(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041809
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】癌を治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20240319BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20240319BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240319BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240319BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240319BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20240319BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240319BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20240319BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240319BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20240319BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240319BHJP
C07K 14/82 20060101ALI20240319BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240319BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20240319BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240319BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240319BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240319BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240319BHJP
C12N 5/0784 20100101ALI20240319BHJP
C12N 5/0786 20100101ALI20240319BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20240319BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/863 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K38/10
A61K38/16
A61K39/395 E
A61K48/00
A61K35/761
A61K35/76
A61K35/763
A61P35/00
A61P35/02
A61K38/08
C12N15/12
C07K14/82
C07K16/28
C07K7/06
C07K7/08
C12N5/10
C12N5/0783
C12N7/01
C12N5/0784
C12N5/0786
C12N5/0781
C12N15/63 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/869 Z
C12N15/863 Z
C12N15/88 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220529
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2021198966の分割
【原出願日】2016-11-18
(31)【優先権主張番号】62/258,134
(32)【優先日】2015-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン-ケタリング キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャインバーグ、デヴィット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】WT1発現癌を治療する、WT1発現癌の発生率を低減する、またはWT1発現癌に対する免疫応答を誘導するために使用される組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、(a)特定の配列を含むWT1ペプチドの組み合わせ、または、WT1ペプチドの前記組み合わせに特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)を送達する1以上のWT1送達剤であって、(i)WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせ、(ii)WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせをコードする核酸、または(iii)WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせ、若しくは、WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせをコードする核酸を含むか、若しくは、提示する免疫細胞、を含む、1以上のWT1送達剤と、(b)前記WT1送達剤と組み合わせて使用される少なくとも1つの抗PD-1抗体とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
WT1発現癌を治療する、WT1発現癌の発生率を低減する、またはWT1発現癌に対する免疫応答を誘導するために使用される組成物であって、
(a)YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO: 2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)を含むWT1ペプチドの組み合わせ、または、WT1ペプチドの前記組み合わせに特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)を送達する1以上のWT1送達剤であって、
(i)WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせ、
(ii)WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせをコードする核酸、または
(iii)WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせ、若しくは、WT1ペプチドの少なくとも1つの前記組み合わせをコードする核酸を含むか、若しくは、提示する免疫細胞、を含む、1以上のWT1送達剤と、
(b)前記WT1送達剤と組み合わせて使用される少なくとも1つの抗PD-1抗体と
を含む組成物。
【請求項2】
前記CTLは、インビトロまたはエクスビボで作製されるか、またはドナーから取得されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、アジュバントをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、若しくはMEDI-0680(AMP-514)、またはこれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1以上のWT1送達剤及び少なくとも1つの前記抗PD-1抗体は、同時に投与されるか、互いに重複した投与スケジュールで投与されるか、または前記WT1送達剤の投与後に前記抗PD-1抗体が投与されることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記WT1発現癌は、卵巣癌、中皮腫、白血病、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、メラノーマ、胃癌、前立腺癌、胆道癌、泌尿器系癌、神経膠芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫、または非小細胞肺癌(NSCLC)であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記アジュバントは、QS21、モンタニド、フロイント完全または不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、BCG、サイトカイン、またはミョウバンであることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
前記各ペプチド200mcgをモンタニド ISA 51 VGによりエマルジョン化させ、0、2、4、6、8及び10週目に皮下投与することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗PD-1抗体は、ニボルマブであることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
3mg/kgのニボルマブを0、2、4、6、8、10及び12週目に静脈内投与することを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記WT1送達剤の単独投与、または抗PD-1抗体の単独投与の場合と比べて、WT1発現癌の治療、WT1発現癌の発生率の低減、またはWT1発現癌に対する免疫応答の誘導の効果が大きいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記CTLがインビトロまたはエクスビボで作製されるか、またはドナーから取得される場合、
前記抗PD-1抗体は、インビトロまたはエクスビボで含められるか、または前記ドナーに投与されることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
対象に前記抗PD-1抗体がさらに投与されることを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記WT1送達剤は、前記(i)のWT1ペプチドの前記組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
は前記WT1送達剤、前記(ii)のWT1ペプチドの前記組み合わせをコードする前記核酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
WT1ペプチドの前記組み合わせをコードする核酸は、ベクター内にあることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記ベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、及びヘルペスウイルスからなる群より選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記ベクターは、プラスミド、カチオン性脂質、リポソーム、及びウイルス様粒子からなる群より選択される非ウイルスベクターであることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記ベクターは、自己細胞、同種細胞、細胞株、樹状細胞、抗原提示細胞、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される非ウイルスベクターであることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記免疫細胞は、抗原提示細胞またはプロフェッショナル抗原提示細胞であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記抗原提示細胞または前記プロフェッショナル抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞であることを特徴とする請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
WT1発現癌を治療する、WT1発現癌の発生率を低減する、またはWT1発現癌に対する免疫応答を誘導するために使用される組成物であって、
YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO: 2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)を含むWT1ペプチドの組み合わせと、
WT1ペプチドの前記組み合わせと組み合わせて使用される、少なくとも1つの抗PD-1抗体と、を含むことを特徴とする組成物。
【請求項24】
前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、MEDI-0680(AMP-514)またはこれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
1以上の前記WT1送達剤及び少なくとも1つの前記抗PD-1抗体は、それぞれ個別に投与されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記癌は、卵巣癌、中皮腫、白血病、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、メラノーマ、胃癌、前立腺癌、胆道癌、泌尿器系癌、神経膠芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫、または非小細胞肺癌(NSCLC)であることを特徴とする請求項23記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WT1発現癌を治療する、WT1発現癌の発生率を低減する、またはWT1発現癌に対する免疫応答を誘導する方法、及びそれらの目的に有用な組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、WT1発現癌を治療する、WT1発現癌の発生率を低減する、またはWT1発現癌に対する免疫応答を誘導する方法、及びそれらの目的に有用な免疫原性組成物を含む組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、治療等を必要とする対象に対して、(a)1以上のWT1ペプチド、またはWT1発現癌に対する細胞傷害性T細胞(CTL)と、(b)1以上のチェックポイント阻害剤とを投与するステップを含む。1以上のWT1ペプチドは、1以上のWT1ペプチドを送達してWT1発現癌に対する免疫応答を誘導する1以上の薬剤(WT1送達剤)を対象に投与することによって、対象に投与される。使用され得るWT1送達剤の例には、(i)単離されたWT1ペプチド、(ii)少なくとも1つのWT1ペプチドをコードする核酸、または(iii)少なくとも1つのWT1ペプチドまたは該ペプチドをコードする核酸を含むかまたは提示する免疫細胞が含まれる。
【0003】
1以上のWT1ペプチドは、WT1タンパク質の断片である天然ペプチド、または、その免疫原性を高める1以上の修飾を有するペプチドであり得る。これらの修飾は、アミノ酸変化(例えば、ヘテロクリティックペプチド)、または任意の他の修飾であり得る。CTLは、インビトロまたはエクスビボで作製されたWT1特異的CTLであり得るか、またはドナーから取得され得る。WT1送達剤またはCTLは、組成物の形態で、担体、賦形剤、または希釈剤、あるいは、アジュバントと共に投与され得る。本発明により具現化される方法及び組成物において使用されるペプチド成分の非限定的な選択については後述する。
【0004】
1以上のチェックポイント阻害剤(免疫チェックポイント阻害剤としても知られている)は、免疫チェックポイントタンパク質を遮断または阻害する組成物または薬剤である。チェックポイント阻害剤である組成物または薬剤の非限定的な例には、小分子、ペプチド、または抗体が含まれる。抗体の非限定的な例には、ニボルマブ(nivolumab)(OPDIVO)、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)(KEYTRUDA)、ピジリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、MEDI-0680(AMP-514)、AMP-224、AUNP-12、BMS-936559、アテゾリズマブ(atezolizumab)(MPDL-3280A)、デュルバルマブ(durvalumab)(MEDI-4736)、アベルマブ(avelumab)(MSB-0010718C)、BMS-935559(MDX-1105)、rHIgM12B7、BMS-986016、GSK-2831781、IMP-321、リリルマブ(lirilumab)(BMS-986015)、IPH-2101(1-7F9)、インドキシモド(Indoximod)(NLG-9189)、NLG-919、INCB-024360、PF-05082566、ウレルマブ(Urelumab)(BMS-663513)、及びMEDI-6469が含まれる。
【0005】
一実施形態では、1以上のWT1送達剤またはCTLと、1以上のチェックポイント阻害剤とが、対象に最大の利益をもたらすスケジュールに従って対象にそれぞれ投与される方法が具現化される。そのため、1以上のWT1送達剤またはCTLと、1以上のチェックポイント阻害剤とは、必ずしも、同時に、または同一の組成物で、または同一の持続期間で、または同一の経路でそれぞれ投与する必要はない。各WT1ペプチドは、特定のスケジュールに従って投与され得る。各チェックポイント阻害剤も同様である。一実施形態では、少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投与スケジュールは互いに同時である。一実施形態では、少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投薬スケジュールは互いに重複する。一実施形態では、少なくとも1つのWT1送達剤またはCTL及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、互いに同一の組成物中に含まれる。一実施形態では、本発明の方法は、WT1送達剤またはCTLの単独投与、またはチェックポイント阻害剤の単独投与の場合と比べて、WT1発現癌の治療、WT1発現癌の発生率の低減、またはWT1発現癌に対する免疫応答の誘導の効果が向上するまたは高まる。一実施形態では、本発明の方法によって提供される、WT1発現癌の治療、WT1発現癌の発生率の低減、またはWT1発現癌に対する免疫応答の誘導の効果は、WT1送達剤またはCTLの単独投与及びチェックポイント阻害剤の単独投与の効果の組み合わせよりも大きい。
【0006】
WT1送達剤またはCTLとチェックポイント阻害剤とについての、投与量及び投与スケジュール、投与経路、及び投与の他の態様は、対象に最大の利益をもたらすように最適化される。本発明の実施形態は、WT1発現癌の治療、WT1発現癌の発生率の低減、またはWT1発現癌に対する免疫応答の誘導の改善された方法、及びそれらの目的に有用な改善された組成物を提供する。
【0007】
本発明の方法が適用可能な癌は、WT1タンパク質またはその断片を発現する任意の癌である。一実施形態では、前記癌は卵巣癌である。別の実施形態では、前記癌は中皮腫である。別の実施形態では、前記癌は白血病である。他の実施形態では、前記癌は、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、メラノーマ(黒色腫)、胃癌、前立腺癌、胆道癌、泌尿器系癌、神経膠芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫、または非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、WT1発現癌を治療する、WT1発現癌の発生率を低減する、またはWT1発現癌に対する免疫応答を誘導する方法、及びそれらの目的に有用な免疫原性組成物を含む組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、治療等を必要とする対象に対して、(a)1以上のWT1ペプチド、またはWT1発現癌に対する細胞傷害性T細胞(CTL)と、(b)1以上のチェックポイント阻害剤とを投与するステップを含む。1以上のWT1ペプチドは、1以上のWT1ペプチドを送達してWT1発現癌に対する免疫応答を誘導する1以上の薬剤(WT1送達剤)を対象に投与することによって、対象に投与される。使用され得るWT1送達剤の例には、(i)単離されたWT1ペプチド、(ii)少なくとも1つのWT1ペプチドをコードする核酸、または(iii)少なくとも1つのWT1ペプチドまたは該ペプチドをコードする核酸を含むかまたは提示する免疫細胞が含まれる。
【0009】
卵巣癌は、最も一般的な婦人科悪性腫瘍の1つであり、米国の女性では、5番目に多い癌による死因である。毎年22、000件以上の症例が診断されており、年間15、500人の死亡が推定されている[1]。患者の大多数は、診察時に広範な疾患を有している[2]。進行期の疾患の5年生存率は、依然として30%未満である[1]。最初の化学療法後に完全な臨床的寛解が多くの患者に期待できるが、日常治療としてしばしば行われるセカンドルック開腹術による評価は、患者の50%未満が再発していないことを示している[3]。さらに、セカンドルック開腹術による評価が陰性の患者のほぼ半数は再発し、追加の治療を必要とする[4]。多くの患者は、追加的な化学療法によって、2回目の完全な臨床応答を達成するであろう。しかし、ほとんど全ての患者は、9-11ヶ月の短い寛解期間後に再発するであろう[5]。化学療法耐性が広範に発達するまでは、その後の寛解期は徐々に短くなるため、寛解期間を長くするか、または再発を予防する有効なストラテジーが求められている[2]。
【0010】
抗体及びT細胞エフェクターの両方が、卵巣癌モデルにおいて有益であることが示されている。抗体は、初期の組織浸潤を抑制することが示されている[6]。前臨床モデルはまた、受動的に投与された抗体及びワクチンで誘導された抗体の両方の使用による、循環腫瘍細胞の除去及び全身微小転移の排除を実証している。T細胞エフェクターに関しては、全体的に活性化された免疫応答が、進行卵巣癌患者の臨床転帰の改善と関連していることが示されている。Zhangらは、腫瘍細胞膵島内の腫瘍浸潤T細胞の存在が、無進行生存及び全生存の両方の改善と関連していることを示した[7]。逆に、調節性T細胞の浸潤は、予後を悪化させる[8]。
【0011】
卵巣癌を有する患者における2回目以降の寛解時のデータは、患者が予測可能な形態で再発することを裏付ける[9]。近年、卵巣癌は、様々な新規の免疫ベースアプローチの標的になっている。抗体療法には、CA125抗原を標的とするモノクローナル抗体療法であるオレゴボマブ(oregovomab)[10]、CA-125抗原を標的とする抗イディオタイプ抗体であるアバゴボマブ(abagovomab)[11]、及びモノクローナルヒト化抗HER2抗体であるトラスツズマブ(trastuzumab)[12]が含まれる。他のストラテジーには、例えばインターフェロンγ療法[13、14]、及びIL-2[15]などのサイトカイン療法が含まれる。Lewis y[16]、MUC1[17]、HLA制限ペプチドNY-ESO-1b[18]、及びKH-1-KLH結合体などの他の抗原による活動免疫も評価されている。従来のストラテジーは効果がなかったため、卵巣癌、及び現行の治療法では効果的に治療することができない様々な他の癌の治療法の効果を高めるための新たな治療法が必要とされている。
【0012】
WT1は、ウィルムス腫瘍1またはWT1遺伝子の遺伝子産物を指す。ウィルムス腫瘍抑制遺伝子WT1は、小児の腎腫瘍で最初に同定されたが、中皮腫を含む複数の他の血液悪性腫瘍及び固形腫瘍でも高度に発現している[19、20]。WT1は、元来、染色体11p13の領域へのcDNAマッピングによって同定された。WT1 cDNAは、4つのKruppelジンクフィンガーを含むタンパク質をコードし、4つの互いに異なる転写因子を生成する選択的スプライシングの複雑なパターンを含む。各WT1アイソフォームは、互いに異なるDNA結合及び転写活性を有し[20]、細胞増殖、分化、アポトーシス、器官発生、及び性決定に関与する様々な遺伝子を正または負に制御することができる。WT1は、通常、胚形成中に中胚葉起源の組織(例えば、腎臓、生殖腺、心臓、中皮細胞、脾臓)に発現する[22]。正常な成体組織では、WT1の発現は、正常CD34+造血幹細胞、筋上皮前駆細胞、腎足細胞、及び精巣及び卵巣中のいくつかの細胞の核における低レベル発現に限定される[23]。WT1は、マウス及びヒトにおいて高度の相同性を示し(アミノ酸レベルで96%)、同様の組織分布及び機能を有する[24、25]。元来、腫瘍抑制遺伝子とされていたが、WT1タンパク質は、腫瘍形成に関与しているように思われる。
【0013】
卵巣癌におけるWT1タンパク質の強力な発現は、その提案された作用機構と相まって、WT1タンパク質を発現する様々な他の癌、これに限定しないが、例えば、中皮腫、白血病、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、メラノーマ(黒色腫)、胃癌、前立腺癌、胆道癌、泌尿器系癌、神経膠芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫、または非小細胞肺癌(NSCLC)において、免疫療法のための合理的な目標となる。卵巣癌では、発現は非常に頻繁であるので、病理学者は通常、WT1用の免疫組織化学的染色を使用する(上皮性卵巣癌を他の腫瘍と区別するために、発現を示し、「陽性」または「陰性」を決定する標準化された手法を用いて)。WT1は、漿液性卵巣癌に対して特に感受性が高く特異的なマーカーである[26]。卵巣組織マイクロアレイは、漿液性卵巣癌の70-80%がWT1を発現し、大部分の患者が標的を有するため、研究参加に適格であることを示唆している。
【0014】
本発明の目的に有用な1以上のWT1ペプチドは、WT1タンパク質の断片である天然ペプチドであり得る。一実施形態では、WT1ペプチドは、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、LVRHHNMHQRNMTKL (SEQ ID NO:3)、または、NKRYFKLSHLQMHSR(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、WT1ペプチドは、SGQARMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:5)、または、QARMFPNAPYLPSCL(SEQ ID NO:6)である。別の態様では、WT1ペプチドは、RMFPNAPYL(SEQ ID NO:7)、SLGEQQYSV(SEQ ID NO:8)、ALLPAVPSL(SEQ ID NO:9)、NLGATLKGV(SEQ ID NO:10)、DLNALLPAV(SEQ ID NO:11)、GVFRGIQDV(SEQ ID NO:12)、KRYFKLSHL(SEQ ID NO:13)、ALLLRTPYS(SEQ ID NO:14)、CMTWMQMNL(SEQ ID NO:15)、NMHQRNMTK(SEQ ID NO:16)、QMNLGATLK(SEQ ID NO:17)、FMCAYPGCNK(SEQ ID NO:18)、またはKLSHLQMHSR(SEQ ID NO:19)である。
【0015】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、NQMNLGATL(SEQ ID NO:20)、NLMNLGATL(SEQ ID NO:21)、NYMNLGATL(SEQ ID NO:22)、CMTWNQMNLGATLKG(SEQ ID NO:23)、CMTWNLMNLGATLKG(SEQ ID NO:24)、WNQMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:25)、WNLMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:26)、MTWNQMNLGATLKGV(SEQ ID NO:27)、TWNQMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:28)、CMTWNLMNLGATLKG(SEQ ID NO:29)、MTWNLMNLGATLKGV(SEQ ID NO:30)、TWNLMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:31)、WNLMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:32)、MTWNYMNLGATLKGV(SEQ ID NO:33)、TWNYMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:34)、CMTWNQMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:35)、WNQMNLGAT(SEQ ID NO:36)、TWNQMNLGA(SEQ ID NO:37)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:38)、CMTWNLMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:39)、WNLMNLGAT(SEQ ID NO:40)、MNLGATLKG(SEQ ID NO:41)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:42)、CMTWNYMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:43)、MNLGATLKG(SEQ ID NO:44)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:45)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:46)、GYLRNPTAC(SEQ ID NO:47)、GALRNPTAL(SEQ ID NO:48)、YALRNPTAC(SEQ ID NO:49)、GLLRNPTAC(SEQ ID NO:50)、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:51)、RYRPHPGAL(SEQ ID NO:52)、YQRPHPGAL(SEQ ID NO:53)、RLRPHPGAL(SEQ ID NO:54)、RIRPHPGAL(SEQ ID NO:55)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:56)、GALRNPTAL(SEQ ID NO:57)、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:58)、RLRPHPGAL(SEQ ID NO:59)、RIRPHPGAL(SEQ ID NO:60)、QFPNHSFKHEDPMGQ(SEQ ID NO:61)、QFPNHSFKHEDPMGQ(SEQ ID NO:62)、HSFKHEDPM(SEQ ID NO:63)、HSFKHEDPY(SEQ ID NO:64)、HSFKHEDPK(SEQ ID NO:65)、KRPFMCAYPGCYKRY(SEQ ID NO:66)、SEKRPFMCAYPGCNK(SEQ ID NO:67)、KRPFMCAYPGCNK(SEQ ID NO:68)、FMCAYPGCN(SEQ ID NO:69)、FMCAYPGCY(SEQ ID NO:70)、またはFMCAYPGCK(SEQ ID NO:71)である。
【0016】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:72)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:73)、PLPHFPPSL(SEQ ID NO:74)、HFPPSLPPT(SEQ ID NO:75)、THSPTHPPR(SEQ ID NO:76)、AILDFLLLQ(SEQ ID NO:77)、PGCLQQPEQ(SEQ ID NO:78)、PGCLQQPEQQG(SEQ ID NO:79)、KLGAAEASA(SEQ ID NO:80)、ASGSEPQQM(SEQ ID NO:81)、RDLNALLPAV(SEQ ID NO:82)、GGCALPVSGA(SEQ ID NO:83)、GAAQWAPVL (SEQ ID NO:84)、LDFAPPGAS(SEQ ID NO:85)、LDFAPPGASAY(SEQ ID NO:86)、SAYGSLGGP(SEQ ID NO:87)、PAPPPPPPP(SEQ ID NO:88)、ACRYGPFGP(SEQ ID NO:89)、SGQARMFPN(SEQ ID NO:90)、RMFPNAPYL(SEQ ID NO:91)、PSCLESQPA(SEQ ID NO:92)、NQGYSTVTF(SEQ ID NO:93)、HHAAQFPNH(SEQ ID NO:94)、HSFKHEDPM(SEQ ID NO:95)、CHTPTDSCT(SEQ ID NO:96)、CTGSQALLL(SEQ ID NO:97)、TDSCTGSQA(SEQ ID NO:98)、RTPYSSDNL(SEQ ID NO:99)、NLYQMTSQLE(SEQ ID NO:100)、WNQMNLGAT(SEQ ID NO:101)、NQMNLGATL(SEQ ID NO:102)、WNQMNLGATLK(SEQ ID NO:103)、CMTWNQMNLGATLKG(SEQ ID NO:104)、NLGATLKGV(SEQ ID NO:105)、LGATLKGVAA(SEQ ID NO:106)、TLGVAAGS(SEQ ID NO:107)、GYESDNHTT(SEQ ID NO:108)、FMCAYPGCNK(SEQ ID NO:109)、KRPFMCAYPGC(SEQ ID NO:110)、RKFSRSDHL(SEQ ID NO:111)、LKTHTTRTHT(SEQ ID NO:112)、NMHQRNHTKL(SEQ ID NO:113)、LLAAILDFL(SEQ ID NO:114)、CLQQPEQQGV(SEQ ID NO:115)、DLNALLPAV(SEQ ID NO:116)、ALLPAVPSL(SEQ ID NO:117)、VLDFAPPGA(SEQ ID NO:118)、CMTWNQMNL(SEQ ID NO:119)、QARMFPNAPY(SEQ ID NO:120)、ALRNPTACPL(SEQ ID NO:121)、YPGCNKRYF(SEQ ID NO:122)、またはAPVLDFAPPGASAYG(SEQ ID NO:123)から選択される。
