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特開2024-4195鮮度維持期間予測装置、選果機、鮮度維持期間予測方法、鮮度維持期間予測プログラム、及びデータ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004195
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】鮮度維持期間予測装置、選果機、鮮度維持期間予測方法、鮮度維持期間予測プログラム、及びデータ構造
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240109BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103729
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫一
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 一騎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】青果物の所定の鮮度が維持される期間を予測する鮮度維持期間予測装置を提供する。
【解決手段】鮮度維持期間予測装置10は、青果物が収穫された後、青果物の選別地において取得された青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶する記憶部101と、青果物の各個体の前記選別時外観画像に基づいて、青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する出力部102と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶する記憶部と、
前記青果物の各個体の前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する出力部と、
を備える、鮮度維持期間予測装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報とをさらに記憶し、
前記出力部は、前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、請求項1に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記青果物が収穫された産地から想定される輸送地まで輸送される間の輸送期間及び輸送経路における前記青果物の輸送環境の前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記輸送環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記青果物が収穫されてから想定される出荷時まで貯蔵される間の貯蔵期間及び貯蔵中における前記青果物の貯蔵環境の前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記貯蔵環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記環境指標履歴情報として、前記保管環境の温度情報を取得して蓄積した温度履歴情報を蓄積し、
前記出力部は、前記選別時外観画像、前記温度履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて前記青果物に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記環境指標履歴情報として、前記保管環境の湿度情報を取得して蓄積した湿度履歴情報を蓄積し、
前記出力部は、前記選別時外観画像、前記湿度履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいた前記青果物に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、請求項5に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項7】
前記鮮度変化予測情報は、対象となる前記青果物の外観、味、匂い、硬度、成分、食感、糖度、酸度、栄養成分又は重量の少なくともいずれかの変化に応じて更新される、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項8】
前記鮮度変化予測情報は、対象となる前記青果物の積算呼吸量に基づいて更新される、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項9】
前記鮮度変化予測情報は、前記青果物を包装する包装材の材質、特性、厚さ、又は形態の少なくともいずれかの情報を含む、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項10】
前記鮮度変化予測情報は、前記青果物の保管環境における酸素濃度又は二酸化炭素濃度の変化に関する情報を含む、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項11】
前記記憶部は、所定の期間保管された後に取得された前記青果物の各個体の保管後外観画像を記憶し、前記環境指標履歴情報と、前記選別時外観画像と、前記保管後外観画像とを蓄積する、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項12】
機械学習モデルを用いて、前記青果物の各個体の前記選別時外観画像または前記保管後外観画像に対する分析処理を実行する画像分析部と、
前記分析処理の結果に基づいて前記青果物の鮮度維持期間を判断する判断部と、
をさらに備える、請求項11に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項13】
