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特開2024-41841食道がんおよびその他のがんに対する免疫療法において使用するための新規ペプチドおよびペプチドの組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041841
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】食道がんおよびその他のがんに対する免疫療法において使用するための新規ペプチドおよびペプチドの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240319BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240319BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20240319BHJP
   C07K 14/82 20060101ALI20240319BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20240319BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240319BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240319BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C12N15/12
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12P21/08
C07K14/725
C07K14/82
C07K16/30
C07K19/00
C12P21/02 A
A61K38/08
A61K38/10
A61K48/00
A61K31/7088
A61K35/12
A61K39/395 T
A61K39/00 H
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000243
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2021145069の分割
【原出願日】2016-07-05
(31)【優先権主張番号】1511792.2
(32)【優先日】2015-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】62/188,870
(32)【優先日】2015-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506258073
【氏名又は名称】イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】メア,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインシェンク,トニ
(72)【発明者】
【氏名】ソング,コレット
(72)【発明者】
【氏名】スホール,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェ,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】シン,ハープリート
(57)【要約】      (修正有)
【課題】免疫療法において使用するためのペプチド、タンパク質、核酸、および細胞を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなり、MHCクラスI分子に結合する能力を有し、前記MHCクラスI分子に結合すると、CD8T細胞によって認識されることができるようになるペプチド又はその薬学的に許容可能な塩であって、一態様として、修飾された、及び/又は、非ペプチド結合を含み、HLA-DR抗原関連不変鎖のN末端アミノ酸を含んでなる融合タンパク質を構成する、ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2-8、配列番号10-12、及び配列番号14-93のいずれかに示されるアミノ酸配列からなり、MHCクラスI分子に結合する能力を有し、前記MHCクラスI分子に結合すると、CD8T細胞によって認識されることができるようになる、ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
修飾された、及び/又は、非ペプチド結合を含む、請求項1に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩、及びHLA-DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸を含んでなる融合タンパク質。
【請求項4】
請求項1若しくは2に記載のペプチド、若しくは、MHCクラスI分子と結合した請求項1若しくは2に記載のペプチドに特異的に結合する、抗体若しくはそのフラグメント、
前記抗体若しくはそのフラグメントが、可溶性若しくは膜結合抗体若しくはそのフラグメントである、抗体若しくはそのフラグメント、又は、
前記抗体が、(i)モノクローナル抗体及び/若しくはヒト化抗体若しくはそのフラグメント、若しくは(ii)二重特異性抗体及び/若しくはキメラ抗体若しくはそのフラグメントである、抗体若しくはそのフラグメント。
【請求項5】
MHC分子と結合したHLAリガンドと反応性であり、前記リガンドが請求項1に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩である、T細胞受容体
前記T細胞受容体が可溶性若しくは膜結合T細胞受容体である、T細胞受容体、又は、
前記T細胞受容体が可溶性分子として提供され、免疫刺激ドメイン若しくは毒素を含むさらなるエフェクター機能を保有するT細胞受容体。
【請求項6】
請求項1若しくは2に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項4に記載の抗体若しくはそのフラグメント、若しくは請求項5に記載のT細胞受容体をエンコードする核酸、又は、前記核酸が異種プロモータ配列と結合している、核酸。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸を含有する、発現ベクター。
【請求項8】
請求項1若しくは2に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項6に記載の核酸、若しくは請求項7に記載の発現ベクターを含んでなる、組換え宿主細胞、又は
該宿主細胞が樹状細胞を含む抗原提示細胞である、組換え宿主細胞。
【請求項9】
医療において使用するための、請求項1若しくは2に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項3に記載の融合タンパク質、請求項6に記載の核酸、請求項7に記載の発現ベクター、又は請求項8に記載の組換え宿主細胞を含む薬剤。
【請求項10】
請求項1に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項4に記載の抗体若しくはそのフラグメント、又は請求項5に記載のT細胞受容体を製造する方法であって、請求項1に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩を提示する、請求項6に記載の核酸を発現する、又は請求項7に記載の発現ベクターを有する請求項8に記載の組換え宿主細胞を培養するステップと、前記ペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、前記抗体若しくはそのフラグメント、又は前記T細胞受容体を、前記組換え宿主細胞又はその培養液から単離するステップとを含んでなる、方法。
【請求項11】
T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面に、又は抗原提示細胞を模倣する人工コンストラクトの表面に発現される抗原負荷ヒトMHCクラスI分子に、前記T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなり、前記抗原が、請求項1に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩である、活性化Tリンパ球を製造するインビトロ法。
【請求項12】
請求項11に記載のインビトロ法によって製造される活性化Tリンパ球であって、請求項1に記載のペプチドを提示する細胞を選択的に認識する活性化Tリンパ球。
【請求項13】
請求項12に記載の活性化Tリンパ球を含み、請求項1に記載のペプチドを提示する患者において、標的細胞を死滅させる治療剤。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩、請求項3に記載の融合タンパク質、請求項4に記載の抗体又はそのフラグメント、請求項5に記載のT細胞受容体、請求項6に記載の核酸、請求項7に記載の発現ベクター、請求項8に記載の組換え宿主細胞、及び請求項12に記載の活性化Tリンパ球からなる群から選ばれる少なくとも1つの活性成分と、薬剤的に許容できる担体とを含む医薬組成物、又は、
さらにアジュバントを含む、前記医薬組成物
【請求項15】
がん治療薬の製造における、請求項1若しくは2に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項3に記載の融合タンパク質、請求項4に記載の抗体若しくはそのフラグメント、請求項5に記載のT細胞受容体、請求項6に記載の核酸、請求項7に記載の発現ベクター、請求項8に記載の組換え宿主細胞、請求項12に記載の活性化Tリンパ球、又は請求項14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
前記がんが、食道がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、腎細胞、脳がん、胃がん、結腸直腸がん、肝細胞がん、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、黒色腫、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん、胆嚢および胆管がん、及び配列番号1、配列番号2-8、配列番号10-12、及び配列番号14-9のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチドが由来するタンパク質の過剰提示を示すその他の腫瘍の群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
請求項1若しくは2に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項3に記載の融合タンパク質、請求項4に記載の抗体若しくはそのフラグメント、請求項5に記載のT細胞受容体、請求項6に記載の核酸、請求項7に記載の発現ベクター、請求項8に記載の組換え宿主細胞、請求項12に記載の活性化Tリンパ球、又は請求項14に記載の医薬組成物を含む、がんの診断および/または治療用の薬剤。
【請求項18】
前記がんが、食道がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、腎細胞、脳がん、胃がん、結腸直腸がん、肝細胞がん、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、黒色腫、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん、胆嚢および胆管がん、及び配列番号1、配列番号2-8、配列番号10-12、及び配列番号14-9のいずれかに示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドが由来するタンパク質の過剰提示を示すその他の腫瘍の群から選択される、請求項17に記載の薬剤。
【請求項19】
(a)請求項1若しくは2に記載のペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、請求項3に記載の融合タンパク質、請求項4に記載の抗体若しくは前記抗体の抗原に対する結合活性を有するそのフラグメント、請求項5に記載のT細胞受容体、請求項6に記載の核酸、請求項7に記載の発現ベクター、請求項8に記載の組換え宿主細胞、若しくは請求項12に記載の活性化Tリンパ球を溶液若しくは凍結乾燥形態で含んでなる容器;及び
(b)凍結乾燥物のための希釈剤若しくは再構成溶液を含有する第2の容器;を含むキット、又は、
前記(a)及び前記(b)に加えて、(i)配列番号~配列番号101からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる少なくとももう1つのペプチド若しくはその薬学的に許容可能な塩、
(ii)緩衝液、(iii)希釈剤、(iv)フィルター、(v)針、及び(vi)シリンジからなる群から選ばれる1つまたは複数をさらに含んでなるキット。
【請求項20】
個別化抗がんワクチンを製造する方法であって、
a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される、腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;
b)a)で同定された前記ペプチドを、正常組織との比較で腫瘍における免疫原性および/または過剰提示について予備選別されたペプチド貯蔵庫と比較するステップと;
c)前記患者からの前記サンプルにおいて同定されたTUMAPと一致する少なくとも1つのペプチドを、前記貯蔵庫から選択するステップと;
d)ステップc)に基づいて、個別化ワクチンを調合するステップと、を含み、
前記貯蔵庫が配列番号1、配列番号2-8、配列番号10-12、及び配列番号14-9のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、以下の(1)~(4)からなる群から選ばれる1又は複数を含む方法。
(1) 前記TUMAPが、
a1)前記腫瘍サンプルからの発現データを前記腫瘍サンプルの組織型に対応する正常組織サンプルからの発現データと比較して、前記腫瘍サンプルにおいて過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質を同定するステップと;
a2)前記発現データを、前記腫瘍サンプル中のMHCクラスI及び/又はクラスII分子と結合しているMHCリガンドの配列と相関させて、前記腫瘍によって過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとによって同定される、
(2) 前記腫瘍サンプルから単離されたMHC分子から、MHC分子に結合したペプチドを溶出させ、前記溶出したリガンドを配列決定することで、MHCリガンドの配列が同定される、
(3) 前記腫瘍サンプルの組織型に対応する前記正常組織が、前記患者と同一の患者から得られたサンプルである、
(4) 前記貯蔵庫に包含される前記ペプチドの免疫原性が、生体外免疫原性アッセイ、MHC多量体染色、ELISPOTアッセイおよび/または細胞内サイトカイン染色を含んでなる方法によって判定される
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載の方法であって、前記個々の患者からの正常な対応する組織と比較して前記腫瘍サンプルに特有の少なくとも1つの変異を同定するステップと、前記ワクチンに包含するために、若しくは細胞療法用剤を作成するために、前記変異に関連があるペプチドを選択するステップとをさらに含んでなる方法、
又は、前記個々の患者からの正常な対応する組織と比較して前記腫瘍サンプルに特有の少なくとも1つの変異を同定するステップと、前記ワクチンに包含するために、若しくは細胞療法用剤を作成するために、前記変異に関連があるペプチドを選択するステップとをさらに含んでなり、前記少なくとも1つの変異が、全ゲノム配列決定によって同定される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫療法において使用するためのペプチド、タンパク質、核酸、および細胞に関する。特に、本発明は、がんの免疫療法に関する。本発明は、単独のまたはその他の腫瘍関連ペプチドと組み合わされた、腫瘍関連T細胞ペプチドエピトープにさらに関し、それは、例えば、抗腫瘍免疫応答を刺激し、または生体外でT細胞を刺激して患者に移入する、ワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たし得る。主要組織適合性複合体(MHC)の分子と結合しているペプチド、またはペプチドそれ自体もまた、抗体、可溶性T細胞受容体、およびその他の結合分子の標的になり得る。
【0002】
本発明は、ヒト腫瘍細胞のHLAクラスI分子に由来する、いくつかの新規ペプチド配列およびそれらの変異型に関し、それらは抗腫瘍免疫応答を引き起こすためのワクチン組成物中で、または薬理的/免疫学的活性化合物および細胞の開発のための標的として、使用され得る。
【背景技術】
【0003】
食道がんは世界で8番目に頻度の高いがんであり、2012年における5年間有病者数は、464,063人である。死亡率は発症率非常に良く似ており(2012において400,169対455,784)、食道がんの高い死亡率を指し示す(World Cancer Report,2014;Ferlay et al.,2013;Bray et al.,2013)。
【0004】
扁平上皮がんおよび腺がんは、食道がんの2つの最も一般的なサブタイプである。どちらのサブタイプも、女性より男性でより一般的であるが、それらは異なる地理的分布を示す。扁平上皮がんは、低資源地域でより一般的であり、イラン・イスラム共和国、中国の一部、およびジンバブエで特に発生率が高い。腺がんは、白人および社会経済的地位の高い集団において最も一般的な食道がんのタイプであり、英国、オーストラリア、オランダ、および米国が先頭に立つ。食道扁平上皮がんの発症の最強のリスク因子としては、アルコールやたばこの摂取が挙げられ、食道腺がんは主に肥満や胃食道逆流症に関連する。高所得国では食道腺がんの発生率が着実に上昇しており、これは肥満や胃食道逆流症の発生率の増加や、胃食道接合部腫瘍の分類の変更に起因するかもしれない。神経内分泌がん、腺様嚢胞がん、腺扁平上皮がん、粘液類上皮がん、混合腺神経内分泌がん、様々な肉腫および黒色腫は、食道がんのより稀なサブタイプに相当する。(World Cancer Report,2014)。
【0005】
食道がんの一次治療ストラテジーは、腫瘍病期と部位、組織型、および患者の医学的状態に左右される。扁平上皮がん患者の小さなサブグループを除いて、手術のみでは十分でない。一般に、手術は、術前または最終的に術後の化学療法、または術前の化学放射線療法と組み合わされるべきである一方で、術前または術後の放射線単独では生存利益を与えないことが示された。化学療法薬措置としては、オキサリプラチンとフルオロウラシル、カルボプラチンとパクリタキセル、シスプラチンとフルオロウラシル、FOLFOX、およびシスプラチンとイリノテカンが挙げられる。食道がんにおける標的療法の無作為化されたデータは非常に限られているため、HER2陽性腫瘍を有する患者は、シスプラチン、フルオロウラシル、およびトラスツズマブの組み合わせを用いた胃がんに関する指針に従って治療されるべきである(Stahl et al.,2013;Leitlinie Magenkarzinom,2012)。
【0006】
一般に、食道がんの大多数のタイプは、患者が早期段階の腫瘍に罹患している場合、十分に管理可能であるが、より後の段階では治療の成功は非常に限られている。したがって、新たなスクリーニングプロトコールの開発は、食道がん関連死亡率を減少させる上で非常に有効であり得る(World Cancer Report,2014)。
【0007】
免疫療法は、進行した食道がんを治療するための有望な新規アプローチかもしれない。異なるMAGE遺伝子であるNY-ESO-1およびEpCAMをはじめとするいくつかのがん関連遺伝子およびがん精巣抗原は、食道がんにおいて過剰発現されることが示された(Kimura et al.,2007;Liang et al.,2005B;Inoue et al.,1995;Bujas et al.,2011;Tanaka et al.,1997;Quillien et al.,1997)。これらの遺伝子は、免疫療法にとって非常に興味深い標的であり、それらの大多数についてその他の悪性病変の治療のために研究が行われている(ClinicalTrials.gov,2015)。さらに、PD-L1およびPD-L2の上方制御が食道がんで報告され、より芳しくない予後と相関した。したがって、PD-L1陽性腫瘍を有する食道がん患者は、抗PD-L1免疫療法の恩恵を受けるかもしれない(Ohigashi et al.,2005)。
【0008】
完了している早期臨床試験の数が非常に限られているので、食道がんにおける免疫療法アプローチに関する臨床データは、現在のところまだ比較的少ない(Toomey et al.,2013)。3つの異なるがん精巣抗原(TTKタンパク質キナーゼ、リンパ球抗原6複合遺伝子座K、およびインスリン様成長因子(IGF)-IImRNA結合タンパク質3)から誘導される、3つのペプチドからなるワクチンが、第I相試験において、進行した食道がんがある患者に投与され、中程度の成績が得られた(Kono et al.2009)。自己由来悪性細胞およびインターロイキン2を用いた生体外攻撃後の活性化T細胞の腫瘍内注射は、第I/II相試験にある2人の患者の内4人で、完全または部分的腫瘍応答を誘導した(Toh et al.,2000;Toh et al.,2002)。食道がんに対する異なる免疫療法の影響を評価するために、養子細胞療法(NCT01691625、NCT01691664、NCT01795976、NCT02096614、NCT02457650)予防接種ストラテジー(NCT01143545、NCT01522820)、および抗-PD-L1療法(NCT02340975)をはじめとするさらなる臨床試験が現在実施されている(ClinicalTrials.gov,2015)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
がんの治療に伴う重度の副作用および費用を考慮すると、がん全般、そして特に食道がんの治療に使用し得る要素を同定する必要がある。がんのより良い診断、予後の評価、および治療成功の予測につながる、がん全般、特に食道がんのためのバイオマーカーに相当する要素を同定する必要性もまたある。
【0010】
がんの免疫療法は、がん細胞を特異的に標的化しながら副作用を最小化する選択肢に相当する。がん免疫療法は、腫瘍関連抗原の存在を利用する。
【0011】
腫瘍関連抗原(TAA)の現行の分類は、次の主要群を含んでなる:
a)がん精巣抗原:T細胞によって認識され得る初めて同定されたTAAはこのクラスに属し、元々はがん精巣(CT)抗原と称されたが、それは、そのメンバーが組織学的に異なるヒト腫瘍において発現し、正常組織では精巣の精母細胞/精原細胞のみに存在し、時として胎盤に存在するためであった。精巣の細胞は、クラスIおよびII HLA分子を発現しないので、これらの抗原は正常組織のT細胞によって認識され得ず、したがって免疫学的に腫瘍特異的と見なされる。CT抗原の周知の例は、MAGEファミリーメンバーおよびNY-ESO-1である。
b)分化抗原:これらのTAAは、腫瘍と、それから腫瘍が生じる正常組織との間で共有される。既知の分化抗原のほとんどは、黒色腫および正常メラノサイトに見いだされる。これらのメラノサイト系関連タンパク質の多くは、メラニン生合成に関与し、したがって腫瘍特異的でないが、それでもなおがん免疫療法のために広く利用されている。例としては、黒色腫に対するチロシナーゼとMelan-A/MART-1、または前立腺がんに対するPSAが挙げられるが、これに限定されるものではない。
c)過剰発現TAA:広範に発現されるTAAをエンコードする遺伝子は、組織学的に異なる型の腫瘍において検出され、多数の正常組織においても概してより低い発現レベルで検出されている。正常組織によってプロセスされて潜在的に提示さるエピトープの多くは、T細胞認識の閾値レベル未満であり得る一方で、腫瘍細胞におけるそれらの過剰発現は、以前確立された免疫寛容を破壊することにより、抗がん応答を始動し得る。このクラスのTAAの顕著な例は、Her-2/neu、サバイビン、テロメラーゼまたはWT1である。
d)腫瘍特異的抗原:これらのユニークなTAAは、正常な遺伝子(β-カテニン、CDK4など)の変異から生じる。これらの分子変化のいくつかは、腫瘍性形質転換および/または進行に関連している。腫瘍特異的抗原は、通常、正常組織に対する自己免疫反応のリスクなしに、強力な免疫応答を誘導できる。他方、これらのTAAは、ほとんどの場合、その上でそれらが同定されたまさにその腫瘍のみと関係があり、通常は、多くの個々の腫瘍間で共有されない。腫瘍特異的(関連)イソ型を有するタンパク質では、ペプチドの腫瘍特異性(または関連性)はまた、ペプチドが腫瘍(関連)エクソンに由来する場合に生じてもよい。
e)異常な翻訳後修飾から生じるTAA:このようなTAAは、特異的でなく腫瘍において過剰発現もされないタンパク質から生じてもよいが、それでもなお、腫瘍において主に活性である翻訳後プロセスによって腫瘍関連になる。このクラスの例は、腫瘍にMUC1のような新規エピトープをもたらす改変グリコシル化パターン、または腫瘍特異的であってもなくてもよい分解中のタンパク質スプライシングのような事象から生じる。
f)オンコウイルスタンパク質:これらのTAAはウイルスタンパク質であり、それらは発がん過程において重要な役割を果たしてもよく、外来性である(ヒト由来でない)ため、それらはT細胞応答を誘起し得る。このようなタンパク質の例は、子宮頸がんにおいて発現されるヒト乳頭腫16型ウイルスタンパク質E6およびE7である。
【0012】
T細胞ベースの免疫療法は、主要組織適合性複合体(MHC)の分子によって提示される、腫瘍関連または腫瘍特異的タンパク質由来ペプチドエピトープを標的とする。腫瘍特異的Tリンパ球によって認識される抗原、すなわちそれらのエピトープは、酵素、受容体、転写因子などの全てのタンパク質クラスに由来する分子であり得て、それはそれぞれの腫瘍細胞において発現されて、同一起源の非改変細胞と比較して、通常、上方制御される。
【0013】
MHC分子には、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの2つのクラスがある。MHCクラスI分子はα重鎖およびβ2ミクログロブリンから構成され、MHCクラスII分子はαおよびβ鎖から構成される。それらの三次元立体構造は結合溝をもたらし、それはペプチドとの非共有結合相互作用のために使用される。
【0014】
MHCクラスI分子は、ほとんどの有核細胞上に見いだされる。それらは、主に内因性タンパク質、欠陥リボソーム産物(DRIP)、およびより大型のペプチドのタンパク質切断から得られる、ペプチドを提示する。しかし、エンドソームコンパートメントまたは外因性起源に由来するペプチドもまた、MHCクラスI分子上に頻繁に見いだされる。この非古典的様式のクラスI提示は、文献中で交差提示と称される(Brossart and Bevan,1997;Rock et al.,1990)。MHCクラスII分子は、大部分はプロフェショナル抗原提示細胞(APC)に見いだされ、例えば、エンドサイトーシス中にAPCに取り込まれて引き続きプロセシングされる、外因性または膜貫通タンパク質のペプチドを主に提示する。
【0015】
ペプチドとMHCクラスIの複合体が、適切なT細胞受容体(TCR)を有するCD8陽性T細胞によって認識される一方で、ペプチドとMHCクラスII分子の複合体は、適切なTCRを有するCD4陽性ヘルパーT細胞によって認識される。その結果、TCR、ペプチド、およびMHCは、化学量論的に1:1:1の量で存在することが良く知られている。
【0016】
CD4陽性ヘルパーT細胞は、CD8陽性細胞傷害性T細胞による、効果的な応答の誘導と維持する上で重要な役割を果たす。腫瘍関連抗原(TAA)に由来するCD4陽性T細胞エピトープの同定は、抗腫瘍免疫応答を始動させる医薬品の開発に非常に重要である(Gnjatic et al.,2003)。腫瘍部位では、Tヘルパー細胞が、細胞毒性T細胞(CTL)親和的サイトカイン環境を維持して(Mortara et al.,2006)、例えば、CTL、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、および顆粒球などのエフェクター細胞を引きつける(Hwang et al.,2007)。
【0017】
炎症不在下では、MHCクラスII分子の発現は、免疫系細胞、特に、例えば、単球、単球由来細胞、マクロファージ、樹状細胞などのプロフェショナル抗原提示細胞(APC)に主に限定される。がん患者においては、腫瘍細胞がMHCクラスII分子を発現することが判明している(Dengjel et al.,2006)。
【0018】
伸長された(より長い)本発明のペプチドは、MHCクラスII活性エピトープとして作用し得る。
【0019】
MHCクラスIIエピトープによって活性化されたTヘルパー細胞は、抗腫瘍免疫におけるCTLのエフェクター機能を統合する上で重要な役割を果たす。TH1型のTヘルパー細胞応答を始動するTヘルパー細胞エピトープは、それらの細胞表面に腫瘍関連ペプチド/MHC複合体を提示する腫瘍細胞に向けられた細胞傷害機能をはじめとする、CD8陽性キラーT細胞のエフェクター機能を支持する。このようにして腫瘍関連Tヘルパー細胞ペプチドエピトープは、単独で、またはその他の腫瘍関連ペプチドとの組み合わせで、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たし得る。
【0020】
例えば、マウスなどの哺乳類動物モデルにおいて、CD8陽性Tリンパ球の不在下であっても、インターフェロンγ(IFNγ)の分泌による血管新生阻害を通じて腫瘍発現を阻害するには、CD4陽性T細胞で十分であることが示された(Beatty and Paterson,2001;Mumberg et al.,1999)。CD4 T細胞が、直接抗腫瘍エフェクターであるという証拠がある(Braumuller et al.,2013;Tran et al.,2014)。
【0021】
HLAクラスII分子の構成的発現は、通常、免疫細胞に限定されるので、原発性腫瘍からクラスIIペプチドを直接単離する可能性があり得るとは、これまで考えられなかった。しかし、Dengjel et al.は、いくつかのMHCクラスIIエピトープを腫瘍から直接成功裏に同定した(国際公開第2007/028574号パンフレット、欧州特許第1760088B1号明細書)。
【0022】
CD8およびCD4依存性の双方のタイプの応答は、抗腫瘍効果に共同して相乗的に寄与するので、CD8+T細胞(リガンド:MHCクラスI分子+ペプチドエピトープ)、またはCD4陽性Tヘルパー細胞(リガンド:MHCクラスII分子+ペプチドエピトープ)のどちらかによって認識される、腫瘍関連抗原の同定および特性解析は、腫瘍ワクチンの開発にとって重要である。
【0023】
MHCクラスIペプチドが、細胞性免疫応答を始動(惹起)するためには、それはまた、MHC分子に結合しなくてはならない。この過程は、MHC分子の対立遺伝子と、ペプチドのアミノ酸配列の特定の多型性とに依存する。MHCクラスI結合ペプチドは、通常は8~12アミノ酸残基長であり、通常は、MHC分子の対応する結合溝と相互作用するそれらの配列中に、2つの保存残基(「アンカー」)を含有する。このようにして、各MHC対立遺伝子は、どのペプチドが結合溝と特異的に結合し得るかを決定する、「結合モチーフ」を有する。
【0024】
MHCクラスI依存免疫反応においては、ペプチドは腫瘍細胞によって発現される特定のMHCクラスI分子に結合できるだけでなく、それらはまた、引き続いて特異的T細胞受容体(TCR)を有するT細胞によって認識されなくてはならない。
【0025】
タンパク質が、Tリンパ球によって腫瘍特異的または腫瘍関連抗原として認識され、治療で利用されるためには、特定の必要条件が満たされなくてはならない。抗原は、主に腫瘍細胞によって発現され、健常組織によって発現されず、または比較的少量発現されるべきである。好ましい実施形態では、ペプチドは、健常組織と比較して、腫瘍細胞によって過剰提示されるべきである。それぞれの抗原は、ある種の腫瘍に存在するだけでなく、高い濃度(すなわち、それぞれのペプチド細胞当たりのコピー数)で存在することもさらに望ましい。腫瘍特異的および腫瘍関連抗原は、例えば、細胞周期調節またはアポトーシス抑制における機能のために、正常細胞から腫瘍細胞への形質転換に直接関与するタンパク質に由来することが多い。さらに、形質転換の直接原因となるタンパク質の下流標的が、上方制御されてもよく、(und)したがって間接的に腫瘍関連であってもよい。このような間接的腫瘍関連抗原もまた、ワクチン接種アプローチの標的であってもよい(Singh-Jasuja et al.,2004)。このようなペプチド(「免疫原性ペプチド」)が、腫瘍関連抗原に由来して、生体外または生体内T細胞応答をもたらすことを確実にするためには、抗原のアミノ酸配列内にエピトープが存在することが必須である。
【0026】
基本的に、MHC分子に結合できるあらゆるペプチドが、T細胞エピトープとして機能してもよい。生体外または生体内T細胞応答誘導のための必要条件は、対応するTCRを有するT細胞の存在、およびこの特定のエピトープに対する免疫寛容の不在である。
【0027】
したがって、TAAは、腫瘍ワクチンをはじめとするが、これに限定されるものではない、T細胞ベースの治療法開発の出発点である。TAAを同定し特性決定する方法は、通常は、患者または健常人から単離され得るT細胞の使用に基づき、またはそれらは、腫瘍と正常組織との間の示差的転写プロファイル、または差次的ペプチド発現パターンの生成に基づく。しかし、腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞株において過剰発現され、またはこのような組織または細胞株において選択的に発現される遺伝子の同定は、免疫療法においてこれらの遺伝子から転写される抗原の使用に関する、正確な情報を提供しない。これは、これらの抗原のエピトープの個々の亜集団のみが、このような用途に適するためであり、その理由は、対応するTCRを有するT細胞が存在しなくてはならず、この特定のエピトープに対する免疫寛容が不在または最小でなくてはならないからである。したがって本発明の非常に好ましい実施形態では、それに対する機能性および/または増殖性T細胞が見いだされる、過剰にまたは選択的に提示されるペプチドのみを選択することが、重要である。このような機能性T細胞は、特異的抗原による刺激時にクローン増殖され得て、エフェクター機能を果たすことができるT細胞(「エフェクターT細胞」)と定義される。
【0028】
本発明による特異的TCR(例えば、可溶性TCR)および抗体またはその他の結合分子(スキャフォールド)によってペプチドMHCを標的化する場合、基礎となるペプチドの免疫原性は二次的である。これらの場合には、提示が決定要因である。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の態様では、本発明は、配列番号1~配列番号93、または配列番号1~配列番号93と少なくとも77%、好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは、少なくとも77%または少なくとも88%同一の)その変異配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドに関し、その中で前記変異体は、MHCと結合し、および/またはT細胞と前記ペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩との交差反応を誘導し、その中で前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。
【0030】
本発明は、配列番号1~配列番号93、または配列番号1~配列番号93と少なくとも77%、好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは少なくとも77%または少なくとも88%同一の)その変異体からなる群から選択される配列を含んでなる、本発明のペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたはその変異型は、8~100、好ましくは8~30、最も好ましくは8~14アミノ酸の全長を有する。
【0031】
続く表は、本発明によるペプチド、それらの各配列番号、およびそれらのペプチドの予測される起源(基礎)遺伝子を示す。表1および表2の全てのペプチドは、HLA-A*02に結合する。表2のペプチドは、誤り率が高い、またはアルゴリズムを使用して計算された、ハイスループットスクリーニングの結果としての大きなリスト中で以前開示されているが、これまでがんとは全く関連付けられていなかった。表3のペプチドは、本発明のその他のペプチドとの組み合わせで有用であってもよい、追加的なペプチドである。表4のペプチドは、それぞれの基礎ポリペプチドの過剰発現または過剰提示を伴う、様々なその他の悪性腫瘍の診断および/または治療においてさらに有用である。
【0032】
表1: 本発明によるペプチド
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0033】
表2: がん関連性が以前知られていない本発明による追加的なペプチド
【表2】
【0034】
表3: 例えば個別化がん治療で有用なペプチド
【表3】
【0035】
本発明は、さらに、例えば、肺がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、子宮がん、肝細胞がん、腎細胞がん、脳がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、前立腺がん、および白血病などの増殖性疾患の治療において使用するための本発明によるペプチドに一般に関する。
【0036】
特に好ましいのは、配列番号1~配列番号93からなる群から選択される、本発明による単独のまたは組み合わされたペプチドである。より好ましいのは、配列番号1~配列番号76(表1を参照されたい)からなる群から選択される単独のまたは組み合わせのペプチドと、食道がん、肺がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、子宮がん、肝細胞がん、腎細胞がん、脳がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、前立腺がん、および白血病、好ましくは食道がんの免疫療法におけるそれらの使用である。
【0037】
特に好ましいのは、配列番号1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17、18、19、25、26、30、32、34、37、40、51、55、57、58、59、62、81、および82からなる群から選択される本発明による単独のまたは組み合わせのペプチドと、食道がん、肺がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、子宮がん、肝細胞がん、腎細胞がん、脳がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、前立腺がん、および白血病、好ましくは食道がんの免疫療法におけるそれらの使用である。さらに特に好ましいのは、配列番号9に記載のペプチドである。
【0038】
以下の表4Aに示されるように、本発明によるペプチドの多くは、その他の腫瘍型上にもまた見られ、したがって、その他の適応症のための免疫療法においても使用され得る。
図1および実施例1もまた、参照されたい。
【0039】
表4A: 本発明によるペプチド、およびその他の増殖性疾患、特にその他のがん性疾患における、それらの具体的使用。表は、選択されたペプチドについて、測定された腫瘍サンプルの5%超で過剰提示されるか、または測定された腫瘍サンプルの5%超で3を超える腫瘍対正常組織の幾何学平均比で提示されるかのどちらかである、それらがその上で発見された追加的な腫瘍型を示す。過剰提示は、最大提示がある正常サンプルと比較して、より高い腫瘍サンプル上の提示と定義される。それに対する過剰提示が試験された正常組織は、脂肪組織、副腎、動脈、骨髄、脳、中枢神経、結腸、十二指腸、食道、胆嚢、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、単核白血球細胞、膵臓、末梢神経、腹膜、下垂体、胸膜、直腸、唾液腺、骨格筋、皮膚、小腸、脾臓、胃、胸腺、甲状腺、気管、尿管、膀胱、静脈であった。
【表4A-1】
【表4A-2】
【0040】
表4B: 本発明によるペプチド、およびその他の増殖性疾患、特にその他のがん性疾患における、それらの具体的使用(表4の修正)。表は、表4Aのように、選択されたペプチドについて、測定された腫瘍サンプルの5%超で過剰提示を示すか、または測定された腫瘍サンプルの5%超で3を超える腫瘍対正常組織の幾何学平均比で提示を示す、それらがその上で発見された追加的な腫瘍型を示す。過剰提示は、最大提示がある正常サンプルと比較して、より高い腫瘍サンプル上の提示と定義される。それに対する過剰提示が試験された正常組織は、脂肪組織、副腎、動脈、骨髄、脳、中枢神経、結腸、十二指腸、食道、眼、胆嚢、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、単核白血球細胞、膵臓、副甲状腺、末梢神経、腹膜、下垂体、胸膜、直腸、唾液腺、骨格筋、皮膚、小腸、脾臓、胃、甲状腺、気管、尿管、膀胱、静脈であった。
【表4B-1】
【表4B-2】
【表4B-3】
