(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041832
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成デバイス用の加熱要素に電力を供給する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20240319BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240319BHJP
H05B 6/06 20060101ALI20240319BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/465
H05B6/06 393
H05B6/10 301
H05B6/10 371
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000063
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2020531922の分割
【原出願日】2018-12-21
(31)【優先権主張番号】1721646.6
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, マーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸入可能な媒体を生成するためのエアロゾル供給デバイスを提供する。
【解決手段】エアロゾル供給デバイスは、電源と、エアロゾルを生成するための少なくとも1つの加熱要素と、加熱要素の温度を監視するように構成された温度監視手段とを備える。動作可能な構成では、デバイスは、加熱要素に電力を供給して、加熱要素の温度を第1の閾値温度まで最初に上昇させ、温度監視手段が、加熱要素の温度が第1の閾値温度であることを検出したとき、加熱要素に供給される電力を取り除くことで、加熱要素の温度が第2の閾値温度まで低下し、温度監視手段が、加熱要素の温度が第2の閾値温度まで低下したことを検出したとき、加熱要素に電力を供給することで、加熱要素の温度が第1の閾値温度に向けて上昇するように、加熱要素への電力の供給を制御するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、エアロゾルを生成するための少なくとも1つの加熱要素と、前記加熱要素の温度を監視するように構成された温度監視手段と、パフ検出器とを備えるエアロゾル供給デバイスであって当該エアロゾル供給デバイスが、動作可能な構成にあるとき、
前記加熱要素に電力を供給して、前記加熱要素の前記温度を第1の閾値温度まで最初に上昇させる、供給するステップと、
前記温度監視手段が、前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度であることを検出したとき、前記加熱要素に供給される電力を取り除くことで、前記加熱要素の前記温度が第2の閾値温度まで低下する、取り除くステップと、
前記温度監視手段が、前記加熱要素の前記温度が前記第2の閾値温度まで低下したことを検出したとき、前記加熱要素に電力を供給することで、前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に向けて上昇する、第2の供給するステップと、
を行うように、
前記加熱要素への電力の供給を制御するように構成されており、
当該エアロゾル供給デバイスは、前記加熱要素の温度を最初に上昇させたとき、および前記加熱要素の温度が前記第2の閾値温度まで低下したことを前記温度監視手段が検出したときに、前記パフ検出器からの入力に基づいて、前記動作可能な構成又は非動作可能な構成に構成される、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記加熱要素がコイルである、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記デバイスが、ひとたび前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に到達すると、前記加熱要素の前記温度が、前記第2の閾値温度以上であって、前記第1の閾値温度以下に留まるように、前記請求項1の1つ又は複数のステップを繰り返すように構成されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
エアロゾル生成デバイス用の加熱要素に電力を供給する方法であって、
前記加熱要素の温度を監視するステップと、
前記加熱要素に電力を最初に供給して、前記加熱要素の前記温度を第1の閾値温度まで上昇させるステップと、
前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に到達したとき、前記加熱要素に供給される電力を取り除くことで、前記加熱要素の前記温度が第2の閾値温度まで低下するステップと、
