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  • 特開-二次アセテート発酵 図1
  • 特開-二次アセテート発酵 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041953
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】二次アセテート発酵
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/00 20060101AFI20240319BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/52 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/62 20220101ALI20240319BHJP
   C12P 7/02 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/26 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/06 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/28 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/16 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/18 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 5/02 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/40 20060101ALI20240319BHJP
   C12P 7/04 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20240319BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240319BHJP
   C12N 1/16 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C12P1/00 Z
C12P1/04 Z
C12P1/02 D
C12P21/00 B
C12P7/52
C12P7/62
C12P7/02
C12P7/26
C12P7/06
C12P7/28
C12P7/16
C12P7/18
C12P5/02
C12P7/40
C12P7/04
C12N1/00 B
C12N1/20 A
C12N1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024005401
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2021565708の分割
【原出願日】2020-07-24
(31)【優先権主張番号】62/878,528
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/986,940
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,シーン デニス
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,アラン ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド,ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー,ジェームス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,アレクサンダー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】トラン,ローン フォン
(72)【発明者】
【氏名】コェプケ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ミハルチェア,クリストフ ダニエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二酸化炭素の有用な生成物への固定方法の提供。
【解決手段】COから、又はCO2及びH2から少なくとも1つの標的生成物を生成する方法は、i.少なくともCO、又は少なくともCO2及びH2を含むガス状基質を、第1の液体栄養培地中に少なくとも1つの第1の微生物の培養物を含有する第1のバイオリアクターの中に導入し、ガス状基質を嫌気的に発酵させて、第1の発酵ブロスにおいて、エタノール、ラクテート、及び2,3-ブタンジオールから選択される少なくとも1つの第1の生成物を生成すること、ii.第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、第2の液体栄養培地中に少なくとも1つの第2の微生物の培養物を含有する第2のバイオリアクターに移すことであって、第2の微生物は、第1の微生物とは異なる種であること、及び1の生成物を好気性発酵させて、第2の発酵ブロスにおいて少なくとも第1の標的生成物を生成することを行うこととを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
COおよび任意選択でHから、またはCOおよびHから少なくとも1つの標的生
成物を生成するための方法であって、
i.少なくともCOおよび任意選択でH、または少なくともCOおよびHを含む
ガス状基質を、第1の液体栄養培地中に少なくとも1つの第1の微生物の培養物を含有す
る第1のバイオリアクターの中に導入し、前記ガス状基質を嫌気的に発酵させて、第1の
発酵ブロスにおいて第1の生成物としてアセテートを生成することであって、前記第1の
微生物は、Wood-Ljungdahl経路の酵素を発現する、ことと、
ii.前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、第2の液体栄養培地中の少なくとも
1つの第2の微生物の培養物を含有する第2のバイオリアクターに移すことであって、前
記第2の微生物は、前記第1の微生物とは異なる種である、こと、および前記第1の生成
物を発酵させて、第2の発酵ブロスにおいて少なくとも第1の標的生成物を生成すること
を行うことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の液体栄養培地が、前記第2の微生物によって利用されるが、前記第1の微生
物によって利用されないある量の栄養素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の液体栄養培地が、前記第2の微生物によって利用されるが、前記第1の微生
物によって利用されない栄養素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の液体栄養培地が、前記第1の発酵ブロスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の発酵ブロスが、前記第1のバイオリアクターに再び移される、請求項1に記
載の方法。
【請求項6】
前記第1の標的生成物が、単一細胞タンパク質、3-ヒドロキシプロピオネート、ポリ
ヒドロキシアルカノエート、C~C20アルコール、有機酸、ケトン、および脂質から
選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の発酵ブロスが、2,3-ブタンジオールをさらに含む、請求項1に記載の方
法。
【請求項8】
前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第2のバイオリアクターに移す前に、
アセテートまたは第2の生成物が、前記第1の発酵ブロスから取り出される、請求項1に
記載の方法。
【請求項9】
前記第2のバイオリアクターにおける発酵後、前記第1のバイオリアクターで生成され
た第2の生成物が、前記第2の発酵ブロスから分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のバイオリアクター、前記第2のバイオリアクター、または前記第1のバイオ
リアクターおよび前記第2のバイオリアクターにおける前記培養物が、共培養物を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の標的生成物が、脂質ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の標的生成物が、エタノール、アセトン、プロパノール、ブタノール、2,3
-ブタンジオール、アセテート、ブチレート、プロピオネート、カプロエート、プロピレ
ン、ブタジエン、イソブチレン、イソブチルアセテート、ポリヒドロキシアルカノエート
、スクシネート、メバロネート、イタコン酸、モネリン、およびエチレンから選択される
、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
i.前記第2のバイオリアクターから少なくともCOおよびOを含む排ガスを得る
工程と、
ii.前記排ガスから前記Oの少なくとも一部を取り出して、O枯渇排ガスを形成
する工程と、
iii.前記O枯渇排ガスの少なくとも一部を、前記第1のバイオリアクターに再循
環させる工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記排ガスからの前記Oの少なくとも一部の前記取り出しが、圧力スイング吸着、膜
分離、塩基性溶液によるスクラビング、溶媒を使用する吸収、またはこれらの任意の組み
合わせのうちの1つ以上の段階を使用して達成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記排ガスからの前記Oの少なくとも一部の前記取り出しに由来する前記Oを、前