【0041】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、非小細胞肺がんの併用療法のための、配列番号1、2、3、4、7、8、9、11、13、17、40、57、58、62、67、72、76、77、80、82、88、92、および94のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0042】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、リンパ腫の併用療法のための、配列番号18、19、25、29、55、58、62、68、75、76、77、79、81、84、86、90、および92のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0043】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、小細胞肺がんの併用療法のための、配列番号22、55、58、62、57、61、76、79、および80のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0044】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、腎細胞がんの併用療法のための、配列番号17、56、76、82、および54のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0045】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、脳がんの併用療法のための、配列番号16、22、66、67、80、81、83、86、87、および89のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0046】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、胃がんの併用療法のための、配列番号31、33、35、36、37、38、39、41、42、45、46、48、50、52、53、54、55、63、68、70、75および71のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0047】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、結腸直腸がんの併用療法のための、配列番号26、34、40、74、80、88、および92のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0048】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、肝細胞がんの併用療法のための、配列番号15、17、22、35、49、62、67、70、72、74、75、80、82、および92のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0049】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、膵臓がんの併用療法のための、配列番号37、40、68、69、71、78、79、87、および91のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0050】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、前立腺がんの併用療法のための、配列番号79および91のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0051】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、白血病の併用療法のための、配列番号4、28、58、61、72、78、79、80、82、84、86、88、92、および85のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0052】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、乳がんの併用療法のための、配列番号22、28、29、30、40、56、57、62、73、74、75、76、79、80、82、88、92、および89のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0053】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、黒色腫の併用療法のための、配列番号1、13、14、11、16、18、19、23、28、30、40、55、57、58、62、66、70、72、75、76、80、84、86、89、92、および83のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0054】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、卵巣がんの併用療法のための、配列番号8、62、70、78、79、80、および87のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0055】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、膀胱がんの併用療法のための、配列番号2、3、4、7、8、10、12、13、15、17、30、32、34、40、47、53、57、58、62、66、72、74、75、77、78、79、83、86、87、および89のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0056】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、子宮がんの併用療法のための、配列番号13、15、29、30、40、56、57、58、80、81、83、84、および88のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0057】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、胆嚢および胆管がんの併用療法のための、配列番号4、7、11、15、16、25、30、32、40、51、56、62、67、72、75、76、80、86、89、および92のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0058】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、HNSCCの併用療法のための、配列番号配列番号(SEQ ID No.SEQ ID No)1、2、3、4、5、6、7、8、10、13、16、18、19、20、25、30、32、34、40、42、57、58、59、66、67、69、72、74、75、77、78、80、84、86、87、88、および90のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0059】
したがって、本発明の別の態様は、好ましくは食道がん、肺がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、子宮がん、肝細胞がん、腎細胞、脳がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、前立腺がん、および白血病の群から選択される増殖性疾患の併用療法のための本発明によるペプチドの使用に関する
【0060】
本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を有し、または長さ変異体などの伸長形態では、MHCクラスIIに結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0061】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは(それぞれ)配列番号1~配列番号93に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。
【0062】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、修飾され、および/または非ペプチド結合を含む。
【0063】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、特にHLA-DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸に融合した、または例えば樹状細胞に対して特異的な抗体などの抗体(またはその配列中)に融合した、融合タンパク質の一部である。
【0064】
本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関する。本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNA、またはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。
【0065】
本発明は、本発明による核酸を発現でき、および/または発現する、発現ベクターにさらに関する。
【0066】
本発明は、疾患治療および医療において、特にがんの治療において使用するための本発明によるペプチド、本発明による核酸または本発明による発現ベクターにさらに関する。
【0067】
本発明は、本発明によるペプチドに対して、または前記本発明によるペプチドとMHCの複合体に対して特異的な対抗と、それらを製造する方法とにさらに関する。
【0068】
本発明は、T細胞受容体(TCR)、特に、自己由来または同種異系T細胞に組み込まれた可溶性TCR(sTCR)およびクローン化TCR;これらを製造する方法;ならびに前記TCRを有するまたは前記TCRと交差反応する、NK細胞またはその他の細胞を製造する方法にさらに関する。
【0069】
抗体およびTCRは、本発明によるペプチドの免疫療法用途の追加的な実施形態である。
【0070】
本発明は、前述のような本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。本発明は、抗原提示細胞であり、好ましくは樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
【0071】
本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。
【0072】
本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞または人工抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはII MHC分子上に抗原が負荷される、本発明による方法にさらに関する。
【0073】
本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1~配列番号93を含有する、好ましくは配列番号1~配列番号76または変異アミノ酸配列を含有する、前記ペプチドを発現できまたは発現する、発現ベクターを含んでなる、本発明による方法にさらに関する。
【0074】
本発明は、本発明による方法によって製造される活性化T細胞にさらに関し、前記T細胞は、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを発現する細胞を選択的に認識する。
【0075】
本発明は、本発明によって製造されるT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
【0076】
本発明は、薬剤としてのまたは薬剤の製造における、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、本発明による活性化Tリンパ球、T細胞受容体または抗体またはその他のペプチド-および/またはペプチド-MHC-結合分子の使用にさらに関する。好ましくは、前記薬剤は、がんに対して有効である。
【0077】
好ましくは、前記薬剤は、可溶性TCRまたは抗体ベースの、細胞療法、ワクチンまたはタンパク質である。
【0078】
本発明は、本発明による使用にさらに関し、その中で前記がん細胞は、食道がん、肺がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、子宮がん、肝細胞がん、腎細胞、脳がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、前立腺がん、および白血病、好ましくは食道がん細胞である。
【0079】
本発明は、がん、好ましくは食道がんの診断において使用され得る、本明細書で「標的」と称される、本発明によるペプチドをベースとするバイオマーカーにさらに関する。マーカーは、ペプチドそれ自体の過剰提示、または対応遺伝子の過剰発現であり得る。マーカーはまた、好ましくは免疫療法、最も好ましくはバイオマーカーによって同定されるのと同じ標的を標的とする免疫療法である、治療の成功確率を予測するのに使用されてもよい。例えば、抗体または可溶性TCRを使用して腫瘍切片が染色され、MHCと複合体形成した目的ペプチドの存在が検出され得る。
【0080】
任意選択的に、抗体は、免疫刺激ドメインまたは毒素などのさらなるエフェクター機能を保有する。
【0081】
本発明はまた、がん治療の文脈におけるこれらの新規標的の使用に関する。
【0082】
ABHD11アンチセンスRNA1(ABHD11-AS1)は、長い非コーディングRNAとして記載されており、それは胃がんにおいて上方制御され、分化およびLauren組織学的分類に関連することが示された。したがって、ABHD11-AS1は、胃がんの診断のための潜在的なバイオマーカーかもしれない(Lin et al.,2014)。ABHD11活性は、肺腺がんにおける遠隔転移の発生に関連することが示されており、したがって潜在的な新規バイオマーカーであるかもしれない(Wiedl et al.,2011)。
【0083】
ADAMTS2は、T/骨髄性混合表現型急性白血病を有する患者において脱調節される(dys-regulated)ことが示された。(Tota et al.,2014)。ADAMTS2は、骨肉腫細胞におけるIL-6を通じた上方制御に際して、JNK経路に関連するとして記載された(Alper and Kockar,2014)。ADAMTS2は、濾胞性甲状腺がんの潜在的な診断マーカーであってもよい(Fontaine et al.,2009)。ADAMTS2は、舌扁平上皮がんにおける転移の潜在的なマーカーとして記載された(Carinci et al.,2005)。ADAMTS2は、腎細胞がんにおいて上方制御されることが示され、より短い患者生存期間に関連している(Roemer et al.,2004)。ADAMTS2は、形質転換成長因子β1に関連する細胞増殖によって調節されることが示された(Wang et al.,2003)。
【0084】
AHNAK2は、スキャフォールドタンパク質AHNAK核タンパク質2をコードする(Marg et al.,2010)。AHNAK2は、線維芽細胞成長因子1(FGF1)の非古典的分泌経路の重要な要素であり、腫瘍増殖および浸潤に関与する因子である(Kirov et al.,2015)。
【0085】
ANO1は、小腸肉腫および口腔がんに関連するカルシウム活性化塩素イオンチャネルである、アノクタミン1をコードする(RefSeq,2002)。ANO1は、食道扁平細胞がん(ESCC)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部扁上皮がん(HNSCC)、膵臓がん、および乳がんにおいて増幅される(Qu et al.,2014)。
【0086】
ARHGDIAは、肝細胞がんにおいて、および乳がん発症に際して、下方制御されることが示された(Liang et al.,2014;Bozza et al.,2015)。ARHGDIAは、肝細胞がんにおける腫瘍浸潤、転移、全生存期間、および再発までの時間に関連することが示されたしたがって、ARHGDIAは、肝細胞がんのための潜在的な治療標的を提供してもよい(Liang et al.,2014)。ARHGDIAは、ペリプロンシン処置時に、肺がん細胞株A549において下方制御されることが示された。したがって、肺がん細胞のペリプロンシンで阻害された増殖は、ARHGDIAに関連してもよい(Lu et al.,2014)。ARHGDIAノックダウンは、肺由来の正常なおよび培養腫瘍細胞におけるアポトーシスの増加に関連することが示された。したがって、ARHGDIAは、潜在的な治療標的に相当してもよいアポトーシスの負の制御因子として記載された(Gordon et al.,2011)。ARHGDIAは、卵巣明細胞および高悪性度漿液性がんの病期に関連することが記載された(Canet et al.,2011)。ARHGDIAは、TRAIL媒介アポトーシス時に線維肉腫HT1080細胞において脱調節されることが示された、アポトーシス経路関連遺伝子として記載された(Daigeler et al.,2008)。ARHGDIAは、オキサリプラチン耐性(resistent)結腸がん細胞株THC8307/L-OHPにおいて上方制御されることが示され、抗アポトーシスに関与する遺伝子として記載された。したがって、ARHGDIAは、オキサリプラチン感受性に関連する潜在的なマーカーであってもよい(Tang et al.,2007)。ARHGDIAの過剰発現は、ACVR2フレームシフト変異を保有する野生型ACVR2形質移入MSI-H結腸がん細胞株において、がん関連TGFBR2ファミリーのメンバーである推定腫瘍抑制因子ACVR2によって調節されることが示された(Deacu et al.,2004)。ARHGDIAは、Rho GTPアーゼの重要な調節因子として記載された。ARHGDIA枯渇は、乳がん異種移植動物モデルにおける乳がんの進行に関連したRho GTPアーゼおよびCOX-2経路の構成的活性化を誘導することが示された(Bozza et al.,2015)。ARHGDIAシグナル伝達は、結腸直腸がんにおいて脱調節されることが示された(Sethi et al.,2015)。ARHGDIAは、SUMO化に際してMEK1/2-Erkを標的とすることが示され、それは、C-Jun/AP-1、サイクリンd1転写、および細胞周期の進行の阻害に関連する。したがって、ARHGDIAは、がん細胞増殖の抑制に関連している(Cao et al.,2014)。ARHGDIAは、前立腺がんにおける新規サプレッサーとして記載されており、それはアンドロゲン受容体シグナル伝達および前立腺がん増殖および進行を調節する上で重要な役割を果たしてもよい(Zhu et al.,2013b)。
【0087】
ATICは、未分化大細胞(larger cell)リンパ腫におけるがん関連未分化リンパ腫キナーゼの潜在的な遺伝子融合パートナーとして記載された(Cheuk and Chan,2001)。ATICは、膀胱の炎症性筋線維芽細胞腫瘍において、ALKとのキメラ融合体として提示されることが示された(Debiec-Rychter et al.,2003)。モデル乳がん細胞株におけるATICのアミノイミダゾールカルボキシアミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼ(AICAR)活性の阻害は、細胞数および細胞分裂速度の用量依存的減少をもたらすことが示された。したがって、ATICは、がん治療における潜在的標的であってもよい(Spurr et al.,2012)。
【0088】
CAPZBは、ヒト乳頭腫ウイルス18陽性経口扁平上皮がんで過剰発現されることが報告され、前立腺がん感受性遺伝子座と同定された(Lo et al.,2007;Nwosu et al.,2001)。
【0089】
COL6A1は、去勢抵抗性前立腺がんの反応性間質において上方制御され、腫瘍増殖を促進する(Zhu et al.,2015)。COL6A1は、CD166+がん細胞よりも浸潤性および移動活性がより強い、CD166-膵臓がん細胞において過剰発現される(Fujiwara et al.,2014)。COL6A1は、骨転移において高度に発現される(Blanco et al.,2012)。COL6A1は、子宮頸がんおよび卵巣がんにおいて上方制御されることが判明した(Zhao et al.,2011;Parker et al.,2009)。COL6A1は、星細胞腫および膠芽細胞腫において示差的に発現される(Fujita et al.,2008)。
【0090】
COL6A2は、子宮頸がん、高悪性度漿液性卵巣がんにおける全生存率不良、B前駆体急性リンパ芽球性白血病、肝細胞がん、原発性および転移性脳腫瘍、肺の扁平上皮がん、頭頸部扁上皮がんに関連し、子宮頸がんの潜在的DNAメチル化として記載された(Cheon et al.,2014;Chen et al.,2014d;Vachani et al.,2007;Liu et al.,2010;Seong et al.,2012;Hogan et al.,2011)。
【0091】
CYFIP1は、上皮性腫瘍の浸潤中に下方制御されることが示された(Silva et al.,2009)。CYFIP1の下方制御は、上皮性腫瘍における予後不良に関連している(Silva et al.,2009)。
【0092】
CYP2S1は、S-カテニンシグナル伝達のPGE2媒介活性化との関連性を通じて、細胞株HCT116における結腸直腸がん増殖を調節することが示された(Yang et al.,2015b)。CYP2S1は、複数の上皮由来がんおよび低酸素腫瘍細胞において、上方制御されるとして記載された(Nishida et al.,2010;Madanayake et al.,2013)。気管支上皮細胞系におけるCYP2S1枯渇は、mTORシグナル経路などの細胞増殖および移動に関与する重要な経路における、変化した調節をもたらすことが示された(Madanayake et al.,2013)。CYP2S1枯渇は、結腸直腸がんおよび乳がんにおける薬物感受性に関連することが示された(Tan et al.,2011)。CYP2S1は、乳がんにおける生存率に相関することが示され、結腸直腸がんにおける予後不良と関連する(Murray et al.,2010;Kumarakulasingham et al.,2005)。CYP2S1は、BaP-7,8-ジオールを、高度に変異誘発性かつ発がん性のベンゾ[a]ピレン-r-7,t-8-ジヒドロジオール-t-9,10-エポキシドに代謝することが示されており、したがって、ベンゾ[a]ピレン誘発性発がんにおいて重要な役割を果たしてもよい(Bui et al.,2009)。CYP2S1は、原発性卵巣がんと比較して、卵巣がん転移において、有意に上方制御されることが示された(Downie et al.,2005)。
【0093】
結腸直腸がんの間質におけるDES発現は、進行した段階の疾患と相関することが示された(Arentz et al.,2011)。DESは、結腸直腸がんにおいて上方制御されることが示された(Ma et al.,2009)。DESは、結腸直腸がんの重症度と分化、および生存率の低下に関連することが示された(Ma et al.,2009)。DESは、結腸直腸がんの潜在的ながん胎児性血清腫瘍マーカーとして記載された(Ma et al.,2009)。DESは、横紋筋肉腫の特異的マーカーであることが示された(Altmannsberger et al.,1985)。DESは、免疫組織化学検査を用いて膀胱がんを病期分類するのに潜在的に有用であってもよいタンパク質パネルの3つの構成要素の1つとして記載された(Council and Hameed,2009)。
【0094】
DIS3は、多発性骨髄腫において頻繁に変異し、急性骨髄性白血病において反復的に変異することが示された(Ding et al.,2012;Lohr et al.,2014)。DIS3の変異多発性骨髄腫は、より短い全生存期間中央値に関連することが示された。マイナーサブクローン中の変異は、メジャーサブクローン中にDIS3変異を有する患者と比較して、治療に対するより芳しくない応答に関連することが示された(Weissbach et al.,2015)。DIS3は、結腸直腸がんにおいて、13qの増加によって上方制御されることが示された。DIS3のサイレンシングは、生存能力、移動、および浸潤などの重要な腫瘍発生特性に影響を及ぼすことが示された。したがって、DIS3は、結腸直腸がんの進行に寄与する新規候補腫瘍遺伝子であってもよい(de Groen et al.,2014)。DIS3は、上皮性卵巣がんの早期診断を可能にするために、血漿タンパク質ベースのバイオマーカーと組み合わせて使用されてもよい、遺伝子パネルの一部として記載された(Pils et al.,2013)。DIS3は、多数の多型性が乳がん家系における変異スクリーニングに際して検出されたことから、乳がん感受性の潜在的な候補遺伝子であってもよい(Rozenblum et al.,2002)。
【0095】
EEF1A1は、結腸直腸がん、卵巣がん、胃がん、前立腺がん、神経膠芽腫、および扁平上皮がんをはじめとする多様ながん実体において上方制御されることがが示され、前立腺がんの可能な血清バイオマーカーとして記載された(Lim et al.,2011;Qi et al.,2005;Matassa et al.,2013;Vui-Kee et al.,2012;Kuramitsu et al.,2010;Kido et al.,2010;Scrideli et al.,2008;Rehman et al.,2012)。機構的に、EEF1A1は、p53およびp73との相互作用を通じてアポトーシスを阻害して、細胞周期インヒビターp21の転写を抑制することで増殖を促進し、上皮間葉転換の制御に関与する(Blanch et al.,2013;Choi et al.,2009;Hussey et al.,2011)。
【0096】
EEF1A2は、乳がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、胃がん、前立腺がんおよびTFE3転座腎細胞がんにおいて上方制御されるとして記載された(Pflueger et al.,2013;Sun et al.,2014;Yang et al.,2015c;Zang et al.,2015;Abbas et al.,2015)。EEF1A2は卵巣がん、胃がん、膵管腺がんおよび肺腺がんにおける予後不良に関連することが示された(Duanmin et al.,2013;Yang et al.,2015c;Li et al.,2006;Lee and Surh,2009)。EEF1A2は、リン脂質シグナル伝達を刺激し、最終的に腫瘍発生に有利なAkt依存性細胞移動およびアクチン再構築を活性化するので、発がんに関連するとして記載された(Abbas et al.,2015)。EEF1A2は、MDM4のPI3K/AKT/mTOR依存性安定化を通じて、肝細胞がんにおけるp53機能を阻害することが記載された。EEF1A2/PI3K/AKT/mTOR/MDM4シグナル伝達経路の強力な活性化は、肝細胞がんにおける短い生存期間に関連することが示され、したがって、患者のサブセットにおける治療の標的であってもよい(Longerich,2014)。EEF1A2は、膵臓がん患者における、TNM期、浸潤性、および生存率に関連することが示された。したがって、EEF1A2は、膵臓がんの治療の潜在的標的かもしれない(Zang et al.,2015)。EEF1A2は、増殖の促進およびアポトーシスの阻害を通じて前立腺がん発症に関連することが示されており、したがって前立腺がんにおける潜在的な治療標的の役割を果たすかもしれない(Sun et al.,2014)。EEF1A2は腫瘍抑制タンパク質p16と相互作用することが示され、それはEEF1A2の下方制御をもたらし、がん細胞増殖の阻害に関連する(Lee et al.,2013)。EEF1A2は、膵管腺がんにおける結節転移および神経周囲浸潤に関連することが示された(Duanmin et al.,2013)。EEF1A2は、乳がんにおける生存率に関連することが示された(Kulkarni et al.,2007)。EEF1A2は、肺腺がん細胞株および卵巣がんにおける、推定発がん遺伝子および腫瘍抑制遺伝子として記載された(Lee,2003;Zhu et al.,2007a)。
【0097】
EIF2S1は、リン酸化に際して、腫瘍進行および治療抵抗性のプロモーターとして記載されてた。しかし、EIF2S1が腫瘍発生に対する抑制効果に関与することもまた記載された(Zheng et al.,2014)。EIF2S1は、mTORの下流エフェクターとして記載されており、それは過剰なリン酸化に際してがん細胞の生存率を低下させ、したがって薬剤開発の標的として役立ってもよい(Tuval-Kochen et al.,2013)。
【0098】
EIF4G2は、小児神経膠腫CD133+細胞の腫瘍形成の排除に関連することが示された、一連のコア遺伝子の1つの遺伝子として記載された(Baxter et al.,2014)。EIF4G2は、miR-520C-3pを通じた下方制御に際する、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫発症の抑制に関連することが示された(Mazan-Mamczarz et al.,2014)。EIF4G2は、細胞周期タンパク質の合成を調節することによって、タンパク質合成および細胞増殖を促進することが示された(Lee and McCormick,2006)。EIF4G2は、膀胱腫瘍において下方制御され、下方制御は、浸潤腫瘍に関連することが示された(Buim et al.,2005)。EIF4G2は、MycN/IFNγ誘導アポトーシス、ならびに神経芽細胞腫細胞の生存能力および死滅の双方に関与するとして記載された(Wittke et al.,2001)。
【0099】
組織因子と複合体形成したF7は、卵巣がんをはじめとするがん細胞の表面で、異常に発現されるとして記載された。この複合体は、卵巣がんにおける悪性表現型の誘導に関連するとしてさらに記載された(Koizume and Miyagi,2015)。F7-組織因子複合体経路は、乳がん細胞における多数の悪性表現型の発現を刺激してもよい、乳がん進行のメディエーターとして記載された。したがって、F7-組織因子経路は、乳がん治療のための潜在的に魅力的な標的である(Koizume and Miyagi,2014)。F7は、乳がんにおいて。アンドロゲン受容体によって調節されることが示された(Naderi,2015)。F7は、肝細胞がん細胞株におけるmTORシグナル伝達を通じた、オートファジーの調節に関連することが示された(Chen et al.,2014a)。F7は、結腸直腸がんおよび卵巣がんにおける、腫瘍浸潤および転移に関連することが示された(Tang et al.,2010;Koizume et al.,2006)。F7は、結腸直腸がんにおいて、異所性に上方制御されることが示された(Tang et al.,2009)。組織因子と複合体形成したF7は、神経芽腫(neuoblastoma)における化学療法抵抗性に関連することが示された(Fang et al.,2008a)。
【0100】
FAM115Cは、非小細胞肺がんにおいて、低酸素時に上方制御される(Leithner et al.,2014)。
【0101】
FAM83Aは、肺がんのための潜在的バイオマーカーとして記載された(Li et al.,2005)。FAM83Aは、乳がん患者の循環がん細胞を検出するために、NPY1RおよびKRT19を有するパネルにおいて使用され得る、マーカー遺伝子として記載された(Liu et al.,2014d)。乳がん細胞からのFAM83A除去は、生体外での顕著な増殖の抑制と、生体内での腫瘍原性を伴う、MAPKシグナル伝達の低下をもたらすことが示された(Cipriano et al.,2014)。さらに、FAM83タンパク質ファミリーは、がんにおけるMAPKシグナル伝達を調節する腫瘍遺伝子の新規ファミリーとして記載されており、したがって、MAPKシグナル伝達の抑制を図るがん治療の開発に適している(Cipriano et al.,2014)。FAM83Aは、HER2陽性乳がん細胞株におけるトラスツズマブ耐性に関連することが示された(Boyer et al.,2013)。一般に、FAM83Aは、乳がんにおけるEGFR-チロシンキナーゼ阻害剤耐性に関連する候補遺伝子であることが示された(Lee et al.,2012)。FAM83Aは、乳がんにおける予後不良に関連するとして記載された(Lee et al.,2012)。FAM83Aは、非小細胞肺がんにおいて上方制御されることが示された。(Qu et al.,2010)。FAM83Aは、非小細胞肺がん患者の末梢血中の循環腫瘍細胞を検出する潜在的な特異的かつ高感度のマーカーであることが示された(Qu et al.,2010)。
【0102】
FAM83Dの上方制御は、肝細胞がん細胞の増殖および浸潤に影響を及ぼす(Wang et al.,2015a;Liao et al.,2015b)。FAM83Dは、乳がん細胞株および原発性ヒト乳がんにおいて有意に上昇する(Wang et al.,2013b)。
【0103】
FAT1は、頭頸部の扁平上皮がんにおいて有意に変異し、子宮頸部腺がん、膀胱がん、早期T細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病、フルダラビン難治性慢性リンパ球性白血病、神経膠芽腫、および結腸直腸がんにおいて頻繁に変異し、食道扁平上皮がんにおいて変異するとして記載された(Gao et al.,2014;Neumann et al.,2013;Morris et al.,2013;Messina et al.,2014;Mountzios et al.,2014;Cazier et al.,2014;Chung et al.,2015)。FAT1は、口腔がんにおいて抑制され、浸潤乳がんにおいて優先的に下方制御されるとして記載された(Katoh,2012)。FAT1は、preB急性リンパ芽球性白血病における予後不良に関連する白血病において、上方制御されるとして記載された(Katoh,2012)。FAT1は、膵臓腺がんおよび肝細胞がんにおいて上方制御されることが示された(Valletta et al.,2014;Wojtalewicz et al.,2014)。FAT1は、Hippoシグナル伝達の活性化を通じて腫瘍増殖を抑制し、アクチン重合の誘導を通じて腫瘍移動を促進することが記載された(Katoh,2012)。FAT1は、皮膚扁平上皮がんにおけるがん駆動機構遺伝子の候補であることが示された(Pickering et al.,2014)。FAT1は、Wntシグナル伝達および腫瘍発生に関連する腫瘍抑制因子として記載された(Morris et al.,2013)。
【0104】
その細胞内局在次第で、フィラミンAは、がんにおいて二重の役割を果たす:フィラミンAは、様々な増殖シグナル伝達経路において機能するのに加えて、細胞質においては細胞の移動経路および接着経路に関与する。したがって、その過剰発現は腫瘍促進効果を有する。完全長フィラミンAとは対照的に、タンパク質のタンパク質分解時に放出されるC末端破片は、核に局在し、そこで転写因子と相互作用し、それによって腫瘍増殖および転移を抑制する(Savoy and Ghosh,2013)。
【0105】
GBP5の腫瘍特異的C末端切断は、リンパ腫細胞におけるGBP5の異常調節(dys-regulation)に潜在的に関与するとして記載された(Wehner and Herrmann,2010)。GBP5は、皮膚T細胞リンパ腫腫瘍組織および細胞株ならびに黒色腫細胞株における、3つのGBP5スプライス変異体の限定発現パターンのために、がん関連機能の可能性があることが記載された(Fellenberg et al.,2004)。
【0106】
GJB5は、非小細胞肺がん細胞株、喉頭がん、および頭頸部扁平上皮がんにおいて下方制御されることが示された(Zhang et al.,2012;Broghammer et al.,2004;AlMoustafa et al.,2002)。GJB5は、細胞増殖および転移の阻害を通じて、非小細胞肺がん細胞株において腫瘍抑制因子として作用することが記載された(Zhang et al.,2012)。GJB5は、結腸がんの20〜30%を占めてもよい前がん病変である、広基性鋸歯状腺腫/ポリープにおいて上方制御されることが示された(Delker et al.,2014)。GJB5発現は、マウスモデルにおける皮膚腫瘍の促進および進行中に有意に改変されるとして記載された(Slaga et al.,1996)。
【0107】
GLSは、がん細胞におけるグルタミン代謝を増加させるために、MYCがん遺伝子によって間接的に調節されるとして記載された(Dang et al.,2009)。GLSは、結腸直腸がんにおいて、腫瘍抑制因子NDRG2によって抑制されることが示された(Xu et al.,2015)。GLSは 膵管腺がん、三種陰性乳がん、肝細胞がん、口腔扁平上皮がん、結腸直腸がん、および悪性グリア由来腫瘍において上方制御されるとして記載された(van Geldermalsen et al.,2015;Szeliga et al.,2014;Huang et al.,2014a;Cetindis et al.,2015;Yu et al.,2015a;Chakrabarti et al.,2015)。GLSは、肝細胞がんにおける生存率に関連することが示されており、肝細胞がんの病理学的診断および予後のための高感度かつ特異的バイオマーカーとしてもまた記載された(Yu et al.,2015a)。1コピーのGLSの喪失は、肝細胞がんの免疫適格MYC媒介マウスモデルにおいて、腫瘍進行を鈍らせることが示された(Xiang et al.,2015)。GLSは腫瘍発生に必要であることが示され、腫瘍特異的GLSの阻害はがん治療の潜在的アプローチとして記載された(Xiang et al.,2015)。GLSは、乳がんにおけるタキソール耐性に関連することが示された(Fu et al.,2015a)。GLS過剰発現は、前立腺がん患者における腫瘍病期および進行と高度に相関することが示された(Pan et al.,2015)。GLS発現は、結腸がんの腫瘍発生における管状腺がんのより深い腫瘍浸潤および病理学的パターンに関連することが示された。GLSは、結腸直腸がん治療のための標的として役立ってもよい(Huang et al.,2014a)。GLSイソ酵素KGAのサイレンシングは、神経膠腫細胞株SFxLおよびLN229において、より低い生存率をもたらすことが示された(Martin-Rufian et al.,2014)。神経膠腫細胞株SFxLおよびLN229におけるGLSのサイレンシングはまた、より低いc-mycおよびbcl-2発現、ならびにより高いアポトーシス促進bid発現を誘発することによって、アポトーシスの誘導をもたらすことが示された(Martin-Rufian et al.,2014)。ErbB2活性化は、乳がん細胞増殖を促進するNF-kB経路を通じて、GLS発現を上方制御することが示された(Qie et al.,2014)。高GLSレベルによる乳がん細胞におけるGLSのノックダウンまたは阻害は、増殖の有意な減少をもたらすことが示された(Qie et al.,2014)。
【0108】
GNA15は、原発性および転移性小腸神経内分泌新生物において上方制御されることが示された(Zanini et al.,2015)。GNA15の発現の増加はより芳しくない生存率に関連することが示され、GNA15は小腸神経内分新生物泌における病理生物学的役割を有してもよく、したがって潜在的な治療標的であり得ることが示唆される(Zanini et al.,2015)。GNA15は、多くの非小細胞肺がん細胞株において下方制御されるとして記載された(Avasarala et al.,2013)。正常な核型急性骨髄性白血病におけるGNA15の高度発現は、有意により芳しくない全生存期間に関連することが示された(de Jonge et al.,2011)。GNA15は、非標準Wntシグナル伝達の重要な下流エフェクターであり、非小細胞肺がん細胞増殖および足場非依存性細胞増殖の調節因子であることが示された。したがって、GNA15は、非小細胞肺がんの治療のための潜在的な治療標的である(Avasarala et al.,2013)。GNA15は、膵臓がんにおける腫瘍発生シグナル伝達に関連することが示された(Giovinazzo et al.,2013)。GNA15は、ヒト胎児腎臓293細胞における構成的活性化に際して、C-Src/JAK依存性およびERK依存性機序を通じてSTAT3を刺激することが示された(Lo et al.,2003)。
【0109】
HAS3過小発現は、上部尿路および膀胱の尿路上皮がんにおける、進行した腫瘍病期、結節転移、血管浸潤およびより芳しくない疾患特異的生存期間および無転移生存期間に関連することが示された(Chang et al.,2015)。したがって、HAS3は、尿路上皮がんにおける前向き予後バイオマーカーおよび新規治療標的の役割を果たしてもよい(Chang et al.,2015)。HAS3は、ヒアルロナン蓄積によって膵臓がん増殖を支援することが示された(Kultti et al.,2014)。HAS3阻害は、結腸直腸腺がん細胞株SW620における生存度を低下させることが示された(Heffler et al.,2013)。HAS3阻害は、SW620結腸直腸腫瘍細胞生存の調節に関与する、いくつかの遺伝子の示差的発現に関連することが示された(Heffler et al.,2013)。HAS3は、アポトーシスを阻害する結腸がん増殖の仲介に関連することが示された(Teng et al.,2011)。HAS3は、食道扁平上皮がん、腺の肺がんおよび扁平上皮がん、および結節性基底細胞がんにおいて、上方制御されることが示された(Tzellos et al.,2011;Twarock et al.,2011;deSa et al.,2013)。乳がん患者の間質細胞におけるHAS3発現は、高再発率および短い全生存期間と相関することが示されたことから、HAS3は、乳がんにおける独立予後因子として記載された(Auvinen et al.,2014)。HAS3は、漿液性卵巣がん、腎臓の明細胞がん、類内膜子宮内膜がん、および骨肉腫に関連することが示された(Nykopp et al.,2010;Weiss et al.,2012;Cai et al.,2011;Tofuku et al.,2006)。
