(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041981
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20240319BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
F04B49/06 321Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006495
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2022503102の分割
【原出願日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2020030026
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡口 健二朗
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 寛基
(57)【要約】 (修正有)
【課題】直列接続した複数の圧電ポンプの温度変化率を小さくする。
【解決手段】流体制御装置は、第1ポンプ、第2ポンプ、容器、第1連通路、第2連通路、および、第1制御部を備える。第1ポンプは第1孔と第2孔とを有し、第2ポンプは第3孔と第4孔とを有する。第1連通路は第2孔と第3孔とを連通し、第2連通路は第4孔と容器とを連通する。第1制御部は第1ポンプと第2ポンプとの駆動を開始または停止する。第1制御部は第1ポンプと第2ポンプにおける流体の上流側のポンプの駆動開始タイミングを流体の下流側のポンプの駆動開始タイミングよりも早くし、流体の下流側のポンプの駆動電圧を流体の上流側のポンプの駆動電圧より高くすることで、流体の下流側のポンプの電流値を駆動電圧の変化前の電流値より高くし、上流側のポンプの定常動作の電流値と下流側のポンプの定常動作の電流値との電流差を電流値が低い方から見て20%以内にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1孔と第2孔とを有し、前記第1孔と前記第2孔との間で流体を搬送する第1ポンプと、
第3孔と第4孔とを有し、前記第3孔と前記第4孔との間で流体を搬送する第2ポンプと、
容器と、
前記第2孔と前記第3孔とを連通する第1連通路と、
前記第4孔と前記容器とを連通する第2連通路と、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプの駆動を制御する第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記第1ポンプと前記第2ポンプとの駆動を開始または停止し、
前記第1ポンプと前記第2ポンプにおける前記流体の上流側のポンプの駆動開始タイミングを、前記流体の下流側のポンプの駆動開始タイミングよりも早くし、
前記流体の下流側のポンプの駆動電圧を前記流体の上流側のポンプの駆動電圧より高くすることで、前記流体の下流側のポンプの電流値を前記駆動電圧の変化前の電流値より高くし、
前記上流側のポンプの定常動作の電流値と前記下流側のポンプの定常動作の電流値との電流差を、電流値が低い方から見て20%以内にする、
流体制御装置。
【請求項2】
前記下流側のポンプの電流のみを制限する電流制限回路を備える、
請求項1に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電ポンプを用いて、流体を所定方向に搬送する流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電ポンプと駆動回路とを備える流体制御装置が記載されている。駆動回路は、圧電ポンプに接続されており、圧電ポンプに対して、駆動電圧を供給している。圧電ポンプは、駆動電圧に応じて、吸入口から流体を吸入し、吐出口から吐出する。これにより、流体は、所定の方向に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体制御装置の利用方法として、性能、例えば圧力を向上させるために、複数の圧電ポンプを直列に接続して利用することが考えられる。直列接続は、例えば、2個の圧電ポンプ(第1圧電ポンプ、および、第2圧電ポンプ)を用いる場合、第1圧電ポンプの吐出口と第2圧電ポンプの吸入口とを連通させる。この場合、一般的には、第1圧電ポンプと第2圧電ポンプとを同時に駆動する。
【0005】
しかしながら、この構成および制御では、下流側の圧電ポンプ(上述の場合、第2圧電ポンプ)の発熱が大きくなる。特に、大きな流量を必要して、大きな電力を供給する場合、発熱量はさらに大きくなり、故障が発生する可能性は、大きくなる。この際、発熱による温度変化率が大きいと、故障が発生する可能性は、さらに大きくなる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、複数の圧電ポンプを直列接続したときに、複数の圧電ポンプの温度変化率を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の流体制御装置は、第1ポンプ、第2ポンプ、容器、第1連通路、第2連通路、および、第1制御部を備える。第1ポンプは、第1孔と第2孔とを有し、第1孔と第2孔との間で流体を搬送する。第2ポンプは、第3孔と第4孔とを有し、第3孔と第4孔との間で流体を搬送する。第1連通路は、第2孔と第3孔とを連通する。第2連通路は、第4孔と容器とを連通する。第1制御部は、第1ポンプおよび第2ポンプの駆動を制御する。第1制御部は、第1ポンプと第2ポンプとの駆動を開始または停止する。第1制御部は、第1ポンプと第2ポンプにおける流体の上流側のポンプの駆動開始タイミングを、流体の下流側のポンプの駆動開始タイミングよりも早くし、流体の下流側のポンプの駆動電圧を流体の上流側のポンプの駆動電圧より高くすることで、流体の下流側のポンプの電流値を駆動電圧の変化前の電流値より高くし、上流側のポンプの定常動作の電流値と下流側のポンプの定常動作の電流値との電流差を、電流値が低い方から見て20%以内にする。
【0008】
これにより、下流側のポンプの温度変化が安定する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、直列接続された複数の圧電ポンプの温度変化率を小さくできる。これにより、これら複数の圧電ポンプの故障を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る流体制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御処理の状態遷移を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御のフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【
図5】
図5は、本願の流体制御装置による圧力の変化パターンを示した図である。
【
図6】
図6(A)は、第1の実施形態に係る流体制御装置と比較構成とでの温度の変化パターンを示した図である。
図6(B)は、第1の実施形態に係る流体制御装置の温度の変化パターンを示す図であり、
図6(C)は、比較構成の流体制御装置の温度の変化パターンを示す図である。
【
図7】