前記加熱要素の前記温度が前記第2の閾値温度に到達したとき、前記加熱要素に供給される前記電力を増加させることで、前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に向けて上昇するステップと
を含み、
前記エアロゾル生成デバイスは、前記加熱要素の温度を最初に上昇させたとき、および前記加熱要素の温度が前記第2の閾値温度まで低下したことを温度監視手段が検出したときに前記エアロゾル生成デバイスをユーザが吸引していることがパフ検出器によって検出されたときに、前記パフ検出器からの入力に基づいて、動作可能な構成又は非動作可能な構成に構成される、方法。
【請求項5】
パフ検出器によって、ユーザが前記デバイスを吸っていることが検出されたとき、ヒーターに電力を最初に供給するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ひとたび前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に到達すると、前記加熱要素の前記温度が、前記第2の閾値温度以上であって、前記第1の閾値温度以下に留まるように、請求項4の1つ又は複数のステップを繰り返すステップをさらに含む、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能な媒体を生成するためのエアロゾル供給デバイスに関する。
【背景】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコの煙を生み出す。
【0003】
燃焼させずに、吸入可能な媒体を生成する製品を作り出すことによって、タバコを燃焼させるこういった製品に対する代替品を提供しようとする試みがなされてきた。
【0004】
そのような製品の例は、いわゆるeシガレットデバイスである。このようなデバイスは、典型的には液体であるエアロゾル化可能物質を収容しており、これは、加熱され気化されて、吸入可能な蒸気又はエアロゾルを生成する。この液体は、ニコチン及び/又は香味料及び/又はエアロゾル生成物質、例えばグリセロールなどを含有し得る。そのような既知のeシガレットデバイスは、典型的には、タバコを含有せず、又はタバコを使用しない。
【概要】
【0005】
本発明の第1の態様によると、電源と、エアロゾルを生成するための少なくとも1つの加熱要素と、加熱要素の温度を監視するように構成された温度監視手段とを備えるエアロゾル供給デバイスであって、動作可能な構成にあるとき、デバイスは、加熱要素に電力を供給して、加熱要素の温度を第1の閾値温度まで最初に上昇させ、温度監視手段が、加熱要素の温度が第1の閾値温度であることを検出したとき、加熱要素に供給される電力を取り除くことで、加熱要素の温度が第2の閾値温度まで低下し、温度監視手段が、加熱要素の温度が第2の閾値温度まで低下したことを検出したとき、加熱要素に電力を供給することで、加熱要素の温度が第1の閾値温度に向けて上昇するように、加熱要素への電力の供給を制御するように構成されている、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0006】
加熱要素は、コイルであってもよい。エアロゾル供給デバイスは、パフ検出器をさらに備えてもよく、デバイスは、パフ検出器からの入力に基づいて、動作可能な構成又は非動作可能な構成に構成されてもよい。
【0007】
デバイスは、ひとたび加熱要素の温度が第1の閾値温度に到達すると、加熱要素の温度が、第2の閾値温度以上であって、第1の閾値温度以下に留まるように、本発明の第1の態様による方法の1つ又は複数のステップを繰り返すように構成されてもよい。
【0008】
本発明の第2の態様によると、エアロゾル生成デバイス用の加熱要素に電力を供給する方法が提供されており、方法は、加熱要素の温度を監視するステップと、加熱要素に電力を最初に供給して、加熱要素の温度を第1の閾値温度まで上昇させるステップと、加熱要素の温度が第1の閾値温度に到達したとき、加熱要素に供給される電力を取り除くことで、加熱要素の温度が第2の閾値温度まで低下するステップと、加熱要素の温度が第2の閾値温度に到達したとき、加熱要素に供給される電力を増加させることで、加熱要素の温度が第1の閾値温度に向けて上昇するステップとを含む。
【0009】
方法は、パフ検出器によって、ユーザがデバイスを吸っていることが検出されたとき、ヒーターに電力を最初に供給するステップを含んでもよい。
【0010】
方法は、ひとたび加熱要素の温度が第1の閾値温度に到達すると、加熱要素の温度が、第2の閾値温度以上であって、第1の閾値温度以下に留まるように、第2の態様による1つ又は複数のステップを繰り返すステップをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、エアロゾル供給デバイスの一例の概略的な長手方向の図である。
【
図2】
