(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041830
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】mTOR阻害剤の無水組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/436 20060101AFI20240319BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240319BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240319BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240319BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240319BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240319BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240319BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/203 20060101ALI20240319BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240319BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K31/436
A61K9/06
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/22
A61K31/07
A61K31/203
A61K47/12
A61P9/00
【審査請求】有
【請求項の数】44
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000015
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2022062708の分割
【原出願日】2018-01-05
(31)【優先権主張番号】62/443,117
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】519247626
【氏名又は名称】パルヴェラ セラピューティクス、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】カウピネン、ウェスレー
(72)【発明者】
【氏名】シュルート、ブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ベトソン、サイモン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】グリーナウェイ エヴァンズ、チャールズ ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、マルク バリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】mTOR阻害剤の局所送達のための無水組成物および方法を提供する。
【解決手段】一実施形態において、無水組成物は、1またはそれ以上のmTOR阻害剤、1またはそれ以上の溶媒、1またはそれ以上のゲル化剤、および1またはそれ以上の抗酸化剤を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象においてその静脈奇形を治療するための局所用無水ゲル組成物であって、前記局所用無水ゲル組成物は、
前記組成物の総重量に基づく、2.5重量%~約4.5重量%のラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩と、
前記組成物の総重量に基づく、約80重量%~約97重量%の溶媒であって、前記溶媒は、前記組成物の総重量に基づく、約1重量%~約30重量%のアジピン酸ジイソプロピル、前記組成物の総重量に基づく、約1重量%~約30重量%のグリセロール、前記組成物の総重量に基づく、約40重量%~約60重量%のポリエチレングリコール、および組成物の総重量に基づく、約1重量%~約30重量%のイソプロピルアルコールである、前記溶媒と、
前記組成物の総重量に基づく、約0.1重量%~約5重量%のゲル化剤と、
前記組成物の総重量に基づく、約0.001重量%~約1重量%の抗酸化剤と、
選択的に追加の薬学的に許容される賦形剤と、
を含み、
前記組成物の総重量は100重量%であって、
前記無水ゲル組成物は約4~約8のpHを有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項2】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー981、カルボマー934P、グリセリルトリス12-ヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリン、プロピレンカーボネート、ポリビニルピロリジン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項3】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記抗酸化剤は、アスコルビルパルミテート、プロピルガレート、α-トコフェロール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項4】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、高分子界面活性剤、保湿剤、冷却剤、レオロジー調整剤、防腐剤、およびそれらの組み合わせをさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項5】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、シス-レチノイン酸、トランス-レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるスキンケア剤をさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項6】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3重量%~約4.5重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約40重量%~約60重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.1重量%~約1重量%のゲル化剤と、
前記組成物の約0.001重量%~約0.1重量%の抗酸化剤と、
を含み、
前記追加の薬学的に許容される賦形剤は緩衝剤である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項7】
請求項6記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記抗酸化剤がプロピルガレート、アスコルビルパルミテート、およびα-トコフェロールから選択され、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項8】
請求項7記載の局所用無水ゲル組成物において、前記無水ゲル組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.75重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、
前記組成物の約0.05重量%のプロピルガレートと、
前記組成物の約0.02重量%のアスコルビルパルミテートと、
前記組成物の約0.002重量%のα-トコフェロールと、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項9】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約4.5~約6のpHを有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項10】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約5000cP~約20,000cPの粘度を有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項11】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩は、前記組成物中で、約4℃~約40℃の温度で、12ヶ月~36ヶ月間安定である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項12】
請求項1記載の局所用無水ゲル組成物において、それを必要とする対象において、スタージ・ウェーバー症候群、ポートワイン母斑、プロテウス症候群、青色ゴムまり様母斑症候群、マフッチ症候群、表皮母斑およびそれらの組み合わせを治療するための、局所用無水ゲル組成物。
【請求項13】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー981、カルボマー934P、グリセリルトリス12-ヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリン、プロピレンカーボネート、ポリビニルピロリジン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項14】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記抗酸化剤は、アスコルビルパルミテート、プロピルガレート、α-トコフェロール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項15】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、高分子界面活性剤、保湿剤、冷却剤、レオロジー調整剤、防腐剤、およびそれらの組み合わせをさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項16】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、シス-レチノイン酸、トランス-レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるスキンケア剤をさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項17】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3重量%~約4.5重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約40重量%~約60重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.1重量%~約1重量%のゲル化剤と、
