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▶ ファブル ホールディングス ピーティーワイ リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041984
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】キノコ系食品
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/00 20060101AFI20240319BHJP
   A23J 3/16 20060101ALI20240319BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20240319BHJP
【FI】
A23J3/00 502
A23J3/16 501
A23L13/00 Z
A23L19/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006608
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2022539411の分割
【原出願日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】2020900920
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】522255177
【氏名又は名称】ファブル ホールディングス ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】フラー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マクロフリン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】フォックス マイケル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】肉、特に調理済み肉製品の視覚的、質感的、及び/又は風味的特徴を模倣することができる肉の多用途の代替物を調製する方法を提供する。
【解決手段】キノコ材料、エマルション及び/又は結合剤を含むキノコ系肉代用物の調製方法であって、キノコ材料、並びに結合剤及びエマルションの少なくとも1つを含む未加工キノコ系肉代用物を調製する工程と、任意選択の成形工程を実施する工程と、レトルト加工工程を実施する工程とを含み、成形工程が存在する場合、キノコ材料又は未加工キノコ系肉代用物は成形工程に曝露されて、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物が製造され、キノコ材料、未加工キノコ系肉代用物、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコ材料、エマルション及び/又は結合剤を含むキノコ系肉代用物の調製方法であって、
前記キノコ材料、並びに前記結合剤及び前記エマルションの少なくとも1つを含む未加工キノコ系肉代用物を調製する工程と、
任意選択の成形工程を実施する工程と、
レトルト加工工程を実施する工程と
を含み、
前記成形工程が存在する場合、前記キノコ材料又は未加工キノコ系肉代用物は成形工程に曝露されて、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物が製造され、
前記キノコ材料、未加工キノコ系肉代用物、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される方法。
【請求項2】
前記キノコ材料又は未加工キノコ系肉代用物が成形工程に曝露されて、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物が製造される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未加工キノコ系肉代用物が前記キノコ材料及び前記結合剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記未加工キノコ系肉代用物が前記キノコ材料及び前記エマルションを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記未加工キノコ系肉代用物が前記キノコ材料、前記エマルション及び前記結合剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キノコ材料が、前記未加工キノコ系肉代用物の調製において使用される前に、成形プロセス又はレトルト加工プロセスに曝露される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記未加工キノコ系肉代用物が成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物が製造され、
前記キノコ材料、又は前記成形キノコ系肉代用物がレトルト加工プロセスに曝露される
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記未加工キノコ系肉代用物が成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物が製造され、
前記成形キノコ系肉代用物がレトルト加工プロセスに曝露される
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記キノコ材料が細断されたキノコの軸を含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記キノコ材料が、ハラタケ属、シイタケ属、ヒラタケ属、サンゴハリタケ属、アイカワタケ属、ナラタケ属、ピオッピーニ、エノキタケ属、シロタモギタケ属、シメジ属、アンズタケ属からなる群から選択される属のキノコ、又はこれらの組み合わせを含む請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
存在する場合、前記エマルションが、レシチン、水及び植物由来の油を含む請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項12】
存在する場合、前記結合剤が、植物由来のデンプン、脂肪又はタンパク質である請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記キノコ系肉代用物が、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料と、存在する場合、約2%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、存在する場合、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)の結合剤とを含む請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記キノコ系肉代用物が、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料と、約2%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)の結合剤とを含む請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法によって製造されたキノコ系肉代用物。
【請求項16】
請求項14に記載の方法によって製造されたキノコ系肉代用物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコ系肉代用物及びキノコ系肉代用物の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、肉、特に調理済み肉製品の視覚的、質感的、及び/又は風味的特徴を模倣することができる肉の多用途の代替物を提供するために開発された。
【背景技術】
【0003】
本明細書全体にわたる従来技術のいかなる議論も、そのような従来技術が広く公知であるか又は当該技術分野における一般的な知識の一部を形成するということを認めるものと決してみなされるべきではない。
【0004】
畜産業によって生成される温室効果排出物の温暖化効果に関する懸念、並びに開墾措置の効果、水使用量、及び動物権利の認識に応じて、消費者は、自分たちの食事から肉製品を削減、排除、又は置換する方法にますます向いている。これは肉代用物に向けられた巨大産業を生み出し、製品は、その品質、入手可能性、及び従来の調理方法への適用可能性、並びに人気のある料理において肉の納得させる代替品として使用される能力において実に様々である。
【0005】
現在入手可能な肉代用物の大部分は、組織化タンパク質のミンチのような、押し出された、及び/又は高度に加工された、均一なシートに主に基づいており、これは一般に肉の柔らかさを欠き、ゴム状、歯ごたえがある、スポンジ状である等の短所を抱える。これらの肉代用物は、植物ベースであることが多いが、典型的には、合成の化工デンプンによってつながれており、許容できない量の保存料、合成香料及び塩からなり、肉代用物の栄養価にほとんど重点が置かれていない。
【0006】
肉及び肉製品に関連する高いタンパク質含有量の栄養上の利点を欠くことに加えて、入手可能な肉代用物は、肉の実際の消費に関連する望ましい特性、すなわち肉の風味、匂い及び質感を欠く傾向がある。概して、肉代用物は、実際の肉の味、質感及び多様性を欠いており、とろ火で煮込んだ肉、分厚い肉、バーベキュー料理された肉、焙煎された肉、蒸し煮された肉、又はほぐした肉を必要とする料理には使用することができない。実際、肉の望ましい特性を模倣する試みにおいて、培養した哺乳動物細胞を組み込む肉代用物が開発されている。これらの製品は、肉よりも持続可能性が高いものとして促進されてもよいが、培養細胞の添加は、概して、肉を含まない食事を求めている大多数の人にとって望ましくなく、また、使用されている哺乳動物細胞株の人工的な生物工学的側面を考慮すると、消費者にとって不快となる可能性がある。
【0007】
これは、レストラン及びケータリング部門、並びに食肉消費を減少させることを望むが定期的に食べる食物の種類に対する特定の好みを有することを望む個人に対する食肉代用物の適用性を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の上述の欠点を克服若しくは改善すること、又は少なくとも有用な代替手段を提供することである。
【0009】
具体的には、実際の肉と同様の栄養プロファイル、質感プロファイル、視覚プロファイル、芳香プロファイル及び風味プロファイルを有する、異なる種類、カット及び調製物の肉により密接に類似する肉代用物を開発することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、キノコ材料、エマルション及び/又は結合剤を含むキノコ系肉代用物の調製方法であって、
