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特開2024-4201推定装置、プログラム、および推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004201
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】推定装置、プログラム、および推定システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20240109BHJP
   H04W 4/02 20180101ALI20240109BHJP
【FI】
G01S5/14
H04W4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103736
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 了也
(72)【発明者】
【氏名】久保 穣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB01
5J062BB02
5J062BB03
5J062BB05
5J062CC18
5K067AA21
5K067DD11
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE25
5K067JJ54
(57)【要約】
【課題】機器の同時接続台数制限の圧迫を緩和しつつ当該機器の高精度な位置推定を実現する。
【解決手段】少なくとも1つの第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定部、を備え、前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、前記推定部は、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定する、推定装置が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定部、
を備え、
前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、
前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、
前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、
前記推定部は、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定する、
推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記要求信号または前記応答信号の受信状況から算出される情報に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定する、
請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記要求信号または前記応答信号のRSSIに基づいて前記第2の通信装置を推定する、
請求項2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記規定の通信規格は、BLEを含む、
請求項1に記載の推定装置。
【請求項5】
前記要求信号は、スキャン要求を含み、
前記応答信号は、スキャン応答を含む、
請求項4に記載の推定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記第2の通信装置が規定の範囲に位置すると推定した場合、被制御装置に規定の動作を実行させる、
請求項1に記載の推定装置。
【請求項7】
前記規定の動作は、解錠または施錠を含む、
請求項6に記載の推定装置。
【請求項8】
移動体に搭載される、
請求項1から請求項7までのうちいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項9】
コンピュータに、
少なくとも1つの第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定機能、
を実現させるプログラムであって、
前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、
前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、
前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、
前記プログラムは、前記推定機能に、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定させる、
プログラム。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の通信装置と、
前記第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定装置と、
を備える推定システムであって、
前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、
前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、
前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、
前記推定装置は、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定する、