前記組成物の約0.001重量%~約0.1重量%の抗酸化剤と、
を含み、
前記追加の薬学的に許容される賦形剤は緩衝剤である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項18】
請求項17記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記抗酸化剤がプロピルガレート、アスコルビルパルミテート、およびα-トコフェロールから選択され、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項19】
請求項18記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.75重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、
前記組成物の約0.05重量%のプロピルガレートと、
前記組成物の約0.02重量%のアスコルビルパルミテートと、
前記組成物の約0.002重量%のα-トコフェロールと、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項20】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約4.5~約6のpHを有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項21】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約5000cP~約20,000cPの粘度を有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項22】
請求項12記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩は、前記組成物中で、約4℃~約40℃の温度で、12ヶ月~36ヶ月間安定である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項23】
それを必要とする対象において、その基底細胞癌を治療するための局所用無水ゲル組成物であって、前記局所用無水ゲル組成物は、
前記組成物の総重量に基づく、2.5重量%~約4.5重量%のラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩と、
前記組成物の総重量に基づく、約80重量%~約97重量%の溶媒であって、前記溶媒は、前記組成物の総重量に基づく、約1重量%~約30重量%のアジピン酸ジイソプロピル、前記組成物の総重量に基づく、約1重量%~約30重量%のグリセロール、前記組成物の総重量に基づく、約40重量%~約60重量%のポリエチレングリコール、および組成物の総重量に基づく、約1重量%~約30重量%のイソプロピルアルコールである、前記溶媒と、
前記組成物の総重量に基づく、約0.1重量%~約5重量%のゲル化剤と、
前記組成物の総重量に基づく、約0.001重量%~約1重量%の抗酸化剤と、
選択的に追加の薬学的に許容される賦形剤と、
を含み、
前記組成物の総重量は100重量%であって、
前記無水ゲル組成物は約4~約8のpHを有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項24】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー981、カルボマー934P、グリセリルトリス12-ヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリン、プロピレンカーボネート、ポリビニルピロリジン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項25】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記抗酸化剤は、アスコルビルパルミテート、プロピルガレート、α-トコフェロール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項26】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、高分子界面活性剤、保湿剤、冷却剤、レオロジー調整剤、防腐剤、およびそれらの組み合わせをさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項27】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、シス-レチノイン酸、トランス-レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるスキンケア剤をさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項28】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3重量%~約4.5重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約40重量%~約60重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.1重量%~約1重量%のゲル化剤と、
前記組成物の約0.001重量%~約0.1重量%の抗酸化剤と、
を含み、
前記追加の薬学的に許容される賦形剤は緩衝剤である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項29】
請求項28記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記抗酸化剤がプロピルガレート、アスコルビルパルミテート、およびα-トコフェロールから選択され、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項30】
請求項29記載の局所用無水ゲル組成物において、前記無水ゲル組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.75重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、
前記組成物の約0.05重量%のプロピルガレートと、
前記組成物の約0.02重量%のアスコルビルパルミテートと、
前記組成物の約0.002重量%のα-トコフェロールと、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項31】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約4.5~約6のpHを有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項32】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約5000cP~約20,000cPの粘度を有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項33】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩は、前記組成物中で、約4℃~約40℃の温度で、12ヶ月~36ヶ月間安定である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項34】
請求項23記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、それを必要とする対象において、基底細胞母斑症候群を治療するための、局所用無水ゲル組成物。
【請求項35】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー981、カルボマー934P、グリセリルトリス12-ヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリン、プロピレンカーボネート、ポリビニルピロリジン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項36】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記抗酸化剤は、アスコルビルパルミテート、プロピルガレート、α-トコフェロール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、局所用無水ゲル組成物。
【請求項37】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、高分子界面活性剤、保湿剤、冷却剤、レオロジー調整剤、防腐剤、およびそれらの組み合わせをさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項38】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、シス-レチノイン酸、トランス-レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるスキンケア剤をさらに含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項39】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3重量%~約4.5重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約40重量%~約60重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.1重量%~約1重量%のゲル化剤と、
前記組成物の約0.001重量%~約0.1重量%の抗酸化剤と、
を含み、
前記追加の薬学的に許容される賦形剤は緩衝剤である、局所用無水ゲル組成物。
【請求項40】
請求項39記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記抗酸化剤がプロピルガレート、アスコルビルパルミテート、およびα-トコフェロールから選択され、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項41】
請求項40記載の局所用無水ゲル組成物において、前記無水ゲル組成物は、
前記組成物の約3.9重量%のラパマイシンと、
前記組成物の約15重量%のイソプロピルアルコールと、
前記組成物の約55.3重量%のポリエチレングリコールと、
前記組成物の約15重量%のアジピン酸ジイソプロピルと、
前記組成物の約10重量%のグリセロールと、
前記組成物の約0.75重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、
前記組成物の約0.05重量%のプロピルガレートと、
