(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041828
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】平面基板上に製造された複数のサブユニット
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023223728
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021564468の分割
【原出願日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/842,924
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521464400
【氏名又は名称】モウロ ラブス、エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルガッロ バルバス、エドゥアルド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LiDARシステムのための自己組み立てされる拡張視野レシーバを提供する。
【解決手段】平面基板上に製造された複数のサブユニットであって、各サブユニットは、サブユニットのうちの1または複数に衝突する光波面の一部を受光するよう構成された光センシング構造体と、隣接するサブユニットとの境界の近くにヒンジの一部を形成する材料と、を含む、複数のサブユニットと、上記材料から形成された上記ヒンジのうちの1つにより規制される、各対における上記サブユニット間の相対運動を可能にする、異なる3対のサブユニットの各々の間のそれぞれの境界沿いのギャップと、を備えるデバイスであって、上記サブユニットのうちの一つは、外部場に対応して力をもたらすように構成された材料を含み、上記もたらされた力は複数のサブユニットの接続されたネットワークを非平面の構成に折り畳む、デバイスである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面基板上に製造された複数のサブユニットであって、各サブユニットは、
前記サブユニットのうちの1または複数に衝突する光波面の少なくとも一部を受光するよう構成された光センシング構造体と、
少なくとも1つの隣接するサブユニットとの境界の近くにヒンジの少なくとも一部を形成する材料と、を含む、複数のサブユニットと、
前記材料から形成された前記ヒンジのうちの1つにより規制される、各対における前記サブユニット間の相対運動を可能にする、少なくとも異なる3対のサブユニットの各々の間のそれぞれの境界沿いの少なくとも1つのギャップと、
を備え、
前記サブユニットのうちの少なくとも一つは、外部場に応答して力をもたらすように構成された材料を含み、前記もたらされた力は前記複数のサブユニットの自己組み立てをもたらす、デバイス。
【請求項2】
前記ヒンジは弾性および/または可塑性を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
視野の少なくとも一部を照らす照明光波を提供するよう構成された少なくとも1つの放出モジュールをさらに備える、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記光センシング構造体の出力に基づき、前記視野の1または複数の部分に関連付けられた距離を決定するよう構成された回路をさらに備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数のサブユニットの前記自己組み立ては、前記光センシング構造体の前記視野を中断なしの複合視野に組み合わせるよう設計された非平面の構成をもたらす、請求項3または4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記サブユニットを接続する少なくとも1つの光導波路が用いられて、時間、周波数または位相基準を提供して距離の決定を可能にする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記サブユニットを接続する少なくとも1つの導電体が用いられて、時間、周波数または位相基準を提供して距離の決定を可能にする、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