▶ アユヴィス リサーチ インク.の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041834
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】新規組成物及び治療方法
(51)【国際特許分類】
C07H 15/207 20060101AFI20240319BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/7036 20060101ALI20240319BHJP
C07H 5/06 20060101ALI20240319BHJP
C07H 17/02 20060101ALI20240319BHJP
C07H 15/203 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20240319BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240319BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240319BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240319BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240319BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240319BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07H15/207
A61K31/7034
A61K31/7036
C07H5/06
C07H17/02
C07H15/203
A61K31/706
A61P31/04
A61P27/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P9/10 101
A61P1/04
A61P11/00
A61P7/00
A61P17/06
A61P37/02
A61P9/00
A61P35/00
A61P29/00
A61P31/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/06
A61K9/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000086
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2020007053の分割
【原出願日】2017-03-30
(31)【優先権主張番号】62/315,144
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518333214
【氏名又は名称】アユヴィス リサーチ インク.
【氏名又は名称原語表記】AYUVIS RESEARCH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】アチャリャ スチスミタ
(72)【発明者】
【氏名】パンダ サントシュ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダス プラニャ
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル ビーモン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新規な生成物、バリアント、薬学的に許容される塩及びそれらのプロドラッグ、並びに敗血症、毒血症、敗血症性ショック、眼感染症、眼炎症、眼血管新生、関節リウマチ(RA)、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、喘息、慢性閉塞性肺疾患、発熱症候群、悪液質、乾癬、自己免疫疾患、心臓病、網膜芽腫、がん、並びに/又は炎症、免疫調節及び微生物感染に関連する任意の障害の治療及び/又は管理のためのそのような化合物の医学的使用を提供する。
【解決手段】下記化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VI)
【化1】
式VI
(式中、
n=0~1
R=ベンジル、置換ベンジル、
R
1=COCH
3、N-ジメチルマレイミド、
R
3=シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、ピペリジンニトロキシ、ピペリジン-N-ヒドロキシル、p-メトキシフェニルである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年3月30日出願の米国仮特許出願第62/315144号の利益を主張し、その出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規な生成物、それらのバリアント、薬学的に許容される塩及びプロドラッグ、並びに敗血症(sepsis)、毒血症(septicemia)、敗血症性ショック(septic shock)、眼感染症、眼炎症、眼血管新生、関節リウマチ(RA,rheumatoid arthritis)、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患(IBD,inflammatory bowel diseases)、喘息
、慢性閉塞性肺疾患、発熱症候群、悪液質、乾癬、自己免疫疾患、心臓病、網膜芽腫、がん、並びに/又は炎症、免疫調節及び微生物感染に関連する任意の障害の治療及び/又は管理のためのそのような化合物の医学的使用に関する。
【背景技術】
【0003】
敗血症は、米国において最も高額な入院費がかかる5つの疾患のうちの1つであると特定された。敗血症の転帰は、高齢患者、免疫不全患者及び重症患者において特に好ましくない。その臨床的課題に加えて、敗血症の治療は、世界中の医療システムに大きな経済的負担を課している。米国だけで毎年900,000例を超える症例が生じていると推定され、年間総費用は国全体で約260億ドルであると推定されている。現在、敗血症の治療には、3つの広範囲の補助的(非抗生物質)治療アプローチ:(1)支持療法の改善(すなわち、酸素治療/換気療法戦略、輸液の最適化/血管収縮薬の使用、早期目標指向型治療)、(2)細菌病原性因子へのターゲッティング(すなわち、抗エンドトキシン抗体、エンドトキシン除去カラム)、(3)宿主応答因子へのターゲッティング(すなわち、コルチコステロイド、抗サイトカイン薬、抗凝固剤)のうちの1つが典型的に使用されている。しかし、現在の療法は、敗血症及び敗血症性ショックに罹患している患者に完全には効果的でない。これらの治療法は、免疫不全患者及び高齢患者においては、さらに効果が低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、加齢性黄斑変性症(AMD,age-related macular degeneration)の病因などの炎症性疾患を治療するのに有用な、TLR4に対してアンタゴニスト活性を示す低分子量の水溶性オリゴ糖(化合物1~3)を提供することによって、従来技術の欠点を克服する。このような炎症状態としては、眼の炎症性疾患及び脈絡膜血管新生が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、本発明は、炎症の治療のための化合物(4、15、16及び25)に関する。いくつかの実施形態では、炎症は、複数菌感染によって引き起こされる場合がある。いくつかの実施形態では、化合物は、敗血症及び重篤な敗血症、SIRS及び敗血症性ショックの治療に使用を見出す。
【0005】
本発明の化合物は、LPS誘導ヒト単球アッセイにおいてTNF-α、IL-1β及びIL-6などの炎症性バイオマーカーを阻害し、単球において抗炎症性サイトカインIL-10を産生することにおいて優れた抗炎症活性を有することが、予想外に見出されている。本発明の化合物は、盲腸結紮穿刺モデルにおいて、大腸菌による致死的グラム陰性敗血症及び致死的複数菌敗血症の両方からマウスを保護した。したがって、本開示は、本明細書に開示される化合物を、それらを必要とする患者に投与することにより、LPS誘導ヒト単球アッセイにおいて、TNF-α、IL-1β及びIL-6などであるがそれらに限定されない、炎症性バイオマーカーを阻害する方法を提供する。さらに、本開示は、本
明細書中に開示される化合物を、それらを必要とする患者に投与することにより、大腸菌による致死的グラム陰性敗血症からマウスを保護する方法を提供する。本発明の化合物はまた、グラム陽性菌(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、グラム陰性菌(大腸菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ(A, Baumannii)、肺炎桿菌)の両方、並びに熱傷及び敗血症性創傷に主に見られる真菌(カンジダ・アルビカンス(C. Albicans))に対して、広域スペクトル抗菌活性を有することが、予想外
に見出されている。したがって、本開示は、本明細書中に開示される化合物を、それらを必要とする患者に投与することにより、グラム陽性菌(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、グラム陰性菌(大腸菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、肺炎桿菌)の両方、並びに真菌(カンジダ・アルビカンス)によって引き起こされる感染を治療する方法を提供する。本発明の化合物はまた、黄色ブドウ球菌によって形成されたバイオフィルムを阻害及び撲滅することも、予想外に見出されている。したがって、本開示は、黄色ブドウ球菌などであるがこれに限定されない微生物によって形成されるバイオフィルムを、本明細書中に開示される化合物と表面を接触させることにより、阻害又は撲滅する方法を提供する。本発明の化合物はまた、盲腸結紮穿刺(CLP,cecal ligation and puncture)誘導性の死亡及び臓器機能不全に対してマウスを保護
する上で、インビボでの優れた有効性を示した。本発明の化合物はまた、マウスマクロファージにおいてHMGB1誘導性炎症に対して優れた活性を有することが予想外に見出され、網膜色素上皮細胞(ARPE-19)におけるVEGF発現を低下させ、化合物の連日腹腔内注射により、CNV病変の平均サイズを、媒体(vehicle)のみで処置した対照
マウスのCNV病変の平均サイズの約60%に減少させることができた。したがって、本開示は、本明細書中に開示される化合物で対象を治療することによって、その治療を必要とする前記対象を、感染症又は感染に関連する障害から保護する方法を提供する。
【0006】
前述の簡単な概要は、本発明の特定の実施形態の特徴及び技術的利点について広く記載するものである。さらなる特徴及び技術的利点は、以下の発明の詳細な説明に記載される。本発明の特徴であると考えられる新規な特徴は、任意の添付の図面と関連させて考察する場合、本発明の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。しかし、本明細書で提供する図面は、本発明を説明するのを助けるか、又は本発明の理解を発展させるのを手助けすることを意図しており、本発明の範囲の定義を意図するものではない。
すなわち本発明は、以下に関する、
1.式(VI)
(式中、
n=0~1
R=ベンジル、置換ベンジル、
R1=COCH3、N-ジメチルマレイミド、
R2=シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、ピペリジンニトロキシ、ピペリジン-N-ヒドロキシル、p-メトキシフェニルである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物、
2.滅菌注射用水性若しくは油性懸濁液、又は滅菌局所ゲル、軟膏若しくは水性スプレーに製剤される、上記1に記載の組成物、
3.抗炎症剤、又は抗菌剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、上記1に記載の組成物
、
4.式(VI)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与し、それによって前記対象を治療することを含む、敗血症、敗血性ショック、毒血症、火傷又は創傷感染を治療するための上記1に記載の組成物の使用、
5.投与することが、約5.0mg~約100mgの式(VI)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与し、それによって前記患者を治療することを含む、上記4に記載の使用、
6.投与することが、約10.0mg~約1000mgの式(VI)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与し、それによって前記患者を治療することを含む、上記4に記載の使用、
7.式(V)
(式中、
n=0~5
R=H、C(O)CH3,C(O)-ピペリジンニトロキシ、C(O)-ピペリジンN-ヒドロキシル
R1=アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ピペリジンニトロキシル、ピペリジンN-ヒドロキシルである)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物、
8.滅菌注射用水性若しくは油性懸濁液、又は滅菌局所ゲル、軟膏若しくは水性スプレーに製剤される、上記7に記載の組成物、
9.抗炎症剤、又は抗菌剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、上記7に記載の組成物、
10.敗血症、敗血性ショック、毒血症、火傷又は創傷感染を治療するための上記7に記載の組成物の使用であって、それを必要とする対象に、式(V)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記使用、
11.医薬組成物が、それを必要とする患者に対して、約5.0mg~約100mgの式(V)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、それによって前記患者を治療する、又は医薬組成物が、それを必要とする患者に対して、約10.0mg~約1000mgの式(V)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、それによって前記患者を治療する、上記10に記載の使用、
