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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041869
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】フルオロエーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/06 20060101AFI20240319BHJP
   C07C 43/12 20060101ALI20240319BHJP
   C07C 43/174 20060101ALI20240319BHJP
   C07C 43/225 20060101ALI20240319BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C07C41/06
C07C43/12
C07C43/174
C07C43/225 A
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001511
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2022069520の分割
【原出願日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星谷 尚亨
(72)【発明者】
【氏名】濱田 智仁
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ホスフィン及び/又はアミンを用いるα-フルオロエーテルの製造方法の提供。
【解決手段】式(3)の化合物の製造方法は、特定のホスフィン及び/又は特定のアミン存在下で、式(1)の化合物を、式(2)の化合物と反応させる工程Aを含む。式中、R、Rは、H、ハロゲン原子、F原子で置換されているアルキル基等、Rは、F原子、F原子で置換されているアルキル基等、Rは、アルキル基、アリール基である。


HO-R(2)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(3):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
は、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
下記式(4):
【化2】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、有機基であり、R、R、及びRのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物、及び下記式(5):
【化3】
(式中、R、R、及びR10は、それぞれ独立して、有機基であり、R、R、及びR10のうち任意の2つ又は3つは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の存在下で、下記式(1):
【化4】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2):
【化5】
(式中、Rは、前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Aを含む、製造方法。
【請求項2】
、R、及びRは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基であり、
、R、及びRのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
、R、及びR10は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、
、R、及びR10のうち任意の2つ又は3つは互いに結合して環を形成していてもよい、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
式(4)で表される化合物、及び式(5)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の使用量が、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1モル以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
及びRが、それぞれ独立して、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
及びRのうち、一方が1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、他方がフッ素原子である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
がフッ素原子である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
工程Aが、Pd触媒の非存在下、又は式(1)で表される化合物1モルに対して0モル超0.01モル以下のPd触媒の存在下で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
工程Aが、エーテル系溶媒、スルホキシド系溶媒、ニトリル系溶媒、及びアミド系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒の存在下で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
下記式(3):
【化6】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上のフッ素原子で
置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
は、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される化合物、及び水を含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロエーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α位炭素がフッ素化されたフルオロエーテル(α-フルオロエーテル)は、冷媒、溶剤、医薬、農薬、機能性材料等として有用である。α-フルオロエーテルの製造方法は、フッ素含有化合物をエーテル化する方法と、炭化水素エーテルをフッ素化する方法とに大別される。前者の方法は、後者の方法と比べて、温和な反応条件を採用することができること、特殊な装置が不要であること、フッ素導入位置の制御が容易であること等の利点がある。前者の方法としては、例えば、フルオロオレフィンをアルコールと反応させる方法が挙げられる。当該方法には、強塩基を用いる方法として、KOH等を用いる方法1(例えば、特許文献1)、強塩基を用いない方法として、Pd触媒を用いる方法2(例えば、特許文献2)、イオン性液体を用いる方法(例えば、特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3557294号公報
【特許文献2】特許第4009724号公報
【特許文献3】特開2006-256967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
方法1は、安全性及び環境負荷等の点で改善の余地がある。方法2は、高コストであり持続が困難である、希少金属Pdを用いる必要がある。方法3は、工業スケールで扱いにくい、高価なイオン性液体を使用する必要がある。
【0005】
本開示は、所定のホスフィン及び/又はアミンを用いる、α-フルオロエーテルの製造方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、次の態様を含む。
[項1]
下記式(3):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
