(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041928
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】全身型重症筋無力症治療のためのFcRnアンタゴニストの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240319BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240319BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240319BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240319BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240319BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P21/04 ZNA
A61P27/02
A61P11/00
A61P21/00
A61P1/00
A61P3/02
A61P37/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】66
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004278
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2020531031の分割
【原出願日】2018-12-07
(31)【優先権主張番号】62/596,562
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517303085
【氏名又は名称】アルジェニクス ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス デ ハアルド
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ドレイエル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ウルリチトス
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ググリエッタ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス レウピン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象において全身型重症筋無力症を治療するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】FcRnアンタゴニストを含む、ヒト対象の全身型重症筋無力症(gMG)の治療における使用のための医薬組成物であって、該FcRnアンタゴニストが、バリアントIgG Fc領域からなり、該バリアントFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、該バリアントIgG Fc領域の該Fcドメインが特定のアミノ酸配列を含む、前記医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FcRnアンタゴニストを含む、ヒト対象の全身型重症筋無力症(gMG)の治療における使用
のための医薬組成物であって、
該FcRnアンタゴニストが、バリアントIgG Fc領域からなり、該バリアントFc領域が、ホ
モ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、該バリアントIgG Fc領域の該Fcドメイン
のアミノ酸配列が、配列番号:1、2、及び3に示されるアミノ酸配列からなる群から選択さ
れるアミノ酸配列を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記バリアントIgG Fc領域の各々の前記Fcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1に示
されるアミノ酸配列からなる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記バリアントIgG Fc領域の各々の前記Fcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:2に示
されるアミノ酸配列からなる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記バリアントIgG Fc領域の各々の前記Fcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:3に示
されるアミノ酸配列からなる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記バリアントIgG Fc領域の前記Fcドメインが、EU位置297に、N-結合型グリカンを含
むか、又は
前記バリアントIgG Fc領域の前記Fcドメインが、EU位置297に、フコシル化されたN-結
合型グリカンを含む、請求項1~4のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記FcRnアンタゴニストが、複数のFcRnアンタゴニスト分子を含み、ここで該複数のFc
Rnアンタゴニスト分子の少なくとも50%が、EU位置297にN-結合型グリカンを含むバリア
ントIgG Fc領域を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、22日間に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与されるように使用される
、請求項1~6のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22日毎に1回の頻度で投与されるように使用さ
れる、請求項1~7のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、3日毎に1回の頻度又は7日毎に1回の頻度で投
与されるように使用される、請求項1~8のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、約1~約200mg/kgの投与量で投与されるよう
に使用される、請求項1~9のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約1、2、3、5、10、20、25、30、50、
70、100、又は200mg/kgで投与されるように使用される、請求項1~10のいずれか一項記載
の医薬組成物。
【請求項12】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約5mg/kgで投与されるか、
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約10mg/kgで投与されるか、
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約20mg/kgで投与されるか、又は
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約25mg/kgで投与されるように使用さ
れる、請求項1~11のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、約150、300、450、600、750、900、1050、及
び1200mgからなる群から選択される投与量で投与されるように使用される、請求項1~12
のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約150mgで投与されるか、
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約300mgで投与されるか、又は
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約450mgで投与されるように使用され
る、請求項1~13のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量1、2、3、5、10、20、25、30、50、70
、100、又は200mg/kgで投与されるように使用される、請求項1~10のいずれか一項記載の
医薬組成物。
【請求項16】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量5mg/kgで投与されるか、
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量10mg/kgで投与されるか、
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量20mg/kgで投与されるか、又は
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量25mg/kgで投与されるように使用され
る、請求項1~10のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、150、300、450、600、750、900、1050、及び
1200mgからなる群から選択される投与量で投与されるように使用される、請求項1~10の
いずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量150mgで投与されるか、
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量300 mgで投与されるか、又は
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量450mgで投与されるように使用される
、請求項1~10のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記FcRnアンタゴニストが、静脈内投与されるか、又は
前記FcRnアンタゴニストが、皮下投与されるように使用される、請求項1~18のいずれ
か一項記載の医薬組成物。
【請求項20】
最初の1回以上の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1回以上の後続投与量が、
皮下投与される、請求項1~18のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項21】
最初の1、2、3、又は4回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1、2、3、又は4
回の後続投与量が、該対象へ皮下投与されるか、
最初の4回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1、2、3、又は4回の後続投与
量が、該対象へ皮下投与されるか、
1回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、又は
2回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与される、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記FcRnアンタゴニストが、1ヶ月以内の該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を
含む導入相、それに続く該FcRnアンタゴニストのその後の毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎
(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を含む維持相による、相別された投薬スケジュール
を用いて前記対象へ投与されるように使用される、請求項1~6のいずれか一項記載の医薬
組成物。
【請求項23】
前記導入相が、前記FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg又は約20mg
/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項22記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記導入相の1~5回投与量のうちの少なくとも1つが、静脈内投与される、請求項22又
は23記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記維持相投与量が、前記FcRnアンタゴニストの約150mg又は約300mgの固定された投与
量を含む、請求項22~24のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記維持相投与量が、前記対象の臨床症状を基に必要に応じて投与される、請求項22~
25のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記維持相投与量が、皮下投与される、請求項22~26のいずれか一項記載の医薬組成物
。
【請求項28】
1回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1、2又は3回の後続投与量が、該対象
へ皮下投与されるか、
1回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、
2回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、
2回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、
2回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、
3回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、
3回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与されるか、
4回の投与量が、前記対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与量が、該対象へ皮下投
与される、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記FcRnアンタゴニストの1回以上の投与量が、再治療、維持投与量、又は漸減投与量
として投与されるように使用される、請求項22~28のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記FcRnアンタゴニストが、1ヶ月以内の該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を
含む導入相、それに続くその後の臨床的必要性を基に必要に応じた1以上のサイクルを含
む維持相であって、各サイクルが1ヶ月以内の該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量
を含む、前記維持相による、相別された投薬スケジュールを用いて前記対象へ投与される
ように使用される、請求項1~6のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記導入相が、前記FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20
mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項30記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記導入相の1~5回投与量が、静脈内投与される、請求項30又は31記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記1以上のサイクルの各々が、独立に、前記FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/
kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項30
~32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、追加治療薬と同時に投与されるように使用さ
れる、請求項1~33のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、追加治療薬に連続して投与されるように使用
される、請求項1~33のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記追加治療薬の用量が、前記FcRnアンタゴニストによる治療と組み合わせて漸減され
る、請求項34又は35記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記医薬組成物の投与が、前記gMGの1種以上の増悪を治療する、請求項1~36のいずれ
か一項記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物の投与が、眼筋の疲労又は衰弱、骨格筋の疲労又は衰弱、呼吸筋の疲労
又は衰弱、日常生活に支障を来すほどの疲労感、不明瞭発語、息苦しさ、嚥下障害、複視
又は霧視、身動きに介助を必要とする状態、息切れ、及び呼吸不全からなる群から選択さ
れる前記gMGの1種以上の臨床症状を改善する、請求項1~37のいずれか一項記載の医薬組
成物。
【請求項39】
前記医薬組成物の投与が、定量的重症筋無力症(QMG)スコア、重症筋無力症日常生活動
作(MG-ADL)スコア、重症筋無力症複合(MGC)スコア、15項目の重症筋無力症に関するQOLス
ケール(MGQoL15r)、及びEuroQol 5様相(EQ-5D)スコアからなる群から選択される、前記対
象における1種以上の治療的評価スコアを改善する、請求項1~38のいずれか一項記載の医
薬組成物。
【請求項40】
前記QMG、MG-ADL、MGC、MGQoL15r、及びEQ-5Dからなる群から選択される少なくとも1種
のスケールに関するスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の
投与前の同じスケールを用い測定したベースラインスコアと比べ、少なくとも1ポイント
改善される、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記QMGスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前に
測定したベースラインQMGスコアと比べ、改善される、請求項40記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記QMGスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前に
測定したベースラインQMGスコアと比べ、少なくとも3ポイント減少されるか、又は
前記QMGスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前に
測定したベースラインQMGスコアと比べ、少なくとも4ポイント減少される、請求項41記載
の医薬組成物。
【請求項43】
前記MG-ADLスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前
に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、改善される、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記MG-ADLスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前
に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、少なくとも2ポイント減少されるか、又は
前記MG-ADLスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前
に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、少なくとも3ポイント減少される、請求項4
3記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記MGCスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前に
測定したベースラインMGCスコアと比べ、改善される、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記MGCスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前に
測定したベースラインMGCスコアと比べ、少なくとも4ポイント減少されるか、又は
前記MGCスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前に
測定したベースラインMGCスコアと比べ、少なくとも5ポイント減少される、請求項45記載
の医薬組成物。
【請求項47】
前記MGQoL15rスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与
前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ、改善される、請求項39記載の医薬組成
物。
【請求項48】
前記MGQoL15rスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与
前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ、少なくとも3ポイント減少されるか、
又は
前記MGQoL15rスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与
前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ、少なくとも4ポイント減少される、請
求項47記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記EQ-5Dスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の前記医薬組成物の投与前
に測定したベースラインEQ-5Dスコアと比べ、改善される、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記医薬組成物の投与が、抗-アセチルコリン受容体(AChR)抗体、抗-MuSK抗体、及び抗
-LRP4抗体からなる群から選択される少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルを低下させる
、請求項1~49のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記医薬組成物の投与が、総血清IgGを低下させる、請求項1~50のいずれか一項記載の
医薬組成物。
【請求項52】
前記少なくとも1種のIgG抗体が、抗-AChR抗体である、請求項50記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記対象が同時に、標準重症筋無力症療法を受けている、請求項1~52のいずれか一項
記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記gMGが、難治性gMGである、請求項1~53のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記gMGが、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシス、アザチオプリン、
非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエ
クリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に反応しないか、
前記対象が、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシス、アザチオプリン、
非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエ
クリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に対し忍容性がないか、又は
前記対象が、抗コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制薬療法を含む重症筋無力症
の療法を受けながら、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候及び症状を示し、
且つ臨床的安定を維持するために、長期の血漿交換又は長期IVIgを必要とする、請求項1
~54のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記対象が、抗-AChR抗体陽性であるか、又は
前記対象が、抗-AChR抗体陰性である、請求項1~55のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記対象が、抗-MuSK抗体陽性であるか、又は
前記対象が、抗-MuSK抗体陰性である、請求項1~56のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記対象が、抗-LRP4抗体陽性であるか、又は
前記対象が、抗-LRP4抗体陰性である、請求項1~57のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記対象が、成人である、請求項1~58のいずれか一項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2017年12月8日に出願された、「全身型重症筋無力症治療のためのFcRnアン
タゴニストの使用(Use of FcRn Antagonists for Treatment of Generalized Myasthenia
Gravis)」と題する米国特許仮出願第62/596,562号の優先権を主張するものであり、この
出願の内容はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
(背景)
重症筋無力症(MG)は、ほとんどの症例において、骨格筋ニコチン性アセチルコリン受容
体(AChR)、又は頻度は少ないがAChRクラスタリングに関与した筋特異的チロシンキナーゼ
(MuSK)などの、神経筋接合部(NMJ)タンパク質に対するT細胞反応及び抗体反応により特徴
付けられる自己免疫疾患である。本疾患は、男性及び女性で同じ割合で罹患するが、女性
における発生率は、30代にピークがあるのに比べ、男性の発症ピーク年齢は、60代又は70
代である。MGの死亡率は、およそ4%であり、ほとんどは呼吸不全による。米国人のおよ
そ60,000人(100,000人当たり14~20人)が、罹患している。
【0003】
抗体、特にIgGは、MGの病原及び治療において主要な役割を果たす。高親和性抗-AChR抗
体は、筋終板に結合し、補体の活性化、AChR受容体の交差連結、又はアセチルコリン結合
部位の直接遮断を介して、AChR機能障害又は喪失に繋がり、これにより損なわれたシグナ
ル伝達に繋がり、且つ筋衰弱を生じる。筋衰弱は、活動により変動し、休息期間は一時的
猶予のみを提供する。MGは、最初眼筋衰弱と共に存在し、眼球及び眼瞼の運動に影響を及
ぼし、眼MG(oMG)と称される。対象の10%は、眼筋に限定された疾患を有する。対象の90
%は、頸部、頭部、脊椎、延髄(bulbar)、呼吸器、及び/又は四肢の筋肉に関与する筋衰
弱を伴う、全身化型MG(gMG)を有する。延髄衰弱は、脳幹の延髄部分に起源を持つ神経に
より制御された筋肉を指し、会話、咀嚼、嚥下、及び頭部の制御における困難として症状
発現する。MGは、致命的呼吸不全を引き起こすことがあり、これは筋無力症クリーゼと称
される。対象の約15%~20%は、それらの疾患の進行過程において、筋無力症クリーゼを
経験し、75%は2年以内に診断され、入院及び換気補助が必要となる。
【0004】
全身型MGは、典型的には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬及び免疫抑制療法(IST)
により管理される。急性増悪は、治療的血漿交換(PE)、免疫吸着(IA)又は静脈内免疫グロ
ブリン(IVIg)のいずれかを用いて治療される。しかしこれらの治療の選択肢は、重度の副
作用及び/又は併存疾患に罹患し得る。更に一部の対象は、ISTに適切に反応しないか、
又はISTを忍容することができず、臨床的安定を維持するためには、血漿交換(PE)及び/
又は静脈内免疫グロブリン(IVIg)の反復治療を必要とする。従って、MGにおいて病原性抗
-AChR自己抗体を迅速にクリアする新規治療的アプローチが当該技術分野において、緊急
に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
(要約)
本開示は、対象において、全身型重症筋無力症を含む、重症筋無力症を治療する新規方
法を提供する。これらの方法は一般に、対象へ、天然型Fc領域と比べ、増大した親和性及
び低下したpH依存性で、FcRnへ特異的に結合する、単離されたFcRnアンタゴニストの有効
量を投与することを含む。開示された方法は、全身型重症筋無力症などの、抗体-媒介性
障害の治療に、特に有用である。
【0006】
従って一態様において、本開示は、対象における、重症筋無力症、例えば全身型重症筋
無力症の治療方法を提供し、この方法は、単離されたFcRnアンタゴニストの有効量を対象
へ投与することを含む。本開示はまた、対象における重症筋無力症、例えば全身型重症筋
無力症の治療において使用するための、単離されたFcRnアンタゴニストも提供する。本開
示は更に、重症筋無力症、例えば全身型重症筋無力症の治療のための医薬品の製造におけ
る、本明細書に説明されたような単離されたFcRnアンタゴニストの使用を提供する。
【0007】
ある実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域、又はそ
のFcRn-結合断片を含む。
【0008】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインは、EU位置252、254、256、4
33、434、及び436に、各々、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む。
【0009】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、ヒトFcRnへ特異的に結合する可変ド
メインを含む抗原結合領域を含む、抗-FcRn抗体である。
【0010】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、抗体可変領域を含まない。特定の実
施態様において、FcRnアンタゴニストは、CH1ドメインを含まない。特定の実施態様にお
いて、FcRnアンタゴニストは、遊離システイン残基を含まない。
【0011】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、バリアントIgG Fc領域である。特定の
実施態様において、バリアントFc領域は、バリアントIgG1 Fc領域である。特定の実施態
様において、バリアントFc領域は、バリアントヒトIgG Fc領域である。
【0012】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:1、2、及び3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:1に示したアミノ酸配列からなる。
【0014】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:2に示したアミノ酸配列からなる。
【0015】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:3に示したアミノ酸配列からなる。
【0016】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からな
り、ここで該バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、こ
こでバリアントFc領域の各Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:1からなる。
【0017】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からな
り、ここで該バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、こ
こでバリアントFc領域の各Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなる。
【0018】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からな
り、ここで該バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、こ
こでバリアントFc領域の各Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:3からなる。
【0019】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、Fcガンマ受容体に対する野生型IgG1 F
c領域の親和性と比べ、Fcガンマ受容体(FcγR)に対する増大した親和性を有する。
【0020】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、FcRnへ、天然型Fc領域、例えば野生型
IgG Fc領域、好ましくは野生型IgG1 Fc領域と比べ、増大した親和性及び低下したpH依存
性で結合する。
【0021】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、CD16aへの増大した親和性を有する。
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、CD16aへの増大した親和性を有さない。
【0022】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインは、EU位置297に、N-結合型
グリカンを含む。
【0023】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインは、EU位置297に、フコシル
化されたN-結合型グリカンを含む。
【0024】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインは、EU位置297に、二分岐し
ているGlcNAcを有するN-結合型グリカンを含む。
【0025】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインは、EU位置297に、フコシル
化されないN-結合型グリカンを含む。
【0026】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、複数のFcRnアンタゴニスト分子を含
み、ここで複数のFcRnアンタゴニスト分子の少なくとも50%は、バリアントFc領域又はそ
のFcRn結合断片を含む。
【0027】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、22日間に少なくとも2回投
与される。
【0028】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、22日間に、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与される
。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22日毎に1回の頻度で投与さ
れる。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、3日毎に1回の頻度で投
与される。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、7日毎に1回の頻度
で投与される。
【0029】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ約1~約200mg/kgの投与量で
投与される。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約1、2、
3、5、10、20、25、30、50、70、100、又は200mg/kgで投与される。特定の実施態様にお
いて、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約5mg/kgで投与される。特定の実施態様に
おいて、FcRnアンタゴニストは、対象へ投与量約10mg/kgで投与される。特定の実施態様
において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約20mg/kgで投与される。特定の実施
態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約25mg/kgで投与される。
【0030】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、約150、300、450、600、75
0、900、1050、及び1200mgからなる群から選択される投与量で投与される。
【0031】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約150mgで投与され
る。
【0032】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約300mgで投与され
る。
【0033】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、投与量約450mgで投与され
る。
【0034】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストの少なくとも1回の追加の投与量が、対
象へ投与される。例えば、FcRnアンタゴニストによる治療は、長期間を基に、例えば週1
回、2週間に1回、1月に1回、2ヶ月に1回などで継続することができる。
【0035】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、静脈内投与される。特定の実施態様
において、FcRnアンタゴニストは、皮下投与される。特定の実施態様において、最初の投
与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回以上の後続投与量は、皮下投与される。特定の
態様において、本発明は、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法を提供し、こ
の方法は、1ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相
、それに続くFcRnアンタゴニストのその後毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしく
は4週毎(q4w)の投与量を含む維持相による、相別された投薬スケジュールを使用し、対象
へ、単離されたFcRnアンタゴニストを投与し、これにより対象における全身型重症筋無力
症を治療することを含む。本発明はまた、対象において全身型重症筋無力症の治療におい
て使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供し、ここで対象は、1ヶ月以内の
単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くFcRnアンタ
ゴニストのその後毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を
含む維持相による、相別された投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアンタゴニス
トが投与される。
【0036】
特定の実施態様において、導入相は、FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約1
5mg/kg又は約20mg/kgの投与量の1、2、3、4、又は5回の投与を含む。特定の実施態様にお
いて、導入相の1~5回の投与量は、静脈内(i.v.)投与される。
【0037】
特定の実施態様において、維持相投与量は、FcRnアンタゴニストの約150mg又は約300mg
の固定された投与量を含む。特定の実施態様において、維持相投与量は、対象の臨床症状
又は臨床状態を基に必要に応じて投与される。特定の実施態様において、維持相投与量は
、対象へ、皮下(s.c.)投与される。
【0038】
特定の実施態様において、最初の1、2、3、又は4回投与量は、対象へ静脈内投与され、
及び1、2、3、又は4回の後続投与量は、対象へ皮下投与される。
【0039】
特定の実施態様において、最初の4回投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1、2、3、
又は4回の後続投与量は、対象へ皮下投与される。
【0040】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0041】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0042】
一態様において、本開示は、単離されたFcRnアンタゴニストを複数の投与量で対象へ投
与することを含む、対象における全身型重症筋無力症の治療方法を提供し、ここでFcRnア
ンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、対象へ静
脈内投与され、及びFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与量につき約
150mgの投与量で、対象へ皮下投与され、これにより対象における全身型重症筋無力症を
治療する。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症の治療において使用するため
の、単離されたFcRnアンタゴニストを提供し、ここで対象には、単離されたFcRnアンタゴ
ニストの複数の投与量が投与され、ここでFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回
の投与量につき約10mg/kgの投与量で対象へ静脈内投与され、及びFcRnアンタゴニストの1
回以上の後続投与量は、1回の投与量につき約150mgの投与量で、対象へ皮下投与される。
【0043】
一態様において、本開示は、単離されたFcRnアンタゴニストを2回以上の投与量で対象
へ投与することを含む、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法を提供し、ここ
でFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、
対象へ静脈内投与され、及びFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与量
につき約300mgの投与量で、対象へ皮下投与され、これにより対象における全身型重症筋
無力症を治療する。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症の治療において使用
するための、単離されたFcRnアンタゴニストも提供し、ここで対象には、単離されたFcRn
アンタゴニストの2回以上の投与量が投与され、ここでFcRnアンタゴニストの1回以上の投
与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で対象へ静脈内投与され、及びFcRnアンタ
ゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与量につき約300mgの投与量で、対象へ皮下
投与される。
【0044】
特定の実施態様において、1、2、3、又は4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び
1、2、3、又は4回の後続投与量は、対象へ皮下投与される。
【0045】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0046】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0047】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0048】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0049】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0050】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0051】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0052】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0053】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0054】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0055】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0056】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0057】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0058】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0059】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0060】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0061】
