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特開2024-42016表面及び表面下のFOD及び欠陥を高速で検出するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042016
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】表面及び表面下のFOD及び欠陥を高速で検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G01N25/72 K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008535
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2022011443の分割
【原出願日】2017-07-19
(31)【優先権主張番号】15/225,493
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジー.トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】モルテザ サファイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複合材レイアップ機により形成される複合部品の表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するためのシステム及び方法。
【解決手段】ガントリは、複合部品の上方を移動する。ガントリに固定された熱励起源(110)は、複合部品(140)の表面の幅に沿って赤外線を誘導する。熱励起源(110)から所定の距離離間してガントリに固定された赤外線カメラ(120)は、ガントリが移動するのに伴って上記表面をスキャンし、その表面のスキャン情報を検出及び出力する。赤外線カメラからの連続画像を処理して、上記表面上及び/又は上記表面下に位置する異物又は欠陥を特定する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材レイアップ機により所定の長さ及び所定の幅に形成される複合部品の表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するためのシステムであって、
前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されたガントリと、
前記ガントリに固定された第1熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第1部分に赤外線を誘導するよう構成された第1熱励起源と、
前記第1熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第1赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第1部分をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第1赤外線カメラと、
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラに接続されたコントローラであって、前記第1赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されたコントローラと、を含む、システム。
【請求項2】
前記第1熱励起源は、前記複合部品の前記表面における前記幅全体に赤外線を誘導するよう構成されており、前記第1赤外線カメラは、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅全体をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源と、
前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第2赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、をさらに含み、
前記コントローラは、前記第2熱励起源及び前記第2赤外線カメラに接続されているとともに、前記第1及び第2赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、請求項1又は2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記複合部品の前記表面の前記幅における前記第1部分と、前記複合部品の前記幅における前記第2部分とで、前記複合部品の前記幅全体に相当する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記ガントリに沿った横方向に移動するための機構を介して前記ガントリに固定されている、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、ピボット機構を介して前記ガントリに固定されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガントリは、当該ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された平行部材を含む、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
形成される前記複合部品は、平坦又はほぼ平坦である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ガントリは、当該ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された、角部を有する部材を含む、請求項1~8のいずれかに記載のシス
テム。
【請求項10】
形成される前記複合部品は、中央平坦部分、及び、当該中央平坦部分に対して角度を有する右外側部分及び左外側部分を有し、前記第1部分は、前記中央平坦部分であり、
当該システムは、さらに、前記ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源を含み、前記第2部分は、前記左外側部分に相当し、
当該システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第2赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、
前記ガントリに固定された第3熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第3部分に赤外線を誘導するよう構成された第3熱励起源と、を含み、前記第3部分は、前記右外側部分に相当し、
当該システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第3赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第3部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第3赤外線カメラを含み、
前記コントローラは、前記第2熱励起源、前記第2赤外線カメラ、前記第3熱励起源及び前記第3赤外線カメラに接続されており、前記第1、第2及び第3赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有し、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、前記第2励起源及び前記第2赤外線カメラは、前記左端部に取り付けられており、前記第3励起源及び前記第3赤外線カメラは、前記右端部に取り付けられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
形成される前記複合部品は、中央平坦部分と、当該複合部品の前記幅に沿って前記中央平坦部分に対して角度を有する左外側部分及び右外側部分と、を有し、前記第1部分は、前記中央平坦部分であり、前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有し、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、当該システムは、さらに、
前記角部を有する部材における前記右端部に取り付けられた第1赤外線ミラーと、
前記角部を有する部材における前記左端部に取り付けられた第2赤外線ミラーと、を含み、