は、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
下記式(4):
【化2】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、有機基であり、R、R、及びRのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物、及び下記式(5):
【化3】
(式中、R、R、及びR10は、それぞれ独立して、有機基であり、R、R、及びR10のうち任意の2つ又は3つは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の存在下で、下記式(1):
【化4】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2):
【化5】
(式中、Rは、前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Aを含む、製造方法。
[項2]
、R、及びRは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基であり、
、R、及びRのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよく、
、R、及びR10は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、
、R、及びR10のうち任意の2つ又は3つは互いに結合して環を形成していてもよい、項1に記載の製造方法。
[項3]
式(4)で表される化合物、及び式(5)で表される化合物からなる群より選択される少
なくとも一種の使用量が、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.1モル以下である、項1に記載の製造方法。
[項4]
及びRが、それぞれ独立して、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基である、項1に記載の製造方法。
[項5]
及びRのうち、一方が1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、他方がフッ素原子である、項1に記載の製造方法。
[項6]
がフッ素原子である、項1に記載の製造方法。
[項7]
工程Aが、Pd触媒の非存在下、又は式(1)で表される化合物1モルに対して0モル超0.01モル以下のPd触媒の存在下で実施される、項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
[項8]
工程Aが、エーテル系溶媒、スルホキシド系溶媒、ニトリル系溶媒、及びアミド系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒の存在下で実施される、項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
[項9]
下記式(3):
【化6】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
は、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される化合物、及び水を含有する組成物。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、例えば、所定のホスフィン及び/又はアミンを用いる、α-フルオロエーテルの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態又は全ての実装を記述することを意図するものではない。本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
【0009】
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、
様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
【0010】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0011】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0012】
本明細書中、「含有する」は、「から本質的になる」及び「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0013】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0014】
本明細書中、「Cn-m」(ここで、n及びmは、それぞれ、正の整数であり、n<mである。)は、炭素数がn以上且つm以下であることを表す。
【0015】
本明細書中、「ハロゲン原子」の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を包含する。
【0016】
本明細書中、「有機基」とは、1個以上の炭素原子を含有する基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
カルボキシル基、
O-、
CO-、
COO-、
SO-、
OCO-、及び
OSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)
を包含できる。
【0017】
本明細書中、「炭化水素基」は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、及びこれら2以上の組合せ(例:アラルキル基)を包含する。
【0018】
本明細書中、「アルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルキル基を包含し、及びその具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基(例:n-プロピル基、イソ
プロピル基)、ブチル基(例:n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基を包含する。
【0019】
本明細書中、「アルケニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルケニル基を包含し、及びその具体例は、ビニル基、1-プロペン-1-イル基、2-プロペン-1-イル基、イソプロペニル基、2-ブテン-1-イル基、4-ペンテン-1-イル基、及び5-ヘキセン-1-イル基を包含する。
【0020】
本明細書中、「アルキニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルキニル基を包含し、及びその具体例は、エチニル基、1-プロピン-1-イル基、2-プロピン-1-イル基、4-ペンチン-1-イル基、及び5-ヘキシン-1-イル基を包含する。
【0021】
本明細書中、「シクロアルキル基」の例は、C3-10シクロアルキル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基を包含する。
【0022】
本明細書中、「シクロアルケニル基」の例は、C3-10シクロアルケニル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプテニル基を包含する。
【0023】
本明細書中、「シクロアルカジエニル基」の例は、C4-10シクロアルカジエニル基を包含し、及びその具体例は、シクロブタジエニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、及びシクロヘプタジエニル基を包含する。
【0024】
本明細書中、「アリール基」は、単環性又は多環性(例:2環性、3環性、4環性)であることができる。「アリール基」の例は、C6-14アリール基を包含し、及びその具体例は、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、及び2-アンスリル基を包含する。