前記判断部の判断結果を用いて、深層学習によって前記機械学習モデルを学習する学習部をさらに備える、請求項12に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項14】
前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、所定の時点から将来の時点に至るまでの前記青果物の鮮度に関する時系列データを予測する予測部をさらに備える、請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項15】
前記出力部は、所定の保管環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持することができると判定された前記青果物の個体の個数または割合を出力する、請求項1又は請求項2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項16】
前記出力部は、前記青果物の各個体の前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体に病変又は虫害により所定の鮮度を維持できない個体である場合は、前記鮮度維持期間予測情報に変えて、又は前記鮮度維持期間予測情報とともに、異常個体情報を出力する、請求項1又は2に記載の鮮度維持期間予測装置。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の鮮度維持期間予測装置を備える選果機。
【請求項18】
前記選別時外観画像を表示する表示部を備え、
前記表示部は、1つの前記選別時外観画像の中に複数の前記青果物の個体が含まれる場合に、前記長期保管可能性判定結果情報に基づいて、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できると判定された前記青果物の個体を特定して表示する、請求項17に記載の選果機。
【請求項19】
プロセッサが、
青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶させ、
前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する、
処理を実行する、鮮度維持期間予測方法。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報と、をさらに記憶させ、
前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、
処理を実行する、請求項19に記載の鮮度維持期間予測方法。
【請求項21】
コンピュータに、
青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶させ、
前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する、
処理を実行させる、鮮度維持期間予測プログラム。
【請求項22】
前記コンピュータに、
前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報と、をさらに記憶させ、
前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する、
処理を実行させる、請求項21に記載の鮮度維持期間予測プログラム。
【請求項23】
青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像と、
前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の保管環境における環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、
前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報と、
を含み、
前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報、及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び前記保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報が出力される、データ構造。
【請求項24】
前記青果物の生産地、生産者、収穫時期、前記青果物の栽培期間における日照量、気温、使用農薬、使用肥料の少なくともいずれかに関する情報を含む生産情報をさらに含み、
前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報、前記鮮度変化予測情報、及び前記生産情報に基づいて前記青果物の各個体が前記保管期間及び前記保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報が出力される、請求項23に記載のデータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鮮度維持期間予測装置、選果機、鮮度維持期間予測方法、鮮度維持期間予測プログラム、及びデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品に付したICタグ等によって、賞味期限又は消費期限といった食品の鮮度に関わる情報を管理する技術がある。例えば、特許文献1には、食品に付したRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取ることでユーザの自宅の冷蔵庫に収納されている食品と、当該食品の賞味期限とを特定し、賞味期限が短い食品を使ったレシピ情報を出力する食品購入管理支援システム等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-242911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る発明は、食品ごとに予め設定した賞味期限に従って鮮度を管理するものであり、収穫された青果物の所定の鮮度が維持される期間を予測するものではない。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、青果物の所定の鮮度が維持される期間を予測する鮮度維持期間予測装置、選果機、鮮度維持期間予測方法、鮮度維持期間予測プログラム、及びデータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある観点によれば、青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶する記憶部と、前記青果物の各個体の前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する出力部と、を備える、鮮度維持期間予測装置が提供される。