【0110】
HIF1Aは、侵襲性子宮内膜がんにおける腫瘍壊死に関連することが示された。HIF1Aは、この疾患の治療のための潜在的標的であることがさらに記載された(Bredholt et al.,2015)。HIF1Aは、肝がん発症、肉腫転移、および鼻咽頭がんに関連することが示された(Chen et al.,2014c;El-Naggar et al.,2015;Li et al.,2015b)。HIF1Aにおける一塩基多型は、手術後の侵襲性肝細胞がん患者の臨床転帰に有意に関連することが示された(Guo et al.,2015)。異常なHIF1A活性は異常なSTAT3活性と共に、悪性末梢神経鞘腫瘍細胞株における腫瘍進行を駆動することが示された。したがって、STAT3/HIF1A/VEGF-Aシグナル伝達軸の阻害は、実行可能な治療ストラテジーとして記載された(Rad et al.,2015)。HIF1Aは、多発性骨髄腫における低酸素駆動薬剤耐性のための重要標的として記載された(Maiso et al.,2015)。HIF1Aは、多発性骨髄腫発病の病期に対応する3つの異なる細胞株において非対称的に発現され、HIF1Aが、多発性骨髄腫の腫瘍発生および転移に関与することが示唆された(Zhao et al.,2014b)。長い非コードHIF1AアンチセンスRNA-2は、非乳頭状明細胞腎臓がんおよび胃がんにおいて上方制御されるとして記載されており、胃がんにおける腫瘍細胞増殖および予後不良に関連している(Chen et al.,2015b)。HIF1Aを通じたPI3K/AKT/mTOR経路の調節解除は、前立腺がん幹細胞の休止、維持、および生存にとって重要であることが記載された(Marhold et al.,2015)。HIF1Aは、I期肺腺がんの予後徴候である4遺伝子分類指標の1つの遺伝子として記載された(Okayama et al.,2014)。HIF1Aの多型は、アジア人集団における消化管がんに対する感受性の増加に関連することが示された(Xu et al.,2014)。HIF1Aは、散発性男性乳がんにおける予後マーカーとして記載された(Deb et al.,2014)。
【0111】
細胞内HYOU1タンパク質の活性は、腫瘍の進行または転移中のがん細胞における生存利益を提供することが示されている。細胞外HYOU1タンパク質は、それらの交差提示のための腫瘍抗原の送達を促進することで、抗腫瘍免疫応答の発生において重要な役割を果たす(Fu and Lee,2006;Wang et al.,2014)。HYOU1タンパク質は、がん免疫療法に導入されており、陽性免疫調節効果を示した(Yu et al.,2013;Chen et al.,2013;Yuan et al.,2012;Wang and Subjeck,2013)。
【0112】
研究により、IGHG1は、隣接する非がん性組織と比較して、ヒト膵臓がん組織において過剰発現されることが示されている。対照的に、IGHG1タンパク質は、浸潤性腺管がん組織において下方制御された(Kabbage et al.,2008;Li et al.,2011)。IGHG1のsiRNA標的サイレンシングは、細胞生存を阻害してアポトーシスを促進できた(Pan et al.,2013)。
【0113】
研究者らは、乳がんに罹患したサウジアラビアの女性において、IGHG3の発現を観察している。同様に、前立腺がんに罹患しているアフリカ系米国人男性において、IGHG3のコピー数増加ならびにレベル上昇が検出された。別の報告は、IGHG3発現が、扁平上皮非小細胞細胞肺がん、悪性中皮腫において見いだされ、ならびにMALTリンパ腫において散発性に見られて形質細胞への分化の傾向を示す腫瘍細胞上で見いだされることを示した(Remmelink et al.,2005;BinAmer et al.,2008;Ledet et al.,2013;Zhang et al.,2013;Sugimoto et al.,2014)。
【0114】
IGHG4は、免疫グロブリン重鎖定常γ4(G4mマーカー)をコードして、14番染色体q32.33(RefSeq,2002)上に位置する。最近の研究では、IGHG4が関与する再配列が、原発性精巣びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫において検出されている(Twa et al.,2015)。
【0115】
IGHMは、免疫グロブリン重鎖定常mu(RefSeq,2002)をコードする。研究は、横紋筋肉腫に罹患した中国人患者におけるIGHMの下方制御を観察している。その他の研究者らは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるIGHMの発現を検出している。別のグループは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫において、IGHM遺伝子が、ほとんどのIgM腫瘍における生産性IGH対立遺伝子上でのみ、保存されることを見いだしている。さらに、類上皮様血管筋脂肪腫サンプルは、IGHMエンハンサー3または転写因子EBへの転写因子結合に対するいかなる反応性も示さなかった(Kato et al.,2009;Blenk et al.,2007;Ruminy et al.,2011;Liu et al.,2014b)。
【0116】
IL36RNは、肺腺がんのステージIIIをステージIおよびIIから有意に区別し得るマーカーとして記載された(Liang et al.,2015)。
【0117】
INAの発現低下は、膵臓神経内分泌腫瘍における転移、再発、およびより短い全生存期間に関連することが示された。したがって、INAは、膵臓神経内分泌腫瘍侵襲性のための有用な予後バイオマーカーであってもよい(Liu et al.,2014a)。INAは、乏突起膠細胞表現型神経膠腫において上方制御されるとして記載されており、INA発現は、乏突起膠腫および膠芽細胞腫の無増悪生存期間と相関することが示された(Suh et al.,2013)。INAは、小児の小円形細胞腫瘍の鑑別精密診断に有用な神経芽腫マーカーとして記載された(Willoughby et al.,2008)。
【0118】
ITGA6発現は、乳がん、前立腺がん、結腸がん、および胃がんをはじめとする異なるがん実体において上方制御され、腫瘍進行および細胞浸潤に関連する(Mimori et al.,1997;Lo et al.,2012;Haraguchi et al.,2013;Rabinovitz et al.,1995;Rabinovitz and Mercurio,1996)。ITGA6のAbeta4変異体の増殖効果は、Wnt/βカテニン経路を通じて媒介されるように見える(Groulx et al.,2014)。ITGA6のAbeta4変異体は、PI3K/Akt/mTOR経路のVEGF依存性活性化をもたらす。この経路は、転移性がん細胞の生存に重要な役割を果たす(Chung et al.,2002)。
【0119】
KRT14は、食道、肺、喉頭、子宮子宮頸部などの様々な扁平上皮がんにおいて、ならびに腺腫様歯原性腫瘍において、高度に発現された。しかし、それは、膀胱の小細胞がんでは存在せず、肺腺がん、胃腺がん、結腸直腸腺がん、肝細胞がん、膵管腺がん、乳腺浸潤性管(dutal)腺がん、甲状腺乳頭がん、および子宮類内膜腺がんでは弱かった(Xue et al.,2010;Terada,2012;Vasca et al.,2014;Hammam et al.,2014;Shruthi et al.,2014)。膀胱がんでは、KRT14発現は低生存率と強く関連していた(Volkmer et al.,2012)。
【0120】
KRT16の過剰発現は、基底細胞様乳がん細胞株ならびに上皮内がんにおいて見いだされた。その他の研究者らは、非再発性エナメル上皮腫と再発性エナメル上皮腫との間で、KRT16の免疫組織化学的発現に有意差を見いださなかった(Joosse et al.,2012;Ida-Yonemochi et al.,2012;Safadi et al.,2016)。さらに、コンピュータでの分析は、転移性乳がんにおけるKRT16発現とより短い無再発生存期間との間の相関を示した(Joosse et al.,2012)。
【0121】
KRT5は、若年女性の乳がんにおいて上方制御されることが示された(Johnson et al.,2015)。KRT5は、若年女性における乳がんのあまり良くない無病生存期間と、ホルモン受容体陽性乳がんを有する閉経前の患者における好ましくない臨床転帰とに、関連することが示された(Johnson et al.,2015;Sato et al.,2014)。KRT5は、乳がん細胞株HCC1937およびT47Dにおいて、腫瘍抑制因子BRCA1によって調節されることが示された(Gorski et al.,2010)。KRT5は、悪性胸膜中皮腫において脱調節されることが示された(Melaiu et al.,2015)。KRT5は、悪性中皮腫の診断中皮マーカーとして記載された(Arif and Husain,2015)。KRT5は、子宮内膜がんの進行と相関することが示された(Zhao et al.,2013)。KRT5は、疣状がんを有する患者の浸潤腫瘍領域において変異し、下方制御されることが示された(Schumann et al.,2012)。KRT5は、正常組織サンプルと比較して、結腸直腸がん生検で示差的に発現される4タンパク質パネルの一部であることが示された(Yang et al.,2012)。4タンパク質パネルのKRT5およびその他の3タンパク質は、結腸直腸がんの治療のための新規マーカーおよび潜在的標的として記載された(Yang et al.,2012)。KRT5は、基底細胞がんに関連しているとして記載された(Depianto et al.,2010)。KRT5は、尿路上皮がん幹細胞を同定するための候補として記載された(Hatina and Schulz,2012)。
【0122】
KYNUが関与するキヌレニン経路の活性化は、神経膠芽腫において有意により高いことが示され、神経膠腫病態生理学におけるキヌレニン経路の関与が示唆される(Adams et al.,2014)。KYNUは、MDA-MB-231乳がん細胞株におけるアリール炭化水素受容体ノックダウン時にその発現が変化する、がん関連遺伝子として記載された(Goode et al.,2014)。KNYUは、高侵襲性および非侵襲性骨肉腫細胞株において示差的に発現されることが示され、それが骨肉腫腫瘍発生過程における重要な役割を有するかもしれないことが示唆される。したがって、KYNUはまた、将来の治療標的候補に相当するかもしれない(Lauvrak et al.,2013)。KYNUは、非腫瘍発生性のHeLaおよびヒト皮膚線維芽細胞雑種細胞における、腫瘍原性の再発現に関連することが示された。したがって、KYNUは、腫瘍発生の発現調節のための興味深い候補を提供してもよい(Tsujimoto et al.,1999)。
【0123】
2つのその他の遺伝子と組み合わせたLAMB3の転写分析は、乳頭状甲状腺がんの診断およびリンパ節転移リスクの予測に、有用であることが示された(Barros-Filho et al.,2015)。LAMB3は、口腔扁平上皮がん、前立腺がん、胃がん、結腸直腸がん、ユーイング家族性(family)腫瘍、肺がん、乳がんおよび卵巣がんのがん実体に関連することが示された(Volpi et al.,2011;Ii et al.,2011;Reis et al.,2013;Stull et al.,2005;Irifune et al.,2005;Tanis et al.,2014)。LAMB3は、子宮頸部扁平上皮がん、肺がん、胃がん、鼻咽頭がんおよび食道扁平上皮がんにおいて上方制御されることが示された(Kwon et al.,2011;Wang et al.,2013a;Yamamoto et al.,2013;Kita et al.,2009;Fang et al.,2008b)。LAMB3は、細胞分化、移動、癒着、増殖、および生存に影響を及ぼすことが知られているタンパク質として記載されており、それは子宮頸部扁平上皮がんにおける発がん遺伝子として機能する(Yamamoto et al.,2013)。LAMB3のノックダウンは、生体外および生体内で肺がん細胞浸潤および転移を抑制することが示された。したがって、LAMB3は、肺がんの発症および転移において重要な役割を果たす、主要遺伝子である(Wang et al.,2013a)。LAMB3は、頭頸部扁上皮がんにおいて、腫瘍抑制因子miR-218によって調節されることが示された(Kinoshita et al.,2012)。頭頸部扁上皮がんにおけるLAMB3のサイレンシングは、細胞移動および浸潤の阻害をもたらすことが示された(Kinoshita et al.,2012)。LAMB3発現は、食道扁平上皮がんにおける浸潤の深さおよび静脈の浸潤と相関することが示された(Kita et al.,2009)。LAMB3のメチル化は、膀胱がんにおける予後不良のいくつかのパラメータと相関することが示された(Sathyanarayana et al.,2004)。
【0124】
LAP3の阻害は、ファスシンおよびMMP-2/9の下方制御を通じて、卵巣がん細胞株ES-2における浸潤抑制をもたらすことが示された。したがって、LAP3は、潜在的な抗転移治療標的として機能してもよい(Wang et al.,2015d)。LAP3の高発現は、神経膠腫患者の悪性度および予後不良と相関することが示された(He et al.,2015)。LAP3は、細胞増殖、移動、および浸潤を調節することによって神経膠腫進行を促進することが示され、したがって新たな予後因子かもしれない(He et al.,2015)。LAP3をはじめとするアミノ酸代謝に関与する遺伝子のフレームシフト変異は、マイクロサテライト高不安定性胃がんおよび結腸直腸がんにおいて検出された(Oh et al.,2014)。LAP3は、肝細胞がん、食道扁平上皮がん、および前立腺がんにおいて上方制御されることが示された(Zhang et al.,2014;Tian et al.,2014;Lexander et al.,2005)。LAP3は、細胞周期および進行した細胞移動において、G1/Sチェックポイントを調節することによって、肝細胞がん細胞増殖を促進することが示された(Tian et al.,2014)。LAP3の発現は、肝細胞がんの予後および悪性進行と相関することがさらに示された(Tian et al.,2014)。食道扁平上皮がん細胞株ECA109におけるLAP3のサイレンシングは、細胞増殖およびコロニー形成を低減することが示された一方で、LAP3ノックダウンは、細胞周期停止をもたらした(Zhang et al.,2014)。食道扁平上皮がん細胞株TE1におけるLAP3の過剰発現は、細胞増殖および浸潤性を支援することが示された(Zhang et al.,2014)。したがって、LAP3は、食道扁平上皮がんの悪性進行における役割を果たすことが示された(Zhang et al.,2014)。
【0125】
研究者らは、大腸がん細胞株ならびに絨毛がん細胞における、M6PRの発現を報告している(Braulke et al.,1992;O’Gorman et al.,2002)。乳がんでは、M6PRの低レベルの発現は、患者の予後不良に関連していた(Esseghir et al.,2006)。さらに、M6PRの過剰発現は、生体外での細胞増殖速度の減少およびヌードマウスにおける腫瘍増殖の減少をもたらした(O‘Gorman et al.,2002)。
【0126】
MAPK6は、乳がん細胞株MDA-MB-231における細胞形態および移動を調節する上で役割を果たすことが示された(Al-Mahdi et al.,2015)。MAPK6は、がん関連MAPKシグナル伝達経路の一部であり、黒色腫におけるBRAFおよびMEK1/2シグナル伝達に関連するとして記載された(Lei et al.,2014;Hoeflich et al.,2006)。MAPK6は、肺がん、胃がん、および口腔がんにおいて上方制御されることが示された(Long et al.,2012;Rai et al.,2004;Liang et al.,2005a)。MAPK6は、発がん遺伝子SRC-3のリン酸化によって、肺がん細胞浸潤性を促進することが示された。したがって、MAPK6は、浸潤性肺がんの治療処置のための魅力的な標的であってもよい(Long et al.,2012)。MAPK6は、薬物耐性乳がん細胞に対する抗がん剤開発のための潜在的標的として記載された(Yang et al.,2010)。胃がんにおけるMAPK6の過剰発現は、TNM病期、漿膜浸潤、およびリンパ節関与と相関することが示された(Liang et al.,2005a)。MAPK6は、コア細胞周期機構構成要素サイクリンD3の結合パートナーであることが示され、MAPK6が細胞増殖における潜在的な活性を有することが示唆された(Sun et al.,2006)。
【0127】
MNAT1は、エストロゲン受容体陽性/HER2陰性乳がんにおける予後不良に関連することが示された(Santarpia et al.,2013)。顆粒球形成中のMNAT1の内因性断片化の喪失は、白血病性骨髄芽球の増殖および転移を促進することが示された(Lou et al.,2013)。MNAT1は、推定発がん遺伝子ADRM1のノックダウンに際して、卵巣がん細胞株OAW42において、脱調節される(dys-regulated)ことが示された(Fejzo et al.,2013)。siRNAによって媒介されるMNAT1遺伝子サイレンシングは、生体外で膵臓がん細胞株BxPC3の細胞増殖を抑制することが示され、生体内で皮下移植された膵臓腫瘍に対する抗腫瘍効果を有意に達成した(Liu et al.,2007a)。MNAT1の遺伝的変異は、肺がんの感受性に関連することが記載された(Li et al.,2007)。アンチセンスMNAT1をコードする組換えアデノウイルスによる、膵臓がん細胞株BxPC3の感染は、MNAT1の発現低下、およびG0/G1期細胞比の増加をもたらすことが示された。したがって、MNAT1は、膵臓がん細胞株BxPC3における細胞周期G1からSへの転換の調節において、重要な役割を果たすことが示唆される(Zhang et al.,2005)。MNAT1により調節されるサイクリン依存性キナーゼ活性化キナーゼ活性は、神経芽腫細胞G1停止を交差調節することが示されており、神経芽腫細胞における増殖から分化への切り替えにおいて重要である(Zhang et al.,2004)。
【0128】
乳がんにおけるNEFHのDNAメチル化関連サイレンシングは、頻繁かつがん特異的であり、疾患進行の臨床的特徴と相関することが示された(Calmon et al.,2015)。NEFHは、膵臓がん、胃がん、および結腸がんにおけるDNAメチル化を通じて不活性化されることがさらに記載されており、したがって、これらの悪性病変の進行にもまた寄与するかもしれない(Calmon et al.,2015)。NEFH CpGアイランドメチル化は、腎細胞がんにおける進行した疾患、遠隔転移、および予後に関連することが示された(Dubrowinskaja et al.,2014)。したがって、NEFHメチル化は、腎細胞がんにおける予後のための候補エピジェネティックマーカーであり得る(Dubrowinskaja et al.,2014)。NEFHは、外陰部の骨外性粘液性軟骨肉腫において上方制御されることが示された(Dotlic et al.,2014)。肝細胞細胞株におけるNEFHの過剰発現は、細胞増殖を減少させることが示された一方で、NEFHのノックダウンは、生体外で細胞の浸潤および移動を促進し、マウスにおいて腫瘍を形成する能力を高めた。したがって、NEFHは、肝細胞がんにおける腫瘍抑制因子として機能する(Revill et al.,2013)。NEFHは、ユーイング肉腫において頻繁にメチル化されることが示され、したがって腫瘍発生に関連するかもしれない(Alholle et al.,2013)。
【0129】
NEFLのDNAメチル化媒介性サイレンシングは、乳がんにおける頻繁な事象であることが示され、それは、乳がんの、そして場合により膵臓がん、胃がん、および結腸がんなどのその他の悪性病変の進行に寄与してもよい(Calmon et al.,2015)。NEFLは、いくつかの臓器のがんに関連する潜在的な腫瘍抑制遺伝子として記載された(Huang et al.,2014c)。NEFLは、頭頸部扁上皮がん細胞株におけるがん細胞のアポトーシスおよび浸潤において、潜在的な役割を果たすことが記載された(Huang et al.,2014c)。NEFLメチル化は、mTORシグナル伝達経路との相互作用を通じて、頭頸部がん細胞株におけるシスプラチン化学療法抵抗性を与える新規機序として記載された(Chen et al.,2012)。NEFLは、頭頸部がんを有する患者における化学療法剤応答および生存率を予測する、候補バイオマーカーとして記載された(Chen et al.,2012)。NEFLの高度発現は、テント上上衣腫におけるより良好な臨床転帰と相関することが記載された(Hagel et al.,2013)。NEFLは乳がんにおいて異所的に発現され、陰性リンパ節を有するがんと比較して、リンパ節転移を伴う原発性乳がんにおいて減少した(Li et al.,2012)。低いNEFL発現は、早期段階乳がん患者の芳しくない5年無病生存率を示唆することが示され、したがって早期段階乳がん患者の潜在的な予後因子であり得る(Li et al.,2012)。NEFLは、多形性膠芽腫において下方制御されることが示された(Khalil,2007)。NEFLが位置する染色体8p21-23の対立遺伝子欠失は、肺がんの発がんおよび発症の早期の頻繁な事象として記載されており、乳がん、前立腺がん、およびB型肝炎ウイルス陽性肝細胞がんに関連することもまた記載された(Seitz et al.,2000;Becker et al.,1996;Haggman et al.,1997;Kurimoto et al.,2001)。
【0130】
NEFMは、腫瘍進行との関連性および転移に関わる過程との関連性を有する遺伝子として記載された(Singh et al.,2015)。NEFMは、食道がんにおいて低メチル化および上方制御されることが示された(Singh et al.,2015)。NEFMは、神経膠芽腫において頻繁に下方制御される、候補腫瘍抑制遺伝子として記載された(Lee et al.,2015a)。乳がんにおけるNEFMのDNAメチル化関連サイレンシングは、頻繁かつがん特異的であり、疾患進行の臨床的特徴と相関することが示された(Calmon et al.,2015)。NEFMは、膵臓がん、胃がん、および結腸がんにおけるDNAメチル化を通じて不活性化されることがさらに記載されており、したがって、これらの悪性病変の進行にもまた寄与するかもしれない(Calmon et al.,2015)。NEFMは、前立腺がんおよび星細胞腫に関連することが示された(Wu et al.,2010;Penney et al.,2015)。NEFMは、腎細胞がんにおいてメチル化されることが示された、新規候補腫瘍抑制遺伝子として記載された(Ricketts et al.,2013)。NEFMのメチル化は、腎細胞がんにおける予後に関連することが示された(Ricketts et al.,2013)。NEFMは、非神経内分泌腫瘍細胞株と比較して、神経内分泌腫瘍細胞株において示差的に発現されることが示された、潜在的な診断マーカーとして記載された(Hofsli et al.,2008)。
【0131】
NUP155は、乳がんの素因に関連する白血球DNAの潜在的なエピジェネティックなバイオマーカーとして記載された(Khakpour et al.,2015)。NUP155は、NUP214-ABL1陽性T細胞急性リンパ芽球性白血病細胞の増殖および生存に厳密に必要とされており、したがって、この疾患における潜在的な薬物標的を構成する(De et al.,2014)。
【0132】
OAS2は、カスパーゼ-3活性化を通じて、CD3-ζ鎖発現の障害に関連することが示された。CD3-ζ鎖の欠損は、口腔がんにおいて頻繁に観察されることが記載された(Dar et al.,2015)。OAS2は、進行した前立腺がんリスクに関連した先天性免疫および炎症経路の副経路に関与することが記載された(Kazma et al.,2012)。副経路分析により、OAS2が、進行した前立腺がんリスクと名目上関連することが明らかにされた(Kazma et al.,2012)。
【0133】
非小細胞肺がんにおけるより低いPABPN1発現は、予後不良と相関することが示された(Ichinose et al.,2014)。PABPN1の喪失は、非小細胞肺がんにおけるマイクロRNA媒介遺伝子制御からがん細胞を解放することによって、腫瘍侵襲性を潜在的に促進することが記載された(Ichinose et al.,2014)。PABPN1のN末端ポリアラニン伸長変異体は、HeLaおよびHEK-293細胞株における、p53経路を通じたアポトーシスの誘導に関連することが示された(Bhattacharjee et al.,2012)。
【0134】
PCBP1は、前立腺がん細胞におけるがん幹細胞の富化と機能性の中核を成すことが記載された(Chen et al.,2015a)。PCBP1は、胃がん発病の阻害因子として記載されており、その下方制御は、培養された胃がん細胞と異種移植胃がん細胞の双方における悪性表現型に関連する(Zhang et al.,2015e)。PCBP1は、卵巣の漿液性腺がんを有する患者における、良性および悪性の血清および組織サンプル間の示差的発現に基づいて、卵巣がんの病態生理において役割を果たすことが示唆された(Wegdam et al.,2014)。PCBP1は、胆嚢がん細胞株GBC-SDにおいて、腫瘍転移の前提条件であるTGF-β誘導性上皮間葉転換の重要なメディエーターであることが示された(Zhang and Dou,2014)。PCBP1発現レベルは、胆嚢がん細胞株GBC-SDが生体外で移動し侵入する能力を調節することが示された(Zhang and Dou,2014)。したがって、PCBP1は、胆嚢がん転移の潜在的予後マーカーかもしれない(Zhang and Dou,2014)。PCBP1下方制御は、子宮頸がん発病に潜在的に関与するとして記載された(Pathak et al.,2014)。PCBP1は、転写因子p63に関連する腫瘍抑制の調節因子として記載された(Cho et al.,2013)。完全胞状奇胎におけるPCBP1の高度発現は、より低い妊娠性絨毛性腫瘍への進行リスクに関連することが示された一方で、PCBP1発現は、悪性形質転換奇胎で有意により低かった(Shi et al.,2012)。したがって、PCBP1は、妊娠性絨毛性腫瘍の発病において重要な役割を果たすことが示唆された(Shi et al.,2012)。PCBP1の過剰発現は、転移関連PRL-3タンパク質の翻訳の抑制と、AKTの不活性化をもたらすことが示されたのに対して、PCBP1のノックダウンは、AKTの活性化と腫瘍発生の促進を引き起こすことが示された(Wang et al.,2010)。PCBP1は、肝がん細胞株HepG2における腫瘍浸潤に負の役割を果たすことが記載された(Zhang et al.,2010)。ヒト肝臓腫瘍におけるPCBP1の喪失は、転移性表現型の形成に寄与することが記載された(Zhang et al.,2010)。
【0135】
PDPN記載されたは、扁平上皮がん,中皮腫、膠芽細胞腫、および骨肉腫において上方制御される(Fujita and Takagi,2012)。PDPNは、上皮間葉転換、集団細胞移動、血小板の活性化、凝集、およびリンパ脈管新生に関与するいくつかの経路に関連することから、PDPNは、腫瘍の浸潤および転移調節因子として記載された(Dang et al.,2014)。PDPNは、口腔発がんおよび類上皮中皮腫におけるマーカーとして記載された(Swain et al.,2014;Ordonez,2005)。PDPN上方制御は、上部気道消化管の扁平上皮がんにおける、リンパ節転移および予後不良に関連することが記載された(Chuang et al.,2013)。PDPNは、血管腫瘍、悪性中皮腫、中枢神経系の腫瘍、胚細胞腫瘍、扁平上皮がん、およびより高い浸潤性および転移能を有する侵襲性腫瘍において、発現されることが記載された(Raica et al.,2008)。したがって、PDPNは、腫瘍細胞のための魅力的な治療標的として検討されるかもしれない(Raica et al.,2008)。
【0136】
PHTF2は、舌扁上皮がんにおいて下方制御されることが示された(Huang et al.,2007)。
【0137】
PKM2は、がん細胞増殖および腫瘍増殖に重要であることが示された(Chen et al.,2014b;Li et al.,2014;DeLaBarre et al.,2014)。N-mycは、髄芽細胞腫においてPKM2の転写調節因子の役割を果たす(Tech et al.,2015)。PKM2は、肝臓がん発生、上皮間葉転換、および血管新生において役割を果たすようである(Nakao et al.,2014)。PKM2は、ワールブルク効果の2つの重要な因子の1つである(Tamada et al.,2012;Warner et al.,2014;Ng et al.,2015)。PKM2の発現は、がん細胞において上方制御される(Chaneton and Gottlieb,2012;Luo and Semenza,2012;Wu and Le,2013)。悪性細胞では、PKM2は、転写共活性化因子として、およびプロテインキナーゼとして、解糖において機能する。後者の機能において、それは核に移行してヒストン3をリン酸化し、最終的に膠芽細胞腫において細胞周期の進行を引き起こす(Semenza,2011;Luo and Semenza,2012;Tamada et al.,2012;Venneti and Thompson,2013;Yang and Lu,2013;Gupta et al.,2014;Iqbal et al.,2014;Chen et al.,2014b;Warner et al.,2014)。低活性二量体PKM2は、活性四量体形態の代わりに、がんにおいて役割を果たすかもしれない(Mazurek,2011;Wong et al.,2015;Iqbal et al.,2014;Mazurek,2007)。
【0138】
PKP1は、前立腺がんおよび食道腺がんにおいて下方制御されることが示された(Kaz et al.,2012;Yang et al.,2015a)。非新生物、前立腺BPH-1細胞株におけるPKP1のノックダウンは、アポトーシスの減少および前立腺がん関連SPOCK1遺伝子などの遺伝子の示差的発現の低下をもたらした(Yang et al.,2015a)。集合的に、PKP1およびSPOCK1の変化した発現は、前立腺がんにおける頻繁かつ重大な事象であり、PKP1は、腫瘍抑制機能を有することが示唆される(Yang et al.,2015a)。PKP1の発現低下は、口腔扁平上皮がんにおける遠隔転移の発生までのより短い時間に、有意に関連することが示された(Harris et al.,2015)。プロモーターメチル化を通じたPKP1の喪失は、バレット食道がんから食道腺がんへの進行に関連することが記載された(Kaz et al.,2012)。PKP1は、非小細胞肺がんにおいて上方制御されることが示され、扁平上皮がんサンプルを識別するための良好なマーカーであってもよい(Sanchez-Palencia et al.,2011)。PKP1は、高分化型の脂肪肉腫細胞株GOT3において上方制御されることが示された(Persson et al.,2008)。PKP1の発現低下は、頭頸部扁上皮がん細胞における運動性の増加を促進することが記載された(Sobolik-Delmaire et al.,2007)。PKP1喪失は、子宮頸部発がんに関連することが示された(Schmitt-Graeff et al.,2007)。PKP1は、口腔咽頭の扁平上皮がんを有する患者における局所再発または転移ならびに低生存率に関連することが示された(Papagerakis et al.,2003)。
【0139】
PKP3 mRNAの増加は、バイオマーカーおよび疾患転帰の予測因子として使用され得る(Valladares-Ayerbes et al.,2010)。PKP3の過剰発現が、乳がん、肺がん、および前立腺がんにおける転帰不良と相関した一方で、膀胱がんにおける下方制御は、浸潤性挙動に関連している(Furukawa et al.,2005;Breuninger et al.,2010;Demirag et al.,2012;Takahashi et al.,2012)。PKP3の喪失は、細胞移動および腫瘍形成に必要なMMP7およびPRL3のタンパク質レベルの増大をもたらす(Khapare et al.,2012;Basu et al.,2015)。
【0140】
PPP4R1のノックダウンは、乳がん細胞株ZR-75-30における細胞増殖を抑制することが示された(Qi et al.,2015)。したがって、PPP4R1は、乳がん細胞増殖を促進し、乳がん発症において不可欠な役割を果たすかもしれない(Qi et al.,2015)。肝細胞がん細胞株HepG2におけるPPP4R1のノックダウンは、細胞増殖、コロニー形成の減少、およびG2/Mにおける細胞周期停止をもたらすことが示された(Wu et al.,2015)。PPP4R1のノックダウンは、HepG2細胞におけるp38およびc-JunN末端キナーゼシグナル伝達カスケードの不活性化をもたらし、PPP4R1が細胞増殖を促進し得ることを示す(Wu et al.,2015)。したがって、PPP4R1は、肝細胞がん細胞増殖を促進する上で重要な役割を果たす(Wu et al.,2015)。PPP4R1は、リンパ球におけるNF-κBキナーゼ活性の阻害剤の負の制御因子として記載されており、その下方制御は、T細胞リンパ腫のサブグループにおいて、発がん性NF-κBシグナル伝達を促進する(Brechmann et al.,2012)。
【0141】
PRC1は、子宮頸がん組織が照射後にPRC1の高い示差的発現を示したことから、子宮頸がんにおける放射線抵抗性に関連することが記載された(Fu et al.,2015b)。PRC1のイントロン14中の遺伝子座は、乳がん感受性に関連することが記載された(Cai et al.,2014)。PRC1は、5遺伝子シグネチャーの1つの遺伝子として記載されており、それは乳がん患者の無病生存期間の予後徴候として提案され得る(Mustacchi et al.,2013)。PRC1は、卵巣がん、子宮頸がん、および膀胱がんにおいて上方制御されることが示された(Espinosa et al.,2013;Ehrlichova et al.,2013;Kanehira et al.,2007)。PRC1は、乳房上皮細胞株MCF-10Aの4-ヒドロキシ-エストラジオール媒介悪性形質転換中に、上方制御されることが示された(Okoh et al.,2013)。PRC1は腫瘍の発病における重要な生物学的意味を有する遺伝子として記載されており、アジュバント化学療法に際して、非小細胞肺がんを有する切除可能な患者の予後を予測するための遺伝子セット中で使用され得る(Tang et al.,2013)。PRC1は、細胞周期関連キナーゼPlk1によって負に調節されることが示唆された(Hu et al.,2012)。膀胱がん細胞株NIH3T3におけるPRC1のノックダウンは、多核性細胞と引き続く細胞死に、有意な増加をもたらすことが示された(Kanehira et al.,2007)。さらに、PRC1は、膀胱がん細胞における新規がん精巣抗原MPHOSPH1と相互作用することが示され、MPHOSPH1/PRC1複合体は、膀胱発がんにおいて重要な役割を果たすことが示唆され、新規治療標的であり得る(Kanehira et al.,2007)。PRC1は、p53によって調節されることが示された(Li et al.,2004)。
【0142】
発現された配列タグプロファイリングは、PRDM15をリンパ腫における上方制御された遺伝子として同定した(Giallourakis et al.,2013)。PRDM15は、膵臓がんの発症または進行に寄与してもよい候補腫瘍抑制遺伝子として記載された(Bashyam et al.,2005)。
【0143】
PTHLHの明確な多型は、肺がんリスクおよび予後に関連することが示された(Manenti et al.,2000)。自発転移性乳腺がんのC57BL/6-マウス由来モデルにおけるPTHLHの上方制御は、乳がんの転移性播種に潜在的に関与するとして記載された(Johnstone et al.,2015)。PTHLHは、口腔扁平上皮がん、軟骨新生物、成人T細胞白血病/リンパ腫および腎明細胞がんにおいて上方制御されることが示された(Bellon et al.,2013;Yang et al.,2013a;Yao et al.,2014;Lv et al.,2014)。PTHLH上方制御は、頭頸部扁平上皮がん患者における病理的識別分化不良および予後不良に、関連することが示された(Lv et al.,2014)。PTHLHは、p38MAPKシグナル伝達によって上方制御されることが示されており、それは肺微小血管系(microsvasculature)の内皮細胞におけるカスパーゼ非依存性死滅による、肺の結腸がん細胞の血管外遊出に寄与する(Urosevic et al.,2014)。PTHLHは、正常皮膚と比較して、扁平上皮がんにおいて有意に示差的に発現されることが示された(Prasad et al.,2014)。PTHLHは、初期非小細胞肺がんを有する患者生存に関連する4遺伝子シグネチャーの一部として記載された(Chang et al.,2012)。PTHLHのフレームシフト変異による抗増殖機能の破壊は、遺伝性非ポリープ症結腸直腸がん患者の早期結腸直腸がんの発症に寄与することが記載された(Yamaguchi et al.,2006)。PTHLH上方制御は、腎摘出を受けた腎明細胞がん患者の全生存期間および無病生存期間の双方における転帰不良に関連することが示された(Yao et al.,2014)。PTHLHは、結腸直腸腺がん細胞株Caco-2において、ERK1/2、p38、MAPK、およびPI3Kシグナル伝達経路を通じて、細胞周期の進行を正に調節し、細胞周期調節に関与するタンパク質の発現を変化させることが示された(Calvo et al.,2014)。
【0144】
RAP1GDS1は、膵臓がん細胞の増殖を促進することが示された(Schuld et al.,2014)。マウスにおける、非小細胞肺がん細胞株NCI-H1703異種移植片中のRAP1GDS1の2つのスプライス変異体の同時喪失は、腫瘍発生の減少をもたらすことが示された(Schuld et al.,2014)。RAP1GDS1は、複数のがん型における細胞周期の進行を促進し、がん治療薬の有益な標的となることが示された(Schuld et al.,2014)。RAP1GDS1は、乳がん、前立腺がん、および非小細胞肺がんにおいて上方制御されることが示された(Hauser et al.,2014;Tew et al.,2008;Zhi et al.,2009)。RAP1GDS1のSmgGDS-558スプライス変異体は、乳がん悪性病変において機能的役割を果たす、RhoAおよびNF-kB活性のユニークなプロモーターであることが示された(Hauser et al.,2014)。高いRAP1GDS1発現は、乳がんにおけるより芳しくない臨床転帰に関連することが示された(Hauser et al.,2014)。RAP1GDS1は、非小細胞肺がんにおいて細胞増殖、移動、およびNF-κB転写活性を調節し、したがってこの疾患の悪性表現型を促進することが示された。したがって、RAP1GDS1は、非小細胞肺がんにおける興味深い治療標的である(Tew et al.,2008)。RAP1GDS1は、T細胞急性リンパ芽球性白血病において、NUP98に融合されることが示された(Romana et al.,2006)。
【0145】
RNPEP活性は、結腸直腸腺腫、乳頭状甲状腺がん、乳がん、および腎明細胞がんにおいて上方制御されることが示された(Ramirez-Exposito et al.,2012;Larrinaga et al.,2013;Perez et al.,2015;Varona et al.,2007)。RNPEPは、皮下領域に移植されたラットC6神経膠腫の腫瘍増殖に関連することが示された(Mayas et al.,2012)。
【0146】
RORAは、潜在的な肺がんの発がん遺伝子として記載された(Wang et al.,2015e)。RORAは、結腸がんにおいて、潜在的な腫瘍抑制遺伝子OPCMLの発現に関連することが示された(Li et al.,2015a)。RORAにおける2つの一塩基多型は、乳がんに関連することが示された(Truong et al.,2014)。RORAは、乳がんのための潜在的な腫瘍抑制因子および治療標的として記載された(Du and Xu,2012)。RORAは、結腸直腸腺がんおよび乳がんにおいて下方制御されることが示された(Kottorou et al.,2012;Du and Xu,2012)。肝腫瘍細胞株HepG2におけるRORAの安定した過剰発現は、グルコース代謝および肝臓発がんに関与する遺伝子の発現に影響を及ぼすことが示され、RORAと肝臓起源の細胞における発がんとの関連が示唆される(Chauvet et al.,2011)。RORAは、正常な胃粘膜と比較して、胃がんにおいて示差的にメチル化されることが示された(Watanabe et al.,2009)。RORAは、アンドロゲン非依存性前立腺がん細胞株DU145における、細胞増殖および分化の調節、および転移性挙動の抑制に関連することが記載された(Moretti et al.,2002)。
【0147】
RPS17は、転移性ぶどう膜黒色腫において、ぶどう膜黒色腫による転移性合併症を起こし易い正常な全血および組織において、示差的に発現されることが示されており、RPS17が、ぶどう膜黒色腫転移の指向性において役割を果たすかもしれないことが示唆される(Demirci et al.,2013)。RPS17は、肝細胞がんにおいて上方制御されることが示された(Liu et al.,2007b)。
