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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042034
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】改善された快適性を有する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/537 20060101AFI20240319BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61F13/537 310
A61F13/537 210
A61F13/537 400
A61F13/511 300
A61F13/511 100
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009665
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2021557958の分割
【原出願日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】62/829,280
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,725
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/946,738
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/832,270
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】フェデリカ、デンティ
(72)【発明者】
【氏名】アリサ、チェルネンカヤ
(72)【発明者】
【氏名】エツギ、ケツェリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、エイ.ビアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ、チェチェット
(72)【発明者】
【氏名】イムケアンナ、ホーン
(72)【発明者】
【氏名】モニーク、フェルヤンス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】弾力性、柔らかさ、及び/又は乾燥状態の改善によって、快適性が向上し、更に、所望の感触の特性と適切な配置及び/又は乾燥状態とのバランスのとれた吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品は、液体透過性のトップシートと、トップシート12に少なくとも外周で接合されたバックシートと、当該トップシート12と当該バックシートとの間に配置された吸収性コアと、を更に有する。吸収性物品は、約40gsm~約65gsmの坪量を有する一体型不織布の流体管理層と、10mg以下の尿の標準湿潤値を有することを更に含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
液体透過性のトップシートと、
前記トップシートに少なくとも外周で接合されたバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、
40gsm~65gsmの坪量を有する一体型不織布の流体管理層と、
10mg以下の尿の標準再湿潤値と、
を有する、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品がライナーである、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
尿の瞬間再湿潤値が4mg以下であり、前記吸収性コアが、少なくとも150gsmの坪量を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートにはフィルムがない、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記トップシートが不織布を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記トップシートが、複数の開口部及び複数の凹部を有するエアスルー結合不織布を含む、請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記流体管理層が、複数の吸収性繊維、複数の弾性繊維、及び複数の剛化繊維を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記流体管理層が、10重量%~60%重量の吸収性繊維を含む、請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記流体管理層が、15重量%~70重量%の弾性繊維を含む、請求項7又は8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
325gF以上の湿潤CDバンチ圧縮を更に有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
50%以上、又はより好ましくは52%以上のCDバンチ圧縮回復率を更に有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
第1のz方向に増加する多孔度勾配を更に有し、前記第1のz方向は、前記バックシートから前記トップシートに向かって延びる、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記トップシートの多孔度が、前記流体管理層よりも5%~20%大きい、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記流体管理層が、水流交絡又はニードルパンチによって一体化されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
少なくとも74%のZ圧縮回復率を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体管理層を有する使い捨て吸収性物品、より具体的には使い捨て婦人衛生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性生理用物品は、衛生目的で様々な体液を収集するために使用されている。例えば、月経液及び失禁時の尿を含む排出物を受容して封じ込めるために、通常パンティライナーが女性によって使用されている。消費者は多くの場合、長期にわたり、また、毎日、さもなくば頻繁に吸収性ライナーを着用することが望ましいと認識している。しかしながら、長時間の着用は不快である場合がある。実際には、着用者は多くの場合、物品が所望の位置に留まることができないと認識している。物品の縁部のうちの1つ以上が変形又はバンチすることがあり、それにより、縁部又は更にはパンティ固定用接着剤が皮膚に露出するようになり、刺激及び/又は擦れを引き起こす場合がある。場合によっては、物品は、横方向内向きに変形し、及び/又は皺を形成することがあり、不快なことに、ライナーが着用者の生殖器領域内に配置される原因となる。このバンチング効果は、スポーツに従事する着用者又は体格指数が高い着用者など、着用中に高い摩擦又は圧力をかける着用者に対して、特に顕著である。更に、消費者は、典型的には、トップシート内においてより柔らかい材料を好むが、より柔らかい材料は、多くの場合に形状適合性が高く、したがって望ましくないバンチングを高める。
【0003】