【0017】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、WO2005053618、WO2007047763、WO2007047764、WO2007120673、US20060084609、WO2014113490、及びWO2013106834に開示された任意の天然ペプチドである。上記の特許文献は、この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、US20110070251A1、US7063854B1、US7063854、US7901693、US7662386、US7063854、US7115272、US7368119、US7329410、US7144581、US7323181、US7655249、US7553494、US7608685、US7380871、US7030212、US7807792、US7517950、US2010/0166738、US2011/0070251、US2009/0143291、及びWO2003037060に開示された任意の天然ペプチドである。上記の特許文献は、この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、US7666985B2、US20080070835A1、US20070128207A1、US7915393B2、US20110136141A1、US7598221B2、US20100111986A1、US20100092522A1、US20030082194A1、及びWO2001025273A2に開示された任意の天然ペプチドである。上記の特許文献は、この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
1以上のWT1ペプチドは、例えば天然ペプチド配列に対する免疫原性を高めるために1以上のヘテロクリティック修飾を含む、修飾WT1ペプチド断片であり得る。一実施形態では、WT1ペプチドは、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)である。別の実施形態では、WT1ペプチドは、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)である。別の実施形態では、WT1ペプチドは、QAYMFPNAPYLPSCL(SEQ ID NO:126)である。別の実施形態では、WT1ペプチドは、YLGEQQYSV(SEQ ID NO:127)、YLLPAVPSL(SEQ ID NO:128)、YLGATLKGV(SEQ ID NO:129)、YLNALLPAV(SEQ ID NO:130)、GLRRGIQDV(SEQ ID NO:131)、KLYFKLSHL(SEQ ID NO:132)、ALLLRTPYV(SEQ ID NO:133)、YMTWNQMNL(SEQ ID NO:134)、NMYQRNMTK(SEQ ID NO:135)、NMHQRVMTK(SEQ ID NO:136)、NMYQRVMTK(SEQID NO: 137)、QMYLGATLK(SEQ ID NO:138)、QMNLGVTLK(SEQ ID NO:139)、QMYLGVTLK(SEQ ID NO: 140)、FMYAYPGCNK(SEQ ID NO:141)、FMCAYPFCNK(SEQ ID NO:142)、FMYAYPFCNK(SEQ ID NO:143)、KLYHLQMHSR(SEQ ID NO:144)、KLSHLQMHSK(SEQ ID NO:145)、及びKLYHLQMHSK(SEQ ID NO:146)から選択される。
【0021】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、NQMNLGATL(SEQ ID NO:147)、NLMNLGATL(SEQ ID NO:148)、NYMNLGATL(SEQ ID NO:149)、CMTWNQMNLGATLKG(SEQ ID NO:150)、CMTWNLMNLGATLKG(SEQ ID NO:151)、WNQMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:152)、WNLMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:153)、MTWNQMNLGATLKGV(SEQ ID NO:154)、TWNQMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:155)、CMTWNLMNLGATLKG(SEQ ID NO:156)、MTWNLMNLGATLKGV(SEQ ID NO:157)、TWNLMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:158)、WNLMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:159)、MTWNYMNLGATLKGV(SEQ ID NO:160)、TWNYMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:161)、CMTWNQMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:162)、WNQMNLGAT(SEQ ID NO:163)、TWNQMNLGA(SEQ ID NO:164)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:165)、CMTWNLMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:166)、WNLMNLGAT(SEQ ID NO:167)、MNLGATLKG(SEQ ID NO:168)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:169)、CMTWNYMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:170)、MNLGATLKG(SEQ ID NO:171)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:172)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:173)、GYLRNPTAC(SEQ ID NO:174)、GALRNPTAL(SEQ ID NO:175)、YALRNPTAC(SEQ ID NO:176)、GLLRNPTAC(SEQ ID NO:177)、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:178)、RYRPHPGAL(SEQ ID NO:179)、YQRPHPGAL(SEQ ID NO:180)、RLRPHPGAL(SEQ ID NO:181)、RIRPHPGAL(SEQ ID NO:182)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:183)、GALRNPTAL(SEQ ID NO:184)、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:185)、RLRPHPGAL(SEQ ID NO:186)、RIRPHPGAL(SEQ ID NO:187)、QFPNHSFKHEDPMGQ (SEQ ID NO:188)、QFPNHSFKHEDPMGQ(SEQ ID NO:189)、HSFKHEDPM(SEQ ID NO:190)、HSFKHEDPY(SEQ ID NO:191)、HSFKHEDPK(SEQ ID NO:192)、KRPFMCAYPGCYKRY(SEQ ID NO:194)、SEKRPFMCAYPGCNK(SEQ ID NO:194)、KRPFMCAYPGCNK(SEQ ID NO:195)、FMCAYPGCN(SEQ ID NO:196)、FMCAYPGCY(SEQ ID NO:197)、またはFMCAYPGCK(SEQ ID NO:198)から選択される任意の修飾WT1ペプチドである。
【0022】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、WO2005053618、WO2007047763、WO2007047764、WO2007120673、US20060084609、WO2014113490、及びWO2013106834に開示された任意の天然ペプチドである。上記の特許文献は、この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、US20110070251A1、US7063854B1、US7063854、US7901693、US7662386、US7063854、US7115272、US7368119、US7329410、US7144581、US7323181、US7655249、US7553494、US7608685、US7380871、US7030212、US7807792、US7517950、US2010/0166738、US2011/0070251、US2009/0143291、及びWO2003037060に開示された任意の天然ペプチドである。上記の特許文献は、この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
別の実施形態では、WT1ペプチドは、US7666985B2、US20080070835A1、US20070128207A1、US7915393B2、US20110136141A1、US7598221B2、US20100111986A1、US20100092522A1、US20030082194A1、及びWO2001025273A2に開示された任意の天然ペプチドである。上記の特許文献は、この参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
本明細書で説明した目的に有用な1以上のWT1ペプチドは、単一のペプチドまたは複数のペプチドの組み合わせであり得る。各ペプチドは、天然WT1ペプチドまたは修飾WT1ペプチドであり得る。2以上のペプチドが使用される場合、各ペプチドは個別に(別個の製剤で)、または別の1以上のペプチドと組み合わせて(同一の製剤で)投与され得る。1以上のペプチドは、担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて投与され得る。一実施形態では、ペプチドはアジュバントと組み合わせて投与される。各ペプチドは、互いに異なるアジュバント、または互いに異なるアジュバントの組み合わせと共に投与され得る。または、2以上のペプチドの組み合わせが、互いに異なるアジュバント、または互いに異なるアジュバントの組み合わせと共に投与され得る。本明細書では、1以上のペプチドを含む免疫原または組成物を、ワクチン、ペプチドワクチン、WT1ワクチンなどと称する。
【0026】
アジュバントは、ミョウバン塩または他のミネラルアジュバント、細菌産物または細菌由来アジュバント、界面活性剤(例えばサポニン)、水中油型(o/w)または油中水型(w)エマルション、リポソームアジュバント、サイトカイン(例えば、IL-2、GM-CSF、IL-12、IFN-ガンマ)、及びα-ガラクトシルセラミド類似体などの任意のクラスであり得る。アジュバントの非限定的な例には、モンタニド(Montanide)エマルション、QS21、フロイント完全または不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、カルメット-ゲラン桿菌(BCG)、及びミョウバンが含まれる。一実施形態では、アジュバントは、オリーブ油由来の野菜グレード(VG)オレイン酸(モンタニド ISA 51 VG w / oエマルジョン)を含有する界面活性剤マンニドモノオレエートなどの、WT1ペプチドに対する免疫系のCTL応答を高める薬剤である。アジュバントは、1以上のWT1ペプチドと同一の組成物、または1以上のチェックポイント阻害剤と同一の組成物、または1以上のWT1ペプチド及び1以上のチェックポイント阻害剤の両方と同一の組成物で投与されるか、あるいは、1以上のWT1ペプチド及び1以上のチェックポイント阻害剤とは別の組成物中に含まれ得る。
【0027】
一実施形態では、本発明の目的に有用な1以上のWT1ペプチドは、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)から選択される任意の2つのペプチドの組み合わせである。一実施形態では、本発明の目的に有用な1以上のWT1ペプチドは、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)から選択される任意の3つのペプチドの組み合わせである。一実施形態では、本発明の目的に有用な1以上のWT1ペプチドは、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)から選択される任意の4つのペプチドの組み合わせである。一実施形態では、本発明の目的のために、1以上のペプチドが、上述した組み合わせのいずれかと組み合わせて使用され得る。
【0028】
一実施形態では、WT1ペプチドは、アミノ酸配列:SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)を含み、このペプチドは、HLAクラスI分子またはHLAクラスII分子の結合モチーフの主要なまたは補助的なアンカー残基に存在する1以上の点変異を有する。一実施形態では、WT1ペプチドは、アミノ酸配列:SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)に対して少なくとも83%の配列同一性を有する。一実施形態では、WT1ペプチドは、20-26のアミノ酸長さを有し、アミノ酸配列:SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)を含む。別の実施形態では、WT1ペプチドは、17または18のアミノ酸長さを有し、アミノ酸配列:SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)の断片を含む。別の実施形態では、WT1ペプチドは、アミノ酸配列:SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。別の実施形態では、上記した任意のペプチドは、HLAクラスI結合モチーフの主要なまたは補助的なアンカー残基に存在する1以上の点変異を有する。一実施形態では、前記ペプチドは、HLAクラスI結合モチーフの位置2または9、またはHLAクラスI結合モチーフの補助的なアンカー残基の位置1、3、4、5、6、7、または8に点変異を有する。一実施形態では、前記ペプチドのHLAクラスI結合モチーフの位置が、グリシン、トレオニン、またはフェニルアラニンに変更される。一実施形態では、HLAクラスI結合モチーフの位置2が、ロイシンまたはイソロイシンに変更される。一実施形態では、HLAクラスI結合モチーフの位置6が、バリン、グルタミンまたはヒスチジンに変更される。一実施形態では、HLAクラスI結合モチーフの位置9が、バリン、アラニン、トレオニン、イソロイシン、またはシステインに変更される。
【0029】
一実施形態では、本発明の目的に有用な以上のWT1ペプチドは、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:125)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:2)から選択される、2つ、3つ、または4つのペプチドの組み合わせと、WO2014113490に開示された、NQMNLGATL(SEQ ID NO:147)、NLMNLGATL(SEQ ID NO:148)、NYMNLGATL(SEQ ID NO:149)、CMTWNQMNLGATLKG(SEQ ID NO:150)、CMTWNLMNLGATLKG(SEQ ID NO:151)、WNQMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:152)、WNLMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:153)、MTWNQMNLGATLKGV(SEQ ID NO:154)、TWNQMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:155)、CMTWNLMNLGATLKG(SEQ ID NO:156)、MTWNLMNLGATLKGV(SEQ ID NO:157)、TWNLMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:158)、WNLMNLGATLKGVAA(SEQ ID NO:159)、MTWNYMNLGATLKGV(SEQ ID NO:1260)、TWNYMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:161)、CMTWNQMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:162)、WNQMNLGAT(SEQ ID NO:163)、TWNQMNLGA(SEQ ID NO:164)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:165)、CMTWNLMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:166)、WNLMNLGAT(SEQ ID NO:167)、MNLGATLKG(SEQ ID NO:168)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:169)、CMTWNYMNLGATLKGVA(SEQ ID NO:170)、MNLGATLKG(SEQ ID NO:171)、MTWNQMNLG(SEQ ID NO:172)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:173)、GYLRNPTAC(SEQ ID NO:174)、GALRNPTAL(SEQ ID NO:175)、YALRNPTAC(SEQ ID NO:176)、GLLRNPTAC(SEQ ID NO:177)、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:178)、RYRPHPGAL(SEQ ID NO:179)、YQRPHPGAL(SEQ ID NO:180)、RLRPHPGAL(SEQ ID NO:181)、RIRPHPGAL(SEQ ID NO:182)、GALRNPTAC(SEQ ID NO:183)、GALRNPTAL(SEQ ID NO:184)、RQRPHPGAL(SEQ ID NO:185)、RLRPHPGAL(SEQ ID NO:186)、RIRPHPGAL(SEQ ID NO:187)、QFPNHSFKHEDPMGQ(SEQ ID NO:188)、QFPNHSFKHEDPMGQ(SEQ ID NO:189)、HSFKHEDPM(SEQ ID NO:190)、HSFKHEDPY(SEQ ID NO:191)、HSFKHEDPK(SEQ ID NO:192)、KRPFMCAYPGCYKRY(SEQ ID NO:194)、SEKRPFMCAYPGCNK(SEQ ID NO:194)、KRPFMCAYPGCNK(SEQ ID NO:195)、FMCAYPGCN(SEQ ID NO:196)、FMCAYPGCY(SEQ ID NO:197)、またはFMCAYPGCK(SEQ ID NO:198)から選択される1以上の天然または修飾WT1ペプチドとの組み合わせである。
【0030】
組み合わせの各ペプチドは、個別の製剤として個別に投与してもよいし、または組み合わせの2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のペプチドを同一の製剤で同時に投与してもよい。
【0031】
各ペプチドの投与量、各ペプチドまたは各ペプチドの組み合わせの投与頻度、投与期間、及びWT1ペプチドによる免疫付与の他の態様は、患者の臨床症状、疾患の期間または経過、併存疾患、及び臨床的ケアの他の側面に従って最適化され得る。したがって、本発明は、本明細書で具体化される方法の免疫付与成分の特定の態様に関して限定されない。
【0032】
一実施形態では、WT1ワクチンは、4つの上述したペプチド(YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125))を各々280mcg含み、総量が0.7mLとなるように組み合わされる(各ペプチドは0.4mg/mL)。一実施形態では、200mcgの各ペプチドが、各用量(0.5mL)で投与される。一実施形態では、各ペプチド100-2000mcgが各用量で投与される。一実施形態では、上記の用量が、隔週で10週間にわたって投与される(すなわち、6回投与される)。一実施形態では、投与は皮下投与である。一実施形態では、アジュバントは、投与前にワクチンと混合(エマルジョン化)される。一実施形態では、0.5mLのワクチン(すなわち、200mcgの各ペプチド)が投与前に1.0mLのアジュバントによりエマルジョン化される。別の実施形態では、ワクチンの注射前または注射後に、ワクチンと同一の部位にアジュバントが注射される。一実施形態では、アジュバントはエマルジョンである。一実施形態では、エマルジョンは、モンタニド(Montanide)エマルションである。一実施形態では、モンタニドエマルジョンは、免疫アジュバントモンタニド ISA 51 VGである。本発明の実施時には、チェックポイント阻害剤も、WT1ワクチンと共に対象に投与される(詳細については後述する)。
【0033】
上述したように、1以上のWT1ペプチドは、WT1発現癌に対する免疫応答を誘起するための免疫原性組成物として投与され得る。また、別の実施形態では、1以上のWT1ペプチドは、インビトロ法またはエクスビボ法を用いて、患者に投与したときにWT1発現癌を対する免疫応答を誘導するWT1特異的CTLを作製するために使用される。一実施形態では、1以上のWT1ペプチドが、例えば細胞株からの細胞を使用したインビトロでのCTLの産生を誘導するのに使用される。別の実施形態では、1以上のWT1ペプチドが、患者から取得した細胞サンプル中でCTLの産生を誘導するのに使用される。エクスビボで産生されたCTLは、それを必要とする同一の患者に注入して戻される。別の実施形態では、1以上のWT1ペプチドは、ドナーから取得された細胞サンプル中でCTLの産生を誘導するのに使用され、エクスビボで産生されたCTLは、ドナーではない患者に注入される。別の実施形態では、治療を必要とする患者ではない対象に、本明細書で記載された1以上のWT1ペプチドが、CTLの産生を誘導するために投与される。産生されたCTLは、ドナーから患者に移される。これらの各実施形態は、本発明の他の態様であり、また、本明細書中で説明したように癌の治療または癌の発生率または再発率の低減に有用なWT1特異的細胞の供給源である。
【0034】
上述した全ての方法において、WT1発現癌に対するCTL応答を誘導するための患者のワクチン接種またはドナーからのWT1特異的CTLの取得、あるいは細胞株からの免疫細胞を使用するインビトロ法またはエクスビボ法、あるいは患者または患者ではないドナーのいずれの場合でも、また、WT1発現癌を治療する、あるいはWT1発現癌の発生率または再発率を低減する方法が、1以上のWT1ペプチドによるそれを必要とする対象に対する免疫付与によるか、インビトロまたはドナー内でのエクスビボでのCTLの産生によるかに関わらず、チェックポイント阻害剤と組み合わせた使用が本明細書で具現化される。これらの全ての方法において、1以上のチェックポイント阻害剤と組み合わせた使用が本明細書で具体化される。1以上のチェックポイント阻害剤を、1以上のWT1ペプチドで免疫化された患者に投与され得る。チェックポイント阻害剤は、その後に患者に注入されるWT1特異的CTLの形成を向上させるために、インビトロまたはエクスビボで使用され得る。1以上のチェックポイント阻害剤が、WT1特異的CTLの形成を向上させるために、ドナーにおいて使用され得る。WT1特異的CTLは、その後に、患者に移入され得る。インビトロ、エクスビボ、またはドナーにチェックポイント阻害剤が投与されたか否かに関わらず、チェックポイント阻害剤は、インビトロ、エクスビボ、またはドナー中で産生されたCTLを受け取る患者において使用され得る。後者の実施形態では、同一のまたは異なる1以上のチェックポイント阻害剤が、インビトロ、エクスビボ、またはドナー、あるいは患者において使用され得る。
【0035】
免疫チェックポイントは、免疫系におけるT細胞機能を調節する。T細胞は、細胞性免疫において中心的な役割を果たす。チェックポイントタンパク質は、T細胞にシグナルを送信しT細胞機能を本質的にスイッチオフまたは阻害する特異的リガンドと相互作用する。癌細胞は、その表面上にチェックポイントタンパク質を高レベルで発現させることによってこのシステムを利用し、腫瘍微小環境に入るT細胞の表面上のチェックポイントタンパク質を発現するT細胞を制御し、これにより、抗癌免疫応答を抑制する。したがって、チェックポイントタンパク質の阻害により、T細胞機能の回復及び癌細胞に対する免疫応答がもたらされるであろう。免疫チェックポイント阻害剤(チェックポイント阻害剤)は、免疫チェックポイントタンパク質を遮断または阻害する(すなわち、チェックポイント受容体またはチェックポイント受容体リガンドを遮断または阻害する)組成物または薬剤である。チェックポイントタンパク質の例には、これに限定しないが、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、IDO、KIR、2B4(CD2分子ファミリーに属し、全てのNK細胞及びメモリーCD8+T細胞上に発現する)、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049、CHK1及びCHK2キナーゼ、A2aR、及び様々なB-7ファミリーリガンドが含まれる。PD-1(Programmed Death-1)は、T細胞活性化の制御に関与する分子の免疫グロブリンスーパーファミリー(IGSF)のメンバーである。PD-1は、細胞死を起こしているT細胞ハイブリドーマにおいて上方制御された遺伝子として1992年に同定されたとき、「プログラムされた死」と名付けられた。PD-1の構造は、1つのIGSFドメインと、膜貫通ドメインと、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)及び免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフ(ITSM)を含む細胞内ドメインとから構成されている[38]。PD-1は、PD-L1(B7-H1、CD274)と、PD-L2(B7-DC、CD273)との2つの結合パートナーを有する。PD-L1は、造血系及び非造血系の両方で広範に発現する[39、40]。これは、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、DC、及び肥満細胞、並びに、末梢組織で見られる[41、42]。PD-1の関与は、腫瘍が免疫監視及びクリアランスを回避する1つの手段を示す[43]。PD-1経路の遮断は、免疫応答性マウス癌モデルにおいて活性を示すニボルマブ(nivolumab)によって実証されている[44]。
【0036】
チェックポイント阻害剤の非限定的な例には、小分子、ペプチド、または抗体が含まれる。抗体の非限定的な例には、ニボルマブ(nivolumab)(OPDIVO)、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)(KEYTRUDA)、ピジリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、MEDI-0680(AMP-514)、AMP-224、AUNP-12、BMS-936559、アテゾリズマブ(atezolizumab)(MPDL-3280A)、デュルバルマブ(durvalumab)(MEDI-4736)、アベルマブ(avelumab)(MSB-0010718C)、BMS-935559(MDX-1105)、rHIgM12B7、BMS-986016、GSK-2831781、IMP-321、リリルマブ(lirilumab)(BMS-986015)、IPH-2101(1-7F9)、インドキシモド(Indoximod)(NLG-9189)、NLG-919、INCB-024360、PF-05082566、ウレルマブ(Urelumab)(BMS-663513)、及びMEDI-6469が含まれる。
【0037】
ニボルマブ(OPDIVO)は、活性化されたTリンパ球及びBリンパ球上のPD-1受容体を標的とする完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である[47]。ペンブロリズマブ(KEYTRUDA)は、PD-1を標的とする抗体の別の非限定的な例である。チェックポイントタンパク質を遮断、阻害、または標的とする他の組成物及び薬剤には、試験段階のまだ市販されていない組成物が含まれる。本発明は、特定のチェックポイント阻害剤によって限定されない。使用され得るチェックポイント阻害剤の非限定的な例を表1に列挙する。
【0038】
【0039】
一実施形態では、2以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせが対象に投与される。一実施形態では、チェックポイント阻害剤の組み合わせは、表1に列挙した例から選択される。2以上のチェックポイント阻害剤は、互いに関して及び1以上のWT1ペプチドに関して、同時にまたは連続的に投与することができる。さらなる実施形態では、2以上の別個のチェックポイントタンパク質を標的とする2以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせ、例えばPD-1(例えば、ニボルマブまたは他のPD-1阻害剤)及びCTLA-4(例えば、イピリムマブ(ipilumumab)または他のCTLA-4阻害剤)が、互いに関して及び1以上のWT1ペプチドに関して同時にまたは連続的に、対象に投与される。一実施形態では、2以上の別個のチェックポイントタンパク質を標的とする2以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせは、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1キナーゼ、CHK2キナーゼ、A2aR、及びB-7ファミリーリガンドからなる群より選択される。一実施形態では、2以上の別個のチェックポイントタンパク質を標的とする2以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせは、表1に列挙した例から選択される。
【0040】
チェックポイント阻害剤の投与量、投薬頻度、投薬時間、及び投与の他の態様は、患者の臨床症状、疾患の期間または経過、併存疾患、及び臨床的ケアの他の側面に従って最適化され得る。したがって、本発明は、本明細書で具体化される方法のチェックポイント阻害剤成分の特定の態様に関して限定されない。
【0041】
一実施形態では、12週にわたって2週間ごとに3mg/kgのニボルマブが投与される。一実施形態では、投与は静脈内投与である。一実施形態では、チェックポイント阻害剤の投与は、WT1ワクチンの投与と同時に行われる。一実施形態では、チェックポイント阻害剤の投与は、WT1ワクチンの投与と重複して行われる。一実施形態では、チェックポイント阻害剤の投与は、WT1ワクチンの投与とほぼ同時に開始される。
【0042】
一実施形態では、WT1ワクチンは、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)の各ペプチドを200mcg含む。そして、このWT1ワクチンは、総量が0.5mlとなるように組み合わせ、1.0mLのモンタニド ISA 51 VGによりエマルジョン化させ、6週間にわたって2週間ごとに皮下投与した。また、ニボルマブ3mg/kgの投与をWT1ワクチンの投与と同時に開始し、2週間ごとに60分間静脈内投与した(7回投与した)。
【0043】
一実施形態では、1以上のWT1ペプチドと、1以上のチェックポイント阻害剤とを、対象に最大の利益をもたらすスケジュールに従って対象にそれぞれ投与される方法が本明細書で具体化される。そのため、1以上のWT1ペプチドと1以上のチェックポイント阻害剤とは、必ずしも同時に、または同一の組成物で、または同一の持続期間でそれぞれ投与する必要はない。各WT1ペプチドは、各チェックポイント阻害剤と同様に、特定のスケジュールに従って投与され得る。非限定的な一実施形態では、1以上のWT1ペプチド及び1以上のチェックポイント阻害剤は、同一の組成物中に含まれる。
【0044】
本明細書中で説明したように、1以上のWT1ペプチド(個別にまたは同時に投与される)と1以上のチェックポイント阻害剤(個別にまたは同時に投与される)とについての投与量及び投与スケジュール(投与頻度及び投与経路を含む)、投与経路、及び投与の他の態様は、対象に最大の利益をもたらすように最適化される。これらと同様の側面が、ドナーが、患者に投与するためのWT1特異的CTLを生成する目的での1以上のWT1ペプチド及びチェックポイント阻害剤のレシピエントである場合には考慮される。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つのWT1ペプチドと、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とを含む組成物が提供される。一実施形態では、組成物中の1以上のWT1ペプチドは、本明細書に開示されたものから選択される。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、本明細書に開示されたものから選択される。一実施形態では、本発明の組成物は、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)のWT1ペプチドの内から選択される1つ、2つ、または3つのペプチドを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、YMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)、及びSGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:125)を含む。一実施形態では、本発明の組成物は、チェックポイント阻害剤として、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはそれらの組み合わせを含む。また、本発明の組成物は、賦形剤、希釈剤、または担体をさらに含み得る。また、本発明の組成物は、1以上のアジュバントをさらに含み得る。
【0046】
上述した実施形態は、WT1発現癌の治療、WT1発現癌の発生率の低減、及びWT1発現癌に対する免疫応答を誘導の改善された方法、及びそれらの目的に有用な改善された組成物を提供する。本発明の他の態様は、以下でさらに説明する。