【0148】
RPS26のノックダウンは、p53安定化および活性化を誘導し、p53依存性細胞増殖阻害をもたらすことが示された(Cui et al.,2014)。RPS26は、p53転写活性に直接、影響を及ぼすことにより、DNA損傷応答において役割を果たすことがさらに示された(Cui et al.,2014)。
【0149】
S100A2は、非小細胞肺がんに関連することが示され、肺扁平上皮がん患者における全生存期間不良の予測マーカーとして記載された(Hountis et al.,2014;Zhang et al.,2015d)。S100A2は、肺がんにおける発がん遺伝子KRASの下流標的、および腫瘍進行プロモーターとして記載された(Woo et al.,2015)。S100A2は、膵管腺がんにおける全生存期間の予測の有望なマーカーとして記載された(Jamieson et al.,2011)。ニトロソアミンN-ニトロソピロリドンによるS100A2の発現の変化は、黒人の南アフリカ人の食道扁平上皮がんの腫瘍進行の潜在的な理由として記載された(Pillay et al.,2015)。S100A2は、非小細胞肺がんの初期段階、鼻咽頭がん患者の血漿、喉頭がん、胃がん、および表皮腫瘍において上方制御されることが示された(Zhu et al.,2013a;Lin et al.,2013;Zhang et al.,2015a;Zha et al.,2015;Wang et al.,2015c)。S100A2のメチル化関連不活性化は、頭頸部および膀胱がんにおいて高頻度であることが示され、したがって、これらの疾患の腫瘍発生における重要な事象であってもよい(Lee et al.,2015c)。口腔扁平上皮がんにおいて、S100A2の細胞質発現は上方制御されることが示された一方で、核発現は下方制御される(Kumar et al.,2015)。S100A2の細胞質上方調節は、口腔扁平上皮がん患者における再発リスクの潜在的な予測因子であることが示された(Kumar et al.,2015)。S100A2は、乳がんの転移において役割を果たすことが記載された(Naba et al.,2014)。S100A2は、BRCA1/p63同時制御腫瘍抑制遺伝子であることが示され、それは異p53のHSP90への結合を調節することによって、変異p53安定性の調節における役割を果たす(Buckley et al.,2014)。S100A2は、候補腫瘍抑制遺伝子として記載され、それは再発性鼻咽頭がんにおいて下方制御され、したがって、再発性鼻咽頭がんの発症において重要な役割を果たしてもよい(Huang et al.,2014b)。S100A2は、胃がんにおいて下方制御されることが示され、下方制御は、進行した浸潤の深さ、リンパ節転移、無再発確率の減少、および全生存期間の減少と関連することが示された(Liu et al.,2014e)。したがって、S100A2下方制御は、胃がんのための負の独立した予後バイオマーカーであり得る(Liu et al.,2014e)。S100A2は、MGC-803がん細胞において、MEK/ERKシグナル伝達経路を負に調節することがさらに示された(Liu et al.,2014e)。S100A2の過剰発現は、免疫不全マウスにおいて、A549肺がん細胞における上皮間葉転換を誘導して、浸潤の増加、Aktリン酸化の増強、および腫瘍増殖の増大がそれに続くことが示された(Naz et al.,2014)。S100A2の腫瘍発生促進作用は、PI3/Aktシグナル伝達の調節と、TGFβシグナル伝達様式タンパク質Smad3との機能的相互作用とに、関与することがさらに記載された(Naz et al.,2014)。S100A2の発現は、肝門部領域および肝外の胆管がんを有する患者の組織学的グレード、リンパ節転移、臨床病期、および低生存率と相関することが示された(Sato et al.,2013)。したがって、S100A2は、胆管がん患者における予後マーカーとして機能してもよい(Sato et al.,2013)。
【0150】
S100A8は、急性および慢性の炎症における重要なメディエーターとして記載されており、それは正のフィードバックループにおいて骨髄由来サプレッサー細胞と相互作用して、腫瘍の発生および転移を促進する(Zheng et al.,2015)。S100A8は、非小細胞肺がんにおける潜在的診断バイオマーカー、予後指標、および治療標的として記載された(Lim and Thomas,2013)。S100A8の過剰発現は、膀胱がんにおける、病期進行、浸潤、転移、および低生存率に関連することが示された(Yao et al.,2007)。S100A8は、浸潤性膀胱がんの診断マーカーであることが示された(Ismail et al.,2015)。S100A8は、未分化甲状腺がん、骨巨細胞腫、および結腸直腸がんにおいて上方制御されることが示された(Reeb et al.,2015;Zhang et al.,2015b;Liao et al.,2015a)。100A8ノックダウンを有する未分化甲状腺がん細胞を用いたマウスにおける生体内分析は、腫瘍増殖および肺転移の減少、ならびに有意に延長された動物の生存期間を明らかにした(Reeb et al.,2015)。S100A8は、腫瘍細胞におけるp38、ERK1/2、およびJNKシグナル伝達経路を活性化するRAGEとの相互作用を通じて、未分化甲状腺がん細胞増殖を促進することが示された(Reeb et al.,2015)。したがって、S100A8は未分化甲状腺がんにおける、妥当な治療標的に相当し得る(Reeb et al.,2015)。S100A8は、高リスク型慢性リンパ球性白血病に関連することが示された(Alsagaby et al.,2014)。S100A8は、腎臓がん進行に関連することが示され、腎臓がんの前向きバイオマーカーおよび治療標的として記載された(Mirza et al.,2014)。S100A8は、非炎症駆動性肝腫瘍の進行に必要なヘテロ二量体であるカルプロテクチンの一部として記載されており、肝細胞がんの治療の標的に相当するかもしれない(De et al.,2015)。S100A8は、p21を阻害する一方で、Id3発現の誘導によって、結腸がん細胞周期および増殖を調節することが示された(Zhang et al.,2015b)。
【0151】
SERPINH1は、セリンプロテイナーゼインヒビターである、セルピンペプチダーゼインヒビター、分岐群H(熱ショックタンパク質47)、メンバー1、(コラーゲン結合タンパク質1)をコードするSERPINH1は、小胞体においてコラーゲン特異的分子シャペロンとして機能する(RefSeq,2002)。SERPINH1は、胃がん、肺がん、膵管腺がん、神経膠腫、および潰瘍性大腸炎関連がんをはじめとする、多くのヒトがんにおいて過剰発現される(Zhao et al.,2014a)。SERPINH1は、肝細胞がん、食道扁平上皮がん、胆管細胞がん、胃がん、肺がん、膵管腺がん、潰瘍性大腸炎関連がん、および神経膠腫において、上方制御されることが示された(Zhao et al.,2014a;Padden et al.,2014;Lee et al.,2015b;Naboulsi et al.,2015)。SERPINH1の過剰発現は、食道扁平上皮がんを有する患者の予後不良と関連することが示され、SERPINH1および病理的段階の免疫染色のレベルは、全体および再発のない生存と有意に相関することが示された(Lee et al.,2015b)。したがって、SERPINH1は、食道扁平上皮がんの潜在的予後バイオマーカーであってもよい(Lee et al.,2015b)。神経膠腫細胞におけるSERPINH1ノックダウンは、生体外で神経膠腫細胞増殖、移動、および浸潤を阻害することが示された一方で、生体内でのSERPINH1ノックダウンは、腫瘍増殖および誘導アポトーシスを阻害することが示された(Zhao et al.,2014a)。したがって、SERPINH1は、神経膠腫の治療のための治療標的であり得る(Zhao et al.,2014a)。SERPINH1は、複数のリンパ節転移を伴う口腔扁平上皮がんの原発性腫瘍と比較して、転移において下方制御されることが示され、SERPINH1が、これらの腫瘍の転移能に関連するかもしれないことが示唆される(Nikitakis et al.,2003)。SLC7A11は、W1卵巣がん細胞株の薬剤耐性変異体において下方制御されることが示されており、したがって、がん細胞薬剤耐性において役割を果たすかもしれない(Januchowski et al.,2013)。SLC7A11は腫瘍微小環境を調節し、がんの増殖上の利点をもたらすことが記載された(Savaskan and Eyupoglu,2010)。SLC7A11は神経膠腫の神経変性プロセスに関与すると報告され、SLC7A11はがん治療の潜在的な最重要標的とされた(Savaskan et al.,2015)。SLC7A11は、フェロトーシスの文脈でp53によって抑制されることが示され、p53-SLC7A11軸は、p53(3KR)変異体中で保存されるとして記載され、古典的な腫瘍抑制機構の非存在下で腫瘍発生を抑制するその能力に寄与する(Jiang et al.,2015)。SLC7A11は、system Xcの機能的サブユニットとして記載されており、その機能は、攻撃的な乳がん細胞において増加する(Linher-Melville et al.,2015)。シスプラチン耐性膀胱がんにおけるSLC7A11の高い膜染色は、より芳しくない臨床転帰と関連することが示され、SLC7A11阻害は、この疾患の治療に対する有望な治療アプローチとして記載された(Drayton et al.,2014)。SLC7A11は、ベンゼンおよびその代謝産物に曝露されたヒト前骨髄球性白血病細胞株HL-60において、示差的に発現されることが示されており、したがってSLC7A11と白血病発生との潜在的関連が強調される(Sarma et al.,2011)。SLC7A11の破壊は、リンパ腫、神経膠腫、前立腺がん、および乳がんをはじめとする、様々ながん腫の増殖阻害をもたらすと記載された(Chen et al.,2009)。SLC7A11の阻害は、食道がん細胞株KYSE150の生体外での細胞浸潤と、ヌードマウスにおけるその実験的転移を阻害することが示され、したがって腫瘍転移におけるSLC7A11の役割が確立される(Chen et al.,2009)。
【0152】
SRPRは、二重微小染色体を有する急性骨髄性白血病の症例において、増幅されることが示された(Crossen et al.,1999)。
【0153】
SSR4のヒトオルソログは、フクロネズミ黒色腫細胞株TD6bおよびTD15L2において示差的に発現され、進行期の腫瘍において上方制御されることが示されており、紫外線誘導性黒色腫発生および転移に関連するかもしれない潜在的機能を有する候補遺伝子としてのSSR4の関与が示唆される(Wang and VandeBerg,2004)。SSR4のmRNAレベルは、正常骨芽細胞と比較して、骨肉腫細胞株OHS、SaOS-2、およびKPDXMにおいて、富化されることが示された。(Olstad et al.,2003)。
【0154】
STK17Aの脱調節発現は、様々ながん型がんに関連している。子宮頸部がんおよび結腸直腸がんにおける発現低下は、腫瘍進行に関連するSTK17Aのアポトーシス促進特性に関連している。神経膠芽腫および頭頸部がんにおけるSTK17Aは、TGF-βのようなその他の腫瘍関連経路に対する影響を通じて、グレード依存様式で過剰発現される(Mao et al.,2013;Thomas et al.,2013;Park et al.,2015;Bandres et al.,2004)。STK17Aは、腫瘍抑制遺伝子p53の直接標的であり、活性酸素種(ROS)の修飾物質である(Kerley-Hamilton et al.,2005;Mao et al.,2011)。
【0155】
SYKは、腫瘍発生のモジュレーターとして記載され、それは、いくつかの細胞では、生存機能を提供することによって、腫瘍プロモーターとして作用し、その他の細胞では、上皮間葉転換を制限し移動を阻害することによって、腫瘍抑制因子として作用する(Krisenko and Geahlen,2015)。SYKは、B細胞リンパ腫におけるB細胞受容体(BCR)活性化に関連するとして記載された(Seda and Mraz,2015)。SYKなどのBCR経路の重要なキナーゼの阻害は、慢性リンパ球性白血病細胞生存性を低下させるための前臨床モデルにおいて見いだされている(Davids and Brown,2012)。SYKは、慢性リンパ球性白血病において上方制御されることが示された(Feng and Wang,2014)。SYKは、慢性リンパ球性白血病の病因と関連するとして記載されており、この疾患の治療効果および予後を評価する上で価値があるかもしれない(Feng and Wang,2014)。SYKは、乳がんにおける潜在的な腫瘍抑制因子として記載されており、原発性乳がんにおけるその非存在は、転帰不良と相関する(Navara,2004)。SYKは、卵巣がんにおけるパクリタキセル耐性において、重要な役割を果たすことが示された(Yu et al.,2015b)。SYK下方制御は、結腸直腸がんをはじめとする様々ながんの発症に関連するとして記載された(Peng et al.,2015)。SYKプロモーターの明確な多型は、中国南部の漢民族における結腸直腸がん発症の独立したリスク因子であることが示された(Peng et al.,2015)。SYKは肝細胞がんにおいて頻繁にメチル化され、SYKメチル化は予後不良の肝細胞がん症例のサブセットを同定することが実証されている(Shin et al.,2014)。
【0156】
TP63転座は、未分化リンパ腫キナーゼ陽性未分化大細胞リンパ腫のサブセットにおける事象として記載され、それは、疾患の侵襲性過程に関連する(Hapgood and Savage,2015)。TP63は、上皮分化、細胞周期停止、およびアポトーシスに関与するため、がんにおいて複雑な役割を果たすことが記載された(Lin et al.,2015)。TP63イソ型TAp63が、血液悪性腫瘍で過剰発現されると記載された一方で、TP63ミスセンス変異は扁平上皮がんで、TP63転座はリンパ腫および一部の肺腺がんにおいて報告されている(Orzol et al.,2015)。TP63イソ型DeltaNp63の過剰発現をもたらす異常なスプライシングは、皮膚の扁平上皮がんなどのヒトがんにおいて頻繁に見いだされ、そこでそれは腫瘍の開始および進行を支援する(Missero and Antonini,2014;Inoue and Fry,2014)。
【0157】
TPM1は、腎細胞がん、食道の扁平上皮がん細胞株、転移性イヌ乳がん、および神経芽腫細胞株において、下方制御されることが示された(Klopfleisch et al.,2010;Yager et al.,2003;Zare et al.,2012;Wang et al.,2015b)。TPM1発現は、腎細胞がん患者の腫瘍の大きさ、Fuhrmanグレード、および予後に関連することが示された。腎細胞がん細胞株OSRC-2および786-OのTPM1形質移入は、アポトーシスを増強しながら、移動および浸潤の能力を低下させることが示された(Wang et al.,2015b)。したがって、TPM1は、腫瘍抑制遺伝子の特徴を示す一方で、腎細胞がん細胞において過剰発現されることが記載された(Wang et al.,2015b)。RAS/PI3K/AKTおよびRAS/MEK/ERKシグナル伝達経路は、肝臓内胆管がん細胞株HuCCT1、ならびに食道の扁平上皮がん細胞株における、TPM1調節および抑制に関与することが記載された(Zare et al.,2012;Yang et al.,2013b)。TPM1は、乳がん細胞株MCF-7におけるその過剰発現が足場非依存性細胞増殖を抑制する、腫瘍抑制因子として記載された(Zhu et al.,2007b)。TPM1のエピジェネティックな抑制は、変化したTGF-β腫瘍抑制因子機能に関連することが記載されており、腫瘍細胞の転移特性に寄与するかもしれない(Varga et al.,2005)。
【0158】
トリプターゼは、急性骨髄性白血病を有する特定の患者において、上方制御されることが示された(Jin et al.,2014)。トリプターゼの発現は、ERK1/2およびp38MAPK経路を通じて、SCF/C-キットシグナル伝達によって調節されることが記載された(Jin et al.,2014)。肥満細胞トリプターゼは、結腸直腸がん血管新生に関与することが記載され、結腸直腸がん患者の血清中で、根治的外科的切除前に、切除後より高く発現されることが示された(Ammendola et al.,2014)。
【0159】
TSHZ3は、非腫瘍発生性細胞株OKF6-TERT1Rと比較して、口腔扁平上皮がん細胞株SCC-9において、下方制御されることが示された(Marcinkiewicz and Gudas,2014)。TSHZ3は、高悪性度漿液性卵巣がんのいくつかの症例において、反復的に再配列されることが判明した転写調節因子遺伝子として記載された(McBride et al.,2012)。TSHZ3は、乳がんおよび前立腺がんにおいて下方制御された発現を有する、候補腫瘍抑制遺伝子として記載された(Yamamoto et al.,2011)。
【0160】
TSPAN10は、転移性黒色腫サンプルと正常皮膚サンプルとの間で示差的に発現される遺伝子であることが示されており、それは転移性黒色腫治療の潜在的バイオマーカーであってもよい(Liu et al.,2014c)。いくつかの遺伝子の中でも、特にTSPAN10は、原発性平滑筋肉腫と比較して、子宮平滑筋肉腫転移において上方制御されることが示されており、したがって、これらの状態の識別に寄与し、このがんにおける腫瘍進行の理解を助ける(Davidson et al.,2014)。
【0161】
TTPALは、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がんにおいて突然変異を示す、候補発がん遺伝子として記載された(Tuupanen et al.,2014)。
【0162】
TUBGCP2は、タキソール耐性卵巣がん細胞株において上方制御されることが示され、タキソールに対する非小細胞肺がん細胞株NCI-H1155の感作に関連することが記載された(Huang and Chao,2015)。TUBGCP2は、神経膠芽腫において上方制御されることが示され、そこでは、その過剰発現が、CDK5調節サブユニット関連腫瘍抑制タンパク質3のDNA損傷G2/Mチェックポイント活性に対する阻害効果に拮抗する(Draberova et al.,2015)。
【0163】
VIMは、STAT3の調節解除時に乳がんの進行に関連する、STAT3の下流標的として記載された(Banerjee and Resat,2015)。VIMは、潜在的な鼻咽頭がん関連タンパク質として記載された(Chen et al.,2015c)。ビメンチンのメチル化状態の陰性は、膵臓がん患者の改善された予後を予測することが示された(Zhou et al.,2014)。VIMは、非小細胞肺がんにおいてC6orf106を通じて上方制御されることが示され、引き続いてがん細胞浸潤の増強に関連すると記載された(Zhang et al.,2015c)。VIMは、肺扁平上皮がん患者の全生存期間の独立予測因子として記載された(Che et al.,2015)。VIMは、黒色腫サブタイプを潜在的に識別し得るバイオマーカーとして記載されており、黒色腫の異なるサブグループにおける黒色腫の攻撃性を予測するかもしれない(Qendro et al.,2014)。VIMは、腎明細胞がんにおいて上方制御されることが示された(Shi et al.,2015)。VIMの高度発現は、腎明細胞がんの独立した予後指標として記載された(Shi et al.,2015)。VIMは、スキャフォールドとして機能し、SlugをERKに動員してSlugのリン酸化を促進することが示され、それは腫瘍発生の間に採用される発達過程である、上皮間葉転換の開始の要件として記載された(Virtakoivu et al.,2015)。
【0164】
WDR1は、予後良好の低悪性度肥満細胞腫瘍と比較して、卵巣がん由来の間質液において、および予後不良の高悪性度イヌ皮膚肥満細胞腫瘍において、上方制御されることが示された(Schlieben et al.,2012;Haslene-Hox et al.,2013)。WDR1は、化学療法抵抗性の進行した漿液性上皮性卵巣がんにおいて、下方制御されることが示された(Kim et al.,2011)。化学療法抵抗性の進行した漿液性上皮性卵巣がんにおけるWDR1下方制御は、芳しくない全生存期間と相関することが示された(Kim et al.,2011)。WDR1は、乳がんにおいて侵入腫瘍先端および正常組織との間の領域(境界面領域)で上方制御されることが示され、したがって乳んの進行および転移に関連してもよい(Kang et al.,2010)。
【0165】
YWHAEとNUTM2B/NUTM2Eとの融合は、腎臓の明細胞肉腫の少数で観察された事象として記載された(Karlsson et al.,2015)。YWHAE-NUTM2融合は、高悪性度の子宮内膜間質肉腫における頻度の高い事象として記載された(Ali et al.,2014)。YWHAE-NUTM2融合体を有する高悪性度の子宮内膜間質肉腫は、侵襲性臨床挙動および予後不良を有する、子宮内膜間質肉腫のサブセットとして記載された(Kruse et al.,2014)。YWHAEを含む3つの遺伝子座における切断は、子宮血管肉腫の発症に潜在的に寄与するものとして記載された(Suzuki et al.,2014)。YWHAEは、胃がんにおいて下方制御されることが示されており、YWHAEレベルの低下は、びまん性胃がんとこの病理の早期発症に関連しており、YWHAEは胃の発がん過程において役割を有してもよい(Leal et al.,2012)。YWHAEは、再発の有無にかかわらず、乳がん患者の組織において示差的に発現されることが示され、無病生存期間および全生存期間の双方に関連することが示された(Cimino et al.,2008)。したがって、YWHAEは、乳がんの独立予後マーカー、および潜在的な薬物標的として使用されるかもしれない(Cimino et al.,2008)。
【0166】
ZNF292の変化は、慢性リンパ球性白血病駆動機構の変化として記載された(Puente et al.,2015)。ZNF292は、結腸直腸がんにおける腫瘍抑制遺伝子として記載された(Takeda et al.,2015)。ZNF292は、頭頸部扁上皮がんにおける臨床的関連性がある免疫原性抗原として記載された(Heubeck et al.,2013)。
【発明を実施するための形態】
【0167】
免疫応答の刺激は、宿主免疫系によって外来性として認識された抗原の存在に依存する。腫瘍関連抗原の存在の発見は、宿主の免疫系を用いて腫瘍成長に介入する可能性を高めた。免疫系の体液性および細胞性アームの双方を活用する様々な機構が、がん免疫療法のために目下探求されている。
【0168】
細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊できる。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からのT細胞の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRIPS)に由来する、通常は8~10アミノ酸残基の主要組織適合性複合体(MHC)保有ペプチドのクラスI分子を認識するCD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。
【0169】
本明細書の用法では、別段の記載がない限り、全ての用語は下述のとおり定義される。
【0170】
「T細胞応答」という用語は、生体外または生体内でペプチドによって誘導される、エフェクター機能の特異的増殖および活性化を意味する。MHCクラスI拘束性細胞毒性T細胞では、エフェクター機能は、ペプチドパルスされた、ペプチド前駆体パルスされたまたは天然ペプチド提示標的細胞の溶解;好ましくはペプチドによって誘導されるインターフェロン-γ、TNF-α、またはIL-2であるサイトカインの分泌;好ましくはペプチドによって誘導されるグランザイムまたはパーフォリンであるエフェクター分子の分泌;または脱顆粒であってもよい。
【0171】
「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。ペプチドは、好ましくは9アミノ酸長であるが、8アミノ酸長程度に短くあり得て、10、11、12、13、または14以上に長くあり得て、MHCクラスIIペプチド(本発明のペプチドの伸長された変種)の場合、それらは15、16、17、18、19または20アミノ酸長以上に長くあり得る。
【0172】
さらに「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基の塩を含むものとする。好ましくは、塩は、例えば、塩化物塩または酢酸塩(トリフルオロ酢酸塩)などの、ペプチドの薬学的に許容可能な塩である。ペプチドは生体内においては塩ではないので、本発明によるペプチドの塩は、それらの生体内の状態が、ペプチドと実質的に異なることに留意すべきである。
【0173】
「ペプチド」という用語は、「オリゴペプチド」もまた含むものとする。「オリゴペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。オリゴペプチドの長さは、その中で正しいエピトープまたはエピトープが保持されれば、本発明には重要でない。オリゴペプチドは、典型的に、約30アミノ酸残基長未満であり、約15アミノ酸長を超える。
【0174】
「ポリペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を指す。正しいエピトープが保持されれば、ポリペプチドの長さは本発明にとって重要でない。ペプチドまたはオリゴペプチドという用語とは対照的に、ポリペプチドという用語は、約30を超えるアミノ酸残基を含有する分子を指すことが意図される。
【0175】
ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質またはこのような分子をコードするポリヌクレオチドは、免疫応答を誘導できれば「免疫原性」である(したがって本発明における「免疫原」である)。本発明では、免疫原性は、より具体的には、T細胞応答を誘導する能力と定義される。したがって「免疫原」は、免疫応答を誘導できる分子であり、本発明では、T細胞応答を誘導できる分子である。別の態様では、免疫原は、それに対する特異的抗体またはTCRを生じさせるのに使用される、ペプチド、ペプチドとMHCの複合体、オリゴペプチド、および/またはタンパク質であり得る。
【0176】
クラスI T細胞「エピトープ」は、クラスI MHC受容体に結合している短いペプチドを必要とし、三成分複合体(MHCクラスIα鎖、β-2-ミクログロブリン、およびペプチド)を形成し、それは、適切な親和性でMHC/ペプチド複合体に結合する適合T細胞受容体を保有するT細胞によって、認識され得る。MHCクラスI分子に結合するペプチドは、典型的に8~14アミノ酸長であり、最も典型的には9アミノ酸長である。
【0177】
ヒトにおいては、MHCクラスI分子(ヒト白血球抗原(HLA)ともまた称されるヒトのMHC分子)をコードする、3つの異なる遺伝子座、HLA-A、HLA-B、およびHLA-Cがある。HLA-A*01、HLA-A*02、およびHLA-B*07は、これらの遺伝子座から発現され得る、異なるMHCクラスI対立遺伝子の例である。
【0178】
表5: HLA-A*5およびHLA-A*24の発現頻度F、および最も高頻度のHLA-DR血清型。頻度は、ハーディ・ワインベルグ式、F=1-(1-Gf)²を用いて、Mori et al. (Morietal.,1997)から適応された、米国人母集団内のハプロタイプ頻度Gfから推定される。連鎖不均衡のために、A*02またはA*24と特定のHLA-DR対立遺伝子との組み合わせは、それらの単一頻度から予測されるよりも、豊富でありまたは低頻度であるかもしれない。詳細については、Chanock et al. (Chanock et al., 2004)を参照されたい。
【表5-1】
【表5-2】
【0179】
本発明のペプチドは、好ましくは、本明細書に記載される本発明のワクチンに包含される場合、A*02に結合する。ワクチンはまた、汎結合MHCクラスIIペプチドを含んでもよい。したがって、本発明のワクチンを使用して、A*02陽性の患者においてがんを治療し得る一方で、これらのペプチドの汎結合特性のために、MHCクラスIIアロタイプを選択する必要はない。
【0180】
本発明のA*02ペプチドが、例えばA*24などの別の対立遺伝子に結合するペプチドと組み合わされた場合、MHCクラスI対立遺伝子のいずれか単独による対処と比較して、任意の患者集団のより高い割合を治療し得る。大多数の集団では、対立遺伝子のいずれか単独によって、50%未満の患者が対処され得た一方で、HLA-A*24およびHLA-A*02エピトープを含んでなるワクチンは、任意の妥当な集団で、少なくとも60%の患者を治療し得る。具体的には、様々な地域において、以下の百分率の患者が、これらの対立遺伝子の少なくとも1つについて陽性である:米国61%、西欧62%、中国75%、韓国77%、日本86%(www.allelefrequencies.netから計算された)。
【0181】
好ましい実施形態では、「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのヘテロ重合体を指す。
【0182】
特定のペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然起源であってもよく、またはそれらは合成的に構築されてもよい。一般に、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質をエンコードするDNA断片は、cDNAフラグメントと短いオリゴヌクレオチドリンカーから構築され、またはひと続きのオリゴヌクレオチドから構築されて、微生物またはウイルスオペロンに由来する調節因子を含んでなる、組換え転写単位で発現できる合成遺伝子が提供される。
【0183】
本明細書の用法では「ペプチドをコーディング(またはコード)するヌクレオチド」という用語は、配列が、例えば、TCRの製造に有用な樹状細胞または別の細胞株によって発現される生体系と適合性である、人工(人造)開始および停止コドンを含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を指す。
【0184】
本明細書の用法では、核酸配列への言及は、一本鎖および二本鎖の核酸の双方を含む。したがって、例えば、特異的配列は、文脈上明らかに別の意味が示唆されない限り、このような配列の一本鎖DNA、このような配列とその補体との二本鎖(二本鎖DNA)、およびこのような配列の補体を指す。
【0185】
「コード領域」という用語は、その天然ゲノム環境内で、遺伝子の発現産物を天然にまたは正常にコードする遺伝子の部分、すなわち、遺伝子の天然発現産物を生体内でコードする領域を指す。
【0186】
コード領域は、非変異(「正常」)、変異または改変遺伝子に由来し得て、またはDNA合成技術の当業者に周知の方法を使用して実験室で完全に合成された、DNA配列または遺伝子にさえ由来し得る。
【0187】
「発現産物」という用語は、遺伝子の、そして遺伝コード縮重に起因する同等物をコードし、したがって同一アミノ酸をコードする任意の核酸配列の天然翻訳産物である、ポリペプチドまたはタンパク質を意味する。
【0188】
コード配列に言及する場合、「フラグメント」という用語は、その発現産物が、完全コード領域の発現産物と本質的に同一の生物学的機能または活性を保つ、完全未満のコード領域を含んでなるDNAの部分を意味する。
【0189】
「DNA断片」という用語は、別々のフラグメントの形態の、またはより大型のDNAコンストラクトの構成要素としての、DNAポリマーを指し、それは、実質的に純粋な、すなわち、混入内因性物質を含まない形態で、例えばクローニングベクターを使用した標準生化学的方法によって、断片およびその構成ヌクレオチド配列が同定、操作、および回収できる量または濃度で、少なくとも1回単離されたDNAに由来する。このような断片は、典型的に真核生物遺伝子内に存在する内部非翻訳配列またはイントロンによって中断されていない、読み取り枠の形態で提供される。非翻訳DNA配列は、それがコード領域の操作または発現を妨げない、読み取り枠下流に存在してもよい。
【0190】
「プライマー」という用語は、短い核酸配列を意味し、それはDNAの1本鎖と対合し得て、DNAポリメラーゼがそこでデオキシリボヌクレオチド鎖合成を開始する、遊離3’-OH末端を提供する。
【0191】
「プロモーター」という用語は、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ結合に関与する、DNAの領域を意味する。
【0192】
「単離」という用語は、物質が、その元の環境(例えば、それが天然起源であれば天然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に存在する天然ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然システムで共存する物質の一部または全部から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部であり得て、および/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であり得るが、このようなベクターまたは組成物がその天然環境の一部でないと言う意味では、なおも単離されている。
【0193】
本発明によって開示されるポリヌクレオチド、および組換えまたは免疫原性ポリペプチドは、「精製」形態であってもよい。「精製」という用語は、完全に純粋である必要はなく;むしろ、それは相対的定義であることが意図されて、これらの用語が当業者によって理解されるように、高度に精製された調製物、または部分的にのみ精製された調製物を含み得る。例えば、cDNAライブラリーから単離された個々のクローンは、電気泳動的に均一に、従来法で精製されている。少なくとも1桁、好ましくは2または3桁、より好ましくは4または5桁までの、出発原料または天然物質の精製が明示的に検討される。さらに、重量基準で、好ましくは99.999%、または少なくとも99.99%または99.9%;さらに望ましくは99%以上の純度を有する、特許請求されるポリペプチドが明示的に包含される。
【0194】
本発明によって開示される核酸およびポリペプチド発現産物、ならびにこのような核酸および/またはこのようなポリペプチドを含有する発現ベクターは、「富化形態」であってもよい。本明細書の用法では、「富化」という用語は、物質濃度が、(例えば)その天然濃度の少なくとも約2、5、10、100、または1000倍であることを意味し、有利には重量基準で0.01%、好ましくは重量基準で少なくとも約0.1%である。重量基準で約0.5%、1%、5%、10%、および20%の富化調製物もまた、検討される。本発明を構成する、配列、コンストラクト、ベクター、クローン、およびその他の物質は、有利には、富化または単離形態であり得る。「活性フラグメント」という用語は、通常は、単独で、または任意選択的に適切なアジュバントと共に、またはベクター中で、例えば、ウサギまたはマウスのようなそしてまたヒトをはじめとする哺乳類などの動物に投与すると免疫応答を生じる(すなわち、免疫原性を有する)ペプチド、ポリペプチドまたは核酸配列のフラグメントを意味し、このような免疫応答は、ヒトなどのレシピエント動物内でT細胞応答を刺激する形態を取る。代案としては、「活性フラグメント」はまた、生体外T細胞応答を誘導するのに使用されてもよい。
【0195】
本明細書の用法では、ポリペプチドとの関連で使用される場合、「部分」、「断片」、および「フラグメント」という用語は、アミノ酸残基などの連続する残基の配列を指し、その配列は、より大型の配列の部分集合を形成する。例えば、ポリペプチドが、トリプシンまたはキモトリプシンなどの一般的エンドペプチダーゼのいずれかによって処理されれば、このような処理から得られるオリゴペプチドは、出発ポリペプチドの部分、断片またはフラグメントに相当するであろう。ポリヌクレオチドに関して使用される場合、これらの用語は、いずれかのエンドヌクレアーゼによる前記ポリヌクレオチドの処理によって生じる生成物を指す。
【0196】
本発明によると、配列に言及する場合、「同一性百分率」または「パーセント同一」という用語は、比較される配列(「比較配列」)と、記載されまたは特許請求される配列(「参照配列」)とのアライメント後に、配列が、特許請求されまたは記載される配列と比較されることを意味する。次に同一性百分率は、次式に従って判定される:
同一性百分率=100[1-(C/R)]
式中、Cは、参照配列と比較される配列との間のアライメント長にわたる、参照配列と比較配列の間の差異の数であり、
(i)比較配列中に対応する整列塩基またはアミノ酸を有しない、参照配列中の各塩基またはアミノ酸、および
(ii)参照配列中の各ギャップ、および
(iii)比較配列中の整列塩基またはアミノ酸と異なる、参照配列中の各整列塩基またはアミノ酸が差異を構成して、
(iiii)アライメントは、整合配列の1位から開始しなくてはならず;
Rは、比較配列とのアライメント長にわたる参照配列中の塩基またはアミノ酸の数であり、参照配列中に生じる任意のギャップもまた、塩基またはアミノ酸として数えられる。
【0197】
比較配列と、それに対して同一性百分率が上のように計算される参照配列との間に、特定の最小同一性百分率とほぼ同じまたはそれを上回るアライメントが存在すれば、その中に、上記のように計算された同一性百分率が特定の同一性百分率未満であるアライメントが存在したとしても、比較配列は、参照配列との特定の最小同一性百分率を有する。
【0198】
したがって上述したように、本発明は、配列番号1~配列番号93、または配列番号1~配列番号93と88%相同的であるその変異体、またはT細胞を前記ペプチドと交差反応させるその変異体からなる群から選択される配列を含んでなる、ペプチドを提供する。本発明のペプチドは、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子または前記ペプチドの伸長バージョンをクラスIIに結合する能力を有する。
【0199】
本発明では、「相同的」という用語は,2つのアミノ酸配列、すなわちペプチドまたはポリペプチド配列の配列間の同一性の程度を指す(上の同一性百分率を参照されたい)。前述の「相同性」は、比較される配列にわたり、最適条件下でアライメントされた2つの配列を比較することで判定される。このような配列相同性は、例えばClustalWアルゴリズムを使用してアライメントを作成することで、計算され得る。一般に利用できる配列解析ソフトウェア、より具体的には、Vector NTI、GENETYXまたはその他のツールが、公共データベースによって提供される。
【0200】
当業者は、特定のペプチドの変異体によって誘導されるT細胞が、ペプチドそれ自体と交差反応できるかどうかを評価できるであろう(Appay et al.,2006;Colombetti et al.,2006;Fong et al.,2001;Zaremba et al.,1997)。
【0201】
所与のアミノ酸配列の「変異型」によって、本発明者らは、ペプチドが、配列番号1~配列番号93からなる所与のアミノ酸配列からなるペプチドと実質的に同様に、HLA分子となおも結合できるように、(例えば、それらを別の天然アミノ酸残基の側鎖で、またはその他の側鎖で置換することにより)例えば、アミノ酸の1つまたは2つの残基の側鎖が変化することを意味する。例えば、ペプチドは、それがHLA-A*02または-DRなどの適切なMHC分子の結合溝と相互作用して結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持するように修飾されてもよく、このようにしてそれは、活性化CTLのTCRに結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持する。
【0202】
これらのT細胞は、引き続いて細胞と交差反応して、本発明の態様で定義される同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞を殺滅し得る。学術文献およびデータベース(Rammensee et al.,1999;Godkin et al.,1997)から演繹され得るように、HLA結合ペプチドの特定の位置は、典型的に、アンカー残基であり、結合溝を構成するポリペプチド鎖の極性、電気物理的、疎水性、および空間特性によって画定されるHLA受容体の結合モチーフと適合する、コア配列を形成する。したがって、当業者は、既知のアンカー残基を保つことで、配列番号1~配列番号93に記載されるアミノ酸配列を修飾でき、このような変異型がMHCクラスIまたはII分子に結合する能力を維持するかどうかを判定できるであろう。本発明の変異型は、活性化T細胞のTCRに結合する能力を維持し、それは引き続いて、本発明の態様で定義されるような同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞と交差反応して、それを殺滅し得る。
【0203】
本明細書で開示される元の(未修飾)ペプチドは、特に明記されない場合は、ペプチド鎖内の異なる、おそらくは選択的な部位における、1つまたは複数の残基の置換によって修飾され得る。好ましくはこれらの置換は、アミノ酸鎖の末端に位置する。このような置換は、保存的性質であってもよく、例えば、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸によって置換されるなど、構造および特徴の類似したアミノ酸によってアミノ酸が置換される。さらにより保存的な置換は、ロイシンのイソロイシンによる置換などの、同一または類似サイズおよび化学的性質のアミノ酸の置換である。天然起源相同タンパク質ファミリーの配列多様性の研究では、特定のアミノ酸置換は、他よりも耐容されることが多く、これらは、元のアミノ酸とその置換物との間のサイズ、電荷、極性、および疎水性の類似性との相関を示すことが多く、これが「保存的置換」の定義の基礎である。