記材料は強磁性材料であって、前記外部場は磁場である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記強磁性材料は、ニッケル、コバルトまたは鉄を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記強磁性材料の薄さは約500nmである、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記材料はマイクロコイルを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の目的]
本開示は、LiDARシステムのための自己組み立てされる拡張視野レシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプのLiDARシステムが、所望の視野(FOV)にわたる光を受光するための様々な種類の光学素子を用いている。いくつかのシステムにおいて、焦点面アレイがイメージング構成において用いられており、ここでは、視野の異なる部分が、当該アレイの異なるそれぞれの素子上でイメージングされる。いくつかのシステムにおいて、素子は、凸型基板上に製造され得るが、手による組み立てを必要とする製造等のいくつかの製造プロセスは、組み立てプロセスに対し過剰なコストおよび複雑性を追加し得る。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、全般的に、方法は、平面基板上に複数のサブユニットを製造する段階であって、各サブユニットは、上記サブユニットのうちの1または複数に衝突する光波面の少なくとも一部を受光するよう構成された光センシング構造体と、少なくとも1つの隣接するサブユニットとの境界の近くにヒンジの少なくとも一部を形成する材料と、を含む、段階と、少なくとも異なる3対のサブユニットの各々の間のそれぞれの境界上の上記基板の少なくとも一部を除去して、上記材料から形成された上記ヒンジのうちの1つにより規制される、各対における上記サブユニット間の相対運動を可能にする段階と、複数のサブユニットの接続されたネットワークを、非平面の構成に折り畳む力を加えるよう構成された1または複数のアクチュエータを提供する段階と、を備える。
【0004】
態様は、以下の特徴のうちの1または複数を含んでよい。
【0005】
アクチュエータのうちの1または複数は、磁力を印加するよう構成される。
【0006】
磁力を印加するよう構成されたアクチュエータのうちの1または複数は、強磁性材料を含む。
【0007】
磁力を印加するよう構成されたアクチュエータのうちの1または複数は、サブユニットの表面上に形成された平面コイルを含む。
【0008】
上記基板の少なくとも一部を除去する段階は、少なくとも異なる11対のサブユニットの各々の間の境界上の上記基板の少なくとも一部を除去する段階を含む。
【0009】
方法はさらに、上記平面基板の上に、少なくとも1対の隣接するサブユニット間の電気通信を提供するための導電性材料を含む少なくとも1つの層を製造する段階を備える。
【0010】
方法はさらに、上記平面基板の上に、少なくとも1対の隣接するサブユニット間の光通信を提供するための光導波路を含む少なくとも1つの層を製造する段階をさらに備える。
【0011】
方法はさらに、上記アクチュエータが、上記複数のサブユニットの接続されたネットワークを、上記非平面の構成に折り畳んだ後に、上記サブユニットを互いに取り付ける段階をさらに備える。
【0012】
方法はさらに、上記サブユニットのうちの少なくとも1つの近くに中実の支持体を配置して、上記複数のサブユニットの少なくとも1つの運動を規制し、且つ、上記非平面の構成のジオメトリを少なくとも部分的に決定する段階をさらに備える。
【0013】
上記中実の支持体は残留磁化を有し、その磁場を通して上記サブユニットと相互作用する。
【0014】
方法はさらに、上記サブユニットを上記支持体に取り付ける段階を備える。
【0015】
別の態様において、全般的に、製品は、平面基板上に製造された複数のサブユニットであって、各サブユニットは、上記サブユニットのうちの1または複数に衝突する光波面の少なくとも一部を受光するよう構成された光センシング構造体と、少なくとも1つの隣接するサブユニットとの境界の近くにヒンジの少なくとも一部を形成する材料と、を含む、複数のサブユニットと、上材料から形成された上記ヒンジのうちの1つにより規制される、各対における上記サブユニット間の相対運動を可能にする、少なくとも異なる3対のサブユニットの各々の間のそれぞれの境界沿いの少なくとも1つのギャップと、複数のサブユニットの接続されたネットワークを、非平面の構成に折り畳む力を加えるよう構成された1または複数のアクチュエータと、を備える。