【0047】
一実施形態では、修飾されたWT1ペプチドは、本明細書では変異WT1ペプチドと称する、1以上の修飾アミノ酸を有する。一実施形態では、変異WT1ペプチドは、(a)ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子の結合モチーフと、(b)HLAクラスI分子の結合モチーフの1以上のアンカー残基に存在する点変異を有するHLAクラスI分子の結合モチーフとを含む。別の実施形態では、前記ペプチドは、11以上のアミノ酸長さを有する。いくつかの実施形態では、前記ペプチドは、11-22、11-30、16-22、または16-30のアミノ酸長さを有する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1-3アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1-2アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2-3アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1-4アンカー残基内に存在する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に対して、少なくとも1つのWT1ペプチドと少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とを投与するステップを含み、それにより、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供する。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率または再発率を減少させる方法であって、前記対象に対して、少なくとも1つのWT1ペプチドと少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とを投与するステップを含み、それにより、対象におけるWT1発現癌の発生率または再発率を減少させる方法を提供する。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導する方法であって、リンパ球集団を、少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と接触させるステップを含み、それにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供する。
【0051】
別の実施形態では、本発明は、(a)WT1タンパク質に特異的なCD8+リンパ球、または(b)WT1タンパク質に特異的なCD4+リンパ球の形成及び増殖を誘導する方法であって、リンパ球集団を、少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と接触させるステップを含み、それにより、(a)WT1タンパク質に特異的なCD8+リンパ球、または(b)WT1タンパク質に特異的なCD4+リンパ球の形成及び増殖を誘導する方法を提供する。
【0052】
一実施形態では、上述したWT1発現癌を治療する方法は、WT1発現癌の発生率または再発率を減少させるか、またはWT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導し、かつ、WT1ペプチドの単独投与、またはチェックポイント阻害剤の単独投与の場合と比べてより大きな効果が得られる。一実施形態では、WT1ワクチンに対する生体応答が1以上のチェックポイント阻害の投与によって高まるように、WT1ワクチンの投与と、1以上のチェックポイント阻害の投与とは、互いに同時に、重複して、または同時期に行われる。同時期の投与は、WT1特異的CTLを誘導するためのWT1ワクチン投与と、癌に対するCTLの活性を高めるための1以上のチェックポイント阻害剤の投与とを包含する。一実施形態では、WT1ワクチン投与は、WT1ワクチン投与によって誘起されるCTLの効果がチェックポイント阻害剤療法によって高められる限り、チェックポイント阻害剤療法の開始前に終了しもよい。一実施形態では、最初のチェックポイント阻害剤療法は、前回のWT1ワクチン投与と同日に行われる。一実施形態では、WT1ワクチン接種の終了及びチェックポイント阻害剤療法の開始は、1-7日または1-4週間隔てられる。
【0053】
本明細書中で説明したように、WT1ペプチドは、WT1タンパク質の天然断片または連続アミノ酸配列であり得る。または、WT1ペプチドは、ペプチドに対する免疫原性または任意の他の有益な性質を向上させてWT1発現癌に対する免疫を発現させるために、アミノ酸配列の1以上の修飾を有し得る。いくつかの実施形態では、免疫原性を向上させるために1以上のアミノ酸が改変される。一実施形態では、本発明の使用方法は、(a)ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子の結合モチーフと、(b)HLAクラスI分子の結合モチーフの1以上のアンカー残基に存在する点変異を有するHLAクラスI分子の結合モチーフとを含む、単離された変異したWT1ペプチドを用いる。別の実施形態では、前記ペプチドは、11以上の長さを有する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0054】
「点変異(点突然変異)」は、別の実施形態では、断片がタンパク質の天然配列に関して突然変異しており、これにより、HLAクラスI分子結合モチーフが生成されることを示す。別の実施形態では、「点変異」は、天然配列中に存在するHLAクラスI分子結合モチーフの結合能力を高める。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0055】
別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1-3アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1-2アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2-3アンカー残基内に存在する。別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1-4アンカー残基内に存在する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0056】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、11-453のアミノ酸(AA)長さを有する。別の実施形態では、アミノ酸長さは、12-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、13-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、17-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、19-453AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、20-453AAである。
【0057】
別の実施形態では、アミノ酸長さは、11-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、12-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、13-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、17-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、19-449AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、20-449AAである。
【0058】
別の実施形態では、アミノ酸長さは、11-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-22AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、19AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-23AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-24AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-25AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-26AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-27AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、15-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-29AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-26AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-24AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-22AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、14-20AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-26AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-24AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、16-22AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-26AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-24AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-22AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、18-20AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、20-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、20-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、20-26AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、20-24AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、22-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、22-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、22-26AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、24-30AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、24-28AAである。別の実施形態では、アミノ酸長さは、24-26AAである。
【0059】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物に有用なペプチドは、HLAクラスII分子に結合するための最小長さよりも長く、別の実施形態では、約12AAである。別の実施形態では、HLAクラスII結合ペプチドの長さを延長することにより、2以上のHLAクラスII分子に対する結合を可能にしている。別の実施形態では、HLAクラスII結合ペプチドの長さを延長することにより、結合モチーフが不明なHLAクラスII分子に対する結合を可能にしている。別の実施形態では、HLAクラスII結合ペプチドの長さを延長することにより、HLAクラスI分子に対する結合を可能にしている。別の実施形態では、HLAクラスI分子の結合モチーフは既知である。別の実施形態では、HLAクラスI分子の結合モチーフは不明である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0060】
上記のペプチド長さの各々は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0061】
HLA分子(別の実施形態では主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子とも称する)は、ペプチドと結合し、該ペプチドに免疫細胞を提示する。したがって、別の実施形態では、ペプチドの免疫原性は、HLA分子に対するペプチドの親和性によって部分的に決定される。HLAクラスI分子は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)上に通常存在するCD8分子と相互作用する。HLAクラスII分子は、ヘルパーTリンパ球上に通常存在するCD4分子と相互作用する。
【0062】
別の実施形態では、本発明のペプチドは免疫原性を有する。別の実施形態では、「免疫原性」なる用語は、免疫応答を促進または誘起する能力、あるいは、免疫応答に関与する能力を指す。別の実施形態では、誘発される免疫応答は、細胞性免疫応答である。別の実施形態では、免疫応答は、細胞性免疫応答と体液性免疫応答との組み合わせである。
【0063】
別の実施形態では、T細胞は、MHC分子-ペプチド複合体と結合すると活性化され、増殖して前記ペプチドを含むタンパク質を発現する細胞を溶解するように誘導される。T細胞は、通常、最初は、「プロフェッショナルな」抗原提示細胞(「APC」、例えば、樹枝細胞、単球、及びマクロファージ)によって活性化される。APCは、アネルギーまたはアポトーシスとは対照的に、T細胞の活性化を促進する副刺激分子を提示する。別の実施形態では、本明細書中で説明したように前記応答はヘテロクリティックであり、CTLは、本発明のペプチドと相同なAA配列を有するタンパク質を発現する腫瘍細胞、またはT細胞を最初に刺激するのに使用されたペプチドとは異なるペプチドを溶解する。
【0064】
別の実施形態では、T細胞が本発明のペプチドと接触すると、エフェクター及び/またはメモリーT細胞への分化が誘導される。その後、エフェクターまたはメモリーT細胞が同一のペプチドと接触すると、または、別の実施形態では本発明のヘテロクリティックペプチドと接触すると、より速いかつ強力な免疫応答が誘導される。このような応答は、別の実施形態では、ペプチドに曝されたT細胞集団の増殖の程度を測定することによって評価される。別の実施形態では、このような応答は、以下に列挙する方法のいずれかにより評価される。
【0065】
別の実施形態では、本明細書中で説明したように、対象が、ペプチド、または、発現した天然タンパク質とは異なる本明細書のペプチドを含む組成物/細胞集団に暴露されると、その後、天然タンパク質/抗原に対する交差反応性を有する宿主免疫応答が発現する。
【0066】
別の実施形態では、本発明のペプチド、組成物、及びワクチンは、腫瘍細胞を溶解させる免疫応答を促進する。上記の全ての実施形態において、チェックポイント阻害剤と併用することにより、腫瘍に対する免疫応答を高めることができる。
【0067】
別の実施形態では、本発明のペプチドのHLAクラスI分子結合モチーフは、前記ペプチドのHLAクラスII分子結合モチーフに含まれる。別の実施形態では、HLAクラスI分子結合モチーフは、HLAクラスII分子結合モチーフと重なる。別の実施形態では、HLAクラスI分子結合モチーフは、HLAクラスII分子結合モチーフと重ならない。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0068】
結合モチーフが本発明のペプチドに含まれるHLAクラスII分子は、別の実施形態では、HLA-DR分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DP分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DQ分子である。
【0069】
別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DRB分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、DRB101である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、DRB301である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、DRB401である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、DRB701である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、DRB1101である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、DRB1501である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、当分野で既知の任意の他のHLA-DR分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DRA分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DQA1分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DQB1分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DPA1分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DPB1分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DMA分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DMB分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DOA分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DOB分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、当分野で既知の任意の他のHLAクラスII分子である。
【0070】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、2つの別個のHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、3つの別個のHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、4つの別個のHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、5つの別個のHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、6つの別個のHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、7つ以上の別個のHLAクラスII分子に結合する。
【0071】
別の実施形態では、本発明のペプチドと結合するHLAクラスII分子は、所与のHLAクラスII遺伝子座に存在する2以上の別個の対立遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、1つの遺伝子座に存在する3つの別個の対立遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、1つの遺伝子座に存在する4つの別個の対立遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、1つの遺伝子座に存在する5つの別個の対立遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、1つの遺伝子座に存在する6つの別個の対立遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、1つの遺伝子座に存在する7つ以上の別個の対立遺伝子によってコードされる。
【0072】
別の実施形態では、本発明のペプチドと結合するHLAクラスII分子は、2つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、2つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、3つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、3つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、4つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、4つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、5つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、5つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、6つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、6つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、7つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0073】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、2つの別個のHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、3つの別個のHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、4つの別個のHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、5つの別個のHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、6つの別個のHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、7つ以上の別個のHLA-DRB分子に結合する。
【0074】
別の実施形態では、WT1ペプチドと結合するHLAクラスII分子は、2つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、2つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、3つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、3つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、4つの別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、4つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、5つ以上の別個の遺伝子座に存在するHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態では、遺伝子座は、HLA-DRB遺伝子座から選択される。別の実施形態では、前記HLAクラスII分子は、HLA-DRA結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DQA1結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DQB1結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DPA1結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DPB1結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DMA結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DMB結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DOA結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、HLA-DOB結合ペプチドである。別の実施形態では、前記ペプチドは、当分野で既知の任意の他のHLAクラスII分子と結合する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0075】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される2つの別個のHLA-DRB対立遺伝子によってコードされたHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される3つの別個のHLA-DRB対立遺伝子によってコードされたHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される4つの別個のHLA-DRB対立遺伝子によってコードされたHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される5つの別個のHLA-DRB対立遺伝子によってコードされたHLA-DRB分子に結合する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501の各HLA-DRB対立遺伝子によってコードされたHLA-DRB分子に結合する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0076】
上記のHLAクラスII分子、種類、クラス、及びそれらの組み合わせの各々は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0077】
結合モチーフが本発明のペプチドに含まれるHLAクラスI分子は、別の実施形態では、HLA-A分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-B分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-C分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A0201分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A1である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A2である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A2.1である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A3である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A3.2である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A11である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A24である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-B7である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-B27である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-B8である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0078】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のHLAクラスI分子結合性WT1ペプチドは、HLAクラスI分子のスーパーファミリーに結合する。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、A2スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、A3スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、A24スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、B7スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、B27スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、B44スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、C1スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、C4スーパーファミリーである。別の実施形態では、前記スーパーファミリーは、当分野において既知の任意の他のスーパーファミリーである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0079】
別の実施形態では、本発明のペプチドのHLAクラスI分子結合性モチーフは、前記ペプチドの未変異対応物と比較して、HLAクラスI分子に対する親和性の増加を示す。別の実施形態では、前記点変異は、HLAクラスI分子に対する、単離された変異型WT1ペプチドの親和性を増加させる。別の実施形態では、親和性の増加は、単離された変異型WT1ペプチドが由来する単離された未変異WT1ペプチドの(同一のHLAクラスI分子に対する)親和性に関連する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0080】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のHLAクラスI分子結合性WT1ペプチドは、9-13AAの長さを有する。別の実施形態では、前記長さは、8-13AAである。別の実施形態では、前記ペプチドは、本明細書中に列挙した本発明のペプチドの長さのいずれかを有する。
【0081】
別の実施形態では、前記HLAクラスI分子結合性WT1ペプチドは、9AAの長さを有する。別の実施形態では、前記ペプチドは、9AAの長さを有する。別の実施形態では、前記ペプチドは、10AAの長さを有する。9-10AAの長さを有する天然ペプチド及びヘテロクリティックペプチドは、HLAクラスI分子と実質的に結合し、サイトカイン分泌及びCTLによる細胞溶解を誘起する。
【0082】
別の実施形態では、本発明のWT1ペプチド内に含まれる前記HLAクラスI分子結合性WT1ペプチドは、上記の長さのうちのいずれかを有する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。一実施形態では、本発明のWT1ペプチドは、HLAクラスI分子結合性WT1ペプチドよりも長い長さを有するペプチドである。このより長いペプチドは、細胞によって、HLAクラスI分子により提示される適切な長さに分解される。
【0083】
別の実施形態では、HLAクラスI分子結合性WT1ペプチドと結合するHLAクラスI分子は、HLA-A分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A2分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A3分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-A11分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-B8分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、HLA-0201分子である。別の実施形態では、前記HLAクラスI分子は、当分野で既知の任意の他のHLAクラスI分子と結合する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0084】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、本発明のペプチドが由来する単離されたWT1ペプチドにより示されるように、複数のHLAクラスII分子と結合する能力を有する。
【0085】
本明細書中の全ての態様において、本明細書のワクチンにおいて有用な1以上のWT1ペプチド、または天然であれ修飾されたものであれ、インビトロ、エクスビボまたはドナーにおいてCTLを生成するための、患者またはドナーのHLAタイプ(複数可)に一致するペプチドまたはペプチド配列の選択が本明細書に具体化される。
【0086】
本発明のペプチドが由来するWT1分子は、別の実施形態では、配列:MGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGVAAGSSSSVKWTEGQSNHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGKTSEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(SEQ ID NO:199;GenBankアクセス番号 AY245105)を有する。
【0087】
別の実施形態では、WT1分子は、配列:AAEASAERLQGRRSRGASGSEPQQMGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(SEQ ID NO:200;GenBankアクセス番号 NM000378)を有する。
【0088】
