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特開2024-41921光活性化された作用物質を使用してポリヌクレオチドアレイを合成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041921
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光活性化された作用物質を使用してポリヌクレオチドアレイを合成する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20240319BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240319BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C12N15/10 110Z
C12N15/09 200
C12N15/11 Z ZNA
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003853
(22)【出願日】2024-01-15
(62)【分割の表示】P 2020562576の分割
【原出願日】2019-05-09
(31)【優先権主張番号】62/668,964
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514199799
【氏名又は名称】ヴィブラント ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ラジャセカラン ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン ヴァサント
(72)【発明者】
【氏名】べヌゴーパル アニルドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ベイ カン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティエンハオ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ カルティック
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルティ ハリ クリシュナン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】DNAポリヌクレオチド及びポリヌクレオチドの合成のための方法、ならびにそれらの脱保護のための方法、ならびに当該化合物及び当該化合物を含む組成物の使用のための方法を提供する。
【解決手段】所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成するための方法であって、保護された核酸を第1の特徴部に含む支持体を提供することと、支持体を、光酸発生剤を含むフォトレジスト溶液と接触させることと、支持体をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤は、前記波長の光に曝露されたときにカスケード反応を介して弱酸を生成し、弱酸は、前記第1の特徴部において前記核酸を脱保護させる、前記曝露することと、保護された核酸を、前記第1の特徴部において、前記脱保護された核酸に結合させることと、を含む、方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成するための方法であって、
保護された核酸を第1の特徴部に含む支持体を提供することと、
前記支持体を、光酸発生剤を含むフォトレジスト溶液と接触させることと、
前記支持体をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤は、前記波長の光に曝露されたときにカスケード反応を介して弱酸を生成し、前記弱酸は、前記第1の特徴部において前記核酸を脱保護させる、前記曝露することと、
保護された核酸を、前記第1の特徴部において、前記脱保護された核酸に結合させることと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記弱酸が、酢酸、炭酸、リン酸、スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、または安息香酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニル酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光酸発生剤が、4-tertブチル酢酸フェニル及びPGMEAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルカーボネートと、プロピレンカーボネート、メチルフェニルカーボネート、及びPGMEAからなる群から選択される化合物とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルホスファート及びフェニルホスファートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルスルホナートと、フェニルスルファート、4メチルフェニルスルファート、ジメチルスルファート、メチルトリフルオロメタンスルホナート、及びメチルフルオロスルホナートからなる群から選択される化合物とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルトリフラート及びフェニルトリフルオロメタンスルホナートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光酸発生剤が、4-tertブチル安息香酸フェニル及び安息香酸フェニルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記保護された核酸がDMT基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記DMT基が5’炭素で前記核酸に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
光の前記波長が約350nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するために前記ステップを繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記支持体が、前記保護された核酸を含む少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、または少なくとも10,000の特徴部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成するための方法であって、
表面に結合された、保護された核酸のアレイを含む支持体を提供することと、
前記支持体を、光酸発生剤を含む溶液と接触させることと、
前記支持体の選択された領域をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤は、前記波長の光に曝露された各場所において前記核酸を脱保護させるために、前記波長の光に曝露されたときにカスケード反応を介して弱酸を生成する、前記曝露することと、
前記脱保護された核酸に結合させるように、選択された入力ヌクレオチドを、前記ウェハーに接触させることと、
を含む、前記方法。
【請求項16】
前記入力ヌクレオチドがDMT保護基を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
所定の配列及び意図された長さをそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを生成するのに十分な回数、前記ステップを繰り返すことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ヌクレオチドモノマーを、支持体に結合させたポリヌクレオチドに連結するための方法であって、
a.第1の特徴部において支持体の表面に結合させた末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することと、
b.前記末端ヌクレオチド上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、
c.前記支持体を前記第1の特徴部において、ある波長の光に曝露して、前記末端ヌクレオチドから前記NPPOC保護基を除去することと、
d.前記支持体を、保護された入力ヌクレオチドと接触させて、前記保護された入力ヌクレオチドを、前記第1の特徴部において、前記脱保護された末端ヌクレオチドに結合させることと、
を含む、前記方法。
【請求項19】
(e)前記末端ヌクレオチドに結合された前記保護された入力核酸を脱保護させることと、次いでステップ(a)~(e)を繰り返して、第2の保護された入力核酸を結合させることとをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基板に結合された意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するのに十分な回数、すべてのステップを繰り返すことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記支持体を前記波長の光に曝露する前に、前記支持体を、ITXを含むフォトレジスト溶液と接触させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
光の前記波長が約365nmである、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記NPPOC保護基が、前記末端ヌクレオチドの5’炭素に結合している、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することは、前記in situNPPOC合成を実施する前に、前記末端ヌクレオチドを全体的に脱保護させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
NPPOCのin situ合成を実施することは、前記支持体を、クロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピル及びピリジンを含むNPPOC合成溶液と接触させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記NPPOC合成溶液が、1-メチル-2-ピロリジノンをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成するための方法であって、
a.表面に結合された、保護されたヌクレオチドのアレイを含む支持体を提供することと、
b.前記ヌクレオチドのアレイ上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、
c.前記支持体をある波長の光に選択的に曝露して、選択された入力ヌクレオチドの付加が望まれる、ヌクレオチドの前記アレイからの選択されたヌクレオチドから、前記NPPOC保護基を除去することと、
d.前記脱保護されたヌクレオチドに結合させるように、前記選択された入力ヌクレオチドを、前記アレイに接触させることと、
e.ステップ(c)~(e)を、所望のヌクレオチド付加の層を完成させるのに十分な回数繰り返して、それによって、所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成することと、
を含む、前記方法。
【請求項28】
(f)NPPOC保護基のin situ合成の前に、前記ポリヌクレオチドのアレイに結合させた前記入力ヌクレオチドを全体的に脱保護させることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
所定の配列及び意図された長さをそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを生成するのに十分な回数、ステップ(b)~(f)を繰り返し、かつ、NPPOC保護基のin situ合成の前に、前記ポリヌクレオチドのアレイに結合させた前記入力ヌクレオチドを全体的に脱保護させることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記選択された入力ヌクレオチドが保護基を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記保護基がDMTである、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月9日出願の米国仮出願第62/668,964号の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロアレイ技術は、遺伝子発現及びジェノタイピングなどの幅広い用途で核酸に関する前例のない情報を提供するため、生物学研究において容易に使用される。一般に、不完全な脱保護反応または脱プリン化などの望ましくない反応の結果として、ポリヌクレオチドの合成に関連する課題がある。
【0003】
段階的な光指向性のモノマーごとの合成によってアレイを作製する場合、この脱保護反応に、強い光酸を使用することで、核酸が脱プリン化する傾向があり、弱い光酸を使用することで、不完全な脱保護反応の発生率が高くなり得る。いずれかの時点での脱保護反応が不完全である場合、アレイ内の場所での正確な配列の収率を低下させ、望ましくない生成物の混合物となる。合成サイクルはアレイ上の各場所で何度も繰り返す必要がある場合があるため、反応効率がわずかに低下しただけでも、総収率に劇的な影響を与え得る。
【0004】
したがって、必要とされるのは、反応効率を改善し、したがって完全長の合成ポリヌクレオチドの収率を改善する、改善された核酸合成方法である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載されているのは、所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成するための方法である。いくつかの実施形態では、かかる方法は、保護された核酸を第1の特徴部に含む支持体を提供することと、前記支持体を、光酸発生剤を含むフォトレジスト溶液と接触させることと、前記支持体をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤が、前記波長の光に曝露されたときに、カスケード反応を介して弱酸を生成し、前記弱酸が、前記第1の特徴部において前記核酸を脱保護させる、前記曝露することと、保護された核酸を、前記第1の特徴部において、前記脱保護された核酸に結合することと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記弱酸は、酢酸、炭酸、リン酸、スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、または安息香酸を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記光酸発生剤は、4-tertブチルフェニル酸を含む。
【0008】
いくつかの実施形態は、前記光酸発生剤は、4-tertブチル酢酸フェニル及びPGMEAを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記光酸発生剤は、4-tertブチルフェニルカーボネートと、プロピレンカーボネート、メチルフェニルカーボネート、及びPGMEAからなる群から選択される化合物とを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記光酸発生剤は、4-tertブチルフェニルホスファート及びフェニルホスファートを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記光酸発生剤は、4-tertブチルフェニルスルホナートと、フェニルスルファート、4メチルフェニルスルファート、ジメチルスルファート、メチルトリフルオロメタンスルホナート、及びメチルフルオロスルホナートからなる群から選択される化合物とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記光酸発生剤は、4-tertブチルフェニルトリフラート及びフェニルトリフルオロメタンスルホナートを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記光酸発生剤は、4-tertブチル安息香酸フェニル及び安息香酸フェニルを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記保護された核酸は、DMT基を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記DMT基は、5’炭素で核酸に結合している。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記光の波長は約350nmである。
【0017】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記ステップを繰り返して、意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するステップをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記支持体は、前記保護された核酸を含む少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、または少なくとも10,000の特徴部を含む。
【0019】
本明細書に記載されているのは、所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成するための方法である。いくつかの実施形態では、かかる方法は、表面に結合された、保護された核酸のアレイを含む支持体を提供することと、前記支持体を、光酸発生剤を含む溶液と接触させることと、前記支持体の選択された領域をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤は、その波長の光に曝露された各場所においてその核酸を脱保護させるために、前記波長の光に曝露されたときにカスケード反応を介して弱酸を生成する、前記曝露することと、前記脱保護された核酸に結合させるように、選択された入力ヌクレオチドを、前記ウェハーに接触させることとを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記ヌクレオチドは、DMT保護基を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、この方法は、所定の配列及び意図された長さをそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを生成するのに十分な回数、前記ステップを繰り返すことをさらに含む。
【0022】
本明細書に記載されているのは、ヌクレオチドモノマーを支持体に結合されたポリヌクレオチドにカップリングするための方法であり、この方法は、(a)第1の特徴部において支持体の表面に結合させた末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することと、(b)前記末端ヌクレオチド上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、(c)前記支持体を前記第1の特徴部において、ある波長の光に曝露して、前記末端ヌクレオチドから前記NPPOC保護基を除去することと、(d)前記支持体を、保護された入力ヌクレオチドと接触させて、前記保護された入力ヌクレオチドを、前記第1の特徴部において、前記脱保護された末端ヌクレオチドに結合させることと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、この方法は、(e)前記末端ヌクレオチドに結合された前記保護された入力核酸を脱保護させて、次にステップ(a)~(e)を繰り返して第2の保護された入力核酸を結合させることをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記基板に結合された、意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するのに十分な回数、すべてのステップを繰り返すことをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記支持体をある波長の光に曝露する前に、前記支持体を、ITXを含むフォトレジスト溶液と接触させるステップをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記光の波長は、約365nmである。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記NPPOC保護基は、前記末端ヌクレオチドの5’炭素に結合している。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することは、前記in situ NPPOC合成を実施する前に、前記末端ヌクレオチドを全体的に脱保護させるステップを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、NPPOCのin situ合成を実施するステップは、前記支持体を、クロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピル及びピリジンを含むNPPOC合成溶液と接触させるステップを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記NPPOC合成溶液は、1-メチル-2-ピロリジノンをさらに含む。