前記第1赤外線カメラの画角は、前記中央平坦部分の幅より広く、前記第1赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第1外側部分に、前記複合部品の前記右外側部分を向けるように取り付けられており、前記第2赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第2外側部分に、前記複合部品の前記左外側部分を向けるように取り付けられている、請求項9~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記第1赤外線ミラー及び前記第2赤外線ミラーの各々は、凸面鏡である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
ワークの表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するための方法であって、
中央部に赤外励起源及び赤外線カメラが取り付けられたガントリを、ワークの長さに沿った第1方向に前記ワークの上方を移動させるステップを含み、前記赤外線カメラは、前記赤外励起源から所定の距離離間して取り付けられており、当該方法は、さらに、
前記ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って、前記赤外励起源からの赤外線ビームを前記ワークの前記表面に誘導するステップと、
前記ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って前記ワークの前記表面を前記赤外線カメラでスキャンして、前記ワークの前記表面についてのスキャン情報を検出及び出力するステップと、
前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記ワークの前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するステップと、を含む方法。
【請求項15】
前記赤外線カメラは放射分析カメラであり、さらに、
前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記ワークの上層及び前記ワークの内層の温度情報を提供するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、表面及び表面下(subsurface)の異物(foreign object debris)
及び欠陥を高速で検出するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、複合材レイアップのプロセス中に、表面及び表面下の異物及び欠陥を高速で検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、概して、高い重量比強度(strength-to-weight ratio)をもともと備えているので、アルミニウム合金や合金鋼などの従来の材料に代えて、ますます多くの複合材料が様々な構造部材において用いられている。一般的に、複合材料は、概ね層状に重ねられた網状構造の強化繊維と、ポリマー樹脂とで構成されており、このポリマー樹脂が強化繊維を十分に湿潤させ、樹脂と強化繊維とを密着結合させている。各層の形成には、通常、高速複合材レイアップ機が使用され、このようなレイアップ機は、複合材料を3000インチ/分の速度で積層することができる。
【0003】
しかしながら、形成した複合部品の表面又は内部に、硬化前の状態において異物(FOD:foreign object debris)、汚染、又は、その他のタイプのテープレイアップ異常が
存在すると、問題が生じうる。例えば、水分やその他のタイプの汚染が少量でも表面に封じ込まれてたり、付着していたりすると、硬化後の複合材料において層間剥離及び気泡(porosity)が生じうる。加えて、複合材レイアップにおいて用いられるバギング材(bagging material)、テフロン(登録商標)テープ、又は、通気性素材(breathing material)の小片などの破片が、複合層に封じ込まれていると、複合部品において層間剥離、気泡及びしわが生じうる。炭素繊維強化ポリマー(CFRP)テープを積層してなる複合部品の製造中には、糸まり(fuzzball)と呼ばれるタイプのFODが発生する。いわゆる「糸まり」は、テープを保持するスプールと接触することで擦れたCFRPテープの繊維の束(strands of CFRP tape)で形成され、製造中の複合部品の表面に偶発的に落下しうる。さらに、捩れ(twists)、折れ(folds)、トウの粘着不良(untacked tows)、しわ(wrinkles)及びブリッジング(bridging)を含め、その他のタイプのレイアップ異常もレイアップのプロセスで発生しうるが、現状では、FOD及び欠陥の検出は、手動で目視によって行われている。しかしながら、FOD及び欠陥が透明であったり、複合材料の表面の色と紛れやすかったりするなど、目視による検出が困難な場合が多い。このように、FOD及び欠陥を手動で検出することは、時間がかかり、信頼性に欠ける方法である。特に、硬化に先立ってFOD物質及び欠陥を検出して除去又は修理しないと、大型で高価な複合部品が非破壊検査で不合格になる可能性がある。
【0004】
現在、一体型の複合部品が、民間航空機の部品を含む多くの用途で用いられているが、そのような部品の製造コストは非常に高い。そのような部品の積層段階においてごく小さなFOD物質、汚染又は欠陥が放置されると、製造欠陥が発生して、部品の修理が必要になったり、場合によっては検査で不合格になったりしうる。そのような部品の修理や不合格品が発生すると、多大なコストがかかる上に、日程の遅延及び在庫上の問題にもつながりうる。
【0005】
したがって、高速での複合材レイアッププロセス中に、表面及び表面下のFOD、汚染及び欠陥を自動で高速に検査するシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一側面において、複合材レイアップ機により形成される複合部品の表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するためのシステムが開示される。前記複合部品は、所定の長さ及び所定の幅を有する。本システムは、前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されたガントリを有する。第1熱励起源は、前記ガントリに固定されおり、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第1部分に赤外線を誘導するよう構成されている。第1赤外線カメラは、前記第1熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定されており、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第1部分をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている。コントローラは、前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラに接続されている。前記コントローラは、前記第1赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている。
【0007】
追加実施形態において、前記第1熱励起源は、前記複合部品の前記表面における前記幅全体に赤外線を誘導するよう構成することができる。前記第1赤外線カメラは、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅全体をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成することができる。
【0008】
さらに別の追加実施形態では、本システムは、前記ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源と、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第2赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、を含む。さらに、前記コントローラは、前記第2熱励起源及び前記第2赤外線カメラに接続されていてもよく、また、前記第1及び第2赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成することができる。さらに、前記複合部品の前記表面の前記幅における前記第1部分と、前記複合部品の前記幅における前記第2部分とで、前記複合部品の前記幅全体であってもよい。