別の実施形態では、WT1分子は、配列:MQDPASTCVPEPASQHTLRSGPGCLQQPEQQGVRDPGGIWAKLGAAEASAERLQGRRSRGASGSEPQQMGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGVAAGSSSSVKWTEGQSNHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(SEQ ID NO:201;GenBankアクセス番号 NP077742)を有する。
【0089】
別の実施形態では、WT1分子は、配列:MGHHHHHHHHHHSSGHIEGRHMRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFFRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(SEQ ID NO:202)を含む。
【0090】
他の実施形態では、WT1タンパク質は、以下のGenBank配列エントリー、すなわちNM024426、NM024425、NM024424、NM000378、S95530、D13624、D12496、D12497、AH003034またはX77549の1つを含む。他の実施形態では、WT1タンパク質は、上記のGenBank配列エントリーの1つに記載された配列の1つを有する。別の実施形態では、WT1タンパク質は、当該分野で公知の任意のWT1タンパク質である。別の実施形態では、WT1タンパク質は、当該分野で公知の任意の他のWT1配列を有する。
【0091】
別の実施形態では、本発明の目的に有用なペプチドは、WT1タンパク質の断片に由来する。別の実施形態では、誘導のプロセスは、HLAクラスI分子結合モチーフのアンカー残基に点変異を導入することを含む。別の実施形態では、誘導のプロセスは、HLAクラスI分子結合モチーフのアンカー残基に点変異を導入することからなる。別の実施形態では、本発明のペプチドは、HLAクラスI分子結合モチーフアンカー残基の点変異のみによってWT1タンパク質の対応する断片と異なる。別の実施形態では、本発明のペプチドのHLAクラスI分子結合モチーフは、対応するWT1配列とはアンカー残基中の点変異のみによって異なる。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0092】
別の実施形態では、本発明のペプチドの誘導のプロセスは、AA類似体へのアミノ酸(AA)の1以上の修飾をさらに含む。別の実施形態では、誘導のプロセスは、2以上のAAを接続する1以上のペプチド結合の修飾をさらに含む。別の実施形態では、AA類似体またはペプチド結合修飾は、以下に列挙するAA類似体またはペプチド結合修飾の1つである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0093】
他の実施形態では、本発明のペプチド(野生型配列の「対応物」)が誘導されるWT1タンパク質の未変異断片は、配列SGQARMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:5)を有する。別の実施形態では、未変異WT1断片は、配列QARMFPNAPYLPSCL(SEQ ID NO:6)を有する。別の実施形態では、未変異WT1断片は、配列LVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:3)を有する。別の実施形態では、未変異WT1断片は、配列RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO:1)を有する。別の実施形態では、未変異WT1断片は、配列NKRYFKLSHLQMHSR(SEQ ID NO:4)を有する。別の実施形態では、未変異WT1断片は、配列PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO:2)を有する。別の実施形態では、未変異WT1断片は、HLAクラスII分子結合モチーフを含む任意の他のWT1断片である。別の実施形態では、未変異WT1断片は、HLA-DR分子結合モチーフを含む任意の他のWT1断片である。別の実施形態では、未変異WT1断片は、複数のHLA-DR分子結合モチーフを含む。別の実施形態では、未変異WT1断片は、HLA-DRB分子結合モチーフを含む任意の他のWT1断片である。別の実施形態では、未変異WT1断片は、複数のHLA-DRB分子結合モチーフを含む。別の実施形態では、本発明のペプチドは、それに含まれる点変異においてのみ、その対応物と異なる。別の実施形態では、本発明のペプチドは、HLAクラスIアンカー残基(複数可)の変異においてのみ、その対応物と異なる。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0094】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、ペプチドが由来する未変異WT1断片によって示されるように、HLAクラスII分子に結合する能力を保持する。別の実施形態では、本発明のペプチドは、未変異WT1断片によって示されるように、複数のHLAクラスII分子に結合する能力を保持する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、AA配列GATLKGVAAGSSSSVKWT(SEQ ID NO:203)及びLKGVAAGSSSSVKWT(SEQ ID NO:204)を含む単離されたペプチドを提供する。
【0096】
本発明の方法及び組成物の別の実施形態における「ペプチド」は、ペプチド結合によって接続されたサブユニットAAの化合物を指す。別の実施形態では、ペプチドはAA類似体を含む。別の実施形態では、ペプチドはペプチド模倣体である。別の実施形態では、本発明のペプチドは、以下に列挙するAA類似体の1つを含む。サブユニットは、別の実施形態では、ペプチド結合によって連結されている。別の実施形態では、サブユニットは、別のタイプの結合、例えば、エステル、エーテルなどによって連結されている。別の実施形態では、本発明のペプチドは、以下に列挙するペプチド模倣体のタイプの1つである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0097】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドは、その結合モチーフがその中に含まれるHLAクラスI分子に高親和性で結合する。他の実施形態では、HLAクラスI分子は、本明細書に列挙される任意のHLAクラスI分子である。別の実施形態では、ペプチドは、中程度の親和性でHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、有意の親和性でHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、測定可能な親和性でHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、HLAクラスI分子に対して安定な結合を示す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0098】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドは、結合モチーフがその中に含まれるHLAクラスII分子に高親和性で結合する。他の実施形態では、HLAクラスII分子は、本明細書に列挙される任意のHLAクラスII分子である。別の実施形態では、ペプチドは、2以上のHLAクラスII分子に高親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、中程度の親和性でHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、2以上のHLAクラスII分子に中程度の親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、有意の親和性でHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、2以上のHLAクラスII分子に有意の親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、測定可能な親和性でHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、2以上のHLAクラスII分子に測定可能な親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、HLAクラスII分子に対して安定な結合を示す。別の実施形態では、ペプチドは、2以上のHLAクラスII分子に対して安定な結合を示す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0099】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドは、HLAクラスI分子及びHLAクラスII分子の両方に有意の親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、HLAクラスI分子及びHLAクラスII分子の両方に高親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、HLAクラスI分子及びHLAクラスII分子の両方に中程度の親和性で結合する。別の実施形態では、ペプチドは、HLAクラスI分子及びHLAクラスII分子の両方に測定可能な親和性で結合する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0100】
別の実施形態では、「断片」は、長さが11以上のAAのペプチドを指す。別の実施形態では、本発明のペプチド断片は16以上のAA長である。別の実施形態では、断片は12以上のAA長である。別の実施形態では、断片は13個以上のAAである。別の実施形態では、断片は14個以上のAAである。別の実施形態では、断片は15以上のAAである。別の実施形態では、断片は17以上のAAである。別の実施形態では、断片は18以上のAAである。別の実施形態では、断片は19以上のAAである。別の実施形態では、断片は22以上のAAである。別の実施形態では、断片は8-12AAである。別の実施形態では、断片は約8-12AAである。別の実施形態では、断片は16-19AAである。別の実施形態では、断片は約16-19AAである。別の実施形態では、断片は10-25AAである。別の実施形態では、断片は約10-25AAである。別の実施形態では、断片は任意の他の長さを有する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つのさらなるWT1ペプチドと組み合わせた本発明の単離されたペプチドを含む組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明の少なくとも2つの異なる単離されたペプチドを含む組成物が提供される。特定の実施形態では、本発明の少なくとも3つまたは少なくとも4つの異なる単離されたペプチドを含む組成物が提供される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。特定の実施形態では、本発明の組成物はワクチンである。
【0102】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドは、有意の親和性でHLAクラスII分子に結合するが、元のペプチド由来のペプチドは、有意の親和性でHLAクラスI分子に結合する。
【0103】
別の実施形態では、「親和性」は、示されたMHC分子への標準ペプチドの結合を50%阻害するのに必要なペプチドの濃度を指す。別の実施形態では、「高親和性」は、標準ペプチドの結合の50%阻害のために約500ナノモル(nM)以下の濃度のペプチドが必要とされる親和性を指す。別の実施形態では、約400nM以下の濃度のペプチドが必要とされる。別の実施形態では、結合親和性は300nMである。別の実施形態では、結合親和性は200nMである。別の実施形態では、結合親和性は150nMである。別の実施形態では、結合親和性は100nMである。別の実施形態では、結合親和性は80nMである。別の実施形態では、結合親和性は60nMである。別の実施形態では、結合親和性は40nMである。別の実施形態では、結合親和性は30nMである。別の実施形態では、結合親和性は20nMである。別の実施形態では、結合親和性は15nMである。別の実施形態では、結合親和性は10nMである。別の実施形態では、結合親和性は8nMである別の実施形態では、結合親和性は6nMである。別の実施形態では、結合親和性は4nMである。別の実施形態では、結合親和性は3nMである。別の実施形態では、結合親和性は2nMである。別の実施形態では、結合親和性は1.5nMである。別の実施形態では、結合親和性は1nMである。別の実施形態では、結合親和性は0.8nMである。別の実施形態では、結合親和性は0.6nMである。別の実施形態では、結合親和性は0.5nMである。別の実施形態では、結合親和性は0.4nMである。別の実施形態では、結合親和性は0.3nMである。別の実施形態では、結合親和性は0.3nM未満である。
【0104】
別の実施形態では、「親和性」は、MHC分子に対する結合強度の尺度を指す。別の実施形態では、親和性は、競合的結合親和性を測定するために当該分野で公知の方法を用い測定される。別の実施形態では、親和性は、相対的結合親和性を測定するために当該分野で公知の方法を用いて測定される。別の実施形態では、本方法は競合結合アッセイである。別の実施形態では、本方法は、ラジオイムノアッセイすなわちRIAである。別の実施形態では、本方法は、BiaCore分析である。別の実施形態では、本方法は、当該分野で公知の任意の他の方法である。別の実施形態では、本方法は、既知の親和性を有する参照ペプチドのIC50に関連してIC50を生じる。
【0105】
親和性の各タイプ及び親和性を測定する方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0106】
別の実施形態では、「高親和性」は、0.5-100nMのIC50を指す。別の実施形態では、IC50は1-100nMである。別の実施形態では、IC50は1.5-200nMである。別の実施形態では、IC50は2-100nMである。別の実施形態では、IC50は3-100nMである。別の実施形態では、IC50は4-100nMである。別の実施形態では、IC50は6-100nMである。別の実施形態では、IC50は10-100nMである。別の実施形態では、IC50は30-100nMである。別の実施形態では、IC50は3-80nMである。別の実施形態では、IC50は4-60nMである。別の実施形態では、IC50は5-50nMである。別の実施形態では、IC50は6-50nMである。別の実施形態では、IC50は8-50nMである。別の実施形態では、IC50は10-50nMである。別の実施形態では、IC50は20-50nMである。別の実施形態では、IC50は6-40nMである。別の実施形態では、IC50は8-30nMである。別の実施形態では、IC50は10-25nMである。別の実施形態では、IC50は15-25nMである。各親和性及び親和性の範囲は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0107】
別の実施形態では、「中程度の親和性」は、100-500nMのIC50を指す。別の実施形態では、IC50は100-300nMである。別の実施形態では、IC50は100-200nMである。別の実施形態では、IC50は50-100nMである。別の実施形態では、IC50は50-80nMである。別の実施形態では、IC50は50-60nMである。各親和性及び親和性の範囲は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0108】
「有意の親和性」は、別の実施形態では、MHC分子-ペプチド複合体を認識するT細胞受容体(TCR)を有するT細胞による標的細胞の認識を媒介するのに十分な親和性を指す。別の実施形態では、この用語は、MHC分子-ペプチド複合体を認識するTCRを有するT細胞による癌細胞の認識を媒介するのに十分な親和性を指す。別の実施形態では、この用語は、ペプチドを提示する樹状細胞によるナイーブT細胞の活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。別の実施形態では、この用語は、ペプチドを提示するAPCによるナイーブT細胞の活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。別の実施形態では、この用語は、ペプチドを提示する樹状細胞による記憶T細胞の再活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。別の実施形態では、この用語は、ペプチドを提示するAPCによる記憶T細胞の再活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。別の実施形態では、この用語は、ペプチドを提示する体細胞による記憶T細胞の再活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0109】
「測定可能な親和性」は、別の実施形態では、免疫学的アッセイによって測定可能な十分な親和性を指す。別の実施形態では、免疫学的アッセイは、本明細書に列挙される任意のアッセイである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0110】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドは、HLA分子のスーパーファミリーに結合する。HLA分子のスーパーファミリーは、非常に類似した、または同一の結合モチーフを共有する。別の実施形態では、スーパーファミリーはHLAクラスIスーパーファミリーである。別の実施形態では、スーパーファミリーはHLAクラスIIスーパーファミリーである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0111】
「HLA結合ペプチド」、「HLAクラスI分子結合ペプチド」及び「HLAクラスII分子結合ペプチド」なる用語は、別の実施形態では、測定可能な親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。別の実施形態では、この用語は、HLA分子に高親和性で結合するペプチドを指す。別の実施形態では、この用語は、T細胞前駆体を活性化するのに十分な親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。別の実施形態では、この用語は、T細胞による認識を媒介するのに十分な親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。HLA分子は、他の実施形態では、本明細書に列挙される任意のHLA分子である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0112】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドはヘテロクリティックである。「ヘテロクリティック」は、別の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドが由来する元のペプチド(例えば、アンカー残基変異を含まないペプチド)を認識する免疫応答を生成するペプチドを指す。別の実施形態では、「元のペプチド」は、WT1タンパク質の断片を指す。例えば、配列SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:124)を有する「WT1 122A1」と呼ばれるペプチドは、残基5のアルギニンへの変異によって野生型WT1ペプチドSGQARMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO:5)から生成された。ヘテロクリティック変異は、WT1A1ペプチドであるYMFPNAPYL(SEQ ID NO:124)を生成したCD8+WT1ペプチドRMFPNAPYL(SEQ ID NO:7)ペプチドを導入した。別の実施形態では、「ヘテロクリティック」は、ヘテロクリティックペプチドが由来する元のペプチドを認識する免疫応答を生成するペプチドを指し、ヘテロクリティックペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答は、元のペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答よりも大きい。別の実施形態では、「ヘテロクリティック」免疫応答は、改善されたペプチドが由来する元のペプチド(例えば、アンカー残基変異を含まないペプチド)を認識する免疫応答を指す。別の実施形態では、「ヘテロクリティック」免疫応答は、ヘテロクリティックペプチドが由来する元のペプチドを認識する免疫応答を指し、ヘテロクリティックペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答は、元のペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答よりも大きい。別の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答の大きさは、元のペプチドによるワクチン接種に対する応答と実質的に等しい免疫応答よりも大きい。別の実施形態では、ヘテロクリティックペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答の大きさは、元のペプチドによるワクチン接種に対する応答より小さい免疫応答よりも大きい。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0113】
別の実施形態では、本発明のヘテロクリティックペプチドは、ヘテロクリティックペプチドが由来するWT1ペプチド(「天然ペプチド」)と比較して少なくとも2倍増加した免疫応答を誘導する。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して3倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して5倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して7倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して10倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して15倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して20倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して30倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して50倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して100倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して150倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して200倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して300倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して500倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して1000倍である。別の実施形態では、前記増加は天然ペプチドに対して1000倍を超える。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0114】
別の実施形態では、本発明のヘテロクリティックペプチドは、HLAクラスIヘテロクリティックペプチドである。別の実施形態では、本発明のヘテロクリティックペプチドは、HLAクラスIIヘテロクリティックペプチドである。別の実施形態では、本発明のヘテロクリティッククラスIIペプチドは、クラスII結合残基において変異される。別の実施形態では、本明細書中に例示されるように、本発明のヘテロクリティッククラスIIペプチドは、HLAクラスIヘテロクリティックペプチドの同定及び試験と同様の方法で同定及び試験される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0115】
「アンカーモチーフ」または「アンカー残基」は、別の実施形態では、HLA結合配列の特定の位置にある1つまたは1組の好ましい残基を指す。例えば、位置1、2、3、6及び9の残基は、アンカー残基として使用される。別の実施形態では、HLA結合配列は、HLAクラスII結合配列である。別の実施形態では、HLA結合配列は、HLAクラスI結合配列である。別の実施形態では、アンカーモチーフに対応する位置は、HLA分子に結合するのに重要な役割を果たすものである。別の実施形態では、アンカー残基は一次アンカーモチーフである。別の実施形態では、アンカー残基は二次アンカーモチーフである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0116】
別の実施形態では、「アンカー残基」は、HLAクラスI結合モチーフの位置1、3、6及び9の残基である。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスI結合モチーフの位置1、2、6及び9を指す。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスI結合モチーフの位置1、6及び9を指す。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスI結合モチーフの位置1、2及び9を指す。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスI結合モチーフの位置1、3及び9を指す。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスI結合モチーフの位置2及び9を指す。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスI結合モチーフの位置6及び9を指す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0117】
MHCクラスIIエピトープを同定するための方法は、当分野で公知である。別の実施形態では、MHCクラスIIエピトープは、TEPITOPE(Meister GE, Roberts CG et al, Vaccine 1995 13: 581-91)を用いて予測される。別の実施形態では、MHCクラスIIエピトープは、EpiMatrix(De Groot AS, Jesdale BM et al, AIDS Res Hum Retroviruses 1997 13: 529-31)を用いて同定される。別の実施形態では、MHCクラスIIエピトープは、Predict Method(Yu K, Petrovsky N et al, Mol Med. 2002 8: 137-48)を用いて同定される。別の実施形態では、MHCクラスIIエピトープは、SYFPEITHIエピトープ予測アルゴリズムを用いて同定される。SYFPEITHIは、クラスI及びクラスII MHC分子に結合することが知られている4500を超えるペプチド配列を含むデータベースである。SYFPEITHIは、MHC結合溝に沿った特定の位置にある特定のアミノ酸の存在に基づいてスコアを提供する。理想的なアミノ酸アンカーは10ポイント、異常なアンカーは6-8ポイント、補助アンカーは4-6ポイント、好ましい残基は1-4ポイントである。結合スコアに対する負のアミノ酸効果は-1と-3との間である。HLA-A*0201の最大スコアは36である。
【0118】
別の実施形態では、Rankpepを用いてMHCクラスIIエピトープが同定される。Rankpepは、MHC-ペプチド結合の予測因子として所与のMHC分子に結合することが知られているアライメントしたペプチドのセットからの位置特異的スコアリングマトリックス(PSSM)またはプロファイルを使用する。Rankpepは、選択されたプロファイルを用いて、最大スコアをもたらすコンセンサス配列のものに対するペプチドのスコア、及び予測されたペプチドの最適なパーセントすなわちパーセンタイルスコアに関する情報を含む。Rankpepは、それぞれMHCI及びMHCII分子へのペプチド結合の予測のための102及び80のPSSMの選択を含む。異なるサイズのペプチド結合剤の予測のためのいくつかのPSSMが、通常、各MHCI分子について利用可能である。
【0119】
別の実施形態では、MHCクラスIIエピトープは、SVMHC(Donnes P, Elofsson A. Prediction of MHC class I binding peptides, using SVMHC BMC Bioinformatics. 2002 Sep 11;3:25)を用いて同定される。別の実施形態では、MHCクラスIIエピトープは、当分野で既知の任意の他の方法を用いて同定される。MHCクラスII結合がMHCクラスIアンカー残基変異をWT1配列に導入することにより撹乱されることを確認するために、別の実施形態では上述の方法を利用する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0120】
MHCクラスIエピトープを同定するための方法は、当分野で既知である。別の実施形態では、MHCクラスIエピトープは、BIMASソフトウェアを使用して予測される。BIMASスコアは、ペプチド結合親和性の尺度であるMHC-1/β2-ミクログロブリン/ペプチド複合体の理論的半減期の計算に基づく。このプログラムでは、8-10アミノ酸の長さのHLA-1ペプチドに関する情報が使用される。MHCに対するペプチドの結合親和性が高いほど、このペプチドがエピトープを表す可能性が高くなる。BIMASアルゴリズムは、ペプチド中の各アミノ酸がクラスI分子への結合に独立して寄与すると仮定している。結合に重要なドミナントアンカー残基は、1よりも有意に高い係数をテーブル中に有する。アミノ酸が結合に対して好都合な、または好ましくない寄与をすることが知られていない場合には、値1が割り当てられる。アミノ酸に割り当てられたすべての値が乗算され、得られたランニングスコアに定数を乗じることにより、解離の半減期の推定値を得る。
【0121】
別の実施形態では、MHFPクラスIエピトープは、SYFPEITHIを用いて同定される。別の実施形態では、MHCクラスIエピトープは、SVMHC(Donnes P, Elofsson A. Prediction of MHC class I binding peptides, using SVMHC. BMC Bioinformatics. 2002 Sep 11;3:25)を用いて同定される。別の実施形態では、MHCクラスIエピトープは、NetMHC-2.0(Sensitive quantitative predictions of peptide-MHC binding by a 'Query by Committee' artificial neural network approach. Buus S, Lauemoller SL, Worning P, Kesmir C, Frimurer T, Corbet S, Fomsgaard A, Hilden J,Holm A, Brunak S. Tissue Antigens., 62:378-84, 2003)を用いて同定される。別の実施形態では、MHCクラスIエピトープは、当分野で既知の任意の他の方法を用いて同定される。別の実施形態では、WT1配列へのアンカー残基変異の導入によって生成することができるMHCクラスIエピトープを同定するために、上述の方法を利用する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0122】
別の実施形態では、MHC結合を増強する変異は、HLAクラスI結合モチーフの位置1の残基にある。別の実施形態では、残基はチロシンに変更される。別の実施形態では、残基はグリシンに変更される。別の実施形態では、残基はスレオニンに変更される。別の実施形態では、残基はフェニルアラニンに変更される。別の実施形態では、残基は当分野で既知の他の残基に変更される。別の実施形態では、位置1における置換(例えば、チロシンへの置換)は、位置2のアンカー残基の結合を安定化させる。
【0123】
別の実施形態では、変異はHLAクラスI結合モチーフの位置2にある。別の実施形態において、残基はロイシンに変更される。別の実施形態では、残基はバリンに変更される。別の実施形態では、残基はイソロイシンに変更される。別の実施形態では、残基はメチオニンに変更される。別の実施形態では、残基は当分野で既知の他の残基に変更される。
【0124】
別の実施形態では、変異はHLAクラスI結合モチーフの位置6にある。別の実施形態では、残基はバリンに変更される。別の実施形態では、残基はシステインに変更される。別の実施形態では、残基はグルタミンに変更される。別の実施形態では、残基はヒスチジンに変更される。別の実施形態では、残基は当分野で既知の他の残基に変更される。
【0125】
別の実施形態では、変異は、HLAクラスI結合モチーフの位置9にある。別の実施形態では、変異は残基をそのC末端位置で変化させる。別の実施形態では、残基はバリンに変更される。別の実施形態では、残基はスレオニンに変更される。別の実施形態では、残基はイソロイシンに変更される。別の実施形態では、残基はロイシンに変更される。別の実施形態では、残基はアラニンに変更される。別の実施形態では、残基はシステインに変更される。別の実施形態では、残基は当分野で既知の他の残基に変更される。
【0126】
別の実施形態では、点変異は一次アンカー残基中にある。別の実施形態では、HLAクラスIの一次アンカー残基は位置2及び9である。別の実施形態では、点変異は二次アンカー残基にある。別の実施形態では、HLAクラスI二次アンカー残基は位置1及び8である。別の実施形態では、HLAクラスI二次アンカー残基は位置1、3、6、7及び8である。別の実施形態では、点変異は位置4、5及び8から選択された位置である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0127】