別の一般的な不具合は、着用者に面するトップシート上の乾燥状態が損なわれることである。吸収性コアは、流体を捕まえて閉じ込めるように設計されているが、ライナー内のコアは、しばしば吸収性が不十分であり、かつ/又は着用中にかかる圧縮下でトップシートが再湿潤する。製造業者は、流体の再表面化を防止することができる不透過性フィルム層をトップシートの下に組み込むことによって、そのような問題を回避しようと努めてきた。しかしながら、このようなフィルムは、着用者に暑く感じさせ、汗ばむ原因となることがある。一方、より柔らかく、かつ/又は通気性材料がより高い材料は、流体を表面の下に維持できない傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、弾力性、柔らかさ、及び/又は乾燥状態の改善によって、快適性が向上した吸収性物品が提供されることが依然、求められている。更に、所望の感触の特性と適切な配置及び/又は乾燥状態とのバランスのとれた吸収性物品が提供されることが求められている。また、コスト効率が高く効果的な方法で所望の特性が提供されることも求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
吸収性物品は、液体透過性のトップシートと、トップシートに少なくとも外周で接合されたバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える。吸収性物品はまた、約40gsm~約65gsmの坪量を有する一体型不織布の流体管理層を備える。吸収性物品は、10mg以下の尿の標準再湿潤を呈する。吸収性物品はパンティライナーを含んでもよい。
【0006】
ライナーは、液体透過性のトップシートと、トップシートに少なくとも外周で接合されたバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える。ライナーは、一体型不織布の流体管理層を更に備える。ライナーは、第1のz方向に増加する多孔度勾配を有し、第1のz方向は、バックシートからトップシートに向かって延びる。
【0007】
ライナーは、液体透過性のトップシートと、トップシートに少なくとも外周で接合されたバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える。吸収性コアは、少なくとも150gsmの坪量を有するエアレイドコアを備える。ライナーは、約40gsm~約65gsmの坪量を有する一体型の不布流体管理層を更に備える。ライナーは、少なくとも約325gfの湿潤CDバンチ圧縮を呈する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ライナーの形態の吸収性物品の非例示的な例の斜視図である。
図2図1の吸収性物品の分解図である。
図3】本開示による例示的なマクロ変形部の概略断面図である。
図4】本開示によるマクロ変形部を有する例示的なウェブの概略図である。
図5】本開示の流体管理層を構築するために利用することができるプロセスの概略図である。
図6】本明細書に開示されるバンチ圧縮方法の試験装置の概略図である。
図7A】本明細書に開示されるバンチ圧縮方法の試験装置の概略図である。
図7B】本明細書に開示されるバンチ圧縮方法の試験装置の概略図である。
図8A】本明細書に開示されるバンチ圧縮方法の代表的な力/伸長曲線を示すグラフである。
図8B】本明細書に開示されるバンチ圧縮方法の代表的な力/伸長曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
概要
本明細書で使用する場合、以下の用語は下記に指定される意味を有するものとする。
「吸収性物品」とは、液体物を吸収し、かつ/又は閉じ込める着用可能な装置を指し、より詳細には、着用者の身体と接して、又は近接して配置されて、身体から排出される様々な排出物を吸収して閉じ込める装置を指す。吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用下着(例えば、ライナー、パッド、及びブリーフ)、及び/又は婦人衛生物品を挙げることができる。
【0010】
「デザイン要素」とは、本明細書で使用するとき、形態の大きさ又は向きにかかわらず、区別できる別個の形態を視覚的に作り出す形状又は形状の組み合わせを意味する。デザイン要素は、商標、ロゴ、標章、記号、意匠、図形、フォント、レタリング、紋章又は類似の識別マークが挙げられるがこれらに限定されない、製品の製造業者、小売業者、卸業者、及び/又はブランドを区別する、特定する、又は表すために使用することができる物体、キャラクター表現、単語、色、形状、又は他の表示を意味する。デザイン要素及び/又はデザイン要素の組み合わせは、文字、単語、及び/又は花、蝶、ハート、文字表現などのグラフィックを含み得る。デザイン要素及び/又はデザイン要素の組み合わせは、着用者の周りへの物品の配置及び/又はフィット感に関する指針又は指示を提供する指示的表示を含み得る。
【0011】
「婦人衛生物品」は、月経及び/又は失禁の制御のために女性が着用する使い捨て吸収性物品を指す。これらの物品は、一般に、パッド、パンティライナー/ライナー、生理用ナプキン、又は生理用タオルと呼ばれる。これらの物品は、一般的に、概ね平坦な表面を有し、典型的には、ユーザーの下着によってユーザーの股部(すなわち陰部)に隣接して定位置に保持される。婦人衛生物品は、ユーザーの下着に配置され、接着剤又は他の接合手段によって固定され得る。
【0012】
用語「一体化された」とは、不織布材料の繊維が正及び/又は負のZ方向(不織布材料の厚さの方向)に撚り合わされ、交絡され、及び/又は押し込まれ/引き出された不織布材料の繊維を記述して使用される。不織布ウェブの繊維を一体化するためのいくつかの例示的なプロセスとしては、スパンレース法及びニードルパンチ法が挙げられる。スパンレース法は、複数の高圧水ジェットを使用して繊維を交絡させる。ニードルパンチ法は、繊維を押し込み、かつ/又は引き出すことで繊維を不織布中の他の繊維と交絡させるために針を使用する。
【0013】
用語「マクロ変形部」は、見る人の目とウェブとの間の垂直距離が約12インチ(約30cm)である場合に、20/20の視力を有する人が容易に見ることができ、かつはっきりと識別できる構造的特徴又は要素を指す。明確にするために、マクロ変形部は、具体的に、エンボス加工部を除外する。マクロ変形部とエンボス加工部との違いについては、本明細書で更に説明する。
【0014】
「長手」方向は、最大直線寸法と平行に延びる方向である。本明細書で使用するとき、物品又はその構成要素の「長さ」は、一般に、長手方向の大きさ/距離を指す。
【0015】
「横」又は「横断」方向は、長手方向に直交する、すなわち、物品の大部分及び長手方向軸と同一平面内にある方向であり、横断方向は横軸と平行である。本明細書で使用するとき、物品又はその構成要素の「幅」は、物品の長手方向に直交する寸法の大きさ/距離を指す。
【0016】
「フィルム」とはシート状材料であって、材料の長さ及び幅が材料の厚さを大幅に超える(例えば、10倍、50倍又は更には1000倍)ものを意味する。フィルムは、典型的には液体不透過性であるが、通気性であるように構成され得る。
【0017】
