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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004184
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】車椅子シミュレータ
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/00 20060101AFI20240109BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61G5/00
A61G5/12 702
A61G5/12 701
A61G5/12 705
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103705
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】大和 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】鉾井 隆明
(72)【発明者】
【氏名】荻原 一輝
(72)【発明者】
【氏名】戸田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】小太刀 崇
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝明
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴之
(57)【要約】
【課題】車椅子の構造を複雑にすることなく、使用者の好みに応じた車椅子を製造することができる車椅子シミュレータの提供。
【解決手段】車椅子シミュレータ1は、座面を有する椅子、および椅子に取り付けられた車輪を備える車椅子10と、情報を表示する表示手段30と、表示手段30を制御する制御手段50とを備える。車椅子10は、車椅子10の構造に係るパラメータを変更するパラメータ変更手段4を備える。パラメータ変更手段4は、椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構43を備える。制御手段50は、パラメータ変更手段4を介して変更されたパラメータを表示手段30に表示させる表示制御部501を備える。
【選択図】図38
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面を有する椅子、および前記椅子に取り付けられた車輪を備える車椅子と、
情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を制御する制御手段とを備え、
前記車椅子は、
前記車椅子の構造に係るパラメータを変更するパラメータ変更手段を備え、
前記パラメータ変更手段は、
前記椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構を備え、
前記制御手段は、
前記パラメータ変更手段を介して変更されたパラメータを前記表示手段に表示させる表示制御部を備えることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項2】
請求項1に記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記形状変更機構は、
使用者の背中を支持する背中支持部材と、
使用者の腰を支持する腰支持部材と、
前記背中支持部材および前記腰支持部材のうち、少なくともいずれか一方の位置を前後に進退させる支持部材進退機構とを備えることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項3】
請求項1に記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記パラメータ変更手段は、前記座面を昇降させる座面昇降機構を備えることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項4】
請求項3に記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記座面昇降機構は、前記座面における後方側の端部を支持することを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記車椅子は、
フットレストを備え、
前記パラメータ変更手段は、
前記フットレストの位置を前後に進退させるフットレスト進退機構を備えることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された車椅子シミュレータにおいて、
使用者の操作入力を受け付ける操作手段を備え、
前記制御手段は、
前記操作手段を介して受け付けた操作入力に基づいて、前記パラメータ変更手段にパラメータを変更させる変更制御部を備え、
前記表示制御部は、前記変更制御部にて変更されたパラメータを表示手段に表示させることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記車輪は、複数の部位に分離可能に構成されるとともに、前記椅子に対して着脱自在に構成されることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記制御手段は、
前記座面における重心を計測する重心計測部を備え、
前記表示制御部は、前記重心計測部にて計測された座面における重心を前記表示手段に表示させることを特徴とする車椅子シミュレータ。
【請求項9】
請求項8に記載された車椅子シミュレータにおいて、
前記車椅子の全体を支持する台座を備え、
前記台座は、
前記台座にかかる荷重を検出する荷重センサを備え、