別の実施形態では、点変異は、HLAクラスI結合モチーフの位置1、2、8及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点変異は、位置1、3、6及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点変異は、位置1、2、6及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点変異は、位置1、6及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点変異は、位置1、2及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点突然は、位置1、3及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点変異は、位置2及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。別の実施形態では、点変異は、位置6及び9から選択される位置の1以上の残基に存在する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0128】
別の実施形態では、変異はHLAクラスI結合モチーフの位置4に存在する。別の実施形態では、変異はHLAクラスI結合モチーフの位置5に存在する。別の実施形態では、変異はHLAクラスI結合モチーフの位置7に存在する。別の実施形態では、変異はHLAクラスI結合モチーフの位置8に存在する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0129】
上記のアンカー残基及び置換の各々は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0130】
別の実施形態では、本発明のペプチドにおけるHLAクラスII結合部位は、HLAクラスIIモチーフアンカー残基の変異によって生成または改善される。別の実施形態において、改変されるアンカー残基はP1位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP2位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP6位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP9位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP1、P2、P6及びP9位置から選択される。別の実施形態では、アンカー残基はP3位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP4位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP5位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP6位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP8位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP10位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP11位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP12位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基はP13位置に存在する。別の実施形態では、アンカー残基は、当分野で既知のHLAクラスII分子の任意の他のアンカー残基に存在する。別の実施形態では、P1、P2、P6、及びP9以外の残基は、二次アンカー残基として役立つ。したがって、それらを変異させることにより、HLAクラスII結合を改善することができる。別の実施形態では、上記残基の任意の組み合わせが変異される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0131】
別の実施形態では、本発明は、対象において抗中皮腫免疫応答を誘導する方法を提供し、該方法は、対象を(a)WT1タンパク質;(b)WTタンパク質の断片;(c)WT1タンパク質をコードするヌクレオチド分子;または(d)WT1タンパク質の断片をコードするヌクレオチド分子、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む免疫原性組成物と接触させるステップを含み、それによって、対象において抗中皮腫免疫応答を誘導する。
【0132】
別の実施形態では、本発明は、対象を中皮腫で処理する方法を提供し、該方法は、(a)WT1タンパク質;(b)WTタンパク質の断片;(c)WT1タンパク質をコードするヌクレオチド分子;または(d)WT1タンパク質の断片をコードするヌクレオチド分子、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む免疫原性組成物を対象に投与するステップを含み、それによって、対象を中皮腫で処理する。
【0133】
別の実施形態では、本発明は、対象における中皮腫の発生率またはその再発を減少させる方法を提供し、該方法は、(a)WT1タンパク質;(b)WTタンパク質の断片;(c)WT1タンパク質をコードするヌクレオチド分子;または(d)WT1タンパク質の断片をコードするヌクレオチド分子、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む免疫原性組成物を対象に投与するステップを含み、それによって、対象における中皮腫の発生率またはその再発を減少させる。
【0134】
「相同性」、「相同の」などの用語は、任意のタンパク質またはペプチドに関して言及する場合、別の実施形態では、配列相同性の一部としての保存的置換を考慮することなく、最大比率の相同性を達成するために、必要に応じて配列をアライメントし、ギャップを導入した後、対応する天然のポリペプチドの残基と同一である候補配列中のAA残基の比率を指す。アライメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当分野において公知である。
【0135】
別の実施形態では、「相同性」なる用語は、任意の核酸配列に関して言及する場合、同様に、対応する天然核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドの比率を示す。
【0136】
相同性は、別の実施形態では、当分野で十分に説明された方法による配列アライメントのためのコンピュータアルゴリズムによって決定される。他の実施形態では、核酸配列相同性のコンピュータアルゴリズム解析は、例えばBLAST、DOMAIN、BEAUTY(BLAST Enhanced Alignment Utility)、GENPEPT及びTREMBLパッケージなどの、利用可能な任意の数のソフトウェアパッケージの利用を含む。
【0137】
2つの配列間の同一性比率は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れて、配列によって共有される同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の♯/位置の全♯×100)。配列の比較及び2つの配列間の同一性比率の決定は、配列解析ソフトウェアの数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。タンパク質解析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、削除及び他の修飾に割り当てられた類似の測定値を用いて類似の配列を得る。
【0138】
2つのアミノ酸配列間の同一性比率は、例えば、BLOSUM62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、及び16、14、12、10、8、6または4のギャップ重量、及び1、2、3、4、5または6の長さ重量を用いた、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))アルゴリズムを用いて決定することができる。ポリペプチド配列はまた、デフォルトまたは推奨パラメータを適用したFASTAを使用して比較することができる。GCG Version 6.1、FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)におけるプログラムは、クエリと検索配列との間で最も重複している領域のアラインメント及び配列同一性比率を提供する(Pearson, Methods Enzymol. 1990; 183:63-98; Pearson, Methods Mol. Biol. 2000; 132:185-219)。2つのアミノ酸配列間の同一性比率はまた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Meyers及びW.Millerのアルゴリズム(Comput. Appl. Biosci., 1988; 11-17)により、PAM120残基重量表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を用いて決定することができる。
【0139】
配列をデータベースに含まれる他の配列と比較するための別のアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLAST、特にデフォルトパラメータを用いたblastpである。例えば、Altschul et al., J. Mol. Biol. 1990; 215:403-410; Altschul et al., Nucleic Acids Res. 1997; 25:3389-402 (1997)を参照されたい。各々は参照により本明細書に組み込まれる。本発明のタンパク質配列は、例えば関連配列を同定するために公的データベースに対する検索を実行するための「クエリ配列」として使用することができる。そのような検索は、Altschul, et al. 1990(上記参照)のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実行することができる。本発明のWT1ペプチドに相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3でBLASTタンパク質検索を実行することができる。比較目的のためにギャップのあるアラインメントを得るため、Altschul et al., 1997(上記参照)に記載されているように、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。
【0140】
別の実施形態では、相同配列に関する「相同性」は、本明細書に開示される配列に対する70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%より大きい同一性比率を指す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0141】
別の実施形態では、本発明は、ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む組成物を提供する。別の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。別の実施形態では、組成物はアジュバントをさらに含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の2つ以上のペプチドを含む。別の実施形態では、組成物は、以下に記載する添加剤、化合物、または賦形剤のいずれかをさらに含む。別の実施形態では、アジュバントは、ミョウバン塩または他のミネラルアジュバント、細菌産物または細菌由来アジュバント、界面活性剤(例えばサポニン)、水中油型(o/w)または油中水型(w)エマルジョン、リポソームアジュバント、サイトカイン(例えば、IL-2、GM-CSF、IL-12、IFN-ガンマ)、及びα-ガラクトシルセラミド類似体である。別の実施形態では、アジュバントは、QS21、フロイント完全または不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、BCGまたはミョウバンである。他の実施形態では、担体は、本明細書に列挙される任意の担体である。他の実施形態では、アジュバントは、本明細書に列挙される任意のアジュバントである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0142】
別の実施形態では、本発明は、本発明のペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含むワクチンを提供する。別の実施形態では、ワクチンは担体をさらに含む。別の実施形態では、ワクチンはアジュバントをさらに含む。別の実施形態では、ワクチンは担体及びアジュバントの組み合わせをさらに含む。別の実施形態では、ワクチンはAPCをさらに含む。別の実施形態では、ワクチンはAPCと担体またはアジュバントとの組み合わせをさらに含む。別の実施形態では、ワクチンは細胞ベースの組成物である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0143】
別の実施形態では、本発明は、本発明のペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は担体をさらに含む。別の実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントをさらに含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は担体とアジュバントとの組み合わせをさらに含む。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0144】
別の実施形態では、「ワクチン」なる用語は、対象に導入されたときに、その特定の疾患、状態または症状について予防的または治療的応答を提供する材料または組成物を指す。別の実施形態では、本発明は、ペプチドが本明細書に列挙された任意の実施形態を含み、必要に応じてサイトカイン、アジュバントなどの免疫調節化合物をさらに含むようなペプチドベースのワクチンを含む。
【0145】
他の実施形態では、本発明の方法及び組成物の組成物またはワクチンは、アジュバントをさらに含む。別の実施形態では、アジュバントはMontanide ISA 51である。モンタニドISA 51は、天然の代謝可能な油及び精製された乳化剤を含む。別の実施形態では、アジュバントはGM-CSFである。別の実施形態では、アジュバントは、ペプチド抗原に結合され得るか、またはペプチドと共に投与され得るキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である。組換えGM-CSFは、別の実施形態では、酵母(S.cerevisiae)ベクターで増殖させたヒトタンパク質である。GM-CSFは、造血前駆細胞、APC、並びに樹状細胞及びT細胞のクローン増殖及び分化を促進する。
【0146】
別の実施形態では、アジュバントはサイトカインである。別の実施形態では、アジュバントは成長因子である。別の実施形態では、アジュバントは細胞集団である。別の実施形態では、アジュバントはQS21である。別の実施形態では、アジュバントは、フロイント不完全アジュバントである。別の実施形態では、アジュバントはリン酸アルミニウムである。別の実施形態では、アジュバントは水酸化アルミニウムである。別の実施形態では、アジュバントはBCGである。別の実施形態では、アジュバントはミョウバンである。別の実施形態では、アジュバントはインターロイキンである。別の実施形態では、アジュバントはケモカインである。別の実施形態では、アジュバントは当分野で既知の任意の他のタイプのアジュバントである。別の実施形態では、WT1ワクチンは上記アジュバントの2つを含む。別の実施形態では、WT1ワクチンは上記アジュバントの3つ以上を含む。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0147】
別の実施形態では、本発明の方法で使用されるWT1ワクチンは、本発明の1以上のWT1ペプチドをコードする1以上の核酸分子(DNAまたはRNA)であり得る。この実施形態の実施において、1以上のWT1ペプチド(核酸ワクチン)をコードする核酸分子を含むワクチンが投与され、1以上のチェックポイント阻害剤が対象に投与される。本発明の他の全ての実施形態では、ペプチドワクチンの代わりに核酸ワクチンを使用することができる。核酸は、単独で、ウイルス担体の一部として、または細胞の内部に、おそらくはプラスミドとして、または細胞の核酸に組み込まれて導入され得る。細胞担体は、対象から取り出した対象の細胞、またはドナーからの細胞であってもよく、または細胞株であってもよい。細胞は、樹状細胞または単球/マクロファージ系列細胞などの抗原提示細胞であってもよい。細胞ベクターは、自己細胞、同種細胞、細胞株、樹状細胞または抗原提示細胞などの細胞、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0148】
WT1ペプチドまたはそれをコードする核酸、もしくは本明細書に記載のいずれかの形態でのその担体は、エクスビボまたはインビボでCTLに曝露され得る。インビトロまたはエクスビボでは、細胞を生育すなわち増殖させてから対象に導入することができる。
【0149】
「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語には、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態の2以上のヌクレオチドのRNA、DNAまたはRNA/DNAハイブリッド配列が含まれる。これらの用語は、限定ではなく例として、以下を含む少なくとも1つの修飾を含む「修飾ヌクレオチド」を包含する:(a)代替結合基、(b)類似プリン形態、(c)類似ピリミジン形態、または(d)類似糖。類似結合基の例として、プリン、ピリミジン及び糖類がある。例えばPCT公開第WO95/04064を参照されたい。本発明の核酸配列は、合成、組換え、エクスビボ生成、またはそれらの組み合わせを含む任意の既知の方法によって、及び、当分野で既知の任意の精製方法を利用して用意することができる。本明細書で使用される場合、「核酸ワクチン」なる用語は、DNAワクチン及びRNAワクチン、ならびにウイルスまたは非ウイルスベクターを含むワクチンを含む。
【0150】
別の実施形態では、本発明の使用は、核酸分子(DNAまたはRNA)を含むベクターを提供する。他の実施形態では、本発明の実施において使用される組成物またはワクチンは、本発明のWT1ペプチドの任意の実施形態及びそれらの組み合わせを含み得る。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0151】
別の実施形態では、本発明の実施において使用されるワクチンまたは本発明の組成物は、それぞれが異なるHLAクラスIヘテロクリティックペプチドを含む同一のWT1断片に由来する2つのペプチドを含む。別の実施形態では、2つのHLAクラスIヘテロクリティックペプチドは、異なるHLAクラスI分子アンカー残基に変異を含む。別の実施形態では、2つのHLAクラスIヘテロクリティックペプチドは、同一のアンカー残基(複数可)に異なる変異を含む。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0152】
別の実施形態では、本発明で使用するための組成物中のペプチドは、2つの異なるHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、3つの異なるHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態において、ペプチドは、4つの異なるHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは5つの異なるHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、6以上の異なるHLAクラスII分子に結合する。別の実施形態では、組成物中のペプチドは、同一のHLAクラスII分子に結合する。
【0153】
別の実施形態では、本発明の組成物または使用方法におけるペプチドのそれぞれは、HLAクラスII分子のセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドのそれぞれは、HLAクラスII分子の異なるセットに結合する。別の実施形態では、組成物中のペプチドは、HLAクラスII分子の同一のセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドの2つは、異なるが重複するHLAクラスII分子のセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドの2つ以上がHLAクラスII分子の同一のセットに結合するが、別のペプチドは異なるセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドの2つ以上がHLAクラスII分子の重複するセットに結合するが、別のペプチドは異なるセットに結合する。
【0154】
別の実施形態では、本発明の実施において、または本発明の組成物において使用するためのペプチドは、2つの異なるHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは3つの異なるHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは4つの異なるHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは5つの異なるHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、ペプチドは、6以上の異なるHLAクラスI分子に結合する。別の実施形態では、組成物中のペプチドは、同一のHLAクラスI分子に結合する。
【0155】
別の実施形態では、本発明の実施において、または本発明の組成物において使用するためのペプチドのそれぞれは、HLAクラスI分子のセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドのそれぞれは、HLAクラスI分子の異なるセットに結合する。別の実施形態では、組成物中のペプチドは、HLAクラスI分子の同一のセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドの2つは、異なるが重複するHLAクラスI分子のセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドの2つ以上がHLAクラスI分子の同一セットに結合するが、別のペプチドは異なるセットに結合する。別の実施形態では、ペプチドの2つ以上が重複するHLAクラスI分子のセットに結合するが、別のペプチドは異なるセットに結合する。
【0156】
別の実施形態では、「HLAクラスII分子のセット」または「HLAクラスI分子のセット」は、特定の位置で異なる対立遺伝子によってコードされるHLA分子を指す。別の実施形態では、この用語は、特定の結合特異性を有するHLA分子を指す。別の実施形態では、この用語は、特定のペプチドコンセンサス配列を有するHLA分子を指す。別の実施形態では、この用語は、HLAクラスII分子のスーパーファミリーを指す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0157】
上記組成物、及び組成物のタイプのそれぞれは、本発明の別個の実施形態を表す。
【0158】
本発明のペプチド、核酸、組成物、及びワクチンに関して本明細書に記載される任意の実施形態は、本発明の方法のいずれかにおいて使用され得る。方法によるペプチド、核酸、組成物、またはワクチンの各組み合わせは、その別個の実施形態を表す。
【0159】
別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載のWT1ワクチン、及びチェックポイント阻害剤を対象に投与することにより、WT1発現癌を有する対象を治療するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明の組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌を有する対象を治療するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、ワクチン及びチェックポイント阻害剤などの免疫原性組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌を有する対象を治療するステップを含む。
【0160】
別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の進行を抑制または停止させる方法を提供し、前記方法は、本発明の少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を対象に投与することにより、WT1発現癌の進行を抑制または停止させるステップを含む。別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の進行を抑制または停止させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の進行を抑制または停止させるステップを含む。別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の進行を抑制または停止させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明のワクチンなどの免疫原性組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の進行を抑制または停止させるステップを含む。
【0161】
別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を対象に投与することにより、WT1発現癌の発生率を減少させるステップを含む。別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を本発明の組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の発生率を減少させるステップを含む。別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明のワクチンなどの免疫原性組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の発生率を減少させるステップを含む。
【0162】
別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の再発率を減少させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の再発率を減少させるステップを含む。別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の再発率を減少させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明の組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の再発率を減少させるステップを含む。別の実施形態では、本発明は、対象におけるWT1発現癌の再発率を減少させる方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明のワクチンなどの免疫原性組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌の再発率を減少させるステップを含む。
【0163】
別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌に対する対象のT細胞寛容を破壊する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を対象に投与することにより、WT1発現癌に対するT細胞寛容を破壊するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌に対する対象のT細胞寛容を破壊する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明の組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌に対するT細胞寛容を破壊するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌に対する対象のT細胞寛容を破壊する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのWT1ペプチド、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明のワクチンなどの免疫原性組成物を対象に投与することにより、WT1発現癌に対するT細胞寛容を破壊するステップを含む。
【0164】
別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、(a)本発明の方法によって、癌の悪性細胞を認識するヒトCTLの形成及び増殖をドナーにおいて誘導するステップと、(b)前記ヒトCTLを対象に注入することにより、癌を有する対象を治療するステップとを含む。一実施形態では、ドナーに少なくとも1つのWT1ペプチドを投与し、前記ドナーから取得したCTLを対象に注入し、対象にチェックポイント阻害剤を投与することにより、癌を有する対象を治療する。一実施形態では、ドナーに少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を投与し、前記ドナーから取得したCTLを対象に注入することにより、癌を有する対象を治療する。一実施形態では、ドナーに少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を投与し、前記ドナーから取得したCTLを対象に注入し、対象にチェックポイント阻害剤を投与することにより、癌を有する対象を治療する。
【0165】
別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、(a)本発明の方法によって、ドナーから得られた癌の悪性細胞を認識するヒトCTLの形成及び増殖をエクスビボで誘導するステップと、(b)前記ヒトCTLを対象に注入することにより、癌を有する対象を治療するステップとを含む。一実施形態では、チェックポイント阻害剤はエクスビボステップに含まれる。別の実施形態では、チェックポイント阻害剤を対象に投与する。別の実施形態では、両方のエクスビボステップにチェックポイント阻害剤が含まれ、対象にもチェックポイント阻害剤を投与する。
【0166】
エクスビボ免疫療法の方法は当分野において公知であり、例えば、Davis ID et al (Blood dendritic cells generated with Flt3 ligand and CD40 ligand prime CD8+ T cells efficiently in cancer patients. J Immunother. 2006 Sep-Oct;29(5):499-511)、及びMitchell MS et al (The cytotoxic T cell response to peptide analogs of the HLA-A*0201-restricted MUC1 signal sequence epitope, M1.2. Cancer Immunol Immunother. 2006 Jul 28)に記載されている。各方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0167】
別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、前記方法は、リンパ球集団を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む本発明のワクチンなどの免疫原性組成物と接触させることにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導するステップを含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、本発明のペプチドと関連する抗原提示細胞(APC)及びチェックポイント阻害剤を含む。別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、前記方法は、リンパ球集団を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のペプチドまたは組成物と接触させることにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、前記方法は、リンパ球集団を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のワクチンと接触させることにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を誘導するステップを含む。別の実施形態では、CTLはWT1発現細胞に特異的である。別の実施形態では、標的細胞は、WT1発現癌の細胞である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0168】
別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を対象において誘導する方法を提供し、前記方法は、対象を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のワクチンなどの免疫原性組成物と接触させることにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を対象において誘導するステップを含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のペプチドの混合物と関連したAPCを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を対象において誘導する方法を提供し、前記方法は、対象を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、または本発明の組成物とともにペプチドと接触させることにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を対象において誘導するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を対象において誘導する方法を提供し、前記方法は、対象を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のワクチンと接触させることにより、WT1タンパク質に特異的なCTLの形成及び増殖を対象において誘導するステップを含む。別の実施形態では、標的細胞はWT1発現癌の細胞である。別の実施形態では、対象はWT1発現癌を有する。別の実施形態では、CTLはWT1発現細胞に特異的である。