【0009】
さらに別の追加実施形態では、前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記ガントリに沿った横方向に移動するための機構を介して前記ガントリに固定されていてもよい。さらに別の追加実施形態では、前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、ピボット機構を介して前記ガントリに固定されていてもよい。
【0010】
さらに別の追加実施形態では、前記ガントリは、当該ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された平行部材であってもよい。形成される前記複合部品は、平坦又はほぼ平坦であってもよい。さらに、前記複合部品は、航空機翼の外板であってもよい。
【0011】
代替の追加実施形態では、前記ガントリは、当該ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された、角部を有する部材であってもよい。形成される前記複合部品は、中央平坦部分、及び、当該中央平坦部分に対して角度を有する右外側部分及び左外側部分を有するものでもよく、前記第1部分は、前記中央平坦部分である。本システムは、さらに、前記ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源を含んでもよく、前記第2部分は、前記左外側部分に相当し、本システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第2赤
外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、前記ガントリに固定された第3熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第3部分に赤外線を誘導するよう構成された第3熱励起源と、を含んでもよく、前記第3部分は、前記右外側部分に相当し、本システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第3赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第3部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第3赤外線カメラを含んでもよい。さらに、前記コントローラは、前記第2熱励起源、前記第2赤外線カメラ、前記第3熱励起源及び前記第3赤外線カメラに接続されており、前記第1、第2及び第3赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている。
【0012】
さらに、前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有するものでもよい。加えて、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、前記第2励起源及び前記第2赤外線カメラは、前記左端部に取り付けられており、前記第3励起源及び前記第3赤外線カメラは、前記右端部に取り付けられていてもよい。形成される前記複合部品は、航空機の翼桁であってもよい。さらに、前記左外側部分及び前記右外側部分は、前記中央平坦部分に対して直角であってもよい。
【0013】
さらに別の追加実施形態では、形成される前記複合部品は、中央平坦部分と、当該複合部品の前記幅に沿って前記中央平坦部分に対して角度を有する左外側部分及び右外側部分と、を有する。前記第1部分は、前記中央平坦部分である。前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有するものでもよい。前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられていてもよい。本システムは、さらに、前記角部を有する部材の前記右端部に取り付けられた第1赤外線ミラーと、前記角部を有する部材の前記左端部に取り付けられた第2赤外線ミラーと、を含む。この実施形態では、前記第1赤外線カメラの画角は、前記中央平坦部分の幅より広い。前記第1赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第1外側部分に、前記複合部品の前記右外側部分を向けるように取り付けられており、前記第2赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第2外側部分に、前記複合部品の前記左外側部分を向けるように取り付けられている。さらに、形成される前記複合部品は、航空機の翼桁であってもよい。さらに、前記第1赤外線ミラー及び前記第2赤外線ミラーの各々は、凸面鏡であってもよい。
【0014】
第2の側面では、複合材レイアップ機により形成される複合部品の外側層上及び/又は外側層下の異物又は欠陥を検出するためのシステムが開示される。前記複合部品は、所定の長さ及び所定の幅を有する。前記複合部品は、中央平坦部分と、当該複合部品の前記幅に沿って前記中央平坦部分に対して角度を有する左外側部分及び右外側部分と、を有する。本システムは、前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されたガントリを含む。前記ガントリは、角部を有する形状であって、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有する。第1熱励起源は、前記ガントリの前記頂部に固定されているとともに、前記複合部品の少なくとも前記中央平坦部分に赤外線を誘導するよう構成されている。第1赤外線カメラは、前記第1熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリの前記頂部に固定されているとともに、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記中央平坦部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている。第2熱励起源は、前記ガントリの前記左端部に固定されているとともに、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも前記左外側部分に赤外線を誘導する
よう構成されている。第2赤外線カメラは、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリの前記右端部に固定されているとともに、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記左外側部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている。第3熱励起源は、前記ガントリの前記右端部に固定されているとともに、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも前記右外側部分に赤外線を誘導するよう構成されている。第3赤外線カメラは、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリの前記右端部に固定されているとともに、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記右外側部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている。最後に、前記コントローラは、前記第1熱励起源、前記第1赤外線カメラ、前記第2励起源、前記第2赤外線カメラ、前記第3励起源及び前記第3赤外線カメラに接続されているとともに、前記第1、第2、第3赤外線カメラからの前記スキャン情報を分析して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている。
【0015】
第3の側面では、ワークの表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するための方法が開示される。中央部に赤外励起源及び赤外線カメラが取り付けられたガントリが、ワークの長さに沿った第1方向に前記ワークの上方を移動させられる。前記赤外線カメラは、前記赤外励起源から所定の距離離間して取り付けられている。前記ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って、前記赤外励起源からの赤外線ビームが前記ワークの前記表面に誘導される。前記ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って前記ワークの前記表面が前記赤外線カメラでスキャンされて、前記ワークの前記表面についてのスキャン情報が検出及び出力される。前記赤外線カメラからの前記スキャン情報が処理されて、前記ワークの前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥が特定される。さらに、前記赤外線カメラは放射分析カメラであってもよく、前記赤外線カメラからの前記スキャン情報が処理されて、前記ワークの上層及び前記ワークの内層の温度情報が提供されるようにできる。