図7は、流体制御装置の制御部の機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、制御部を他励振型で構成した回路の第1例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る流体制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10(A)は、第2の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図であり、
図10(B)は、第2の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電流波形を示す図である。
【
図11】
図11は、電流制限の有無での温度の変化パターンを示した図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る制御部の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御処理の状態遷移を示す図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御のフローチャートである。
【
図16】
図16は、排気を行う場合と行わない場合との温度の変化パターンを示した図である。
【
図17】
図17は、電流制限および排気の両方を行う場合と、電流制限および排気の両方を行わない場合との温度の変化パターンを示した図である。
【
図18】
図18は、第5の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御処理の状態遷移を示す図である。
【
図19】
図19は、第5の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の第5の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御のフローチャートである。
【
図21】
図21は、第5の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の第6の実施形態に係る流体制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図23】
図23は、電流制限機能を有する制御部の構成を示す回路図である。
【
図24】
図24は、自励振型の駆動電圧発生回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る流体制御装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、流体制御装置10は、圧電ポンプ21、圧電ポンプ22、バルブ30、容器40、連通路51、連通路52、および、制御部60を備える。流体制御装置10は、容器40から流体を吸入する装置であり、例えば、搾乳機等に用いられる。
【0013】
圧電ポンプ21は、筐体に設けられた孔211、および、孔212を備える。圧電ポンプ21は、圧電素子を備える。筐体は、ポンプ室を備える。ポンプ室は、孔211および孔212に連通している。なお、筐体、ポンプ室、圧電素子については、図示を省略している。
【0014】
圧電ポンプ21は、駆動電圧による圧電素子の変位によってポンプ室の体積、圧力を変動させることによって、孔211と孔212との間で流体を搬送する。この実施形態では、孔211が吸入口であり、孔212が吐出口である。圧電ポンプ21は、本発明の「第1ポンプ」に対応する。
【0015】
圧電ポンプ22は、筐体に設けられた孔221、および、孔222を備える。圧電ポンプ22は、圧電素子を備える。筐体は、ポンプ室を備える。ポンプ室は、孔221および孔222に連通している。なお、筐体、ポンプ室、圧電素子については、図示を省略している。
【0016】
圧電ポンプ22は、駆動電圧による圧電素子の変位によってポンプ室の体積、圧力を変動させることによって、孔221と孔222との間で流体を搬送する。この実施形態では、孔221が吸入口であり、孔222が吐出口である。圧電ポンプ22は、本発明の「第2ポンプ」に対応する。
【0017】
連通路51は、管状である。圧電ポンプ21の孔211と圧電ポンプ22の孔222とは、連通路51によって連通する。連通路52は、管状である。圧電ポンプ22の孔221と容器40は、連通路52によって連通している。連通路51は、本発明の「第1連通路」に対応し、連通路52は、本発明の「第2連通路」に対応する。
【0018】
バルブ30は、連通路52に接続される。バルブ30は、バルブ制御信号に応じて、連通路52の内部を外部に開放(バルブ開状態)、または、連通路52の内部を外部から遮断(バルブ閉状態)する。このようなバルブ30の開閉を適宜制御することによって、容器40の圧力変化を安定的に制御でき、ひいては、後述する温度変化率のバラツキの低下にも寄与する。
【0019】
制御部60は、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22への駆動信号を生成して、当該駆動信号を、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22のそれぞれへ与える。また、制御部60は、バルブ制御信号を生成して、バルブ30に与える。制御部60は、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22の駆動制御とバルブ30の開閉制御とを、同期させて行う。制御部60は、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22の駆動制御とバルブ30の開閉制御とを、駆動制御周期に基づいて、繰り返し実行する。駆動制御周期は、予め設定されている。
【0020】
概略的には、流体制御装置10は、バルブ30の閉制御時に、圧電ポンプ21と圧電ポンプ22とを駆動し、容器40からの流体を、連通路52、圧電ポンプ22、連通路51、圧電ポンプ21の順に搬送し、圧電ポンプ21の孔212から吐出する。すなわち、圧電ポンプ22は、本発明の「上流側のポンプ」に対応し、圧電ポンプ21は、本発明の「下流側のポンプ」に対応する。また、流体制御装置10は、圧電ポンプ21と圧電ポンプ22を停止し、バルブ30を開制御する。そして、流体制御装置10は、駆動制御周期に準じて、これらの動作を繰り返す。
【0021】
なお、本実施形態の構成では、駆動制御と開閉制御を繰り返し実行する態様において、より有効である。しかしながら、駆動制御と開閉制御を一度だけ行う態様にも適用は可能である。
【0022】
(具体的な制御の説明)
図2は、第1の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御処理の状態遷移を示す図である。
【0023】
図2に示すように、駆動制御周期の開始タイミングに同期したステートST1として、流体制御装置10は、圧電ポンプ22の駆動を開始し(圧電ポンプ22:ON)、バルブ30を閉制御する(バルブ30:CL)。この際、流体制御装置10は、圧電ポンプ21を停止している(圧電ポンプ21:OFF)。
【0024】
ステートST1に続くステートST2として、流体制御装置10は、バルブ30の閉状態を保持し(バルブ30:CL)、圧電ポンプ22の駆動状態を保持した状態(圧電ポンプ22:ON)、圧電ポンプ21の駆動を開始する(圧電ポンプ21:ON)。