キノコ材料、及び結合剤又はエマルションの少なくとも1つを含む未加工キノコ系肉代用物を調製する工程と、
任意選択の成形工程を実施する工程と、
レトルト加工工程を実施する工程と、
を含み、
上記成形工程が存在する場合、上記キノコ材料又は未加工キノコ系肉代用物は成形工程に曝露されて、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物が製造され、
上記キノコ材料、未加工キノコ系肉代用物、成形キノコ材料又は成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される方法を提供する。
【0011】
肉代用物は、任意の種類の肉の代用物として作用することができる物質を意味し、肉は、限定されないが、牛肉、子羊肉、羊肉、家禽肉、狩猟動物、カンガルー等の任意の動物の肉又は臓器である。肉代用物は、肉の任意のカットの代用物であってもよく、限定されないがミンチ肉、細断肉、立方体状の肉、さいの目に切った肉若しくはスライス肉、ミートパティ、ソーセージ、加工肉製品、又はステーキ肉、ロースト肉、乳房、ロイン等の肉の大型無骨カット等の任意の調製された形態の肉の代用物であってもよい。肉代用物は植物性である(動物又は動物由来細胞を含む動物肉製品を含まない)。好ましくは、肉代用物は完全植物性である(あらゆる動物由来産物を実質的に含まない)。肉代用物は、即時消費に適した形態であってもよく、又は所望に応じて調理、加熱若しくはさらなる処理を必要としてもよい。
【0012】
キノコ系は、肉代用物中の主要なタンパク質性及び/又は繊維性の原材料がキノコであるか又はキノコ由来であることを意味する。キノコ系肉代用物は、追加のタンパク質性及び/若しくは繊維性植物系材料並びに/又は追加の合成タンパク質性及び/若しくは繊維性材料を含んでもよいが、キノコ系肉代用物のタンパク質性及び/又は繊維性内容物の少なくとも50%(w/w)は、キノコであるか又はキノコ由来材料であることが理解されよう。キノコ系肉代用物は、他の植物性物質を含んでもよいが、動物由来のいかなる肉も含まない。
【0013】
本発明の方法のキノコ材料に使用されるキノコは、任意の食用キノコであることができる。食用は、新鮮なときにキノコの一部若しくは全部がヒトによって安全に消費されてもよく、又は加工若しくは調理工程後にのみキノコの一部若しくは全部がヒトによって安全に消費されてもよいことを意味し、この処理又は調理は、キノコ又はその一部の有害な成分を除去又は不活性にしてもよい。安全に消費されるとは、消費が消費者の健康障害又は死亡をもたらさないことを意味する。
【0014】
キノコ材料は、限定されないが、ハラタケ属(アガリクス属、Agaricus)、シイタケ属(レンチヌラ属、Lentinula)、ヒラタケ属(Pleurotus)、サンゴハリタケ属(ヘリシウム属、Hericium)、アイカワタケ属(Laetiporus)、ナラタケ属(アルミラリア属、Armillaria)、ピオッピーニ(Pioppini)、エノキタケ属(フラムリナ属、Flammulina)、シロタモギタケ属(Hypsizygus)、シメジ属(Lyophyllum)、アンズタケ属(Cantharellus)、クロラッパタケ属(Craterellus)、カヤタケ属(Clitocybe)、ヤマドリタケ属(Boletus)、マイタケ属(Grifola)、シャグマアミガサタケ属(ギロミトラ属、Gyromitra)、カノシタ属(Hydnum)、フウセンタケ属(コルチナリウス属、Cortinarius)、チチタケ属(Lactarius)、キシメジ属(Tricholoma)、フクロタケ属(Volvariella)、マンネンタケ属(Ganoderma)、キクラゲ属(Auricularia)、ハナビラタケ属(Sparassis)、アミガサタケ属(Morchella)、セイヨウショウロ属(Tuber)、テングタケ属(アマニタ属、Amanita)、シロソウメンタケ科(Clavariaceae)、ノウタケ属(Calvatia)、ヒトヨタケ属(コプリナス属、Coprinus)、カンゾウタケ属(Fistulina)、ヤマイグチ属(Leccinum)、キツネノカラカサ属(Lepiota)、ヌメリイグチ属(Suillus)、ヒメヒトヨタケ属(Coprinopsis)、ベニタケ属(Russula)及び/又はタマチョレイタケ属(Polyporus)のキノコ、又はこれらの組み合わせを含む任意のキノコ由来の材料であってもよい。
【0015】
より具体的には、キノコ材料は、アガリクス・ベルナルディイ(Agaricus bernardii)、アガリクス・クロコディリヌス(Agaricus crocodilinus)、アガリクス・フスコフィブリロサス(Agaricus fuscofibrillosus)、アガリクス・ハエモロイダリウス(Agaricus haemorrhoidarius)、アガリクス・ロドマニイ(Agaricus rodmanii)、アガリクス・ビトルキス(Agaricus bitorquis)、アガリクス・ビスポラス(Agaricus bisporus)、ボレタス・アエレウス(Boletus aereus)、ボレタス・アペンディキュラタス(Boletus appendiculatus)、ボレタス・バディウス(Boletus badius)、ボレタス・バロウシイ(Boletus barrowsii)、ボレタス・ビコロ(Boletus bicolor)、ボレタス・ミラビリス(Boletus mirabilis)、ボレタス・ピニコラ(Boletus pinicola)、ボレタス・レジウス(Boletus regius)、ボレタス・ゼレリ(Boletus zelleri)、カンタレルス・ラテリティウス(Cantharellus lateritius)、クリトキュベ・フラグランス(コカブイヌシメジ、Clitocybe fragrans)、クリトキュベ・オドラ(Clitocybe odora)、クリトピラス・プルヌルス(ヒカゲウラベニタケ、Clitopilus prunulus)、コルチナリウス・アルミラツス(Cortinarius armillatus)、エントロマ・アボルティヴム(Entoloma abortivum)、フラムリナ・ヴェルティペス(エノキタケ、Flammulina velutipes)、ゴンファス・クラバトゥス(Gomphus clavatus)、グリフォラ・フロンドーサ(マイタケ、Grifola frondosa)、ポリピラス・フロンドーサ(Polypilus frondosa)、ジャイロミトラ・ギガス(Gyromitra gigas)、ヘリシウム・アメリカヌム(Hericium americanum)、ヘリシウム・ラモサム(Hericium ramosum)、ヘリシウム・エリナセウス(Hericium erinaceus)、ヘリシウム・コラロイデス(Hericium corraloides)、ヒプシジグス・テスラトゥス(ブナシメジ、Hypsizygus tessulatus)、リオフィラム・デカステス(ハタケシメジ、Lyophyllum decastes)、リオフィラム・シメジ(ホンシメジ、Lyophyllum shimeji)、ヒグロフォルス・ルスラ(Hygrophorus russula)、レッキヌム・アウランティアカム(Leccinum aurantiacum)、レッキヌム・インシグネ(Leccinum insigne)、レッキヌム・スカブルム(ヤマイグチ、Leccinum scabrum)、レンティヌラ・エドデス(シイタケ、Lentinula edodes)、レンティヌラ・ラテリティア(Lentinula lateritia)、マラスミウス・スコロドニウス(ニオイヒメホウライタケ、Marasmius scorodonius)、フォリオタ・アウリベラ(ヌメリスギタケモドキ、Pholiota aurivella)、フロギオティス・ヘルベロイデス(ニカワジョウゴタケ、Phlogiotis helvelloides)、プルテウス・ケルビヌス(ウラベニガサ、Pluteus cervinus)、プレウロトゥス・オストレアトゥス(ヒラタケ、Pleurotus ostreatus)、プレウロトゥス・エリンギイ(エリンギ、Pleurotus eryngii)、ポリオゼルス・ムルティプレックス(カラスタケ、Polyozellus multiplex)、ポリポルス・ウムベラトゥス(チョレイマイタケ、Polyporus umbellatus)、ラマリア・ボトリチス(ホウキタケ、Ramaria botrytis)、ロジテス・カペラタ(ショウゲンジ、Rozites caperata)、ルッスラ・アエルギネア(クサイロハツ、Russula aeruginea)、ルッスラ・キアノクサンタ(カワリハツ、Russula cyanoxantha)、ルッスラ・デリカ(Russula delica)、ルッスラ・ニグリカンス(Russula nigricans)、ルッスラ・ベスカ(チギレハツ、Russula vesca)、ルッスラ・クセラムペリナ(Russula xerampelina)、スパラッシス・クリスパ(ハナビラタケ、Sparassis crispa)、ルッスラ・ラディカタ(Russula radicata)、ストロビロミケス・フロッコプス(Strobilomyces floccopus)、ストロビロミケス・コンフスス(Strobilomyces confuses)、ストロファリア・ルゴソアヌラタ(サケツバタケ、Stropharia rugosoannulata)、スイルス・ブレピペス(Suillis brevipes)及び/又はスイルス・ピクトゥス(Suillis pictus)の種のキノコ由来の材料であってもよい。
【0016】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記キノコ材料は、ハラタケ属、シイタケ属、ヒラタケ属、サンゴハリタケ属、アイカワタケ属、ナラタケ属、ピオッピーニ、エノキタケ属、シロタモギタケ属、シメジ属及び/又はアンズタケ属のキノコに由来する材料であってもよい。本発明の他の実施形態では、キノコ材料は、2つ以上、又は3つ以上、又は4つ以上、又は5つ以上の異なる種類のキノコを含み、この種類は、属、種又は亜種を指す。いくつかのキノコは、肉調製物の異なる種類の肉のためのいくつかのキノコ系肉代用物により適した好ましい風味プロファイル及び/又は質感を有することが理解されるであろう。
【0017】
キノコ材料は、傘(カサ)、柄、軸(ステム)、杯形部分、ツバ及び/又はヒダ、又はこれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない、キノコの任意の又はすべての部分を含有してもよい。本発明の実施形態では、キノコ材料は、キノコの1つの部分のみを実質的に含んでもよいし、又はキノコの2つの部分のみを実質的に含んでもよいし、又はキノコの3つの部分のみを実質的に含んでもよいし、又はキノコの栽培中に通常地上にあるキノコの部分のほとんどを実質的に含んでもよい。例えば、キノコ材料は、実質的にキノコの軸のみを含んでもよく、又は実質的にキノコの軸及びキノコの傘を含んでもよく、又はキノコ材料は、実質的にキノコの傘のみを含んでもよい。別の例では、キノコ材料は、キノコの地上部全体を実質的に含んでもよい。あるいは、キノコ材料は、キノコの地上部の大部分を実質的に含んでもよいが、軸の部分は切り取られるか、又はヒダの部分は切り取られるか、又は傘(外被膜(scale)等)の部分は切り取られるか、又はキノコ材料は、キノコの軸と傘の部分のみとを実質的に含んでもよい。