前記重心計測部は、前記荷重センサにて検出された前記台座にかかる荷重に基づいて、前記座面における重心を計測することを特徴とする車椅子シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子シミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座面を有する椅子、および椅子に取り付けられた車輪を備え、使用者の移動を補助する車椅子が知られている。このような車椅子の製造者は、使用者の好みや身体の寸法などに応じて座面の高さや、椅子の背もたれの角度などを予め測定し、この測定した結果に基づいて、使用者の好みや身体の寸法などに応じた車椅子を製造している。
これに対して、例えば、特許文献1に記載された車椅子は、車椅子の製造後に、座面の高さや、椅子の背もたれの角度などを選択的に決定することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002-535107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された車椅子は、椅子の背もたれの角度などを選択的に決定できるようになっているので、その構造は複雑になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、車椅子の構造を複雑にすることなく、使用者の好みに応じた車椅子を製造することができる車椅子シミュレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車椅子シミュレータは、座面を有する椅子、および椅子に取り付けられた車輪を備える車椅子と、情報を表示する表示手段と、表示手段を制御する制御手段とを備え、車椅子は、車椅子の構造に係るパラメータを変更するパラメータ変更手段を備え、パラメータ変更手段は、椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構を備え、制御手段は、パラメータ変更手段を介して変更されたパラメータを表示手段に表示させる表示制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、制御手段は、パラメータ変更手段を介して変更されたパラメータを表示手段に表示させる表示制御部を備えるので、使用者は、車椅子の構造に係るパラメータ(座面の高さや角度、車輪の幅や角度や負荷など)を好みに応じて変更することができ、このパラメータを表示手段にて確認することができる。また、パラメータ変更手段は、背もたれの形状を変更する形状変更機構を備えるので、使用者は、背もたれの形状を好みに応じて変更することができる。したがって、車椅子シミュレータは、車椅子の構造を複雑にすることなく、使用者の好みに応じた車椅子を製造するためのシミュレーションを実施することができる。
【0008】
本発明では、形状変更機構は、使用者の背中を支持する背中支持部材と、使用者の腰を支持する腰支持部材と、背中支持部材および腰支持部材のうち、少なくともいずれか一方の位置を前後に進退させる支持部材進退機構とを備えることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、形状変更機構は、背中支持部材および腰支持部材のうち、少なくともいずれか一方の位置を前後に進退させる支持部材進退機構を備えるので、背中支持部材および腰支持部材のうち、少なくともいずれか一方の位置を変更することができる。したがって、形状変更機構は、背もたれの形状を変更することができ、背中と腰を効果的に支持する形状を試すことができる。
【0010】
本発明では、パラメータ変更手段は、座面を昇降させる座面昇降機構を備えることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、パラメータ変更手段は、座面を昇降させる座面昇降機構を備えるので、座面を昇降させることによって、車輪に対する座面の高さを変更することができ、適切にシミュレーションを実施することができる。また、パラメータ変更手段は、座面を降下させることができるので、座面に対する車輪の高さを変更するようにパラメータ変更手段を構成した場合と比較して、使用者は、乗車中の車椅子から車椅子シミュレータにおける車椅子の座面に容易に乗り換えることができる。
【0012】
本発明では、座面昇降機構は、座面における後方側の端部を支持することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、座面昇降機構は、座面における後方側の端部を支持するので、座面における前方側には座面を支持するための部材を配置する必要はなく、車椅子の構造を簡素にすることができる。また、座面を支持するための部材を座面における前方側に配置しなくてよいので、使用者は、乗車中の車椅子から車椅子シミュレータにおける車椅子の座面に容易に乗り換えることができる。
【0014】
本発明では、車椅子は、フットレストを備え、パラメータ変更手段は、フットレストの位置を前後に進退させるフットレスト進退機構を備えることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、パラメータ変更手段は、フットレストの位置を前後に進退させるフットレスト進退機構を備えるので、フットレストの位置を変更することができ、適切にシミュレーションを実施することができる。また、座面を支持するための部材を座面における前方側に配置しなくてよい場合には、フットレストの位置を座面の真下まで後退させることができ、膝を曲げて下腿部を座面の下に置いて着座する姿勢のシミュレーションを実施することができる。
【0016】
本発明では、使用者の操作入力を受け付ける操作手段を備え、制御手段は、操作手段を介して受け付けた操作入力に基づいて、パラメータ変更手段にパラメータを変更させる変更制御部を備え、表示制御部は、変更制御部にて変更されたパラメータを表示手段に表示させることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、制御手段は、操作手段を介して受け付けた操作入力に基づいて、パラメータ変更手段にパラメータを変更させる変更制御部を備え、表示制御部は、変更制御部にて変更されたパラメータを表示手段に表示させるので、使用者は、操作手段を介して制御手段に車椅子の構造に係るパラメータを好みに応じて変更させることができ、このパラメータを表示手段にて確認することができる。したがって、車椅子シミュレータは、使用者の利便性を向上させることができる。
