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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041843
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】レンズレスマイクロ光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20240319BHJP
   B42D 25/29 20140101ALI20240319BHJP
   B42D 25/342 20140101ALI20240319BHJP
【FI】
G02B5/28
B42D25/29
B42D25/342
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000350
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2021507509の分割
【原出願日】2019-08-13
(31)【優先権主張番号】62/718,136
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516166085
【氏名又は名称】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン、ニコラス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ブレイマン、ベンジャミン イー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セキュリティスレッド、パッチ、ラベル、ストリップを含む光学的可変セキュリティデバイスを提供する。
【解決手段】本開示による特定のセキュリティデバイスは、レンズレス構造を利用し、それにより、複数のアイコン層が結合されて、光学的可変効果を有する合成画像または合成色を生成する。各アイコン層は、高解像度アイコン要素のアレイを含み、これらは、互いに対して整列され、互いに間隔を空けて、所望の光学的可変効果を生成する。このようなセキュリティデバイスは、排他的ではないが、セキュリティドキュメントの認証に特に有用である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイコン要素(11a)の第1のアレイを含む第1のアイコン層(11)と、
前記第1のアイコン層に結合され、アイコン要素(13a)の第2のアレイを含む第2のアイコン層(13)と、
を含み、
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層のアイコン要素が線、ドット、またはそれらの組み合わせであり、
前記第1のアイコン層または第2のアイコン層のうち1つ以上のアイコン要素が、高解像度を呈する、
光学的可変セキュリティデバイス(OVSD)(10)。
【請求項2】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層の少なくとも1つが干渉層である、請求項1に記載のOVSD。
【請求項3】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が互いに結合されて、前記第1または第2のアイコン層の1つ内のアイコン要素が、他方のアイコン層に近接する前記OVSDの少なくとも一方の側から見られると、少なくとも1つの光学的可変効果(OVE)が前記OVSDによってもたらされるようになった、請求項1に記載のOVSD。
【請求項4】
前記OVEがローリングバー(65)を含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項5】
前記ローリングバーが多色である、請求項4に記載のOVSD。
【請求項6】
前記OVEがカラースイッチを含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項7】
前記OVEが合成色を含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項8】
前記OVEが、前記第1のアイコン層が観察者に面する第1の視点から、及び、前記第2のアイコン層が前記観察者に面する第2の視点から観察可能である、請求項3に記載のOVSD。
【請求項9】
前記第1のアイコン層または第2のアイコン層のうち少なくとも1つにあるポストの間の領域を、部分的に充填する透明材料(85)をさらに含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項10】
前記アイコン要素の第1のアレイ、及び前記アイコン要素の第2のアレイの少なくとも1つのアイコン要素が、
0.5μm~6.5μmの範囲の幅寸法、または
7.7μm未満のアイコン要素間の間隔寸法
の1つ以上を有する、請求項1に記載のOVSD。
【請求項11】
前記アイコン要素の第1のアレイ(51)及び前記アイコン要素の第2のアレイ(53)の両方のアイコン要素が、1つ以上のボイドまたはポストを含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項12】
前記ボイドが1つ以上の凹みまたは孔を含む、請求項11に記載のOVSD。
【請求項13】
前記ポストが1つ以上のプラトー、突起、またはメサを含む、請求項11に記載のOVSD。
【請求項14】
前記高解像度が0.5μm~5.0μmの間の線幅を含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項15】
前記高解像度が0.5μm~5.0μmの間の線間隔を含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項16】
前記高解像度が0.5μm~6.5μmの間のドット幅を含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項17】
前記アイコン要素の第1のアレイまたは前記アイコン要素の第2のアレイの1つ以上が1.0μm~6.5μmの間のピッチを有する、請求項1に記載のOVSD。
【請求項18】
前記高解像度が0.5μm~5.0μmの間のドット間隔を備える、請求項1に記載のOVSD。
【請求項19】
前記第1のアイコン層と前記第2のアイコン層との間に光学スペーサをさらに含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項20】
前記アイコン要素の第1のアレイ及び前記アイコン要素の第2のアレイが、前記アイコン要素の第1のアレイと前記アイコン要素の第2のアレイとの間のずれを生じるように配置されている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項21】
前記ずれが、寸法的な、回転的な、周期的な、またはゾーン的なずれの1つ以上を含む、請求項20に記載のOVSD。
【請求項22】
観察者の視点が前記OVSDに対して変化すると、光学的可変効果(OVE)が生じる、請求項1に記載のOVSD。
【請求項23】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層の少なくとも1つのアイコン要素が、コントラスト材料で充填されている、またはコーティングされている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項24】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層の少なくとも1つのアイコン要素が、コントラスト材料を含むポストを含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項25】
前記第1のアイコン層内の前記アイコン要素及び前記第2のアイコン層内の前記アイコン要素が、アイコンツールによって形成されている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項26】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が光学スペーサの対向する側として統合されている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項27】
貴重品を認証するための請求項1に記載のOVSDの使用。
【請求項28】
光学スペーサ層(12)を提供することと、
第1のアイコン層(11)を前記光学スペーサ層の第1の側に適用し、第2のアイコン層(13)を前記光学スペーサ層の第2の側に適用することと、
アイコン要素(11a)のアレイを前記第1のアイコン層の上または中に形成し、アイコン要素(13a)の第2のアレイを前記第2のアイコン層の上または中に形成することと、
を含み、
前記アイコン要素が高解像度アイコン要素であり、
前記第2の側が前記光学スペーサ層の前記第1の側に対向している、
請求項1に記載のOVSDを製造する方法。
【請求項29】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が、光学的可変効果を生じる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記光学的可変効果が、ローリングバー、合成色、またはカラーシフトのうち1つ以上を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記高解像度アイコン要素が、約0.5μm~約6.5μmの範囲の幅、または7.7μm未満の間隔を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法によって製造された、請求項1に記載のOVSD。
【請求項33】
請求項1に記載のOVSDを貴重品に結合することにより、前記貴重品を認証する方法。
【請求項34】
請求項1に記載のOVSD及び基材界面を含む貴重品であって、前記OVSDが前記基材界面に結合されている、前記貴重品。
【請求項35】
前記貴重品が紙幣である、請求項33に記載の貴重品。
【請求項36】
第1の側及び対向する第2の側を有する基材層と、
アイコン要素(11a)の第1のアレイを有する第1のアイコン層(11)と、
アイコン要素(13a)の第2のアレイを有する第2のアイコン層(13)と、
を含み、
前記第1のアイコン層及び第2のアイコン層のアイコン要素が、高解像度アイコン要素であり、
前記第1のアイコン層及び第2のアイコン層が、光学的可変効果(OVE)(65)をもたらす、
紙幣(70)。
【請求項37】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が結合されて複合構造を形成し、前記複合構造が前記複合構造の少なくとも一方の側から見られると、少なくとも1つの光学的可変効果が観察されるようになっている、請求項35に記載の紙幣。
【請求項38】
前記光学的可変効果が、1セットのローリングバー、合成色、またはカラーシフトのうち1つ以上を含む、請求項35に記載の紙幣。
【請求項39】
前記光学的可変効果が両側から観察可能である、請求項36に記載の紙幣。
【請求項40】
前記基材層がポリマー材料またはセルロース材料のうち少なくとも1つである、請求項36に記載の紙幣。
【請求項41】
前記基材層が前記第1のアイコン層と前記第2のアイコン層の間に配置されている、請求項36に記載の紙幣。
【請求項42】
光学スペーサが、前記第1のアイコン層と前記第2のアイコン層との間に配置されて、前記基材層の第1の側または第2の側の少なくとも1つに結合されている複合構造を形成する、請求項36に記載の紙幣。
【請求項43】
