)で、HV(p<0.01)、mTBI+EC(15日間)(p<0.001)およびsTBI+EC(1日間)(p<0.01)と比較して、顕著に低下していることが見出された(図1A)。miR-502発現は、mTBI+EC(1日間)で、HV(p<0.05)、mTBI+EC(15日間)(p<0.01)およびsTBI+EC(1日間)(p<0.05)と比較して、顕著に低下していることが見出された(図1B)。
【0108】
図2:3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-21およびmiR-335発現を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、10名のHV、10名のmTBI+EC(1日間)、10名のmTBI+EC(15日間)、10名のEC(1日間)、10名のEC(15日間)、10名のsTBI+EC(1日間)および10名のsTBI+EC(15日間)患者でのmiR-21およびmiR-335発現。miR-21発現は、sTBI+EC(1日間および15日間)で、HV(p<0.01)と比較して、有意にアップレギュレーションされていることが見出された(図2A)。miR-335発現は、sTBI+EC(1日間)で、HV(p<0.001)、EC(15日間)(p<0.001)およびmTBI+EC(1日間)(p<0.05)と比較して、顕著にアップレギュレーションされていることが見出された(図2B)。
【0109】
図3A:3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-425-5p発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)でのmiR-425-5p発現。miR-425-5p発現は、mTBI+EC(T0およびT4~12h)で、HV、sTBI+ECおよびEC(p<0.05)と比較して、顕著に低下していることが見出された。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*: HVと有意に異なる。
【0110】
図3B:3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-502発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)でのmiR-502発現。miR-502発現は、mTBI+EC(T0およびT4~12h)で、HV、sTBI+ECおよびEC(p<0.05)と比較して、顕著に低下していることが見出された。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*:HVと有意に異なる。
【0111】
図4A:3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-21発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、および30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)での、miR-21発現。miR-21発現は、sTBI+EC(T4~12h、T48~72hおよび15日間)で、HV(p<0.01)と比較して、有意にアップレギュレーションされていることが見出された。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*:HVと有意に異なる。
【0112】
図4B:3種類の異なる分類の外傷およびHVでのmiR-335発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、および30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)での、miR-335発現。miR-335発現は、sTBI+EC(T0、T4~12h、T48~72hおよび15日間)で、HVおよびmTBI+EC(p<0.001)と比較して、顕著にアップレギュレーションされていることが見出されたが、ECのみとの比較では顕著にアップレギュレーションされていなかった。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*:HVと有意に異なる。
【実施例0113】
miRNAが、一定範囲の様々な病的状態での有望なバイオマーカーであることが分かってきたので、本発明者らは、TBIでのそれらの役割を探ろうと試みた。
【0114】
実施例1
材料および方法
患者およびサンプル採取
研究への参加者は、バーミンガムのクイーン・エリザベス病院(UK)の外科的再建・微生物学研究センター(Surgical Reconstruction and Microbiology Research Centre(SRMRC))から、外傷後脳バイオマーカー(ゴールデンアワー研究)研究(Ethics Ref. 13/WA/0399)の一部分として募集された。
【0115】