【0016】
第4の側面では、複合材レイアップ機により形成される複合部品の表面層上及び/又は表面層下の異物又は欠陥を検出するためのシステムが開示される。前記複合部品は所定の長さ及び所定の幅を有する。ガントリは、前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されている。前記ガントリは、前記積層部品の前記表面層を形成するためのテープ積層ヘッド及びこれに関連づけられた赤外線ヒータを有する。第1赤外線カメラは、前記赤外線ヒータから所定の距離離間して前記ガントリに固定されているとともに、前記ガントリが前記部材上方を移動するのに伴って前記表面層をスキャンして、前記スキャンされた表面層についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている。最後に、コントローラは、前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラに接続されている。前記コントローラは、前記第1赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面層上及び/又は前記表面層下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている。
【0017】
上述した特徴、機能及び効果は、様々な実施形態において個別に実現可能であるが、他の実施形態において互いに組み合わせてもよい。さらなる詳細については、以下の記載及び図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
後述する詳細な説明は、例として記載されているものであり、この説明に本開示を限定することを意図するものではない。この説明は、以下の添付図面を併せて参照することによって、最もよく理解されるであろう。
【0019】
図1A】本開示によるFOD及び欠陥検出システムのブロック図である。
図1B】本開示のFOD及び欠陥検出システムを用いた、表面及び層下側のFODのFOD検出を示す図である。
図2A】本開示の第1の追加実施形態による、炭素繊維製の翼部外板を形成する積層セルであって、図1のFOD及び欠陥検出システムが検査ガントリに設置された積層セルを示す図である。
図2B図2Aの検査ガントリの正面図である。
図2C】第1の変形例による検査ガントリの正面図である。
図2D】第2の変形例による検査ガントリの正面図である。
図3】本開示の第2の追加実施形態による、炭素繊維製の翼桁を形成する積層セルで用いられる検査ガントリであって、図1のFOD及び欠陥検査システムが設置されたガントリを示す図である。
図4】本開示の第3の追加実施形態による、炭素繊維製の翼桁を形成する積層セルで用いられる検査ガントリを示す図であって、図1のFOD及び欠陥検査システムが設置されたガントリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示では、本開示の様々な例示的な実施形態を示すすべての図面において、同様の要素については同様の参照符号で示している。
【0021】
米国特許出願第14/614,198号(「198号出願」)は、「高速FOD検出のためのシステム及び方法(System and Method for High Speed FOD Detection)」との名称で、2015年2月4日付けで出願され、本願と同一の譲受人に譲渡され、本願と同一の発明者を複数人含む。本願に援用するこの198号出願には、熱(赤外)励起源(infrared excitation source)、及び、これに関連づけられた赤外線カメラを利用したFOD検出システムが記載されている。赤外線カメラに接続されたコントローラは、製造中の複合部品の表面にあるFODを検出するよう構成されており、この検出では、製造中の複合部品の表面上方を熱(赤外)励起源及びこれに関連づけられた赤外線カメラ(ラインスキャンモードで動作)が移動するのに伴って、複合部品とFODとの間の赤外線放射エネルギーの差を、赤外線カメラの画素列のラインの閾値に基づいて判定している。
【0022】
FODは、製造中の複合部品の外側層(プライ)の下側にも発生しうるが、上記198号出願に開示されているシステムでは、このようなタイプのFOD(即ち、層下側のFOD)及び表面のFODを特定することは困難な場合がある。層下側のFODが赤外励起源からのエネルギーを吸収するには、より多くの時間が必要なためである(この時間は、上層の厚みと、赤外線エネルギーが、上層を伝わって、その下にあるFODに到達するのに必要な時間に基づく)。赤外線カメラは、熱(赤外)励起源から所定の距離離間して配置されているため、層下側のFODがエネルギーを十分に吸収し、検出されうる量のエネルギーを放射する前に、層下側のFODの上方を赤外線カメラが通過してしまう可能性がある。これに鑑み、本開示のシステムでは、(ラインスキャンモードではなく)完全二次元モードで、そのカメラの解像度(例えば、1024×1024画素)で動作するカメラが採用されている。また、このカメラには、コントローラが含まれており、赤外線カメラで生成された情報を分析して、層下側のFOD及び表面のFOD(及び、後述するようなその他のタイプの欠陥)を検出するよう構成されている。検出は、層下側のFODやいくつかのタイプの表面FODから放出される温度エネルギーと、製造中の複合部品から放出される温度エネルギーとの差に基づいて行われる。この他にも、反射された赤外線エネルギーに基づいて特定可能な表面FODもある。
【0023】
図1を参照すると、製造中の複合部品の表面にあるFOD、及び、複合部品において少なくとも何らかの上層の下側にあるFODを検出するシステム100が示されている。シ
ステム100は、複合繊維の糸まり(複合部品のレイアップ中に形成されるタイプの異物)、並びに、捩れ、折れ、トウの粘着不良、しわ及びブリッジングなど、レイアップ中に発生しうるその他のタイプのレイアップ異常も検出可能である。システム100は、熱(赤外)励起源110と、これに関連づけられているとともに、部材130上に所定距離離間して配置された赤外線カメラ120と、を含む。部材130は、例えば、複合材レイアップ機におけるオーバーヘッド式の検査ガントリの一部であってもよい。熱(赤外)励起源110は、赤外線エネルギー115のビームをワーク(workpiece)140(例えば、
製造中の複合部品)に向けて誘導する。熱(赤外)励起源110は、ワーク140から固定の距離、例えば、20フィート上方に設置されている。赤外線カメラ120は、部材130がワーク140の上方を矢印150で示す方向に移動するのに伴って、ワーク140をスキャンし、ワークから放出される赤外線エネルギーに基づいて、分析用の情報を出力する。好ましくは、部材130は、ワーク140の上方を一定の速度で移動する。この速度は、120インチ/秒のような高速の場合もあるが、一般的には、1秒当たり50インチと100インチの間である。コントローラ170は、(例えば、ワーク140のスキャンの開始時などに)熱(赤外)励起源110を起動するように接続されているとともに、赤外線カメラ120により生成された情報を受信するように接続されている。コントローラ170は、ユーザ端末180(簡易な状態表示器の場合もある)及びレイアップ機コントローラ160にも接続されており、システム100の動作及び部材130の移動をレイアップ機の動作と連動させる。
【0024】
さらに別の実施形態では、赤外線カメラ120は、放射分析赤外線カメラ(radiometric infrared camera)であってもよく、コントローラ170は、部材130がワーク14
0上方を移動する間、赤外線カメラ120から提供される情報に基づいて、テープ(上層)及び基板(内層面)の温度をリアルタイムで提供するよう構成されていてもよい。
【0025】
代替の実施形態では、部材130の位置が固定であり、ワーク140が可動プラットフォームに搭載されていてもよい。プラットフォームの移動によってワーク140が部材130の下方を移動するのに伴って、赤外線カメラ120はワーク140の全長をスキャンすることができる。
【0026】