表面に適用された、窓付きの、もしくは埋め込まれたパッチまたはスレッドのうち1つ以上をさらに含む、請求項35に記載の紙幣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、偽造された、捏造された、改ざんされた、コピーされた、及び/または消費者に真正品として渡される可能性のある貴重品の認証(すなわち、認証及び/または保護)に使用するのに適したセキュリティデバイスの実施形態に関する。より具体的には、本開示による特定の実施形態は、本明細書で光学的可変セキュリティデバイス(OVSD)と呼ばれるものに関する。本開示によるOVSDの特定の実施形態は、多層であり、OVSDが変化する視点から見られると、光学的可変効果(OVE)をもたらす。OVEは、好ましくは動的効果であり、視点の変化が、OVSDによって投影された画像の位置、サイズ、形状、または色の変化を生じるものである。本開示の様々な実施形態によるOVSDは、セキュリティ文書(例えば、通貨文書、識別文書)及び高価値の消費者製品などの貴重品を認証する際に特定の有用性を有している。
【背景技術】
【0002】
真正の貴重品(製品)の供給者は、偽造業者と奮闘することが多くあり、これらの偽造業者は、より安価な工程を使用して認証用製品の模倣品を作成し、これらの偽造品を真正の版として疑いを持たない消費者に渡すことを試みる。例えば、偽造業者は、多くの場合、高度な印刷技術、及びコピー技術を使用して真正のセキュリティ文書をコピーすることによって偽造セキュリティ文書を製造し、偽造品を真正文書として渡す。一部の消費者製品は、認証用にセキュリティラベルに依存しておらず、その場合は、偽造者は単に消費者向け製品を複製し、それを真正品として渡す。しかしながら、一部の消費者製品は、消費者向け製品を認証するためのセキュリティラベルを使用しており、その場合、偽造者はセキュリティラベルを含む消費者向け製品を複製することが必要になる。
【0003】
偽造者の企てを阻止するために、真正の貴重品の特定の製造業者は、光学的可変画像を表示するセキュリティデバイスを利用している。これらのデバイスは、最も洗練されたコピー及び印刷技術であっても、これらのセキュリティデバイスによって生成される光学的変動性が再現できないことから、偽造品や模倣品に対処するための有用なツールになっている。
【0004】
光学セキュリティデバイスにはいくつかの種類がある。例えば、Steenblikらの米国特許US7333268、US7738175、及びUS7468842は、画像要素のアレイが集束要素のアレイを通して見られるときに合成画像を生成する1つ以上の光学的セキュリティデバイスを説明している。これらの合成画像は、様々な視点から見たときに、いくつかの様々な光学的効果(例えば、位置、色、サイズ、形状、数などの変化)を示すことから、光学的変動性を示す場合がある。そのような効果を示すことができる材料構造はまた、Steenblikらの米国特許第US7738175号、Commanderらの米国特許第US7830627号、Kauleらの米国特許第US8149511、Kauleらの米国特許第US8878844号、Kauleらの米国特許第US8786521号、Kauleらの欧州特許出願第EP2162294号、及びKauleの欧州特許出願第EP2164713号に記載されている。
【0005】
様々な高セキュリティまたは高価値の製品に、強化されたセキュリティと認証を提供するのに適する、いくつかの光セキュリティデバイスがあるが、光セキュリティデバイスの性能と機能を強化するための機会が依然として存在している。例えば、上に列挙した参考文献に記載されているようなデバイスでは、画像層と集束層を別々に作成するために、複数の製造工程が必要になることが多い。このことにより高価となることがあり、また、製造工程に変動性をもたらすことがある。さらに、上述の光セキュリティデバイスは、集束要素のアレイとアイコン要素のアレイとの間で製造後に厳密な位置合わせを必要とすることがあり、これが工程をさらに複雑にすることになる。光学セキュリティデバイスは、多くの場合、レンズベースのシステムであり、集束層の集束要素としてレンズのアレイを含む。レンズは汚れの影響を受けやすく、セキュリティデバイスによって生成された合成画像を歪めたり妨げたりすることがある。
【0006】
レンズベースのセキュリティデバイスの代替案の1つは、豪州特許出願第AU2017101291(「’291出願」)で開示されている。そこで開示されているのは、第1のパターンを含む第1の層、及び第2のパターンを有する第2の層である、少なくとも2つの層を有するデバイスである。第2の層は、第1の層から一定距離だけ離れており、第2のパターンは、少なくとも1つの離散領域を含み、これは第1のパターンの対応する領域のスケーリングされたバージョンである。このデバイスは、モアレ干渉により、デバイスを見たときに3次元視覚効果を生じると言われている。このモアレ干渉効果は、線またはドットのサイズ及びそれらの間隔の両方が、一方の層で他方の層に対して拡大または縮小されるグローバルスケーリングから生成される。
【0007】
’291出願で説明されているデバイスには、独自の欠点がある。特に、線またはドットは、シマルタン印刷機などの従来の印刷機を使用して印刷またはエンボス加工される低解像度の線である。デバイスによって投影されるあらゆる画像の解像度が、高解像度の線またはドットがないために制限されている。このことはデバイスがセキュリティドキュメント(例えば、紙幣など)の認証に使用される場合など、デバイスの厚さが貴重品の認証の決定的な部分である場合に重要となる。
【発明の概要】
【0008】
本開示による特定の実施形態は、(i)セキュリティデバイス、(ii)セキュリティデバイスを作製する方法、(iii)セキュリティデバイスの使用またはセキュリティデバイスを使用する方法、(iv)セキュリティデバイスを含む貴重品、または(v)本明細書で説明される方法によって製造されたセキュリティデバイスを含む工程の態様ごとの製品、のうちの1つ以上を含む。
【0009】
一態様では、セキュリティデバイスが提供されており、いくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、光学的可変セキュリティデバイス(OVSD)であり、(i)アイコン要素の第1のアレイを有する第1のアイコン層と、(ii)第1のアイコン層に結合され、アイコン要素の第2のアレイを有する第2のアイコン層を含み、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のアイコン要素は、線、ドット、またはそれらの組み合わせであり、アイコン要素は高解像度アイコン要素である。
【0010】
別の態様では、OVSDを作製する方法が提供されており、特定の実施形態では、本方法は、(i)光学スペーサ層を提供することと、(ii)光学スペーサ層の第1の側に第1のアイコン層を形成し、光学スペーサの第2の反対側に第2のアイコン層を形成することと、(iii)第1のアイコン層の上またはその中にアイコン要素のアレイを形成し、第2のアイコン層の上またはその中にアイコン要素の第2のアレイを形成することと、を含み、ここではアイコン要素は高解像度アイコン要素になっている。
【0011】
別の態様では、貴重品を認証する方法が提供されており、いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書で説明するように、貴重品にOVSDを結合することを含む。他の技術的特徴は、以下の図面、説明、及び特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになり得る。
【0012】
別の態様では、貴重品が提供されており、様々な実施形態において、貴重品は、(i)本明細書で説明されるOVSD、及び(ii)基材界面を含み、OVSDは基材界面に結合されている。本開示による特定の実施形態では、貴重品は、紙幣であり、(i)第1の側及び対向する第2の側を有する基材層と、(ii)アイコン要素の第1のアレイを有する第1のアイコン層と、(iii)アイコン要素の第2のアレイを有する第2のアイコン層と、を含み、ここではアイコン要素は高解像度アイコン要素になっている。
【0013】
別の態様では、本開示による実施形態は、工程ごとの製品を含み、製品は、本開示のいくつかの実施形態による工程によって作成される、本開示の様々な実施形態による貴重品である。
【0014】
本開示の様々な実施形態によれば、OVSDは、本開示の1つ以上の実施形態によるOVSD及び基材界面を含み、OVSDは、基材界面を介して貴重品に結合されている。いくつかの実施形態では、貴重品は、(i)第1の側及び対向する第2の側を有する基材層と、(ii)透明材料で部分的に充填されたアイコン要素の第1のアレイを有する第1のアイコン層と、(iii)アイコン要素の第2のアレイを有する第2のアイコン層と、を含む紙幣であり、ここではアイコン要素は充填されたポストの形態を呈した高解像度アイコン要素になっている。
【0015】
本開示による実施形態は、当業者(以下、「PHOSITA」)が過度の実験に頼ることなく同じものを作製及び使用し得るように、本明細書でさらに説明される。従って、本開示において、上記で、または以下に記載される実施形態は、本明細書において開示及び特許請求される実施形態の範囲を限定することを意図せず、特定の実施形態を説明する目的で提供される例示的な実施形態としてのみ解釈されるものとする。本明細書において明示的に説明されたものに加えて、本明細書の本発明の概念から逸脱することなく、さらに多くの修正及び実施形態が可能であることは、PHOSITAにとって明らかであるはずである。特に、「含む(comprises)」、「有する(having)」、及び「含む(comprising)」という用語は、非排他的な方法で要素、構成要素、またはステップを指すものとして解釈されるべきであり、言及される要素、構成要素、またはステップが、存在し、または利用され、または明示的に言及されていないか、もしくは、特に本明細書で説明される他の実施形態と組み合わせられる、他の要素、構成要素、またはステップと組み合わせられ得ることを示す。
【0016】
本開示(instant disclosure)で使用される用語を解釈する際に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含むことに留意すべきである。
【0017】
本明細書で言及されたすべての刊行物は、刊行物が引用されることに関連して、方法及び/または材料を開示及び説明するために参照として本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の刊行物は、それらの開示のためのみに提供されている。
【0018】
以下の「発明を実施するための形態」に着手する前に、本特許明細書全体で使用される特定の単語及び句の定義を説明することが好都合になり得る。「カップル」という用語とその派生語は、2つ以上の要素が互いに物理的に接触しているかどうかに関係なく、これら要素間の直接または間接の連通を指す。「含む(include)」及び「含む(comprise)」という用語、ならびにそれらの派生語は、限定されない包含を意味する。「または」という用語は、包括的であり、及び/または、を意味する。「関連する」という句、及びその派生語は、含む、含まれる、相互接続する、含有する、含有される、と接続する(connect to or with)、またはと結合する(couple to or with)、と連通する、と協働する、インターリーブする、並置する、に近接している、結合されている(be bound to or with)、有する、の特性を有する、との関係を有する、などを意味している。「少なくとも1つ」という句は、アイテムのリストとともに使用される場合、リストされたアイテムの1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の1つのアイテムのみが必要とされ得ることを意味している。例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」には、A、B、C、AとB、AとC、BとC、及びAとBとCの組み合わせのいずれかが含まれる。
【0019】
他の特定の単語や句の定義は、本特許明細書全体にわたり提供されている。当業者は、ほとんどではないにしてもその多くを理解すべきで、それらの定義は、それらの定義された単語及び句に対して、以前の使用にも、今後の使用にも適用されることを理解する必要がある。