【0018】
キノコ材料は、複数の種類のキノコを含んでもよく、複数のキノコの同じ又は異なる部分を含んでもよい。いくつかの例では、キノコ材料は、1つの種類のキノコの軸を実質的に含んでもよく、又はキノコ材料は、4つ以上の種類のキノコの軸を実質的に含んでもよく、又はキノコ材料は、2つの異なる種類のキノコの軸及び傘を含んでもよい。さらなる例では、キノコ材料は、2種以上のキノコの地上部全体を実質的に含んでもよく、又はキノコ材料は、いくつかの異なる種類のキノコの傘を実質的に含んでもよい。
【0019】
本発明のキノコ材料に使用されるキノコは、新鮮なものであってもよく、又は本発明の方法で使用される前に、事前に調理され、保存処理され、塩漬けされ、乾燥され、湯がかれ、若しくは燻され(燻製にされ)ていてもよい。キノコ材料は、新鮮な、事前に調理された、保存処理された、塩漬けされた、乾燥された、湯がかれた、及び/又は燻されたキノコの混合物を含んでもよい。例えば、キノコ材料は、新鮮なキノコ材料及び保存処理されたキノコ材料を含んでもよい。別の例では、キノコ材料は、乾燥した、湯がかれた、新鮮なキノコ材料を含んでもよい。他の例では、キノコ材料は、少量の乾燥キノコとともに新鮮なキノコを実質的に含んでもよく、又はキノコ材料は、乾燥キノコを実質的に含んでもよい。
【0020】
本発明の方法において未加工キノコ系肉代用物を製造するために使用されるキノコ材料は、キノコ材料が機械的加工若しくは手動加工のいずれか、又はこれらの組み合わせを受けたキノコを含むという点で、キノコ全体を含むことは実質的にない。手動加工又は機械的加工は、スライスされた、切り取られた、粉砕された、すりおろされた、細断された、切断された、及び/又は刻まれたキノコ片を含むキノコ材料を生成するために用いられる。キノコ材料は、異なるサイズ及び形状のキノコ片を含むことができ、キノコ材料中のキノコ片のサイズ及び形状の選択は、当該方法によって製造されるキノコ系肉代用物の種類、キノコ材料中で使用されるキノコ及びキノコの部分の種類等の要因に依存することが理解されるであろう。例えば、製造されるキノコ系肉代用物が、ほぐした肉製品の代用物である本発明の実施形態では、キノコ材料は、未加工キノコ系肉代用物を製造するために使用される前に細断されてもよい。
【0021】
好ましくは、キノコを機械的に又は手動で加工してスライスされた、切り取られた、粉砕された、すりおろされた、細断された、切断された、及び/又は刻まれたキノコ片を製造する前に、キノコ全体(これは、新鮮であってもよく、事前に調理された、保存処理された、塩漬けされた、乾燥された、湯がかれた及び/若しくは燻されたものでもよい)又はその一部(すなわち、出発キノコ材料が限定的な軸、傘等である場合)は、機械的加工又は手動加工のためにキノコ繊維を軟化させるべく、水和工程に供される。水和工程は、キノコ又はその部分に対して、適切な液体、通常は水で、少なくとも10分間、又は最大10時間、浸液、浸漬及び/又は噴霧することを含む。浸液、浸漬又は噴霧の継続時間は、水和されるキノコの状態(乾燥キノコは、新鮮なキノコよりも長い浸液を必要とする可能性がある)、水和されるキノコの種類及び/又は部分(キノコの軸は、キノコの傘よりも長い浸液を必要とする可能性がある)並びに浸液、浸漬又は噴霧に使用される液体の温度(キノコは、冷水又は室温水と比較して、温水又は熱水中ではより短い浸液時間しか必要としない可能性がある)等の因子に依存する。
【0022】
水和工程が実行される場合、水和工程の後に、キノコ又はその部分に染み込んだ液体を実質的に除去することなく、キノコ又はその部分から過剰の液体を除去する脱水工程が続く。水和工程が実行される本発明の実施形態では、脱水工程は、キノコ又はその部分の水切り又は穏やかな遠心分離を含んでもよい。好ましくは、脱水からの過剰の液体は捕捉され、保存され、グレービー及びソース等の肉に付随することが多い製品のための追加のキノコ系代用物の製造に使用されてもよい。他の実施形態では、脱水からの過剰の液体は、捕捉され、保存され、本発明の方法において使用されるエマルションの調製において(エマルションの液体成分として)使用され、及び/又は未加工キノコ系肉代用物の調製において使用されてもよい。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、キノコ材料は、結合剤及び/又はエマルションと組み合わせて未加工キノコ系肉代用物を形成する前に、成形プロセス若しくはレトルトプロセス、及び/又はさらなる任意選択のプロセスに曝露される。例えば、キノコ材料は、本発明の方法によって製造される得られるキノコ系肉代用物の質感、風味及び色を強化するために、エマルション及び/又は結合剤と組み合わせる前に、100~120℃で、低温でたっぷりの油で揚げる(deep fat frying)工程に供されて、キノコ材料の質感、風味及び色が強化されてもよい。他の例では、キノコ材料は、本発明の方法により製造される得られるキノコ系肉代用物の質感、風味及び色を強化するために、エマルション及び/又は結合剤と組み合わせる前に、例えば、追加の液体、香料、調味料、保存料又は脂肪の存在下で、高陽圧(HPP)プロセス及び/又は真空下(sous vide)プロセスに供されて、キノコ材料の質感、風味及び色が強化されてもよい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、キノコ材料は、ハラタケ属、シイタケ属、ヒラタケ属、サンゴハリタケ属、アイカワタケ属、ナラタケ属、ピオッピーニ、エノキタケ属、シロタモギタケ属、シメジ属及び/又はアンズタケ属の乾燥したキノコの軸を実質的に含み、これらは、未加工キノコ系肉代用物の調製に使用されるキノコ材料を製造するために、穏やかな遠心分離によって乾燥され細断される前に水中で水和される。
【0025】
本発明の実施形態では、キノコ系肉代用物は、20~95%(w/w)のキノコ材料を含み、%(w/w)は、未加工キノコ系肉代用物を調製する前又はレトルト加工若しくは成形する前のキノコ材料の出発重量に基づく。当該方法で使用されるキノコ材料が新鮮なキノコ材料である場合、これは新鮮な重量であるが、当該方法で使用されるキノコ材料が再水和された乾燥キノコである場合、%(w/w)は、再水和後のキノコ材料の重量である。キノコ材料の%(w/w)は、キノコ材料の供給源、キノコ材料を製造するための機械的処理の方法、使用されるキノコの種類、結合剤及び/又はエマルションが方法において使用されるか否か、肉代用物の所望の最終用途、並びにキノコ材料が、未加工キノコ系肉代用物の調製に使用される前に、成形プロセス若しくはレトルトプロセス又は任意の他の任意選択のプロセスに曝露されるべきか否か等の要因によって影響されてもよい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約30%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約50%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約60%(w/w)のキノコ材料を含む、又は少なくとも約70%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約80%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも90%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも95%(w/w)のキノコ材料を含む。本発明の他の好ましい実施形態では、キノコ系肉代用物は、約20%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料、又は約20%(w/w)~約90%(w/w)のキノコ材料、又は約20%(w/w)~約80%(w/w)のキノコ材料、又は約20%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約30%(w/w)~約70%(w/w)のキノコ材料、又は約40%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約40%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約50%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約60%(w/w)~約70%(w/w)のキノコ材料、又は約70%(w/w)~約80%(w/w)のキノコ材料、又は約80%(w/w)~約90%(w/w)のキノコ材料、又は約90%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料、又は約20%(w/w)~約40%(w/w)のキノコ材料又は約35%(w/w)~約45%(w/w)のキノコ材料、又は約35%(w/w)~約40%(w/w)のキノコ材料、又は約40%(w/w)~約45%(w/w)のキノコ材料、又は約45%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約50%(w/w)~約55%(w/w)のキノコ材料、又は約55%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料を含む。
【0027】
本発明のキノコ系肉代用物の製造方法において任意選択で使用されるエマルションは、乳化剤、極性液体及び担体油(キャリア油)を含む。エマルションは、液中油型又は油中液型のエマルションであってもよいが、好ましくは液中油型エマルションである。乳化剤は、エマルションを安定化するために使用されることが理解されるであろう。エマルションは、本発明のキノコ系肉代用物において、原材料を一緒に保つのを助けるため、いくらかの風味を付与するために使用され、かつ/又はキノコ系肉代用物を調理するときに油が現実的な様式で放出されるように、キノコ系肉代用物中に安定した様式で油を含むための媒体を提供してもよい。
【0028】