【0018】
本発明では、車輪は、複数の部位に分離可能に構成されるとともに、椅子に対して着脱自在に構成されることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、車輪は、複数の部位に分離可能に構成されるとともに、椅子に対して着脱自在に構成されるので、径の異なる車輪を容易に椅子に取り付けて車輪の径を変更することができる。
【0020】
本発明では、制御手段は、座面における重心を計測する重心計測部を備え、表示制御部は、重心計測部にて計測された座面における重心を表示手段に表示させることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、表示制御部は、重心計測部にて計測された座面における重心を表示手段に表示させるので、使用者は、座面における重心を表示手段にて確認することができる。したがって、車椅子シミュレータは、使用者の好みに応じた車椅子を製造するためのシミュレーションを好適に実施することができる。
【0022】
本発明では、車椅子の全体を支持する台座を備え、台座は、台座にかかる荷重を検出する荷重センサを備え、重心計測部は、荷重センサにて検出された台座にかかる荷重に基づいて、座面における重心を計測することが好ましい。
【0023】
ここで、車椅子の使用者による荷重は、車輪やフットレストなどに逃げてしまうので、座面にかかる荷重に基づいて、座面における重心を計測した場合には、重心計測部は、重心を精度よく計測することができない。
本発明によれば、重心計測部は、荷重センサにて検出された台座にかかる荷重に基づいて、座面における重心を計測するので、重心を精度よく計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る車椅子シミュレータの車椅子を示す外観斜視図
図2】車椅子シミュレータの車椅子を示す正面図
図3】車椅子シミュレータの車椅子を示す左側面図
図4】車椅子シミュレータの車椅子を示す平面図
図5】椅子の座面を示す左側面図
図6】椅子の座面を昇降させる座面昇降機構を示す斜視図
図7】椅子の座面を下降させた状態を示す図
図8】椅子の座面を上昇させた状態を示す図
図9】椅子の座面を回動させた状態を示す図
図10】椅子の背もたれを示す左側面図
図11】椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構を示す斜視図
図12】椅子のバックサポートを下降させた状態を示す図
図13】椅子のバックサポートを上昇させた状態を示す図
図14】椅子のバックサポートを前進させた状態を示す図
図15】椅子のバックサポートを後退させた状態を示す図
図16】椅子のバックサポートを回動させた状態を示す図
図17】椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構を示す斜視図
図18】椅子のランバーサポートを前進させた状態を示す図
図19】椅子のランバーサポートを後退させた状態を示す図
図20】椅子のフットレストを示す左側面図
図21】椅子の背フットレストの位置を前後に進退させるフットレスト進退機構を示す斜視図
図22】椅子のフットレストを前進させた状態を示す図
図23】椅子のフットレストを上昇させた状態を示す図
図24】椅子のフットレストを回動させた状態を示す図
図25】車椅子の車輪を示す斜視図
図26】車椅子の車輪の標準位置を示す正面図
図27】車椅子の車輪の標準位置を示す左側面図
図28】車輪本体を示す図
図29】車輪プレートに対してアタッチメントを取り外した状態を示す図
図30】車輪プレートのフランジと、アタッチメントとの接続部分を車輪支持体側から見た状態を示す拡大図
図31】車輪プレートのフランジと、アタッチメントとの接続部分を椅子側から見た状態を示す拡大図
図32】車輪本体および車輪支持体の断面を示す図
図33】車輪支持体を回動させた状態を示す図
図34】車輪支持体を移動させた状態を示す図
図35】車輪移動ベースを前進させた状態を示す図
図36】車輪移動ベースを後退させた状態を示す図
図37】台座の脚部材の断面を示す図
図38】車椅子シミュレータの全体構成を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車椅子シミュレータの車椅子を示す外観斜視図である。図2は、車椅子シミュレータの車椅子を示す正面図である。図3は、車椅子シミュレータの車椅子を示す左側面図である。図4は、車椅子シミュレータの車椅子を示す平面図である。
なお、図1図4では、鉛直上方向を+Z軸方向とし、このZ軸と直交する2軸をX,Y軸として説明する。以下の図面においても同様である。
【0026】
車椅子シミュレータ1は、図1図4に示すように、使用者が腰を掛ける椅子2と、椅子2に並設された一対の車輪3とを備える車椅子10と、車椅子10の全体を支持する台座20とを備えている。
椅子2は、使用者が腰を掛ける部位である座面21と、使用者が背中をもたせ掛ける部位である背もたれ22と、使用者が足を置く部位であるフットレスト23とを備えている。
【0027】
図5は、椅子の座面を示す左側面図である。具体的には、図5は、図3における車椅子10の左側面図において、左側の車輪3を取り外した状態を示す図である。図6は、椅子の座面を昇降させる座面昇降機構を示す斜視図である。
座面21は、図5および図6に示すように、使用者が腰を掛ける部位である座面本体211と、座面本体211における後方側(-X軸方向側)の端部を支持する支持体212と、支持体212を昇降自在に支持する2本のシャフト213と、支持体212と螺合するとともに、2本のシャフト213の間に取り付けられた台形ネジ214(図6参照)と、台形ネジ214を回転させる座面用モータ215とを備えている。