【0020】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、同様の参照番号が同様の部品を表している添付の図面と併せてここで以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の様々な実施形態による、アイコン要素を充填またはコーティングすることなく、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、第1及び第2のアイコン層のアイコン要素がコーティングされた、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図3】本開示の特定の実施形態による、第2のアイコン層のアイコン要素が充填されている、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、第1のアイコン層のアイコン要素が充填され、第2のアイコン層のアイコン要素がコーティングされている、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図5】本開示の様々な実施形態による、個別の光学スペーサを有さない、アイコン要素が充填またはコーティングされていない、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図6】本開示の特定の実施形態による、第1及び第2のアイコン層のアイコン要素が埋め込まれている、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図7】本開示の様々な実施形態による、第1のアイコン層のアイコン要素が、コーティングまたは充填されたポストになっており、第2のアイコン層のアイコン要素が充填されたボイドになっている、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図8】本開示の特定の実施形態による、第1のアイコン層のアイコン要素が、コーティングまたは充填されたポストになっており、第2のアイコン層のアイコン要素が、コーティングされたポストになっている、OVEをもたらすOVSDの断面図を示す。
図9】本開示のいくつかの実施形態による、コーティングされた第1のアイコン層のアイコン要素、及び充填されたポストである第2のアイコン層のアイコン要素を含む、OVEをもたらすOVSDの断面図で示す。
図10】本開示の特定の実施形態による、コーティングされたアイコン要素を含む第1及び第2のアイコン層を含み、ローリングバーの形態でOVEをもたらすOVSDの等角断面図を示す。
図11】本開示のいくつかの実施形態による、ローリングバーOVEを含む紙幣におけるOVSDの等角断面図を示す。
図12】本開示の様々な実施形態による、第1のアイコン層が充填されたポストを含み、第2のアイコン層が第2の透明材料で部分的に充填され、ポストの間の領域が部分的にのみ充填されたOVSDの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
コントラスト材料に関して本明細書で使用される「コート」または「コーティング」という用語は、ボイド内のコントラスト材料がボイドの深さの50%未満を占めるように、ボイドへのコントラスト材料の適用を包含する。特定の実施形態によれば、「コート」または「コーティング」は、基部及び任意選択で側壁を含むボイドの境界の形状を倣う。本明細書で他動詞として使用される場合、「コート」または「コーティング」は、ボイド間のポストまたは固体領域にコートを適用することを包含する。
【0023】
本明細書で使用される「コントラスト材料」という用語は、アイコン層の一部として組み込まれると、アイコン要素と周囲/隣接する材料との間に目に見える区別を形成する材料を包含している。
【0024】
本明細書で使用される「寸法的なずれ」という用語は、アイコン要素の第1のアレイのアイコン要素とアイコン要素の第2のアレイのアイコン要素との間のサイズ、形状、または局所的角度の1つ以上での違いを包含している。
【0025】
コントラスト材料に関して本明細書で使用される「充填」または「充填する」という用語は、ボイド内のコントラスト材料がボイドの深さの50%以上を占めるようにコントラスト材料をボイドに適用すること、またはコントラスト材料でポストを印刷することを包含する。
【0026】
アイコン要素またはアイコン要素のセットに関して本明細書で使用される「高解像度」という用語は、(i)0.5μmから約6.5μmの範囲の幅を有する線及び/またはドット、もしくは(ii)7.7μm未満の間隔を有する線及び/またはドットのうちの少なくとも1つを包含する。
【0027】
ボイドに関して本明細書で使用される「孔」または「スルーホール」という用語は、OVSDの層の一方の側から少なくともその層(例えば、第1のアイコン層、第2のアイコン層、または光学スペーサ)の別の側まで延びるOVSDの構造または領域を包含する。
【0028】
本明細書でポストに関して使用される「メサ」という用語は、それらが幅よりも高いポスト(すなわち、それらの基部からの延長部)を包含する。
【0029】
本明細書で使用される「光学的可変効果」または「OVE」という用語は、光学的可変セキュリティデバイスが変化する視点から見られると、位置、サイズ、形状、または色の少なくとも1つを変化させる合成画像などの画像または画像セットの表示または投影を包含する。
【0030】
本明細書で使用される「周期的ずれ」という用語は、アイコン要素の第2のアレイに対する、アイコン要素の第1のアレイの1つに存在するアイコン要素のアレイの周期の違いを包含する。
【0031】
本明細書でポストに関して使用される「プラトー」という用語は、基部が高さよりも広い(すなわち、第1のアイコン層または第2のアイコン層からの延長)ポストを包含する。
【0032】
本明細書でポストに関して使用される「突起」という用語は、互いに平行でない側面を有するか、またはそれらの基部に平行でない上部を有するポストを包含する。
【0033】
ボイドに関して本明細書で使用される「凹み」という用語は、それが形成される層の厚さ内で終了する深さを有するOVSDの領域を包含する。
【0034】
本明細書で使用される「回転的ずれ」という用語は、アイコン要素の第1のアレイの1つの繰り返しパターンの、アイコン要素の第2のアレイの1つの繰り返しパターンに対する角度配向の差を包含する。
【0035】
本明細書で使用される「間隔寸法」という用語は、アイコン要素のアレイ、またはその一部分を形成する2本の線、2つのドットの間、または線とドットの間など、連続するアイコン要素間の領域(ギャップなど)の測定値を包含する。
【0036】
本明細書で使用される「合成色」という用語は、OVSDによって投影された色または色のセットを包含し、投影された色は、投影されている色(複数可)とは異なる色の顔料を有するアイコン要素またはアイコン要素のセットからのもの、または顔料や色のないアイコン要素(複数可)からのものである。
【0037】
本明細書で使用される「合成画像」という用語は、OVSDによって投影された画像または画像のセットを包含し、投影された画像は、アイコン要素、アイコン要素のセット、または1つのアイコン層内のアイコン要素の一部から生成されており、これらは(i)拡大ツールや別のオーバーレイされたアイコン層のような、視覚的支援なしでは人間が観察できないもの、または(ii)アイコン要素の一部が組み合わせられて投影画像を形成するような、1つのアイコン層のアイコン要素(複数可)によって提供される画像が投影された画像と異なる場合のいずれかである。
【0038】
本明細書で使用される「ボイド」という用語は、OVSDの材料層(例えば、第1のアイコン層、第2のアイコン層、または光学スペーサ層)に形成された凹みまたは孔を包含する。
【0039】
本明細書で使用される「幅寸法」という用語は、線の幅またはドットの幅などのアイコン要素を横切る幅を包含する。
【0040】
本明細書で使用される「ゾーン的ずれ」という用語は、アイコン要素の第1のアレイの1つの局所領域におけるアイコン要素の第2のアレイに対する寸法的、回転的または周期的ずれの差を包含する。
【0041】
現在まで、少なくとも上記で特定された欠陥のいくつかを回避するために、レンズレスシステムを使用して準備することができるセキュリティデバイスの必要性が依然としてある。さらに、高解像度のアイコン要素と共に製造できるセキュリティデバイスの必要性が依然としてあり、それにより、偽造者が複製することをはるかに困難にすると同時に、高解像度画像もまた生成している。さらに、従来の光セキュリティデバイスに必要な位置合わせの制約を低減できるセキュリティデバイスの必要性が依然として残っている。本発明者らは、意外にも本開示による特定の実施形態を通じて、この目的を少なくとも部分的に推進できることを見出した。
【0042】
本開示の様々な実施形態によれば、OVSDは、アイコン要素の第1のアレイを有する第1のアイコン層、及び第1のアイコン層に結合され、アイコン要素の第2のアレイを有する第2のアイコン層を含む。第1のアイコン層及び第2のアイコン層は、OVSDが第1のアイコン層及び第2のアイコン層のうちの少なくとも1つを通して見られるときに合成画像または合成色が生成されるように、互いに向けて配置されている。
【0043】
様々なタイプのアイコン要素が、OVSDの適切な実施形態と見なされる。いくつかの実施形態では、アイコン要素は、(細長い)線もしくはドットまたはそれらの組み合わせを含む。本明細書における線またはドットへの言及は、線またはドットが任意の形状または形状の組み合わせに細工されていると想定する実施形態を包含する。例えば、線は、三角形、長方形、台形、菱形、ドーナツ状、楕円形、またはそれらの組み合わせを形成してもよく、より基本的な形状の集まりから構成される複雑な形状を含む。線またはドットは、好ましいパターンに、または好ましい証印(文字、数字、記号など)に配列されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、線またはドットは、第1または第2のアイコン層のうち1つの中への形状に配列され、第2のアイコン層を通して見たときに、光学的可変効果(OVE)を有するローリングバーがOVSDによって投影される。様々な例示的なOVEが本明細書でさらに議論される。
【0044】
本開示の様々な実施形態によるOVSDは、高解像度アイコン要素を採用している。本開示による特定の実施形態では、アイコン要素の解像度は、これらの従来式印刷技術よりも微細になっている。実際、様々な実施形態では、この解像度は、本発明のアイコン要素の解像度で印刷された証印が肉眼では知覚できないようなものである。しかしながら、第1または第2のアイコン層のうち少なくとも1つにあるアイコン要素は、他のアイコン層を通して見たときに、OVEの形で依然として知覚可能である一方で、高解像度で形成され得ることを意外にも見出した。本開示による特定の実施形態では、すべてのアイコン要素は、高解像度アイコン要素である。特定の実施形態では、例えば、高解像度及び低解像度のアイコン要素が特定のパターン(複数可)を提供するように配置されている実施形態では、アイコン要素の一部のみが高解像度アイコン要素である。様々な実施形態では、第1のアイコン層及び第2のアイコン層の両方のアイコン要素は、高解像度アイコン要素である。一実施形態において、第1及び第2のアイコン層のうちの1つにおけるアイコン要素は高解像度である。本開示によるいくつかの実施形態において、アイコン要素の第1のアレイ及びアイコン要素の第2のアレイの少なくとも1つのアイコン要素は、約0.5μm~約6.5μmの範囲の幅(線またはドット)寸法または7.7μm未満のアイコン要素間の間隔寸法を有する。
【0045】
本開示による様々な実施形態において、高解像度は、約0.5μm~約6.5μmの範囲の線幅によってもたらされる。特定の実施形態によれば、線幅は、約0.5μm~約5μmである。
【0046】
様々な実施形態において、高解像度は、7.7μm未満の線間隔によってもたらされる。いくつかの実施形態によれば、線間隔は、約0.5μm~約5.5μmである。
【0047】
特定の実施形態によれば、高解像度は、約0.5μm~約6.5μmのサイズの範囲のドット幅によってもたらされる。いくつかの実施形態では、ドット幅は、0.5μm~約5μmである。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、アイコン要素の高解像度は、約1.0μm~約6.5μmの範囲の線/ドットピッチによってもたらされる。特定の実施形態によれば、線/ドットピッチは、約1.0μm~約4.0μmの範囲である。特に、線/ドットピッチの変動性は、いくつかの実施形態では、離散領域に限定されない。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、7.7μm未満のドット間隔によって高解像度がもたらされる。様々な実施形態において、間隔は、約0.5μm~約5.5μmである。