推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置、プログラム、および推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信に基づいて装置の位置を推定する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、車載器と携帯端末との間におけるBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)通信に基づいて、携帯端末の位置を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-012634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、BLEのような通信規格を採用する機器は、当該通信規格に準拠した無線通信に関し、同時に接続可能な装置の台数に制限がある場合がある。このため、機器の位置推定の実現のために接続する装置の台数が多いほど上記のような制限が圧迫されることとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、機器の同時接続台数制限の圧迫を緩和しつつ当該機器の高精度な位置推定を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、少なくとも1つの第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定部、を備え、前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、前記推定部は、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定する、推定装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、少なくとも1つの第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定機能、を実現させるプログラムであって、前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、前記プログラムは、前記推定機能に、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定させる、プログラムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、少なくとも1つの第1の通信装置と、前記第1の通信装置と第2の通信装置との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき前記第2の通信装置の位置を推定する推定装置と、を備える推定システムであって、前記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であり、前記第1の段階は、前記第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であり、前記第2の段階は、前記第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であり、前記推定装置は、前記第1の段階において前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で送受信される要求信号または前記要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、前記第2の通信装置の位置を推定する、推定システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、機器の同時接続台数制限の圧迫を緩和しつつ当該機器の高精度な位置推定を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る推定システム1の構成例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係るポータブル機器20の認証の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】同実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報の取得の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4】同実施形態に係る本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定と当該位置推定の結果に基づく被制御装置130の制御の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係る推定システム1の構成例について述べる。図1は、本実施形態に係る推定システム1の構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る推定システム1は、第1の通信装置110、推定装置120、被制御装置130、第2の通信装置210、制御装置220を備えてもよい。
【0014】
本実施形態に係る第1の通信装置110、推定装置120、および被制御装置130は、例えば、図1に示すように、移動体10に搭載されてもよい。
【0015】
一方、本実施形態に係る第2の通信装置210および制御装置220は、移動体10とは異なるポータブル機器20に搭載される。
【0016】
(移動体10)
本実施形態に係る移動体10は、例えば、車両、航空機、船舶などの乗り物であってもよい。
【0017】
(第1の通信装置110)
本実施形態に係る第1の通信装置110は、移動体10に少なくとも1つ以上搭載される。なお、図1には、移動体10に3つの第1の通信装置110A~110Cが搭載される場合が例示される。
【0018】
移動体10に複数の第1の通信装置110が搭載される場合、各々の第1の通信装置110の搭載位置は互いに異なってよい。
【0019】
例えば、移動体10が車両である場合、第1の通信装置110A~110Cは、運転席付近、助手席付近、後部座席付近等に分散して搭載されてもよい。
【0020】
本実施形態に係る第1の通信装置110の各々は、ポータブル機器20に搭載される第2の通信装置210との間において規定の通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0021】
このために、本実施形態に係る第1の通信装置110は、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナを備える。
【0022】
第1の通信装置110の各々と第2の通信装置210との間における規定の通信規格に準拠した無線通信は、推定装置120による第2の通信装置210の位置(ポータブル機器20の位置)の推定に利用される。
【0023】
また、第1の通信装置110のうちの1つは、第2の通信装置210との間において、ポータブル機器20の認証のための無線通信を実施する。
【0024】
ここで、上記規定の通信規格は、第1の段階および第2の段階の少なくとも2つの通信段階を含む通信が行われる規格であってよい。
【0025】
例えば、第1の段階は、第2の段階を確立するための情報の送受信が行われる通信段階であってもよく、第2の段階は、第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であってもよい。
【0026】