まず、本発明者らは、軽度TBIと重度TBIとを鑑別し、かつ15日間後のmTBIの回復を予測することができる特異的候補バイオマーカーを選択する目的で、5名の頭蓋外傷害(extra-cranial injury)(EC)を有するmTBI患者、5名のsTBI+EC傷害患者および健康ボランティア(HV)で、傷害から1日間および15日間での、754種類のmiRNAのスクリーニングを行なった。この情報に基づいて(表2)、次に、以下の4種類の異なる分類に分けられる40名の個体の患者の拡大コホートでの研究の結果を確認することが可能であった:HV(n=10)、EC(n=10)、mTBI+EC(n=10)、sTBI+EC(n=10)。健康ボランティアは、同意して、RECOS研究に参加した。EC傷害患者は、放射線で確認された骨折を有し、頭部外傷なし、感染症なし、神経学的障害または精神科障害の病歴なし、およびアルコールまたは薬物依存なしであった。ECを有する軽度TBIには、非穿通性頭部外傷およびグラスゴーコーマスケール(GCS)スコア>13を有する患者が含められた。ECを有する重度TBIには、GCSスコア8以下の患者が含められた。すべての患者は、HVに対して、性別および年齢を適合させた。
【0116】
サンプル処理
末梢血サンプルは、各患者で、傷害から1日間および15日間で取得された。血液サンプルは、採血後2時間以内に血清単離のために処理された。全血を、室温で30分間静置し、続いて4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した。血清をアリコートに分け、分析まで-80℃で保存した。
【0117】
RNA単離、逆転写およびTaqMan Low Densityアレイ(TLDA)によるmiRNAのプロフィール作成
初期スクリーニング(発見セット)を、5名のmTBI+EC患者および5名のsTBI+EC患者に対して行ない、これを2つの異なる時点で(傷害から1日間および15日間)、HVと比較した。これらの患者の血清を用いて、754種類のmiRNAのトランスクリプトームのプロフィールを作成した。血清サンプルを、2000rpmで10分間遠心分離してペレットにし、循環細胞または残渣を取り出した。miRNAを、Qiagen miRNeasy miniキット(Qiagen社、GmbH、Hilden、Germany)を血清および血漿からの小分子RNAの精製のためのQiagenの補足プロトコールに従って用いることにより、400μLの血清サンプルから抽出し、30μL体積のRNase不含水中に最終的に溶出させた。得られたRNAの濃度および純度は、ND-1000 UV-Vis分光光度計(NanoDrop)を用いて決定した。20ngの血清RNAを、製造業者の取扱説明書に従って、レトロ転写(retrotranscribed)および予備増幅した。予備増幅産物を、TLDAにロードした(TaqMan Human MicroRNAアレイv3.0 AおよびB(Applied Biosystems LifeTechnologiesTM))。TLDAでのPCRは、7900HT Fast RealTime PCRシステム(Applied Biosystem、LifeTechnologiesTM)を用いて行なった。
【0118】
データ解析
正確なmiRNAプロフィールを得るために、本発明者らは、包括的中央値標準化法(global median normalization method)を用いた。マイクロアレイ分析と同様に、各サンプル由来のCt値を、アレイの中央値Ctに対して標準化した。さらに、各アレイのCt中央値および平均ならびに各miRNAのCt間でのピアソン補正を計算することにより、本発明者らは、TLDAの中央値および平均に近似した発現プロフィールを示した2種類のmiRNA、すなわち、miR-331およびmiR-223*を特定した。これらのmiRNAは、2種類の異なる方法:DataAssistv.3software(AppliedBiosystem Life TechnologiesTM)およびgeNormアルゴリズムを適用することにより、TLDAでは最も安定なものに入ることも確認された。したがって、miR-331およびmiR-223*が、単一TaqManアッセイによる検証のための参照遺伝子として用いられた。発現変化倍率は、2-ΔΔCT法により算出された。示差的に発現されるmiRNA(DE miRNA)を、Multi実験ビューワーv4.8.1により、ΔCt間の対応のない二項分類検定(two-class unpaired test)を適用し、かつ100順列に基づくp値を用いて、マイクロアレイ分析の有意性(Significance of Microarrays Analysis(SAM))により特定し;補完エンジン:K-最近傍(10近傍);誤発見率<0.15を、多重比較のための補正として用いた。本発明者らは、すべての内因性対照を用いることによるのと一致して、DE miRNAのみが信頼性が高いと認めた。
【0119】
単一TaqManアッセイ
軽度TBIと重度TBIとを鑑別し、かつ軽度TBIの回復をモニタリングする目的で、10種類の示差的に発現されるmiRNAを、考えられる候補バイオマーカーとしてアレイから選択した。これらの候補を用いて、単一TaqManアッセイ(AppliedBiosystems、Life TechnologiesTM)により、2種類の異なる時点(傷害から1日間および15日間)での3種類の異なる分類(mTBI+EC、sTBI+ECおよびECのみ)に分けられる30名の患者(検証セット)および10名の対照(HV)の拡大コホートでのデータを検証した。上記の通りに、サンプルを抽出およびレトロ転写し、Bio-Rad iQ5 Real-time PCR Detectionシステム(Bio-Rad社、CA、USA)でRT-qPCR分析を行なった。発現変化倍率は、2-ΔΔCT法により算出した。
【0120】
統計解析
データを、正規分布に関してチェックし、パラメトリック検定を行なうために変換した。各時点での群間および経時的な群内での比較を、一元配置分散分析およびテューキーの事後検定により、変換されたデータに対して行なった。受信者動作特性分析を用いて、曲線下面積(AUC)として表わした、mTBIまたはsTBIのいずれかの診断での各バイオマーカーの感度および特異度を算出した。すべての解析は、SPSS v.20(IBM社)を用いて行なった。p値が0.05未満である場合に差異が統計学的に有意であると見なされた。