前記組成物の約0.02重量%のアスコルビルパルミテートと、
前記組成物の約0.002重量%のα-トコフェロールと、
緩衝剤と、
を含む、局所用無水ゲル組成物。
【請求項42】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約4.5~約6のpHを有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項43】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記組成物は約5000cP~約20,000cPの粘度を有する、局所用無水ゲル組成物。
【請求項44】
請求項34記載の局所用無水ゲル組成物において、前記ラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩は、前記組成物中で、約4℃~約40℃の温度で、12ヶ月~36ヶ月間安定である、局所用無水ゲル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「mTOR阻害剤の無水組成物およびその使用方法」と題する2017年1月6日に出願された米国仮特許出願第62/443,117号の優先権を主張し、これはこの参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
mTOR阻害剤の局所送達のための組成物および方法が本明細書に開示される。一実施形態において、無水組成物は、有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、1つ以上の溶媒と、1つ以上のゲル化剤と、1つ以上の抗酸化剤とを含む。いくつかの実施形態では、前記mTOR阻害剤は全組成物の約0.1重量%~約20重量%で存在する。いくつかの実施形態において、前記溶媒は全組成物の約1重量%~約99.9重量%で存在する。いくつかの実施形態において、前記ゲル化剤は全組成物の約0.1重量%~約5重量%で存在する。いくつかの実施形態では、前記抗酸化剤は全組成物の約0.001重量%~約1重量%で存在する。
【0003】
さらなる実施形態では、それを必要とする対象において皮膚疾患を治療する方法は、有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、1つ以上の溶媒と、1つ以上のゲル化剤と、1つ以上の抗酸化剤とを含む有効量の無水組成物を局所投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記mTOR阻害剤は全組成物の約0.1重量%~約20重量%で存在する。いくつかの実施形態において、前記溶媒は全組成物の約1重量%~約99.9重量%で存在する。いくつかの実施形態において、前記ゲル化剤は全組成物の約0.1重量%~約5重量%で存在する。いくつかの実施形態では、前記抗酸化剤は全組成物の約0.001重量%~約1重量%で存在する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、ラパマイシン組成物(O3、NA21、NA22、NA23、NA17、NA19、NA25、AG14、NA26、NA24、TD201)の適用後の組織(表皮と真皮との混合)におけるラパマイシン総平均沈着量(ng)を示す。各エラーバーは、1標準偏差を用いて平均から決定した(n=5)。
【
図2】
図2は、ラパマイシン組成物(O3、NA21、NA22、NA23、NA17、NA19、NA25、AG14、NA26、NA24、TD201)の適用後に表皮および真皮から別々に回収されたラパマイシンの総平均量(ng)を示す。各エラーバーは、1標準偏差を用いて平均から決定した(n=5)。
【
図3】
図3は、ラパマイシン組成物(NA22、NA28、NA33、NA34、O11、TD201)の適用後の組織(表皮と真皮との混合)におけるラパマイシンの総平均沈着量(ng)を示す。各エラーバーは、1標準偏差を用いて平均から決定した(n=5)。
【
図4】
図4は、ラパマイシン組成物(NA22、NA28、NA33、NA34、O11、TD201)の適用後に表皮および真皮から別々に回収されたラパマイシンの総平均量(ng)を示す。各エラーバーは、1標準偏差を用いて平均から決定した(n=5)。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のそれぞれの位置する値と、その記載された範囲内の他の記載または位置する値とが本開示内に包含されることが意図される。例えば、1μm~8μmの範囲が記載されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μmも明示的に開示されることが意図され、1μm以上の値の範囲、および8μm以下の値の範囲も同様に明示的に開示される。
【0006】
本出願および特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り複数形を含む。さらに、「含む」という用語は「有する」を意味する。
【0007】
本明細書で使用されるとおり、すべての特許請求された数値用語は、「約」という用語が先行するものとして読まれるべきであり、それが使用されている数の数値のプラスマイナス10%を意味する。したがって、「50%」に対する特許請求は、「約50%」を意味し、45%~55%の範囲を包含する。
【0008】
「患者」および「対象」という用語は互換的であり、本発明の化合物で治療することができるあらゆる生物を意味すると解釈することができる。そのように、「患者」および「対象」という用語は、これらに限定されるものではないが、任意の非ヒト哺乳動物、霊長類、またはヒトを含み得る。いくつかの実施形態では、前記「患者」または「対象」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒトなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、前記患者または対象は成人、子供、または乳児である。いくつかの実施形態では、前記患者または対象はヒトである。
【0009】
mTOR阻害剤と組み合わせて使用される場合の「投与する」とは、mTOR阻害剤が患者に投与されることを意味し、これによってmTOR阻害剤はそれが標的とする組織に積極的に影響を与える。本明細書に記載のmTOR阻害剤は、単独でまたは他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて(同時にまたは連続的に)投与することができる。例えば、mTOR阻害剤は、他の抗癌剤もしくは抗新生物剤と組み合わせて、または皮膚疾患を治療するための他の療法と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のmTOR阻害剤はまた、他の治療薬と組み合わせて(すなわち、混合組成物として、または別々の組成物として)投与され得る。
【0010】
組成物の「有効量」は、所望の効果を達成するために、すなわち患者の望ましくない状態、疾患または症状を緩和、予防、または改善するために計算された所定量である。本方法によって企図される活性は、必要に応じて、治療的処置および/または予防的処置の両方を含み得る。治療的および/または予防的効果を得るために本発明に従って投与される薬剤の具体的な用量は、もちろん、例えば、投与される化合物、投与経路、および治療される疾患を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定される。投与される有効量は、治療される症状、投与される化合物の選択、および選択された投与経路を含む関連する状況を考慮して医師によって決定され得る。
【0011】
本明細書で使用される用語「担体」は、担体、賦形剤、および希釈剤を含み、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または医薬品、化粧品、または角質層または有棘層などの組織層を横切る他の薬剤の運搬または輸送に関与する封入材料などの材料、組成物、またはビヒクルを意味する。
【0012】
「含む」または「によって特徴付けられる」と同義である移行句「有する」は、包括的またはオープンエンドであり、列挙されていない追加の要素または方法の工程を排除するものではない。対照的に、「からなる」という移行句は、請求項に特定されていない任意の要素、工程、または成分を除外する。「から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲を特定の材料または工程、および請求項に係る発明の基本的および新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。用語「有する」が移行句として使用される実施形態または請求項において、そのような実施形態はまた、「有する」という用語を「からなる」または「から本質的になる」という用語で置き換えることも想定され得る。
【0013】
「治療する」という用語は、本明細書では、例えば、皮膚疾患または全身状態を治療する方法に関して使用され、一般に、化合物または組成物を投与されていない対象と比較して、医学的状態の頻度を低下させ、または医学的状態の症状の発症を遅らせ、または対象の組織表面の意図された組織治療領域の質感、外観、色、感覚、または水和を増強する化合物または組成物の投与を含む。これには、対象の症状を改善または安定させるために、状態の症状、臨床徴候、および根本的な病理を逆転、軽減、または阻止することが含まれる。
【0014】
「障害」という用語は、本開示では、特段の指定がない限り、疾患、状態、または病気という用語を意味するために使用され、それらと互換的に使用される。
【0015】
本明細書に開示される重量百分率は、必要に応じて、重量対重量または重量対体積の百分率であり得る。
【0016】