記第2のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のバイオリアクターにおける前記少なくとも1つの第1の微生物が、Acet
obacterium、Moorella、Clostridium、Pyrococc
us、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxyd
othermus Acetogenium、Acetoanaerobium、But
yribacterium、Peptostreptococcus、Ruminoco
ccus、Oxobacter、およびMethanosarcinaから選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のバイオリアクターにおける少なくとも1つの第1の微生物が、Acetob
acterium woodiiである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のバイオリアクターにおける少なくとも1つの第1の微生物が、Clostr
idium autoethanogenum、Clostridium ljungd
ahlii、およびまたはClostridium ragsdaleiから選択される
、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
栄養素が、前記第1の液体栄養培地に添加されて、前記第1の発酵ブロスにおける第2
の生成物の生成を増加させ、前記第2の生成物が、前記第2のバイオリアクターへと、前
記第1の発酵ブロスの前記一部として移され、前記第2のバイオリアクターにおいてバイ
オマス生成を刺激するか、または前記第2のバイオリアクターにおいて発酵されて、前記
第1の標的生成物または第2の標的生成物を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
COおよび任意選択でH、またはCOおよびHを含むガス流を、前記第1のバイ
オリアクターから回収し、前記ガス流を前記第1のバイオリアクターに再循環させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第1のバイオリアクターに再循環させ
ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第2のバイオリアクターに通す前に、
前記第1の発酵ブロスから前記第1の微生物を取り出し、前記第1の微生物を、前記第1
のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の発酵ブロスから前記第2の微生物を取り除き、前記第2の微生物を前記第2
のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
電解槽を使用して、前記ガス状基質においてHの少なくとも一部および/または前記
第2のバイオリアクターの中に導入されるOの少なくとも一部を発生させることをさら
に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の微生物が、酵母である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の微生物が、Escherichia coliである、請求項1に記載の方
法。
【請求項27】
前記第2のバイオリアクターにおける培養物が、共培養物を含む、請求項1に記載の方
法。
【請求項28】
前記第2の発酵が、好気性である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/878,528
号および2020年3月9日に出願された第62/986,940号の利益を主張する。
これらの仮出願の内容は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ガスをアセテートに変換する一次発酵と、アセテートを標的生成物に変換す
る二次発酵との組み合わせに関する。例えば、ガスは、二酸化炭素を含有することができ
、その結果、当該開示は有用な生成物への二酸化炭素の固定を可能にする。
【背景技術】
【0003】
差し迫った気候変動を緩和するには、石炭や石油などの化石燃料の燃焼によって発生す
る温室効果ガス(GHG)の排出を大幅に削減する必要がある。化学物質および輸送用燃
料の持続可能な供給源は、現在、化石炭素への依存を大幅に置き換えるには不十分である
が、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、および/または水素(H)などのガ
スを、生物学的に固定し、持続可能な燃料や化学物質を生成するための代替プラットフォ
ームとしてガス発酵が近年注目されている。特に、ガス発酵技術は、ガス化有機物(例え
ば、都市固形廃棄物または農業廃棄物)または産業廃棄物ガス(例えば、製鉄所または石
油精製所からの産業廃棄物ガス)を含む広範囲な原料を利用して、エタノール、ジェット
燃料、および様々な他の生成物を生成することができる。ガス発酵だけで原油使用量の3
0%を置き換え、世界のCO排出量を10%削減することができるが、あらゆる革新的
な技術と同様に、この可能性が完全に達成されるまでには多くの技術的課題が残されてい
る。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本開示は、COおよび任意選択でH、またはCOおよびHから
少なくとも1つの標的生成物を生成するための方法である。少なくともCOおよび任意選
択でH、またはCOおよびHを含むガス状基質を、第1の液体栄養培地中の少なく
とも1つの第1の微生物の培養物を含有する第1のバイオリアクターに導入する。ガス状
基質は嫌気的に発酵して、第1の発酵ブロスにおいて第1の生成物としてアセテートを生
成する。第1の微生物は、Wood-Ljungdahl経路の酵素を発現する。第1の
発酵ブロスの少なくとも一部を、第2の液体栄養培地中の少なくとも1つの第2の微生物
の培養物を含有する第2のバイオリアクターに移す。第2の微生物は、第1の微生物とは
異なる種である。第1の生成物を発酵させると、第2の発酵ブロスにおいて少なくとも第
1の標的生成物が生成される。
【0005】
他の実施形態および運転のオプションが可能である。これらのうちのいくつかについて
は、以下で詳しく考察する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】COと任意選択のH、またはCOとHから標的生成物を生成するための二発酵槽システムを有する本開示の一実施形態の線図であり、CO流は、第2のバイオリアクターから第1のバイオリアクターに再循環される。任意選択で、CO流を処理して、酸素を除去し、実質的に無酸素のCO流を形成する。
図2】COと任意選択のH、またはCOとHから標的生成物を生成するための二発酵槽システムを有する本開示の一実施形態の線図であり、CO流は、第2のバイオリアクターから一次バイオリアクターに再循環される。任意選択で、一次バイオリアクターに再循環させる前に、CO流を処理して、酸素を除去し、実質的に無酸素のCO流を形成する。さらに、図2は、別のさらなる実施形態として、一次バイオリアクターで使用されるHの少なくとも一部および二次バイオリアクターで使用されるOの少なくとも一部を発生させるために使用される水電解槽を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
説明
本開示は、ガスをアセテートに変換する一次発酵(第1段階発酵)と、アセテートを標
的生成物に変換する二次発酵(第2段階の発酵)との組み合わせに関する。
【0008】
一次発酵
一次発酵は、ガスをアセテートに変換することができる微生物(「一次微生物」)を使
用する。一次発酵は、類似または補完的な成長要件を有する2つのそのような生物の共培
養であり得る。したがって、一次発酵は、純粋培養または混合培養を含み得る。
【0009】
一次微生物は、例えば、Acetobacterium、Acetoanaerobi
um、Alkalibaculum、Blautia、Butyribacterium
、Clostridium、Desulfobacterium、Eubacteriu
m、Methanosarcina、Moorella、Oxobacter、Pept
ostreptococcus、Pyrococcus Ruminococcus、S
poromusa、およびThermoanaerobacterから選択され得る。具
体的には、一次微生物は、Acetobacterium woodii、Alkali
baculum bacchii、Blautia producta、Butyrib
acterium methylotrophicum、Carboxydotherm
us acetogenium、Clostridium aceticum、Clos
tridium autoethanogenum、Clostridium carb
oxidivorans、Clostridium coskatii、Clostri
dium drakei、Clostridium formicoaceticum、
Clostridium ljungdahlii、Clostridium magn
um、Clostridium ragsdalei、Clostridium sca
tologenes、Eubacterium limosum、Moorella t
hermautotrophica、Moorella thermoacetica、
Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata、Spor
omusa silvacetica、Sporomusa sphaeroides、
およびThermoanaerobacter kiuviからなる群から選択される親
細菌から誘導され得る。一次微生物はまた、Acetitomaculum rumin
is、Acetoanaerobium noterae、Acetobacteriu