「Z方向」は、長手方向及び横断方向の両方に直交する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「機械方向(Machine Direction)」又は「MD」は、不織布製造機械及び/又は吸収性物品製品の製造装置を通るカード処理されたステープル繊維不織布の流れと平行な方向を意味する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「機械横方向(Cross Machine Direction)」又は「CD」は、カード処理されたステープル繊維不織布の製造機械、及び/又は吸収性物品製品の製造装置の幅と平行で、機械方向に垂直な方向を意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「親水性」及び「疎水性」は、材料表面上の水の接触角に対して当該技術分野において十分確立された意味を有する。したがって、約90度を超える水接触角を有する材料は、疎水性とみなされ、約90度未満の水接触角を有する材料は、親水性とみなされる。疎水性である組成物が材料の表面上での水の接触角を増大させるのに対して、親水性である組成物は、材料の表面上での水の接触角を減少させる。上記にかかわらず、材料と組成物間、2つの材料間、及び/又は、2つの組成物間の相対疎水性又は親水性への言及は、その材料又は組成物が疎水性又は親水性であることを意味しない。例えば、組成物は、材料よりも疎水性であってよい。この場合、組成物及び材料がいずれも疎水性でなくてもよい。しかしながら、組成物が呈する接触角は、材料のそれよりも大きい。別の例として、組成物は、材料よりも親水性であってよい。この場合、組成物及び材料がいずれも親水性でなくてもよい。しかしながら、組成物が呈する接触角は、材料が呈するものよりも小さい。
【0021】
本明細書で使用するとき、「不織布ウェブ」という用語は、個々の繊維又は糸が入り組んではいるものの、ランダムに配向された繊維を典型的には有しない織布又は編布におけるような繰り返しパターンではない構造を有するウェブのことを指す。不織布ウェブ又は布地は、例えば、メルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセス、水流交絡、エアレイイング、並びにカード処理熱結合及びカード処理エアスルー結合を含む結合カード処理ウェブプロセスなどの多くのプロセスから形成されてきた。
【0022】
吸収性物品
図1は、典型的なパンティライナー(「ライナー」)構成における吸収性物品10の着用者対向表面8を示す。本発明の物品は、通常、概ね平坦な着用者対向表面を有するが、ユーザーの身体に適合するように湾曲してもよく、一般に、ユーザーの解剖学的構造に適応するように可撓性である。物品は、長手方向側部101、102及び横方向端部103、104を含み、これらはいずれも直線状であっても、あるいは湾曲していてもよい。
【0023】
本発明の物品の寸法は、当該技術分野で既知のような意図される使用に適応される。例えば、ライナーは、一般に、パッドよりも小さくコンパクトである。吸収性物品の厚さは、通常、約2mm~約50mmの範囲である。薄型生理用ナプキン物品は、約6mm未満、又は更には約4mm未満の厚さを有することができる。
【0024】
物品の長手方向中心線Lに沿った物品の長さは、典型的には、10cm~25cm、より典型的には12cm~21cmであり得る。横断方向中心線に沿った物品の幅は、典型的には、3~10cm、より典型的には4~7cmであり得る。典型的には、ライナーの身体対向面の総表面積は、50~150cmであり、パッドの身体対向面の総表面積は60~200cmであり、おむつの身体対向面の総表面積は更に大きくなる。通常のライナーの典型的な表面積は、約80cmであり得る。当技術分野で既知であるように、これらの及び他のタイプの吸収性生理用物品の通常の寸法は、意図される用途に応じて異なり得るので、これらの寸法はすべて、示唆的なものにすぎず、限定的なものではない。
【0025】
吸収性衛生物品は、通常、長手方向中心線に対して実質的に対称であり、長手方向中心線は、(エンボス加工又は印刷パターンなどの装飾にかかわらず)物品を2つの実質的に対称な半体に分割する。しかしながら、このことが好ましいが、必須ではなく、例えば、互いに対してオフセットしているウィングを有する婦人用物品を使用することが提案されてきた。
【0026】
図2は、図1の例示的な実施形態の異なる構成要素又は層を示す。本発明の物品は、着用者対向表面8の少なくとも一部分を形成するトップシート12と、衣類対向面9の少なくとも一部分を形成するバックシート14と、トップシート12とバックシート14との間に位置する吸収性コア15と、を備える。トップシートの着用者対向面の長手方向中心線の両側に、2つのバリアストリップ18を配置してもよい。バリアストリップ18は、不織布材料、より具体的には疎水性不織布材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ストリップはエンボス加工されている。バリアストリップ18は、物品の外周部の一部分と同一の広がりを持つ外側縁部を更に備えてもよい。疎水性不織布材料は、大抵のプラスチック材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、並びに(「bico」、すなわち2成分繊維におけるような)それらの混合物及び組み合わせの場合と同様に、更なる処理なしに本質的に疎水性であることが好ましい場合がある。好適な疎水性材料は、コアとしてのポリプロピレン(PP)及びシースとしてのポリエチレン(PE)から作製された2成分繊維を含むタイプのものであってもよい。このようなポリマーは、例えば、Pegas a.s(Czech Republic)から入手可能であり、ポリマー比:PPコア70%/PEシース30%である。この材料は、2.0デニールの繊維デニール(長さ9000メートルの繊維の一本鎖の重量)及び約18~20マイクロメートルの繊維直径を有する。ポリマー(PP、PE)は本質的に疎水性であるので、添加剤及び/又は処理は必要とされない。本質的に疎水性ではない他の不織布材料は、例えば、疎水性成分を含む組成物の適用によって処理され得る。バリアストリップは、少なくとも約10gsm、又は少なくとも約18gsm、又は約10gsm~約25gsm、又は約15gsm~約18gsmの坪量を有してもよく、各範囲についてその範囲内の1gsm刻みに列挙する。
【0027】
物品は、流体管理層20、並びに任意選択的に、二次バックシート23及び/又は剥離紙24を更に含む。
【0028】
これらの及び他の特徴について以下に更に説明する。
【0029】
トップシート
物品は、液体透過性であり得るトップシート12を備える。トップシートは、不織布を備え得る。不織布は、1つの繊維層で構成されてもよく、あるいは、同じ組成又は異なる組成を有し得る複数の不織布層の積層体(例えば、スパンボンド-メルトブローン積層体)であってもよい。様々な実施形態では、トップシートは、カード処理されたエアスルー結合不織布である。不織布は、疎水性繊維と親水性繊維との混合物を含み得る。いくつかの非限定的な例では、不織布は、繊維の重量の少なくとも約50%、又は少なくとも約60%の親水性繊維を含む。加えて、又は代替的に、不織布は、繊維の重量の少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%の疎水性繊維を含み得る。不織布は、大部分の親水性繊維と、わずかな部分の疎水性繊維とを含み得る。例えば、不織布は、約60%の親水性繊維と、約40%の疎水性繊維とを含み得る。繊維は、約1.2~約3.5デニール、又は約1.3~約3デニール、又は約2デニールの径を有してもよく、当該範囲についてこの範囲内の0.1刻みに列挙する。繊維は、ポリエチレン(PE)及び/又はポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマー材料から形成されてもよい。繊維は、2成分繊維の形態であってもよい。非限定的な例では、2成分繊維は、コアとしてのPETをシースとしての別のポリマーと組み合わせて含み得る。更なる非限定的な例では、PEを、PETコアと組み合わせてシースとして使用してもよい。好適な繊維は、少なくとも約30mm、又は少なくとも約40mm、又は少なくとも約50mm、又は最大約55mm、又は約30~約55mm、又は約35~約52mmの長さを有するステープル繊維であってもよく、当該範囲についてこの範囲内の1mm刻みに列挙する。非限定的な例では、ステープル繊維は、約38mmの長さを有してもよい。
【0030】
トップシートは、有孔であってよい。開口部は、約0.5mm~約2mmの直径を有してもよく、当該範囲についてこの範囲内の0.1mm毎に列挙する。
【0031】