【0121】
結果
TaqMan Low Densityアレイ(TLDA)による発現プロフィール
TLDAの754種類のスクリーニング可能なmiRNAから、本発明者らは、10種類の循環型miRNA(1日間)および13種類(15日間)をmTBI+ECで、19種類(1日間)および22種類(15日間)をsTBI+ECで、示差的に発現されていると特定した(表2)。このリストから、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*およびmiR-671-3pは、それらが患者のうちの大多数で発現されていたため、軽度または重度外傷のみに関する好適な候補バイオマーカーではないので、さらなる解析からは除外された。しかしながら、上記のマイクロRNAは、いずれの重症度のTBIでも特定することができ、したがって、有用なTBIバイオマーカーである。一方で、miR-184、miR-301b、miR-502およびmiR-505は、mTBI+EC(1日間)で特有にかつ示差的に発現され、mTBIの初期候補バイオマーカーとして選択された。加えて、mTBI+EC後15日間で示差的に発現されるmiR-203、miR-425-5p、miR-654-3pおよびmiR-655は、mTBIの回復を追跡することができる候補バイオマーカーとして選択された。
【0122】
最後に、sTBI+ECでの両方の時点で定常的に発現される2種類のmiRNAである、miR-21およびmiR-335が、さらなる研究のために選択された。
【0123】
【表2】
【0124】
mTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
これらの知見を検証するために、本発明者らは、続いて、単一TaqManアッセイを用いて、2つの選択された時点(傷害から1日間および15日間)での、3種類の別個の独立した群(10名のmTBI+EC、10名のsTBI+EC、10名のEC)での選択されたmiRNAの発現を調べた。結果を、10名のHVと比較した。変化倍率は、miR-331およびmiR-223*を参照遺伝子として用いて、2-ΔΔCT法により算出した。
【0125】
両方の時点でのmTBIの候補バイオマーカー(miR-184、miR-301b、miR-502、miR-505、miR-203、miR-425-5p、miR-654-3pおよびmiR-655)の中では、2種類が興味深い結果を示し、かつHVと比較して3種類の異なる分類で有意かつ示差的に発現した。特に、miR-425-5pおよびmiR-502は、似通った傾向を示した(図1)。それらは両方とも、HV(p<0.001)、EC(p<0.001)およびsTBI+EC(p<0.001)とそれぞれ比較して、傷害から1日間で、mTBI+ECで有意にダウンレギュレーションされていた(平均0.387±0.201および0.314±0.146)。軽度傷害から15日間では、miR425-5pおよびmiR-502は、正常レベルに戻った(0.886±0.310および1.157±0.258)。miR-425-5pおよびmiR-502の発現はまた、傷害から1日間および15日間のECサンプルではHVと類似することも見出され、このことは、これらの2種類のバイオマーカーが、脳傷害患者のみで示差的に発現されることを示唆する。さらに、それらのうちのいずれも、両方の時点で、HVと比較して、sTBI+ECでは有意差を示さなかった。したがって、miR-425-5pおよびmiR-502は、外傷から15日間でのmTBIの初期診断およびモニタリングのための最も有望な候補バイオマーカーであると見なすことができるであろう。これらのバイオマーカーについてのAUCを、表3に示す。
【0126】
sTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
それらの両方が、初期スクリーニングでのsTBI+ECの両方の時点でアップレギュレーションされていたことが明らかになったので、miR-21およびmiR-335を、sTBIの考えられるバイオマーカーとして分析した。これらは、第2の患者のデータセットでも同様に、強力な候補であることが示された(図2)。miR-21は、ECを有するsTBIでの両方の時点で、HV(p、0.001)、EC(p<0.001)およびmTBI(p<0.001)に対して、有意にアップレギュレーションされた(7.106±4.192および4.012±1.577)。HVと比較して、残余の分類では有意差が見出されなかった。miR-335は、sTBI+ECで、かつ両方の時点でのアップレギュレーションを示した(それぞれ、16.824±14.195および12.324±8.931)。1日目には、これらの群は対照(p=0.001)およびmTBI+EC(p=0.031)とは有意に異なったが、ECとは有意に異ならなかった。興味深いことに、EC患者での有意なアップレギュレーションは、1日目では見られたが(7.951±4.870)、傷害から15日間では見られなかった(1.260±0.531)。この理由のために、15日目では、miR335は、HV(p=0.002)、EC(p=0.007)およびmTBI+EC(p=0.001)に対して、sTBI+EC群で有意に高かった。miR-335は、HVと比較して、両方の時点で、mTBI+ECではいかなる有意差も示さなかった。これらのバイオマーカーについてのAUCもまた、表3に示す。
【0127】
【表3】
【0128】
考察