本発明の組成物に使用される乳化剤は、通常混合しない物質の混合物(エマルション)を製造するのに適した任意の化合物又は組成物であってもよい。一般に、乳化剤は、水を好む親水性頭部及び油を好む疎水性尾部からなる。乳化剤は、水中油型乳化剤又は油中水型乳化剤であってもよいが、好ましくは水中油型乳化剤である。本発明の実施形態では、乳化剤は、イオン性(カチオン性若しくはアニオン性)乳化剤、双性イオン性乳化剤、タンパク質/ペプチド乳化剤、又は非イオン性乳化剤であってもよい。乳化剤は、タンパク質ベース、多糖ベース、リン脂質ベース、及び/又はこれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、エマルションは、少なくともタンパク質ベース又はリン脂質ベースの乳化剤を含む。本発明の実施形態では、使用される乳化剤は、リン脂質乳化剤を含む不均一物質、又はタンパク質乳化剤を含む不均一物質、又はリン脂質乳化剤及びタンパク質乳化剤を含む不均一物質である。
【0029】
乳化剤は、硬化ヒマシ油(水素化ヒマシ油)、レシチン、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(macrogolglycerol hydroxystearate)、オートムギ油極性脂質、ホスファチジルコリン、クエン酸エステル、パーム油、マメ科植物の油及びタンパク質、ポロキサマー、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油、乳清タンパク質、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリリシノール酸ポリグリセロール、モノオレイン酸グリセリル、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、キャノーラ油極性脂質、及び脂肪酸のポリグリセロールエステルの純粋な形態、若しくはこれらを含む抽出物/物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、乳化剤は植物由来であり、タンパク質乳化剤及び/又はリン脂質乳化剤を含む。好ましいタンパク質乳化剤又はリン脂質乳化剤の非限定的な例としては、マメ科植物(ソラマメ、ヒヨコマメ、レンティル、エンドウ豆及び大豆)に由来するもの、特に、単離された大豆タンパク質及び/又は大豆油等の高レベルのレシチンを含むものが挙げられる。
【0031】
エマルションは、1種以上の乳化剤を含んでもよく、エマルション中の乳化剤の総量は5%(w/w)~99%(w/w)である。好ましくは、エマルション中の乳化剤の総量は、10%(w/w)~50%(w/w)である。他の実施形態では、エマルション中の乳化剤の総量は、50%(w/w)~75%(w/w)、又は10%(w/w)~25%(w/w)、又は5%(w/w)~20%(w/w)、又は20%(w/w)~75%(w/w)、又は5%(w/w)~45%(w/w)である。エマルション中の乳化剤の割合を計算するために使用される乳化剤の質量は、純粋又は清澄な乳化剤調製物(すなわち、ポリソルベート20)を使用する場合、乳化剤自体の質量であってもよく、又は乳化剤含有不均一物質(すなわち、単離された大豆タンパク質)の質量であってもよい。
【0032】
例えば、エマルションは、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)の1種以上のリン脂質乳化剤及び約5%(w/w)~約50%(w/w)の1種以上のタンパク質乳化剤を含んでもよく、又はエマルションは、合計約2.5%(w/w)~約10%(w/w)のリン脂質乳化剤及び合計約10%(w/w)~約25%(w/w)のタンパク質乳化剤を含んでもよく、又はエマルションは、タンパク質乳化剤及び/若しくはリン脂質乳化剤を含む不均一物質約5%(w/w)~約25%(w/w)を含んでもよい。他の例では、エマルションは、約5%(w/w)~約70%(w/w)の1つの乳化剤のみを含んでもよく、又はエマルションは、約0.2%(w/w)~約20%(w/w)のレシチン等の1つの乳化剤及び約10%(w/w)~約50%(w/w)の硬化ヒマシ油、若しくはその誘導体若しくは前駆体等の異なる乳化剤を含んでもよい。
【0033】
他の例では、エマルションは、1%(w/w)~10%(w/w)の硬化ヒマシ油、0.2%(w/w)~25%(w/w)のレシチン、オートムギ油若しくは単離された大豆タンパク質、及び/若しくは0.5%(w/w)~5%(w/w)のモノオレイン酸グリセリルを含んでもよく、又はエマルションは、5%(w/w)~50%(w/w)のリン脂質乳化剤、及び0.5%(w/w)~5%(w/w)の異なる乳化剤を含んでもよい。本発明のさらなる実施形態では、エマルションは、10%(w/w)~15%(w/w)の単離された大豆タンパク質を含むか、又はエマルションは、10%(w/w)~20%(w/w)のレシチンを含む不均一物質を含む。
【0034】
さらなる例では、エマルションは、硬化ヒマシ油、レシチン、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール、オートムギ油極性脂質、ホスファチジルコリン、クエン酸エステル、パーム油、マメ科植物の油及びタンパク質、ポロキサマー、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油、乳清タンパク質、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリリシノール酸ポリグリセロール、モノオレイン酸グリセリル、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、キャノーラ油極性脂質、及び脂肪酸のポリグリセロールエステルの純粋な形態、又はそれらを含む抽出物からなる群から選択される2種以上の乳化剤を含み、乳化剤は、約0.5%(w/w)~約50%(w/w)の総濃度でエマルション中に存在する。
【0035】
本発明で使用されるエマルション中に存在する担体油は、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、カプリル酸及び/又はカプリン酸トリグリセリド、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、大豆油、落花生油、トウゴマ種子油(ヒマシ油)、オレイン酸、アーモンド油、アプリコット核油、レモングラス油、ヒマワリ種子油、コムギ胚芽油、マカダミア油、メドウフォーム種子油、麻種子油、ブドウ種子油、マルラ油、米ぬか油、アボカド油、柑橘油及びニンジン種子油からなる群から選択されるか、又はそれらを含む任意の油であってもよい。エマルションは、1種以上の担体油を含んでもよく、エマルション中の担体油の総量は、1%(w/w)~50%(w/w)である。好ましくは、エマルション中の担体油の総量は、約5%(w/w)~約30%(w/w)である。より好ましくは、エマルション中の担体油の総量は、約10%(w/w)~約25%(w/w)である。
【0036】
本発明の1つ以上の実施形態では、エマルションは、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、カプリル酸及び/又はカプリン酸トリグリセリド、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、大豆油、落花生油、トウゴマ種子油、オレイン酸、アーモンド油、アプリコット核油、レモングラス油、ヒマワリ種子油、コムギ胚芽油、マカダミア油、メドウフォーム種子油、麻種子油、ブドウ種子油、マルラ油、米ぬか油、アボカド油、柑橘油及びニンジン種子油からなる群から選択される2種以上の担体油を含み、各担体油は、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)、又は約1.5%(w/w)~約20%(w/w)の濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態では、エマルションは、中鎖トリグリセリド、オリーブ油及び/又はヤシ油を含む。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、担体油は、油産生植物に由来する任意の油であってもよく、任意の数の異なる植物油の任意の混合物であってもよい。好ましい実施形態では、エマルションは、少なくとも2%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、又は少なくとも30%(w/w)の植物油を含んでもよい。好ましい実施形態では、エマルションは、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)又は約30%(w/w)の植物油を含んでもよい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、担体油はヤシ油である。本発明の特に好ましい実施形態では、エマルションは、最大20%(w/w)のヤシ油を含んでもよい。好ましい実施形態では、組成物は、少なくとも2%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、又は少なくとも10%(w/w)のヤシ油を含んでもよい。他の好ましい実施形態では、組成物は、約5%(w/w)、又は約10%(w/w)、又は約20%(w/w)のヤシ油を含んでもよい。
【0039】
本発明の方法において使用されるエマルションは、極性液体を含み、この極性液体は、概して水であるか、又は少なくとも主に水であるが、他の液体、例えば、ビネガー若しくは柑橘類の絞り汁又は風味付けされた極性液体、例えば煮出し汁(stock)又は乾燥キノコ若しくはキノコ材料を再水和することによって得られる液体を含んでもよい。エマルションは、1種以上の極性液体を含んでもよく、エマルション中のこの液体の総量は10%(w/w)~90%(w/w)である。より好ましくは、エマルション中の極性液体の総量は、25%(w/w)~80%(w/w)である。好ましい実施形態では、エマルションは、約50%(w/w)~約80%(w/w)の液体、又は約65%(w/w)~約75%(w/w)の液体を含む。
【0040】
本発明の様々な実施形態では、エマルションは、5%(w/w)~50%(w/w)の全乳化剤、40%(w/w)~90%(w/w)の全極性液体及び5%(w/w)~50%(w/w)の全担体油を含む。好ましい実施形態では、エマルションは、10%(w/w)~25%(w/w)の全乳化剤、50%(w/w)~80%(w/w)の全極性液体、及び10%(w/w)~25%(w/w)の全担体油を含む。さらなる好ましい実施形態では、エマルションは、約10%(w/w)~約20%(w/w)の単離された大豆タンパク質、約65%(w/w)~約75%(w/w)の水、及び約10%(w/w)~約20%(w/w)のヤシ油を含む。本発明の方法において使用されるエマルションの他の実施形態では、乳化剤対極性液体対担体油の比は、1:10:1~1:2:1、又は1:10:5~5:10:1、又は1:2:5~5:2:1であってもよい。本発明の方法において使用されるエマルションの他の好ましい実施形態では、乳化剤対極性液体対担体油の比は、約1:5:1であってもよい。
【0041】