【0025】
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、単環性芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性芳香族複素環基)、及び芳香族縮合複素環基(例:5~18員の芳香族縮合複素環基)を包含する。
【0026】
本明細書中、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、及びピラジニル等を包含する。
【0027】
本明細書中、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等を包含する。
【0028】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」において、炭化水素基に存在し得る-CH-は、-O-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。当該炭化水素基に置換し得る置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基を包含する。当該炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0029】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」において、置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、RO-(式中、Rはアルキル基又はアリール基である。)、(R)N-(式中、各Rは、独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基である。)、(R)P-(式中、各Rは、独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基である。)、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルコキシ基)を包含する。当該アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の例は、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を包含する。1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基を「フルオロアルキル基」と表記する場合がある。「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基であっても非パーフルオロアルキル基であってもよい。「フルオロアルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルキル基を包含し、及びその具体例は、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基(例:パーフルオロn-プロピル基、パーフルオロイソプロピル基)、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等の、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルキル基を包含する。当該アルキル基は、1個以上の、フッ素原子以外の置換基(例:フルオロアルコキシ基)を有するもの、例えば、CF-O-CF-、CF-O-CF(CF)-、CF-O-CH-CH-、CF-O-CH(CF)-CH-、CF-O-CF-CF-、CF-CF-O-CF-、CF-CF-O-CF-CF-、CF-O-CF-O-CF-、CF-CF-CF-O-CH-CF-、CF-CF-CF-O-CF-CF-、CF-CF-CF-O-CF(CF)-CF-、CF-CF-CF-O-CF(CF)-CF-O-CF(CF)-CF-、及びCF-CF-CF-O-[CF(CF)-CF-O-]-CF(CF)-CF-等を包含する。
【0031】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」において、置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、RO-(式中、Rはアルキル基又はアリール基である。)、(R)N-(式中、各Rは、独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基である。)、(R)P-(式中、各Rは、独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基である。)、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基)を包含する。当該アリール基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
本明細書中、「アルコキシ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルコキシ基を包含し、及びその具体例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(例:n-プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基を包含する。
【0033】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基」において、置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基、ハロアルコキシ基)を包含する。当該アルコキシ基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基」の例は、1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基を包含する。1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基を「フルオロアルコキシ基」と表記する場合がある。「フルオロアルコキシ基」は、パーフルオロアルコキシ基であっても非パーフルオロアルコキシ基であってもよい。「フルオロアルコキシ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルコキシ基を包含し、及びその具体例は、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基(例:パーフルオロn-プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基)、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基、及びパーフルオロヘキシルオキシ基等の、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルコキシ基を包含する。当該アルコキシ基は、1個以上の、フッ素原子以外の置換基(例:フルオロアルコキシ基)を有するもの、例えば、CF-O-CF-O-、CF-O-CF-CF-CF-O-、CF-O-CH-CF-CF-O-、CF-CF-O-CF-CF-O-、CF-CF-CF-O-CH-CF-CF-O-、CF-CF-CF-O-CF-CF-CF-O-、CF-CF-CF-O-CF(CF)-CF-O-、CF-CF-CF-O-[CF(CF)-CF-O-]-、及びCF-CF-CF-O-[CF(CF)-CF
-O-]-等を包含する。
【0035】
本明細書中、「アリールオキシ基」の例は、C6-12アリールオキシ基を包含し、及びその具体例は、フェノキシ基、及びナフトキシ基等を包含する。