【0025】
ステートST2に続くステートST3として、流体制御装置10は、バルブ30を開制御する(バルブ30:OP)。同時に、流体制御装置10は、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22を停止する(圧電ポンプ21:OFF、圧電ポンプ22:OFF)。
【0026】
流体制御装置10は、1つの駆動制御周期において、これらステートST1、ST2、ST3を一組として実行し、この制御を繰り返す。
【0027】
このように、流体制御装置10は、駆動制御周期の一周期内において、上流側のポンプを下流側のポンプよりも早く駆動する。
【0028】
この制御を実現するため、流体制御装置10の制御部60は、
図3に示すフローで制御を実行する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御のフローチャートである。
【0029】
図3に示すように、制御部60は、駆動制御周期の1周期の開始タイミングになると、上流側のポンプ(第1の実施形態では、圧電ポンプ22)を起動する(S101)。制御部60は、バルブ30を閉制御する(S102)。制御部60は、計時を開始する、または、制御継続中であれば、計時をリセットする(S103)。ステップS101、ステップS102、および、ステップS103は、略同時に実行される。なお、ステップS101、ステップS102、および、ステップS103は、流体制御装置10の機能を実現できる範囲において若干の時間差を有していても、ステップの順序が入れ替わっても構わない。
【0030】
制御部60は、計時された時刻を参照にして、遅延起動時刻まで、計時を継続する(S104:NO)。制御部60は、遅延起動時刻に達すると(S104:YES)、下流側のポンプ(第1の実施形態では、圧電ポンプ21)を起動する(S105)。
【0031】
制御部60は、ポンプ停止時刻までは(S106:NO)、上流側のポンプと下流側のポンプの動作を継続させる。
【0032】
制御部60は、ポンプ停止時刻に達すると(S106:YES)、上流側のポンプと下流側のポンプとを停止する(S107)。制御部60は、バルブ30を開制御する(S108)。ステップS107、および、ステップS108は、略同時に実行される。なお、ステップS107、および、ステップS108は、流体制御装置10の機能を実現できる範囲において若干の時間差を有していても構わない。
【0033】
流体制御装置10は、上流側のポンプと下流側のポンプとを停止させ、バルブ30を開制御した状態で、所定時間待機し(S109)、駆動制御周期の1周期を終了させ、ステップS101に戻る。
【0034】
このように、流体制御装置10では、下流側のポンプは、上流側のポンプの動作によって、上流側のポンプから流体が継続的に流れ込んでいる状態で、動作を開始する。このため、下流側のポンプの温度は、この下流側のポンプの動作の継続によって変化しても、温度変化率は、ばらつき難い。すなわち、下流側のポンプの温度変化率は、安定する。これにより、下流のポンプの故障は抑制される。
【0035】
また、上流側のポンプは、下流側のポンプに対して相対的に温度が低い。したがって、流体制御装置10は、直列接続された複数のポンプの故障を抑制できる。
【0036】
(制御部60による圧電ポンプ21、22に対する駆動信号の具体例)
図4は、第1の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
図4において、t0は駆動制御周期の開始タイミングである。t1は、圧電ポンプ21(下流側のポンプ)の駆動電圧が定常動作の駆動電圧になる最初のタイミングである。t2は、圧電ポンプ22(上流側のポンプ)の駆動電圧が定常動作の駆動電圧になる最初のタイミングである。Tcは、駆動制御周期である。Ts1は、駆動時間である。Ts2は、非駆動時間であり、上述のステップS109の待機の時間に対応する。駆動制御周期Tcは、駆動時間Ts1と非駆動時間Ts2との加算時間である。
【0037】
図4に示すように、流体制御装置10は、駆動制御周期の開始タイミングt0にて、上流側のポンプである圧電ポンプ22への駆動電圧の印加を開始する。この際、流体制御装置10は、過渡的には、所定の電圧変化率で、駆動電圧を上昇させていく。流体制御装置10は、タイミング(時刻)t1になると、圧電ポンプ21に印加する駆動電圧を、定常動作の駆動電圧Vdd2にし、その後、一定に保つ。
【0038】
流体制御装置10は、開始タイミングt0から遅延時間τの経過後に、下流側のポンプである圧電ポンプ21への駆動電圧の印加を開始する。この際、流体制御装置10は、過渡的には、所定の電圧変化率で、駆動電圧を上昇させていく。なお、遅延時間τは、例えば、流量モードから圧力モードに移行するタイミングよりも短くなることが好ましい。流量モードとは、相対的に圧力が低く、圧力の上昇し難く流量が大きいモードである。圧力モードとは、相対的に圧力が高く、流量が増加し難いモードである。また、遅延時間τは、例えば、絶対値が最も大きな圧力、すなわち、バルブ30を開制御する直前の圧力に対して、略1/3の圧力に達する時間よりも短いことが好ましい。
【0039】
流体制御装置10は、タイミング(時刻)t2になると、圧電ポンプ21に印加する駆動電圧を、定常動作の駆動電圧Vdd1にし、その後、一定に保つ。圧電ポンプ22に対する駆動電圧Vdd1は、圧電ポンプ21に対する駆動電圧Vdd2よりも低いことが好ましい。これにより、下流側のポンプの温度上昇は、抑制され易い。
【0040】
流体制御装置10は、開始タイミングt0から駆動時間Ts1後に、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22の駆動を停止する。
【0041】
このような制御によって、上述のように、圧電ポンプ21への駆動電圧の印加時間は、圧電ポンプ22への駆動電圧の印加時間よりも短くなる。言い換えれば、下流側のポンプへの駆動電圧の印加時間は、上流側のポンプへの駆動電圧の印加時間よりも短くなる。これにより、下流側のポンプの温度上昇は、抑制される。
【0042】
また、下流側のポンプである圧電ポンプ21への定常動作の駆動電圧Vdd1の印加時間は、上流側のポンプである圧電ポンプ22への定常動作の駆動電圧Vdd2の印加時間よりも短くなる。これにより、下流側のポンプの温度上昇は、さらに、抑制される。
【0043】
(流体制御装置10の構成による圧力変化)
なお、
図5は、本願の流体制御装置による圧力の変化パターンを示した図である。
図5において、横軸は時間であり、縦軸は圧力(吐出圧力)である。
【0044】
図5に示すように、流体制御装置10の構成および制御によって、圧力は駆動制御周期に準じて変化する。すなわち、駆動制御周期の1周期の開始タイミングt0から、バルブ30が閉じられ、圧電ポンプ22、圧電ポンプ21の順で動作が開始されることで、圧力は、徐々に低下する。圧力は、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22の停止およびバルブ30の開放の直前で、最低値に達する。そして、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22の停止およびバルブ30の開放によって、圧力は、略初期値に戻る。このような動作を繰り返すことによって、流体制御装置10は、容器40から、効率的に流体を吸引できる。
【0045】