【0007】
前記記憶部は、前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報とをさらに記憶し、前記出力部は、前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記青果物が収穫された産地から想定される輸送地まで輸送される間の輸送期間及び輸送経路における前記青果物の輸送環境の前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記輸送環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0009】
前記出力部は、前記青果物が収穫されてから想定される出荷時まで貯蔵される間の貯蔵期間及び貯蔵中における前記青果物の貯蔵環境の前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記貯蔵環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0010】
前記記憶部は、前記環境指標履歴情報として、前記保管環境の温度情報を取得して蓄積した温度履歴情報を蓄積し、前記出力部は、前記選別時外観画像、前記温度履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて前記青果物に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0011】
前記記憶部は、前記環境指標履歴情報として、前記保管環境の湿度情報を取得して蓄積した湿度履歴情報を蓄積し、前記出力部は、前記選別時外観画像、前記湿度履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいた前記青果物に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0012】
前記鮮度変化予測情報は、対象となる前記青果物の外観、味、匂い、硬度、成分、食感、糖度、酸度、栄養成分又は重量の少なくともいずれかの変化に応じて更新されてもよい。
【0013】
前記鮮度変化予測情報は、対象となる前記青果物の積算呼吸量に基づいて更新されてもよい。
【0014】
前記鮮度変化予測情報は、前記青果物を包装する包装材の材質、特性、厚さ、又は形態の少なくともいずれかの情報を含んでもよい。
【0015】
前記鮮度変化予測情報は、前記青果物の保管環境における酸素濃度又は二酸化炭素濃度の変化に関する情報を含んでもよい。
【0016】
前記記憶部は、所定の期間保管された後に取得された前記青果物の各個体の保管後外観画像を記憶し、前記環境指標履歴情報と、前記選別時外観画像と、前記保管後外観画像とを蓄積してもよい。
【0017】
上記鮮度維持期間予測装置は、機械学習モデルを用いて、前記青果物の各個体の前記選別時外観画像または前記保管後外観画像に対する分析処理を実行する画像分析部と、前記分析処理の結果に基づいて前記青果物の鮮度維持期間を判断する判断部と、をさらに備えてもよい。
【0018】
上記鮮度維持期間予測装置は、前記判断部の判断結果を用いて、深層学習によって前記機械学習モデルを学習する学習部をさらに備えてもよい。
【0019】
上記鮮度維持期間予測装置は、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、所定の時点から将来の時点に至るまでの前記青果物の鮮度に関する時系列データを予測する予測部をさらに備えてもよい。
【0020】
前記出力部は、所定の保管環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持することができると判定された前記青果物の個体の個数または割合を出力してもよい。
【0021】
前記出力部は、前記青果物の各個体の前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体に病変又は虫害により所定の鮮度を維持できない個体である場合は、前記鮮度維持期間予測情報に変えて、又は前記鮮度維持期間予測情報とともに、異常個体情報を出力してもよい。
【0022】
また、本開示の別の観点によれば、上記鮮度維持期間予測装置を備える選果機が提供される。
【0023】
上記選果機は、前記選別時外観画像を表示する表示部を備え、前記表示部は、1つの前記選別時外観画像の中に複数の前記青果物の個体が含まれる場合に、前記長期保管可能性判定結果情報に基づいて、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できると判定された前記青果物の個体を特定して表示してもよい。
【0024】
また、本開示の別の観点によれば、プロセッサが、青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶させ、前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する処理を実行する、鮮度維持期間予測方法が提供される。
【0025】
前記プロセッサは、前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報と、をさらに記憶させ、前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する処理を実行してもよい。
