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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041936
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240319BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65F3/00 C
B65F3/00 L
B60P3/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004646
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2020060550の分割
【原出願日】2020-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】下田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】弘津 智史
(57)【要約】
【課題】作業者の両手が塞がっている場合であっても、開閉扉を自動で動作させて、塵芥投入口を開くことが可能な塵芥収集車を提供する
【解決手段】塵芥収集車100は、塵芥投入箱3と、塵芥積込装置8と、テールゲート5と、テールゲート5の開閉動作を制御する制御装置80とを備え、更に、塵芥投入口4の側方に配置され、塵芥積込装置8の動作を指示するスイッチボックス6と、塵芥投入口4の下方に配置され、人物の操作に応じて塵芥積込装置8の動作を停止させる緊急停止プレート62及びテールゲート5の開閉動作を制御装置80に指示するフットスイッチ30とを備える。緊急停止プレート62は、車幅方向を長手方向とする所定領域を有し、フットスイッチ30は、スイッチボックス6を備えた側となる緊急停止プレート62の側方位置において、所定領域よりも小さな領域を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端に塵芥投入口が開口された塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱の内部に配設された塵芥積込装置と、前記塵芥投入口を開閉する開閉扉と、前記開閉扉の開閉動作を制御する制御装置と、を備えた塵芥収集車において、
前記塵芥投入口の側方に配置され、前記塵芥積込装置の動作を指示する積込装置操作部と、
前記塵芥投入口の下方に配置され、人物の操作に応じて前記塵芥積込装置の動作を停止させる緊急停止操作部及び前記開閉扉の開閉動作を前記制御装置に指示する開閉扉操作スイッチと、を備え、
前記緊急停止操作部は、車幅方向を長手方向とする所定領域を有し、
前記開閉扉操作スイッチは、前記積込装置操作部を備えた側となる前記緊急停止操作部の側方位置において、前記所定領域よりも小さな領域を有することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車において、
前記塵芥投入口に対する離間距離は、前記緊急停止操作部よりも前記開閉扉操作スイッチの方が大きいことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塵芥収集車において、
前記緊急停止操作部は車幅中央部から車幅方向に延びた前記所定領域を有し、
前記開閉扉操作スイッチは車幅方向において前記積込装置操作部の近傍位置に設けられていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の塵芥収集車において、
前記開閉扉操作スイッチは、前記緊急停止操作部よりも前記塵芥投入箱の内方側に奥まって配置されていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の塵芥収集車において、
前記開閉扉操作スイッチは、
前記塵芥投入箱の内方側に感知空間を有し、人物の足先が前記感知空間内に入ったことを感知可能な構成であることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の塵芥収集車において、
前記塵芥積込装置の動力源をオンオフする動力源スイッチを備え、
前記開閉扉は、前記塵芥積込装置とは異なる動力源によって駆動し、
前記制御装置は、
前記動力源スイッチのオンオフを判定し、
前記動力源スイッチにより前記塵芥積込装置の動力源がオフされたことを条件として、前記開閉扉操作スイッチを無効にし、
前記動力源スイッチにより前記塵芥積込装置の動力源がオンされたことを条件として、前記開閉扉操作スイッチを有効にするように構成されていることを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関し、特に、塵芥投入口に塵芥を投入する作業の効率化を図るための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の塵芥収集車においては、例えば特許文献1に開示されるように、塵芥投入箱と、該塵芥投入箱の内部に配設された塵芥積込装置と、前記塵芥投入箱の後端に開口された塵芥投入口を開閉する開閉扉とを備えて、塵芥収集時には、開閉扉により塵芥投入口を開き、塵芥を塵芥投入口に投入して、塵芥積込装置の動作により塵芥を塵芥投入箱に積み込む構成が採用されている。このような塵芥収集車では、開閉扉はテールゲートとも称されている。
【0003】
このような従来の塵芥収集車では、開閉扉にハンドル(テールゲートハンドル)が取り付けられており、塵芥収集時には、通常、作業者がテールゲートハンドルを把持して開閉扉を上昇させて塵芥投入口を開き、この状態で塵芥を塵芥投入口に投入する作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-48049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の塵芥収集車では、塵芥収集時に、例えば塵芥袋を作業者が両手に持って塵芥投入口の前に立ったとき、開閉扉が下降状態にあって塵芥投入口が閉状態となっている場合がある。このような場合には、作業者は、一旦、持っていた塵芥袋を地面に置き、その上でテールゲートハンドルを把持しながら開閉扉を上昇させて塵芥投入口を開く必要があるため、効率良く塵芥投入作業を行い得ない欠点があった。
【0006】