m bakii、Acetobacterium carbinolicum、Acet
obacterium dehalogenans、Acetobacterium f
imetarium、Acetobacterium malicum、Acetoba
cterium paludosum、Acetobacterium tundrae
、Acetobacterium wieringae、Acetobacterium
woodii、Acetohalobium arabicum、Acetonema
longum、Blautia coccoides、Blautia hydrog
enotrophica、Blautia producta、Blautia sch
inkii、Butyribacterium methylotrophicum、C
lostridium aceticum、Clostridium autoetha
nogenum、Clostridium carboxidivorans、Clos
tridium drakei、Clostridium formicoacetic
um、Clostridium glycolicum、Clostridium lj
ungdahlii、 Clostridium magnum、Clostridiu
m mayombei、Clostridium methoxybenzovoran
s、Clostridium ragsdalei、Clostridium scat
ologenes、Eubacterium aggregans、Eubacteri
um limosum、Moorella mulderi、Moorella the
rmoacetica、Moorella thermoautotrophica、O
xobacter pfennigii、Sporomusa acidovorans
、Sporomusa aerivorans、Sporomusa malonica
、Sporomusa ovata、Sporomusa paucivorans、S
poromusa rhizae、Sporomusa silvacetica、Sp
oromusa spaeroides、Sporomusa termitida、T
hermoacetogenium phaeum、Thermoanaerobact
er kivui、Acetobacterium、Moorella、Moorell
a sp HUC22-1、Moorella thermoacetica、Clos
tridium、Clostridium carboxidivorans、Clos
tridium drakei、CIostridium acidiurici、Py
rococcus、Pyrococcus furiosus、Eubacterium
、Eubacterium limosum、Desulfobacterium、Ca
broxydothermus、Acetogenium、Acetoanaerobi
um、Butyribaceterium、Butyribacterium meth
ylotrophicum、Peptostreptococcus、Ruminoco
ccus、Oxobacter、Oxobacter pfennigii、Metha
nosarcina、Carboxydothermus、Eubacterium l
imosum、Desulfotomaculum orientis、Peptoco
ccus glycinophilus、Peptococcus magnus、Ig
nicoccus hospitalis、Thermoanaerobacter k
ivui、およびThermoacetogenium phaeumからも選択され得
る。微生物はまた、Schiel-Bengelsdorf,FEBS Letters
586:2191-2198,2012の表1に列記されているものから選択すること
もできる。
【0010】
一実施形態では、一次微生物は、Acetobacterium woodii、Cl
ostridium autoethanogenum、Clostridium lj
ungdahlii、またはClostridium ragsdaleiである。
【0011】
一実施形態では、一次微生物は、Wood-Ljungdahl微生物である。「Wo
od-Ljungdahl」とは、例えば、Ragsdale,Biochim Bio
phys Acta,1784:1873-1898,2008に記載されている炭素固
定のWood-Ljungdahl経路を指す。「Wood-Ljungdahl微生物
」とは、Wood-Ljungdahl経路を含有する微生物を指し、経路の酵素を発現
する。一次微生物は、しばしば、Wood-Ljungdahl経路を含有している。
【0012】
一実施形態では、一次微生物はアセトゲンである。「アセトゲン」は、エネルギー節約
のため、およびアセテートなどのアセチル-CoAおよびアセチル-CoA由来生成物の
合成のためのその主要機構としてWood-Ljungdahl経路を使用する、偏性嫌
気性細菌である(Ragsdale,Biochim Biophys Acta,17
84:1873-1898,2008)。特に、アセトゲンはWood-Ljungda
hl経路を、(1)COからのアセチルCoAの還元的合成のメカニズム、(2)末端
電子受容、エネルギー節約プロセス、(3)セル炭素の合成におけるCOの固定(同化
)のメカニズム(Drake、Acetogenic Prokaryotes、In:
The Prokaryotes、3rd edition、p.354、New Yo
rk、NY、2006)として使用する。天然に存在するすべてのアセトゲンは、C1固
定、嫌気性、独立栄養性、および非メタン資化性である。
【0013】
一次微生物は、炭素および/またはエネルギーを提供する基質(「一次基質」)を消費
することができる。典型的には、一次基質は、ガス状であり、C1炭素源、例えば、CO
、CO、および/またはCHを含む。一実施形態では、一次基質は、COまたはCO
+COのC1炭素源を含む。一次基質は、H、Nまたは電子などの他の非炭素成分
をさらに含み得る。
【0014】
一実施形態では、一次基質は、COおよびHを含む。別の実施形態では、Hは、
再生可能なHである。例えば、一次基質は、約1~80または1~30モル%のCO
を含み得る。いくつかの実施形態では、一次基質は、約20、15、10、または5モル
%未満のCOを含み得る。例えば、一次基質は、約1、2、5、10、15、20、ま
たは30モル%のHを含み得る。いくつかの実施形態では、一次基質は、約60、70
、80、または90モル%のHなど、比較的多量のHを含み得る。一次気質は、いく
らかの量のCOおよび/またはいくらかの量の不活性ガス、例えば、Nも含み得る。
【0015】
一次基質は、産業プロセスの副産物として、または自動車の排気ガスやバイオマスガス
化などのいくつかの他の供給源から、得られる廃ガスであり得る。ある特定の実施形態で
は、産業プロセスは、鉄金属製品製造、例えば、製鉄所製造、非鉄金属製品製造、石油精
製、石炭ガス化、電力生成、カーボンブラック生成、アンモニア生成、メタノール生成、
およびコークス製造からなる群から選択される。これらの実施形態では、基質および/ま
たはC1炭素源は、任意の簡便な方法を使用して、それが大気中に放出される前に産業プ
ロセスから捕捉されてもよい。
【0016】
一次基質はまた、合成ガス、例えば、石炭または製油所の残留物のガス化、バイオマス
またはリグノセルロース材料のガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガス
でもあり得る。別の実施形態では、合成ガスは、都市固形廃棄物または産業固形廃棄物の
ガス化から得られてもよい。
【0017】
基質の組成は、反応の効率および/またはコストに著しい影響を及ぼし得る。例えば、
酸素(O)の存在は、嫌気性発酵プロセスの効率を低下させる可能性があり、しばしば
、一次発酵は嫌気性で行われることになる。基質の組成に応じて、基質を処理、スクラブ
、または濾過して、毒素、望ましくない成分、またはちり粒子などのいかなる望ましくな
い不純物も除去すること、および/または所望の成分の濃度を増加させることが望ましく
あり得る。
【0018】
ある特定の実施形態では、CO電解槽を使用して、一次基質として使用されるCOの
少なくとも一部、および任意選択で二次発酵で使用される任意のOの一部を、発生させ
ることができる。
【0019】
特定の実施形態では、一次発酵は、糖、デンプン、リグニン、セルロース、またはヘミ
セルロースなどの炭水化物基質の不在下で実施される。
【0020】
一次発酵により、少なくとも1つの生成物(「一次生成物」)が生成される。典型的に
は、この生成物はアセテートであるが、一次発酵によって、エタノール、ラクテート、2
,3-ブタンジオールなどの追加の生成物も生成され得る。単一の細胞タンパク質などの
微生物バイオマスも、動物飼料および肥料に適用できる可能性があるため、生成物と見な
すこともできる。重要なことに、「アセテート」および「酢酸」という用語は、本明細書
では交換可能に使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、一次発酵は、エタノール(WO2007/117157)、
アセテート(WO2007/117157)、1-ブタノール(WO2008/1150
80、WO2012/053905、およびWO2017/066498)、ブチレート
(WO2008/115080)、2,3-ブタンジオール(WO2009/15134
2およびWO2016/094334)、ラクテート(WO2011/112103)、
ブテン(WO2012/024522)、ブタジエン(WO2012/024522)、
メチルエチルケトン(2-ブタノン)(WO2012/024522およびWO2013
/185123)、エチレン(WO2012/026833)、アセトン(WO2012
/115527)、イソプロパノール(WO2012/115527)、脂質(WO20
13/036147)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)(WO2013/1