【0016】
態様は、以下の特徴のうちの1または複数を含んでよい。
【0017】
製品はさらに、視野の少なくとも一部を照らす照明光波を提供するよう構成された少なくとも1つの放出モジュールをさらに備える。
【0018】
製品はさらに、上記光センシング構造体の出力に基づき、上記視野の1または複数の部分に関連付けられた距離を決定するよう構成された回路をさらに備える。
【0019】
上記非平面の構成は、上記光センシング構造体の上記視野を中断なしの複合視野に組み合わせるよう設計されている。
【0020】
時間、周波数または位相基準を提供するための上記サブユニットを接続する少なくとも1つの光導波路が用いられて、距離の決定を可能にする。
【0021】
時間、周波数または位相基準を提供するための上記サブユニットを接続する少なくとも1つの導電体が用いられて、距離の決定を可能にする。
【0022】
態様は、以下の利点のうちの1または複数を含んでよい。
【0023】
1つの利点は、組み立てプロセスの簡易さにあり、このことが、より多数の個々のセンサが用いられ、よりきめ細かい細分化された視野を持つことを可能にする。十分に高密度な空間サンプリングは、個々のFOV間にブラインド領域が存在しない限り、メカニカルスキャンの必要性を低減する、またはなくしてよい。逆に、個々のセンサごとに特定の限定された視野について、より大きいカバレッジが達成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
記載される説明を補足し、且つ、本発明の特徴をより良く理解すべく、本発明の実用的な実施形態に係る好ましい例により、一組の図面が例示的且つ非限定的性質として当該説明の不可欠な部分として添付される。以下に示す通りである。
【
図1A】組み立てられた図を示す、十二面体形状センサの図を示す。
【
図1B】平坦な、折り畳まれていない図を示す、十二面体形状センサの図を示す。
【
図3A】組み立てられた図を示す切頂二十面体形状センサの図を示す。
【
図3B】平坦な、折り畳まれていない図を示す切頂二十面体形状センサの図を示す。
【
図4】十二面体形状センサおよび磁気コンポーネントの図を示す。
【
図6】最大変位に対する最大力の、様々な効果および対応する領域の例のグラフを示す。
【
図7】フォーカスのための、またはFOV調整のための小型レンズアレイを持つ例示的な半球シェルの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[発明の好ましい実施形態]
光検出と測距(LiDAR)システムの実装は、拡張された角度カバレッジを提供する自己組み立てされるセンサを含んでよい。この自己組み立てされるセンサは、例えば、複数の個々のサブユニットの個々の視野を合成して集合的に複合視野を形成することにより達成されてよく、ここで複数のサブユニットは、単一の平坦な基板から、設計された三次元(3D)構造体に組み立てられる。
【0026】
自己組み立てとは、複数のサブユニットが初期状態(例えば、初期の平坦な状態)から、設計された3D構造体等の組み立てられた状態に遷移するように、サブユニットの相対運動を可能にすべく、または、容易にすべく、サブユニット内に含まれてよい、または、サブユニットに取り付けられてよい様々な特徴のうちの任意のものを指し、ここにおいて、以下で詳しく述べるセンサが用いられる。
【0027】
図1Aは、組み立てられた状態における一例の十二面体形状センサ(100)を示す。センサ全体は、大きな複合視野を有する。各サブユニット(例えば、サブユニットiおよびサブユニットj)は、より小さな個々の視野(例えば、FOViおよびFOVj)を有し、これらの各々は、異なる方向における軸を中心とする。また、自己組み立てを可能にすべく、サブユニットのいくつかの間にメカニカルヒンジ(102)も存在する。
図1Bは、2つのサブユニット間のメカニカルヒンジ(102)のうちの1つの位置を示す、センサ(100)の折り畳まれていない平坦な状態を示す。
【0028】