【0031】
本明細書に記載されるのは、所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成するための方法であって、この方法は、(a)表面に結合された、保護されたヌクレオチドのアレイを含む支持体を提供することと、(b)前記ヌクレオチドのアレイ上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、(c)前記支持体をある波長の光に選択的に曝露して、選択された入力ヌクレオチドの付加が望まれる、前記ヌクレオチドのアレイからの選択されたヌクレオチドから、前記NPPOC保護基を除去することと、(d)前記脱保護されたヌクレオチドに結合させるように、前記選択された入力ヌクレオチドを、前記アレイに接触させることと、(e)ステップ(c)~(e)を所望のヌクレオチド付加層を完成させるのに十分な回数繰り返し、それにより、所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成することとを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、この方法は、(f)NPPOC保護基のin situ合成の前に、前記ポリヌクレオチドのアレイに結合された前記入力ヌクレオチドを全体的に脱保護させることをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、この方法は、それぞれ所定の配列及び意図された長さを有するポリヌクレオチドのアレイを生成するのに十分な回数、ステップ(b)~(f)を繰り返し、かつ、NPPOC保護基のin situ合成の前に、前記ポリヌクレオチドのアレイに結合された前記入力ヌクレオチドを全体的に脱保護させることをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記選択された入力ヌクレオチドは、保護基を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記保護基はDMTである。
[本発明1001]
所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成するための方法であって、
保護された核酸を第1の特徴部に含む支持体を提供することと、
前記支持体を、光酸発生剤を含むフォトレジスト溶液と接触させることと、
前記支持体をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤は、前記波長の光に曝露されたときにカスケード反応を介して弱酸を生成し、前記弱酸は、前記第1の特徴部において前記核酸を脱保護させる、前記曝露することと、
保護された核酸を、前記第1の特徴部において、前記脱保護された核酸に結合させることと、
を含む、前記方法。
[本発明1002]
前記弱酸が、酢酸、炭酸、リン酸、スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、または安息香酸を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニル酸を含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記光酸発生剤が、4-tertブチル酢酸フェニル及びPGMEAを含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルカーボネートと、プロピレンカーボネート、メチルフェニルカーボネート、及びPGMEAからなる群から選択される化合物とを含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルホスファート及びフェニルホスファートを含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルスルホナートと、フェニルスルファート、4メチルフェニルスルファート、ジメチルスルファート、メチルトリフルオロメタンスルホナート、及びメチルフルオロスルホナートからなる群から選択される化合物とを含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記光酸発生剤が、4-tertブチルフェニルトリフラート及びフェニルトリフルオロメタンスルホナートを含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記光酸発生剤が、4-tertブチル安息香酸フェニル及び安息香酸フェニルを含む、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記保護された核酸がDMT基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記DMT基が5’炭素で前記核酸に結合している、本発明1001の方法。
[本発明1012]
光の前記波長が約350nmである、本発明1001の方法。
[本発明1013]
意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するために前記ステップを繰り返すことをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1014]
前記支持体が、前記保護された核酸を含む少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、または少なくとも10,000の特徴部を含む、本発明1001の方法。
[本発明1015]
所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成するための方法であって、
表面に結合された、保護された核酸のアレイを含む支持体を提供することと、
前記支持体を、光酸発生剤を含む溶液と接触させることと、
前記支持体の選択された領域をある波長の光に曝露することであって、前記光酸発生剤は、前記波長の光に曝露された各場所において前記核酸を脱保護させるために、前記波長の光に曝露されたときにカスケード反応を介して弱酸を生成する、前記曝露することと、
前記脱保護された核酸に結合させるように、選択された入力ヌクレオチドを、前記ウェハーに接触させることと、
を含む、前記方法。
[本発明1016]
前記入力ヌクレオチドがDMT保護基を含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
所定の配列及び意図された長さをそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを生成するのに十分な回数、前記ステップを繰り返すことをさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1018]
ヌクレオチドモノマーを、支持体に結合させたポリヌクレオチドに連結するための方法であって、
a.第1の特徴部において支持体の表面に結合させた末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することと、
b.前記末端ヌクレオチド上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、
c.前記支持体を前記第1の特徴部において、ある波長の光に曝露して、前記末端ヌクレオチドから前記NPPOC保護基を除去することと、
d.前記支持体を、保護された入力ヌクレオチドと接触させて、前記保護された入力ヌクレオチドを、前記第1の特徴部において、前記脱保護された末端ヌクレオチドに結合させることと、
を含む、前記方法。
[本発明1019]
(e)前記末端ヌクレオチドに結合された前記保護された入力核酸を脱保護させることと、次いでステップ(a)~(e)を繰り返して、第2の保護された入力核酸を結合させることとをさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記基板に結合された意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するのに十分な回数、すべてのステップを繰り返すことをさらに含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記支持体を前記波長の光に曝露する前に、前記支持体を、ITXを含むフォトレジスト溶液と接触させることをさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1022]
光の前記波長が約365nmである、本発明1018の方法。
[本発明1023]
前記NPPOC保護基が、前記末端ヌクレオチドの5’炭素に結合している、本発明1018の方法。
[本発明1024]
前記末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することは、前記in situNPPOC合成を実施する前に、前記末端ヌクレオチドを全体的に脱保護させることを含む、本発明1018の方法。
[本発明1025]
NPPOCのin situ合成を実施することは、前記支持体を、クロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピル及びピリジンを含むNPPOC合成溶液と接触させることを含む、本発明1018の方法。
[本発明1026]
前記NPPOC合成溶液が、1-メチル-2-ピロリジノンをさらに含む、本発明1025の方法。
[本発明1027]
所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成するための方法であって、
a.表面に結合された、保護されたヌクレオチドのアレイを含む支持体を提供することと、
b.前記ヌクレオチドのアレイ上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、
c.前記支持体をある波長の光に選択的に曝露して、選択された入力ヌクレオチドの付加が望まれる、ヌクレオチドの前記アレイからの選択されたヌクレオチドから、前記NPPOC保護基を除去することと、
d.前記脱保護されたヌクレオチドに結合させるように、前記選択された入力ヌクレオチドを、前記アレイに接触させることと、
e.ステップ(c)~(e)を、所望のヌクレオチド付加の層を完成させるのに十分な回数繰り返して、それによって、所定の配列をそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを合成することと、
を含む、前記方法。
[本発明1028]
(f)NPPOC保護基のin situ合成の前に、前記ポリヌクレオチドのアレイに結合させた前記入力ヌクレオチドを全体的に脱保護させることをさらに含む、本発明1027の方法。
[本発明1029]
所定の配列及び意図された長さをそれぞれ有するポリヌクレオチドのアレイを生成するのに十分な回数、ステップ(b)~(f)を繰り返し、かつ、NPPOC保護基のin situ合成の前に、前記ポリヌクレオチドのアレイに結合させた前記入力ヌクレオチドを全体的に脱保護させることをさらに含む、本発明1027の方法。
[本発明1030]
前記選択された入力ヌクレオチドが保護基を含む、本発明1027の方法。
[本発明1031]
前記保護基がDMTである、本発明1030の方法。
【0036】
前述及び他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面に示されているとおり、本発明の特定の実施形態の以下の記載から明らかであり、異なる図面にわたって、同様の参照文字は同じ部分を指す。図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、代わりに本発明の様々な実施形態の原理を示すことに重点を置いている。これらの図は、例示のみを目的として、本発明の様々な実施形態を示している。当業者は、本明細書において例示される構造及び方法の代替的実施形態が、本明細書に記載の本発明の原理から逸脱することなく採用され得ることを、以下の考察から容易に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】溶媒誘発カスケード光酸系の例を示す図である。
図2】溶媒誘発カスケード光酸系を使用してウェハーに結合させた保護された末端ヌクレオチドを脱保護させる、ポリヌクレオチドマイクロアレイの配列特異的合成の例示的な方法を示す図である。
図3】NPPOC((3’-ニトロフェニルプロピルオキシカルボニル)で保護された末端ヌクレオチドのin situ合成の反応スキームの例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に従って、in-situ反応を使用して各特徴部における末端ヌクレオチドにNPPOC保護基を付加し、その後に2段階の光活性化NPPOC脱保護反応及びヌクレオチド付加反応を使用する、ポリヌクレオチドマイクロアレイの例示的な合成を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に従って、in-situ反応を使用して各特徴部における末端ヌクレオチドにNPPOC保護基を付加し、その後に1段階の光活性化NPPOC脱保護及びヌクレオチド付加反応を使用する、ポリヌクレオチドマイクロアレイの例示的な合成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態の詳細が以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0039】
定義
請求項及び明細書で使用される用語は、特に明記しない限り、以下に記載するように定義する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ウェハー」という用語は、集積回路の製造において一般的に使用されるシリコンまたはゲルマニウム結晶などの半導体材料のスライスを指す。ウェハーは、一次元に沿って、例えば、25.4mm(1インチ)~300mm(11.8インチ)までの様々なサイズであり得、厚さは、例えば、275μm~775μmであり得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「フォトマスク」または「レチクル」または「マスク」という用語は、光が通過できる透明なパターンまたは穴を備えた不透明なプレートを指す。典型的な露光プロセスでは、フォトマスク上のパターンがフォトレジストに転写される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「フォトレジスト」または「レジスト」または「光活性材料」という用語は、化学修飾を受ける、例えば、電磁放射、特に紫外線または深紫外線に曝露されたときに溶液への溶解度を変化させるか、または光酸を生成する感光性材料を指す。フォトレジストは、有機化合物または無機化合物を含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「フォトレジスト製剤」という用語は、光活性化合物及び光保護化合物を含む製剤を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「光活性化合物」という用語は、電磁放射に曝露されたときに修飾される化合物を指す。これらの化合物としては、例えば、カチオン性光開始剤が挙げられる。例えば、好ましい実施形態では、カチオン性光開始剤は、電磁放射に曝露されたときに、対応する光酸を生成する光酸発生剤(PAG)である。光活性化合物の例は、2013年11月14日に出願の国際特許出願PCT/US2013/070207に開示されており、これは、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。光開始剤は、電磁放射を、開始種、例えばフリーラジカルまたはカチオンの形態で化学エネルギーに変換するために製剤に特に添加される化合物である。次に、電磁放射に曝露された光活性化合物の酸または他の生成物は、鎖反応において別の化合物と反応して、所望の化学反応を生じさせ得る。したがって、これらの化学反応が発生する空間的配向は、光活性化合物を含む溶液または表面が曝露される電磁放射のパターンに従って画定される。このパターンは、例えば、フォトマスクまたはレチクルによって画定され得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「カップリング分子」または「モノマー分子」という用語には、DMT(4,4’-ジメトキシトリチル)またはNPPOC(3’-ニトロフェニルプロピルオキシカルボニル)などの保護基により任意により保護される任意の天然の核酸または人工合成核酸が含まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「カップリング」または「カップリングプロセス」または「カップリングステップ」という用語は、連結分子またはカップリング分子などの2つ以上の分子間に結合を形成するプロセスを指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「カップリング効率」という用語は、モノマーへの結合に利用可能な反応部位(例えば、ポリマーの末端)へモノマーが上手く付加される確率を指す。例えば、ポリヌクレオチドの成長中に、入力ヌクレオチドは、ウェハーの表面に結合された、脱保護された末端ヌクレオチドに結合する。これは、例えば、いくつかの固有の反応部位への単一のモノマーの付加を同時に監視することによって、まとめて決定することができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「保護基」という用語は、後続の化学反応において化学選択性を得るために官能基の化学修飾によって分子に導入される基を含む。化学選択性とは、化学反応を所望の経路に沿って誘導し、別の生成物と比較して、事前に選択した生成物を得ることを指す。例えば、保護基としてDMTを使用することにより、光マスク及び光酸発生剤を使用したポリヌクレオチド合成の化学選択が可能になり、これにより、保護基を選択的に除去し、光マスクによって画定された場所において事前に決定された核酸カップリング反応を生じさせるようにする。
【0049】
本明細書で使用される場合、「マイクロアレイ」、「アレイ」または「チップ」という用語は、特定のポリヌクレオチド結合配列の複数のプローブ分子が規則正しく別々の場所で合成され、したがってアレイを形成する基板を指す。特定のポリヌクレオチド配列は、1つ以上の異なる種類のリンカー分子を介してチップの基板に結合し得る。「チップアレイ」は、複数のチップ、例えば、24、96、または384チップを有するプレートを指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「キャッピング」または「キャッピングプロセス」または「キャッピングステップ」という用語は、結合している分子のさらなる反応を妨げる分子を付加することを指す。
【0051】
「ヌクレオチド」及び「ヌクレオチド部分」は、核酸のサブユニット(例えば、RNA、DNA、またはそれらの類似体)を指し、限定されないが、リン酸基、糖基、及び窒素含有塩基、ならびにこれらのサブユニットの類似体を挙げることができる。他の基(例えば、保護基)を、糖基及び窒素含有塩基基に結合させることができる。
【0052】