また、例えば、第1の段階と第2の段階とでは、異なる周波数帯(チャネル)で無線通信が実施されてもよい。あるいは、第1の段階において第2の段階における無線通信に利用するチャネルの情報が送受信されてもよい。
【0027】
また、例えば、第2の段階では、規定間隔でパケットの交換が実施される。
【0028】
上記規定の通信規格の一例としては、BLEが挙げられる。
【0029】
BLEの場合、第2の段階は、Connection Stateが確立され、装置間においてパケットの送受信が実施される通信段階であってもよい。一方、第1の段階は、第2の段階に至る前の段階であり、アドバタイズのブロードキャスト、アドバタイズのスキャン等が実施される段階であってもよい。
【0030】
また、BLEの場合、第1の段階において送受信されるアドバタイズ等の信号は一部のみが暗号化可能であるのに対し、第2の段階において送受信される信号はそれらのすべてを暗号化可能である。このため、第2の段階は、第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であるといえる。
【0031】
また、BLEの場合、第1の段階ではアドバタイズチャネルが、第2の段階ではデータチャネルが用いられる。また、アドバタイズチャネルとデータチャネルとは、互いに異なるチャンネルである。
【0032】
また、BLEの場合、第2の段階では、定められたConnection Intervalごとにパケットの交換が実施される。なお、第2の段階では、送信すべきデータがない場合であっても空パケットの送信が実施される。パケットの交換が途切れた場合、第2の段階は解除される。
【0033】
一方、上記規定の通信規格は、Wi-Fi(登録商標) Directであってもよい。
【0034】
Wi-Fi Directの場合、第1の段階は、ビーコンの送信とスキャン、アソシエーション処理、認証処理(4-way handshakeまたはEAPoL)等が実施される通信段階であってもよい。一方、第2の段階は、第1の段階が完了し、装置間での接続が確立され、パケットの送受信が実施される通信段階であってよい。
【0035】
また、Wi-Fi Directの場合、第1の段階において、アソシエーション処理、認証処理等が実施された後に第2の段階が開始されることから、第2の段階は、第1の段階と比較してより安全性の高い通信が可能な通信段階であるといえる。
【0036】
また、Wi-Fi Directの場合、第1の段階において送信、スキャンされるビーコンには、チャネル情報が含まれる。
【0037】
また、Wi-Fi Directの場合、第2の段階において、アクセスポイントは、一定期間ごとにマルチキャスト鍵(GTK)の更新を行い接続配下にあるステーションに対し鍵更新通知(EAPoL Group Key Message)を送信する。一方、鍵更新通知を受信したステーションは、適切な鍵更新処理を行い、鍵更新受理(EAPoL Group Key Message)を返送する。
【0038】
以上、規定の通信規格について具体例を挙げて説明した。なお、以下においては、上記規定の通信規格にBLEを採用する場合を主な例として説明する。
【0039】
(推定装置120)
本実施形態に係る推定装置120は、少なくとも1つの第1の通信装置110と第2の通信装置210との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づき第2の通信装置210の位置を推定する推定部125を備える。
【0040】
本実施形態に係る第2の通信装置210はポータブル機器20に搭載されることから、推定部125は、ポータブル機器20の位置を推定するともいえる。
【0041】
また、本実施形態に係る推定部125は、推定した第2の通信装置210の位置、および第1の通信装置110のうちの1つと第2の通信装置210との間における無線通信に基づく第2の通信装置210の認証の結果に基づいて、被制御装置130を制御する。
【0042】
本実施形態に係る推定部125は、第2の通信装置210が規定の範囲に位置すると推定し、かつ認証においてポータブル機器20の真正性が認められた場合、被制御装置130に規定の動作を実行させてもよい。
【0043】
本実施形態に係る推定部125が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。本実施形態に係る推定部125が有する機能の詳細については後述する。
【0044】
(被制御装置130)
本実施形態に係る被制御装置130は、推定装置120の制御に従って、規定の動作を実施する各種の装置であってよい。
【0045】
図1に示すように、被制御装置130が移動体10に搭載される場合、被制御装置130は、例えば、規定の動作として移動体10に備えられるドアの施錠および解錠を行う施解錠装置であってもよい。
【0046】
例えば、推定装置120は、第2の通信装置210が移動体10から規定の範囲内に位置すると推定し、かつ認証においてポータブル機器20の真正性が認められている場合、被制御装置130にドアの解錠を実施させてもよい。
【0047】
ただし、被制御装置130および規定の動作は上記の例に限定されるものではない。
【0048】
例えば、被制御装置130は、エンジンであってもよい。この場合、規定の動作は、エンジン始動の許可または制限であってもよい。
【0049】
また、例えば、被制御装置130は、照明装置であってもよい。この場合、規定の動作は、照明の点灯または消灯であってもよい。
【0050】
(ポータブル機器20)
本実施形態に係るポータブル機器20は、移動体10のユーザ(例えば、移動体10のオーナー、当該オーナーに移動体10の利用を許可された者など)に携帯される。
【0051】
なお、図1には示していないが、ポータブル機器20には、ユーザによる操作を受け付ける入力装置、各種の情報を表示する表示装置等が搭載されてもよい。
【0052】
本実施形態に係るポータブル機器20は、例えば、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等であってもよい。
【0053】
(第2の通信装置210)
本実施形態に係る第2の通信装置210は、少なくとも1つの第1の通信装置110との間において規定の通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0054】
このために、本実施形態に係る第2の通信装置210は、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナを備える。
【0055】
(制御装置220)
本実施形態に係る制御装置220は、ポータブル機器20に搭載される各装置を包括的に制御する。
【0056】
制御装置220が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0057】