本発明は、上述したような実情を考慮してなされたものであって、その目的は、作業者の両手が塞がって、テールゲートハンドルを把持できない状況であっても、開閉扉を自動で動作させて、塵芥投入口を開くことが可能な塵芥収集車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明の塵芥収集車は、後端に塵芥投入口が開口された塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱の内部に配設された塵芥積込装置と、前記塵芥投入口を開閉する開閉扉と、を備えた塵芥収集車において、前記塵芥投入口の近傍に配置され、人物の足操作に応じて前記開閉扉の開閉動作を指示する足操作スイッチと、前記足操作スイッチの前記指示に基づいて、前記開閉扉の開閉動作を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記構成では、足操作スイッチが人物の足先により足操作されると、制御装置がその足操作スイッチの指示に基づいて開閉扉を開閉する。従って、開閉扉が塵芥投入口を閉じている場合において、人物(作業者)が両手に塵芥袋を持って塵芥投入口の前に立った際には、その作業者は、その両手が塞がってテールゲートハンドルを把持できなくても、足操作スイッチを足操作するだけで、制御装置が開閉扉を自動的に動作させて塵芥投入口を開くので、作業者はその両手に持った塵芥袋の一方又は両方を地面に降ろすことなく、その
塵芥袋を塵芥投入口に投入することができ、塵芥の積込作業の効率化を図ることができる。
【0009】
より具体的な構成として、前記塵芥投入口の下方には、前記人物により操作されて前記塵芥積込装置の動作を停止させる緊急停止操作部が配置され、前記足操作スイッチは、前記緊急停止操作部の側方に配置されていると共に、前記緊急停止操作部よりも前記塵芥投入箱の内方側に奥まって配置されていることが好ましい。
【0010】
この構成では、足操作スイッチが緊急停止操作部の側方に配置されているので、塵芥積込装置の動作によって塵芥が塵芥投入箱に積み込まれている最中に、作業者が塵芥積込装置に巻き込まれそうになったときにも、足操作スイッチに邪魔させることなく、緊急停止操作部を足操作により押し込んで、塵芥積込装置を緊急停止させることが可能である。また、足操作スイッチが緊急停止操作部よりも塵芥投入箱の内方側、すなわち塵芥収集車の運転席側に奥まって配置されているので、緊急停止操作部の押し込み足操作は緊急停止操作部の位置で止まり、足操作スイッチには至らない。従って、緊急停止操作部の押し込み足操作に伴って足操作スイッチが足操作されて開閉扉が誤動作することを有効に抑制することが可能である。
【0011】
また、前記足操作スイッチは、前記塵芥投入箱の内方側に感知空間を有し、前記人物の足先が前記感知空間内に入ったことを感知する構成であることが好ましい。
【0012】
この構成では、足操作スイッチの有する感知空間が塵芥投入箱の内方側に奥まっており、この感知空間に作業者の足先が入って初めて開閉扉の開閉動作を指示する構成となっている。従って、足操作スイッチが感知空間を有しない型式のもの、例えば作業者が上方から足踏みする型式の足操作スイッチでは、作業者が塵芥の積込作業中に誤って足操作スイッチを足操作したり、塵芥投入口に投入しようとした塵芥が足操作スイッチに当たって操作されてしまったりする懸念が高くなるが、前記感知空間を有する足操作スイッチでは、作業者が意図的に足先を感知空間に入れる足操作が必要であるので、開閉扉を誤って開閉する誤動作を効果的に低減することが可能である。
【0013】
更に、前記塵芥積込装置の動力源をオンオフする動力源スイッチを備え、前記制御装置は、前記動力源スイッチにより前記塵芥積込装置の動力源がオンされたことを条件として、前記足操作スイッチを有効にするように構成されていることが好ましい。
【0014】
この構成では、動力源スイッチにより塵芥積込装置の動力源がオンされたこと、すなわち、塵芥収集車を停車させ、その後に塵芥積込装置の動作によって塵芥を塵芥投入箱内に積み込む積込作業を行う状況になって、初めて足操作スイッチが有効になる。従って、作業者が塵芥を塵芥投入口に投入する際に、作業者が足操作スイッチを足操作すれば、確実に開閉扉を開動作させることができる。一方、塵芥収集車の走行時には、足操作スイッチが無効になるので、走行中に開閉扉が足操作スイッチの誤動作によって不用意に開動作することを確実に防止することが可能である。
【0015】
加えて、前記塵芥積込装置を動作させる積込ボタンを備え、前記制御装置は、前記積込ボタンのオン操作により前記塵芥積込装置が動作していることを条件として、前記足操作スイッチを無効にするように構成されていることが好ましい。
【0016】
この構成では、塵芥積込装置の動作中は足操作スイッチの操作が無効になる。塵芥積込装置の動作中、すなわち、塵芥投入口が開いた状態で作業者が塵芥を投入している状況では、たとえ足操作スイッチが誤って足操作されたとしても、足操作スイッチは無効であるので、開閉扉は不用意に閉動作せず、作業者の塵芥積込作業を混乱させることが防止される。
【0017】
また、前記制御装置は、前記動力源スイッチにより前記塵芥積込装置の動力源がオフされたことを条件として、前記塵芥投入口を閉じるよう前記開閉扉を制御すると共に、前記足操作スイッチを無効にするように構成されていることが好ましい。
【0018】
この構成では、動力源スイッチにより塵芥積込装置の動力源がオフされたこと、すなわち、塵芥投入箱内への塵芥積込作業が終了した後では、塵芥投入口が開閉扉により閉じられると共に、足操作スイッチが無効にされる。従って、塵芥積込作業の終了後に塵芥収集車が走行しても、塵芥投入口が開口したまま走行することが確実に防止されると共に、走行中に後輪が巻き上げた道路上の異物等によって足操作スイッチが誤動作することが防止されて、開閉扉が不用意に開動作することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る塵芥収集車を示す側面図である。
図2図1の塵芥収集車の後面図である。
図3】塵芥収集車に装備された塵芥積込装置の作動の説明図である。
図4】塵芥積込装置の油圧回路を示す図である。
図5】塵芥収集車の塵芥投入口周りに配置したフットスイッチの斜視図である。
図6】塵芥収集車に備える塵芥投入箱の内部の側面図である。
図7】塵芥投入箱のテールゲートの油圧回路を示す図である。
図8図7の油圧回路を制御する制御装置の制御手順を示すフローチャート図である。