【0026】
また、本開示の別の観点によれば、コンピュータに、青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶させ、前記選別時外観画像に基づいて、前記青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する処理を実行させる、鮮度維持期間予測プログラムが提供される。
【0027】
前記コンピュータに、前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報と、をさらに記憶させ、前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力する処理を実行させてもよい。
【0028】
また、本開示の別の観点によれば、青果物が収穫された後、前記青果物の選別地において取得された前記青果物の各個体の画像である選別時外観画像と、前記青果物の保管期間及び保管環境における前記青果物の保管環境における環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報と、前記青果物の種類毎の環境指標履歴と前記青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報と、を含み、前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報、及び前記鮮度変化予測情報に基づいて、前記青果物の各個体が前記保管期間及び前記保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報が出力される、データ構造が提供される。
【0029】
上記データ構造は、前記青果物の生産地、生産者、収穫時期、前記青果物の栽培期間における日照量、気温、使用農薬、使用肥料の少なくともいずれかに関する情報を含む生産情報をさらに含み、前記選別時外観画像、前記環境指標履歴情報、前記鮮度変化予測情報、及び前記生産情報に基づいて前記青果物の各個体が前記保管期間及び前記保管環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報が出力されてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、青果物の選別時外観画像に基づいて、青果物の鮮度が維持される期間を予測する鮮度維持期間予測装置、選果機、鮮度維持期間予測方法、鮮度維持期間予測プログラム、及びデータ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】開示の技術の実施形態に係る鮮度維持期間予測システムの概略構成を示す図である。
図2】鮮度維持期間予測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】鮮度維持期間予測装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図4】記憶部が記憶する環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報の例を示す図である。
図5】鮮度維持期間予測装置による鮮度維持期間予測処理の流れを示すフローチャートである。
図6】鮮度維持期間予測装置による鮮度維持期間予測処理の流れを示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る鮮度維持期間予測装置を備えた選果機の機能構成例を示す図である。
図8】選果機の使用態様例を示す図である。
図9】実施形態に係る鮮度維持期間予測装置の機能を備えたスマートグラスの使用態様例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0033】
図1は、本実施形態に係る鮮度維持期間予測システムの概略構成を示す図である。
【0034】
本実施形態に係る鮮度維持期間予測システムは、鮮度維持期間予測装置10、記憶装置20、及び情報処理装置30からなる。鮮度維持期間予測装置10、記憶装置20、及び情報処理装置30は、インターネット等のネットワークで相互に接続される。
【0035】
鮮度維持期間予測装置10は、収穫された青果物が所定の鮮度を維持できる期間の情報である、鮮度維持期間情報を予測する装置である。鮮度維持期間情報は、青果物の各個体が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む。
【0036】
なお本実施形態では、保管は、移動又は輸送を伴わない長期貯蔵と、移動又は輸送を伴う長期輸送と、の少なくともいずれかを含みうるものである。また、本実施形態では、鮮度維持期間とは、青果物の所定の食感等が維持されている期間をいう。鮮度維持期間予測装置10は、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かを判定する際に、該青果物の選別地で撮像された、該青果物の外観の画像を用いる。ここで青果物の選別地は、青果物が収穫された場所、又は選別場等の青果物が選別される場所を含む。
【0037】
本実施形態では、鮮度維持期間予測装置10による予測対象の青果物は特定のものに限定されないが、例えば、ぶどう、いちご、メロン、アボカド、マンゴー、バナナ、柑橘類、梨、柿、桃、りんご、甘藷、その他野菜又は果物全般が予測対象となり得る。
【0038】
鮮度維持期間予測装置10は、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かを判定する際に、青果物が収穫された産地から消費地まで輸送される間の青果物の保管環境における環境指標の情報を取得して蓄積した環境指標履歴に関する環境指標履歴情報を用いてもよい。また、鮮度維持期間予測装置10は、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かを判定する際に、青果物の種類毎の環境指標履歴と、青果物の鮮度変化との相関に関する鮮度変化予測情報を用いてもよい。