「ヌクレオシド」は、糖基及び窒素含有塩基などの核酸サブユニットを指す。「ヌクレオチド」という用語を、本明細書では本開示の実施形態を記載するために使用するが、当業者は、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語がほとんどの場合交換可能であることを理解するであろうことに留意されたい。当業者であれば、ヌクレオシドへの追加の修飾が必要であり得ることを理解しているであろう。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、天然に存在するプリン及びピリミジン塩基(例えば、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはウラシル(U))のみでなく、修飾されたプリン及びピリミジン塩基及び修飾された他の複素環式塩基(これらの部分は、まとめて「プリン及びピリミジン塩基及びそれらの類似体」と呼ばれることもある)を含有する部分を含むことが理解されよう。かかる修飾としては、例えば、ジアミノプリン及びその誘導体、イノシン及びその誘導体、アルキル化プリンまたはピリミジン、アシル化プリンまたはピリミジン、チオール化プリンまたはピリミジンなど、またはレブリニル、アセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、ベンゾイル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、NN-ジフェニルカルバメートなどの保護基の付加が挙げられる。プリンまたはピリミジン塩基もまた、前述の類似体であり得る。好適な類似体は当業者に公知であり、関連するテキスト及び文献に記載されている。一般的な類似体としては、限定されないが、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、N6-レチルアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、4-アセチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、2,2-ジメチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、5-エチルウラシル、5-プロピルウラシル、5-メトキシウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)ウラシル、5-(カルボキシメチルアミノメチル)-ウラシル、2-チオウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-(2-ブロモビニル)ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、プソイドウラシル、1-メチルプソイドウラシル、ケオシン、イノシン、1-メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、6-チオプリン、及び2,6-ジアミノプリンが挙げられる。
【0054】
「ヌクレオチドモノマー」は、より大きいオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖に組み込まれておらず、単一のヌクレオチドサブユニットに対応する分子を指す。ヌクレオチドモノマーはまた、活性化基または保護基を、そのような基がヌクレオチドモノマーの意図された使用のために必要である場合は、有し得る。
【0055】
「ポリヌクレオチド」は、一般に、1より大きい任意の数のヌクレオチドを有するヌクレオチド多量体を指す。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、それらが使用される文及び段落の文脈と一致して、多くの場合同義的に使用される。
【0056】
「ポリヌクレオチド中間体」は、ポリヌクレオチドの化学合成のステップ間で生じる分子であり、ポリヌクレオチド中間体は、目的の最終生成物を得るためにさらなる反応に供され、例えば保護されたポリヌクレオチドであり、それはその後、脱保護される。
【0057】
「ヌクレオチド間結合」は、2つのヌクレオシド部分間の化学的連結、例えば、自然界で見つかる核酸におけるホスホジエステル連結、または核酸及び核酸類似体の合成技術から周知である連結などを指す。ヌクレオチド間結合は、ホスホまたはホスファイト基を含み得、ホスホまたはホスファイト基の1つ以上の酸素原子が、置換基によって修飾されるか、または別の原子(例えば、モノもしくはジアルキルアミノ基の硫黄原子もしくは窒素原子)、または基(例えば、メチル基もしくは他のアルキル基もしくは官能化アルキル基)によって置換される連結を含み得る。
【0058】
「基」には、置換形態及び非置換形態の両方を含む。典型的な置換基としては、1つ以上の低級アルキル、アミノ、イミノ、アミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルキル、アルキルチオ、アリールチオ、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、チオ、メルカプト、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、及びボロニルが挙げられ、または任意により、1つ以上の利用可能な炭素原子上でシアノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシル、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、ホスファート、ホスホネートなどの非ヒドロカルビル置換基により置換される。いずれの置換基も、典型的には、反応収率に実質的に悪影響を及ぼさないように(例えば、特定の置換基または置換基の組み合わせなく、他の方法で得られる収率の20%より多く反応収率を低下させることはない(または10%、または5%、または1%))選択される。「ホスホ」基としては、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、及びH-ホスホネート基が挙げられる。ホスホ基またはホスファイト基のいずれかの場合、置換された5員のフリル環以外の化学部分が、フリル環とP原子との間を連結するホスホ基またはホスファイト基のOに結合し得る。
【0059】
「保護基」は、従来の化学的意味で、所望の反応の特定の条件下で官能基を可逆的に非反応性にする基を参照するために使用される。いくつかの保護基が当業者に周知である。保護/脱保護プロセスならびに様々な保護基の例は、Wuts and Greene,2006,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,New York,N.Y.に記載されている。当業者に公知である任意の好適な保護基を使用してよい。所望の反応の後、保護基を除去して、保護された官能基を脱保護させてもよい。すべての保護基は、合成される分子のかなりの割合を分解することのない条件下で除去可能(したがって不安定)であるべきである。保護基とは対照的に、「キャッピング基」は分子のあるセグメントに恒久的に結合して、そのセグメントのさらなるいかなる化学的変換も防止する。保護基によって保護される官能基は、保護基と呼ばれるものの一部である場合または一部でない場合もあることに留意されたい。
【0060】
概要
本明細書に記載されているのは、固体基板上において、in situでポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチド)を合成するための組成物及び方法である。特に、本明細書に記載されているのは、DNA(マイクロ)アレイまたはDNAチップの形態のポリヌクレオチドプローブのアレイを合成するための新規の組成物及び方法である。
【0061】
以下に記載される実験手順は、部分的に、当技術分野で周知であり、かつ一般的に使用されている方法を使用し得る。例えば、標準技術が、DNA及びRNAの単離、精製、増幅、及びクローニングに使用され得る。DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼなどが関与する酵素反応は、製造業者の仕様に従って実施し得る。かかる技術及び他の様々な技術は、一般に、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning-A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Ausubel et al.,1993,Current Protocols in Molecular Biology,Volumes1-3,John Wiley&Sons,Inc.,New York,N.Y.、及びKriegler,1990,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual,Stockton Press,New York,N.Y.,に従って実行され得る。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0062】
本出願では、フォトリソグラフィを使用したハイスループット並列合成によるマイクロアレイプラットフォームでのポリヌクレオチドの配列特異的合成の方法について記載する。本明細書には、ヌクレオチドモノマー及びヌクレオチド部分を含むポリヌクレオチド構造も記載されており、ヌクレオチドモノマー及びヌクレオチド部分はそれぞれ、様々な種類の保護基を含む。ヌクレオチドモノマー及びヌクレオチド部分は、ポリヌクレオチドの脱保護、特にアレイ上でのポリヌクレオチド合成のために、本発明の方法、プロセス、及び/または組成物と組み合わせて使用できる。本発明の実施形態では、所望の完全長ポリヌクレオチド産物の定量的または準定量的かつ迅速な合成が可能になる。
【0063】
本明細書に記載の組成物及び方法の様々な実施例において、DNAポリヌクレオチドの合成を例示するスキームを以下に提供する。
【0064】
スキームI-核酸合成のための光酸カスケード系
いくつかの実施形態によれば、本明細書で提供されるのは、核酸合成中の効率的な脱保護を容易にするための光酸カスケード系である。標準的な核酸合成では、DMTなどの保護基は、酸に曝露することによって除去され得る。しかし、強酸への曝露は脱プリン化をもたらし得、弱酸への曝露は脱保護が不完全となり得、いずれもヌクレオチド合成反応の収率が損なわれる。
【0065】
本明細書で提供するのは、マイクロアレイ上で合成されたポリヌクレオチドの改善された収率を示す新規のヌクレオチド合成反応である。
【0066】
本明細書で提供するのは、光活性化カスケード反応を使用して、脱プリン化を回避しながら脱保護の収率を改善するのに十分な弱酸を生成する新規のヌクレオチド合成反応である。
【0067】
光カスケード系
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、光活性化カスケード反応を使用して、強酸の脱保護の特徴である脱プリン化を回避しながら、脱保護の収率を改善するのに十分な弱酸を生成するヌクレオチド合成反応である。場合によっては、光活性化カスケード反応は、アセテートと酢酸フェニルとの反応を含む。
【0068】
図1には、ヌクレオチド合成に有用な例示的な光酸カスケード系を示す。この反応のために、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、4-tertブチル酢酸フェニル、及びイソプロピルチオキサントン(ITX)を含むプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の溶液が調製される。特定の実施形態では、4-tertブチル酢酸フェニルとPGMEA由来のアセテートとの反応は、溶液を波長356nmの光に曝露させたときに、ITXによって触媒され、無水酢酸及び4tert-ブチルフェノールを中間化合物として生成する。次に、無水酢酸と4-tert-ブチルフェノールが反応して、元の試薬である4-tertブチル酢酸フェニル及び酢酸を形成する。このカスケード反応では、365nmの光に曝露されると、光活性化溶液中に酢酸が生じる。次に、DMTで保護されたヌクレオチドの場所において生じた酢酸が反応して、ヌクレオチドを高効率で脱保護させ得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、光活性溶液は、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量%、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、または10.0重量%のPMMAを含む。好ましい実施形態では、光活性溶液は、約0.5~5重量%のPMMAを含む。より好ましい実施形態では、光活性溶液は、約1~3重量%のPMMAを含む。一実施形態では、光活性溶液は、約2重量%のPMMAを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、光活性溶液は、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量%、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、または10.0重量%の4-tertブチル酢酸フェニルを含む。好ましい実施形態では、光活性溶液は、約2~7重量%の4-tertブチル酢酸フェニルを含む。より好ましい実施形態では、光活性溶液は、約3~6重量%の4-tertブチル酢酸フェニルを含む。一実施形態では、光活性溶液は、約5重量%の4-tertブチル酢酸フェニルを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、光活性溶液は、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量%、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、または10.0重量%のITXを含む。好ましい実施形態では、光活性溶液は、約2~7重量%のITXを含む。より好ましい実施形態では、光活性溶液は、約3~6重量%のITXを含む。一実施形態では、光活性溶液は、約5重量%のITXを含む。
【0072】
特定の実施形態では、光活性溶液は、約0.5~5重量%のPMMA、約2~7重量%の4-tertブチル酢酸フェニル、及び約5重量%のITXを含む。より特定の実施形態では、光活性溶液は、約1~3重量%のPMMA、約3~6重量%の4-tertブチル酢酸フェニル、及び約3~6重量%のITXを含む。一実施形態では、光活性溶液は、約2重量%のPMMA、約5重量%の4-tertブチル酢酸フェニル、及び約5重量%のITXを含む。
【0073】
光活性化カスケードのある特定の実施形態では、4-tertブチル酢酸フェニル-PGMEA系を利用しているが、他の酸カスケード系を使用して、部位特異的脱保護のためのカスケード系を介して弱酸を生成することができる。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルカーボネート-プロピレンカーボネート光活性化酸カスケード系が、炭酸/酢酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルカーボネート-メチルフェニルカーボネート光活性化酸カスケード系が、炭酸/酢酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルカーボネート-PGMEA光活性化酸カスケード系が、炭酸/酢酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルホスファート-フェニルホスファート光活性化酸カスケード系が、リン酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルスルホナート-フェニルスルファート光活性化酸カスケード系が、スルホン酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルスルホナート-4メチルフェニルスルファート光活性化酸カスケード系が、スルホン酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルスルホナート-ジメチルスルファート光活性化酸カスケード系が、スルホン酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルスルホナート-メチルトリフルオロメタンスルホナート光活性化酸カスケード系が、スルホン酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルスルホナート-メチルフルオロスルホナート光活性化酸カスケード系が、スルホン酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、4-tertブチルフェニルトリフラート-フェニルトリフルオロメタンスルホナート光活性化酸カスケード系を使用して、トリフルオロメタンスルホン酸を生成する。いくつかの実施形態では、4-tertブチル安息香酸フェニル-安息香酸フェニル光活性化酸カスケード系が、安息香酸を生成するために使用される。
【0074】
光活性化酸カスケードを使用したDMT脱保護及びモノマーカップリング
ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の光活性化酸カスケード溶液を使用して、アレイ上で効率よく合成することができる。図2は、アレイポリヌクレオチド合成の例示的な方法を示している。
【0075】
図2に示すように、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)で保護されたヌクレオチドを含むウェハーが提供され得る。光活性化酸カスケード溶液をウェハーの表面にコーティングしてもよい。ヌクレオチド合成のために選択されたヌクレオチドの付加を必要とする、選択された領域に局所的に光を適用することもできる。いくつかの実施形態では、光は、フォトマスクを使用することによって適用される。光活性化溶液を含むウェハーは、ある波長の光に曝露されて酸カスケード反応を開始することができ、これにより、ウェハーが光に曝露される場所において、DMT保護ヌクレオチドが脱保護される。いくつかの実施形態では、ウェハーは、フィールドあたり500ミリ秒間、露光される。いくつかの実施形態では、曝露完了後、洗浄前の曝露後遅延時間が室温で10分間行われる。脱保護後、光活性化溶液を表面から洗浄して、脱保護されたヌクレオチドを有している選択された分子を含むウェハーが残り得る。次に、所望のヌクレオチドをウェハーに添加して、脱保護されたヌクレオチドと結合させることができる。好ましい実施形態では、入力ヌクレオチドは、DMTで保護され、これにより、提供される反応スキームに従ってヌクレオチド付加の後続のサイクルが可能になる。入力ヌクレオチドに結合しなかった脱保護された分子の合成を防ぐために、キャッピング溶液をウェハーに塗布できる。
【0076】
上記のサイクルは、アレイ上の各場所において所望のポリヌクレオチド配列を合成するために必要な回数繰り返すことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、曝露後遅延時間は、約0.5分、1分、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、5.5分、6分、6.5分、7分、7.5分、8分、8.5分、9分、9.5分、10分、10.5分、11分、11.5分、12分、12.5分、13分、13.5分、14分、14.5分、または15分である。好ましい実施形態では、曝露後遅延時間は約3~6分である。
【0078】
スキーム2-in situNPPOCの合成
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド合成スキームは、アレイに結合させた遊離ヌクレオチドの3’-ニトロフェニルプロピルオキシカルボニル(NPPOC)保護基のin situ合成に依存する。NPPOCのin situ合成の反応スキームの例を図3に示す。図示のとおり、保護されていない5’ヒドロキシル基を有するヌクレオチドは、1-メチル-2-ピロリジノン及びピリジンに溶解するクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルを含むin situNPPOC合成溶液を添加することにより、NPPOC保護ヌクレオチドに変換することができる。
【0079】