コントローラ170は、赤外線カメラ120により生成された情報を分析し、放射熱エネルギーレベルの差に基づいて、層下側や表面のFODやその他の欠陥の有無を判定するよう構成されている。層下側のFOD、表面のFOD、又は、その他のタイプの欠陥が検出されれば、修復対応に関するメッセージをユーザ端末180経由で提供することもできる。修復対応としては、例えば、表面FODを手作業で除去すること、追って修復作業を行うために、層下側のFODやその他の欠陥の位置に印(notation)をつけること、などがある。一例では、図1Bに示すように、製造中の複合部品190は、表面FOD191を含み、このFODは、製造中の複合部品190と表面FOD191との放出赤外エネルギーの差に基づいて特定可能である。また、別の製造中の複合部品195は、層下側FOD197を含んでおり、このFODは、層下側FOD197の境界周辺部から放出されるエネルギーの差により特定可能である。図においては、この境界周辺部を、白領域196で示している。その他にも、層下側のFODや層下側の欠陥の中には、放出エネルギーの特性が(その境界周辺だけでなく)全体において異なることにより特定可能なものもある。コントローラ170は、赤外線カメラ120からの情報に基づいてその他の情報を導出することもでき、例えば、積層されたテープ同士の重なり及び間隙のリアルタイムの測定値を含む情報を導出することができる。
【0027】
次に、図2Aを参照すると、複合部品201(ワーク)の作製作業を行うための積層セル(lamination cell)200は、第1可動ガントリ203(即ち、部材)に搭載された
レイアップヘッド202を含み、この第1可動ガントリは、支持フレーム204に搭載さ
れている。ワーク201は、長さと幅を有しており、ガントリ203は支持フレーム204に取り付けられている。ガントリ203は、ワーク201の長さ方向に沿って往復移動できるような機構を介して取り付けられているので、製造中の複合部品の作製プロセスにおいて、複合材料をレイアップヘッド202からワークに順次積層することができる。また、積層セル200は、第2可動ガントリ205を有し、このガントリ205も、ワーク201の長さ方向に沿った往復移動を可能にするような機構を介して支持フレーム204に取り付けられている。赤外線カメラ206、及び、これに関連付けられた熱(赤外)励起源(図2Aには示していない)がガントリ205に取り付けられている。図2Aの赤外線カメラ206及び熱(赤外)励起源(図示略)は、図1Aの赤外線カメラ120及び熱(赤外)励起源110に相当し、同じ態様で動作する。具体的には、赤外線カメラ206及び熱(赤外)励起源には、図示していないコントローラが接続されており、このコントローラが、赤外線カメラ206からの情報を処理して、ワーク201における層の下側や表面のFOD又は欠陥を特定する。
【0028】
図2Aの赤外線カメラ206は、ワーク201から上方に一定の距離離間して、部材205(検査ガントリ)に取り付けられており、赤外線カメラ206の特定の画角(field of view)で、ワーク201の特定の固定領域(長さ及び幅を有する領域であり、長さが
部材205の移動方向に平行な領域)を観察することができる。ワーク201の幅が、赤外線カメラ206の画角の範囲よりも広い場合もありうる。そのような場合、ワークの上方を移動する部材に、複数のカメラと各カメラに関連づけられた熱(赤外)励起源とを搭載しておけばよい。例えば、図2Bに示すように、検査ガントリ205に、3台の赤外線カメラ210、211、212を取り付けて、これらカメラ全体の画角に、観察対象のワークの幅全体(ワークの幅は、検査ガントリ205の移動の主方向に直交する)が入るようにできる。設置するカメラの台数は、ワークの幅及びカメラの画角に依存して決まり、カメラ1台(及び、これに関連づけられた熱的励起源)の場合もあれば、4台以上のカメラ(及び、各カメラに関連づけられた熱的励起源)に及ぶ場合もある。
【0029】
あるいは、図2Cに示すように、1台の赤外線カメラ216を利用し、機構217によって、このカメラが検査ガントリ215に沿った横方向(線218で示す)に移動できるようにしてもよい(図示していないが、赤外線カメラ216に関連づけられた熱(赤外)励起源も、カメラと連動して検査ガントリ215に沿って横方向に移動する)。この場合、ワークの上方を通過させてワークの長尺帯領域を撮像し、通過を複数回行って、前回の通過時と次の通過時で各帯領域の一部が重なりあうようにする。
【0030】
最後に、図2Dに示すように、1台の赤外線カメラ221を検査ガントリ220にピボット222を介して取り付けて(線223で示す移動が可能なようにして)利用してもよい。この場合、検査ガントリ220は、ワークの上方を長手方向に一度通過する毎に段階的に移動するようにしてもよい。この段階的な移動と移動の各間に停止期間を設けてカメラ221を往復揺動させて、赤外線カメラ221にワークの幅全体をスキャンさせる。
【0031】
図2Aのシステムは、平坦あるいは概ね平坦なワーク(例えば、複合材の翼部外板)をスキャンするのに有効である。ただし、形成される複合部品の中には、例えば、航空機の翼桁のように、平坦でない面を有する代わりに、平坦な頂部と、平坦な頂部に対して直角な側部とを含む面を有するものも多い。図3を参照して、桁及びその他の非平坦なワークをスキャンするためのシステム300を示す。具体的には、システム300は、角部を有する(angled)検査ガントリ305を(図2Aに示す検査ガントリ205の代わりに)含む。検査ガントリ305には、3台の赤外線カメラ310、320、330が取り付けられている(図3には示していないが、図1に示したように、各カメラは、これに関連づけられた熱(赤外)励起源とともに取り付けられている)。赤外線カメラ310は、検査ガントリ305の角部の頂部に取り付けられており、赤外線カメラ320及び330は検査
ガントリ305の反対側の端部にそれぞれ取り付けられている。このように、赤外線カメラ310は、ワーク(例えば、桁)の頂部平坦面をスキャンし、赤外線カメラ310は、この頂部平坦面に直角なワーク側面の一方をスキャンし、赤外線カメラ330がこの頂部平坦面に直角なワーク側面の他方をスキャンする。システム300は、二次元の(非平坦な)断面を有するワークを一度通過するだけで検査できる。翼桁のように、断面形状において側面部が頂部に対して直角なワークもあるが、頂部に対する角度が90度より小さい側面部を有するワークもある。システム300を用いれば、各カメラ320及び330をワークに向ける角度を調整することで、どちらの場合にも対応できる。
【0032】
図3に示すシステム300では、非平坦なワークを一度の通過で検査するのに3台のカメラ310、320、330が必要であるが、図4に示すシステム400は、カメラ320及び330の代わりに、ミラー420及び430を含む。カメラ310は、その画角にミラー420及び430が入るように配置されている。また、ミラー420及び430の各角度は、非平坦なワークの側面部分がカメラ310の画角に入るように調整されている。赤外線ミラー420、430は、これらミラー420、430が代替する2台の赤外線カメラよりもずっと安価であるので、システム400によれば、図3のシステム300に比べて大幅にコストを削減できる。さらに別の実施形態では、赤外線ミラー420及び430は凸面鏡であってもよい。これにより、より小さな面積のミラーを使っても、非平坦なワークの側面部全体がカメラ310の画角に収まるようにできる。
【0033】
代替の実施形態では、図1に示すシステム100を、テープのレイアップヘッド(例えば、図2Aに示したガントリ203のレイアップヘッド202)上又はその近傍に設置してもよい。これにより、未硬化の(グリーン)テープをリアルタイムに監視して、テープに発生する割れやスジを、テープを基板への接着に先立って特定することができる。具体的には、低G力(G-forces)と適切な設置スペースを有する積層ヘッドの場合、赤外線カメラをテープ積層ヘッド上又はその近傍に設置して、積層ヘッドに設置した赤外線ヒータを利用して、未硬化の(グリーン)テープの温度を上げるようにしてもよい。テープがテープクリール(tape creel)から引き出され次第、圧縮ローラで圧縮される前に、テープの温度が上昇する。これにより、テープは、ベース基板に、即ち、テープ積層ヘッドの直近の移動において積層された最上層の複合材料に接着するのに十分な粘着性を発揮する。この実施形態では、赤外線カメラは、圧縮ローラの真後ろに配置して、ヘッドに搭載したヒータの影響を受けてテープから放出されるエネルギーを監視するようにしてもよい。この実施形態によれば、先に説明した実施形態のように熱的励起源を別個に設ける必要はない。
【0034】
加えて、本開示は、下記の付記による実施形態も包含する。