エマルションは、任意の好適な方法によって形成されてもよいが、概して、乳化剤、極性液体及び担体油の混合物を撹拌する工程を含む。本発明の実施形態では、乳化剤は、担体油と混合される前に、最初に極性液体と混合されてもよい。エマルションを生成するために使用される撹拌は、手動又は機械的手段によって達成されてもよく、回転ミキサー又はスタティックミキサー、高剪断ミキサー、ホモジナイザー等を含んでもよいが、これらに限定されない。エマルション成分は、未加工キノコ系肉代用物の調製においてエマルションを使用する前に、滑らかで一貫した混合物が達成されるまで混合される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、存在する場合、当該キノコ系肉代用物は、少なくとも2%(w/w)のエマルション、又は少なくとも5%(w/w)のエマルション、又は少なくとも10%(w/w)のエマルション、又は少なくとも20%(w/w)のエマルション、又は少なくとも30%(w/w)のエマルション、又は少なくとも40%(w/w)のエマルション、又は少なくとも約50%(w/w)のエマルション、又は少なくとも60%(w/w)のエマルションを含む。本発明の他の好ましい実施形態では、キノコ系肉代用物は、約5%(w/w)~約80%(w/w)のエマルション、又は約10%(w/w)~約80%(w/w)のエマルション、又は約20%(w/w)~約60%(w/w)のエマルション、又は約30%(w/w)~約70%(w/w)のエマルション、又は約40%(w/w)~約60%(w/w)のエマルション、又は約40%(w/w)~約50%(w/w)のエマルション、又は約5%(w/w)~約40%(w/w)のエマルション、又は約10%(w/w)~約40%(w/w)のエマルションイオン、又は約5%(w/w)~約20%(w/w)のエマルション、又は約20%(w/w)~約40%(w/w)のエマルション、又は約25%(w/w)~約35%(w/w)のエマルション、又は約35%(w/w)~約45%(w/w)のエマルション、又は約35%(w/w)~約40%(w/w)のエマルション、又は約40%(w/w)~約45%(w/w)のエマルション、又は約45%(w/w)~約50%(w/w)のエマルション、又は約50%(w/w)~約55%(w/w)のエマルションを含む。
【0043】
本発明の方法において使用される結合剤は、固体、半固体又は粒子状の肉代用製品の形成を補助又は増強しうるように、組成物を充分に結合及び/又は固化するのに適した任意の化合物又は組成物であってもよい。結合剤は、本発明のキノコ系肉代用物の特性又は風味を実質的に又は負に(好ましくない方向へ)変化させない任意の好適な薬剤であってもよい。結合剤は、非水相結合剤であってもよく、炭水化物に富む、タンパク質に富む、又は脂質に富む結合剤であってもよい。キノコ系肉代用物が、エマルションの形成において使用され、エマルション工程以外でも結合剤として使用される物質を含んでもよいという点で、乳化剤として使用することができる化合物又は成分の多くは、結合剤としての使用にも好適であってもよいことが理解されるであろう。例えば、キノコ系肉代用物は、エマルション中にレシチン含有不均一物質を含んでもよく、例えば単離された大豆タンパク質等の、結合剤としてのレシチン含有不均一物質を含んでもよい。他の実施形態では、結合剤は、キノコ材料と組み合わせる前にエマルションの一部として含まれてもよい。結合剤は、脂質に富む、リン脂質に富む、炭水化物に富む及び/若しくはタンパク質に富む、又はこれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、結合剤は、天然に存在する及び/又は天然由来の結合剤である。
【0044】
結合剤は、セルロース、カラゲニン、キサンタンガム、デンプン、ペクチン又はアルギニン等の炭水化物に富む結合剤であってもよい。本発明の実施形態では、結合剤は、クズウコン粉末、ジャガイモ/コメ/ヒヨコマメ/アーモンド粉、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン若しくはこれらの組み合わせ、又はデンプン質野菜由来の任意の他の粉である。
【0045】
他の実施形態では、結合剤は脂質に富む結合剤である。脂質に富む結合剤の非限定的な例としては、カカオバター、ナッツバター、種子バター、ヤシ油、蜜ろう及び硬化ヒマシ油(carbowax及び/若しくはPEG-40としても知られる)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
さらなる実施形態では、結合剤は、タンパク質に富む結合剤である。タンパク質に富む結合剤の非限定的な例としては、単離された大豆タンパク質、カゼイン、乳清タンパク質、コラーゲン、卵白、ゼラチン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、タンパク質に富む結合剤が使用される場合、結合剤は動物由来ではない。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、結合剤は、任意の数の異なる結合剤の任意の混合物を含んでもよい。好ましい実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも1%(w/w)、少なくとも2%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、又は少なくとも15%(w/w)の総結合剤を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態では、キノコ系肉代用物は、約.5%(w/w)~約15%(w/w)の濃度で結合剤を含んでもよい。より好ましくは、キノコ系肉代用物は、単離された大豆タンパク質及び/又はタピオカデンプン及び/又はカカオバター及び/又はヤシ油を約5%(w/w)~約15%(w/w)、又は約1%(w/w)~約10%(w/w)、又は約0.5%(w/w)~約5%(w/w)、又は約3%(w/w)~約5%(w/w)、又は約1%(w/w)~約3%(w/w)の総濃度で含む。
【0048】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、まず、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約60%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約5%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約70%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約20%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約30%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約30%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約40%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約20%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約40%(w/w)のエマルション、及び少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料を含んでもよい。
【0049】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、約5%(w/w)~約10%(w/w)のエマルション、及び約60%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料、又は約5%(w/w)~約15%(w/w)のエマルション、及び約20%~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約5%(w/w)~約25%(w/w)のエマルション、及び約50%(w/w)~約90%(w/w)のキノコ材料、又は約20%(w/w)~約60%(w/w)のエマルション、及び約20%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約30%(w/w)~約50%(w/w)のエマルション、及び約30%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約40%(w/w)~約50%(w/w)のエマルション、及び約40%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約20%(w/w)~約40%(w/w)のエマルション、及び約40%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約40%(w/w)~60%(w/w)のエマルション、及び約20%(w/w)~約40%(w/w)のキノコ材料、又は約50%(w/w)~60%(w/w)のエマルション、及び約40%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約40%(w/w)~50%(w/w)のエマルション、及び約30%(w/w)~約40%(w/w)のキノコ材料を含んでもよい。
【0050】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、まず、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも約0.5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約0.5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約2%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約30%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約2%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約10%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約40%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約60%(w/w)のキノコ材料、又は少なくとも約10%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約80%(w/w)のキノコ材料を含んでもよい。