12.式(II)
(式中、n=5~7である)
の化合物又は薬学的に許容されるその塩の有効量、及び、PLA又はPLGA微粒子を含
む、薬学的に許容される媒体を含む組成物、
13.滅菌注射用水性若しくは油性懸濁液に、又は滅菌局所眼用溶液として製剤される、上記12に記載の組成物、
14.抗炎症剤、又は抗菌剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、上記12に記載の組成物、
15.医薬組成物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量での、眼の血管新生、眼の炎症を治療するための式(II)の組成物の使用、
16.医薬組成物が、それを必要とする患者に対して、約5.0mg~約100mgの式(II)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、それによって前記患者を治療する、又は医薬組成物が、それを必要とする患者に対して、約10.0mg~約1000mgの式(II)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、それによって前記患者を治療する、上記15に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1又は2以上を参照することにより、よりよく理解され得る。
【
図1】マウス内毒素血症及び敗血症モデルにおける本発明のTLR4アンタゴニスト化合物1の評価結果を示すグラフであり、化合物1が、大腸菌による致死的グラム陰性敗血症からマウスを保護することを示している。
【
図2】盲腸結紮穿刺(CLP)モデルにおける本発明のTLR4アンタゴニスト化合物4の評価の結果を示すグラフであり、化合物4が、CLP誘導性複数菌敗血症及び死亡からマウスを保護することを示している。
【
図3】化合物4での治療において、本発明の化合物が主要な病理学的変化を逆転し、組織が擬似群に似ていることを実証する、主要臓器の組織病理学である。
【
図4】本発明の化合物4が、CLPマウスにおいてインビボで炎症性サイトカインを効果的にダウンレギュレートすることを実証した。
【
図5】盲腸結紮穿刺(CLP)モデルにおける本発明の化合物15及び25の評価の結果を示すグラフであり、両方の化合物が、CLP誘導性複数菌敗血症及び死亡からマウスを保護することを示している。
【
図6】滲出型AMDのレーザー誘導性CNVマウスモデルにおける本発明のTLR4アンタゴニスト化合物2の評価を示す。化合物2は、陽性対照と比較して、脈絡膜血管新生を約60%減少させた。
【
図7B】本発明の一連の化合物がTLR4受容体に効果的に結合し、TLR2受容体には結合しないことを示す。
【
図8B】は、本発明の化合物が、ヒト単球における炎症性メディエーターのLPS誘導性産生を阻害したことを実証する。
【
図9】本発明の化合物が、マウス骨髄由来マクロファージにおける炎症メディエーター(TNF-α)のHMGB1誘導性産生を阻害することを実証する。
【
図10】本発明の化合物が、マウスマクロファージにおける炎症メディエーター(TNF-α、i-NOS)のHMGB1誘導性産生を阻害し、M2バイオマーカーCXCR4をアップレギュレートすることを実証する。
【
図11】本発明の化合物が、抗炎症性サイトカインIL-10を産生することを示す。
【
図12】本発明の化合物(1及び2)がARPE-19細胞におけるVEGFのHMGB1誘導性産生を減少させたことを示す。
【
図13】本発明の化合物が広域スペクトル抗菌活性を有することを示す。
【
図14】本発明の化合物が、バイオフィルム形成を阻害したことを実証する。
【
図15】本発明の化合物の広域スペクトル抗菌活性が、細胞膜の破壊によるものであることを示す。
【
図16】本発明の化合物が、血漿タンパク質、血清タンパク質に結合しないことを実証する。
【
図17】本発明の化合物が線維芽細胞に対して毒性でないことを示す。
【
図18】化合物11を調製するための合成スキームを示す。
【
図19】化合物22~23を調製するための合成スキームを提供する。
【
図20】化合物24~25を調製するための合成スキームを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
グラム陰性菌によって引き起こされる敗血症において、リポ多糖(LPS,lipopolysachharide)は、シグナル伝達受容体であるToll様受容体4(TLR4)を介して免疫系を活性化し、過剰炎症の原因となる炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、ROS)の産生プロセスを開始する。したがって、TLR又は下流シグナル伝達経路を介した活性化のいずれかをブロックして、炎症分子の嵐を阻害するアンタゴニストを開発しようとする研究者もいる。しかし、おそらく臨床試験設計が不十分であるという理由で臨床試験に失敗した、LPSアナログであるエリトラン(Eritoran)を除いて、標的分子は、実験的研究及び前臨床的研究以上には進展していない(Opal, S. M.; Laterre, P.; Francois, B.; et al., Effect of eritoran,an antagonist of md2-tlr4, on mortality in patients with severe sepsis: Theaccess randomized trial. JAMA 2013, 309, 1154-1162)。大部分の他の種類の化合物の根底にある作用機序は完全には理解されていない(Leon, Carlos G.; Tory, Rita; Jia, Jessica; Sivak, Olena; Wasan,Kishor
M. a.Pharmaceutical Research (2008), 25(8), 1751-1761;SavvaAthina; Roger Thierry From Frontiers in Immunology (2013), 4387, Language:English, Database: MEDLINE)。
【0009】
本発明の化合物は、相乗的に炎症性微生物感染を阻害し、敗血症(sepsis)、毒血症(septicemia)及び敗血症性ショック(septic shock)を治療する治療可能性を有するIL-10などのM2バイオマーカーをアップレギュレートすることができる低分子である。
【0010】
増殖性糖尿病性網膜症(PDR,proliferative diabetic retinopathy)、滲出性加齢性黄斑変性症(AMD)及び未熟児網膜症(ROP,retinopathy of prematurity)によって例示されるような後眼部血管新生疾患は、増大するはかりしれない健康に対する脅威であり、有効な新規治療法を必要とする。PDRに関連する網膜血管新生は、労働年齢の成人における失明の主要な原因である。脈絡膜血管新生(CNV,choroidal neovascularization)は、米国において毎年200,000例の新規の滲出性AMD症例の原因であり、この新生血管病態は、非第3世界の国々における法的盲の主要原因となっている。2020年のAMD患者の推定数は1億9600万人であり、2040年には2億8800万人に増加するとされている(Wong, W. L.; Su, X.; Li, X.; Cheung, C. M. G.; Klein, R.; Cheng,C.-Y.; Wong, T. Y., Global prevalence of age-related macular degeneration anddisease burden projection for 2020 and 2040: a systematic review andmeta-analysis. The Lancet Global Health 2014, 2, e106-e116)。ROPに関連する病理学的血管新生は、7歳未満の小児における失明の主な原因である(Harrell, S. N.; Brandon, D. H., Retinopathy of Prematurity: TheDisease Process, Classifications, Screening, Treatment, and Outcomes. NeonatalNetwork 2007, 26, 371-378)。
【0011】
複数の証拠は、Toll様受容体(TLR4)シグナル伝達が、酸化脂質、リポフスチン(lipofuscin)による、及びドルーゼン成分によるAMD眼を含む、網膜疾患における病理学的変化と関連し得ることを示唆している(Cho, Y.; Wang, J. J.; Chew, E. Y.; Ferris, F. L.; Mitchell, P.;Chan, C.-C.; Tuo, J., Toll-like Receptor Polymorphisms and Age-Related MacularDegeneration: Replication in Three Case-Control Samples. InvestigativeOphthalmology & Visual Science 2009, 50, 5614-5618)。いったん
活性化されると、TLR4は、TNF-α、インターロイキン-1β、及び他の炎症誘発性メディエーターの放出などの複数の機序により、AMDの病因に寄与する可能性がある。TLR4活性化は、Wntシグナル伝達を抑制し、成長因子の発現、分泌を低下させ、酸化ストレスに応答して光受容体の死を増加させ、加えて光受容体の外側セグメントの酸化的損傷を引き起こす可能性がある。TLR4は、MAPK、NFκ-β及びJak1/Stat1を含むいくつかの炎症関連シグナル伝達経路に直接作用し、カスパーゼ-3、ニューロンiNOS及びERK1/2、JNK1/2及びp38を介して、神経毒性を媒介することが示されている。興味深いことに、網膜炎症における内因性光受容体タンパク質によるTLR4媒介性ミクログリア細胞活性化は、網膜細胞死を悪化させる可能性がある。最後に、虚血性神経組織における高移動度群ボックス1の放出は、網膜血管新生に寄与するTLR4依存性応答を開始することが示されている(He, C.; Sun, Y.; Ren, X.; Lin, Q.; Hu, X.; Huang, X.; Su, S.-B.;Liu, Y.; Liu, X., Angiogenesis mediated by toll-like receptor 4 in ischemicneural tissue. Arterioscler Thromb Vasc Biol.
2013, 33(2):330-8)。
【0012】
したがって、炎症のための、特に、萎縮型及び滲出型両方のAMD病因のための、より効果的な治療の必要性が存在する。したがって、本明細書に記載の化合物及び方法は、TLR4活性の阻害が、AMD及び他の網膜疾患において治療的価値があることを実証した。本発明の化合物は、血管新生、炎症を相乗的に阻害し、食作用を促進することができる、AMDを治療する治療可能性を有する低分子である。
【0013】
しかしながら、本開示の前には、萎縮型/滲出型AMD、糖尿病性網膜症、又は任意の慢性眼炎症などの眼の適応症の炎症及び血管新生を阻害するためのTLR4アンタゴニストとしての、キトヘキサオース(化合物1)、キトヘパトース(化合物2)及びキトオクタオース(化合物3)及びその誘導体の使用について発表された報告はないと思われる。
【0014】
一実施形態では、本開示の原理は、式(I)
【0015】
【化1】
(式中、
R=H、C(O)R1、アルキル、ベンジル、置換ベンジル、
R1=CH3、アルキル、ピペリジンニトロキシル
R2=H、C(O)R1、又は
次の式のアシルオキシアルキルカルバメート、
R2=C(O)OCHR3OC(O)OR4、ピペリジンニトロキシル
R3=H、CH3、C2H5、イソプロピル
R4=最適に置換されたアルキル基
X=O、NH、S
R5=アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ピペリジンニトロキシル、ピペリジンN-ヒドロキシルアミン
n=0~7である)
の化合物を提供する。
【0016】
別の実施形態では、本開示は、式(II)
【0017】
【化2】
(式中、n=2~7である)
の化合物を提供する。
【0018】
本開示のさらなる化合物は、以下に示す以下の構造を含む:
【0019】
【0020】
本開示の化合物(2、3)は、マウス骨髄由来マクロファージ及びヒト単球におけるLPS及びHMGB1誘導性炎症バイオマーカー(TNF-α、IL-1β及びIL-6)を阻害することにおいて、予想外に強力な活性を示した。化合物1及び2は、ARPE-19細胞におけるVEGFの産生を減少させる。化合物2は、滲出型AMDのレーザー誘導性マウスモデルにおいて、CNVサイズの有意な減少を示した。本発明の化合物(1~3)は、従来技術で利用可能な知識と関連して、
図19に示す合成スキームを用いて合成することができ、必要に応じて改変することができる。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、式(III)
【0022】
【化4】
(式中、
n=0~5
R=COR1
R1=CH3、アルキルである)
の化合物を提供する。
【0023】
本発明のさらなる化合物は、以下に示す以下の構造を含む:
【0024】
【0025】
本発明の化合物(4)は、ヒト単球におけるLPS誘導性炎症バイオマーカー(TNF-α、IL-1β及びIL-6)の阻害において、予想外に優れた活性を示した。
図2~4に示すように、化合物4は、10mg/kgの静脈内(IV)投与で、盲腸結紮穿刺(CLP)敗血症モデルのマウスを臓器機能不全及び死亡に対して保護するのに優れた有効性を実証し、TNF-α、IL-1β及びIL-6などの炎症性サイトカインを統計学的に有意にダウンレギュレートした。
【0026】
本発明の化合物(4~6)は、Mohamed R. E et al, Carbohydrateresearch, 2001, 331, 129-142に記載の報告された手順を用いて、合成することができる。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、式(IV)
【0028】
【化6】
1.