【0035】
付記1. 複合材レイアップ機により所定の長さ及び所定の幅に形成される複合部品の表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するためのシステムであって、
前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されたガントリと、
前記ガントリに固定された第1熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第1部分に赤外線を誘導するよう構成された第1熱励起源と、
前記第1熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第1赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第1部分をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第1赤外線カメラと、
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラに接続されたコントローラであって、前記第1赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されたコントローラと、を含む、システム。
【0036】
付記2. 前記第1熱励起源は、前記複合部品の前記表面における前記幅全体に赤外線を誘導するよう構成されており、前記第1赤外線カメラは、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅全体をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている、付記1に記載のシステム。
【0037】
付記3. 前記ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源と、
前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第2赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、をさらに含み、
前記コントローラは、前記第2熱励起源及び前記第2赤外線カメラに接続されているとともに、前記第1及び第2赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、付記1又は2のいずれかに記載のシステム。
【0038】
付記4. 前記複合部品の前記表面の前記幅における前記第1部分と、前記複合部品の前記幅における前記第2部分とで、前記複合部品の前記幅全体に相当する、付記3に記載のシステム。
【0039】
付記5. 前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記ガントリに沿った横方向に移動するための機構を介して前記ガントリに固定されている、付記1~4のいずれかに記載のシステム。
【0040】
付記6. 前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、ピボット機構を介して前記ガントリに固定されている、付記5に記載のシステム。
【0041】
付記7. 前記ガントリは、当該ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された平行部材を含む、付記1~6のいずれかに記載のシステム。
【0042】
付記8. 形成される前記複合部品は、平坦又はほぼ平坦である、付記7に記載のシステム。
【0043】
付記9. 前記複合部品は、航空機翼の外板である、付記8に記載のシステム。
【0044】
付記10. 前記ガントリは、当該ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された、角部を有する部材を含む、付記1~9のいずれかに記載のシステム。
【0045】
付記11. 形成される前記複合部品は、中央平坦部分、及び、当該中央平坦部分に対して角度を有する右外側部分及び左外側部分を有し、前記第1部分は、前記中央平坦部分であり、
当該システムは、さらに、前記ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源を含み、前記第2部分は、前記左外側部分に相当し、
当該システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固
定された第2赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、
前記ガントリに固定された第3熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第3部分に赤外線を誘導するよう構成された第3熱励起源と、を含み、前記第3部分は、前記右外側部分に相当し、
当該システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリに固定された第3赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第3部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第3赤外線カメラを含み、
前記コントローラは、前記第2熱励起源、前記第2赤外線カメラ、前記第3熱励起源及び前記第3赤外線カメラに接続されており、前記第1、第2及び第3赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、付記10に記載のシステム。
【0046】
付記12. 前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有し、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、前記第2励起源及び前記第2赤外線カメラは、前記左端部に取り付けられており、前記第3励起源及び前記第3赤外線カメラは、前記右端部に取り付けられている、付記11に記載のシステム。
【0047】
付記13. 形成される前記複合部品は、航空機の翼桁である、付記11~12のいずれかに記載のシステム。
【0048】
付記14. 前記左外側部分及び前記右外側部分は、前記中央平坦部分に対して直角である、前記11~13のいずれかに記載のシステム。
【0049】
付記15. 形成される前記複合部品は、中央平坦部分と、当該複合部品の前記幅に沿って前記中央平坦部分に対して角度を有する左外側部分及び右外側部分と、を有し、前記第1部分は、前記中央平坦部分であり、前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有し、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、当該システムは、さらに、
前記角部を有する部材における前記右端部に取り付けられた第1赤外線ミラーと、
前記角部を有する部材における前記左端部に取り付けられた第2赤外線ミラーと、を含み、
前記第1赤外線カメラの画角は、前記中央平坦部分の幅より広く、前記第1赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第1外側部分に、前記複合部品の前記右外側部分を向けるように取り付けられており、前記第2赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第2外側部分に、前記複合部品の前記左外側部分を向けるように取り付けられている、付記10~14のいずれかに記載のシステム。
【0050】
付記16. 形成される前記複合部品は、航空機の翼桁である、付記15に記載のシステム。
【0051】
付記17. 前記第1赤外線ミラー及び前記第2赤外線ミラーの各々は、凸面鏡である、付記15~16のいずれかに記載のシステム。
【0052】
付記18. 複合材レイアップ機により形成される複合部品の外側層上及び/又は外側層下の異物又は欠陥を検出するためのシステムであって、前記複合部品は、所定の長さ及
び所定の幅を有し、前記複合部品は、中央平坦部分と、当該複合部品の前記幅に沿って前記中央平坦部分に対して角度を有する左外側部分及び右外側部分と、を有し、当該システムは、
前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されたガントリであって、角部を有する形状であって、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有するガントリと、