80581)、テルペン、例えば、イソプレン(WO2013/180584)、脂肪酸
(WO2013/191567)、2-ブタノール(WO2013/185123)、1
,2-プロパンジオール(WO2014/036152)、1-プロパノール(WO20
17/066498)、1-ヘキサノール(WO2017/066498)、1-オクタ
ノール(WO2017/066498)、コリスメート由来生成物(WO2016/19
1625)、3-ヒドロキシブチレート(WO2017/066498)、1,3-ブタ
ンジオール(WO2017/066498)、2-ヒドロキシイソブチレートまたは2-
ヒドロキシイソ酪酸(WO2017/066498)、イソブチレン(WO2017/0
66498)、アジピン酸(WO2017/066498)、1,3-ヘキサンジオール
(WO2017/066498)、3-メチル-2-ブタノール(WO2017/066
498)、2-ブテン-1-オール(WO2017/066498)、イソバレレート(
WO2017/066498)、イソアミルアルコール(WO2017/066498)
、およびモノエチレングリコール(WO2019/126400)のうちの1つ以上を生
成し得る。
【0022】
二次発酵
二次発酵は、アセテートを生成物に変換することができる微生物(「二次微生物」)を
使用する。二次発酵は、類似または補完的な成長要件を有する2つのそのような生物の共
培養であり得る。したがって、一次発酵は、純粋培養または混合培養を含み得る。二次発
酵は、嫌気性または好気性プロセスとして実施することができる。
【0023】
二次微生物は、アセテートを消費することができる任意の微生物であり得る。二次微生
物は、酵母または細菌種であり得る。二次微生物は、以下の表に列記されているものから
選択することができる:
【表1】
【0024】
二次微生物は、炭素および/またはエネルギーを提供する基質(「二次基質」)を消費
することができる。典型的には、二次基質は、一次発酵によって生成されたアセテートを
含む。しかしながら、二次基質はまた、糖またはデンプンなどの炭素源および/またはエ
ネルギーの追加の供給源も含み得る。特定の実施形態では、アセテートは、二次微生物の
炭素および/またはエネルギー必要量の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくと
も70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも
99%を提供する。しかしながら、いくつかの実施形態では、アセテートは、別の使用の
ために除去することができ、別の基質は、二次発酵を引き起こすことができる。
【0025】
二次発酵は、少なくとも1つの生成物を生成し、それは、本明細書では「標的生成物」
と称することができる。標的生成物は、酵素、例えば、アルファアセトラクテートデカル
ボキシラーゼ、アルファアミラーゼ、カタラーゼ、キモシン、シクロデキストリングルカ
ノトランスフェラーゼ、ベータグルカナーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースオキ
シダーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、マルトジェニックアミラーゼ、プロテアーゼ、プ
ルラナーゼ、キシラナーゼ、またはセルラーゼであり得る。標的生成物は、栄養素または
添加物、例えば、微生物イオマス、例えば、単一細胞タンパク質)、アミノ酸(グルタメ
ート、リジン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、システイン、バリン、
プロリン、アルギニン、ヒスチジン)、脂質、またはビタミン(B12、B2、ビオチン
)であり得る。標的生成物は、ブタノエート、ヘキサノエート、オクタノエート、イソブ
タノール、イソプレン、またはテルペンなどの化学物質であり得る。標的生成物はまた、
例えば、メタン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、3-ヒド
ロキシプロピオネート、C~C20アルコール、有機酸、ケトン、脂質、アセトン、プ
ロパノール、ブタノール、2,3-ブタンジオール、アセテート、ブチレート、カプロエ
ート、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソブチルアセテート、スクシネート、
メバロネート、イタコン酸、モネリン、またはエチレンであり得る。場合によっては、標
的生成物は、他の物を欠く、例えば、脂質を欠くこれらの生成物のうちのまさに1つ以上
であり得る。一実施形態では、標的生成物は、脂質を欠くポリヒドロキシブチレートであ
り得る。別の実施形態では、標的生成物は、脂質を欠くポリヒドロキシアルカノエートで
あり得る。
【0026】
二次生成物または標的生成物はまた、例えば、Lee,Nature Catalys
is,2:18-33,2019によって記載および描写された生成物のいずれかであり
得る。標的生成物は、エタノール(WO2007/117157)、1-ブタノール(W
O2008/115080、WO2012/053905、およびWO2017/066
498)、ブチレート(WO2008/115080)、2,3-ブタンジオール(WO
2009/151342およびWO2016/094334)、ラクテート(WO201
1/112103)、ブテン(WO2012/024522)、ブタジエン(WO201
2/024522)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)(WO2012/02452
2およびWO2013/185123)、エチレン(WO2012/026833)、ア
セトン(WO2012/115527)、イソプロパノール(WO2012/11552
7)、脂質(WO2013/036147)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP
)(WO2013/180581)、テルペン、例えば、イソプレン(WO2013/1
80584)、脂肪酸(WO2013/191567)、2-ブタノール(WO2013
/185123)、1,2-プロパンジオール(WO2014/036152)、1-プ
ロパノール(WO2017/066498)、1-ヘキサノール(WO2017/066
498)、1-オクタノール(WO2017/066498)、コリスメート由来生成物
(WO2016/191625)、3-ヒドロキシブチレート(WO2017/0664
98)、1,3-ブタンジオール(WO2017/066498)、2-ヒドロキシイソ
ブチレートまたは2-ヒドロキシイソ酪酸(WO2017/066498)、イソブチレ
ン(WO2017/066498)、アジピン酸(WO2017/066498)、1,
3-ヘキサンジオール(WO2017/066498)、3-メチル-2-ブタノール(
WO2017/066498)、2-ブテン-1-オール(WO2017/066498
)、イソバレレート(WO2017/066498)、イソアミルアルコール(WO20
17/066498)、およびモノエチレングリコール(WO2019/126400)
のうちの1つ以上であり得る。
【0027】
統合された設計
一次発酵および二次発酵は、互いに、および/または上流もしくは下流のプロセスおよ
びまたは技術と一緒に、何らかの方式で統合され得る。
【0028】
そのような統合の1つは、電気分解とO出力とを統合する。COを生成するためのC
電気分解と、Hを生成するための水の電気分解の両方は、副産物としてOを必然
的に生成する。二段階発酵の文脈では、水の電気分解を使用して、H+CO発酵にお
いてHを提供し、第1段階発酵において酢酸を発生させることができる。大量のO
、水の電気分解からも生成され得る。副産物であるOは、純粋ではない可能性があり、
直ちに販売できる製品ではない場合がある。Oを工業用酸素として販売するには、微量
ガス成分および水分を除去する必要があり、さらに圧縮が必要であろう。しかしながら、
は、好気性発酵において、例えば、第2段階の発酵において、それが好気性発酵であ
る場合は、使用することができる。好気性発酵は、例えば:(1)Trichoderm
a reeseiまたはAspergillus niger、ならびに糸状菌の他の種
によるセルラーゼ(A.nigerについて酢酸での増殖が記録されており、グルコース
および酢酸の同時消費がT.reeseiで記録されている)(2)抗生物質(培養液に
酢酸ならびにグルコースを、pH6.5で与えると、増殖およびペニシリンの産生が上昇
する)、を生成するために使用され得る。
【0029】
第2の段階が酸素を必要としない場合、または過剰な酸素が存在する場合は、様々な製
油所プロセスまたは製鋼プロセスにおいて燃焼を高めるために酸素を使用することができ
る。酸素はガス化にも使用することができる。O供給が増強された製油所バーナーは、
効率が増す(オキシ燃料バーナー)。製鉄所は、鋼の圧延または他のプロセスのために安
価に加熱するために、また、基本的な酸素炉の入力として、廃ガスを使用する。
【0030】
別の統合としては、一次発酵と二次発酵との間の栄養素の統合が挙げられる。過剰なビ
タミン、例えば、ビタミンB群は、ステージ1からステージ2に移行することができよう
。ビタミンB群は、糸状菌において広範囲の加水分解酵素の産生を誘導するのに役立つ。
第2段階の発酵が酵母を微生物として使用する場合、酵母エキスは、成長のための炭素源
および栄養素を提供することができる。酵母エキスは窒素源(8~12重量%の窒素)で
もあり、pH中性源のNであることができる。
【0031】
栄養素統合の別形態は、第1および第2の発酵のために第1および第2の微生物の両方
によって必要とされる特定の栄養素が、両方の発酵に十分な量で第1の栄養培地に添加さ
れる際に行われる。したがって、第1のバイオリアクターからの発酵ブロスが第2のバイ
オリアクターに移されるとき、その特定の栄養素を第2のバイオリアクターに加える必要