トップシートは、少なくとも約18gsm、又は少なくとも約22gsm、又は少なくとも約24gsm、又は最大約60gsm、又は最大約50gsm、又は約18gsm~約60gsmの坪量を有してもよく、当該範囲についてこの範囲内の1gsm刻みに列挙する。
【0032】
トップシートにフィルムがなくてもよい。婦人用ケア衛生製品のための既知のトップシートは、典型的には、不織布基材と組み合わせて、ハイドロフォーミングされたフィルムなどのフィルムを含む。フィルムは、液体の再表面化及び着用者への接触を防止することができる。本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載の特性を有するトップシートは、特に後述する流体管理層と組み合わせて、フィルムを備えるトップシートを有する物品と同じ程度で又はより良好に、再湿潤を効果的に防止できることを見出した。理論に束縛されるものではないが、高坪量/低密度材料及びマクロ変形部(以下で論じる)が、流体を迅速に捕捉するのに十分な開放度を可能にする一方で、疎水性繊維と親水性繊維との相対的な混合は、液体汚物を閉じ込め、したがって再湿潤を防止する助けとなると考えられる。トップシートの材料は、以下で論じる実施形態による流体管理層との組み合わせにおいて更に効率的である。
【0033】
図3及び図4を参照すると、トップシートは、複数のマクロ変形部50と、隣接するマクロ変形部50間のランド領域52とを含んでもよい。マクロ変形部50は個別であり、任意の好適な構成であってもよい。マクロ変形部は、物品の着用者対向表面8となり得るトップシートの第1の表面30から離れるZ方向に延びることができる。マクロ変形部50のそれぞれは、遠位端54、及び遠位端54と第1の表面30とを接続する側壁部56を備える。遠位端54は、トップシートの第2の表面31に隣接して配置され得る。しかしながら、側壁部56は、トップシートの第1の表面30と第2の表面31との間に延びるように構成され得る。
【0034】
遠位端54は閉じていてもよく、それによって凹部60が形成される。遠位端54は開いていてもよく、あるいは遠位端54は部分的に開いていてもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。そのような端部が開いているマクロ変形部50は、材料ウェブの1つ以上の層を貫通する開口部62であってもよい。開口部は、約0.5mm~約2mmの直径を有してもよく、当該範囲についてこの範囲内の0.1mm毎に列挙する。
【0035】
マクロ変形部50の好適な構成としては、円形、楕円形、砂時計形状、星形状、ダイヤ形、多角形など、及びこれらの組み合わせを含む、平面構成を有する特徴が挙げられるが、これらに限られない。本明細書において「多角形の形状」という用語は、角に丸みをつけた多角形を含むように意図されている。多角形の形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形、又は台形が挙げられるが、それらに限定されない。マクロ変形部50は、交互のパターンで配置されてもよい。いくつかの形態では、マクロ変形部50は、矩形、正方形、及び菱形などの実質的に四辺形の平面図を有する。形状がうまく入れ子になり、隣接するマクロ変形部50間のランド領域52を最小化することができるため、菱形形状のマクロ変形部50を交互の配列として与えることができる。
【0036】
マクロ変形部50は、長軸と、長軸に垂直な短軸とを有してもよい。マクロ変形部50の長軸は、材料ウェブのMDと実質的に平行であってもよい。マクロ変形部50の長軸は、材料ウェブのCDと実質的に平行であってもよい。あるいは、マクロ変形部50の長軸は、材料ウェブのMDに対して一定の角度で配向されてもよい。「長軸」及び「短軸」という用語を用いてはいるが、長軸と短軸とが同じ長さである場合もあるように意図されている。
【0037】
長軸と短軸との比は、約1:1、約1.1:1超、約1.2:1超、約1.4:1超とすることができ、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を含む。マクロ変形部は、約0.5mm超、約0.8mm超、約1.0mm超、約1.2mm超、1.5mm超、約2.0mm未満の長軸を有してもよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を含む。マクロ変形部は、0.4mm超、0.5mm超、0.7mm超、0.9mm超、1.0mm超、約1.5mm未満の短軸を有してもよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を含む。
【0038】
いくつかの形態では、個々のマクロ変形部50の平面図の面積は、約0.25mm、0.5mm、1mm、5mm、10mm、又は15mm以上であってもよい。単位面積当たりのマクロ変形部50の数、すなわちマクロ変形部50の密度は、約2~60per/cmで変動され得る。材料ウェブは、1cm当たり約2~約60個、又は約5~約50個、又は約10~約40個の密度でマクロ変形部50を備えてもよい。一例として、第1のゾーン及び/又は標的領域内に、少なくとも30個のマクロ変形部/cmの材料ウェブが存在し得る。一般に、マクロ変形部の密度は、本開示のウェブの領域全体にわたって均一である必要はないが、マクロ変形部50は、ウェブのある特定の領域内にのみ存在し得る。加えて、又は代替的に、異なるタイプのマクロ変形部を、ウェブの異なる領域に配置してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の複数のマクロ変形部70は、第1のゾーン内の凹部60(すなわち、閉じている遠位端で形成されている)であってもよい。第1の複数は、図4に示すように、花などのパターン又はデザイン要素として配置されてもよい。トップシートは、第2のゾーン内に第2の複数のマクロ変形部72を更に含むことができる。第2の複数のうちの1つ以上は、開いている端部を備えてもよく、それにより、開口部62の形態となる。第1のゾーンと第2のゾーンとは、重なっていなくてもよい。第1のゾーンと第2のゾーンとは、開口部が凹部の集団を包囲し、あるいは第1の複数のマクロ変形部が第2の複数のマクロ変形部と混在するよう、図4に示されるように散在させることができる。
【0040】
透過率を向上させるために、開口部をトップシートの長さ及び/又は幅にわたって配置してもよい。例えば、開口部の列が、トップシートの長さ及び/又は幅にわたって延びていてもよい。加えて、又は代替的に、凹部60は、トップシートの長さ及び/又は幅にわたって延びていてもよく、それにより、空気透過率を向上させることもできる。図4のような構成では、着用者に柔らかい感触を提供する凹部が流体捕捉を行う開口部に近接しているため、この構成は、流体汚物点の周囲に局所化され得る2つの利点を提供する。更に、マクロ変形部がトップシートのすべて又は一部分にわたって配置される場合、2つの利点は、当該部分又はトップシート全体にわたって生じる。
【0041】
上記に加えて、理論に束縛されるものではないが、トップシート上のマクロ変形部は、着用者の皮膚へのトップシートの接触点を減らし、したがって、着用中に製品が皮膚に張り付く可能性を低減すると考えられる。透過率を向上させ、かつ、接触及び粘着の可能性を低減させると、着用者に快適で空気のような感触の製品が提供される。
【0042】
マクロ変形部は、任意の好適なプロセスによって形成することができる。例示的なプロセスが、米国特許出願第16/547843号に開示されている。例えば、マクロ変形部の遠位端が開いている場合、真空成形、ハイドロフォーミング、ホットピン開孔形成などが利用され得る。
【0043】
本明細書に記載されるマクロ変形部は、エンボス加工部とは区別される点は特記に値する。エンボス加工部は、典型的には2つの対向するローラーの間での材料ウェブの圧縮を伴う。一般に、一方のロールは、平滑なロールと係合する雄型要素を備える。対向するローラーの間をウェブが通過すると、ウェブは、雄型要素と平滑ローラーとの間で圧縮される。