【0204】
保存的置換は、本明細書では、以下の5つのグループの1つの中の交換として定義される:グループ1-小型脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基(Ala、Ser、Thr、Pro、Gly);グループ2-極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド(Asp、Asn、Glu、Gln);グループ3-極性の正に帯電した残基(His、Arg、Lys);グループ4-大型脂肪族非極性残基(Met、Leu、Ile、Val、Cys);およびグループ5-大型芳香族残基(Phe、Tyr、Trp)。
【0205】
より保存的でない置換は、アラニンのイソロイシン残基による置換などの、類似した特徴を有するがサイズがいくらか異なる別のアミノ酸による置換を伴うかもしれない。高度に非保存的な置換は、極性アミノ酸の、または塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸による置換を伴うかもしれない。しかし化学効果は完全に予測可能でなく、遊離基置換は単純な化学的原理からは予測できない偶然の効果を生じさせる可能性があるので、このような「遊離基」置換は、潜在的に無効であるとして却下され得ない。
【0206】
もちろんこのような置換には、通常のL-アミノ酸以外の構造体が関与してもよい。したがってD-アミノ酸が、本発明の抗原性ペプチドに通常見いだされるL-アミノ酸を置換するかもしれず、依然として本明細書の開示に包含される。さらに、非標準アミノ酸(すなわち、一般的な天然タンパク質新生アミノ酸以外)もまた置換目的で使用して、本発明による免疫原および免疫原性ポリペプチドが製造されてもよい
【0207】
2つ以上の位置における置換が、以下に定義されるように実質的に同等のまたはそれを超える抗原活性のあるペプチドをもたらすことが判明した場合、これらの置換の組み合わせを試験して、置換の組み合わせが、ペプチドの抗原性に相加または相乗効果をもたらすかどうかが判定される。最大でも、ペプチド内の4つ以上の位置を超えて同時に置換されることはない。
【0208】
本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドは、非修飾ペプチドと比較すると、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が、実質的に変化したり悪影響を受けたりすることなく交換される、1つまたは2つの非アンカーアミノ酸を有し得る(アンカーモチーフについては下記を参照されたい)。別の実施形態では、本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドにおいては、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に別の実施形態では、本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドにおいては、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が非修飾ペプチドと比較して実質的に変化したり悪影響を受けることなく、1つまたは2つのアミノ酸が、それらの保存的交換パートナー(以下を参照されたい)で交換され得る。結合する能力が非修飾ペプチドと比較して実質的に変化したり悪影響を受けることなく、1つまたは2つのアミノ酸が、それらの保存的交換パートナー(以下を参照されたい)で交換され得る。
【0209】
T細胞受容体との相互作用に実質的に寄与しないアミノ酸残基は、その組み込みが、T細胞反応性に実質的に影響を及ぼさず、関連MHCとの結合を排除しない、その他のアミノ酸での置換によって修飾され得る。したがって与えられた但し書きを除いて、本発明のペプチドは、与えられたようなアミノ酸配列またはそれらの部分または変異体を含む、任意のペプチド(本発明者らは、その用語にオリゴペプチドまたはポリペプチドを含める)であってもよい。
【0210】
表6: 配列番号4、9、および18に記載のペプチドの変異型およびモチーフ
【表6-1】
【表6-2】
【0211】
より長い(伸長された)ペプチドもまた、適切であってもよい。MHCクラスIエピトープは、通常は8~11アミノ酸長であるが、実際のエピトープを含むより長いペプチドまたはタンパク質から、ペプチドプロセッシングによって作製することが可能である。実際のエピトープ側面に位置する残基は、プロセッシング中に実際のエピトープを曝露させるのに必要なタンパク質分解切断に、実質的に影響を及ぼさない残基であることが好ましい。
【0212】
本発明のペプチドは、最大4個のアミノ酸によって伸長させ得て、すなわち4:0~0:4の間のあらゆる組み合わせで、どちらかの末端に1,2、3または4個のアミノ酸が付加され得る。本発明による伸長の組み合わせは、表7にある。
【0213】
表7: 本発明のペプチドの伸長の組み合わせ
【表7】
【0214】
伸長/延長のためのアミノ酸は、元のタンパク質配列のペプチドまたは任意のその他のアミノ酸であり得る。伸長を利用して、ペプチドの安定性または溶解度を高め得る。
【0215】
したがって本発明のエピトープは、天然起源腫瘍関連または腫瘍特異的エピトープと同一であってもよく、またはそれらが実質的に同一の抗原活性を有しさえすれば、4つ以下の残基が参照ペプチドと異なるエピトープを含んでもよい。
【0216】
代案の実施形態では、ペプチドは、4つを超えるアミノ酸で、好ましくは最大30アミノ酸の全長まで、片側または両側で伸長される。これは、MHCクラスII結合ペプチドをもたらしてもよい。MHCクラスIIへの結合は、当該技術分野で公知の方法によって試験される得る。
【0217】
したがって、本発明は、MHCクラスIエピトープのペプチドおよび変異型を提供し、ペプチドまたは変異型は、8~100、好ましくは8~30、最も好ましくは8~14、すなわち8、9、10、11、12、13、14アミノ酸の全長を有し、伸長されたクラスII結合ペプチドの場合、長さはまた、15、16、17、18、19、20、21または22アミノ酸であり得る。
【0218】
もちろん、本発明によるペプチドまたは変異型は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する。ペプチドまたは変異体のMHC複合体への結合は、当該技術分野で既知の方法によって試験されてもよい。
【0219】
好ましくは、本発明によるペプチドに特異的なT細胞を置換ペプチドについて試験する場合、置換ペプチドが背景に対して最大溶解増加の半分を達成するペプチド濃度は、約1mM以下、好ましくは約1μM以下、より好ましくは約1nM以下、さらにより好ましくは約100pM以下、最も好ましくは約10pM以下である。置換ペプチドが、2人以上、少なくとも2人、より好ましくは3人の個人からのT細胞によって認識されることもまた好ましい。
【0220】
本発明の特に好ましい実施形態では、ペプチドは、配列番号に1~配列番号93に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。
【0221】
「から本質的になる」は、本発明によるペプチドが、配列番号1~配列番号93のいずれかに記載の配列またはその変異体に加えて、MHC分子エピトープのエピトープとして機能するペプチドの一部を必ずしも構成しない、追加的なNおよび/またはC末端に位置するアミノ酸の一連の配列を含有することを意味するものとする。
【0222】
それでもなお、これらの一連の配列は、本発明によるペプチドの細胞への効率的な導入を提供するのに重要であり得る。本発明の一実施形態では、ペプチドは、例えば、NCBI、GenBank受入番号X00497に由来する、HLA-DR抗原関連不変鎖(p33、以下の「Ii」)の80個のN末端アミノ酸を含んでなる、融合タンパク質の一部である。その他の融合物においては、本発明のペプチドは、本明細書に記載されるような抗体、またはその機能的部分に、特に抗体の配列に、前記抗体によって特異的に標的化されるように融合し得て、または例えば、本明細書に記載されるような樹状細胞に対して特異的な抗体に、またはその中に融合し得る。
【0223】
さらにペプチドまたは変異型は、より強力な免疫応答を引き起こすために、安定性および/またはMHC分子への結合を改善するようにさらに修飾されてもよい。ペプチド配列のこのような最適化方法は当該技術分野で周知であり、例えば、逆ペプチド結合または非ペプチド結合の導入が挙げられる。
【0224】
逆ペプチド結合においては、アミノ酸残基はペプチド(-CO-NH-)結合によって連結せず、ペプチド結合が逆転する。このようなレトロ-インベルソペプチド模倣剤は、例えば、参照により本明細書に援用される、Meziere et al(1997)(Meziere et al.,1997)に記載されるものなどの当該技術分野で既知の方法を使用して製造されてもよい。このアプローチは、側鎖の方向でなく主鎖に関与する変化を含有する、擬ペプチドの生成を伴う。Meziere et al.(Meziere et al.,1997)は、MHC結合およびTヘルパー細胞応答のために、これらの擬ペプチドが有用であることを示す。CO-NHペプチド結合の代わりにNH-CO結合を含有するレトロインバースペプチドは、タンパク質分解に対してはるかにより高い耐性がある。
【0225】
非ペプチド結合は、例えば、-CH2-NH、-CH2S-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、および-CH2SO-である。米国特許第4,897,445号明細書は、標準手順によって合成されるポリペプチド、およびNaCNBH3の存在下でアミノアルデヒドとアミノ酸を反応させることで合成される非ペプチド結合が関与する、ポリペプチド鎖中の非ペプチド結合(-CH2-NH)を固相合成する方法を提供する。
【0226】
上述の配列を含んでなるペプチドは、それらのアミノおよび/またはカルボキシ末端に存在する追加的な化学基と共に合成して、ペプチドの安定性、生物学的利用能、および/または親和性を高めてもよい。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはt-ブチルオキシカルボニル基などの疎水性基が、ペプチドのアミノ末端に付加されてもよい。同様に、アセチル基または9-フルオレニルメトキシ-カルボニル基が、ペプチドのアミノ末端に配置されてもよい。さらに、疎水性基、t-ブチルオキシカルボニル、またはアミド基が、ペプチドのカルボキシ末端に付加されてもよい。
【0227】
さらに、本発明のペプチドは、それらの立体配置を改変するように合成されてもよい。例えば、通常のL異性体でなく、ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基のD異性体が使用されてもよい。なおもさらに、本発明のペプチドのアミノ酸残基の少なくとも1つは、周知の非天然起源アミノ酸残基の1つで置換されてもよい。これらのような変化は、本発明のペプチドの安定性、生物学的利用能および/または結合作用の増加に役立ってもよい。
【0228】
同様に、本発明のペプチドまたは変異体は、ペプチド合成の前または後のどちらかに、特定のアミノ酸を反応させることで化学的に修飾されてもよい。このような修飾の例は、当該技術分野で周知であり、例えば、参照により本明細書に援用される、R.Lundblad,Chemical Reagents for Protein Modification,3rd ed.CRC Press,2004(Lundblad,2004)に要約される。アミノ酸の化学修飾としては、これに限定されるものではないが(although without limitation thereto)、アシル化、アミジン化、リジンのピリドキシル化、還元アルキル化、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化、システインのシステイン酸への過ギ酸酸化によるカルボキシル基のアミド修飾およびスルフヒドリル修飾、水銀誘導体形成、その他のチオール化合物との混合ジスルフィド形成、マレイミドとの反応、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化、およびアルカリ性pHでのシアネートによるカルバモイル化による修飾が挙げられるが、これに限定されるものではない(is not limited to)。この点において、当業者は、タンパク質の化学修飾に関するより詳細な手順について、Current Protocols In Protein Science,Eds.Coligan et al.(John Wiley and Sons NY 1995-2000)(Coligan et al.,1995)の第15章を参照されたい。
【0229】
簡単に述べると、例えばタンパク質中のアルギニル残基の修飾は、付加体を形成するためのフェニルグリオキサール,2,3-ブタンジオン、および1,2-シクロヘキサンジオンなどの隣接するジカルボニル化合物の反応に基づくことが多い。別の例は、メチルグリオキサールとアルギニン残基の反応である。システインは、リジンおよびヒスチジンなどのその他の求核性部位の同時の修飾なしに修飾され得る。その結果、システイン修飾のために多数の試薬が利用可能である。Sigma-Aldrichなどの会社のウェブサイト(http://www.sigma-aldrich.com)が、特定の試薬に関する情報を提供する。
【0230】
タンパク質中のジスルフィド結合の選択的還元もまた、一般的である。ジスルフィド結合は、生物医薬品の加熱処理中に形成されて酸化され得る。ウッドワード試薬Kを使用して、特定のグルタミン酸残基が修飾されてもよい。N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N’-エチルカルボジイミドを利用して、リジン残基とグルタミン酸残基との間に分子内架橋が形成され得る。例えば、ジエチルピロ炭酸は、タンパク質中のヒスチジル残基修飾のための試薬である。ヒスチジンはまた、4-ヒドロキシ-2-ノネナールを使用して修飾され得る。リジン残基およびその他のα-アミノ基の反応物は、例えば、ペプチドの表面への結合またはタンパク質/ペプチド架橋で有用である。リジンはポリ(エチレン)グリコールの付着部位であり、タンパク質のグリコシル化の主要な修飾部位である。タンパク質中のメチオニン残基は、例えば、ヨードアセトアミド、ブロモエチルアミン、およびクロラミンTによって修飾され得る。
【0231】
テトラニトロメタンおよびN-アセチルイミダゾールを使用して、チロシル残基が修飾され得る。ジチロシンの形成を通じた架橋は、過酸化水素/銅イオンによって達成され得る。
【0232】
トリプトファンの修飾に関する最近の研究では、N-ブロモサクシニミド、臭化2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルまたは3-ブロモ-3-メチル-2-(2-ニトロフェニルメルカプト)-3H-インドール(BPNS-スカトール)が使用されている。
【0233】
PEGによる治療用タンパク質およびペプチドの成功裏の修飾が、循環半減期の延長に関連することが多い一方で、タンパク質と、グルタルアルデヒド、ポリエチレングリコールジアクリレート、およびホルムアルデヒドとの架橋は、ハイドロゲル調製のために使用される。免疫療法のためのアレルゲンの化学修飾は、カリウムシアネートでのカルバミル化によって達成されることが多い。
【0234】
ペプチドが修飾されまたは非ペプチド結合を含む、ペプチドまたは変異体は、本発明の好ましい実施形態である。一般に、ペプチドおよび変異体(少なくともアミノ酸残基間にペプチド結合を含有するもの)は、Lukas et al.(Lukas et al.,1981)によって、そしてその中で引用される参考文献によって開示される、Fmoc-ポリアミド様式の固相ペプチド合成によって合成されてもよい。一時的なN-アミノ基保護は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によってもたらされる。この高度に塩基不安定性の保護基の反復性切断は、N,N-ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンを使用して実施される。側鎖官能基は、それらのブチルエーテル(セリン、スレオニン、およびチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸およびアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リジンおよびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、および4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護されてもよい。グルタミンまたはアスパラギンがC末端残基である場合、側鎖アミド官能基を保護するために、4,4’-ジメトキシベンズヒドリル基が活用される。固相担体は、ジメチルアクリルアミド(主鎖単量体)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)、およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(機能化因子)の3つの単量体から構成される、ポリジメチル-アクリルアミドポリマーをベースとする。使用されるペプチド-対-樹脂の切断可能な結合因子は、酸不安定性4-ヒドロキシメチル-フェノキシ酢酸誘導体である。逆転N,N-ジシクロヘキシル-カルボジイミド/1ヒドロキシベンゾトリアゾール媒介共役手順を使用して付加されるアスパラギンおよびグルタミンを除いて、全てのアミノ酸誘導体は、それらのあらかじめ形成された対称的な無水物誘導体として付加される。全ての共役および脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイサチン(isotin)試験手順を使用してモニターされる。合成完了時に、ペプチドは樹脂担体から切断され、同時に、50%スカベンジャー混合物を含有する95%トリフルオロ酢酸での処理によって、側鎖保護基が除去される。一般に使用されるスカベンジャーとしては、エタンジチオール、フェノール、アニソール、および水が挙げられ、正確な選択は、合成されるペプチドの構成アミノ酸に左右される。ペプチドの合成のための固相法と溶液相法の組み合わせもまた、可能である(例えば、(Bruckdorfer et al.,2004)、およびその中で引用される参考文献を参照されたい)。
【0235】
トリフルオロ酢酸は、真空蒸発によって除去され、引き続くジエチルエーテルを用いた磨砕は、粗製ペプチドをもたらす。存在する任意のスカベンジャーは、単純な抽出手順によって除去され、それは水相の凍結乾燥時に、スカベンジャーを含まない粗製ペプチドを与える。ペプチド合成のための試薬は、通常、例えば、Calbiochem-Novabiochem(Nottingham,UK)から入手できる。
【0236】
精製は、再結晶化、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(通常は)例えば、アセトニトリル/水勾配分離を使用した逆相高速液体クロマトグラフィーなどの技術の任意の1つまたは組み合わせによって実施されてもよい。
【0237】
ペプチドの分析は、薄層クロマトグラフィー、電気泳動法、特にキャピラリー電気泳動法、固相抽出(CSPE)、逆相高速液体クロマトグラフィー、酸加水分解後のアミノ酸分析を使用して、高速原子衝撃(FAB)質量分光分析によって、ならびにMALDIおよびESI-Q-TOF質量分光分析によって、実施されてもよい。
【0238】
過剰提示ペプチドを選択するために、中央値サンプル提示ならびに反復試験変動を示す、提示プロファイルが計算される。プロファイルは、目的腫瘍実体のサンプルを正常なサンプルのベースラインに並置させる。次に、線形混合効果モデルのp値を計算し(Pinheiro et al.,2015)、誤検出率によって複数試験について補正する(Benjamini and Hochberg,1995)(実施例1参照)ことで、これらの各プロファイルが過剰提示スコアに統合され得る。
【0239】
質量分析によるHLAリガンドの同定と相対的定量化のために、衝撃凍結サンプルからのHLA分子が精製されて、HLA関連ペプチドが単離された。単離ペプチドを分離して、オンラインナノエレクトロスプレーイオン化(nanoESI)液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)実験によって配列を同定した。その結果生じたペプチド配列は、食道がんサンプル(N=16A*02陽性サンプル)から記録された天然腫瘍関連ペプチド(TUMAP)の断片化パターンと、同一配列の対応する合成標準ペプチドの断片化パターンとの比較によって、確認された。ペプチドは、原発性腫瘍のHLA分子のリガンドとして直接、同定されたので、これらの結果は、16人の食道がん患者から入手された原発性がん組織上における、同定されたペプチドの天然プロセッシングおよび提示の直接的証拠を提供する。
【0240】
発見パイプラインXPRESIDENT(登録商標)v2.1(例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第2013-0096016号明細書を参照されたい)は、いくつかの異なる非がん性組織および臓器と比較した、がん組織上のHLA拘束性ペプチドレベルの直接相対定量化に基づく、妥当な過剰提示ペプチドワクチン候補の同定と選択ができるようにする。これは、独自仕様のデータ解析パイプラインで処理された獲得LC-MSデータを使用して、配列同定のためのアルゴリズム、スペクトルクラスタリング、イオン計数、滞留時間アライメント、電荷状態のデコンボリューション、および正規化を組み合わせる、無標識示差定量化の開発によって達成された。
【0241】
各ペプチドおよびサンプルの誤差推定値を含む、提示レベルが確立された。腫瘍組織上で排他的に提示されるペプチド、および腫瘍において過剰提示されるペプチドが、非がん性の組織および臓器との比較で同定されている。
【0242】
食道がん組織サンプルからのHLAペプチド複合体は精製されてHLA結合ペプチドが単離され、LC-MSによって分析された(実施例を参照されたい)。本出願に含まれる全てのTUMAPは、この原発性食道がんサンプルに対するアプローチを用いて同定され、それらの原発性食道がん上の提示が確認された。
【0243】
複数の食道がんおよび正常組織上で同定されたTUMAPは、無標識LC-MSデータのイオン計数を使用して定量化された。方法は、ペプチドのLC-MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量と相関すると仮定する。様々なLC-MS実験におけるペプチドの全ての定量的シグナルは、中心傾向に基づいて正規化され、サンプル当たりで平均化されて、提示プロファイルと称される棒グラフにマージされた。提示プロファイルは、タンパク質データベース検索、スペクトルクラスタリング、電荷状態デコンボリューション(除電)、および滞留時間アライメントおよび正規化のような、異なる解析法を統合する。
【0244】
ペプチドの過剰提示に加えて、基礎となる遺伝子のmRNA発現が試験された。正常組織およびがん組織のRNASeq分析を通じて、mRNAデータが得られた(実施例2を参照されたい)。正常組織データのさらなる出典は、約3000の正常組織サンプルに由来する、公的に利用可能なRNA発現データのデータベースであった(Lonsdale,2013)。それがコードするmRNAが、がん組織では高度に発現されるが、生命維持に必要な正常組織では非常に低いかまたは存在しない、タンパク質に由来するペプチドが、好ましくは本発明に包含される。
【0245】
さらに、発見パイプラインXPRESIDENT(登録商標)v2.は、がんまたはその他の感染組織上で、MHC拘束性、好ましくはHLA拘束性のペプチドレベルの直接絶対定量化ができるようにする。簡単に述べると、分析された組織サンプルの全DNA含有量から、総細胞数が計算された。組織サンプル中のTUMAPの全ペプチド量は、天然TUMAPと、既知量のTUMAPの同位体標識バージョン、いわゆる内標準との比率として、ナノLC-MS/MSによって測定された。TUMAP単離の効率は、TUMAP単離手順の可能な限り早い時点で、全ての選択されたTUMAPのペプチド:MHC複合体を組織溶解産物に添加して、ペプチド単離手順の完了に続く、ナノLC-MS/MSによるそれらの検出によって判定された。総細胞数および全ペプチド量は、組織サンプル当たり三連の測定から計算された。ペプチド単離効率は、それぞれ三連で測定された、10回の添加実験からの平均として計算された(実施例6および表12を参照されたい)。
【0246】
本発明は、本発明のペプチドを過剰にまたは排他的に提示する、好ましくは食道がんである、がん/腫瘍を治療するのに有用なペプチドを提供するこれらのペプチドは、原発性ヒト食道がんサンプル上で、HLA分子によって天然に提示されることが、質量分析法によって示された。
【0247】
それにペプチドが由来する起源遺伝子/タンパク質(「完全長タンパク質」または「基礎タンパク質」とも称される)の多くは、正常組織と比較してがんにおいて高度に過剰発現されることが示されて、起源遺伝子の高度な腫瘍関連性が実証され、「正常組織」は、本発明との関連で、健康な食道細胞またはその他の正常組織細胞のどちらかを意味するものとする(実施例2を参照されたい)。さらに、ペプチド自体は、腫瘍組織上では強く過剰提示されるが、正常組織上では過剰提示されず、「腫瘍組織」は、本発明との関連で、食道がんに罹患している患者に由来するサンプルを意味するものとする(実施例1を参照されたい)。
【0248】
HLA結合ペプチドは、免疫系、特にTリンパ球によって認識され得る。T細胞は、例えば誘導ペプチドを提示する食道がん細胞などの、認識されたHLA/ペプチド複合体を提示する細胞を破壊し得る。
【0249】
本発明のペプチドは、T細胞応答を刺激でき、および/または過剰提示されることが示されおり、したがって本発明に従って、抗体および/または可溶性TCRなどのTCRの製造のために使用され得る(実施例3、実施例4を参照されたい)。さらに、ペプチドは、それぞれのMHCと複合体化した場合に、本発明による抗体および/またはTCR、特にTCR製造のためにも使用され得る。それぞれの方法は当業者に良く知られており、それぞれの参考文献にもまた見られる。したがって本発明のペプチドは、それによって腫瘍細胞が破壊され得る、患者における免疫応答を生じさせるのに有用である。患者における免疫応答は、理想的には免疫原性を増強する薬剤(すなわちアジュバント)との組み合わせで、記載されるペプチド、または適切な前駆体(例えば伸長ペプチド、タンパク質、またはこれらのペプチドをコードする核酸)を患者に直接投与することで、誘導され得る。本発明の標的ペプチドは、正常組織上では同等のコピー数で提示されないので、このような治療的ワクチン接種から生じる免疫応答は、腫瘍細胞に対して高度に特異的であることが予測され得て、患者の正常細胞に対する望まれない自己免疫反応のリスクを防止する。
【0250】
本明細書は、鎖およびaβ鎖(「α/βTCR」)を含んでなるT細胞受容体(TCR)にさらに関する。MHC分子によって提示された際に、TCRおよび抗体に結合できるHAVCR1-001ペプチドもまた提供される。本明細書はまた、本明細書のTCRおよびペプチドを発現するための核酸、ベクター、および宿主細胞;そしてそれを使用する方法にも関する。
【0251】
「T細胞受容体」(TCRと略記される)という用語は、αポリペプチド鎖(α鎖)およびaβポリペプチド鎖(β鎖)を含んでなるヘテロ二量体分子を指し、ヘテロ二量体受容体は、HLA分子によって提示されるペプチド抗原と結合できる。本用語は、いわゆるγ/δTCRもまた含む。
【0252】
一実施形態では、本明細書は、本明細書に記載されるようなTCRを製造する方法を提供し、方法は、TCRの発現を促進するのに適した条件下でTCRを発現できる、宿主細胞を培養するステップを含んでなる。
【0253】
別の態様における説明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞または人工抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはII MHC分子上に抗原が負荷され、または抗原/クラスIまたはII MHC複合体モノマーを四量体化することで、クラスIまたはII MHC四量体上に抗原が負荷される、本明細書に記載の方法に関する。
【0254】
α/βTCRのαおよびβ鎖、そしてγ/δTCRのγおよびδ鎖は、一般にそれぞれ2つの「領域」、すなわち可変および定常領域を有すると見なされる。可変領域は、可変領域(V)の連結と、連結領域(J)とからなる。可変領域はまた、リーダー領域(L)を含んでもよい。βおよびδ鎖はまた、多様性領域(D)を含んでもよい。αおよびβ定常領域はまた、αおよびβ鎖を細胞膜に固着させるC末端膜貫通(TM)領域を含んでもよい。
【0255】
γ/δTCRに関して、「TCRγ可変領域」という用語は、本明細書の用法ではリーダー領域(L)のないTCRγV(TRGV)領域とTCRγJ(TRGJ)領域との連結を指し、TCRγ定常領域という用語は、細胞外TRGC領域を指し、またはC末端切断型TRGC配列を指す同様に「TCRδ可変領域」という用語は、リーダー領域(L)のないTCRδV(TRDV)領域とTCRδD/J(TRDD/TRDJ)領域との連結を指し、「TCRδ定常領域」という用語は、細胞外TRDC領域を指し、またはC末端切断型TRDC配列を指す。
【0256】
本明細書のTCRは、好ましくは、約1μM以下、約001μM以下、約25μM以下、または約10μM以下の結合親和性(KD)で、HAVCR1-001ペプチド-HLA分子複合体に結合する。より好ましいのは、約1μM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下の結合親和性を有する、高親和性TCRである。本発明のTCRの好ましい結合親和性範囲の非限定的例としては、約1nM~約10nM;約10nM~約20nM;約20nM~約30nM;約30nM~約40nM;約40nM~約50nM;約50nM~約60nM;約60nM~約70nM;約70nM~約80nM;約80nM~約90nM;および約90nM~約100nMが挙げられる。
【0257】
本明細書の用法では、本明細書のTCRとの関連で、「特異的結合」およびそれらの文法的変種は、HAVCR1-001ペプチド-HLA分子複合体に対して、1μM以下の結合親和性(KD)を有するTCRを意味するために使用される。
【0258】
本明細書のα/βヘテロ二量体TCRは、それらの定常領域の間に導入された、ジスルフィド結合を有してもよい。このタイプの好ましいTCRとしては、TRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列とを有するものが挙げられるが、ただし、TRACのThr48およびTRBC1またはTRBC2のSer57は、システイン残基によって置換されており、前記システインは、TCRのTRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列との間に、ジスルフィド結合を形成する。
【0259】
上述の導入された鎖間結合の存在下または不在下で、本明細書のα/βヘテロ二量体TCRは、TRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列とを有してもよく、TCRのTRAC定常領域配列と、TRBC1またはTRBC2定常領域配列とが、TRACのエクソン2のCys4と、TRBC1またはTRBC2のエクソン2のCys2との間の天然ジスルフィド結合によって連結されてもよい。
【0260】
本明細書のTCRは、放射性核種、フルオロフォア、およびビオチンからなる群から選択される、検出可能な標識を含んでなってもよい。本明細書のTCRは、放射性核種、化学療法剤、または毒素などの治療的活性薬剤にコンジュゲートされてもよい。
【0261】
一実施形態では、α鎖に少なくとも1つの変異を有し、および/またはβ鎖に少なくとも1つの変異を有する本明細書のTCRは、非変異TCRと比較して修飾されたグリコシル化を有する。
【0262】
一実施形態では、TCRα鎖および/またはTCRβ鎖に少なくとも1つの変異を含んでなるTCRは、HAVCR1-001ペプチド-HLA分子複合体に対して、非変異TCRα鎖および/または非変異TCRβ鎖を含んでなるTCRの少なくとも倍の結合親和性および/または結合半減期を有する。腫瘍特異的TCRの親和性増強とその利用は、最適TCR親和性のウィンドウの存在に依存する。このようなウィンドウの存在は、HLA-A2拘束性病原体に対して特異的なTCRが、HLA-A2拘束性腫瘍関連自己抗原に対して特異的なTCRと比較して、一般に約10分の1のKD値を有するという観察に基づく。腫瘍抗原は免疫原性である可能性を有するが、腫瘍は個人自身の細胞から生じるので、改変された翻訳プロセッシングのある変異型タンパク質またはタンパク質のみが、免疫系によって異質と見なされることが今や知られている。上方制御されまたは過剰発現される抗原(いわゆる自己抗原)は、腫瘍に対する機能性免疫応答を必ずしも誘導しない。これらの抗原に対して高度に反応性のTCRを発現するT細胞は、中枢性免疫寛容として知られている過程、すなわち自己抗原に対する低親和性TCRを有するT細胞のみが残留する過程によって、胸腺において負選択される。したがって、HAVCR1-001に対する本明細書のTCRまたは変異体の親和性は、当技術分野で周知の方法によって高め得る。
【0263】
本明細書は、本明細書に従ってTCRを同定し単離する方法にさらに関し、前記方法は、HLA-A*02陰性健常ドナーからのPBMCをA2/HAVCR1-001A2と共にインキュベートするステップと、PBMCを四量体フィコエリトリン(PE)と共にインキュベートするステップと、高結合活性T細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)Calibur分析によって単離するステップとを含んでなる。
【0264】
本明細書は、本明細書に従ってTCRを同定し単離する方法にさらに関し、前記方法は、そのT細胞がマウスTCR欠損を補償する多様なヒトTCRレパートリーを発現する、全ヒトTCRαβ遺伝子遺伝子座(1.1および0.7Mb)を有する遺伝子組換えマウスを得るステップと、マウスをHAVCR1-001で免疫化するステップと、四量体フィコエリトリン(PE)を有する遺伝子組換えマウスから得られたPBMCをインキュベートするステップと、高結合活性T細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)Calibur分析によって単離するステップとを含んでなる。
【0265】
一態様では、本明細書のTCRを発現するT細胞を得るために、本明細書のTCR-αおよび/またはTCR-β鎖をコードする核酸が、γレトロウイルスまたはレンチウイルスなどの発現ベクターにクローン化される。組換えウイルスが生成され、次に、抗原特異性および機能性結合活性などの機能について試験される。次に、最終生成物のアリコートを使用して、標的T細胞集団(一般に患者のPBMCから精製される)が形質導入され、それは患者への輸液前に増殖される。
【0266】
別の態様では、本明細書のTCRを発現するT細胞を得るために、例えば、生体外転写システムなどの当該技術分野で公知の技術によって、TCR RNAが合成される。次に生体外で合成されたTCR RNAは、健常ドナーから得られた原発性CD8+T細胞内に電気穿孔によって導入され、腫瘍特異的TCR-αおよび/またはTCR-β鎖が再発現される。
【0267】
発現を増加させるために、本明細書のTCRをコードする核酸は、レトロウイルス長末端反復(LTR)、サイトメガロウイルス(CMV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)U3、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、β-アクチン、ユビキチン、およびシミアンウイルス40(SV40)/CD43複合プロモーター、伸長因子(EF)-1a、および脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーターなどの強力なプロモーターと作動可能に連結されてもよい。好ましい実施形態では、プロモーターは、発現される核酸に対して異種である。
【0268】
強力なプロモーターに加えて、本明細書のTCR発現カセットは、レンチウイルスコンストラクトの核転座を促進する、中央ポリプリントラクト(cPPT)(Follenzi et al.,2000)、およびRNA安定性を増加させることで導入遺伝子発現のレベルを増加させる、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節因子(wPRE)(Zufferey et al.,1999)をはじめとする導入遺伝子発現を高め得る追加的な要素を含有してもよい。
【0269】
本発明のTCRのαおよびβ鎖は、別々のベクターにある核酸によってコードされてもよく、または同一ベクターにあるポリヌクレオチドによってコードされてもよい。
【0270】
高レベルのTCR表面発現の達成には、導入されたTCRのTCR-αおよびTCR-β鎖の双方が、高レベルで転写される必要がある。これを行うために、本明細書のTCR-αおよびTCR-β鎖は、この障害を克服できることが示されている、単一ベクター内のバイシストロニックコンストラクトにクローン化されてもよい。TCR-αおよびTCR-β鎖は、翻訳中に2つのタンパク質に分かれて等モル比のTCR-αおよびTCR-β鎖の生成を確実にする単一転写物から生成されるので、TCR-α鎖とTCR-β鎖との間のウイルス配列内リボソーム進入部位の使用は、双方の鎖の協調発現をもたらす(Schmitt et al.2009)。
【0271】
本明細書のTCRをコードする核酸はコドン最適化されて、宿主細胞からの発現が増加されてもよい。遺伝コードの重複は、いくつかのアミノ酸が2つ以上のコドンによってコードされるようにするが、特定のコドンは、適合tRNAの相対可用性ならびにその他の要因のために、他のものよりも「最適」でない(Gustafsson et al.,2004)。各アミノ酸が、哺乳類遺伝子発現のための最適コドンによってコードされるように、TCR-αおよびTCR-β遺伝子配列を修飾すること、ならびにmRNA不安定モチーフまたは潜在的なスプライス部位を除去することは、TCR-αおよびTCR-β遺伝子発現を有意に高めることが示されている(Scholten et al.,2006)。
【0272】
さらに、導入TCR鎖と内因性TCR鎖との間の誤対合は、自己免疫の重大なリスクをもたらす特異性の獲得を引き起こすこともある。例えば、混合TCR二量体の形成は、適切に対合するTCR複合体を形成するために利用できるCD3分子の数を減少させてもよく、ひいては導入TCRを発現する細胞の機能性結合活性を有意に低下させ得る(Kuball et al.,2007)。
【0273】
誤対合を減少させるために、本明細書の導入TCR鎖のC末端領域は、鎖間親和性を高める一方で、導入鎖が内因性TCRと対形成する能力を低下させるために、修飾されてもよい。これらのストラテジーは、ヒトTCR-αおよびTCR-βのC末端領域をそれらのマウス対応物(マウス化C末端領域)で置換する;導入TCRのTCR-αおよびTCR-β鎖の双方に第2のシステイン残基を導入することで、C末端領域に第2の鎖間ジスルフィド結合を生成する(システイン修飾);TCR-αおよびTCR-β鎖C末端領域内の相互作用残基を交換する(「ノブ・イン・ホール」);そしてTCR-αおよびTCR-β鎖の可変領域をCD3ζに直接融合させる(CD3ζ融合)ことを含んでもよい。(Schmitt et al.2009)。
【0274】
一実施形態では、宿主細胞は、本細書のTCRを発現するように遺伝子操作される。好ましい実施形態では、宿主細胞は、ヒトT細胞またはT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞またはT細胞前駆細胞は、がん患者から得られる。その他の実施形態では、T細胞またはT細胞前駆細胞は、健常ドナーから得られる。本明細書の宿主細胞は、治療される患者に関して、同種異系または自己由来であり得る。一実施形態では、宿主は、α/βTCRを発現するように形質転換されたγ/δT細胞である。
【0275】
「医薬組成物」は、医学的状況においてヒトへの投与に適する組成物である。好ましくは、医薬組成物は無菌であり、GMPガイドラインに準拠して製造される。
【0276】
医薬組成物は、遊離形態または薬学的に許容可能な塩の形態のどちらかのペプチドを含んでなる(上記もまた参照されたい)。本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な塩」は、開示されたペプチドの誘導体を指し、ペプチドは、薬剤の酸性または塩基性塩を生成することで修飾される。例えば、酸性塩は、適切な酸との反応を伴って、遊離塩基から調製される(典型的に、薬剤の中性形態が中性NH2基を有する)。酸性塩を調製するための適切な酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸、ならびに例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸リン酸などの無機酸の双方が挙げられる。逆に、ペプチド上に存在してもよい酸部分の塩基性塩の調製物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどの薬学的に許容可能な塩基を使用して調製される。
【0277】
特に好ましい一実施形態では、医薬組成物は、酢酸(酢酸塩)、トリフルオロ酢酸または塩酸(塩化物)の塩としてのペプチドを含んでなる。
【0278】