【0050】
特定の実施形態において、このOVSDはレンズレスシステムであり、従って、合成画像または合成色を生成するためにマイクロレンズまたはレンチキュラーレンズを必要としない。特に、本開示の様々な実施形態によるOVSDは、OVEで合成画像または合成色を生成するためのレンズシステムを必要としない。
【0051】
第1のアイコン層のアイコン要素の第1のアレイ、及び第2のアイコン層のアイコン要素の第2のアレイは、本開示による特定の実施形態では、それらが光学的可変効果(OVE)を有する合成画像を提供するように、互いに向けて配置されている。例えば、いくつかの実施形態では、OVSDによって生成されたOVEを有する合成画像は、ローリングバーを含む。少なくとも1つの実施形態では、OVEを有する合成画像は、多色のローリングバーを含む。様々な実施形態では、OVEはカラースイッチであり、それにより、OVSDが概して静的な視点(例えば、観察者の眼球)に対して傾斜するにつれて、合成画像の少なくとも一部が1つの色から別の色に変化する。特定の実施形態において、OVEは、OVSDのアイコン層において見られる色の組み合わせとして形成される合成色を含む。本開示による特定の実施形態では、第1及び第2のアイコン層は、ローリングバーを含む可変合成画像が生成されるように結合され、その結果、観察者の視点(POV)がOVSDに対して変化すると、ローリングバーが移動するように見える。本開示の特定の実施形態によるローリングバーのOVEは、互いにインターリーブされた少なくとも2セットのバーを含む。
【0052】
本開示による特定の実施形態では、OVSDはカラースイッチOVEをもたらし、OVSDが異なる角度から見られると、合成画像またはその一部の色が1つの色から別の色に変化する。例えば、本開示による特定の実施形態では、アイコン要素の第1のアレイは、第1の色(例えば、黒色顔料)で充填またはコーティングされたボイドを含み、アイコン要素の第2のアレイは、空のボイドを含む。アイコン要素の第2のアレイに近い側からOVSDを見ると、ローリングバーのOVEがもたらされ、このバーのフルセットは、交互に配置されたバーの複数のセットで構成されており、バーの第1セットは、ローリングバーの第2のセットの間に交互に散在する個別のバーを有する。ローリングバーの第1のセットは第1の色を提供し、バーの第2のセットは第2の色を提供する。視点が変わるようにデバイスを傾けると、それぞれのセットにおける色が変化する。一非限定的な実施例として、少なくとも1つの実施形態では、ローリングバーの第1のセットは本来の青色を提供し、バーの第2のセットは本来の緑色を提供する。OVSDを傾けられると、ローリングバーの第1のセットの本来の青色がOVE緑色に変わり、本来の緑色がOVE青色に変化する。当然ながら、本出願の文脈では、第1の色を第2の色に切り替える必要はなく、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のうちの少なくとも1つにおいてアイコン要素のパターンを変更することで多数の色の切り替えが促進されるため、第2の色を第1の色に切り替えることができることを理解すべきである。カラースイッチは、ローリングバーを含む合成画像に関連して説明されているが、合成画像は、アイコン要素の配置に応じて異なるパターンをとってもよく、従って、カラースイッチは、それらの合成画像の異なるパターンにも適用され得ることを理解すべきである。少なくとも1つの実施形態では、ローリングバーの第1のセットは、青色から緑色に変化する。特定の実施形態によれば、OVEの一部として提供される観察された色シフトは、OVSDの薄層を透過及び反射する光によって生成される干渉により現れ、それを薄膜光学フィルタとして機能させる。素材の様々な厚さは、様々な色に変換される。OVSD素材が傾斜すると、観察者の目に対する光の光路長も変化し、フィルタの影響を受ける波長が変化し、それにより色が変化する。別の実施形態では、ローリングバーの第1のセットは、境界色を有する境界バーを含む。POVが変更されると、境界バー、ローリングバーの第1のセット、及びローリングバーの第2のセットの境界色がそれぞれ第1の色から第2の色に変化する。本開示による特定の実施形態では、OVSDは合成色を投影し、合成画像は、アイコン要素の充填、コーティング、または印刷に使用される顔料と区別できる色を有する。例えば、一特定の実施形態においては、アイコン要素は黄色の顔料で充填またはコーティングされているが、合成画像は黄色及び/または緑色で投影され、それによって合成色を生成する。第1のアイコン層と第2のアイコン層の相対的な配置、層間の間隔、及びアイコン要素のサイズ分布/配置に応じて、他の合成色または色の組み合わせも生成されることができる。
【0053】
本開示による特定の実施形態では、OVSDは、ローリングバーOVEをもたらし、そこでアイコン要素の第1のアレイ及びアイコン要素の第2のアレイが結合されて、これらがローリングバーのセットを提供するようになっている。ローリングバーの第1のセットは、ローリングバーの第2のセットと交互に散在している。傾斜などによってOVSDのPOVが変化すると、ローリングバーの両方のセットが位置を変化または切り替えるように見える。本開示による実施形態によって提供されるOVEは、ローリングバーに限定されず、視点の変更によって生成されるOVEは、特定の方向への移動に限定されないことを理解すべきである。例えば、合成画像の第1のセット(例えば、ローリングバー)は、第1の方向に移動してもよく、一方、別のセットは、異なる方向に移動する。本開示による特定の実施形態では、ローリングバーは、視差直交移動を伴って(すなわち、傾斜方向に垂直に)移動する。例えば、ローリングバーは、観察者の視点の変化に応じて任意の方向に移動させることができる。例えば、本開示による特定の実施形態では、線が複数層のうち1つに使用され、その後、材料は(設計/移動の目的で)レンチキュラー材料として機能し、一方向の傾斜に沿ってのみ移動する。しかし、第2の層の線の相対ピッチ/角度が調整され、モアレ線の動きを様々な方向に向けることができる。
【0054】
上述のように、本開示による特定の実施形態では、OVSDは、合成色OVEをもたらす。本開示で使用される合成色は、アイコン要素の第1のアレイ、またはアイコン要素の第2のアレイの1つの一部を形成する着色材料から投影された画像色を包含し、ここで、投影された画像色は少なくとも1つの色を含み、これは、アイコン要素のアレイに見られる着色材料の色とは異なっている。好ましい実施形態では、アイコン要素のアレイは、濃い顔料で充填されるかまたはコーティングされており、これが黄色境界線を有する緑色バーである多色バーの第1のセット、及び第1のセットの間に散在する青色バーの第2のセットを生成する。第1のアイコン層と第2のアイコン層の間の間隔を調整することで、ローリングバーとそれに対応する境界領域についてカラーセットが異なるようになる。本開示による特定の実施形態では、ローリングバーは、別個の境界領域を備えていないか、または境界領域は、それらが結合されているローリングバーと同じ色になっている。
【0055】
特定の実施形態によれば、様々なアイコン要素が、参照により本明細書に組み込まれるSteenblikらのPCT/US2004/039315に記載されている。本明細書では、アイコン要素は、ボイド、ポスト、またはそれらの組み合わせであり得ることが企図される。本開示による特定の実施形態では、ボイドは平行な側面を有しており、それらが形成される層のいずれかの側からもテーパ状にならないようになっている。本開示による特定の実施形態では、ボイドは平行でない側面を有しており、層の少なくとも一方の側から他方に向かってテーパ状になるようになっている。いくつかの実施形態では、このテーパは、外層から内層に向かうものである。アイコン要素は、例えば、レーザーパターニング、フォトリソグラフィ、機械加工、エンボス加工、印刷、射出成形、他の成形技術、またはそれらの任意の組み合わせを含む様々な方法によって形成されることができる。様々な実施形態において、ボイドまたはポストは、ボイド形成要素の所定のパターンを含むエンボス加工ツールを適用することによって、アイコン層内に形成される。1つ以上の実施形態では、アイコン層は、エンボス加工された場合、未硬化のポリマー配合物である。アイコン層は次いで硬化され、エンボス加工ツールが取り除かれる。本開示による様々な実施形態において、次いで、ボイドは、顔料または反射性材料(例えば、反射性金属、合金など)などのコントラスト材料で充填される。本明細書で使用されるボイドという用語は、凹み及び孔を包含する。本開示の様々な実施形態によると、孔は、OVSDの少なくとも1つの層を通って延びるが、いくつかの実施形態によると、凹みは、OVSDの単一層内で開始して終了する。少なくとも2つのアイコン層は、同時にまたは連続して形成され、次いで結合され得る。例えば、本開示による特定の実施形態では、第1の予備アイコン層は、第2の予備アイコン層の上に重ねられている。本開示で使用される場合、「予備的」という用語は、アイコン層が、合成画像または合成色を形成するために必要なアイコン要素を欠いていることを示すことを包含している。予備的な(いくつかの実施形態では、ポリマー製である)アイコン層を互いに重ね合わせて予備的な複合アイコン積層を形成した後、エンボス加工ツールを複合アイコン積層の対向する表面と接触させる。第1のアイコン層の第2のアイコン層への位置合わせは、同時的なエンボス加工によって改善できることが見出された。それにもかかわらず、本明細書では、第1のアイコン層が第2のアイコン層の前にエンボス加工されてもよく、またはその逆もまた企図される。いくつかの実施形態では、アイコン要素は、線及びドットの様々な形状をとってもよく、それらは、それら自体が特定の証印である、及び/または証印のパターンに配置されている。ボイドは、例えば、電気めっき、無電解めっき、蒸着(例えば、化学蒸着または物理蒸着)、モノマー蒸着、スパッタリング、スピンコーティング、ロールコーティング、他のコーティング方法、及びそれらの任意の組み合わせを含む様々な方法によってコーティングされてもよい。
【0056】
本開示による特定の実施形態では、アイコン要素は、OVSDの層上または層内に形成されたポストを含む。本開示による特定の実施形態では、ポストは、コントラスト材料をOVSD基材層の表面に転写することができるエンボス加工ツールまたは印刷ツールを使用して形成される。本開示による特定の実施形態では、ポストは、高解像度の線またはドットを提供する印刷ツールを使用して形成されている。本開示の範囲内で、ポストは様々な形状をとってもよいと考えられる。しかしながら、好ましい形状は、プラトー、突起、またはメサであることが現在見出されている。
【0057】
OVEまたは合成色の観察は、第1のアイコン層に近い側から、または第2のアイコン層に近い側から、もしくはOVSDの両側からなど、OVSDのいずれかの側からOVSDを見ることによって行ってもよい。本開示による特定の実施形態では、OVEは、アイコン層の1つから観察可能である。本開示による特定の実施形態では、OVEは、第1のアイコン層及び第2のアイコン層の両方から観察可能である。ポリマー製紙幣では、OVSDのOVEがOVSDのいずれかの側からも観察可能であることが有用であることが分かっている。特定の実施形態では、一方の側だけが充填/コーティングされたアイコン要素を有する場合であっても合成画像または合成色は両側から観察可能であるが、第1のアイコン層及び第2のアイコン層がアイコン要素で等しく充填/コーティングされていることが好ましい。いくつかの実施形態では、合成画像は、観察者に近接するアイコン層によってもたらされる干渉から形成される。この干渉は、アイコン層のいずれかまたは両方が充填されているか、コーティングされているか、空であるか、またはそれらの任意の組み合わせで提供されることができる。例えば、本開示による特定の実施形態では、観察者に近接する第1のアイコン層は、空のボイドであるアイコン要素を有し、同時に観察者の遠位にある第2のアイコン層は、充填されたボイドであるアイコン要素を有する。第1のアイコン層を第2のアイコン層に整合させることで、OVSDが傾いたり、観察者の視点が変わったりすると色が変わる2セットの散在するローリングバーを生成する。様々な実施形態において、第1のアイコン層及び第2のアイコン層の両方には、部分的に充填またはコーティングされたいずれかのアイコン要素が設けられている。整合及び/または間隔の調整により、所望のOVEをもたらすことができる。アイコン要素の間隔、繰り返し周期、またはパターン化の調整は、いくつかの実施形態では、所望のOVEをもたらすためにシステムを調整して実行され得る。