がないか、またはその特定の栄養素をそれほど多く加える必要がない。あるいは、特定の
栄養素は、第1の微生物によって必要とされない場合または利用されない場合があり、利
用または消費されることなく、単に第1の発酵において存在するだけである。一実施形態
では、第1の発酵ブロスは、移され、その組成を増強または変更する必要なしに、第2の
発酵の微生物によって利用される。栄養素統合の別の態様は、第2の発酵ブロスを第1の
発酵槽に再循環させて、第2の発酵の残りの栄養素または生成物を第1の発酵で利用する
ことができるようにすることを含む。この態様は、連続培養または流加培養の実施形態の
いずれかで利用することができる。
【0032】
栄養素統合の別の態様は、第1の発酵における栄養素を用いて、第2の発酵における微
生物の増殖にとって、および/または第2の発酵バイオリアクターにおける微生物による
変換にとって有用である、第1の発酵における生成物の産生を誘導または増加させる。し
たがって、第1の発酵ブロスを第2のバイオリアクターに移すと、その中の生成物は、第
2のバイオリアクターでのバイオマス生産を刺激するか、または第2のバイオリアクター
で発酵して、第1もしくは第2の標的生成物を形成する。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態では、第1の微生物は、第1の発酵ブロスを、第2のバイ
オリアクターに移す前に、第1の発酵ブロスから除去されることが望ましい。第1の微生
物の全部または一部を第1のバイオリアクターに再循環させて戻すことが望ましい場合が
ある。他の実施形態では、除去された第1の微生物は、バイオマスとして使用され得る。
同様に、第2の発酵ブロスを第1のバイオリアクターに戻す前に、第2の微生物を第2の
発酵ブロスから除去することが望ましい場合がある。除去された第2の微生物をバイオマ
スとして使用すること、または第2の微生物を第2のバイオリアクターに再循環させて戻
すことが望ましい場合がある。
【0034】
一実施形態では、一次発酵は、二次発酵からのブロスが一次発酵に再循環させて戻され
る場合、二次発酵からの種の増殖を阻害し得る低pHにおいて実行することができよう。
これにより、酸の補償コストも削減されることになる。二次発酵は、一次発酵よりも高い
pHで、理想的には、1を超える完全なpH単位で実行できよう。第1のバイオリアクタ
ーで酸が消費されるときには、pHが上昇するため、より高いpHの第2のリアクター発
酵ブロスを第1のバイオリアクターに移すと、第1のバイオリアクターのpHを調整する
ために供給する必要のあるアンモニアなどの塩基の量が減少する。酵母、大腸菌、および
広範な微生物は、pH7付近で働き、第2のバイオリアクターで使用することができる。
【0035】
別の実施形態では、統合は、例えば、二次発酵から一次発酵への排ガスの再循環であり
得る。一方の発酵からの排ガスは、他の発酵における基質として使用され得るCOおよ
び/またはHを含有し得る。この統合で直面し得る課題は、バイオリアクターの1つが
好気性モードで作動し、もう一方が嫌気性モードで作動する際に生じ得る。理解を容易に
するために、一次発酵が嫌気性であり、二次発酵が好気性である実施形態を説明する。二
次バイオリアクターからの排ガスに存在するOは、排ガスが一次バイオリアクターに再
循環される前に、そのCO含有排ガス流から分離および除去されなければならない。除
去されるOの量は、一次バイオリアクターに通される残りのOが、許容範囲を超えて
一次バイオリアクターの運転に悪影響を及ぼさないように十分であるべきである。分離の
ために好適な技術としては、圧力スイング吸着(PSA)、膜分離、酸性ガス除去技術、
溶媒を使用して吸収するためのアミン、メタノールなどのCO溶媒、COからの極低
温凍結、および塩基性溶液によるスクラビングが挙げられる。分離工程は、窒素の分離も
含み得る。分離工程は、直列または並列の2つ以上の分離段階を含み得る。分離段階は、
同じ技術であっても、異なる技術を用いてもよい。例えば、2つのPSAユニットを直列
にして使用することができる。一実施形態では、第1のPSAを使用してCOを除去し
てもよく、第2のPSAを使用してOを除去し、Nを排除してもよい。分離された酸
素は、二次バイオリアクターに戻してもよい。第1のバイオリアクターに戻して再循環さ
れるガスからOを除去する別の方法は、第2の発酵槽から微生物が供給されるさらに第
3の発酵槽を使用する方法である。この第3の発酵槽は、Oが散布されないことから、
微生物はO飢餓状態になる。第2のバイオリアクターのオフガスがこの第3の容器を通
して導かれる場合、微生物は、残りのOをすべて消費するため、この第3のリアクター
から出るガスは、第1のバイオリアクターに戻すことができる。第3の容器内の微生物は
、第2のバイオリアクターに移される(戻される、再循環される)。第2のバイオリアク
ターから第3の発酵容器への微生物の継続的な通過と戻りがある。
【0036】
別の実施形態では、二次発酵をバッチモードで実行して、バッチ間の洗浄/滅菌を可能
にし、一方、一次発酵を連続的に実行することができる。連続モードまたはバッチモード
で運転するか否かにかかわらず、第2の発酵槽からの発酵ブロスを、一次発酵に再循環さ
せて戻すことができる。この再循環は、二次発酵において存在した未消費の栄養素を利用
するのに有益であり、それによって全体的な運転および栄養素のコストを削減することが
できる。
【0037】
発酵と分離
「発酵」という用語は、基質に化学変化をもたらす代謝プロセスとして解釈されるべき
である。例えば、発酵プロセスは、1つ以上の基質を受け取り、1つ以上の微生物を利用
することによって1つ以上の生成物を生成する。「発酵」という用語は、1つ以上の基質
を受け取り、1つ以上の微生物を利用して1つ以上の生成物を生成するプロセスと解釈さ
れるべきである。好ましくは、発酵プロセスは、1つ以上のバイオリアクターの使用を含
む。発酵プロセスは、「バッチ」または「連続」のいずれかとして説明され得る。「バッ
チ発酵」とは、バイオリアクターが微生物と一緒に原料、すなわち炭素源で満たされ、発
酵が完了するまで生成物がバイオリアクター内に留まる発酵プロセスを説明するために使
用される。「バッチ」プロセスでは、発酵が完了した後に、生成物を抽出し、次の「バッ
チ」が始まる前にバイオリアクターを洗浄する。「連続発酵」は、発酵プロセスがより長
期間にわたって延長され、発酵中に生成物および/または代謝物が抽出される発酵プロセ
スを説明するために使用される。好ましくは、発酵プロセスは連続的である。
【0038】
典型的には、培養は、バイオリアクター中で実行される。「バイオリアクター」という
用語は、連続撹拌槽反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド
反応器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、またはガス-液体接触に好
適な他の容器もしくは他のデバイスなどの1つ以上の容器、塔、または配管配置からなる
培養/発酵デバイスを含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、第1の増殖
反応器および第2の培養/発酵反応器を含み得る。基質は、これらの反応器のうちの一方
または両方に提供され得る。本明細書で使用する場合、「培養」および「発酵」という用
語は、交換可能に使用される。これらの用語は、培養/発酵プロセスの増殖期および生成
物生合成期の両方を包含する。
【0039】
培養物は概して、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、および/ま
たは無機物を含有する水性培地中で維持される。好ましくは、水性培地は、最小微生物増
殖培地などの好適な微生物増殖培地である。好適な培地は、当該技術分野において周知で
ある。
【0040】
培養/発酵は、望ましくは、標的生成物の生成に適切な条件下で実施されるべきである
。典型的に、培養/発酵は、嫌気性条件下で実施される。考慮すべき反応条件は、圧力(
または分圧)、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連
続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限的にならないことを
確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最大生成物濃度
を含む。具体的には、基質の導入速度は、生成物がガス制限条件下での培養によって消費
され得るため、液相中のガスの濃度が制限的にならないことを確実にするように制御され
てもよい。
【0041】
標的生成物は、例えば、分留蒸留、蒸発、浸透蒸発、ガスストリッピング、相分離、お
よび例えば、液-液抽出を含む抽出発酵を含む、任意の方法または当該技術分野において
既知の方法の組み合わせを使用して、発酵ブロスから分離または精製することができる。
特定の実施形態において、標的生成物は、ブロスの一部分をバイオリアクターから連続的
に取り出し、微生物細胞をブロスから(濾過により簡便に)分離し、1つ以上の標的生成
物をブロスから回収することによって、発酵ブロスから回収される。アルコールおよび/
またはアセトンは、例えば、蒸留によって回収され得る。酸は、例えば、活性炭上での吸
着によって回収され得る。分離された微生物細胞は、好ましくは、バイオリアクターに再
循環されて戻される。標的生成物が取り出された後に残存している無細胞透過液も、好ま
しくは、バイオリアクターに戻される。追加の栄養素を、無細胞透過液に添加して、培地
を補充した後にバイオリアクターに戻すことができる。
【0042】
本開示の実施形態では、第1の発酵ブロスを第2のバイオリアクターに移す前に、第1
の発酵の生成物は第1の発酵ブロスから取り出される。取り出された生成物は、アセテー
トの一部または全部であり得る。取り出された生成物は、発酵プロセスの二次生成物であ
り得る。あるいは、第1の発酵プロセスの二次生成物は、第2の発酵の後にのみ取り出さ
れ、かつ回収(または廃棄)され得る。二次生成物は、第2の微生物によってさらに変換