(式中、
R=H及びC(O)R1
R1=ピペリジンニトロキシル又はピペリジンN-ヒドロキシルアミン
n=0~7である)
の化合物を提供する。
【0029】
本発明のさらなる化合物は、以下に示す以下の構造を含む:
【0030】
【0031】
【0032】
本発明の化合物(11)は、ヒト単球におけるLPS誘導性炎症バイオマーカー(TNF-α、IL-1β及びIL-6)の阻害において、予想外に優れた活性を示した。した
がって、化合物は、抗炎症性化合物としての用途が見出される。本発明の化合物(7~11)は、従来技術で利用可能な知識と組み合わせて、
図18に示す合成スキームを用いて合成することができる。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、式(V)
【0034】
【化9】
(式中、
n=0~5
R=H、C(O)CH3,C(O)-ピペリジンニトロキシ、C(O)-ピペリジンN-ヒドロキシル
R1=アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ピペリジンニトロキシル、ピペリジンN-ヒドロキシルである)
の化合物を提供する。
【0035】
本発明のさらなる化合物は、以下に示す以下の構造を含む:
【0036】
【0037】
本発明の化合物(12~25)は、ヒト単球におけるLPS誘導性炎症バイオマーカー(TNF-α、IL-1β及びIL-6)の阻害を示し、抗炎症性サイトカインであるM
2バイオマーカーIL-10をアップレギュレートさせた。化合物12はまた、グラム陰性菌、グラム陽性菌及び真菌に対して広域スペクトルの抗菌活性を示した。化合物12は、MSSA及びMRSAによるバイオフィルム形成を予想外に阻害した。化合物25は、静脈内に投与した場合(10mg/kg用量)、敗血症のCLPマウスモデルにおいて高い生存率、臓器保護を実証した。したがって、本明細書に記載の化合物は、いくつかの実施形態では抗炎症分子としての用途を見出す。いくつかの実施形態では、化合物は、抗感染性又は抗菌性である。
【0038】
【化11】
式中、
n=0~1
R=ベンジル、置換ベンジル、
R1=COCH3、N-ジメチルマレイミド、
R3=シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、ピペリジンニトロキシ、ピペリジン-N-ヒドロキシル、p-メトキシフェニルである。
【0039】
本発明のさらなる化合物は、以下に示す以下の構造を含む:
【0040】
【0041】
本発明の化合物は、ヒト単球におけるLPS誘導性炎症バイオマーカー(TNF-α、
IL-1β及びIL-6)の阻害を示し、IL-10をアップレギュレートさせた。化合物15はまた、グラム陰性菌、グラム陽性菌及び真菌に対して広域スペクトルの抗菌活性を示した。化合物15は、MSSA及びMRSAによるバイオフィルム形成を予想外に阻害した。化合物15は、静脈内に投与した場合(5.0mg/kg用量)、敗血症のCLPマウスモデルにおいて高い生存率、臓器保護を実証した。本発明の化合物は、従来技術で利用可能な知識と関連して本発明者らが開発した、
図19に示す合成スキームを用いて合成することができる。
【0042】
さらに、特定の実施形態は、本発明による化合物の薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩は、アレルギー反応又は毒性などの不適当な望ましくない作用を伴うことなく、疾患を治療するのに適切である、本発明による化合物の可溶性又は分散性形態を含むが、これらに限定されない。代表的な薬学的に許容される塩としては、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩又はリン酸塩などの酸付加塩、及びリチウム、ナトリウム、カリウム又はアルミニウムなどの塩基付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
製剤
いくつかの実施形態では本開示の化合物は、非経口製剤に組み込まれる。本明細書で使用する「非経口」という用語には、種々の注入技術を用いた皮下、静脈内、筋肉内及び動脈内注射が含まれる。本明細書で使用する動脈内及び静脈内注射には、カテーテルによる投与が含まれる。特定の適応症に好ましいのは、内毒素血症又は敗血症の治療のための静脈内注射などの、治療する組織又は器官へ迅速なアクセスができる投与方法である。
【0044】
本開示の化合物は、標的細胞のLPS活性化を適切に阻害する用量で投与し、一般に、これらの用量は、好ましくは50~3000mg/患者、又は100~2500mg/患者、又は200~2000mg/患者、又は500~1000mg/患者、又は750~1000mg/患者であり、より好ましくは、500~750mg/患者、最も好ましくは250~500mg/患者である。用量は、好ましくは、1日1回、28日間、より好ましくは、1日2回、14日間、又は最も好ましくは、1日3回、7日間である。
【0045】
活性成分を含有する医薬組成物は、意図した投与方法に適切な任意の形態であり得る。
【0046】
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合して、活性物質を含有する。このような賦形剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアガムなどの懸濁化剤、並びに天然に存在するリン脂質(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などの分散剤又は湿潤剤が挙げられる。水性懸濁液はまた、p-ヒドロキシ安息香酸エチル又はp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1又は2以上の防腐剤を含有してもよい。
【0047】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、滅菌注射用水性又は油性懸濁液のような、滅菌注射用製剤の形態である。この懸濁液は、前述の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、周知の技術に従って製剤することができる。滅菌注射用製剤はまた、1,3-ブタンジオール溶液などの、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であってもよく、又は凍結乾燥粉末として調製してもよい。使用することができる許容される媒体及び溶媒の中には、水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油は、従来、溶媒又は懸濁媒体として使用することができ
る。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の低刺激性不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸も同様に、注射剤の調製に使用することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、製剤はPLA又はPLGA微粒子を含み、さらにNa2HPO4、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、塩化ナトリウム及び/又はエデト酸二ナトリウムと混合することができる。
【0049】
非経口投与に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び意図したレシピエントの血液と製剤を等張とする溶質を含有し得る水性及び非水性の等張滅菌注射用溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量又は複数用量の密封容器、例えば、アンプル及びバイアルで提供されてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水を加えるだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末から調製することができる。
【0050】
しかし、任意の特定の患者の具体的な用量レベルは、使用する特定の化合物の活性、治療を受ける個体の年齢、体重、全般的健康状態、及び性別、投与時間及び投与経路、排泄率、以前に投与された他の薬物、並びに治療を受けている特定の疾患の重症度を含む種々の要因に依存することが理解されるであろう。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物はまた、約80%~約99.5%、好ましくは約90又は95%~約98.5%の適合性のある非水性の薬学的に許容される局所媒体を含有する。一部の媒体は、本開示のために本明細書に組み込まれる米国特許第4,621,075号に記載されている。これらの媒体は水を含まないことが好ましいが、本発明の組成物は、所望のゲルの形成に有意な悪影響を与えることなく、最大で約5%の水を含有することができる。これらの非水性媒体成分はまた、製薬業界において周知であり、これらの非水性媒体成分としては(これらに限定されるものではないが)、炭化水素油及びワックス、ラノリン及びラノリン誘導体、シリコーン油、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドエステル、脂肪族アルコール、脂肪酸アルキル及びアルケニルエステル、ジカルボン酸アルキル及びアルケニルジエステル、多価アルコール及びそれらのエーテル及びエステル誘導体、ワックスエステル及び蜜蝋誘導体などの短鎖アルコール及びケトン及びエモリエントが挙げられる。好ましい媒体は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの成分の混合物を組み込む。特に好ましい媒体としては、エタノール、n-プロパノール及びブタノール、特にエタノールが挙げられる。これらの好ましい溶媒はまた、ジイソプロピルセバケート、イソプロピルミリステート、メチルラウレート、シリコーン、グリセリン及びこれらの成分の混合物などの他の成分と組み合わせて、本発明にも有用な非水性媒体を提供することもできる。これらの追加成分のうち、ジイソプロピルセバケートが特に有用である。実際、好ましい媒体としては、約4:1~約1:4の重量比のエタノールとジイソプロピルセバケートの混合物が挙げられる。好ましい媒体は、約15%~約35%のジイソプロピルセバケート及び約65%~約85%のエタノールを含有する。
【0052】
本発明の組成物は、当該分野で確立された使用レベルで、局所医薬組成物の製剤において慣用的に使用する、適合性のある補助成分をさらに含有してもよい。これらの補助成分としては、薬学的活性成分(補助的抗菌成分又は抗炎症成分、例えば、ステロイドなど)、又は製剤それ自体を増強するために使用する成分(賦形剤、染料、芳香剤、皮膚浸透助剤、安定剤、防腐剤、及び抗酸化剤など)を挙げてよいが、これらに限定されない。本発明の組成物は、従来のゲル化剤の存在を必要とせずにゲル形成が可能であるので、そのよ
うな剤は好ましくは含まれない。このような剤の例としては、B.F.Goodrich Chemicals社、Cleveland、Ohioから市販されているCarbopol化合物などの、薬学的に許容される酸性
のカルボキシポリマーが挙げられる。
【0053】
本発明のゲル状組成物は、上記の成分の従来の混合によって製剤することができる。ゲル形成は、使用する成分に応じて、混合後約2分~約16時間以内に起こる。
【0054】