本研究では、miRNAのレベルでの変化が、TBIの診断、およびその重症度の評価に適用できるか否かを調べた。4種類のmiRNAが、TBIで示差的に発現されるものと特定された:miR-425-5p、miR 502、miR-21およびmiR-335。
【0129】
miR-425-5pは、HVと比較して、mTBI+ECでの1日目で有意な結果を示し、同様の結果が、すべての他の分類で得られた。軽度傷害からの最初の24時間以内でのそのダウンレギュレーションおよび15日間後での正常レベルへの復帰により、miR-425-5pは、軽度外傷の好適な候補バイオマーカーとなる。
【0130】
miR-502もまた、mTBI+ECで示差的に発現されることが見出された。このmiRNAの傾向は、 miR-425-5pと非常に似通っていた。このmiRNAは、脳傷害患者に対する特異性を示し、かつ、軽度傷害から15日間後に正常値に戻るので、回復を追跡するためにも用いることができるであろう。
【0131】
sTBI後には、2種類のmiRNA(miR-21、miR-335)が、1日間および15日間の両方で発現されることが着目され、つまり、sTBIに関する考えられるバイオマーカーとして選択された。miR-21およびmiR-335は、sTBI+ECでは、対照と比較した場合に、両方の時点で有意にアップレギュレーションされた。したがって、過剰発現は、アレイの結果を確認し、かつsTBIのバイオマーカーとしてのこれらの分子の可能性を示した。
【0132】
miRNAの選択されたパネルは、正確にTBIを診断する能力を有し、かつ、その重症度に従った患者の階層化を可能にし、したがって、最も適切な処置の提供を可能にする。
【0133】
実施例2
患者およびサンプル採取
研究の参加者は、バーミンガムのクイーン・エリザベス病院(UK)の外科的再建・微生物学研究センター(Surgical Reconstruction and Microbiology Research Centre(SRMRC))から、SIR(リハビリテーションを通した傷害からのステロイドおよび免疫;Steroids and Immunity from injury through to Rehabilitation)研究(Ethics Ref. 11/SW/0177)、ReCoS(スポーツでの反復される脳震盪;REpetitive COncussion in Sport)研究(Ethics Ref. 11-0429AP28)およびゴールデンアワー研究(Ethics Ref. 13/WA/0399)の一部分として募集された。書面によるインフォームドコンセントを参加者から、または法的に有効な委任状(家族または研究に直接関与しない専門家)を、研究へと組み入れる前に受領した。
【0134】
第2のサンプルのデータセットは、4種類の異なる分類:HV(n=30)、EC(n=30)、mTBI+EC(n=30)、sTBI+EC(n=30)に分けられた合計120名の個体由来の血清サンプルを用い、各患者で、異なる時点(T0~1h、T4~12h、T48~72h、15日間)で血液を採取した。健康なボランティアは、同意して、ReCoS研究に参加した。EC傷害患者は、放射線で確認された整形外科的骨折を有し、頭部外傷なし、感染症なし、神経学的障害または精神科障害の病歴なし、およびアルコールまたは薬物依存なしであった。ECを有する軽度TBIには、非穿通性頭部外傷およびグラスゴーコーマスケール(GCS)スコア≧13を有する患者が含められた。ECを有する重度TBIには、GCS≦8の患者が含められた。
【0135】
サンプル処理
血液サンプルは、採血後2時間以内に血清単離のために処理された。全血を、室温で約30分間静置し、続いて4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した。血清をアリコートに分け、分析まで-80℃で保存した。
【0136】
RNA単離、データ分析、アッセイおよび統計学的解析は、実施例1に記載された通りに行なった。
【0137】
結果
mTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
実施例1での知見を検証するために、3種類の別個の独立した群(30名のmTBI+EC、30名のsTBI+EC、30名のEC)での選択されたmiRNAの発現を、種々の時点(傷害からT0、T4~12h、T48~72hおよび15日間)で、単一TaqManアッセイを用いて測定した。結果を、10名のHVと比較した。変化倍率は、miR-331およびmiR-223*を参照として用いて、2-ΔΔCT法により算出した。
【0138】
両方の時点でのmTBIの候補バイオマーカー(miR-184、miR-502、miR-505、miR-301b、miR-203、miR-425-5p、miR-654-3pおよびmiR-655)の中では、2種類のみが興味深い結果を示し、かつHVと比較して3種類の異なる分類で有意かつ示差的に発現された。具体的には、miR-425-5pおよびmiR-502は、似通った傾向を示した(図3)。これらは、両方ともmTBI+ECでダウンレギュレーションされており、HVまたはECおよびsTBI+EC(p<0.05)と比較して、miR-425-5pは、それぞれT0~1h(p=0.01845)、およびT4-12h(p=0.01962)で、およびmiR-502は、HVと比較してT0~1hおよびT4~12hで(それぞれ、p=0.02538およびp=0.03718)、またはECおよびsTBI+EC(p<0.01)と比較してダウンレギュレーションされた。軽度傷害の48時間後には、miR425-5pおよびmiR-502は、正常レベルに戻った。miR-425-5pおよびmiR-502の発現はまた、EC群ではHVと同等のレベルで見出され、このことは、これらの2種類のバイオマーカーが、脳傷害患者のみでダウンレギュレーションされることを示唆した。さらに、これらのうちのいずれも、すべての時点でHVと比較してsTBI+ECでの有意なダウンレギュレーションを示さなかった。したがって、miR-425-5pおよびmiR-502は、mTBIの初期診断およびモニタリングのための最も有望な候補バイオマーカーであると見なすことができるであろう。最も重要な時点でのこれらのバイオマーカーについてのAUCは、表4に示される。