特定の実施態様において、1回以上の皮下投与量は、約1日1回、約1週間に1回、約2週間
に1回、及び約1月に1回からなる群から選択される頻度で投与される。
【0062】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、再治療、維持量
、又は漸減投与量として投与される。
【0063】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、追加治療薬と同時に投与さ
れる。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、追加治療薬に連続して
投与される。
【0064】
特定の実施態様において、追加治療薬の用量は、FcRnアンタゴニストによる治療と組み
合わせて漸減される。
【0065】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、全身型重症筋無力
症の1種以上の増悪を治療する。
【0066】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、眼筋の疲労又は衰
弱、骨格筋の疲労又は衰弱、呼吸筋の疲労又は衰弱、日常生活に支障を来すほどの疲労感
、不明瞭発語、息苦しさ、嚥下障害、複視又は霧視、身動きに介助を必要とする状態、息
切れ、及び呼吸不全からなる群から選択される全身型重症筋無力症の1種以上の臨床症状
を改善する。
【0067】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、定量的重症筋無力
症(QMG)スコア、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコア、重症筋無力症複合(MGC)スコ
ア、15項目の重症筋無力症に関する生活の質(QOL)スケール(MGQoL15r)、及びEuroQol 5様
相(EQ-5D)スコアからなる群から選択される、対象における1種以上の治療的評価スコアを
改善する。
【0068】
特定の実施態様において、QMG、MG-ADL、MGC、MGQoL15r、及びEQ-5Dからなる群から選
択される少なくとも1種のスケールに関するスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1
日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に同じスケールを用い測定したベースライ
ンスコアと比べ、少なくとも1ポイント改善される。
【0069】
特定の実施態様において、QMGスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離
されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインQMGスコアと比べ、改善され
る。特定の実施態様において、QMGスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単
離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインQMGスコアと比べ、少なく
とも3ポイント減少される。特定の実施態様において、QMGスコアは、8、15、22、29、又
は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインQMG
スコアと比べ、少なくとも4ポイント減少される。
【0070】
特定の実施態様において、MG-ADLスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単
離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、改善
される。特定の実施態様において、MG-ADLスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1日
目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ
、少なくとも2ポイント減少される。特定の実施態様において、MG-ADLスコアは、8、15、
22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベー
スラインMG-ADLスコアと比べ、少なくとも3ポイント減少される。
【0071】
特定の実施態様において、MGCスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離
されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインMGCスコアと比べ、改善され
る。特定の実施態様において、MGQoL15rスコアは、8、15、22、29、又は36日目に、1日目
の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ
、改善される。特定の実施態様において、EQ-5Dスコアは、8、15、22、29、又は36日目に
、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定したベースラインEQ-5Dスコアと
比べ、改善される。
【0072】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、総血清IgG、抗-ア
セチルコリン受容体(AChR)抗体、抗-MuSK抗体、及び抗-LRP4抗体からなる群から選択され
る少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルを低下する。特定の実施態様において、少なくと
も1種のIgG抗体は、総血清IgG抗体である。特定の実施態様において、少なくとも1種のIg
G抗体は、抗-AChR抗体である。特定の実施態様において、少なくとも1種のIgG抗体は、抗
-MuSK抗体である。特定の実施態様において、少なくとも1種のIgG抗体は、抗-LRP4抗体で
ある。
【0073】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、対象へ、22日間に1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与され、及
び少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルは、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離
されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定した少なくとも1種のIgG抗体のベースライン血
清レベルと比べ、低下される。特定の実施態様において、少なくとも1種のIgG抗体の血清
レベルは、8、15、22、29、又は36日目に少なくとも約25%低下される。特定の実施態様
において、少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルは、8、15、22、29、又は36日目に少な
くとも約50%低下される。
【0074】
特定の実施態様において、対象は、総ポイントのわずか25%は、単離されたFcRnアンタ
ゴニストの初回投与前に測定した眼症状に起因する、少なくとも11ポイントのQMGスコア
を有する。
【0075】
特定の実施態様において、対象は、総ポイントのわずか25%は、単離されたFcRnアンタ
ゴニストの初回投与前に測定した眼症状に起因する、少なくとも5ポイントのMG-ADLスコ
アを有する。
【0076】
特定の実施態様において、全身型重症筋無力症は、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラ
ズマフェレーシス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエ
ステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無
力症療法に反応しない。
【0077】
特定の実施態様において、対象は、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシ
ス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害
薬、免疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に対し
忍容性がない。
【0078】
特定の実施態様において、対象は、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)への自
己抗体結合に関して陽性である(抗-AChR抗体陽性)。特定の実施態様において、対象は、
ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)への自己抗体結合に関して陰性である(抗-ACh
R抗体陰性)。
【0079】
特定の実施態様において、対象は、抗-MuSK抗体陽性である。特定の実施態様において
、対象は、抗-MuSK抗体陰性である。
【0080】
特定の実施態様において、対象は、抗-LRP4抗体陽性である。特定の実施態様において
、対象は、抗-LRP4抗体陰性である。
【0081】
特定の実施態様において、対象は、ヒトである。特定の実施態様において、対象は、成
人である。
【0082】
本発明の態様は、対象において全身型重症筋無力症(MG)を治療する方法であって、この
方法は、対象へ、有効量の単離されたFcRnアンタゴニストを投与し、これにより対象にお
けるMGを治療することを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0083】
同じく本発明のこの態様に従い、対象における重症筋無力症(MG)を治療する方法におい
て使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供され、この方法は、対象へ、有効
量の単離されたFcRnアンタゴニストを投与し、これにより対象におけるMGを治療すること
を含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0084】
本発明の態様は、対象における全身型重症筋無力症を治療する方法であり、この方法は
、1ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに
続くFcRnアンタゴニストのその後毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q
4w)の投与量を含む維持相による、相別された投薬スケジュールを用い、単離されたFcRn
アンタゴニストを、対象へ投与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療す
ることを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0085】
同じく本発明のこの態様に従い、対象における重症筋無力症(MG)の治療方法において使
用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供され、この方法は、1ヶ月以内の単離
されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くFcRnアンタゴニ
ストのその後毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を含む
維持相による、相別された投薬スケジュールを用い、単離されたFcRnアンタゴニストを対
象へ投与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで
:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0086】
本発明の態様は、対象における全身型重症筋無力症を治療する方法であり、この方法は
、1ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに
続くその後の臨床的必要性を基に必要に応じた1以上のサイクルを含む維持相であって、
各サイクルが1ヶ月以内に単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を対象へ投
与することを含む相による、相別された投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアン
タゴニストを対象へ投与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療すること
を含み、ここで:
対象は、導入相における単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断され
た全身型MGを有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を
有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを
有し、
対象は、維持相の任意のサイクルにおける単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前
に、スコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0087】
同じく本発明のこの態様に従い、対象における重症筋無力症(MG)を治療する方法におい
て使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供され、この方法は、1ヶ月以内の
単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くその後の臨
床的必要性を基に必要に応じた1以上のサイクルを含む維持相であって、各サイクルが1ヶ
月以内に単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を対象へ投与することを含む
相による、相別された投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアンタゴニストを対象
へ投与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで:
対象は、導入相における単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断され
た全身型MGを有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を
有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを
有し、
対象は、維持相の任意のサイクルにおける単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前
に、スコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0088】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、全身型重症筋
無力症の成人である。
【0089】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、その症状が、
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理さ
れない、全身型重症筋無力症の成人である。
【0090】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニコチン性ア
セチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陽性である、全身型重症筋無
力症の成人である。
【0091】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニコチン性ア
セチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陽性であり、且つその症状が
、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理
されない、全身型重症筋無力症の成人である。
【0092】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニ
コチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陰性である、全身
型重症筋無力症の成人である。
【0093】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニ
コチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陰性であり、且つ
その症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により
適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である。
【0094】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニ
コチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陽性であり、且つ
筋肉-特異性キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陽性である、全身型重症筋無力
症の成人である。
【0095】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニ
コチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陽性であり、且つ
筋肉-特異性キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陽性であり、且つその症状が、
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理さ
れない、全身型重症筋無力症の成人である。
【0096】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニ
コチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陰性であり、且つ
筋肉-特異的キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陰性である、全身型重症筋無力
症の成人である。
【0097】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、ニ
コチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について陰性であり、且つ
筋肉-特異的キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陰性であり、且つその症状が、
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理さ
れない、全身型重症筋無力症の成人である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、ARGX-113-1602臨床試験第II相プロトコールの試験デザインの概略を描いている。
【
図2】
図2は、ARGX-113-1602臨床試験第II相プロトコールの評価スケジュールの表である。
【
図3】
図3は、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)評価判定基準を使用し、MG症状を評価する表である。
【
図4】
図4は、定量的重症筋無力症(QMG)試験フォームを描いている。
【
図5】
図5は、重症筋無力症複合(MGC)スコアシートを描いている。
【
図6】
図6は、15項目の重症筋無力症に関するQOLスケール(MGQoL15r)を評価するための表である。
【
図7】
図7Aは、ヒトにおけるARGX-113の血清レベルを描くグラフである。
図7Bは、11週間にわたるARGX-113及びプラセボ治療後の総IgGの血清レベルを描くグラフである。
図7Cは、ベースラインレベルに対する個人の血清抗-AChR自己抗体プロファイルを描くグラフである。
【
図8】
図8は、11週間にわたるARGX-113及びプラセボ治療後のIgG亜型の血清レベルを描く4つのグラフである。
【
図9】
図9は、本明細書記載のようにプラセボ又はARGX-113により治療された患者における、少なくとも6週間の期間の、MG-ADLにおける少なくとも2ポイントの改善を描く棒グラフである。
【
図10】
図10は、本明細書記載のようにプラセボ又はARGX-113により治療された患者における、29日目の、MG-ADL(ADL)スコア及びQMGスコアにおけるベースラインからの変化を描くグラフの対である。
【
図11】
図11Aは、11週間にわたるQMG、MG-ADL、MGC、及びMG-QoL15rのベースラインからの変化を描く4つのグラフである。値は、平均±標準誤差である。負数のスコアは、臨床的改善の指標である。点線は、臨床上有意なゾーンを線で示している。X-軸上の矢印は、治療投与の時点を示している:*星印は、ベースラインからの統計学的に有意な変化を示している(p≦0.05)。
図11Bは、29及び36日目、すなわち薬力学効果が最大化される試験日のMG-ADLスケールの評価項目の測定結果における最少のポイント改善を描く棒グラフの対である;少なくとも特定された値の臨床的改善を示す患者の割合は、棒の横に示した。SE=標準誤差。
【
図12】
図12は、ARGX-113臨床試験第III相プロトコールの試験デザインの概略を描いている。SOC、標準治療;EOS、試験終了。
【
図13】
図13は、ADAPT試験におけるARGX-113臨床試験第III相プロトコール(実施例4)の試験デザインの概略を描いている。EoS、試験終了;Prim. EP、主要エンドポイント;SEB、試験登録時ベースライン;SOC、標準治療;TC
n、治療サイクル
(数);TC
nB、治療サイクル
(数)ベースライン。
【
図14】
図14は、ADAPT+試験(実施例5)におけるARGX-113臨床試験第III相プロトコールの試験デザインの概略を描いている。EOS、試験終了;ITS
nV、治療間順序
(数)来院;SEB、試験登録時ベースライン;SOC、標準治療;TS
nB、治療順序
(数)ベースライン;TS
nV、治療順序
(数)来院。
【発明を実施するための形態】
【0099】
(詳細な説明)
本開示は、対象における、特に全身型重症筋無力症を含む、重症筋無力症を治療する新
規方法を提供する。これらの方法は一般に、対象へ、単離されたFcRnアンタゴニストの有
効量を投与することを含む。特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは
、天然型Fc領域と比べ、増大した親和性及び低下したpH依存性で、FcRnへ特異的に結合す
る。特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、野生型のIgG Fc領域と
比べ、増大した親和性及び低下したpH依存性でFcRnへ特異的に結合する。特定の実施態様
において、単離されたFcRnアンタゴニストは、野生型のIgG1 Fc領域と比べ、増大した親
和性及び低下したpH依存性でFcRnへ特異的に結合する。
【0100】
(I. 定義)
本明細書において別に定義しない限り、本発明に結びつけて使用される科学用語及び技
術用語は、当業者により通常理解される意味を有するものである。これらの用語の意味及
び範囲は、明確でなければならないが、しかし潜在的に曖昧な事象において、本明細書に
提供される定義は、いずれかの辞書的又は非本質的定義の先例となる。更に文脈により別
に必要とされない限りは、単数の用語は、複数を含み、及び複数の用語は、単数を含むも
のとする。一般に、本明細書記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、
遺伝子並びにタンパク質及び核酸化学及びハイブリダイゼーションに結びつけて使用され
る命名、並びにそれらの技術は、周知であり、且つ当該技術分野において一般に使用され
るものである。
【0101】
本発明が、より容易に理解されるために、特定の用語が最初に定義される。
【0102】
本明細書において使用される用語「FcRnアンタゴニスト」とは、Fc領域を介してFcRnへ
特異的に結合し、且つ免疫グロブリンのFcRnへの結合を阻害するFc領域(例えば、本明細
書に開示されたバリアントFc領域)を含む任意の物質を指し、但しこの物質は、天然に生
じる抗体ではないことを条件とする。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、
完全長IgG抗体ではない。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、モノクロー
ナル抗体である。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、FcRnに特異的な相補
性決定領域(CDR)により特徴付けられるモノクローナル抗体である。特定の実施態様にお
いて、FcRnアンタゴニストは、ARGX-113である。
【0103】
本明細書において使用される用語「Fc領域」とは、その2本の重鎖のFcドメインにより
形成された天然型免疫グロブリンの一部分を指す。天然型Fc領域は、ホモ二量体性である
。
【0104】
本明細書において使用される用語「バリアントFc領域」とは、天然型Fc領域に対し、1
以上の改変を伴うFc領域を指す。改変は、アミノ酸の置換、付加及び/もしくは欠失、追
加部分の連結、並びに/又は天然型グリカンの改変を含むことができる。特定の実施態様
において、この用語は、構成要素Fcドメインの各々が同一であるホモ二量体性Fc領域を包
含している。特定の実施態様において、この用語は、構成要素Fcドメインの各々が異なる
ヘテロ二量体性Fc領域を包含している。そのようなヘテロ二量体性Fc領域の例は、例えば
、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第8216805号に記載さ
れた、「ノブ・アンド・ホール」技術を用いて作製されるFc領域を含むが、これに限定さ
れるものではない。この用語はまた、例えば、それらの全体が各々引用により本明細書中
に組み込まれている、米国特許出願公開第2009/0252729A1号及び第2011/0081345A1号に記
載されているような、構成要素Fcドメインが、リンカー部分により一緒に連結されている
単鎖Fc領域も包含している。
【0105】
本明細書において使用される用語「Fcドメイン」とは、パパイン切断部位の直ぐ上流の
ヒンジ領域で始まり、且つ抗体のC-末端で終わる、一本の免疫グロブリン重鎖の一部分を
指す。従って完全なFcドメインは、ヒンジの少なくとも一部分(例えば、上側、中央、及
び/又は下側ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む。
【0106】
本明細書において使用される用語「FcRn結合断片」とは、FcRn結合をもたらすのに十分
であるFc領域の一部分を指す。
【0107】
本明細書において使用される用語「抗体」とは、ジスルフィド結合により相互接続され
た、2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖である4本のポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分
子、並びにそれらの多量体(例えば、IgM)を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(VHと略)及び
重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は
、軽鎖可変領域(VLと略)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)
を含む。VH及びVL領域は、更に、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている
領域により分散された、相補性決定領域(CDR)と称される、超可変領域へ分けられる。
【0108】
本明細書において使用される用語「結合部位」とは、関心対象の標的抗原(例えば、ACh
R)への選択的結合を担当するポリペプチドの領域を含む。結合ドメインは、少なくとも1
つの結合部位を含む。結合ドメインの例は、抗体可変ドメインを含む。抗体分子は、単独
の結合部位又は複数の(例えば、2、3又は4の)結合部位を含んでよい。
【0109】
用語「可変領域」と「可変ドメイン」は、本明細書において互換的に使用され、且つ同
等の意味を有することが意図される。用語「可変」とは、可変ドメインVH及びVLの特定部
分は、抗体間で配列が極めて異なり、且つ各特定の抗体のその標的抗原に関する結合及び
特異性に使用されるという事実を指す。しかし可変性は、抗体の可変ドメインを通じて均
等には分布されない。これは、抗原結合部位の一部を形成する、VLドメイン及びVHドメイ
ンの各々における「超可変ループ」と称される3つのセグメントに集中している。Vラムダ
軽鎖ドメインの第一、第二及び第三の超可変ループは、本明細書において、L1(λ)、L2(
λ)及びL3(λ)と称され、且つVLドメインにおいて、残基24-33(9、10又は11アミノ酸残基
からなる、L1(λ))、49-53(3残基からなる、L2(λ))及び90-96(5残基からなる、L3(λ))
を含むとして定義されてよい(Moreaらの文献、Methods 20: 267-279 (2000))。Vカッパ軽
鎖ドメインの第一、第二及び第三の超可変ループは、本明細書において、L1(κ)、L2(κ)
及びL3(κ)と称され、且つVLドメインにおいて、残基25-33(6、7、8、11、12又は13残基
からなる、L1(κ))、49-53(3残基からなる、L2(κ))及び90-97(6残基からなる、L3(κ))
を含むとして定義されてよい(Moreaらの文献、Methods 20: 267-279 (2000))。VHドメイ
ンの第一、第二及び第三の超可変ループは、本明細書において、H1、H2及びH3と称され、
且つVHドメインにおいて、残基25-33(7、8又は9残基からなる、H1)、52-56(3又は4残基か
らなる、H2)及び91-105(長さが高度に変動する、H3)を含むとして定義されてよい(Morea
らの文献、Methods 20: 267-279 (2000))。
【0110】
別に指定しない限りは、用語L1、L2及びL3は、各々、VLドメインの第一、第二及び第三
の超可変ループを指し、且つVκ及びVλアイソタイプの両方から得られる超可変ループを
包含している。用語H1、H2及びH3は、各々、VHドメインの第一、第二及び第三の超可変ル
ープを指し、且つγ、ε、δ、α又はμを含む、既知の重鎖アイソタイプのいずれかから
得られる超可変ループを包含している。
【0111】
超可変ループL1、L2、L3、H1、H2及びH3は、各々、以下に規定されるような、「相補性
決定領域」又は「CDR」の一部を含んでよい。用語「超可変ループ」と「相補性決定領域
」は、厳密には同義語ではなく、その理由は、超可変ループ(HV)は、構造を基に規定され
るのに対し、相補性決定領域(CDR)は、配列変動性を基に規定されるからであり(Kabatら
の文献、「免疫学的関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunologi
cal Interest)」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health, ベ
セスダ, MD., 1983)、並びにHV及びCDRの限界は、一部のVH及びVLドメインにおいて異な
り得る。
【0112】
VL及びVHドメインのCDRは、典型的には、以下のアミノ酸を含むとして規定することが
できる:軽鎖可変ドメインにおいて、残基24-34(CDRL1)、50-56(CDRL2)及び89-97(CDRL3)
、並びに重鎖可変ドメインにおいて、残基31-35又は31-35b(CDRH1)、50-65(CDRH2)及び95
-102(CDRH3)(Kabatらの文献、「免疫学的関心のあるタンパク質の配列」、第5版、Public
Health Service、National Institutes of Health, ベセスダ, MD. (1991))。従ってHV
は、対応するCDR内に含まれてよく、本明細書におけるVH及びVLドメインの「超可変ルー
プ」の言及は、別に指定しない限りは、対応するCDRを包含するとも解釈されるべきであ
り、その逆も当てはまる。
【0113】
可変ドメインのより高度に保存された部分は、以下に規定されるように、フレームワー
ク領域(FR)と称される。天然型重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、3つの超可変ルー
プにより接続された、β-シート高次構造を主に採用する、4つのFR(各々、FR1、FR2、FR3
及びFR4)を含む。各鎖内の超可変ループは、FRにより密に隣接して他の鎖由来の超可変ル
ープと一緒に拘束され、抗体の抗原-結合部位の形成に寄与する。抗体の構造解析は、相
補性決定領域により形成される結合部位の配列と形状の間の関係を明らかにした(Chothia
らの文献、J. Mol. Biol. 227: 799-817 (1992);Tramontanoらの文献、J. Mol. Biol. 2
15: 175-182 (1990))。それらの高い配列変動性にもかかわらず、6つのループのうちの5
つは、「カノニカル構造」と称される、主鎖高次構造の小さいレパトアだけを採用する。
これらの高次構造は、最初にループの長さにより決定され、二番目に、それらのパッキン
グ、水素結合又は一般的でない主鎖高次構造を推定する能力を介して、高次構造を決定す
る、ループ及びフレームワーク領域中の特定の位置での重要な残基の存在により決定され
る。
【0114】
本明細書において使用される用語「CDR」又は「相補性決定領域」とは、重鎖及び軽鎖
ポリペプチドの両方の可変領域内に認められる、非連続抗原結合(combining)部位を意味
する。これらの特定の領域は、Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252: 6609-6616 (1977)
;Kabatらの文献、「免疫学的関心のあるタンパク質の配列」、(1991);Chothiaらの文献
、J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987);及び、MacCallumらの文献、J. Mol. Biol. 262:
732-745 (1996)に説明されており、これらの文献において規定は、互いに比較した場合
の、アミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。先に列挙した各参考文献により規定され
るCDRを包含するアミノ酸残基は、比較のために、表1に示している。好ましくは、用語「
CDR」は、配列比較を基にKabatにより規定されたCDRである。
【0115】
【0116】
本明細書において使用される用語「フレームワーク領域」又は「FR領域」は、可変領域
の一部であるが、CDR(例えば、CDRのKabat規定を使用)の一部ではないアミノ酸残基を含
む。従って可変領域フレームワークは、長さ約100~120個のアミノ酸であるが、CDRの外
側のそれらのアミノ酸のみを含む。重鎖可変ドメインの具体例に関して及びKabatらによ
り規定されたCDRに関して、フレームワーク領域1は、アミノ酸1-30を包含する可変領域の
ドメインに対応し;フレームワーク領域2は、アミノ酸36-49を包含する可変領域のドメイ
ンに対応し;フレームワーク領域3は、アミノ酸66-94を包含する可変領域のドメインに対
応し;並びに、フレームワーク領域4は、アミノ酸103から可変領域の末端までの可変領域
のドメインに対応する。軽鎖に関するフレームワーク領域は、軽鎖可変領域CDRの各々に
より、同様に分離される。同様に、Chothiaら、又はMcCallumらのCDRの規定を使用し、フ
レームワーク領域境界は、先に説明したように、各CDR末端により分離される。好ましい
実施態様において、CDRは、Kabatにより規定される。
【0117】
天然に生じる抗体において、抗体は水性環境におけるその三次元立体配置を想定するの
で、各モノマー性抗体上に存在する6つのCDRは、抗原結合部位を形成するよう特異的に配
置されるアミノ酸の短い非隣接配列である。重鎖及び軽鎖可変ドメインの残りは、アミノ
酸配列のより少ない分子間変動を示し、且つフレームワーク領域と称される。フレームワ
ーク領域は、β-シート高次構造を主に採用し、並びにCDRは、β-シート構造を接続し、
及び場合によっては、その一部を形成するループを形成する。従ってこれらのフレームワ
ーク領域は、鎖間非共有的相互作用により、正確な配向で6つのCDRの配置を提供するスカ
フォールドを形成するように働く。配置されたCDRにより形成される抗原結合部位は、免
疫反応性抗原上のエピトープと相補的である表面を規定する。この相補的表面は、抗体の
、免疫反応性抗原エピトープへの非共有的結合を促進する。CDRの位置は、当業者により
、容易に特定することができる。
【0118】
本明細書において使用される用語「EU位置」とは、Edelman, G.M.らの文献、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 63: 78-85 (1969)及びKabatらの文献「免疫学的関心のあるタンパク
質の配列」、U.S. Dept. Health and Human Services、第5版、1991に説明された、Fc領
域に関するEU番号付け慣習でのアミノ酸位置を指す。
【0119】
本明細書において使用される用語「CH1ドメイン」とは、ほぼEU位置118-215に広がる免
疫グロブリン重鎖の第一(最もアミノ末端側)の定常領域ドメインを指す。CH1ドメインは
、VHドメインに、アミノ末端は、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に隣接し、且つ免
疫グロブリン重鎖のFc領域の一部は形成しない。
【0120】
本明細書において使用される用語「ヒンジ領域」とは、CH1ドメインをCH2ドメインに接
続する重鎖分子の一部分を指す。このヒンジ領域は、およそ25個の残基を含み、且つフレ
キシブルであり、従って2つのN-末端抗原結合領域を独立して動かす。ヒンジ領域は、3つ
の異なるドメインに分けることができる:上部、中央、及び下部ヒンジドメイン(Rouxら
の文献、J. Immunol. 161: 4083 (1998))。本開示のFcRnアンタゴニストは、ヒンジ領域
の全て又は一部を含むことができる。
【0121】
本明細書において使用される用語「CH2ドメイン」は、ほぼEU位置231-340に広がる重鎖
免疫グロブリン分子の一部分を指す。
【0122】
本明細書において使用される用語「CH3ドメイン」は、CH2ドメインのC-末端からおよそ
110残基に及ぶ、例えば約位置341-446(EU番号付けシステム)の、重鎖免疫グロブリン分子
の一部分を含む。
【0123】
本明細書において使用される用語「FcRn」とは、胎児性Fc受容体を指す。例証的FcRn分
子は、RefSeq NM_004107に示されたFCGRT遺伝子によりコードされたヒトFcRnを含む。
【0124】
本明細書において使用される用語「CD16」とは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADC
C)に必要とされる、FcγRIII Fc受容体を指す。例証的CD16分子は、RefSeq NM_000569に
示されたヒトCD16aを含む。
【0125】
本明細書において使用される用語「遊離システイン」とは、成熟FcRnアンタゴニストに
おいて実質的に還元型で存在する、天然型又は操作されたシステインアミノ酸残基を指す
。
【0126】
本明細書において使用される用語「N-結合型グリカン」は、Fc領域のCH2ドメイン中に
存在するシークオン(すなわち、Asn-X-Ser又はAsn-X-Thr配列、ここでXはプロリン以外の
任意のアミノ酸である)中のアスパラギンの側鎖中の窒素(N)に結合されたN-結合したグリ
カンを指す。そのようなN-グリカンは、例えば、Drickamer K及びTaylor MEの文献、(200
6)、「糖鎖生物学入門(Introduction to Glycobiology)」、第2版において十分に説明さ
れており、この文献はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0127】
本明細書において使用される用語「非フコシル化(afucosylated)」とは、US8067232に
説明されたようなコアフコース分子を欠いているN-結合型グリカンを指し、この文献の内
容はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0128】
本明細書において使用される用語「二分岐しているGlcNAc」とは、米国特許第8021856
号に記載されているような、コアマンノース分子に連結したN-アセチルグルコサミン(Glc
NAc)分子を有するN-結合型グリカンを指し、この特許の内容はその全体が引用により本明
細書中に組み込まれている。
【0129】
本明細書において使用される用語「抗体媒介型障害」とは、対象において抗体の存在に
より引き起こされるか又は悪化される、任意の疾患又は障害を指す。
【0130】
本明細書において使用される用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、本
明細書に記載された治療的又は予防的手段を指す。「治療」の方法は、疾患もしくは障害
又は疾患もしくは障害の再発の防止、治癒、遅延、重症度の軽減、又は1以上の症状の回
復のための、或いはそのような治療が存在しない場合に予想されるものを超える対象の生
存を延長するための、対象への、例えば、抗体媒介型疾患又は障害(例えば、重症筋無力
症などの自己免疫疾患)を有するか、又はそのような疾患もしくは障害を有する素因のあ
る対象への、本発明のFcRnアンタゴニストの投与を利用する。特定の実施態様において、
「治療する」、「治療している」及び「治療」は、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症
の重症度を軽減するか、又は1以上の症状を回復することを指す。
【0131】
本明細書において使用される用語「対象」とは、任意のヒト又は非-ヒト動物を指す。
特定の実施態様において、用語「対象」とは、任意のヒト又は非-ヒト哺乳動物を指す。
特定の実施態様において、対象はヒトである。特定の実施態様において、対象は成人であ
る。本明細書において使用される「成人」は、年齢が少なくとも18歳であるヒトである。
【0132】
本明細書において使用される用語「イムノアドヘシン」とは、Fc領域と結合するタンパ
ク質(例えば、受容体、リガンド、又は細胞接着分子)の機能性ドメインを含む、抗体-様
分子を指す。
【0133】
数多くの略語を、本発明の態様を説明するために、本明細書において使用する。以下は
、通常使用される略語のリストである。
【表2】
【0134】
(II. 重症筋無力症)
重症筋無力症は、7500人に少なくとも約1名の有病率が報告されている、良く認識され
た自己免疫疾患である。基本的な特徴は、筋肉の衰弱及び易疲労感である。MGの過程は、
定まらないことが多い。特に疾患発症後最初の数年間に、増悪及び部分寛解が生じること
があり、並びに無関係の感染症又は全身性障害は、筋無力症の衰弱の増大に繋がることが
多い。
【0135】
筋衰弱の分布は、特徴的パターンを有する。頭蓋筋、特に眼瞼筋及び外眼筋は、早期に
かかわることが多く、複視及び眼瞼下垂は、一般的な初期症状である。患者の約85%にお
いて、衰弱は全身化し、更に四肢筋に影響を及ぼす。
【0136】
MGの症状が、上眼瞼挙筋、眼輪筋、及び動眼筋に限られる場合、これは「眼MG」と称さ
れる。
【0137】
本明細書において使用される用語「全身型重症筋無力症」又は同等の「全身型MG」は、
眼瞼筋及び外眼筋(上眼瞼挙筋、眼輪筋、及び/又は動眼筋)に限定されないがこれらを含
み得る衰弱により特徴付けられる重症筋無力症を指す。特定の実施態様において、用語「
全身型重症筋無力症」は、少なくとも一つの四肢筋の衰弱により少なくとも一部特徴付け
られる重症筋無力症を指す。特定の実施態様において、用語「全身型重症筋無力症」は、
少なくとも一方の外眼筋の衰弱及び少なくとも一つの四肢筋の衰弱により少なくとも一部
特徴付けられる重症筋無力症を指す。罹患した筋肉は、眼、顔、顎、及び喉の領域の筋肉
;腕及び足(四肢)の筋肉;並びに、呼吸に関与した筋肉(呼吸筋)を含み得る。
【0138】
本明細書において使用される「重症筋無力症の増悪」とは、重症筋無力症を有する対象
における重症筋無力症の症状の他覚的悪化を指す。そのような他覚的悪化は、例えば、一
連の身体検査により決定することができる。あるいは又は加えて、そのような他覚的悪化
は、例えば、以下に考察する定量的臨床評価ツールのいずれか1種以上の連続使用により
決定することができる。
【0139】
本明細書において使用される「全身型重症筋無力症の増悪」とは、全身型重症筋無力症
を有する対象における全身型重症筋無力症の症状の他覚的悪化を指す。そのような他覚的
悪化は、例えば、一連の身体検査により決定することができる。あるいは又は加えて、そ
のような他覚的悪化は、例えば、以下に考察する定量的臨床評価ツールのいずれか1種以
上の連続使用により決定することができる。
【0140】
MGの診断は典型的には、以下の臨床試験の1以上を使用し、行うことができる。抗コリ
ンエステラーゼ試験において、患者には、エドロホニウムなどのアセチルコリンエステラ
ーゼ(AChE)を阻害する薬物が投与され、これに続く筋無力症の筋肉、例えば外眼筋の一過
性に他覚的に改善された強度は、MGを高度に示唆する。反復神経刺激(3Hz)が顕著に(例え
ば>15%)減少した誘発反応の振幅を生じる電気診断試験もまた、MGを高度に示唆する。
【0141】
全ての筋無力症患者のおよそ80%に存在するが、眼筋に限定される衰弱の患者ではわず
か約50%に存在する、抗-AChR抗体の存在は、事実上MGと診断される。個々の患者におい
て、この抗体レベルの治療が誘導した減少は、臨床の改善と相関することが多い。AChR自
己抗体は、放射性免疫沈降法及び細胞-ベースのアッセイ(Jacobらの文献、Arch. Neurol.