前記ガントリの前記頂部に固定された第1熱励起源であって、前記複合部品の少なくとも前記中央平坦部分に赤外線を誘導するよう構成された第1熱励起源と、
前記第1熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリの前記頂部に固定された第1赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記中央平坦部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第1赤外線カメラと、
前記ガントリの前記左端部に固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも前記左外側部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源と、
前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリの前記右端部に固定された第2赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記左外側部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、
前記ガントリの前記右端部に固定された第3熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも前記右外側部分に赤外線を誘導するよう構成された第3熱励起源と、
前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記ガントリの前記右端部に固定された第3赤外線カメラであって、前記ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記右外側部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第3赤外線カメラと、を含み、
コントローラは、前記第1熱励起源、前記第1赤外線カメラ、前記第2励起源、前記第2赤外線カメラ、前記第3励起源及び前記第3赤外線カメラに接続されているとともに、前記第1、第2、第3赤外線カメラからの前記スキャン情報を分析して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、システム。
【0053】
付記19. ワークの表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するための方法であって、
中央部に赤外励起源及び赤外線カメラが取り付けられたガントリを、ワークの長さに沿った第1方向に前記ワークの上方を移動させるステップを含み、前記赤外線カメラは、前記赤外励起源から所定の距離離間して取り付けられており、当該方法は、さらに、
前記ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って、前記赤外励起源からの赤外線ビームを前記ワークの前記表面に誘導するステップと、
前記ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って前記ワークの前記表面を前記赤外線カメラでスキャンして、前記ワークの前記表面についてのスキャン情報を検出及び出力するステップと、
前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記ワークの前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するステップと、を含む方法。
【0054】
付記20. 前記赤外線カメラは放射分析カメラであり、さらに、
前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記ワークの上層及び前記ワークの内層の温度情報を提供するステップを含む、付記19に記載の方法。
【0055】
付記21. 複合材レイアップ機により形成される複合部品の表面層上及び/又は表面層下の異物又は欠陥を検出するためのシステムであって、前記複合部品は所定の長さ及び
所定の幅を有し、当該システムは、
前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成されたガントリであって、前記積層部品の前記表面層を形成するためのテープ積層ヘッド及びこれに関連づけられた赤外線ヒータを有するガントリと、
前記赤外線ヒータから所定の距離離間して前記ガントリに固定された第1赤外線カメラであって、前記ガントリが前記部材上方を移動するのに伴って前記表面層をスキャンして、前記スキャンされた表面層についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第1赤外線カメラと、
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラに接続されたコントローラであって、前記第1赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面層上及び/又は前記表面層下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されたコントローラと、を含む、システム。
【0056】
好ましい実施形態及びその様々な側面を用いて、本開示を具体的に図示、説明したが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、各種の変更や変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。添付の請求の範囲は、本明細書に説明した実施形態、上述の変形、及びその均等物を包含すると解釈されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアップヘッドを有する複合材レイアップ機により所定の長さ及び所定の幅に形成される複合部品の表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するためのシステムであって、
支持フレームに沿って移動可能な第1可動ガントリであって、前記レイアップヘッドが搭載された状態にて、前記複合部品の上方を、当該複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に移動するよう構成された第1可動ガントリと、
前記支持フレームに沿って移動可能であるとともに、前記複合部品の上方を、前記第1方向に移動するよう構成された第2可動ガントリと、
前記第2可動ガントリに固定された第1熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第1部分に赤外線を誘導するよう構成された第1熱励起源と、
前記第1熱励起源から所定の距離離間して前記第2可動ガントリに固定された第1赤外線カメラであって、前記第2可動ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第1部分をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第1赤外線カメラと、
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラに接続されたシステムコントローラであって、前記第1赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成され、ユーザ端末及び複合材レイアップ機コントローラにも接続されており、前記システムの動作及び前記第2可動ガントリの一部の移動を前記複合材レイアップ機の動作と連動させるシステムコントローラと、を含
前記システムコントローラは、前記スキャン情報を分析して、放射熱エネルギーレベルの差に基づいて、層下側や表面の異物やその他の欠陥の有無を判定し、または前記スキャン情報に基づいて、積層されたテープ同士の重なり及び間隙のリアルタイムの測定値を含む情報などのその他の情報を導出し、
前記ユーザ端末は、状態を表示でき、また前記システムコントローラに対して、例えば、表面の異物を手作業で除去すること、追って修復作業を行うために、層下側の異物やその他の欠陥の位置に印をつけること、などの修復対応に関するメッセージを送信できる、システム。
【請求項2】
前記第1熱励起源は、前記複合部品の前記表面における前記幅全体に赤外線を誘導するよう構成されており、前記第1赤外線カメラは、前記第2可動ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅全体をスキャンし、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2可動ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源と、