【0139】
sTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
miR-21およびmiR-335は、それらの両方が、初期スクリーニングでのsTBI+ECの両方の時点でアップレギュレーションされたことが明らかになったので、sTBIの考えられるバイオマーカーとして分析された。これらは、第2の患者のデータセットでも、強力な候補であることが示された(図4)。miR-21は、HV、ECおよびmTBI+ECに対して、傷害から4時間後のすべての時点で、ECを有するsTBIで有意にアップレギュレーションされた(p=0.00306(T4~12h)、p=0.00844(T48~72h)およびp=0.00077(15日間))。残余の分類では、HVと比較して有意差は見られなかった。miR-335は、HVと比較して、sTBI+ECではすべての時点でアップレギュレーションを示し(p=0.00109(T0~1h)、p=0.00284(T4~12h)、p=0.00012(T48~72h)およびp=0.01284(15日間))、mTBI+ECでアップレギュレーションを示したが、ECと比較して有意なアップレギュレーションは見出されなかった。これらのバイオマーカーについてのAUCもまた、表4に示される。
【0140】
【表4】
【0141】
考察
本研究では、miRNAのレベルの変化が、TBIの診断およびその重症度の評価に適用できるという以前の知見を検証した。本研究は、以下の4種類のmiRNAがTBIで示差的に発現されることを確認した:miR-425-5p、miR 502、miR-21およびmiR-335。
【0142】
miR-425-5pは、HVと比較して、mTBI+ECで、T0およびT4~12hでの有意な結果を示し、同様の結果が、すべての他の分類で得られた。そのダウンレギュレーションは、T48~72h後に正常レベルに戻り、miR-425-5pが軽度外傷の好適な候補バイオマーカーであることを確認する。
【0143】
miR-502もまた、mTBI+ECで示差的に発現されることが確認された。このmiRNAの傾向は、miR-425-5pと非常に似通っていた。このmiRNAは、脳傷害患者に対する特異性を示し、かつ、軽度傷害からT48~72h後には正常値に戻るので、回復を追跡するためにも用いることができるであろう。
【0144】
sTBI後に、2種類のmiRNA(miR-21、miR-335)が、分析されたすべての時点で発現されることが着目され、つまり、sTBIに関する考えられるバイオマーカーとして確認された。miR-21およびmiR-335は、sTBI+ECでは、対照と比較した場合に、有意にアップレギュレーションされた。したがって、過剰発現は、sTBIのバイオマーカーとしてのこれらの分子の可能性を確認した。
【0145】
実施例3
唾液サンプルを、脳震盪を起こしたプロスポーツ選手から、傷害から2~3日後に採取し、唾液中に存在するマイクロRNAを分析した。スポーツ選手は、臨床的にmTBIを有すると診断された。
【0146】
材料および方法
マイクロRNAは、nCounter技術(nanoString Technologies(登録商標))を用いて分析され、この技術は、1回のハイブリダイゼーション反応で、最大で数百種類の固有の転写産物を検出および計数するために、分子「バーコード」および顕微鏡イメージングを用いる。各カラーコード化バーコードは、対象となるマイクロRNAに対応する単一の標的特異的プローブに連結されている。
【0147】
分析は、以下のステップを含む製造業者のプロトコールに従って行なった:
【0148】
ハイブリダイゼーション:本技術は、溶液中でハイブリダイズする、1つのマイクロRNA当たり2種類の約20塩基のプローブを利用する。レポータープローブはシグナルを保持し、捕捉プローブは、複合体がデータ収集のために固定化されることを可能にする。
精製および固定化:ハイブリダイゼーション後、過剰なプローブを除去し、プローブ/標的複合体が、アライメントされ、nCounterカートリッジ中に固定化される。
データ収集:サンプルカートリッジは、データ収集のために、デジタルアナライザー装置に配置される。カートリッジの表面上のカラーコードが計数され、各標的分子について作表される。
【0149】
結果
以下の表5は、健康ボランティアと比較して、脳震盪を起こしたスポーツ選手で有意かつ示差的に発現されていることが見出されたマイクロRNAのリストである。本表は、対照群と比較した、患者でのマイクロRNAの発現の変化倍率を示す。変化倍率は、miR-23a-3pおよびmiR-148b-3pを参照遺伝子として用いて算出した。
【0150】
【表5】
【0151】
考察
本研究は、唾液中に存在するマイクロRNAが、脳震盪/mTBIの指示因子であることを示す。唾液は血液よりも容易に取得されるので、このことは重要であり、つまり、唾液中マイクロRNAの検出が、特に競技場脇での、TBIを診断するための迅速かつ簡便な手段を提供する。
【0152】
[配列表]
SEQUENCE LISTING