図2は、従来技術のエアロゾル供給デバイスの一例における、時間に対するコイルの温度及びバッテリー電荷の例示的な概略的グラフ図である。
【
図3】
図3は、例示的なエアロゾル供給デバイスにおける、時間に対するコイルの温度及びバッテリー電荷の概略的グラフ図である。
【
図4】
図4は、本発明の一態様によるエアロゾル供給デバイスを動作させる例示的な方法の概略的フローチャート図である。
【詳細な説明】
【0012】
図1を参照すると、例示的なエアロゾル供給デバイス100が示されている。エアロゾル供給デバイス100は、吸入デバイスであり(すなわち、ユーザはそれを使用して、デバイス100によって供給されるエアロゾルを吸入する)、デバイス100は手持ち式デバイスである。デバイス100は、電子デバイスである。
【0013】
おおまかな概略においては、デバイス100は、エアロゾル生成材料20を揮発させて、ユーザによる吸入のための蒸気又はエアロゾルを生成する。この例では、エアロゾル生成材料20は、液体であり、例えばeシガレット液体であるが、他の例では、エアロゾル生成材料は、別のタイプのエアロゾル化可能物質、例えばゲルであってもよい。
【0014】
いくつかの例では、デバイスは、その中で生成されたエアロゾルが、ユーザによって吸入される前に追加の物質を通過するハイブリッドデバイスであってもよい。デバイスがハイブリッドデバイスであるいくつかの例では、追加の物質は、香料成分を含んでもよい。追加の物質は、物質を通過するエアロゾルの特性に風味を与え、又はその特性を変えてもよい。追加の物質は、例えばタバコを含んでも、又はタバコで構成されてもよい。追加の物質がタバコを含む場合、エアロゾルは、この物質からの有機化合物及び/又は他の化合物若しくは組成物を伴うことで、エアロゾルに風味を与え、又はそれ以外の方法でエアロゾルの特性を変える場合もある。
【0015】
少なくともいくつかの例では、蒸気が生成され、蒸気はその後、エアロゾル供給デバイス100を出て行く前に、少なくとも一部が凝縮してエアロゾルを形成する。
【0016】
この点において、一般に、蒸気は、その臨界温度を下回る温度では気相の物質であることにまず留意されたく、このことは、例えば蒸気は、温度を低下させることなく、その圧力を高めることによって液体に凝縮させることができることを意味している。一方で、一般に、エアロゾルは、空気中又は別の気体中では微細な固体粒子又は液滴のコロイドである。「コロイド」は、顕微鏡で見ると分散した不溶性の粒子が別の物質内に隈なく懸濁した物質である。
【0017】
簡便性の理由のために、本明細書で使用される際、エアロゾルという用語は、エアロゾル、蒸気、又はエアロゾルと蒸気との組み合わせとして理解されるべきである。
【0018】
図1に戻ると、この例のデバイス100は、本体部分300と、カートリッジ200と、マウスピース50とを備える。いくつかの例では、カートリッジ200は、本体部分300から切り離すことが可能であり得るが、他の例では、カートリッジ200は、デバイス100から切り離すことができなくてもよく、又はデバイス100は、カートリッジ200を含まず、代わりに、デバイスの別の部分に、例えば本体部分300の中に、エアロゾル化可能な物質を含有する特定の区画を備えてもよい。
【0019】
カートリッジ200は、エアロゾル生成材料20を収容するためのものであり、エアロゾル生成材料20は、このケースでは、液体20であるが、別のタイプのエアロゾル化可能な物質であってもよく、その一方で本体部分300は、デバイス100に電力を供給し、これを制御するためのものである。デバイス100は、エアロゾル生成材料(
図1の例では、液体20)を加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルの流れ30を生成するための加熱手段240をさらに備える。
【0020】
カートリッジ200は、液体20を収容するためのリザーバ220を備える。リザーバ220は、生成されたエアロゾルが中を通ってユーザによる吸入のためにマウスピース50から流れ出る中央開口290を取り巻く環状チャンバであってもよい。
図1の例では、液体20をエアロゾル化するための加熱手段240は、カートリッジ200内に配置されるが、いくつかの例では、加熱手段240は、カートリッジ200とは切り離されてもよい。いくつかの例では、加熱手段240は、デバイス100の本体部分300の中に配置されてもよい。いくつかの例では、加熱手段240は、例えば加熱手段240を交換することが望まれるときに、取り外して交換するためにデバイス100から別々に取り外し可能であってもよい。この例では、加熱手段240は、少なくとも1つの加熱要素250と、液体リザーバ220から少なくとも1つの加熱要素250に液体20を供給するための少なくとも1つのウィック(図示せず)とを備える。
【0021】
加熱構成体240は、いくつかの例では、「アトマイザー」と呼ばれてもよく、「アトマイザー」を備える液体カートリッジ、例えばカートリッジ200は、「カートマイザー」と呼ばれてもよい。