【0039】
環境指標の情報には、例えば、生産地、生産者、収穫時期、栽培履歴(栽培期間における日照量、気温)、使用農薬、使用肥料、輸送履歴、包装材料等の少なくともいずれかを含む生産情報が含まれうる。
【0040】
また、環境指標履歴情報は、例えば、青果物の保管期間及び保管環境の温度情報を取得して蓄積した温度履歴情報であってもよい。環境指標履歴情報は、また例えば、青果物の保管期間及び保管環境の湿度情報を取得して蓄積した湿度履歴情報であってもよい。
【0041】
そして、鮮度維持期間予測装置10は、鮮度維持期間情報を生成し、生成した鮮度維持期間情報に基づいた処理を実行する。例えば、鮮度維持期間予測装置10は、生成した鮮度維持期間情報を外部へ出力する。鮮度維持期間予測装置10が出力した鮮度維持期間予測情報は、例えば情報処理装置30で表示される。
【0042】
記憶装置20は、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報を記憶する。履歴情報取得システム21は、青果物の環境指標履歴情報を取得するシステムである。履歴情報取得システム21は特定の構成に限定されない。例えば履歴情報取得システム21は、青果物が収穫されてから店頭に並ぶまでの、青果物の保管環境における温度、湿度その他の環境指標を定期的に取得して、取得した環境指標を履歴として保持するよう構成されたシステムであり得る。記憶装置20は、履歴情報取得システム21が取得した青果物の環境指標履歴情報を任意のタイミングで取得する。
【0043】
情報処理装置30は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の装置である。情報処理装置30は、青果物の鮮度維持期間の結果を知りたいユーザが使用する装置である。情報処理装置30は、鮮度維持期間予測装置10が生成して出力した鮮度維持期間予測情報を表示する機能を有する。ユーザは、情報処理装置30が表示した鮮度維持期間予測情報を見ることで、当該青果物が長期貯蔵又は輸出可能な青果物であるかどうかを知ることができる。
【0044】
本実施形態に係る鮮度維持期間予測装置10は、青果物の画像から鮮度維持期間を予測し、例えば情報処理装置30へ出力することで、当該青果物が長期貯蔵又は輸出可能な青果物であるかどうかを提供することができる。
【0045】
なお、図1に示した鮮度維持期間予測システムの概略構成では記憶装置20を含んでいたが、本開示は係る例に限定されるものでは無い。鮮度維持期間予測装置10が、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報を記憶していてもよい。
【0046】
図2は、鮮度維持期間予測装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0047】
図2に示すように、鮮度維持期間予測装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0048】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、青果物の鮮度維持期間を予測する鮮度維持期間予測プログラムが格納されている。
【0049】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0050】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0051】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0052】
通信インタフェース17は、記憶装置20、及び情報処理装置30等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0053】
上記の鮮度維持期間予測プログラムを実行する際に、鮮度維持期間予測装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。鮮度維持期間予測装置10が実現する機能構成について説明する。
【0054】
図3は、鮮度維持期間予測装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0055】
図3に示すように、鮮度維持期間予測装置10は、機能構成として、記憶部101、出力部102、予測部103、画像分析部104、判断部105及び学習部106を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された鮮度維持期間予測装置プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0056】
記憶部101は、青果物が収穫された後、当該青果物の選別地において取得された、当該青果物の各個体の画像である選別時外観画像を記憶する。また、記憶部101は、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報を記憶する。なお、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報は、図1に示した記憶装置20に記憶されていてもよい。また、記憶部101は、所定の期間保管された後に取得された青果物の各個体の保管後外観画像を記憶してもよい。記憶部101に記憶された各データは、後述の出力部102によって鮮度維持期間予測情報の出力に用いられる。すなわち、記憶部101に記憶された選別時外観画像、環境指標履歴情報、及び鮮度変化予測情報に基づいて鮮度維持期間予測情報が出力部102によって出力される。
【0057】
図4は、記憶部101が記憶する環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報の例を示す図である。環境指標履歴情報201の各列を説明する。ID列は、青果物を識別する情報を格納する列である。青果物列は、当該IDの青果物の情報を格納する列である。収穫日時列は、当該IDの青果物の収穫日時を格納する列である。環境指標履歴情報列は、当該IDの青果物の環境指標履歴情報を格納する列である。環境指標履歴情報列には、青果物が保管されている環境における環境指標履歴のログが格納されている。