複数のサブユニットで構成される構造体は、支持体(例えば、硬性の中空支持体または中実の支持体)上に、例えば、当該支持体上の平坦なセンサ設計を屈曲させることにより、組み立てられてよい。組み立てられる前のサブユニットのこの平坦なセンサ設計は、サブユニットが互いに接続された構成の形態であってよい。この構成はプレーナ技術を用いて製造されてよく、ここで各サブユニットは、基板材料のウェハとして提供される基板の異なる部分に形成される。このようなウェハは、例えばガラス、クオーツ、サファイヤから、または、ケイ素、インジウムリン、ガリウムヒ素およびその他といった半導体材料から製造されてよい。
【0029】
当該構成におけるサブユニットの各々は、その個々の視野内でLiDARイメージングを実行可能である個々のセンサ素子として機能するよう構成されてよい。このために、タイムオブフライトLiDAR、周波数変調連続波LiDAR、2つの波長LiDAR等といった異なる技術が適用されてよい。サブユニットは、焦点面アレイ、アパーチャプレーンアレイを用いるよう構成されてよく、または、MEMSに基づくメカニカルスキャン技術を含むよう構成されてよい。
【0030】
製造プロセスのいくつかの実装において、プロセスの特定の時点において、サブユニット間のメカニカル接続を生成するステップが導入される。このような接続は、サブユニットが互いに対し角度的に移動することを許容しつつ、接続の距離を実質的に一定に保つよう構成され、有効に2つのサブユニット間のヒンジを構成する。このようなヒンジは、十分な弾性/可塑性を有する材料から形成されてよく、このような移動を許容するよう構成される。
【0031】
代替的に、ヒンジは実質的に硬質材料から作成されてよいが、パーツ間に不連続性を有するよう構成され、その結果、これらは互いに対し移動でき、パーツのジオメトリが運動を制約して所望のヒンジ機能をもたらす。このようなヒンジを製造すべく、ポリマー層、無機誘電体層、半導体層または金属層を含む可撓性材料の層が用いられてよい。その後、このような層がフォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、イオンビームミリングまたは他の方法を用いてパターニングされてよい。
【0032】
図2Aに図示されるヒンジアセンブリの特定の実装において、ポリマーの連続的ストリップが、サブユニットiおよびサブユニットjの2つのサブユニットを、当該2つのサブユニットにおける2つの異なる位置においてクランプされた2つのカンチレバー(202A、202B)により2つの点において接続する。サブユニットの硬質性が、このようなカンチレバーが、面外変形のみし得、所望のヒンジ機能をもたらし得ることを保証する。アセンブリはまた、ヒンジの近くにある光バス/電気バス(206)に接続する光/電気バスカプラー(204)により図示されるように、1または複数の位置において隣接するサブユニット間に、光および/または電気的接続が形成されることを可能にする。
【0033】
図2Bに図示されるヒンジアセンブリの別の特定の実装においては、薄いシリコン層が、サブユニットiおよびサブユニットjの2つのサブユニット間のねじりヒンジとして動作する複数のビーム(210A、210B、210C、210D)を生成するようにパターニングされる。共通の軸沿いの複数のねじりヒンジの構成は、回転がその単一の軸周りに実質的に規制されることを保証する。
【0034】
製造プロセスの特定の時点において、サブユニット間の電気および/または光接続を提供するカプラー(204)およびバス(206)を生成するためのステップが含まれる。このような接続は、各サブユニットにおけるLiDARレシーバの、エミッタとの同期のための時間ベースを提供して、所望の測距機能を生成できるようにする。この同期は、光信号または電気信号における位相、周波数または時間基準から得られてよい。
【0035】
例えば、パルスのフランクを用いて、測距期間の開始およびタイムオブフライトセットアップにおける距離を測定するための基準を決定してよい。代替的に、導波路における光周波数が、周波数変調連続波(FMCW)スキームにおいて距離を計算するための基準として機能してよい。代替的実装において、位相が、位相偏移変調(PSK)コーディングスキームにおいて距離を計算するための基準として機能してよい。このような電気および/または光接続を追加的に用いて、各サブユニットからのイメージング情報および測距情報を転送してよく、または、個々のサブユニットに電力供給してよい。
【0036】