(流体制御装置10による温度変化率への影響)
図6(A)は、第1の実施形態に係る流体制御装置と比較構成とでの温度の変化パターンを示した図である。
図6(B)は、第1の実施形態に係る流体制御装置の温度の変化パターンを示す図であり、
図6(C)は、比較構成の流体制御装置の温度の変化パターンを示す図である。
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)において、横軸は時間であり、縦軸は下流側のポンプの吐出口付近の温度である。比較構成では、第1の実施形態に示す駆動時間の制御を行っていない構成である。
図6(A)においては、実線は第1の実施形態に係る流体制御装置の場合を示し、破線は比較構成の場合を示す。
図6(B)、
図6(C)においては、実線は温度の実測値であり、破線は温度の実測値の線形近似値を示す。また、
図6(B)、
図6(C)において、Tcは、上述の駆動制御周期である。
【0046】
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)に示すように、流体制御装置10の構成を備えることによって、下流側のポンプの温度は上昇するものの、温度変化率のバラツキは低減される。
【0047】
温度変化率のバラツキは、例えば、複数時刻における実測値と線形近似値との差分値の差によって定義できる。例えば、時刻taにおける実測値と線形近似値との差分値Δtaと、時刻tb(taと異なる)における実測値と線形近似値との差分値Δtbとを用い、これら差分値Δtaと差分値Δtbとの差∇tabによって定義できる。したがって、差∇tabが小さいほど、温度変化率のバラツキは小さく、差∇tabが大きいほど、温度変化率のバラツキは大きい。
【0048】
これにより、
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)からも分かるように、流体制御装置10の構成を備えることによって、差∇tabは小さくでき、温度変化率のバラツキは低減される。
【0049】
そして、温度変化率のバラツキが低減されることによって、急激な温度変化は抑制される。このような急激な温度の変化は、圧電ポンプにストレスを与える。したがって、急激な温度変化が抑制されることで、流体制御装置10は、下流側のポンプの破損を抑制できる。さらに、図示を省略しているが、上流側のポンプの温度は、下流側のポンプの温度よりも低い。そして、温度が高いほど、圧電ポンプに悪影響を与えるので、温度が低いことで、上流側のポンプの破損も抑制できる。
【0050】
これにより、流体制御装置10は、直列接続された複数のポンプの破損を含む、熱による故障を抑制できる。
【0051】
なお、流体制御装置10は、過渡時における圧電ポンプ21への駆動電圧の変化率を、圧電ポンプ22への駆動電圧の変化率よりも低くしてもよい。これにより、下流側のポンプの急激な温度変化は、さらに抑制でき、流体制御装置10は、直列接続された複数のポンプの熱による故障を、さらに抑制できる。
【0052】
(制御部60の具体的な回路構成例)
なお、上述の第1、第2の実施形態に係る制御部60は、例えば、次の構成によって実現可能である。
図7は、流体制御装置の制御部の機能ブロック図である。
【0053】
図7に示すように、制御部60は、MCU61、電源回路621、電源回路622、駆動電圧発生回路631、駆動電圧発生回路632、および、バルブ制御信号発生回路64を備える。制御部60は、本発明の「第1制御部」と「第2制御部」とを1個のICによって実現したものである。
【0054】
MCU61は、電源回路621、電源回路622、駆動電圧発生回路631、駆動電圧発生回路632、および、バルブ制御信号発生回路64に接続されている。MCU61、電源回路621、および、電源回路622には、電池70から電源電圧が供給されている。MCU61は、電源回路621、電源回路622、駆動電圧発生回路631、駆動電圧発生回路632、および、バルブ制御信号発生回路64に対する駆動制御を実行する。例えば、駆動電圧値の制御、駆動電圧の出力タイミングの制御、バルブ制御信号の出力タイミングの制御等を実行する。
【0055】
電源回路621は、電源電圧を、圧電ポンプ21に印加する電圧に変換して、駆動電圧発生回路631に出力する。電源回路622は、電源電圧を、圧電ポンプ22に印加する電圧に変換して、駆動電圧発生回路632に出力する。
【0056】
駆動電圧発生回路631は、電源回路621からの電圧を、圧電ポンプ21の駆動用波形に変換して、圧電ポンプ21に出力する。
【0057】
駆動電圧発生回路632は、電源回路622からの電圧を、圧電ポンプ22の駆動用波形に変換して、圧電ポンプ22に出力する。
【0058】
バルブ制御信号発生回路64は、閉制御用のバルブ制御信号、開制御用のバルブ制御信号を発生し、バルブ30に出力する。
【0059】
また、制御部60は、圧電ポンプへの駆動電圧の印加用の第1制御部と、バルブへの制御信号の出力用の第2制御部とが個別に設けられた構成であってもよいただし、第1制御部と第2制御部とを1個のパッケージにした素子で実現することによって、駆動信号(駆動電圧)とバルブ制御信号の同期が容易になる。
【0060】
また、制御部は、次に示す各種の回路構成によって実現が可能である。
図8は、制御部を他励振型で構成した回路の第1例を示す回路図である。
【0061】
図8に示すように、制御部60Xは、MCU61、および、駆動電圧発生回路630を備える。この回路は、1個の圧電ポンプ(圧電素子200)を駆動制御する回路である。したがって、上述のように、複数の圧電ポンプを駆動制御する態様では、駆動電圧発生回路630を、圧電ポンプの個数分備える。
【0062】
駆動電圧発生回路630は、FET1、FET2、FET3、FET4を備えるフルブリッジ回路である。FET1のゲート、FET2のゲート、FET3のゲート、および、FET4のゲートは、MCU61に接続されている。
【0063】
FET1のドレインと、FET3のドレインは、接続されている。これらFET1のドレインとFET3のドレインとには、電源電圧から得られる電圧Vcが供給される。
【0064】
FET1のソースは、FET2のドレインに接続されており、FET2のソースは、制御部60Xの制御基準電圧(Vg点)に接続されている。抵抗素子Rsを介して接続されている。FET3のソースは、FET4のドレインに接続されており、FET4のソースは、制御部60Xの制御基準電圧(Vg点)に接続されている。制御部60Xの基準電位(Vg点)は、抵抗素子Rsを介して、流体制御装置10の基準電位に接続されている。
【0065】
FET1のソースとFET2のドレインとの接続点は、圧電素子200の一方端子に接続されており、FET3のソースとFET4のドレインとの接続点は、圧電素子200の他方端子に接続されている。
【0066】
MCU61は、第1制御状態としてFET1とFET4とオン制御(導通制御)するとともにFET2とFET3とオフ制御(開放制御)する。また、MCU61は、第2制御状態としてFET1とFET4とオフ制御(開放制御)するとともにFET2とFET3とオン制御(導通制御)する。MCU61は、第1制御状態と第2制御状態と順に実行する。この際、MCU61は、この第1制御状態と第2制御状態とを連続して実行する時間が圧電ポンプ(圧電素子200)の周期(共振周波数の逆数)に一致するように、制御を行う。これにより、圧電素子200に駆動電圧が印加され、圧電ポンプは駆動される。