以上、本実施形態に係る推定システム1の構成例について述べた。なお、図1を参照して説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る推定システム1の構成はかかる例に限定されない。
【0058】
例えば、第1の通信装置110、推定装置120、および被制御装置130は、必ずしも移動体10に搭載されなくてもよい。
【0059】
また、第2の通信装置210の位置推定の結果、およびポータブル機器20の認証の結果に基づき被制御装置130を制御する機能は、推定装置120とは別途の構成により実現されてもよい。
【0060】
本実施形態に係る推定システム1の構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0061】
<<1.2.ポータブル機器20の認証>>
次に、本実施形態に係るポータブル機器20の認証について詳細に説明する。
【0062】
本実施形態に係るポータブル機器20の認証は、第2の通信装置210の位置の推定とは独立して実施されてよい。
【0063】
例えば、本実施形態に係るポータブル機器20の認証は、第2の通信装置210の位置の推定に先行して実施されてもよい。
【0064】
一方、本実施形態に係るポータブル機器20の認証は、第2の通信装置210の位置の推定後に開始されてもよい。
【0065】
他方、本実施形態に係るポータブル機器20の認証は、第2の通信装置210の位置の推定と並行して実施されてもよい。
【0066】
図2は、本実施形態に係るポータブル機器20の認証の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0067】
なお、図2には、図1に例示する構成において第1の通信装置110Aがポータブル機器20の認証を実施する場合のシーケンスの一例が示される。
【0068】
また、図2には、規定の通信規格にBLEを採用する場合のシーケンスの一例が示される。
【0069】
図2に示す一例の場合、まず、第1の通信装置110Aがアドバタイズをブロードキャストする(S102)。
【0070】
次に、第2の通信装置210がステップS102においてブロードキャストされたアドバタイズをスキャンする(S104)。
【0071】
また、第2の通信装置210は、ステップS104においてスキャンしたアドバタイズに基づき、第1の通信装置110Aに対し接続要求(CONNECT_IND)を送信する(S106)。
【0072】
第2の通信装置210は、ステップS106において接続要求を送信した後、Connection Stateに遷移する。
【0073】
また、ステップS106において接続要求を受信した第1の通信装置110AもまたConnection Stateに遷移することにより、第1の通信装置110Aと第2の通信装置210との間の接続、すなわち上述した第2の段階が確立する(S108)。
【0074】
第2の段階が確立すると、第1の通信装置110Aは、第2の通信装置210に対して第2の通信装置210の認証に必要な情報(認証用情報)の送信を要求する認証用情報要求を送信する(S110)。
【0075】
認証用情報は、例えば、第2の通信装置210の識別子、パスワード、認証用情報要求に含まれる乱数と規定の関数等から演算した演算結果等であってもよい。
【0076】
ステップS110において認証用情報要求を受信した第2の通信装置210は、認証用情報を含む認証用情報応答を返送する(S112)。
【0077】
ステップS112において認証用情報応答を受信した第1の通信装置110Aは、認証用情報応答に含まれる認証用情報に基づいて第2の通信装置210の認証を実施する(S114)。
【0078】
第1の通信装置110Aは、ステップS114における認証の結果を推定装置120に送信する(S116)。
【0079】
以上、本実施形態に係るポータブル機器20の認証の流れについて述べた。なお、図2を参照して説明した上記の流れはあくまで一例であり、本実施形態に係るポータブル機器20の認証の流れはかかる例に限定されない。
【0080】
例えば、上記では、第1の通信装置110Aがアドバタイズをブロードキャストし、第2の通信装置210が当該アドバタイズをスキャンする場合について述べた。
【0081】
一方、アドバタイズは、第2の通信装置210によりブロードキャストされ、第1の通信装置110Aによりスキャンされてもよい。
【0082】
この場合、アドバタイズをスキャンした第1の通信装置110Aが第2の通信装置210に対して接続要求を送信すればよい。
【0083】
また、例えば、上記では、認証の実現のために認証用情報要求と認証用情報応答の2つの信号が送受信される場合を述べた。
【0084】
しかし、本実施形態に係るポータブル機器20の認証には、認証技術分野で広く用いられる各種のシーケンスが適用可能である。
【0085】
本実施形態に係るポータブル機器20の認証は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0086】
<<1.3.第2の通信装置210の位置推定>>
次に、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定について詳細に説明する。
【0087】
上述したように、ある通信規格を用いて他の装置との接続を行う場合、通信規格に応じて同時接続が可能な装置の台数に制限が課せられる場合がある。
【0088】
しかし、近年においては多種多様な装置が普及しており、ユーザがポータブル機器20との常時接続を望む装置が複数台存在する状況も想定される。
【0089】
例えば、ポータブル機器20がスマートフォンである場合、上記のような装置としては、イヤーフォン、ヘッドフォン、ウェアラブルデバイス、PC、タブレット、キーボード、ディスプレイ、マウス、ゲームパッド等が挙げられる。
【0090】
ポータブル機器20に搭載される第2の通信装置210が既に上記のような装置と複数台接続している場合、第2の通信装置210がポータブル機器20の位置推定に用いられる第1の通信装置110と新たに接続することができない状況も生じ得る。
【0091】
上記のような状況において第2の通信装置210の位置推定を実現するためには、第2の通信装置210と接続済みの装置との接続を解除したうえで、新たに第2の通信装置210と第1の通信装置110とを接続することが求められる。
【0092】
この際、第2の通信装置210の位置推定のために第2の通信装置210との接続が求められる第1の通信装置110の数が多いほど、第2の通信装置210と接続可能な他の装置の数は減ることから、ユーザに不便を強いる可能性が生じる。
【0093】