図9図1の塵芥収集車においてフットスイッチを作業者が足操作する様子を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を回転式の塵芥収集車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の説明においては、便宜上、塵芥収集車の前後左右を単に「前後左右」と言うこともある。
【0021】
図1図2には、本発明の実施形態に係る塵芥収集車100を示している。塵芥収集車100では、車台1上に塵芥収容箱2と塵芥投入箱3とが設けられており、塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とが連通されている。また、塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向の枢軸3aによって塵芥収容箱2に対して軸支されており、左右一対の傾動シリンダ(図示省略)によって傾動されるようになっている。
【0022】
また、塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、塵芥G(図9参照)を投入するための略矩形状の塵芥投入口4が開口され、昇降可能なテールゲート(開閉扉)5によって、塵芥投入口4が開閉されるようになっている。尚、以下の説明では、テールゲート5の上昇動作によって塵芥投入口4を開く動作をテールゲート5の開動作と言い、テールゲート5の下降動作によって塵芥投入口4を閉じる動作をテールゲート5の閉動作と言う。前記テールゲート5には、左右方向の中央部位よりも左側方及び右側方にそれぞれテールゲートハンドル49が取り付けられている。作業者H(図9参照)はこのテールゲートハンドル49を把持してテールゲート5を昇降動作させることにより、テールゲート5の開閉動作を手動操作で行うことが可能である。
【0023】
更に、前記塵芥投入口4の左側方には、塵芥積込装置(後述)8の駆動等の操作のためのスイッチボックス6が設けられている。また、塵芥投入口4の上方には、塵芥投入口4及びその近傍のエリアを撮影するようにカメラ71を備えたカメラユニット7が配設されている。カメラ71としては、例えば従来からバックアイカメラとして実績のある単眼カメラが用いられる。カメラユニット7は、塵芥投入口4より上方に配設された塵芥投入箱3の傾斜後面部(湾曲状の後面部)から後方に突出する支持部材72を介して、塵芥投入箱3の上部に固定されている。
【0024】
次に、図3に示すように、塵芥投入箱3の内部には、投入された塵芥Gを塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置8が装備されている。この塵芥積込装置8によって、塵芥投入箱3に投入された塵芥Gを、塵芥投入箱3の前方に連設された塵芥収容箱2へ押し込むようになっている。塵芥収容箱2には、収容された塵芥Gを排出する図示省略の塵芥排出装置が設けられている。この塵芥排出装置としては、例えば塵芥収容箱2を、車台1と塵芥収容箱2との間に介設されたダンプシリンダによって傾動させて塵芥Gを排出したり、塵芥収容箱2の内部に設けた排出板を排出シリンダにより塵芥収容箱2の後方に移動させて塵芥Gを排出したりするものが考えられる。
【0025】
-塵芥積込装置8の構成-
次に、本実施形態の塵芥積込装置8の構成について具体的に説明する。本実施形態の塵芥積込装置8は、積込板としての回転板10の回転によって塵芥Gを掻き上げると共に、押込板20によって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転式の塵芥積込装置として構成されている。塵芥投入箱3内には、前記押込板20の下方において塵芥投入箱3の幅方向に延びるように配置された回転軸11が架設され、この回転軸11に回転板10の基端側が固定されていて、回転板10はその基端(回転軸11)を中心として回転可能である。
【0026】
図示の例では、回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。この油圧モータ13の回転が減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体に回転板10が回転されることで、その先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の内底部3cに沿って前後方向に移動するようになる。
【0027】
一方、押込板20は、回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の回動軸21の周りに前後方向に回動自在に支持されている。また、押込板20には、回動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられ、この延設部22とその前方の支持ピン23との間に押込シリンダ24が架設されており、その伸縮作動によって押込板20を前後方向に回動させるようになっている。
【0028】
具体的には、図3に実線で示すように、押込板20が塵芥収容箱2の側に最も回動した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20との干渉を回避しながら回転板10が後方に回転する回避回転工程を行う。そして、この回転板10の後方回転に遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ回動し、この塵芥投入口4側に最も回動した図3に仮想線で示す位置(後退限界位置)で停止する戻り工程を行う。その後、回転板10が前記回避回転工程に続いて下方側に回転した後、前方側に回転して塵芥投入箱3の内底部3cに沿って塵芥Gを塵芥収容箱2側に掻き上げるように回転し、更に、上方側に回転して図3に実線で示すように、前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置に一旦停止する掻上回転工程を行う。その後は、押込板20が前方の塵芥収容箱2側に回動して、回転板10上の塵芥Gを塵芥収容箱2に押し込んで行き、再び前進限界位置に達する押込工程を行う。
【0029】
このようにして、回転板10及び押込板20は、回避回転工程、戻り工程、掻上回転工程及び押込工程の4工程を1サイクルとして、回転板10の回転と押込板20の回動とを互いに同期しながら繰り返すことによって、塵芥投入箱3に投入された塵芥Gが連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥積込動作が行われる。