一実施形態では、一般的なトリガースプレー容器にパッケージ化されたクリーム、ローション又はゲルは、クリーム常用量を容器から噴霧した後に、目的の領域にしっかりと付着する。これは、参照により本明細書に組み込まれるWO98/51273に記載されている。したがって、一態様では、本開示は、本明細書に記載の化合物を単独で又は組み合わせて含む、局所塗布用の医薬用非エアロゾルスプレー組成物を提供する。化合物は、0.1重量%~20重量%、又はいくつかの実施形態では1重量%~15重量%、又はいくつかの実施形態では2重量%~10重量%の範囲の量のクリーム、ローション又はゲルで存在する。本発明で使用する化合物は、中性親水性マトリックスクリーム、ローション又はゲルに組み込むことができる。第1の好ましい実施形態では、局所塗布用のクリーム又はローションマトリックスは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを特徴とする。第2の好ましい実施形態では、ゲルは、架橋アクリル酸の高分子量ポリマーを特徴とする。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、主に局所医薬製剤及び化粧品において、油中水型及び水中油型エマルション用の乳化剤として広く使用される、非イオン性界面活性剤である。これは、本発明において、トリガー噴霧可能な非エアロゾルクリーム又はローションのベースとして特徴付けられる。ゲル形成に使用する架橋アクリル酸ポリマー(カルボマー)は、本発明の別の目的である。
【0055】
したがって、非エアロゾルスプレー用の特に適切なベースは、1~25%のポリオキシエチレンアルキルエーテル、3~40%の保湿剤及び0.1~1%の防腐剤(1又は複数)を含有するクリーム又はローションであり、100%に達するまでの残りは精製水である。適切には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ポリオキシル20セトステアリルエーテル(AtlasG-3713)、ポリオキシル2セチルエーテル(セテス-2)、ポリオキシル10セチルエーテル(セテス-10)、ポリオキシル20セチルエーテル(セテス-20)、ポリオキシル4ラウリルセチルエーテル(ラウレス-4)、ポリオキシル23ラウリルセチルエーテル(ラウレス-23)、ポリオキシル2オレイルエーテル(オレス-2)、ポリオキシル10オレイルエーテル(オレス-10)、ポリオキシル20オレイルエーテル(オレス-20)、ポリオキシル2ステアリルエーテル(ステアレス-2)、ポリオキシル10ステアリルエーテル(ステアレス-10)、ポリオキシル20ステアリルエーテル(ステアレス-20)及びポリオキシル100ステアリルエーテル(ステアレス-100)からなる群から選択される、1つ又は任意の組み合わせであり得る。適切な保湿剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール又はグリセリンからなる群から選択される1つ又は任意の組み合わせであり得る。適切な防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びその塩又はフェニルエチルアルコールからなる群から選択される1つ又は任意の組み合わせである。
【0056】
非エアロゾルスプレー用の別の適切なベースは、0.1~2.0%のカルボマー、0.1~1%のアルカリ溶液、3~40%の保湿剤及び0.1~1%の防腐剤又は防腐剤を含有するゲルであり、100%に達するまでの残りは精製水である。適切には、カルボマーは、カルボマー934、カルボマー940又はカルボマー941からなる群から選択される1つ又は任意の組み合わせであり得る。ゲル用の適切な湿潤剤、防腐剤及び精製水は、クリーム又はローションの場合と同じである。他の噴霧可能な製剤は、米国特許出願公開第2005/00255048号に記載されており、これは参照により本明細書に明示的
に組み込まれる。
【0057】
眼科用製剤(局所及び硝子体内投与):
本発明の化合物は、典型的には、眼科用組成物全体の小さなパーセンテージを占める。本発明の化合物は、典型的には、眼科用組成物の少なくとも0.01w/v%、より典型的には少なくとも0.1w/v%、さらにより典型的には少なくとも0.5w/v%である。本発明の化合物はまた、典型的には、眼科用組成物の5.0w/v%以下、さらにより典型的には3.0w/v%以下、さらにより典型的には1.5w/v%以下である。
【0058】
眼科用組成物はまた、典型的には、化合物を眼に送達するための適切な眼科用媒体を含む。眼科用組成物は、眼への局所又は硝子体内適用のために構成することができ、眼科用媒体は、適用方法に応じて異なる可能性があると考えられている。一般に、局所適用又は硝子体内適用のいずれかのために、眼科用組成物は水性であり、実質的な量の水を含むことが好ましい。典型的には、組成物は少なくとも30w/v%、より典型的には少なくとも80w/v%、さらにより典型的には少なくとも90w/v%の水(例えば精製水)を含む。
【0059】
硝子体内に適用するために、特に眼科用組成物がシリンジで眼に適用される場合、眼科用組成物は、水及び本発明の化合物のみを含むか又は本質的にそれからなることができる。持続的薬物放出のために、本発明の化合物のPLGA又はPLAミクロ粒子製剤は、Shelke et al [Drug Deliv Transl Res. 2011,(1): 76-90]に記載のように使用する。もちろん、眼科用組成物は、Na2HPO4、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、塩化ナトリウム及びエデト酸二ナトリウムなどの他の成分も同様に含むことができる。
【0060】
特に、水が被検化合物と組み合わされた直後にその局所適用を行うか、又は組成物が汚染を防止する方法でパッケージされている場合には、媒体は、局所適用のために水のみであるか又は実質的に水からなる場合もあり得る。しかし、眼科用組成物を長期間(例えば、複数日にわたり1日1回、2回、3回又はそれ以上、点眼薬からの滴として)に複数回投与する眼科用組成物として適用する場合、眼科用組成物は、抗菌剤又は防腐剤又は系、界面活性剤、緩衝剤、等張剤、抗酸化剤、粘度改質剤、これらの組み合わせなどの追加の成分を含む可能性が高いであろう。
【0061】
局所適用のために、本発明の組成物は、典型的には、抗菌剤を含む。可能性のある抗菌剤としては、過酸化水素、塩化ベンザルコニウムなどの塩素含有防腐剤又はその他が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、好ましい態様によれば、本発明の組成物は、塩化ベンザルコニウム(BAK、benzalkonium chloride)などの非高分子第四級抗菌剤
を完全に又は実質的に含まない。医薬組成物中の最も好ましい抗菌剤としては、高分子第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0062】
本明細書中で使用される場合、眼科用組成物の成分に言及する際の「実質的に含まない」という句は、眼科用組成物が、その特定の成分を全く欠いていてもよいし、又はその特定の成分をごくわずかのみ含むと考えられるということを意味する。
【0063】
本発明の組成物において有用な高分子第四級アンモニウム化合物は、抗菌効果を有し、眼科的に許容される化合物である。このタイプの好ましい化合物は、米国特許第3,931,319号;第4,027,020号;第4,407,791号;第4,525,346号;第4,836,986号;第5,037,647号及び第5,300,287号;並びにPCT出願公開WO91/09523(Dziaboら)に記載されており、これらは参照により本明細書に明示的に組み込まれる。最も好ましい高分子アンモニウム化合物は、
2,000~30,000の数平均分子量を有するポリクオタニウム1、あるいはPOLYQUAD(商標)又はONAMERM(商標)として知られている化合物である。好ましくは、数平均
分子量は3,000~14,000である。
【0064】
高分子第四級アンモニウム化合物は、一般に、懸濁液の約0.00001w/v%より大きい、より典型的には約0.0003w/v%より大きい、さらにより典型的には約0.0007w/v%より大きい量で、本発明の懸濁液中で使用する。さらに、高分子第四級アンモニウム化合物は、一般に、組成物の約3w/v%未満、より典型的には約0.003w/v%未満、さらにより典型的には約0.0015w/v%未満の量で、本発明の組成物中に使用する。
【0065】
本発明の組成物の抗菌剤は、追加的に又は代替的に、ボレート/ポリオール錯体系などの抗菌系を含むことができる。本明細書で使用される「ボレート」という用語は、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸誘導体及び他の薬学的に許容されるボレート、又はそれらの組み合わせを意味する。最も適切なものは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、及び他のホウ酸塩である。ボレートは、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール及びマンニトールなどのポリオールと相互作用して、ボレートポリオール錯体を形成する。このような錯体のタイプ及び比率は、互いに対してトランス立体配置ではない、隣接炭素原子上のポリオールのOH基の数に依存する。ポリオール及びボレートの成分の重量/体積百分率には、錯体の一部としてであってもそうでなくても、それらの量が含まれることを理解されたい。
【0066】
本明細書で使用する場合、「ポリオール」という用語は、互いに対してトランス立体配置ではない2つの隣接する炭素原子それぞれの上に、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する任意の化合物を含む。得られる錯体が水溶性で薬学的に許容される限り、ポリオールは直鎖又は環状、置換又は非置換、又はそれらの混合物であり得る。このような化合物の例としては、糖、糖アルコール、糖酸及びウロン酸が挙げられる。好ましいポリオールは、マンニトール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール及びプロピレングリコールを含むが、これらに限定されない糖、糖アルコール及び糖酸である。
【0067】
使用する場合、ボレート/ポリオール錯体抗菌系(すなわち、ボレートとポリオールが一緒になっている)は、典型的には、組成物の少なくとも0.05w/v%、より典型的には少なくとも0.5w/v%、場合によっては少なくとも1又は少なくとも1.2w/v%を構成し、また典型的には組成物の5w/v%未満、より典型的には2.2w/v%未満、場合によっては1.6w/v%未満を構成する。組成物中のボレート対ポリオール比(重量対重量比)は、典型的には1対1~1対10であり、より典型的には1対2~1対4(例えば、約1対3)である。
【0068】
チロキサポール、ポリソルベート-80及びポリオキシル硬化ヒマシ油は、好ましい界面活性剤である。チロキサポールは非常に好ましい界面活性剤である。使用する場合、界面活性剤は、典型的には、組成物の少なくとも0.01w/v%、より典型的には少なくとも0.025w/v%、場合によっては少なくとも0.1w/v%の濃度で存在し、また典型的には組成物の5w/v%未満、より典型的には2.0w/v%未満、場合によっては1.0w/v%未満の濃度である。
【0069】
局所適用に使用する本発明の組成物は、典型的には、眼に適合するように処方する。眼に直接適用することを意図した眼科用組成物は、眼に適合するpH及び等張性を有するように製剤する。組成物は、典型的には、4~9、好ましくは5.5~8.5、最も好ましくは5.5~8.0の範囲のpHを有する。特に所望のpH範囲は6.0~7.8、及びより具体的には6.4~7.6である。組成物は、200~400又は450ミリオスモ
ル/キログラム(mOsm/kg)、より好ましくは240~360mOsm/kgのオスモル濃度を有する
【0070】
本発明の好ましい組成物は、複数用量眼科用組成物であり、例えば、その組成物は点眼薬中にあり、眼に局所的に1日1回、2回、3回又はそれ以上の回数で1又は2滴以上の点眼液として投与することができる。その場合、組成物は、好ましくは、USP(米国薬局方)の保存効力要件並びに水性医薬組成物の他の保存効力基準を満たすのに十分な抗菌活性を有する。
【0071】
米国及び他の国/地域における複数用量の点眼液のための保存効力基準は、以下の表に記載されている:
【0072】