【0044】
対照的に、マクロ変形部は、圧縮ではなく延伸によって変形される。雄型ロール及び雌型ロールを利用して、材料ウェブ(例えば、本明細書のトップシートの前駆体材料)を延伸する。雄型ロールと雌型ロールとの間を材料ウェブが通過すると、雄型要素は、材料ウェブを雌型要素に押し込む。雄型要素によって材料ウェブを雌型要素に押し込むことにより、雄型要素に対応する複数の別個の位置で材料ウェブが延伸される。一般に、本開示のマクロ変形部は、同じサイズのエンボス構造よりも高い空気透過率を有することになる。
【0045】
上記に加えて、ロールに、歯などの別個の突起部のような雄型要素、ロールの表面内の別個の空隙などの凹部などの雌型要素、又はこれらの任意の組み合わせを含む形成要素を与えることもできる。雌型要素は、下面を有するもの(凹み若しくはキャビティと称され得るもの)であってもよく、又はそれらは、開口部(ロールの表面の貫通穴)の形態であってもよい。いくつかの形態では、成形ユニットのロールなどの部材上の形成要素は、同じ一般的なタイプのものを備えてもよい(つまり、対向する構成要素は両方とも、構成要素の上に雄型要素及び雌型要素を有しても、又は雄型要素と雌型要素との組み合わせを有してもよい)。成形要素は、任意の好適な構成を有してもよい。本明細書に記載されるマクロ変形部の形成において有用な雄型要素の1つのタイプは、例えば八角形、六角形、及び四角形のような概ね多角形の形状の基部を有し、ある断面長さと断面幅とを有する歯である。歯は、ウェブ内で、巨視的構造を形成するための歯の断面長及び歯の断面幅の任意の好適なアスペクト比を有することができる。例えば、歯は、概ね六角形の形状の基部又は概ね四角形の形状の基部を有することができる。雄型要素は、平坦な、丸みのある、又は鋭くとがった先端部を有することができる。一般に、より鋭利な雄型要素は、マクロ変形部の遠位端内に開口部を作り出す。係合深さが小さくなると、マクロ変形部の遠位端の延伸を最小限に抑えることができ、閉じている又はあまり開いていない遠位端を作り出すことができる。加えて、丸みのある雄型要素又はより鋭利な雄型要素は、マクロ変形部の遠位端からフィラメント/繊維を変位させるのを助けることができ、これは、流体捕捉の利点になると考えられる。
【0046】
ある特定の形態では、雌型要素の形状は、任意の噛み合う雄型要素の形状とは異なり得る。いくつかの形態では、雌型要素は、1つ以上の雄型要素と噛み合うように構成され得る。
【0047】
マクロ変形部の形成中、材料ウェブは、ヒートセットによって安定化することができる。ヒートセットは、ウェブ材料の軟化点又はその近くで、加熱されたロールの雄型要素上に材料ウェブを載せることによって実施されてもよい。ヒートセット温度は、好ましくは、不織布材料の軟化点温度の±5℃の範囲であり、2成分繊維を有する不織布の場合、ヒートセット温度は、シース材料の軟化点温度の±5℃の範囲のプリアンブルである。加えて、又は代替的に、雌型要素を有するロールを加熱してもよい。ロールを、熱油入ロール又は電気加熱ロールを組み込むことによるなど、当該技術分野において既知の手段によって加熱することができる。あるいは、ロールの両方又はいずれかを、表面対流によって、又は表面放射によって加熱してもよい。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「軟化点温度」は、材料(すなわち、2成分繊維材料のシース)の融点の70%~99%である材料温度を表す。例えば、材料が、合金であるか、複合材であるか、あるいは純元素であるかにかかわらず、100℃の規定の融点を有する場合、材料の軟化点温度は70℃~99℃である。
【0049】
特定の実施形態では、PE(シース)/PET(コア)から形成される、又は部分的にPETから形成される2成分繊維は、PETポリマーが良好な回復特性を有さず、そのためマクロ変形部を容易に形成することから好ましい。ポリマーは、容易に適合する能力にもかかわらず、着用中に圧縮下でその形状を維持する弾性繊維を生じる。
【0050】
ゾーンが混在した雄型要素と雌型要素とを含むロールを形成することができる。例えば、第1のロールの第1のゾーンは、雄型要素と雌型要素の両方で構成されてもよく、これらの雄型要素及び雌型要素は、第2のロール上の第1のゾーンの対応する雌型要素及び雄型要素と係合する。第2のゾーン及び第3のゾーンは、同様に構成され得る。ロールのこの構成は、例えば、内部の流体捕捉のための標的ゾーン及びより良好な感触(例えば、柔らかいクッションのような感触)のための別の標的ゾーンを提供することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、トップシートはエンボス加工されててもよい。
【0052】
流体管理層
流体管理層は、吸収性コアとトップシートとの間に配置される。図2に戻ると、流体管理層20は、対向する端縁部22A及び22Bを備え、これらは、横軸Tと概ね平行に延びてもよく、真っ直ぐであっても、あるいは湾曲していてもよい。また、流体管理層20は、側縁部21A及び21Bを備え、これらは、長手方向軸Lと概ね平行に延びてもよく、真っ直ぐであっても、あるいは湾曲していてもよい。本開示の流体管理層は、複数のカード処理された一体型繊維を含む。流体管理層は、より柔らかい感触の物品へと変換することができる高いキャリパを吸収性物品に提供する。加えて、本開示の流体管理層は、現在入手可能な吸収性物品の弾力性よりも高い弾力性を吸収性物品に提供することができる。典型的には、弾力性と柔らかさとのトレードオフが存在する。より柔らかい材料は、1つ以上の方向における力の作用からその形状を回復させることが困難であり得る。また、弾性材料に関して、その逆が当てはまり得る。吸収性物品の文脈において、弾性材料は、典型的には、力の作用からの良好な回復を呈するが、典型的には、弾性材料は非常に柔らかいものとしては知覚されない。また、多くの吸収性物品が、乾燥時に良好な弾性特性を呈することができる点も特記に値するが、液体汚物を吸収すると、その弾力性は大幅に低下する。本開示の吸収性物品は、乾燥状態と湿潤状態の両方において良好な弾力特性を呈する。
【0053】
柔らかさ及び弾力性の利益に加えて、流体捕捉性及び低い再湿潤性は、本発明の吸収性物品の更なる利点である。流体捕捉速度に関しては、この属性は、ユーザーに乾いていて清潔であると感じさせる点で重要である。吸収性物品がトップシートから液体汚物を排出するのにに長い時間を要する場合、ユーザーは湿っていると感じる場合がある。加えて、流体がトップシート上に長期間留まると、ユーザーは、肌に触れる部分の皮膚が清潔でないように感じることがある。更に、いくつかの月経パッドとは対照的に、ライナーは多くの場合、長期間にわたって着用され、したがって、着用中の圧縮により、ある時点で表面に流体が引き戻されるリスクがある。この場合、着用者は、濡れていると感じ、製品の不具合を感知することになる。本発明の吸収性物品は、上部層からコアへと流体を迅速に脱着するための開放構造、及び流体の再表面化を防止する高いz方向の弾力性に起因して、再湿潤を軽減する。
【0054】
前述したように、流体管理層は、一体化され、カード処理された不織布材料である。本開示の流体管理層は、互いに一体化された繊維である1つ以上のカード処理ウェブを含み得る。カード処理ウェブが1つのみ利用される場合、カード処理ウェブの繊維は一体化される。
【0055】