【0030】
塵芥投入箱3の内部には、回転板10及び押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1~LS4が設けられている。具体的には、図3に示すように、押込板20が前進限界位置又は後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図3の時計回り)に所定角度回転したときにオンになり、更に所定角度回転したときにオフになるスイッチLS4とが設けられている。
【0031】
尚、スイッチLS1,LS2は、押込板20の回動軸21の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっており、スイッチLS3~LS4は、回転板10の回転軸11の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1~LS4としては、例えばリミットスイッチ、光電スイッチ、近接スイッチ等を用いることができる。更に、スイッチLS4は、図3にハッチングで示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bに最も近接するまでの角度範囲Zを検出するもので、回転板10が塵芥投入口4の近傍にて動作していることを検出するためのセンサである。
【0032】
-塵芥積込装置8の動作系-
次に、図4を参照して、塵芥積込装置8の動作系について説明する。この動作系は、塵芥積込装置8の油圧モータ13や、押込シリンダ24等に供給する油圧を制御する油圧回路と、この油圧回路に設けられた電磁制御弁V1,V2に制御信号を出力する制御装置80とを備えている。制御装置80には、前記4個のスイッチLS1~LS4や緊急停止プレート(緊急停止操作部)62用のスイッチSW1の信号が入力される(図示省略)。尚、制御装置80は、塵芥積込装置8の駆動だけでなく塵芥排出装置の駆動も制御するようになっている。
【0033】
図4を参照して油圧回路について説明する。この油圧回路は、油圧ポンプPと、オイルリザーバTと、押込シリンダ24を制御するための電磁制御弁V1と、油圧モータ13を制御するための電磁制御弁V2とを備えている。尚、油圧ポンプPには、車両走行駆動源としてのエンジン(図示省略)の動力を取り出すPTO(Power Take Off)によって駆動力が伝達されるようになっている。
【0034】
一例として、電磁制御弁V1,V2は、何れも6ポート3位置の電磁式の方向切替弁からなる。電磁制御弁V1は、制御装置80によりソレノイドSOLaが励磁されると第1連通位置(図4の上位置)に切り替わって、油圧ポンプPからの作動油を一対の押込シリンダ24のロッド側油室に供給する。一方、電磁制御弁V1は、制御装置80によりソレノイドSOLbが励磁されると第2連通位置(図4の下位置)に切り替わって、作動油をヘッド側油室に供給する。
【0035】
そして、電磁制御弁V1から作動油がヘッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24が伸長動作して押込板20を前方に回動させる。一方、作動油がロッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24は収縮動作して、押込板20を後方に回動させる。また、何れのソレノイドSOLa,SOLbも励磁されていないときに、電磁制御弁V1は中立位置(図4の中央位置)に復帰するようになる。
【0036】
電磁制御弁V2は、ソレノイドSOLcが励磁されると第1連通位置(図4の下位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の正転側油室に供給し、当該油圧モータ13を正転作動させるほか、押込シリンダ24も伸縮作動させることができる。一方、ソレノイドSOLdが励磁されると電磁制御弁V2は第2連通位置(図4の上位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の逆転側油室に供給し、当該油圧モータ13を逆転作動させ
る。
【0037】
また、何れのソレノイドSOLc,SOLdも励磁されていないときに、電磁制御弁V2は中立位置(図4の中央位置)に復帰するようになる。電磁制御弁V1,V2の両方が中立位置にあるとき、作動油はオイルリザーバTへ還流するようになる。尚、図示の油圧回路において、符号V3はチェック弁であり、また、符号V4は、油圧ポンプPの吐出圧の上限を設定するためのリリーフ弁である。
【0038】
制御装置80は、緊急停止プレート62が押操作された際には、スイッチSW1から信号を受けて、電磁制御弁V1,V2をそれぞれ中立位置(図4の中央位置)に復帰させることにより、油圧モータ13と一対の押込シリンダ24への作動油の供給を停止して、それ等の油圧モータ13及び一対の押込シリンダ24の動作を停止させ、塵芥積込装置8の回転板10及び押込板20の動作を緊急停止させる。
【0039】
-ボタン操作系-
更に、図1図3に示すように、塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置8の駆動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や、緊急停止プレート(緊急停止操作部)62等が配設されている。図1に示すように、塵芥投入口4の左側に設けられたスイッチボックス6の側面に緊急停止ボタン60が配設され、また、図3に破線で示すように、塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61が配設されている。
【0040】
前記緊急停止プレート62は、塵芥投入箱3を後面視した場合に、塵芥投入口4の直下方において車幅方向の中央部位から左方向及び右方向に延びた広面積の四角形状に形成されていて、作業者Hの手操作又は足操作により前方側(塵芥投入箱3側)に押し込まれてスイッチSW1をオンするように配設されている。
【0041】
また、図1に示すように、塵芥収集車100の運転席周りに配置した操作盤9には、PTOスイッチ63と、積込排出切換スイッチ64とが配置されている。PTOスイッチ(動力源スイッチ)63は、そのオン操作されると、塵芥積込装置8の動力源としての油圧ポンプP(図4参照)とエンジンとがPTO(Power Take Off)により接続状態になる。また、積込排出切換スイッチ64は、塵芥積込装置8の塵芥積込動作と塵芥排出装置の塵芥排出動作とを切り換える。