<110> The University of Birmingham

<120> Biomarkers of traumatic brain injury

<130> PA23-676

<150> GB1603967.9
<151> 2016-03-08

<160> 69

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 1
uagcuuauca gacugauguu ga 22


<210> 2
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 2
aaugacacga ucacucccgu uga 23


<210> 3
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 3
auccuugcua ucugggugcu a 21


<210> 4
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 4
ucaagagcaa uaacgaaaaa ugu 23


<210> 5
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 5
cagugcaaug auauugucaa agc 23


<210> 6
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 6
uggacggaga acugauaagg gu 22


<210> 7
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 7
cgucaacacu ugcugguuuc cu 22


<210> 8
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 8
gugaaauguu uaggaccacu ag 22


<210> 9
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 9
uaugucugcu gaccaucacc uu 22


<210> 10
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 10
auaauacaug guuaaccucu uu 22


<210> 11
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 11
gccccugggc cuauccuaga a 21


<210> 12
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 12
cguguauuug acaagcugag uu 22


<210> 13
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 13
ugagguagua guuuguacag uu 22


<210> 14
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 14
cauuauuacu uuugguacgc g 21


<210> 15
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 15
ugggucuuug cgggcgagau ga 22


<210> 16
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 16
ggauaucauc auauacugua ag 22


<210> 17
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 17
cuauauauca aacauauucc u 21


<210> 18
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 18
uguaacagca acuccaugug ga 22


<210> 19
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 19
uaaugccccu aaaaauccuu au 22


<210> 20
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 20
uaauuuuaug uauaagcuag u 21