流体管理層のための多種多様な構成が達成され得る。しかしながら、本開示の流体管理層は、流体の迅速な捕捉を可能とするような十分な開放度を有することが重要である。このことを考慮し、流体管理層を構成するカード処理ウェブは互いに異なるものとすることができる。例えば、カード処理ウェブのうちの1つが、他とは異なる繊維ブレンドを含んでもよい。具体的には、第1のカード処理ウェブが吸収性物品の着用者対向面の最も近くに位置するものと仮定した場合、第1のカード処理ウェブの繊維の選択を、このウェブにより大きな開放度が伴うようなものとすることができる。第2のカード処理ウェブも同様に構成することができる。対照的に、第3のカード処理ウェブを、第1のカード処理ウェブ及び第2のカード処理ウェブの空隙空間から液体汚物を収集し、これらの液体汚物を吸収性コアに効果的に分配するように構成することができる(不均質構成)。あるいは、第1のカード処理ウェブ、第2のカード処理ウェブ、及び第3のカード処理ウェブを同じ構成としてもよい(均質構成)。
【0056】
カード処理ウェブ(単数又は複数)が一体化されると、少なくとも相当の労力及び時間を伴わずに手作業で分離することはできない。各カード処理不織布ウェブは、流体管理層全体に層を形成する。各層は、より大きい流体管理層に一体化された場合であっても、z方向に沿って層の少なくとも一部にわたってその固有の特性を維持することができる。流体管理層は、トリクル/低流動条件について競合するトップシートを通じて流体を「引き込む」毛管吸引を提供することができる。流体管理層はまた、分配機能を提供することで吸収性コアを効率的に利用することによって噴出を封じ込めることができるだけでなく、吸収性コアが流体を受容できるようになるまでの中間的な貯蔵を行うことができる。
【0057】
前述したように、柔らかいクッションのような感触、良好な弾力性、及び流体処理特性を呈する吸収性物品は、本開示によるものである。内部の流体管理層のキャリパが重要である。特に、従来のスパンレースラインによるウェブの典型的なキャリパは、0.03~0.10のキャリパ係数(坪量10gsm当たりのキャリパ)を達成する。対照的に、本開示の流体管理層は、少なくとも0.12mm、より好ましくは少なくとも約0.17mm、又は最も好ましくは約0.2mmのキャリパ係数を呈することができ、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内の任意の値を含む。本開示の流体管理層は、0.12mm~約0.3mm、又はより好ましくは約0.13mm~約0.25mm、又は最も好ましくは約0.15mm~約0.22mmのキャリパ係数を有することができ、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を含む。本開示の流体管理層のキャリパ及びキャリパ係数は、本明細書に開示されるキャリパ及びキャリパ係数試験方法によって決定することができる。
【0058】
本発明者らは、驚くべきことに、キャリパ係数の増大を達成するために、より単純なプロセス経路を利用してスパンレースウェブを製造できることを発見した。一般に、水流交絡ラインを通るウェブ経路は蛇行しており、圧縮応力と引張応力の両方をウェブにかける。この蛇行したウェブ経路は、繊維を交絡させるのに十分な高さの水ジェット圧力を必要とし、後続のウェブ処理に耐えるのに十分な引張強度を作り出す。これらの水ジェットは、ウェブの両面に適用される。引張強度について十分な交絡を作り出すために必要とされるこの追加の水圧は、一般に、所望の流体処理細孔構造を作り出すために必要とされる圧力を超え、結果として得られるウェブのキャリパが有意に低減する。加えて、ウェブは、ウェブが様々な真空ドラム及びロールの周囲に巻き付けられる際に著しい半径方向圧縮及び引張応力を受けるため、追加の水ジェットは層の構成繊維を更に交絡させることができる。更に、これらのウェブは、その後、乾燥機ドラムの周囲に巻き付けられ、追加の圧縮力をかけることができる。しかしながら、本発明者らは、これらのロールの周囲にウェブを巻き付けることにより、ウェブ上での圧縮が生じ、実際には、ウェブ上のキャリパを低減させることを見出した。
【0059】
対照的に、本発明者らは、半径方向圧縮応力/過剰な引張力を低減する簡略化されたウェブ経路を使用すること、及び流体管理層内の繊維を適切に選択することによって、本開示の流体管理層のキャリパを維持できることを発見した。例えば、ロールの使用及び利用される水ジェットの数は、簡略化された経路によって低減され得る。したがって、交絡のレベルは、従来のプロセスによって提供される限り、本明細書に開示される繊維の適切な組み合わせ、例えば熱処理され得る剛化繊維を選択することによって、ウェブ内に十分な引張強度を提供することができる。この場合にもやはり、本明細書に記載される簡略化された経路及び適切な繊維選択により、本開示の流体管理層は、これまで達成できなかったキャリパ係数を達成することが可能になる。
【0060】
加えて、上述の本開示の流体管理層のキャリパ係数は、保管/出荷用にロールに巻かれた材料のキャリパデータから導出した。巻き取り前のキャリパの測定を行ってもよく、これは大幅に高いキャリパ係数を与えると考えられる。しかしながら、このようなキャリパ測定値は、物品になる流体管理層を必ずしも反映していない場合がある。
【0061】
流体管理層は、約20gsm~80gsm、又はより好ましくは35gsm~約75gsm、又は最も好ましくは約40gsm~約65gsm、あるいは約45gsm~約60gsmの坪量を有してもよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を含む。1つの特定の例では、本開示の流体管理層は、約45gsm~約55gsmの坪量を有することができる。本開示の流体管理層の坪量は、本明細書に開示される坪量方法によって測定することができる。
【0062】
本発明者らはまた、流体管理層のキャリパを与える処理技術は、スパンレース材料に対して、層が不均質である場合にのみ利用されるのではなく、層が均質である場合、例えば各層が同じ繊維構造を有している場合にも利用できることを見出した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、このプロセスで構築されたスパンレース材料は、適切な繊維選択と共に、良好な弾力性及び圧縮からの回復を提供することができ、典型的なスパンレースプロセスによって製造されるそれらのスパンレース材料を上回る改善された流体処理性能を提供できることを見出した。
【0063】
繊維が一体化されているため、流体管理層30は、安定化のために接着剤もラテックス結合剤も必要としない点も特記に値する。更に、流体管理層のカード処理されたステープル繊維不織布は、所望の性能特性を与える好適な繊維タイプの組み合わせから製造することができる。例えば、流体管理層は、剛化繊維、吸収性繊維、及び弾性繊維の組み合わせを含むことができる。
【0064】
以下で更に詳細に説明するように、本開示の流体管理層内の繊維のタイプを、流体管理層内のそれらの機能に関して記載する。例えば、吸収性繊維は、液体汚物を吸収するために利用される。剛化繊維は、熱処理によって互いに結合され、それによって、流体管理層に剛性及び弾力性が提供される。弾性繊維は、流体管理層に対して作用する圧縮力からの回復を提供するために利用される。
【0065】
一体化の安定化効果を向上させるため、捲縮されたカード処理繊維を利用することができる。吸収性繊維、剛化繊維、及び弾性繊維のうちの1つ以上を、一体化の前に捲縮してもよい。例えば、合成繊維が用いられる場合、これらの繊維は、噛合する歯によってこれらの繊維を機械的に捲縮することができる。吸収性繊維に関しては、これらの繊維は、機械的に捲縮するか、及び/又は吸収性繊維の形成時に形成される厚さの変化によって化学的に誘発される捲縮を有してもよい。
【0066】
前述したように、吸収性繊維の量は、着用者対向表面又はトップシートへの液体汚物の吸収に影響を及ぼし得る。しかしながら、吸収性繊維が液体を吸収すると、それらの構造的一体性の一部が失われる傾向がある。構造的一体性が失われると、吸収性物品の弾力性を低減し、バンチングの増大及び漏れの増大につながることがある。したがって、原則として、吸収性繊維の大部分は、着用者対向表面及び/又はトップシートから液体汚物を急速に排出するために良好であるが、大部分は、これまでに述べたような吸収性物品の他の問題につながる場合がある。