【0042】
加えて、図2に示すように、スイッチボックス6の後面には、積込ボタン65が配置されている。この積込ボタン65は、PTOの接続状態において塵芥積込装置8の塵芥積込動作を制御装置80に指示する際に操作されるものである。この積込ボタン65は、ボタン形式であってもトグルスイッチ形式であってもよい。
【0043】
尚、スイッチボックス6には、図示しないが、塵芥積込動作の単動又は連続の選択スイッチ、回転板10や押込板20を単独で動作させるスイッチ等も配置されている。
【0044】
-フットスイッチ-
そして、図2に示したように、塵芥投入口4の近傍において、緊急停止プレート62の左側方、すなわち、左右側方のうちスイッチボックス6と同じ側であって歩行者道路等の塵芥Gが置かれている側には、足操作スイッチとしてフットスイッチ30が配置されている。このフットスイッチ30は、図5に示すように、塵芥収集車100の後方側に面した壁面30aと、この壁面30aから塵芥投入箱3の内方側に奥まった四角柱形状の感知空間30bと、この感知空間30bを形成する複数の壁面のうち対向する左右の壁面において遠赤外線等を水平方向に送受光する一対(2個)のセンサ部30c(一方のセンサ部のみを図示)とを備えている。感知空間30bは、作業者Hが図9に示したように足先を挿入可能な空間である。この空間の容積は、作業者Hの一般的な大きさの足先が入る程度の容積に設定されている。そして、感知空間30b内に作業者Hの足先が入ったとき、一対のセンサ部30cで送受光している遠赤外線等がその作業者Hの足先によって遮断されることにより、フットスイッチ30は、感知空間30b内に作業者Hの足先が入ったことを検出して感知信号を出力する構成である。
【0045】
フットスイッチ30は、図9に示したように、壁面30aが前記緊急停止プレート62の位置よりも塵芥投入箱3側に所定距離t(例えば5cm~15cm程度)だけ奥まるように位置付けされて配置されている。
【0046】
尚、図5に示したフットスイッチ30では、感知空間30bを形成する複数の壁面のうち対向する左右の壁面に一対のセンサ部30cを設けたが、その他、感知空間30bを形成する複数の壁面のうちの上下の壁面に一対のセンサ部30cを配置して、遠赤外線等を鉛直方向に送受光するように構成してもよい。
【0047】
-テールゲート5の開閉機構-
次に、テールゲート5を開閉させる開閉機構について説明する。図6に示すように、塵芥投入箱3の後面上部にはカバー3bが設けられている。また、塵芥投入口4の左右両側の上端から下端に亘ってそれぞれガイドレール40が設けられている。ガイドレール40は、例えば断面凹状(つまり、溝状)に形成されている。テールゲート5の下端両側部には、それぞれガイドレール40に沿って移動する案内子41が設けられている。この案内子41は、ローラにより構成され、ガイドレール40の溝内を移動自在に設けられている。また、テールゲート5の上端両側部には、それぞれ左右方向に突出し、開閉アーム43に連結された連結軸42が設けられている。
【0048】
塵芥投入箱3の前縁部分には、それぞれ縁部3eが設けられている。この縁部3eには支持部44が設けられている。支持部44は、開閉アーム43の基端部を回動自在に支持している。開閉アーム43の先端部は、テールゲート5の側部に回動自在に接続されている。尚、各部との干渉を避けるために、開閉アーム43は屈曲して形成されている。開閉アーム43の屈曲部には、当該屈曲部の曲げ応力を軽減するための補強板43aが固定されている。尚、開閉アーム43を屈曲させるようにしたが、当該開閉アーム43の形状は特に限定されるものではない。
【0049】
図6に示すように、開閉アーム43は回動可能に構成されている。開閉アーム43の回動は、油圧シリンダ45の伸縮動作によって行われる。油圧シリンダ45は左右一対設けられている。油圧シリンダ45は、シリンダロッド45aと、シリンダチューブ45bと、シリンダロッド45aの一端に設けられたピストン45c(図7参照)とを備えている。以下、詳しく説明する。開閉アーム43の基端部には接続部46が取り付けられている。この接続部46には、油圧シリンダ45のシリンダロッド45aの一端が接続されている。油圧シリンダ45のシリンダチューブ45bは、縁部3eに取り付けられている。塵芥投入箱3には、側壁3dに沿うように付勢部材47が設けられている。この付勢部材47は、例えば引張りコイルばねである。付勢部材47の一端は開閉アーム43に掛止され、当該付勢部材47の他端は側壁3dの所定位置に掛止されている。これにより、開閉アーム43は、付勢部材47の付勢力により上方へ回動する方向に付勢されている。尚、付勢部材47には、張力調整機構48が接続されている。この張力調整機構48は、付勢部材47の撓み量を調整するためのものである。
【0050】
前記のような構成において、テールゲート5を全閉状態から全開状態にする際には、油圧シリンダ45を伸長させる。それにより、接続部46を押し上げる力が当該接続部46に作用するので、開閉アーム43は、支持部44の支点を中心に図6において反時計回りに回動する。これに伴って、開閉アーム43に接続されたテールゲート5が上昇動作し、カバー3bの下方の位置に収納される。これにより、塵芥投入口4が全開となる。
【0051】
一方、テールゲート5を全開状態から全閉状態にする際には、油圧シリンダ45を収縮させる。それにより、接続部46を押し下げる力が当該接続部46に作用するので、開閉アーム43は、支持部44の支点を中心に図6において時計回りに回動する。これに伴って、テールゲート5が下降動作する。これにより、塵芥投入口4が全閉となる。以上のような方法により、テールゲート5の開閉動作が行われる。
【0052】
-テールゲート5の油圧回路-
次に、テールゲート5の動作、つまり油圧シリンダ45(図6参照)の動作を制御する油圧回路について説明する。本実施形態に係る塵芥投入箱3には、図7に示すように、塵芥積込装置8の動力源(油圧ポンプP)とは別の電動油圧ポンプユニット50が設けられている。電動油圧ポンプユニット50は、電動モータ50aと、リザーバタンク50bと、電動モータ50aに連結された油圧ポンプ50cと、逆止弁50dと、吐出ポート50eと、吸入ポート50fと、リリーフ弁50gと、を備えている。電動モータ50aによって油圧ポンプ50cが駆動すると、リザーバタンク50b内の作動油が油圧ポンプ50cによって吸い上げられ、逆止弁50dを通過した後、吐出ポート50eから吐出される。油圧ポンプ50cの吐出側の管路には、リリーフ弁50gと圧力ゲージ51とが接続されている。吐出ポート50eは、いわゆる4ポート3位置の電磁切換弁である第1切換弁53の一方のポートに接続されている。吸入ポート50fは、第1切換弁53の他方のポートに接続されている。第1切換弁53の他の2つのポート(図面上側のポート)には、2ポート2位置の電磁切換弁である第2切換弁54及び第3切換弁55がそれぞれ接続されている。これらの切換弁54,55は、ポペット形電磁切換弁であり、作動油の内部漏れが少ないという利点がある。