【0169】
別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌に向けられたヘテロクリティック免疫応答を対象において生成する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤または本発明の組成物とともに少なくとも1つのヘテロクリティックWT1ペプチドを対象に投与することにより、ヘテロクリティック免疫応答を生成するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌に向けられたヘテロクリティック免疫応答を対象において生成する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のワクチンなどの免疫原性組成物を対象に投与することにより、ヘテロクリティック免疫応答を生成するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、WT1発現癌に向けられたヘテロクリティック免疫応答を対象において生成する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のワクチンを対象に投与することにより、ヘテロクリティック免疫応答を生成するステップを含む。
【0170】
各方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0171】
別の実施形態では、WT1発現癌は急性骨髄性白血病(AML)である。別の実施形態では、WT1発現癌は慢性骨髄性白血病(CML)である。別の実施形態では、WT1発現癌は骨髄異形成症候群(MDS)と関連している。別の実施形態では、WT1発現癌はMDSである。別の実施形態では、WT1発現癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。別の実施形態では、WT1発現癌は食道扁平上皮癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。別の実施形態では、WT1発現癌は骨または軟部組織肉腫である。別の実施形態では、WT1発現癌はウィルムス腫瘍である。別の実施形態では、WT1発現癌は白血病である。別の実施形態では、WT1発現癌は血液癌である。別の実施形態では、WT1発現癌はリンパ腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は線維形成性小円形細胞腫瘍である。別の実施形態では、WT1発現癌は中皮腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は悪性中皮腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は胃癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は結腸癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は肺癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は乳癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は胚細胞性腫瘍である。別の実施形態では、WT1発現癌は悪性胸膜中皮腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は多発性骨髄腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は骨髄性白血病である。別の実施形態では、WT1発現癌は星状細胞癌である。別の実施形態では、WT1発現癌はグリア芽細胞腫(例えば、多形グリア芽細胞腫)である。別の実施形態では、WT1発現癌は結腸直腸癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は卵巣癌(例えば、漿液性、上皮性または子宮内膜性)である。別の実施形態では、WT1発現癌は乳癌である。別の実施形態では、WT1発現癌はメラノーマである。別の実施形態では、WT1発現癌は頭頸部扁平上皮癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は膵管細胞癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は神経芽細胞腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は子宮癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は甲状腺癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は肝細胞癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は甲状腺癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は肝臓癌である。別の実施形態では、WT1発現癌は腎臓癌(例えば、腎細胞癌腫)である。別の実施形態では、WT1発現癌はカポジ肉腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は肉腫である。別の実施形態では、WT1発現癌は任意の他の癌腫または肉腫である。
【0172】
別の実施形態では、WT1発現癌は固形腫瘍である。別の実施形態では、固形腫瘍はWT1発現癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は骨髄異形成症候群(MDS)と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は非小細胞肺癌(NSCLC)と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は肺癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は乳癌と関連している。別の実施形態では固形腫瘍は結腸直腸癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は前立腺癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は卵巣癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は腎癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は膵癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は脳癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は胃腸癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍は皮膚癌と関連している。別の実施形態では、固形腫瘍はメラノーマと関連している。
【0173】
別の実施形態では、本発明の方法によって治療される癌または腫瘍は、WT1を発現する疑いがあるものである。別の実施形態では、WT1発現は、実際の腫瘍サンプルの試験によって確認されていない。別の実施形態では、癌または腫瘍は、多くの症例でWT1を発現することが知られている種類のものである。別の実施形態では、前記種類は、症例の大多数でWT1を発現するものである。
【0174】
WT1を発現する癌または腫瘍、及びWT1を発現する疑いがある癌または腫瘍のそれぞれの種類は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0175】
本発明の組成物及び方法を用いて治療することができる癌の種類の非網羅的なリストを表2に示す。
【0176】
【0177】
別の実施形態では、本発明の複数のペプチドが、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明の方法において免疫応答を刺激するために使用されている。
【0178】
本明細書に提供されるように、抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発するヘテロクリティックペプチドは、本発明の方法を使用して生成することができる。複数のHLAクラスII分子に対するCD4+T細胞応答を誘発するWT1ペプチドを識別することができる。CD4+T細胞は、APC上のHLAクラスII分子に結合したペプチドを認識する。別の実施形態では、抗原特異的CD4+T細胞応答は、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)応答の誘導及び維持を助ける。
【0179】
別の実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のペプチドは、HLAクラスI分子及びHLAクラスII分子の両方に結合する能力のために、CTL応答を誘発する高い能力を示す。別の実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のペプチドは、WT1特異的CTLの生存及び増殖を増加させるチェックポイント阻害剤の能力のために、CTL応答を誘発する高い能力を示す。別の実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のワクチンは、WT1抗原を認識するCD4+及びCD8+T細胞の両方を活性化または誘発するという利点を有する。別の実施形態では、CD4+及びCD8+T細胞の活性化または誘発は、いずれかの集団単独の活性化と比較して、相乗的な抗WT1免疫応答を提供する。別の実施形態では、本発明のペプチドの高い免疫原性は、複数のHLAクラスIIサブタイプに結合する本発明のペプチドの能力のために、複数の、個々のHLAクラスIIサブタイプにおいて示される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0180】
別の実施形態では、活性化CD4+細胞は、樹状細胞をライセンス化することによって免疫を増強し、それにより細胞傷害性T細胞の活性化及び生存を維持する。別の実施形態では、活性化CD4+T細胞は、腫瘍細胞との直接接触またはアポトーシス経路の活性化によって腫瘍細胞死を誘発する。例えば、中皮腫腫瘍細胞は、HLAクラスI及びクラスII分子において抗原をプロセシングして提示することができる。
【0181】
本明細書に開示される方法は、HLAクラスI分子及びHLAクラスII分子の両方に結合され得る他のWT1由来ペプチドの設計を可能にすることが当業者に理解されよう。この方法はさらに、本発明のWT1由来ペプチドを組み合わせた免疫原性組成物及びワクチンの設計を可能にする。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0182】
別の実施形態では、本発明の少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される方法、ペプチド、ワクチン及び/または免疫原性組成物は、複数の異なるHLAクラスII対立遺伝子を含むWT1特異的CD4+T細胞を活性化または誘発するという利点を有する。別の実施形態では、ワクチンは、集団の相当な割合においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化または誘発するという利点を有する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の15%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の20%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の25%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の30%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の35%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の40%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の45%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の50%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の55%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の60%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の70%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の75%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の80%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の85%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の90%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の95%においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ペプチドは、集団の95%超においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化する。別の実施形態では、ワクチンは、特定の集団(例えば、アメリカのコーカサス人種)の相当な割合においてWT1特異的CD4+T細胞を活性化または誘発する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0183】
別の実施形態では、本発明の方法は、対象によって既に開始されている免疫応答の向上をもたらす。別の実施形態では、本発明の方法は、ペプチド、組成物、またはワクチンを少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に2回以上投与するステップを含む。別の実施形態では、ペプチドは、それらの組成、濃度、またはその組み合わせが多様である。別の実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与されたペプチドは、目的抗原に対する免疫応答をまだ開始していない対象内の前記目的抗原に対する免疫応答の開始をもたらす。別の実施形態では、誘導されたCTLは、APCまたは癌細胞に対するペプチドの提示に応答して増殖する。他の実施形態では、免疫応答の改変への言及には、それぞれTh2ヘルパーT細胞及びTh1ヘルパーT細胞の存在を伴う体液性免疫及び細胞性免疫の一方または両方が含まれ、あるいは、別の実施形態では、各免疫が個々に含まれる。
【0184】
他の実施形態では、腫瘍の成長に影響を及ぼす方法は、(1)腫瘍細胞の分裂の直接的な阻害、または(2)免疫細胞によって媒介される腫瘍細胞の溶解、もしくは両方をもたらし、これにより、腫瘍細胞の正味の増殖が抑制される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与されるペプチドまたはワクチンの使用は、チェックポイント阻害剤を使用しない場合より腫瘍細胞分裂、免疫細胞媒介細胞溶解、またはその両方の直接阻害を増加させる。
【0185】
これら2つの機構のいずれかによる腫瘍成長の阻害は、いくつかの周知の方法に基づき、当業者によって容易に決定され得る。別の実施形態では、腫瘍阻害は、一定期間にわたり実際の腫瘍サイズを測定することによって決定される。別の実施形態では、腫瘍阻害は、当業者に周知の方法を利用して、(一定期間にわたって)腫瘍のサイズを推定することによって、決定され得る。より具体的には、種々の放射線学的イメージング法(例えば、単一光子放射断層撮影法;一般的には、"Nuclear Medicine in Clinical Oncology," Winkler, C. (ed.) Springer- Verlag, New York, 1986を参照)を利用して、腫瘍サイズを推定することができる。また、このような方法は、例えば、従来のイメージング剤(例えば、クエン酸ガリウム-67)、及び代謝産物イメージング、受容体イメージング、または免疫イメージングに特化した試薬(例えば、放射性標識されたモノクローナル抗体に特異的な腫瘍マーカー)を含む、種々のイメージング剤を利用することができる。さらに、超音波などの非放射性方法("Ultrasonic Differential Diagnosis of Tumors", Kossoff and Fukuda, (eds.), Igaku-Shoin, New York, 1984を参照)も、腫瘍サイズの推定に利用することができる。
【0186】
上記の腫瘍阻害を決定するためのインビボ法の他に、種々のインビトロ法をインビボにおける腫瘍阻害を予測するために利用することができる。代表的な例としては、例えば51Cr放出アッセイ(実施例)によって決定される、リンパ球によって媒介される抗腫瘍の細胞溶解活性、腫瘍依存性リンパ球増殖(Ioannides, et al., J. Immunol. 146(5):1700-1707, 1991)、腫瘍特異的抗体のインビトロ生産(Herlyn, et al., J. Immunol. Meth. 73:157-167, 1984)、細胞性(例えば、CTL、ヘルパーT細胞)または体液性(例えば、抗体)のインビトロ細胞成長阻害(Gazit, et al., Cancer Immunol Immunother 35:135-144, 1992)、及び、これらのアッセイのいずれかについての、細胞前駆体の頻度の決定(Vose, Int. J. Cancer 30:135-142 (1982))などが挙げられる。
【0187】
別の実施形態では、腫瘍成長を抑制する方法は、本発明の少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与されるペプチドとの接触またはペプチドへの暴露無しでの成長と比較して、短縮された増殖期が示されている。腫瘍細胞増殖は、以下に限定されないが、腫瘍サイズ測定、3H-チミジン取り込みアッセイを用いた腫瘍細胞が増殖中であるかどうかの決定、または腫瘍細胞計数を含む当分野において既知の任意の手段によってアッセイすることができる。他の実施形態では、腫瘍細胞増殖の「抑制」は、腫瘍成長を遅くすること、遅延させること、または停止させること、もしくは腫瘍の縮小を指す。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0188】
本発明の方法及び組成物の別の実施形態では、処置の投与後、処置の投与前、または処置の投与前後の両方に、WT1発現が測定される。別の実施形態では、WT1転写物の発現が測定される。別の実施形態では、腫瘍または癌細胞内のWT1タンパク質レベルが測定される。別の実施形態では、癌細胞または腫瘍細胞から循環する、または限定されないが、尿などの他の体液に排出されるWT1タンパク質またはペプチドを測定する。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0189】
本発明の方法及び組成物の別の実施形態では、対象に投与される1以上のチェックポイント阻害剤によって標的化されるチェックポイントタンパク質(複数可)の発現は、腫瘍または癌細胞において(転写物レベルまたはタンパク質レベルで)測定されるか、または処置の投与前(ベースライン)、処置の投与後、または処置の投与前後の両方で、全血、血清または血漿において測定される。本発明の方法及び組成物の一実施形態では、1以上のチェックポイントタンパク質は、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1キナーゼ、CHK2キナーゼ、A2aR、及びB-7ファミリーリガンドの中から選択される。本発明の方法及び組成物の一実施形態では、PD1、PD2、CTLA4、またはこれらの2つ以上の組み合わせの発現は、処置の投与前、処置の投与後、または処置の投与前後の両方で測定される。一実施形態では、チェックポイントタンパク質発現は、原発腫瘍部位で測定される。別の実施形態では、癌は転移性であり、チェックポイントタンパク質発現は、転移部位、または原発腫瘍部位、またはその両方で測定される。
【0190】
本発明の方法及び組成物の別の実施形態では、処置の投与前(ベースライン)、処置の投与後、または処置の投与前後の両方で、1以上の以下のマーカーを測定する:単球性骨髄系由来サプレッサー細胞(m-MDSC)、C-反応性タンパク質(CRP)、絶対リンパ球、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)。別の実施形態では、チェックポイント変調に対する応答性を予測または識別するための1以上のマーカーの使用が含まれる。
【0191】
免疫応答の存在及び規模を決定する方法は当分野において公知である。別の実施形態では、リンパ球増殖アッセイであり、放射性物質、例えば3H-チミジンのT細胞による取り込みが細胞増殖の関数として測定される。他の実施形態では、T細胞増殖の検出は、インターロイキン-2(IL-2)産生、Ca2+流出、または3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムなどの色素取り込みの増加を測定することによって達成される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0192】
別の実施形態では、CTL刺激は、細胞増殖及びサイトカイン産生などの検出を含む当業者に既知の手段によって決定される。リガンドをパルスした標的に接触させた後にT細胞によって分泌されるサイトカインの種類及び量の分析が、機能活性の測定になり得る。サイトカインをELISAアッセイまたはELISPOTアッセイによって測定することにより、サイトカイン産生の速度及び総量を決定することができる(Fujihashi K. et al. (1993) J. Immunol. Meth. 160: 181 ; Tanguay S. and Killion J. J. (1994) Lymphokine Cytokine Res. 13:259)。
【0193】
別の実施形態では、CTL活性は、51Cr放出溶解アッセイによって決定される。ペプチドによってパルスされた51Cr標識標的の抗原特異的T細胞による溶解が、標的ペプチドでパルスされた標的細胞と比較され得る。別の実施形態では、T細胞が本発明のペプチドで刺激され、MHCとの関連における天然ペプチドを発現する標的細胞の溶解が決定され得る。別の実施形態では、固定時点(例えば、4時間)における溶解及び標的溶解全体の速度論が、リガンド性能の評価に用いられる(Ware C. F. et al. (1983) J Immunol 131: 1312)。
【0194】
HLA分子に対するペプチドの親和性を決定する方法は、当分野において公知である。別の実施形態では、親和性はTAP安定化アッセイによって決定される。
【0195】
別の実施形態では、親和性は競合ラジオイムノアッセイによって決定される。別の実施形態では、以下のプロトコルが利用される:標的細胞を1%ウシ血清アルブミン(BSA;Fisher Chemicals社、ニュージャージー州フェアローン所在)を含有するPBS中で2回洗浄する。細胞を氷上で107/mlに再懸濁し、元からある細胞表面に結合したペプチドを、3mg/mlのβ2ミクログロブリンの存在下、クエン酸-リン酸緩衝液を用い、0℃で2分間剥がす。ペレットを、3mg/mlのβ2ミクログロブリン及び30mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼの存在下、PBS/1%BSA中で5×106細胞/mlに再懸濁し、200mlの分割量をHLA特異的ペプチドの存在下または非存在下で20℃で10分間インキュベートし、その後、125I標識ペプチドと一緒に20℃で30分間インキュベートする。PBS/2%BSAで2回洗浄し、PBSで1回洗浄した後、結合した総125Iを決定する。段階的に濃度を増加させる試験ペプチドと既知の結合ペプチドとの比較によって、相対親和性を決定する。
【0196】
別の実施形態では、生細胞(例えばSKLY-16細胞)表面上のHLAに対するペプチド結合の特異性解析が行われ、前記結合が適切なHLA分子に対してのものであることが確認され、その制限が特徴付けられている。別の実施形態では、これには、同一のまたは異なるHLA分子に結合することが知られている過剰な非標識ペプチドとの競合、及び同一または異なるHLA型を発現する標的細胞の使用が含まれる。別の実施形態では、このアッセイは、生きている新鮮な、または0.25%のパラホルムアルデヒドで固定した、特定のHLA型の、ヒトPBMC、白血病細胞株及びEBV形質転換T細胞株に対して行われている。特定の細胞上のMHC分子と結合することが判明しているペプチドの相対的な結合活性が、関連HLA分子、例えば、チロシナーゼまたはHBVペプチド配列に対し高親和性であることが知られている125I標識ペプチドに対する上記のような競合アッセイによってアッセイされる。
【0197】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物で利用されるペプチドは、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシレート(Kazmierski et al. (1991) J. Am Chem. Soc. 113:2275-2283);(2S,3S)-メチル-フェニルアラニン、(2S,3R)-メチル-フェニルアラニン、(2R,3S)-メチル-フェニルアラニン及び(2R,3R)-メチル-フェニルアラニン(Kazmierski and Hruby (1991) Tetrahedron Lett. 32(41): 5769-5772);2-アミノテトラヒドロナフタレン-2-カルボン酸(Landis (1989)博士論文、アリゾナ大学);ヒドロキシ-1,2,3、4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシレート(Miyake et al. (1984) J. Takeda Res. Labs.43:53-76)ヒスチジンイソキノリンカルボン酸(Zechel et al. (1991) Int. J. Pep. Protein Res. 38(2):131-138);及びHIC(ヒスチジン環式尿素(histidine cyclic urea))、(Dharanipragada et al.(1993) Int. J. Pep. Protein Res.42(l):68-77)、((1992) Acta. Crst., Crystal Struc. Comm. 48(IV): 1239-124)などの1以上の非古典アミノ酸(non-classical amino acid)を含む。
【0198】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、1以上のAA類似体またはペプチド模倣体を含み、これは、他の実施形態では、特定の二次構造を誘導するかまたは選択する。他の実施形態では、このようなペプチドは、以下を含む:LL-Acp(LL-3-アミノ-2-プロペニドン(propenidone)-6-カルボン酸)、βターン誘導性ジペプチド類似体(Kemp et al. (1985) J. Org. Chem. 50:5834-5838);βシート誘導性類似体(Kemp et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:5081-5082);βターン誘導性類似体(Kemp et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:5057-5060);αヘリックス誘導性類似体(Kemp et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29:4935-4938);γターン誘導性類似体(Kemp et al. (1989) J. Org. Chem. 54:109:115);以下の参考文献において提供される類似体:Nagai and Sato (1985) Tetrahedron Lett.26:647-650;及びDiMaio et al. (1989) J. Chem. Soc. Perkin Trans, p. 1687;GIy-Alaターン類似体(Kahn et al. (1989) Tetrahedron Lett. 30:2317);アミド結合同配体(Jones et al. (1988) Tetrahedron Lett. 29(31):3853-3856);トレトラゾール(tretrazol)(Zabrocki et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110:5875-5880);DTC(Samanen et al. (1990) Int. J. Protein Pep. Res. 35:501:509);Olson et al. (1990) J. Am. Chem. Sci. 112:323-333及びGarveyet al. (1990) J. Org. Chem. 55(3):936-940において教示される類似体。立体構造的に制限されたβターン模倣体及びβバルジ模倣体、並びにそれらを含有するペプチドは、1995年8月にKahnに発行された米国特許第5,440,013号に記載されている。
【0199】
他の実施形態では、本発明のペプチドは、下記に記載されるような種々の他の分子のうちの1つと結合しており、その結合は共有結合または非共有結合(複合型)を介していてもよく、別の実施形態では、その性質は特定の目的に応じて変化する。別の実施形態では、前記ペプチドは、天然高分子及び合成高分子、タンパク質、多糖類、ポリペプチド(アミノ酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、並びに脂質を含むがこれらに限定されない、高分子担体(例えば、免疫原性担体)と共有結合的または非共有結合的に複合体化されている。別の実施形態では、本発明のペプチドは基質に連結されている。別の実施形態では、前記ペプチドはリポソーム中への導入のために、脂肪酸と結合されている(米国特許第5,837,249号)。別の実施形態では、本発明のペプチドは、固相と共有結合的または非共有結合的に複合体化されており、様々な固相が当分野において既知である。別の実施形態では、前記ペプチドの担体、基質、脂肪酸、または固相への連結は、免疫応答の誘起を増大させる働きをする。
【0200】
他の実施形態では、担体は、チログロブリン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、破傷風トキソイド、ポリ(リジン:グルタミン酸)等のポリアミノ酸、インフルエンザタンパク質、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、キーホールリンペットヘモシアニン、アルブミン、または別の担体タンパク質もしくは担体ペプチド;B型肝炎ウイルス組換えワクチン、またはAPCである。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0201】
別の実施形態では、「アミノ酸」なる用語は、天然AAを指し、別の実施形態では、非天然AAまたは合成AAを指し、他の実施形態では、グリシン、D-光学異性体またはL光学異性体、AA類似体、ペプチド模倣体、もしくはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0202】
別の実施形態では、「癌」、「新生物」、「新生物の」または「腫瘍」なる用語は同義的に用いられており、細胞を宿主生物にとって病理的なものにする悪性転換を経た細胞を指す。癌は、番号付けされたステージングシステム(例えば、ステージ0、ステージ1、ステージ2、ステージ3、またはステージ4)の任意のステージ、及びTNMステージングシステムの任意のステージであり得る。原発性癌細胞(すなわち、悪性転換部位付近から得られた細胞)は、確立した技術、特に組織学的検討によって、非癌性細胞と容易に区別することができる。本明細書で使用される場合、癌細胞の定義には、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞祖先に由来するいかなる細胞も含まれる。これには、転移癌細胞、並びに癌細胞由来のインビトロ培養物及び細胞株が含まれる。別の実施形態では、腫瘍は、腫瘍体積に基づいて;例えば、CATスキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、X線、超音波または触診等の方法によって検出可能であり、別の実施形態では、生化学的知見または免疫学的知見によって特定され、他の実施形態では、免疫学的知見は癌性細胞の特定にも用いられている。腫瘍は、固形腫瘍または非固形腫瘍であり得る。
【0203】
ペプチド合成法は当分野において公知である。別の実施形態では、本発明のペプチドは、適切な固体合成法を用いて合成される(例えば、Steward and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, Freemantle, San Francisco, Calif. (1968); Merrifield (1967) Recent Progress in Hormone Res 23: 451を参照)。他の実施形態では、これらのペプチドの活性は、本明細書に記載されているようなアッセイを用いて試験される。
【0204】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、及びサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィ)、遠心分離、溶解度差(differential solubility)を含む標準方法によって、またはタンパク質精製のための他の標準的な技術によって、精製される。別の実施形態では、イムノアフィニティクロマトグラフィが用いられ、イムノアフィニティクロマトグラフィでは、エピトープが、そのペプチド、または本発明の関連ペプチドに対して産生され不動支持体に固定された抗体を含むアフィニティカラムに結合されることによって、単離される。
【0205】
別の実施形態では、ヘキサ-His(インビトロジェン社)、マルトース結合性ドメイン(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England Biolabs))、インフルエンザ外被配列(Kolodziej et al. (1991) Meth. Enzymol. 194:508-509)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼなどの親和性タグを本発明のペプチドに付着させることで、適切なアフィニティカラム上の通過による容易な精製を可能にしている。他の実施形態では、単離ペプチドは、タンパク質分解、核磁気共鳴、及びX線結晶解析などの技術を用いた物理的な特徴付けもされ得る。