【0028】
図7は、椅子の座面を下降させた状態を示す図である。図8は、椅子の座面を上昇させた状態を示す図である。
座面本体211の支持体212は、座面用モータ215を駆動することによって、台形ネジ214を回転させると、図7に示すように、台形ネジ214の回転に伴って2本のシャフト213に沿って鉛直下方向(-Z軸方向)に下降することができ、図8に示すように、台形ネジ214の回転に伴って2本のシャフト213に沿って鉛直上方向(+Z軸方向)に上昇することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、支持体212、2本のシャフト213、台形ネジ214、および座面用モータ215は、座面本体211を昇降する座面昇降機構41(図38参照)として機能している。
【0029】
また、座面本体211は、図5に示すように、その後方側(-X軸方向側)の端部を支持体212に対して回動軸211A(Y軸)回りに回動自在に固定されている。さらに、座面本体211は、底面における+X軸方向側の端部を支持体212に対して座面用リニアアクチュエータ216を介して接続されている。
【0030】
図9は、椅子の座面を回動させた状態を示す図である。
座面本体211は、図9に示すように、座面用リニアアクチュエータ216を駆動して座面用リニアアクチュエータ216を伸長させることによって、Y軸回り(図中時計回り)に回動するようになっている。
したがって、本実施形態では、回動軸211Aおよび座面用リニアアクチュエータ216は、座面本体211を回動する座面回動機構42(図38参照)として機能している。
【0031】
図10は、椅子の背もたれを示す左側面図である。具体的には、図10は、図3における車椅子10の左側面図において、左側の車輪3を取り外した状態を示す図である。図11は、椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構を示す斜視図である。
背もたれ22は、図10および図11に示すように、使用者の背中を支持する背中支持部材としてのバックサポート221と、使用者の腰を支持する腰支持部材としてのランバーサポート222とを備えている。
【0032】
バックサポート221は、使用者の背中を支持する部位であるバックサポート本体221Aと、バックサポート本体221Aにおける後方側(-X軸方向側)の端部を支持する支持体221Bと、支持体221Bを昇降自在に支持する2本のシャフト221Cと、支持体221Bと螺合するとともに、2本のシャフト221Cの間に取り付けられた台形ネジ221D(図11参照)と、台形ネジ221Dを回転させるバックサポート昇降用モータ221Eとを備えている。
【0033】
図12は、椅子のバックサポートを下降させた状態を示す図である。図13は、椅子のバックサポートを上昇させた状態を示す図である。
バックサポート本体221Aの支持体221Bは、バックサポート昇降用モータ221Eを駆動することによって、台形ネジ221Dを回転させると、図12に示すように、台形ネジ221Dの回転に伴って2本のシャフト221Cに沿って鉛直下方向(-Z軸方向)に下降することができ、図13に示すように、台形ネジ221Dの回転に伴って2本のシャフト221Cに沿って鉛直上方向(+Z軸方向)に上昇することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、支持体221B、2本のシャフト221C、台形ネジ221D、およびバックサポート昇降用モータ221Eは、背もたれ22の形状を変更する形状変更機構43(図38参照)として機能している。
【0034】
また、バックサポート221は、図10および図11に示すように、支持体221BのY軸方向の両側に内挿された2本のシャフト221Fと、支持体221Bと螺合するとともに、支持体221BのY軸方向の中央に内挿された台形ネジ221G(図11参照)と、台形ネジ221Gを回転させるバックサポート進退用モータ221Hとを備えている。
【0035】
図14は、椅子のバックサポートを前進させた状態を示す図である。図15は、椅子のバックサポートを後退させた状態を示す図である。
バックサポート本体221Aの支持体221Bは、バックサポート進退用モータ221Hを駆動することによって、台形ネジ221Gを回転させると、図14に示すように、台形ネジ221Gの回転に伴って2本のシャフト221Fに沿って正面方向(+X軸方向)に前進することができ、図15に示すように、台形ネジ221Gの回転に伴って2本のシャフト221Fに沿って背面方向(-X軸方向)に後退することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、支持体221B、2本のシャフト221F、台形ネジ221G、およびバックサポート進退用モータ221Hは、背もたれ22の形状を変更する形状変更機構43(図38参照)として機能している。
【0036】
また、バックサポート221は、図10および図11に示すように、2本のシャフト221C、および台形ネジ221Dを支持するベース221Iを備えている。このベース221Iは、その下方側(-Z軸方向側)の端部を座面21の支持体212に対して回動軸211A(Y軸)回りに回動自在に固定されている。さらに、ベース221Iは、その後方側(-X軸方向側)の端部を支持体212に対してバックサポート用リニアアクチュエータ221Jを介して接続されている。
【0037】
図16は、椅子のバックサポートを回動させた状態を示す図である。
バックサポート本体221Aは、図16に示すように、バックサポート用リニアアクチュエータ221Jを駆動してバックサポート用リニアアクチュエータ221Jを収縮させることによって、Y軸回り(図中時計回り)に回動するようになっている。
したがって、本実施形態では、回動軸211Aおよびバックサポート用リニアアクチュエータ221Jは、背もたれ22の形状を変更する形状変更機構43(図38参照)として機能している。
【0038】