電気的接続は、バルク基板上に1または複数の金属層または導電層を堆積すること、および、それらを、カプラー(204)およびバス(206)の部分を形成する個々の導体にパターニングすることによりもたらされてよい。好適な材料は、とりわけ、アルミニウム、金、クロム、チタニウム、プラチナ、銅または酸化インジウム錫を含む。これらの層の堆積は、スパッタリング、蒸着、またはメッキを用いてなされてよい。層のパターニングは、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、イオンビームミリングまたはこれら以外を用いてなされてよい。
【0037】
光接続は、誘電体および半導体等の1または複数の透明材料をバルク基板上に堆積させること、および、カプラー(204)およびバス(206)の部分を形成する導波路を画定するようにそれらをパターニングすることによりもたらされてよい。一般的に用いられる材料としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ケイ素、ガリウムヒ素、インジウムリン、シロキサンベースのポリマー、ハロゲン化アクリレートポリマー、フッ素化アクリレートポリマーおよび他のポリマーが含まれる。これらの層の形成は、エピタキシャル成長、ドーピング、蒸着、化学蒸着、スパッタリング、またはこれら以外を用いてなされてよい。層のパターニングは、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、イオンビームミリングまたはこれら以外を用いてなされてよい。
【0038】
組み立て中に生じる機械的移動が与えられると、導電体および/または光導波路の破損を回避すべく、注意深く管理されてよい応力および力が存在することになろう。特に、低応力レベルで変形を吸収し得る蛇状の屈曲および他のばねのような構造を導入することが望ましくてよい。ジオメトリから生じるまたは異なる材料特性をもつ2つの領域間の突然遷移といった応力集中点が回避されてよい。また、ヒンジの回転軸沿いに長い自立型セクション(220)を作成して、ねじり応力を分散させることが可能である(
図2Aを再度参照)。
【0039】
製造プロセスの別の時点において、これらのサブユニットを、基板のバルクから、および互いから単体化(または分離)する手段が導入される。このために、DRIE、RIE、ウェットエッチング、レーザ切断、ダイシングおよびその他を含む異なる技術が用いられてよい。いくつかの実装において、このような単体化は、基板のバルクに対し選択的であり、且つ、サブユニット間の相互接続が機能的であることを可能にする。これを達成するための方策は、除去される基板と、異なる機能層との間に保護層を有することである。別の方策は、基板のバルクにのみ選択的であるプロセスを用いることである。別の方策は、機能層が影響される前に、プロセスが停止するように時限プロセスを用いることである。
【0040】
基板のバルクから単体化された平坦なセンサ設計は、例えば、多面体の多角形ネットワークに対応してよい。いくつかの実装において、当該ネットワークは、サブユニットを画する面およびサブユニット間の接続点を形成するエッジを有することになる。これらのエッジは、構造体が3次元に組み立てられ得るように、異なるサブユニット間の運動を許容する。上記の通り、この2つの隣接するサブユニットのエッジの周りの相対回転は、メカニカルヒンジまたはリンケージを用いて、または、サブユニット間に可撓性または可塑性の接続を用いることにより、可能とされてよい。いくつかの実装において、サブユニットは、ヒンジを横断して、電気的および/または光学的に接続される。上記の通り、これは、ユニットを横断するよう構成された導波路および/またはバスを用いて達成されてよい。
【0041】
サブユニットの1または複数は、特定のサブユニットの基板の部分に延在してよい追加の電気光学機器を含んでよい、または、当該電気光学機器に物理的に接続されてよく、これは、当該特定のサブユニットの基部として動作してよく、または、当該特定のサブユニットの基部を形成する適切な形状の材料に取り付けられてよい。これらのサブユニットは、個々のセンシングサブユニットからの信号を、増幅、デジタル化、シリアライズ化、および/または、これら以外のマルチプレックス化をするための追加の電子機器を含んでよい。これらのコンポーネントは基部に取り付けられ、拡張されたサブユニットを形成してよく、並びに、個々のサブユニットのLiDARスキャン機能を可能にすべく、光ファイバ、光源、および/または外部検出器への光インタフェースを有してよい。代替的に、これらのコンポーネントは、基部に一体的に含まれてよく、および/または、コンポーネントのハイブリッド統合を通して含まれてよい。