【0053】
図7には、左右一対の油圧シリンダ45が図示されている。この油圧シリンダ45は、シリンダロッド45a側に設けられたロッド側ポート45dと、シリンダヘッド(ピストン45c)側に設けられたヘッド側ポート45eと、を備えている。第2切換弁54とロッド側ポート45dとは、油圧シリンダ45側への流れを許容するように配置された一方向絞り弁56を介して互いに接続されている。また、第3切換弁55とヘッド側ポート45eとは、油圧シリンダ45側への流れを許容するように配置された一方向絞り弁57を介して互いに接続されている。
【0054】
図7の油圧回路には、油圧シリンダ45,45のヘッド側及びロッド側の圧油をいつでも開放できるようにするための圧油開放手段70が設けられている。圧油開放手段70は、架設配管52aと、第1開閉弁58aと、第2開閉弁58bと、ドレン配管52bと、ドレン配管52bの末端に接続されたタンク59とを含む。架設配管52aは、油圧シリンダ45,45のロッド側ポート45dとヘッド側ポート45eとに連結されている。第1開閉弁58aは、架設配管52aに設けられている。ドレン配管52bは、油圧シリンダ45,45のロッド側ポート45dに連結されている。第2開閉弁58bは、ドレン配管52bに設けられている。このような構成において、第1開閉弁58a及び第2開閉弁58bをそれぞれ開状態にすることによって、油圧シリンダ45,45のヘッド側及びロッド側の圧油が当該油圧シリンダ45内から開放されるようになっている。これにより、油圧シリンダ45,45による油圧が開放され、テールゲート5がテールゲートハンドル49を把持した手動操作により容易に昇降可能となる。尚、圧油開放手段70は、油圧シリンダ45,45のヘッド側及びロッド側の作動油の圧力を開放し、シリンダロッド45aを自在に移動させることができるようにするものであればよく、前記構成に限定されるものではない。
【0055】
次に、油圧シリンダ45,45を伸縮させる際の各弁の切換動作について説明する。先ず、油圧シリンダ45を伸長させる際には、第1開閉弁58a及び第2開閉弁58bを閉状態にして電動モータ50aを駆動する。そして、第1切換弁53内の流路を左位置aに切り換え、第2切換弁54内の流路を右位置bに切り換え、第3切換弁55内の流路を左位置aに保持する。これにより、吐出ポート50eより油圧シリンダ45,45のヘッド側ポート45eに作動油が供給されると共に、油圧シリンダ45,45のロッド側ポート45dより吸入ポート50fに作動油が戻される。その結果、シリンダロッド45aは、油圧シリンダ45が伸長する方向に移動する。これにより、テールゲート5が上昇動作して、塵芥投入口4が全開となる。
【0056】
前記油圧シリンダ45の伸長時において、シリンダロッド45aの移動を停止させる際には、上述の状態から、第1切換弁53内の流路を中立位置cに切り換え、第2切換弁54内の流路を左位置aに切り換える。これにより、ヘッド側ポート45eへの作動油の供給が停止し、更にロッド側ポート45d及びヘッド側ポート45eの作動油の逃げ道が閉ざされる。それにより、シリンダロッド45aは、移動を停止すると共に、停止状態を維持するようになる。尚、第2切換弁54及び第3切換弁55をそれぞれ左位置aに保持することにより、内部漏れが少なくなり、油圧シリンダ45が収縮してテールゲート5が降下動作してしまうことが防止される。
【0057】
一方、油圧シリンダ45を収縮させる際には、上述の停止状態から、第1切換弁53内の流路を右位置bに切り換え、第2切換弁54内の流路を左位置aに保持し、第3切換弁55内の流路を右位置bに切り換える。これにより、吐出ポート50eよりロッド側ポート45dに作動油が供給されると共に、ヘッド側ポート45eより吸入ポート50fに作動油が戻される。その結果、シリンダロッド45aは、油圧シリンダ45が収縮する方向に移動する。これによって、テールゲート5が下降動作して、塵芥投入口4が全閉となる。
【0058】
前記油圧シリンダ45の収縮時において、シリンダロッド45aの移動を停止させる際には、上述の状態から、第1切換弁53内の流路を中立位置cに切り換え、第3切換弁55内の流路を左位置aに切り換える。これにより、ロッド側ポート45dへの作動油の供給が停止し、更にロッド側ポート45d及びヘッド側ポート45eの作動油の逃げ道が閉ざされる。それにより、シリンダロッド45aは、移動を停止すると共に、停止状態を維持するようになる。電動モータ50aの回転動作、第1切換弁53の切換動作、第2切換弁54の切換動作、及び第3切換弁55の切換動作は、CPU(中央演算処理装置)を有する制御装置80によって制御される。この制御装置80には、前記フットスイッチ30の感知信号が入力されると共に、PTOスイッチ63、積込排出切換スイッチ64及び積込ボタン65のそれぞれの操作信号も入力される。本実施形態では、制御装置80は、前記各弁の切り換え動作を制御することによって、テールゲート5を上昇動作又は下降動作させて、塵芥投入口4を全開又は全閉にする。
【0059】
-テールゲート5の開閉制御-
次に、図8のフローチャートを参照して、フットスイッチ30に基づくテールゲート5の開閉制御を説明する。
【0060】
同図において、ステップS1では、制御装置80は、塵芥積込装置8の油圧ポンプP(図4参照)にエンジン動力を伝達するPTO(Power Take Off)がオン状態かどうかを判断する。この判断は、具体的にはPTOを動作させるPTOスイッチ63がオン操作されたかどうかにより行う。このPTOスイッチ(動力源スイッチ)63(図1参照)は、塵芥収集車100が停車し、この停車状態で作業者Hが塵芥投入箱3内に塵芥Gを投入する前に、作業者Hによりオン操作される。
【0061】