図17は、椅子の背もたれの形状を変更する形状変更機構を示す斜視図である。具体的には、図17は、椅子の背もたれにおけるランバーサポートの形状を変更する形状変更機構43(図38参照)を示す斜視図である。
ランバーサポート222は、図10図11、および図17に示すように、使用者の腰を支持する部位であるランバーサポート本体222Aと、ランバーサポート本体222Aを支持する略L字状の支持体222Bと、支持体222Bを進退自在に支持する2本のシャフト222C(図11,17参照)と、支持体222Bと螺合するとともに、2本のシャフト222Cの間に取り付けられた台形ネジ222D(図11,17参照)と、台形ネジ222Dを回転させるランバーサポート進退用モータ222Eとを備えている。
【0039】
図18は、椅子のランバーサポートを前進させた状態を示す図である。図19は、椅子のランバーサポートを後退させた状態を示す図である。
ランバーサポート本体222Aの支持体222Bは、ランバーサポート進退用モータ222Eを駆動することによって、台形ネジ222Dを回転させると、図18に示すように、台形ネジ222Dの回転に伴って2本のシャフト222Cに沿って正面方向(+X軸方向)に前進することができ、図19に示すように、台形ネジ222Dの回転に伴って2本のシャフト222Cに沿って背面方向(-X軸方向)に後退することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、支持体222B、2本のシャフト222C、台形ネジ222D、およびランバーサポート進退用モータ222Eは、背もたれ22の形状を変更する形状変更機構43(図38参照)として機能している。
【0040】
また、本実施形態では、形状変更機構43は、バックサポート221およびランバーサポート222のうち、双方の位置を前後に進退させる支持部材進退機構としても機能している。
なお、本実施形態では、支持部材進退機構は、バックサポート221およびランバーサポート222のうち、双方の位置を前後に進退させているが、少なくともいずれか一方の位置を前後に進退させることができればよい。
【0041】
図20は、椅子のフットレストを示す左側面図である。具体的には、図20は、図3における車椅子10の左側面図において、左側の車輪3を取り外した状態を示す図である。図21は、椅子のフットレストの位置を前後に進退させるフットレスト進退機構を示す斜視図である。
フットレスト23は、図20および図21に示すように、使用者が足を置く部位であるフットレスト本体231と、フットレスト本体231を支持する支持体232と、支持体232を進退自在に支持する2本のシャフト233(図21参照)と、支持体232と螺合するとともに、2本のシャフト233の間に取り付けられた台形ネジ234(図21参照)と、台形ネジ234を回転させるフットレスト進退用モータ235(図21参照)とを備えている。
【0042】
図22は、椅子のフットレストを前進させた状態を示す図である。
フットレスト本体231の支持体232は、フットレスト進退用モータ235を駆動することによって、台形ネジ234を回転させると、図22に示すように、台形ネジ234の回転に伴って2本のシャフト233に沿って正面方向(+X軸方向)に前進することができ、図20に示すように、台形ネジ234の回転に伴って2本のシャフト222Cに沿って背面方向(-X軸方向)に後退することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、支持体232、2本のシャフト233、台形ネジ234、およびフットレスト進退用モータ235は、フットレスト本体231を進退するフットレスト進退機構44(図38参照)として機能している。
【0043】
また、フットレスト23は、図20および図21に示すように、支持体232のY軸方向の両側に内挿された2本のシャフト236と、支持体232と螺合するとともに、支持体232のY軸方向の中央に内挿された台形ネジ237(図21参照)と、台形ネジ237を回転させるフットレスト昇降用モータ238とを備えている。
【0044】
図23は、椅子のフットレストを上昇させた状態を示す図である。
フットレスト本体231の支持体232は、フットレスト昇降用モータ238を駆動することによって、台形ネジ237を回転させると、図20に示すように、台形ネジ237の回転に伴って2本のシャフト236に沿って鉛直下方向(-Z軸方向)に下降することができ、図23に示すように、台形ネジ237の回転に伴って2本のシャフト236に沿って鉛直上方向(+Z軸方向)に上昇することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、支持体221B、2本のシャフト236、台形ネジ237、およびフットレスト昇降用モータ238は、フットレスト本体231を昇降するフットレスト昇降機構45(図38参照)として機能している。
【0045】
さらに、フットレスト本体231は、図20および図21に示すように、その前方側(+X軸方向側)の端部を支持体232に対して回動軸239(Y軸)回りに回動自在に固定されている。さらに、フットレスト本体231は、底面における-X軸方向側の端部を支持体232に対してフットレスト用リニアアクチュエータ240を介して接続されている。
【0046】
図24は、椅子のフットレストを回動させた状態を示す図である。
フットレスト本体231は、図24に示すように、フットレスト用リニアアクチュエータ240を駆動してフットレスト用リニアアクチュエータ240を収縮させることによって、Y軸回り(図中時計回り)に回動するようになっている。
したがって、本実施形態では、回動軸239およびフットレスト用リニアアクチュエータ240は、フットレスト本体231を回動するフットレスト回動機構46(図38参照)として機能している。
【0047】
図25は、車椅子の車輪を示す斜視図である。図26は、車椅子の車輪の標準位置を示す正面図である。図27は、車椅子の車輪の標準位置を示す左側面図である。なお、図25は、車椅子10の椅子2を取り外した状態を示す図である。また、図27は、車椅子10の左側面図において、左側の車輪3を取り外した状態を示す図である。