【0042】
多面体は、正多面体、すなわち、四面体、立方体、八面体、正十二面体または正二十面体のうちの1つであってよい。正多面体の利点は、サブユニット間のすべての二面角が等しく、センサの周りに等間隔の立体角のパーティションを供給することにある。
図3Aおよび3Bのそれぞれ組み立てられた状態および折り畳まれていない状態に示される切頂二十面体(または五方十二面体)等の不規則な立体も用いられてよい。
【0043】
面の数が増加するにつれ、球体への近似がより良く得られてよく、面間の二面角はより平坦になり、所望の複合視野における立体角のパーティションは、よりきめ細かくなり、このことは各サブユニットのみが、より小さい立体角をスキャンする必要があることを意味する。ジオデシック多面体、球体へのUV近似、ゴールドバーグ多面体、または十分なポリゴンカウントを持つ球体の任意の他のテッセレーションが用いられてよい。これらのテッセレーションは、平坦な展開図に展開されてよく、その後に当該展開図が最終的な所望の3D形状に折り畳まれてよい。
【0044】
テッセレーションはまた、非球形の形状または球形の一部のみに対応してもよい。例えば、テッセレーションは、楕円、円柱、円錐、またはこれらのセクションに対応してよい。形状の選択は、所望されるサブユニットの分布、および、システムが再現を試みる複合視野に依存することになる。
【0045】
また、デバイスは、2つの隣接するサブユニットを、互いに相対的な角度に押し込める作動メカニズムを含んでよい。これらの作動メカニズムは、機械的回転を定義してよく、サブユニット同士を機械的にのみ接続してよく、または、上記したような他の機械的要素により補足されてよい。一実装において、エンジニアード応力レベル(engineered stress level)を持つ層を用いて、各サブユニット接続のための目標角度において平衡状態にある、または目標角度を超える面外ばねを生成する。製造プロセス中にまたは製造プロセスの終了において、デバイスを解放すると、ばねは、潜在的に支持体との接触によりガイドされることにより、サブユニットをそれらの最終位置にもっていく。
【0046】
いくつかの実装において、作動メカニズムは、加熱時に曲げ運動量を呈する2つの材料ビームに基づいてよく、これが、ヒンジの周りの回転を誘発する。この層における2つの材料は、膨張係数の差が選択された温度範囲内で、層における正味の曲率をもたらすように選択されてよい。アクチュエータの力は、デバイスの質量および目標位置における任意の潜在的メカニカルヒンジまたは支持体の剛性を打ち消すように設計されてよい。
【0047】
デバイスの質量は、サブユニットの各々の光機能層に影響を及ぼすことなく、バルク基板の部分をエッチング除去することにより低減されてよい。特に、異なるサブユニットを画する境界の箇所を除き、バルク基板を完全に除去することが可能であってよい。
【0048】
いくつかの実装において、作動メカニズムは、相の変化または材料の状態に依存する。この相変化は、例えば、温度の変化によって、または照明下で誘発されてよく、材料の形状または体積の変化が、機械的作動効果をもたらしてよい。これらのアクチュエータは、パラフィンベースのアクチュエータ、形状記憶合金、光誘起相転移ポリマー(例えば、2002年2月28日の池原らによるセンサおよびアクチュエータA:物理、ボリューム96、イシュー2~3、239~243ページに説明されるようなポリジアセチレン。これは参照により本明細書に組み込まれる)またはヒドロゲルに基づくデバイスを含む。これらのデバイスの利点は、それらがもたらし得る強い力であり、当該強い力が質量削減および基板エッチングの必要性を低減してよい。
【0049】
強磁性材料(例えば、ニッケル、コバルト、鉄等)の基板上への堆積およびパターニング等、MEMSベース技術を含む他の作動技術が用いられてよい。これは、スパッタリング、蒸着、メッキまたはこれらの組み合わせによりなされてよい。堆積された層は、既定で永久磁石ではない。この場合、支持体において永久磁石が用いられて、構造体の自己組み立てをもたらす力を生成してよい。代替的に、所望の力を生成すべく、電磁石または永久磁石により生成される外部磁場が印加されてよい。理論に縛られることなく、様々なパラメータを計算するために用いられてよい方程式の例は、以下を含む。強磁性粒子上の力は、次のように決定されてよい。