前記ステップS1にてPTOがオン状態にない場合には、そのまま待機するが、PTOがオン状態にある場合には、ステップS2に進む。ステップS2では、制御装置80は、更に、積込排出切換スイッチ64が積込側に設定(切換)されているか判断し、積込側に設定されている場合、すなわち、塵芥投入箱3の塵芥投入口4に塵芥を投入する場合には、ステップS3において積込ボタン65がオン操作されているか判断する。そして、積込ボタン65が未だオン操作されていない場合、すなわち、塵芥積込装置8が停止状態でテールゲート5も塵芥投入口4を閉じている場合には、ステップS4に進んで初めて制御装置80がフットスイッチ30を有効にして、ステップS5に進む。
【0062】
ステップS5では、制御装置80は、フットスイッチ30がオン状態かどうか、すなわち、作業者Hが感知空間30b内に足先を入れて感知信号が出力されているかどうかを判断し、フットスイッチ30が未だオフ状態の場合には、テールゲート5を動作させることなく直ちにステップS8に進むが、フットスイッチ30がオン状態の場合には、作業者Hによるテールゲート5の開閉動作の指示時と判断して、ステップS6に進む。ステップS6において、制御装置80は、テールゲート5が全閉状態かどうかを判断し、全閉状態の場合には、ステップS7においてテールゲート5を上昇動作させて塵芥投入口4を全開状態にする。その後はステップS8に進んで、制御装置80は、再度、PTOがオン状態かどうかを判断し、PTOがオン状態の場合には、ステップS2に戻る。
【0063】
そして、前記のように作業者Hによるフットスイッチ30の足操作によってテールゲート5が上昇動作して塵芥投入口4が全開状態になった後、ステップS3において積込ボタン65がオン操作された場合、すなわち、塵芥積込装置8を動作させる場合には、制御装置80は、ステップS9において塵芥積込装置8を1サイクル動作させる。これにより、塵芥投入口4に投入された塵芥Gを塵芥収容箱2内に積み込む塵芥積込動作が行われる。そして、このように塵芥積込動作を行っている最中では、テールゲート5の不用意な動作を禁止するように、制御装置80は、ステップS10においてフットスイッチ30を無効にする。すなわち、制御装置80は、フットスイッチ30から感知信号が出力されていても、その感知信号を無視する。ステップS10の後はステップS8に進んで、制御装置80は、PTOがオフ状態かどうか判断し、オン状態の場合には前記ステップS2に戻る。
【0064】
塵芥Gの積込動作が一時中断または終了すると、積込ボタン65がオン操作されることはなくなり、塵芥積込装置8も動作されなくなる。この状態では、直前まで塵芥Gの積込作業を行っていたためテールゲート5は全開になっているか、又は、積込作業途中の作業者Hによる手動操作で半開状態になっている。この場合、フットスイッチ30を再度オン状態にすると(ステップS5でYESかつステップS6でYES)、ステップS11に進んで制御装置80はテールゲート5が全開状態かどうか判断し、テールゲート5が全開状態でない場合には、ステップS7においてテールゲート5を上昇動作させて塵芥投入口4を全開にするが、テールゲート5が全開状態の場合には、作業者Hによる塵芥Gの積込作業の終了時と判断して、ステップS12においてテールゲート5を下降動作させて塵芥投入口4を全閉にし、その後、ステップS8に進む。
【0065】
一方、前記ステップS2において積込排出切換スイッチ64が排出側に設定(切換)されている場合、すなわち、塵芥収容箱2の塵芥を塵芥収集車100の外部に排出する場合には、ステップS13において、テールゲート5の不用意な開閉動作を禁止するように、フットスイッチ30を無効にし、その後、ステップS8に進む。
【0066】
そして、ステップS8において、PTOがオフ状態となった場合、すなわち、塵芥投入箱3への塵芥Gの積込作業の終了や塵芥収容箱2からの塵芥の排出作業が終了した後、制御装置80は、ステップS14においてテールゲート5を下降動作させて塵芥投入口4を全閉にし、その後、ステップS15においてフットスイッチ30を無効にして、終了する。前記ステップS14においてテールゲート5を下降動作させて塵芥投入口4を全閉にすることにより、作業者Hが塵芥Gの積込作業の終了時にフットスイッチ30を操作してテールゲート5を閉動作させていなかったとしても、塵芥収集車100を走行させるときには、自動的に塵芥投入口4を全閉の状態にできる。
【0067】
従って、本実施形態では、図9に示したように、塵芥収集車100において、塵芥投入口4がテールゲート5により全閉にされている状態で、作業者Hが塵芥投入口4の前に立ち、その足先をフットスイッチ30の感知空間30b内に入れる足操作を行うことにより、フットスイッチ30は感知信号を出力し、オン状態となる。制御装置80は、この感知信号を受けて、油圧シリンダ45を伸長動作させてテールゲート5を上昇動作させ、塵芥投入口4を全開にする。従って、作業者Hが両手に塵芥(図9では塵芥袋)Gを持って両手が塞がっている場合であっても、テールゲートハンドル49を手で把持することなく、フットスイッチ30を足操作するだけて、塵芥Gの一方又は両方を地面に降ろすことなく塵芥投入口4を全開にして、塵芥Gを塵芥投入口4に投入することができる。よって、塵芥Gの積込作業の効率化を図ることができる。
【0068】
また、本実施形態では、塵芥収集車100において、塵芥投入口4の下方には緊急停止プレート62が左右方向に延びて配置され、塵芥投入箱3内で回転板10が塵芥投入口4の近傍にて動作している角度範囲Zに作業者Hの手や腕が入った際等では、回転板10に巻き込まれそうになるが、作業者Hは緊急停止プレート62を足等により押し操作すると、塵芥積込装置8の動作は制御装置80により緊急停止する。フットスイッチ30は、その緊急停止プレート62の左側方の位置に配置されている。従って、緊急停止プレート62の足操作時には、フットスイッチ30は邪魔にならず、作業者Hは塵芥積込装置8を素早く緊急停止させることが可能である。
【0069】
また、フットスイッチ30は、緊急停止プレート62よりも所定距離tだけ塵芥投入箱3の内方側(つまり運転席側)に奥まって配置されている。従って、作業者Hが緊急停止プレート62を足操作により押し込んだ際に、その足操作が緊急停止プレート62の位置で停止して、その足操作した足先がフットスイッチ30の感知空間30b内に誤って入り込む可能性を低くできるので、フットスイッチ30の誤動作を有効に防止して、塵芥積込装置8の緊急停止時でのテールゲート5の下降動作の可能性を低減することが可能である。
【0070】