好ましくは、本発明の薬剤は、ワクチンなどの免疫療法剤である。それは、患者に直接、罹患臓器に、または全身的に、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.投与され、または生体外で患者またはヒト細胞株に由来する細胞に適用されて、それが引き続いて患者に投与され、または生体外で使用されて患者に由来する免疫細胞の亜集団が選択され、次にそれが患者に再投与されてもよい。核酸が、生体外で細胞に投与される場合、インターロイキン2などの免疫刺激サイトカインを同時発現させるように、細胞を形質移入することが有用であってもよい。ペプチドは、実質的に純粋であり、または免疫刺激アジュバント(下記参照)と組み合わされ、または免疫賦活性サイトカインと組み合わせて使用され、または例えば、リポソームなどの適切な送達系によって投与されてもよい。ペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)またはマンナンなどの適切な担体に共役されてもよい(国際公開第95/18145号パンフレットおよび(Longenecker et al.,1993)を参照されたい)。ペプチドはまた、標識されてもよく、融合タンパク質であってもよく、またはハイブリッド分子であってもよい。その配列が本発明に記載されるペプチドは、CD4またはCD8 T細胞を刺激することが予測される。しかし、CD8 T細胞の刺激は、CD4 Tヘルパー細胞によって提供される援助の存在下で、より効率的である。したがって、CD8 T細胞を刺激するMHCクラスIエピトープでは、ハイブリッド分子の融合パートナーまたはセクションは、適切にはCD4陽性T細胞を刺激するエピトープを提供する。CD4およびCD8刺激エピトープは、当該技術分野で周知であり、本発明で同定されたものが挙げられる。
【0279】
一態様では、ワクチンは、配列番号1~配列番号93に記載されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのペプチドと、少なくとも1つの追加的なペプチド、好ましくは2~50、より好ましくは2~25、なおもより好ましくは2~20、最も好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のペプチドとを含んでなる。ペプチドは、1つまたは複数の特異的TAAから誘導されてもよく、MHCクラスI分子に結合してもよい。
【0280】
本発明のさらなる態様は、本発明のペプチドまたはペプチド変異体をエンコードする核酸(例えばポリヌクレオチド)を提供する。ポリヌクレオチドは、それがペプチドをコードしさえすれば、例えば、単鎖および/または二本鎖のいずれかのDNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよく、または例えばホスホロチオエート主鎖を有するポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドの未変性または安定化形態であってもよく、それはイントロンを含有してもまたはしなくてもよい。もちろん、天然起源ペプチド結合によって連結する天然アミノ酸残基を含有するペプチドのみが、ポリヌクレオチドによってエンコードされ得る。本発明のなおもさらなる態様は、本発明によるポリペプチドを発現できる発現ベクターを提供する。
【0281】
例えば相補的付着端を通じて、ポリヌクレオチド、特にDNAをベクターに連結する、多様な方法が開発されている。例えば、ベクターDNAに挿入されるDNA断片に、相補的ホモポリマー配列が付加され得る。次に、相補的ホモポリマー尾部間の水素結合によって、ベクターおよびDNA断片が連結されて組換えDNA分子が形成する。
【0282】
1つまたは複数の制限酵素認識部位を含有する合成リンカーは、DNA断片をベクターに連結する代替え方法を提供する。多様な制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する合成リンカーは、International Biotechnologies Inc.New Haven,CN,USAをはじめとするいくつかの供給元から商業的に入手できる。
【0283】
本発明のポリペプチドをコードするDNAを修飾する望ましい方法は、Saiki RK,et al.(Saiki et al.,1988)で開示されるようなポリメラーゼ連鎖反応を用いる。この方法は、例えば、適切な制限酵素認識部位を改変することで、DNAを適切なベクターに導入するために使用されてもよく、またはそれは、当該技術分野で既知のその他の有用な様式でDNAを修飾するために使用されてもよい。ウイルスベクターを使用するのであれば、ポックスウイルスまたはアデノウイルスベクターが好ましい。
【0284】
次にDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)を適切な宿主において発現させ、本発明のペプチドまたは変異体を含んでなるポリペプチドが製造されてもよい。このようにして、本明細書に含まれる教示を考慮して適切に修正された既知の技術に従って、本発明のペプチドまたは変異体をコードするDNAを使用して、発現ベクターが構築されてもよく、次にそれを使用して、本発明のポリペプチドの発現および製造のために、適切な宿主細胞が形質転換される。このような技術としては、例えば、米国特許第4,440,859号明細書、米国特許第4,530,901号明細書、米国特許第4,582,800号明細書、米国特許第4,677,063号明細書、米国特許第4,678,751号明細書、米国特許第4,704,362号明細書、米国特許第4,710,463号明細書、米国特許第4,757,006号明細書、米国特許第4,766,075号明細書、および米国特許第4,810,648号明細書で開示されるものが挙げられる。
【0285】
本発明の化合物を構成するポリペプチドをエンコードするDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)は、適切な宿主への導入のために、多種多様なその他のDNA配列に連結されてもよい。コンパニオンDNAは、宿主の性質、DNAの宿主への導入様式、およびエピソームの維持または組み込みが所望されるかどうかに左右される。
【0286】
一般に、DNAは、発現のための適切な方向および正しい読み枠で、プラスミドなどの発現ベクターに挿入される。必要ならば、DNAは、所望の宿主によって認識される適切な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結されてもよいが、このような制御は、一般に発現ベクター中で利用できる。次に、標準的な技術を通じて、ベクターが宿主に導入される。一般に、全ての宿主がベクターによって形質転換されるわけではない。したがって、形質転換された宿主細胞を選択することが必要になる。一選択技術は、抗生物質耐性などの形質転換細胞内で選択可能な形質をコードする、任意の必要な制御因子を有するDNA配列を発現ベクター内に組み込むことを伴う。
【0287】
代案としては、このような選択可能な形質の遺伝子は、所望の宿主細胞を同時形質転換するのに使用される、別のベクター上にあり得る。
【0288】
次に、本明細書で開示される教示を考慮して、当業者に知られている適切な条件下で十分な時間にわたり、本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞が培養されてポリペプチドが発現され、次にそれが回収れされ得る。
【0289】
細菌(例えば大腸菌(E.coli)およびバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌(例えばアスペルギルス属(Aspergillus))、植物細胞、動物細胞、および昆虫細胞をはじめとする多数の発現系が知られている。好ましくは、発現系は、ATCC Cell Biology Collectionから入手できるCHO細胞などの哺乳類細胞であり得る。
【0290】
構成的発現のための典型的な哺乳類細胞ベクタープラスミドは、適切なポリA尾部と、ネオマイシンなどの耐性マーカーとを有する、CMVまたはSV40プロモーターを含んでなる。一例は、Pharmacia,Piscataway,NJ,USAから入手できるpSVLである。誘導性哺乳類発現ベクターの一例であるpMSGもまた、Pharmaciaから入手できる。有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403-406およびpRS413-416であり、通常、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから入手できる。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、およびpRS406は、酵母組み込みプラスミド(YIps)であり、酵母の選択可能なマーカーHIS3、TRP1、LEU2、およびURA3が組み込まれている。プラスミドpRS413-416は、酵母セントロメアプラスミド(Ycps)である。CMVプロモーターベースのベクター(例えばSigma-Aldrich製)は、一過性または安定性発現、細胞質内発現または分泌、およびFRAG、3xFLAG、c-mycまたはMATの様々な組み合わせでのN末端またはC末端標識付けを提供する。これらの融合タンパク質は、組換えタンパク質を検出、精製、および分析できるようにする。二重標識融合物は、検出に融通性を与える。
【0291】
強力なヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター調節領域は、COS細胞において、構成タンパク質発現レベルを1mg/L程度の高さに駆動する。効力がより低い細胞株では、タンパク質レベルは、典型的に約0.1mg/Lである。SV40複製起点の存在は、SV40複製許容COS細胞における高レベルのDNA複製をもたらす。CMVベクターは、例えば、細菌細胞におけるpMB1(pBR322の誘導体)複製起点、細菌におけるアンピシリン耐性選択のためのb-ラクタマーゼ遺伝子、hGHポリA、およびf1起点を含有し得る。プレプロトリプシンリーダー(PPT)配列を含有するベクターは、抗FRAG抗体、樹脂、およびプレートを使用した精製のために、培養液中へのFRAG融合タンパク質分泌を誘導し得る。多様な宿主細胞において使用するためのその他のベクターおよび発現系が、当該技術分野で周知である。
【0292】
別の実施形態では、本発明の2つ以上のペプチドまたはペプチド変異型がコードされ、したがって順次発現される(「数珠玉構造」コンストラクトに類似する)。その際に、ペプチドまたはペプチド変異型は、例えばLLLLLLなどの一続きのリンカーアミノ酸によって、共に連結または融合されてもよく、またはそれらの間のいかなる追加的なペプチドもなしに連結されてもよい。これらのコンストラクトはまた、がん療法のために使用され得て、MHC IとMHC IIの双方が関与する免疫応答を誘導してもよい。
【0293】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドベクターコンストラクトで形質転換された宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核または真核生物のどちらかであり得る。細菌細胞は、いくつかの状況では、好ましい原核宿主細胞であってもよく、典型的には、例えば、Bethesda Research Laboratories Inc.,Bethesda,MD,USAから入手できる大腸菌(E.coli)DH5株、および米国微生物系統保存機関(ATCC)Rockville,MD,USAから入手できるRR1(ATCC番号31343)などの大腸菌(E.coli)株である。好ましい真核宿主細胞としては、酵母、昆虫、および哺乳類細胞、好ましくはマウス、ラット、サルまたはヒト線維芽および結腸細胞株に由来するものなどの脊椎動物細胞が挙げられる。酵母宿主細胞としては、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから一般に入手できる、YPH499、YPH500、およびYPH501が挙げられる。好ましい哺乳類宿主細胞としては、ATCCからCCL61として入手できるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL1658として入手できるNIH Swissマウス胚細胞NIH/3T3、ATCCからCRL1650として入手できるサル腎臓由来COS-1細胞、およびヒト胎児由来腎細胞である293細胞が挙げられる。好ましい昆虫細胞は、バキュロウイルス発現ベクターで形質移入され得るSf9細胞である。発現のための適切な宿主細胞の選択に関する概説は、例えば、Paulina BalbasおよびArgelia Lorenceの教科書”Methods in Molecular Biology Recombinant Gene Expression,Reviews and Protocols,”Part One,Second Edition,ISBN 978-1-58829-262-9、および当業者に知られているその他の文献にある。
【0294】
本発明のDNAコンストラクトによる適切な細胞宿主の形質転換は、典型的に使用されるベクターのタイプに左右される周知の方法によって達成される。原核宿主細胞の形質転換に関しては、例えば、Cohen et al.(Cohen et al.,1972)および(Green and Sambrook,2012)を参照されたい。酵母細胞の形質転換は、Sherman et al.(Sherman et al.,1986)に記載される。Beggs(Beggs,1978)の方法もまた有用である。脊椎動物細胞に関しては、このような細胞を形質移入するのに有用な、例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE-デキストランまたはリポソーム製剤などの試薬が、Stratagene Cloning Systems,or Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD 20877,USAから入手できる。電気穿孔もまた、細胞を形質転換および/または形質移入するのに有用であり、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および脊椎動物細胞を形質転換する技術分野で周知である。
【0295】
成功裏に形質転換された細胞、すなわち本発明のDNAコンストラクトを含有する細胞は、PCRなどの周知の技術によって同定され得る。代案としては、抗体を使用して、上清中のタンパク質の存在が検出され得る。
【0296】
例えば、細菌、酵母、および昆虫細胞などの本発明の特定の宿主細胞は、本発明のペプチドの調製において有用であることが理解されるであろう。しかしその他の宿主細胞が、特定の治療法において有用であってもよい。例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞は、それらが適切なMHC分子中に負荷されてもよいように、本発明のペプチドを発現するために有用に使用されてもよい。したがって、本発明は、本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0297】
好ましい実施形態では、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞または抗原提示細胞である。前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)を含有する組換え融合タンパク質が負荷されたAPCは、無症候性または微小症候性転移性HRPCを治療するために、米国食品医薬品局(FDA)によって2010年4月20日に認可された(シプロイセルT)(Rini et al.,2006;Small et al.,2006)。
【0298】
本発明のさらなる態様は、宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる。ペプチドまたはその変異型を製造する方法を提供する。
【0299】
別の実施形態では、本発明のペプチド、核酸または発現ベクターは、医療において使用される。例えば、ペプチドまたはその変異体は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射のために調合されてもよい。ペプチド注射の好ましい方法としては、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、およびi.v.が挙げられる。DNA注射の好ましい方法としては、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.が挙げられる。例えば、50μg~1.5mg、好ましくは125μg~500μgのペプチドまたはDNAの用量が投与されてもよく、それぞれのペプチドまたはDNAに左右される。この範囲の用量は、以前の治験で成功裏に使用された(Walter et al.,2012)。
【0300】
活性ワクチン接種のために使用されるポリヌクレオチドは、実質的に純粋であってもよく、または適切なベクターまたは送達系に含有されてもよい。核酸は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよい。このような核酸をデザインして導入する方法は、当該技術分野で周知である。概説は、例えば、Teufel et al.(Teufel et al.,2005)によって提供される。ポリヌクレオチドワクチンは調製が容易であるが、免疫応答誘導におけるこれらのベクターの作用機序は、完全には分かっていない。適切なベクターおよび送達系としては、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、または2つ以上のウイルスの構成要素を含有するハイブリッドベースのシステムなどのウイルスDNAおよび/またはRNAが挙げられる。非ウイルス送達系としては、カチオン性脂質およびカチオン性ポリマーが挙げられ、DNA送達技術分野において周知である。「遺伝子銃」などを通じた物理的送達もまた、使用されてもよい。核酸によってコードされるペプチド(単数)またはペプチド(複数)は、例えば、上述のように、それぞれの逆CDRのT細胞を刺激する、エピトープとの融合タンパク質であってもよい。
【0301】
本発明の薬剤は、1つまたは複数のアジュバントもまた含んでもよい。アジュバントは、免疫応答(例えば、CD8陽性T細胞およびヘルパーT(TH)細胞によって媒介される抗原に対する免疫応答を非特異的に促進または増強する物質であり、したがって本発明の薬剤中で有用であると見なされる。適切なアジュバントとしては、1018 ISS、アルミニウム塩、AMPLIVAX(登録商標)、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、フラジェリンまたはフラジェリン由来TLR5リガンド、FLT3リガンド、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド(ALDARA(登録商標))、レシキモド、ImuFact IMP321、IL-2やL-13やIL-21などのインターロイキン、インターフェロン-αまたは-βまたはそれらのPEG化誘導体、ISパッチ、ISS、ISCOMATRIX、ISCOM、JuvImmune(登録商標)、LipoVac、MALP2、MF59、モノホスホリルリピドA、モンタニドIMS1312、モンタニドISA206、モンタニドISA50V、モンタニドISA-51、油中水型および水中油型エマルション、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、OspA、PepTel(登録商標)ベクター系、ポリ(ラクチドコグリコリド)[PLG]ベースおよびデキストラン微粒子、タラクトフェリンSRL172、ビロソームおよびその他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、β-グルカン、Pam3Cys、サポニンに由来するAquila’s QS21 stimulon、マイコバクテリア抽出物および合成細菌細胞壁模倣体、およびRibi’s DetoxまたはQuilまたはSuperfosなどのその他の独自仕様の補助剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。フロイントまたはGM-CSFなどのアジュバントが好ましい。樹状細胞およびそれらの調製物に対して特異的な、いくつかの免疫学的アジュバント(例えばMF59)が、以前記載されている(Allison and Krummel,1995)。サイトカインもまた使用されてもよい。数種のサイトカインは、樹状細胞のリンパ組織(例えばTNF-)への移動に影響を与えること、Tリンパ球(例えば、GM-CSF、IL-1、およびIL-4)のための効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟を加速すること(その内容全体が参照により本明細書に具体的に援用される、米国特許第5,849,589号明細書)、および免疫増強剤(例えば、IL-12、IL-15、IL-23、IL-7、IFN-α、IFN-β)として作用することと、直接関連付けられている(Gabrilovich et al.,1996)。
【0302】
CpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドもまた、ワクチン環境において、アジュバント効果を増強することが報告されている。理論により拘束されることなく、CpGオリゴヌクレオチドは、Toll様受容体(TLR)、主にTLR9を通じた、内在的(非適応性)免疫系の活性化によって作用する。CpG誘導性TLR9活性化は、ペプチドまたはタンパク質抗原、生きたまたは死滅ウイルス、樹状細胞ワクチン、自己細胞ワクチン、そして予防的および治療的ワクチンの双方における多糖コンジュゲートをはじめとする多種多様な抗原に対する、抗原特異的体液性および細胞性応答を増強する。より重要なことには、それは樹状細胞の成熟と分化を増強し、CD4 T細胞援助の不在下であってさえも、TH1細胞の活性化の促進、および強力な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)生成をもたらす。TLR9刺激によって誘導されるTH1バイアスは、通常はTH2バイアスを促進するミョウバンまたは不完全フロイントアジュバント(IFA)などのワクチンアジュバント存在下であってさえも、維持される。CpGオリゴヌクレオチドは、その他のアジュバントと調合されまたは同時投与された際に、または微粒子、ナノ粒子、脂質エマルションなどの配合物、または類似配合物中で、なおもより高いアジュバント活性を示し、それは、抗原が比較的弱い場合、強力な応答を誘導するのに特に必要である。それらは免疫応答もまた加速し、いくつかの実験では、CpGなしのワクチン総量と同等の抗体応答で、抗原用量のほぼ2桁分の低減を可能にする(Krieg,2006)。米国特許第6,406,705B1号明細書は、抗原特異的免疫応答を誘導するためのCpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバント、および抗原の併用を記載する。CpG TLR9拮抗薬は、本発明の医薬組成物の好ましい構成要素である、Mologen(Berlin,Germany)製のdSLIM(二重ステムループ免疫調節剤)である。RNA結合TLR7、TLR8および/またはTLR9などのその他のTLR結合分子もまた、使用されてもよい。
【0303】
有用なアジュバントその他の例としては、化学修飾CpG(例えば、CpR、Idera);ポリ(I:C)などのdsRNAアナログおよびそれらの誘導体(例えばAmpliGen(登録商標)、Hiltonol(登録商標)、ポリ(ICLC)、ポリ(IC-R)、ポリ(I:C12U)、非CpG細菌DNAまたはRNA;ならびにシクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ(登録商標)、セレブレックス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフェニブ、テモゾロマイド、テムシロリムス、XL-999、CP-547632、パゾパニブ、VEGF Trap、ZD2171、AZD2171、抗CTLA4などの免疫活性小型分子および抗体;免疫系の重要な構造体を標的にするその他の抗体(例えば、抗CD40、抗TGFβ、抗TNFα受容体);SC58175が挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらは治療的におよび/またはアジュバントとして作用してもよい。本発明の文脈で有用なアジュバントおよび添加剤の量と濃度は、過度の実験を実施することなく、当業者によって容易に判定され得る。
【0304】
好ましいアジュバントは、抗CD40、イミキモド、レシキモド、GM-CSF、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、インターフェロンα、CpGオリゴヌクレオチドおよび誘導体、ポリ(I:C)および誘導体、RNA、シルデナフィル、およびPLGまたはビロソーム微粒子調合物である。
【0305】
本発明による薬剤組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)、シクロホスファミド、イミキモド、レシキモド、およびインターフェロンαなどのコロニー刺激因子からなる群から選択される。
【0306】
本発明による医薬組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)、シクロホスファミド、イミキモド、およびレシキモドなどのコロニー刺激因子からなる群から選択される。本発明による薬剤組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、シクロホスファミド、イミキモドまたはレシキモドである。なおもより好ましいアジュバントは、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 20、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、ポリICLC(Hiltonol(登録商標))、および抗CD40mABまたはそれらの組み合わせである。
【0307】
この組成物は、皮下、皮内、筋肉内などの非経口投与、または経口投与のために使用される。このためには、ペプチドおよび任意選択的にその他の分子が、薬学的に許容可能な、好ましくは水性担体に溶解され、または懸濁される。さらに組成物は、緩衝液、結合剤、ブラスチング剤、希釈剤、風味、潤滑剤などの賦形剤を含有し得る。ペプチドはまた、サイトカインなどの免疫刺激物質と共に投与され得る。このような組成物中で使用され得る賦形剤の詳細な一覧は、例えば、A.Kibbe,Handbook of Pharmaceutical Excipients(Kibbe,2000)から採用され得る。組成物は、腺腫様またはがん性疾患の阻止、予防法および/または治療法のために使用され得る。例示的調合物は、例えば、欧州特許第2112253号明細書にある。
【0308】
本発明によるワクチンによって引き起こされる免疫応答は、異なる細胞分裂期および異なる発生段階のがんを攻撃することを理解することが重要である。さらに、異なるがん関連シグナル伝達経路が攻撃される。これは、1つまたは少数の標的のみに対処して、攻撃に対する腫瘍の容易な適応(腫瘍エスケープ)を引き起こすこともある、ワクチンに優る利点である。さらに個々の腫瘍の全てが、同一パターンの抗原を発現するとは限らない。したがって、いくつかの腫瘍関連ペプチドの組み合わせによって、ありとあらゆる腫瘍が標的の少なくとも一部を有することが確実になる。組成物は、それぞれの腫瘍が抗原のいくつかを発現することを予期して設計され、腫瘍の増殖と維持に必要ないくつかの独立した経路をカバーする。したがって、ワクチンは、より大きな患者集団のために、容易に「出来合」で使用され得る。これは、ワクチンで治療される患者の予備選択が、HLAタイピングに限定され得て、抗原発現に関する任意の追加的なバイオマーカーアセスメントを必要としないことを意味するが、いくつかの標的が誘導免疫応答によって同時に攻撃されることはなおも確実であり、これは有効性にとって重要である(Banchereau et al.,2001;Walter et al.,2012)。
【0309】
本明細書の用法では、「スキャフォールド」という用語は、(例えば、抗原性)決定因子に特異的に結合する分子を指す。一実施形態では、スキャフォールドはまた、それが付着する実体(例えば、(第2の)抗原結合部分)を例えば、抗原決定基(例えば本出願書に記載のペプチドとMHCの複合体)を有する特異的腫瘍細胞または腫瘍間質などの型標的部位に誘導できる。別の実施形態では、キャフォールドは、例えば、T細胞受容体複合体抗原などのその標的抗原を介して、シグナル伝達を活性化できる。スキャフォールドとしては、抗体およびそれらのフラグメント、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を含んでなる抗体の抗原結合ドメイン、少なくとも1つのアンキリンリピートモチーフと単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子とを含んでなる結合タンパク質、アプタマー、(可溶性)TCR、および同種または自己由来T細胞などの(改変)細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。分子が標的に結合するスキャフォールドであるかどうかを評価するために、結合アッセイが実施され得る。
【0310】
「特異的」結合は、特異的標的を保有する細胞を殺滅できる活性分子を装備したスキャフォールドが、特異的標的がないがその他のペプチド-MHC複合体を提示する別の細胞を殺滅できない程度に、スキャフォールドがその他の天然ペプチド-MHC-複合体よりもさらに良好に、目的ペプチド-MHC-複合体に結合することを意味する。交差反応性ペプチド-MHCのペプチドが天然に存在せず、すなわち、ヒトHLA-ペプチドームに由来しない場合、その他のペプチド-MHC複合体への結合は無関係である。標的細胞死滅を評価する試験は、当該技術分野で周知である。それらは、非改変ペプチド-MHC提示を有する標的細胞(初代細胞または細胞株)、または天然に存在するペプチド-MHCレベルに達するようにペプチドを負荷された細胞を使用して、実施されるべきである。
【0311】
各スキャフォールドは標識を含んでなり得て、それは、標識によって提供されるシグナルの存在または不在を判定することで、結合スキャフォールドが検出され得ることを提供する。例えば、スキャフォールドは、蛍光染料または任意のその他の適用可能な細胞マーカー分子で標識され得る。このようなマーカー分子は、当該技術分野で周知である。例えば、蛍光染料によって提供される蛍光標識は、蛍光またはレーザー走査顕微鏡またはフローサイトメトリーによる、結合アプタマーの視覚化を提供し得る。
【0312】
各スキャフォールドは、例えば、IL-21、抗-CD3、抗-CD28などの第2の活性分子にコンジュゲートされ得る。
【0313】
ポリペプチドスキャフォールドに関するさらなる情報については、例えば国際公開第2014/071978A1号パンフレットの背景セクション、およびその中で引用された参考文献を参照されたい。
【0314】
本発明は、アプタマーにさらに関する。アプタマー(例えば、国際公開第2014/191359号パンフレット、およびその中で引用される文献を参照されたい)は、短い一本鎖核酸分子であり、それは、所定の三次元構造に折り畳まれて、特異的標的構造体を認識し得る。それらは、標的療法を開発するための適切な代案のようであった。アプタマーは、高い親和性および特異性で、多様な複合体標的と選択的に結合することが示されている。
【0315】
細胞表面に位置する分子を認識するアプタマーは、過去10年内に同定されており、診断および治療的アプローチを開発する手段を提供する。アプタマーは、毒性および免疫原性がほぼ皆無であることが示されているので、それらは生物医学的用途のための有望な候補である。確かに、例えば、前立腺特異的膜抗原認識アプタマーなどのアプタマーは、標的療法のために成功裏に用いられており、異種移植片生体内モデルにおいて機能できることが示されている。さらに、特異的腫瘍細胞株を認識するアプタマーが同定されている。
【0316】
DNAアプタマーは、様々ながん細胞、特に固形腫瘍に由来するものに対して広域スペクトル認識特性を示す一方で、非腫瘍発生性および主要健常細胞を認識しないように選択され得る。同定されたアプタマーが、特異的腫瘍サブタイプを認識するだけでなく、むしろ一連の腫瘍と相互作用する場合、これは、アプタマーをいわゆる広域スペクトル診断薬および治療薬として応用可能にする。
【0317】
さらに、フローサイトメトリーによる細胞結合挙動の調査は、アプタマーがナノモル濃度範囲内の非常に良好な見かけの親和性を見せたことを示した。
【0318】
アプタマーは、診断および治療目的で有用である。さらに、アプタマーの一部は腫瘍細胞に取り込まれ、したがって腫瘍細胞内へのsiRNAなどの抗がん剤の標的化送達のための分子ビヒクルとして、機能し得ることが示され得た。
【0319】
アプタマーは、細胞SELEX(試験管内進化法)技術を使用して、細胞および組織などの複合体標的に対して、および本発明による配列番号1~配列番号93のいずれかに記載の配列とMHC分子とを含んでなり、好ましくはそれからなるペプチド複合体などに対して、選択され得る。
【0320】
本発明のペプチドを使用して、MHC/ペプチド複合体に対する特異的抗体が生成され、開発され得る。これらは、毒素または放射性物質を患部組織に標的化する治療法のために、使用され得る。これらの抗体の別の用途は、PETなどのイメージング目的の放射性核種の患部組織への標的化であり得る。この用途は、小規模な転移の検出、または病的組織の大きさと正確な位置確認の判定を助け得る。
【0321】
したがってHLA拘束性抗原と複合体化した、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、組換え抗体を製造する方法を提供することが、本発明のさらなる態様であり、方法は、前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIを発現する細胞を含んでなる、遺伝子操作された非ヒト哺乳類を前記HLA拘束性抗原と複合体化した可溶性形態のMHCクラスIまたはII分子によって免疫化するステップと;mRNA分子を前記非ヒト哺乳類の抗体産生細胞から単離するステップと;前記mRNA分子によってコードされるタンパク質分子を提示する、ファージディスプレイライブラリーを作製するステップと;少なくとも1つのファージを前記ファージディスプレイライブラリーから単離するステップとを含んでなり、前記少なくとも1つのファージは、前記HLA拘束性抗原と複合体化した前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、前記抗体を提示する。
【0322】
HLA拘束性抗原と複合体化したヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する抗体を提供することも、本発明のさらなる態様であり、その中で抗体は、好ましくは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体および/またはキメラ抗体である。
【0323】
このような抗体および一本鎖クラスI主要組織適合性複合体を製造するそれぞれの方法、ならびにこれらの抗体を製造するためのその他のツールは、本発明の目的で、その内容全体が参照により全て明示的に援用される、国際公開第03/068201号パンフレット、国際公開第2004/084798号パンフレット、国際公開第01/72768号パンフレット、国際公開第03/070752号パンフレット、および文献(Cohen et al.,2003a;Cohen et al.,2003b;Denkberg et al.,2003)で開示される。
【0324】
好ましくは、抗体は,20ナノモル濃度未満、好ましくは10ナノモル濃度未満の結合親和性で複合体に結合し、それは本発明の文脈で「特異的」とも見なされる。
【0325】
本発明は、配列番号1~配列番号93からなる群から選択される配列、または配列番号1~配列番号93と少なくとも88%相同的な(好ましくは同一の)その変異体を含んでなるペプチド、またはT細胞を前記ペプチドと交差反応させるその変異体に関し、前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。
【0326】
本発明は、配列番号1~配列番号93からなる群から選択される配列、または、配列番号1~配列番号93と少なくとも88%相同的な(好ましくは同一の)その変異体を含んでなるペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたは変異体は、8~100、好ましくは8~30、最も好ましくは8~14アミノ酸の全長を有する。
【0327】
本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0328】
本発明は、ペプチドが、配列番号1~配列番号93に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0329】
本発明は、ペプチドが(化学的に)修飾された、および/または非ペプチド結合を含む、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0330】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、ペプチドは、融合タンパク質の一部であり、特にHLA-DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸を含んでなり、またはペプチドは、例えば樹状細胞特異的抗体などの抗体に(またその中に)融合する。
【0331】
本発明の別の実施形態は、非天然ペプチドに関し、前記ペプチドは、配列番号1~配列番号48に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になり、薬学的に許容可能な塩として合成的に生産される(例えば、合成される)。ペプチドを合成的に生産する方法は、当該技術分野で周知である。生体内で生成されるペプチドは塩でないため、本発明によるペプチドの塩は、ペプチドの生体内での状態と実質的に異なる。ペプチドの非天然塩形態は、特に、ペプチドを含んでなる医薬組成物、例えば、本明細書で開示されるペプチドワクチンなどの文脈で、ペプチドの溶解性を媒介する。治療される対象にペプチドを効率的に提供するためには、ペプチドの十分で少なくとも実質的な溶解性が必要である。好ましくは、塩はペプチドの薬学的に許容可能な塩である。本発明によるこれらの塩としては、ア二オンとしてのPO 3-、SO 2-、CHCOO、Cl、Br、NO3-、ClO4-、I、SCN、およびカチオンとしてのNH4+、Rb、K、Na、Cs、Li、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Cu2+およびBa2+を含んでなるホフマイスター系列の塩類などのアルカリ塩およびアルカリ土類塩類が挙げられる。特に、塩は、(NHPO、(NHHPO、(NH)HPO、(NHSO、NHCHCOO、NHCl、NHBr、NHNO、NHCIO、NHI、NHSCN、RbPO、RbHPO、RbHPO、RbSO、RbCHCOO、RbCl、RbBr、RbNO、RbCIO、RbI、RbSCN、KPO、KHPO、KHPO、KSO、KCHCOO、KCl、KBr、KNO、KClO、KI、KSCN、NaPO、NaHPO、NaHPO、NaSO、NaCHCOO、NaCl、NaBr、NaNO、NaCIO、NaI、NaSCN、ZnCICsPO、CsHPO、CsHPO、CsSO、CsCHCOO、CsCl、CsBr、CsNO、CsCIO、CsI、CsSCN、LiPO、LiHPO、LiHPO、LiSO、LiCHCOO、LiCl、LiBr、LiNO、LiClO、LiI、LiSCN、CuSO、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgSO、Mg(CHCOO)、MgCl、MgBr、Mg(NO、Mg(ClO、MgI、Mg(SCN)、MnCl、Ca(PO),、CaHPO、Ca(HPO、CaSO、Ca(CHCOO)、CaCl、CaBr、Ca(NO、Ca(ClO、CaI、Ca(SCN)、Ba(PO、BaHPO、Ba(HPO、BaSO、Ba(CHCOO)、BaCl、BaBr、Ba(NO、Ba(ClO、BaI、およびBa(SCN)から選択される。特に好ましいのは、例えば、塩化物塩または酢酸塩(トリフルオロ酢酸塩)などのNH酢酸塩、MgCl、KHPO、NaSO、KCl、NaCl、およびCaClである。
【0332】