, 2012; 69: 994-1001参照)、並びにELISA及び免疫沈降ベースの蛍光アッセイ(Yangらの
文献、J. Neurol. Sci., 2011; 301: 71-76参照)を含む、1以上の当該技術分野において
認められた方法を用いて、測定することができる。
【0142】
およそ5~8%の重症筋無力症患者は、筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)、受容体チロシ
ンキナーゼに対する抗体が陽性と試験される。これらの患者のほぼ全ては、アセチルコリ
ン受容体(AChR)抗体-陰性である。El-Salem Kらの文献、Curr Treat Options Neurol 16(
4): 283 (2014)。MuSK自己抗体は、当該技術分野において認められた放射性免疫沈降法及
び細胞-ベースのアッセイを用いて同定することができる。
【0143】
最近、低密度リポタンパク受容体関連タンパク質4(LRP4)に対する自己抗体が、検出可
能な抗-AChR抗体又は抗-MuSK抗体を伴わない重症筋無力症患者(「二重血清陰性」患者)の
サブセットにおいて同定された。アグリンは、大型プロテオグリカンであり、その最も良
く特徴付けられた役割は、胚形成時の神経筋接合部の発達においてである。LRP4は、アグ
リンと相互作用し、且つアグリンの結合は、MuSKを活性化し、このことは接合部の形質膜
におけるアセチルコリン受容体(AChR)を含有する凝集体を含む、ほとんどであるが全てで
はないシナプス後の分化に繋がる。Pevzner Aらの文献、J Neurol 259(3): 427-35 (2012
);Zhang Bらの文献、Arch Neurol 69(4): 445-51 (2012)。
【0144】
特定の実施態様において、全身型MGの治療は、MGに関連した1以上の症状の回復又は改
善を含む。MGに関連した症状は、筋衰弱及び易疲労感を含む。MGにより主に罹患した筋肉
は、眼球及び眼瞼の運動、顔の表情、咀嚼、会話、嚥下、呼吸、頸部の動き、及び四肢の
運動を制御する筋肉を含む。
【0145】
他の実施態様において、MGの治療は、MG進行に関する臨床マーカーの改善を含む。これ
らのマーカーは、MG日常生活動作プロファイル(MG-ADL)、疾患重症度に関する定量的重症
筋無力症(QMG)スコア、重症筋無力症複合(MGC)、陰性吸気流速(NIF)、努力肺活量、MGFA
治療介入後の状態、及び他の生活の質(QOL)尺度を含む。特定の実施態様において、MG-AD
Lは、MGの改善を測定するための主要スコアである。
【0146】
(米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システム)
米国重症筋無力症財団の医学者諮問委員会の作業部会は、2000年にMGの臨床研究標準に
関する一連の勧告を発表した。Task Force of the Medical Scientific Advisory Board
of the Myasthenia Gravis Foundation of America Inc., Neurology 55: 16-23 (2000)
。この分類システムは、療法に対する異なる予後又は反応を示し得る、際立った臨床特徴
又は疾患重症度を共有するMG患者の亜群を確定するために、設計された。
【0147】
臨床症状を基にしたMGFA分類システムは、以下である:
クラス 臨床症状
I 何らかの眼筋衰弱。他の全ての筋肉の強度は正常。
II 眼筋以外に影響を及ぼす軽度の衰弱。また任意の重症度の眼筋衰弱を有すること
もある。
IIa 主に四肢筋、体軸筋、又は両方に影響を及ぼす。また口腔咽頭筋、呼吸筋、又
は両方のより少ない関与を有することもある。
IIb 主に口腔咽頭筋、呼吸筋、又は両方に影響を及ぼす。また四肢筋、体軸筋、又
は両方のより少ないもしくは同等の関与を有することもある。
III 眼筋以外に影響を及ぼす中等度の衰弱。また任意の重症度の眼筋衰弱を有する
こともある。
IIIa 主に四肢筋、体軸筋、又は両方に影響を及ぼす。また口腔咽頭筋、呼吸筋、又
は両方のより少ない関与を有することもある。
IIIb 主に口腔咽頭筋、呼吸筋、又は両方に影響を及ぼす。また四肢筋、体軸筋、又
は両方のより少ないもしくは同等の関与を有することもある。
IV 眼筋以外に影響を及ぼす重度の衰弱。また任意の重症度の眼筋衰弱を有すること
もある。
IVa 主に四肢筋、体軸筋、又は両方に影響を及ぼす。また口腔咽頭筋、呼吸筋、又
は両方のより少ない関与を有することもある。
IVb 主に口腔咽頭筋、呼吸筋、又は両方に影響を及ぼす。また四肢筋、体軸筋、又
は両方のより少ないもしくは同等の関与を有することもある。
V 慣習的な術後管理時に利用される場合を除く、人工呼吸器を装着又は非装着した
、挿管により規定される。
【0148】
(重症筋無力症-日常生活動作(MG-ADL))
MG-ADLは、MG症状及びそれらの日常活動への影響を評価する、8項目の患者が申告する
スケールである。これは、会話、咀嚼、嚥下、呼吸、歯磨き/櫛使用、又は椅子からの立
ち上がりなどの、様々な日常活動を実行する能力を評価し、並びに複視及び眼瞼下垂も評
価する。これは、8項目を、0から3まで等級化し、且つ総スコアは、0から24までポイント
化することができる、離散定量変数であり;より高いスコアは、より大きい機能障害を示
す。MG-ADLの8項目は、当初の13-項目QMGの症状-ベースの成分から導かれ、これはMG由来
の作用に関連した、眼(2項目)、延髄(3項目)、呼吸(1項目)、及び全身運動(gross motor)
又は四肢(2項目)の機能障害に続発する不能を評価する。この機能状態の測定手段(instru
ment)において、各反応は、0(正常)から3(最も重度)まで等級化される。総MG-ADLスコア
の範囲は、0~24であり、ここでより高いスコアは、より重度の機能障害を示す。特定の
実施態様において、患者のMG-ADLにおける臨床的に意味のある改善は、スコアの2ポイン
ト以上の減少である(例えば、治療後6ヶ月)。特定の実施態様において、患者のMG-ADLの
臨床的に意味のある改善は、3ポイント以上の減少である(例えば、治療後6ヶ月)。MG-ADL
を使用し行われる評価は、いかなる装置又は訓練も必要とせず、スコア化スキームは、図
3に示している。
【0149】
(定量的重症筋無力症(QMG))
QMGは、国際障害分類(ICDH)により規定された、身体機能及び構造の機能障害を基に、
疾患重症度を定量する。世界保健機関(WHO)、国際生活機能分類(ICF)、第1版、WHO(2001)
、オンライン上who.int/classifications/icf/en/で入手可。これは、眼、延髄、及び四
肢の機能を評価する13項目からなる。13項目中6項目は、秒単位で測定した持続時間試験
である。各項目は、0~3の可能性スコアを有する。総可能性スコアは39であり、より高い
スコアは、より重度の機能障害を示す。これは、四肢の機能を評価するための、センティ
ネル(sentinel)筋肉群の定量的試験を基にしている。これは、肺活量計、肺活量計に適合
するマウスピース、ノーズクリップ、ストップウォッチ、嚥下試験のためのカップと水、
角度計、動力計などの最小限の装置を必要とし、且つ医師の検査を基にしている。
図4は
、代表的QMG試験フォームである。特定の実施態様において、患者のQMGスコアの臨床的に
意味のある改善は、スコアの5ポイント以上の減少であろう(例えば、治療後6ヶ月)。
【0150】
(重症筋無力症複合(MGC))
MGCは、医師の検査と患者の申告した評価項目を組合せた10項目を有する。2の眼の項目
は、QMGに由来する。これは、既往歴を基に、筋肉強度に関する3項目(三角筋、股関節屈
筋、及び頸部の屈筋又は伸筋)、並びに延髄機能に関する4項目(嚥下、咀嚼、呼吸、及び
会話の機能)を有する。各項目は、4つの可能性カテゴリーにより順序尺度でスコア化され
るが、これらの項目は重み付けされ、これにより延髄機能障害は、眼の機能障害よりも重
視される。検査担当医により測定された機能障害は、眼瞼下垂又は上方視、複視、閉眼、
頸の屈曲、肩の外転、及び股関節屈曲を含む。MGC下の患者の申告する評価項目は、会話
、咀嚼、嚥下、及び呼吸である。最大可能性スコアは50であり、より高いスコアは、より
重度の機能障害を反映している。試験項目は、
図5に示している。特定の実施態様におい
て、患者のMGCにおける臨床的に意味のある改善は、スコアの3ポイント以上の減少であろ
う(例えば、治療後6ヶ月)。
【0151】
(15項目の重症筋無力症に関するQOLスケール(MGQoL15r))
15項目の重症筋無力症に関するQOLスケール[改定版](MGQoL15r)は、QOLスケール又は患
者の回答の調査であり、且つMGに特異的な精神的充足及び社会的機能を評価する。これは
、3つの回答の選択肢を使用する患者により全て記入される簡単な質問票である。MGQoL15
rは、MGに関連した機能障害の程度及び不満の患者の認知に関して、臨床医が情報を得る
のに有用である。各項目は、その頻度に従い0から2までスコア化され、最大スコアは30で
ある。患者が自身のQOLについて評価するために回答を提供すべき質問は、
図6に示してい
る。特定の実施態様において、患者のMG-QOL 15における臨床的に意味のある改善は、ス
コアの減少であろう(例えば、治療後6ヶ月)。
【0152】
(EuroQol 5様相(EQ-5D))
EQ-5D質問票は、非常に簡潔な全身の状態を評価する測定手段であり、2つの成分で作製
されている:健康状態の説明及び評価。説明部分で、健康状態は、5つの様相(5D)に関し
て測定される:移動、身の回りの管理、普段の活動、痛み/不快感、及び不安/塞ぎ込み
。移動の様相は、患者の歩行能について尋ねる。身の回りの管理の様相は、自身での洗面
又は着衣の能力について尋ね、普段の活動の様相は、「仕事、勉強、家事、家族もしくは
余暇活動」における履行を測定する。痛み/不快感の様相において、質問票は、その人が
どの位の痛み/不快感を有するかを尋ね、並びに不安/塞ぎ込みの様相においては、これ
は、その人がどの位の不安又は塞ぎ込んでいるかを尋ねる。回答者は、3レベル(EQ-5D-3L
)又は5レベル(EQ-5D-5L)スケールを用い、各様相について自身の重症度のレベルを自己評
価する。結果として、当初の3レベル測定手段を用い、患者の健康状態は、5桁の数により
規定することができ、11111(全ての様相について問題なし)から33333(全ての様相におい
て極めて問題あり)まで範囲がある。12321とは、移動及び不安/塞ぎ込みにおいては問題
がなく、身の回りの管理及び痛み/不快感においてはわずかに問題があり、且つ普段の活
動においては極めて問題があることを示す。可能性のある243(=35)種の異なる健康状態
が存在する。評価の部分では、回答者は、2つのエンドポイントの間の連続線に沿った位
置を示す視覚的アナログスケールを使用し、自身の全般的健康状態を評価する(EQ-VAS)。
特定の実施態様において、患者のEQ-5Dにおける臨床的に意味のある改善は、スコアの増
加であろう(例えば、治療後1ヶ月)。
【0153】
現在のMG治療の頼みの綱は、AChE阻害薬、免疫抑制薬及び免疫調節療法である。この疾
患の軽度の形では、AChE阻害薬が最初に使用される。これらの薬剤としては、ピリドスチ
グミン、ネオスチグミン、及びエドロホニウムを含み、並びにそれらの有効性は広く変動
する。全身型MGの患者は、コルチコステロイドにより治療される。残念ながら、コルチコ
ステロイドは、典型的には、遅れた効果開始により特徴付けられる。それらの複数の副作
用のために、コルチコステロイドの最小有効投与量が、MGなどの慢性状態に適応されるこ
とが多い長期治療のためには推奨される。他の非ステロイド系免疫抑制(NSIDs)薬が、通
常使用され、且つアザチオプリン(AZA)、ミコフェノレートモフェチル、シクロスポリン
、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含む。しかし、多くのこれらの薬物治療の有
効性は、患者間で広範に変動し、効果がでるまで時間を要し、多くの有害な帰結を有する
。Gilhus NEらの文献、Autoimmune Dis. 2011: 847393 (2011)。
【0154】
血漿交換(PE)、免疫吸着及びIVIgは、MG増悪の短期間の治療、及び迅速な臨床反応を達
成することが望ましい場合に、使用される。血漿交換は、一時的に循環抗-AChR抗体の濃
度を低下し、ほとんどの患者において、数日中に改善をもたらす。典型的には、1~2血漿
容積を除去する1回の交換が、隔日に、最大で合計4~6回行われ、筋力を改善するか又は
筋無力症クリーゼを回復する。残念ながら、この治療は、侵襲性であり、且つ低血圧、知
覚異常、感染症、及び血栓性合併症などの一般的副作用を有する。IVIgは、MGが増悪して
いる患者のために広範に使用され、無作為化対照比較試験からのデータは、PEと同様の有
効性を示している。それらによりIVIgが改善を生じる機序は明らかではないが、2つの重
要な可能性は、自己抗体との競合(すなわち、FcRn結合)及びFc受容体結合である。高度な
自己抗体の減少、より速い始まり及びより良い臨床上の有効性が、IVIgと比べ、PE及び免
疫吸着について認められることに注目することは、重要である。迅速な始まりは、増悪を
経験している患者の治療には重要である。Liu Jらの文献、Ther. Apher. Dial. 14(2): 1
53-160 (2009);Meriggioli MNらの文献、Lancet Neurol. 8(5): 475-490 (2009)。
【0155】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療
は、MG-ADLスコアの少なくとも1-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重
症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも
2-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無
力症の増悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも3-ポイントの改善を生じる。特
定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、
MG-ADLスコアの少なくとも4-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋
無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも5-ポ
イントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症
の増悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも6-ポイントの改善を生じる。特定の
実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MG-A
DLスコアの少なくとも7-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力
症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも8-ポイン
トの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増
悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも9-ポイントの改善を生じる。特定の実施
態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MG-ADLス
コアの少なくとも10-ポイントの改善を生じる。
【0156】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療
は、QMGスコアの少なくとも1-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症
筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、QMGスコアの少なくとも2-ポ
イントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症
の増悪の成功した治療は、QMGスコアの少なくとも3-ポイントの改善を生じる。特定の実
施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、QMGス
コアの少なくとも4-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又
は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、QMGスコアの少なくとも5-ポイントの改
善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成
功した治療は、QMGスコアの少なくとも6-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様にお
いて、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、QMGスコアの少な
くとも7-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重
症筋無力症の増悪の成功した治療は、QMGスコアの少なくとも8-ポイントの改善を生じる
。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療
は、QMGスコアの少なくとも9-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症
筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、QMGスコアの少なくとも10-ポ
イントの改善を生じる。
【0157】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療
は、MGCスコアの少なくとも1-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症
筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGCスコアの少なくとも2-ポ
イントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症
の増悪の成功した治療は、MGCスコアの少なくとも3-ポイントの改善を生じる。特定の実
施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGCス
コアの少なくとも4-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又
は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGCスコアの少なくとも5-ポイントの改
善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成
功した治療は、MGCスコアの少なくとも6-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様にお
いて、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGCスコアの少な
くとも7-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重
症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGCスコアの少なくとも8-ポイントの改善を生じる
。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療
は、MGCスコアの少なくとも9-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症
筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MG-ADLスコアの少なくとも10
-ポイントの改善を生じる。
【0158】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療
は、MGQoL15rスコアの少なくとも1-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、
重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGQoL15rスコアの少なく
とも2-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症
筋無力症の増悪の成功した治療は、MGQoL15rスコアの少なくとも3-ポイントの改善を生じ
る。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治
療は、MGQoL15rスコアの少なくとも4-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において
、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGQoL15rスコアの少な
くとも5-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重
症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGQoL15rスコアの少なくとも6-ポイントの改善を生
じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した
治療は、MGQoL15rスコアの少なくとも7-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様におい
て、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGQoL15rスコアの少
なくとも8-ポイントの改善を生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型
重症筋無力症の増悪の成功した治療は、MGQoL15rスコアの少なくとも9-ポイントの改善を
生じる。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪の成功し
た治療は、MGQoL15rスコアの少なくとも10-ポイントの改善を生じる。
【0159】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、定量的重症筋無力
症(QMG)スコア、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコア、重症筋無力症複合(MGC)スコ
ア、15項目の重症筋無力症に関するQOLスケール(MGQoL15r)、及びEuroQol 5様相(EQ-5D)
スコアからなる群から選択される、対象における1以上の重症筋無力症の治療評価スコア
を改善する。
【0160】
特定の実施態様において、QMGスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与
前に測定されるベースラインQMGスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目に改善される
。特定の実施態様において、QMGスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与
前に測定されるベースラインQMGスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目に少なくとも
3ポイント減少される。特定の実施態様において、QMGスコアは、1日目の単離されたFcRn
アンタゴニストの投与前に測定されるベースラインQMGスコアと比べ、8、15、22、29、又
は36日目に少なくとも4 ポイント減少される。
【0161】
特定の実施態様において、MG-ADLスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの
投与前に測定されるベースラインMG-ADLスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目に改
善される。特定の実施態様において、MG-ADLスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴ
ニストの投与前に測定されるベースラインMG-ADLスコアと比べ、8、15、22、29、又は36
日目に少なくとも2ポイント減少される。特定の実施態様において、MG-ADLスコアは、1日
目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定されるベースラインMG-ADLスコアと比
べ、8、15、22、29、又は36日目に少なくとも3ポイント減少される。
【0162】
特定の実施態様において、MGCスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与
前に測定されるベースラインMGCスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目に改善される
。特定の実施態様において、MGCスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与
前に測定されるベースラインMGCスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目に少なくとも
4ポイント減少される。特定の実施態様において、MGCスコアは、1日目の単離されたFcRn
アンタゴニストの投与前に測定されるベースラインMGCスコアと比べ、8、15、22、29、又
は36日目に少なくとも5ポイント減少される。
【0163】
特定の実施態様において、MGQoL15rスコアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニスト
の投与前に測定されるベースラインMGQoL15rスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目
に改善される。特定の実施態様において、MGQoL15rスコアは、1日目の単離されたFcRnア
ンタゴニストの投与前に測定されるベースラインMGQoL15rスコアと比べ、8、15、22、29
、又は36日目に少なくとも3ポイント減少される。特定の実施態様において、MGQoL15rス
コアは、1日目の単離されたFcRnアンタゴニストの投与前に測定されるベースラインMGQoL
15rスコアと比べ、8、15、22、29、又は36日目に少なくとも4ポイント減少される。
【0164】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、眼筋の疲労又は衰
弱、骨格筋の疲労又は衰弱、呼吸筋の疲労又は衰弱、日常生活に支障をきたすほどの疲労
、不明瞭発語、息苦しさ、嚥下障害、複視又は霧視、身動きに介助を必要とする状態、息
切れ、及び呼吸不全からなる群から選択される全身型重症筋無力症の1以上の臨床症状を
改善する。
【0165】
(III. FcRnアンタゴニスト)
本明細書に開示された方法は一般に、対象へ、単離されたFcRnアンタゴニストの有効量
を投与することを含む。FcRnアンタゴニストは、Fc-含有物質(例えば、抗体及びイムノア
ドヘシン)の、FcRnへの、インビボにおける結合を阻害し、これはFc-含有物質の分解速度
の上昇、及び同時にこれらの物質の低下した血清レベルを生じる。
【0166】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、天然型Fc領域と比べ増大した親和性
及び低下したpH依存性で、FcRnへ特異的に結合する(例えば、本明細書に開示されたFcRn
アンタゴニスト)。概して、これらのFcRnアンタゴニストは、天然型Fc領域と比べ増大し
た親和性及び低下したpH依存性でFcRnへ特異的に結合する、バリアントFc領域、又はそれ
らのFcRn結合断片を含む。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、野生型IgG
Fc領域、例えば野生型IgG1 Fc領域と比べ増大した親和性及び低下したpH依存性で、FcRn
へ特異的に結合する。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、野生型ヒトIgG
Fc領域、例えば野生型ヒトIgG1 Fc領域と比べ増大した親和性及び低下したpH依存性で、F
cRnへ特異的に結合する。
【0167】
(i. FcRn結合活性を持つバリアントFc領域)
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域、又は
そのFcRn結合断片を含む又はこれからなる抗体又はFc断片である。
【0168】
特定の実施態様において、バリアントFc領域、又はそのFcRn結合断片のFcドメインは、
EU位置252、254、256、433、434、及び436に、各々、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含
む。
【0169】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、バリアントIgG Fc領域である。特定の
実施態様において、バリアントFc領域は、バリアントIgG1 Fc領域である。
【0170】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、バリアントヒトIgG Fc領域である。特
定の実施態様において、バリアントFc領域は、バリアントヒトIgG1 Fc領域である。
【0171】
特定の実施態様において、単離されたバリアントFc領域(例えば、EU位置252、254、256
、433、434、及び436に、各々、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含むバリアントFc領域)
は、同じバリアントFc領域を含む完全長抗体よりも、インビボにおいてより有効なFcRnア
ンタゴニストである。従って特定の実施態様において、本FcRnアンタゴニスト組成物は、
完全長抗体ではない。特定の実施態様において、本FcRnアンタゴニスト組成物は、抗体可
変ドメインを含まない。特定の実施態様において、本FcRnアンタゴニスト組成物は、抗体
可変ドメイン又はCH1ドメインを含まない。しかし特定の実施態様において、本FcRnアン
タゴニスト組成物は、抗体可変ドメインを含む、1以上の追加の結合ドメイン又は部分へ
連結したバリアントFc領域を含んでよい。
【0172】
任意のFc領域は、本明細書に開示されたFcRnアンタゴニスト組成物において使用するた
めのバリアントFc領域を作製するように改変され得る。概して、Fc領域、又はそのFcRn結
合断片は、ヒト免疫グロブリン由来である。しかしFc領域は、例えば、ラクダ科の種、齧
歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)又は非-ヒト霊長類(例えば、チンパ
ンジー、マカク)の種を含む、任意の他の哺乳動物種の免疫グロブリンに由来してよいこ
とが理解される。更にFc領域又はその一部は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む、任意
の免疫グロブリンクラス、並びにIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む、任意の免疫グロブリ
ンアイソタイプに由来してよい。特定の実施態様において、Fc領域は、IgG Fc領域(例え
ばヒトIgG領域)である。特定の実施態様において、Fc領域は、IgG1 Fc領域(例えばヒトIg
G1領域)である。特定の実施態様において、Fc領域は、いくつかの異なるFc領域の一部を
含む、キメラFc領域である。キメラFc領域の好適な例は、米国特許出願公開2011/0243966
A1に示され、この出願はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。様々なFc
領域遺伝子配列(例えば、ヒト定常領域遺伝子配列)が、公にアクセス可能な寄託の形で入
手可能である。本発明の範囲は、Fc領域のアレル、バリアント及び突然変異を包含するこ
とは理解されるであろう。
【0173】
Fc領域は更に、切断又は内部欠失され、その最少のFcRn結合断片を作製することができ
る。Fc-領域断片のFcRnへ結合する能力は、任意の当該技術分野において認められた結合
アッセイ、例えばELISAを用いて決定することができる。
【0174】
本明細書に開示されたFcRnアンタゴニストの製造可能性を増大するために、構成要素Fc
領域は、非-ジスルフィド結合した(non-disulphide bonded)システイン残基を含まないこ
とが好ましい。従って特定の実施態様において、Fc領域は、遊離のシステイン残基を含ま
ない。
【0175】
天然型Fc領域と比べ増大した親和性及び低下したpH依存性でFcRnへ特異的に結合する任
意のFcバリアント、又はそのFcRn結合断片は、本明細書において開示されたFcRnアンタゴ
ニスト組成物において使用することができる。特定の実施態様において、バリアントFc領
域は、所望の特徴を付与するアミノ酸の改変、置換、挿入及び/又は欠失を含む。特定の
実施態様において、バリアントFc領域又は断片は、EU位置252、254、256、433、434、及
び436に、各々、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む。バリアントFc領域において使用
することができるアミノ酸配列の非限定的例は、本明細書において表2に表記されている
。特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:1、2、及び3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、
バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:1、2、及び3からなる群から
選択されるアミノ酸配列からなる。
【0176】
配列番号:2は、FcRnアンタゴニストARGX-113のFcドメインのアミノ酸配列を表す。米国
特許出願公開2015/0218239及びWO 2015/100299を参照し、これらは引用により本明細書中
に組み込まれている。配列番号:1及び3は、FcRnアンタゴニストARGX-113のFcドメインの
アミノ酸配列の特定のバリアントを表す。
【0177】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:1のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのア
ミノ酸配列は、配列番号:1のアミノ酸配列からなる。
【0178】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:2のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのア
ミノ酸配列は、配列番号:2のアミノ酸配列からなる。
【0179】
特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号
:3のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、バリアントFc領域のFcドメインのア
ミノ酸配列は、配列番号:3のアミノ酸配列からなる。
【0180】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からな
り、ここで該バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、こ
こで各Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:1からなる。
【0181】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からな
り、ここで該バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、こ
こで各Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなる。
【0182】
特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からな
り、ここで該バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、こ
こで各Fcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:3からなる。
【0183】
表2. バリアントFc領域の非限定例のアミノ酸配列
【表3】
【0184】
(ii. 抗-FcRN抗体)
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、FcRnに特異的なモノクローナル抗体
又は操作された抗体である。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、ヒトFcRn
に特異的なモノクローナル抗体又は操作された抗体である。特定の実施態様において、Fc
Rnアンタゴニストは、FcRnに特異的なモノクローナル又は操作された抗体の抗原結合断片
である。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、ヒトFcRnに特異的なモノクロ
ーナル抗体又は操作された抗体の抗原結合断片である。
【0185】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイ
ン配列及び軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここでHCは、以下を含み:
【化1】
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はからなるHC CDR1、
【化2】
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はからなるHC CDR2、並びに
【化3】
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はからなるHC CDR3;並びに、LCは、
以下を含む:アミノ酸配列
【化4】
を含むか又はからなるLC CDR1、アミノ酸配列
【化5】
を含むか又はからなるLC CDR2、並びにアミノ酸配列
【化6】
を含むか又はからなる
LC CDR3。
【0186】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、(1)CDR L1、CDR L2、及びCDR L3を
含む、軽鎖可変領域、並びに(2)CDR H1、CDR H2、及びCDR H3を含む、重鎖可変領域を含
み、ここで該CDR L1は、
【化7】
の配列に対しわずか2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を有し、該CDR L2は、
【化8】
の配列に対しわずか1個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を有し、該CDR L3は、
【化9】
の配列に対しわずか1個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を有し、該CDR H1は、
【化10】
からなる群から選択される配列に対しわずか1個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を
有し、該CDR H2は、
【化11】
からなる群から選択される配列に対しわずか2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を
有し、並びに該CDR H3は、
【化12】
の配列に対しわずか1個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を有する。
【0187】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイ
ン配列及び軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここでHCは、以下を含み:
アミノ酸配列
【化13】
を含むか又はからなるHC CDR1、アミノ酸配列
【化14】
を含むか又はからなるHC CDR2、並びにアミノ酸配列
【化15】
を含むか又はからなるHC CDR3;並びに、LCは、以下を含む:アミノ酸配列
【化16】
を含むか又はからなるLC CDR1、アミノ酸配列
【化17】
を含むか又はからなるLC CDR2、並びにアミノ酸配列
【化18】
を含むか又はからなるLC CDR3。
【0188】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイ
ン配列及び軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここでHCは、以下を含み:
アミノ酸配列
【化19】
を含むか又はからなるHC CDR1、アミノ酸配列
【化20】
を含むか又はからなるHC CDR2、配列番号:34-50からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含むか又はからなるHC CDR3;並びに、LCは、以下を含む:アミノ酸配列
【化21】
を含むか又はからなるLC CDR1、アミノ酸配列
【化22】
を含むか又はからなるLC CDR2、並びに配列番号:53-57からなる群から選択されるアミノ
酸配列を含むか又はからなるLC CDR3。
【0189】
表3. FcRnアンタゴニストCDRアミノ酸配列
【表4】
【0190】
(iii. 他のFc修飾)
特定の実施態様において、本発明のFcRnアンタゴニストは、追加のFc修飾を含んでよい
。例えば、FcRnアンタゴニストは、追加のFc受容体について、改変(例えば、増加又は減
少)された結合親和性を有するバリアントFc領域を含んでよい。バリアントFc領域は、1以
上のFcγ受容体、例えばFcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIB(CD32)、FcγRIIIA(CD
16a)、及びFcγRIIIB(CD16b)に関して、改変(例えば、増加又は減少)された結合親和性を
有することができる。追加のFc受容体に対する親和性を改変する任意の当該技術分野にお
いて認められた手段を、利用することができる。特定の実施態様において、バリアントFc
領域のアミノ酸配列は、改変される。
【0191】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、Kabatで表記されたようなEUインデッ
クスにより番号付けされた234、235、236、239、240、241、243、244、245、247、252、2
54、256、262、263、264、265、266、267、269、296、297、298、299、313、325、326、3
27、328、329、330、332、333、及び334からなる群から選択される1以上の位置に、天然
に生じないアミノ酸残基を含む。任意に、Fc領域は、当業者に公知の追加及び/又は改変
された位置に、天然に生じないアミノ酸残基を含んでよい(例えば、米国特許第5,624,821
号;第6,277,375号;及び第6,737,056号;並びに、PCT特許公報WO 01/58957;WO 02/0691
9;WO 04/016750;WO 04/029207;WO 04/035752及びWO 05/040217を参照し、これらの内
容はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている)。
【0192】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、Kabatで表記されたようなEUインデッ
クスにより番号付けされた234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、23
4F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V
、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、
240M、241W、241L、241Y、241E、241R、243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247
V、247G、252Y、254T、256E、262I、262A、262T、262E、263I、263A、263T、263M、264L
、264I、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、
265V、265I、265L、265H、265T、266I、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、26
9F、269R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D
、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、
313F、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、32
7L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、328I、328V、328T、328H、328A、329F
、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、330I、330F、330R、330H、
332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、及び332Aからなる群か
ら選択される少なくとも1つの天然に生じないアミノ酸残基を含む。任意に、Fc領域は、
当業者に公知の追加及び/又は改変された、天然に生じないアミノ酸残基を含んでよい(
例えば、米国特許第5,624,821号;第6,277,375号;及び第6,737,056号;並びに、PCT特許
公報WO 01/58957;WO 02/06919;WO 04/016750;WO 04/029207;WO 04/035752及びWO 05/
040217を参照し、これらの内容はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれてい
る)。
【0193】
本明細書に開示されたFcRnアンタゴニストにおいて使用されてよい他の公知のFcバリア
ントは、Ghetieらの文献、1997、Nat. Biotech. 15: 637-40;Duncanらの文献、1988、Na
ture 332: 563-564;Lundらの文献、1991、J. Immunol. 147: 2657-2662;Lundらの文献
、1992、Mol. Immunol. 29: 53-59;Alegreらの文献、1994、Transplantation 57: 1537-
1543;Hutchinsらの文献、1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 11980-11984;Jeffer
isらの文献、1995、Immunol. Lett. 44: 111-117;Lundらの文献、1995、FASEB J. 9: 11
5-119;Jefferisらの文献、1996、Immunol. Lett. 54: 101-104;Lundらの文献、1996、J
. Immunol. 157: 4963-4969;Armourらの文献、1999、Eur. J. Immunol. 29: 2613-2624
;Idusogieらの文献、2000、J. Immunol. 164: 4178-4184;Reddyらの文献、2000、J. Im
munol. 164: 1925-1933;Xuらの文献、2000、Cell. Immunol. 2000: 16-26;Idusogieら
の文献、2001、J. Immunol. 166: 2571-2575;Shieldsらの文献、2001、J Biol. Chem. 2
76: 6591-6604;Jefferisらの文献、2002、Immunol. Lett. 82: 57-65;Prestaらの文献
、2002、Biochem. Soc. Trans. 30: 487-490):米国特許第5,624,821号;第5,885,573号
;第5,677,425号;第6,165,745号;第6,277,375号;第5,869,046号;第6,121,022号;第5
,624,821号;第5,648,260号;第6,528,624号;第6,194,551号;第6,737,056号;第6,821,