【0073】
欧州薬局方には2つの保存効力基準「A」及び「B」がある。
【0074】
USP27について上記に記述した基準は、USPの前の版、特にUSP24、USP25及びUSP26に記述されている要件と実質的に同一である
【0075】
追加の利点として、本発明のTLR4アンタゴニスト化合物を含有するこれらの眼科用組成物は、眼への局所適用に適している。
【0076】
本明細書に記載の製剤はまた、上記の抗菌剤、鎮痛剤などであってこれらに限定されるものではないが、追加の活性成分を含有してもよい。
【0077】
そのようなものであるから、本明細書に記載の化合物及び製剤は、AMD、敗血症及び重篤な敗血症、SIRS及び敗血症性ショックなどを含むが、これらに限定されない種々の眼炎症性疾患の治療に使用を見出す。この方法は、本明細書に記載の有効量の抗菌組成物及び抗炎症組成物を、それを必要とする患者に投与して疾患又は障害を治療することを含む。そのような化合物の医学的使用は、敗血症、新生児敗血症、毒血症、敗血症性ショック、火傷及び創傷、感染性心内膜炎、バイオフィルム阻害、眼感染症、眼炎症、眼血管新生、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、ブドウ膜炎、関節リウマチ(RA)、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支肺異形成症、発熱症候群、悪液質、乾癬、自己免疫疾患、心臓病、網膜芽腫、がん、及び/又は炎症、免疫調節及び微生物感染に関連する任意の障害の治療及び/又は管理のためのものである。
[実施例]
【0078】
実施した実験及び達成した結果を含む以下の実施例は、例証の目的のためにのみ提供し、本発明を限定するものと解釈するべきではない。
【実施例0079】
本発明の一連の化合物はTLR4受容体に効果的に結合し、TLR2受容体には結合しない:
ELISAプレートを、ヒト単球溶解物(市販のLeukoPak血液サンプルから単離したもの)でコートし、続いて
図6に示す一連の化合物(10μM)でコートした。次いでこれをヒト単球溶解物と共にインキュベートし、次いで抗TLR4及び抗TLR2抗体でプローブした。抗ヒトIgG-HRP陽性対照を用いてプレートを展開した。化合物1~3は、TLR4受容体に効果的に結合し、TLR2受容体には結合しない。より大きな鎖長アナログは、より強い拮抗作用を示した(
図7A)。同様に、他のアナログを、
図7Bに示すようにTLR4アンタゴニストアッセイについて評価した。要約すると、2つの24ウェルプレートにて、10%FBSO/Nを含むRPMIで50万個の細胞を増殖させた。翌日、下層を乱すことなく培地を取り出し、異なる濃度の化合物を加えて、総量0.5mlのRPMIにして、48時間インキュベートした。細胞を採取し、採取した培養液を、製造業者の指示(Raybiotech社)に従ってヒトTLR4 ELISAキットを用いて分析した。
【実施例0080】
ヒト単球における炎症性メディエーターの産生を阻害するための化合物を試験した:
最適な効力及び有効性のために、TLR4結合ポケットをプローブするための構造要件及び制限を理解するため、本発明者らは、ヒト単球におけるLPS誘導性炎症を阻害するキトオリゴマーの能力を試験した(
図8A-B)。化合物1~4は、10μM濃度で、統計学的に有意に、LPS誘導性サイトカインTNF-α、IL-1β及びIL-6を阻害した。化合物2及び4(10μM)は、炎症性サイトカインのLPS媒介誘導の阻害率に関して、キトヘキサオース(化合物1)(10μM)よりも強力であることが見出された(LPS対Chtxではp<0.001であり、一方LPS対化合物2又は4ではp<0.0001)。プロトコールは(Panda, S. K.; Kumar, S.; Tupperwar, N. C.; Vaidya, T.; George, A.;Rath, S.; Bal, V.; Ravindran, B., Chitohexaose Activates Macrophages byAlternate Pathway through TLR4 and Blocks Endotoxemia. PLoS Pathog 2012, 8,e1002717)に記載されている通りに行った。ヒト単球を、一連の化合物(10μM)
と共にLPSで48時間刺激した。培養上清中のTNF-α、IL-1β、IL-6を、製造者の指示に従って定量した。同様に、ヒト単球におけるLPS誘導TNF-α産生を
阻害する能力について他のアナログを評価した。化合物12、15、16、39、40、41、42、25は、100μM濃度で、TNF-αの強力な阻害剤であることが見出された(
図8B)。
【実施例0081】
化合物1、2及び26は、マウス骨髄由来マクロファージにおける炎症メディエーター(TNF-α)のLPS誘導産生を阻害する:
骨髄由来マウスマクロファージを、100μMの上記被検化合物で8時間処理した。TNF-αなどの前炎症性サイトカインタンパク質レベルを、リアルタイムRT-PCRによって測定した。LPS処理(10ng/ml)を陽性対照として使用した(
図9)。
【実施例0082】
化合物26は、マウスマクロファージにおける炎症メディエーター(TNF-α、i-NOS)のHMGB1誘導性産生を阻害し、M2バイオマーカーCXCR4をアップレギュレートする:
TNF-α及びiNOSの発現は、両方とも、マクロファージにおいて化合物26によって阻害された。興味深いことに、M2マクロファージマーカーであるCXCR4は化合物26によりアップレギュレートされ、これは、マクロファージの極性化に対する潜在的な影響を示唆し、免疫調節活性を示唆している。マウス骨髄由来マクロファージを、100μMの化合物26と共に又はなしで、8時間HMGB1で処理した。TNF-α、iNOS及びCXCR4のmRNAレベルをリアルタイムRT-PCRによって測定し、対照細胞の発現レベルに対して正規化した(
図10)。
【実施例0083】
本発明の化合物は、抗炎症性サイトカインIL-10を産生する:
インターロイキン10(IL-10)は、病原体に対する宿主の免疫応答を制限し、それにより宿主への損傷を防ぎ、正常な組織のホメオスタシスを維持する上で中心的な役割を果たす、強力な抗炎症特性を有するサイトカインである。IL-10の調節不全は、感染に応答して増強された免疫病理学及び多くの自己免疫疾患の発症のリスク増加に関連する。ここでは、ELISAアッセイを用いて、PBMC中のIL-10レベルのアップレギュレートについて本発明の化合物を評価した(
図11)。要約すると、2つの24ウェルプレートにて、10%FBS O/Nを含むRPMIで50万個の細胞を増殖させた。翌日、下層を乱すことなく培地を取り出し、異なる濃度の化合物(0、1、10、100μM)を加えて、RPMIで総量0.5mlにして、これを48時間インキュベートした。細胞を採取し、採取した培養液を、製造業者の指示(Raybiotech社)に従ってELISAキットを用いて分析した。
【実施例0084】
キトヘキサオース(化合物1)は、大腸菌による致死的グラム陰性敗血症からマウスを保護した:
インビボマウスモデルにおいて、キトヘキサオース(化合物1)は、大腸菌による致死的グラム陰性敗血症からマウスを保護した。以前報告した細菌性敗血症モデル[Roger etal, Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Feb 17;106(7):2348-52]を、化合物1の有効性を試験するために採用した(
図1)。2x105CFUの大腸菌(ATCC-25922)を、化合物1(250μg/動物)と共に又はなしで、BALB/cマウスの腹腔内に注射した。大腸菌媒介敗血症は死亡を誘導したが、化合物1で同時処置したマウスは、敗血症誘導死から保護された(40%)。上記の結果は、細菌誘導性敗血症及び死亡が、治療時間枠となり得る一定期間において、阻害及び遅延されることを説明した。
【実施例0085】
化合物4、15及び25は、マウスをCLP誘導性複数菌感染及び敗血症から保護した:
この概念を証明し、実現可能性を実証するために、本発明者らはCLPマウスモデルにおいて化合物4を試験した。CLPモデルは、盲腸の穿孔からなり、この穿孔により、糞便物質が腹腔内に放出され、複数菌感染によって免疫応答の悪化が誘導される。このモデルは、臨床的に関連するヒトの状態を満たす。以前報告されたCLP敗血症プロトコール(Toscano et al, Journal of VIsualized Experiments: 2011, (51), 2860)を、化合物4の有効性を試験するために採用した。CLP群及びCLPに生理食塩水(0.5%)及び抗生物質(primaxin,5mg/kg)を加えた群のC57BL/6マウス(JacksonLaboratories社、10~12週、N = 15)に、手術16時間後、40時間後に、化合物4(10mg/kg)を静脈内注射した。結果として、CLP媒介性敗血症は臓器機能不全及び死亡を誘導したが、化合物4でマウスを同時処置したところ、
図2に示すように、敗血症誘導死(14/15)からマウスを保護した(約93%)。本発明者らはまた、標準ポイントオブケア抗生物質(the standard point of care anti-biotics)primaxin(
5mg/kg)と組み合わせて、化合物4が、敗血症誘導死(14/15)からマウスを保護し(約93%)、同時に体温低下、震え、体寄せ合い行動(huddling)、食欲不振、動きの減少、心拍数及び呼吸数の上昇などの臨床症状を遅延させることを実証した。
【0086】
化合物25(10mg/kg)及び化合物15(5.0mg/kg)はまた、
図5に示すように、敗血症誘導性死からマウスを保護した(約60%)。本発明者らはまた、標準的ポイントオブケア抗生物質primaxin(5mg/kg)と組み合わせて、両化合物が、敗血症誘導死からマウスを保護し(約60%)、同時に体温低下、震え、体寄せ合い行動、食欲不振、動きの減少、心拍数及び呼吸数の上昇などの臨床症状を遅延させることを実証した。
【実施例0087】
CLP後マウスの器官組織の組織病理
擬似、CLP及び化合物4処置マウスの種々の器官のヘマトキシリンエオジン(H/E)染色を行った。要約すると、組織を採取した後、それらを10%中性緩衝ホルマリンで固定し、処理し、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリン-エオジンルーチン染色用に4μの切片にした。CLPマウスは、心臓、肺、肝臓、腎臓及び脳における微小血栓及び鬱血、脾臓における胚中心サイズの増大、腸内の絨毛壊死及び精巣上皮の喪失を示した。化合物4を用いた処置では、これらの変化は全て、かなりの程度逆転し、組織は擬似群に似ていた(
図3)。
【実施例0088】
CLP後血清のバイオマーカー試験:
手術48時間後に尾静脈から採取した血漿を-30℃で保存し、擬似群、CLP群、CLP+化合物4群、CLP+プリマキシン群、CLP+プリマキシン+化合物4群及び対照(生理食塩水を注射)群の、TNF-α、IL-6、及びIL-βレベルについて分析した。化合物4は、単独又は抗生物質プリマキシンと組み合わせて、CLPマウス群と比較して、TNF-α、IL-1β及びIL-6のレベルを統計的に有意に減少させた(n=4、p<0.0005)(
図4)。要約すると、市販されているELISAキットを用いて、サンドイッチELISA法により上記サイトカインを推定した。ELISAプレートを捕捉抗体でコートし、続いて被検試料及び適切な標準物質と共にインキュベートした。次いでそれをビオチン標識二次抗体及びアビジン-ペルオキシダーゼでプローブした。TMBを用いて発色させ、光学濃度(OD、optical density)を記録した。
【実施例0089】
本発明の化合物は、広域スペクトル抗菌活性を有する:
選択されたグラム陰性菌(大腸菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、肺炎桿菌)、グラム陽性菌(MRSA)並びに熱傷及び敗血症性創傷に主に見られる真菌(カンジダ・アルビカンス)に対して、化合物をスクリーニングした。それらの大部分は、MIC90が50~200mg/Lの抗菌活性を示した(