【0036】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基」において、置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基、ハロアルコキシ基)を包含する。当該アリールオキシ基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
2.α-フルオロエーテルの製造方法
本開示の一実施形態において、下記式(3):
【化7】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
は、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、
及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される化合物の製造方法は、下記式(4):
【化8】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、有機基であり、R、R、及びRのうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物、及び下記式(5):
【化9】
(式中、R、R、及びR10は、それぞれ独立して、有機基であり、R、R、及びR10のうち任意の2つは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の存在下で、下記式(1):
【化10】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2):
【化11】
(式中、Rは、前記と同意義である。)
で表される化合物と反応させる工程Aを含む。
【0038】
[式(1)で表される化合物]
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であることが好ましく、フッ素原子、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であることがより好ましく、フッ素原子、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基であることが更に好ましい。
【0039】
及びRの両方がハロゲン原子(例えば、一方が塩素原子又は臭素原子、他方がフッ素原子)であってもよく、R及びRの両方が、1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であってもよいが、R及びRのうち、一方が1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基であり、他方がフッ素原子であることが好ましい。特に、R及びRのうち、一方が1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基であり、他方がフッ素原子であることが好ましい。
【0040】
又はRが「1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基」である場合、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等のフルオロC1-10アルキル基、又は、CF-O-CF-、CF-O-(CF)-等の(フルオロC1-4アルコキシ)フルオロC1-4アルキル基が好ましい。R又はRが「1個以上のフッ素原子で置換されているアルコキシ基」である場合、トリフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基、パーフルオロブトキシ基等のフルオロC1-10アルコキシ基、又は、CF-O-CF-O-、CF-O-(CF)-O-等の(フルオロC1-4アルコキシ)フルオロC1-4アルコキシ基が好ましい。
【0041】
は、好ましくはフッ素原子、又は1個以上のフッ素原子で置換されているアルキル基であり、より好ましくはフッ素原子、フルオロC1-10アルキル基、又は(フルオロC1-4アルコキシ)フルオロC1-4アルキル基であり、更に好ましくはフッ素原子である。
【0042】
及びRが互いに結合して環を形成する場合、当該環としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。当該環は、1個以上の置換基(例:フッ素原子等のハロゲン原子)を有していてもよい。
【0043】
[式(2)で表される化合物]
の好適な一例としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられ、下記式(A):
【化12】
(式中、R4a及びR4bは、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であり、波線はヒドロキシ基との結合点を示す。)
で表される基であることがより好ましい。
【0044】
式(A)で表される基は、下記(A-1)~(A-5)のいずれかであってもよい:
(A-1)R4a及びR4bの両方が水素原子である、
(A-2)R4aが水素原子であり、R4bが1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、
(A-3)R4a及びR4bの両方が、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である、
(A-4)R4aが1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であり、R4bが1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、
(A-5)R4a及びR4bの両方が、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である。
4a及び/又はR4bがアルキル基である場合、当該アルキル基は、例えば、C1-10アルキル基であってもよく、ハロゲン原子(例:フッ素原子)、RO-、(R)N-、(R)P-、アリール基(例:フェニル基等のC6-12アリール基)、及びこれら2以上の組合せから選択される1個以上(例:1個、2個、3個、4個、5個)の置換基で置換されていてもよい。R4a及び/又はR4bがアリール基である場合、当該アリール基は、例えば、フェニル基等のC6-12アルキル基であってもよく、ハロゲン原子、アルキル基(例:C1-10アルキル基)、RO-、(R)N-、(R)P-
、及びこれら2以上の組合せから選択される1個以上(例:1個、2個、3個、4個、5個)の置換基で置換されていてもよい。
【0045】
の好適な別の例としては、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられ、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基であることが更に好ましい。当該アリール基は、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(例:C1-10アルキル基)、RO-、(R)N-、(R)P-、及びこれら2以上の組合せから選択される1個以上(例:1個、2個、3個、4個、5個)の置換基で置換されていてもよい。
【0046】
式(2)で表される化合物の使用量は、特に制限されないが、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.1モル以上、0.2モル以上、0.3モル以上、0.4モル以上、又は0.5モル以上であってもよく、5モル以下、4モル以下、3モル以下、2モル以下、1.5モル以下、又は1モル以下であってもよく、略等モル、例えば0.5~1.5モルの範囲内であってもよい。
【0047】
[式(4)で表される化合物]