一般に、ペプチドおよび変異体(少なくともアミノ酸残基間にペプチド結合を含有するもの)は、Lukas et al.(Lukas et al.,1981)によって、そしてその中で引用される参考文献によって開示される、Fmoc-ポリアミド様式の固相ペプチド合成によって合成されてもよい。一時的なN-アミノ基保護は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によってもたらされる。この高度に塩基不安定性の保護基の反復性切断は、N,N-ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンを使用して実施される。側鎖官能基は、それらのブチルエーテル(セリン、スレオニン、およびチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸およびアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リジンおよびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、および4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護されてもよい。グルタミンまたはアスパラギンがC末端残基である場合、側鎖アミド官能基を保護するために、4,4’-ジメトキシベンズヒドリル基が活用される。固相担体は、ジメチルアクリルアミド(主鎖単量体)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)、およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(機能化因子)の3つの単量体から構成される、ポリジメチル-アクリルアミドポリマーをベースとする。使用されるペプチド-対-樹脂の切断可能な結合因子は、酸不安定性4-ヒドロキシメチル-フェノキシ酢酸誘導体である。逆転N,N-ジシクロヘキシル-カルボジイミド/1ヒドロキシベンゾトリアゾール媒介共役手順を使用して付加されるアスパラギンおよびグルタミンを除いて、全てのアミノ酸誘導体は、それらのあらかじめ形成された対称的な無水物誘導体として付加される。全ての共役および脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイサチン(isotin)試験手順を使用してモニターされる。合成完了時に、ペプチドは樹脂担体から切断され、同時に、50%スカベンジャー混合物を含有する95%トリフルオロ酢酸での処理によって、側鎖保護基が除去される。一般に使用されるスカベンジャーとしては、エタンジチオール、フェノール、アニソール、および水が挙げられ、正確な選択は、合成されるペプチドの構成アミノ酸に左右される。ペプチドの合成のための固相法と溶液相法の組み合わせもまた、可能である(例えば、(Bruckdorfer et al.,2004)、およびその中で引用される参考文献を参照されたい)。
【0333】
トリフルオロ酢酸は、真空蒸発によって除去され、引き続くジエチルエーテルを用いた磨砕は、粗製ペプチドをもたらす。存在する任意のスカベンジャーは、単純な抽出手順によって除去され、それは水相の凍結乾燥時に、スカベンジャーを含まない粗製ペプチドを与える。ペプチド合成のための試薬は、通常、例えば、Calbiochem-Novabiochem(Nottingham,UK)から入手できる。
【0334】
精製は、再結晶化、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(通常は)例えばアセトニトリル/水勾配分離を使用した逆相高速液体クロマトグラフィーなどの技術の任意の1つまたは組み合わせによって、実施されてもよい。
【0335】
本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関するが、ただしペプチドは完全(完全長)ヒトタンパク質でない。
【0336】
本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。
【0337】
本発明は、本発明による核酸を発現できる、発現ベクターにさらに関する。
【0338】
本発明は、医療において、特に食道がんの治療において使用するための本発明によるペプチド、本発明による核酸または本発明による発現ベクターにさらに関する。
【0339】
本発明は、本発明による核酸または本発明による発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。
【0340】
本発明は、抗原提示細胞、好ましくは樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
【0341】
本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。
【0342】
本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはII MHC分子上に、抗原が負荷される、本発明による方法にさらに関する。
【0343】
本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1~配列番号93または前記異アミノ酸配列を含有する、前記ペプチドを発現できる、発現ベクターを含んでなる、本発明による方法にさらに関する。
【0344】
本発明は、本発明による方法によって製造される活性化T細胞にさらに関し、前記T細胞は、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
【0345】
本発明は、本発明によるT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
【0346】
本発明は、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、または本発明による活性化細胞傷害性Tリンパ球の、薬剤としての、または薬剤の製造における、使用にさらに関する。本発明は、薬剤ががんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。
【0347】
本発明は、薬剤がワクチンである、本発明による使用にさらに関する。本発明は、薬剤ががんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。
【0348】
本発明は、発明による使用にさらに関し、前記がん細胞は、食道がん細胞であり、または肺がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、子宮がん、肝細胞がん、腎細胞がん、脳がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、前立腺がん、および白血病などのその他の固形または血液学的腫瘍細胞である。
【0349】
本発明は、食道がんの診断および/または予後診断において使用され得る、本明細書で「標的」と称される、本発明によるペプチドベースの特定の標識タンパク質およびバイオマーカーにさらに関する。本発明はまた、がん治療のためのこれらの新規標的の使用に関する。
【0350】
「抗体(単数)」または「抗体(複数)」という用語は、本明細書では広義に使用され、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の双方を含む。無処理または「完全」免疫グロブリン分子に加えて、「抗体」という用語には、本発明による所望の特性(例えば、職ふぉうがんマーカー(ポリ)ペプチドの特異的結合、がんマーカー遺伝子を増大レベルで発現する食道がん細胞への毒素の送達、および/または食道がんマーカーポリペプチドの活性阻害)のいずれかを示しさえすれば、フラグメント(例えば、CDRs、Fv、Fab、およびFcフラグメント)、またはこれらの免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子ヒト化バージョンのポリマーもまた含まれる。
【0351】
可能な場合は常に、本発明の抗体は、商業的供給元から購入されてもよい。また本発明の抗体は、周知の方法を使用して生成されてもよい。当業者は、本発明の抗体を生成するために、完全長食道がんマーカーポリペプチドまたはそのフラグメントのどちらを使用してもよいことを理解するであろう。本発明の抗体を製造するために使用されるポリペプチドは、天然原料から部分的にまたは完全に精製されてもよく、または組換えDNA技術を使用して製造されてもよい。
【0352】
例えば、配列番号1~配列番号93ポリペプチドに記載のペプチドなどの本発明によるペプチドをコードするcDNA;またはその変異体またはフラグメントが、原核細胞(例えば、細菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳類細胞)で発現され得て、その後、組換えタンパク質が精製されて、本発明による抗体を生成するために使用される、食道がんマーカーポリペプチドに特異的に結合する、モノクローナルまたはポリクローナル抗体製剤を生成するために使用され得る。
【0353】
当業者は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の2つ以上の異なるセットの生成が、その目的の用途(例えば、ELISA、免疫組織化学的検査、生体内イメージング、免疫毒素療法)に必要な特異性および親和性を有する抗体を得る可能性を最大化することを理解するであろう。抗体は、それに対して抗体が使用される目的に従って、既知の方法によりそれらの所望の活性について試験される(例えば、ELISA、免疫組織化学的検査、免疫療法など;抗体の生成および試験のさらなるガイダンスについては、例えば、Greenfield,2014(Greenfield,2014)を参照されたい))。例えば、抗体は、ELISAアッセイ、ウエスタンブロット、ホルマリン固定がんまたは冷凍組織切片の免疫組織化学染色で試験されてもよい。それらの最初の生体外特性解析後、治療または生体内診断用途を意図した抗体が、既知の臨床試験法によって試験される。
【0354】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書の用法では、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体を指し;すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在してもよい可能な自然発生突然変異以外は同一である。本明細書では、「モノクローナル抗体」は、それらが所望の拮抗活性を示しさえすれば、その中で重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来しまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である一方、鎖の残部は、別の種に由来しまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である、「キメラ」抗体、ならびにこのような抗体のフラグメントを特に含む(その内容全体が本明細書に援用される、米国特許第4,816,567号明細書)。
【0355】
本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を使用して調製されてもよい。ハイブリドーマ法においては、マウスまたはその他の適切な宿主動物が免疫剤によって典型的に免疫化されて、免疫剤と特異的に結合する抗体を産生するまたは産生できるリンパ球を生じさせる。代案としては、リンパ球は、生体外で免疫化されてもよい。
【0356】
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号明細書に記載されるものなどの組換えDNA法によって製造されるものであってもよい。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して、容易に単離および配列決定され得る(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合できる、オリゴヌクレオチドプローブの使用によって)。
【0357】
インビトロ法もまた、一価の抗体を調製するのに適する。抗体フラグメント、特にFabフラグメントを作製するための抗体の消化は、当該技術分野で既知の通例の技術を使用して達成され得る。例えば、消化は、パパインを使用して実施され得る。パパイン消化の例は、国際公開第94/29348号パンフレットおよび米国特許第4,342,566号明細書に記載される。抗体のパパイン消化は、それぞれ単一抗原結合部位を有するFabフラグメントと称される2つの同一の抗原結合フラグメントと、残りのFcフラグメントとを典型的に生じる。ペプシン処理は、F(ab’)2フラグメントおよびpFc’フ
ラグメントをもたらす。
【0358】
抗体フラグメントは、その他の配列に付着するかどうかに関わりなく、フラグメントの活性が非修飾抗体または抗体フラグメントと比較して顕著に変化せずまたは損なわれないという条件で、特定領域または特定アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、またはその他の選択された修飾もまた含み得る。これらの修飾は、ジスルフィド結合できるアミノ酸の除去/付加、そのバイオ寿命増大、その分泌特性改変などのいくつかの追加的な特性を提供し得る。いずれにしても、抗体フラグメントは、結合活性、結合領域における結合調節などの生理活性特性を有しなくてはならない。抗体の機能性または活性領域は、タンパク質の特定領域の変異誘発と、それに続く発現と、発現したポリペプチドの試験によって同定されてもよい。このような方法は、当該技術分野の熟練した実務家には容易に分かり、抗体フラグメントをエンコードする核酸の部位特異的変異誘発を含み得る。
【0359】
本発明の抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体をさらに含んでなってもよい。非ヒト(例えばマウス)抗体などのヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(抗体のFv、Fab、Fab’またはその他の抗原結合部分配列など)である。ヒト化抗体としては、その中でレシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト生物種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が挙げられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体または移入CDRまたはフレームワーク配列のどちらにも見いだされない、残基を含んでなってもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび典型的に2つの可変領域の実質的に全てを含んでなり、その中では、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体は、至適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部もまた含んでなる。
【0360】
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該技術分野で周知である。通常、ヒト化抗体は、非ヒト起源から導入された、1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基と称され、それは典型的に「移入」可変領域から得られる。ヒト化は、齧歯類CDR(複数)またはCDR(単数)配列を対応するヒト抗体配列によって置換することで、基本的に実施され得る。したがって、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号明細書)であり、その中では、実質的に非損傷ヒト可変領域未満が、非ヒト生物種からの対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は典型的にヒト抗体であり、その中ではいくつかのCDR残基と、おそらくはいくつかのFR残基とが、齧歯類抗体中の類似部位からの残基によって置換される。
【0361】
免疫化に際して、内因性免疫グロブリン生成不在下で、ヒト抗体の完全レパートリーを産生できる遺伝子組換え動物(例えばマウス)を用い得る。例えば、キメラおよび生殖細胞系変異マウスにおける、抗体重鎖連結領域遺伝子のホモ接合型欠失が、内因性抗体生成の完全阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖細胞系変異マウスにおけるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの転写は、抗原チャレンジに際してヒト抗体の産生をもたらす。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー中でも産生され得る。
【0362】
本発明の抗体は、好ましくは薬学的に許容できる担体中で、対象に投与される。典型的に、製剤中で適当量の薬理的に許容可能な塩が使用されて、製剤を等張にする。薬理的に許容可能な担体の例としては、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液が挙げられる。溶液のpHは、好ましくは約5~約8、より好ましくは約7~約7.5である。さらなる担体としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックス徐放性製剤が挙げられ、そのマトリックスは、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子などの造形品の形態である。当業者には、例えば、投与される抗体の投与経路と濃度次第で、特定の担体がより好ましくあってもよいことが明らかであろう。
【0363】
抗体は、注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内)によって、またはその有効形態での血流への送達を確実にする輸液などのその他の方法によって、対象、患者、または細胞に投与され得る。抗体はまた、腫瘍内または腫瘍周囲経路によって投与されて、局所性ならびに全身性の治療効果を発揮してもよい。局所注射または静脈注射が好ましい。
【0364】
抗体を投与するための有効投与量およびスケジュールは、経験的に判定されてもよく、このような測定の実施は、当該技術分野の技術範囲内である。当業者は、投与しなくてはならない抗体用量が、例えば、抗体を投与される対象、投与経路、使用される特定の抗体型、および投与されるその他の薬剤次第で変動することを理解するであろう。単独使用される抗体の典型的な1日量は、上述の要素次第で、1日当たり約1(μg/kg~最大100mg/kg体重またはそれ以上の範囲に及ぶかもしれない。好ましくは食道がんを治療するための抗体投与に続いて、治療用抗体の効力が、熟練した実務家に良く知られている様々な方法で評価され得る。例えば、標準腫瘍イメージング技術を使用して、治療を受ける対象におけるがんの大きさ、数、および/または分布がモニターされてもよい。抗体投与不在下で起こるであろう疾患経過と比較して、腫瘍成長を停止させ、腫瘍収縮をもたらし、および/または新規腫瘍の発生を予防する、治療的に投与された抗体は、がん治療のための有効な抗体である。
【0365】
特異的ペプチド-MHC複合体を認識する可溶性T細胞受容体(sTCR)を製造する方法を提供することもまた、本発明のさらなる態様である。このような可溶性T細胞受容体は、特異的T細胞クローンから生成され得て、それらの親和性は、相補性決定領域を標的とする変異誘発によって増加させ得る。T細胞受容体の選択目的で、ファージディスプレイが利用され得る(米国特許第2010/0113300号明細書、(Liddy et al.,2012))。ファージディスプレイ中に、そして薬剤として実用する際に、T細胞受容体を安定化させる目的で、例えば、非天然ジスルフィド結合、その他の共有結合(一本鎖T細胞受容体)、または二量体化ドメインによって、αおよびβ鎖を連結させ得る(Boulter et al.,2003;Card et al.,2004;Willcox et al.,1999)。T細胞受容体は、標的細胞上で特定機能を発揮させるために、毒素、薬剤、サイトカイン(例えば、米国特許第2013/0115191号明細書を参照されたい)、抗CD3ドメインのようなエフェクター細胞動員ドメインなどに、連結させ得る。さらにそれは、養子免疫伝達のために使用されるT細胞において発現され得た。さらなる情報は、国際公開第2004/033685A1号パンフレットおよび国際公開第2004/074322A1号パンフレットにある。TCRの組み合わせは、国際公開第2012/056407A1号パンフレットに記載される。さらなる製造法は、国際公開第2013/057586A1号パンフレットで開示される。
【0366】
さらに本発明のペプチドおよび/またはTCRまたは抗体またはその他の結合分子を使用して、病理学者の生検サンプルに基づくがん診断を確認し得る。
【0367】
抗体またはTCRはまた、生体内診断アッセイのために使用されてもよい。通常、抗体は、免疫シンチグラフィー(immunoscintiography)を使用して腫瘍が位置確認され得るように、放射性ヌクレオチド(111In、99Tc、14C、131I、3H、32Pまたは35Sなど)で標識される。一実施形態では、抗体またはそれらのフラグメントは、上述のタンパク質からなる群から選択されるタンパク質の2つ以上の標的の細胞外ドメインに結合し、親和性(Kd)は1×10μM未満である。
【0368】
診断用の抗体は、様々なイメージング法による検出に適するプローブで標識されてもよい。プローブの検出方法としては、蛍光、光学、共焦点および電子顕微鏡検査;磁気共鳴画像法および分光法;蛍光透視法、コンピュータ断層撮影および陽電子放射型断層撮影法が挙げられるが、これに限定されるものではない。適切なプローブとしては、フルオレセイン、ローダミン、エオジンおよびその他のフルオロフォア、放射性同位体、金、ガドリニウムおよびその他のランタニド、常磁性鉄、フッ素18およびその他の陽電子放出放射性核種が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、プローブは二官能価または多官能価であってもよく、列挙される方法の2つ以上によって検出可能であってもよい。これらの抗体は、前記プローブで直接または間接的に標識されてもよい。特に十分に技術分野で承認されている、プローブの抗体への付着としては、プローブの共有結合、プローブの抗体への組み込み、およびプローブ結合のためのキレート化合物の共有結合が挙げられる。免疫組織化学的検査では、疾患組織サンプルは、新鮮または冷凍であってもよく、またはパラフィン包埋されてホルマリンなどの保存料で固定されてもよい。サンプルを含有する固定または包埋切片は、標識一次抗体および二次抗体と接触されて、抗体を使用して原位置タンパク質発現が検出される。
【0369】
本発明の別の態様は、活性化T細胞を製造するインビトロ法を含み、方法は、生体外T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトMHC分子に、T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり接触させるステップを含んでなり、抗原は本発明によるペプチドである。好ましくは、抗原提示細胞と共に、十分な量の抗原が使用される。
【0370】
好ましくは、哺乳類細胞は、TAPペプチド輸送体のレベルまたは機能が皆無でありまたは低下している。TAPペプチド輸送体が欠如している適切な細胞としては、T2、RMA-S、およびショウジョウバエ細胞が挙げられる。TAPは、抗原プロセシングに関連している輸送体である。
【0371】
ヒトペプチド負荷欠乏細胞系T2は、カタログ番号CRL1992の下に、米国微生物系統保存機関、12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852,USAから入手でき;ショウジョウバエ細胞株Schneider株2は、カタログ番号CRL19863の下にATCCから入手でき;マウスRMA-S細胞株はLjunggren et al.(Ljunggren and Karre,1985)に記載される。
【0372】
好ましくは、移入前に、宿主細胞は、MHCクラスI分子を実質的に発現しない。刺激因子細胞が、B7.1、B7.2、ICAM-1、およびLFA3のいずれかなどのT細胞のための共刺激シグナルを提供するのに重要な分子を発現することもまた好ましい。多数のMHCクラスI分子および共刺激因子分子の核酸配列は、GenBankおよびEMBLデータベースから公的に入手可能である。
【0373】
MHCクラスIエピトープが抗原として使用される場合、T細胞はCD8陽性T細胞である。
【0374】
抗原提示細胞が、このようなエピトープを発現するために形質移入される場合、好ましくは、細胞は、配列番号1~配列番号93、またはその変異アミノ酸配列を含有するペプチドを発現する能力がある発現ベクターを含んでなる。
【0375】
生体外でT細胞を製造するために、その他のいくつかの方法が使用されてもよい。例えば、自己由来腫瘍浸潤性リンパ球が、CTLを生成するために使用され得る。Plebanski et al.(Plebanski et al.,1995)は、T細胞の調製において、自己由来末梢血リンパ球(PLB)を利用した。さらに、樹状細胞をペプチドまたはポリペプチドでパルス処理する、または組換えウイルスで感染させることによる、自己由来T細胞の製造も可能である。B細胞もまた、自己由来T細胞の製造において使用され得る。さらに、ペプチドまたはポリペプチドでパルス処理された、または組換えウイルスで感染されたマクロファージが、自己CTLの調製において使用されてもよい。S.Walter et al.(Walter et al.,2003)は、人工抗原提示細胞(aAPC)を使用したT細胞の生体外プライミングを記載し、それはまた、選択されたペプチドに対するT細胞を製造するための適切な方法でもある。本発明では、ビオチン:ストレプトアビジン生化学によって、あらかじめ形成されたMHC:ペプチド複合体を表面ポリスチレン粒子(ミクロビーズ)に共役することで、aAPCが生成された。このシステムは、aAPC上のMHC密度の正確な調節を可能にし、それは、血液サンプルから高効率で、高または低結合活性の抗原特異的T細胞応答を選択的に引き起こすことを可能にする。MHC:ペプチド複合体の他に、aAPCは、それらの表面に共役する、抗CD28抗体のような共刺激活性を有するその他のタンパク質を保有すべきである。さらに、このようなaAPCベースのシステムは、例えばサイトカイン様インターロイキン12などの適切な可溶性因子の付加を要することが多い。
【0376】
同種異系細胞はまた、T細胞の調製において使用されてもよく、方法は、参照により本明細書に援用される、国際公開第97/26328号パンフレットで詳述される。例えば、ショウジョウバエ細胞およびT2細胞に加えて、その他の細胞を使用して、CHO細胞、バキュロウイルス感染昆虫細胞、細菌、酵母、ワクシニア感染標的細胞などの抗原を提示してもよい。さらに植物ウイルスが使用されてもよい(例えば、外来性ペプチド提示のための高収率システムとしてのササゲモザイクウイルス開発を記載するPorta et al.(Porta et al.,1994を参照されたい)。
【0377】
本発明のペプチドに向けられた活性化T細胞は、治療法において有用である。したがって、本発明のさらなる態様は、前述の本発明の方法によって入手可能な活性化T細胞を提供する。
【0378】
上記方法によって製造される活性化T細胞は、配列番号1~配列番号93のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
【0379】
好ましくは、T細胞は、そのTCRを通じた、HLA/ペプチド複合体(例えば結合)との相互作用によって、細胞を認識する。T細胞は、その標的細胞が、本発明のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する患者において、標的細胞を死滅させる方法で有用であり、患者には有効数の活性化T細胞が投与される。患者に投与されるT細胞は、患者に由来して、上述のように活性化されてもよい(すなわち、それらは自己T細胞である)。代案としては、T細胞は、患者でなく別の個人に由来する。もちろん、個人が健常人であれば、それが好ましい。「健常人」によって、本発明者らは、個人が概して健康良好であり、好ましくは有能な免疫系を有して、より好ましくは容易に検査され検出され得るいかなる疾患にも罹患していないことを意味する。
【0380】
生体内で、本発明によるCD8陽性T細胞の標的細胞は、(時にMHCクラスIIを発現する)腫瘍細胞であり得て、および/または(時にMHCクラスIIもまた発現する;(Dengjel et al.,2006))腫瘍(腫瘍細胞)周囲の間質細胞であり得る。
【0381】
本発明のT細胞は、治療用組成物の活性成分として使用されてもよい。したがって、本発明は、その標的細胞が、本発明のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する患者において、標的細胞を死滅させる方法もまた提供し、方法は、上で定義されるようなT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる。
【0382】
「異常に発現される」によって、本発明者らは、正常な(健康な)組織における発現レベルと比較して、ポリペプチドが過剰発現されること、または腫瘍がそれに由来する組織においては遺伝子がサイレントであるが、腫瘍においてはそれが発現されることもまた意味する。「過剰発現」によって、本発明者らは、ポリペプチドが、正常組織に存在するレベルの少なくとも1.2倍のレベルで;好ましくは正常組織に存在するレベルの少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍または10倍のレベルで存在することを意味する。
【0383】
T細胞は、例えば上で記載されるものなどの当該技術分野で公知の方法によって得られてもよい。
【0384】
T細胞のこのいわゆる養子免疫伝達のためのプロトコルは、当該技術分野で周知である。概説は、Gattioni et al.およびMorgan et al.(Gattinoni et al.,2006;Morgan et al.,2006)にある。
【0385】
本発明の別の態様は、その核酸がクローン化されて、好ましくはT細胞である宿主細胞に導入されるT細胞受容体を生成するための、MHCと複合体形成するペプチドの使用を含む。次に、この遺伝子操作T細胞は、がん治療のために患者に移入され得る。
【0386】
本発明の任意の分子、すなわちペプチド、核酸、抗体、発現ベクター、細胞、活性化T細胞、T細胞受容体またはそれをエンコードする核酸は、免疫応答を逃れた細胞によって特徴付けられる障害の治療に有用である。したがって本発明の任意の分子は、薬剤として、または薬剤の製造において使用されてもよい。分子は、単独で、または本発明のその他
の分子または既知の分子との組み合わせで、使用されてもよい。
【0387】
本発明は、
(a)溶液中のまたは凍結乾燥形態の上述の医薬組成物を含有する容器;
(b)任意選択的に、凍結乾燥製剤のための希釈剤または再構成溶液を含有する第2の容器;および
(c)任意選択的に、(i)溶液の使用、または(ii)凍結乾燥製剤の再構成および/または使用のための取扱説明書
を含んでなるキットをさらに目的とする。
【0388】
キットは、(iii)緩衝液、(iv)希釈剤、(V)濾過、(vi)針、または(V)シリンジの1つまたは複数をさらに含んでなってもよい。容器は、好ましくは、ボトル、バイアル、シリンジまたは試験管であり;それは、多回使用容器であってもよい。医薬組成物は、好ましくは凍結乾燥される。
【0389】
本発明のキットは、好ましくは、適切な容器内の本発明の凍結乾燥製剤と、その再構成および/または使用のための取扱説明書とを含んでなる。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル(例えば二重チャンバーバイアル)、シリンジ(二重チャンバーシリンジなど)、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成されてもよい。好ましくは、キットおよび/または容器は、容器上の、または容器に付随する、取扱説明を含み、それは再構成および/または使用上の指示を示す。例えば、ラベルは、凍結乾燥製剤が、上述されるようなペプチド濃度に再構成されることを表示してもよい。ラベルは、製剤が皮下投与に有用であり、または皮下投与用であることをさらに表示してもよい。
【0390】
製剤を収容する容器は、多回使用バイアルであってもよく、それは再構成製剤の反復投与(例えば2~6回の投与)を可能にする。キットは、適切な希釈剤(例えば、炭酸水素ナトリウム溶液)を含んでなる、第2の容器をさらに含んでなってもよい。
【0391】
希釈剤と凍結乾燥製剤の混合時に、再構成製剤中の最終ペプチド濃度は、好ましくは少なくとも0.15mg/mL/ペプチド(=75μg)であり、好ましくは3mg/mL/ペプチド(=1500μg)以下である。キットは、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および取扱説明が掲載されるパッケージインサートをはじめとする商業的および使用者観点から望ましい、その他の物品をさらに含んでもよい。
【0392】
本発明のキットは、その他の構成要素(例えば、その他の化合物またはこれらのその他の化合物の医薬組成物)が添加されたまたは添加されない、本発明による医薬組成物製剤を含有する単回容器を有してもよく、または各構成要素のための別個の容器を有してもよい。
【0393】
好ましくは、本発明のキットは、第2の化合物(アジュバント(例えばGM-CSF)、化学療法剤、天然物、ホルモンまたは拮抗薬、抗血管新生因子または阻害剤、アポトーシス誘導剤またはキレート剤など)またはその医薬組成物の同時投与と合わせて使用するためにパッケージされた、本発明の製剤を含む。キットの構成要素は、あらかじめ混合されてもよく、または各構成要素は、患者への投与前に別個の異なる容器内にあってもよい。キットの構成要素は、1つまたは複数の液体溶液、好ましくは水溶液、より好ましくは無菌水溶液中で、提供されてもよい。またキットの構成要素は、固体として提供されてもよく、それは、好ましくは別の異なる容器内に提供される、適切な溶媒の添加によって液体に変換されてもよい。
【0394】
治療用キットの容器は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または固体または液体を封入するその他のあらゆる手段であってもよい。通常,2つ以上の構成要素がある場合、キットは、第2のバイアルまたはその他の容器を含有して、別々の投薬を可能にする。キットは、薬学的に許容可能な液体のための別の容器もまた、含有してもよい。好ましくは、治療用キットは、装置(例えば、1本または複数本の針、シリンジ、点眼器、ピペットなど)を含有して、本キットの構成要素である本発明の作用物質の投与を可能にする。
【0395】
本製剤は、経口(腸内)、経鼻、眼、皮下、皮内、筋肉内、静脈内または経皮などの任意の許容できる手段によるペプチド投与に適するものである。好ましくは、投与はs.c.であり、最も好ましくはi.d.投与であり、輸液ポンプによってもよい。
【0396】
本発明のペプチドは食道がんから単離されるので、本発明の薬剤は、好ましくは食道がんを治療するために使用される。
【0397】
本発明は、予備スクリーニングTUMAPの貯蔵庫から選択される少なくとも1つのペプチドを含んでなる、医薬組成物を製造するステップを含んでなる、個々の患者のための個別化医薬品を製造する方法にさらに関し、医薬組成物中で使用される少なくとも1つのペプチドは、個々の患者における適切さについて選択される。一実施形態では、医薬組成物はワクチンである。方法はまた、TCR単離などの下流用途、または可溶性抗体、およびその他の治療選択肢のためのT細胞クローンを製造するためにも適応され得る。
【0398】
「個別化医薬品」は、積極的個別化がんワクチンおよび自己由来患者組織を使用した養子細胞療法をはじめとするこのような個々の患者の治療のためにのみ使用される、一個人の患者のために特に調整された治療法を意味するものとする。
【0399】
本明細書の用法では、「貯蔵庫」という用語は、特定の腫瘍型における免疫原性および/または過剰提示について予備スクリーニングされている、一群のまたは一組のペプチドを指すものとする。「貯蔵庫」という用語は、ワクチンに含まれる特定のペプチドが、予備製造されて物理的設備内で貯蔵されることを暗示することは意図されないが、その可能性も検討される。ペプチドは、製造される各個別化ワクチンのために新規に製造されてもよく、または予備製造されて貯蔵されてもよいことが、明示的に検討される。貯蔵庫(例えば、データベースの形態)は、多様なHLA-AHLA-BおよびHLA-C対立遺伝子を有する食道がん患者の腫瘍組織において高度に過剰発現される、腫瘍関連ペプチドから構成される。それは、MHCクラスIおよびMHCクラスIIペプチドまたは伸長MHCクラスIペプチドを含有してもよい。いくつかの食道がん組織から採取された腫瘍関連ペプチドに加えて、貯蔵庫は、HLA-A*02およびHLA-A*24標識ペプチドを含有してもよい。これらのペプチドは、TUMAPによって誘導されるT細胞免疫の規模を定量的に比較できるようにし、したがって抗腫瘍応答を引き起こすワクチンの能力について、重要な結論が導かれるようにする。第2に、それらは、患者において、「自己」抗原に由来するTUMAPに対するいかなるワクチン誘導T細胞応答も観察されない症例において、「非自己」抗原に由来する重要な陽性対照ペプチドとして機能する。第3に、それは、患者の免疫能力状態に関する結論が導かれるようにしてもよい。
【0400】
貯蔵庫のためのTUMAPは、遺伝子発現解析、質量分析、およびT細胞免疫学を組み合わせた、統合ゲノム機能解析アプローチ(XPresident(登録商標))を使用して同定される。アプローチは、高い割合の腫瘍上に真に存在するが、正常組織上では発現されず、または最小限にのみ発現されるTUMAPだけが、さらなる分析のために選択されることを保証する。最初のペプチド選択のために、患者に由来する食道がんサンプルおよび健常ドナーに由来する血液を段階的アプローチで分析した:
1.悪性物質からのHLAリガンドを質量分析法によって同定した
2.ゲノム規模メッセンジャーリボ核酸(mRNA)発現解析を使用して、一連の正常器官および組織と比較して悪性組織(食道がん)中の遺伝子過剰発現を同定した
3.同定されたHLAリガンドを遺伝子発現データと比較した。好ましくは、ステップ2で検出されたような選択的に発現されまたは過剰発現される遺伝子によってコードされる、腫瘍組織上で過剰提示されまたは選択的に提示されるペプチドが、多重ペプチドワクチンのための適切なTUMAP候補と見なされた。
4.同定されたペプチドのTUMAPとしての妥当性を支持する追加的な証拠を同定するために、文献調査を実施した
5.mRNAレベルでの過剰発現の関連性をステップ3からの選択されたTUMAPの腫瘍組織上における再検出と、健常組織における検出の欠如(またはまれな)検出によって確認した。
6.選択されたペプチドによる生体内T細胞応答の誘導が可能かどうかを評価するために、健常ドナーならびに食道がん患者からのヒトT細胞を使用して、生体外免疫原性アッセイを実施した。
【0401】
一態様では、貯蔵庫に含める前に、ペプチドが免疫原性について予備スクリーニングされる。制限を意図しない一例として、貯蔵庫に包含されるペプチドの免疫原性は、ペプチド/MHC複合体および抗CD28抗体が負荷された人工抗原提示細胞による、健常ドナーからのCD8+T細胞の反復刺激を通じた、生体外T細胞プライミングを含んでなる方法によって判定される。
【0402】
この方法は、稀ながんに、そして稀な発現プロファイルを有する患者にとって、好ましい。一定組成を有する多重ペプチド混合物とは対照的に、現在開発されている貯蔵庫は、腫瘍における抗原の実際の発現とワクチンとの顕著により高いマッチングを可能にする。多標的アプローチでは、各患者のために、選択された単一のまたは組み合わされた数種の「既製」ペプチドが利用される。理論上は、例えば50個の抗原性ペプチドのライブラリーからの5個の異なる抗原性ペプチドの選択に基づくアプローチは、それだけでおよそ1700万個の可能な医薬品(DP)組成物をもたらす。
【0403】
一態様では、ペプチドは、本明細書に記載される、または以下のような本発明による方法に基づく、個々の患者に対するそれらの適切さに基づいて、ワクチンへの包含のために選択される。
【0404】
HLA表現型、トランスクリプトミクスおよびペプチドミクスデータが、患者の腫瘍材料および血液サンプルから収集されて、「貯蔵庫」および患者に特有の(すなわち変異)TUMAPを含有する、各患者に対して最も適切なペプチドが同定される。患者の腫瘍において選択的にまたは過剰発現されて、可能であれば、患者の個々のPBMCと共に試験すると、強力な生体外免疫原性を示すペプチドが選択される。
【0405】
好ましくは、ワクチンに含まれるペプチドは、(a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;(b)(a)で同定されたペプチドを上述のペプチド貯蔵庫と比較するステップと;(c)少なくとも1つのペプチドを患者において同定された腫瘍関連ペプチドに関連がある貯蔵庫(データベース)から選択するステップとを含んでなる方法によって同定される。例えば、腫瘍サンプルによって提示されるTUMAPは、(a1)前記腫瘍サンプルからの発現データを前記腫瘍サンプルの組織型に対応する正常組織サンプルからの発現データと比較して、前記腫瘍サンプルにおいて過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質を同定するステップと;(a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合しているMHCリガンドの配列と相関させて、腫瘍によって過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとによって同定される。好ましくは、MHCリガンドの配列は、腫瘍サンプルから単離されたMHC分子から結合ペプチドを溶出させて、溶出したリガンドを配列決定することで同定される。好ましくは、腫瘍サンプルおよび正常組織は、同一患者から入手される。
【0406】