mTOR阻害剤の無水組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、1つ以上のmTOR阻害剤と、1つ以上の溶媒と、1つ以上のゲル化剤と、1つ以上の抗酸化剤とを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記mTOR阻害剤の無水組成物は、表皮において約120~990マイクロモル、および真皮において約36~350マイクロモルのCmaxを有する。いくつかの実施形態において、前記mTOR阻害剤の無水組成物は、表皮において約15~24時間のTmaxを有する。いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、認定された局所バイオアベイラビリティ研究によって測定される場合に、本明細書に記載のmTOR阻害剤を含む無水組成物と生物学的に同等または実質的に生物学的に同等であると考えられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記無水組成物は少なくとも1つのmTOR阻害剤を含む。mTOR阻害剤の限定されない例としては、ラパマイシン(シロリムス)、エベロリムス、ピメクロリムス、リダホロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、ラパマイシンプロドラッグAP-23573、AP-23481、トリン-1、トリン-2、WYE-354、ダクトリシブ、ボクスタリシブ、オミパリシブ、アピトリシブ、ビスツセルチブ、ジェダトリシブ、WYE-125132、BGT226、パロミド529、GDC-0349、XL388、CZ415、CC-223、ABT-578、SF1126、PKI-587、INK128、AZD8055、NVPBE235、AZD2014、バイオリムスA9(ウミロリムス)、GSK2126458、OSI027、PP121、WYE-687、WAY-600、XL765、PI-103、BEZ235、KU-0063794、トルキニブ(PP242)、PF-04691502、およびこれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、または非晶質固体、および組み合わせが挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤はまた、TOR複合体1の特異的阻害剤、TOR複合体2の特異的阻害剤などを含む。一実施形態では、TOR複合体2を阻害するために使用することができる薬剤としては、これらに限定されるものではないが、小分子、核酸、タンパク質、および抗体が挙げられる。小分子としては、これらに限定されるものではないが、ピリジノンキノリン、ピラゾロピリミジン、およびピリドピリミジンが挙げられる。さらなる態様において、TOR複合体1および2を阻害する小分子には、トリン1、トリン2、トルキニブ(PP242)、PP30、KU-0063794、WAY-600、WYE-687、WYE-354、AZD8055、INK128、OS1027、AZD2014、オミパリシブ、ウォルトマンニン、LY294002、PI-103、BGT226、XL765、およびNVP-BEZ235が含まれる。さらなる態様において、前記阻害剤は、これらに限定されるものではないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、およびこれらの組み合わせを含む。さらなる態様において、TOR複合体2を阻害する薬剤はTOR複合体1を阻害しない。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、タクロリムス、メトホルミンなどのmTOR経路を調節する他の化合物をさらに含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記mTOR阻害剤は、全組成物の約0.1重量%~約20重量%、全組成物の約0.1重量%~約15重量%、全組成物の約0.1重量%~約10重量%、全組成物の約0.1重量%~約4.5重量%、全組成物の約0.1重量%~約2重量%、または全組成物の約0.1重量%~約1重量%、及びこれらの値のいずれか2つの間の任意の個々の量または任意の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される重量パーセントは、重量対重量または重量対体積のパーセンテージであり得る。限定されない例としては、約0.1重量%、約0.5重量%、約0.8重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記mTOR阻害剤はラパマイシンであり、全組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記mTOR経路を調節する化合物は、全組成物の約0.1重量%~約20重量%、全組成物の約0.1重量%~約15重量%、全組成物の約0.1重量%~約10重量%、全組成物の約0.1重量%~約4.5重量%、全組成物の約0.1重量%~約2重量%、または全組成物の約0.1重量%~約1重量%、及びこれらの値のいずれか2つの間の任意の個々の量または任意の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される重量パーセントは、重量対重量または重量対体積のパーセンテージであり得る。限定されない例としては、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、mTOR阻害剤の可溶化を促進する1つ以上の溶媒を含み得る。いくつかの実施形態では、前記溶媒はアルコール、ポリオール、アミド、エステル、プロピレングリコールエーテル、およびこれらの混合物を含む。アルコールまたはポリオールの限定されない例には、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、PEG400、PEG3350、SR-PEG400、SR-DMI、オレイルアルコール、ヒマシ油、ミグリオール810、流動パラフィン、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、グリセロールトリアセテート、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスカトール(登録商標)P(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、トランスカトールHP、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体、ならびにこれらの混合物が含まれる。アミドの例としては、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、ポリビニルピロリドン、およびこれらの混合物が含まれる。エステルの例としては、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトンおよびその異性体、δ-バレロラクトンおよびその異性体、β-ブチロラクトンおよびその異性体、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記溶媒は、ベンジルアルコール、DMSO、ジグリコール、プロピレングリコールモノカプリレート(カプリロール90)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスカトール(登録商標))、テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル(グリコフロール)、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびこれらの組み合わせを含む。より好ましくは、いくつかの実施形態において、溶媒は、プロピレングリコールモノカプリレート、ベンジルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル、およびこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記無水組成物はエタノールを含まない。いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、4重量%未満、または2重量%未満のベンジルアルコールを含有する。いくつかの実施形態では、前記無水組成物はベンジルアルコールを含まない。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記溶媒は、全組成物の約1重量%~約99.9重量%、全組成物の約1重量%~約90重量%、全組成物の約1重量%~約80重量%、全組成物の約1重量%~約70重量%、全組成物の約1重量%~約60重量%、全組成物の約1重量%~約50重量%、全組成物の約1重量%~約40重量%、全組成物の約1重量%~約30重量%、全組成物の約80重量%~約99.9重量%、全組成物の約85重量%~約99.9重量%組成物、全組成物の約90重量%~約99.9重量%、または全組成物の約95重量%~約99.9重量%で存在する。限定されない例としては、約1重量%、約25重量%、約40重量%、約50重量%、約60重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約92重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約99重量%、または約99.9重量%が含まれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、ポロキサマーおよびカルボマーなどの1またはそれ以上のゲル化剤を含む。ポロキサマーの限定されない例は、ポロキサマーP-188、ポロキサマーP-138、ポロキサマーP-237、ポロキサマーP-288、ポロキサマーP-124、ポロキサマーP-338、およびポロキサマーP-407である。ポリ(エチレングリコール/DLラクチドコグリセリド)、ポリ( -カプロラクタム)、およびヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標))、グリセリルトリス12-ヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリン、プロピレンカーボネート、ポリビニルピロリジンなどの他のブロックコポリマーもまたゲル化剤として使用可能である。用いることのできるカルボマーの限定されない例は、カルボマー981、カルボマー934、カルボマー934P、カルボマー940、カルボマー941、カルボマー1342、ポリカルボフィル、およびカルシウムポリカルボフィルである。好ましい実施形態では、前記ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー981、カルボマー934P、グリセリルトリス12-ヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリン、プロピレンカーボネート、ポリビニルピロリジン、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、前記ゲル化剤は、全組成物の約0.1重量%~約5重量%、全組成物の約0.1重量%~約4重量%、全組成物の約0.1重量%~約3重量%、全組成物の約0.1重量%~約2重量%、または全組成物の約0.1重量%~約1重量%で存在する。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、アスコルビン酸、ビタミンEおよびその誘導体、α-トコフェロール、ψ-トコフェロール、δ-トコフェロール、アスコルビルパルミテート、プロピルガレート(PG)、オクチルガレート、ドデシルガレート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ならびにD-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネートなどの1またはそれ以上の抗酸化剤を含む。