、R、及びRは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基(例:フリル基、チエニル基)、又はR-O-(式中、Rは1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又はR-O-であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基であることが更に好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基であることが更により好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基(例:フェニル基、トリル基、ビフェニル基)、1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルコキシ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリールオキシ基(例:フェノキシ基)であることが特に好ましい。前記置換基の好適な例は、ハロゲン原子、RO-、及び(R)P-を包含し、さらに好適な例は、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、及びジフェニルホスフィノ基等のジC6-12アリールホスフィノ基を包含する。
【0048】
、R、及びRのうち任意の2つが互いに結合して環を形成する場合、当該環としては、例えば、ホスフェタン、ホスホラン、ホスホリナン、ホスフェパン等が挙げられる。
【0049】
式(4)で表される化合物は、遷移金属(例:Pd)に配位可能なホスフィン配位子であってもよいが、本開示の製造方法は、遷移金属が存在しない又は実質的に存在しない条件で好適に実施し得る。
【0050】
式(4)で表される化合物としては、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-t-ブチルホスフィン、ジ-t-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタ
ン、1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシル(2’,4’,6’-トリイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン(XPhos)、トリフェニルホスフィン、4-(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン、トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、2-(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル、トリ(2-フリル)ホスフィン、トリ(2-チエニル)ホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等が挙げられる。
【0051】
[式(5)で表される化合物]
、R、及びR10は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基(例:ピリジル基)であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることが更に好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることが更により好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基(例:フェニル基)であることが特に好ましい。前記置換基の好適な例は、RO-、(R)N-、及び(R)P-を包含し、さらに好適な例は、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、ジメチルアミノ等のジC1-4アルキルアミノ基、及びジフェニルホスフィノ基等のジC6-12アリールホスフィノ基を包含する。
【0052】
、R、及びR10のうち任意の2つ又は3つが互いに結合して環を形成する場合、当該環としては、例えば、ピリジン、イミダゾール、モルホリン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
【0053】
式(5)で表される化合物は、遷移金属(例:Pd)に配位可能なアミン配位子であってもよいが、本開示の製造方法は、遷移金属が存在しない又は実質的に存在しない条件で実施し得る。
【0054】
式(5)で表される化合物としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、1-メチルイミダゾール、N,N,N,N-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N,N-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、1-(ジフェニルホスフィノ)-N,N-ジメチル-2-プロパンアミン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
【0055】
式(4)で表される化合物及び式(5)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の使用量は、特に制限されないが、触媒量であることが好ましい。具体的には、当該使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以下であることが好ましく、0.4モル以下であることがより好ましく、0.3モル以下であることがさらに好ましく、0.2モル以下であることがさらにより好ましく、0.1モル以下であることが特に好ましい。当該使用量は、例えば、式(1)で表される化合物1モルに対して、0.0001モル以上、0.0005モル以上、又は0.001モル以上であっても
よく、0.0001~0.5モルの範囲内、0.0005~0.2モルの範囲内、又は0.001~0.1モルの範囲内であってもよい。
【0056】
[溶媒]
工程Aは、溶媒の存在下で実施することが好ましい。当該溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒等が挙げられる。
【0057】
炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0058】
ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等が挙げられる。
【0059】
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0060】
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
【0061】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0062】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0063】
スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0064】
これらの溶媒のうち、エーテル系溶媒、スルホキシド系溶媒、ニトリル系溶媒、及びアミド系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0065】
当該溶媒の使用量は、特に制限されないが、式(2)で表される化合物1mmоlに対して、例えば、0.1mL以上、0.15mL以上、0.2mL以上、0.25mL以上、0.5mL以上、1mL以上、又は1.5mL以上であってもよく、5mL以下、3mL以下、2.5mL以下、又は2mL以下であってもよく、0.2mL~3mLの範囲内であってもよい。
【0066】
[遷移金属触媒]
工程Aは、遷移金属触媒の非存在下、又は式(1)で表される化合物1モルに対して0モル超0.01モル以下の遷移金属触媒の存在下で実施されることが好ましい。遷移金属触媒としては、例えば、Pd等が挙げられる。一実施形態において、工程Aは、Pd触媒の非存在下、又は式(1)で表される化合物1モルに対して0モル超0.01モル以下のPd触媒の存在下で実施されることが好ましい。
【0067】
[無機塩基]