車輪3は、図25図27に示すように、椅子2に並設された一対の車輪本体31と、各車輪本体31を回転自在に支持する一対の車輪支持体32と、各車輪支持体32を載置するとともに、各車輪支持体32をY軸方向に沿って移動させる車輪移動ベース33と、車輪移動ベース33をX軸方向に沿って進退させる車輪進退ベース34とを備えている。ここで、車輪進退ベース34は、台座20に載置されている。
【0048】
図28は、車輪本体を示す図である。
車輪本体31は、図28に示すように、円盤状の車輪プレート311と、車輪プレート311の周縁に沿って車輪プレート311に対して着脱自在に取り付けられた3つのアタッチメント312とを備えている。
【0049】
図29は、車輪プレートに対してアタッチメントを取り外した状態を示す図である。
車輪プレート311は、図29に示すように、中心位置に形成された軸穴311Aと、周縁に沿って形成された内歯車311Bと、内歯車311Bの外側に形成されたフランジ311Cとを備えている。
【0050】
図30は、車輪プレートのフランジと、アタッチメントとの接続部分を車輪支持体側から見た状態を示す拡大図である。図31は、車輪プレートのフランジと、アタッチメントとの接続部分を椅子側から見た状態を示す拡大図である。
フランジ311Cは、図30および図31に示すように、所定の距離を隔てて配設された2個を1組として車輪プレート311の外周縁に沿って一定の間隔にて配設された複数組のプランジャ311C1を備えている。
【0051】
また、このフランジ311Cは、図31に示すように、車輪プレート311の外周縁に沿って車輪プレート311の中心に向かって溝状に形成されたスリット311C2を備えている。このスリット311C2は、プランジャ311C1の組の間に形成された凸部311C3と、凸部311C3に取り付けられたマグネット311C4を備えている。
【0052】
アタッチメント312は、図30に示すように、使用者が手を掛ける部位であるハンドリム312Aと、アタッチメント312の内周縁に沿って所定の距離を隔てて形成されたリブ312Bと、リブ312Bの間に形成された凹部312Cと、凹部312Cに取り付けられたマグネット312Dとを備えている。このリブ312Bは、フランジ311Cのプランジャ311C1と対応する位置に形成されたプランジャ篏合穴312B1を備えている。
【0053】
アタッチメント312は、フランジ311Cのスリット311C2に対してリブ312Bを差し込むことによって、車輪プレート311に接続する。ここで、フランジ311Cの凸部311C3およびアタッチメント312の凹部312Cは、篏合するようになっているので、アタッチメント312は、車輪プレート311に対して位置決めされることになる。また、フランジ311Cのプランジャ311C1は、アタッチメント312のプランジャ篏合穴312B1に篏合するようになっているので、アタッチメント312は、車輪プレート311に対して固定される。さらに、フランジ311Cのマグネット311C4およびアタッチメント312のマグネット312Dは、互いに引き合うようになっているので、アタッチメント312は、車輪プレート311に対して固定される。
【0054】
したがって、本実施形態では、車輪3は、複数の部位(アタッチメント312)に分離可能に構成されるとともに、椅子2に対して着脱自在に構成されている。
【0055】
図32は、車輪本体および車輪支持体の断面を示す図である。
車輪支持体32は、図32に示すように、車輪プレート311の軸穴311Aに挿入されることによって、車輪プレート311を回転自在に支持する回転軸体321と、車輪プレート311の内歯車311Bと篏合する外歯車322と、外歯車322に一端を接続されるとともに、外歯車322のトルクを検出するトルクメータ323と、トルクメータ323の他端に取り付けられたタイミングベルト324と、タイミングベルト324に回転負荷を伝達することによって、車輪プレート311の回転に負荷をかける回転負荷用モータ325とを備えている。また、回転軸体321、外歯車322、トルクメータ323、タイミングベルト324、および回転負荷用モータ325は、フレーム326に固定されている。
【0056】
ここで、車輪支持体32のフレーム326は、図25および図26に示すように、Y軸方向に沿って進退自在となるように車輪移動ベース33に載置された扇状部材330に取り付けられている。
扇状部材330は、図25に示すように、車輪本体31から離間するに従って上方向(+Z軸方向)に向かって湾曲する形状に形成されている。また、扇状部材330は、鉛直上下方向に所定の距離を隔てて配設された2個を1組として扇状部材330の湾曲した形状に沿って一定の間隔にて配設された複数組のローラ331Aを備えている。
フレーム326は、扇状部材330と対応するように車輪本体31から離間するに従って上方向(+Z軸方向)に向かって湾曲する形状に形成されたレール部材326Aを備えている。このレール部材326Aは、ローラ331Aの各組にて摺動自在に挟持されている。
【0057】
扇状部材330は、図32に示すように、フレーム326に取り付けられたリンク331と、リンク331に一端を接続するとともに、扇状部材330に他端を固定された車輪用リニアアクチュエータ332とを備えている。
【0058】
図33は、車輪支持体を回動させた状態を示す図である。
扇状部材330は、図33に示すように、車輪用リニアアクチュエータ332を駆動して車輪用リニアアクチュエータ332を伸長させることによって、X軸回りに回動するようになっている。
したがって、本実施形態では、レール部材326A、リンク331、ローラ331A、および車輪用リニアアクチュエータ332は、車輪本体31を回動する車輪回動機構47(図38参照)として機能している。
【0059】
また、車輪移動ベース33は、図25に示すように、Y軸方向に沿って延在するとともに、扇状部材330をY軸方向に沿って移動自在に支持するシャフト333と、Y軸方向に沿って延在するとともに、扇状部材330と螺合する台形ネジ334と、台形ネジ334を回転させる車輪移動用モータ335とを備えている。