【0051】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)の結合剤、及び約20%(w/w)~約60%(w/w)のキノコ材料、又は約1%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約30%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤、及び約40%(w/w)~約90%(w/w)のキノコ材料、又は約2%(w/w)~約10%(w/w)の結合剤、及び約40%~約80%(w/w)のキノコ材料、又は約1%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤、及び約20%(w/w)~約40%(w/w)のキノコ材料、又は約1%(w/w)~約10%(w/w)の結合剤、及び約40%(w/w)~約50%(w/w)のキノコ材料、又は約1%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤、及び約60%(w/w)~約90%(w/w)のキノコ材料を含んでもよい。
【0052】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、まず、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも約0.5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約30%(w/w)のキノコ材料、及び少なくとも約10%(w/w)のエマルション、又は少なくとも約3%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約50%(w/w)のキノコ材料、及び少なくとも約20%(w/w)のエマルション、又は少なくとも約4%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約60%(w/w)のキノコ材料、及び少なくとも約20%(w/w)のエマルション、又は少なくとも約5%(w/w)の結合剤、及び少なくとも約80%(w/w)のキノコ材料、及び少なくとも約10%(w/w)のエマルションを含んでもよい。
【0053】
他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、約0.5%~約5%(w/w)の結合剤、及び約30%~約95%(w/w)のキノコ材料、及び約2%~約60%(w/w)のエマルション、又は約0.5%~約10%(w/w)の結合剤、及び約20%~約95%(w/w)のキノコ材料、及び約10%~約60%(w/w)のエマルション、又は約2%~約8%(w/w)の結合剤、及び約30%~約70%(w/w)のキノコ材料、及び約30%~約60%(w/w)のエマルション、又は約2%~約4%(w/w)の結合剤、及び約50%~約90%(w/w)のキノコ材料、及び約20%~約40%(w/w)のエマルション、又は約2%~約4%(w/w)の結合剤、及び約60%~約80%(w/w)のキノコ材料、及び約2%~約5%(w/w)のエマルションを含んでもよい。
【0054】
本明細書で使用する「未加工肉代用物」又は「未加工キノコ系肉代用物」は、エマルション及び/又は結合剤とキノコ材料とを含む混合物であって、この混合物はまだ成形され、レトルト加工され、及び/又は60℃を超える温度にさらされる必要があるが、未加工キノコ系肉代用物中のキノコ材料は、エマルション及び/又は結合剤と組み合わせて未加工キノコ系肉代用物を形成する前に、成形プロセス若しくはレトルト加工プロセスを受けた、かつ/又は60℃を超える温度にさらされたものであってもよい混合物を意味する。
【0055】
未加工キノコ系肉代用物が、結合剤及び/又はエマルションと組み合わせる前に成形プロセス又はレトルト加工プロセスに曝露されたキノコ材料を含んでもよく、かつ未加工キノコ系肉代用物がいかなる更なる成形プロセス又はレトルト加工プロセスにも曝露されない本発明の実施形態では、未加工キノコ系肉代用物も、本発明によるキノコ系肉代用物と見なされてもよい。
【0056】
本発明の方法における未加工キノコ系肉代用物を調製する工程は、本明細書に記載されるように、エマルション及び/又は結合剤とキノコ材料とを混合する任意の好適な手段によって達成されてもよい。これらの成分は、任意の順序で混合されてもよいが、好ましくは、エマルションが存在する場合、エマルションは、結合剤と組み合わせる前にキノコ材料と組み合わされる。
【0057】
未加工キノコ系肉代用物は、限定されないが、追加の液体、香料、調味料、保存料、タンパク質抽出物、野菜、又はこれらの組み合わせ等の追加の成分を含んでもよい。
【0058】
保存料は、組成物の微生物増殖及び分解の防止を補助する任意の物質であってもよい。保存料は、抗菌剤又は抗酸化剤であってもよく、これらは、塩、草本抽出物、糖、ビネガー、パラベン、又はこれらの組み合わせ等の成分を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、約0.1%(w/w)~約10%(w/w)の濃度の保存料を含んでもよい。より好ましくは、組成物は、約0.25%(w/w)~約5%(w/w)の濃度の保存料を含んでもよい。
【0059】
追加の成分は、エマルションに、又は結合剤に、又はキノコ材料に、又はエマルションとキノコ材料との組み合わせに、又はキノコ材料と結合剤との組み合わせに、又はキノコ材料とエマルションと結合剤との組み合わせに添加されてもよい。キノコ材料がエマルション及び/又は結合剤と組み合わせる前にレトルト加工プロセス又は成形プロセスに曝露される実施形態では、追加の成分は、キノコ材料が成形プロセス又はレトルト加工プロセスに曝露される前にキノコ材料に添加されてもよい。
【0060】
本発明の方法の任意選択の成形プロセスは、キノコ材料及び/又は未加工キノコ系肉代用物が、最初に適切な形状、粒子若しくは立体構造に形作られ又は成形され、次いで、第2に短時間にわたって高熱にさらされる多段階プロセスである。成形プロセスの第2段階は、キノコ系肉代用物の風味、色及び質感の発達、特に、成形キノコ系肉代用物の表面又はキノコ材料の外部表面積の質感及び風味の発達を補助し、その結果、成形キノコ系肉代用物は実際の肉及び肉製品の食事経験によりよく似る。
【0061】
本発明の実施形態では、成形プロセスの第1段階において、未加工キノコ系肉代用物又はキノコ材料は、例えば、パティ、ソーセージ、薄切り(ラッシャー)、焼き肉(ロースト)、ステーキ、ロイン、ミートボール、ミートローフ、リブ、ナゲット、ストリップ等に似た形状に形作られ、又は成形される。他の実施形態では、成形プロセスの1つの段階において、未加工キノコ系肉代用物又はキノコ材料は、肉挽き機又は押出機を通して加工されて、ミンチ様のキノコ系肉代用物が形成されてもよく、又は解かれ若しくは細断されて、ほぐしたキノコ系肉代用物が形成されてもよく、又はぶつ切り(塊)若しくは立方体等に成形されてもよい。キノコ及びキノコ部分の選択は、本発明の方法によって製造されるキノコ系肉代用物の種類に影響を及ぼすことが理解されるであろう。
【0062】
本発明の方法の任意選択の成形プロセスの第2の任意選択の段階は、形作られ又は成形された未加工キノコ系肉代用物は、フラッシュ(短時間の)フライ(揚げ)/調理工程(上述のような短時間の高熱)に供され、これは、成形キノコ系肉代用物の「こげた」外面を効果的にもたらす。高温は、特定のアミノ酸の遊離反応性アミノ基と未加工キノコ系肉代用物中に存在する還元糖との間のMaillard(メイラード)反応の結果として、望ましい風味化合物の生成を誘導することが提案される。温度は、形作られ又は成形された未加工キノコ系肉代用物を揚げる/調理するために使用されるオイル、オーブン、パン又はフライヤーの温度を指す。
【0063】
本発明の実施形態では、成形プロセスの第1及び第2段階は、連続して行われるが、他の実施形態では、成形プロセスの第1及び第2段階は、中間プロセス工程によって分離される。例えば、キノコ材料は、ミンチ/押出しキノコ材料を結合剤及び/又はエマルションと組み合わせ、この混合物を成形プロセスの第2段階に曝露して、成形されたキノコ系肉代用物を製造する前に、肉挽き機又は押出機を通して加工されるという点で、キノコ材料は、成形プロセスの第1段階を受けてもよい。別の例では、キノコ材料は、最初に結合剤及び/又はエマルションと組み合わされ、成形プロセスの第1段階でパティに形作られ又は成形され、次いで、成形プロセスの第2段階に曝露されて、成形キノコ系肉代用物が製造される。さらなる例では、キノコ材料は、成形プロセスの第1段階として細断され、次いで、成形プロセスの第2段階として短時間にわたり高熱に供された後に、結合剤及び/又はエマルションと組み合わせて、成形された(未加工ではあるが)キノコ系肉代用物が製造されてもよい(この成形された/未加工キノコ系肉代用物は、いかなるさらなる成形プロセス又はレトルト加工プロセスにも供されない場合、発明のキノコ系肉代用物と見なされてもよい)。
【0064】
好ましくは、成形プロセスは、未加工キノコ系肉代用物、又は予め成形された製品、予め調理された製品、部分成形された製品若しくは部分調理された製品として包装され販売される予定のキノコ系肉代用物製品のレトルト加工されたキノコ系肉代用物に関して用いられる。未加工キノコ系肉代用物を形成するために結合剤及び/又はエマルションと組み合わせる前のキノコ材料に関して成形プロセスが用いられる実施形態では、この製品は、好ましくは未調理又は部分調理製品として販売されてもよいが、この「未加工」キノコ系肉代用物は、本発明に係るキノコ系肉代用物と見なされる。
【0065】
成形工程の第2段階に使用される温度、及び高熱暴露の継続時間は、製造されるキノコ系肉代用物に依存するが、少なくとも120℃であり、継続時間は少なくとも30秒である。本発明の他の実施形態では、成形工程の第2段階で使用される温度は、少なくとも130℃、又は少なくとも140℃、又は少なくとも150℃、又は少なくとも160℃である。本発明の好ましい実施形態では、成形工程の第2段階で使用される温度は、少なくとも160℃であり、継続時間は、少なくとも5秒、少なくとも15秒、少なくとも30秒、又は少なくとも45秒である。
【0066】
本発明の方法のレトルト工程は、任意の適切なタイプのレトルトを使用する任意の適切なレトルト加工方法によって容易にされてもよく、本発明の最終的なキノコ系肉代用物に望ましい効果をもたらすために、キノコ材料、未加工キノコ系肉代用物又は成形キノコ系肉代用物に対して使用されてもよい。成形キノコ系肉代用物、又は未加工キノコ系肉代用物、又はキノコ材料は、レトルト加工の前に任意の適切な方法で包装されるが、包装は一般に密封される。レトルト加工方法及びレトルトの選択(並びに使用される時間及び温度)は、例えば、本発明の方法によって製造されるキノコ系肉代用物の種類、コストの考慮事項、特定のキノコ系肉代用物の保持温度(製品がその食品品質を失う前に耐えることができる温度)、選択された包装容器、レトルト工程がキノコ材料、成形キノコ系肉代用物若しくは未加工キノコ系肉代用物に対して実施されているかどうか、並びに/又は生産量によって影響を受ける。
【0067】