【0067】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図9は、第2の実施形態に係る流体制御装置の構成を示すブロック図である。
【0068】
図9に示すように、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aは、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、制御部60Aを備える点で異なる。流体制御装置10Aのその他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。制御部60Aは、第1の実施形態に係る制御部60に対して、電流制限機能を有する点で異なる。制御部60Aのその他の構成は、制御部60と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0069】
電流制限を行わない場合、下流型のポンプである圧電ポンプ21の駆動電流Idd1は、上流側のポンプである圧電ポンプ22の駆動電流Idd2よりも大きくなる。
【0070】
これに対して、制御部60Aは、駆動電流Idd1を制限する。
【0071】
図10(A)は、第2の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図であり、
図10(B)は、第2の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電流波形を示す図である。
【0072】
具体的には、
図10(B)に示すように、制御部60Aは、駆動電流Idd1の大きさを、低下させ、駆動電流Idd2の大きさと同じにする。なお、ここでいう電流(電流値)が同じとは、電流値の差が電流値の低い方から見て20%以内である場合を含んでいる。これを実現するため、制御部60Aは、駆動電圧Vdd1を駆動電圧Vdd2よりも高くする。
【0073】
図11は、電流制限の有無での温度の変化パターンを示した図である。
図11は、下流側のポンプの温度を示している。
図11におおいて、実線は電流制限を行った場合を示し、破線は電流制限を行わない場合を示す。
【0074】
図11に示すように、電流制限を行うことによって、下流側のポンプの温度の上昇率は、低下する。
【0075】
このように、流体制御装置10Aは、流体制御装置10と同様の作用効果を奏しながら、さらに、下流側のポンプの温度の上昇を抑制できる。
【0076】
(制御部60Aの具体的な回路構成例)
上述の制御を実現するため、制御部60Aは、例えば、
図12に示すような回路構成を備える。
図12は、第2の実施形態に係る制御部の回路構成の一例を示す回路図である。
図12に示す制御部60AXは、
図8に示す制御部60Xに対して、電流制限回路65を追加する点で異なる。制御部60AXのその他の構成は、制御部60Xと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0077】
制御部60AXは、電流制限回路65を備える。電流制限回路65は、少なくとも、圧電ポンプ21用の駆動電圧発生回路631に接続されている。
【0078】
電流制限回路65は、トランジスタQcl1、トランジスタQcl2、抵抗素子Rcl1、抵抗素子Rcl2、および、キャパシタCcl0を備える。トランジスタQcl1、および、トランジスタQcl2は、ntn型トランジスタである。
【0079】
トランジスタQcl1のベースは、抵抗素子Rc11を介して、電圧Vcの供給点に接続されている。トランジスタQcl1のコレクタは、制御基準電圧Vg(FET2のソースとFET4のソースの接続点)に接続されている。また、トランジスタQcl1のコレクタは、キャパシタCcl0を介して、流体制御装置10の基準電位に接続されている。
【0080】
トランジスタQcl1のエミッタは、トランジスタQcl2のベースに接続されている。トランジスタQcl2のベースは、抵抗素子Rs2を介して、流体制御装置10の基準電位に接続されている。
【0081】
トランジスタQcl2のコレクタは、トランジスタQcl1のベースに接続されている。トランジスタQcl2のエミッタは、流体制御装置10の基準電位に接続されている。
【0082】
電流制限回路65は、このような回路構成を備えることによって、圧電ポンプ21に流れる駆動電流Idd1の大きさを制限できる。この際、抵抗素子Rcl2の抵抗値およびキャパシタCcl0のキャパシタンスを適宜設定することで、制御部60AXは、トランジスタQcl1およびトランジスタQcl2のオンオフタイミングを調整し、駆動電流Idd1の大きさを、駆動電流Idd2の大きさと同じにできる。
【0083】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。第3の実施形態に係る流体制御装置は、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、制御処理の内容において異なる。第3の実施形態に係る流体制御装置のその他の構成および制御処理は、第1の実施形態に係る流体制御装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0084】
第3の実施形態に係る流体制御装置は、主たる吸引動作とともに、排気動作を行う。具体的には、第3の実施形態に係る流体制御装置は、次に示すような制御を行う。
【0085】
図13は、第3の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御処理の状態遷移を示す図である。
図14は、第3の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【0086】
図13に示すように、駆動制御周期の開始タイミングに同期したステートST1Aとして、流体制御装置は、圧電ポンプ22の駆動を開始し(圧電ポンプ22:ON)、バルブ30を閉制御する(バルブ30:CL)。この際、流体制御装置10は、圧電ポンプ21を停止している(圧電ポンプ21:OFF)。
【0087】
ステートST1Aに続くステートST2Aとして、流体制御装置は、バルブ30の閉状態を保持し(バルブ30:CL)、圧電ポンプ22の駆動状態を保持した状態(圧電ポンプ22:ON)、圧電ポンプ21の駆動を開始する(圧電ポンプ21:ON)。
【0088】
ステート2Aに続くステートST3Aとして、流体制御装置は、バルブ30を開制御して(バルブ:OP)、圧電ポンプ21を停止する(圧電ポンプ21:OFF)。このとき、流体制御装置は、圧電ポンプ22の駆動を維持する(圧電ポンプ22:ON)。ただし、流体制御装置は、圧電ポンプ22の駆動電圧Vdd2vを、ステートST2Aでの駆動電圧Vdd2よりも低くする(
図14参照)。
【0089】
言い換えれば、流体制御装置は、ステートST3Aにて、圧電ポンプ22の駆動電圧Vdd2vを、排気用の駆動電圧に設定する。排気用の駆動電圧とは、容器40から流体を殆ど吸入せず、バルブ30から外部の流体(空気等)を吸入して、連通路52、圧電ポンプ22、連通路51、および、圧電ポンプ21を介して、外部に排出できる程度の電圧である。
【0090】
ステートST3Aに続くステートST4Aとして、流体制御装置は、バルブ30の開状態を保持し(バルブ30:OP)、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22を停止する(圧電ポンプ21:OFF、圧電ポンプ22:OFF)。