図13)。全ての調製化合物は、ブロス微量希釈感受性試験のためのClinical Laboratory Standards Institute(CLSI)のガイ
ドラインに従って、被検物質及び対照物質の両方を用いた最少阻害濃度(MIC、Minimum InhibitoryConcentrations)アッセイで評価した。要約すると、被検化合物及び対照
化合物をDMSOに溶解し、適切な濃度に希釈し、96ウェル微量希釈トレイに加えた。黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、肺炎桿菌、アシネトバクター・バウマンニ及びカンジダ・アルビカンスなどの細菌株を用いる試験には、ブレインハートインフュージョンブロス(BHI、Brain Heart Infusion Broth)を用いた。化合物を200μg/mlから0.0625μg/mlまで連続的に希釈して、96ウェルプレートにプレーティングし、各生物約1x105CFUを播種した。MIC終末点は、微量希釈において生物の増殖を完全に阻害する被検化合物又は対照化合物の最低濃度として、24時間後の各化合物について決定した。
【実施例0090】
本発明の化合物はバイオフィルム形成を阻害した:
インビトロ抗菌MICデータに基づいて、我々はMRSAに対するさらなる試験のために3つの化合物1、12及び15を選択した。3種の化合物全ては、陽性対照として使用したコリスチン(標準治療用抗生物質)と比較して、MRSA及びMSSA株に対してより良好な活性を示した(
図14)。さらに、以前記載されたように(Ceri, H.; Olson, M. E.; Stremick, C.; Read, R. R.; Morck, D.; Buret,A., The CalgaryBiofilm Device: New Technology for Rapid Determination ofAntibiotic Susceptibilities of Bacterial Biofilms. Journal of ClinicalMicrobiology 1999, 37, 1771-1776)、バイオフィ
ルム細胞に対するバイオフィルム阻害及び撲滅活性(eradication activities)を試験した。MRSAに対する化合物15のバイオフィルム最小撲滅濃度(MBIC、minimum biofilm eradication concentrations)は、コリスチンよりも優れていた。したがって、黄色ブドウ球菌バイオフィルムに対する活性を有するこれらの化合物は、撲滅が難しいバイオフィルム媒介性血管内感染のコントロールに有意な影響を及ぼす[Li et al, J Infect
Dis. 2016 Nov 1;214(9):1421-1429;Archer, N. K.;Mazaitis, M. J.; Costerton, J.
W.; Leid, J. G.; Powers, M. E.; Shirtliff, M. E., Staphylococcus aureusbiofilms: Properties, regulation and roles in human disease. Virulence 2011, 2,445-459]。要約すると、化合物に対するバイオフィルム感受性のためにカルガリーバイオフィルムデバイス(CBD,Calgary Biofilm Device)技術を使用した。CBDは、標準96ウェル技術により、抗生物質感受性アッセイ用に96等量のバイオフィルムを生成する。標準群の化合物及び抗生物質に対する感受性は、以前記載されたように、国立臨床検査標準委員会(NCCLS,National Committee for Clinical Laboratory Standards)により決定された。
【実施例0091】
本発明の化合物の広域スペクトル抗菌活性は、細胞膜の破壊によるものである:
指数関数的に増殖するMRSA及び膜の完全性に対するAVR化合物の効果を評価した。リン酸塩緩衝生理食塩水に再懸濁したMRSAを、ブレインハートインフュージョンブロス中でMIC値の抗生物質並びにAVR化合物1、12及び15に、30分及び1時間曝露した後、培養濾液中の漏出細胞物質の吸光度を260nmの光学濃度で検出して測定した(
図15)。
【実施例0092】
本発明の化合物は、血漿タンパク質、血清タンパク質に結合しない。
全身、経口又は局所用の薬物候補を設計する際の主要な困難の1つは、血漿タンパク質、血清タンパク質へ薬物が結合することによるそれらの血漿/組織生物学的利用能の不良である。したがって、我々は、10%ウシ血清(GIBCO社、MA)を含有するDMEM中にお
ける微量希釈MICにより化合物活性に対する血清の影響を試験した(Hurdle, J. G.; Lee, R.B.; Budha, N. R.; Carson, E. I.; Qi, J.; Scherman, M. S.; Cho, S. H.; McNeil,M. R.; Lenaerts, A. J.; Franzblau, S. G.; Meibohm, B.; Lee, R. E., Amicrobiological assessment of novel nitrofuranylamides as anti-tuberculosisagents. Journal of Antimicrobial Chemotherapy 2008, 62, 1037-1045)。結果は、全ての化合物
がMRSAに対して活性であり、血清タンパク質に結合せず、それらが標的組織において良好な生物学的利用能を有することを示唆した(
図16)。
【実施例0093】
本発明の化合物は、線維芽細胞に対して毒性ではない:
細胞毒性及び治療指数をまた、MEFマウス線維芽細胞株(ATCC、Manassas、VA)を抗生物
質コリスチン及びAVR化合物に24時間曝露し、続いて以前記載されたMTT[3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロミド、ThermoFischer社、MA]アッセイにより評価した。MEFマウス線維芽細胞株における全てのAVR化合物の細胞毒性を
図17に示し、これは、AVR化合物が、創傷治癒過程において決定的に重要な線維芽細胞の増殖を損なうことなく、MRSAの増殖を選択的に阻害することを示している。
【実施例0094】
化合物1及び2は、ARPE-19細胞におけるVEGFの産生を減少させた:
光受容体の生存及び機能の中心であるRPEは血管新生因子VEGFの主要な供給源であり、したがって、AMDをもたらす脈絡膜血管新生の調節及び成長においてに中心的役割を果たす(Spilsbury, K.; Garrett, K. L.; Shen, W.-Y.; Constable, I. J.;Rakoczy,
P. E., Overexpression of Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF) in theRetinal Pigment Epithelium Leads to the Development of ChoroidalNeovascularization. The American Journal of Pathology 2000, 157, 135-144;Betts, B. S.; Parvathaneni, K.; Yendluri, B. B.; Grigsby, J.; Tsin,A. T. C., Ginsenoside-Rb1 Induces ARPE-19 Proliferation and Reduces VEGFRelease. ISRN Ophthalmology 2011, 2011, 184295)。化合物1及び2がHMGB1(TLR4の内因性リガンド)を阻害できるかどうか
を評価するための本発明者らの予備的結果の一部として、ARPE-19細胞におけるVEGF産生を誘導した。
図12は、化合物1及び2(50μg/mL)が、ARPE-19細胞におけるHMGB1誘導VEGF産生を、統計的に有意に(p<0.01)、効果的に減少させることを示した。2×105個のARPE-19細胞を、24時間、24ウェルプレート中の、10%血清を含む完全培地に播種し、その後血清を含まない培地でさらに24時間維持した。50μg/mLの被検化合物と共に又はそれなしで、細胞を0μg/mL(培地)又は100ng/mLのHMGB1で24時間処理した。上清を採取し、Peprotech社製のヒトVEGF ELISAキットを用いて製造者の指示に従って、ア
ッセイを行った。RPE細胞は、脈絡膜毛細血管及び眼の他の主要な脈管構造に隣接して位置する。したがって、これらの知見は、化合物1及び2がAMD及び網膜症の発症に寄与する脈絡膜及び網膜毛細血管の血管新生の阻害(TLR4の阻害及びVEGFの減少を介して)に有意な効果を有し得ることを示唆する。
【実施例0095】
化合物2は、滲出型AMDのレーザー誘導CNVマウスモデルにおいて、陽性対照と比較して約60%脈絡膜血管新生を減少させた:
AVR化合物のインビボ血管新生抑制効果を実証するために、本発明者らは、レーザー誘導CNVマウスモデルにおいて化合物を試験した(
図5)。レーザーインジェクタ(Phoe
nix Research Laboratories社、Pleasanton、CA)を用いたMicronIV眼底イメージングシ
ステムに接続したIridex Oculight GL 532nmダイオードレーザー(Mountain View、CA)
を使用して、C57BL/6(10~12週)に、レーザーCNVを誘導した。成功したレーザースポット(ブルッフ膜の破裂を示すガス泡の形成によって確認される)を再現可能に得るために使用したパラメータは、350mW、75msec、及び50μmのスポットサイズであった。4つのレーザースポットを適用した。視神経から2~3の乳頭径。レーザー照射後、2、4及び6日目にマウスをPBS(陰性対照)、化合物1、2及び26、又は陽性対照(抗VEGF抗体)のいずれかで処置した(n=4~6マウス/群)。化合物1、2及び26及びBSS(媒体)を、1日1回腹腔内注射により投与し、この注射をレーザー照射の1日前に開始し、レーザー照射後10日間続けた。実験の終了までに、マウスの眼を、フルオレセイン眼底血管造影及び/又は光干渉断層撮影(OCT、optical coherence tomography)で検査して、CNV病変を視覚化した。その後、動物を犠死させ、RPE/脈絡膜/強膜フラットマウントを調製し、FITC結合イソレクチンB4及び抗ICAM-2抗体の両方で染色して、CNVのサイズを定量的に測定した。レーザー誘導CNVに対する1、2、26の効果を試験するために、2つの実験を行った。
図5に示すように、化合物2を毎日200μg腹腔内注射することにより、CNV病変の平均サイズを、媒体のみ(平衡塩緩衝液)で処置した対照マウスのCNV病変の平均サイズの約60%に減少させることができ、陽性対照と同等であった。
【実施例0096】
化合物11の合成:
メタノール5mL中のキトトリオース(10mg、0.015mmol)に、4-カルボキシ-TEMPOのメタノール溶液(4.5mg、0.026mmol)を加えた。これに、DCC(4.66mg、0.026mmol)及びcatDMAPのメタノール溶液を加え、室温で48時間撹拌し、2℃で12時間冷却した。エーテルを加えて白色固体を沈殿させ、濾過し、乾燥させて4.0mgの白色粉末を得た。LC/MS=684(M+1)、1HNMR(DMSO-D6,500MHz):δ 1.15(s,12H)
、1.35~1.55(m,4H)、1.97~2.05(bs,10H)、2.43(m,1H)、2.80~3.23(m,4H)、3.25~3.66(m,11H)、4.07(s,2H)、4.41(s,2H)、4.65(s,2H)、5.18(d,1H)、5.52(bs,2H)、8.15(d,1H,NH)。
【0097】
化合物30の合成:
EtOH(500mL)中のD-グルコサミン29(100g、0.55mol)の撹拌懸濁液に、NaOEt(30g、0.55mol)を加えた。10分後、混合物をジメチルマレイン酸無水物(0.5当量)で処理し、20分間撹拌した。トリエチルアミン(65.2mL、0.465mol)を加え、反応混合物を再び残りのジメチルマレイン酸無水物(0.5当量)で処理した。反応混合物を2時間撹拌しながら60℃に温め、EtOHを蒸発させ、乾燥させた。残留物をピリジン、無水酢酸で処理し、室温で20時間撹拌した。反応をTLCでモニターし、溶媒を蒸発させ、残留物を氷に注ぎ、クロロホルム(3×1L)で抽出し、塩酸水溶液(3%)1L、飽和重炭酸ナトリウム溶液(1L)、蒸留水(1L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。残留物を、溶出液として石油エーテル中のEtOAc(20~30%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物30(80g、約37%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.91(3H,s)、1.94(6H,s)、2.01(s,3H)、
2.03(s,3H)、2.09(s,3H)、3.92~3.96(m,1H)、4.0~4.12(dd,1H)、4.18~4.23(dd,1H)、4.30~4.33(dd,1H,J=4.4Hz)、5.14(t,1H,J=9.2Hz)、5.69(t,1H,J=9.2Hz)、6.34(d,1H,J=8.8Hz)。
【0098】
化合物31の合成:
30(100g、0.219mol)のDMF溶液に、23℃でヒドラジン水和物(12ml、0.219mol)をゆっくり加え、同じ温度で5~6時間撹拌し、TLCでモニターした。反応混合物を酢酸エチル(2L)で希釈し、水(3×1L)、ブライン(1L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて、化合物31(65g、約71%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.85(s,3H)、1.9
0(s,6H)、1.98(s,3H)、2.05(s,3H)、3.79~3.84(m,1H)、3.95~4.06(dd,1H)、4.10~4.13(dd,1H)、4.20~4.24(dd,1H)、5.06(t,1H,J=9.6Hz)、5.42(d,1H,J=8.4Hz)、5.60(t,1H,J=9.6Hz)。
【0099】
化合物32の合成:
化合物31(35g、0.084mol)及びイミダゾール(14.4g、0.211mol)の撹拌DCM溶液に、23℃でTBDMSCl(15.2g、0.101mol)を少しずつ加え、同じ温度で16時間撹拌し、TLCでモニターし、DCM(1L)で希釈し、水(2×1L)、ブライン(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。残留物を、溶出液として石油エーテル中のEtOAc(15~20%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物32(27g、約61%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 0.01(s,3H
)、0.05(s,3H)、0.76(s,9H)、1.91(s,3H)、1.93(s,6H)、2.01(s,3H)、2.07(s,3H)、3.80~3.83(m,1H)、3.98~4.03(dd,1H)、4.10~4.14(dd,1H)、4.20~4.24(dd,1H)、5.05(t,1H,J=9.6Hz)、5.36(d,1H,J=8.4Hz)、5.66(t,1H,J=9.6Hz)。
【0100】
化合物33の合成:
化合物32(27g、0.051mol)の撹拌MeOH(100mL)溶液に、23℃でNaOMe(2.76g、0.052mol)を少しずつ加え、同じ温度で3~4時間撹拌した。反応をTLCでモニターし、MeOHを減圧下で濃縮し、水50mLで希釈し、pHを6.5~7.0に調整し、固体を濾過し、乾燥させて、純粋な化合物33(16g、約77%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 0.03(s
,3H)、0.05(s,3H)、0.76(s,9H)、1.94(s,6H)、3.45~3.47(m,1H)、3.57~3.61(m,1H)、3.77~3.90(m,3H)、4.21(t,1H,J=8.0Hz)、5.23(d,1H,J=8.0Hz)。
【0101】
化合物34の合成:
トルエン(400mL)中の化合物33(30g、0.074mol)及びジブチルスズオキシド(37.25g、0.149mol)の懸濁液を還流下で12時間加熱し、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(55.2g、0.149mol)及び臭化ベンジル(25.5g、0.149mol)を加え、混合物を3時間穏やかに還流し、反応混合物を冷却し、濃縮して粗生成物を得た。残留物を石油エーテル中の15~20%EtOAcを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物34(25g、約60%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 0.06(s,3H)、0.02
(s,3H)、0.73(s,9H)、1.83~1.93(bs,6H)、3.56~3.61(m,1H)、3.72~3.80(m,2H)、3.86~3.89(dd,1H)、4.09~4.14(dd,1H)、4.53(d,1H,J=12Hz)、4.56~4.63(dd,2H)、4.69~4.76(dd,2H)、5.16(t,1H,J=8.0Hz)、7.15~7.24(m,5H)、7.33~7.37(m,5H)。
【0102】
化合物35の合成:
乾燥CH2Cl2中の化合物31(5g、0.012mol)及びCCl3CN(2.06g、0.014mol)の混合物にDBU(0.37g、0.002mol)を加え、室温で15~16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物を、石油エーテル中のEtOAc(25~35%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物35(3.8g、55%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.91(s,3H)、1.93(s,6H)、2.01(s,3
H)、2.07(s,3H)、3.93~4.01(m,1H)、3.98~4.03(dd,1H)、4.33~4.40(m,2H)、5.20(t,1H,J=9.2Hz)、5.73(t,1H,J=9.2Hz)、6.45(d,1H,J=9.2Hz)、8.67(s,1H)。
【0103】
化合物36の合成:
活性分子篩粉末(4Ao)を入れたオーブン乾燥した丸底フラスコに、化合物35(4g、0.007mol)と化合物34(3.3g、0.0057mol)との混合物を入れる。次いで、RBにアルゴンを2回充填し、乾燥DCM(10mL)を加え、23℃で2時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を-10℃に冷却し、0.1MのTfOHのDCM溶液を加え、さらに16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して粗混合物を得、これを石油エーテル中のEtOAc(25~35%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物36(2g、30%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ -0.005(s,3H)、-0.11(s,3H)、0.7
1(s,9H)、1.76(bs,6H)、1.90(s,3H)、1.95(bs,6H)、1.98(s,3H)、3.36~3.44(m,3H)、3.48~3.55(m,3H)、3.80~3.83(m,2H)、3.90~3.93(dd,1H)、4.04~4.12(m,3H)、4.14~4.20(dd,1H)、4.42(d,1H,J=12.4Hz)、4.57~4.64(dd,2H)、4.81(d,1H,J=12.4Hz)、5.03~5.08(m,2H)、5.36(d,1H,J=8.4Hz)、5.61(t,1H,J=9.2Hz)、7.13~7.19(m,5H)、7.33~7.39(m,5H)。
【0104】
化合物37の合成:
化合物36(5.5g、0.0056mol)の乾燥THF(50mL)溶液にAcOH(0.36mL、0.0063mol)を加え、-5℃に冷却した。次いで、-5℃の1MTBAF(6.3mL、0.0063mol)のTHF溶液を加え、室温で16時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を飽和NaCl溶液でクエンチし、DCMで抽出し、減圧下で濃縮して、粗化合物37(3g、粗製)を得、これを精製することなくさらに反応に用いた。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.76(s,6H)
、1.89(s,3H)、1.95(bs,6H)、1.98(s,3H)、3.38~3.55(m,3H)、3.62~3.66(m,1H)、3.76~3.80(m,1H)、3.90~3.94(m,1H)、4.06~4.22(m,6H)、4.14~4.20(dd,1H)、4.40(d,1H,J=12.8Hz)、4.57~4.64(dd,2H)、4.85(d,1H,J=12.8Hz)、5.01~5.07(m,2H)、5.33(d,1H,J=8.4Hz)、5.55~5.63(t,1H,J=9.2Hz)、7.11~7.20(m,5H)、7.29~7.42(m,5H)。
【0105】
化合物38の合成:
乾燥CH2Cl2中の化合物37(4g、0.0045mol)及びCCl3CN(0.54mL、0.0054mol)の混合物にDBU(0.13mL,0.0009mol)を加え、室温で15~16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して粗生成物を得た。この
粗生成物を、石油エーテル中のEtOAc(25~35%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物38(1g、20%)を得た。
【0106】
化合物39~42の合成:
活性分子篩粉末(4Ao)を入れたオーブン乾燥した丸底フラスコに、化合物38(1g、0.89mmol)とR-OH(0.7当量)との混合物を入れ、次いで、RBにアルゴンを2回充填し、乾燥DCM(20mL)を加え、室温で2時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を-10℃に冷却し、0.1MTfOH(1.3mL、0.13mmol)のDCM溶液を加え、さらに16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して粗混合物を得た。この粗生成物を、石油エーテル中のEtOAc(25~35%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物39~42(約40~45%)を得た。
【0107】
化合物39:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.76(s,6H)
、1.89(s,3H)、1.95(bs,6H)、1.98(s,3H)、3.49~3.51(m,2H)、3.64~3.71(m,2H)、3.94~3.96(m,1H)、4.15~4.19(m,6H)、4.40(m,1H)、4.56~4.65(m,2H)、4.86~4.91(m,1H)、5.06~5.09(m,1H)、5.33(d,1H,J=8.4Hz)、5.55~5.63(t,1H,J=9.2Hz)、6.91(d,2H,J=8.4Hz)、7.12~7.21(m,5H)、7.29~7.42(m,5H)、8.06(d,2H,J=8.4Hz)。LC/MS:M+=982。