【0058】
本開示による実施形態では、第1のアイコン層の第2のアイコン層への結合は、直接的または間接的であり得ることが企図されている。本開示による特定の実施形態では、第1のアイコン層及び第2のアイコン層は互いに結合され、OVSDの少なくとも一方の側から見たときに、少なくとも1つの光学的可変効果がOVSDによってもたらされるようになっている。しかしながら、特定の実施形態では、追加的構成要素または層が、第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に配置されている。第1及び第2のアイコン層が直接結合されることが好ましいが、そのような実施形態では、結果として生じるOVSDはより薄くなり得るので、特定の実施形態では、個別の光学スペーサ層が第1のアイコン層と第2のアイコン層の間に配置される。好ましくは、アイコン層及び光学スペーサは、同じ透明性または半透明性及び屈折率を有する。しかしながら、特定の実施形態では、アイコン層及び/またはスペーサ層は、別個の材料配合物を含む。代替的に、追加的層が、複合アイコン構造の1つ以上の外面上に配置され得ることも企図されている。
【0059】
特定の実施形態によれば、OVSDは、第1のアイコン層が充填されたポストで構成され、第2の層が充填されていないままであるように構築されている。いくつかの実施形態では、合成画像の鮮明度とコントラストは、第2のアイコン層のポスト間のスペースを部分的に充填するように適用される透明材料を追加することによってさらに強化することができる。この材料は、OVSDの製造段階で適用される添加剤であり得、これは透明なスレッド接着剤であるか、または工程の製紙段階で適用される液体ポリマーでもあることができる。適切な透明材料の実施例には、ポリビニルアルコール、ゼラチン、またはポリウレタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
特定の実施形態によれば、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のうちの少なくとも1つは、干渉層として機能する。少なくとも1つの実施形態では、観察者に近接する第1のアイコン層は、空であるか、または第2のアイコン層とは異なるパターンで充填されたアイコン要素を含み、第2のアイコン層は観察者の遠位にあり、コントラスト材料のポストであるアイコン要素を含んでいる。第1の層によってもたらされる干渉は、OVSDが変化する視点から見られるとOVEをもたらす。従って、第1のアイコン層及び第2のアイコン層にあるアイコン要素は、同じであってもよく、または異なっていてもよく、または同じであって、異なるように、もしくは同じように充填/コーティングされていてもよいことを理解すべきである。この例示的な実施例では、第1のアイコン層はボイドを含み、第2のアイコン層はポストを含んでいたが、その逆もまた本開示の範囲内である。
【0061】
好適なアイコン要素及びそれらを提供する方法は、国際特許出願公開WO2005/052650、WO2006/125224、WO2008/008635、WO2011/019912、WO2011/163298、WO/2013/028534、WO2014/143980、WO2009/017824、WO2016/044372、WO2016/011249、WO2013/163287、WO2007/133613、WO2012/103441、及びWO2015/148878、WO2005/106601、WO2006/08713に記載されており、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。好ましい実施形態では、アイコン層は、実質的に透明またはクリアな放射線硬化性材料を使用して形成されており、これらはアクリル、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどを含むがこれらに限定されない。様々な実施形態によれば、アイコンアレイは、製品名称U107の下でLord Chemicalsから入手可能なアクリル化ウレタンのようなアクリル化ウレタンを使用して形成されている。特定の実施形態では、光学スペーサの下部平面上に形成されたアイコンの凹みは、それぞれ、約0.5から約8μmの深さであり、マイクロ画像またはアイコンの幅では典型的に30μmである。
【0062】
画像アイコン要素を形成するレリーフ構造は、実施形態に応じて、マイクロサイズ、ナノサイズ、マクロサイズ、またはそれらの任意の組み合わせを含んだ様々なサイズであり得る。ナノサイズまたはマクロサイズが適切であると考えられると同時に、マイクロサイズの画像アイコン要素が使用されることが好ましい。本発明者らは、マイクロサイズの画像アイコン要素を利用する特定の実施形態が、比較的良好な製造性を示すことを見出した。
【0063】
本開示による特定の実施形態では、OVSDは光学スペーサを含み、第1のアイコン層及び第2のアイコン層は、光学スペーサの対向する側に一体化されている。本開示を考慮すると、当業者には、様々な光学スペーサが明らかになる。従って、光学スペーサの厚さが増加するにつれて、例えば、OVSDを傾けることによって視点を変えると、特定の実施形態で説明したように、バーがより速く切り替わるかまたは転がるように見える。様々な実施形態によれば、OVSDは、50μm以下(45μm未満、40μm、及び35μmを含む)の厚さを有する。意外なことに、30μm未満の厚さでも、OVEが認識され得ることを発見した。このことは、特にOVEがOVSDの両側から認識され得る実施形態において観察可能である。干渉は、第1アイコン層と第2アイコン層の両方にコントラスト材料が存在することで特に助長され、これにより、OVEが驚くほど向上する。
【0064】
同様に、本開示によるOVSDの様々な実施形態では、追加の構成要素/層は、限定されるものでないが、光学スペーサ、コーティング層、タイ層、マスターレリーフラッカー層、パターン化された金属層、反射層、不透明化層、蒸着層、色シフト構造層、防汚層、硬化層、または着色もしくは染色された層を含む。マイクロ画像要素または画像アイコン要素の複数のアレイもまた、画像投影システムの一部として一体化されることも企図される。同様に、1つ以上の追加的アイコン層が、第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に配置されることも企図される。意外にも、レンズ層なしで2つのアイコン層を使用することにより、シーリング層の必要性を回避することが可能であることが見出されたが、シーリング層が依然として、第1のアイコン層または第2のアイコン層のうちの少なくとも1つが部分的または完全に密封される、OVSDを含む本開示による実施形態であると企図されることを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、特にボイドが空きスペースを有する場合、シーリング層はボイドを占有し、一方、他の実施形態では、シーリング層は、第1及び第2のアイコン層のうち少なくとも一方の上面のみを覆う。他の実施形態では、シーリング層は、OVSD全体を覆う。
【0065】
特定の実施形態では、OVSDによって投影された合成画像は、アイコン要素の第2のアレイに対するアイコン要素の第1のアレイのずれによるものである。本開示による特定の実施形態では、2つのアレイ間のそのようなずれ合は、モアレ画像を生成する。
【0066】
本開示による特定の実施形態では、ずれは、寸法的ずれ、回転的ずれ、周期的ずれ、またはゾーン的ずれのうちの少なくとも1つに起因する。本開示による特定の実施形態では、第1のアイコン層のアイコン要素は実質的に均一であるが、第2のアイコン層のアイコン要素に対してサイズが異なり、それによって寸法的ずれをもたらす。そのような寸法的ずれはまた、第2のアイコン層のアイコン要素に存在するサイズ変化のパターンとは異なるパターンで、第1のアイコン層全体にわたるアイコン要素のサイズを変化させることによって提供され得る。本開示による特定の実施形態では、周期的ずれがもたらされ、それにより、アイコン要素は、第1のアイコン層において均一に間隔を空けられるが、第2のアイコン層において提供される間隔とは異なる間隔で配置されている。あるいは、アイコン要素の間隔は、第1のアイコン層において不均一であり得るが、パターンは、第2のアイコン層のアイコン要素の間隔パターンとは異なっており、それにより、周期的ずれをもたらしている。本開示による特定の実施形態では、ゾーン的ずれは、第1のアイコン層の特定のゾーンに存在するアイコン要素を有する第1のアイコン層を包含し、第2のアイコン層の対応するゾーンは、異なるサイズ、形状、または間隔を有するアイコン要素のゾーンである。
【0067】
本開示による特定の実施形態では、アイコン層は、コントラスト材料に組み込まれ得る。少なくとも1つの実施形態では、ボイドは、コントラスト材料で充填またはコーティングされている。いくつかの実施形態では、いくつかのアイコン要素は充填され、一方で、その他のものはコーティングされ、アイコン要素のアレイが充填されたアイコン要素とコーティングされたアイコン要素の両方を含むようになっている。本開示による特定の実施形態では、アイコン要素は、コントラスト材料でコーティングされたボイドであり、ボイドの深さの50%未満がコントラスト材料によって占められるようになっている。好ましくは、材料は、ボイドの深さの45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、及び5%未満を占め、基部と側壁を含むボイドの境界の形状をとっている。本開示による特定の実施形態では、アイコン要素は、コントラスト材料で充填されたボイドであり、ボイドの深さの50%以上がコントラスト材料によって占められるようになっている。好ましくは、ボイドの深さの60%、70%、80%、90%、95%、99%超が、コントラスト材料によって占められている。ボイドは、着色樹脂、インク、染料、金属、または磁性材料などの任意の適切なコントラスト材料で充填されることができる。例示的な実施形態では、ボイドは、SunChemicalCorporationから製品名Spectra Pacで入手可能なサブミクロン顔料を含む着色樹脂で充填されている。
【0068】
本開示による特定の実施形態では、ポストは、コントラスト材料で印刷されているか、またはコントラスト材料でコーティングされている。本明細書で言及されるポストの印刷は、ポストが何らかの印刷手段によって形成されていることを示し、これが高解像度を有するポストを提供するか、またはポストが何らかの高解像度エンボス加工工程によってレリーフ構造の固体領域として形成されていることを意味している。ポストが印刷工程によって形成される場合、コントラスト材料が印刷媒体(例えば、インク)に含まれており、それによってポストを充填することが好ましい。あるいは、ポストがエンボス加工工程によって形成される場合、コントラスト材料が、ポストの露出された側面をコーティングするコーティングを通して適用されることが好ましい。
【0069】
本開示による特定の実施形態では、第1及び第2のアイコン層の両方が、ポスト及び/またはボイドであるアイコン要素を含む。本開示による特定の実施形態では、アイコン要素の第1のアレイの1つがポストを含み、アイコン要素の第2のアレイがボイドを含む。ボイドまたはポストは、上記のように充填またはコーティングされてもよい。
【0070】