本実施形態に係る技術思想は上記のような点に着目して発想されたものであり、機器の同時接続台数制限の圧迫を緩和しつつ当該機器の高精度な位置推定を実現するものである。
【0094】
このために、本実施形態に係る推定部125は、第1の段階において第1の通信装置110と第2の通信装置210との間で送受信される要求信号または当該要求信号への応答として送受信される応答信号に基づいて、第2の通信装置210の位置を推定することを特徴の一つとする。
【0095】
すなわち、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定は、第1の通信装置110と第2の通信装置210との接続が求められる第2の段階に至る前の第1の段階において送受信される要求信号または応答信号に基づいて実施される。
【0096】
このため、本実施形態に係る位置推定方法によれば、第2の通信装置210の同時接続台数制限を圧迫することなくポータブル機器20の位置推定を実現することができ、利便性を保つことが可能となる。
【0097】
なお、上記の要求信号とは、規定の通信規格の第1の段階において、一方の装置が他方の装置に対して何らかの情報の提供または何らかの処理の実行を要求する各種の信号であってもよい。
【0098】
また、上記の応答信号とは、上記の要求信号を受信した装置が当該要求信号への応答として返送する各種の信号であってもよい。
【0099】
規定の通信規格がBLEである場合、上記の要求信号は、例えば、スキャン要求(SCAN_REQ)等であってもよい。また、規定の通信規格がBLEである場合、上記の応答信号は、スキャン応答(SCAN_RSP)等であってもよい。
【0100】
一方、規定の通信規格がWi-Fi Directである場合、上記の要求信号は、例えば、Association Request、EAPoL Request等であってもよい。また、規定の通信規格がWi-Fi Directである場合、上記の応答信号は、Association Response、EAPoL Response等であってもよい。
【0101】
以下、規定の通信規格がBLEである場合における位置推定の流れについて一例を挙げて説明する。
【0102】
図3は、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報の取得の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0103】
図3に示す一例の場合、まず、第2の通信装置210がアドバタイズをブロードキャストする(S202)。
【0104】
次に、第1の通信装置110AがステップS202においてブロードキャストされたアドバタイズをスキャンする(S204)。
【0105】
また、第1の通信装置110Aは、ステップS204においてスキャンしたアドバタイズに基づき、第2の通信装置210に対しスキャン要求(SCAN_REQ)を送信する(S206)。
【0106】
ステップS206においてスキャン要求を受信した第2の通信装置210は、スキャン要求への応答としてスキャン応答(SCAN_RSP)を第1の通信装置110Aに返送する(S208)。
【0107】
次に、ステップS208においてスキャン応答を受信した第1の通信装置110Aは、第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報を算出する(S210)。
【0108】
また、第1の通信装置110Bも、上述したステップS202~S208と同等のS212~S218を経て、第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報を算出する(S220)。
【0109】
同様に、第1の通信装置110Cも、上述したステップS202~S208と同等のS222~S228を経て、第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報を算出する(S230)。
【0110】
本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報は、要求信号または応答信号の受信状況から算出される情報であってもよい。
【0111】
例えば、図3に示す一例の場合、第1の通信装置110A~110Cは、それぞれステップS208、S218、またはS228において受信したスキャン応答の受信状況に基づいてRSSIを算出する(S210、S220、またはS230)。
【0112】
ただし、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報は、RSSIに限定されない。
【0113】
例えば、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報は、遅延時間、要求信号または応答信号の受信状況から算出される第1の通信装置110と第2の通信装置210との間の距離の推定値(測距値)等であってもよい。
【0114】
また、例えば、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定に用いられる情報は、複数の要求信号または複数の応答信号の受信状況から求められるAoA(Angle of Arrival)、AoD(Angle of Departure)等であってもよい。
【0115】
続いて、図4を参照して、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定と当該位置推定の結果に基づく被制御装置130の制御の流れについて一例を挙げて説明する。
【0116】
図4は、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定と当該位置推定の結果に基づく被制御装置130の制御の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0117】
なお、図4に例示するシーケンスは、図3に例示するシーケンスに後続して行われる。
【0118】
図4に示す一例の場合、第1の通信装置110Aは、図3に示すステップS210において算出したRSSIを推定装置120に対して送信する(S302)。
【0119】
また、第1の通信装置110Bは、図3に示すステップS220において算出したRSSIを推定装置120に対して送信する(S304)。
【0120】
同様に、第1の通信装置110Cは、図3に示すステップS230において算出したRSSIを推定装置120に対して送信する(S306)。
【0121】
次に、推定装置120に備えられる推定部125は、ステップS302、S304、S306においてそれぞれ受信したRSSIに基づいて第2の通信装置210の位置を推定する(S308)。
【0122】