【0206】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、当業者には明らかであるように、既知の技法を通じて、インビトロにおける翻訳によって生成される。別の実施形態では、前記ペプチドは、翻訳中または翻訳後に、例えば、リン酸化、グリコシル化、架橋結合、アシル化、タンパク質切断、抗体分子、膜分子または他のリガンドへの連結(Ferguson et al. (1988) Ann. Rev. Biochem. 57:285-320)によって、別様に改変される。
【0207】
別の実施形態では、本発明のペプチドは検出可能な標識をさらに含んでおり、この検出可能な標識は、別の実施形態では、蛍光標識であり、または別の実施形態では、発光標識であり、または別の実施形態では、放射性標識であり、または別の実施形態では、高電子密度標識である。他の実施形態では、検出可能な標識は、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、DS-Red(赤色蛍光タンパク質)、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、32P、125I、3H及び14C、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル及びウンベリフェロン、ルシフェリンまたは当業者に既知の多くの他の標識を含んでいる。使用される具体的な標識は、使用される免疫学的検定の種類に依存する。
【0208】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、基質に連結されており、別の実施形態では、基質は担体として働く。別の実施形態では、前記ペプチドの基質への連結は、免疫応答の誘起を増大させる働きをする。
【0209】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、カルボジイミドなどの従来の架橋剤を用いて、本明細書に記載されるような他の分子に連結されている。カルボジイミドの例は、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-(4-エチル))カルボジイミド(CMC)、1-エチル-3-(3-ジメチアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及び1-エチル-3-(4-アゾニア-44-ジメチルペンチル)カルボジイミドである。
【0210】
他の実施形態では、架橋剤は臭化シアン、グルタルアルデヒド及び無水コハク酸を含んでいる。一般的に、ホモ二機能性アルデヒド、ホモ二機能性エポキシド、ホモ二機能性イミド-エステル、ホモ二機能性N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ホモ二機能性マレイミド、ホモ二機能性ハロゲン化アルキル、ホモ二機能性ピリジルジスルフィド、ホモ二機能性アリールハロゲン化物、ホモ二機能性ヒドラジド、ホモ二機能性ジアゾニウム誘導体及びホモ二機能性光反応性化合物を含む、多くのホモ二官能性物質のいずれも用いることができる。他の実施形態では、ヘテロ-二機能性化合物、例えば、アミン反応性基及びスルフヒドリル反応性基を有する化合物、アミン反応性基及び光反応基を有する化合物、並びにカルボニル反応性基及びスルフヒドリル反応性基を有する化合物も想定される。
【0211】
他の実施形態では、ホモ二機能性架橋剤には、二機能性N-ヒドロキシサクシンイミドエステルのジチオビス(サクシニミジルプロピオネート)、スベリン酸ジサクシニミジル、及び酒石酸ジサクシニミジル;二機能性イミド-エステルのアジプイミド酸ジメチル、ピメルイミド酸ジメチル、及びスベルイミド酸ジメチル;二機能性スルフヒドリル反応性架橋剤の1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビスマレイミドヘキサン、及びビス-N-マレイミド-1,8-オクタン;二機能性ハロゲン化アリールの1,5-ジフルオロ-2,4-ジベンゼン及び4,4'-ジフルオロ-3,3'-ジニトロフェニルスルホン;ビス-[b-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド等の二機能性光反応性作用剤;二機能性アルデヒドのホルムアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、及びアジポアルデヒド;1,4-ブタンジオール(butaneodiol)ジグリシジルエーテル等の二機能性エポキシド;二機能性ヒドラジドのアジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、及びコハク酸ジヒドラジド;二機能性ジアゾニウムのo-トリジン、ジアゾ化ベンジジン及びビス-ジアゾ化ベンジジン;二機能性アルキルハロゲン化物のNlN'-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、NlN'-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、NlN'-ウンデカメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、並びにそれぞれala'-ジヨード-p-キシレンスルホン酸及びトリ(2-クロロエチル)アミン等のハロゲン化ベンジル及びハロマスタード(halomustard)が含まれる。
【0212】
他の実施形態では、前記ペプチドを本明細書に記載されるような他の分子に連結するのに使用されるヘテロ二機能性架橋剤には、以下に限定されないが、SMCC(サクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、MBS (m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、SIAB(N-サクシニミジル(4-ヨードアセチル(iodoacteyl))アミノベンゾエート)、SMPB(サクシニミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート)、GMBS(N-(.γ.-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル)、MPBH(4-(4-N-マレイミドフェニル(maleimidopohenyl))酪酸ヒドラジド)、M2C2H(4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド)、SMPT(サクシニミジルオキシカルボニル-a-メチル-a-(2-ピリジルジチオ)トルエン)、及びSPDP(N-サクシニミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)が含まれる。
【0213】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、イオン性、吸着性、または生体分子特異的な相互作用を介して単量体の非共有結合物として製剤化される。別の実施形態では、ペプチドと高度に正または負に帯電している分子との複合体が、脱イオン水中等の低イオン強度環境下での塩橋形成を通じて、得られ得る。別の実施形態では、巨大複合体が、多数の負電荷及び正電荷をそれぞれ含有するポリ-(L-グルタミン酸)またはポリ-(L-リジン)等の荷電重合体を用いて作製され得る。別の実施形態では、ペプチドが微小粒子ラテックスビーズ等の表面または他の疎水性重合体に吸着され、架橋結合型タンパク質または他の実施形態では化学重合型タンパク質を効率的に模倣する非共有結合型ペプチド-スーパー抗原複合体が形成される。別の実施形態では、ペプチドは、他の分子間の生体分子特異的な相互作用の利用によって、非共有結合的に連結されている。例えば、アビジンまたはストレプトアビジンなどのタンパク質もしくはそれらの誘導体に対するビオチンの強い親和性の利用が、ペプチド複合体の形成に用いられ得る。この態様における、及び別の実施形態におけるペプチドは、利用可能なアミン基と反応するD-ビオチン(NHS-ビオチン)のN-ヒドロキシサクシニミジルエステル等の通常のビオチン化試薬を用いて、ビオチン基を有するように改変され得る。
【0214】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、担体に連結されている。別の実施形態では、担体はKLHである。他の実施形態では、担体は、当分野において既知の他の担体であり、例えば、チログロブリン、ヒト血清アルブミン等のアルブミン、破傷風トキソイド、ポリ(リジン:グルタミン酸)などのポリアミノ酸、インフルエンザ、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、B型肝炎ウイルス組換えワクチンなどが挙げられる。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0215】
別の実施形態では、本発明のペプチドはP3CSS等の脂質に結合されている。別の実施形態では、本発明のペプチドはビーズに結合されている。
【0216】
前述の実施形態のいずれかでは、ペプチド、架橋ペプチド、結合ペプチドまたは任意の他の形態のペプチドが、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明の方法において使用される。
【0217】
別の実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用に加えて、本発明の方法及び組成物は免疫調節性化合物をさらに含む。他の実施形態では、免疫調節性化合物は、サイトカイン、ケモカイン、または免疫系のアクセサリー分子または接着分子の発現を増強する補体成分、それらの受容体、もしくはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、免疫調節性化合物には、インターロイキン、例えば、インターロイキン1~15、インターフェロンα、βまたはγ、腫瘍壊死因子(tumour necrosis factor)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ケモカイン、例えば、好中球活性化タンパク質(NAP)、マクロファージ化学誘引活性化因子(macrophage chemoattractant and activating factor)(MCAF)、ランテス、マクロファージ炎症性ペプチド(macrophage inflammatory peptide)のMIP-Ia及びMIP-Ib、補体成分、またはこれらの組み合わせが含まれる。他の実施形態では、免疫調節性化合物は、OX40、OX40L(gp34)、リンホタクチン、CD40、CD40L、B7.1、B7.2、TRAP、ICAM-1、2または3、サイトカイン受容体、もしくはこれらの組み合わせの発現を刺激または増強する。
【0218】
別の実施形態では、免疫調節性化合物は、免疫応答に関与する共起刺激分子の発現を誘導または増強する。
【0219】
一実施形態では、本発明によるWT1ワクチン及びチェックポイント阻害剤を投与された患者に、最初のワクチン接種の日より前、またはその日にGM-CSFを投与するか、またはそれらの組み合わせを投与する。一実施形態では、最初のワクチン接種の日の2日前、及びその日に、70mcgのGM-CSFを患者に皮下投与する。
【0220】
別の実施形態では、前記組成物は、水、分散媒、細胞培地、等張剤などを含む溶媒を含む。別の実施形態では、溶媒は、pHが約7.0である等張性緩衝水溶液である。別の実施形態では、前記組成物は、水、リン酸緩衝食塩水、または食塩水などの希釈剤を含む。別の実施形態では、前記組成物は、プロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコール及び植物油などの非水系の溶媒を含む。
【0221】
別の実施形態では、前記組成物は、当業者に既知の多くの技術のいずれかによって、投与用に製剤化されている。例えば、本発明は、非経口的、静脈内、皮下、皮内、粘膜内、局所的、経口的、または吸入による、医薬組成物の投与を提供する。
【0222】
別の実施形態では、本発明のペプチドを含むワクチンの使用において、ワクチンは細胞集団をさらに含んでおり、別の実施形態では、前記細胞集団はリンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、上皮細胞、幹細胞またはこれらの組み合わせを含んでおり、別の実施形態では、これらの細胞は互いに関して自家性、同系間または同種間である。別の実施形態では、前記細胞集団は本発明のペプチドを含んでいる。別の実施形態では、前記細胞集団は前記ペプチドを取り込む。一実施形態では、細胞は抗原提示細胞(APC)である。さらなる実施形態では、APCはプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0223】
別の実施形態では、本発明の細胞集団は、インビボの供給源、例えば、末梢血、白血球フェレーシス血液製剤、アフェレーシス血液製剤、末梢リンパ節、消化管関連リンパ系組織、脾臓、胸腺、臍帯血、腸間膜リンパ節、肝臓、免疫性病変部、例えば、滑液、膵臓、脳脊髄液、腫瘍のサンプル、肉芽腫組織、またはこのような細胞を得ることが可能な任意の他の供給源などから得られる。別の実施形態では、前記細胞集団はヒト供給源から得られ、他の実施形態では、このヒト供給源は、ヒトの胎児、新生児、小児、または成人供給源から得られる。別の実施形態では、本発明の細胞集団は、動物供給源、例えば、ブタまたはサル、もしくは他の目的動物から得られる。別の実施形態では、本発明の細胞集団は、正常な対象から、または別の実施形態では、疾患を有する対象から、または別の実施形態では、目的の疾患に罹患し易い対象から得られる。
【0224】
別の実施形態では、本発明の細胞集団は、親和性に基づく分離法によって分離される。他の実施形態では、アフィニティ分離のための技術には、抗体で被覆した磁気ビーズを用いる磁気分離、アフィニティクロマトグラフィ、モノクローナル抗体に結合された、またはモノクローナル抗体と併せて使用される細胞傷害性薬物(例えば、補体及び細胞毒)、及びプレートなどの固体マトリクスに付着した抗体を用いる「パニング」、または他の好都合な技術が含まれる。他の実施形態では、分離技術には、多色チャネル、低角及び鈍角の光散乱を検出するチャネル、インピーダンスチャネルなどの、様々な程度の精巧さを有し得る蛍光標示式細胞分取器の使用が含まれる。他の実施形態では、本発明の細胞集団の分離を可能にするいかなる技術も使用可能であり、本発明の一部とみなされるべきである。
【0225】
別の実施形態では、樹状細胞は、そのようなものに適した、種々のリンパ系組織及び非リンパ系組織に存在する、形態学的に類似した細胞型の多種多様な集団から得られる(Steinman (1991) Ann. Rev. Immunol.9:271-296)。別の実施形態では、本発明で使用される樹状細胞は骨髄から単離され、または別の実施形態では、骨髄前駆細胞に由来し、または別の実施形態では、末梢血からの単離/由来によるものであり、または別の実施形態では、ある細胞株であるかまたは該細胞株に由来する。
【0226】
別の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、マウス、サルまたはヒトなどの哺乳動物の白血球画分から単離される(例えば、国際公開第96/23060号を参照されたい)。別の実施形態では、白血球画分は哺乳動物の末梢血から単離され得る。
【0227】
樹状細胞(DC)を単離する方法は当分野において公知である。別の実施形態では、以下のステップ、すなわち、
(a)白血球分離等の当分野で既知の方法によって、哺乳類供給源から得られる白血球画分を提供するステップと、
(b)向流遠心分離法によって、(a)のステップの白血球画分を4つ以上の細画分に分離するステップと、
(c)(b)のステップから得られた1以上の画分内の単球の、樹状細胞への転換を、前記細胞をカルシウムイオノホア、GM-CSF及びIL-13またはGM-CSF及びIL-4と接触させることで、刺激するステップと、
(d)(c)のステップから得られた、樹状細胞が濃縮された画分を特定するステップと、
(e)(d)のステップの濃縮画分を、好ましくは約4℃で収集するステップとを含む方法によって、DCが単離される。
【0228】
別の実施形態では、樹状細胞が濃縮された画分は、蛍光標識細胞分取によって特定され、この蛍光標識細胞分取は、以下のマーカー:HLA-DR、HLA-DQ、またはB7.2のうちの少なくとも1つ、及び以下のマーカー:CD3、CD14、CD16、CD56、CD57、及びCD19、CD20の同時の非存在を特定する。
【0229】
別の実施形態では、前記細胞集団はリンパ球を含んでおり、このリンパ球は、別の実施形態ではT細胞であり、または別の実施形態では、B細胞である。他の実施形態では、前記T細胞は、NK細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、TBL、ナイーブT細胞、またはこれらの組み合わせとして特徴付けられる。初代、または細胞株、クローンなどであるT細胞が本発明の一部とみなされるべきであることを理解されたい。別の実施形態では、前記T細胞は、CTLまたはCTL株、CTLクローン、または腫瘍、炎症性浸潤、または他の浸潤から単離されたCTLである。
【0230】
別の実施形態では、造血性の幹細胞または初期前駆細胞は、本発明で用いられる細胞集団を含む。別の実施形態では、このような集団は白血球分離によって、単離または派生される。別の実施形態では、白血球分離は、骨髄、末梢血(PB)または新生児臍帯血から、サイトカイン投与の後に行われる。別の実施形態では、幹細胞または前駆細胞は、CD34+として知られる表面抗原マーカーの細胞表面発現、及び表面系譜抗原マーカー(surface lineage antigen marker)Lin-の発現除外によって特徴づけられる。
【0231】
別の実施形態では、前記対象は、本発明のペプチド、組成物またはワクチンを、骨髄細胞と共に投与される。別の実施形態では、骨髄細胞実施形態と併せた投与は、対象における癌を抑制、阻害または治療するために、治療過程の一部として、対象の事前の照射の後に行われる。
【0232】
別の実施形態では、「細胞を接触させる」または「集団を接触させる」なる語句は、暴露の1つの方法を指しており、他の実施形態では、直接的または間接的なものであり得る。別の実施形態では、このような接触は、マイクロインジェクションなどの、当分野において公知の手段による細胞の直接注射を含む。別の実施形態では、細胞への供給は、細胞を取り囲む培地中の供給、または当分野において公知の、及び本明細書に記載されるような、任意の経路を介した対象への投与など、間接的なものであることも企図される。
【0233】
別の実施形態では、本発明の方法のCTLの発生は、インビボで達成され、対象に、インビトロで本発明のペプチドと接触された抗原提示細胞を投与することによって達成される(例えば、Paglia et al. (1996) J. Exp. Med. 183:317-322を参照)。
【0234】
別の実施形態では、本発明の方法及び組成物のペプチドは、抗原提示細胞(APC)に送達される。
【0235】
別の実施形態では、前記ペプチドは、該ペプチドをコードするcDNAの形態でAPCに送達される。別の実施形態では、「抗原提示細胞」(APC)なる用語は、必要なMHC/共起刺激分子を発現する、樹状細胞(DC)、単球/マクロファージ、B細胞または他の細胞型(複数可)を指しており、このMHC/共起刺激分子は、提示されたペプチドのT細胞認識を効率的に可能にする。別の実施形態では、APCは癌細胞である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。各実施形態では、ワクチンまたはAPC、もしくは患者または対象へのペプチド送達の任意の形態は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される。本明細書で述べるように、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投与は、WT1ワクチンまたはその代替形態の投与と同一のワクチン、製剤、投与部位または投与時間内にある必要はない。本明細書に具体化されるように、WT1ワクチンと同時に様々な形態のチェックポイント阻害剤を投与することにより、それを必要とする対象におけるWT1特異的CTLの形成が増強される。
【0236】
別の実施形態では、CTLは少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに2以上のAPC集団と接触される。別の実施形態では、2以上のAPC集団は異なるペプチドを提示している。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0237】
別の実施形態では、APC(例えばDC)の細胞質ゾル内での抗原の発現をもたらす手法が用いられ、ペプチドがAPCに送達される。APC上で抗原を発現させるための方法は、当分野において公知である。別の実施形態では、前記手法には、(1)本発明のペプチドをコードする裸のDNAの、APC内への導入、(2)本発明のペプチドを発現する組換えベクターによるAPCの感染、及び(3)リポソームを用いる、APCの細胞質ゾル内への本発明のペプチドの導入、が含まれる(Boczkowski D. et al. (1996) J. Exp. Med. 184:465-472; Rouse et al. (1994) J. Virol. 68:5685-5689;及びNair et al. (1992) J. Exp. Med. 175:609-612を参照)。
【0238】
別の実施形態では、その抗原プロセシング経路内に内在ペプチドと細胞表面MHCクラスI分子との結合(association)を制限する変異を含有する、ヒト細胞株の174xCEM.T2(T2と称される)に由来するものなどのフォスターAPC(foster APC)(Zweerink et al. (1993) J. Immunol. 150:1763-1771)が、本明細書に例示されるように、使用される。
【0239】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれかが用いられてCTLが誘起され、これは、インビトロにおいて誘起される。別の実施形態では、CTLはエクスビボで誘起される。別の実施形態では、CTLはインビトロで誘起される。別の実施形態では、結果として生じたCTLが対象に投与されることで、前記ペプチド、該ペプチドを含む発現産物、またはその相同体と関連する状態が治療される。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0240】
別の実施形態では、この方法は、本発明のペプチドをコードする遺伝子配列の導入を伴う。別の実施形態では、前記方法は、対象に、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを投与するステップを含む(Tindle, R. W. et al. Virology (1994) 200:54)。別の実施形態では、前記方法は、対象に、ペプチドをコードする、または別の実施形態では、2以上の本発明のペプチドをコードする裸の核酸(DNAまたはRNA)を投与するステップを含む(Nabel, et al. PNAS-USA (1990) 90: 11307)。別の実施形態では、マルチエピトープ(multi-epitope)、類似体をベースにした癌ワクチンが利用される(Fikes et al, Design of multi-epitope, analogue-based cancer vaccines. Expert Opin Biol Ther.2003 Sep;3(6):985-93)。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0241】
核酸(DNAまたはRNA)は、非経口投与または静脈内投与を含む当分野で既知の手段によって、または別の実施形態では、遺伝子銃によって、対象に投与され得る。別の実施形態では、核酸は組成物の形態で投与され、他の実施形態では、この形態は本明細書に列挙される任意の実施形態に一致する。DNAまたはRNAは、裸の核酸として対象に投与され得るか、またはベクターによって運ばれ得る。
【0242】
本発明の方法による使用のためのベクターは、別の実施形態では、インビトロまたはインビボにおける対象での細胞において、本発明のペプチド(例えば、WT1ペプチド)の発現を促進または可能にする任意のベクターを含むことができる。「ベクター」なる用語は、コード配列情報(例えば、WT1ペプチドをコードする核酸配列)を細胞または対象に移入するために使用可能な任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、ウイルス、粒子)を指すために使用される。いくつかの癌のための核酸ワクチンは、臨床試験に入った(Wahren B et al., "DNA Vaccines: Recent Developments and the Future," Vaccines, 2014, 2:785-796; Fioretti D. et al., "DNA Vaccines: Developing New Strategies Against Cancer, Journal of Biomedicine and Biotechnology, 2010, 2010(938):174378)。DNAワクチンを使用して機能的WT1特異的T細胞を拡大するための戦略が知られている(Chaise C et al., "DNA vaccination induces WT1-specific T-cell responses with potential clinical relevance," Blood, 2008, 112(7):2956-2964)。一実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。別の実施形態では、ベクターは非ウイルスベクターである。一実施形態では、非ウイルスベクターは、プラスミドDNAまたはmRNAベクターなどの核酸ベクターである(例えば、Weide B. et al, "Plasmid DNA- and messenger RNA-based Anti-Cancer Vaccination," Immunol Lett, 2008, 115(1):33-42、Kim H. et al., "Self-Assembled Messenger RNA Nanoparticles (mRNA-NPs) for Efficient Gene Expression," Sci Rep, 2015, 5:12737、及びUlmer J.B. et al. "RNA-based Vaccines", Vaccine, 2012, 30:4414-4418を参照)。いくつかの実施形態では、「ベクター」は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,722,848号に記載されているような、牛痘や鶏痘などの弱毒ウイルスを含む。別の実施形態では、ベクターは、Stover et al. (Nature 351:456-460 (1991))に記載されているようなBCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。本発明のペプチドの治療的投与または免疫処置に有用な他のベクター(例えば、チフス菌(Salmonella typhi)ベクターなど)は、本明細書中の記述から当業者には明らかである。インビボで対象に、及びインビトロで細胞に核酸分子を投与するために使用され得るベクターの非限定的な例には、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、ウイルス様粒子(VLP)、プラスミド、カチオン性脂質、リポソーム及びナノ粒子が含まれる。
【0243】
「コード配列」は、mRNAに転写され、及び/またはポリペプチドに翻訳される核酸配列である。コード配列の境界は、5'末端の翻訳開始コドン及び3'末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列は、mRNA、cDNA、及び組換えポリヌクレオチド配列を含むことができるが、これに限定されない。変異体または類似体は、コード配列の一部の欠失、配列の挿入、及び/または配列内の1以上のヌクレオチドの置換によって調製することができる。部位特異的突然変異誘発などの核酸配列を改変するための技術は、当業者に公知である(例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, 1989; DNA Cloning, Vols. I and II, D. N. Glover ed., 1985を参照)。必要に応じて、本発明の核酸配列、及びそのようなポリヌクレオチドを利用する本発明の組成物及び方法は、非コード配列を含み得る。
【0244】
「作動可能に連結された」なる用語は、本明細書では、そのように記載されたフランキング配列がそれらの通常の機能を果たすように構成または組み立てられている、フランキング制御配列の配置を指すために使用される。したがって、コード配列に作動可能に連結されたフランキング制御配列は、制御配列と適合する条件下でコード配列の複製、転写及び/または翻訳を行うことができる。例えば、コード配列は、プロモーターがそのコード配列の転写を誘導することができる場合、プロモーターに作動可能に連結される。フランキング配列は、正しく機能する限り、コード配列と連続している必要はない。したがって、例えば、翻訳されていないが転写されている介在配列が、プロモーター配列とコード配列との間に存在していてもよく、プロモーター配列はなおコード配列に「作動可能に連結」していると考えることができる。ポリペプチド(例えば、WT1ペプチド)をコードする各核酸配列は、典型的には、それ自身の作動可能に連結されたプロモーター配列を有する。
【0245】
別の実施形態では、ベクターは、本明細書に記載の免疫調節性化合物をさらにコードする。別の実施形態では、対象は、本発明のペプチドをコードするベクターの対象への投与と同時に、投与前に、または投与後に、前記免疫調節性化合物をコードするさらなるベクターを投与される。
【0246】
別の実施形態では、本発明のペプチド、組成物及びワクチンは、代替癌抗原(alternate cancer antigen)、または別の実施形態では、本発明のペプチドが由来するAA配列に対応する、または部分的に対応するAA配列からなるエピトープを標的にするモノクローナル抗体を含む他の抗癌性化合物及び化学療法剤と組み合わせて対象に投与されるか、または本発明の方法で利用される。これは、本発明の様々な実施形態の実施において、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用に加えて行われる。
【0247】
別の実施形態では、本発明は、本発明のペプチド、ワクチンまたは免疫原性組成物を対象に投与するステップを含む、対象におけるWT1特異的CD4+T細胞応答を検出する方法を提供する。別の実施形態では、WT1特異的CD4+T細胞応答を検出するために使用される遅延型過敏性試験が実施される。別の実施形態では、本発明のペプチドは、対象においてCD4+T細胞応答を誘導する際に、その未変異対応物より優れている。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0248】
本明細書中で使用される場合、「患者」、「対象」及び「個体」なる用語は互換的に使用され、ヒト及び非ヒト動物種を含むことが意図される。例えば、対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、非ヒト動物モデルまたは動物の患者である。対象は任意の年齢または性別であってもよい。
【0249】
本発明の方法及び組成物の免疫原性組成物は、別の実施形態では、本発明のペプチドに関連するAPCを含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、本発明のペプチドの混合物と関連付けられたAPCを含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、本発明のペプチドと関連付けられたAPCからなる。別の実施形態では、免疫原性組成物は、本発明のペプチドの混合物と関連付けられたAPCからなる。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0250】
本発明の方法の組成物及び組成物は、別の実施形態では、免疫原性組成物である。別の実施形態では、組成物は医薬組成物である。別の実施形態では、組成物は、当分野で既知の任意の他のタイプの組成物である。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。各組成物は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤をさらに含む。
【0251】
用量域の様々な実施形態は本発明によって企図されるものである。別の実施形態では、投与量は20μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は10μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は30μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は40μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は60μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は80μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は100μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は150μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は200μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は300μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は400μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は600μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は800μg/ペプチド/日である。別の実施形態では、投与量は1000μg/ペプチド/日である。
【0252】