いくつかの実施形態において、前記抗酸化剤は、全組成物の約0.001重量%~約1重量%、全組成物の約0.001重量%~約0.5重量%、全組成物の約0.001重量%~約0.1重量%、全組成物の約0.001重量%~約0.05重量%、または全組成物の約0.001重量%~約0.01重量%で存在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、全組成物の約0.1重量%~約20重量%で存在する有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、全組成物の約1重量%~約99重量%で存在する1つ以上の溶媒と、全組成物の約0.1重量%~約5重量%で存在する1つ以上のゲル化剤と、全組成物の約0.001重量%~約1重量%で存在する1つ以上の抗酸化剤とを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、全組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、全組成物の約1重量%~約70重量%で存在する1つ以上の溶媒と、全組成物の約0.1重量%~約4重量%で存在する1つ以上のゲル化剤と、全組成物の約0.01重量%~約1重量%で存在する1つ以上の抗酸化剤とを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、全組成物の約1重量%~約10重量%で存在する有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、全組成物の約10重量%~約70重量%で存在する1つ以上の溶媒と、全組成物の約1重量%~約5重量%で存在する1つ以上のゲル化剤と、全組成物の約0.01重量%~約0.5重量%で存在する1つ以上の抗酸化剤とを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、全組成物の約1重量%~約5重量%で存在する有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、全組成物の約10重量%~約50重量%で存在する1つ以上の溶媒と、全組成物の約1重量%~約4重量%で存在する1つ以上のゲル化剤と、全組成物の約0.001重量%~約0.01重量%で存在する1つ以上の抗酸化剤とを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、1つ以上の有効量のmTOR阻害剤と、1つ以上の溶媒と、1つ以上の抗酸化剤とを含み、ゲル化剤を含まない。
【0033】
いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤の無水組成物は、高分子界面活性剤、保湿剤、冷却剤、レオロジー調整剤、pH調整剤、防腐剤、およびこれらの組み合わせをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤の無水組成物は1つまたは複数の高分子界面活性剤を含む。界面活性剤特性を有するポリマー(ポリマー界面活性剤)は、これらに限定されるものではないが、疎水的に変性されたポリアクリル酸(商品名ペムレン(商標)TR-1およびTR-2)、アクリルアミドアルキルスルホン酸および環状N-ビニルカルボキサミドをベースとするコポリマー(商品名アリストフレックス(登録商標)AVC)、アクリルアミドアルキルスルホン酸および疎水的に変性されたメタクリル酸をベースとするコポリマー(商品名アリストフレックス(登録商標)HMB)、およびアクリルアミドアルキルスルホン酸のホモポリマー(商品名Granthix APP)であり得る。注目すべき別の種類の高分子乳化剤としては、ランダムポリマーを含む疎水的に変性された架橋アニオン性アクリルコポリマーが挙げられるが、ブロック、スター、グラフトなどのような他の形態でも存在し得る。一実施形態では、前記疎水的に変性された架橋アニオン性アクリルコポリマーは、少なくとも1つの酸性モノマーと少なくとも1つの疎水性エチレン性不飽和モノマーとから合成され得る。適切な酸性モノマーの例には、塩基によって中和されていてもよいエチレン性不飽和酸モノマーが含まれる。適切な疎水性エチレン性不飽和モノマーの例には、少なくとも約3個の炭素原子の炭素鎖長を有する疎水性鎖を含有するものが含まれる。適切な高分子界面活性剤であり得る他の材料は、商品名PLURONIC(登録商標)で販売されているエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、商品名KLUCEL(登録商標)(ヒドロキシプロピルセルロース)で記載されるものなどの変性セルロースポリマー、モノマーアニオン界面活性剤、モノマー両性界面活性剤、ベタイン、およびこれらの組み合わせを含み得る。他の適切な高分子界面活性剤には、アクリルアミドアルキルスルホン酸および環状N-ビニルカルボキサミドおよび/または線状N-ビニルカルボキサミドをベースとするコポリマー(例えば、アリストフレックス(登録商標)AVCおよびアリストフレックス(登録商標)HMB)およびベタインが含まれる。好ましい態様において、前記ポリマー界面活性剤は、ポロキサマーP-188、ポロキサマーP-138、ポロキサマーP-237、ポロキサマーP-288、ポロキサマーP-124、ポロキサマーP-338、ポロキサマーP-407、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、Brij020、およびこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリマー界面活性剤は、全組成物の約0.1重量%~約50重量%、全組成物の約0.1重量%~約40重量%、全組成物の約0.1重量%~約30重量%、全組成物の約0.1重量%~約20重量%、または全組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する。
【0035】
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤の無水組成物は、1つまたは複数の保湿剤または皮膚軟化剤成分、例えば鉱油、ジメチコーン、シクロメチコン、コレステロール、またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、多価アルコール、ポリオール、糖類、トリグリセリド、炭化水素、シリコーン、脂肪酸、脂肪、エステル、脂肪アルコール、およびこれらの混合物などの液体軟化剤を含む。いくつかの実施形態において、前記保湿剤は、全組成物の約0.5重量%~約10重量%、全組成物の約0.5重量%~約8重量%、全組成物の約0.5重量%~約6重量%、全組成物の約0.5重量%~約4重量%、または全組成物の約0.5重量%~約1重量%で存在する。
【0036】
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤の無水組成物は、L-メントール、p-メンタン-3,8-ジオール、イソプレゴール、メントキシプロパン-1,2,-ジオール、乳酸メンチル(Frescolat(登録商標)MLなど)、ジンゲロール、イシリン、ティーツリー油、サリチル酸メチル、ショウノウ、ペパーミント油、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントングリセロールケタール、メントングリセリンアセタール、クーラクト10;WS3、WS5、WS23、グルタル酸メンチル、およびこれらの混合物などの1つまたは複数の冷却剤を含む。いくつかの実施形態では、前記冷却剤は、全組成物の約0.5重量%~約10重量%、全組成物の約0.5重量%~約8重量%、全組成物の約0.5重量%~約6重量%、全組成物の約0.5重量%~約4重量%、または全組成物の約0.5重量%~約2重量%で存在する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される無水組成物は水を含まない。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される無水組成物は実質的に水を含まない。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される無水組成物は、全組成物中に1%未満の水を含有する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される無水組成物は、全組成物中に0.5%未満の水を含有する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される無水組成物は、全組成物中に0.1%未満の水を含有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤の無水組成物は、レオロジー調整剤、pH調整剤、防腐剤、およびこれらの組み合わせをさらに含む。
【0039】
本発明の組成物はまた、増粘特性を有するポリマー(レオロジー改質剤)をさらに含み得る。一実施形態では、前記増粘特性を有するポリマーは、疎水的に変性された架橋アクリレートコポリマー(Carbopol(登録商標)Ultrez20)であり得る。同様の特性を有する他のポリマーもまた使用され得る。前記増粘特性を有するポリマーの限定されない例としては、PEG-150ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、PEG-200水素化グリセリルパルミテート、PEG-120メチルグルコースジオレエート、カルボキシメチレンポリマー、カルボキシビニルポリマー、アクリレート、C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー、ミリスチン酸イソプロピル、およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、前記増粘特性を有するポリマーは、約0.1重量%~約3重量%を占めることができる。別の実施形態では、前記増粘特性を有するポリマーは全組成物の0.4重量%~約1.0重量%の量で存在することができる。一実施形態では、前記増粘特性を有するポリマーは、全組成物の約0.5重量%~約0.75重量%を占める。いくつかの実施形態では、当該増粘ポリマーを界面活性剤ポリマーと混合することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、望ましいレオロジー特性を有する組成物の形成を促進するため、前記増粘ポリマーを中和および/または活性化するために前記組成物中に存在する非水性pH調整剤または非水性緩衝剤をさらに含むことができる。本分野で公知であり、皮膚接触用途における使用に適した任意の無水塩基または緩衝系が使用できる。一実施形態では、前記塩基は、トリエタノールアミン、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ金属水酸化物、乳酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどの弱酸の塩、またはこれらの混合物を含み得る。前記塩基成分はまた、組成物全体のpHを、pH効果による皮膚の刺激を最小限にするのに有益な範囲に調整することができるという点で有用性を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、無水酸または緩衝系の酸成分も含むことができ、本分野において公知であり、ヒトの皮膚接触に適した任意の酸を使用することができる。本組成物において有用であり、局所用組成物のpHを調整するために一般的に使用される酸の例としては、これらに限られるものではないが、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酒石酸、および塩酸、ならびにこれらおよび類似の酸の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、リン酸緩衝系が前記組成物に使用される。いくつかの実施形態では、前記組成物はさらにリン酸緩衝系およびBrij020を含む。いくつかの実施形態では、リン酸/クエン酸緩衝系が前記組成物に使用される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、リン酸/クエン酸緩衝剤およびBrij020を含む。前記組成物のpHレベルの具体例としては、約pH4、約pH4.5、約pH5、約pH5.6、約pH6、約pH7、約pH7.4、約pH8、およびこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲が挙げられる。