【数1】
【0050】
ここで、
【数2】
は体積であり
【数3】
は粒子の感受性であり、
【数4】
および
【数5】
はそれぞれ磁気誘導および磁場の強度である。永久磁石の球体の場は、その体積の外部の磁気双極子の場によって定義される。
【数6】
【0051】
式中、
【数7】
は磁気双極子モーメントである。残留フィールド
【数8】
を持つ球形永久磁石について、双極子モーメントは
【数9】
【0052】
図4は、折り畳まれていない状態における十二面体形状センサ組立体(400)の例を示し、当該アセンブリは、強磁性材料(404)でコーティングされた円形部分を含むサブユニット(402)、当該サブユニットの表面上の可撓性ホイル材料(406)および隣接するサブユニット間に形成されたヒンジ領域(408)を含む。ネオジムボール磁石(410)が、複数のサブユニットのうちの1つに位置する。
図5Aおよび5Bは、3mmの直径を持つ磁気永久磁石(例えば、ボール磁石(410)等)の双極子モーメントを有する組立体についての例示的な磁場および対応する力をそれぞれ示し、当該力は、感受性
【数10】
を持つ0.5μmの強磁性材料(例えば、材料(404)等)でコーティングされた1.8mm直径の円形サブユニットにかかる。
図5Aの磁場パターンは、ログスケール上に強度が示され、力線が重ねられた、水平方向に向けられた双極子から得られたものである。
図5Bの力パターンは、ログスケール上に強度が示され、力線が重ねられた、0.5μmの厚みおよび0.92mmの半径の薄層上に球形永久磁石が及ぼす合力から得られたものである。
【0053】
代替的に、外部磁場が印加されて、振幅および方向において変調されて、組立体の動作を制御してよい。強磁性材料は外部場において増大されて、その体積における永久磁化を誘発し、組立体を支持してよい。強磁性材料の代替として、マイクロコイルがローレンツ力およびトルクに遭遇するように、マイクロコイルが基板上に画されてよい。故に、外部磁場を用いて、サブユニット上に所望の力を生成して自己組み立てを誘発してよい。各マイクロコイルは、独立して、または、それらのすべてが同時に作動されてよい。力は、永久磁石または電磁石のいずれかからの外部場、同一の基板上の別のマイクロコイルにより生じる場との相互作用から、または、基板にまたは支持体に埋め込まれてよい強磁性材料との相互作用からもたらされてよい。
【0054】
同一の効果のために、静電作動、圧電層等の他のオプション等が利用されてよい。
図6は、自己組み立てのための力をもたらすために用いられてよい様々な効果、および、最大変位に対する最大力(各軸についてログスケールでグラフ化)の対応する領域の例を示し、これは、D.J.BellらによるJ.Michromech.Microeng 15 S153 2005に表された同様のグラフに基づき、当該文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
構造体は、サブユニットが、作動プロセス中に所定位置にロックされるように、サブユニット間の接触ポイントを含むように設計されてよい。その場合、支持体の必要性はなくてよい。このロッキングは、メカニカル構造によってのみ達成されてよく、または、接着、はんだ付け、または溶接ステップの使用を伴ってよい。
【0056】
これらのサブユニットの各々は、そのサブユニットに対応する視野からの光を集める受光モジュールに結合されてよい。受光モジュールは、視野内の受光の角度方向を差別化するよう構成されたコンポーネントを含んでよい。これは、望遠鏡レンズの焦点面におけるイメージングセンサにより達成されてよい。これは、例えば、位相配列を通して、レンズおよびMEMSスキャナに結合された単一の導波路から来る単一のビームを通して、または、2019年4月26日に出願された米国仮特許出願第62/839,114号に説明されるような局部発信機と組み合わされた独立のヘテロダインを持つアパーチャのアレイを通して達成されてもよく、当該文献は、参照により本明細書に組み込まれる。LiDARシステムはまた、1または複数の放出モジュールも含んでよい。これらの1または複数の放出モジュールは、サブユニットに結合(例えば、受光モジュールとの共有構構造体において)されてよく、または、サブユニットから独立していてよい。
【0057】