この際、推定部125は、特許文献1に開示される手法の他、RSSIに基づく位置推定分野において広く用いられる手法を用いて第2の通信装置210の位置を推定してよい。
【0123】
また、推定部125は、RSSIに代えて、遅延時間、測距値、AoA、AoD等を用いる場合も同様に、位置推定分野において広く用いられる手法を採用してよい。
【0124】
次に、推定部125は、ステップS308において推定した第2の通信装置210の位置、および図2に示すステップS114における認証の結果に基づいて、被制御装置130に規定の動作を実行させるか否かの判定(規定の動作の実行判定)を行う(S310)。
【0125】
例えば、推定部125は、ステップS308において第2の通信装置210が規定の範囲に位置すると推定し、かつステップS114における認証においてポータブル機器20の真正性が認められた場合、被制御装置130に規定の動作を実行させると判定してもよい。
【0126】
この場合、推定部125は、規定の動作の実行を指示する実行指示を被制御装置130に対して送信する(S312)。
【0127】
また、被制御装置130は、ステップS312において受信した実行指示に基づき規定の動作を実行する(S314)。
【0128】
一方、推定部125は、ステップS308において第2の通信装置210が規定の範囲に位置しないと推定した場合、またはステップS114における認証においてポータブル機器20の真正性が認められない場合、被制御装置130に規定の動作を実行させないと判定してもよい。
【0129】
この場合、ステップS312における実行指示の送信、およびS314における規定の動作の実行は行われない。
【0130】
以上、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定、および当該位置推定の結果に基づく被制御装置130の制御の流れについて説明した。
【0131】
ただし、図3および図4を用いて説明した上記の流れはあくまで一例であり、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定、および当該位置推定の結果に基づく被制御装置130の制御の流れは柔軟に変形が可能である。
【0132】
例えば、移動体10に複数の第1の通信装置110が搭載され、当該複数の第1の通信装置110のうちの1つ(例えば、本実施形態に係る第1の通信装置110A)が第2の通信装置210の認証を実施する場合を想定する。
【0133】
この場合、認証を実施する第1の通信装置110は、必ずしも第1の段階における要求信号または応答信号のRSSIを算出しなくてもよい。認証を実施する第1の通信装置110は、例えば、認証用情報要求または認証用応答情報のRSSIを算出し、当該RSSIを推定装置120に送信してもよい。
【0134】
また、図3においては、第2の通信装置210がアドバタイズをブローキャストし、第1の通信装置110がアドバタイズをスキャンして第2の通信装置210に対してスキャン要求を送信する場合を例示した。
【0135】
一方、アドバタイズは第1の通信装置110によりブロードキャストされ、スキャン要求はアドバタイズを受信した第2の通信装置210により送信されてもよい。この場合、第1の通信装置110は、受信したスキャン要求のRSSIを算出し、当該RSSIを推定装置120に送信してもよい。
【0136】
また、上記では第1の通信装置110がスキャン要求またはスキャン応答のRSSIを算出する場合を述べたが、これもあくまで一例である。
【0137】
スキャン要求またはスキャン応答のRSSIの算出は、第2の通信装置210が実施してもよい。この場合、第2の通信装置210は、算出したRSSIを第1の通信装置110を介して推定装置120に送信してもよい。
【0138】
さらには、第2の通信装置210の位置推定は、ポータブル機器20に搭載される制御装置220が実施してもよい。この場合、制御装置220は、第1の通信装置110または第2の通信装置210が算出したRSSIに基づき第2の通信装置210の位置推定を行い、位置推定の結果を第2の通信装置210および第1の通信装置110を介して推定装置120に送信すればよい。
【0139】
以上説明したように、本実施形態に係る第2の通信装置210の位置推定、および当該位置推定の結果に基づく被制御装置130の制御の流れは柔軟に変形が可能である。
【0140】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0141】
例えば、上記実施形態においては、第1の通信装置110、推定装置120、および被制御装置130が移動体10に搭載される場合を主な例として説明した。しかし、推定システム1の適用範囲はかかる例に限定されない。
【0142】
例えば、推定システム1は、住宅、社屋等に設置されるドアの施解錠制御に用いられてもよい。この場合、被制御装置130は、上記ドアの施錠および解錠を行う施解錠装置であってよい。また、この場合、被制御装置130および第1の通信装置110は、上記ドアに搭載されてもよい。
【0143】
また、例えば、推定システム1は、各所に設置される宅配ボックスの施解錠制御に用いられてもよい。この場合、被制御装置130は、宅配ボックスの施錠および解錠を行う施解錠装置であってよい。また、この場合、被制御装置130および第1の通信装置110は、宅配ボックスに搭載されてもよい。
【0144】
また、例えば、推定システム1は、交通機関に設置される自動改札機の開閉制御に用いられてもよい。この場合、被制御装置130は、自動改札機の開扉または閉扉を行う装置であってもよい。また、この場合、被制御装置130および第1の通信装置110は、自動改札機に搭載されてもよい。
【0145】
推定システム1は、ポータブル機器20の位置推定の結果に基づき何らかの処理の実行を制御する状況に広く適用可能である。
【0146】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、プログラムを記憶したコンピュータにより読み取り可能な非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable storage medium)により実現されてもよい。各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等であってもよい。また、上記のプログラムは、記憶媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1:推定システム、10:移動体、110:第1の通信装置、120:推定装置、125:推定部、130:被制御装置、20:ポータブル機器、210:第2の通信装置、220:制御装置
図1
図2
図3
図4