したがって、1段階及び2段階のNPPOC保護ポリヌクレオチド合成スキームの両方について、いくつかの実施形態によれば、NPPOC保護ヌクレオチドは、以下のように調製することができる。図4及び図5に示すとおり、DMT保護ヌクレオチド(DMT-R1)を含むウェハーが提供される。次に、DMT保護基は、TCAなどの強酸を使用して全体的に除去される。次に、NPPOCが、図3に示す反応スキームに従って、脱保護されたヌクレオチドに連結される。いくつかの実施形態では、ウェハーに結合された脱保護されたそれぞれへのNPPOCのin situ合成は、30%1-メチル-2-ピロリジノン及び70%ピリジンの溶媒に溶解した0.3Mクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルを含むin situNPPOC合成溶液をウェハー上にスピンコーティングすることによって行われる。次に、ウェハーを95℃で2分間焼成して、NPPOC保護基をウェハーに結合させた脱保護ヌクレオチドに全体的に連結させる。次に、ウェハーを1-メチル-2-ピロリドン及びイソプロピルアルコールによりストリッピングすることができる。
【0080】
得られたNPPOC保護ヌクレオチドのアレイから、各スポットにおける選択されたヌクレオチドの付加は、本明細書に記載されるように、1段階または2段階のNPPOC脱保護及びカップリングに従って進行し得る。いくつかの実施形態では、保護ヌクレオチドの層が必要に応じてアレイに結合させたヌクレオチドに付加されると、全体的な脱保護及びNPPOC合成を必要な回数繰り返して、ウェハー上の各場所において所望のポリヌクレオチド配列長を達成することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、または110℃で焼成される。好ましい実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、約80~100℃の温度で焼成される。いくつかの実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、約30秒間、40秒間、50秒間、60秒間、70秒間、80秒間、90秒間、100秒間、110秒間、120秒間、130秒間、140秒間、150秒間、160秒間、170秒間、180秒間、190秒間、200秒間、210秒間、220秒間、230秒間、240秒間、250秒間、260秒間、270秒間、280秒間、290秒間、300秒間、310秒間、320秒間、330秒間、340秒間、350秒間、または360秒間焼成される。好ましい実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、約60~240秒間焼成される。特定の実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、約120秒間焼成される。特定の実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、約80~100℃の温度で約60~240秒間焼成される。一実施形態では、NPPOC合成溶液をコーティングしたアレイは、約95℃で約120秒間焼成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、in situNPPOC合成溶液中のクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルの濃度は、約0.01M、0.02M、0.03M、0.04M、0.05M、0.06M、0.07M、0.08M、0.09M、0.1M、0.11M、0.12M、0.13M、0.14M、0.15M、0.16M、0.17M、0.18M、0.19M、0.2M 、0.21M、0.22M、0.23M、0.24M、0.25M、0.26M、0.27M、0.28M、0.29M、0.3M、0.31M、0.32M、0.33M、0.34M、0.35M、0.36M、0.37M、0.38M、0.39M、0.4M、0.41M、0.42M、0.43M、0.44M、0.45M、0.46M、0.47M、0.48M、0.49M、0.50M、0.51M、0.52M、0.53M、0.54M、0.55M、0.56M、0.57M、0.58M、0.59M、0.6M0.61M、0.62M、0.63M、0.64M、0.65M、0.66M、0.67M、0.68M、0.69M、0.7M、0.71M、0.72M、0.73M、0.74M、0.75M、0.76M、0.77M、0.78M、0.79M、0.8M、0.81M、0.82M、0.83M、0.84M、0.85M、0.86M、0.87M、0.88M、0.89M、0.90M、0.91M、0.92M、0.93M、0.94M、0.95M、0.96M、0.97M、0.98M、0.99M、または1.0Mである。好ましい実施形態では、in situNPPOC合成溶液中のクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルの濃度は、約0.05~0.8Mである。より好ましい実施形態では、in situNPPOC合成溶液中のクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルの濃度は、約0.2~0.5Mである。
【0083】
いくつかの実施形態では、クロロギ酸2-2-(2-ニトロフェニル)プロピルは、表1に提供される以下のパーセンテージの1-メチル-2-ピロリジノン及びピリジンを含む溶液に溶解されて、NPPOC合成溶液を形成する。
【0084】
(表1)in situ NPPOC合成溶液の溶媒構成
【0085】
In situでのNPPOC保護及び2段階の光活性化脱保護及び合成。
いくつかの実施形態では、in situNPPOC保護ヌクレオチドは、例えば図4に示すとおり、2段階合成スキームに従って脱保護され、入力ヌクレオチド(例えば、DMTR2)に連結される。したがって、アレイ上の選択された部位での光活性化脱保護を容易にするためにITXを含むフォトレジスト溶液が、ウェハーの表面にコーティングされる。ウェハーに選択的に露光して、アレイに結合させた保護ヌクレオチドからNPPOCを選択的に除去する。次に、光活性化溶液がウェハーから洗い流され、所望のヌクレオチドを含む溶液がウェハーに添加されて、脱保護されたヌクレオチドに結合する。いくつかの実施形態では、入力ヌクレオチドは保護されており、例えば、DMT基に結合された5’炭素を有する。これらのステップは、合成層が完了するまで(すなわち、NPPOCで保護されたヌクレオチドへのさらなる付加が不要になるまで)繰り返すことができる。層が完成すると、別のラウンドの合成ステップが行われ得、アレイに結合させた保護ヌクレオチドの全体的な脱保護から始まり、次にin situでのNPPOC保護が行われる。
【0086】
In situでのNPPOC保護及び1段階の光活性化脱保護及び合成。
いくつかの実施形態では、in situNPPOC保護ヌクレオチドは、例えば、図5に示すとおり、1段階合成スキームに従って脱保護され、入力ヌクレオチドに連結される。したがって、アレイ上の選択された部位での光活性化脱保護を容易にするためにITXを含むフォトレジスト溶液がウェハーの表面にコーティングされ、アレイに結合させたヌクレオチドを選択的に脱保護させるために選択的に露光される。フォトレジスト溶液はまた、脱保護されたヌクレオチドに結合するように所望のヌクレオチドを含み得、これにより、脱保護及び入力ヌクレオチドの連結が単一の段階で起こり得るようになる。いくつかの実施形態では、入力ヌクレオチドは保護されており、例えば、DMT基に結合された5’炭素を有する。これらのステップは、合成層が完了するまで(すなわち、NPPOCで保護されたヌクレオチドへのさらなる付加が不要になるまで)繰り返すことができる。層が完成すると、別のラウンドの合成ステップが行われ得、アレイに結合させた保護ヌクレオチドの全体的な脱保護から始まり、次にin situでのNPPOC保護が行われる。
【0087】
ウェハーの官能化
いくつかの実施形態では、好ましくはリンカーを介して、ウェハーの表面に結合させた保護ヌクレオチドのアレイを含むウェハーが、ポリヌクレオチドの合成を容易にするために提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、ポリヌクレオチド合成を容易にするように官能化されたウェハーである。
【0088】
ウェハー官能化スキーム
いくつかの実施形態では、ウェハーは、以下の反応スキームに従って官能化させる。
1.ウェハーをアミン基により官能化する(例えば、有機官能性アルコキシシランを使用する)。
2.官能化したウェハーのアミン基にリンカーを結合させる。リンカーは、保護されたアミン基を含み得る。リンカーは、カルボキシル基をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーのカルボキシル基は、官能化させたウェハーのアミン基に結合する。いくつかの実施形態では、結合では、官能化させたウェハーにリンカーを結合させる。
3.結合させたリンカーのアミン基を脱保護させる。
4.アミン基を修飾されたDMT保護ヌクレオチド、例えばDMT保護ホスホルアミダイトに結合させる。これにより、DMT-R1がウェハーに結合されたアレイとなり得る。
【0089】
一実施形態では、官能化反応スキームは以下のとおりである:
1.3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を添加して、ウェハーをアミン基により官能化する。
2.遊離アミンをFMOC-NH-PEG-CHCHCOOHに連結させ、ウェハーの表面に結合させたFmoc保護リンカーとなる。
3.4-メチルピペリジンによりアミン基からFmocを除去する。
4.DMT-ホスホルアミダイトチミンCED-5’シアノエチル(次の核酸のカップリングが可能になるようにDMT保護ホスホルアミダイト基)を添加する。
5.非結合リンカーへのキャッピングを行う。
6.本明細書に記載のとおり、光酸カスケード系を実施する。
【0090】
有機官能性アルコキシシラン
示されるように、二酸化ケイ素ウェハーを、その後の結合のために遊離アミン基を含む化合物をコーティングすることによって官能化させ得る。いくつかの実施形態では、ウェハーは有機官能性アルコキシシラン分子がコーティングされている。いくつかの実施形態では、ウェハーはAPTESがコーティングされている。いくつかの実施形態では、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量%、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、または10.0重量%のAPTESの溶液が使用される。いくつかの実施形態では、約0.1~5.0重量%のAPTESの溶液が使用される。好ましい実施形態では、約0.5~4.0重量%のAPTESの溶液が使用される。さらにより好ましい実施形態では、約1.0~3.0重量%のAPTESの溶液が使用される。一実施形態では、約2.0重量%のAPTESの溶液が使用される。
【0091】
リンカー
いくつかの実施形態では、リンカーは、遊離アミン基がコーティングされたウェハーに結合されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、遊離アミン基に結合するためのカルボン酸基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、表面と合成されたポリヌクレオチドとの間の離間を容易にするための鎖をさらに含む。鎖は、一緒に連結された1つ以上のPEG基を含み得る。いくつかの実施形態では、鎖は脂肪族炭素鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、ヌクレオチド(例えば、ホスホルアミダイト)の結合を容易にするための基をさらに含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドの結合を容易にするための基は、アミン基である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドの結合を容易にするためのアミン基は、Fmoc保護アミン基などの保護アミン基である。いくつかの実施形態では、リンカーは、一端にカルボン酸基、他端にヌクレオチドの結合を容易にするためのアミン基、及びアミン基をカルボン酸基に接続する1つ以上のPEG基または脂肪族鎖などのスペーサー分子を含む。例えば、リンカーは、Fmoc-NH-PEG-CHCHCOOHを含み得、カルボキシル基は、ウェハーの表面結合アミンに結合し、Fmoc保護アミン基は、別の分子をその後に結合させるために脱保護させて、ポリヌクレオチドの合成を容易にすることができる。保護アミン基は、4-メチルピペリジンを含む試薬など、好適な試薬によって脱保護させ得る。
【0092】
ホスホルアミダイト(DMT保護)
いくつかの実施形態では、一連のDMT保護ヌクレオチドがウェハーに結合した官能化アレイを生成するために、修飾DMT保護ヌクレオシドが、アレイの表面に結合された遊離アミンに結合する。いくつかの実施形態では、アミン基は、DMT保護ヌクレオチドの結合を容易にするために、最初に脱保護される必要がある。いくつかの実施形態では、アミン基は、アレイの表面に結合されたリンカーの末端にある。
【0093】
いくつかの実施形態では、チミンCED-5’シアノエチルが、ウェハーの表面に結合された遊離アミン基に結合しているが、他の塩基を有するホスホルアミダイトを使用してもよい。
【0094】
製剤
本明細書に開示されるのは、フォトレジスト製剤、置換製剤、活性化製剤、及びリンカー製剤などの製剤である。これらの製剤は、例えば、本明細書に開示のポリヌクレオチドマイクロアレイの製造、使用に有用であり得る。
【0095】
フォトレジスト製剤
本明細書に開示されるのは、光活性化合物及び光保護化合物を含むフォトレジスト製剤である。いくつかの実施形態では、光活性化合物は、光酸発生剤である。光活性化合物を電磁放射に曝露させることにより、拡散が制限された半径内で物質変換二次反応を誘発し続ける化合物を生成する光化学的事象が誘発され得る。フォトレジスト製剤は、放射線感受性触媒前駆体、例えば、光酸発生剤(PAG)を含む光活性化合物、触媒の存在下での欠失、付加、または転位によって反応できる複数の化学基、及び性能または加工性を改善するための任意の添加剤(例えば、界面活性剤、光増感剤、及びエッチング抵抗剤)を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、カチオン性光開始剤である。光開始剤を製剤に添加して、吸収された光エネルギー、UVまたは可視光を、開始種、例えば、フリーラジカルまたはカチオンの形態の化学エネルギーに変換することができる。非常に強いプロトン酸またはルイス酸の潜在的な光化学源として機能するいくつかの種類のカチオン性光開始剤の能力が、一般に、フォトイメージング用途でのそれらの使用の基礎である。いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、ヨードニウム塩、ポロニウム塩、またはスルホニウム塩である。いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムまたはトリフルオロメタンスルホナートである。いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、以下に示す(2,4-ジヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフラートまたは(4メトキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフラートである。
【0097】
いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、トリフラート、リン酸塩及び/またはアンチモン酸塩のヨードニウム及びスルホニウムの塩である。いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、総製剤の約0.1%未満、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3.%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、または10.0%の濃度である。いくつかの実施形態では、光酸発生剤は、総フォトレジスト製剤の約0.5~5重量%の濃度である。
【0098】
いくつかの実施形態では、光保護化合物は、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウムなどである。
【0099】
いくつかの実施形態では、フォトレジスト製剤は、ポリマー及び溶媒をさらに含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)-ナトリウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、多糖類、及びセルロース誘導体である。
【0101】
いくつかの実施形態では、ポリマーは非架橋性不活性ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンの一般的な構造は次のとおりである。ここで、nは1より大きい任意の正の整数である。
【0102】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ビニルピロリドンのポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンは、水及び他の極性溶媒に可溶である。乾燥すると、ポリマーは軽い薄片状の粉末であり、一般に大気中の水中でその重量の最大40%を容易に吸収する。溶液中では、優れた濡れ性を有し、容易に膜を形成する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ビニルピロリドンまたはビニルアルコールである。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリメチルメタクリレートである。
【0103】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、総製剤の約0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%超の濃度である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、総製剤の約0.5~5重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、総製剤の2.5~5重量%の濃度である。
【0104】
いくつかの実施形態では、フォトレジスト製剤は、溶媒中に分散されたポリマーマトリックス中に光酸発生剤及び光増感剤を含む。いくつかの実施形態では、フォトレジストの組成物中のポリマーは、一般に、不活性であり、非架橋性であるが、光活性化合物は、電磁放射への曝露時に十分な量の光酸を容易に生成して、許容可能な収率で生成物を生成する所望の反応をもたらす。
【0105】
いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約80~90重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約70%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超の濃度である。
【0106】
いくつかの実施形態では、溶媒は、水、乳酸エチル、nメチルピロリドン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、乳酸エチルが、水に50%超溶解して、溶媒を形成する。いくつかの実施形態では、溶媒は、約10%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)及び約90%のDI水を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、最大約20%のPGMEAを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、50%の乳酸エチル及び50%のnメチルピロリドンを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、nメチルピロリドンである。いくつかの実施形態では、溶媒は、水、有機溶媒、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミドまたはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約70重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または99重量%超の濃度である。いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約80~90重量%の濃度である。