【0067】
吸収性繊維の重量パーセントが大きすぎることに関連する潜在的問題に照らして、本発明者らは、本開示の流体管理層が、好ましくは約10重量%~約60重量%、より好ましくは約15重量%~約50重量%、最も好ましくは約20重量%~約40重量%の吸収性繊維を含み得ることを見出し、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲の任意の値を含む。1つの特定の例では、流体管理層は、約30重量%の吸収性繊維を含むことができる。更に別の特定の例では、流体管理層は、約20パーセントの吸収性繊維を含むことができる。吸収性繊維、弾性繊維、及び/又は剛化繊維の重量パーセントは、本明細書に開示される材料の組成分析方法によって決定することができる。
【0068】
加えて、湿潤時の吸収性繊維の一体性の損失のため、流体管理層はまた、使用中に作用する圧縮負荷からの吸収性物品の回復に影響を及ぼす十分な重量パーセントの弾性繊維を含んでいなけれならない。発明者らは、本開示の流体管理層が、約15重量%~約70重量%、より好ましくは約20重量%~約60重量%、又は最も好ましくは約25重量%~約50重量%の弾性繊維を含むことができることを見出し、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、流体管理層は、約40重量%の弾性繊維を含むことができる。いくつかの特定の例で、流体管理層は、約30重量%の弾性繊維を含むことができる。
【0069】
更に、本開示の流体管理層が吸収性物品に弾力性を提供するのを助けるために、剛化繊維を利用することができる。例えば、後述するように、製造中の流体管理層の熱処理によって、剛化繊維を互いに結合させることができる。剛化繊維のこの結合は、流体管理層の弾力性及び剛性を助ける支持マトリックスを作り出す。このことを考慮し、流体管理層は、約25重量%~約70重量%、より好ましくは約30重量%~約60重量%、又は最も好ましくは約40重量%~約55重量%の剛化繊維を含むことができ、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、流体管理層は、約50重量%の剛化繊維を含むことができる。
【0070】
前述したように、本開示の流体管理層は、それぞれの吸収性物品に、良好な弾力性と共に柔らかいクッションのような感触を提供することができる。キャリパ、弾力性、及び柔らかいクッションのような感触が目的である場合、剛化繊維の重量パーセントを、弾性繊維の重量パーセント以上とすることができる。吸収性繊維の重量パーセントは、弾性繊維及び/又は剛化繊維の重量パーセントよりも小さくなければならない。一般に、吸収性繊維のより高い重量パーセントは、迅速に流体汚物を吸収するのに有益であると考えられる。しかしながら、吸収性繊維がトップシートに近接している点を考慮すると、吸収性コアが吸収繊維を脱水することが有益である。吸収性繊維の割合がより大きい場合、通常、吸収性繊維を脱水するためにより大きなコアが必要とされる。これは一般的により高いコストにつながる。このことを考慮し、本開示の流体管理層中の吸収性繊維と剛化繊維との重量パーセント比は、約1:7~約2:1、より好ましくは約1:4~約1.5:1、最も好ましくは約1:2~約1:1とすることができ、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。同様に、本開示の流体管理層中の吸収性繊維と弾性繊維との重量パーセント比は、約1:7~約3:1、より好ましくは約1:2~約2:1、又は最も好ましくは約1:1.5~約1:1とすることができ、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。
【0071】
流体管理層が成人用失禁物品に利用されるか、月経用物品利用されるか、ライナーに利用されるか、又は他の衛生物品に利用されるかにかかわらず、流体管理層が、トップシートからの液体汚物を捕捉し、トップシートが濡れていると感じられないように液体をトップシートから十分に遠くまで液体を引き込む能力が極めて重要である。これを達成するために、本発明者らは、本明細書で論じられる流体管理層の高いキャリパが、流体管理層の空隙容積の増大に起因して、流体捕捉を促進することができることを見出した。より低い坪量におけるより高いキャリパは、より高い透過率を有するより高い空隙容積に等しい。
【0072】
繊維の設定された坪量について、より大きな直径の繊維は、より小さい直径の繊維と比較して、隣接する繊維間に、より大きな空隙容積を提供できる点は特記に値する。したがって、流体管理層内の繊維の繊維径は重要であり得る。例えば、繊維の設定された重量パーセントについて、繊維径が大きくなるにつれて、1グラム当たりの繊維は少なくなり、より少ない繊維は、繊維間のより多くの空間に等しくなり得る。理想的には、特に月経流体との関連で、流体管理層は、空隙容積と、トップシートを排出するためのある程度の毛管現象とを有さなければならない。
【0073】
上記を考慮し、本発明者らはまた、驚くべきことに、流体管理層内の層のそれぞれにおける繊維タイプ、及びその繊維タイプの線密度を慎重に選択すると、迅速な捕捉及び低い再湿潤という所望の結果を達成できることを見出した。個々の層の繊維タイプについて、以下で更に詳細に説明する。流体管理層の層内の繊維タイプに関する以下の考察は、第1のカード処理不織布ウェブが、追加のカード(単数又は複数)のウェブ(単数又は複数)よりもトップシートに近くに位置するものと仮定している点は特記に値する。
【0074】
本開示の流体管理層で使用するための吸収性繊維のいくつかの好適な線密度値が提供される。例えば、吸収性繊維の線密度は、約1dtex~約7dtex、より好ましくは約1.4dtex~約6dtex、又は最も好ましくは約1.7dtex~約5dtexの範囲であってよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、吸収性繊維は、約1.7dtexの線密度を有することができる。吸収性繊維、剛化繊維、及び弾性繊維のdtexは、本明細書に開示される繊維デシテックス方法によって測定することができる。
【0075】
流体管理層の吸収性繊維は、任意の好適な形状を有し得る。いくつかの例としては、三葉形、「H」、「Y」、「X」、「T」、又は丸形、又は平坦なリボンが挙げられる。更に、吸収性繊維は、中実、中空、又は多重中空であってよい。本明細書に詳述される流体管理層に利用するのに好適な多葉形吸収性繊維の他の例は、Wilkesらに付与された米国特許第6,333,108号、Wilkesらに付与された米国特許第5,634,914号、及びWilkesらに付与された米国特許第5,458,835号に開示されている。三葉形状は、ウィッキング性を向上させ、マスキング性を向上させることができる。好適な三葉形のレーヨンは、Kelheim Fibresから入手可能であり、Galaxyという商品名で販売されている。各層は、上述したように、異なる形状の吸収性繊維を含んでもよいが、すべてのカーディング装置が、層間/層間のそのようなばらつきを扱うのに適しているわけではない。1つの特定の例では、流体管理層は、丸形の吸収性繊維を含む。
【0076】
吸収性繊維のための任意の好適な吸収性材料を利用することができる。吸収性材料のいくつかの例としては、綿、パルプ、レーヨン、若しくは再生セルロース、又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの例では、流体管理層20は、ビスコースセルロース繊維を含むことができる。吸収性繊維の長さは、約20mm~約100mm、又はより好ましくは約30mm~約50mm、又は最も好ましくは約35mm~約45mmの範囲であってよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。一般に、パルプの繊維長は約4~6mmであり、パルプ繊維は短すぎるので、従来のカーディングマシンでは使用できない。したがって、流体管理層内の繊維としてパルプが所望される場合、カード処理ウェブにパルプを加えるための追加の処理が必要となることがある。一例として、カード処理ウェブ間にパルプをエアレイドし、その後、この組み合わせを一体化してもよい。別の例として、カード処理ウェブと組み合わせて薄い織物を利用し、その後、この組み合わせを一体化してもよい。