意外にも、本開示による特定の実施形態は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層の両方を形成するための高解像度アイコンツールの使用を可能にし、それらが重ね合わされると、OVEがもたらされるようになっていることが見出された。これまで、高解像度のアイコンツールがレンズベースのシステムの位置合わせの課題を提示することが理解されていた。意外にも、本開示の実施形態による両方の高解像度アイコン層を含むOVSDは、改善された位置合わせをもたらすだけでなく、合成画像及び合成色の投影ならびにOVEも可能にする。
【0071】
本開示による特定の実施形態は、貴重品を認証するために本明細書に開示されるOVSDの使用を提供する。本開示による特定の実施形態では、OVSDは、製品に結合され、それにより、高解像度のアイコン要素を使用して、OVEをもたらす。OVSDの貴重品への結合は、本開示を考慮して、当業者には明らかである様々な接着剤によるものであり得る。例えば、OVSDを紙幣基材に結合する適切な手段は、熱活性化または水活性化の接着剤によるものであってもよい。追加的または代替的に、OVSDは、紙幣基材の製造中に紙に織り込まれてもよく、それによって完全にまたは部分的(例えば、ウィンドウ)に埋め込まれている。別の実施形態では、紙幣基材はポリマー製であり、OVSDは紙幣基材の少なくとも一方の側に結合されている。あるいは、本開示による特定の実施形態では、ポリマー製紙幣基材は光学スペーサとして機能し、第1のアイコン層が基材の第1の側に配置され、第2のアイコン層が基材の第2の側に配置されるようになっている。本開示による特定の実施形態では、OVSDは、紙基材内のウィンドウ内のポリマーとして機能する。OVSDは、紙幣に使用されるもの以外の他の基材に結合され得ることもまた企図される。例えば、本開示による特定の実施形態では、OVSDは、消費者製品を認証するために使用されるセキュリティラベルに結合されている。OVSDは、セキュリティ文書(例えば、紙幣)について本明細書で説明されているように、ラベルに結合してもよい。
【0072】
本開示による様々な実施形態は、本明細書に開示されるようなOVSDを製造する方法を含む。本開示による特定の実施形態では、本方法は、光学スペーサ層を提供し、本明細書で説明するように光学スペーサ層の第1の側に第1のアイコン層を形成し、同様に、光学スペーサの第2の対向する側に第2のアイコン層を形成し、第1のアイコン層の上またはその中にアイコン要素のアレイを形成し、第2のアイコン層の上またはその中にアイコン要素の第2のアレイを形成することを含み、ここで、アイコン要素は高解像度アイコン要素になっている。好ましくは、アイコン要素の第1及び第2のアレイが同時に形成される。しかしながら、アイコン要素が埋め込まれている本開示による特定の実施形態では、アレイは順次形成され、次いで光学スペーサの対向する側に結合される。構成要素層(すなわち、アイコン層、スペーサ層など)は、本明細書で説明されている通りである。
【0073】
本方法の開示による特定の実施形態では、第1のアイコン層及び第2のアイコン層が一緒に結合されて、ローリングバー、合成色、またはカラーシフトなどの少なくとも1つのOVEを生成する。アイコン要素は、幅が0.6μm~約5.5μm、または間隔が約7.7μm未満の高解像度アイコン要素である。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、貴重品を認証する方法が提供されており、本開示による特定の実施形態では、本方法は、OVSDを貴重品に結合することを含む。貴重品を認証することは、所定のOVEを確認するためにOVSDを調べることを含む。
【0075】
本開示の別の態様では、貴重品が提供されており、本開示による特定の実施形態では、貴重品は基材界面及びOVSDを含み、OVSDは基材界面に結合されている。
【0076】
別の態様では、紙幣は、(i)第1の側及び対向する第2の側を有する基材層、(ii)アイコン要素の第1のアレイを有する第1のアイコン層、及び(iii)アイコン要素の第2のアレイを有する第2のアイコン層を含むように提供されており、アイコン要素は高解像度アイコン要素である。第1のアイコン層及び第2のアイコン層は、複合構造を形成するために結合され、複合構造が複合構造の少なくとも1つの側から見られたときに少なくとも1つの光学的可変効果が観察されるようになっている。好ましくは、OVEは、ローリングバー、合成色またはカラーシフトから選択される。本開示による特定の実施形態では、OVEは、複合構造の両側から観察可能である。本開示による特定の実施形態では、基材層は、ポリマー材料またはセルロース材料のうち少なくとも1つである。
【0077】
本開示による特定の実施形態では、基材層は、第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に配置される。あるいは、光学スペーサを第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に配置して、次いで、基材層の第1の側または第2の側の少なくとも1つに結合される複合構造を形成する。本開示による特定の実施形態では、複合構造は、表面が、適用された窓付きの、または埋め込まれたパッチまたはスレッドの形態である。
【0078】
本明細書で説明されるOVSDは、添付の図面に例示されている特定の実施形態を参照することによってさらに説明される。
【0079】
図1は、本開示の様々な実施形態による、アイコン要素が充填またはコーティングされていない、OVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0080】
図1の非限定的な実施例を参照すると、OVSD10が示されている。特定の実施形態によれば、OVSD10は、第1のアイコン層11と第2のアイコン層13との間に配置された光学スペーサ12を含む。第1のアイコン層11は、充填されていないか、またはコーティングされていないアイコン要素11aのアレイを含む。図1の非限定的な実施例では、アイコン要素11aは凹んだ線として提供され、一方で、第2のアイコン層13は、凹んだドットの形態の充填されていない/コーティングされていないアイコン要素13aのアレイを含む。様々な実施形態によれば、アイコン要素11a及び13aは高解像度を呈し、第1のアイコン層11及び第2のアイコン層13は互いに結合され、位置がずれてOVEを生成する。
【0081】
一方で、図1の非限定的な実施例では、第1のアイコン層11のアイコン要素11aは凹んだ線を含み、第2のアイコン層13のアイコン要素13aは凹んだドットを含むが、ドットと線を逆にすることができること、もしくは、両方のアイコン層11、13がドットまたは線を含むことも考えられ、特に、第1のアイコン層11の個別のセクションのドットが第2のアイコン層13のドットと重なるか、または第1のアイコン層11のドットが第2のアイコン層13の線と重なるか、または第2のアイコン層13の線が第1のアイコン層11のドットと重なるようになっている。
【0082】
図1の実施形態による製造されたOVSDの実施例では、高解像度アイコン要素11a、13aは、レンズアレイを用いずにOVEを生成するOVSDを生成し、それにより、そのようなOVSDを偽造防止ツールとして使用することを可能にしている。特定の実施形態によれば、図1に示されるようなレンズレス構造は、製造工程を簡素化し、アイコン要素をレンズ構造に位置合わせするという課題を回避しながら、OVEの形成を可能にしている。さらに、図1に示すようなレンズレスOVSDの運用上の利点には、マイクロ光学レンズの汚れや損傷に関連する問題が回避されることが含まれる。
【0083】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、第1及び第2のアイコン層のアイコン要素がコーティングされているOVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0084】
図2の非限定的な実施例を参照すると、OVSD10の実施例が示されている。特定の実施形態によれば、光学スペーサ12が、第1のアイコン層11と第2のアイコン層13との間に配置されている。第1のアイコン層及び第2のアイコン層13は、特定の実施形態では、間接的に結合され、位置をずらして、OVSDによってOVEが投影されるようになっている。図2の例示的な実施例では、アイコン要素13a、11aは高解像度であり、第1のアイコン層11にコーティング14aを有し、第2のアイコン層13にコーティングされている。アイコン要素11a、13aのコーティング14aは、第1のアイコン層11のようにアイコン要素11aの基部をコーティングすることによって、または第2のアイコン層13のアイコン要素13aの基部のコーティング14a部分によって、または第2のアイコン層13にあるようなコーティング14a突起によって、などのように所望のパターンでコーティングされ得る。
【0085】
図3は、本開示の特定の実施形態による、第2のアイコン層のアイコン要素が充填された、OVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0086】
図3の非限定的な実施例を参照すると、OVSD10の実施例が示されている。様々な実施形態によれば、光学スペーサ12は、第1のアイコン層11と第2のアイコン層13との間に配置されている。各アイコン層11、13は、高解像度アイコン要素13aを有する部分を含む。様々な実施形態では、第1のアイコン層11のアイコン要素11a及び第2のアイコン層13のアイコン要素13aは、それらが回転方向でずれているようにアレイ状に配置されている。図3の例示的な実施例によれば、第2のアイコン層13のアイコン要素13aは、コントラスト材料充填物14bで充填されている。第1のアイコン層11に近い側から見ると、ローリングバーの形態のOVEが見える。
【0087】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、第1のアイコン層のアイコン要素が充填されており、第2のアイコン層のアイコン要素がコーティングされている、OVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0088】
図4の例示的な実施例を参照すると、本開示の様々な実施形態によるOVSDの一実施例が示されている。様々な実施形態によれば、光学スペーサ12は、第1のアイコン層11と第2のアイコン層13との間に配置されている。この例示的な実施例に示されるように、第1のアイコン層11のアイコン要素11aは、コントラスト材料充填物14bで充填されており、一方で、第2のアイコン層13のアイコン要素は、凹み13aの基部と側部の部分に沿って延びるパターンで、コントラスト材料コーティング14aでコーティングされている。第1のアイコン層11及び第2のアイコン層13は、光学スペーサ12の対向する側に同時に形成され、ずれてOVEを生成する。
【0089】
図5は、本開示の様々な実施形態による、個別の光学スペーサを有さず、また、充填またはコーティングされたアイコン要素を有していない、OVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0090】
図5の非限定的な実施例を参照すると、OVSD20の一実施例が示されている。いくつかの実施形態によれば、第1のアイコン層21は、第2のアイコン層23に直接結合されている。この例示的な実施例では、第1のアイコン層21と第2のアイコン層23との間に配置された光学スペーサはない。第1のアイコン層21及び第2のアイコン層23はそれぞれ、アイコン要素21a及び23aのアレイを有する。アイコン層21のアイコン要素21a、及びアイコン層23のアイコン要素23aは、高解像度アイコン要素であり、アイコン要素21a、23aが充填されていないか、またはコーティングされていなくても、ずれてOVEを生成する。
【0091】
図6は、本開示の特定の実施形態による、第1及び第2のアイコン層のアイコン要素が埋め込まれた、OVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0092】