【0060】
図34は、車輪支持体を移動させた状態を示す図である。
車輪移動ベース33の扇状部材330は、車輪移動用モータ335を駆動することによって、台形ネジ334を回転させると、図34に示すように、台形ネジ334の回転に伴ってシャフト333に沿って移動することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、扇状部材330、シャフト333、台形ネジ334、および車輪移動用モータ335は、車輪本体31を移動する車輪移動機構48(図38参照)として機能している。
【0061】
車輪進退ベース34は、図25に示すように、X軸方向に沿って延在するとともに、車輪移動ベース33をX軸方向に沿って移動自在に支持する2本のシャフト341と、X軸方向に沿って延在するとともに、車輪移動ベース33と螺合する台形ネジ342と、台形ネジ342を回転させる車輪進退用モータ343とを備えている。
【0062】
図35は、車輪移動ベースを前進させた状態を示す図である。図36は、車輪移動ベースを後退させた状態を示す図である。
車輪移動ベース33は、車輪進退用モータ343を駆動することによって、台形ネジ342を回転させると、図35に示すように、台形ネジ342の回転に伴ってシャフト341に沿って前進することができ、図36に示すように、台形ネジ342の回転に伴ってシャフト341に沿って後退することができるようになっている。
したがって、本実施形態では、車輪移動ベース33、2本のシャフト341、台形ネジ342、および車輪進退用モータ343は、車輪本体31を進退する車輪進退機構49(図38参照)として機能している。
【0063】
台座20は、図1に示すように、矩形枠状に形成されているとともに、椅子2および車輪3の中心から等距離となる位置に取り付けられた4つの脚部材201を備えている。
【0064】
図37は、台座の脚部材の断面を示す図である。
各脚部材201は、図37に示すように、各脚部材201の高さを調整するアジャスタ201Aと、アジャスタ201Aにかかる荷重を検出する荷重センサとしてのロードセル201Bとを備えている。
【0065】
図38は、車椅子シミュレータの全体構成を示す概略構成図である。
車椅子シミュレータ1は、前述したように、使用者が腰を掛ける椅子2と、椅子2に並設された一対の車輪3とを備える車椅子10と、車椅子10の全体を支持する台座20とを備えている他、図38に示すように、情報を表示する表示手段30と、使用者の操作入力を受け付ける操作手段40と、車椅子シミュレータ1の全体を制御する制御手段50とを備えている。
【0066】
また、車椅子10は、車椅子10の構造に係るパラメータを変更するパラメータ変更手段4を備えている。
このパラメータ変更手段4は、座面昇降機構41、座面回動機構42、形状変更機構43、フットレスト進退機構44、フットレスト昇降機構45、フットレスト回動機構46、車輪回動機構47、車輪移動機構48、および車輪進退機構49の前述した各種機構を備えている。
【0067】
制御手段50は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリなどによって構成され、このメモリに記憶された所定のプログラムに従って情報処理を実行する。この制御手段50は、表示制御部501と、変更制御部502と、重心計測部503とを備えている。
【0068】
表示制御部501は、パラメータ変更手段4を介して変更されたパラメータを表示手段30に表示させる。
変更制御部502は、操作手段40を介して受け付けた操作入力に基づいて、パラメータ変更手段4にパラメータを変更させる。したがって、表示制御部501は、変更制御部502にて変更されたパラメータを表示手段30に表示させる。
【0069】
ここで、変更制御部502は、座面昇降機構41および座面回動機構42に座面本体211を昇降および回動させることができる。変更制御部502は、形状変更機構43に背もたれ22の形状を変更させることができる。変更制御部502は、フットレスト進退機構44、フットレスト昇降機構45、およびフットレスト回動機構46にフットレスト本体231を進退、昇降、および回動させることができる。変更制御部502は、車輪回動機構47、車輪移動機構48、および車輪進退機構49に車輪本体31を回動、移動、および進退させることができる。
また、変更制御部502は、パラメータ変更手段4に回転負荷用モータ325を駆動することによって、車輪プレート311の回転に負荷をかけることができる。
【0070】
重心計測部503は、ロードセル201Bにて検出された台座20にかかる荷重に基づいて、座面21における重心を計測する。また、表示制御部501は、重心計測部503にて計測された座面21における重心を表示手段30に表示させる。
【0071】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)制御手段50は、パラメータ変更手段4を介して変更されたパラメータを表示手段30に表示させる表示制御部501を備えるので、使用者は、車椅子10の構造に係るパラメータ(座面21の高さや角度、車輪3の幅や角度や負荷など)を好みに応じて変更することができ、このパラメータを表示手段30にて確認することができる。したがって、車椅子シミュレータ1は、使用者の好みに応じた車椅子を製造するためのシミュレーションを実施することができ、車椅子の製造者は、このシミュレーションの結果に基づいて、車椅子の構造を複雑にすることなく、使用者の好みに応じた車椅子を製造することができる。
【0072】
(2)パラメータ変更手段4は、背もたれ22の形状を変更する形状変更機構43を備えるので、使用者は、背もたれ22の形状を好みに応じて変更することができる。
(3)形状変更機構43は、バックサポート221およびランバーサポート222のうち、少なくともいずれか一方の位置を前後に進退させる形状変更機構43を備えるので、バックサポート221およびランバーサポート222のうち、少なくともいずれか一方の位置を変更することができる。したがって、形状変更機構43は、背もたれ22の形状を変更することができ、背中と腰を効果的に支持する形状を試すことができる。