【0107】
特定の実施形態では、フォトレジスト製剤は、約0.5~5重量%の光酸発生剤、約80~90重量%の溶媒、及び約0.1~5重量%のポリマーを含む。特定の実施形態では、フォトレジスト製剤は、約0.5~5重量%の光酸発生剤、約80~97重量%の溶媒、及び約2.5~5重量%のポリマーを含む。
【0108】
特定の実施形態では、フォトレジスト製剤は、光増感剤、光活性化合物、ポリマー、及び溶媒を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、フォトレジスト製剤は、マイクロアレイの表面上にフォトレジスト層を形成する。
【0110】
活性化製剤
本明細書に開示されるのは、カルボン酸が遊離アミノ基と反応するようにカルボン酸を活性化するための活性化製剤である。いくつかの実施形態では、活性化製剤は、活性化剤(カップリング試薬とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、カルボジイミドまたはトリアゾールである。いくつかの実施形態では、カルボジイミドは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。いくつかの実施形態では、カルボン酸基活性化化合物は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)である。いくつかの実施形態では、活性化製剤は、任意に溶媒及び/またはポリマーを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、活性化製剤は、R-酢酸、例えば、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、フルオロ酢酸、ヨード酢酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、活性化製剤は、カップリング分子、例えば、DMT保護ヌクレオチドをさらに含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]、N-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)[HATU]、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、水である。いくつかの実施形態では、溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)である。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、カルボン酸をカルボニル基に変換する(すなわち、カルボン酸基の活性化)。いくつかの実施形態では、カルボン酸基は、置換反応製剤への曝露後、約5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、45分間、または60分間活性化される。
【0113】
いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、総製剤の約0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、または5.0重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、総製剤の約0.5~5重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、総製剤の2~4重量%の濃度である。
【0114】
上記の組み合わせのいずれにおいても、製剤は完全に水で除去可能であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、水を使用して、曝露後に製剤を洗い流すことができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、活性化製剤は、脱イオン水に溶解した4重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及び2重量%のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含む。いくつかの実施形態では、活性化製剤は、NMPに溶解した4重量%の1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及び2重量%ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含む。いくつかの実施形態では、活性化製剤は、NMPに溶解した4重量%の(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)(HATU)及び2重量%のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含む。いくつかの実施形態では、活性化製剤は、NMPに溶解した4重量%のベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)及び2重量%のDIEAを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、溶媒は、水である。いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約80~90重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約70重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または99重量%超の濃度である。
【0117】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピロリドン及び/またはポリビニルアルコールである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、総製剤の約0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、または5.0重量%の濃度である。好ましい実施形態では、ポリマーは、総製剤の約0.5~5重量%の濃度である。
【0118】
いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、カルボジイミドである。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、トリアゾールである。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、総製剤の約0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、または5.0重量%の濃度である。好ましい実施形態では、カップリング試薬は、総製剤の約0.5~5重量%の濃度である。
【0119】
リンカー製剤
リンカー製剤も本明細書に開示する。リンカー製剤は、溶媒、ポリマー、リンカー分子、及びカップリング試薬などの成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、1重量%のポリビニルアルコール及び2.5重量%のポリビニルピロリドンを含み、リンカー分子は、1.25重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は、1重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は、水を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、0.5~5重量%のポリビニルアルコール及び0.5~5重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は、0.5~5重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は、0.5~5重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は、水を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、溶媒は、水、有機溶媒、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒は、総製剤の約70重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または99重量%超での濃度ある。好ましい実施形態では、溶媒は、総製剤の約80~90重量%の濃度である。
【0121】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピロリドン及び/またはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの一般的な構造は次式のとおりである。ここで、nは1より大きい任意の正の整数である。
【0122】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、総製剤の約0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、または5.0重量%の濃度である。好ましい実施形態では、ポリマーは、総製剤の約0.5~5重量%の濃度である。
【0123】
リンカー分子は、本明細書に開示される表面と、カップリング分子を介して合成されているポリヌクレオチド鎖との間に挿入される分子であり得る。リンカー分子は、分子認識機能など、結果として生じるポリヌクレオチド鎖に必ずしも官能性を伝達するものではないが、その代わりに、表面とポリヌクレオチド鎖との間の距離を延ばして、表面上のポリヌクレオチド鎖の官能領域(複数可)の曝露を向上させることができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、曝露させるために約4~約40原子の長さであり得る。リンカー分子は、例えば、アリールアセチレン、2~10個のモノマー単位(PEG)を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、及びそれらの組み合わせであり得る。ジアミンの例としては、エチレンジアミン及びジアミノプロパンが挙げられる。あるいは、リンカーは、ポリペプチド及びアミノ酸誘導体のポリマー、例えば、アミノヘキサン酸、または核酸ポリマーなど、合成されるものと同じ分子タイプ(例えば、新生ポリマーまたは様々なカップリング分子)であり得る。いくつかの実施形態では、リンカー分子は、分子の第1の末端にカルボキシル基を有し、分子の第2の末端に保護基を有する分子である。いくつかの実施形態では、保護基は、t-ブトキシカルボニル(t-Boc)保護基または9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基である。いくつかの実施形態では、リンカー分子は、アリールアセチレン、ポリエチレングリコール、新生ポリペプチド、ジアミン、二酸、ペプチド、核酸モノマーもしくはポリマー、もしくはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、リンカー分子は、総製剤の約0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、または5.0重量%の濃度である。好ましい実施形態では、リンカー分子は、総製剤の約0.5~5重量%の濃度である。
【0124】
リンカー分子の非結合(または自由端)部分は、ブロックするか、保護するか、または他の方法で除去可能な保護基による反応に利用できないようにする反応性官能基を有することができる。保護基をリンカー分子に結合させて、リンカー分子の反応性官能基を保護することができる。使用され得る保護基としては、酸及び塩基に不安定なすべての保護基が挙げられる。例えば、リンカーアミン基は、両方とも酸に不安定であるt-ブトキシカルボニル(t-BOCもしくはBOC)またはベンジルオキシカルボニル(CBZ)、または塩基に不安定である9-フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)によって保護され得る。
【0125】
使用できる追加の保護基としては、アミノ部分を保護するための酸に不安定な基として、tert-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、1-メチルシクロブチルオキシカルボニル、2-(p-ビフェニル)プロピル(2)オキシカルボニル、2-(p-フェニルアゾフェニルイル)プロピル(2)オキシカルボニル、アルファ、アルファ-ジメチル-3,5-ジメチルオキシベンジルオキシ-カルボニル、2-フェニルプロピル(2)オキシカルボニル、4-メチルオキシベンジルオキシカルボニル、フルフリルオキシカルボニル、トリフェニルメチル(トリチル)、p-トルエンスルフェニルアミノカルボニル、ジメチルホスフィノチオイル、ジフェニルホスフィノチオイル、2-ベンゾイル-1-メチルビニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、及び1-ナフチリデン;アミノ部分を保護するための塩基に不安定な基として、9フルオレニルメチルオキシカルボニル、メチルスルホニルエチルオキシカルボニル、及び5-ベンゾイソアゾイルメチレンオキシカルボニル;還元されたときに不安定なアミノ部分を保護するための基として、ジチアスクシノイル、p-トルエンスルホニル、及びピペリジノ-オキシカルボニル;酸化されたときに不安定なアミノ部分を保護するための基として、(エチルチオ)カルボニル;他の試薬に対して不安定であるアミノ部分を保護するための基として(適切な剤を基の後に括弧内に列挙する)、フタロイル(ヒドラジン)、トリフルオロアセチル(ピペリジン)、及びクロロアセチル(2-アミノチオフェノール);カルボン酸を保護するための酸に不安定な基として、tert-ブチルエステル;ヒドロキシル基を保護するための酸に不安定な基として、ジメチルトリチルが挙げられる。Greene,T.W.,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,NY,(1981)も参照のこと。
【0126】
基板
基板も本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、基板表面は平面(すなわち、2次元)である。いくつかの実施形態では、基板表面は、遊離アミン基で官能化されている。
【0127】
いくつかの態様では、表面は、剛性または半剛性を有する材料または材料のグループである。いくつかの態様では、表面は実質的に平坦であり得るが、いくつかの態様では、例えば、ウェル、隆起領域、ピン、ピラー、エッチングされたトレンチなどを有する異なる分子または特徴部の合成領域を物理的に分離することが望ましい場合がある。ある特定の態様では、表面は多孔質であり得る。表面材料は、例えば、シリコン、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)及びポリジメチルシロキサン(PDMS)などの生体適合性ポリマー、ガラス、SiO(例えば、半導体業界で使用されているものなど熱酸化物シリコンウェハー)、石英、窒化ケイ素、官能化ガラス、金、プラチナ、及びアルミニウムを挙げることができる。官能化表面としては、例えば、アミノ官能化ガラス、カルボキシ官能化ガラス、及びヒドロキシ官能化ガラスが挙げられる。さらに、表面は、分子の結合または官能化、反応性の増加または減少、結合検出、または他の特化された用途のための第2の表面を提供するために、1つ以上の層により任意によりコーティングされてもよい。表面材料及び/または層(複数可)は、多孔質または非多孔質であり得る。例えば、表面は多孔質シリコンで構成され得る。さらに、表面は、半導体デバイス製造業界で使用されるようなシリコンウェハーまたはチップであり得る。ウェハーまたはチップの場合、複数のアレイをウェハー上に合成することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、基板は、第1のモノマー構成要素を結合するための官能基を含む多孔質層(すなわち、3次元層)を含む。いくつかの実施形態では、基板表面は、ポリヌクレオチドを結合または合成させるためのピラーを含む。いくつかの実施形態では、多孔質層がピラーの最上部に追加される。
【0129】
多孔質層基板
使用できる多孔質層は、第1のポリヌクレオチド構成要素を結合させるためのアミン基(構成ポリマーに固有であるか、または多孔質層に導入される)を有する多孔質構造の平坦で透過性のポリマー材料であり得る。例えば、多孔質層は、多孔質シリコンの表面に結合したポリマー構成要素を結合させるための官能基を有する多孔質シリコンから構成することができる。別の例では、多孔質層は、架橋ポリマー材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、多孔質層は、ポリスチレン、サッカロース、デキストラン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロールピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、アガロース、セファロース、他の従来のクロマトグラフィータイプの材料及び誘導体及びそれらの混合物を使用することができる。いくつかの実施形態では、多孔質層構成材料は、ポリ(ビニルアルコール)、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)-ナトリウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、多糖類、及びセルロース誘導体から選択される。好ましくは、多孔質層は、10~80%の多孔度を有する。いくつかの実施形態では、多孔質層の厚さは、約0.01μm~約1,000μmの範囲である。好ましい実施形態では、多孔質層の厚さは、約0.1μm~約500μmの範囲である。多孔質層に含まれる孔径は、2nm~約100μmの範囲であり得る。好ましい実施形態では、孔径は、約10nm~約50μmであり得る。
【0130】
本発明の別の実施形態によれば、10~80%の多孔度を有する多孔質ポリマー材料を含む基板が提供され、反応性基は、細孔表面に化学的に結合し、反応性種、例えば、脱保護されたモノマー構成要素またはポリマー鎖と化学的に結合することによって相互作用するように使用中に適合される。いくつかの実施形態では、反応性基は遊離アミン基である。遊離アミン基は、例えば、カップリング分子または置換酢酸分子の活性化カルボン酸基と自由に結合する。
【0131】
一実施形態では、多孔質層は支持層と接触している。支持層は、例えば、金属、プラスチック、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素を含む。別の実施形態では、多孔質層は、以下に説明するピラー基板の最上部など、パターン化された表面と接触することができる。
【0132】
ピラー基板
いくつかの実施形態では、基板は、上面及び下面、ならびに複数のピラーを有する平面層を含むことができ、複数のピラーは、位置的に定義された場所においてその層に操作可能に連結され、各ピラーは、層から延在する平面を有し、各ピラーの面と層の上面との間の距離は、約1,000~5,000オングストロームであり、複数のピラーが、約10,000/cmを超える密度で存在する。
【0133】
いくつかの実施形態では、平面層は、金属、プラスチック、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、金属はクロムである。いくつかの実施形態では、金属は、クロム、チタン、アルミニウム、タングステン、金、銀、スズ、鉛、タリウム、インジウム、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、平面層は、少なくとも98.5~99%(重量で)の金属、プラスチック、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素である。いくつかの実施形態では、平面層は、100%金属、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素である。いくつかの実施形態では、平面層は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、または99%の金属、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素である。いくつかの実施形態では、層は、金属、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素の均質層である。