505号;第6,277,375号;米国特許公報第2004/0002587号;並びに、PCT公報WO 94/29351;
WO 99/58572;WO 00/42072;WO 02/060919;WO 04/029207;WO 04/099249;及びWO 04/06
3351に開示されたものを含むが、これらに限定されるものではなく、これらの文献の内容
はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0194】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、ヘテロ二量体であり、ここで構成要素
Fcドメインは、互いに異なる。Fcヘテロ二量体を作製する方法は、当該技術分野において
公知である(例えば、US 8216805を参照し、これはその全体が引用により本明細書中に組
み込まれている)。特定の実施態様において、バリアントFc領域は、単鎖Fc領域であり、
ここで構成要素Fcドメインは、リンカー部分により、一緒に連結されている。単鎖Fc領域
を作製する方法は、当該技術分野において公知である(例えば、US20090252729A1及びUS20
110081345A1を参照し、これらはそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれてい
る)。
【0195】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、N-結合型グリカン(例えば、EU位置2
97)を含むバリアントFc-領域を含む。この場合、グリカン構造を改変することにより、CD
16aに対するFcRnアンタゴニストの結合親和性を増加することは可能である。Fc領域のN-
結合型グリカンの改変は、当該技術分野において周知である。例えば、非フコシル化され
たN-結合型グリカン又は二分岐しているGlcNAc構造を有するN-グリカンは、CD16aに対す
る増加した親和性を発揮することが示されている。従って特定の実施態様において、N-結
合型グリカンは、非フコシル化されている。非フコシル化は、任意の当該技術分野におい
て認められた手段を使用し、達成することができる。例えば、FcRnアンタゴニストは、フ
コシル基転移酵素を欠いている細胞において発現されることができ、その結果フコースは
、バリアントFc領域のEU位置297で、N-結合型グリカンに付加されない(例えば、米国特許
第8,067,232号を参照し、その内容はその全体が引用により本明細書中に組み込まれてい
る)。特定の実施態様において、N-結合型グリカンは、二分岐しているGlcNAc構造を有す
る。二分岐しているGlcNAc構造は、任意の当該技術分野において認められた手段を使用し
、達成することができる。例えば、FcRnアンタゴニストは、ベータ1-4-N-アセチルグルコ
サミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)を発現している細胞において発現されることが
でき、その結果二分岐しているGlcNAcが、バリアントFc領域のEU位置297で、N-結合型グ
リカンに付加される(例えば、米国特許第8021856号を参照し、その内容はその全体が引用
により本明細書中に組み込まれている)。加えて又は代わりに、N-結合型グリカン構造の
改変は、インビトロにおいて酵素手段により達成されることもできる。
【0196】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、複数のFcRnアンタゴニスト分子を含
み、ここで複数のFcRnアンタゴニスト分子の少なくとも50%(任意に少なくとも60、70、8
0、90、95、又は99%)は、EU位置297に非フコシル化されたN-結合型グリカンを含む、バ
リアントFc領域、又はそのFcRn結合断片を含む。
【0197】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、複数のFcRnアンタゴニスト分子を含
み、ここで複数のFcRnアンタゴニスト分子の少なくとも50%(任意に少なくとも60、70、8
0、90、95、又は99%)は、EU位置297に二分岐しているGlcNAcを有するN-結合型グリカン
を含む、バリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含む。
【0198】
特定の実施態様において、バリアントFc領域は、N-結合型グリカンを含まない。これは
、任意の当該技術分野において認められた手段を使用し、達成することができる。例えば
、Fc バリアントは、N-結合型グリコシル化が不可能である細胞において発現されること
ができる。加えて又は代わりに、Fcバリアントのアミノ酸配列は、N-結合型グリコシル化
を防止又は阻害するように(例えば、NXTシークオンの突然変異により)、改変することが
できる。あるいは、Fcバリアントは、無細胞システムにおいて合成することができる(例
えば、化学合成される)。
【0199】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニスト分子は、例えば、FcRnアンタゴニストへ
の分子(例えば、結合又は造影部分)の共有的結合により、修飾されてよく、その結果共有
的結合は、FcRnアンタゴニストが、FcRnへ特異的に結合することを妨げない。例えば、し
かし限定するのではなく、FcRnアンタゴニストは、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、
リン酸化、アミド化、公知の保護的ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性切断、
細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などにより修飾されてよい。
【0200】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、半減期延長物質(half-life extende
r)へ連結したバリアントFc領域を含む。本明細書において使用される用語「半減期延長物
質」は、本明細書に開示されたFcRnアンタゴニストに連結した場合、FcRnアンタゴニスト
の半減期を増大する任意の分子を指す。任意の半減期延長物質は、FcRnアンタゴニストへ
連結されてよい(共有的又は非共有的のいずれかで)。特定の実施態様において、半減期延
長物質は、ポリエチレングリコール又はヒト血清アルブミンである。特定の実施態様にお
いて、FcRnアンタゴニストは、例えば血清アルブミン(例えばヒト血清アルブミン)、IgG
、赤血球など、血液-運搬された分子又は細胞などの、対象において存在する半減期延長
物質へ特異的に結合する結合分子へ連結される。
【0201】
(IV. 全身型重症筋無力症の治療方法)
一態様において、本開示は、対象における全身型重症筋無力症を治療する方法を提供す
る。これらの方法は一般に、対象へ、有効量の単離されたFcRnアンタゴニストを投与する
ことを含む。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症の治療において使用するた
めの単離されたFcRnアンタゴニストも提供する。本開示は更に、対象における全身型重症
筋無力症の治療において使用するための医薬品の製造における単離されたFcRnアンタゴニ
ストの使用を提供する。
【0202】
(投薬及び投与経路)
本明細書に示したように、複数回の反復投薬レジメンは、単回投与量よりも予想外に優
れている。従って特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、22日間に少なくとも
2回、対象へ投与される。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、1、2、3、4
、5、6、7、8、9、10、又は11日毎に1回の頻度で、対象へ投与される。特定の実施態様に
おいて、FcRnアンタゴニストは、22日間に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13
、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回、対象へ投与される。特定の実施態様にお
いて、FcRnアンタゴニストは、3日毎に1回の頻度で、対象へ投与される。特定の実施態様
において、FcRnアンタゴニストは、7日毎に1回の頻度で、対象へ投与される。特定の実施
態様において、FcRnアンタゴニストは、22日間にわたり7日毎に、対象へ投与される(すな
わち、1、8、15、及び22日目に)。
【0203】
本明細書に示したように、FcRnアンタゴニストの約1~約200mg/kgの投与量での対象へ
の投与は、予想外に効率的である。従って特定の実施態様において、FcRnアンタゴニスト
は、約1~約200mg/kgの投与量で、対象へ投与される(例えば、1~200mg/kg)。特定の実施
態様において、FcRnアンタゴニストは、約1、2、10、20、25、70、又は200mg/kgの投与量
で、対象へ投与される(例えば、1、2、10、20、25、70、又は200mg/kg)。特定の実施態様
において、FcRnアンタゴニストは、約5mg/kgの投与量で、対象へ投与される(例えば、5mg
/kg)。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、約10mg/kgの投与量で、対象へ
投与される(例えば、10mg/kg)。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、約20m
g/kgの投与量で、対象へ投与される(例えば、20mg/kg)。特定の実施態様において、FcRn
アンタゴニストは、約25mg/kgの投与量で、対象へ投与される(例えば、25mg/kg)。
【0204】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、1回の投与量につき約150、300、450
、600、750、900、1050、及び1200mgからなる群から選択される投与量で、対象へ投与さ
れる。
【0205】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、1回の投与量につき約150mgの投与量
で、対象へ投与される。
【0206】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、1回の投与量につき約300mgの投与量
で、対象へ投与される。
【0207】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、1回の投与量につき約450mgの投与量
で、対象へ投与される。
【0208】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストの10mg/kgは、22日間にわたり7日毎に対
象へ投与される(すなわち、1、8、15、及び22日目に)。
【0209】
重症筋無力症は慢性疾患であるので、特定の実施態様においてFcRnアンタゴニストの少
なくとも1回の追加の投与量が、対象へ投与される。例えば、FcRnアンタゴニストの1回以
上の追加の投与量が、毎週、2週毎、3週毎、4週毎、6週毎、8週毎、12週毎に、又は前述
のいずれかの中間のスケジュールで、対象へ投与され得る。投与スケジュールは、臨床症
状を基に調節され得る。
【0210】
重症筋無力症は慢性疾患であるので、特定の実施態様においてFcRnアンタゴニストの少
なくとも1回の追加投与量が、対象へ投与される。例えば、FcRnアンタゴニストの1回以上
の追加投与量は、臨床症状に応じて必要ならば対象へ投与することができる。この様式に
おいて、医師又は対象は、個々の対象の必要性に対し投薬を目的に合わせることができる
。
【0211】
FcRnアンタゴニストは、任意の手段により対象へ投与することができる。投与方法は、
静脈内、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、硬膜外、及び経口の経路を含むが、これ
らに限定されるものではない。本組成物は、例えば、点滴又はボーラス注射により投与さ
れてよい。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、静脈内点滴により投与され
る。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、皮下注射により投与される。特定
の実施態様において、初回投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回以上の後続投与量
は、皮下投与される。
【0212】
様々な実施態様において、FcRnアンタゴニストは、多相投薬レジメンで投与される。例
えば、多相投薬レジメンは、様々な実施態様において、第一相及び第二相を含む。特定の
実施態様において、第一相は、導入相であり、FcRnアンタゴニストの1~5回の投与量を、
1~10週間の間で、例えば1ヶ月かけて対象へ投与することを含む。特定の実施態様におい
て、導入相投与量は、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg又は約20mg/kgで投与される。特
定の実施態様において、導入相投与量は、静脈内に投与される。導入相は、FcRnアンタゴ
ニストの初回維持相投与量を投与することにより、完結される。
【0213】
特定の実施態様において、導入相は、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間続く。特定
の実施態様において、この相は、2~6週間続く。特定の実施態様において、導入相は、5
週間続く。特定の実施態様に従い、任意の週に与えられる投与量は、その前の週よりも高
い。他の実施態様において、投与量は、数週間同じであり続け、その後増加される。一部
の実施態様において、投与量は、最初の1、2、3、4、5、6、7、8、又は9週間は同じであ
り続け、その後増加される。特定の実施態様において、投与量は、最初の4週間は同じで
あり続ける。
【0214】
特定の実施態様において、第二相は、維持相であり、且つ50mg~500mg(例えば、150mg
又は300mg)を1もしくは2週毎に1回で、2週間、4週間、6週間、8週間、12週間、26週間に
わたるか、又は重症筋無力症が続く限りは、対象へ投与することを含む。他の実施態様に
おいて、維持相は、FcRnアンタゴニストの50mg~500mg(例えば、150mg又は300mg)を、2週
毎に1回で、2ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、2年間、3年間、4年間、5
年間にわたるか、又は対象の残りの生存期間にわたり、対象へ投与することを含む。他の
実施態様において、一旦導入相が完結し、維持相は、FcRnアンタゴニストの約50~500mg(
例えば、150mg又は300mg)を、1ヶ月に2回(2週間毎)で皮下(s.c.)投与することを含む。一
部の実施態様において、維持相は、FcRnアンタゴニストを、臨床症状に応じて必要ならば
対象へ投与することを含む。この様式において、医師又は対象は、個々の対象の必要性に
対し投薬を目的に合わせることができる。
【0215】
特定の実施態様において、維持相は、6週間と対象の生存の間続くことができる。他の
実施態様に従い、維持相は、26~52、26~78、26~104、26~130、26~156、26~182、26
~208週間、又はそれよりも長く続く。他の実施態様において、維持相は、26、27、28、2
9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、4
9、50、51、52、78、104、130、156、又は182週間よりも長く続く。他の実施態様に従い
、維持相は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、7
5、80年間、又はそれよりも長い年数続く。特定の実施態様において、維持相は、対象の
残りの生存期間続く。
【0216】
特定の実施態様において、多相投薬レジメンは、FcRnアンタゴニストの投与量が、各後
続投与量で減少される、「漸減」相を含む。漸減相は、対象がMGの1以上の症状の改善を
示した後に、行ってよい。特定の実施態様において、この漸減相は、FcRnアンタゴニスト
以外の補充療法(例えば、ステロイド療法、IVIg又は血漿交換)を含んでよい。
【0217】
特定の実施態様において、多相投薬レジメンは、「再治療」相を含む。再治療相は、対
象が延長された期間にわたり(例えば、3ヶ月、6ヶ月、1年又はそれよりも長い)FcRnアン
タゴニストによる治療を終えた後、又は対象が漸減相を開始した後(しかし完全には完結
していない)に、行ってよい。特定の実施態様において、この再治療相は、MG患者が、臨
床の安定性を維持するために救済手法を受けなければならない場合に使用され、且つ血漿
交換及び/又はIVIgによる投薬の投与を含む。血漿が交換された後のこの相において、Fc
Rnアンタゴニストの投与量は、血漿交換において喪失されたこの薬物を補充するために投
与される。特定の実施態様に従い、この救済後投与量は、FcRnアンタゴニストの50~500m
g(例えば、150mg又は300mg)である。特定の実施態様に従い、この救済後投与量は、約150
mgである。別の実施態様において、この救済後又は第三相において、300mg投与量が、プ
ラズマフェレーシスの完了後に投与される(例えば、プラズマフェレーシスの6時間、5時
間、4時間、3時間、2時間又は1時間以内)。
【0218】
特定の実施態様において、最初の1回以上の導入量は、対象へ静脈内投与され、及び1回
以上の後続の維持量は、皮下投与される。
【0219】
特定の実施態様において、最初の1、2、3、又は4回の導入量は、対象へ静脈内投与され
、及び1、2、3、又は4回の後続維持量は、対象へ皮下投与される。
【0220】
特定の実施態様において、最初の4回の導入量は、対象へ静脈内投与され、及び1、2、3
、又は4回の後続維持量は、対象へ皮下投与される。
【0221】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0222】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0223】
一態様において、本開示は、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法を提供し
、この方法は、対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの複数の投与量を投与することを含
み、ここでFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投
与量で、対象へ静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1
回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、対象へ皮下投与され、これにより、対象におけ
る全身型重症筋無力症が治療される。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症の
治療方法において使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供し、この方法は、
対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの複数の投与量を投与することを含み、ここでFcRn
アンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、対象へ
静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与量につ
き約10mg/kgの投与量で、対象へ皮下投与される。
【0224】
一態様において、本開示は、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法を提供し
、この方法は、対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの複数の投与量を投与することを含
み、ここでFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投
与量で、対象へ静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1
回の投与量につき約20mg/kgの投与量で、対象へ皮下投与され、これにより、対象におけ
る全身型重症筋無力症が治療される。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症の
治療方法において使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供し、この方法は、
対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの複数の投与量を投与することを含み、ここでFcRn
アンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、対象へ
静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与量につ
き約20mg/kgの投与量で、対象へ皮下投与される。
【0225】
一態様において、本開示は、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法を提供し
、この方法は、対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの複数の投与量を投与することを含
み、ここでFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投
与量で、対象へ静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1
回の投与量につき約150mgの投与量で、対象へ皮下投与され、これにより、対象における
全身型重症筋無力症が治療される。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症の治
療方法において使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供し、この方法は、対
象へ単離されたFcRnアンタゴニストの複数の投与量を投与することを含み、ここでFcRnア
ンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、対象へ静
脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与量につき
約150mgの投与量で、対象へ皮下投与される。
【0226】
一態様において、本開示は、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法を提供し
、この方法は、対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの2回以上の投与量を投与すること
を含み、ここでFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kg
の投与量で、対象へ静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量
は、1回の投与量につき約300mgの投与量で、対象へ皮下投与され、これにより、対象にお
ける全身型重症筋無力症が治療される。本開示はまた、対象における全身型重症筋無力症
の治療方法において使用するための単離されたFcRnアンタゴニストも提供し、この方法は
、対象へ単離されたFcRnアンタゴニストの2回以上の投与量を投与することを含み、ここ
でFcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、1回の投与量につき約10mg/kgの投与量で、
対象へ静脈内投与され、並びにFcRnアンタゴニストの1回以上の後続投与量は、1回の投与
量につき約300mgの投与量で、対象へ皮下投与される。
【0227】
特定の実施態様において、1、2、3、又は4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び
1、2、3、又は4回の後続投与量は、対象へ皮下投与される。
【0228】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0229】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0230】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0231】
特定の実施態様において、1回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0232】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0233】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0234】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0235】
特定の実施態様において、2回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0236】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0237】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0238】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0239】
特定の実施態様において、3回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0240】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0241】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0242】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0243】
特定の実施態様において、4回の投与量は、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与
量は、対象へ皮下投与される。
【0244】
特定の実施態様において、1回以上の皮下投与量は、約毎日、約毎週、約2週毎、及び約
毎月からなる群から選択される頻度で投与される。
【0245】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストの1回以上の投与量は、再治療、維持量
、又は漸減投与量として投与される。
【0246】
本明細書に開示された方法は、抗-AChRなどの天然に生じる自己抗体の血清レベルを減
少することができる。従って一態様において、本開示は、抗体-媒介性障害(例えば、全身
型重症筋無力症などの自己免疫疾患)を有する対象を治療する方法を提供し、この方法は
、本明細書に開示されたFcRnアンタゴニスト組成物の有効量を対象へ投与することを含む
。特定の実施態様において、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、抗-アセチルコリ
ン受容体(AChR)抗体の血清レベルを減少する。特定の実施態様において、単離されたFcRn
アンタゴニストの投与は、抗-MuSK抗体の血清レベルを減少する。特定の実施態様におい
て、単離されたFcRnアンタゴニストの投与は、抗-LRP4抗体の血清レベルを減少する。特
定の実施態様において、この抗体の血清レベルは、1日目に単離されたFcRnアンタゴニス
トの投与前に測定された少なくともこの抗体のベースライン血清レベルと比べ、8、15、2
2、29、又は36日目に減少される。特定の実施態様において、少なくとも1種のIgGの血清
レベルは、8、15、22、29、又は36日目に、少なくとも約25%~少なくとも約95%だけ減
少される。特定の実施態様において、少なくとも1種のIgGの血清レベルは、8、15、22、2
9、又は36日目に、少なくとも約50%~少なくとも約95%だけ減少される。特定の実施態
様において、少なくとも1種の抗-AchR抗体の血清レベルは、8、15、22、29、又は36日目
に、少なくとも約50%~少なくとも約85%だけ減少される。特定の実施態様において、抗
-MuSK抗体の血清レベルは、8、15、22、29、又は36日目に、少なくとも約50%~少なくと
も約85%だけ減少される。特定の実施態様において、抗-LRP4抗体の血清レベルは、8、15
、22、29、又は36日目に、少なくとも約50%~少なくとも約85%だけ減少される。
【0247】
特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、追加治療薬と同時に、対象へ投与さ
れる。特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは、追加治療薬と連続して、対象へ
投与される。
【0248】
特定の実施態様において、追加治療薬の用量は、FcRnアンタゴニストによる治療と組合
せて漸減される。これは、漸減されるべき追加治療薬がコルチコステロイドである場合に
、特に有用である。
【0249】
(患者選択)
本開示の方法は、対象における全身型重症筋無力症の治療に特に適している。従って特
定の実施態様において、本発明の方法は、全身型重症筋無力症を有すると診断されている
か及び/又は全身型重症筋無力症に関連した1以上の症状を示す患者の治療のための選択
を含む。本開示の特定の態様において、全身型MG患者集団のサブセットを、治療のために
選択してよい。例えば、患者は、1以上の追加の特徴の存在について選択されてよい。特
定の実施態様において、これらの患者は、全身型MG患者集団よりも、治療をより困難にす
る1以上の特徴を示してよい。
【0250】
((a)評価スコア)
特定の実施態様において、MG患者は、定量的重症筋無力症(QMG)スコア、重症筋無力症
日常生活動作(MG-ADL)スコア、重症筋無力症複合(MGC)スコア、15項目の重症筋無力症に
関するQOLスケール(MGQoL15r)、及びEuroQol 5様相(EQ-5D)スコアからなる群から選択さ
れる1以上の重症筋無力症評価スコアにより反映される、高度の機能障害を示し得る。特
定の実施態様において、MG患者は、少なくとも5のMG-ADLスコアを示してよい。特定の実
施態様において、総MG-ADLスコアは、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なく
とも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、又は少なくとも20である。特定の実
施態様において、MG患者は、少なくとも10のQMGスコアを示してよい。特定の実施態様に
おいて、総QMGスコアは、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、
少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30である。特定の実施態様
において、MG患者は、少なくとも10のMGCスコアを示し得る。特定の実施態様において、M
GCスコアは、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35
、又は少なくとも40である。特定の実施態様において、MG患者は、少なくとも10のMGQol1
5rスコアを示してよい。特定の実施態様において、MGQol15rスコアは、少なくとも11、少
なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、又は少なくと
も25である。
【0251】
特定の実施態様において、治療のために選択されたMG患者は、ある期間にわたり1以上
のMG症状の増悪を示すことがある。特定の実施態様において、MG患者は、標準治療(SOC)
の療法による治療にもかかわらず、1以上のMG症状の増悪を示すことがある。
【0252】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLスコ
アが少なくとも1-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無
力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLスコアが少なくとも2-ポイント悪化する場
合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は
、MG-ADLスコアが少なくとも3-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様におい
て、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLスコアが少なくとも4-ポイン
ト悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無
力症の増悪は、MG-ADLスコアが少なくとも5-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実
施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLスコアが少なく
とも6-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全
身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLスコアが少なくとも7-ポイント悪化する場合に存在す
る。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLス
コアが少なくとも8-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋
無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG-ADLスコアが少なくとも9-ポイント悪化する
場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪
は、MG-ADLスコアが少なくとも10-ポイント悪化する場合に存在する。
【0253】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QMGスコア
が少なくとも1-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力
症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QMGスコアが少なくとも2-ポイント悪化する場合に
存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QM
Gスコアが少なくとも3-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重
症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QMGスコアが少なくとも4-ポイント悪化す
る場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増
悪は、QMGスコアが少なくとも5-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様にお
いて、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QMGスコアが少なくとも6-ポイン
ト悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無
力症の増悪は、QMGスコアが少なくとも7-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施
態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QMGスコアが少なくとも8
-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型
重症筋無力症の増悪は、QMGスコアが少なくとも9-ポイント悪化する場合に存在する。特
定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、QMGスコアが少
なくとも10-ポイント悪化する場合に存在する。
【0254】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGCスコア
が少なくとも1-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力
症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGCスコアが少なくとも2-ポイント悪化する場合に
存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MG
Cスコアが少なくとも3-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重
症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGCスコアが少なくとも4-ポイント悪化す
る場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増
悪は、MGCスコアが少なくとも5-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様にお
いて、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGCスコアが少なくとも6-ポイン
ト悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無
力症の増悪は、MGCスコアが少なくとも7-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施
態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGCスコアが少なくとも8
-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型
重症筋無力症の増悪は、MGCスコアが少なくとも9-ポイント悪化する場合に存在する。特
定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGCスコアが少
なくとも10-ポイント悪化する場合に存在する。
【0255】
特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rス
コアが少なくとも1-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋
無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも2-ポイント悪化す
る場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増
悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも3-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様
において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも
4-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型
重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも5-ポイント悪化する場合に存在する
。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rス
コアが少なくとも6-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋
無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも7-ポイント悪化す
る場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増
悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも8-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様
において、重症筋無力症又は全身型重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも
9-ポイント悪化する場合に存在する。特定の実施態様において、重症筋無力症又は全身型
重症筋無力症の増悪は、MGQoL15rスコアが少なくとも10-ポイント悪化する場合に存在す
る。
【0256】
((b)自己抗体)
更に別の実施態様では、MG患者は、1以上の自己抗体の存在又は非存在を有するように
選択されてよい。実際、全身型MGは、特定の自己抗体の存在を基に、様々な亜型へ分類さ
れ得る。
【0257】
一実施態様において、MG患者は、アセチルコリン受容体(AChR)抗体に対する自己抗体の
存在が陽性であるように選択される(「AChR血清陽性」又は「AChR-関連MG」)。特定の実
施態様において、AChR-関連MG患者は、アセチルコリン受容体(AChR)抗体及び筋特異的チ
ロシンキナーゼ(MuSK)に対する抗体の両方について、「二重血清陽性」であるように選択
される。特定の実施態様において、AChR-関連MG患者は、AChRについて血清陽性及びMuSK
について血清陰性であるように選択される。AChR-関連MGは、発生率の二峰性の年齢パタ
ーンを有し、年齢約30歳の若い成人にピークがあり、その後50歳を超えて高齢になるにつ
れて発生率が一定に増加する(Heldalらの文献、「血清陽性重症筋無力症:全国疫学試験(
Seropositive myasthenia gravis: a nationwide epidemiologic study)」、Neurology.
2009; 73: 150-151)。
【0258】
他の実施態様において、MG患者は、MuSK受容体に対する自己抗体の存在が陽性であるよ
うに選択される(「MuSK血清陽性」又は「MuSK-関連MG」)。特定の実施態様において、MuS
K-関連MG患者は、AChRについて血清陰性であるように選択される。MuSK抗体は、AChR-関
連MG患者のおよそ3分の1で検出される(Niksらの文献、J. Neurol. Neurosurg Psychiatry
, 2007; 78: 417-18参照)。他の実施態様において、MG患者は、AChRについて血清陽性、M
uSKについて血清陽性、及びLRP4について血清陽性であるように選択される。MuSK-関連MG
発生率は、1年当たり患者100万人につき0.3人、有病率は患者100万人につき2.9人と推定
される(Guptillらの文献、Muscle Nerve 2011, 44: 36-40)。
【0259】
他の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR抗体及びMuSK抗体の両
方の存在について血清陰性である、「二重血清陰性」の患者である。
【0260】
特定の実施態様において、二重血清陰性の患者は、低密度リポタンパク受容体-関連タ
ンパク質4(LRP4)に対する自己抗体の存在について陽性である(「LRP4血清陽性」又は「LR
P4-関連MG」)。LRP4抗体は、AChR血清陰性患者の19%において記録されている。更に疫学
的データは、LRP4-関連MGは、本疾患のMUSK型の頻度の半分であることを示唆している(Zi
simopoulouらの文献、Autoimmun Rev 2013, 12: 924-30)。
【0261】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリンに対する自己抗
体の存在について血清陽性である。特定の実施態様において、この患者は、AChRについて
も血清陽性である。別の実施態様において、この患者は、MuSKについても血清陽性である
。別の実施態様において、この患者は、LRP4についても血清陽性である。
【0262】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRクラスタリングを促
進するアグリン/MuSKの下流に作用するタンパク質である、コルタクチンに対する自己抗
体の存在について血清陽性である。特定の実施態様において、この患者は、AChRについて
も血清陽性である。別の実施態様において、この患者は、MuSKについても血清陽性である
。別の実施態様において、この患者は、LRP4についても血清陽性である。
【0263】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、細胞構造の柔軟性を維持
するタンパク質である、タイチンに対する自己抗体の存在について血清陽性である。タイ
チン自己抗体の存在は、長期免疫抑制を必要とし且つ胸腺摘除に対し反応しない重症のMG
患者のための有用なマーカーとして働くことができる。
【0264】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、筋細胞の収縮を媒介する
筋小胞体カルシウムチャネルタンパク質であるリアノジン受容体に対する自己抗体の存在
について血清陽性である。リアノジン受容体自己抗体の存在も、重症のMGの有用なマーカ
ーとして働くことができる。
【0265】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びリアノジン
受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患
者は、AChR及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のため
に選択されるMG患者は、AChR、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である
。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びコルタクチンに
ついて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AC
hR、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様にお
いて、治療のために選択されるMG患者は、AChR、コルタクチン、及びタイチンについて血
清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、コル
タクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びアグリンについて血清陽性である。
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、及びリア
ノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択され
るMG患者は、AChR、アグリン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、タイチン、及びリアノジン
受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患
者は、AChR、アグリン、及びコルタクチンについて血清陽性である。特定の実施態様にお
いて、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、コルタクチン、及びリアノジ
ン受容体について血清陽性である。
【0266】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、コルタ
クチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために
選択されるMG患者は、AChR、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、
AChR及びLRP4について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択され
るMG患者は、AChR、LRP4、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態
様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びタイチンについて血清
陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、
タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治
療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びコルタクチンについて血清陽性である
。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、コルタクチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のた
めに選択されるMG患者は、AChR、LRP4、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、コルタ
クチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。
【0267】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びアグリ
ンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、AChR、LRP4、アグリン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態
様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、及びタイチンに
ついて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AC
hR、LRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の
実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、及びコル
タクチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、AChR、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性
である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグ
リン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、
治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、コルタクチン、タイチン、及
びリアノジン受容体について血清陽性である。
【0268】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びMuSKについて血
清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK
、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のため
に選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施
態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、タイチン、及びリアノジ
ン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、AChR、MuSK、及びコルタクチンについて血清陽性である。特定の実施態様におい
て、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、AChR、MuSK、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、コルタクチン、タイチン、及び
リアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択
されるMG患者は、AChR、MuSK、及びアグリンについて血清陽性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、AChR、MuSK、アグリン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様におい
て、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、タイチン、及びリアノジ
ン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、AChR、MuSK、アグリン、及びコルタクチンについて血清陽性である。特定の実施
態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、コルタクチン
、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のため
に選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血
清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK
、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びLRP4につ
いて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR
、MuSK、LRP4、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において
、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、及びタイチンについて血清陽性
である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4
、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、
治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、及びコルタクチンについて血清陽
性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LR
P4、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。
【0269】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、コル
タクチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のため
に選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受
容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者
は、AChR、MuSK、LRP4、及びアグリンについて血清陽性である。特定の実施態様において
、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、AChR、MuSK、LRP4、アグリン、及びタイチンについて血清陽性である。
【0270】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様におい
て、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグリン、及びコルタクチン
について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、
AChR、MuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、
アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様におい
て、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、タ
イチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療
のために選択されるMG患者は、MuSKについて血清陽性である。特定の実施態様において、
治療のために選択されるMG患者は、MuSK及びリアノジン受容体について血清陽性である。
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK及びタイチンについて
血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、タ
イチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療
のために選択されるMG患者は、MuSK及びコルタクチンについて血清陽性である。特定の実
施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、コルタクチン、及びリアノジ
ン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、MuSK、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、コルタクチン、タイチン、及びリアノ
ジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択される
MG患者は、MuSK及びアグリンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療の
ために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、及びリアノジン受容体について血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、及
びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択される
MG患者は、MuSK、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、及びコル
タクチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、MuSK、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である
。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、コルタ
クチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために
選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、
MuSK及びLRP4について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択され
るMG患者は、MuSK、LRP4、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態
様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びタイチンについて血清
陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、
タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治
療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びコルタクチンについて血清陽性である
。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、コルタクチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のた
めに選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、コルタ
クチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様にお
いて、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びアグリンについて血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のた
めに選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、及びタイチンについて血清陽性である
。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治
療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、及びコルタクチンについて血清
陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、
アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態
様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、
及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択され
るMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体に
ついて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LR
P4について血清陽性である。
【0271】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びリアノジン受容
体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、LRP4及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選
択されるMG患者は、LRP4、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特
定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びコルタクチンについ
て血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、
コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において
、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽
性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、コルタク
チン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様におい
て、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びアグリンについて血清陽性である。特定
の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、及びリアノジ
ン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、LRP4、アグリン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様におい
て、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、LRP4、アグリン、及びコルタクチンについて血清陽性である。特定の実施態様において
、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受
容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者
は、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施
態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、コルタクチン、タイ
チン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療の
ために選択されるMG患者は、アグリンについて血清陽性である。特定の実施態様において
、治療のために選択されるMG患者は、アグリン及びリアノジン受容体について血清陽性で
ある。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン及びタイチ
ンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様
において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン及びコルタクチンについて血清陽
性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン、コル
タクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治
療のために選択されるMG患者は、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽
性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン、コル
タクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、コルタクチンについて血清陽性である。特定
の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、コルタクチン及びリアノジン受
容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者
は、コルタクチン及びタイチンについて血清陽性である。特定の実施態様において、治療
のために選択されるMG患者は、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について
血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、タイチン
について血清陽性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、
タイチン及びリアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態様において、治療
のために選択されるMG患者は、リアノジン受容体について血清陽性である。特定の実施態
様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性であり、並びにMu
SK、LRP4、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性
である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びリアノジ
ン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びタ
イチンについて血清陰性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患
者は、AChR及びタイチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、コルタ
クチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。特定の実施態様において、治療
のために選択されるMG患者は、AChR、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性
であり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、及びコルタクチンについて血清陰性である。特定
の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びコルタクチンについて
血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体につい
て血清陰性である。
【0272】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、コルタクチン、及
びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は
、AChR、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、アグ
リン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。特定の実施態様において、治療の
ために選択されるMG患者は、AChR、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体につ
いて血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、及びアグリンについて血清陰性である。特定の
実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びアグリンについて血清陽
性であり、並びにMuSK、LRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について
血清陰性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、ア
グリン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、コルタクチ
ン、及びタイチンについて血清陰性である。特定の実施態様において、治療のために選択
されるMG患者は、AChR、アグリン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、
LRP4、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。特定の実施態様に
おいて、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、タイチン、及びリアノジン
受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、及びコルタクチンについて血清陰性
である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、
及びコルタクチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、タイチン、及びリアノジ
ン受容体について血清陰性である。特定の実施態様において、治療のために選択されるMG
患者は、AChR、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり
、並びにMuSK、LRP4、及びタイチンについて血清陰性である。特定の実施態様において、
治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについ
て血清陽性であり、並びにMuSK、LRP4、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、アグリン、コルタク
チン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK及びLRP4に
ついて血清陰性である。
【0273】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR 及びLRP4について
血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0274】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びリアノ
ジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0275】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びタイチ
ンについて血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0276】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、タイチン、
及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0277】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びコルタ
クチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0278】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、コルタクチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0279】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、コルタクチ
ン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0280】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、コルタクチ
ン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK及びアグリン
について血清陰性である。
【0281】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、及びアグリ
ンについて血清陽性であり、並びにMuSK、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0282】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0283】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
及びタイチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0284】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK及びコルタクチン
について血清陰性である。
【0285】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
及びコルタクチンについて血清陽性であり、並びにMuSK、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0286】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSK及びタイチン
について血清陰性である。
【0287】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにMuSK及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0288】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、LRP4、アグリン、
コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにMuSKに
ついて血清陰性である。
【0289】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR及びMuSKについて血
清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0290】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びリアノ
ジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0291】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びタイチ
ンについて血清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0292】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、タイチン、
及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0293】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びコルタ
クチンについて血清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0294】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、コルタクチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0295】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、コルタクチ
ン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにLRP4、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0296】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、コルタクチ
ン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4及びアグリン
について血清陰性である。
【0297】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びアグリ
ンについて血清陽性であり、並びにLRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0298】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0299】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
及びタイチンについて血清陽性であり、並びにLRP4、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0300】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4及びコルタクチン
について血清陰性である。
【0301】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
及びコルタクチンについて血清陽性であり、並びにLRP4、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0302】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4及びタイチン
について血清陰性である。
【0303】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにLRP4及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0304】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、アグリン、
コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにLRP4に
ついて血清陰性である。
【0305】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、及びLRP4に
ついて血清陽性であり、並びにアグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0306】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、及び
リアノジン受容体について血清陽性であり、並びにアグリン、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0307】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、及び
タイチンについて血清陽性であり、並びにアグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0308】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、タイ
チン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにアグリン及びコルタクチン
について血清陰性である。
【0309】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、及び
コルタクチンについて血清陽性であり、並びにアグリン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0310】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、コル
タクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにアグリン及びタイチン
について血清陰性である。
【0311】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、コル
タクチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにアグリン及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0312】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、コル
タクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにアグリンに
ついて血清陰性である。
【0313】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、及び
アグリンについて血清陽性であり、並びにコルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0314】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにコルタクチン及びタイチン
について血清陰性である。
【0315】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにコルタクチン及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0316】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにコルタクチンに
ついて血清陰性である。
【0317】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、及びコルタクチンについて血清陽性であり、並びにタイチン及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0318】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにタイチンに
ついて血清陰性である。
【0319】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにリアノジン受容体に
ついて血清陰性である。
【0320】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSKについて血清陽性で
あり、並びにAChR、LRP4、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体に
ついて血清陰性である。
【0321】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK及びリアノジン受容
体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びタイチン
について血清陰性である。
【0322】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK及びタイチンについ
て血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0323】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、タイチン、及びリ
アノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、アグリン、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0324】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK及びコルタクチンに
ついて血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0325】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、コルタクチン、及
びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、アグリン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0326】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、コルタクチン、及
びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0327】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、コルタクチン、タ
イチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、及びアグリ
ンについて血清陰性である。
【0328】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK 及びアグリンにつ
いて血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0329】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、及びリ
アノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0330】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、及びタ
イチンについて血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0331】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、タイチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0332】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、及びコ
ルタクチンについて血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0333】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、コルタ
クチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0334】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、コルタ
クチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、LRP4、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0335】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、アグリン、コルタ
クチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR及びLRP4
について血清陰性である。
【0336】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK及びLRP4について血
清陽性であり、並びにAChR、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0337】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びリアノ
ジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、アグリン、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0338】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びタイチ
ンについて血清陽性であり、並びにAChR、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0339】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、タイチン、
及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、アグリン、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0340】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びコルタ
クチンについて血清陽性であり、並びにAChR、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0341】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、コルタクチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、アグリン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0342】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、コルタクチ
ン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0343】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、コルタクチ
ン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR 及びアグリ
ンについて血清陰性である。
【0344】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、及びアグリ
ンについて血清陽性であり、並びにAChR、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0345】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0346】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
及びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0347】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR及びコルタクチン
について血清陰性である。
【0348】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
及びコルタクチンについて血清陽性であり、並びにAChR、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0349】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR及びタイチン
について血清陰性である。
【0350】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
コルタクチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0351】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、MuSK、LRP4、アグリン、
コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChRに
ついて血清陰性である。
【0352】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4について血清陽性で
あり、並びにAChR、MuSK、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体に
ついて血清陰性である。
【0353】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びリアノジン受容
体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、アグリン、コルタクチン、及びタイチン
について血清陰性である。
【0354】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びタイチンについ
て血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0355】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、タイチン、及びリ
アノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、アグリン、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0356】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びコルタクチンに
ついて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0357】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、コルタクチン、及
びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、アグリン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0358】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、コルタクチン、及
びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、アグリン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0359】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、コルタクチン、タ
イチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、及びアグリ
ンについて血清陰性である。
【0360】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4及びアグリンについ
て血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0361】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、及びリ
アノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、コルタクチン、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0362】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、及びタ
イチンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、コルタクチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0363】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、タイチ
ン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0364】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、及びコ
ルタクチンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、タイチン、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0365】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、コルタ
クチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0366】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、コルタ
クチン、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0367】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、LRP4、アグリン、コルタ
クチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR及びMuSK
について血清陰性である。
【0368】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリンについて血清陽
性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体に
ついて血清陰性である。
【0369】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン及びリアノジン
受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、コルタクチン、及びタイチン
について血清陰性である。
【0370】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン及びタイチンに
ついて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、コルタクチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0371】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン、タイチン、及
びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、及びコルタクチ
ンについて血清陰性である。
【0372】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン及びコルタクチ
ンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、タイチン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0373】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン、コルタクチン
、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、及びタイチ
ンについて血清陰性である。
【0374】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン、コルタクチン
、及びタイチンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、及びリアノジン受容
体について血清陰性である。
【0375】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、アグリン、コルタクチン
、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、及びLR
P4について血清陰性である。
【0376】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、コルタクチンについて血
清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体に
ついて血清陰性である。
【0377】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、コルタクチン及びリアノ
ジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、アグリン、及びタイチン
について血清陰性である。
【0378】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、コルタクチン及びタイチ
ンについて血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、アグリン、及びリアノジン受容体
について血清陰性である。
【0379】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、コルタクチン、タイチン
、及びリアノジン受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、及びアグリ
ンについて血清陰性である。
【0380】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、タイチンについて血清陽
性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体に
ついて血清陰性である。
【0381】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、タイチン及びリアノジン
受容体について血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、アグリン、及びコルタクチン
について血清陰性である。
【0382】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、リアノジン受容体につい
て血清陽性であり、並びにAChR、MuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びタイチンに
ついて血清陰性である。
【0383】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにリアノジン受容体について血清陰性である。
【0384】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにタイチンについて血清陰性である。
【0385】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにタイチン及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0386】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにコルタクチンについて血清陰性である。
【0387】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにコルタクチン及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0388】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにコルタクチン及びタイチンについて血清陰性である。
【0389】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにコルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0390】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリンについて血清陰性である。
【0391】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0392】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン及びタイチンについて血清陰性である。
【0393】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0394】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0395】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0396】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0397】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにアグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰
性である。
【0398】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4について血清陰性である。
【0399】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0400】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4及びタイチンについて血清陰性である。
【0401】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0402】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0403】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0404】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0405】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性で
ある。
【0406】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4及びアグリンについて血清陰性である。
【0407】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0408】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0409】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である
。
【0410】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0411】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性で
ある。
【0412】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0413】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにLRP4、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について
血清陰性である。
【0414】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSKについて血清陰性である。
【0415】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0416】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK及びタイチンについて血清陰性である。
【0417】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0418】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0419】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0420】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0421】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性で
ある。
【0422】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK及びアグリンについて血清陰性である。
【0423】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0424】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0425】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である
。
【0426】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0427】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性で
ある。
【0428】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0429】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、アグリン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について
血清陰性である。
【0430】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK及びLRP4について血清陰性である。
【0431】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0432】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、及びタイチンについて血清陰性である。
【0433】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0434】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0435】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である
。
【0436】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0437】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清
陰性である。
【0438】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、及びアグリンについて血清陰性である。
【0439】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0440】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、及びタイチンについて血清陰性である。
【0441】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性
である。
【0442】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、及びコルタクチンについて血清陰性である。
【0443】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びリアノジン受容体について血清
陰性である。
【0444】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChRについて血清陽性で
あり、並びにMuSK、LRP4、アグリン、コルタクチン、及びタイチンについて血清陰性であ
る。
【0445】
特定の実施態様において、治療のために選択されるMG患者は、AChR、MuSK、LRP4、アグ
リン、コルタクチン、タイチン、及びリアノジン受容体について血清陰性である。
【0446】
((c)難治性MG)
特定の実施態様において、本発明の方法は、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフ
ェレーシス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラ
ーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエクリズマブなどの、現存する療法による治療後に、重症筋
無力症の複数の療法に対し適切に反応することに失敗するかもしくは療法を忍容すること
ができないか、又は強い筋肉衰弱及び機能を制御する重度の疾患症状に罹患し続ける、対
象の治療に有用である。
【0447】
特定の実施態様において、治療のために選択された患者は、「難治性全身型重症筋無力
症」を示す。一部の実施態様において、難治性全身型重症筋無力症は、コリンエステラー
ゼ阻害薬療法及び免疫抑制療法(IST)などの重症筋無力症の現在の標準治療を受ける一方
で、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候及び症状を示し続ける対象又は患者
、或いは臨床上の安定性を維持するために長期血漿交換もしくは長期IVIgを必要とする対
象又は患者を含むとして特徴付けられる。他の実施態様において、難治性全身型重症筋無
力症は、コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制療法(IST)などの重症筋無力症の現
在の標準治療を受ける一方で、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候及び症状
を示し続ける対象又は患者、或いは臨床上の安定性を維持するために長期血漿交換もしく
は長期IVIgを必要とする対象又は患者を含むとして特徴付けられる。本明細書において使
用される語句の臨床上の安定性を維持するために「長期血漿交換を必要とする」とは、最
後の12ヶ月にわたり少なくとも3ヶ月毎に筋肉衰弱の管理のための定期的な患者に対する
血漿交換療法の使用を指す。
【0448】
本明細書において使用される語句の臨床上の安定性を維持するために「長期IVIgを必要
とする」とは、最後の12ヶ月にわたり少なくとも3ヶ月毎に筋肉衰弱の管理のための定期
的な患者に対するIVIg療法の使用を指す。
【0449】
特定の実施態様において、全身型重症筋無力症は、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラ
ズマフェレーシス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエ
ステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無
力症療法に反応しない。
【0450】
特定の実施態様において、対象は、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシ
ス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害
薬、免疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に対し
忍容性がない。
【0451】
特定の実施態様において、対象は、総ポイントのわずか25%が1日目の単離されたFcRn
アンタゴニストの投与前に測定された眼症状に起因する、少なくとも11ポイントのQMGス
コアを有する。
【0452】
特定の実施態様において、対象は、総ポイントのわずか25%が1日目の単離されたFcRn
アンタゴニストの投与前に測定された眼症状に起因する、少なくとも5ポイントのMG-ADL
スコアを有する。
【0453】
特定の実施態様において、治療のために選択された対象(例えば、単離されたFcRnアン
タゴニストの初回投与前)は、全身型MGの確定診断を有する。特定の実施態様において、
対象は、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従い、クラスII-IVa疾患を有し、且
つ50%を超えるスコアが眼以外の項目に起因する、少なくとも5ポイントのMG-ADLスコア
を有する。特定の実施態様において、対象は、MGFA分類システムに従い、クラスII-IVa疾
患を有し、且つ総ポイントのわずか25%が眼症状に起因する、少なくとも11ポイントのQM
Gスコアを有する。特定の実施態様において、対象は、MGFA分類システムに従うクラスII-
IVa疾患を有し、且つ少なくとも10ポイントのMGCスコアを有する。
【0454】
一部の実施態様において、対象は、その症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、
ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人で
ある。特定の実施態様において、対象は、抗-アセチルコリンエステラーゼ受容体(AChR)
抗体陽性である、全身型重症筋無力症の成人である。特定の実施態様において、対象は、
抗-アセチルコリンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陽性であり、且つその症状が、アセチ
ルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理されない
、全身型重症筋無力症の成人である。特定の実施態様において、対象は、抗-アセチルコ
リンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陰性である、全身型重症筋無力症の成人である。特定
の実施態様において、対象は、抗-アセチルコリンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陰性で
あり、且つその症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制
療法により適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である。
【0455】
特定の実施態様において、対象は、抗コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制療法
(IST)を含む重症筋無力症の療法を受ける一方で、顕著な全身の衰弱又は延重症筋無力症
の髄の徴候及び症状を示す。他の実施態様において、対象は、臨床上の安定性を維持する
ために、長期の血漿交換又は長期のIVIgを必要とする。特定の実施態様において、対象は
、先に少なくとも2種の免疫抑制薬による治療に失敗しているか、又は少なくとも1種の免
疫抑制薬による治療に失敗し、且つ長期の血漿交換もしくはIVIgを必要としている。
【0456】
特定の実施態様において、対象は、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)への自
己抗体結合に関して陽性であり、且つ抗コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制療法
(IST)を含む重症筋無力症の療法を受ける一方で、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の
延髄の徴候及び症状を示す。特定の実施態様において、対象は、臨床上の安定性を維持す
るために、長期の血漿交換又は長期のIVIgを必要とする。特定の実施態様において、対象
は、先に少なくとも2種の免疫抑制薬による治療に失敗するか、又は少なくとも1種の免疫
抑制薬による治療に失敗し、且つ長期の血漿交換又はIVIgを必要としている。
【0457】
特定の実施態様において、対象は、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)への自
己抗体結合に関して陰性であり、且つ免疫抑制療法(IST)を含む重症筋無力症の療法を受
ける一方で、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候及び症状を示す。特定の実
施態様において、対象は、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)への自己抗体結合
に関して陰性であり、且つ抗コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制療法(IST)を含
む重症筋無力症の療法を受ける一方で、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候
及び症状を示す。特定の実施態様において、対象は、臨床上の安定性を維持するために、
長期の血漿交換又は長期のIVIgを必要とする。特定の実施態様において、対象は、先に少
なくとも2種の免疫抑制薬による治療に失敗するか、又は少なくとも1種の免疫抑制薬によ
る治療に失敗し、且つ長期の血漿交換又はIVIgを必要としている。
【0458】
((d)併存疾患)
特定の態様において、選択されたMG患者は、MG以外の疾患又は障害の1以上の症状を示
すことがある。例証的実施態様において、選択されたMG患者は、胸腺腫、橋本病、紅斑性
狼瘡、及び甲状腺炎を含むが、これらに限定されるものではない、臓器特異的又は全身性
の自己免疫疾患を有することがある。他の可能性のある併存疾患は、甲状腺炎、呼吸器感
染症、骨粗鬆症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び胸腺腫などの特定の癌を含む。
【0459】
(V. 例証的実施態様)
本発明の態様は、対象において全身型重症筋無力症(MG)を治療する方法であり、この方
法は、単離されたFcRnアンタゴニストの有効量を、対象に投与し、これにより対象におけ
るMGを治療することを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、全身型MGと確定診断され、米
国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つ50%を超え
るスコアが眼以外の項目に起因する、少なくとも5ポイントのMG-ADLスコアを有し;
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、約10mg/kgの投与量で、対象へ投与される。
【0460】
この態様に従い、対象における全身型重症筋無力症(MG)の治療方法において使用するた
めの単離されたFcRnアンタゴニストも提供され、この方法は、単離されたFcRnアンタゴニ
ストの有効量を、対象に投与し、これにより対象におけるMGを治療することを含み、ここ
で:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、全身型MGと確定診断され、米
国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つ50%を超え
るスコアが眼以外の項目に起因する、少なくとも5ポイントのMG-ADLスコアを有し;
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、約10mg/kgの投与量で、対象へ投与される。
【0461】
本発明の態様は、対象における全身型重症筋無力症の治療方法であり、この方法は、1
ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続く
FcRnアンタゴニストのその後の毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、又は4週毎(q4w)の
投与量を含む維持相による、相別された投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアン
タゴニストを対象へ投与し、これにより対象において全身型重症筋無力症を治療すること
を含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0462】
この態様に従い、対象における全身型重症筋無力症(MG)の治療方法において使用するた
めの単離されたFcRnアンタゴニストも提供され、この方法は、1ヶ月以内の単離されたFcR
nアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くFcRnアンタゴニストのそ
の後の毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、又は4週毎(q4w)の投与量を含む維持相によ
る、相別された投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアンタゴニストを対象へ投与
し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0463】
本発明の態様は、対象において全身型重症筋無力症を治療する方法であり、この方法は
、1ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに
続くその後臨床的必要性を基に必要に応じた1以上のサイクルを含む維持相であって、各
サイクルが1ヶ月以内に単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を対象へ投与
することを含む相による、相別された投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアンタ
ゴニストを対象へ投与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを
含み、ここで:
対象は、導入相における単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断され
た全身型MGを有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を
有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを
有し、
対象は、維持相の任意のサイクルにおける単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前
に、スコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0464】
この態様に従い、対象における全身型重症筋無力症(MG)の治療方法における使用のため
の単離されたFcRnアンタゴニストも提供され、この方法は、1ヶ月以内の単離されたFcRn
アンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くその後臨床的必要性を基に
必要に応じた1以上のサイクルを含む維持相であって、各サイクルが1ヶ月以内に単離され
たFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を対象へ投与することを含む相による、相別さ
れた投薬スケジュールを使用し、単離されたFcRnアンタゴニストを対象へ投与し、これに
より対象における全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで:
対象は、導入相における単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断され
た全身型MGを有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を
有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを
有し、
対象は、維持相の任意のサイクルにおける単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前
に、スコアの50%より多が非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0465】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、全身型重症筋
無力症の成人である。
【0466】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、その症状が、
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理さ
れない、全身型重症筋無力症の成人である。
【0467】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、抗-アセチル
コリンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陽性である、全身型重症筋無力症の成人である。
【0468】
前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、抗-アセチル
コリンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陽性であり、且つその症状が、アセチルコリンエス
テラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理されない、全身型重症
筋無力症の成人である。
【0469】
他の例として、特定の実施態様において、本発明は、対象において全身型重症筋無力症
(MG)を治療する方法を提供し、この方法は、単離されたFcRnアンタゴニストの有効量を、
対象へ投与し、これにより対象におけるMGを治療することを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、抗-AChR抗体を有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa
疾患を有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLス
コアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0470】
別の例として特定の実施態様において、本発明は、対象において全身型重症筋無力症を
治療する方法を提供し、この方法は、1ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニストの約1~
5回の投与量を含む導入相、それに続くFcRnアンタゴニストのその後の毎週(q1w)、2週毎(
q2w)、3週毎(q3w)、又は4週毎(q4w)の投与量を含む維持相による、相別された投薬スケジ
ュールを使用し、単離されたFcRnアンタゴニストを対象へ投与し、これにより対象におけ
る全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、抗-AChR抗体を有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa
疾患を有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLス
コアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0471】
更に別の例としての特定の実施態様において、本発明は、対象において全身型重症筋無
力症を治療する方法を提供し、この方法は、1ヶ月以内の単離されたFcRnアンタゴニスト
の約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くその後臨床的必要性を基に必要に応じた1
以上のサイクルを含む維持相であって、各サイクルが1ヶ月以内に単離されたFcRnアンタ
ゴニストの約1~5回の投与量を対象へ投与することを含む相による、相別された投薬スケ
ジュールを使用し、単離されたFcRnアンタゴニストを対象へ投与し、これにより対象にお
ける全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで:
対象は、導入相における単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断され
た全身型MGを有し、抗-AChR抗体を有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従
いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なく
とも5のMG-ADLスコアを有し、
対象は、維持相の任意のサイクルにおける単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前
に、スコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0472】
あるいは、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、抗
-アセチルコリンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陰性である、全身型重症筋無力症の成人
である。
【0473】
同様に、前述の態様及び実施態様の各々に従う特定の実施態様において、対象は、抗-
アセチルコリンエステラーゼ受容体(AChR)抗体陰性であり、且つその症状が、アセチルコ
リンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理されない、全
身型重症筋無力症の成人である。
【実施例0474】
(実施例)
本発明は更に、以下の実施例により例示され、それらは更に限定するものとしては解釈
されるべきではない。配列表、図面、並びに本願を通じて引用された全ての参考文献、特
許及び公開された特許公報の内容は、明確に引用により本明細書中に組み込まれている。
【0475】
(実施例1:ARGX-113(エフガルチジモド))
ARGX-113(エフガルチジモド)は、ヒトFcRnへナノモル親和性で結合する、zaアロタイプ
(バリアントFc領域)のヒトIgG1-由来のFc断片である。ARGX-113のFcドメインのアミノ酸
配列は、配列番号:2である(表2参照)。ARGX-113は、IgG1の残基D220-K447(EU番号付けス
キーム)を包含し、且ついわゆるABDEG(商標)技術(ABDEG(商標)=IgG分解を増強する抗体)
(Vaccaro Cらの文献、Nat. Biotechnol. 23(10): 1283-8 (2005))により、生理的pH及び
酸性pHの両方で、FcRnへのその親和性を増大するように、修飾されている。酸性pH及び生
理的pHの両方での、ARGX-113のFcRnへの増大された親和性は、IgGのFcRn-媒介したリサイ
クリングの構成的遮断を生じる。
【0476】
IgGホメオスタシスにおけるFcRn受容体の本質的役割を考慮すると、ARGX-113により達
成されるようなこのFcRn機能の阻害は、重症筋無力症などのIgG-駆動する自己免疫疾患に
おける自己抗体を含む、内在性IgGの迅速な分解に繋がる。
【0477】
この概念は、ARGX-113又は完全長mAbアナログ(HEL-ABDEG(商標))のいずれかを使用する
ことにより、カニクイザルにおける薬物動態/薬力学(PK/PD)試験と共に、様々なマウス疾
患モデルにおいて検証されている。Challa DKらの文献、MAbs 5(5): 655-9(2013);Patel
DAらの文献、J. Immunol. 187(2): 1015-22 (2011)。
【0478】
関節リウマチ及び多発性硬化症のマウスのインビボ疾患モデルにおいて、疾患スコアの
明らかな改善が、ABDEG(商標)-付属した(equipped)分子による治療後に認められた。この
改善には、自己抗体レベルの全身の低下が付随した。
【0479】
カニクイザルにおける薬物動態及びPDの試験は、関連動物モデルにおけるARGX-113の抗
体-クリアリング特性を確認した。ARGX-113の1回の点滴は、血清アルブミン濃度、並びに
IgM又はIgAレベルを変更せずに、内在性IgGの最大55%の減少を生じた。このPD効果は、M
Gにおける標準治療の療法と考えられるIVIgよりもより強力であることが証明され、両方
共迅速に始まり、且つPD効果が深い。反復投薬は、75%の最大IgG低下まで、PD効果を改
善することができた。
【0480】
これらの前臨床データは、重症筋無力症を含む、IgGが駆動した自己免疫性適応症にお
けるその治療の可能性を評価するための、ARGX-113の更なる開発を確証した。
【0481】
(実施例2:ARGX-113の全身型重症筋無力症患者における第II相試験)
無作為化二重盲検プラセボ比較多施設第II相試験を実施し、全身の筋肉衰弱を伴う自己
免疫性MGの治療に関する、ARGX-113(エフガルチジモド)の安全性、有効性、及び薬物動態
を評価した。試験デザインを、
図1に示す。
【0482】
本試験の目的は、ARGX-113の安全性及び忍容性の評価;MG-ADL、QMG、MGC、及びMGQoL1
5rスコアを使用する、ARGX-113の臨床有効性の評価;ARGX-113のPKの評価;PDマーカー(
例えば、総IgG、IgG亜型、及び抗-AChR抗体)の評価;並びに、ARGX-113の免疫原性の評価
を含んだ。
【0483】
試験に適格な患者は、米国重症筋無力症財団(MGFA)臨床分類クラスII、III、又はIVaに
より規定される、MG診断のための臨床判定基準に合致する全身の筋肉衰弱を伴う、自己免
疫性MGの確定診断を有した。診断の確定は、スクリーニング前の抗-AChR 抗体に関する血
清試験陽性により、並びに以下の3試験の少なくとも1つに従い、裏付けた:
(i)単一線維筋電図又は反復神経刺激により明らかにされる、異常な神経筋伝達試験の
既往歴;
(ii)塩化エドロホニウム試験陽性の既往歴;又は
(iii)治療担当医により評価された、経口コリンエステラーゼ阻害薬による、MG徴候の
明らかにされた改善。
試験の適格性はまた、スクリーニング及びベースライン時の、スコアの50%より多くが非
-眼項目に起因した、MG-ADLの総スコア≧5も必要とした。
【0484】
24名の試験適格患者を、標準治療(SoC)に加え、3週間にわたり、1週間間隔で投与され
る4回の点滴で、ARGX-113(10mg/kg)又はプラセボを受け取るよう、1:1の比で無作為化し
た。1回のARGX-113点滴当たりの総投与量は、体重≧120kgの患者について1200mgを上限と
した。患者のSoCは、登録前のそれらのMG治療の安定した投与量及び投与であった。本試
験下でMG治療に関して許可されたSoCは、アザチオプリン(AZA)、他の非ステロイド系免疫
抑制薬(NSIDs:例えば、メトトレキセート、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノ
レートモフェチル、及びシクロホスファミド)、ステロイド、並びにコリンエステラーゼ
阻害薬であった。患者は、無作為化前に、それらのMG治療の投与量が安定していることを
必要とした。
【0485】
ARGX-113(静脈内投与のための、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含有する25mMリン酸ナ
トリウム、100mM塩化ナトリウム、及び150mM L-アルギニン塩酸塩の製剤(pH6.7)中の、無
菌の、無色透明な濃縮溶液として提供される)又はマッチしたプラセボを、1日目(来院1)
、8±1日目(来院3)、15±1日目(来院5)、及び22±1日目(来院7)に、2時間かけた静脈内(I
V)点滴(総容積250mL)により投与した。3週間の治療期間の終了時に、患者は、8週間の経
過観察期間にはいった。
【0486】
(治療期間)
全ての投薬日(来院1、3、5及び7)に、以下の評価及び工程を行った:
・ARGX-113の投与前の、MGQoL15r、MG-ADL、QMG、及びMGC;
・PDマーカー(総IgG、IgG亜型、及び抗-AChR抗体)の評価のための血液採取;
・PK評価のための投与前の血液採取;
・ARGX-113(10mg/kg)又はプラセボの投与;並びに
・PK評価のための投与後の血液採取。
【0487】
(経過観察期間)
経過観察期間は、来院8から来院16までの評価を含んだ。
【0488】
以下の評価を、来院9、10、11、12、14、及び16に行った:
・MGQoL15r、MG-ADL、QMG、及びMGC;並びに
・PK(来院14及び16には行わず)及びPD(総IgG、IgG亜型、及び抗-AChR抗体)のための血
液採取。
【0489】
加えて、以下の評価を、来院13及び15に行った:
・PD評価(総IgG、IgG亜型、及び抗-AChR抗体)のための血液採取。
【0490】
(データ解析)
統計解析は、統計解析システム(SAS(登録商標))(SAS Institute, ケーリー, NC, USA)
バージョン9.2以降を用いて、行った。
【0491】
(臨床パラメータの解析)
バイタルサイン、血液学、臨床化学及び尿検査の臨床検査、ECG、並びに身体検査所見
に関する、データのまとめと一覧を収集した。適切なデータを、各スケジュールされた評
価時に観察された値について、及び対応するベースラインからの変化についてまとめた。
【0492】
スケール(MG-ADL、QMG、MGC、及びMGQoL15r)から誘導されたデータの解析は、フルアナ
リシスセットを基にした。実際のスコア、ベースラインからの変化、及びベースラインか
らの最大減少を、評価した。
【0493】
有効性等級化スケールにおけるベースラインからの変化の解析は、来院1から来院16ま
で、反復測定による混合効果モデル(MMRM)解析を用いて、行った。このモデルは、ランダ
ム効果として、固定された治療、ベースラインスコア及び患者を含んだ。好適な共分散構
造を使用した。各来院日に、ARGX-113を、プラセボと比較し、並びに治療効果に関するモ
デル-ベース最小二乗平均、95%CI及びp-値を、治療比較内及び治療比較間で計算した。
【0494】
(薬物動態パラメータの解析)
薬物動態解析は、PK集団(ARGX-113について入手可能な少なくとも1つの血漿濃度値を有
する、無作為化した患者)を基に行った。各採血時点でのARGX-113の血漿濃度は、以下の
要約統計量により解析した:未変換データを使用し計算した算術平均、未変換データを使
用し計算したSD、最小値、中央値、最大値、観測数、及び定量下限(LLOQ)を上回る観測数
。
【0495】
プロトコール時間(protocol time)に対する幾何平均血漿濃度は、各々、均等目盛り及
び対数目盛りの両方で、患者別に示した。
【0496】
以下の要約統計量を、tmaxを除く、全てのPKパラメータについて評価した:Gmean、GCV
、未変換データを用いて計算した算術平均、未変換データを用いて計算したSD、最小値、
中央値、最大値、及び観測数。
【0497】
以下の要約統計量を、PKパラメータtmaxについて評価した:観測数、中央値、最小値、
及び最大値。
【0498】
(薬力学パラメータの解析)
連続PDパラメータを、幾何平均を含む、記述統計によりまとめた。薬力学パラメータは
、総IgG、IgG亜型、及び抗-AChR抗体を含んだ。
【0499】
(抗-薬物抗体(ADA)解析)
ADA反応の頻度及び割合を、評価した。ADA反応データは、各治療について個別に正確確
率検定(exact test)を用い、それらの95%CIと共に、割合としてまとめた。
【0500】
(結果)
本試験の結果は、非常に好ましく、且つ全身型重症筋無力症の治療におけるARGX-113の
有用性を明らかにした。
【0501】
ARGX-113治療群及びプラセボ群の患者は、表4に示したベースライン疾患特徴を有した
。
【0502】
表4. 第II相試験の患者のベースライン特徴
【表5】
【0503】
PKパラメータは、全てのエフガルチジモド-治療した患者において、各点滴後の蓄積(幾
何平均R
ac=0.9360)以外は、非常に類似しており、且つ最後の点滴後のPKパラメータは、
初回後のパラメータに類似していた(
図7A)。エフガルチジモドの血清濃度は、最後の点滴
後21~28日間、全ての患者において、依然定量可能であった。来院1の際は、t
maxの2.37
±0.165時間で、C
maxは187±58μg/mLであり、且つt
1/2,λzは、117.4時間(すなわち、4.