<210> 21
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 21
uaguaccagu accuuguguu ca 22


<210> 22
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 22
gacuauagaa cuuucccccu ca 22


<210> 23
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 23
uccgguucuc agggcuccac c 21


<210> 24
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 24
ugagguagua gguuguaugg uu 22


<210> 25
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 25
ugagguagua guuugugcug uu 22


<210> 26
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 26
uguaguguuu ccuacuuuau gga 23


<210> 27
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 27
ucagugcacu acagaacuuu gu 22


<210> 28
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 28
uagcagcaca ucaugguuua ca 22


<210> 29
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 29
uagcagcacg uaaauauugg cg 22


<210> 30
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 30
aacauucaac gcugucggug agu 23


<210> 31
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 31
uaaagugcuu auagugcagg uag 23


<210> 32
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 32
caaagugcuc auagugcagg uag 23


<210> 33
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 33
agcuacauug ucugcugggu uuc 23


<210> 34
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 34
uggcucaguu cagcaggaac ag 22


<210> 35
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 35
uucacagugg cuaaguucug c 21


<210> 36
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 36
uagcaccauc ugaaaucggu ua 22


<210> 37
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 37
uagcaccauu ugaaaucggu ua 22


<210> 38
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 38
uguaaacauc cucgacugga ag 22


<210> 39
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 39
agcagcauug uacagggcua uca 23


<210> 40
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 40
uauggcuuuu cauuccuaug uga 23


<210> 41
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 41
cccaguguuu agacuaucug uuc 23


<210> 42
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 42
cgcauccccu agggcauugg ugu 23


<210> 43
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

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aauggcgcca cuaggguugu g 21


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 44
cagcagcaau ucauguuuug aa 22


<210> 45
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 45
uacccuguag auccgaauuu gug 23


<210> 46
<211> 22
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<213> Homo sapiens

<400> 46
uaacagucua cagccauggu cg 22


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 47
ugucaguuug ucaaauaccc ca 22


<210> 48
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 48
ugagaugaag cacuguagcu c 21


<210> 49
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 49
ucagugcauc acagaacuuu gu 22


<210> 50
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 50
uaaggugcau cuagugcaga uag 23


<210> 51
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 51
cugaccuaug aauugacagc c 21


<210> 52
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 52
uaauacuguc ugguaaaacc gu 22


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

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aaacucuacu uguccuucug agu 23


<210> 54
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 54
ucaauaaaug ucuguugaau u 21


<210> 55
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 55
cagugcaaug uuaaaagggc au 22


<210> 56
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 56
agguucugug auacacuccg acu 23


<210> 57
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 57
uucacagugg cuaaguucug c 21


<210> 58
<211> 23
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 58
cagugcaaua guauugucaa agc 23


<210> 59
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<213> Homo sapiens

<400> 59
ccucugggcc cuuccuccag 20


<210> 60
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 60
gcugacuccu aguccagggc uc 22


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

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uuaucagaau cuccaggggu ac 22


<210> 62
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 62
acuggacuua gggucagaag gc 22


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<213> Homo sapiens

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uucauuuggu auaaaccgcg auu 23


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 64
gucccucucc aaaugugucu ug 22


<210> 65
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 65
aacccguaga uccgaucuug ug 22


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 66
aaagugcuuc ucuuuggugg gu 22


<210> 67
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 67
uggguuuacg uugggagaac u 21


<210> 68
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 68
aucacauugc cagggauuuc c 21