別の実施形態では、投与量は10μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は30μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は40μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は60μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は80μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は100μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は150μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は200μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は300μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は400μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は600μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は800μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は1000μg/ペプチド/用量である。
【0253】
別の実施形態では、投与量は10-20μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は20-30μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は20-40μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は30-60μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は40-80μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は50-100μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は50-150μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は100-200μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は200-300μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は300-400μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は400-600μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は500-800μg/ペプチド/用量である。別の実施形態では、投与量は800-1000μg/ペプチド/用量である。
【0254】
別の実施形態では、ペプチド/用量またはペプチド/日の合計量は上記の量のうちの1つである。別の実施形態では、総ペプチド用量/用量は上記の量のうちの1つである。
【0255】
上記用量のそれぞれは本発明の別々の実施形態を表す。
【0256】
別の実施形態では、本発明は少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とともに本発明のペプチド、組成物またはワクチンを含むキットを提供する。別の実施形態では、前記キットは、ラベルまたは添付文書をさらに含む。別の実施形態では、前記キットは、遅延型過敏性試験によるWT1特異的CD4応答の検出に用いられる。別の実施形態では、前記キットは本明細書において列挙される任意の他の方法に使用される。別の実施形態では、前記キットは当分野で既知の任意の他の方法に用いられる。各可能な形態は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0257】
実施例
【0258】
卵巣癌患者におけるニボルマブとともに投与されたWT1ペプチドワクチンの有効性の評価
【0259】
卵巣癌と診断された適格な患者は、化学療法の完了後4ヶ月以内にワクチン接種スケジュールを開始する。患者は、最初に12週間にわたってWT1ペプチドの6回のワクチン接種を受け、14週間にわたって7回の免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブの注入を受ける。毒性評価は、ワクチンの各用量で、かつ15週目の治療完了後3週間で実施される。患者は治療後30分まで治験スタッフによって観察される。用量の増量は計画されない。試験期間を通して、定期的な毒性評価が継続される。
【0260】
15週目の評価で病気の進行がない患者には、約8週間ごとに追加のワクチンを4回投与することが認められている。この維持ワクチンコースは19週目から開始される。
【0261】
免疫応答を、6つの別々の時点で40mlのヘパリン化血液サンプルから評価する:ベースライン(ベースライン変動を決定するための同意時、及び最初の投与前)、ワクチン5及び6の前、並びに最後のニボルマブ注入の3週間後。可能であれば、3ヶ月の追跡調査でさらに血液を採取する。
【0262】
ELISAを用いて、ワクチン中の4つのWT1ペプチドに対して生成された抗体レベルを測定する。抗体は、第4のワクチン接種の完了によって一般に生じる。T細胞増殖応答アッセイを、以下を含む末梢血リンパ球に対して実施する:白血球サブセット分析を含むFACSを用いた表現型分析のためのフローサイトメトリー、T調節細胞アッセイ(CD3、CD4、CD8、FOXP3、ICOS及びPD1を含む)及び末梢血中及び腫瘍中(必要に応じて生検を取得した場合)の骨髄球由来サプレッサー細胞(MDSC、CD14+HLA-DRlow細胞)。WT1 T細胞特異的CD4及びCD8増殖応答を、多機能性細胞内サイトカイン染色(ICS)及びフローサイトメトリーに基づくIFN-ガンマ産生によって測定された機能性を有するMeso Scale Discovery Systemを使用する細胞毒性アッセイを用いて測定する。血液サンプル処理、T細胞モニタリング、抗体ELISA及び多機能性T細胞アッセイのための詳細な手順は、[29]に記載されている。
【0263】
ベースライン値及びT細胞応答の結果は、臨床的寛解の持続期間と相関する。
【0264】
患者が15週より前に調査から離れる場合、調査後の免疫学的調査のための血液が得られる。CTスキャンを、ベースライン及び15週目(または医学的に必要と思われる場合にはより早く)、並びにその後3ヶ月ごとに最大1年間、疾患が進行するまで実施する。MRIの腹部及び骨盤は、CTの腹部及び骨盤の代わりに使用され得る。基準放射線科医(reference radiologist)は、疾患の進行を決定するために免疫関連の応答基準を使用する[57]。CA125は、ベースライン、6週目及び15週目、並びにその後3カ月ごとに最大1年間、疾患が進行するまで得られる。CA125は、ワクチン接種された患者の炎症が混同する可能性があるため、疾患の進行を決定するためには使用されない。進行、容認できない毒性の発生、ワクチン接種の完了または患者の離脱の時間まで、患者は調査の対象である。
【0265】
WT1ワクチン:この調査で使用されるワクチンは、4つの別個のWT1ペプチドを含有する:
・YMFPNAPYL(SEQ ID NO124;WT1-A1):CD8+応答を刺激する、変異アミノ酸R126Yを有するHLAクラスIペプチド。
・SGQAYMFPNAPYLPSCLES(SEQ ID NO125;WT1-122A1 long):前臨床及び第一相試験からのデータにしたがってCD4+及びCD8+応答の両方を刺激する、より長いペプチド内に埋め込まれたWT1-A1ヘテロクリティック配列を含むHLAクラスIIペプチド。
・RSDELVRHHNMHQRNMTKL(SEQ ID NO1; WT1-427 long)、及びPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(SEQ ID NO2;WT1-331 long):長期持続性CD8+T細胞応答の助けとなり得るCD4+応答を誘導するHLAクラスIIペプチド。
【0266】
薬物生成物:ワクチン製品(「WT1 Vax」)を産生するために、4つのペプチドをリン酸緩衝食塩水と共に滅菌溶液中に提供する。各バイアルは、0.7ml(0.4mg/mlの各ペプチド、40%のオーバーフィル)の全容量中に280mcgの各ペプチドを含有する。GMP条件下でのバイアル充填及び無菌試験を行った。ワクチンエマルジョンを、使用前に個々に調製する。これは、ペプチド溶液と免疫アジュバントモンタニド ISA 51 VGとの混合物を必要とする。
【0267】
意図される用量:他者によって使用される安全かつ有効な用量の範囲内にあるため、各ペプチドについて200mcgの用量が選択される。ペプチドワクチンは、用量反応関係の明確な証拠なしに、広範囲の用量(100-2000mcg注入)で免疫及び臨床応答を生成した。より高い用量は、T細胞上のより低い親和性のTCRを刺激し、応答を減少させるという理論的な可能性を有する[30、33、34]。バイアルサイズ:各単回用量バイアルは、0.7mlの投与経路:皮下経路を含む。
【0268】
ニボルマブ:予定用量:3mg/kg;バイアルサイズ:10mL;投与経路:静脈内。ニボルマブを3mg/kgで投与し、2週間ごとに1回、60分間のIV注入として静脈内投与する。輸液の最後に、十分な量の生理食塩水で管を洗い流す。対象の体重が、必要とされる用量を計算するために使用された前回の体重と>10%異なる場合、必要な用量、補正された用量が計算されるべきである。ニボルマブの用量の増大または減少は認められない。最初のニボルマブ処置のために推奨される前投薬はない。
【0269】
対象には、前回のニボルマブ投与から少なくとも12日間以後に投与することができ、予定された投与日後3日以内に投与してもよい。3日間の期間後の投与は投与遅延とみなされる。処置は、前回の投与から最大6週間まで延期することができる。
【0270】
CTまたはMRIによる腫瘍評価は、投薬が遅れた場合でもプロトコルに従って継続すべきである。
【0271】
治療/介入計画
・患者を外来患者として扱う。
・WT1ワクチンを、0、2、4、6、8及び10週目に投与する。
・すべての注射を、四肢間を回転する部位に皮下投与する。
・すべての患者に、0日目及び2日目にサルグラモスチム(GM-CSF)70mcgを皮下注射する。患者は、SQ注射投与について適切に指示されている場合、GM-CSFを自己投与することができる。注射部位での刺激などの予期される反応を患者に知らせる。患者は注射の時間及び配置を記録した検査表を保管する。
・また、患者に、モンタニドと共にWT1ペプチドの1.0mlのエマルジョンを投与する。GM-CSFと同一の解剖学的部位で看護師が皮下投与する(自己投与でなくてよい)。
・ワクチン接種後約30分間患者を観察する。
・ニボルマブ、0、2、4、6、8、10、12週目に60分注入として静脈内投与する。対象には、前回のニボルマブ投与から少なくとも12日間以後に投与することができ、予定された投与日後3日以内に投与してもよい。3日間の期間後の投与は投与遅延とみなされる。処置は、前回の投与から最大6週間まで延期することができる。
【0272】
WT1ワクチンとニボルマブとの併用療法は、WT1ワクチン接種単独またはニボルマブ療法単独と比較して、患者のWT1特異的CTL集団を増加させ、WT1発現腫瘍に対する活性を増加させることが期待される。
【0273】
(参考文献)
[1]Siegel, R., D. Naishadham, and A. Jemal, Cancer statistics, 2012. CA Cancer J Clin, 2012. 62(1): p. 10-29
[2]Hoskins, W.J., C.A. Perez, and R.C. Young, Principles and practice of gynecologic oncology. 3rd ed. 2000, Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins. xxi, 1268 p.
[3]Barnhill, D.R., et al., The second-look surgical reassessment for epithelial ovarian carcinoma. Gynecol Oncol, 1984. 19(2): p. 148-54.
[4]Rubin, S.C., et al., Recurrence after negative second-look laparotomy for ovarian cancer: analysis of risk factors. Am J Obstet Gynecol, 1988. 159(5): p. 1094-8.
[5]Markman, M., et al., Second-line platinum therapy in patients with ovarian cancer previously treated with cisplatin. J Clin Oncol, 1991. 9(3): p. 389-93.
[6]Zhang, H., et al., Antibodies against GD2 ganglioside can eradicate syngeneic cancer micrometastases. Cancer Res, 1998. 58(13): p. 2844-9.
[7]Zhang, L., et al., Intratumoral T cells, recurrence, and survival in epithelial ovarian cancer. N Engl J Med, 2003. 348(3): p. 203-13.
[8]Curiel, T.J., et al., Specific recruitment of regulatory T cells in ovarian carcinoma fosters immune privilege and predicts reduced survival. Nat Med, 2004. 10(9): p. 942-9.
[9]Iasonos, A., et al., Identifying clinical improvement in consolidation single-arm phase 2 trials in patients with ovarian cancer in second or greater clinical remission. Int J Gynecol Cancer, 2012. 22(1): p. 63-9.
[10]Berek, J.S., et al., Randomized, placebo-controlled study of oregovomab for consolidation of clinical remission in patients with advanced ovarian cancer. J Clin Oncol, 2004. 22(17): p. 3507-16.
[11]Reinartz, S., et al., Vaccination of patients with advanced ovarian carcinoma with the anti-idiotype ACA125: immunological response and survival (phase Ib/II). Clin Cancer Res, 2004. 10(5): p. 1580-7.
[12]Bookman, M.A., et al., Evaluation of monoclonal humanized anti-HER2 antibody, trastuzumab, in patients with recurrent or refractory ovarian or primary peritoneal carcinoma with overexpression of HER2: a phase II trial of the Gynecologic Oncology Group. J Clin Oncol, 2003. 21(2): p. 283-90.
[13]Allavena, P., et al., Intraperitoneal recombinant gamma-interferon in patients with recurrent ascitic ovarian carcinoma: modulation of cytotoxicity and cytokine production in tumor-associated effectors and of major histocompatibility antigen expression on tumor cells. Cancer Res, 1990. 50(22): p. 7318-23.
[14]Pujade-Lauraine, E., et al., Intraperitoneal recombinant interferon gamma in ovarian cancer patients with residual disease at second-look laparotomy. J Clin Oncol, 1996. 14(2): p. 343-50.
[15]Recchia, F., et al., Interleukin-2 and 13-cis retinoic acid as maintenance therapy in advanced ovarian cancer. Int J Oncol, 2005. 27(4): p. 1039-46.
[16]Sabbatini, P.J., et al., Immunization of ovarian cancer patients with a synthetic Lewis(y)-protein conjugate vaccine: a phase 1 trial. Int J Cancer, 2000. 87(1): p. 79-85.
[17]Nicholson, S., et al., A phase I trial of idiotypic vaccination with HMFG1 in ovarian cancer. Cancer Immunol Immunother, 2004. 53(9): p. 809-16.
[18]Diefenbach, C.S., et al., Safety and immunogenicity study of NY-ESO-1b peptide and montanide ISA-51 vaccination of patients with epithelial ovarian cancer in high-risk first remission. Clin Cancer Res, 2008. 14(9): p. 2740-8.
[19]Keilholz, U., et al., Wilms' tumour gene 1 (WT1) in human neoplasia. Leukemia, 2005. 19(8): p. 1318-23.
[20]Oji, Y., et al., Expression of the Wilms' tumor gene WT1 in solid tumors and its involvement in tumor cell growth. Jpn J Cancer Res, 1999. 90(2): p. 194-204.
[21]Scharnhorst, V., et al., Internal translation initiation generates novel WT1 protein isoforms with distinct biological properties. J Biol Chem, 1999. 274(33): p. 23456-62.
[22]Haber, D.A., et al., Alternative splicing and genomic structure of the Wilms tumor gene WT1. Proc Natl Acad Sci U S A, 1991. 88(21): p. 9618-22.
[23]Mundlos, S., et al., Nuclear localization of the protein encoded by the Wilms' tumor gene WT1 in embryonic and adult tissues. Development, 1993. 119(4): p. 1329-41.
[24]Buckler, A.J., et al., Isolation, characterization, and expression of the murine Wilms' tumor gene (WT1) during kidney development. Mol Cell Biol, 1991. 11(3): p. 1707-12.
[25]Fraizer, G.C., et al., Expression of the tumor suppressor gene WT1 in both human and mouse bone marrow. Blood, 1995. 86(12): p. 4704-6.
[26]Al-Hussaini, M., et al., WT1 assists in distinguishing ovarian from uterine serous carcinoma and in distinguishing between serous and endometrioid ovarian carcinoma. Histopathology, 2004. 44(2): p. 109-15.
[27]Pinilla-Ibarz, J., et al., Improved human T-cell responses against synthetic HLA-0201 analog peptides derived from the WT1 oncoprotein. Leukemia, 2006. 20(11): p. 2025-33.
[28]May, R.J., et al., Peptide epitopes from the Wilms' tumor 1 oncoprotein stimulate CD4+ and CD8+ T cells that recognize and kill human malignant mesothelioma tumor cells. Clin Cancer Res, 2007. 13(15 Pt 1): p. 4547-55.
[29]Krug, L.M., et al., WT1 peptide vaccinations induce CD4 and CD8 T cell immune responses in patients with mesothelioma and non-small cell lung cancer. Cancer Immunol Immunother, 2010. 59(10): p. 1467-79.
[30]Oka, Y., et al., Induction of WT1 (Wilms' tumor gene)-specific cytotoxic T lymphocytes by WT1 peptide vaccine and the resultant cancer regression. Proc Natl Acad Sci U S A, 2004. 101(38): p. 13885-90.
[31]Letsch, A., et al., Effect of vaccination of leukemia patients with a MHC class I peptide of Wilms tumor gene 1 (WT1) peptide with unspecific T helper stimulation on WT1-specific IgM responses and on IgG responses. J Clin Oncol, 2008. 26: p. Abstr 3054.
[32]Ohno, S., et al., Wilms' tumor 1 (WT1) peptide immunotherapy for gynecological malignancy. Anticancer Res, 2009. 29(11): p. 4779-84.
[33]Schaed, S.G., et al., T-cell responses against tyrosinase 368-376(370D) peptide in HLA*A0201+ melanoma patients: randomized trial comparing incomplete Freund's adjuvant, granulocyte macrophage colony-stimulating factor, and QS-21 as immunological adjuvants. Clin Cancer Res, 2002. 8(5): p. 967-72.
[34]Slingluff, C.L., Jr., et al., Clinical and immunologic results of a randomized phase II trial of vaccination using four melanoma peptides either administered in granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in adjuvant or pulsed on dendritic cells. J Clin Oncol, 2003. 21(21): p. 4016-26.
[35]Faries, M.B., et al., Effect of granulocyte/macrophage colony-stimulating factor on vaccination with an allogeneic whole-cell melanoma vaccine. Clin Cancer Res, 2009. 15(22): p. 7029-35.
[36]Keilholz, U., et al., A clinical and immunologic phase 2 trial of Wilms tumor gene product 1 (WT1) peptide vaccination in patients with AML and MDS. Blood, 2009. 113(26): p. 6541-8.
[37]Weber, J., et al., Granulocyte-macrophage-colony-stimulating factor added to a multipeptide vaccine for resected Stage II melanoma. Cancer, 2003. 97(1): p. 186-200.
[38]Keir, M.E., et al., PD-1 and its ligands in tolerance and immunity. Annu Rev Immunol, 2008. 26: p. 677-704.
[39]Freeman, G.J., et al., Engagement of the PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation. J Exp Med, 2000. 192(7): p. 1027-34.
[40]Latchman, Y., et al., PD-L2 is a second ligand for PD-1 and inhibits T cell activation. Nat Immunol, 2001. 2(3): p. 261-8.
[41]Hamanishi, J., et al., Programmed cell death 1 ligand 1 and tumor-infiltrating CD8+ T lymphocytes are prognostic factors of human ovarian cancer. Proc Natl Acad Sci U S A, 2007. 104(9): p. 3360-5.
[42]Mu, C.Y., et al., High expression of PD-L1 in lung cancer may contribute to poor prognosis and tumor cells immune escape through suppressing tumor infiltrating dendritic cells maturation. Med Oncol, 2011. 28(3): p. 682-8.
[43]Pardoll, D.M., The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer, 2012. 12(4): p. 252-64.
[44]Nivolumab (BMS-936558) Investigator Brochure, Version 12. 2013.
[45]Hwang, W.T., et al., Prognostic significance of tumor-infiltrating T cells in ovarian cancer: a meta-analysis. Gynecol Oncol, 2012. 124(2): p. 192-8.
[46]Matsuzaki, J., et al., Tumor-infiltrating NY-ESO-1-specific CD8+ T cells are negatively regulated by LAG-3 and PD-1 in human ovarian cancer. Proc Natl Acad Sci U S A, 2010. 107(17): p. 7875-80.
[47]Brahmer, J.R., et al., Safety and activity of anti-PD-L1 antibody in patients with advanced cancer. N Engl J Med, 2012. 366(26): p. 2455-65.
[48]Page, D.B., et al., Immune modulation in cancer with antibodies. Annu Rev Med, 2014. 65: p. 185-202.
[49]Harrison, M.L., et al., Duration of second or greater complete clinical remission in ovarian cancer: exploring potential endpoints for clinical trials. Gynecol Oncol, 2007. 106(3): p. 469-75.
[50]Juretzka, M., et al., A phase 2 trial of oral imatinib in patients with epithelial ovarian, fallopian tube, or peritoneal carcinoma in second or greater remission. Eur J Gynaecol Oncol, 2008. 29(6): p. 568-72.
[51]Levine, D., et al., A phase II evaluation of goserelin and bicalutamide in patients with ovarian cancer in second or higher complete clinical disease remission. Cancer, 2007. 110(11): p. 2448-56.
[52]Walter, S., et al., Multipeptide immune response to cancer vaccine IMA901 after single-dose cyclophosphamide associates with longer patient survival. Nat Med, 2012.
[53]Wolchok, J.D., et al., Development of ipilimumab: a novel immunotherapeutic approach for the treatment of advanced melanoma. Ann N Y Acad Sci, 2013. 1291(1): p. 1-13.
[54]Hodi, F.S., et al., Immunologic and clinical effects of antibody blockade of cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4 in previously vaccinated cancer patients. Proc Natl Acad Sci U S A, 2008. 105(8): p. 3005-10.
[55]Quezada, S.A., et al., CTLA4 blockade and GM-CSF combination immunotherapy alters the intratumor balance of effector and regulatory T cells. J Clin Invest, 2006. 116(7): p. 1935-45.
[56]Duraiswamy, J., et al., Dual blockade of PD-1 and CTLA-4 combined with tumor vaccine effectively restores T-cell rejection function in tumors. Cancer Res, 2013. 73(12): p. 3591-603.
[57]Wolchok, J.D., et al., Guidelines for the evaluation of immune therapy activity in solid tumors: immune-related response criteria. Clin Cancer Res, 2009. 15(23): p. 7412-20.
[58]Dupont, J., et al., Wilms Tumor Gene (WT1) and p53 expression in endometrial carcinomas: a study of 130 cases using a tissue microarray. Gynecol Oncol, 2004. 94(2): p. 449-55.
[59]Eisenhauer, E.A., et al., New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer, 2009. 45(2): p. 228-47.
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。