されない、また二次発酵に悪影響を及ぼさない限りは、二次発酵後まで、取り出す必要は
ない。
【0043】
本開示の方法およびシステムは、図を参照しながら本明細書で説明される。図1は、C
OおよびH、またはCOおよびHを含むガス流から標的生成物を生成する二段階シ
ステムを示している。このシステムは、媒体入口102、ガス入口ポート103、分離器
手段104、透過液流出口107、およびブリード流出口108を有する一次バイオリア
クター101を提供する。一次バイオリアクターは、分離器205、透過液流出口207
、およびブリード流出口208を有する二次バイオリアクター201に接続されている。
【0044】
使用中、一次バイオリアクター101は、液体栄養培地中に1つ以上のアセトゲン細菌
の培養液を含む発酵ブロスを含有し得る。培地は、培地入口102を通して連続的または
半連続的な仕方でバイオリアクター101に添加される。ガス状基質は、ガス入口ポート
103を介してバイオリアクター101に供給される。分離器手段は、第1の出力導管1
04を介してバイオリアクター101からブロスの少なくとも一部を受け取り、それを、
発酵ブロス(透過液)の残りから微生物細胞(保持液)を実質的に分離するように構成さ
れている分離器105に通すように適合されている。保持液の少なくとも一部は、第1の
戻り導管106を介して第1のバイオリアクターに戻され、それにより、ブロス培養密度
が最適なレベルに維持されることが保証される。分離器105は、透過液送達導管107
を介してバイオリアクター101から透過液の少なくとも一部を通すように適合されてい
る。透過液送達導管107は、無細胞透過液を二次バイオリアクター201に供給する。
本開示のある特定の実施形態では、無細胞透過液の少なくとも一部は、生成物抽出のため
に取り出され、および/または無細胞透過液の少なくとも一部は、一次バイオリアクター
に再循環され、無細胞透過液流の残りは、二次バイオリアクター201に供給される。ブ
ロスブリード出力108は、一次バイオリアクター101から二次バイオリアクター20
2にブロスを直接供給するために提供される。ある特定の実施形態では、ブロスブリード
および透過液は、二次バイオリアクターに供給される前に組み合わされる。
【0045】
二次バイオリアクター201は、液体栄養培地中にもう1つの微生物の培養物を含有す
る。酵母または大腸菌などの好気性微生物が特定の例として使用されるが、任意の好適な
微生物が二次バイオリアクター201において使用され得る。二次バイオリアクター20
1は、ブロスブリード出力108および透過液送達導管107を通して、連続的または半
連続的な仕方で一次バイオリアクター101からブロスおよび/または透過液を受け取る
。分離器205は、第1の出力導管204を介して二次バイオリアクター201からブロ
スの少なくとも一部を受け取るように適合されている。分離器205は、微生物細胞(保
持液)を、発酵ブロス(透過液)の残りから実質的に分離するように構成されている。保
持液の少なくとも一部は、第2の戻り導管206を介して二次バイオリアクター201に
戻され、それにより、二次バイオリアクター201中のブロス培養密度が最適なレベルに
維持されることが保証される。分離器205は、透過液の少なくとも一部を、透過液除去
導管207を介して二次バイオリアクター201から外に通すように適合されている。ブ
ロスブリード出力208は、二次バイオリアクター201からブロスを取り出すために直
接提供される。ブロスブリード出力208は、既知の方法を使用して標的生成物抽出のた
めにバイオマスを取り出すために処理され得る。実質的にバイオマスを含まないブリード
流と透過液流とを組み合わせて、組み合わされた流れを生成することができる。本開示の
ある特定の実施形態では、組み合わされた流れを一次反応器に戻して、連続的に添加され
る液体栄養培地を補充することができる。ある特定の実施形態では、二次発酵の望ましく
ないまたは所望の副産物を取り出すために、再循環流をさらに処理することが望ましい場
合がある。ある特定の実施形態では、再循環流のpHを調整してもよく、流れを補充する
ためにさらにビタミンおよび/または金属を添加してもよい。
【0046】
二次バイオリアクター201からの排ガス流210は、酸素除去ユニット212に通さ
れて、実質的に無酸素のCO流を発生させる。酸素除去ユニットは、例えば、1つ以上
のPSAユニット、膜分離ユニット、スクラバー、溶媒を使用する吸収、またはそれらの
任意の組み合わせであり得る。実質的に無酸素のCO流は、ライン216を通り、入口
ガスポート103を通って一次バイオリアクター101に再循環される。実質的に無酸素
とは、流れが、約1モルパーセント未満のO2、約500モルppm未満のO、または
約100モルppm未満のOを含むことを意味している。酸素除去ユニット212中の
排ガス210から取り出されるOは、ライン214を通って二次バイオリアクター20
1に再循環され得る。
【0047】
図2は、COとH、またはCOとHを含むガス状流れから標的生成物を生成させ
るための簡略化されたシステムを示しており、実質的にアセテートを含まない培地は、二
次バイオリアクターから一次バイオリアクターに再循環される。システムは、培地入口3
02を有する一次嫌気性バイオリアクター301、ガス入口ポート303、アセテート含
有処理ブリード流304、二次好気性バイオリアクター305、酸素供給源306、標的
生成物およびバイオマス含有生成物流307、およびアセテートが枯渇した再循環培地流
を含む。一実施形態では、ガス流は電解槽によって生成される。
【0048】
使用中、一次バイオリアクター301は、液体栄養培地中に1つ以上のアセトゲン細菌
の培養液を含む発酵ブロスを含有する。培地は、培地入口302を通って一次バイオリア
クター301に添加される。COおよび任意選択でH、またはCOおよびH、また
はこれらの混合物のいずれかを含むガス状基質は、ガス入口ポート303を介して一次バ
イオリアクター301に供給され、そのガスは、細菌によってアセテートに変換される。
一次バイオリアクター301は、2.5~5、または3~4、または6.5~7の範囲の
pHに維持され、pHは、必要に応じて、塩基を添加することによって任意選択的に部分
的に制御される。アセテート生成物は、水性ブロスス流の状態で一次バイオリアクターを
離れ、それは、既知の方法を使用してバイオマスを取り出すために処理される。得られた
アセテート含有処理ブリード流304は、二次好気性バイオリアクター305に供給され
る。二次バイオリアクター305では、処理されたブリード流中のアセテートは、例えば
、微生物などの微生物によって標的生成物およびバイオマスに変換される。酸素は、酸素
または空気の入口ポート306によって好気性発酵に供給される。標的生成物含有微生物
細胞は、濾過によって二次バイオリアクター305から取り出され、その結果、標的生成
物およびバイオマスを含有する生成物流307および透過液流308が得られる。好気性
発酵はアセテートを消費することから、酢酸が消費されるにつれてブロスのpHは上昇し
、その結果として、透過液流308のpHは、アセテート含有ブロス流304のpHより
も名目上高い。二次バイオリアクター305の希釈率は、透過液流308のpHが、例え
ば、5~7、または7.0~7.5、または7.5~9、または10~11の範囲に維持
される。アセテートが枯渇した透過液流308は、一次バイオリアクター301に戻され
る。一次バイオリアクター301の培地を構成する水、塩、金属、および他の栄養素の実
質的な部分を再循環させることに加えて、再循環された透過液流308は、バイオリアク
ター培地への塩基の直接添加によってのみpHが制御されるシステムと比較して、発酵p
H制御のコストを大幅に削減するように機能する。
【0049】
二次バイオリアクター305で発生した排ガスは、排ガスライン310で取り出され、
酸素分離ユニット312に送られる。酸素分離ユニットは、例えば、1つ以上のPSAユ
ニット、膜分離ユニット、スクラバー、溶媒を使用する吸収、またはそれらの任意の組み
合わせであり得る。少なくとも酸素は、酸素分離ユニットにおいて排ガスから取り出され
る。次いで、実質的にOを含まない得られたCO流は、ライン314においてガス入
口ポート303に導かれ、一次バイオリアクター301に導入される。酸素分離ユニット
で取り出されたOは、ライン316を通して二次バイオリアクター305に再循環され
得る。図2は、任意選択の水電解槽を使用する実施形態をさらに示している。水流320
は、電解槽318に導入され、H流が電気分解によって発生し、H流は、ライン32
2でガス入口ポート303に導かれ、上で考察されたガス状基質と一緒に一次バイオリア
クター301に導入される。同様に、電解槽318は、O流を発生し、それは、ライン
324で二次バイオリアクター305の入口ポート306に導入される。
【0050】
本明細書に列挙される公表文献、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各
参考文献があたかも参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、かつその
全体が本明細書中に記載された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる
。本明細書中で任意の先行技術を参照することは、その先行技術が、あらゆる国における
努力分野の共通の一般知識の一部を形成していることを認めるものではなく、またそのよ
うに受け取られるべきでもない。
【0051】
本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「1
つの(aおよびan)」および「その(the)」という用語ならびに同様の指示語の使
用は、本明細書中に他に指示がない限り、または文脈と明らかに相反することがない限り
、単数および複数の両方を包含すると解釈されるものとする。「含む」、「有する」、「
含む」、および「含有する」という用語は、特に断りのない限り、非限定的な用語(すな
わち、「を含むがこれらに限定されることはない」を意味する)と解釈されるべきである