【0041】
本明細書に開示される組成物は、有害な微生物の増殖を防ぐために防腐剤をさらに含み得る。微生物が増殖する傾向があるのは水相にいるときであるところ、微生物は油相に存在することもできる。そのため、油溶性を有する防腐剤が本発明の組成物に好ましく使用される。一般に、1/10~1重量%の防腐剤が適切である。化粧品および医薬品用の伝統的な防腐剤は、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。ごく最近使用されるようになった他の防腐剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性界面活性剤、ベンジルアルコール、ソルビン酸、および種々の4級アンモニウム化合物が含まれる。化粧品化学者は適切な防腐剤に精通しており、防腐剤負荷試験を満足させ、製品安定性を提供するために防腐剤を日常的に選択する。本発明の好ましい無水組成物のための特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、パラヒドロキシ安息香酸メチルおよびプロピル、イミダゾリジニル尿素、およびクオタニウム-15である。前記防腐剤は、前記組成物の使用および前記防腐剤と前記組成物中の他の成分との間の起こり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物は、適用される薬剤の急速な取り込みおよび全身吸収を減少させるために、mTOR阻害剤を制御放出するための持続放出組成物である。持続(または制御)放出とは、ある期間にわたって当該組成物からmTOR阻害剤が徐々に放出されることを指す。初期バースト段階があり得るが、いくつかの実施形態では、その放出は比較的線形の動態を示し、これにより放出期間にわたってmTOR阻害剤の一定の供給を提供することが好ましい。当該放出期間は、皮膚疾患およびその意図する用途に応じて、約1時間~約8時間まで変わり得る。前記組成物は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン酸ラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、グリコール酸アミル(PHV)、PHBおよびPHVコポリマー(PHBV)、およびポリ乳酸(PLA)-ポリエチレングリコール(PEG)コポリマー(PLEG)などの徐放を促進するための様々な生分解性ポリマーをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、好ましいポリマーはプルロニック(登録商標)127である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている無水組成物の粘度は、一般的に濃厚な液体またはゲルの粘度であるが、ペースト様の稠度に達することができる。一般に、粘度は最小で約5,000、10,000、または15,000、好ましくは約20,000から、最大で約12,000,000、2,000,000、または約600,000cPにさえなる。
【0044】
mTOR阻害剤の無水組成物は、必要に応じてさらなる成分を含み得る。例えば、前記無水組成物は更なる活性成分、例えばコルチコステロイド、抗生物質、抗真菌剤、および/または抗ウイルス剤を含んでもよい。さらに、前記無水組成物は、浸透促進剤(DMSO、トランスカトール(登録商標)、メントール、オレイン酸、n-アルカノール、1-アルキル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアルカンアミド、および1,2-アルカンジオール等)のような1つ以上のさらなる賦形剤を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、これらに限定されるものではないが、レチノール、ステロイド、日焼け止め、サリチレート、ミノサイクリン、抗真菌剤、ペプチド、抗体、リドカインなど、およびこれらの組み合わせを含む他のスキンケア剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、他のスキンケア剤は、例えば、N-アシルフェニルアラニン、N-アシルチロシンなどを含むN-アシルアミノ酸化合物、それらのDおよびL異性体を含むそれらの異性体、塩、誘導体、ならびにこれらの混合物を含む。適切なN-アシルアミノ酸の例は、N-ウンデシレノイル-L-フェニルアラニンであり、商品名SEPIWHITE(登録商標)で市販されている。他の皮膚活性剤としては、これらに限定されるものではないが、Lavandox、Thallasine2、アルジレリンNP、ガチュリンインテンスおよびガチュリンエクスプレッション、ミオキシノールLS9736、Syn-ake、およびインステンシル(登録商標)、セサフラッシュ(商標)、N-アセチルD-グルコサミン、パンテノール(例えば、Alps Pharmaceutical Inc.から入手可能なDLパンテノール)、トコフェリルニコチネート、過酸化ベンゾイル、3-ヒドロキシ安息香酸、フラボノイド(例えば、フラバノン、カルコン)、ファルネソール、フィタントリオール、グリコール酸、乳酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、シス-レチノイン酸、トランス-レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル(例えば、レチニルプロピオネート)、フィチン酸、N-アセチル-L-システイン、リポ酸、トコフェロールおよびそのエステル(例えば、エーザイから入手可能な酢酸トコフェリル:DL-α-酢酸トコフェリル)、アゼライン酸、アラキドン酸、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ヒドロコルチゾン、アセトミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’-トリクロロカルバニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、硫酸ネオマイシン、テオフィリン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
1以上の日焼け止め剤が本発明の無水組成物に配合されてもよい。p-(2-エチルヘキシル)ジメチルアミノベンゾエートなどのp-アミノ安息香酸誘導体、および(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)フェニルメタノンなどのベンゾフェノン誘導体、メキソリル(商標)SX、およびメキソリル(商標)XL、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、およびドロメトリゾールトリシロキサンを含む様々な日焼け止め剤を使用することができる。他の限定されない例としては、ベンゾフェノン(オキシベンゾンおよびスルイソベンゾン)、シンナメート(オクチルメトキシシンナメートおよびシノキサート)、サリチレート(ホモメチルサリチレート)アントラニレート、TiO2、アボベンゾン、ベモトリジノール、ビソクリゾール、3-(4-メチルベンジリデン)-カンフル、シノキサート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、エカムスル、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサラート、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルサリチレート、イスコトリジノール、イソペンテニル-4-メトキシシンナメート、オクチル-ジメチル-p-アミノ安息香酸、オクチル-メトキシシンナメート、オキシベンゾン、ポリシリコーン-15、トロラミンサリチレート、およびZnOが含まれる。本組成物に使用される日焼け止め剤の正確な量は、太陽の有害な光線からの望ましい保護の程度に応じて変わるであろう。
【0047】
本発明の無水組成物はまた、前記組成物を着色するための1またはそれ以上の顔料、および前記組成物を嗅覚系になだめるようにするためのFirmenich and Co. 66.001/NY/G フレグランスオイルなどの香料を含んでもよい。前記組成物中に存在するこれらの成分の量は、所望の特定の効果に依存するだろう。
【0048】
実施形態において、前記無水組成物は、これらに限定されるものではないが、溶液、粉末、液体懸濁液、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、ゼリー、および泡を含む局所剤形、及びこれらに限定されるものではないが、溶液、懸濁液、および乾燥粉末を含む非経口剤形を含む固体剤形であり得る。前記活性成分は、薬学的に許容される希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤などを有する組成物に含まれ得る。前記化合物の医薬組成物はまた、適切な固相またはゲル相の担体または賦形剤を含み得る。そのような担体または賦形剤の例としては、これらに限定されるものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ゼラチン、および例えばポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0049】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される無水組成物は、ペースト、液体、ローション、スプレー、エアゾール、粉末、軟膏、クリーム、マウスウォッシュ、練り歯磨き、泡、ゲル、固形スティック、およびこれらの組み合わせの形態であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、広がりやすく、速やかに吸収され、保湿し、べたつかず、患者の皮膚を刺激せず、審美的に使用しやすく、冷却効果を有する。
【0050】