<210> 69
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 69
ucagugcauc acagaacuuu gu 22
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
【配列表】
2024041804000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングするために被験体由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを検出する方法であって、傷害後最大15日後までに被験体から取得された血清サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定すること、および該少なくとも1種のmiRNAのレベルを所定の閾値または参照レベルと比較することを含み、該少なくとも1種のmiRNAが、miR-335を含み、該参照レベルが、健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルであり、
miR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または傷害後最大15日後までに取得された血清サンプル中の参照レベルと比較して増大している場合に、前記被験体における重度TBI(sTBI)の存在が検出される、上記方法
【請求項2】
下のmiRNA:
(a)miR-21、
(b)miR-425-5p、miR-21、およびmiR-502、またはいずれかのその組み合わせ、
(c)miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7gmiR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせ
(d)miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、hsa-miR-126 * 、miR-193a-5p、miR-144 * 、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625 * 、およびmiR-671-3p、またはいずれかのその組み合わせ、あるいは
(e)miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21およびmiR-let-7g、またはいずれかのその組み合わせ
からなる群より選択される少なくとも1種の追加のmiRNAのレベルを決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2種、3種、4種またはそれ以上のmiRNAのレベルを決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、以下のmiRNA:
(i) miR-425-5pおよびmiR-502から選択される、第1のmiRNA;および
(ii) miR-335
のレベルを決定するステップを含み、
傷害の15日後までに取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えないと決定されるか、または参照と比較して増大しておらず、かつ傷害後48時間以下で取得された血清サンプル中のmiR-425-5pおよび/もしくはmiR-502のレベルが、所定の閾値未満であると決定されるか、または参照と比較して低下している場合に、前記被験体における軽度TBI(mTBI)の存在が検出される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化されている基板を含む、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システム用センサー素子であって、該標的miRNAがmiR-335を含み、前記プローブが核酸を含み、前記核酸が、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも90%同一である配列を含み、
傷害の15日後までに被験体から取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルと比較して増大している場合に、前記被験体が重度TBI(sTBI)を有すると診断される、上記センサー素子
【請求項6】
以下のmiRNA:
(a)miR-21、
(b)miR-425-5p、miR-21、およびmiR-502、またはいずれかのその組み合わせ、あるいは
(c)miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-126 * 、miR-193a-5p、miR-144 * 、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625 * 、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせ
からなる群より選択される標的miRNAに対して特異的な少なくとも1つの追加プローブをさらに含む、請求項5に記載のセンサー素子。
【請求項7】
以下の構成要素:
・請求項5又は6に記載のセンサー素子;および
・前記プローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能である検出デバイスを備えた、TBIを診断および/またはモニタリングするための検出システムであって、
該標的miRNAがmiR-335を含み、
傷害の15日後までに被験体から取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルと比較して増大している場合に、前記被験体が重度TBI(sTBI)を有すると診断される、上記検出システム
【請求項8】
標的miRNAに対して特異的な少なくとも1種のプローブを含む、被験体由来の血清サンプル中で外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングすためのキットであって、該標的miRNAがmiR-335を含み、前記プローブが核酸を含み、前記核酸が、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも90%同一である配列を含み、
前記診断および/またはモニタリングが、被験体から取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルを決定すること、およびmiR-335のレベルを所定の閾値または参照レベルと比較することを含み、該参照レベルが、健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルであり、
傷害の15日後までに被験体から取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルと比較して増大している場合に、前記被験体が重度TBI(sTBI)を有すると診断される、上記キット
【請求項9】
標的miRNAが、以下のmiRNA:
(a)miR-21、
(b)miR-425-5p、miR-21、およびmiR-502、またはいずれかのその組み合わせ、あるいは
(c)miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-126 * 、miR-193a-5p、miR-144 * 、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625 * 、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせ
からなる群より選択される少なくとも1つのmiRNAをさらに含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
験体での外傷性脳傷害(TBI)を診断および/またはモニタリングすための組成物であって、標的miRNAに対して特異的なプローブを含み、該標的miRNAがmiR-335を含み、前記プローブが核酸を含み、前記核酸が、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも90%同一である配列を含み、
前記診断および/またはモニタリングが、被験体から取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルを決定すること、およびmiR-335のレベルを所定の閾値または参照レベルと比較することを含み、該参照レベルが、健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルであり、
傷害の15日後までに被験体から取得された血清サンプル中のmiR-335のレベルが、所定の閾値を超えると決定されるか、または健康被験体から採取された対照サンプル中の参照miRNAのレベルと比較して増大している場合に、前記被験体が重度TBI(sTBI)を有すると診断される、上記組成物
【請求項11】
以下のmiRNA:
(a)miR-21、
(b)miR-425-5p、miR-21、およびmiR-502、またはいずれかのその組み合わせ、あるいは
(c)miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-126 * 、miR-193a-5p、miR-144 * 、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625 * 、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3pおよびmiR-629、またはいずれかのその組み合わせ
からなる群より選択される標的miRNAに対して特異的な少なくとも1つの追加のプローブをさらに含む、請求項10に記載の組成物。