図6の非限定的な実施例を参照すると、本開示の様々な実施形態によるOVSD30の一実施例が示されている。いくつかの実施形態によれば、光学スペーサ32は、第1のアイコン層31と第2のアイコン層33との間に配置されている。第1のアイコン層31及び第2のアイコン層33が形成され、次に光学スペーサ32の対向する側に結合されるように転写される。様々な実施形態によれば、第1のアイコン層31及び第2のアイコン層33の高解像度凹みは、それらの基部が光学スペーサから離れて設置され、それらの上部が光学スペーサ32の方に設置されるように埋め込まれる。アイコン層31、33のアイコン要素のアレイはずれており、高解像度アイコン要素31a、33aをそれぞれ含んでいる。図6の非限定的な実施例に示されるように、コントラスト材料は、凹みの中にコーティング34aとして配置されている。
【0093】
図7は、本開示の様々な実施形態による、第1のアイコン層のアイコン要素がコーティングまたは充填されたポストであり、第2のアイコン層のアイコン要素が充填されたボイドになっている、OVEをもたらすOVSDの断面を示している。
【0094】
図7の非限定的な実施例を参照すると、本開示の様々な実施形態によるOVSD40が示されている。OVSD40の特定の実施形態によれば、光学スペーサ42は、第1のアイコン層41と第2のアイコン層43との間に配置されている。この例示的な実施例に示されるように、第1のアイコン層41は、コーティング44aでコーティングされ、(例えば、印刷によって)充填物44bで充填された高解像度ポストを含む。第2のアイコン層43は、充填物44bで充填された高解像度の凹みを含む。第1のアイコン層41及び第2のアイコン層43は、位置がずれており、OVSDの視点が変化するにつれて変化する合成色を生成する。
【0095】
図8は、本開示の特定の実施形態による、第1のアイコン層のアイコン要素がコーティングまたは充填されたポストになっており、第2のアイコン層のアイコン要素がコーティングされたポストになっている、OVEをもたらすOVSDの断面を示している。
【0096】
図8の非限定的な実施例を参照すると、OVSD50が示されている。特定の実施形態によれば、OVSD50では、光学スペーサ52が、第1のアイコン層51と第2のアイコン層53との間に配置されている。第1のアイコン層51及び第2のアイコン層53は両方とも、高解像度アイコン要素のそれぞれのアレイ内のポストを含む。第1のアイコン層のポストは、充填物(例えば、印刷工程を通じて堆積された材料)54b及びコーティング54aを含み、一方で、第2のアイコン層53のポストは、ポストの側面及び上部の部分に沿って延びるパターンのコーティング54aを含む。第1のアイコン層51及び第2のアイコン層は、OVSDの両側から観察可能なOVEを生成するために位置がずれている。
【0097】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、コーティングされている第1のアイコン層のアイコン要素、及び充填されたポストである第2のアイコン層のアイコン要素を含むOVEをもたらすOVSDの断面を示す。
【0098】
図9の非限定的な実施例を参照すると、OVSD50が示されている。様々な実施形態によれば、OVSD50では、光学スペーサ52が、第1のアイコン層51と第2のアイコン層53との間に配置されている。この説明的な実施例では、第1のアイコン層51及び第2のアイコン層53は両方とも、高解像度アイコン要素のそれぞれのアレイ内のポストを含む。第1のアイコン層51のポストは、ポストの側面及び上部を覆う充填物54bを含み、一方で、第2のアイコン層53のポストは、特定の実施形態では印刷されたコーティング54aを含む。光学スペーサ52は、OVEの速度を上げるために必要に応じて調整され得る。第1のアイコン層と第2のアイコン層の位置は、OVEを生成するためにずれている。
【0099】
図10は、本開示の特定の実施形態による、コーティングされたアイコン要素を含む第1及び第2のアイコン層を含み、ローリングバーの形態でOVEをもたらすOVSDの等角断面図を示す。
【0100】
図10の非限定的な実施例を参照すると、OVSD60の等角図が示されている。特定の実施形態によれば、OVSD60では、光学スペーサ62は、第1のアイコン層61と第2のアイコン層63との間に配置されている。様々な実施形態において、光学スペーサ62は、約30μmの厚さを有する。この説明的な実施例に示されるように、第1のアイコン層61及び第2のアイコン層63の高解像度アイコン要素のアレイは、コントラスト材料(例えば、コーティング)64bでコーティングされている。第1のアイコン層61及び第2のアイコン層63は、様々な実施形態において、ずれてOVEを生成する。図10の非限定的な実施例では、OVEは、コントラスト材料の色とは異なる少なくとも1つの色を有するローリングバー65、66のセットを含む。この非限定的な実施例に示されるように、ローリングバー65の第1のセットは、境界65aを含む。
【0101】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による、「ローリングバー」OVEを有する紙幣内のOVSDの等角断面図を示す。
【0102】
図11の非限定的な実施例を参照すると、OVSD60を含む貴重品70が示されている。この例示的な実施例では、貴重品70は紙幣を含む。様々な実施形態によれば、OVEをもたらすOVSD60は、その特徴部がローリングバー65の第1のセット及びローリングバー66の第2のセットを含んでいる。様々な実施形態によれば、ローリングバー65の第1のセットは、1つ以上の可視境界65aをさらに含む。
【0103】
図12は、本開示の様々な実施形態によるOVSDの断面を示し、第1のアイコン層は、充填されたポストを含み、第2のアイコン層は、第2の透明な材料で部分的に充填され、ポスト間の領域は部分的にしか充填されないようになっている。
【0104】
図12の非限定的な実施例を参照すると、OVSD80が示されている。様々な実施形態によれば、OVSD80は、第1のアイコン層81(例えば、図1の第1のアイコン層11)、光学スペーサ層82(例えば、図1の光学スペーサ層12)、及び第2のアイコン層83(例えば、図1のアイコン層13)を含む。図12の非限定的な実施例に示されるように、第2のアイコン層83の1つ以上の画像アイコンは、コントラスト材料84(例えば、図3のコントラスト材料14b)で充填されている。さらに、いくつかの実施形態では、第1のアイコン層81の画像アイコンは、透明な材料85で部分的に充填され、これは、特定の実施形態では、OVSD80によってもたらされるOVEのシャープネスとコントラストの向上に寄与している。
【0105】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、アイコン要素の第1のアレイを含む第1のアイコン層と、第1のアイコン層に結合され、アイコン要素の第2のアレイを含む第2のアイコン層を含むOVSDを含み、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のアイコン要素は、線、ドット、またはそれらの組み合わせであり、第1のアイコン層または第2のアイコン層のうちの1つ以上のアイコン要素は、高解像度を呈している。
【0106】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のうちの少なくとも1つが干渉層であるOVSDを含む。
【0107】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層が互いに結合されているOVSDを含み、第1または第2のアイコン層の1つにあるアイコン要素が他のアイコン層に近接するOVSDの少なくとも一方の側から観察されるとき、少なくとも1つのOVEがOVSDによってもたらされるようになっている。
【0108】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、OVEがローリングバーを備えるOVSDを含む。
【0109】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、ローリングバーが多色であるOVSDを含む。
【0110】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、OVEが合成色を備えるOVSDを含む。
【0111】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、OVEが第1の視点から観察可能であり、第1のアイコン層が視聴者に面し、第2の視点から、第2のアイコン層が視聴者に面するOVSDを含む。
【0112】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層または第2のアイコン層のうちの少なくとも1つのポスト間の領域を部分的に充填する透明材料をさらに備えるOVSDを含む。
【0113】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、アイコン要素の第1のアレイ及びアイコン要素の第2のアレイのうちの少なくとも1つのアイコン要素が、0.5μm~6.5μmの範囲の幅寸法、または7.7μm未満のアイコン要素間の間隔寸法の1つ以上を有するOVSDを含む。
【0114】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、アイコン要素の第1のアレイ及びアイコン要素の第2のアレイの両方のアイコン要素が1つ以上のボイドまたはポストを備えるOVSDを含む。
【0115】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、ボイドが1つ以上の凹みまたは孔を備えるOVSDを含む。
【0116】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、ポストがプラトー、突起、またはメサのうちの1つ以上を備えるOVSDを含む。
【0117】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、高解像度が0.5μm~5.0μmの間の線幅を備えるOVSDを含む。
【0118】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、高解像度が0.5μm~5.0μmの間の線間隔を備えるOVSDを含む。
【0119】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、高解像度が0.5μm~6.5μmの間のドット幅を備えるOVSDを含む。
【0120】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、アイコン要素の第1のアレイまたはアイコン要素の第2のアレイのうちの1つ以上が1.0μm~6.5μmの間のピッチを有するOVSDを含む。
【0121】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、高解像度が0.5μm~5.0μmの間のドット間隔を備えるOVSDを含む。
【0122】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に光学スペーサをさらに備えるOVSDを含む。
【0123】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、アイコン要素の第1のアレイ及びアイコン要素の第2のアレイが、アイコン要素の第1のアレイとアイコン要素の第2のアレイとの間のずれを生成するように配置されているOVSDを含む。
【0124】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、ずれが、寸法的、回転的、周期的、またはゾーン的なずれのうちの1つ以上を含むOVSDを含む。
【0125】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、観察者の視点がOVSDに対して変化するときにOVEが生成されるOVSDを含む。
【0126】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のうちの少なくとも1つのアイコン要素が、コントラスト材料で充填またはコーティングされているOVSDを含む。
【0127】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のうちの少なくとも1つのアイコン要素が、コントラスト材料を含むポストを含むOVSDを含む。