【0022】
デバイス100の本体部分300は、加熱手段240を含めた、デバイス100の種々の構成要素に電気的に接続されることで、前記構成要素に電力を供給する電源320を備える。電源320は、充電式バッテリー又は使い捨てバッテリーなどのバッテリーであってもよく、本明細書ではバッテリー320と呼ばれる場合もある。
【0023】
コントローラ330は、マイクロチップと、関連する回路とを備えることができ、これもまた、以下でより詳細に考察されるように、加熱手段240への電力の供給を含め、デバイス100の種々の構成要素の動作を制御するために本体部分300に設けられる。ユーザ入力手段340、例えば1つ又は複数の制御ボタンが、ユーザがコントローラ330を操作するために第2の筐体310の外部に設けられてもよい。
【0024】
液体20は、好ましくは、システム100の電力消費を低く維持するのに役立つように、好ましくは100~300℃の範囲内の、又はより詳細には150~250℃あたりの妥当な温度で揮発することが可能な液体である。好適な材料には、例えばプロピレングリコール及びグリセロール(グリセリンとしても知られる)を含めた、eシガレットデバイスで簡便に使用されるものが含まれる。いくつかの例では、エアロゾル生成材料はニコチンを含有するが、その他の例では、エアロゾル生成材料はニコチンを含有しない。エアロゾル生成材料は、いくつかの例では香味料を含有してもよい。
【0025】
したがって、使用中、ユーザはマウスピース50を吸い込み、空気が、1つ又は複数の空気入り口111から引き込まれる。加熱手段240を含めたデバイス100は、制御ボタン340を操作するユーザによって動作可能な構成に構成されてもよい。いくつかの例では、それ自体既知であるようなパフ検出器(図示せず)からの入力を使用して、デバイス100が動作可能な構成であるかどうかを判定してもよい。動作中、液体20は、液体リザーバ220から、少なくとも1つのウィックを介して引き込まれ、液体20は、加熱することによって加熱手段240によって揮発されてエアロゾルを生成する。生成されたエアロゾルは、空気入り口111から流れ込む空気と混ざり合ってエアロゾルの流れ30を生成する。
【0026】
加熱要素250は、抵抗性の加熱要素であってもよく、例えば線形加熱要素又はコイルであってもよい。本明細書に記載される好ましい例では、少なくとも1つの加熱要素250は、加熱コイル250である。いくつかの例では、加熱手段240は、2つ以上の加熱要素を備えてもよく、そのような例では、各加熱要素が加熱コイルであってもよい。デバイス100は、加熱要素250の温度を監視するための温度監視手段260を備える。温度監視手段260は、任意の好適な温度感知手段、例えば電気サーモメータ又は加熱要素250の抵抗率を測定する手段を備えてもよい。
【0027】
コントローラ330は、温度監視手段260を介して加熱要素250の温度を監視し、デバイス100を動作可能な構成に構成するかどうかを判定するために制御手段340及び/又はパフ検出器を監視する。好ましい例では、コントローラ330は、制御手段340から、又はパフ検出器から、ユーザがデバイス100を作動させたことを示す入力を受け取る。コントローラ330は、その後、加熱要素250に電力を供給して、温度制御手段260によって測定されるとき、その温度をエアロゾルを生成するための動作温度まで上昇させるように機能する。
【0028】
図2は、従来技術の構成体における加熱要素、すなわち加熱コイルの温度プロファイルの概略図を示す。そのような例では、例えばパフ検出器によって、又はユーザ制御手段340によって、デバイス100の作動が検出されたとき(時間0)、デバイス100は、加熱コイル250に電力を供給して、その温度を開始温度から動作温度510まで上昇させるように構成されている。動作温度510は、コイル250がエアロゾルを生成するのに適した温度であってもよい。この従来技術の構成体では、デバイス100が継続的にコイル250に電力を供給することで、コイル250の温度は、動作温度に到達した後も上昇し続け、温度は、デバイス100が動作したままである間、例えばパフ検出器が、ユーザがデバイス100をふかしていることを継続して検出する間、上昇し続けることがある。
図2は、この従来技術の構成体において、電力が加熱コイル250に継続的に供給されているために、どのようにして電源320から供給されるエネルギーが、デバイス100が動作される時間にわたって増加し続けるかを概略的に示している。これは、デバイス100が動作される時間にわたって継続的に消耗するバッテリー320の電荷レベルとして
図2に示されている。
【0029】
図3は、本発明による加熱コイル250の温度プロファイルを概略的に示す図である。この例では、コントローラ330は、加熱手段250、この例では加熱コイル250に電力を供給して、加熱コイル250の温度を開始温度(時間0)から第1の閾値温度610まで上昇させるように構成されている。コントローラ330は、好ましくはユーザ制御手段340を通して、又はいくつかの例ではパフ検出器を介するデバイスからの吸入を試みるユーザの検出を通して、ユーザによるデバイス100の作動を検出するように構成されている。