実施形態では、本明細書に記載の組成物は液体として製剤化することができる。局所投与用の液体剤形は、例えばアルコール、グリコール、油などのような希釈剤を含み得る。そのような組成物は湿潤剤または乳化剤も含み得る。いくつかの実施形態では、実施形態の組成物は、水中油型または油中水型エマルジョンとして製剤化することができる。クリームは、水相が油相に分散している油中水型(w/o)エマルジョン、または油が水性基剤に分散している水中油型(o/w)エマルジョンであり得る。軟膏は一般に、より粘性のある水中油型クリームを指す。伝統的な軟膏基剤(すなわち担体)としては、炭化水素(ワセリン、ミツロウなど)植物油、脂肪アルコール(コレステロール、ラノイリン、ウールアルコール、ステアリルアルコールなど)、またはシリコーンが挙げられる。デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、またはタルクなどの不溶性固体も軟膏およびクリームに使用することができる。上記の組成物のゲル形態は、ポリマーまたはコロイド状固体粒子のネットワーク中に大量の水性または水性-アルコール性液体を捕捉することによって形成することができる。そのようなポリマーまたはコロイド(ゲル化剤または増粘剤)は、典型的には10%w/w未満の濃度で存在し、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ペクチン、トラガカント、カラギーン、寒天、粘土、ケイ酸アルミニウム、カルボマーなどを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている組成物中のmTOR阻害剤は長期間安定である。例えば、いくつかの実施形態では、前記組成物中のmTOR阻害剤は、約4℃~約50℃の温度範囲で12~36ヶ月間安定である。いくつかの実施形態において、前記組成物中のmTOR阻害剤は、約4℃~約45℃の温度範囲で12~36ヶ月間安定である。いくつかの実施形態において、前記組成物中のmTOR阻害剤は、約4℃~約40℃の温度範囲で12~36ヶ月間安定である。いくつかの実施形態において、前記組成物中のmTOR阻害剤は、約4℃~約35℃の温度範囲で12~36ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、前記組成物中のmTOR阻害剤は、約4℃~約30℃の温度範囲で12~36ヶ月間安定である。
【0052】
対象における皮膚疾患を治療する方法もまた本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、対象の皮膚疾患を治療する方法は、有効量の1またはそれ以上のmTOR阻害剤と、1またはそれ以上の溶媒と、1またはそれ以上のゲル化剤と、1またはそれ以上の抗酸化剤とを含む有効量の無水組成物を局所投与する工程を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、対象の皮膚疾患を治療する方法は、有効量の1またはそれ以上のmTOR阻害剤と、1またはそれ以上の溶媒と、1またはそれ以上の抗酸化剤とを含む有効量の無水組成物を局所投与する工程を含む。
【0054】
前記無水組成物によって治療することができる皮膚疾患の限定されない例としては、足底角化症、水疱、結節性硬化症、脂漏性角化症、毛孔性角化症、表皮水疱症、多発性微小角化症、レンチキュラ性角膜症、鬱血性皮膚炎、限局性先端角化症、濾胞性角化症、苔癬様角化症(扁平苔癬、硬化性苔癬)、慢性侵食性口腔苔癬、コンラディ-エルティナーマン、表皮剥離性魚鱗癬、エリスロケラトデルマ・ビアビリス、魚鱗癬症、KID症候群、ネザートン症候群、オルムステッド症候群、レフサム病、シェーグレンラルソン症候群、光線性角化症、先天性爪肥厚症、多汗症、いぼ、角質症、皮膚炎(接触性皮膚炎、薬物性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、口囲皮膚炎、神経皮膚炎、脂漏性皮膚炎、およびアトピー性皮膚炎)、乾癬、にきび、カルブンケル症、蜂巣炎、せつ腫症、肉芽腫、黒色表皮症、水虫、細菌性膣炎、亀頭炎、隆起性皮膚線維肉腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫、メルケル細胞癌、ケロイド、嚢胞性リンパ管腫、海綿状リンパ管腫、静脈奇形、表皮母斑、臭汗症、皮膚糸状菌症、カンジダ症、爪甲真菌症、白癬(ティネアアルバ(tinea alba)、足白癬、爪白癬、手白癬、頑癬、体部白癬、頭部白癬、顔白癬、白癬性毛瘡、渦状癬、黒癬、癜風、ティネアインコグニト(tinea incognito))、湿疹、発汗異常性湿疹、褥瘡性潰瘍、膿瘡、丹毒、多形性紅斑、膿痂疹、虫刺され、性器疣贅、血管腫、ヘルペス、じんましん、多汗症、フィラリア症、黒子、狼瘡、汗疹、搾乳者結節、伝染性軟属腫、ハエうじ症、疥癬、皮膚幼虫移行症、せつ性ハエ幼虫症、移動性ハエうじ症、シラミ寄生症、星芒状血管腫、脂肪織炎、爪周囲炎、類天疱瘡、粃糠疹、外陰掻痒症、酒さ、トリコモナス症、膣内イースト菌感染症、白斑、乾皮症、血管線維腫、バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群、基底細胞母斑症候群、バート・ホッグ・デュベ症候群、青色ゴムまり様母斑症候群、カウデン病、皮膚T細胞性リンパ腫、びまん性小球性リンパ管形成異常、単純型表皮水疱症、乳房外ページェット、家族性多発性円板状線維腫、ヘイリーヘイリー病、乳児血管腫、若年性ポリポーシス症候群、カポジ肉腫、カポジ型血管内皮腫、ケロイド瘢痕病、レルミット・ダクロス症候群、転移性黒色腫、ミュア・トール症候群、神経線維腫症、非黒色腫皮膚癌、口腔移植片対宿主病、尋常性天疱瘡、ポイツ・ジェガース症候群、ポートワイン母斑、プロテウス症候群、プロテウス様症候群、マフッチ症候群の難治性血管内皮腫、スタージ・ウェーバー症候群、イヌの遺伝性足蹠角化症(HFH)、皮膚サルコイドーシス、皮膚キャッスルマン病、水疱性類天疱瘡、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0055】
いくつかの態様において、治療される皮膚疾患は血管線維腫である。いくつかの実施形態では、治療される皮膚疾患は先天性爪肥厚症である。いくつかの実施形態では、先天性爪肥厚症の症状が治療され、その症状は疼痛、かゆみ、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記組成物の投与は局所適用による。
【0057】
いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤の無水組成物は局所投与され、前記mTOR阻害剤は吸収によって表皮層および真皮層に到達する。いくつかの実施形態において、前記無水組成物の局所適用は、前記mTOR阻害剤の全身吸収をもたらさない。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記無水組成物の局所投与は、皮膚の表皮への前記mTOR阻害剤の送達をもたらす。いくつかの実施形態では、前記無水組成物の局所投与は、表皮および真皮への前記mTOR阻害剤の送達をもたらす。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記皮膚疾患を治療する方法は、全組成物の約0.1重量%~約20重量%で存在する1つ以上のmTOR阻害剤と、全組成物の1重量%~約99重量%で存在する1つ以上の溶媒と、全組成物の約0.1重量%~約5重量%で存在する1つ以上のゲル化剤と、全組成物の約0.001重量%~約1重量%で存在する1つ以上の抗酸化剤とを含む無水組成物を局所投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、高分子界面活性剤、保湿剤、冷却剤、レオロジー調整剤、pH調整剤、防腐剤、およびこれらの組み合わせをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、前記無水組成物はゲル化剤を含まない。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、好ましくは皮膚に塗布された量を手でこすって皮膚を完全にコーティングすることによって、皮膚に局所塗布することができる。こする動作は、皮膚全体に広がるように、少なくとも約5秒間、好ましくは約5~約30秒間の穏やかなこすり合わせまたはマッサージであることが好ましい。皮膚上に存在する水分または水は、連続的なこすり合わせおよびマッサージのために前記無水組成物を乳化することができ、その結果、皮膚上にインサイチュでエマルジョンを形成する。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態は、対象における脱毛を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、前記脱毛を治療する方法は、有効量の1つ以上のmTOR阻害剤と、1つ以上の溶媒と、1つ以上のゲル化剤と、1つ以上のゲル化剤と、1つ以上の抗酸化剤とを含む有効量の無水組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。実施形態では、髪の毛、毛幹、毛嚢、毛球、油腺、およびこれらの構成要素に関連する疾患の治療としては、例えば、脱毛、フケ、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症、毛髪病、輪癬、白癬、毛包炎、脱毛症、休止期脱毛症、新生児頭部皮膚炎、抜毛癖、けん引性脱毛症、結節性裂毛症、脱毛性毛包炎、アタマシラミ感染症、前頭線維化性脱毛症、非瘢痕性脱毛症、石綿状粃糠疹、頭皮分裂性蜂巣炎、項部息肉性毛嚢炎、連珠毛、シラミ寄生症、完全脱毛症、萎縮性脱毛症、バブルヘア奇形、毛鞘、多毛症、内方発育毛、連珠毛、若白髪、脱毛症、重積性裂毛症などが含まれる。
【0062】
本明細書に開示されている組成物は、発毛を減少させることが望まれる身体の選択された領域に局所的に適用することができる。例えば、前記組成物は、顔、特に顔の顎髭領域、すなわち頬、首、上唇、および顎に適用することができる。前記組成物はまた、剃毛、ワックスがけ、機械的脱毛、化学的脱毛、電気分解、およびレーザーアシスト脱毛を含む他の脱毛方法の補助として使用することもできる。それらの概念を出現させる他の行動は、脱毛に加えて同時に肌に良い効果がある。前記組成物は、脚、腕、胴体、または脇の下にも塗布することができる。前記組成物は、例えば女性の不必要な毛の成長を抑えるのに適している。ヒトにおいて、前記組成物は、発毛の知覚される減少を達成するために、1日に1回または2回、さらにもっと頻繁に適用されてもよい。発毛の減少は、例えば、発毛速度が遅くなる、除去の必要性が減少する、処置部位の毛が少ないと対象が感じる、または除去された毛の重量(すなわち、毛量)が量的に減少した場合に実証される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態は、対象におけるドライアイ症候群を治療する方法に関する。いくつかの実施形態において、前記ドライアイ症候群を治療する方法は、それを必要とする対象に、1またはそれ以上のmTOR阻害剤と、1またはそれ以上の溶媒と、1またはそれ以上のゲル化剤と、1またはそれ以上の抗酸化剤とを含む有効量の無水組成物を投与する工程を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の無水組成物は、例えば、プラスター、パッチ、包帯、またはフィルムに塗布することができる。いくつかの実施形態では、局所送達は超音波技術の使用によって支援される。超音波エネルギーは組織にわたって適用され、当該組織を通り越して前記組成物が拡散するのを助ける。