前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記第2可動ガントリに固定された第2赤外線カメラであって、前記第2可動ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、をさらに含み、
前記システムコントローラは、前記第2熱励起源及び前記第2赤外線カメラに接続されているとともに、前記第1及び第2赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、請求項1又は2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記複合部品の前記表面の前記幅における前記第1部分と、前記複合部品の前記幅における前記第2部分とで、前記複合部品の前記幅全体に相当する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記第2可動ガントリに沿った横方向に移動するための機構を介して前記第2可動ガントリに固定されている、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記第1熱励起源及び前記第1赤外線カメラは、ピボット機構を介して前記第2可動ガントリに固定されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2可動ガントリは、当該第2可動ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された平行部材を含む、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
形成される前記複合部品は、平坦である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2可動ガントリは、当該第2可動ガントリの前記移動方向に直交する方向に形成される前記複合部品の上方に配置された、角部を有する部材を含む、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
形成される前記複合部品は、中央平坦部分、及び、当該中央平坦部分に対して角度を有する右外側部分及び左外側部分を有し、前記第1部分は、前記中央平坦部分であり、
当該システムは、さらに、前記第2可動ガントリに固定された第2熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第2部分に赤外線を誘導するよう構成された第2熱励起源を含み、前記第2部分は、前記左外側部分に相当し、
当該システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記第2可動ガントリに固定された第2赤外線カメラであって、前記第2可動ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第2部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第2赤外線カメラと、
前記第2可動ガントリに固定された第3熱励起源であって、前記複合部品の前記表面の前記幅における少なくとも第3部分に赤外線を誘導するよう構成された第3熱励起源と、を含み、前記第3部分は、前記右外側部分に相当し、
当該システムは、さらに、前記第2熱励起源から所定の距離離間して前記第2可動ガントリに固定された第3赤外線カメラであって、前記第2可動ガントリが前記表面の上方を移動するのに伴って前記表面の前記幅における少なくとも前記第3部分をスキャンして、前記スキャンされた表面についてのスキャン情報を検出及び出力するよう構成された第3赤外線カメラを含み、
前記システムコントローラは、前記第2熱励起源、前記第2赤外線カメラ、前記第3熱励起源及び前記第3赤外線カメラに接続されており、前記第1、第2及び第3赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有し、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、前記第2励起源及び前記第2赤外線カメラは、前記左端部に取り付けられており、前記第3励起源及び前記第3赤外線カメラは、前記右端部に取り付けられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
形成される前記複合部品は、中央平坦部分と、当該複合部品の前記幅に沿って前記中央平坦部分に対して角度を有する左外側部分及び右外側部分と、を有し、前記第1部分は、前記中央平坦部分であり、前記角部を有する部材は、中央部にある頂部と右端部及び左端部とを有し、前記第1励起源及び前記第1赤外線カメラは、前記頂部に取り付けられており、当該システムは、さらに、
前記角部を有する部材における前記右端部に取り付けられた第1赤外線ミラーと、
前記角部を有する部材における前記左端部に取り付けられた第2赤外線ミラーと、を含み、
前記第1赤外線カメラの画角は、前記中央平坦部分の幅より広く、前記第1赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第1外側部分に、前記複合部品の前記右外側部分を向けるように取り付けられており、前記第2赤外線ミラーは、前記第1赤外線カメラの前記画角における第2外側部分に、前記複合部品の前記左外側部分を向けるように取り付けられている、請求項9~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記第1赤外線ミラー及び前記第2赤外線ミラーの各々は、凸面鏡である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
レイアップヘッドによって形成されるワークの表面上及び/又は表面下の異物又は欠陥を検出するための方法であって、
前記レイアップヘッドが搭載されるとともに、支持フレームに沿って移動可能な第1可動ガントリを、複合部品の前記所定の長さに沿った第1方向に前記複合部品の上方にて移動させるステップと、
前記支持フレームに沿って移動可能であるとともに、中央部に赤外励起源及び赤外線カメラが取り付けられた第2可動ガントリを、前記第1方向に前記ワークの上方にて移動させるステップを含み、前記赤外線カメラは、前記赤外励起源から所定の距離離間して取り付けられており、当該方法は、さらに、
前記第2可動ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って、前記赤外励起源からの赤外線ビームを前記ワークの前記表面に誘導するステップと、
前記第2可動ガントリが前記ワークの上方を移動するのに伴って前記ワークの前記表面を前記赤外線カメラでスキャンして、前記ワークの前記表面についてのスキャン情報を検出及び出力するステップと、
前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記ワークの前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するステップと、を含み、
その際に、システムコントローラが、前記赤外励起源及び前記赤外線カメラに接続され、前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記表面上及び/又は前記表面下に位置する異物又は欠陥を特定するよう構成され、ユーザ端末及び複合材レイアップ機コントローラにも接続されており、前記赤外線カメラの動作及び前記第2可動ガントリの一部の移動を前記レイアップヘッドの動作と連動させ、
前記システムコントローラは、前記スキャン情報を分析して、放射熱エネルギーレベルの差に基づいて、層下側や表面の異物やその他の欠陥の有無を判定し、または前記スキャン情報に基づいて、積層されたテープ同士の重なり及び間隙のリアルタイムの測定値を含む情報などのその他の情報を導出し、
前記ユーザ端末は、状態を表示でき、また前記システムコントローラに対して、例えば、表面の異物を手作業で除去すること、追って修復作業を行うために、層下側の異物やその他の欠陥の位置に印をつけること、などの修復対応に関するメッセージを送信できる、方法。
【請求項15】
前記赤外線カメラからの前記スキャン情報を処理して、前記複合部品の上層及び前記複合部品の内層の温度情報を提供するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】