【0134】
いくつかの実施形態では、各ピラーの表面と平面層の上面との間の距離は、約1,000、2,000、3,000、3,500、4,500、5,000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、または10000オングストローム(またはその間の任意の整数)未満である。特定の実施形態では、各ピラーの表面と平面層の上面との間の距離は、約1000~5000オングストローム未満であり得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、各ピラーの表面は、層の上面に平行である。いくつかの実施形態では、各ピラーの表面は、層の上面に実質的に平行である。
【0136】
いくつかの実施形態では、複数のピラーは、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、または12,000/cmを超える密度(またはその間の任意の整数)で存在する。いくつかの実施形態では、複数のピラーは、10,000/cmを超える密度で存在する。いくつかの実施形態では、複数のピラーは、約10,000/cm~約250万/cm(またはその間の任意の整数)の密度で存在する。いくつかの実施形態では、複数のピラーは、250万/cmを超える密度で存在する。
【0137】
いくつかの実施形態では、各ピラー表面の表面積は、少なくとも1μmである。いくつかの実施形態では、各ピラー表面の表面積は、少なくとも0.1、0.5,12、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50μm(またはその間の任意の整数)であり得る。いくつかの実施形態では、各ピラー表面の表面積は、10,000μm未満の総面積を有する。いくつかの実施形態では、各ピラー表面の表面積は500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、または12,000μm(または任意の間の整数)未満の総面積を有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、各ピラーの表面と層の下面との間の距離は、2,000~7,000オングストロームである。いくつかの実施形態では、各ピラーの表面と層の下面との間の距離は、約500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、または12,000オングストローム未満(またはその間の任意の整数)である。いくつかの実施形態では、各ピラーの表面と層の下面との間の距離は、7,000、3,000、4,000、5,000、6,000、または7,000オングストローム(またはその間の任意の整数)である。
【0139】
いくつかの実施形態では、層は、1,000~2,000オングストロームの厚さである。いくつかの実施形態では、層は、約500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、または12,000オングストローム(またはその間の任意の整数)未満の厚さである。
【0140】
いくつかの実施形態では、各ピラーの中心は、任意の他のピラーの中心から少なくとも2,000オングストロームである。いくつかの実施形態では、各ピラーの中心は、任意の他のピラーの中心から少なくとも約500、1,000、2,000、3,000、または4,000オングストローム(またはその間の任意の整数)である。いくつかの実施形態では、各ピラーの中心は、任意の他のピラーの中心から少なくとも約2μm~200μmである。
【0141】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピラーまたは各ピラーは、ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピラーまたは各ピラーは、二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つまたは各ピラーは、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、または99%(重量で)の二酸化ケイ素である。
【0142】
いくつかの実施形態では、基板は、各ピラーの表面に結合した遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含む。いくつかの実施形態では、基板は、少なくとも1つのピラーの表面に結合した遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含む。いくつかの実施形態では、基板は、各ピラーの表面に結合した保護基を有するリンカー分子を含む。いくつかの実施形態では、基板は、少なくとも1つのピラーの表面に結合した保護基を有するリンカー分子を含む。いくつかの実施形態では、基板は、少なくとも1つのピラーの表面に結合したカップリング分子を含む。いくつかの実施形態では、基板は、各ピラーの表面に結合したカップリング分子を含む。いくつかの実施形態では、基板は、ピラーのうちの少なくとも1つの表面と接触しているポリマーを含む。いくつかの実施形態では、基板は、各ピラーの表面と接触しているポリマーを含む。いくつかの実施形態では、基材は、ピラーのうちの少なくとも1つの表面と接触しているゼラチン状の形態のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、基板は、ピラーのうちの少なくとも1つの表面と接触している固体形態のポリマーを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、基板のピラーのうちの少なくとも1つの表面は、誘導体化されている。いくつかの実施形態では、基板は、ピラーのうちの少なくとも1つの表面に結合したポリマー鎖を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー鎖は、ポリヌクレオチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピラーの表面への結合は、共有結合を介する。
【0144】
いくつかの実施形態では、各ピラーの表面は、形状が正方形または長方形である。いくつかの実施形態では、基板は、二酸化シリコン層に連結できる。二酸化シリコン層の厚さは、約0.5μm~3μmである。いくつかの実施形態では、基板は、ウェハー、例えば、シリコンウェハーに連結できる。二酸化シリコン層の厚さは、約700μm~750μmである。
【0145】
アレイ
アレイも本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、アレイは2次元アレイである。いくつかの実施形態では、アレイは、基板を含む表面を有し、基板は、上面及び下面を有する平面層を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、二次元アレイは、位置的に定義された場所において表面に結合している特徴部を含み、特徴部はそれぞれ、決定可能な配列及び意図された長さのポリヌクレオチド鎖の集合を含み、個々の特徴部内において、前記意図された長さを有する集合内のポリヌクレオチドの画分は、各カップリングステップの平均カップリング効率が約98%であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、アレイは、位置的に定義された場所において層に操作可能に連結された複数のピラーを含み、各ピラーは、層から延在する平面を有し、各ピラーの表面と層の上面との間の距離は、1,000~5,000オングストロームであり、複数のピラーが10,000/cmより高い密度で存在する。
【0147】
いくつかの実施形態では、アレイの表面は、遊離アミン基で官能化されている。いくつかの実施形態では、アレイ上の遊離アミン基の表面密度は、10/cm、100/cm、1,000/cm、10,000/cm、100,000/cm、1,000,000/cm、または10,000,000/cmを超える。いくつかの実施形態では、アレイ上の特徴部の表面密度は、10/cm、100/cm、1,000/cm、10,000/cm、100,000/cm、1,000,000/cm、または10,000,000/cmを超える。
【0148】
いくつかの実施形態では、アレイは、3次元アレイ、例えば、多孔質アレイの表面に結合された特徴部を含む多孔質アレイである。いくつかの実施形態では、多孔質アレイの表面は、外部表面及び多孔質アレイ内の細孔容積を画定する表面を含む。いくつかの実施形態では、3次元アレイは、位置的に定義された場所において表面に結合された特徴部を含み、前記特徴部はそれぞれ、決定可能な配列及び意図された長さのポリヌクレオチド鎖の集合を含む。一実施形態では、個々の特徴部内で、意図された長さを有する集合内のポリヌクレオチド鎖の画分は、各カップリングステップの平均カップリング効率が98%を超えることを特徴とする。
【0149】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド合成中に、入力ヌクレオチドを末端ヌクレオチドに結合するための各カップリングステップの平均カップリング効率は、少なくとも98.5%である。いくつかの実施形態では、各カップリングステップの平均カップリング効率は、少なくとも99%である。いくつかの実施形態では、各カップリングステップの平均カップリング効率は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%である。
【0150】
いくつかの実施形態では、全長の所定のポリヌクレオチド鎖の画分に関する各特徴部の純度は、所定の配列及び所定の全長配列長Nを有する各特徴部の全長の所定のポリヌクレオチド鎖の画分Fであり、F=10(N+1)・log(E/100%)で特徴づけられる。いくつかの実施形態では、Fは、所定の配列の各モノマーをカップリングするための平均カップリング効率Eが少なくとも98.5%であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、Fは、所定の配列の各モノマーをカップリングするための平均カップリング効率Eが少なくとも98.5%であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、各カップリングステップの平均カップリング効率Eは、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%である。
【0151】
いくつかの実施形態では、アレイ上の配列長の分布は、定義された長さ(例えば、64mer)のポリヌクレオチド配列の合成に基づく。各カップリングステップでは、キャッピング溶液を使用したとき、所望のカップリングが発生しない配列の長さがその長さに固定される。完全配列よりも短い各配列長のステップ収率に応じた長さの分布は、次式により求められる:
F(N)=10(N+1)・log(E/100%)-10(N)・log(E/100%)
式中、F(N)は、全長配列よりも短い長さNでのアレイ上の配列の比率であり、Eは、平均カップリング効率(パーセンテージ)である。各長さNでのEの正確な値を使用して、各長さにおいて正確な数のオリゴマーを生成することもできる。
【0152】
全長配列の比率は、次式によって得られる:
F(N)=10(N)・log(E/100%)
式中、F(N)は、完全長配列のアレイ上の配列の比率であり(さらなるカップリングステップはない)、Eは、平均カップリング効率である。
【0153】
いくつかの実施形態では、配列長Nは、長さが少なくとも64モノマーであり、全長未満の所定のポリヌクレオチド鎖の割合は(1-F)に等しい。いくつかの実施形態では、配列長Nは、長さが少なくとも65モノマーである。
【0154】
いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、長さが5~100モノマーである。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、長さが少なくとも64モノマーである。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、長さが少なくとも65モノマーである。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、長さが少なくとも100モノマーであるか、または100モノマーを超える。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、長さが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100モノマーである。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、長さが、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100モノマーであるか、または100モノマーを超える。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチド鎖は、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、1つ以上のリボヌクレオチドを含む。
【0155】
アレイは、表面に結合させた少なくとも1,000の異なる特徴部を含むことができる。アレイには、表面に結合させた少なくとも10,000の異なる特徴部を含むことができる。アレイには、表面に結合させた少なくとも100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、または10,000を超える(またはその間の任意の整数)異なる特徴部を含むことができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、アレイは、表面に結合させた少なくとも1,000の異なるポリヌクレオチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、アレイは、表面に結合させた少なくとも10,000の異なるポリヌクレオチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、アレイは、表面に結合させた少なくとも100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、または10,000を超える(またはその間の任意の整数)異なるポリヌクレオチド鎖を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、各特徴部は、少なくとも500の同一の全長ポリヌクレオチド鎖を含み、各同一のポリヌクレオチド鎖は、長さが少なくとも64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100または100超モノマーの所定の全長を有する。いくつかの実施形態では、各特徴部は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000の同一のポリヌクレオチド鎖を含み、各同一のポリヌクレオチド鎖は、長さ少なくとも64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、または100超モノマーの所定の全長を有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、位置的に定義された場所のそれぞれは、他の位置的に定義された場所のそれぞれから物理的に分離されている異なる既知の場所にある。いくつかの実施形態では、位置的に定義された場所のそれぞれは、位置的に区別可能な場所である。いくつかの実施形態では、各決定可能な配列は既知の配列である。いくつかの実施形態では、各決定可能な配列は別個の配列である。
【0159】
いくつかの実施形態では、各特徴部は、異なる位置的に定義された場所においてアレイの表面に結合され、各特徴部の位置的に定義された場所は、ピラーの位置的に定義された場所に対応し、各ピラーの最上面は、少なくとも1μmのサイズである。
【0160】
いくつかの実施形態では、特徴部は、表面に共有結合により結合している。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド鎖は、リンカー分子またはカップリング分子を介して表面に結合している。
【0161】
いくつかの実施形態では、特徴部は、既知の配列を有する発生源DNAまたはRNA配列に由来する部分配列を含む、複数の別個の、入れ子になって、重複しているポリヌクレオチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、複数の各ポリヌクレオチド鎖は実質的に同じ長さである。いくつかの実施形態では、複数の各ポリヌクレオチド鎖は同じ長さである。
【0162】
いくつかの実施形態では、特徴部内の各ポリヌクレオチド鎖は、実質的に同じ長さである。いくつかの実施形態では、特徴部内の各ポリヌクレオチド鎖は同じ長さである。いくつかの実施形態では、特徴部は、ランダムで決定可能なモノマーの配列をそれぞれ有する複数のポリヌクレオチド鎖を含む。
【0163】
方法
基板の製造方法
基板を作製するための方法も本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、基板を製造する方法は、多孔質層を支持層に連結することを含む。支持層は、任意の金属またはプラスチックまたはケイ素または酸化ケイ素または窒化ケイ素を含むことができる。一実施形態では、基板は、ポリヌクレオチド合成中に核酸モノマーを結合するために基板に結合させた複数のアミノ基を含む。いくつかの実施形態では、基板を製造する方法は、多孔質層を複数のピラーに連結させることを含み、多孔質層は、化合物を基板に結合させるための官能基を含み、複数のピラーは、位置的に定義された場所で平面層に連結され、各ピラーは、平面層から延在する平面を有し、各ピラーの表面と平面層の上面との距離は、約1,000~5,000オングストロームであり、複数のピラーが約10,000/cmを超える密度で存在する。
【0164】
いくつかの実施形態では、各ピラーの表面は、平面層の上面に平行である。いくつかの実施形態では、各ピラーの表面は、平面層の上面に実質的に平行である。
【0165】
表面誘導体化
基板は、米国特許公開第2010/0240555号に記載されているとおり(その全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている)、半導体モジュール内で表面誘導体化され得る。例示的な基板は、表面誘導体化される準備ができている酸化物のピラーを含む。表面誘導体化は、アミノシラン基を基板に付加して、生体分子をカップリングするために遊離アミノ基を利用できるようにする方法である。いくつかの態様では、表面誘導体化された基板に結合させる最初の分子は、t-Boc保護されたグリシンである。このカップリング手順は、この分野の当業者に一般的に公知である標準メリフィールド固相ペプチド合成手順に類似している。
【0166】
いくつかの実施形態では、基板表面を調製する方法は、二酸化ケイ素を含む表面を得て、その表面を、光活性化合物及び光保護化合物、任意によりポリマー、及び溶媒を含むフォトレジスト製剤と接触させることと、表面の最上部に位置し、フォトレジスト製剤と接触している位置的に定義された場所に紫外線を印加することを含む。いくつかの態様では、この方法は、位置的に定義された場所の外部に位置しているフォトレジスト製剤を除去するステップを含み得る。
【0167】
アレイの製造方法
アレイを製造するための方法も本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるアレイは、表面、例えば、本明細書に開示の基板上でin situ合成される。場合によっては、アレイはフォトリソグラフィを使用して作製される。例示的な実施形態では、基板は、フォトレジスト製剤と接触させる。マスクを使用して、保護基を有する遊離リンカー分子または遊離カップリング分子を含む表面上の特定の位置への放射線または光の曝露を制御することができる。曝露した場所では、保護基が除去され、その結果、カップリング分子またはリンカー分子上に1つ以上の新たに曝露させた反応性部分が生じる。次に、所望のリンカーまたはカップリング分子は、例えば、遊離アミン基において、保護されていない結合している分子に連結される。このプロセスを繰り返して、表面上の特定の場所または位置的に定義された場所に多数の特徴部を合成することができる(例えば、Pirrungらの米国特許第5,143,854号、米国特許公開第2007/0154946、第2007/0122841号、同第2007/0122842号、同第2008/0108149号、及び同第2010/0093554号を参照されたい。これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0168】