【0030】
デバイス100の作動が検出されると(時間0)、コントローラ330は、加熱コイル250に電力を供給して、コイル250の温度を上昇させて液体20をエアロゾル化するように構成されている。コントローラ330は、電力を供給して加熱コイル250の温度を第1の閾値温度610まで上昇させるように構成されている。
【0031】
コントローラ330は、温度監視手段260を介してコイル250の温度を監視するように構成されており、コントローラがコイル250の温度が第1の閾値温度610である(
図3における700)ことを検出したとき、コントローラ330は、コイル250に供給される電力を取り除くように構成されている。コイル250の温度が、この例での第1の閾値温度610に到達したときのこの電力の除去によって、コイルの温度が第2の閾値温度620まで低下することを可能にする。
【0032】
いくつかの例では、デバイス100は、コイルが第1の閾値温度610に到達する700においてエアロゾルの生成を開始し得ることに留意されたい。しかしながらデバイス100は、コイルの温度が第1の閾値温度610に到達する前にエアロゾルを生成する場合もある。いくつかの例では、第2の閾値温度620は、コイル250がエアロゾルを生成するのに適した最低温度であってもよい、又は他の例では、第2の閾値温度620は、この最低温度と異なる場合もある。例えば第2の閾値温度620は、エアロゾルを生成するのに適した最低温度より高くてもよい。
【0033】
この例では、700から720の間で、デバイス100は動作したままであり、コイル250が液体20をエアロゾル化する間、コイル250の温度は低下することが可能になる(コイル250に供給される電力が取り除かれるため)。測定されるコイルの温度が、第2の閾値温度620に到達したとき(720において)、コントローラ330は、コイル250への電力の供給を再開する。この電力の再開は、コイル250の温度を第2の閾値温度620から第1の閾値温度610まで上昇させるように機能する。
【0034】
コイル250の温度が上昇して、再び第1の閾値温度610に到達したとき(720において)、電力は再び、コイルから取り除かれ、コイル250の温度は再び、第2の閾値温度620に向かって低下することが可能になる。コイルへの電力の供給と、コイルからの電力の除去のサイクルが繰り返されることで、デバイス100が動作したままの間、例えばパフ検出器がユーザがデバイス100をふかしていることを検出する間、又は他の例では、ユーザが制御手段340を介してデバイス100を継続的に作動させている間、コイルの温度が、第1の閾値温度610と第2の閾値温度620との間で変動することを可能にし得る。電力は、
図3の例では継続的に供給されないため、電源320からのエネルギーは、より低い平均速度で使用期間にわたって使用可能であり、バッテリー320の電荷は、電力が加熱コイル250に継続的に供給される
図2に示されるものなどの例示的な構成体よりも低い速度で消耗する。
【0035】
図4は、デバイス100を動作させる例示的な方法のフロー図を示す。デバイス100は、1001において(
図3に示される時間0に相当する時間に)作動され、1002において、電力がコイル250に供給されて、コイル250の温度を上昇させる。1003において、デバイス100は、パフ検出器を監視し、パフが検出された場合、デバイス100を動作可能な構成に維持する。1003においてパフが検出されない場合、デバイス100のスイッチをオフにする。1004において、コントローラ330は、コイル250が第1の閾値温度610であるかをチェックする。1004において、コントローラ330が、コイル250が第1の閾値温度610であることを検出した場合、コントローラ330は、(1005において)コイル250への電力の供給を取り除き、コイルの温度が第1の閾値温度610から第2の閾値温度620に向かって低下することを可能にする(エアロゾルの生成を続けながら)。1006において、コントローラ330は再び、パフ検出器をチェックし、パフが検出された場合、継続して動作する。1006においてパフが検出されない場合、デバイス100のスイッチをオフにする。1007において、コントローラ330は、コイル250が第2の閾値温度620であるかをチェックし、コイル250が第2の閾値温度620であることを検出した場合、コイル250への電力供給を再開し、方法は1002から続く。
【0036】
いくつかの例では、方法は、デバイス100が使用中であることを、
図4を参照して記載されるものより少ない頻度で、例えば1003のみで、又は1006のみでチェックすることを含む場合もあることに留意されたい。上記で述べたように、いくつかの例では、デバイス100はパフ検出器を備えていない場合もあり、代わりに、デバイス100が使用中であるかを検出するためにユーザ制御手段340を使用する場合もある。