サブユニットが、焦点面アレイとして設計されたセンサに基づく場合、レンズが用いられてよい。このようなレンズは、
図7に図示されるような小型レンズアレイ(700)のように外表面から、および/または内表面から突出(または含有物として)する個々の小型レンズを持つシェルセクションとして生成されてよい。形状(球状または球状ではない)およびその構造体の小型レンズの分布は、内部センサの設計を反映する。自己組み立てされた焦点面センサが機械的に組み立てられ、焦点構造と整列されてよい。レンズはまた、米国特許出願公開US2017/0350965A1に説明されるようなアパーチャプレーンアレイ設計の視野を調整するために用いられてもよく、当該文献は、参照により本明細書に組み込まれる。このような形状は、高精度3Dプリンティング、成形、機械加工を用いて、または任意の他の好適な技術を通して生成されてよい。
【0058】
放出モジュールは、複合視野を部分的または完全に照らしてよい。特に、単一の放出モジュールが可能である。各放出モジュールは、光を特定の立体角に向けるディフューザまたは集束レンズを含んでよく、それははまた、システムが光を指定方向に向けることを可能にするビームステアリング要素も含んでよい。このビームステアリング要素は、例えば、機械的作動または位相配列に基づいてよい。
【0059】
放出モジュールは、電子回路を通して、異なるサブユニットにおける複数の受光モジュールと調和されてよい。放出モジュールは、受光モジュールと、物理的空間および集束光学系を共有してよく、または、それらは別個であってよい。放出モジュールからの照射および受光モジュールからの角度分解情報との間の重なりが、3次元においてセンサの環境をスキャンする能力をもたらす。
【0060】
本明細書に記載された技術の一部により対処される技術的課題は、大きなFOVを持つLiDARシステムの生成を含み、大きなFOVは、球面カバレッジを達成するまで拡張されてよい。多くの以前のLiDARシステムは、完全球面カバレッジよりもはるかに劣るカバレッジを有する。大きな角度カバレッジを持つLiDARシステムはまた比較的コスト高であり、多くの適用においてかさばり得る可能性がある。
【0061】
説明した技術的アプローチは、広範な複合視野を持つLiDARシステムの低コストの製造を可能にすることで、潜在的課題に対処する。これは部分的には、各視野角のための、組み合わされた複数のLiDARセンササブシステムのモノリシック製造と連結された、本明細書に開示した自己組み立ての特徴により可能となる。
【0062】
いくつかのシステムは、センサ構成の回転を通して視野を拡張する。代替的に、単一の本体上の複数の独立したセンサかで構成される個々の組立体が用いられてよい。これらのシステムは、組み立て労力、追加のコンポーネントをはるかに多く必要とする可能性があり、および/または、よりかさばり、よりコスト高なデバイスをもたらす可能性がある。
【0063】
本明細書に説明した技術の1つの潜在的利点は、組み立てプロセスの簡易さにあり、このことが、より多数の個々のセンサが用いられ、よりきめ細かい細分化された視野を持つことを可能にする。十分に高密度な空間サンプリングは、個々のFOV間にブラインド領域が存在しない限り、メカニカルスキャンの必要性を低減する、またはなくしてよい。逆に、個々のセンサごとの特定の限定された視野に対し、より大きいカバレッジが達成されてよい。
【0064】
多面体ネットワークは、ウェハ等の基板上にデバイスを製造するとき、100%の充填比を有していなくてよい。これは、センサの製造コストにおけるわずかな増加をもたらしてよい。
【0065】
通常、デバイスの残部が製造されるたびに、サブユニット間の接続を形成するためのおよび単体化のための追加のプロセスステップが必要とされてよい。これは、製造コストの上昇に至らせる可能性がある。しかしながら、これはバッチで行われてよいので、トータルのデバイスコストに対する影響は微々たるものであり、組み立て時間、材料およびプロセスの複雑さの低減により大きく相殺されてよい。
【0066】
本開示は、特定の実施形態に関し説明されているが、本開示は開示された実施形態に限定されることはなく、それとは逆に、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な修正および均等構成をカバーする意図であることを理解されたい。特許請求の範囲は、最も広い解釈に従い、法の下で許容されるこのような修正および均等構造をすべて包含する。
【外国語明細書】