【0091】
すなわち、
図14に示すように、流体制御装置は、上述の流体制御装置10での非駆動時間Ts2を短くする。そして、流体制御装置は、駆動時間Ts1と非駆動時間Ts2との間に、排気時間Ts3を設定する。
【0092】
流体制御装置は、1つの駆動制御周期において、これらステートST1A、ST2A、ST3A、ST4Aを一組として実行し、この制御を繰り返す。
【0093】
このように、流体制御装置は、駆動制御周期の一周期内において、上流側のポンプを下流側のポンプよりも早く駆動し、上流側のポンプの駆動のみを用いて排気を行う。
【0094】
この制御を実現するため、流体制御装置の制御部は、
図15に示すフローで制御を実行する。
図15は、本発明の第3の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御のフローチャートである。
【0095】
図15に示すように、制御部は、駆動制御周期の1周期の開始タイミングになると、上流側のポンプ(第1の実施形態では、圧電ポンプ22)を起動する(S101)。制御部は、バルブ30を閉制御する(S102)。制御部は、計時を開始する、または、制御継続中であれば、計時をリセットする(S103)。ステップS101、ステップS102、および、ステップS103は、略同時に実行される。なお、ステップS101、ステップS102、および、ステップS103は、流体制御装置の機能を実現できる範囲において若干の時間差を有していても、ステップの順序が入れ替わっても構わない。
【0096】
制御部は、計時された時刻を参照にして、遅延起動時刻まで、計時を継続する(S104:NO)。制御部は、遅延起動時刻に達すると(S104:YES)、下流側のポンプ(第1の実施形態では、圧電ポンプ21)を起動する(S105)。
【0097】
制御部は、ポンプ停止時刻までは(S106:NO)、上流側のポンプと下流側のポンプの動作を継続させる。
【0098】
制御部は、ポンプ停止時刻に達すると(S106:YES)、下流側のポンプを停止する(S111)。制御部は、バルブ30を開制御する(S108)。ステップS111、および、ステップS108は、略同時に実行される。なお、ステップS111、および、ステップS108は、流体制御装置の機能を実現できる範囲において若干の時間差を有していても構わない。
【0099】
制御部は、ステップS111の実行後で所定時間(排気時間)の経過後、上流側のポンプを停止する(S112)。
【0100】
流体制御装置は、上流側のポンプと下流側のポンプとを停止させ、バルブ30を開制御した状態で、さらに所定時間待機し(S109)、駆動制御周期の1周期を終了させ、ステップS101に戻る。
【0101】
このように、第3の実施形態に係る流体制御装置は、上流側のポンプのみを用いて排気動作を行う。上流側のポンプ(上述の例では圧電ポンプ22)は、下流側のポンプ(上述の例では圧電ポンプ21)と比較して、吸入側(連通路52側)と排気側(連通路51側)との温度差が大きい。このように温度差が大きいほど、排気による温度低下効果は大きい。したがって、第3の実施形態に係る流体制御装置の制御を行うことによって、上流側のポンプも温度上昇は抑制され、さらに、下流側のポンプに吸入される流体の温度を抑えることができ、下流側のポンプの温度上昇は抑制される。
【0102】
図16は、排気を行う場合と行わない場合との温度の変化パターンを示した図である。
図16において、横軸は時間であり、縦軸は温度である。
図16において、太実線は排気を行った場合の下流側のポンプの温度であり、太破線は排気を行った場合の上流側のポンプの温度であり、細破線は排気を行わない場合の下流側のポンプの温度である。また、
図16において、Tcは、上述の駆動制御周期である。
【0103】
図16に示すように、第3の実施形態に係る流体制御装置の構成および制御を備えることによって、上述の作用効果とともに、下流側のポンプの温度を低減して、上流側のポンプの温度と下流側のポンプの温度とのバランスを良くできる。これにより、流体制御装置は、故障をさらに抑制できる。
【0104】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。第4の実施形態に係る流体制御装置は、第3の実施形態に係る流体制御装置に対して、第2の実施形態に係る流体制御装置と同様の電流制限を行う点で異なる。第4の実施形態に係る流体制御装置のその他の構成および制御処理は、第3の実施形態に係る流体制御装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0105】
図17は、電流制限および排気の両方を行う場合と、電流制限および排気の両方を行わない場合との温度の変化パターンを示した図である。
図17において、横軸は時間であり、縦軸は温度である。
図17において、太実線は電流制限と排気との両方を行った場合の下流側のポンプの温度であり、太破線は電流制限と排気との両方を行った場合の上流側のポンプの温度であり、細破線は電流制限と排気の両方を行わない場合の下流側のポンプの温度である。また、
図17において、Tcは、上述の駆動制御周期である。
【0106】
図17に示すように、第4の実施形態に係る流体制御装置の構成および制御を備えることによって、上述の作用効果とともに、上流側のポンプの温度と下流側のポンプの温度とのバランスを保持したまま、さらに温度上昇を抑えることができる。これにより、流体制御装置は、故障をさらに抑制できる。
【0107】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。第5の実施形態に係る流体制御装置は、第3の実施形態に係る流体制御装置に対して、排気時間Ts3と非駆動時間Ts2の順番を逆にした点で異なる。第5の実施形態に係る流体制御装置の構成および制御は、第3の実施形態に係る流体制御装置の構成および制御と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0108】
図18は、第5の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御処理の状態遷移を示す図である。
図19は、第5の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【0109】
図18に示すように、駆動制御周期の開始タイミングに同期したステートST1Bとして、流体制御装置は、圧電ポンプ22の駆動を開始し(圧電ポンプ22:ON)、バルブ30を閉制御する(バルブ30:CL)。この際、流体制御装置10は、圧電ポンプ21を停止している(圧電ポンプ21:OFF)。
【0110】
ステートST1Bに続くステートST2Bとして、流体制御装置は、バルブ30の閉状態を保持し(バルブ30:CL)、圧電ポンプ22の駆動状態を保持した状態(圧電ポンプ22:ON)、圧電ポンプ21の駆動を開始する(圧電ポンプ21:ON)。
【0111】
ステートST2Bに続くステートST3Bとして、流体制御装置は、バルブ30の開制御して(バルブ30:OP)、圧電ポンプ21および圧電ポンプ22を停止する(圧電ポンプ21:OFF、圧電ポンプ22:OFF)。
【0112】