【0058】
鮮度変化予測情報202の各列を説明する。青果物列は、青果物を識別する情報を格納する列である。鮮度変化予測情報列は、当該青果物の鮮度変化予測情報を格納する列である。鮮度変化予測情報は、環境指標履歴と青果物の鮮度変化との相関に関する情報である。
【0059】
鮮度変化予測情報は、青果物を包装する包装材の材質、特性、厚さ、又は形態の少なくともいずれかの情報を含んでもよい。また鮮度変化予測情報は、青果物の収穫時期及び収穫地の情報を含んでもよい。また鮮度変化予測情報は、青果物の保管環境における酸素濃度又は二酸化炭素濃度の変化に関する情報を含んでもよい。
【0060】
鮮度変化予測情報は、対象となる青果物の外観、味、匂い、硬度、成分、食感、糖度、酸度、栄養成分又は重量の少なくともいずれかの変化に応じて更新されてもよい。栄養成分には、例えば鉄、カルシウム、カリウム、ビタミン、食物繊維などの各種成分が含まれ得る。また、鮮度変化予測情報は、対象となる青果物の積算呼吸量に基づいて更新されてもよい。
【0061】
環境指標履歴情報は、例えば、青果物の保管環境の温度情報を取得して蓄積した温度履歴情報であってもよい。環境指標履歴情報は、また例えば、青果物の保管環境の湿度情報を取得して蓄積した湿度履歴情報であってもよい。温度履歴情報は、保管環境における温度の実績値と、保管環境において予め定められた温度条件の固定値と、を合計したものであってもよい。湿度履歴情報は、保管環境における湿度の実績値と、保管環境において予め定められた湿度条件の固定値と、を合計したものであってもよい。
【0062】
出力部102は、記憶部101に記憶された選別時外観画像を用いて、当該青果物の各個体が、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する。例えば、出力部102は、選別時外観画像に対する解析処理を行い、解析処理の結果に基づいて、長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。解析処理は、予め機械学習された学習済みモデルを用いた解析処理であってもよい。出力部102は、鮮度維持期間予測情報を出力する際に、選別時外観画像に加えて、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報を用いてもよい。
【0063】
環境指標履歴情報が温度履歴情報である場合、出力部102は、選別時外観画像、前記温度履歴情報及び鮮度変化予測情報に基づいて当該青果物に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。また環境指標履歴情報が湿度履歴情報である場合、出力部102は、選別時外観画像、湿度履歴情報及び鮮度変化予測情報に基づいて当該青果物に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0064】
出力部102は、青果物が収穫された産地から想定される輸送地まで輸送される間の輸送期間及び輸送経路における当該青果物の輸送環境の環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報に基づいて、当該青果物の各個体が当該輸送環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。輸送環境には、例えば陸路、空路、海路等がある。青果物によって適した輸送環境が異なる場合が考えられるので、出力部102は、当該青果物に対して指定された輸送経路の情報を用いて鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0065】
また、出力部102は、青果物の鮮度維持期間を予測し出力する際に、病気若しくは虫害等に起因する青果物の内部障害、又は、通常よりも早期に軟化してしまい鮮度を失う早期軟化といった、青果物が早期に鮮度を失うことの予兆を、選別時外観画像に基づいて検知し、所定の鮮度を維持できず出荷又は長期保管に適さないと判定される青果物を弁別してもよい。そして出力部102は、出荷又は長期保管に適さないと判定される青果物を弁別した上で、当該青果物の鮮度維持期間予測情報に変えて、又は当該青果物の鮮度維持期間予測情報とともに、病変、虫害、早期軟化等に起因する異常が予想される異常個体であるとする異常個体情報を出力してもよい。その上で、出力部102は、異常個体ではないと判定された青果物を対象として鮮度維持期間を予測し、出力してもよい。
【0066】
また、出力部102は、青果物が収穫されてから想定される出荷時まで貯蔵される間の貯蔵期間及び貯蔵中における当該青果物の貯蔵環境の環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報に基づいて、当該青果物の各個体が当該貯蔵環境において所定の鮮度を維持できる期間に係る鮮度維持期間予測情報を出力してもよい。
【0067】
また、出力部102は、所定の保管環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持することができると判定された予測対象の青果物の個体の個数または割合を出力してもよい。
【0068】
予測部103は、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報に基づいて、所定の時点から将来の時点に至るまでの、予測対象の青果物の鮮度に関する時系列データを予測する。青果物の鮮度に関する時系列データは、例えばX軸を時間、Y軸を鮮度としたグラフで表現可能なデータであってもよい。
【0069】