【0108】
化合物40:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.21~1.48(
m,10H)、1.76(bs,6H)、1.89(s,3H)、1.95~1.96(s,9H)、1.98(s,3H)、3.36~3.38(m,1H)、3.43~3.46(m,3H)、3.59(d,1H,J=8.4Hz)、3.89~3.92(m,2H)、4.04~4.08(m,4H)、4.41(d,1H,J=10.0Hz)、4.60(s,2H)、4.84(d,1H,J=10.0Hz)、4.93(d,1H,J=6.4Hz)、5.04(t,1H,J=7.2Hz)、5.35(d,1H,J=6.4Hz)、5.57~5.61(t,1H,J=7.2Hz)、7.13~7.19(m,5H)、7.28~7.40(m,5H)。LC/MS:M+-2=943。
【0109】
化合物41:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.21~1.35(
m,8H)、1.45~1.62(bs,8H)、1.76(bs,6H)、1.90(s,3H)、1.95~2.22(m,12H)、3.43~3.46(m,4H)、3.60~3.71(m,1H)、3.94(d,1H)、4.04~4.12(m,4H)、4.20(m,1H)、4.55~4.59(m,1H)、4.62~4.70(m,2H)、4.84(d,1H,J=10.0Hz)、4.93(d,1H,J=6.4Hz)、5.30(t,1H,J=7.2Hz)、5.35(m,1H)、5.61(t,1H,J=7.2Hz)、7.13~7.19(m,5H)、7.28~7.40(m,5H)。LC/MS:M+-2=1015。
【0110】
化合物42:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.76(s,6H)
、1.90(s,3H)、1.95(s,3H)、1.98(s,6H)、2.01(s,3H)、3.43~3.49(m,3H)、3.62~3.64(m,1H)、3.72(s,3H)、3.91~3.94(m,1H)、4.07~4.21(m,5H)、4.42(d,1H,J=12.4Hz)、4.59(s,2H)、4.85(d,1H,J=12.4Hz)、5.05(t,1H,J=10.8Hz)、5.34~5.37(m,2H)、5.60(t,1H,J=10.8Hz)、6.69(d,2H,J=9
.2Hz)、6.77(d,2H,J=9.2Hz)、7.11~7.21(m,5H)、7.29~7.42(m,5H)。LC/MS:M+=986。
【0111】
化合物15の合成:
化合物15は、HCl中のヒドラジン水和物を用いてNDMM基を除去し、続いてAc2Oで処理してNHAc基を導入したことにより、化合物39(0.5g)から合成した。最後に、以前記載されたように[Mohamed R.E et al, Carbohydrate research, 2001, 331, 129-142]、室温でNaOCH3/MeOHにより-OAc基を除去して、化合物1
5(22mgの白色固体)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 1
.98(s,6H)、3.43~3.49(m,3H)、3.62~3.64(m,1H)、3.72(s,3H)、3.91~3.94(m,1H)、4.23~4.42(m,3H)、4.62(m,4H)、5.90(d,1H,J=10.8Hz)、6.42(d,1H,J=10.8Hz)、6.91(d,2H,J=8.4Hz)、7.12~7.21(m,5H)、7.29~7.42(m,5H)、8.06(d,2H,J=8.4Hz)。LC/MS:M+=710。
【0112】
化合物-43の合成:
ピリジン中のD-グルコサミン29(200g、0.93mol)の撹拌懸濁液に、無水酢酸(720mL、7.4mol)を加えた。反応混合物を12時間撹拌して(TLCでモニターしながら)60℃に温め、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物を氷に注ぎ、クロロホルム(3×1L)で抽出し、塩酸水溶液(3%)1L、飽和重炭酸ナトリウム溶液(1L)、蒸留水(1L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗混合物43を、さらに精製することなく次のステップに進めた。
【0113】
化合物44の合成:
粗混合物43(30g、77.09mmol)のTHF溶液に、室温でMeOH(2M、77mL、154.1mmol)中のメチルアミンをゆっくり加え、TLCでモニターしながら、同温度で12時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(2L)で希釈し、水(3×1L)、ブライン(1L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。化合物44(20g)を得た。
【0114】
化合物-45の合成:
乾燥CH2Cl2中の化合物44(20g、0.057mol)、CCl3CN(11mL、0.114mol)及びDBU(2.5mL、0.0014mol)の混合物を、室温で15~16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物を、石油エーテル中のEtOAc(25~35%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物45(5g)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.91(s,3H)、1.93(s,3H)、2.01(s,3H)、2.07
(s,3H)、3.93~4.01(m,1H)、3.98~4.03(dd,1H)、4.33~4.40(m,2H)、5.20(t,1H,J=9.2Hz)、5.73(t,1H,J=9.2Hz)、6.45(d,1H,J=9.2Hz)、8.67(s,1H)。
【0115】
化合物-24の合成:
DCM中の化合物45(2g、5.14mmol)と4-OH-TEMPOL(0.7g、4.11mmol)との撹拌懸濁液に、分子篩粉末を加えて室温で2時間撹拌し、これにトリフル酸(0.11g、0.77mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。RM(反応混合物)を蒸留し、5%MeOHのDCM溶液で溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物24(300mg)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.14(s,12H)、1.41~1.66(m,4H)、1.91(
s,3H)、1.93(s,3H)、2.01(s,3H)、2.07(s,3H)、4.15~4.36(m,4H)、5.30(d,1H,J=9.2Hz)、5.73(t,1H,J=9.2Hz)、6.45(d,1H,J=9.2Hz)。TLC系:DCM中10%MeOH、Rf:0.3。
【0116】
化合物25の合成:
化合物24(0.3g、0.79mmol)の撹拌MeOH溶液に、室温でNaOMe(0.04g、0.63mmol)を加え、同じ温度で3~4時間撹拌した。反応混合物をTLCでモニターし、MeOHを濃縮し、HCl中の1Mジオキサンで中和した。RMを濃縮し、溶出液としてDCM中の7%MeOHを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物25(50mg)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ 1.14(s,12H)、1.41~1.66(m,4H)、1.93(s,3H
)、4.15~4.36(m,4H)、5.30(d,1H,J=9.2Hz)、5.73(t,1H,J=9.2Hz)、6.45(d,1H,J=9.2Hz)。LC/MS:M+=374。TLC系:DCM中10%MeOH、Rf:0.2。
【実施例0117】
局所/硝子体内製剤
以下の表は、本発明による局所又は硝子体内眼科用組成物の例示的な範囲を表す:
【0118】
【実施例0119】
注射剤
以下の表は、本発明による静脈内(IV)組成物の例示的な範囲を表す:本発明の化合物を大部分の水(35℃~40℃)に溶解し、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを4.0~7.0に調整する。次いで、バッチを水で容量調整し、滅菌マイクロポアフィルターを通して滅菌10mLアンバーガラスバイアル(タイプ1)に濾過し、滅菌クロージャー及びシールで密封する。
【0120】
【実施例0121】
以下の表は、本発明による局所ゲル、ローション及びスプレー組成物の例示的な範囲を表す:
【0122】
ゲル製剤:
以下の表は、本発明によるゲル組成物の例示的な範囲を表す:カルボマー934を水の総量の約40%に均一に分散させる。アンモニア溶液を撹拌しながら徐々に分散液に加えて、透明ゲルを形成する。別の容器中でメチルパラベンをプロリレングリコールに溶解し、次いで10.0gの化合物15をこの溶液に分散させて均質な懸濁液にする。懸濁液を撹拌しながら徐々にゲルに加えて、均一な白色不透明ゲルを得る。
【0123】
【0124】
クリーム又はローション製剤:
以下の表は、本発明によるクリーム又はローション組成物の例示的な範囲を示す:メチルパラベンをプロピレングリコールの総量の約80%に溶解させる。この溶液にポロキシル2セチルエーテルを、撹拌しながら加える。別の処理容器で、20%のプロピレングリコール、精製水の一部及び10.0gの化合物15を混合して、均一な懸濁液を形成する。均質で柔らかい白色のクリームが得られるまで、懸濁液を、適度に撹拌しながら第1の処理容器に徐々に加える。クリームをコロイドミルに通し、バッチの質量を目標量にする。
【0125】
【0126】
非エアロゾルスプレー製剤:
以下の表は、本発明による非エアロゾルスプレー組成物の例示的な範囲を表す:5.00gのポリオキシル10オレイルエーテルを、188.75gのヒマシ油に穏やかに撹拌しながら溶解する。25.0gの化合物15及び25.0gの酸化亜鉛を、適度に撹拌しながらスラリーに懸濁し、続いて1.25gのヒュームドシリカゲルを懸濁させた。スラリーを、均一で滑らかになるまで高せん断応力下で混合し、スプレーボトルにパッケージ化する。
【0127】
本発明及びその実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法及び/又はステップの特定の実施形態に限定することを意図するものではない。本発明の精神及び/又は本質的な特徴から逸脱することなく、開示された材料に対して様々な改変、置換及び変形を行うことができる。したがって、当業者であれば、本明細書に記載された実施形態と実質的に同じ機能を果たし、又は実質的に同じ結果を達成する後の改変、置換、及び/又は変形を、本発明の関連するこのような実施形態に従って利用し得ることを、開示から容易に理解するであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書に開示されるプロセス、製造物、物質の組成、化合物、手段、方法、及び/又はステップに対する改変、置換、及び変形をその範囲内に包含することを意図する。
【0128】
【0129】
上記の説明及び添付の図面が任意の追加の主題を開示している限り、本発明は一般に提供されて(dedicatedto the public)おらず、そのような追加の発明を請求する1つ又
は2以上の出願を提出する権利が留保される。
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