レトルトは一般に、包装され密封された食品に向けられた、食品病原体を破壊するための熱プロセスを行うための圧力容器として分類することができるということが理解されるであろう。本発明の方法において使用される場合、レトルト加工工程は、キノコ材料、又は未加工キノコ系キノコ材料、又は成形及び包装されたキノコ系肉代用物が、約121℃(±20℃)、好ましくは約121℃(±10℃)、又はより好ましくは約121℃(±5℃)の温度に少なくとも約5分間、又は少なくとも約10分間、又は少なくとも約15分間さらされることを必要とする。
【0068】
好適なレトルト加工法の非限定的な例としては、水浸漬レトルト法、飽和蒸気レトルト法、蒸気空気(steam air)レトルト法、水カスケードレトルト法、水シャワーレトルト法、水噴霧レトルト法、振動及び/又は振盪レトルト法が挙げられる。好ましくは、レトルト加工工程は、蒸気水及び蒸気空気レトルト法の形態を含む蒸気レトルト加工工程であり、これは、振動及び/又は振盪を伴って又は伴わずに行われてもよい。レトルト加工工程は、概して高圧を特徴とすることが理解されるであろう。本発明の好ましい実施形態では、キノコ系肉代用物を製造するために、レトルト加工工程は、121℃に設定された蒸気レトルトを使用して少なくとも15分間行われる。
【0069】
好ましくは、レトルト加工プロセスは、未加工キノコ系肉代用物、又は予め成形された製品、予め調理された製品、部分成形された製品若しくは部分調理された製品として包装及び販売される予定のキノコ系肉代用物製品のための成形キノコ系肉代用物に関して使用される。未加工キノコ系肉代用物を形成するために結合剤及び/又はエマルションと組み合わせる前のキノコ材料に関してレトルト加工プロセスが用いられる実施形態では、この製品は、好ましくは未調理又は部分調理製品として販売されてもよいが、この「未加工」キノコ系肉代用物は、本発明に係るキノコ系肉代用物と見なされる。
【0070】
理論に拘束されることを望むものではないが、レトルト加工工程の高温及び高圧は、キノコ系肉代用物の生理化学的特性(粘度、稠度、質感等)及び嗜好性(風味、匂い、色、口当たり等)に影響を及ぼすことが提案される。特に、レトルト加工の高温及び高圧下で、所望の風味化合物が、特定のアミノ酸の遊離反応性アミノ基とキノコ系肉代用物中に存在する還元糖との間のMaillard反応の結果として発達することができるということが提案される。未加工キノコ系肉代用物又は成形キノコ系肉代用物又はキノコ材料に対してレトルトプロセスを行うか否かにかかわらず、キノコ系肉代用物に対してレトルトプロセスの所望の効果を付与することができる。
【0071】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約20%(w/w)のエマルションと、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明のさらなる実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約20%(w/w)のエマルションと、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料がエマルションと混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明の他の実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約20%(w/w)のエマルションと、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料がエマルションと混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0072】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約10%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明のさらなる実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約10%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料がエマルションと混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明の他の実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及びエマルションを含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約10%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料がエマルションと混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0073】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)の結合剤と、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明のさらなる実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)の結合剤と、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料が結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明の他の実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)の結合剤と、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料が結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0074】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤と、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明のさらなる実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤と、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料を含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料が結合剤と混合され未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明の他の実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤と、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料が結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0075】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)の結合剤と、少なくとも約20%(w/w)のエマルションと、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。
【0076】
本発明のさらなる実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)の結合剤と、少なくとも20%(w/w)のエマルションと、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料がエマルション及び結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。
【0077】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、少なくとも約2%(w/w)の結合剤と、少なくとも20%(w/w)のエマルションと、少なくとも約20%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料がエマルション及び結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0078】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤と、約10%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。
【0079】
本発明のさらなる実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤と、約10%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料がエマルション及び結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。
【0080】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の結合剤と、約10%(w/w)~約60%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約95%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料がエマルション及び結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0081】
本発明の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製される。これらの実施形態では、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約8%(w/w)の結合剤と、約2%(w/w)~約50%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約70%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。
【0082】
本発明のさらなる実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約8%(w/w)の結合剤と、約2%(w/w)~約50%(w/w)のエマルションと、約30%(w/w)~約70%(w/w)のキノコ材料とを含んでもよく、キノコ材料は、成形プロセスに曝露された後に、成形キノコ材料がエマルション及び結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。
【0083】