なお、予測部103は、環境指標履歴情報及び出力部102が出力する鮮度維持期間予測情報に基づいて、青果物の特定の鮮度となる時点(例えば収穫直後を100%とした場合における所定のパーセンテージとなる時点)を予測したり、特定の将来の時点での鮮度を百分率で予測したりしてもよい。予測部103は、人工回帰型ニューラルネットワークによって、青果物の特定の鮮度となる時点を予測してもよい。特定の鮮度は、ユーザによって指定されたものであってもよい。ユーザによる特定の鮮度の指定例を示す。例えば、青果物の異なる追熟状態を撮像した各画像からユーザが好みの画像を選択し、その選択した画像を特定の鮮度と指定できるようにしてもよい。また、ユーザが味、栄養素、食感、香りなどを好みで自由に選択してもよい。例えば甘味、酸味の度合いを百分率でユーザが指定してもよく、星の数などを用いた評価によりユーザが指定してもよい。また、青果物のモデルケースからユーザが選択してもよい。例えば、とても甘くて柔らかい、さっぱりした味で硬め、等のモデルケールの中からユーザが選択してもよい。さらには、過去に保存しておいた、好みの美味しさ、又は調理に適した鮮度を参照出来るようにしてもよい。
【0070】
画像分析部104は、機械学習モデルを用いて、予測対象の青果物の各個体の選別時外観画像または保管後外観画像に対する分析処理を実行する。画像分析部104は、分析処理により、予測対象の青果物が収穫されてから、選別時外観画像または保管後外観画像が撮像されるまでどの程度経過したかを分析する。画像分析部104は、分析処理を実行する際に、予め生成された機械学習モデルを用いて画像を分析する。画像分析部104は、例えば、順伝播型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、その他のニューラルネットワークを用いて分析処理を実行する。
【0071】
画像分析部104は、画像に対する分析処理を実行する際に、画像を赤、緑、青に分解した上で、それぞれの色に対する分析処理を実行してもよい。
【0072】
判断部105は、画像分析部104による選別時外観画像または保管後外観画像に対する分析処理の分析処理の結果に基づいて予測対象の青果物の鮮度維持期間を判断する。判断部105により判断された鮮度維持期間は出力部102により出力される。
【0073】
学習部106は、判断部の判断結果を用いて、深層学習によって、画像分析部104が分析に用いる機械学習モデルを学習する。なお、学習部106は鮮度維持期間予測装置10に含まれていなくてもよく、鮮度維持期間予測装置10とは別の装置が当該機械学習モデルを学習してもよい。
【0074】
また、学習部106が学習する機械学習モデルも鮮度維持期間予測装置10に含まれていなくてもよく、鮮度維持期間予測装置10とは別の装置が当該機械学習モデルを保持してもよい。
【0075】
鮮度維持期間予測装置10は、係る構成を有することで、青果物の選別時外観画像に基づいて、青果物の鮮度が維持される鮮度維持期間を予測することができる。また、鮮度維持期間予測装置10は、係る構成を有することで、予測対象の青果物の各個体の選別時外観画像または保管後外観画像に対する分析処理のための機械学習モデルを学習することができる。
【0076】
次に、鮮度維持期間予測装置10の作用について説明する。
【0077】
図5は、鮮度維持期間予測装置10による鮮度維持期間予測処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から鮮度維持期間予測プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、鮮度維持期間予測処理が行なわれる。
【0078】
CPU11は、ステップS101において、鮮度維持期間の予測対象の青果物が収穫された後、青果物の選別地において取得された当該青果物の各個体の画像である選別時外観画像を取得する。
【0079】
ステップS101に続いて、CPU11は、ステップS102において、取得した選別時外観画像を用いて、当該青果物の鮮度維持期間を予測する。CPU11は、鮮度維持期間の予測に際して、機械学習モデルを用いて、取得した選別時外観画像の分析処理を行ってもよい。CPU11は、選別時外観画像の分析処理により、予測対象の青果物が収穫されてから、選別時外観画像が撮像されるまでどの程度経過したかを分析する。
【0080】
ステップS102に続いて、CPU11は、ステップS103において、予測対象の青果物の各個体が、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する。
【0081】
図6は、鮮度維持期間予測装置10による鮮度維持期間予測処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から鮮度維持期間予測プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、鮮度維持期間予測処理が行なわれる。
【0082】
図6に示したフローチャートは、選別時外観画像だけでなく、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報を用いて鮮度維持期間予測情報を出力する鮮度維持期間予測処理の例である。
【0083】
CPU11は、ステップS111において、鮮度維持期間の予測対象の青果物が収穫された後、青果物の選別地において取得された当該青果物の各個体の画像である選別時外観画像を取得する。
【0084】
ステップS111に続いて、CPU11は、ステップS112において、予測対象の青果物の環境指標履歴情報を取得する。予測対象の青果物の環境指標履歴情報は例えば記憶部101に記憶されている。
【0085】
ステップS112に続いて、CPU11は、ステップS113において、予測対象の青果物の鮮度変化予測情報を取得する。予測対象の青果物の鮮度変化予測情報は例えば記憶部101に記憶されている。
【0086】
ステップS113に続いて、CPU11は、ステップS114において、取得した選別時外観画像、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報を用いて、当該青果物の鮮度維持期間を予測する。CPU11は、鮮度維持期間の予測に際して、機械学習モデルを用いて、取得した選別時外観画像の分析処理を行ってもよい。CPU11は、選別時外観画像の分析処理により、予測対象の青果物が収穫されてから、選別時外観画像が撮像されるまでどの程度経過したかを分析する。