。「から本質的になる」という用語は、組成物、プロセス、または方法の範囲を、特定の
材料、または工程、または組成物、プロセスもしくは方法の基本的および新規の特性に実
質的に影響しないものに限定する。代替語(例えば、「または」)の使用は、代替語の一
方、両方、またはこれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。本明細
書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示がない限り、指示された範囲、値
、または構造の±20%を意味する。
【0052】
「の一部」は、発酵プロセスで作り出された発酵ブロスまたは排ガスなどの組成物の体
積部分または重量部分を指している場合がある。その用語はまた、発酵ブロスまたは排ガ
スが、必要かどうかにかかわらず、成分を取り出すために精製プロセスにかけられたとき
など、組成物の成分のサブセットも指す場合がある。したがって、組成物が成分の混合物
を含む場合、その部分は、成分の同じ混合物、変更された比率の成分、または変更された
成分セットを含み得る。「少なくとも一部」は、組成物の全体または全部を含み得る。
【0053】
本明細書の値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各それ
ぞれの値を個々に言及する省略法としての機能を果たすことを単に意図し、各それぞれの
値は、あたかも本明細書に個々に記載されたかのように、本明細書中に組み込まれる。例
えば、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、整数範囲、サイズ範囲、または
厚さ範囲は、別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な
場合、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきで
ある。
【0054】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈
によって明らかに相反することがない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書
に提供されるありとあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本開
示をより良く解明することを単に意図し、別段、特許請求されない限り、本発明の範囲を
制限しない。本明細書におけるいかなる言葉も、本開示の実施に不可欠ないかなる非特許
請求要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0055】
本開示の特定の実施形態が本明細書に記載されている。それらの特定の実施形態の変化
形態は、上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業
者が必要に応じてそのような変化形を採用することを予想し、本発明者らは、本開示が本
明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって
、本開示は、適用法によって許可された通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記
載される主題のすべての修正物および均等物を含む。さらに、その実施形態のすべての考
えられる変化形における上記の要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で別段の指示がな
い限り、または文脈と明らかに相反することがない限り、本開示によって包含される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
COから、またはCOおよびHから少なくとも1つの標的生成物を生成するための方法であって、
i.少なくともCO、または少なくともCOおよびHを含むガス状基質を、第1の液体栄養培地中に少なくとも1つの第1の微生物の培養物を含有する第1のバイオリアクターの中に導入し、前記ガス状基質を嫌気的に発酵させて、第1の発酵ブロスにおいて、エタノール、ラクテート、および2,3-ブタンジオールから選択される少なくとも1つの第1の生成物を生成することであって、少なくとも1つの第1の微生物が、Acetobacterium、Moorella、Clostridium、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxydothermus Acetogenium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、Ruminococcus、Oxobacter、およびMethanosarcinaから選択される、ことと、
ii.前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、第2の液体栄養培地中少なくとも1つの第2の微生物の培養物を含有する第2のバイオリアクターに移すことであって、前記第2の微生物は、前記第1の微生物とは異なる種である、こと、および前記第1の生成物を好気性発酵させて、第2の発酵ブロスにおいて少なくとも第1の標的生成物を生成することを行うことと、を含み、前記第2の微生物の少なくとも1つが、酵母、Escherichia coli、Geobacillus thermoglucosidasius、Pseudomonas putida KT2440、Cupriavidus necator/Ralstonia eutropha/Alicagenes eutrophus、Desulfonatronum cooperativum、Geoalkalibacter ferrihydriticus、Alkalispirillum mobile、およびCorynebacterium glutamicumから選択され、
前記第1の標的生成物が脂質ではなく、前記第1の標的生成物が、エタノール、アセトン、プロパノール、ブタノール、2,3-ブタンジオール、アセテート、ブチレート、プロピオネート、カプロエート、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソブチルアセテート、3-ヒドロキシプロピオネート、C ~C 20 アルコール、ケトン、ポリヒドロキシアルカノエート、スクシネート、メバロネート、イタコン酸、モネリン、およびエチレンから選択される1つ以上であり、
前記第2のバイオリアクターのpHが前記第1のバイオリアクターのpHより高い、
方法。
【請求項2】
前記第1の液体栄養培地が、前記第2の微生物によって利用されるが、前記第1の微生物によって利用されない栄養素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の液体栄養培地が、前記第1の発酵ブロスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の発酵ブロスが、前記第1のバイオリアクターに再び移される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の発酵ブロスが、2,3-ブタンジオールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第2のバイオリアクターに移す前に、アセテートまたは第2の生成物が、前記第1の発酵ブロスから取り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のバイオリアクターにおける発酵後、前記第1のバイオリアクターで生成された第2の生成物が、前記第2の発酵ブロスから分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のバイオリアクター、前記第2のバイオリアクター、または前記第1のバイオリアクターおよび前記第2のバイオリアクターにおける前記培養物が、共培養物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
i.前記第2のバイオリアクターから少なくともCOおよびOを含む排ガスを得る工程と、
ii.前記排ガスから前記Oの少なくとも一部を取り出して、O枯渇排ガスを形成する工程と、
iii.前記O枯渇排ガスの少なくとも一部を、前記第1のバイオリアクターに再循環させる工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記排ガスからの前記Oの少なくとも一部の前記取り出しが、圧力スイング吸着、膜分離、塩基性溶液によるスクラビング、溶媒を使用する吸収、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の段階を使用して達成される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記排ガスからの前記Oの少なくとも一部の前記取り出しに由来する前記Oを、前記第2のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のバイオリアクターにおける少なくとも1つの第1の微生物が、Acetobacterium woodiiである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のバイオリアクターにおける少なくとも1つの第1の微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、およびまたはClostridium ragsdaleiから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
栄養素が、前記第1の液体栄養培地に添加されて、前記第1の発酵ブロスにおける第2の生成物の生成を増加させ、前記第2の生成物が、前記第2のバイオリアクターへと、前記第1の発酵ブロスの前記一部として移され、前記第2のバイオリアクターにおいてバイオマス生成を刺激するか、または前記第2のバイオリアクターにおいて発酵されて、前記第1の標的生成物または第2の標的生成物を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