本発明の他の実施形態では、当該キノコ系肉代用物は、キノコ材料、エマルション及び結合剤を含む未加工キノコ系肉代用物を調製して、未加工キノコ系肉代用物を製造することによって調製され、キノコ系肉代用物は、約0.5%(w/w)~約8%(w/w)の結合剤、約2%(w/w)~約50%(w/w)のエマルション、及び約30%(w/w)~約70%(w/w)のキノコ材料を含んでもよく、このキノコ材料は、レトルト加工プロセスに曝露された後に、レトルト加工されたキノコ材料がエマルション及び結合剤と混合されて未加工キノコ系肉代用物が製造され、未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露される。
【0084】
本明細書で定義されるレトルト加工プロセス及び成形プロセスは、食品製造プロセスで用いられることが公知であるが、これらのプロセスは、レトルト加工が食品に使用される結合剤に及ぼしうる望ましくない影響、及び/又は食肉若しくは野菜製品を製造する際にMaillard反応が起こるときに典型的に生成される不快な、臭いが強い香味化合物に起因して、食品の嗜好性に有害であることが多い。従って、特にMilliard反応を誘発するレトルト加工プロセスに関連する負の結果は、有益な結果をしばしば上回る可能性がある。
【0085】
しかしながら、これにもかかわらず、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法で使用されるキノコ材料が、レトルト加工プロセス又は成形プロセス中に分解を受けにくい独特の細胞構造を有するため、本発明のキノコ系肉代用物は、Milliard反応の典型的な負の効果を示さないことを見出した。本発明の方法において使用される成形プロセス及びレトルト加工プロセスに関連する驚くべき望ましい属性は、成形プロセス又はレトルト加工プロセスがキノコ材料を含む製品に対して行われる限りは、成形プロセス又はレトルト加工プロセスを当該方法の任意の段階として使用することによって達成されてもよいことが理解されるであろう。
【0086】
本発明の方法は、少なくともレトルト加工工程と、任意選択で成形工程とを含み、キノコ材料又は未加工キノコ系肉代用物は成形プロセスに曝露され、かつ/又はキノコ材料若しくは未加工キノコ系肉代用物若しくは成形キノコ系肉代用物はレトルト加工プロセスに曝露される。本発明の好ましい実施形態では、当該方法は、キノコ材料、未加工キノコ系肉代用物、又は少なくとも適切な形状、粒子若しくは立体構造に形作られ若しくは成形された未加工キノコ系肉代用物に対して実施されるレトルト加工プロセスを少なくとも含む。本発明の好ましい実施形態では、当該方法は、成形プロセス及びレトルトプロセスを含み、この成形プロセス及びレトルトプロセスは、キノコ材料、未加工キノコ系肉代用物、及び/又は成形キノコ系肉代用物のうちの1つ以上に対して、任意の順序で当該方法の任意の段階で実施することができる。例えば、本発明の実施形態では、成形プロセスは、レトルト加工プロセスの後又はレトルト加工プロセスの前に実施されてもよい。
【0087】
本発明の方法は、限定されないが、水和の前にキノコ又はその部分の洗浄等の追加の工程を含んでもよく、これは手動で又は工業的手段によって行われてもよい。当該方法は、加熱、蒸気処理、真空、冷却及び/又は凍結等の追加の温度依存工程、並びに必要な包装工程も含んでもよく、これらは、所望に応じて又は必要に応じて、本発明の方法の間の任意の段階で実施されてもよい。この追加の工程は、高圧(高い陽圧及び陰圧を含む)及び/又は高温に依存し、製品の風味に寄与する可能性があり、かつ/又は抗菌処理工程として機能する可能性がある様々な処理工程を含んでもよい。
【0088】
本発明の第2の態様では、本発明の方法のいずれかによって製造されるキノコ系肉代用物が提供される。本発明の実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料が、結合剤及び/又はエマルションと組み合わせる前に、任意選択の成形プロセス、及びレトルト加工プロセスに供されたものである未加工キノコ系肉代用物を包含する。本発明の他の実施形態では、キノコ系肉代用物は、キノコ材料が、結合剤及び/又はエマルションを組み合わされて未加工キノコ系肉代用物が製造される前に、任意選択の成形プロセス及びレトルト加工プロセスに供されたものであり、未加工キノコ系肉代用物は、成形プロセス及び/又はレトルト加工プロセスに更に曝露されたものである、予め調理された又は部分調理されたキノコ系肉代用物を包含する。
【0089】
定義
法律に従って、本発明は、構造的又は方法的特徴に多かれ少なかれ特有の言語で説明されている。用語「…を含む(comprises)」及びその変形、例えば「…を含む(comprising)」及び「…を含む(comprised of)」は、包括的な意味で全体にわたって使用され、いかなる追加の特徴も排除するものではない。本明細書に記載される手段は、本発明を実施する好ましい形態を含むので、本発明は、図示又は記載される特定の特徴に限定されないことを理解されたい。それゆえ、本発明は、当業者によって適切に解釈される添付の特許請求の範囲の適正な範囲内でその形態又は変更例のいずれでも請求される。
【0090】
本明細書及び特許請求の範囲(存在する場合)を通して、文脈と矛盾する場合を除いて、「実質的に」、「少なくとも」又は「約」という用語は、その用語によって認定される範囲の値に限定されないと理解されるであろう。例えば、「約」という用語は、引用された値の±10%の範囲を包含してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0091】
本発明の好ましい特徴、実施形態及び変形例は、当業者が本発明を実施するのに充分な情報を提供する以下の詳細な説明から認識されてもよい。詳細な説明は、本発明の上記の概要の範囲を限定するものと決して見なされるべきではない。
【0092】
キノコ系肉代用物
以下に記載される例示的な配合物において、エマルションは、1:5:1の比の単離された大豆タンパク質(乳化剤):水(極性液体):ヤシ油(担体油)を含む。キノコ材料は、キノコの軸を実質的に含む。以下の実施例1~実施例3及び実施例7は、約14.3%(w/v)の単離された大豆タンパク質、約71.4%(w/v)の水及び約14.3%(w/v)のヤシ油を含む乳化剤を含む。
【0093】
キノコ系肉代用物実施例1 - ミンチパティキノコ系肉代用物
【表1】
【0094】
キノコ系肉代用物実施例2 - ブリスケット型パティキノコ系肉代用物
【表2】
【0095】
キノコ系肉代用物実施例3 - ミンチキノコ系肉代用物
【表3】
【0096】
キノコ系肉代用物実施例4 - ゆっくり調理したキノコ系肉代用物
【表4】
【0097】
キノコ系肉代用物実施例5 - ミンチバーガーパティキノコ系肉代用物
【表5】
【0098】
キノコ系肉代用物実施例6 - 新鮮ミンチキノコ系肉代用物
【表6】
【0099】
キノコ系肉代用物実施例7 - 焙煎した削ったキノコ系肉代用物
【表7】
【0100】
実施例1~実施例6のキノコ系肉代用物の異なる実施形態の製造方法
キノコ系肉代用物1~7を作製するために、混合物が滑らかな塊になるまで高剪断乳化剤を用いてエマルションをまず調製した。
【0101】
主としてキノコの軸又はキノコ全体であったキノコ材料を、異物を除去するために最初に洗浄する。次いで、このキノコ材料を、30分間の部分調理プロセスによって水和した後に、脱水した。過剰の水を除去するための脱水工程を、遠心乾燥機によって約3~5分間行った。
【0102】
実施例4については、水和キノコ材料を、鈍いナイフを取り付けたボウルカッターに入れ、プロセスで形成する所望の繊維に応じて5~7分間細断した。他のすべての実施例1~実施例3及び実施例5~実施例6については、水和キノコ材料を、スクリュー駆動肉挽き機を通して、3~6mmの範囲の切断プレートを用いて加工した。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、3mmと6mmのダイの所望の比は、20%3mmと80%6mmであり、6mmのダイシングされたキノコ材料をレトルト加工プロセスに曝露して、原材料の色、質感及び風味を有利に変化させた後に、結合剤及びエマルションと組み合わせた。
【0103】
実施例1~実施例7のそれぞれについて、水和した、細断した、刻んだ及び/又はレトルト加工したキノコ材料をエマルションと合わせ、1~2分間混合した後、結合剤、任意の水及び残りの原材料を添加し、さらに2分間混合して、未加工キノコ系肉代用物を製造した。この混合プロセスは、35℃未満の温度で行う。
【0104】
実施例1、実施例2及び実施例5のキノコ系肉代用物のバーガーパティバージョンの成形プロセスのために、未加工キノコ系肉代用物を、成形プロセスの第1段階において均一な質量を有する均一なバーガーパティ形状に成形した。成形プロセスの第2段階については、油温が少なくとも180℃(±5℃)である連続フライ適用を使用して、パティを約50秒間フラッシュフライし、パティの所望の表面質感、風味及び色を達成した。
【0105】
実施例4のキノコ系肉代用物のボール又はぶつ切り(塊状)バージョンの成形プロセスについては、未加工キノコ系肉代用物を、成形プロセスの第1段階において、7~20gの範囲の質量を有する均一なボール又はぶつ切りの形状に成形した。成形プロセスの第2段階については、油温が少なくとも180℃(±5℃)である連続フライ適用を使用して、ピースを約50秒間フラッシュフライし、所望の表面質感、風味及び色を達成した。
【0106】
実施例3のキノコ系肉代用物の成形プロセスについては、未加工キノコ系肉代用物を、180℃(±5℃)に設定した連続フライヤーに直接肉挽き機を通して供給し、約30~40秒間焼成して、成形プロセスの第1段階及び第2段階を実質的に同時に実施した。
【0107】
実施例6のキノコ系肉代用物の成形プロセスについては、未加工キノコ系肉代用物を、成形プロセスの第1段階において新鮮なミンチされた肉に類似するように、5~8mmのプレートサイズを有する肉挽き機を通して供給した。この生成物は、成形プロセスの第2段階に供されなかったが、キノコ材料は、エマルションと混合する前にレトルト加工した。この生成物は、食品安全性を維持するために、ガスフラッシュ下でガス置換包装(Modified Atmosphere Packaging)した。
【0108】
実施例6のキノコ系肉代用物の形成方法については、未加工キノコ系肉代用物を、成形プロセスの第1段階で平坦なシートに成形した。この生成物は、成形プロセスの第2段階に供さず、この生成物は、食品安全性を維持するために、ガスフラッシュ下でガス置換包装した。
【0109】
次いで、実施例1~7の成形キノコ系肉代用物を油切り及び/又は冷却した後、レトルト用のパウチ、バッグ又はトレイに包装した。次いで、成形し包装したキノコ系肉代用物を、121℃の中核温度を有する蒸気レトルト中で15分間レトルト加工して、Millard反応の開始を介して無菌性が追加の風味を生じることを確実にした。
【0110】
次いで、これらのキノコ系肉代用物を加工し、販売用に包装した。
【外国語明細書】