【0087】
ステップS114に続いて、CPU11は、ステップS115において、予測対象の青果物の各個体が、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの長期保管可能性判定結果情報を含む鮮度維持期間予測情報を出力する。
【0088】
鮮度維持期間予測装置10は、係る処理を有することで、青果物の選別時外観画像に基づいて、青果物の鮮度が維持される鮮度維持期間を予測することができる。また、鮮度維持期間予測装置10は、係る処理を有することで、青果物の選別時外観画像に加え、環境指標履歴情報及び鮮度変化予測情報に基づいて、青果物の鮮度が維持される鮮度維持期間を予測することができる。
【0089】
本実施形態に係る鮮度維持期間予測装置10を備える装置、又は、本実施形態に係る鮮度維持期間予測装置10の機能を備える装置の例を説明する。
【0090】
図7は、本実施形態に係る鮮度維持期間予測装置10を備えた選果機の機能構成例を示す図である。図7に示した選果機1は、仕分け対象の青果物の画像を撮像して選別時外観画像を得て、選別時外観画像を鮮度維持期間予測装置10に入力することで、当該青果物が長期保管可能な個体かどうかを仕分ける機械である。図7に示した選果機1は、鮮度維持期間予測装置10、制御装置40及び表示装置41を備える。
【0091】
制御装置40は、選果機1の動作を制御する装置である。制御装置40は、鮮度維持期間予測装置10が出力する鮮度維持期間予測情報に基づいて、仕分け対象となる青果物を仕分ける制御を行う。
【0092】
表示装置41は、選果機1による青果物の仕分け結果に関する情報を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。表示装置41は、青果物の仕分け結果に関する情報として、当該青果物が所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できる個体であるか否かの情報を表示する。
【0093】
仕分け対象の青果物が複数存在した場合、表示装置41は、所定の環境で所定の期間を超えて所定の鮮度を維持できると判定された青果物の個体を特定して表示してもよい。なお、仕分け対象の青果物が複数存在した場合、選果機1は、青果物の撮像時に個体を認識する処理を行う。選果機1による個体の認識処理は特定のものに限定されないが、例えば青果物自体に、又は青果物の包装に予め付与された識別コードの認識により、選果機1は青果物の個体を認識してもよい。
【0094】
図8は、選果機1の使用態様例を示す図である。選果機1は、ベルトコンベアで搬送される青果物を撮像して選別時外観画像を得て、選別時外観画像を鮮度維持期間予測装置10に送る。そして選果機1は、鮮度維持期間予測装置10から鮮度維持期間予測情報を取得し、鮮度維持期間予測情報に基づいて、対象の青果物が長期保管可能な個体か否かを仕分ける。
【0095】
長期保管可能な個体は、輸出又は長期貯蔵が可能な青果物として仕分けられ、長期保管不可能な個体は、早期販売又は加工が望ましい青果物として仕分けられる。長期保管が可能な個体は、例えば出荷時期を調整することにより、多量に同種の成果物が市場に出回る、いわゆる旬の時期よりも高価に販売できることが期待される。また。長期保管が可能な個体は、例えば海外に輸出することで、国内で販売するよりも付加価値を付けて販売することが期待される。
【0096】
図9は、本実施形態に係る鮮度維持期間予測装置10の機能を備えたスマートグラスの使用態様例を示す図である。
【0097】
図9に示したスマートグラス5は、右目ディスプレイ50R及び左目ディスプレイ50Lを備える。ユーザがスマートグラス5を装着し、スマートグラス5の図示しない撮像装置で青果物6を撮像すると、スマートグラス5は、撮像された青果物6の鮮度維持期間予測情報を取得し、青果物6の位置に応じて右目ディスプレイ50R又は左目ディスプレイ50Lに鮮度維持期間予測情報を表示する。図9の例では右目ディスプレイ50Rに鮮度維持期間予測情報51が表示されている。
【0098】
このように鮮度維持期間予測情報51を右目ディスプレイ50R又は左目ディスプレイ50Lに表示することで、スマートグラス5は、例えば青果物の収穫地において、その場で長期保管可能な個体か否かをユーザに提示することができる。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらの変更例または修正例についても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
また、上記実施形態において記載された効果は、説明的又は例示的なものであり、上記実施形態において記載されたものに限定されない。つまり、本開示に係る技術は、上記実施形態において記載された効果とともに、又は上記実施形態において記載された効果に代えて、上記実施形態における記載から、本開示の技術分野における通常の知識を有する者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0101】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した鮮度維持期間予測処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、鮮度維持期間予測処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0102】
また、上記各実施形態では、鮮度維持期間予測処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 選果機
5 スマートグラス
50R 右目用ディスプレイ
50L 左目用ディスプレイ
6 青果物
10 鮮度維持期間予測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9