CO、またはCOおよびHを含むガス流を、前記第1のバイオリアクターから回収し、前記ガス流を前記第1のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第1のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第2のバイオリアクターに通す前に、前記第1の発酵ブロスから前記第1の微生物を取り出し、前記第1の微生物を、前記第1のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の発酵ブロスから前記第2の微生物を取り除き、前記第2の微生物を前記第2のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
電解槽を使用して、前記ガス状基質においてHの少なくとも一部および/または前記第2のバイオリアクターの中に導入されるOの少なくとも一部を発生させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の微生物が、Escherichia coliである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のバイオリアクターにおける培養物が、共培養物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
第2のバイオリアクターのpHが、前記第1のバイオリアクターのpHより、少なくとも1を超える完全なpH単位高い、請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
本開示の特定の実施形態が本明細書に記載されている。それらの特定の実施形態の変化形態は、上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業
者が必要に応じてそのような変化形を採用することを予想し、本発明者らは、本開示が本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本開示は、適用法によって許可された通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題のすべての修正物および均等物を含む。さらに、その実施形態のすべての考えられる変化形における上記の要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに相反することがない限り、本開示によって包含される。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.COおよび任意選択でH から、またはCO およびH から少なくとも1つの標的生成物を生成するための方法であって、
i.少なくともCOおよび任意選択でH 、または少なくともCO およびH を含むガス状基質を、第1の液体栄養培地中に少なくとも1つの第1の微生物の培養物を含有する第1のバイオリアクターの中に導入し、前記ガス状基質を嫌気的に発酵させて、第1の発酵ブロスにおいて第1の生成物としてアセテートを生成することであって、前記第1の微生物は、Wood-Ljungdahl経路の酵素を発現する、ことと、
ii.前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、第2の液体栄養培地中の少なくとも1つの第2の微生物の培養物を含有する第2のバイオリアクターに移すことであって、前記第2の微生物は、前記第1の微生物とは異なる種である、こと、および前記第1の生成物を発酵させて、第2の発酵ブロスにおいて少なくとも第1の標的生成物を生成することを行うことと、を含む、方法。
2.前記第1の液体栄養培地が、前記第2の微生物によって利用されるが、前記第1の微生物によって利用されないある量の栄養素を含む、上記1に記載の方法。
3.前記第1の液体栄養培地が、前記第2の微生物によって利用されるが、前記第1の微生物によって利用されない栄養素を含む、上記1に記載の方法。
4.前記第2の液体栄養培地が、前記第1の発酵ブロスである、上記1に記載の方法。
5.前記第2の発酵ブロスが、前記第1のバイオリアクターに再び移される、上記1に記載の方法。
6.前記第1の標的生成物が、単一細胞タンパク質、3-ヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシアルカノエート、C ~C 20 アルコール、有機酸、ケトン、および脂質から選択される、上記1に記載の方法。
7.前記第1の発酵ブロスが、2,3-ブタンジオールをさらに含む、上記1に記載の方法。
8.前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第2のバイオリアクターに移す前に、アセテートまたは第2の生成物が、前記第1の発酵ブロスから取り出される、上記1に記載の方法。
9.前記第2のバイオリアクターにおける発酵後、前記第1のバイオリアクターで生成された第2の生成物が、前記第2の発酵ブロスから分離される、上記1に記載の方法。
10.前記第1のバイオリアクター、前記第2のバイオリアクター、または前記第1のバイオリアクターおよび前記第2のバイオリアクターにおける前記培養物が、共培養物を含む、上記1に記載の方法。
11.前記第1の標的生成物が、脂質ではない、上記1に記載の方法。
12.前記第1の標的生成物が、エタノール、アセトン、プロパノール、ブタノール、2,3-ブタンジオール、アセテート、ブチレート、プロピオネート、カプロエート、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソブチルアセテート、ポリヒドロキシアルカノエート、スクシネート、メバロネート、イタコン酸、モネリン、およびエチレンから選択される、上記1に記載の方法。
13.i.前記第2のバイオリアクターから少なくともCO およびO を含む排ガスを得る工程と、
ii.前記排ガスから前記O の少なくとも一部を取り出して、O 枯渇排ガスを形成する工程と、
iii.前記O 枯渇排ガスの少なくとも一部を、前記第1のバイオリアクターに再循環させる工程と、をさらに含む、上記1に記載の方法。
14.前記排ガスからの前記O の少なくとも一部の前記取り出しが、圧力スイング吸着、膜分離、塩基性溶液によるスクラビング、溶媒を使用する吸収、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の段階を使用して達成される、上記13に記載の方法。
15.前記排ガスからの前記O の少なくとも一部の前記取り出しに由来する前記O を、前記第2のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、上記13に記載の方法。
16.前記第1のバイオリアクターにおける前記少なくとも1つの第1の微生物が、Acetobacterium、Moorella、Clostridium、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxydothermus Acetogenium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、Ruminococcus、Oxobacter、およびMethanosarcinaから選択される、上記1に記載の方法。
17.前記第1のバイオリアクターにおける少なくとも1つの第1の微生物が、Acetobacterium woodiiである、上記1に記載の方法。
18.前記第1のバイオリアクターにおける少なくとも1つの第1の微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、およびまたはClostridium ragsdaleiから選択される、上記1に記載の方法。
19.栄養素が、前記第1の液体栄養培地に添加されて、前記第1の発酵ブロスにおける第2の生成物の生成を増加させ、前記第2の生成物が、前記第2のバイオリアクターへと、前記第1の発酵ブロスの前記一部として移され、前記第2のバイオリアクターにおいてバイオマス生成を刺激するか、または前記第2のバイオリアクターにおいて発酵されて、前記第1の標的生成物または第2の標的生成物を形成する、上記1に記載の方法。
20.COおよび任意選択でH 、またはCO およびH を含むガス流を、前記第1のバイオリアクターから回収し、前記ガス流を前記第1のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、上記1に記載の方法。
21.前記第2の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第1のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、上記1に記載の方法。
22.前記第1の発酵ブロスの少なくとも一部を、前記第2のバイオリアクターに通す前に、前記第1の発酵ブロスから前記第1の微生物を取り出し、前記第1の微生物を、前記第1のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、上記1に記載の方法。
23.前記第2の発酵ブロスから前記第2の微生物を取り除き、前記第2の微生物を前記第2のバイオリアクターに再循環させることをさらに含む、上記1に記載の方法。
24.電解槽を使用して、前記ガス状基質においてH の少なくとも一部および/または前記第2のバイオリアクターの中に導入されるO の少なくとも一部を発生させることをさらに含む、上記1に記載の方法。
25.前記第2の微生物が、酵母である、上記1に記載の方法。
26.前記第2の微生物が、Escherichia coliである、上記1に記載の方法。
27.前記第2のバイオリアクターにおける培養物が、共培養物を含む、上記1に記載の方法。
28.前記第2の発酵が、好気性である、上記1に記載の方法。
【外国語明細書】