工程Aは、無機塩基の非存在下、又は式(2)で表される化合物1モルに対して0モル超2モル以下の無機塩基の存在下で実施されることが好ましい。無機塩基としては、例え
ば、KOH、NaOH等のアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。一実施形態において、工程Aは、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の非存在下、或いは式(2)で表される化合物1モルに対して0モル超2モル以下のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の存在下で実施されることが好ましい。
【0068】
[イオン性液体]
工程Aは、イオン性液体の非存在下、又は式(1)で表される化合物1モルに対して0mL超0.1mL未満のイオン性液体の存在下で実施されることが好ましい。イオン性液体としては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェ
ート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロリド等のイミダゾリウム塩、ピリジ
ニウム塩等が挙げられる。一実施形態において、工程Aは、イミダゾリウム塩又はピリジニウム塩の非存在下、或いは式(1)で表される化合物1モルに対して0mL超0.1mL未満のイミダゾリウム塩又はピリジニウム塩の存在下で実施されることが好ましい。
【0069】
[反応温度及び反応時間]
工程Aの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。反応温度は、例えば0℃~60℃であることができる。反応時間は、例えば10分~72時間の範囲内、好ましくは15分~48時間の範囲内である。
【0070】
3.組成物
本開示の一実施形態に係る組成物は、式(3)で表される化合物、及び水を含有する。式(3)で表される化合物の含有量は、特に制限されないが、組成物100質量部に対して、例えば、60質量部以上、65質量部以上、70質量部以上、又は73質量部以上であってもよく、100質量部未満、99.99質量部以下、99.9質量部以下、99質量部以下、又は95質量部以下であってもよく、60~95質量部の範囲内であってもよい。当該含有量は、例えば、H-NMR、ガスクロマトグラフィー(GC)、又はガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により測定することができる。
【0071】
水の含有量は、特に制限されないが、組成物100質量部又は式(3)で表される化合物100質量部に対して、例えば、0.3質量部以下、0.2質量部、0.1質量部以下、0.05質量部以下、0.02質量部以下、0.01質量部以下、又は0.001質量部以下であってもよく、0質量部超、0.0001質量部以上、0.0002質量部以上、又は0.0003質量部以上であってもよく、0.0003~0.001質量部の範囲内であってもよい。当該含有量は、例えば、カールフィッシャー法により測定することができる。
【0072】
組成物Aは、さらに他の任意の成分を含有してもよい。他の任意の成分の例は、工程Aの反応の副生物を包含し得る。
【実施例0073】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0074】
窒素雰囲気下で、30mL容の耐圧容器にトリフェニルホスフィン 2.0mg、メタノール 1.17g、及びアセトニトリル 18mLを加えた。当該容器を0℃で減圧し、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン 5gを当該容器に加え、室温で19時間攪拌した。当該容器に内部標準物質のヘキサフルオロベンゼン 200mgを加え、19F NMRで解析したところ、式(3-1)に示されるフルオロエーテルが89%の収率で生成した。パーフルオロヘキサンで抽出後、溶媒を留去することで、90%の収
率で式(3-1)を得た。ガスクロマトグラフィーにより測定したところ、式(6)、(7)、及び(8)で表される化合物が合計で27質量%含まれていた。カールフィッシャーで測定した水分値は、6.6ppmであった。
【化13】
【0075】
トリフェニルホスフィンの代わりに表1に示す触媒を用いて同様に操作し、室温で19時間攪拌することにより、表1の収率で式(3-1)のフルオロエーテルが生成した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1中、nBuはノルマルブチル、Cyはシクロヘキシル、tBuはtert-ブチル、Etはエチル、Phはフェニルを意味する。
【0078】
トリフェニルホスフィン 43.7mg、2-フェニルエタンー1-オール 2.24g、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン 2.5g、及びアセトニトリル
9mLを用いて同様に操作し、室温で17時間攪拌することにより式(3-2)のフルオロエーテルが76%の収率で生成した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、80%の収率で式(3-2)のフルオロエーテルを得た。カールフィッシャーにより測定した水分値は、3.9ppmであった。
【化14】
【0079】
トリフェニルホスフィン 48.1mg、ヘプタン-4-オール 2.13g、1,1
,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン 3.03g、及びアセトニトリル 9mLを用いて同様に操作し、50℃で22時間攪拌後、溶媒を取り除くことで、式(3-3)のフルオロエーテルが38%の収率で生成した。カールフィッシャーで測定した水分値は、93ppmであった。
【化15】
【0080】
トリフェニルホスフィン 48.1mg、4-(tert-ブチル)フェノール 2.76g、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロペン 3.03g、及びアセトニトリル 9mLを用いて同様に操作し、50℃で22時間攪拌することにより式(3-4)のフルオロエーテルが97%の収率で生成した。
【化16】
【0081】
窒素雰囲気下で、30mL容の耐圧容器にトリ-tert-ブチルホスフィン 66.8mg、メタノール 1.17g、及びアセトニトリル 18mLを加えた。当該容器を0℃で減圧し、1,1,2,2-テトラフルオロエチレン 3.30gを当該容器に加え、室温で36時間攪拌した。当該容器に内部標準物質のヘキサフルオロベンゼン 200mgを加え、19F NMRで解析したところ、式(3-5)に示されるフルオロエーテルが79%の収率で生成した。
【化17】
【0082】
トリ-tert-ブチルホスフィンの代わりに4-ジメチルアミノピリジン 20.2mgを用いて同様に操作し、室温で36時間攪拌することにより、式(3-5)のフルオロエーテルが99%の収率で生成した。
【0083】
窒素雰囲気下で、30mL容の耐圧容器にジメチルフェニルホスフィン 38.0mg、2-フェニルエタンー1-オール 2.24g、及びアセトニトリル 9mLを加えた。当該容器を0℃で減圧し、1,1,2,2-テトラフルオロエチレン 1.83gを当該容器に加え、50℃で24時間攪拌した。当該容器に内部標準物質のヘキサフルオロベンゼン 161mgを加え、19F NMRで解析したところ、式(3-6)に示されるフルオロエーテルが98%の収率で生成した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、95%の収率で式(3-6)に示されるフルオロエーテルを得た。カールフィッシ
ャーによる水分値の測定値は、0.13%であった。
【化18】
【0084】
ジメチルフェニルホスフィンの代わりに4-ジメチルアミノピリジン 33.6mgを用いて同様に操作し、50℃で24時間攪拌することにより、式(3-6)のフルオロエーテルが96%の収率で生成した。