【0128】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層のアイコン要素及び第2のアイコン層のアイコン要素がアイコンツールによって形成されているOVSDを含む。
【0129】
本開示の特定の実施形態によるOVSDの実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層が、光学スペーサの対向する側として統合されているOVSDを含む。
【0130】
本開示の特定の実施形態の実施例は、貴重品を認証するための本開示によるOVSDの使用を含む。
【0131】
本開示の特定の実施形態によるOVSDを製造する方法の実施例は、光学スペーサ層を提供すること、光学スペーサ層の第1の側に第1のアイコン層を適用し、光学スペーサの第2の側に第2のアイコン層を適用すること、及び第1のアイコン層の上またはその中にアイコン要素のアレイを形成し、第2のアイコン層の上またはその中にアイコン要素の第2のアレイを形成することを含み、アイコン要素は高解像度アイコン要素であり、第2の側は光学スペーサ層の第1の側の反対側にある。
【0132】
本開示の特定の実施形態によるOVSDを生成する方法の実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層が光学的可変効果を生成する方法を含む。
【0133】
本開示の特定の実施形態によるOVSDを生成する方法の実施例は、光学的可変効果が1つ以上のローリングバー、合成色、またはカラーシフトを含む方法を含む。
【0134】
本開示の特定の実施形態によるOVSDを生成する方法の実施例は、高解像度アイコン要素が約0.5μm~約6.5μmの幅範囲または約7.7μm未満の間隔を有する方法を含む。
【0135】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、第1の側及び第2の対向する側を有する基材層、第1のアイコン要素のアレイを有する第1のアイコン層、及び第2のアイコン要素のアレイを有する第2のアイコン層を含む紙幣を含み、第1のアイコン層及び第2のアイコン層のアイコン要素は、高解像度アイコン要素であり、第1のアイコン層及び第2のアイコン層は、光学的可変効果(OVE)をもたらす。
【0136】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、第1のアイコン層及び第2のアイコン層が結合されて複合構造を形成し、複合構造が複合構造の少なくとも一方の側から見たときに、少なくとも1つの光学的可変効果が観察されるようになった紙幣を含む。
【0137】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、光学的可変効果が、1セットのローリングバー、合成色、またはカラーシフトのうちの1つ以上を含む紙幣を含む。
【0138】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、光学的可変効果が両側から観察可能である紙幣を含む。
【0139】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、基材層がポリマー材料またはセルロース材料の少なくとも1つである紙幣を含む。
【0140】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、基材層が第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に配置されている紙幣を含む。
【0141】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、光学スペーサが第1のアイコン層と第2のアイコン層との間に配置されて、基材層の第1の側または第2の側の少なくとも一方に結合された複合構造を形成する紙幣を含む。
【0142】
本開示の特定の実施形態による紙幣の実施例は、表面に適用された、窓付きの、もしくは埋め込まれたパッチまたはスレッドをさらに備える紙幣を含む。
【0143】
本開示は様々な実施形態で説明されてきたが、様々な変更及び修正が当業者に示唆され得る。本開示は、添付の特許請求の範囲に含まれるような変更及び修正を包含することが意図されている。
【0144】
本開示のいずれも、特定の要素、ステップ、または機能が、特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素、ステップ、または機能であることを意味するものとして解釈されるべきではない。本特許の主題の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。さらに、特許請求の範囲はいずれも「意味する」という正確な単語の後に分詞が続かない限り、米国特許法第112条(f)を呼び出すことを意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイコン要素(11a)の第1のアレイを含む第1のアイコン層(11)と、
前記第1のアイコン層に結合され、アイコン要素(13a)の第2のアレイを含む第2のアイコン層(13)と、
を含み、
前記第1のアイコン層または前記第2のアイコン層のうち少なくとも1つにあるポストの間の領域を部分的に充填する透明材料(85)をさらに含み、
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層のアイコン要素が線、ドット、またはそれらの組み合わせであり、
前記第1のアイコン層または第2のアイコン層のうち1つ以上のアイコン要素が、高解像度を呈し、
前記アイコン要素の第1のアレイ、及び前記アイコン要素の第2のアレイの少なくとも1つのアイコン要素が、
0.5μm~6.5μmの範囲の幅寸法、または
7.7μm未満のアイコン要素間の間隔寸法
の1つ以上を有する、
光学的可変セキュリティデバイス(OVSD)(10)。
【請求項2】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層の少なくとも1つが干渉層である、請求項1に記載のOVSD。
【請求項3】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が互いに結合されて、前記第1または第2のアイコン層の1つ内のアイコン要素が、他方のアイコン層に近接する前記OVSDの少なくとも一方の側から見られると、少なくとも1つの光学的可変効果(OVE)が前記OVSDによってもたらされるようになった、請求項1に記載のOVSD。
【請求項4】
前記OVEがローリングバー(65)を含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項5】
前記ローリングバーが多色である、請求項4に記載のOVSD。
【請求項6】
前記OVEがカラースイッチを含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項7】
前記OVEが合成色を含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項8】
前記OVEが、前記第1のアイコン層が観察者に面する第1の視点から、及び、前記第2のアイコン層が前記観察者に面する第2の視点から観察可能である、請求項3に記載のOVSD。
【請求項9】
前記第1のアイコン層または第2のアイコン層のうち少なくとも1つにあるポストの間の領域を、部分的に充填する透明材料(85)をさらに含む、請求項3に記載のOVSD。
【請求項10】
前記アイコン要素の第1のアレイ(51)及び前記アイコン要素の第2のアレイ(53)の両方のアイコン要素が、1つ以上のボイドまたはポストを含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項11】
前記ボイドが1つ以上の凹みまたは孔を含む、請求項10に記載のOVSD。
【請求項12】
前記ポストが1つ以上のプラトー、突起、またはメサを含む、請求項11に記載のOVSD。
【請求項13】
前記高解像度が0.5μm~5.0μmの間の線幅を含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項14】
前記高解像度が0.5μm~5.0μmの間の線間隔を含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項15】
前記高解像度が0.5μm~6.5μmの間のドット幅を含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項16】
前記アイコン要素の第1のアレイまたは前記アイコン要素の第2のアレイの1つ以上が1.0μm~6.5μmの間のピッチを有する、請求項1に記載のOVSD。
【請求項17】
前記高解像度が0.5μm~5.0μmの間のドット間隔を備える、請求項1に記載のOVSD。
【請求項18】
前記第1のアイコン層と前記第2のアイコン層との間に光学スペーサをさらに含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項19】
前記アイコン要素の第1のアレイ及び前記アイコン要素の第2のアレイが、前記アイコン要素の第1のアレイと前記アイコン要素の第2のアレイとの間のずれを生じるように配置されている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項20】
前記ずれが、寸法的な、回転的な、周期的な、またはゾーン的なずれの1つ以上を含む、請求項19に記載のOVSD。
【請求項21】
観察者の視点が前記OVSDに対して変化すると、光学的可変効果(OVE)が生じる、請求項1に記載のOVSD。
【請求項22】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層の少なくとも1つのアイコン要素が、コントラスト材料で充填されている、またはコーティングされている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項23】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層の少なくとも1つのアイコン要素が、コントラスト材料を含むポストを含む、請求項1に記載のOVSD。
【請求項24】
前記第1のアイコン層内の前記アイコン要素及び前記第2のアイコン層内の前記アイコン要素が、アイコンツールによって形成されている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項25】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が光学スペーサの対向する側として統合されている、請求項1に記載のOVSD。
【請求項26】
光学スペーサ層(12)を提供することと、
第1のアイコン層(11)を前記光学スペーサ層の第1の側に適用し、第2のアイコン層(13)を前記光学スペーサ層の第2の側に適用することと、
アイコン要素(11a)の第1のアレイを前記第1のアイコン層の上または中に形成し、アイコン要素(13a)の第2のアレイを前記第2のアイコン層の上または中に形成することと、
を含み、
前記アイコン要素が高解像度アイコン要素であり、
前記第2の側が前記光学スペーサ層の前記第1の側に対向しており、
前記アイコン要素の第1のアレイ、及び前記アイコン要素の第2のアレイの少なくとも1つのアイコン要素が、
0.5μm~6.5μmの範囲の幅寸法、または
7.7μm未満のアイコン要素間の間隔寸法
の1つ以上を有する、
VSDを製造する方法。
【請求項27】
前記第1のアイコン層及び前記第2のアイコン層が、光学的可変効果を生じる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記光学的可変効果が、ローリングバー、合成色、またはカラーシフトのうち1つ以上を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記高解像度アイコン要素が、0.5μm~6.5μmの範囲の幅、または7.7μm未満の間隔を有する、請求項26に記載の方法。