更に、フットスイッチ30は、塵芥投入箱3の内方側に感知空間30bを有し、作業者Hの足先が感知空間30b内に入ったことを感知する構成を有している。つまり、フットスイッチ30は、作業者Hが意識的に足先を感知空間30b内に入れる足操作を行って、初めてテールゲート5を開閉動作させる指示をする構成となっている。従って、フットスイッチの形式が感知空間を有しない型式のもの、例えば作業者Hが上方から足踏みする型式のフットスイッチでは、作業者Hが塵芥Gの積込作業中に誤ってそのフットスイッチを足操作したり、塵芥投入口4に投入しようとした塵芥Gがフットスイッチ30に当たって操作されてしまったりする懸念が高くなるが、本実施形態の感知空間30bを有するフットスイッチ30では、そのような懸念がなく、テールゲート5を誤って上昇又は下降動作させることを効果的に低減することが可能である。
【0071】
加えて、塵芥収集車100にはPTOスイッチ(動力源スイッチ)63が備えられ、制御装置80は、このPTOスイッチ63のオン操作により塵芥積込装置8の動力源(油圧ポンプP)がオンされた(PTOが接続状態となった)ことを条件として、フットスイッチ30を有効にするように構成されている。すなわち、塵芥収集車100が停車し、PTOにより塵芥積込装置8の動作が可能となった状況になって初めてフットスイッチ30が有効になる。従って、塵芥投入箱3内に塵芥Gを積み込もうと作業者Hが塵芥投入口4を全開にする際には、フットスイッチ30の足操作によりテールゲート5を確実に上昇動作させることができる。しかも、PTOスイッチ63のオフ操作時、すなわち、塵芥収集車100の走行時には、フットスイッチ30が無効になるので、塵芥収集車100の走行時にテールゲート5が不用意に上昇動作して塵芥投入口4が開くことを有効に防止することが可能である。
【0072】
また、塵芥収集車100には積込ボタン65が備えられ、制御装置80は、前記積込ボタン65のオン操作により塵芥積込装置8が動作していることを条件として、フットスイッチ30を無効にするように構成されている。従って、積込ボタン65を操作することにより、塵芥投入口4が開いた状態で塵芥積込装置8が動作している状況では、フットスイッチ30が無効になるので、たとえフットスイッチ30が誤って足操作されたとしても、テールゲート5は不用意に下降動作せず、作業者Hによる塵芥Gの積込作業を混乱させることが防止される。
【0073】
更に、制御装置80は、PTOスイッチ63のオフ操作により塵芥積込装置8の動力源(油圧ポンプP)がオフされた(PTOが切断状態になった)ことを条件として、塵芥投入口4を全閉にするようテールゲート5を下降制御すると共に、フットスイッチ30を無効にするように構成されている。従って、塵芥投入箱3内への塵芥Gの積込作業が終了した後では、テールゲート5により塵芥投入口4が全閉にされると共に、フットスイッチ30が無効にされるので、塵芥積込作業の終了後に塵芥収集車100が走行し始めても、塵芥投入口4が開いたまま走行することが確実に防止されると共に、走行中に後輪が巻き上げた道路上の異物等がフットスイッチ30の感知空間30b内に入って誤動作することが防止されて、テールゲート5が不用意に上昇動作することを有効に防止することができる。
【0074】
-その他の実施形態-
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0075】
前記実施形態では、フットスイッチ30を緊急停止プレート62の左側方に配置したが、この配置に代えて緊急停止プレート62の右側方に配置し、又は、左側方及び右側方の両方にフットスイッチ30を配置してもよい。
【0076】
更に、前記実施形態では、感知空間30bを有するフットスイッチ30を用いたが、その他、感知空間を有しない他の形式のフットスイッチを用いてもよい。
【0077】
また、前記実施形態では、塵芥積込装置8の動力源となる油圧ポンプPは、PTOを介してエンジン動力が伝達されるように構成されていると共に、テールゲート5を上昇及び下降動作させるための油圧シリンダ45は、油圧ポンプPとは別の電動油圧ポンプユニット50によって駆動されるように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、塵芥積込装置8の動力源となる油圧ポンプPから作動油を、テールゲート5動作用の油圧シリンダ45に送るように構成してもよい。
【0078】
更に、テールゲート5を上昇及び下降動作させる構成として、開閉アーム43を油圧シリンダ45によって動作させる油圧式の開閉機構としたが、これに限定されずその他、開閉アーム43をモータにより直接動作させる電動式の開閉機構としてもよい。
【0079】
加えて、前記実施形態では、塵芥積込装置8は、回転板10と押込板20とを有する回転板式の塵芥積込装置で構成したが、これに限定されるものでなく、摺動板と、その摺動板の下端部の圧縮板とを有する、いわゆるプレス式の塵芥積込装置で構成してもよい。
【0080】
また、前記実施形態では、塵芥積込装置8の動力源は油圧ポンプPであり、PTOを介して油圧ポンプPにエンジンの動力を伝達するように構成したが、これに限定されるものでなく、例えば、油圧ポンプPを電動モータによって駆動する、いわゆる電動塵芥収集車にも本発明は適用可能である。
【0081】
更に、前記実施形態では、塵芥積込装置8の動作制御に制御装置80を用い、テールゲート5の開閉制御にも前記制御装置80を用いたが、その他、塵芥積込装置8の動作制御用とテールゲート5の開閉制御とにそれぞれ個別の制御装置を用いてもよい。
【0082】
また、前記実施形態では、緊急停止操作部としての緊急停止プレート62が広面積の四角形状に形成されていたが、緊急停止操作部の形状はこれに限定されるものでなく、例えば、棒状に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、塵芥投入箱の内部に配設された塵芥積込装置と、前記塵芥投入箱の後端に開口する塵芥投入口を開閉する開閉扉とを備えた塵芥収集車に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
4 塵芥投入口
5 テールゲート(開閉扉)
8 塵芥積込装置
G 塵芥
30 フットスイッチ(足操作スイッチ)
30b 感知空間
62 緊急停止プレート(緊急停止操作部)
63 PTOスイッチ(動力源スイッチ)
64 積込排出切換スイッチ
65 積込ボタン
80 制御装置
100 塵芥収集車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9