【0073】
(4)パラメータ変更手段4は、座面21を昇降させる座面昇降機構41を備えるので、座面21を昇降させることによって、車輪3に対する座面21の高さを変更することができ、適切にシミュレーションを実施することができる。また、パラメータ変更手段4は、座面21を降下させることができるので、座面21に対する車輪3の高さを変更するようにパラメータ変更手段4を構成した場合と比較して、使用者は、乗車中の車椅子から車椅子シミュレータ1における車椅子10の座面21に容易に乗り換えることができる。
(5)座面昇降機構41は、座面21における後方側の端部を支持するので、座面21における前方側には座面21を支持するための部材を配置する必要はなく、車椅子10の構造を簡素にすることができる。また、座面21を支持するための部材を座面21における前方側に配置しなくてよいので、使用者は、乗車中の車椅子から車椅子シミュレータ1における車椅子10の座面21に容易に乗り換えることができる。
【0074】
(6)パラメータ変更手段4は、フットレスト23の位置を前後に進退させるフットレスト進退機構44を備えるので、フットレスト23の位置を変更することができ、適切にシミュレーションを実施することができる。また、座面21を支持するための部材を座面21における前方側に配置しなくてよい場合には、フットレスト23の位置を座面21の真下まで後退させることができ、膝を曲げて下腿部を座面21の下に置いて着座する姿勢のシミュレーションを実施することができる。
【0075】
(7)制御手段50は、操作手段40を介して受け付けた操作入力に基づいて、パラメータ変更手段4にパラメータを変更させる変更制御部502を備え、表示制御部501は、変更制御部502にて変更されたパラメータを表示手段30に表示させるので、使用者は、操作手段40を介して制御手段50に車椅子10の構造に係るパラメータを好みに応じて変更させることができ、このパラメータを表示手段30にて確認することができる。したがって、車椅子シミュレータ1は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0076】
(8)車輪3は、複数の部位に分離可能に構成されるとともに、椅子2に対して着脱自在に構成されるので、径の異なる車輪3を容易に椅子に取り付けて車輪3の径を変更することができる。
(9)表示制御部501は、重心計測部503にて計測された座面21における重心を表示手段30に表示させるので、使用者は、座面21における重心を表示手段30にて確認することができる。したがって、車椅子シミュレータ1は、使用者の好みに応じた車椅子を製造するためのシミュレーションを好適に実施することができる。
(10)重心計測部503は、ロードセル201Bにて検出された台座20にかかる荷重に基づいて、座面21における重心を計測するので、重心を精度よく計測することができる。
【0077】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、パラメータ変更手段4は、座面21を昇降させる座面昇降機構41や、フットレスト進退機構44などの各種機構を備えていたが、車椅子の構造に係るパラメータであれば、どのようなパラメータを変更するように構成されていてもよい。
前記実施形態では、座面昇降機構41は、座面21における後方側の端部を支持していたが、前方側の端部を支持していてもよく、座面21の底面を支持していてもよい。要するに、座面昇降機構は、座面を昇降させることができれば、座面のどの部位を支持していてもよい。
【0078】
前記実施形態では、制御手段50は、操作手段40を介して受け付けた操作入力に基づいて、パラメータ変更手段4にパラメータを変更させる変更制御部502を備えていた。これに対して、車椅子シミュレータは、使用者の手作業にてパラメータ変更手段にパラメータを変更させるように構成されていてもよい。要するに、車椅子シミュレータは、パラメータ変更手段にパラメータを変更させることができれば、変更制御部を備えていなくてもよく、制御手段は、パラメータ変更手段を介して変更されたパラメータを表示手段に表示させる表示制御部を備えていればよい。
【0079】
前記実施形態では、車輪3は、複数の部位に分離可能に構成されるとともに、椅子2に対して着脱自在に構成されていたが、複数の部位に分離可能に構成されていなくてもよく、椅子に対して着脱自在に構成されていなくてもよい。
前記実施形態では、表示制御部501は、重心計測部503にて計測された座面21における重心を表示手段30に表示させていたが、座面21における重心を表示手段30に表示させなくてもよい。
前記実施形態では、重心計測部503は、ロードセル201Bにて検出された台座20にかかる荷重に基づいて、座面における重心を計測していたが、座面21における重心の計測方法は、これとは異なる方法を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明は、車椅子シミュレータに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 車椅子シミュレータ
2 椅子
3 車輪
4 パラメータ変更手段
10 車椅子
20 台座
21 座面
22 背もたれ
23 フットレスト
30 表示手段
40 操作手段
41 座面昇降機構
42 座面回動機構
43 形状変更機構(支持部材進退機構)
44 フットレスト進退機構
45 フットレスト昇降機構
46 フットレスト回動機構
47 車輪回動機構
48 車輪移動機構
49 車輪進退機構
50 制御手段
201B ロードセル(荷重センサ)
221 バックサポート(背中支持部材)
222 ランバーサポート(腰支持部材)
501 表示制御部
502 変更制御部
503 重心計測部
図1
図2
図3
図4
図5
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