貯蔵庫(データベース)モデルを使用してペプチドを選択するのに加えて、またはその代案として、TUMAPを患者において新規に同定し、次に、ワクチンに含めてもよい。一実施例として、(a1)前記腫瘍サンプルからの発現データを前記腫瘍サンプルの組織型に対応する正常組織サンプルからの発現データと比較して、前記腫瘍サンプルにおいて過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質を同定するステップと;(a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合しているMHCリガンドの配列と相関させて、腫瘍によって過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとによって、候補TUMAPが患者において同定されてもよい。別の実施例として、個々の患者からの正常な対応組織と比較して、腫瘍サンプルに特有の変異を含有するタンパク質が同定されてもよく、特異的に変異を標的とするTUMAPが同定され得る。例えば、腫瘍のゲノム、および対応する正常組織のゲノムは、全ゲノム配列決定によって配列決定され得る。遺伝子のタンパク質コード領域における非同義の変異を発見するために、ゲノムDNAおよびRNAが腫瘍組織から抽出され、正常な非変異ゲノム生殖細胞系DNAが末梢血単核細胞(PBMC)から抽出される。適用されたNGSアプローチは、タンパク質コード領域の再配列決定(エクソーム再配列決定)に限定される。この目的で、供給業者が提供する標的富化キットを使用して、ヒトサンプルからのエクソンDNAが捕捉され、例えばHiSeq2000(Illumina)による配列決定がそれに続く。それに加えて、遺伝子発現の直接定量化と、変異遺伝子が患者の腫瘍において発現されることの妥当性評価とのために、腫瘍mRNAが配列決定される。結果として得られる数百万の配列読み取りは、ソフトウェアアルゴリズムを通じて処理される。出力一覧は、変異および遺伝子発現を含有する。PBMC由来生殖細胞系の多様性と比較することで腫瘍特異的体細胞変異が判定され、優先順位がつけられる。次に、新規に同定されたペプチドは、貯蔵庫について上述した免疫原性について試験され得て、適切な免疫原性を保持する候補TUMAPが、ワクチンへの包含のために選択される。
【0407】
例示的一実施形態では、ワクチンに包含されるペプチドは、(a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を上述の方法(方法)によって同定するステップと;(b)a)で同定されたペプチドを対応する正常組織との比較で腫瘍における免疫原性および過剰提示について予備選別されたペプチドの貯蔵庫と比較するステップと;(c)少なくとも1つのペプチドを患者において同定された腫瘍関連ペプチドに関連がある貯蔵庫から選択するステップと;(d)任意選択的に、(a)で新規に同定された少なくとも1つのペプチドを選択して、その免疫原性を確認するステップとによって同定される。
【0408】
例示的一実施形態では、ワクチンに包含されるペプチドは、(a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;(b)(a)で新規に同定された少なくとも1つのペプチドを選択して、その免疫原性を確認するステップとによって同定される。
【0409】
ひとたび個別化ペプチドベースのワクチンのためのペプチドを選択したら、ワクチンを製造する。ワクチンは、好ましくは、約33%DMSOなどの20~40%DMSO、好ましくは約30~35%DMSOに溶解された、個々のペプチドからなる液体製剤である。
【0410】
製品に包含される各ペプチドをDMSOに溶解する。単一ペプチド溶液の濃度は、製品に包含されるペプチド数に応じて選択しなくてはならない。単一ペプチドDMSO溶液を等量で混合し、ペプチド当たり約2.5mg/mlの濃度で、製品に包含される全てのペプチドを含有する溶液を得る。次に、混合溶液を注射用水で1:3に希釈して、33%DMSO中でペプチド当たり0.826mg/mlの濃度を得る。希釈溶液を0.22μmの無菌フィルターを通して濾過する。最終バルク溶液を得る。
【0411】
最終バルク溶液をバイアルに充填して、使用時まで-20℃で保存する。1本のバイアルは、0.578mgの各ペプチドを含有する700μLの溶液を含有する。この内、500μL(ペプチド当たりおよそ400μg)を皮内注射のために適用する。
【0412】
がんを治療するために有用であるのに加えて、本発明のペプチドは、診断法としてもまた有用である。ペプチドは食道がん細胞から生成されたので、そしてこれらのペプチドは正常組織には存在せずまたはより低レベルで存在すると判定されたので、これらのペプチドを利用してがんの存在を診断し得る。
【0413】
特許請求されるペプチドの血液サンプル中の組織生検上の存在は、がん診断において病理学者を補佐し得る。抗体、質量分析法またはその他の当該技術分野で公知の方法の手段による特定のペプチドの検出は、組織サンプルが悪性または炎症性または概して病的であることを病理学者に告げ得て、または食道がんのためのバイオマーカーとして利用され得る。ペプチド基の存在は、病的組織の分類または下位分類を可能にし得る。
【0414】
患部組織検体上のペプチドの検出は、特にTリンパ球が作用機序に関与することが知られておりまたは予測される場合に、免疫系が関与する治療法の利点を判定できるようにする。MHC発現の喪失は、それによって感染悪性細胞が免疫監視を逃れる、十分に説明された機序である。したがってペプチドの存在は、この機序が、分析した細胞によって活用されていないことを示す。
【0415】
本発明のペプチドは、ペプチドまたはMHC分子と複合体化したペプチドに対するT細胞応答または抗体応答などの、これらのペプチドに対するリンパ球応答を分析するのに使用されるかもしれない。これらのリンパ球応答は、さらなる治療段階を決定するための予後マーカーとして使用され得る。これらの応答はまた、例えば、タンパク質、核酸、自己材料のワクチン接種や、リンパ球の養子免疫伝達などの異なる手段によるリンパ球応答の誘導を目指す、免疫療法アプローチにおける代理応答マーカーとして使用され得る。遺伝子治療の設定では、副作用の評価において、ペプチドに対するリンパ球応答が考慮され得る。リンパ球応答のモニタリングはまた、例えば移植片対宿主病および宿主対移植片病の検出など、移植治療の経過観察検査のための有益な手段かもしれない。
【0416】
本発明をここで、その好ましい実施形態を描写する以下の実施例において、添付図面を参照して説明するが、それでもなお、それらには限定されないものとする。本発明の目的で、本明細書で引用される全ての参考文献は、その内容全体が参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0417】
図1A】正常組織(白色バー)および食道がん(黒色バー)における様々なペプチドの過剰提示を示す。A)遺伝子記号:KRT14/KRT16、ペプチドSTYGGGLSV(配列番号1)組織左から右:1脂肪組織、3副腎、8動脈、5骨髄、7脳、5乳房、2軟骨、1中枢神経、13結腸、1十二指腸、2胆嚢、5心臓、14腎臓、21肝臓、44肺、4リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、8膵臓、5末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、4胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、4骨格筋、6皮膚、2小腸、4脾臓、5胃、6精巣、3胸腺、3甲状腺、7気管、2尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、6食道、16食道がんサンプル。ペプチドは、4/91肺がん上でさらに検出された。図1B)遺伝子記号:GJB5、ペプチドSIFEGLLSGV(配列番号7)。組織左から右:1脂肪組織、3副腎、8動脈、5骨髄、7脳、5乳房、2軟骨、1中枢神経、13結腸、1十二指腸、2胆嚢、5心臓、14腎臓、21肝臓、44肺、4リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、8膵臓、5末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、4胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、4骨格筋、6皮膚、2小腸、4脾臓、5胃、6精巣、3胸腺、3甲状腺、7気管、2尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、6食道、16食道がんサンプル。ペプチドは、1/43前立腺がん、1/3胆嚢がん、1/20卵巣がん、5/91肺がん、および1/4膀胱がん上でさらに検出された。図2C)遺伝子記号:PKP3、ペプチドSLVSEQLEPA(配列番号34)。組織左から右:1脂肪組織、3副腎、8動脈、5骨髄、7脳、5乳房、2軟骨、1中枢神経、13結腸、1十二指腸、2胆嚢、5心臓、14腎臓、21肝臓、44肺、4リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、8膵臓、5末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、4胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、4骨格筋、6皮膚、2小腸、4脾臓、5胃、6精巣、3胸腺、3甲状腺、7気管、2尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、6食道、16食道がんサンプル。ペプチドは、8/24結腸直腸がん、1/20卵巣がん、1/46胃がん、5/91肺がん、および2/4膀胱がん上でさらに検出された。図3D)遺伝子記号:RNPEP、ペプチドYTQPFSHYGQAL(配列番号37)。組織左から右:1脂肪組織、3副腎、8動脈、5骨髄、7脳、5乳房、2軟骨、1中枢神経、13結腸、1十二指腸、2胆嚢、5心臓、14腎臓、21肝臓、44肺、4リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、8膵臓、5末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、4胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、4骨格筋、6皮膚、2小腸、4脾臓、5胃、6精巣、3胸腺、3甲状腺、7気管、2尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、6食道、16食道がんサンプル。ペプチドは、1/19膵臓がん、7/46胃がん、および1/91肺がん上でさらに検出された。図4E)遺伝子記号:NUP155、ペプチドALQEALENA(配列番号80)。サンプル左から右:4細胞株(1腎臓、1膵臓、1前立腺、1骨髄性白血病)、3正常組織(1肺、1前立腺、1小腸)、47がん組織(5脳がん、2乳がん、1結腸がん、2食道がん、1慢性白血球性白血病、2肝臓がん、22肺がん、7卵巣がん、4前立腺がん、1直腸がん)。図5F)遺伝子記号:KRT5、ペプチドSLYNLGGSKRISI(配列番号2)。組織左から右:20がん組織(9頭頸部がん、2食道がん、1食道および胃がん、7肺がん、1膀胱がん)。図6G)遺伝子記号:KRT5、ペプチドTASAITPSV(配列番号3)。組織左から右:17がん組織(2食道がん、6頭頸部がん、7肺がん、2膀胱がん)。図7H)遺伝子記号:S100A2、ペプチドSLDENSDQQV(配列番号10)。組織左から右:7がん組織(3頭頸部がん、2食道がん、1肺がん、1膀胱がん)。図8I)遺伝子記号:LAMB3、ペプチドALWLPTDSATV(配列番号11)。組織左から右:12がん組織(2食道がん、1胆嚢がん、8肺がん、1皮膚がん)。図9J)遺伝子記号:IL36RN、ペプチドSLSPVILGV(配列番号13)。組織左から右:26がん組織(8頭頸部がん、3食道がん、10肺がん、3皮膚がん、1膀胱がん、1子宮がん)。図10K)遺伝子記号:ANO1、ペプチドLLANGVYAA(配列番号15)。組織左から右:8がん組織(2食道がん、1胆嚢がん、1肝臓がん、1肺がん、1胃がん、1膀胱がん、1子宮がん)。図11L)遺伝子記号:F7、IGHV4-31、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、ペプチドMISRTPEV(配列番号17)。組織左から右:19がん組織(2食道がん、2腎臓がん、2肝臓がん、9肺がん、1リンパ節がん、1精巣がん、2膀胱がん。図12M)遺伝子記号:QSER1、ペプチドSLNGNQVTV(配列番号30)。組織左から右:1細胞株(1膵臓)、14がん組織(1頭頸部がん、1胆管がん、1脳がん、1乳がん、1食道がん、1腎臓がん、1肺がん、2皮膚がん、3膀胱がん、2子宮がん)。図13N)遺伝子記号:HAS3、ペプチドYMLDIFHEV(配列番号32)。組織左から右:1正常組織(1子宮)、15がん組織(1脳がん、2食道がん、1胆嚢がん、3頭頸部がん、4肺がん、4膀胱がん)。図14O)遺伝子記号:PKP3、ペプチドSLVSEQLEPA(配列番号34)。組織左から右:1細胞株(1膵臓)、1正常組織(1結腸)、28がん組織(6頭頸部がん、1乳がん、1盲腸がん、3結腸がん、1結腸直腸がん、3食道がん、6肺がん、1卵巣がん、3直腸がん、3膀胱がん)。図15P)遺伝子記号:SERPINH1、ペプチドGLAFSLYQA(配列番号40)。組織左から右:3細胞株(1腎臓、2膵臓)、4正常組織(1副腎、1肺、2胎盤)、41がん組織(3頭頸部がん、3乳がん、2結腸がん、2食道がん、1胆嚢がん、1肝臓がん、15肺がん、1卵巣がん、1膵臓がん、3直腸がん、2皮膚がん、1胃がん、4膀胱がん、2子宮がん)。図16Q)遺伝子記号:TMEM132A、ペプチドALVEVTEHV(配列番号56)。組織左から右:7正常組織(5肺、1甲状腺、1気管)、64がん組織(6頭頸部がん、12脳がん、4乳がん、3食道がん、1胆嚢がん、5腎臓がん、21肺がん、1リンパ節がん、7卵巣がん、1膵臓がん、1皮膚がん、2子宮がん)。図17R)遺伝子記号:PRC1、ペプチドGLAPNTPGKA(配列番号57)。組織左から右:14がん組織(1頭頸部がん、1乳がん、2食道がん、6肺がん、1卵巣がん、1皮膚がん、1膀胱がん、1子宮がん)。図18S)遺伝子記号:MAPK6、ペプチドLILESIPVV(配列番号58)。組織左から右:2細胞株(1血液細胞、1皮膚)、25がん組織(5頭頸部がん、1結腸がん、2食道がん、1白血病、8肺がん、2リンパ節がん、3皮膚がん、2膀胱がん、1子宮がん)。図19T)遺伝子記号:PPP4R1、ペプチドSLLDTLREV(配列番号59)。組織左から右:1正常組織(1小腸)、8がん組織(1頭頸部がん、2食道がん、4肺がん、1卵巣がん)。図20U)遺伝子記号:TP63、ペプチドVLVPYEPPQV(配列番号77)。組織左から右:2正常組織(1食道、1気管)、47がん組織(8頭頸部がん、4食道がん、1胆嚢がん、14肺がん、7リンパ節がん、2前立腺がん、1皮膚がん、8膀胱がん。図21V)遺伝子記号:KIAA0947、ペプチドAVLPHVDQV(配列番号81)。組織左から右:3細胞株(1血液細胞、1膵臓)、12がん組織(5脳がん、2食道がん、1肺がん、3リンパ節がん、1子宮がん)。
図1B】同上
図1C】同上
図1D】同上
図1E】同上
図1F】同上
図1G】同上
図1H】同上
図1I】同上
図1J】同上
図1K】同上
図1L】同上
図1M】同上
図1N】同上
図1O】同上
図1P】同上
図1Q】同上
図1R】同上
図1S】同上
図1T】同上
図1U】同上
図1V】同上
図2A】正常組織(白色バー)および11食道がんサンプル(黒色バー)のパネル中で、食道がんにおいて高度に過剰発現され、または排他的に発現される、本発明の起源遺伝子の例示的発現プロファイルを示す。組織左から右:7動脈、1脳、1心臓、2肝臓、2肺、2静脈、1脂肪組織、1副腎、4骨髄、1結腸、2食道、2胆嚢、1腎臓、6リンパ節、1膵臓、1脳下垂体、1直腸、1骨格筋、1皮膚、1小腸、1脾臓、1胃、1胸腺、1甲状腺、5気管、1膀胱、1乳房、3卵巣、3胎盤、1前立腺、1精巣、1子宮、11食道がんサンプル。図2A)遺伝子記号:PTHLH;図2B)遺伝子記号:KRT14;図2C)遺伝子記号:FAM83A;図2D)遺伝子記号:PDPN。
図2B】同上
図2C】同上
図2D】同上
図3-1】健常HLA-A*02+ドナーのペプチド特異的生体外CD8+T細胞応答の例示的結果、すなわち、例示的免疫原性データ:ペプチド特異的多量体染色後のフローサイトメトリー結果を示す。図3A)遺伝子記号:SF3B3、ペプチドELDRTPPEV(配列番号97);図3B)遺伝子記号:TNC、ペプチドAMTQLLAGV(配列番号101)。また、CD8+T細胞は、それぞれ、配列番号:5ペプチド(C、左側パネル)、配列番号:2ペプチド(D、左側パネル)および配列番号:77ペプチド(E、左側パネル)と複合体形成する、抗CD28mAbおよびHLA-A*02で被覆された、人工APCを用いてプライミングされた。3サイクルの刺激後、A*02/配列番号5(C)、A*02/配列番号2(D)またはA*02/配列番号77(E)を用いた2D多量体染色によって、ペプチド反応性細胞の検出が実施された。右パネル(C、D、およびE)は、無関係のA*02/ペプチド複合体で刺激された細胞の対照染色を示す。生存一重細胞は、CD8+リンパ球についてゲートされた。ブーリアンゲートは、異なるペプチドに対して特異的な多量体によって検出された、擬陽性事象の排除を助けた。CD8+リンパ球の中の特異的多量体+細胞の頻度が示される。
図3-2】同上
図3-3】同上
【実施例0418】
実施例1
細胞表面に提示される腫瘍関連ペプチドの同定および定量化
組織サンプル
患者の腫瘍組織は、Asterand(Detroit,USA and Royston,Herts,UK);ProteoGenex Inc.,(Culver City,CA,USA);Tissue Solutions Ltd.(Glasgow,UK);University Hospital of Tubingen. Normal tissues were obtained from Asterand(Detroit,USA and Royston,Herts,UK);Bio-Options Inc.(CA,USA);BioServe(Beltsville,MD,USA);Capital BioScience Inc.(Rockville,MD,USA);Geneticist Inc.(Glendale,CA,USA);University Hospital of Geneva;University Hospital of Heidelberg;Kyoto Prefectural University of Medicine(KPUM);University Hospital Munich;ProteoGenex Inc.(Culver City,CA,USA);University Hospital of Tubingen;Tissue Solutions Ltd.(Glasgow,UK)から入手された。全ての患者の告知に基づく同意書は、外科手術または検死解剖前に得られた。組織は切除の直後に衝撃凍結されて、TUMAPの単離まで-70℃未満で保存された。
【0419】
組織サンプルからのHLAペプチドの単離
衝撃凍結組織サンプルからのHLAペプチド貯留は、わずかに修正されたプロトコル(Falk et al.,1991;Seeger et al.,1999)に従って、HLA-A*02-特異的抗体BB7.2、HLA-A、-B、-C特異的抗体W6/32、CNBr活性化セファロース、酸処理、および限外濾過を使用して、免疫沈殿によって固形組織から得られた。
【0420】
質量分析
得られたHLAペプチド貯留は、逆相クロマトグラフィー(nanoAcquity UPL C system、Waters)によってそれらの疎水性に従って分離し、ESI源を装着したLTQ-velosおよびfusion hybrid質量分光計(ThermoElectron)内で溶出ペプチドを分析した。ペプチド貯留は、毎分400nLの流速を適用して、1.7μm C18逆相材料(Waters)で充填された分析用融合シリカマイクロキャピラリーカラム(75μm内径×250mm)上に直接挿入した。引き続いて、毎分300nLの流速で10%から33%へのBの二段階180分間二成分勾配を用いて、ペプチドを分離した。勾配は、溶媒A(水中の0.1%ギ酸)および溶媒B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)から構成された。nanoESI源への導入には、金被覆ガラス毛管(PicoTip,New Objective)を使用した。LTQ-Orbitrap質量分光計は、TOP5ストラテジーを使用してデータ依存モードで操作した。手短に述べると、Orbitrap(R=30000)内の高質量精度の完全スキャンでスキャンサイクルを開始し、これもまたOrbitrap(R=7500)内の5種の最も豊富な前駆イオンのMS/MSスキャンがそれに続き、以前選択されたイオンは動的に排除された。タンデム質量スペクトルは、SEQUESTおよび追加的な手動調節によって解釈した。同定されたペプチド配列は、生成された天然ペプチド断片化パターンと、配列が同一の合成参照ペプチドの断片化パターンとの比較によって確認した。
【0421】
イオン計数によって、すなわちLC-MS特性の抽出と解析(Mueller et al.,2007)によって、無標識相対LC-MS定量化を実施した。方法は、ペプチドのLC-MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量と相関すると仮定する。抽出された特性は、電荷状態デコンボリューションと滞留時間アライメント(Mueller et al.,2008;Sturm et al.,2008)によってさらに処理した。最終的に、全てのLC-MS特性を配列同定結果と相互参照して、異なるサンプルの定量的データと、組織からペプチドへの提示プロファイルとを組み合わせた。定量的データは、技術的および生物学的反復試験内の変動を考慮した中心傾向に従って、二段法で正規化された。このようにして、それぞれの同定されたペプチドが定量的データに関連付けられ得て、サンプルと組織との間の相対定量化ができるようになる。さらに、ペプチド候補について得られた全ての定量的データを手動で検査し、データ整合性を保証して自動解析の確度を確認した。各ペプチドについて提示プロファイルを計算し、平均サンプル提示ならびに反復試験変動を示した。プロファイルは、食道がんサンプルを正常組織サンプルのベースラインに並置する。
【0422】
例示的過剰提示ペプチドの提示プロファイルは、図1に示される。代表的ペプチドの提示スコアは、表8に示される。
【0423】
表8: 提示スコア。表は、正常組織パネルと比較して腫瘍上で非常に高度に過剰提示され(+++)、正常組織パネルと比較して腫瘍上で高度に過剰提示され(++)、正常組織パネルと比較して腫瘍上で過剰提示される(+)、ペプチドを列挙する。正常組織のパネルは、脂肪組織、副腎、動脈、静脈、骨髄、脳、中央および末梢神経、結腸、直腸、十二指腸を含む小腸、食道、胆嚢、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、単核白血球細胞、膵臓、腹膜、下垂体、胸膜、唾液腺、骨格筋、皮膚、脾臓、胃、胸腺、甲状腺、気管、尿管、膀胱からなった。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【0424】
実施例2
本発明のペプチドをコードする遺伝子発現プロファイリング
正常細胞と比較した腫瘍細胞上のペプチドの過剰提示または特異的提示は、免疫療法におけるその有用性にとって十分であり、いくつかのペプチドは、それらの起源タンパク質が正常組織にもまた存在するにもかかわらず、腫瘍特異的である。それでもなお、mRNA発現プロファイリングは、免疫療法のためのペプチド標的の選択において、安全性のレベルを高めることができる。特に、アフィニティ成熟TCRなどの安全性リスクが高い治療の選択肢では、理想的な標的ペプチドは、腫瘍に特有で正常組織上には見いだされないタンパク質に由来する。
【0425】
RNA起源および調製
外科的に除去された組織標本は、告知に基づく同意書が各患者から入手された後に、上述の通り提供された(実施例1を参照されたい)。腫瘍組織標本を手術直後にスナップ凍結し、その後、液体窒素下で乳鉢と乳棒を用いて均質化した。TRI試薬(Ambion,Darmstadt,Germany)を使用して、これらのサンプルから全RNAを調製し、RNeasy(QIAGEN,Hilden,Germany)による精製がそれに続き;どちらの方法も製造業者のプロトコルに従って実施した。
【0426】
RNASeq実験のための腫瘍組織からの全RNAは、Proteo Genex Inc.(Culver City,CA,USA);Tissue Solutions Ltd.(Glasgow,UK)から入手された。RNASeq実験のための健常ヒト組織からの全RNAは、Asterand(Detroit,USA and Royston,Herts,UK);Proteo Genex Inc.(Culver City,CA,USA);Geneticist Inc.(Glendale,CA,USA);Istituto Nazionale Tumori”Pascale”,Molecular Biology and Viral Oncology Unit(IRCCS)(Naples,Italy);University Hospital of Heidelberg(Germany);BioCat GmbH(Heidelberg,Germany)から入手された。
【0427】
全てのRNAサンプルの品質および量は、RNA 6000 Pico LabChipキット(Agilent)を使用して、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent,Waldbronn,Germany)上で評価した。
【0428】
RNAseq実験
腫瘍および正常組織RNAサンプルの遺伝子発現解析は、CeGaT(Tubingen,Germany)によって、次世代配列決定(RNAseq)によって実施した。簡単に述べると、配列決定ライブラリーは、RNA断片化、cDNA転換、および配列決定アダプターの付加を含む、Illumina HiSeq v4試薬キットを使用して、販売業者(Illumina Inc,San Diego,CA,USA)のプロトコルに従って作製される。複数のサンプルに由来するライブラリーは等モル混合され、Illumina HiSeq 2500配列決定装置上で、製造会社の使用説明書に従って配列決定され、50bpのシングルエンドリードが生成される。処理された読み取りは、STARソフトウェアを使用して、ヒトゲノム(GRCh38)にマッピングされる。発現データは、ensembl配列データベース(Ensembl77)の注釈に基づいて、RPKM(100万個のマッピングされた読み取り当たりキロベース当たり読み取り、ソフトウェアCufflinksによって生成される)として転写物レベルで、そしてエクソンレベルで(全読み取り、ソフトウェアBedtoolsによって生成される)提供される。エクソン読み取りは、エクソン長さおよびアライメントサイズについて正規化されて、RPKM値が得られる。
【0429】
食道がんにおいて高度に過剰発現され、または排他的に発現される本発明の起源遺伝子の代表的発現プロファイルは、図2に示される。さらなる例示的遺伝子の発現スコアは、表9に示される。
【0430】
表9: 発現スコア。表は、正常組織パネルと比較して腫瘍において非常に高度に過剰発現され(+++)、正常組織パネルと比較して腫瘍において高度に過剰発現され(++)、正常組織パネルと比較して腫瘍において過剰発現される(+)、遺伝子に由来するペプチドを列挙する。スコアのベースラインは、脂肪組織、副腎、動脈、骨髄、脳、結腸、食道、胆嚢、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、膵臓、下垂体、直腸、骨格筋、皮膚、小腸、脾臓、胃、胸腺、甲状腺、気管、膀胱、静脈の正常組織の測定値から計算された。
【表9-1】
【表9-2】
【0431】
実施例3
MHCクラスI提示ペプチドの生体外免疫原性
本発明のTUMAPの免疫原性に関する情報を得るために、本発明者らは、ペプチド/MHC複合体および抗CD28抗体を負荷した人工抗原提示細胞(aAPC)によるCD8+T細胞の反復刺激に基づく、生体外T細胞プライミングアッセイを用いて研究を実施した。このようにして、本発明者らは、本発明のHLA-A*0201拘束性TUMAPの免疫原性を示し得て、これらのペプチドが、それに対するCD8+前駆T細胞がヒトに存在する、T細胞エピトープであることを実証した(表10)。
【0432】
CD8+T細胞の生体外プライミング
ペプチドMHC複合体(pMHC)および抗CD28抗体を負荷した、人工抗原提示細胞による生体外刺激を実施するために、本発明者らは、最初に、告知に基づく同意後に、University clinics Mannheim,Germanyから得られた健常ドナーのCD8ミクロビーズ(Miltenyi Biotec,Bergisch-Gladbach,Germany)を使用した正の選択を通じて、新鮮HLA-A*02白血球除去生成物からCD8+T細胞を単離した。
【0433】
PBMCおよび単離CD8+リンパ球またはPBMCは、10%熱不活性化ヒトAB血清(PAN-Biotech,Aidenbach,Germany)、100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(Cambrex,Cologne,Germany)、1mMピルビン酸ナトリウム(CC Pro,Oberdorla,Germany),20μg/mlゲンタマイシン(Cambrex)を添加した、RPMI-Glutamax(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)からなるT細胞培地(TCM)中で、使用時まで培養した。2.5ng/mlのIL-7(PromoCell,Heidelberg,Germany)および10U/mlのIL-2(Novartis Pharma,Nurnberg,Germany)もまた、この段階でTCMに添加した。
【0434】
pMHC/抗CD28被覆ビーズの生成、T細胞刺激、および読み取りは、高度に定義された生体外システム内で、刺激条件当たり4種の異なるpMHC分子と、読み取り条件当たり8種の異なるpMHC分子を使用して実施した。
【0435】
製造会社(Perbio,Bonn,Germany)が推奨する通りにスルホ-N-ヒドロキシスクシンイミドビオチンを使用して、精製共刺激マウスIgG2a抗ヒトCD28 Ab9.3(Jung et al.,1987)を化学的にビオチン化した。使用されたビーズは、直径5.6μmのストレプトアビジン被覆ポリスチレン粒子(Bangs Laboratories,Illinois,USA)であった。
【0436】
陽性および陰性対照刺激のために使用されたpMHCは、それぞれ、A*0201/MLA-001(修飾Melan-A/MART-1に由来するペプチドELAGIGILTV(配列番号102))およびA*0201/DDX5-001(DDX5に由来するYLLPAIVHI、配列番号103)であった。
【0437】
4×12.5ngの異なるビオチンpMHCの存在下で、800,000個のビーズ/200μlを96ウェルプレート内で被覆し、洗浄して、引き続いて200μlの容量中で600ngのビオチン抗CD28を添加した。5ng/mlのIL-12(PromoCell)を添加した200μlのTCM中で、1×10のCD8+T細胞を2×10個の洗浄被覆ビーズと、37℃で3日間にわたり同時インキュベートすることで、96ウェルプレート内で刺激を開始した。次に80U/mlのIL-2を添加した新鮮TCMで培地の半分を交換し、37℃で4日間にわたり培養を継続した。この刺激サイクルを合計3回実施した。条件当たり8種の異なるpMHC分子を使用したpMHC多量体読み取りでは、5種の異なる蛍光色素への共役を包含するわずかな修正を加えて、以前記載されたような(Andersen et al.,2012)二次元コンビナトリアルコーディングアプローチを使用した。最後に、Live/dead近赤外染料(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)、CD8-FITC抗体クローンSK1(BD,Heidelberg,Germany)、および蛍光性pMHC多量体による細胞の染色によって多量体解析を実施した。解析では、適切なレーザーおよびフィルターを装着したBD LSRII SORP血球計数器を使用した。ペプチド特異的細胞を全CD8+細胞の百分率として計算した。FlowJoソフトウェア(Tree Star,Oregon,USA)を使用して、多量体解析の評価を実施した。陰性対照刺激と比較することで、特異的多量体+CD8+リンパ球の生体外初回刺激を検出した。1人の健常ドナーの少なくとも1つの評価可能生体外刺激ウェルが、生体外刺激後に、特異的CD8+T細胞株を含有することが判明したら、所与の抗原の免疫原性が検出された(すなわちこのウェルは、CD8+T細胞内に少なくとも1%の特異的多量体+を含有し、特異的多量体+細胞の百分率は、陰性対照刺激の中央値の少なくとも10倍であった)。
【0438】
食道がんペプチドの生体外免疫原性
HLAクラスIペプチドを試験するために、ペプチド特異的T細胞株の生成によって生体外免疫原性が実証され得た。本発明の2つのペプチド(配列番号97および配列番号101)に対するTUMAP特異的多量体染色後の例示的フローサイトメトリー結果は、対応する陰性対照と共に図3に示される。本発明からの5種のペプチドの結果は、表10Aに要約される。
【0439】
表10A: 本発明のHLAクラスIペプチドの生体外免疫原性
出願人によって実施された本発明のペプチドの生体外免疫原性実験の例示的結果。<20 % = +; 20 % - 49 % = ++; 50 % - 69 %= +++; >= 70 % = ++++
【表10A】
【0440】
表10B: 本発明のHLAクラスIペプチドの生体外免疫原性
出願人によって実施された本発明のペプチドの生体外免疫原性実験の例示的結果。生体外免疫原性実験の結果が示される。陽性ウェルおよびドナーの百分率(評価可能内の)は、示されるように要約される <20 % = +; 20 % - 49 % = ++; 50 % - 69 %= +++; >= 70 %= ++++
【表10B】
【0441】
実施例4
ペプチドの合成
Fmocストラテジーを使用した標準的な十分に確立された固相ペプチド合成を使用して、全てのペプチドを合成した。個々のペプチドのアイデンティティーおよび純度は、質量分析および分析用RP-HPLCによって判定された。ペプチドは、純度>50%の白色から灰白色の凍結乾燥物(トリフルオロ酢酸塩)として得られた。全てのTUMAPは、好ましくはトリフルオロ酢酸塩または酢酸塩として投与され、その他の塩形態もまた可能である。
【0442】
実施例5
MHC結合アッセイ
本発明によるT細胞ベースの治療法のための候補ペプチドを、それらのMHC結合能力(親和性)についてさらに試験した。個々のペプチド-MHC複合体は、UVリガンド交換によって生成され、UV感受性ペプチドはUV照射に際して切断されて、分析される目的ペプチドで交換された。ペプチド受容性MHC分子と効果的に結合して安定化し得るペプチド候補のみが、MHC複合体の分離を防止する。交換反応の収率を判定するために、安定化MHC複合体の軽鎖(β2m)の検出に基づくELISAを実施した。アッセイは、Rodenko et al.(Rodenko et al.,2006)に一般的に記載されるようにして実施した。
【0443】
96ウェルMAXISorpプレート(NUNC)をPBS中の2μg/mlストレプトアビジンにより室温で一晩被覆して4回洗浄し、ブロック緩衝液を含有する2%BSA中で37℃で1時間ブロックした。再折りたたみされたHLA-A*020102:01/MLA-001単量体が、15~500ng/mlの範囲をカバーする標準物質の役割を果たした。UV交換反応のペプチド-MHC単量体をブロック緩衝液で100倍に希釈した。サンプルを37℃で1時間インキュベートして4回洗浄し、2ug/mlのHRP共役結合抗β2mと共に37℃で1時間インキュベートして再度洗浄し、NHSOで停止させたTMB溶液で検出した。吸収は、450nmで測定された。抗体またはそれらのフラグメント、および/またはT細胞受容体またはそれらのフラグメントの生成および製造のためには、高い交換収率(好ましくは50%より高い、最も好ましくは75%より高い)を示す候補ペプチドが、MHC分子に対する十分な結合活性を示してMHC複合体の分離を防止することから、一般に好ましい。
【0444】
表11: MHCクラスI結合スコア。
HLAクラスI拘束性ペプチドとHLA-A*02:01との結合は、ペプチド交換収率によって変動した:>10% = +; >20% =++; >50 = +++; > 75% = ++++
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【0445】
実施例6
細胞表面に提示される腫瘍関連ペプチドの絶対定量化
抗体および/またはTCRなどのバインダーの生成は、骨の折れる工程であり、いくつかの選択された標的に対してのみ実施されてもよい。腫瘍関連および特異的ペプチドの場合、選択基準としては、提示の排他性および細胞表面に提示されるペプチドの密度が挙げられるが、これに限定されない。固形腫瘍サンプル中の細胞当たりのTUMAPコピーの定量化は、単離されたTUMAPの絶対定量化、TUMAP単離の効率、および分析される組織サンプルの細胞計数を必要とする。
【0446】
ナノLC-MS/MSによるペプチド定量化
質量分析によるペプチドの正確な定量化のために、内標準法を使用して各ペプチドの検量線を作成した。内標準は各ペプチドの二重同位体標識変異体であり、すなわち、2つの同位体標識アミノ酸がTUMAP合成に含まれた。それは、腫瘍関連ペプチドとはその質量異なるのみであるが、他の物理化学的性質に差異を示さない(Anderson et al.,2012)。内標準を各MSサンプルに添加して、全てのMSシグナルを内標準のMSシグナルに対して正規化し、MS実験間の潜在的な技術的変動を平準化した。
【0447】
少なくとも3つの異なるマトリックス中、すなわち、ルーチンのMSサンプルと同様の天然サンプルからのHLAペプチド溶出液中で検量線を作成し、各調製物を二連のMS試験で測定した。評価のために、MSシグナルを内標準のシグナルに対して正規化し、検量線をロジスティック回帰によって算出した。
【0448】
組織サンプルからの腫瘍関連ペプチドの定量化のためには、それぞれのサンプルにも内標準が添加され、MSシグナルが、内標準に対して正規化され、ペプチド検量線を使用して定量化された。
【0449】
ペプチド/MHC単離の効率
あらゆるタンパク質精製処理と同様に、組織サンプルからのタンパク質の単離には、目的タンパク質のいくらかの損失が伴う。TUMAP単離の効率を判定するために、絶対定量化のために選択された全てのTUMAPについて、ペプチド/MHC複合体を生成した。添加されたものを天然ペプチド/MHC複合体から識別できるように、TUMAPの単一同位体標識バージョンが使用され、すなわち、1つの同位体標識アミノ酸がTUMAP合成に含まれた。これらの複合体は、新鮮に調製された組織溶解産物に、すなわち、TUMAP単離手順の可能な限り早い時点で添加され、次に、以下の親和性精製において、天然ペプチド/MHC複合体のように捕捉された。したがって単一標識TUMAPの回収率を測定することで、個々の天然TUMAPの単離効率に関する結論が可能になる。
【0450】
少数のサンプルで単離効率が分析され、これらの組織サンプル間で同等であった。対照的に、単離効率は個々のペプチド間で異なる。これは、単離効率が、限定数の組織サンプルにおいてのみ判定されるが、任意のその他の組織標本に外挿されてもよいことを提案する。しかしながら、単離効率がペプチドからその他のペプチドに外挿されないこともあるので、各TUMAPは個別に分析する必要がある。
【0451】
固体冷凍組織中の細胞数測定
絶対ペプチド定量化に供した組織サンプルの細胞数を測定するために、本発明者らは、DNA含量分析を適用した。この方法は、異なる起点の幅広いサンプルに、最も重要なことには、冷凍サンプルに適用できる(Alcoser et al.,2011;Forsey and Chaudhuri,2009;Silva et al.,2013)。ペプチド単離プロトコル中に、組織サンプルを均質溶解産物に処理して、それから小さな溶解産物アリコートを取り出す。アリコートを3つに分割し、それからDNAを単離する(QiaAmp DNA Mini Kit,Qiagen,Hilden,Germany)。蛍光ベースのDNA定量化アッセイ(Qubit dsDNA HS Assay Kit,Life Technologies,Darmstadt,Germany)を使用して、少なくとも2つの反復試験において、各DNA単離からの全DNA含有量を定量化する。
【0452】
細胞数を計算するために、一連の定義された細胞数がある、単一健常血液細胞のアリコートから、DNA標準曲線を作成した。標準曲線を使用して、各DNA単離物からの全DNA含有量から、全細胞含有量を計算する。既知の溶解産物アリコートの容量および全溶解産物容量を考慮して、ペプチド単離のために使用された組織サンプルの平均総細胞数を外挿する。
【0453】
ペプチド細胞当たりコピー数
前述の実験のデータを用いて、本発明者らは、サンプルの全ペプチド量を総細胞数で除算して、それに続いて単離効率により除算することで、細胞当たりのTUMAPコピー数を算出した。選択されたペプチドの細胞コピー数は、表12に示される。
【0454】
表12: 絶対コピー数。表は、NSCLC腫瘍サンプルにおける絶対ペプチド定量化の結果を列挙する。細胞当たりコピー数の中央値が、各ペプチドについて示される: <100 = +; >=100 =++; >=1,000 +++; >=10,000 = ++++。評価可能な高品質MSデータが利用できるサンプル数が示される。
【表12】
【0455】
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図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図1M
図1N
図1O
図1P
図1Q
図1R
図1S
図1T
図1U
図1V
図2A
図2B
図2C
図2D
図3-1】
図3-2】
図3-3】
【配列表】
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