【0037】
本明細書で説明され、
図3及び
図4に示される本発明による例示的な構成体では、コイル250は、バッテリー320から周期的に電力を受け取るわけではない。それ故、デバイス100が動作している間、コイル250に供給される平均電力レベルは、
図2によって示される従来技術の構成体においてコイルに供給される平均電力レベルより低くなる。したがって、バッテリー電荷レベルは、よりゆっくりと消耗し得、バッテリーの寿命は、記載される構成体の使用によって延長され得る。加えて、加熱コイル250の温度は、規定の範囲内(第2の閾値温度620と第1の閾値温度610との間)に維持され、この温度の規定の範囲は、例えば、液体20を揮発させるのにより適した温度を提供し、及び/又はデバイス100の安全性の向上を実現し得る。加熱要素250への電力送達は、本発明によるデバイス100の動作において「パルス式」であると述べられる場合もある。
【0038】
本明細書に記載される例において電力が加熱要素250に供給された場合、供給される電力は、それが供給される時間にわたって、すなわち700から720の間、及び720から710の間、一定の値ではなくてもよいことに留意されたい。例えば、いくつかの例では、保護回路モジュール(PCM)が利用されてもよく、700から720の間、及び720から710の間に加熱要素250に送達される電力は、パルス式の電力送達を含んでもよい。
[発明の項目]
[項目1]
電源と、エアロゾルを生成するための少なくとも1つの加熱要素と、前記加熱要素の温度を監視するように構成された温度監視手段とを備えるエアロゾル供給デバイスであって当該エアロゾル供給デバイスが、動作可能な構成にあるとき、
前記加熱要素に電力を供給して、前記加熱要素の前記温度を第1の閾値温度まで最初に上昇させ、
前記温度監視手段が、前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度であることを検出したとき、前記加熱要素に供給される電力を取り除くことで、前記加熱要素の前記温度が第2の閾値温度まで低下し、
前記温度監視手段が、前記加熱要素の前記温度が前記第2の閾値温度まで低下したことを検出したとき、前記加熱要素に電力を供給することで、前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に向けて上昇するように、
前記加熱要素への電力の供給を制御するように構成されている、エアロゾル供給デバイス。
[項目2]
前記加熱要素がコイルである、項目1に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目3]
前記デバイスが、パフ検出器をさらに備え、前記デバイスが、前記パフ検出器からの入力に基づいて、前記動作可能な構成又は非動作可能な構成に構成されている、項目1又は項目2に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目4]
前記デバイスが、ひとたび前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に到達すると、前記加熱要素の前記温度が、前記第2の閾値温度以上であって、前記第1の閾値温度以下に留まるように、前記項目1の1つ又は複数のステップを繰り返すように構成されている、項目1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
[項目5]
エアロゾル生成デバイス用の加熱要素に電力を供給する方法であって、
前記加熱要素の温度を監視するステップと、
前記加熱要素に電力を最初に供給して、前記加熱要素の前記温度を第1の閾値温度まで上昇させるステップと、
前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に到達したとき、前記加熱要素に供給される電力を取り除くことで、前記加熱要素の前記温度が第2の閾値温度まで低下するステップと、
前記加熱要素の前記温度が前記第2の閾値温度に到達したとき、前記加熱要素に供給される前記電力を増加させることで、前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に向けて上昇するステップと
を含む、方法。
[項目6]
パフ検出器によって、ユーザが前記デバイスを吸っていることが検出されたとき、ヒーターに電力を最初に供給するステップをさらに含む、項目5に記載の方法。
[項目7]
ひとたび前記加熱要素の前記温度が前記第1の閾値温度に到達すると、前記加熱要素の前記温度が、前記第2の閾値温度以上であって、前記第1の閾値温度以下に留まるように、項目1の1つ又は複数のステップを繰り返すステップをさらに含む、項目5又は項目6に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載されたエアロゾル供給デバイス。
【外国語明細書】