いくつかの実施形態では、特徴部は、光活性化合物、光保護化合物、及び任意によりポリマー、及び溶媒を含むフォトレジスト製剤を使用して表面に結合させる。いくつかの実施形態では、特徴部は、本明細書に開示のフォトレジスト製剤を使用して表面に結合させる。いくつかの実施形態では、フォトレジスト製剤は、水を使用して除去する。
【0169】
アレイを製造するプロセスも本明細書に記載されている。例示的な実施形態では、結合させた遊離アミン基または保護された末端ヌクレオチドを含む表面が提供される。表面は、光活性化合物、光保護化合物、及び任意によりポリマー、及び溶媒を含むフォトレジスト製剤と接触させる。表面は、フォトマスクによって画定されたパターンに従って、深紫外線スキャナーツール内の電磁放射、例えば紫外線(UV)光に曝露させ、放射線に曝露された場所は、フォトレジスト製剤中に光酸発生剤が存在するため、光酸生成を経る。いくつかの実施形態では、曝露エネルギーは、約1mJ/cm~約5J/cmである。好ましい実施形態では、曝露エネルギーは、約1mJ/cm~約100mJ/cmである。いくつかの実施形態では、放射線は、248nmのUV光を含む。いくつかの実施形態では、放射線は、365nmの紫外線を含む。光酸発生剤を活性化するための放射線は、様々な波長であり得、本明細書に開示される波長に限定されない。
【0170】
表面は、曝露後焼成モジュールで露光時に後焼成してもよい。露光後の焼成は、化学的増幅ステップとして作用し得る。焼成ステップでは、最初に生成された光酸を増幅し、基板への拡散速度を速めることができる。後焼成温度は、多孔質表面の厚さまたは基板の平面層に応じて、摂氏75℃~115℃で変動し得る。表面は、約60秒~約120秒間、後焼成され得る。
【0171】
次に、フォトレジスト製剤を除去し得る。本明細書に記載されているのは、脱イオン(DI)水でフォトレジストを完全に除去する方法である。いくつかの実施形態では、このプロセスは、現像モジュールで達成される。一実施形態では、ウェハーは、例えば、60秒~90秒間、真空チャック上で回転され、脱イオン水が、約30秒間、ノズルを介して供給される。
【0172】
フォトレジスト製剤は、カップリングスピンモジュール内で表面に塗布することができる。カップリングスピンモジュールは、典型的には、光活性カップリング製剤を供給するために20個以上のノズルを有し得る。これらのノズルは、これらの溶液を保持しているシリンダを加圧することによって、または必要な量を供給するポンプによって、光活性カップリング製剤を供給するように作製され得る。いくつかの実施形態では、ポンプを使用して、5~8ccの光活性カップリング製剤を基板上に供給する。いくつかの実施形態では、基板は、真空チャック上で約10秒~約10分間回転させる。いくつかの実施形態では、基板は、約10秒~約3分間回転させる。いくつかの実施形態では、基板は、約500rpm~約10,000rpmで回転させる。基板を真空チャック上で15~30秒間回転させ得、光活性カップリング製剤を供給することができる。回転速度は、2000~2500rpmに設定できる。場合によっては、基板は、約2000~2500rpmで約15~30秒間回転させる。場合によっては、基板は、約500rpmで約180秒間回転させる。場合によっては、基板は、約10,000rpmで約10秒間回転させる。
【0173】
任意に、キャップフィルム溶液コートを表面に塗布して、基板上の未反応のアミノ基が次のカップリング分子と反応するのを防ぐことができる。溶媒、ポリマー、及びカップリング分子のキャップフィルムコート溶液を調製することができる。使用できる溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせなどの有機溶媒であり得る。キャッピング分子は、典型的には、無水酢酸であり、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルイソプロペニル)ケトン、またはポリ(2メチルペンテン1スルホン)であり得る。いくつかの実施形態では、キャッピング分子はエタノールアミンである。
【0174】
このプロセスでは、キャッピングスピンモジュールを利用してもよい。キャッピングスピンモジュールは、キャップフィルムコート溶液を基板上に供給するように作製することができる1つのノズルを含むことができる。この溶液は、キャップフィルムコート溶液を格納しているシリンダを加圧するか、または必要な量を正確に供給するポンプを介して供給され得る。いくつかの実施形態では、ポンプを使用して、約5~8ccのキャップコート溶液を基板上に供給する。いくつかの実施形態では、基板は、真空チャック上で約10秒~約10分間回転させる。いくつかの実施形態では、基板は、約10秒~約3分間回転させる。いくつかの実施形態では、基板は、約500rpm~約10,000rpmで回転させる。基板を真空チャック上で15~30秒間回転させ得、カップリング製剤を供給することができる。回転速度は、2000~2500rpmに設定できる。場合によっては、基板は、約2000~2500rpmで約15~30秒間回転させる。場合によっては、基板は、約500rpmで約180秒間回転させる。場合によっては、基板は、約10,000rpmで約10秒間回転させる。
【0175】
キャッピング溶液を含む基板は、キャップ焼成モジュールで焼成し得る。キャッピング焼成モジュールは、キャッピングフィルムコートが塗布された直後にウェハーを受け入れるように特別に設定されたホットプレートであってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、ホットプレートで、スピンコーティングされたキャッピングコート溶液を焼成して、キャッピング反応を大幅に加速する方法である。ホットプレート焼成により、キャッピング時間を2分未満に短縮できる。
【0176】
一実施形態では、キャッピング反応の副生成物は、ストリッパーモジュール内で除去される。ストリッパーモジュールは、アセトン、イソプロピルアルコール、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、DI水などの有機溶媒を供給するように設定された複数のノズル(典型的には、最大10個)を備えることができる。いくつかの実施形態では、ノズルはアセトン用に指定されており、続いてイソプロピルアルコールが回転しているウェハー上に供給される。スピン速度は、約20秒間2000~2500rpmに設定できる。
【0177】
このサイクル全体を、所望に応じて毎回異なるカップリング分子で繰り返して、決定可能な配列及び意図された長さのポリヌクレオチド鎖を得ることができる。
【0178】
ポリヌクレオチドマイクロアレイの使用方法
基板、製剤、及び/またはアレイを使用する方法も本明細書に開示される。本明細書に開示されるアレイの使用としては、例えば、研究用途、治療目的、医療診断、及び/または1名以上の患者の層別化が挙げられる。
【0179】
本明細書に記載のアレイはいずれも、研究ツールとして、または研究用途で使用できる。一態様では、アレイは、ハイスループットスクリーニングアッセイに使用できる。例えば、ポリヌクレオチドアレイは、アレイをDNAまたはRNA分子に供し、例えば、アレイの特徴部の間で少なくとも1つの変化を検出することによって、相補的DNA、RNA、またはPNA分子の存在または不在を同定することによって試験を行うことができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、アレイは、サンプル中の配列バリアント、例えば、一塩基多型(SNP)の検出に使用される。配列バリアントの検出は、アレイ上のプローブへの標識分子の配列特異的ハイブリダイゼーションを観察することによって行われ得る。配列バリアントの検出は、配列バリアントを有することが疑われる配列をアレイ上のプローブに結合させ、その後標識ヌクレオチドを用いてポリメラーゼ伸長反応を実施することによっても行われ得る。好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドプローブは、アレイ上で合成され、配列バリアントを含むことが疑われるサンプルからヌクレオチド配列にハイブリダイズされる。ポリヌクレオチドは、酵素的に活性であり得る、すなわち、ポリヌクレオチドは、好ましい重合条件下で、ポリメラーゼを使用して、相補的ヌクレオチドを成長する鎖に取り込むための基質として作用できる。
【0181】
アレイは、リガンド結合のスクリーニングアッセイ、基質特異性の決定、またはある特定の細胞内でinvivoもしくはinvitroにおいて発現する相補的なポリヌクレオチド分子の同定にも使用できる。かかるスクリーニングアッセイは、当業者に公知であり得るように、例えば、標識技術、プロテアーゼアッセイ、または結合アッセイを使用することができる。
【0182】
いくつかの実施形態では、アレイは、重複するポリヌクレオチド配列を使用して、事前定義されたポリヌクレオチド配列を表すために使用される。例えば、既知の遺伝子のポリヌクレオチド配列が、任意の長さ及び任意の好適な重複フレームの重複配列セグメントに分割され、それぞれの配列セグメントに対応するポリヌクレオチド鎖は、本明細書に開示されるとおりin-situ合成される。
【0183】
いくつかの実施形態では、サンプルが、複数のランダムなポリヌクレオチド鎖を有するアレイに適用される。ランダムポリヌクレオチド鎖をスクリーニング及びBLASTを使用して、例えば、所与のヌクレオチド配列に対して90%以上の同一性を有する相同ドメインを決定することができる。いくつかの態様では、次に、ポリヌクレオチド配列全体を合成し、使用して、潜在的なマーカー及び/または目的の疾患の原因を特定することができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、アレイが、1つ以上の遺伝的要因のハイスループットスクリーニングに使用される。遺伝子に関連するDNAまたはRNAの発現は、ポリヌクレオイドハイブリダイゼーションによって調査でき、これを使用して、遺伝子と疾患との関係を推定できる。
【0185】
別の例では、アレイを使用して、1つ以上のバイオマーカーを同定できる。バイオマーカーは、疾患の診断、予後、治療、及び管理に使用できる。バイオマーカーは、病状、病期、及び疾患の治療への応答に応じて、個体において発現されるか、または存在しないか、または異なるレベルで発現し得る。バイオマーカーは、例えば、DNA、RNA、PNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、糖、塩、脂肪、脂質、またはイオンであり得る。
【0186】
アレイはまた、治療目的、例えば、1つ以上の生物活性剤を同定するために使用することができる。生物活性剤を同定するための方法は、複数の試験化合物をアレイに適用すること、及び少なくとも1つの試験化合物を生物活性剤として同定することを含み得る。試験化合物は、小分子、アプタマー、ポリヌクレオチド、化学物質、天然抽出物、ペプチド、タンパク質、抗体の断片、抗体様分子、または抗体であり得る。いくつかの実施形態では、試験化合物は、DNA、RNAまたはPNA配列をハイブリダイズしている。生物活性剤は、治療剤または治療標的の修飾因子であり得る。治療標的としては、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、シグナル伝達分子、転写因子、タンパク質トランスポーター、タンパク質選別因子(protein sorter)、細胞表面受容体、分泌因子、及び細胞骨格タンパク質を挙げることができる。
【0187】
一態様では、医療診断で使用するためのアレイも提供される。アレイは、薬物またはワクチンの投与に対する応答を決定するために使用できる。例えば、ワクチンに対する個体の応答は、誘導された免疫応答に関連する特定の遺伝子を表すポリヌクレオチド鎖を有するアレイを使用することによって、個体の遺伝子発現レベルを検出することによって決定することができる。別の診断用の使用は、バイオマーカーの存在について個体の試験を行うことであり、そこでサンプルを対象から採取し、1つ以上のバイオマーカーの存在について試験を行う。
【0188】
アレイを使用して、対象が治療的治療に応答する可能性を示すバイオマーカーの有無に基づいて患者集団を層別化することもできる。アレイを使用して、既知のバイオマーカーを同定し、適切な治療群を決定することができる。例えば、ある状態を有する対象からのサンプルをアレイに適用できる。アレイへの結合は、ある状態のバイオマーカーが存在することを示し得る。これまでの研究は、バイオマーカーが治療後のプラスの結果に関連しているのに対し、バイオマーカーの欠如は治療後のマイナスまたはどちらでもない結果に関連していることを示し得る。患者はバイオマーカーを有するため、医療専門家は患者を、治療を受ける群に階層化し得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、サンプル中の発現した目的の遺伝子の有無を検出する方法は、本明細書に開示され、目的の遺伝子のDNAまたはRNA配列を含むことが疑われるサンプルと接触したアレイを得ることと、アレイの1つ以上の特徴部への結合の有無を検出することにより、目的の遺伝子がサンプル中で発現するかどうかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子のDNAまたはRNA配列は、羊水、水性体液、硝子体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳び、内リンパ、周リンパ、糞便、膣液(female ejaculate)、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、腹水、胸膜液、膿、唾液、皮脂、精液、汗、滑液、涙、膣分泌物、嘔吐物、または尿などの体液から得ることができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、ワクチン候補を同定する方法は、以前にワクチン候補を投与された対象由来のサンプルと接触させた、本明細書に開示のアレイを得ることであって、サンプルが、複数のDNAまたはRNA配列を含む、得ることと、アレイの1つ以上の特徴部に対する複数のDNAまたはRNA配列の結合特異性を決定することを含む。いくつかの実施形態では、特徴部は、既知のヌクレオチド配列に由来する部分配列を含む、複数の別個の、入れ子になった、重複しているポリヌクレオチド鎖を含む。
【0191】
等価物及び範囲
当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明による特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認できるであろう。本発明の範囲は、上記説明に限定することを意図するものでははく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【0192】
特許請求の範囲において、「a(1つの)」、「an(1つの)」、及び「the(その)」などの冠詞は、その反対が示されるか、または別途文脈から明白でない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。ある群の1つ以上の要素間に「または」を含む請求項または記載は、その反対が示されるかまたは別途文脈から明白でない限り、1つ、2つ以上、または全ての群メンバーが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、または別途関連している場合に、満たされているとみなされる。本発明は、群の正確な1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、または別途関連している実施形態を含む。本発明は、2つ以上、または全ての群メンバーが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、それらにおいて用いられるか、または別途それらに関連している実施形態を含む。
【0193】
範囲が与えられている場合、終点を含む。さらに、別途示されるか、または別途文脈及び当業者の理解から明白でない限り、範囲として表される値は、文脈が別途明確に指示しない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態の規定された範囲内の任意の特定の値または部分範囲であると見なされ得ることが理解されるべきである。
【0194】
引用されたすべての出典、例えば、参考文献、刊行物、データベース、データベースエントリ、及び本明細書で引用された技術は、引用に明示的に記載されていない場合でも、参照により本出願に組み込まれる。引用された出典と本出願の記載とが矛盾する場合、本出願の記載を優先するものとする。
【0195】
セクション及び表の見出しは、限定することを意図するものではない。
【実施例0196】
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の実施例である。これらの実施例は、例証目的で提示されているにすぎず、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0197】
実施例1:ポリヌクレオチド合成のための官能化アレイの合成
その後のポリヌクレオチド合成のために官能化された二酸化ケイ素ウェハーを、以下のように調製した。
【0198】
パターン化二酸化ケイ素ウェハーを、SVMIから入手した。次に、ウェハーを(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)を使用して次のように官能化した。最終濃度2重量%までAPTESをエタノールに添加して、混合物をウェハー上にスピンコーティングした。スピンコーティング後、ウェハーを100℃で30分間焼成した。
【0199】
次に、Fmoc-NH-PEG-CHCHCOOHをウェハー表面に結合させたAPTESに連結させた。Fmoc-NH-PEG-CHCHCOOH溶液を、Fmoc-NH-PEG-CHCHCOOHを1-メチル-2-ピロリドン溶媒に溶解することによって作製した。1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)を溶液に添加した。この溶液を室温で15分間撹拌した。得られた溶液の5mLアリコートにジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を添加した。この溶液を60℃で15分間加熱した。
【0200】
1-メチル-2-ピロリドン溶媒中の各試薬の最終濃度は以下のとおりである:
Fmoc-NH-PEG-CHCHCOOH(0.1M)
HOAt(0.1M)
DIC(0.1M)
【0201】
次に、この溶液をAPTES官能化ウェハー上にスピンコーティングして、Fmoc-NH-PEG-CHCHCOOHをウェハー表面上のAPTESに連結させた。次に、ウェハーを1-メチル-2-ピロリドン及びイソプロピルアルコールの溶液でストリッピングした。これにより、得られたウェハーは、ウェハーの表面に結合された長鎖の末端にあるFmoc保護アミン基により官能化された。
【0202】
4-メチルピペリジンを、1-メチル-2-ピロリジノン溶媒に濃度20重量%で添加した。5mLの混合物をウェハー上にスピンコーティングした。
【0203】
その後のポリヌクレオチド合成のためにアレイを調整するために、DMTで保護されたホスホルアミダイトのFmocで保護されたNH基への最初の連結ステップを実施した。チミンCEDホスホルアミダイトをアセトニトリル溶媒に溶解し、混合物を室温で15分間撹拌した。混合物に5-ベンゾチオテトラゾールを添加し、次に室温で再び撹拌した。チミンCEDホスホルアミダイトの最終濃度は0.2Mであり、5-ベンゾチオテトラゾールの最終濃度は0.25Mであった。次に、混合物をウェハー上にスピンコーティングして、DMTで保護されたホスホルアミダイトをアレイ表面に結合されたNH-PEG-CHCHCOOHに連結させた。次に、ウェハーをアセトニトリル及びイソプロピルアルコールでストリッピングした。
【0204】