【0065】
実施形態では、本明細書に開示されている組成物は、経皮パッチの形態であり得る。前記経皮パッチは、例えばストリップ、ガーゼ、フィルムなどのような任意の従来の形態であり得る。パッチ材料は、不織布または織布(例えば、ガーゼの包帯)であり得る。加工中に層を積層することもできる。それは非密封的でも密封的でもよいが、支持層には後者が好ましい。前記パッチは、貯蔵(例えば、ホイル包装)のために気密封止されるのが好ましい。前記パッチは皮膚上に保持することができ、前記パッチの構成要素は様々な接着剤を使用して一緒に保持することができる。例えば、前記経皮パッチは、バンドエイド型の装置の形態であってもよく、または小さな金属またはプラスチックの「カップ」に包装されてもよく、これは接着剤、テープ、または時計の一部として着用されているものと同様に外布またはレザーストラップを使用して適切な部位に縛り付けられる。前記パッチの全体は使い捨てであってもよく、または詰め替え可能であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている組成物は、包帯上にコーティングされてもよく、生体接着剤と混合されてもよく、または包帯に含まれてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、ハンドポンプを使用して、mTOR阻害剤無水組成物を分配することができる。例えば、前記ハンドポンプは、政府規制機関によって承認された対応するラベルによって指定された許容範囲内で必要量のmTOR阻害剤を分配するように構成されてもよい。前記ハンドポンプは、ポンプ動作あたり1、2、3、4、または5mLの前記組成物など、ポンプ動作あたり0.5~10mLの前記組成物を送達することができる。いくつかの実施形態では、前記mTOR阻害剤組成物は、薬学的に許容されるハンドポンプと一緒に包装することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記無水組成物は、それらが活性を保持する任意の経路によって従来の方法で投与することができる。例えば、mTOR阻害剤の無水組成物は、これらに限定されるものではないが、局所または経皮を含む経路によって投与することができる。したがって、前記化合物の投与方法(単独で、または他の医薬品と組み合わせて)は、これらに限定されるものではないが、舌下投与、または膣クリーム、坐剤、ペッサリー、膣リング、直腸坐剤、ならびにパッチやクリーム、ローション、ジェルなどの経皮および局所形態の使用によるものであってもよい。
【0068】
投与される組成物の特定の量は、もちろん、投与される組成物、皮膚の状態、使用者の年齢、皮膚疾患の程度、および同様の考慮事項などを含むその使用を取り巻く特定の状況によって決定されるであろう。例えば、投与量は、治療される特定の動物、対象の年齢、体重、および健康状態、もしあれば併用治療の種類、および治療の頻度に依存し得る。これらの要因の多くは、当業者によって(例えば臨床医によって)容易に決定することができる。典型的には、前記組成物の単回適用は、皮膚の患部を適切に覆うために局所的に塗布されるであろう。所望のレベルのmTOR阻害剤を送達するために必要に応じて次の適用を行うことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記組成物は毎日1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上投与することができ、適用は少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、または12ヶ月の期間にわたって実施することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記組成物は、1回、必要に応じて1日1回、1日2回、1日3回、1週間に1回、1週間に2回、隔週、1日おきなどで、1またはそれ以上の投薬周期で投与することができる。投与サイクルは、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、または約10週間の投与を含み得る。このサイクルの後、次のサイクルは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間後に開始され得る。治療計画は、1、2、3、4、5、または6サイクルを含むことができ、各サイクルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間の間隔をおく。
【0071】
実施形態では、本明細書に記載の無水組成物を投与する工程を有する皮膚疾患の治療方法であって、前記皮膚疾患の治療のための追加の医学的または治療的介入をさらに含まない方法が提供される。
【0072】
実施形態において、皮膚疾患を治療する方法は、本明細書に記載の無水組成物を投与する工程を含み、前記mTOR阻害剤は、皮膚疾患を治療するために投与される唯一の活性剤である。
【0073】
いくつかの実施形態では、前記方法は、例えば適用部位の表面組織を洗浄することなどを含む様々な追加の工程を含むことができる。
【0074】
実施形態では、前記方法は、本明細書に記載の組成物の投与前、投与中、または投与後に組織表面のスケール除去または創傷清拭をさらに含むことができる。実施形態では、組織表面をスケール除去または創傷清拭するための方法は、電磁放射、レーザー、皮膚剥離、化学的剥離、超音波、加熱、冷却、または針によるものを含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記組織表面は擦過とともにスケール除去または創傷清拭される。皮膚の外層または表皮の擦過(皮膚削り)は、瘢痕、傷、または例えばニキビ、日光曝露、および老化によって引き起こされ得る他の皮膚状態を滑らかにし、または一体化させるのに望ましい。皮膚を擦過するために使用される標準的な技術は、一般に、皮膚剥離術およびマイクロダーマブレーションと呼ばれる2つの分野に分けられる。両者の技術は、角質層と呼ばれる表皮の一部を取り除き、身体がこれを軽度の損傷として解釈する。その後、身体は失われた皮膚細胞を置き換え、皮膚の新しい外層ができる。加えて、処置に伴う軽度の浮腫および紅斑にもかかわらず、その皮膚は、皮膚の新しい外層のおかげでより滑らかに見え、また感じる。
【0076】
実施形態では、組織表面は、マイクロダーマブレーションを用いてスケール除去または創傷清拭される。マイクロダーマブレーションとは、一般に、砂または砂粒の流れを発するハンドピースによる機械的なこすりによって皮膚の表面が除去される処置を指す。例えば、ハンドピースを使用して、酸化アルミニウム、塩化ナトリウム、または重炭酸ナトリウムの小さな結晶を含む気流を向けることができる。砂粒の勢いは、ハンドピースを通過するたびに皮膚の2~3個の細胞層をすり減らす傾向がある。あるいは、新しい「クリスタルフリー」のマイクロダーマブレーション技術では、砂粒の流れがないダイヤモンドチップのハンドピースを使用する。
【0077】
実施形態では、組織表面は、例えばいわゆるフラクショナルレーザー治療を使用して、電磁放射線でスケール除去または創傷清拭される。例として、そのような方法は、約1,850~100,000ナノメートルの1またはそれ以上の波長を有し、かつ約1J/cm2~300J/cm2のフルエンスで約1フェムト秒(1×10-15s)~10ミリ秒(10×10-3s)のパルス幅を有する電磁放射線(EMR)を使用する。他の例では、組織は、約2200~5000ナノメートルの1つまたはそれ以上の波長を有する電磁放射でスケール除去または創傷清拭される。さらに他の例では、組織は、1J/cm2~300J/cm2のフルエンスで、約190~320ナノメートルの1つまたはそれ以上の波長を有する電磁放射でスケール除去または創傷清拭される。選択的に、組織の部分を創傷清拭するために選択された条件は、例えば凝固区域を、切除された空隙を囲む比較的小さい直径に保つことによって、組織損傷の凝固区域を最小にする。
【0078】
特にレーザー光または他の光放射の形態の電磁放射(EMR)は、皮膚科、歯科、眼科、婦人科、耳鼻咽喉科、および内科での使用を含む、さまざまな化粧用途および医療用途で使用されている。ほとんどの皮膚的な用途では、EMR治療は、標的組織の表面にEMRを送達する装置を用いて実施することができる。EMR治療は通常、(a)特定の化学反応を誘発するために1つまたは複数の特定波長(または特定の連続範囲の波長)のエネルギーを組織に供給し、(b)温度上昇を引き起こすためにエネルギーを組織に供給し、または(c)皮膚リモデリングのためなど、細胞または細胞外構造を損傷または破壊するためにエネルギーを組織に供給する。皮膚の若返り術などの美容処置中に皮膚を治療するために使用されてきた装置の例には、Palomar(登録商標)LuxIR、Palomar(登録商標)1540、1440、および2940フラクショナルハンドピース、Reliant Fraxel(登録商標)SRレーザー、およびLumenis、Alma Lasers、Sciton、及びその他多くの業者による類似の装置が含まれる。
【0079】
実施形態では、前記方法は、本明細書に記載の組成物の投与前、投与中、または投与後に光線力学療法をさらに含み得る。光線力学療法は、さまざまな疾患を治療するために光増感剤と呼ばれる光活性化薬を使用する低侵襲の2段階の医療手技である。はじめに、光増感剤を投与し、これが標的組織を透過したら、次いで前記光増感剤を、特定の波長の所定量の電磁(通常は光)放射線に曝露することによって活性化する。本明細書に開示される組成物は光増感剤を含有してもよい。実施形態では、任意の適切な光増感剤または薬剤の混合物を本明細書で使用することができる。一般に、これらは約380nm~約900nmの放射線を吸収するであろう。本明細書で使用されるように、「光増感剤」または「光増感薬剤」は、好ましくは、特定の波長の放射線と接触すると一重項酸素または熱エネルギーを形成する化合物を意味する。光増感剤の限定されない例としては、アミノレブリン酸エステル、ポルフィリン、ポルフィリン誘導体、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ピロフェオホルバイド、サフィリン、テキサフィリン、テトラヒドロクロリン、プルプリン、ポルフィセン、フェノチアジニウム、およびこれらに限定されるものではないが、アルミニウム、亜鉛、ルテチウム、およびエチルエチオプルプリンすず(SnET2)、およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0080】
本発明の組成物はまた、他の活性成分、またはそのような組み合わせが本明細書に記載の方法の所望の効果を達成するのに望ましいかまたは有利であると思われる他の適合性のある薬物もしくは化合物と組み合わせて投与され得る。
【0081】
使用される方法および材料を説明する本発明および実施形態は、以下の限定されない実施例を参照することによってさらに理解され得る。
【0082】
実施例
【実施例0083】
例示的な無水組成物を以下に示す。
【0084】