ステート3Bに続くステートST4Bとして、流体制御装置は、バルブ30の開状態と圧電ポンプ21の停止状態を保持し(バルブ:OP、圧電ポンプ21:OFF)、圧電ポンプ22の駆動を開始する(圧電ポンプ22:ON)。ただし、流体制御装置は、圧電ポンプ22の駆動電圧Vdd2vを、ステートST2Bでの駆動電圧Vdd2よりも低くする(
図19参照)。
【0113】
言い換えれば、流体制御装置は、ステートST4Bにて、圧電ポンプ22の駆動電圧Vdd2vを、上述の排気用の駆動電圧に設定する。
【0114】
すなわち、
図19に示すように、流体制御装置は、上述の流体制御装置10での非駆動時間Ts2を短くする。そして、流体制御装置は、非駆動時間Ts2と次の駆動制御周期の駆動時間Ts1との間に、排気時間Ts3を設定する。
【0115】
流体制御装置は、1つの駆動制御周期において、これらステートST1B、ST2B、ST3B、ST4Bを一組として実行し、この制御を繰り返す。すなわち、流体制御装置は、上流側のポンプに対して、排気用の駆動から吸引用の駆動へ、駆動電圧を変化させて連続で駆動制御を行う。
【0116】
このように、流体制御装置は、駆動制御周期の一周期内において、上流側のポンプを下流側のポンプよりも早く駆動し、上流側のポンプの駆動のみを用いて排気を行い、この排気に連続して、次の周期の上流側のポンプの駆動が行われる。
【0117】
この制御を実現するため、流体制御装置の制御部は、
図20に示すフローで制御を実行する。
図20は、本発明の第5の実施形態に係る流体制御装置で実行する制御のフローチャートである。
【0118】
図20に示すように、制御部は、駆動制御周期の1周期の開始タイミングになると、上流側のポンプ(第1の実施形態では、圧電ポンプ22)を起動する(S101)。制御部は、バルブ30を閉制御する(S102)。制御部は、計時を開始する、または、制御継続中であれば、計時をリセットする(S103)。ステップS101、ステップS102、および、ステップS103は、略同時に実行される。なお、ステップS101、ステップS102、および、ステップS103は、流体制御装置の機能を実現できる範囲において若干の時間差を有していても、ステップの順序が入れ替わっても構わない。
【0119】
制御部は、計時された時刻を参照にして、遅延起動時刻まで、計時を継続する(S104:NO)。制御部は、遅延起動時刻に達すると(S104:YES)、下流側のポンプ(第1の実施形態では、圧電ポンプ21)を起動する(S105)。
【0120】
制御部は、ポンプ停止時刻までは(S106:NO)、上流側のポンプと下流側のポンプの動作を継続させる。
【0121】
制御部は、ポンプ停止時刻に達すると(S106:YES)、上流側のポンプと下流側のポンプを停止する(S107)。制御部は、バルブ30を開制御する(S108)。ステップS107、および、ステップS108は、略同時に実行される。なお、ステップS107、および、ステップS108は、流体制御装置の機能を実現できる範囲において若干の時間差を有していても構わない。
【0122】
流体制御装置は、上流側のポンプと下流側のポンプとを停止させ、バルブ30を開制御した状態で、所定時間待機する(S109)。流体制御装置は、所定時間の待機後、上流側のポンプの駆動を、排気動作用として開始する(S121)。流体制御装置は、排気動作を所定時間行った後、駆動制御周期の1周期を終了させ、ステップS101に戻る。
【0123】
このような構成および制御であっても、第5の実施形態に係る流体制御装置は、第3の実施形態に係る流体制御装置と同様の作用効果を奏することができる。また、第5の実施形態に係る流体制御装置では、バルブ30の開制御のタイミングが遅延しても、より確実に排気を行うことができる。
【0124】
なお、第5の実施形態に係る流体制御装置は、
図21に示すような制御を行ってもよい。
図21は、第5の実施形態に係る各圧電ポンプに対する駆動信号の電圧波形を示す図である。
【0125】
図21に示すように、第5の実施形態に係る流体制御装置は、非駆動時間Ts2の中間に、排気時間Ts3を設定している。すなわち、駆動時間Ts1と排気時間Ts3とが連続しないように設定されている。このような制御を行っても、第5の実施形態に係る流体制御装置は、上述の説明と同様の作用効果を奏することができる。
【0126】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図22は、本発明の第6の実施形態に係る流体制御装置の構成を示すブロック図である。
【0127】
図22に示すように、第6の実施形態に係る流体制御装置10Bは、第1の実施形態に係る流体制御装置10と比較して、流体の流れを逆にしたものである。流体制御装置10Bにおける流体制御装置10と同様の箇所は、説明を省略する。流体制御装置10Bは、例えば、血圧計等に利用される。
【0128】
流体制御装置10Bでは、圧電ポンプ21の孔212と圧電ポンプ22の孔221とは、連通路51を介して連通している。圧電ポンプ22の孔222と容器40Bとは、連通路52を介して連通している。したがって、流体制御装置10Bでは、圧電ポンプ21が上流側のポンプであり、圧電ポンプ22が下流側のポンプである。
【0129】
このように、流体を容器40Bに流入する流体制御装置10Bも、上流側のポンプおよび下流側のポンプに対して、上述の制御を実現することによって、流体制御装置10と同様に、直列接続された複数のポンプの破損を含む、熱による故障を抑制できる。
【0130】
(電流制限機能の他の実現方法)
図23は、電流制限機能を有する制御部の構成を示す回路図である。なお、
図23は、制御部における上流側のポンプへの制御に関する部分のみを記載しており、他の部分は、上述の構成によって実現可能である。
【0131】
図23に示すように、駆動電圧発生回路631は、
図8に示した駆動電圧発生回路630と同様の構成を備える。
【0132】
MCU61は、駆動電圧発生回路631の制御基準電圧Vgを計測する。MCU61は、制御基準電圧Vgのレベルに基づいて、電流制御信号(電流制御電圧)Vuを生成し、電源回路620に出力する。制御基準電圧Vgは、抵抗素子Rsに流れる電流I(駆動電流Idd1に対応)に応じたレベルである。MCU61は、この駆動電流Idd1に対応した制御基準電圧Vgから、駆動電流Idd1を駆動電流Idd2と同じレベルにするように、電流制御信号(電流制御電圧)Vuを生成し、電源回路620に出力する。
【0133】
電源回路620は、例えば、
図23に示すように、制御IC629、スイッチング素子Q62、インダクタL62、ダイオードD2、キャパシタC62、抵抗素子R621、抵抗素子R622、および、抵抗素子R623を備える。制御IC629は、電源回路620の入力端子に接続し、外部の電源から電力供給されており、スイッチング素子Q62のオンオフ制御を行う。インダクタL62とダイオードD62は、電源回路620の入力端子と出力端子との間に電源ラインに接続される。出力端子と電源回路620の基準電位(流体制御装置の基準電位)との間には、キャパシタC62が接続されている。
【0134】
スイッチング素子Q62のゲートは、制御IC629に接続され、ドレインは、インダクタL62の出力側に接続され、ソースは、基準電位に接続されている。
【0135】
抵抗素子R621と抵抗素子R622との直列回路は、出力端子と基準電位との間に接続されている。抵抗素子R621と抵抗素子R622との分圧点は、制御IC629に接続されている。抵抗素子R623は、MCU61と制御IC629との間に接続されている。
【0136】