キャップA50%(無水物アセテート/ピリジン/THF)及びキャップB50%(16%N-メチルイミダゾールを含むTHF)の溶液を一緒に混合し、室温で5分間撹拌した。キャップA及びキャップB溶液は、ChemGenes Corporationから入手した。次に、混合物をウェハー上にスピンコーティングして、チミンCEDホスホルアミダイトに結合しなかった脱保護された任意のアミン基をキャッピングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。酸化溶液をウェハー上にスピンコーティングした。酸化溶液は、ChemGenes Corporationから入手した。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0205】
5(6)-FAMを使用した蛍光実験を実施して、末端DMTで保護されたチミンCEDホスホルアミダイトの存在を確認した。簡単に説明すると、アレイを5(6)-FAMと共にインキュベートした。5(6)-FAMは保護されていないチミジンとのみ連結するため、蛍光シグナル強度が低い場合には、DMT保護が成功していることを示し得る。連結されていないFAMが洗い流された後、最初のシグナル強度を測定した。測定後、DMT基は、TCAを使用して切断した。リンカー(MMT-C6 CED-ホスホルアミダイト)をチミン残基に連結させて、脱保護されたチミンのOHをNHに変換した。次に、アレイを5(6)-FAMと共に再インキュベートした。連結されていないFAMが洗い流された後、第2のシグナル強度を測定した。この実験では、第1のシグナル強度は134で、第2のシグナル強度は65535であった。この実験により、得られたアレイが、その後のヌクレオチド合成反応のための、複数の末端DMT保護チミンCEDホスホルアミダイトを含むことが確認された。
【0206】
実施例2:光活性化酸カスケード系を使用したマイクロアレイでのポリヌクレオチド合成
アレイ上で光活性化酸カスケード反応を生じさせるための光活性溶液を以下のように調製した。最終濃度2重量%までPMMAをPGMEAに少量ずつ添加して、混合物を室温で48時間撹拌してPMMAを溶解させた。最終濃度5重量%までPGMEA-PMMA溶液に、4-tertブチル酢酸フェニルを添加し、混合物を室温で15分間撹拌した。最後に、ITXを最終濃度5重量%で、得られた溶液に添加し、溶液を室温で15分間撹拌した。
【0207】
複数のDMT保護ヌクレオチド(DMT-R1)を含むアレイを、実施例1に記載のとおり調製した。光活性溶液をウェハー上にスピンコーティングした。次に、フォトマスクを使用して、選択した場所で、Nikon NSRi10-365nmフォトリソグラフィステッパーツールでウェハーを露光した。露光時間は、365nmの波長の光に対してフィールドあたり500msであった。露光完了後、脱保護反応を完了させるために、ウェハーを室温で10分間放置することにより、露光後遅延を実施した。次に、ウェハーをアセトン及びイソプロピルアルコールによりストリッピングした。
【0208】
脱保護されたヌクレオチドに付加するための所望のヌクレオチドを含む溶液を、DMT保護されたヌクレオチドを5-ベンゾチオテトラゾールと共にアセトニトリルに溶解し、5分間撹拌することによって調製した。DMTで保護されたヌクレオチドの最終濃度は0.1Mであり、5-ベンゾチオテトラゾールの最終濃度は0.25Mであった。次に、この溶液をウェハー上にスピンコーティングして、DMTで保護されたヌクレオチドを、ウェハーに結合させた脱保護されたヌクレオチドに連結させた。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0209】
50%キャップA及び50%キャップB溶液のキャッピング溶液を室温で一緒に混合し、ウェハー上にスピンコーティングして、ウェハーの表面上の保護されていない任意のヌクレオチドをキャッピングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。酸化溶液をウェハー上にスピンコーティングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0210】
脱保護ステップ、カップリングステップ、及びキャッピングステップを、各所望の場所特異的ヌクレオチドを合成するために繰り返して、配列特異的に合成されたポリヌクレオチドの所望のアレイを生成した。
【0211】
実施例3:In Situ合成されたNPPOC保護を使用した、アレイ上での2段階ポリヌクレオチド合成
この実施例では、部位特異的ヌクレオチドの付加を容易にするために、in situ合成されたNPPOC保護基を使用した、アレイ上での配列特異的ポリヌクレオチド合成について記載する。実施されたプロセスは、光活性化脱保護及びヌクレオチドカップリングが別々のステップで実施される2段階反応であった。
【0212】
複数のDMT保護ヌクレオチド(DMT-R1)を含むアレイを、実施例1に記載のとおり調製した。DMTを、ウェハー上にトリクロロアセテート(TCA)及びジクロロメタンの溶液をスピンコーティングすることにより、ウェハーに結合させたDMT保護ヌクレオチドから全体的に除去した。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0213】
ウェハーに結合させた脱保護されたヌクレオチドのそれぞれへのNPPOCのin situ合成は、30%の1-メチル-2-ピロリジノン及び70%ピリジンの溶媒に溶解した0.3Mクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルを含む溶液をウェハー上にスピンコーティングすることによって実施した。ウェハーを95℃で2分間焼成して、NPPOC保護基をウェハーに結合させた脱保護ヌクレオチドに全体的に連結させた。次に、ウェハーを1-メチル-2-ピロリジノン及びイソプロピルアルコールによりストリッピングした。
【0214】
NPPOCで保護されたヌクレオチドの脱保護を容易にするためのフォトレジスト溶液を、PMMAを濃度2重量%でNMPに添加し、溶液を24時間撹拌することによって調製した。この溶液にITXを最終濃度5重量%まで添加して、室温で1時間撹拌した。次に、フォトレジスト溶液をウェハー上にスピンコーティングした。
【0215】
次に、フォトマスクを使用して、選択した場所でNikon NSR i10-365nmフォトリソグラフィステッパーツールでウェハーを露光し、選択した入力ヌクレオチドの付加が望まれる選択したヌクレオチドからNPPOC保護基を除去した。露光時間は、365nmの波長の光に対してフィールドあたり5,000msであった。露光が完了した後、ウェハーをアセトン及びIPAによりストリッピングした。
【0216】
脱保護されたヌクレオチドに付加するための所望のヌクレオチドを含む溶液を、DMT保護されたヌクレオチドを5-ベンゾチオテトラゾールと共にアセトニトリルに溶解し、5分間撹拌することによって調製した。DMTで保護されたヌクレオチドの最終濃度は0.1Mであり、5-ベンゾチオテトラゾールの最終濃度は0.25Mであった。次に、この溶液をウェハー上にスピンコーティングして、DMTで保護されたヌクレオチドを、ウェハーに結合させた脱保護されたヌクレオチドに連結させた。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0217】
50%キャップA及び50%キャップB溶液のキャッピング溶液を室温で一緒に混合し、ウェハー上にスピンコーティングして、ウェハーの表面上の保護されていない任意のヌクレオチドをキャッピングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。酸化溶液をウェハー上にスピンコーティングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0218】
脱保護ステップ、カップリングステップ、及びキャッピングステップを、各所望の場所特異的ヌクレオチドを合成するために繰り返して、配列特異的に合成されたポリヌクレオチドの所望のアレイを生成した。
【0219】
実施例4:In Situ合成されたNPPOC保護を使用したアレイ上での1段階ポリヌクレオチド合成
この実施例では、部位特異的ヌクレオチドの付加を容易にするために、in situ合成されたNPPOC保護基を使用した、アレイ上での配列特異的ポリヌクレオチド合成について記載する。実施したプロセスは、光活性化脱保護及びヌクレオチドカップリングが単一ステップで実施された一段階反応であった。
【0220】
複数のDMT保護ヌクレオチド(DMT-R1)を含むアレイを、実施例1に記載のとおり調製した。DMTを、ウェハー上にトリクロロアセテート(TCA)及びジクロロメタンの溶液をスピンコーティングすることにより、ウェハーに結合させたDMT保護ヌクレオチドから全体的に除去した。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0221】
ウェハーに結合させた脱保護されたヌクレオチドのそれぞれへのNPPOCのin situ合成は、30%の1-メチル-2-ピロリジノン及び70%ピリジンの溶媒に溶解した0.3Mクロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピルを含む溶液をウェハー上にスピンコーティングすることによって実施した。ウェハーを95℃で2分間焼成して、NPPOC保護基をウェハーに結合させた脱保護ヌクレオチドに全体的に連結させた。次に、ウェハーを1-メチル-2-ピロリジノン及びイソプロピルアルコールによりストリッピングした。
【0222】
フォトレジスト溶液を、PMMAを濃度2重量%でNMPに添加し、溶液を24時間撹拌することによって調製した。この溶液にITXを最終濃度5重量%まで添加して、室温で1時間撹拌した。
【0223】
次に、DMTで保護されたヌクレオチド及び5-ベンゾチオテトラゾールをフォトレジスト溶液にそれぞれ最終濃度0.1M及び0.25Mで添加して、単一ステップのNPPOC脱保護及び入力ヌクレオチドの付加を容易にした。溶液を室温で5分間撹拌した。次に、フォトレジスト溶液をウェハー上にスピンコーティングした。
【0224】
次に、フォトマスクを使用して、選択した場所で、Nikon NSRi10-365nmフォトリソグラフィステッパーツールでウェハーを露光した。露光時間は、365nmの波長の光に対してフィールドあたり5,000msであった。露光が完了した後、ウェハーをアセトン及びIPAによりストリッピングした。
【0225】
50%キャップA及び50%キャップB溶液のキャッピング溶液を室温で一緒に混合し、ウェハー上にスピンコーティングして、ウェハーの表面上の保護されていない任意のヌクレオチドをキャッピングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。酸化溶液をウェハー上にスピンコーティングした。次に、アセトニトリル及びイソプロピルアルコールを使用して、ウェハーをストリッピングした。
【0226】
脱保護ステップ、カップリングステップ、及びキャッピングステップを、各所望の場所特異的ヌクレオチドを合成するために繰り返して、配列特異的に合成されたポリヌクレオチドの所望のアレイを生成した。
【0227】
実施例5:各反応スキームの合成効率の試験:
15merの配列
は、実施例2~4の3つの反応スキームのそれぞれを使用して、3つの異なるウェハー上で成長させた。対照として、同じ15merの配列を、光分解時にトリクロロアセテートを生成する置換2-ニトロベンジルトリクロロアセテートを使用して成長させた。成長した配列では、8番目のmer(下線付き)がSNPの位置であった。
【0228】
15mer配列にほぼ相補的なペア配列を有するが、8番目の位置に異なるポリヌクレオチドを有する4つのビオチン標識オリゴヌクレオチドプローブを得た。相補配列は次のとおりである:
【0229】
合成効率を評価するために、ハイブリダイゼーション及びビオチン標識実験を以下のように実施した。
【0230】
ステップ1:配列1、配列2、配列3、または配列4の配列を有する1μMのビオチン標識オリゴヌクレオチドを、99μlのPBS溶液の入った96ウェルプレートの4つの異なるウェルに別々に添加した。
【0231】
ステップ2:シリコンチップを含むピラープレートを96ウェルプレート上に配置し、チップ上で成長させた15mer配列へのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを可能にした。ハイブリダイゼーションは、室温で30分間行った。
【0232】
ステップ3:チップをPBS溶液で2分間洗浄した。洗浄ステップを3回繰り返した。
【0233】
ステップ4:1μlのAlexa488ストレプトアビジンを500μlのPBS溶液に溶解した。この溶液100μlを96ウェルプレートの4つのウェルに30分間添加した。
【0234】
ステップ5:チップをPBS溶液で2分間洗浄した。洗浄ステップを3回繰り返した。
【0235】
ステップ6:チップをDI水で2分間洗浄し、窒素で乾燥させた。チップは、ハイブリダイゼーションを検出するために、波長488nmでNikonA1Rアレイスキャナーを使用してスキャンした。
【0236】
結果を表2~4に示す。
【0237】
(表2)タイプI(実施例2)-光酸カスケード合成:
【0238】
(表3)タイプII(実施例3)-in situNPPOC合成及び2段階の脱保護及びカップリング
【0239】
(表4)タイプIII(実施例4)-In situNPPOC合成及び1段階の脱保護及びカップリング
【0240】
(表5)置換2-ニトロベンジルトリクロロアセテートを使用した対照配列:
【0241】
タイプ1:表2及び表5の結果は、トリクロロアセテートを生成する対照光酸と比較して、酢酸(低pH)を生成するタイプ1を使用して良好なハイブリダイゼーション効率が達成されたことを示している。理論に縛られることを望むものではないが、タイプ1は脱プリンのリスク(光酸ベースのポリヌクレオチドマイクロアレイにおける重要な問題の1つである)が低い。酢酸は、カスケードメカニズムを使用して生成されるため、DMT基の完全な脱保護を、配列内のプリンを脱プリンすることなく達成できる。1merのカップリングサイクルには、25分要した。15mer成長させるのに、375分要した。
【0242】
タイプ2:タイプ2では、光開裂可能な保護基(NPPOC)を使用したため、脱プリンはほとんどまたはまったく発生しなかった。ITXの使用により、365nmUVでのNPPOC基の完全な脱保護が可能になった。これらの実験では、NPPOC保護のin situ合成が、個々のNPPOC保護モノマーの合成と比較して低コストを促進することを実証した。1merのカップリングサイクルには、22分要した。15merを成長させるのには、330分要した。
【0243】
タイプ3:タイプ1及び2と比較して、タイプ3カップリングは1つのステップで実施され、同じ効率のハイブリダイゼーションを維持しながら、各ステップのターンアラウンド時間を増長させる。1merのカップリングサイクルには、18分要した。15merを成長させるのに、270分要した。
【0244】
試験対象の各合成スキームからのシグナルから観察されるように、一致する相補的配列のみが、チップ上で成長した配列にハイブリダイズした。従来の置換2-ニトロベンジルトリクロロアセテート法を使用した対照条件では、タイプI、II、及びIIIの反応スキームによって生成されたポリヌクレオチドアレイと比較して、半分に満たないはるかに低い強度シグナルが明らかになった。これらの結果は、上記で試験した3つの合成スキームの効率が2倍超上昇したことを示唆している。
【0245】
他の実施形態
使用されている単語は、限定するものではなく、むしろ説明のための単語であり、変更は、本発明のより広い態様における真の範囲及び趣旨から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で行うことができることが理解される。
【0246】
本発明は、いくつかの記載された実施形態に関して、ある程度の長さ及びある程度の詳細をもって記載したが、これらは、かかる任意の詳細または実施形態または任意の特定の実施形態に限定すべきであることを意図するものではなく、先行技術を考慮してそのような特許請求の範囲の可能な限り広い解釈を提供し、したがって、本発明の意図された範囲を効果的に包含するように、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきである。
【0247】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、セクションの見出し、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0248】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> VIBRANT HOLDINGS, LLC
<120> METHODS OF SYNTHESIZING A POLYNUCLEOTIDE ARRAY USING
PHOTOACTIVATED AGENTS
<150> US 62/668,964
<151> 2018-05-09
<160> 5
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 1
tgaaggcacg agaaa 15

<210> 2
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 2
tgaaggctcg agaaa 15

<210> 3
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 3
tgaaggcgcg agaaa 15

<210> 4
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 4
tgaaggcccg agaaa 15

<210> 5
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 5
acttccgcgc tcttt 15
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2024041921000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオチドモノマーを、支持体に結合させたポリヌクレオチドに連結するための方法であって、
a.第1の特徴部において支持体の表面に結合させた末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することと、
b.前記末端ヌクレオチド上でNPPOC保護基のin situ合成を実施することと、
c.前記支持体を前記第1の特徴部において、ある波長の光に曝露して、前記末端ヌクレオチドから前記NPPOC保護基を除去することと、
d.前記支持体を、保護された入力ヌクレオチドと接触させて、前記保護された入力ヌクレオチドを、前記第1の特徴部において、前記脱保護された末端ヌクレオチドに結合させることと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
(e)前記末端ヌクレオチドに結合された前記保護された入力核酸を脱保護させることと、次いでステップ(a)~(e)を繰り返して、第2の保護された入力核酸を結合させることとをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記基板に結合された意図された長さ及び配列のポリヌクレオチドを合成するのに十分な回数、すべてのステップを繰り返すことをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記支持体を前記波長の光に曝露する前に、前記支持体を、ITXを含むフォトレジスト溶液と接触させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
光の前記波長が約365nmである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記NPPOC保護基が、前記末端ヌクレオチドの5’炭素に結合している、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記末端ヌクレオチドを含む前記支持体を提供することは、前記in situNPPOC合成を実施する前に、前記末端ヌクレオチドを全体的に脱保護させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
NPPOCのin situ合成を実施することは、前記支持体を、クロロギ酸2-(2-ニトロフェニル)プロピル及びピリジンを含むNPPOC合成溶液と接触させることを含む、請求項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024041921000001.xml