89日)±18.84時間であった(全ての値は平均±SDである)。
【0504】
ベースラインと比べおよそ40%の総血清IgGの減少が、最初の週(初回投与量後)に達成
された(
図7B)。この減少は更に、後続投与量後、平均最大70.7%に増加した。IgGレベル
は、およそ3週間にわたり、50%以上減少され続けた。最後の点滴後8週の時点で、本発明
者らは、総IgGレベルの20%減少を認めた。この迅速で実質的且つ持続した減少は、全て
のIgG亜型を通じて認められた(
図8)。
【0505】
血清IgGレベルの減少は、観測された抗-AChR自己抗体の強力な減少を反映し、これは典
型的にはIgG1及びIgG3亜型であった(
図7C)。最初の点滴後15日と早期に、1名を除く全て
の患者において、抗-AChR自己抗体レベルの40%から70%のほぼ最大の減少に到達し、こ
の減少したレベルは、最初の点滴後29日目まで持続し、その後自己抗体レベルは次第に増
加し、最後の投与量後およそ8週間で、ベースラインレベルに達した。
【0506】
陽性投薬後抗-薬物抗体(ADA)力価は、ARGX-113を受け取った12名の患者中4名で、及び
プラセボを受け取った12名の患者中3名で検出された。第1相健常志願者試験において得ら
れた結果と一致して、活性(active)-治療した患者におけるADAシグナルの大部分は、本ア
ッセイの検出限界の直ぐ上であり、且つ典型的には本試験過程において1又は2回だけ認め
られた。1名の活性-治療した患者において、陽性投薬後ADA力価が、最後の点滴後2週目以
降に検出され、これらの力価は、本試験の過程を通じてわずかに増加する傾向を有する。
陽性投薬後ADA力価は、エフガルチジモドの薬物動態又は薬力学に対し、明らかな効果を
有さなかった。
【0507】
主要エンドポイント解析は、ARGX-113は、全ての患者において、安全且つ忍容性が良い
ことを明らかにし、ほとんどの有害事象(AE)は、軽度と特徴付けられ、本被験薬とは関係
が無いと判断された。重篤又は重度のAEは、報告されなかった。観察された安全性及び忍
容性プロファイルは、第1相健常志願者試験と一致している。
【0508】
有効性に関連する副次的エンドポイントの測定は、ARGX-113治療は、全試験期間中に、
4種の予め決めた臨床有効性スケールの全てにより測定し、プラセボに勝る強力な臨床的
改善を生じたことを示した。具体的には:
・
図9に示したように、ARGX-113で治療した患者の75%は、少なくとも連続する6週間の
期間にわたり、MG-ADLスコアの臨床的に意味があり且つ統計学的に有意の改善(ベースラ
インから少なくとも2-ポイントの減少)を有したのに対し、プラセボの患者は25%であっ
た(p=0.0391)。
・ARGX-113治療群の臨床的恩恵は、最後の投与量の投与後1週目以降、最大化し、MG-AD
Lスコアにおいて、プラセボ群に対し統計学的に有意に勝った(p=0.0356)。
図10に示した
ように、差別化(differentiation)の増加が、ARGX-113治療群とプラセボの間で認められ
、MG-ADL閾値を上昇した。
・治療アームの患者は、疾患改善の迅速な開始を示し、最初の点滴後、プラセボの1週
目とは明らかに分かれた。
・治療アームの全ての患者は、それらの総IgGレベルの迅速且つ深い減少を示し、並び
に疾患改善が、病原となるIgG(抗-AChR)レベルの減少に相関して認められた。
【0509】
様々な有効性スケール(MG-ADL、QMG、及びMGC)及びQOLスケール(MG-QoL15r)により評価
した臨床の改善は、IgG及び抗-AChR自己抗体の観察された総血清レベルと一致した時間内
での進展を示した(
図11A)。4種のスケール全てに関して、初期の効果は、最初の点滴後7
日と早期に注目された。スコアの最大の減少は、最後の投与後、1から2週目以降に生じ、
これは最大PD効果と同時に起こった。この減少は、最大平均が、QMGスケールについて5.7
ポイント(ベースラインから39%減少)、MG-ADLスケールについて4.4ポイント(55%減少)
、MGCスケールについて9.4ポイント(56%減少)、及びMG-QoL15rについて6ポイント(31%
減少)に達し;各プラセボ値は、-2.1ポイント(18%;QMG)、-2.9ポイント(36%;MG-ADL)
、-4.4ポイント(30%;MGC)、及び-2.1ポイント(14%;MG-QoL15r)であった。エフガルチ
ジモドで治療された患者コホートは小さいサイズであるにもかかわらず、統計学的有意性
は、最初の点滴後のQMGスコアの3-ポイントの変化(MMRMで推定された差=-2.38;95%CI[
-4.63,-0.13]及びp=0.0394)に達し、統計学的有意性には、MG-ADLについて29及び36日間
で到達し、同時に最大IgG減少を伴った(差及びp-値は、各々、-2.05[-3.95,-0.15]、p=0
.0356;及び、-2.08[-4.12,-0.04]、p=0.0459)。MG-QoL15rスコアは、同様の様式で変化
した(22、29、及び43日目の統計学的有意性;差及びp-値、各々、-3.72 [ 7.41,-0.02]、
p=0.0489;-3.87 [-7.69,-0.05]、p=0.0475;及び、-4.38 [-8.56,-0.20]、p=0.0407)
。
【0510】
試験終了時までにベースラインに又はその近傍に戻るIgG及び自己抗体レベルとは対照
的に、臨床スコアは、本試験全体を通じて持続可能な改善をもたらした。最初の点滴後78
日で、QMG、MG-ADL、及びMGCスコアは、依然、各々、4.8、3.5、7.1ポイントだけ減少し
た。MG-QoL15rスコアは、この時点で、ベースラインにほぼ戻った。
【0511】
比較的短いエフガルチジモド終末相半減期(4.89日)と比べ、臨床効果は、長く続いた(
経過観察期間を通じて、すなわち、最後のエフガルチジモド投与後8週間)。エフガルチジ
モドの臨床恩恵は、最初はIgG減少と相関したが、IgGレベルがベースライン近傍に戻った
後であっても延長された。エフガルチジモド治療群における臨床的改善の持続期間は、プ
ラズマフェレーシスの比較的短い残存した(short-lived)効果(2~4週間)と比べ、好まし
い。両方のアプローチにおいて、IgG及び自己抗体は、同等の様式で基本レベルに戻った
が、臨床効果の持続期間は、明らかに異なった。プラズマフェレーシスは、1つの時点で
、大量の血清抗体を除去する。プラズマフェレーシスのセッションの間、組織由来のIgG
は再分布し、且つ血清IgGは再度増加し、結果自己抗体及び血清IgGのレベルのジグザグパ
ターンを生じる。エフガルチジモドは、IgGレベルを連続して低下することを示し、これ
は投与後の延長された作用と一致している。当然、エフガルチジモドは、延長された作用
様式を有する抗体-様薬物であり、このことがプラズマフェレーシスとの差異を説明する
。
【0512】
レスポンダー解析は、IgG減少が最大であった場合、29及び36日目に行った(
図11B)。任
意のポイント-減少レベルで、プラセボと比べ、より大きい割合のエフガルチジモド-治療
した患者が、臨床的改善を有した。エフガルチジモドで治療した患者の一部は、MG-ADLス
ケールについての≧9及び高くは11の、並びにQMGスコアについての≧9及び高くは18の、
ポイント改善を経験したが、プラセボ-治療した患者は、これらのレベルに到達しなかっ
た。
【0513】
まとめると、これらの結果は、ARGX-113による治療後の、疾患スコアにおける迅速且つ
持続された恩恵を明らかにしており、これはMG患者に関する現在の治療ギャップを満たす
可能性のある新たな選択肢としてのARGX-113の開発を更に示唆している。
【0514】
(実施例3:全身型重症筋無力症の増悪を伴う患者におけるARGX-113の第III相試験)
無作為化二重盲検プラセボ比較多施設第III相試験は、全身型重症筋無力症の増悪を伴
う患者におけるARGX-113の有効性、安全性、QOL及び通常の日常活動に対する影響を評価
するために行われる。
【0515】
試験の目的は、29日目までの、QMGスコアのベースラインからの変化により評価した、
疾患重症度に対するARGX-113の有効性の評価;8、15及び22日目の、QMGスコアのベースラ
インからの変化により評価した、疾患重症度に対するARGX-113の有効性の評価;8、15、2
2及び29日目の、MG-ADL及びMGCのベースラインからの変化により評価した、疾患重症度に
対するARGX-113の有効性の評価;8、15、22及び29日目の、QMG、MG-ADL及びMGCのベース
ラインからの変化率により評価した、疾患重症度に対するARGX-113の有効性の評価;総Ig
Gレベルに対するARGX-113の効果の評価;AChR-陽性患者におけるAChR自己抗体に対するAR
GX-113の効果の評価;AGRX-113の安全性の評価;並びに、具体的及び全般的QOL測定手段
により評価された、QOLに対するARGX-113の効果の評価:を含む。
【0516】
試験に適格な患者は、それらの症状の他覚的悪化(増悪)を伴う、並びに治験担当医の意
見で、IVIgもしくはPLEXによる救済療法又はステロイドもしくは免疫抑制薬の一時的使用
もしくは投与量増加に適格とされる、米国重症筋無力症財団(MGFA)臨床分類クラスII、II
I、IVa又はIVbにより規定されるMGの診断に関して、臨床判定基準に合致する全身の筋肉
衰弱を伴うMGの確定診断を有する。診断の確定は、以下により文書化し且つ裏付けた:
(i)単一線維筋電図又は反復神経刺激により明らかにされる、異常な神経筋伝達試験の
既往歴;
(ii)塩化エドロホニウム試験陽性の既往歴;又は
(iii)治療担当医により評価された、経口コリンエステラーゼ阻害薬による、MG徴候の
明らかにされた改善。
試験の適格性はまた、わずか25%ポイントが眼症状に起因する、QMG値≧11ポイントも必
要とする。
【0517】
X試験に適格な患者は、標準治療(SoC)に加え、3週間にわたり、1週間間隔で投与される
4回の点滴で、ARGX-113(10mg/kg)又はプラセボを受け取るよう、1:1の比で無作為化した
。患者のSoCは、登録前のそれらのMG治療の安定した投与量及び投与であった。本試験下
でMG治療に関して許可されたSoCは、アザチオプリン(AZA)、他の非ステロイド系免疫抑制
薬(NSIDs:例えば、メトトレキセート、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノレー
トモフェチル、及びシクロホスファミド)、ステロイド、並びにコリンエステラーゼ阻害
薬であった。
【0518】
ARGX-113(静脈内投与のための、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含有する25mMリン酸ナ
トリウム、100mM塩化ナトリウム、及び150mM L-アルギニン塩酸塩の製剤(pH6.7)中の、無
菌の、無色透明な濃縮溶液として提供される)又はマッチしたプラセボを、1、8、15、及
び22日目に、2時間かけた静脈内(IV)点滴(総容積250mL)により投与した。3週間の治療期
間の終了時に、患者は、4週間の経過観察期間にはいり、その間、SoCのみ処置した。
【0519】
経過観察期間中の評価は、29、36、及び50日目に行い、且つ有効性及び安全性のパラメ
ータを含む。
【0520】
エンドポイント評価を含む、試験手順は、評価スケジュールに従い実行される。コリン
エステラーゼ阻害薬は、MG有効性スケールを実行する前に少なくとも10時間は、控えなけ
れば(held)ならない。
【0521】
この有効性解析は、フルアナリシスセット(FAS)及びパープロトコール(PP)集団で実行
される。
【0522】
【0523】
試験評価は、ベースライン(来院1時の初回投与量直前のスコアとして規定)から29日目
までのQMGスコアの変化;ベースラインから、8、15及び22日目までの、QMGスコアの変化
;ベースラインから8、15、22及び29日目までの、MG-ADL及びMGCスコアの変化;8、15、2
2及び29日目におけるQMG、MG-ADL及びMGCの、ベースラインからの変化の割合;8、15、22
及び29日目にQMGスコアの少なくとも4ポイントの減少を有する患者の割合;8、15、22及
び29日目の、総IgGレベルの減少の割合(ベースラインと比較);8、15、22及び29日目のAC
hR-陽性患者におけるAChR自己抗体の減少の割合(ベースラインと比較);並びに、MGQoL15
及びEQ-5Dスコア、並びにそのベースラインから8、15、22及び29日目までの変化の割合:
を含む。
【0524】
(データ解析)
29日目の群間の主要エンドポイント、ベースラインからのQMGスコア変化は、反復測定
による混合効果モデル(MMRM)解析を用いて、解析する。
【0525】
他の連続変数(MG-ADL、MGC、IgG、AChR、MGQoL15、及びEQ-5D、絶対値又は減少/変化
の割合の形のいずれか)を、QMGと同じアプローチを用いて解析する。
【0526】
アルファ調節(alpha adjustment)は、主要有効性エンドポイント(ベースラインから29
日目までのQMGスコア変化)及び以下の副次的エンドポイントで行った:ベースラインから
のQMGスコア変化の早期開始評価と組合せた、29日目のQMGスコアの臨床上有意な改善(す
なわち、29日目にQMGスコアの少なくとも4ポイントの減少を有する患者の割合の評価)。H
ochberg法を、アルファ調節に使用した。
【0527】
QMGの少なくとも4ポイントの減少などの、本試験に沿って反復測定される2値変数は、
ロジットリンク関数(logit link function)を基にした一般化線形混合モデルを用いて解
析される。
【0528】
主な有効性解析は、包括解析(ITT)後のベースライン評価した、全ての無作為化した患
者を基にし、且つ主要エンドポイントも、パープロトコール(PP)サブセットを用いて評価
される。
【0529】
(実施例4:全身型重症筋無力症患者におけるARGX-113の第III相試験)
26週の無作為化二重盲検プラセボ比較多施設第III相試験(ADAPT試験)を、全身型重症筋
無力症患者におけるARGX-113の有効性、安全性、及び忍容性を評価するために、行った。
【0530】
米国重症筋無力症財団(MGFA)クラスII、III、IVa又はIVb疾患を伴い、MG-ADLスコア≧5
、及び標準治療(SoC)処置の安定した投与量にある、年齢少なくとも18歳の患者が、登録
に適格であるが、但し彼等は、1種以上の重症感染症、総IgGレベル<6g/Lを有さず、且つ
PLEX(血漿交換)に対し臨床的反応を欠いていることが報告されていた。登録に適格な患者
は、抗-AChR抗体について血清陽性である患者及び血清陰性である患者が含まれた。
【0531】
本試験の登録のためのスクリーニング前の安定したSoCの必要要件は、以下を含んだ:(
i)非ステロイド系免疫抑制薬-少なくとも6ヶ月にわたる治療、及び最後の3ヶ月以内に投
与量の変化なし;(ii)ステロイド-少なくとも3ヶ月にわたる治療、及び最後の1ヶ月以内
に投与量の変化なし;及び/又は、(iii)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬-最後の2週
間以内に投与量漸増を伴わない、安定した投与量での治療。
【0532】
図13は、試験デザインを描いている。150名の試験適格な患者を、スクリーニングし、
且つARGX-113又はプラセボ対照のいずれかを受け取る群に1:1で無作為化した。全ての患
者は、本試験期間中は、SoC治療を続けた。各試験群の患者はその後、8週間の長さの初期
治療サイクル時に着手し、最初の3週間の長さの点滴期間、及びその後5週間の長さの経過
観察期間が続いた。8週間の長さの初期治療サイクルの完了時に、次に各患者は、1以上の
治療サイクル順序に着手し、そのような治療サイクル順序の各々は、プロトコール-規定
された臨床必要性に応じた変動する長さの最初の治療間(inter-treatment)の期間、その
後の8週間の長さの治療サイクルで構成され、後者は再度、最初の3週間の長さの点滴期間
、その後の5週間の長さの経過観察期間で構成される。
【0533】
各試験群内の患者は、試験参加ベースライン及び8週間続く第一の治療サイクル(TC1)を
有し、この期間中に各患者は、9回の毎週の患者来院(V1-V9)を有し、ここでARGX-113(10m
g/kg、静脈内点滴)又はプラセボ(静脈内点滴)を、V1(1日目)、V2(8日目)、V3(15日目)、
及びV4(22日目)の各々に投与され、57日目の主要エンドポイントに到達するまでその後5
週間にわたる毎週の来院(V5-V9)時には、更なるARGX-113又はプラセボは投与されず、そ
の後患者は、本試験の第二相へ参加し、その間患者は、1種以上の個々の患者の目的に合
わせた後続治療サイクル順序を受け取った。各後続の治療サイクル順序において、患者は
、隔週の来院を伴う第一の治療間サイクルの期間、ARGX-113もプラセボも受け取らず、そ
の後(必要ならば、個々の患者のプロトコール-規定した臨床的必要性を基に-以下参照)
、毎週の来院を伴う治療サイクル(TCn)が続いた。先に説明した第一の治療サイクルにお
けるように、各治療サイクル順序における治療サイクルは、8週間にわたる9回の毎週の患
者来院(V1-V9)の発端(outset)時の、治療サイクルベースライン(TCBn)の確立からなり、
ここでARGX-113(10mg/kg静脈内点滴)又はプラセボ(静脈内点滴)は、V1(x日目)、V2(x+7日
目)、V3(x+14日目)、及びV4(x+21日目)の各々に投与され、引き続き5週間にわたり毎週来
院し(V5-V9)、更なるARGX-113又はプラセボは投与されなかった。従って、治療間サイク
ルは、プロトコール-規定した臨床的必要性を基に各対象の目的に合わせられた。次に各T
Cnには、別の治療サイクル順序が続いた。この治療サイクル順序は、本試験の時間枠の間
に必要なだけ多く繰り返すことができ、但し最後の治療サイクルは、本試験の126日目以
降には開始しないことを条件とした。この様式において、最後の治療サイクルは、完全に
8週間であった。試験の最後は、各患者について183日目に達した。
【0534】
各患者は、以下の判定基準全てに合致する場合は、ARGX-113又はプラセボによる新規治
療サイクルを受け取るのに、適格であった:
(1)患者は、先の治療サイクル(8週間)を完了している;
(2)患者は、総MG-ADLスコア≧5を有した;
(3)治療サイクルは、最も遅くとも126日目には開始することができ、且つ治験の時間枠
(26週間)内に完了することができた;並びに
(4)患者が、先の治療サイクルでMG-ADLレスポンダーである症例において、この患者は
反応を失った。
【0535】
MG-ADLレスポンダーは、少なくとも4連続週にわたり、治療サイクルベースラインと比
べ、MG-ADLスコアの≧2ポイントの減少を有する患者として規定し、ここでこれらの最初
の減少は、最後の点滴後一番遅い1週間に起こった。従って、たとえ本治療サイクルの3週
間の治療期間又は5週間の経過観察期間のいずれかの期間中に、MG-ADLレスポンダーが、
スコア減少の必要要件に最初に合致することができるとしても、MG-ADLレスポンダーは、
治療サイクルの5週間の経過観察期間の期間中のみ確定することができた。
【0536】
QMGレスポンダーは、少なくとも4連続週にわたり、治療サイクルベースラインと比べ、
QMGスコアの≧3ポイントの減少を有する患者として規定し、ここでこれらの最初の減少は
、最後の点滴後一番遅い1週間に起こった。従って、たとえ本治療サイクルの3週間の治療
期間又は5週間の経過観察期間のいずれかの期間中に、QMGレスポンダーが、スコア減少の
必要要件に最初に合致することができるとしても、QMGレスポンダーは、治療サイクルの5
週間の経過観察期間の期間中のみ確定することができた。
【0537】
反応の喪失は、総MG-ADLスコアにおいて、対応する治療サイクルベースラインと比べ、
≧2ポイントの減少を最早示さないと規定した。
【0538】
プロトコール-規定した臨床的衰退(deterioration)は、患者が新たな又は悪化した呼吸
器/延髄症状か又は個人の非-眼MG-ADL項目の少なくとも2-ポイントの増加を経験すること
と規定した。
【0539】
但し治療担当医師が、患者の健康状態は危険に曝されていると考えるならば、救済療法
が、プロトコール-規定したMG臨床的衰退を経験する患者について許可された。許可され
た救済療法は、PLEX、IVIg、免疫吸着、及び/又は増加したステロイド投与量であった。
救済療法を受ける患者は、本試験への更なる参加を中断した。
【0540】
この試験に関する主要エンドポイントは、抗-AChR抗体について血清陽性の患者集団に
おけるMG-ADLレスポンダーの割合であった。この試験に関する副次的エンドポイントは、
(i)抗-AChR抗体について血清陽性の患者集団におけるQMGレスポンダーの割合;(ii)全患
者集団(抗-AChR抗体について血清陽性及び血清陰性)におけるMG-ADLレスポンダーの割合
;並びに、(iii)治療反応の期間:であった。
【0541】
(実施例5:全身型重症筋無力症患者におけるARGX-113のロールオーバーオープンラベル第
III相試験)
継続(follow-on)26週単アームオープンラベル多施設第III相試験(ADAPT+試験)を、全身
型重症筋無力症患者におけるARGX-113の安全性及び忍容性を更に評価するために行った。
【0542】
図14は、試験デザインを描いている。試験適格患者は、ADAPT試験におけるARGX-113群
及びプラセボ群から選択した(ロールオーバーした)。全ての患者は、本試験期間中は、So
C治療を続け、以下に特定されたように調節に供した。
【0543】
実施例4において説明したADAPT試験からの患者は、(i)患者はその試験の26週目に試験
来院終了に達しているか、又は再治療が必要ならば、8週間のサイクルが26週目までに(す
なわち126日後)完了していない場合に、ADAPT+試験にロールオーバーするのに適格であっ
た。救済療法を受けたか又はそうでなければADAPT試験において試験若しくは治療を早期
に中断した患者は、この試験から除外した。ADAPT試験と一緒に、この継続試験の患者は
、およそ1年間追跡し、その間患者は複数の治療サイクルを受け、各治療サイクルは、3週
間の治療期間を含み、その間患者は、ARGX-113 10mg/kg静脈内点滴を4回投与量受けとり
、引き続き5週間の経過観察期間及び/又は治療間サイクルの期間が続き、治療期間の間
の時間は、個人のプロトコール-規定した臨床上の必要性に応じ患者毎に異なった。
【0544】
以下の判定基準の全てを満足する場合、各患者は、ARGX-113による新規治療サイクルを
受け取るのに適格であった:
(1)患者は、総MG-ADLスコア≧5ポイントを有し、スコアの50%より多くは、非-眼症状
に起因する;
(2)本試験の最初の治療期間について、患者は、ADAPT試験(実施例4)の最後の治療サイ
クルのベースライン時のスコアと比べ、あるいは本(ADAPT+)試験における全ての後続治療
期間(TPn)に関する最後の治療期間のベースラインと比べ、総MG-ADLスコアの<2ポイント
の減少を示す;並びに
(3)患者は、先行する治療期間を完了している。
【0545】
SoCは、最初の治療期間(3週間にわたる4回の毎週の投与量)の終了まで安定し続けるこ
とを必要とし、且つこれは各治療期間の間安定し続けることを必要とした。しかし、SoC
の減少は、医学的実践に従い、治療期間中も可能であった。
【0546】
救済療法は、可能であり、且つADAPT試験(実施例4)におけるように規定された。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
対象において全身型重症筋無力症(MG)を治療する方法であって、単離されたFcRnアンタ
ゴニストの有効量を対象へ投与し、これにより対象においてMGを治療することを含む、前
記方法。
(態様2)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域、又はそのFcRn-結合断片を
含む、態様1記載の方法。
(態様3)
前記バリアントFc領域、又はそのFcRn-結合断片のFcドメインが、EU位置252、254、256
、433、434、及び436に、各々、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、態様2記載の方法
。
(態様4)
前記FcRnアンタゴニストが、ヒトFcRnへ特異的に結合する可変ドメインを含む抗原結合
領域を含む、抗-FcRn抗体である、態様1~3のいずれか一項記載の方法。
(態様5)
前記FcRnアンタゴニストが、抗体可変領域を含まない、態様1~3のいずれか一項記載の
方法。
(態様6)
前記FcRnアンタゴニストが、CH1ドメインを含まない、態様1~3及び5のいずれか一項記
載の方法。
(態様7)
前記FcRnアンタゴニストが、遊離システイン残基を含まない、態様1~3、5及び6のいず
れか一項記載の方法。
(態様8)
前記バリアントFc領域が、バリアントIgG Fc領域である、態様2~7のいずれか一項記載
の方法。
(態様9)
前記バリアントFc領域が、バリアントIgG1 Fc領域である、態様2~8のいずれか一項記
載の方法。
(態様10)
前記バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、及び3からなる
群から選択されるアミノ酸配列を含む、態様2~9のいずれか一項記載の方法。
(態様11)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアン
トFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域
の各Fcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1からなる、態様1~9のいずれか一項記載の
方法。
(態様12)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアン
トFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域
のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:2からなる、態様1~9のいずれか一項記載の方
法。
(態様13)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアン
トFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域
のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:3からなる、態様1~9のいずれか一項記載の方
法。
(態様14)
前記バリアントFc領域が、FcRnへ、天然型Fc領域、例えば野生型IgG Fc領域、好ましく
は野生型IgG1 Fc領域と比べ、増大した親和性及び低下したpH依存性で結合する、態様2~
13のいずれか一項記載の方法。
(態様15)
前記バリアントFc領域が、CD16aへの増大した親和性を有する、態様2~14のいずれか一
項記載の方法。
(態様16)
前記バリアントFc領域が、CD16aへの増大した親和性を有さない、態様2~14のいずれか
一項記載の方法。
(態様17)
前記バリアントFc領域のFcドメインが、EU位置297に、N-結合型グリカンを含む、態様2
~16のいずれか一項記載の方法。
(態様18)
前記バリアントFc領域のFcドメインが、EU位置297に、フコシル化されたN-結合型グリ
カンを含む、態様2~17のいずれか一項記載の方法。
(態様19)
前記バリアントFc領域のFcドメインが、EU位置297に、二分岐しているGlcNAcを有するN
-結合型グリカンを含む、態様2~18のいずれか一項記載の方法。
(態様20)
前記バリアントFc領域のFcドメインが、EU位置297に、非フコシル化されたN-結合型グ
リカンを含む、態様2~17のいずれか一項記載の方法。
(態様21)
前記FcRnアンタゴニストが、複数のFcRnアンタゴニスト分子を含み、ここで複数のFcRn
アンタゴニスト分子の少なくとも50%が、バリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含む
、態様1~20のいずれか一項記載の方法。
(態様22)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、22日間に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与される、態様1~21のいずれ
か一項記載の方法。
(態様23)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
4、15、16、17、18、19、20、21、又は22日毎に1回の頻度で投与される、態様22記載の方
法。
(態様24)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、3日毎に1回の頻度で投与される、態様23記載の方
法。
(態様25)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、7日毎に1回の頻度で投与される、態様23記載の方
法。
(態様26)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ約1~約200mg/kgの投与量で投与される、態様1~25
のいずれか一項記載の方法。
(態様27)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約1、2、3、5、10、20、25、30、50、70、
100、又は200mg/kgで投与される、態様26記載の方法。
(態様28)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約5mg/kgで投与される、態様26記載の方法
。
(態様29)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約10mg/kgで投与される、態様26記載の方
法。
(態様30)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約20mg/kgで投与される、態様26記載の方
法。
(態様31)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約25mg/kgで投与される、態様26記載の方
法。
(態様32)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、約150、300、450、600、750、900、1050、及び12
00mgからなる群から選択される投与量で投与される、態様1~31のいずれか一項記載の方
法。
(態様33)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約150mgで投与される、態様32記載の方法
。
(態様34)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約300mgで投与される、態様32記載の方法
。
(態様35)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、投与量約450mgで投与される、態様32記載の方法
。
(態様36)
前記FcRnアンタゴニストの少なくとも1回の追加投与量が、対象へ投与される、態様22
~35のいずれか一項記載の方法。
(態様37)
前記FcRnアンタゴニストが、静脈内投与される、態様1~36のいずれか一項記載の方法
。
(態様38)
前記FcRnアンタゴニストが、皮下投与される、態様1~36のいずれか一項記載の方法。
(態様39)
最初の1回以上の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び1回以上の後続投与量が、皮下
投与される、態様1~36のいずれか一項記載の方法。
(態様40)
最初の1、2、3、又は4回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び1、2、3、又は4の後
続投与量が、対象へ皮下投与される、態様39記載の方法。
(態様41)
最初の4回の投与量が、対象へ静脈内投与され、1、2、3、又は4回の後続投与量が、対
象へ皮下投与される、態様39記載の方法。
(態様42)
1回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様39記載の方法。
(態様43)
2回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様39記載の方法。
(態様44)
対象における全身型重症筋無力症を治療する方法であって、1ヶ月以内の単離されたFcR
nアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くFcRnアンタゴニストのそ
の後の毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を含む維持相
による、相別された投薬スケジュールを用い、単離されたFcRnアンタゴニストを、対象へ
投与し、それにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを含む、前記方法。
(態様45)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアン
トFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域
の各Fcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1からなる、態様44記載の方法。
(態様46)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアン
トFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域
のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:2からなる、態様44記載の方法。
(態様47)
前記単離されたFcRnアンタゴニストが、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアン
トFc領域が、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域
のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:3からなる、態様44記載の方法。
(態様48)
前記導入相が、FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg又は約20mg/kg
の1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、態様44~47のいずれか一項記載の方法。
(態様49)
前記導入相の1~5回投与量が、静脈内(i.v.)投与される、態様44~48のいずれか一項記
載の方法。
(態様50)
前記維持相投与量が、FcRnアンタゴニストの約150mg又は約300mgの固定された投与量を
含む、態様44~49のいずれか一項記載の方法。
(態様51)
前記維持相投与量が、対象の臨床症状を基に必要に応じて投与される、態様44~50のい
ずれか一項記載の方法。
(態様52)
前記維持相投与量が、対象へ皮下(s.c.)投与される、態様44~51のいずれか一項記載の
方法。
(態様53)
1回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び1、2又は3回の後続投与量が、対象へ皮下
投与される、態様49記載の方法。
(態様54)
1回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様55)
2回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様56)
2回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様57)
2回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様58)
2回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様59)
3回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様60)
3回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様61)
3回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様62)
3回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様63)
4回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び1回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様64)
4回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び2回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様65)
4回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び3回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様66)
4回の投与量が、対象へ静脈内投与され、及び4回の後続投与量が、対象へ皮下投与され
る、態様49記載の方法。
(態様67)
FcRnアンタゴニストの1回以上の投与量が、再治療、維持量、又は漸減投与量として投
与される、態様44~66のいずれか一項記載の方法。
(態様68)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、追加治療薬と同時に投与される、態様1~67のい
ずれか一項記載の方法。
(態様69)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、追加治療薬に連続して投与される、態様1~67の
いずれか一項記載の方法。
(態様70)
前記追加治療薬の用量が、FcRnアンタゴニストによる治療と組み合わせて漸減される、
態様68又は69記載の方法。
(態様71)
前記単離されたFcRnアンタゴニストの投与が、全身型重症筋無力症の1種以上の増悪を
治療する、態様1~70のいずれか一項記載の方法。
(態様72)
前記単離されたFcRnアンタゴニストの投与が、眼筋の疲労又は衰弱、骨格筋の疲労又は
衰弱、呼吸筋の疲労又は衰弱、日常生活に支障を来すほどの疲労感、不明瞭発語、息苦し
さ、嚥下障害、複視又は霧視、身動きに介助を必要とする状態、息切れ、及び呼吸不全か
らなる群から選択される全身型重症筋無力症の1種以上の臨床症状を改善する、態様1~71
のいずれか一項記載の方法。
(態様73)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、22日間中1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与される、態様72記載の方法。
(態様74)
前記単離されたFcRnアンタゴニストの投与が、定量的重症筋無力症(QMG)スコア、重症
筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコア、重症筋無力症複合(MGC)スコア、15項目の重症筋
無力症に関するQOLスケール(MGQoL15r)、及びEuroQol 5様相(EQ-5D)スコアからなる群か
ら選択される、対象における1種以上の治療的評価スコアを改善する、態様1~73のいずれ
か一項記載の方法。
(態様75)
前記QMG、MG-ADL、MGC、MGQoL15r、及びEQ-5Dからなる群から選択される少なくとも1種
のスケールに関するスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnア
ンタゴニストの投与前の同じスケールを用い測定したベースラインスコアと比べ、少なく
とも1ポイント改善される、態様74記載の方法。
(態様76)
前記QMGスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニ
ストの投与前に測定したベースラインQMGスコアと比べ、改善される、態様75記載の方法
。
(態様77)
前記QMGスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニ
ストの投与前に測定したベースラインQMGスコアと比べ、少なくとも3ポイント減少される
、態様76記載の方法。
(態様78)
前記QMGスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニ
ストの投与前に測定したベースラインQMGスコアと比べ、少なくとも4ポイント減少される
、態様76記載の方法。
(態様79)
前記MG-ADLスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴ
ニストの投与前に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、改善される、態様75記載の
方法。
(態様80)
前記MG-ADLスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴ
ニストの投与前に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、少なくとも2ポイント減少
される、態様79記載の方法。
(態様81)
前記MG-ADLスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴ
ニストの投与前に測定したベースラインMG-ADLスコアと比べ、少なくとも3ポイント減少
される、態様79記載の方法。
(態様82)
前記MGCスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニ
ストの投与前に測定したベースラインMGCスコアと比べ、改善される、態様75記載の方法
。
(態様83)
前記MGCスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニ
ストの投与前に測定したベースラインMGCスコアと比べ、少なくとも4ポイント減少される
、態様82記載の方法。
(態様84)
前記MGCスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴニ
ストの投与前に測定したベースラインMGCスコアと比べ、少なくとも5ポイント減少される
、態様82記載の方法。
(態様85)
前記MGQoL15rスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタ
ゴニストの投与前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ、改善される、態様75記
載の方法。
(態様86)
前記MGQoL15rスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタ
ゴニストの投与前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ、少なくとも3ポイント
減少される、態様85記載の方法。
(態様87)
前記MGQoL15rスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタ
ゴニストの投与前に測定したベースラインMGQoL15rスコアと比べ、少なくとも4ポイント
減少される、態様85記載の方法。
(態様88)
前記EQ-5Dスコアが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアンタゴ
ニストの投与前に測定したベースラインEQ-5Dスコアと比べ、改善される、態様75記載の
方法。
(態様89)
前記単離されたFcRnアンタゴニストの投与が、総血清IgG、抗-アセチルコリン受容体(A
ChR)抗体、抗-MuSK抗体、及び抗-LRP4抗体からなる群から選択される少なくとも1種のIgG
抗体の血清レベルを低下する、態様1~88のいずれか一項記載の方法。
(態様90)
前記FcRnアンタゴニストが、対象へ、22日間に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与され、且つここで少なくとも1種
のIgG抗体の血清レベルが、8、15、22、29、又は36日目に、1日目の単離されたFcRnアン
タゴニストの投与前に測定した少なくとも1種のIgG抗体のベースライン血清レベルと比べ
、低下される、態様89記載の方法。
(態様91)
前記少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルが、8、15、22、29、又は36日目に少なくと
も約25%低下される、態様90記載の方法。
(態様92)
前記少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルが、8、15、22、29、又は36日目に少なくと
も約50%低下される、態様90記載の方法。
(態様93)
前記少なくとも1種のIgG抗体が、総血清IgG抗体である、態様89~92のいずれか一項記
載の方法。
(態様94)
前記少なくとも1種のIgG抗体が、抗-AChR抗体である、態様89~92のいずれか一項記載
の方法。
(態様95)
前記少なくとも1種のIgG抗体が、抗-MuSK抗体である、態様89~92のいずれか一項記載
の方法。
(態様96)
前記少なくとも1種のIgG抗体が、抗-LRP4抗体である、態様89~92のいずれか一項記載
の方法。
(態様97)
前記対象が、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に測定した、総ポイントのわ
ずか25%が眼症状に起因する、少なくとも11ポイントのQMGスコアを有する、態様1~96の
いずれか一項記載の方法。
(態様98)
前記対象が、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に測定した、総ポイントのわ
ずか25%が眼症状に起因する、少なくとも5ポイントのMG-ADLスコアを有する、態様1~97
のいずれか一項記載の方法。
(態様99)
前記対象が、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MG
を有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つ
スコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有する、態
様1~98のいずれか一項記載の方法。
(態様100)
前記対象が同時に、標準重症筋無力症療法を受けている、態様1~99のいずれか一項記
載の方法。
(態様101)
前記全身型重症筋無力症が、難治性全身型重症筋無力症である、態様1~100のいずれか
一項記載の方法。
(態様102)
前記全身型重症筋無力症が、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシス、ア
ザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、免
疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に反応しない
、態様1~101のいずれか一項記載の方法。
(態様103)
前記対象が、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシス、アザチオプリン、
非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエ
クリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に対し忍容性がない、態様1
~101のいずれか一項記載の方法。
(態様104)
前記対象が、抗コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制薬療法を含む重症筋無力症
の療法を受けながら、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候及び症状を示し、
且つ臨床的安定を維持するために、長期の血漿交換又は長期IVIgを必要とする、態様1~1
01のいずれか一項記載の方法。
(態様105)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)へ結合する自己抗体について
陽性である、態様1~104のいずれか一項記載の方法。
(態様106)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)へ結合する自己抗体について
陰性である、態様1~104のいずれか一項記載の方法。
(態様107)
前記対象が、抗-MuSK抗体陽性である、態様1~106のいずれか一項記載の方法。
(態様108)
前記対象が、抗-MuSK抗体陰性である、態様1~106のいずれか一項記載の方法。
(態様109)
前記対象が、抗-LRP4抗体陽性である、態様1~108のいずれか一項記載の方法。
(態様110)
前記対象が、抗-LRP4抗体陰性である、態様1~108のいずれか一項記載の方法。
(態様111)
前記対象が、ヒトである、態様1~110のいずれか一項記載の方法。
(態様112)
前記対象が、成人である、態様1~111のいずれか一項記載の方法。
(態様113)
対象において全身型重症筋無力症(MG)を治療する方法であって、該方法が、対象へ、有
効量の単離されたFcRnアンタゴニストを投与し、これにより対象におけるMGを治療するこ
とを含み、ここで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される、前記方
法。
(態様114)
対象において全身型重症筋無力症を治療する方法であって、該方法が、1ヶ月以内の単
離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くFcRnアンタゴ
ニストのその後毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を含
む維持相による、相別された投薬スケジュールを用い、単離されたFcRnアンタゴニストを
、対象へ投与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを含み、こ
こで:
対象は、単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断された全身型MGを有
し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を有し、且つスコ
アの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される、前記方
法。
(態様115)
対象において全身型重症筋無力症を治療する方法であって、該方法が、1ヶ月以内の単
離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くその後臨床的
必要性を基に必要に応じた1以上のサイクルを含む維持相であって、各サイクルが1ヶ月以
内に単離されたFcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を対象へ投与することを含む相に
よる、相別された投薬スケジュールを用い、単離されたFcRnアンタゴニストを、対象へ投
与し、これにより対象における全身型重症筋無力症を治療することを含み、ここで:
対象は、導入相における単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前に、確定診断され
た全身型MGを有し、米国重症筋無力症財団(MGFA)分類システムに従いクラスII-IVa疾患を
有し、且つスコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを
有し、
対象は、維持相の任意のサイクルにおける単離されたFcRnアンタゴニストの初回投与前
に、スコアの50%より多くが非-眼項目に起因する、少なくとも5のMG-ADLスコアを有し、
単離されたFcRnアンタゴニストは、バリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc
領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、ここでバリアントFc領域の各F
cドメインのアミノ酸配列は、配列番号:2からなり、並びに
単離されたFcRnアンタゴニストは、対象へ、約10mg/kgの投与量で投与される、前記方
法。
(態様116)
前記対象が、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~115のいずれか一項記載の方
法。
(態様117)
前記対象が、その症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫
抑制療法により適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~116の
いずれか一項記載の方法。
(態様118)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陽性である、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~117のいずれか一項記載の方法
。
(態様119)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陽性であり、且つその症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免
疫抑制療法により適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~118
のいずれか一項記載の方法。
(態様120)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陰性である、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~117のいずれか一項記載の方法
。
(態様121)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陰性であり、且つその症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免
疫抑制療法により適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~118
のいずれか一項記載の方法。
(態様122)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陽性であり、且つ筋肉-特異性キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陽性である、
全身型重症筋無力症の成人である、態様113~118のいずれか一項記載の方法。
(態様123)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陽性であり、且つ筋肉-特異性キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陽性であり、
且つその症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法に
より適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~118のいずれか一
項記載の方法。
(態様124)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陰性であり、且つ筋肉-特異的キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陰性である、
全身型重症筋無力症の成人である、態様113~118のいずれか一項記載の方法。
(態様125)
前記対象が、ニコチン性アセチルコリン受容体(抗-AChR)に結合する自己抗体について
陰性であり、且つ筋肉-特異的キナーゼ(MuSK)に結合する自己抗体について陰性であり、
且つその症状が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法に
より適切に管理されない、全身型重症筋無力症の成人である、態様113~118のいずれか一
項記載の方法。
前記バリアントIgG Fc領域の少なくとも1つのFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、又は3に示されるアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記バリアントIgG Fc領域の少なくとも1つのFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、又は3に示されるアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1~4のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記バリアントIgG Fc領域の両方のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、又は3に示されるアミノ酸配列から独立に選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記バリアントIgG Fc領域の両方のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、又は3に示されるアミノ酸配列から独立に選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1~6のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記バリアントIgG Fc領域が、天然型Fc領域、例えば野生型IgG Fc領域、好ましくは野生型IgG1 Fc領域と比べ、増大した親和性及び低下したpH依存性でFcRnに結合する、請求項1~7のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、複数のFcRnアンタゴニスト分子を含み、ここで該複数のFcRnアンタゴニスト分子の少なくとも50%が、EU位置297にN-結合型グリカンを含むバリアントIgG Fc領域又はそのFcRn-結合断片を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、22日間に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22回投与されるように使用される、請求項1~10のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22日毎に1回の頻度で投与されるように使用される、請求項1~11のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、3日毎に1回の頻度又は7日毎に1回の頻度で投与されるように使用される、請求項1~12のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、投与量約1、2、3、5、10、20、25、30、50、70、100、又は200mg/kgで投与されるように使用される、請求項1~14のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、約150、300、450、600、750、900、1050、及び1200mgからなる群から選択される投与量で投与されるように使用される、請求項1~16のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、静脈内投与されるか、又は前記FcRnアンタゴニストが、皮下投与されるように使用される、請求項1~18のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、1ヶ月以内の該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続く該FcRnアンタゴニストのその後の毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を含む維持相による、相別された投薬スケジュールを用いて投与されるように使用される、請求項1~9のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記導入相が、前記FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg又は約20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項20記載の医薬組成物。
前記導入相が、前記FcRnアンタゴニストの5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg又は20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項20又は21記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、1ヶ月以内の該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続くその後の臨床的必要性を基に必要に応じた1以上のサイクルを含む維持相であって、各サイクルが1ヶ月以内に該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む、前記維持相による、相別された投薬スケジュールを用いて投与されるように使用される、請求項1~9のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記導入相が、前記FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg又は約20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項25記載の医薬組成物。
前記導入相が、前記FcRnアンタゴニストの5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg又は20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項25又は26記載の医薬組成物。
前記1以上のサイクルの各々が、独立に、前記FcRnアンタゴニストの約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg又は約20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項25~29のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記1以上のサイクルの各々が、独立に、前記FcRnアンタゴニストの5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg又は20mg/kgの1、2、3、4、又は5回の投与量の投与を含む、請求項25~30のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストの1回以上の投与量が、再治療、維持投与量、又は漸減投与量として投与されるように使用される、請求項18~32のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、バリアントIgG Fc領域からなり、該バリアントIgG Fc領域が、二量体を形成する2つのFcドメインからなり、該バリアントFc領域の該Fcドメインの各々のアミノ酸配列が、配列番号:2又は3に示されるアミノ酸配列からなり、
前記対象が120kg未満の体重を有する場合、該FcRnアンタゴニストが、該対象へ、約10 mg/kgの投与量で静脈内投与され、前記対象が120kg以上の体重を有する場合、該FcRnアンタゴニストが、該対象へ、1200 mgの投与量で静脈内投与されるように使用される、
請求項1~8のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記対象が120kg未満の体重を有する場合、前記FcRnアンタゴニストが、該対象へ、10 mg/kgの投与量で静脈内投与されるように使用される、請求項34~36のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記FcRnアンタゴニストが、前記対象へ、1ヶ月以内の該FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む導入相、それに続く維持相による、相別された投薬スケジュールを用いて投与されるように使用される、請求項34~37のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記維持相が、1以上のサイクルを含み、各サイクルが、1ヶ月以内の前記FcRnアンタゴニストの約1~5回の投与量を含む、請求項39又は40記載の医薬組成物。
前記維持相が、前記FcRnアンタゴニストの毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、もしくは4週毎(q4w)の投与量を含む、請求項39又は40記載の医薬組成物。
前記医薬組成物の投与が、眼筋の疲労又は衰弱、骨格筋の疲労又は衰弱、呼吸筋の疲労又は衰弱、日常生活に支障を来すほどの疲労感、不明瞭発語、息苦しさ、嚥下障害、複視又は霧視、身動きに介助を必要とする状態、息切れ、及び呼吸不全からなる群から選択される前記gMGの1種以上の臨床症状を改善する、請求項1~47のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記医薬組成物の投与が、定量的重症筋無力症(QMG)スコア、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコア、重症筋無力症複合(MGC)スコア、15項目の重症筋無力症に関するQOLスケール(MGQoL15r)、及びEuroQol 5様相(EQ-5D)スコアからなる群から選択される、前記対象における1種以上の治療的評価スコアを改善する、請求項1~48のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記医薬組成物の投与が、抗-アセチルコリン受容体(AChR)抗体、抗-MuSK抗体、及び抗-LRP4抗体からなる群から選択される少なくとも1種のIgG抗体の血清レベルを低下させる、請求項1~49のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記gMGが、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に反応しないか、
前記対象が、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、プラズマフェレーシス、アザチオプリン、非ステロイド系免疫抑制薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、免疫吸着、及びエクリズマブからなる群から選択される標準重症筋無力症療法に対し忍容性がないか、又は
前記対象が、抗コリンエステラーゼ阻害薬療法及び免疫抑制薬療法を含む重症筋無力症の療法を受けながら、顕著な全身の衰弱又は重症筋無力症の延髄の徴候及び症状を示し、且つ臨床的安定を維持するために、長期の血漿交換又は長期IVIgを必要とする、請求項1~54のいずれか一項記載の医薬組成物。
前記対象が、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、又は免疫抑制療法により適切に管理されないgMG症状を有する、請求項1~61のいずれか一項記載の医薬組成物。