電源回路620は、制御IC629によるスイッチング素子Q62のオンオフ制御によって、駆動電圧発生回路631に与える電圧Vcを、所定値に制御する。この際、制御IC629には、抵抗素子R621と抵抗素子R622とによる電圧Vcの分圧がフィードバックされており、制御IC629は、この電圧を参照して、電圧Vcを略一定に制御する。
【0137】
ここで、制御IC629は、MCU61からの電流制御信号(電流制御電圧)Vuを参照しスイッチング制御を調整することで、電圧Vcを調整する。例えば、制御IC629は、電流制限を必要とする電流制御信号(電流制御電圧)Vuを受けると、下流側のポンプに対する電圧Vcを低下させるように、スイッチング制御を調整する。
【0138】
このような回路構成および制御を行うことで、上述の電流制限を実現できる。
【0139】
なお、この制御は、容器40から流体を吸引する場合に実現されるものであり、容器40に流体を流入させる場合には、制御部は、上流側のポンプに対する電圧Vcを上昇させるように、スイッチング制御を調整する。
【0140】
(駆動電圧発生回路の別態様)
図24は、自励振型の駆動電圧発生回路の一例を示す回路図である。
図24に示すように、駆動電圧発生回路650は、HブリッジIC651、差動回路652、増幅回路653、位相反転回路654、および、中間電圧発生回路655を備える。駆動電圧発生回路650は、概略的には、次に示すように動作する。
【0141】
HブリッジIC651には、電圧Vcが供給されており、増幅回路653の出力と、位相反転回路654の出力を受け、第1出力端子と第2出力端子とから、絶対値が同じで互いに逆位相の駆動電圧を出力し、圧電素子200に供給する。圧電素子200は、この駆動電圧を受けて励振され、圧電ポンプは、駆動される。
【0142】
差動回路652は、圧電素子200に流れる電流に基づく抵抗素子R12の両端電圧を差動増幅して、増幅回路653に出力する。増幅回路653は、差動回路652の出力電圧を増幅して、HブリッジIC651、および、位相反転回路654に出力する。位相反転回路654は、増幅回路653の出力電圧を位相反転して、HブリッジIC651に出力する。
【0143】
このようなフィードバック制御が行われることによって、駆動電圧発生回路650を構成する各回路素子および圧電素子200のインピーダンスに基づいて、最適な周波数で圧電素子200が駆動される。
【0144】
図24に示すように、駆動電圧発生回路650の具体的な回路構成は、例えば次に示す回路構成である。
【0145】
中間電圧発生回路655は、オペアンプU10、抵抗素子R13、抵抗素子R14、抵抗素子R15、キャパシタC3、および、キャパシタC4を備える。
【0146】
抵抗素子R14と抵抗素子R13とは、電圧Vcの供給点と基準電位との間に、この順で直列接続されている。キャパシタC3は、抵抗素子R13に対して並列に接続されている。キャパシタC4は、抵抗素子R14と抵抗素子R13との直列回路に対して、並列に接続されている。オペアンプU10の非反転入力端子は、抵抗素子R13と抵抗素子R14との接続点に接続されている。オペアンプU10の出力端子は、抵抗素子R15を介して、オペアンプU10の反転入力端子に接続されている。中間電圧発生回路655は、抵抗素子R15におけるオペアンプU10の出力端子への接続端子と反対側の端子の電圧を、中間電圧Vmとして出力する。
【0147】
HブリッジIC651の第1出力端子は、抵抗素子R11を介して、圧電素子200の一方の端子に接続されている。HブリッジIC651の第2出力端子は、抵抗素子R12を介して、圧電素子200の他方の端子に接続されている。
【0148】
差動回路652は、オペアンプU3、抵抗素子R1、抵抗素子R2、抵抗素子R3、抵抗素子R4、キャパシタC5、キャパシタC6、キャパシタC7、および、キャパシタC8を備える。
【0149】
オペアンプU3には、駆動電圧V+が供給されている。オペアンプU3の反転入力端子は、抵抗素子R2とキャパシタC5の並列回路を介して、電流検出用の抵抗素子R12の圧電素子200側に接続されている。オペアンプU3の非反転入力端子は、抵抗素子R1とキャパシタC6の並列回路を介して、抵抗素子R12のHブリッジIC651側に接続されている。オペアンプU3の非反転入力端子には、抵抗素子R4とキャパシタC7の並列回路を介して、中間電圧Vmが供給されている。オペアンプU3の出力端子は、抵抗素子R3とキャパシタC8の並列回路を介して、オペアンプU3の反転入力端子に接続されている。
【0150】
増幅回路653は、オペアンプU2、抵抗素子R5、抵抗素子R6、抵抗素子R7、キャパシタC1、および、キャパシタC2を備える。
【0151】
オペアンプU2には、駆動電圧V+が供給されている。オペアンプU2の反転入力端子は、キャパシタC1、および、抵抗素子R5を介して、差動回路652のオペアンプU3の出力端子に接続されている。キャパシタC1と抵抗素子R5の接続点は、抵抗素子R7を介して、基準電位に接続されている。キャパシタC2の一方端子は、キャパシタC1と抵抗素子R5の接続点に接続されており、キャパシタC2の他方端子は、抵抗素子R6の一方端子に接続されている。抵抗素子R6の他方端子は、オペアンプU2の反転入力端子に接続されている。オペアンプU2の非反転入力端子には、中間電圧Vmが供給されている。オペアンプU2の出力端子は、抵抗素子R6の一方端子に接続されている。また、オペアンプU2の出力端子は、HブリッジIC651に接続されている。
【0152】
位相反転回路654は、オペアンプU1、抵抗素子R8、抵抗素子R9、および、抵抗素子R10を備える。
【0153】
オペアンプU1には、駆動電圧V+が供給されている。オペアンプU1の反転入力端子は、抵抗素子R8を介して、増幅回路653のオペアンプU2の出力端子に接続されている。オペアンプU1の非反転入力端子には、抵抗素子R10を介して、中間電圧Vmが供給されている。オペアンプU1の出力端子は、抵抗素子R9を介して、オペアンプU1の反転入力端子に接続されている。また、オペアンプU1の出力端子は、HブリッジIC651に接続されている。
【0154】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組合せが可能であり、組み合わせられた構成は、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0155】
10:流体制御装置
10A:流体制御装置
10B:流体制御装置
21:圧電ポンプ
22:圧電ポンプ
30:バルブ
40、40B:容器
51、52:連通路
60、60A、60AX、60X:制御部
61:MCU
64:バルブ制御信号発生回路
65:電流制限回路
70:電池
200:圧電素子
211、212、221、222:孔
620、621、622:電源回路
629:制御IC
630、631、632、650:駆動電圧発生回路
651:HブリッジIC
652:差動回路
653:増幅回路
654:位相反転回路
655:中間電圧発生回路
C1、C2、C3、C4、C5、C6、C62、C7、C8、Ccl0:キャパシタ
D2、D62:ダイオード
L62:インダクタ
Q62:スイッチング素子
Qcl1、Qcl2:トランジスタ
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R621、R622、R623、Rc11、Rcl1、Rcl2、Rs、Rs2:抵抗素子
U1、U10、U2、U3:オペアンプ