【0077】
前述のように、吸収性繊維に加えて、本開示の流体管理層は、剛化繊維を含んでもよい。剛化繊維を用いて、流体管理層に構造的一体性を与える助けとすることができる。剛化繊維は、機械方向及び/又は機械横断方向に吸収性繊維の構造的一体性を高めるうえで役立ち、これにより、使い捨て吸収性物品に組み込むために流体管理層を処理する際のウェブの取り扱いを容易とし得る。
【0078】
剛化繊維のいくつかの好適な線密度値が提供される。例えば、剛化繊維の線密度は、約1.0dtex~約6dtex、より好ましくは約1.5dtex~約5dtex、又は最も好ましくは約2.0dtex~約4dtexの範囲であってよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。別の特定の例では、剛化繊維のdtexは、約2.2dtexである。
【0079】
好適な剛化繊維のいくつかの例としては、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレート成分又はポリエチレンテレフタレートとコポリエチレンテレフタレート成分を含む、2成分繊維が挙げられる。2成分繊維の構成成分は、コアシース配置、並列配置、偏心コアシース配置、三葉配置などで配置することができる。特定の1つの例では、剛化繊維は、ポリエチレンがシースである同心コアシース配置で配置されたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート成分を有する2成分繊維を含み得る。
【0080】
他の材料も有用であり得るが、本発明者らは、ポリエチレンテレフタレートの剛性が弾性構造の作製に有用であることを見出した。対照的に、剛化繊維のポリエチレン成分は、熱処理中に互いに結合するために利用することができる。これは、MDとCDの両方でウェブに引張強度を提供する助けとなり得る。加えて、剛化繊維の他のポリエチレン成分にポリエチレン成分を結合することにより、不織布に固定点を形成することができる。これらの固定点は、材料の弾力性を高めることができる繊維間の摺動の量を低減することができる。
【0081】
剛化繊維の利点の1つは、繊維の交絡後に、一体型不織布を熱処理し得ることである。熱処理は、隣接する剛化繊維間に結合部を形成することによって、一体型不織布に更なる構造的一体性を提供することができる。そのため、剛化繊維の割合が高い場合には、より多くの結合点が形成され得る。接続点が多すぎる場合、はるかに剛性の高い流体管理層が与えられるが、これは快適性/柔らかさに負の影響を与え得る。したがって、剛化繊維の重量パーセントは、吸収性物品を設計する際に極めて重要である。
【0082】
熱剛化プロセスに関して、任意の好適な温度を利用することができる。また、好適な温度は、剛化繊維の構成成分の化学的性質によって、また、処理される流体管理層によって部分的に影響され得る。例えば、流体管理層は、約132℃の温度で熱剛化することができる。ただし、流体管理層にわたって均一な剛性特性を提供するには、流体管理層のウェブに均一な加熱を与えるようにいずれかの加熱操作を設定する必要がある点も特記に値する。温度のわずかな変動であっても、流体管理層の引張強度に大きな影響を及ぼし得る。
【0083】
前述のように、本開示の流体管理層は、弾性繊維を含む。弾性繊維は、流体管理層がその透過率及び圧縮回復率を維持する助けとなり得る。任意の好適な径の繊維を用いることができる。例えば、弾性繊維は、約4dtex~約15dtex、より好ましくは約5dtex~約12dtex、又は最も好ましくは約6dtex~約10dtexの線密度を有してよく、具体的には、これらの範囲内及びこれらの範囲により定義される任意の範囲内のすべての値を記載する。1つの特定の例では、流体管理層は、可変断面、例えば円形及び中空螺旋を有する弾性繊維を含んでもよく、かつ/又は、可変dtexを有する弾性繊維を含んでもよい。更に別の特定の例では、本開示の弾性繊維のdtexは、約10であってもよい。そのような形態では、弾性繊維は中空螺旋であり得る。
【0084】
弾性繊維は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート、又は当該技術分野では周知の他の好適な熱可塑性繊維などの任意の好適な熱可塑性繊維とすることができる。弾性繊維の長さは、約20mm~約100mm、又はより好ましくは約30mm~約50mm、又は最も好ましくは約35mm~約45mmの範囲であってよい。熱可塑性繊維は、任意の好適な構造又は形状を有することができる。例えば、熱可塑性繊維は、円形であり得るか、又は螺旋形、波付きの楕円形、三葉形、波付きのリボン状、その他などの他の形状を有し得る。更に、PP繊維は、中実、中空、又は多重中空であり得る。弾性繊維は、中実かつ丸い形状であってよい。弾性繊維の他の好適な例としては、ポリエステル/共押出ポリエステル繊維が挙げられる。更に、弾性繊維の他の好適な例としては、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートなどの2成分繊維が挙げられる。これらの2成分繊維は、シース及びコアとして構成され得る。2成分繊維は、材料の坪量を増加させ、加えて細孔径分布の最適化を可能にするための、費用対効果が高い手段を提供し得る。
【0085】
弾性繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、又は当該技術分野において既知の他の好適な非セルロース繊維であり得る。PET繊維は、任意の好適な構造又は形状を有することができる。例えば、PET繊維は、円形、又は螺旋形、波付きの楕円形、三葉形、波付きのリボン状、中空螺旋形、その他などの他の形状とすることができる。更に、PET繊維は、中実、中空又は多重中空とすることができる。1つの特定の例では、繊維は、中空/螺旋状のPETで作製された繊維であってもよい。任意に、弾性繊維は、螺旋捲縮又は平坦捲縮であり得る。弾性繊維は、約4~約12クリンプ/インチ(cpi)、又は約4~約8cpi、又は約5~約7cpi、又は約9~約10cpiの捲縮値を有し得る。弾性繊維の特定の非限定的な例は、Wellman,Inc.Irelandから、商品名H1311及びT5974で入手され得る。本明細書に詳述されるカード処理されたステープル繊維不織布に利用するのに好適な弾性繊維の他の例は、Schneiderらの米国特許第7,767,598号に開示されている。
【0086】
剛化繊維及び弾性繊維を慎重に選択する必要がある点は特記に値する。例えば、剛化繊維及び弾性繊維の構成成分の化学的性質は同様であってもよいが、弾性繊維は、その構成材料の融点が剛化繊維の融点よりも高くなるように選択しなければならない。そうでない場合、熱処理中、弾性繊維が剛化繊維に結合し(またはその逆)、過度に剛性の構造が形成される可能性がある。
【0087】
理論に束縛されるものではないが、吸収性繊維の重量パーセントが、本明細書に開示されるgsm範囲内で約30パーセントを超える場合、弾性繊維及び/又は剛化繊維を慎重に選択しなければならないと考えられる。柔らかいクッションのような流体管理層が、本明細書に記載されるように、少なくとも0.12以上のキャリパ係数を有する場合、弾性繊維及び/又は剛化繊維は、吸収性繊維の構造的一体性の損失を相殺するように選択しなければならない。例えば、弾性繊維のdtexがより高いことは、吸収性繊維が経験する一体性の損失に対抗するのに有益であり得る。そのような例では、約5dtex~約15dtex、より好ましくは約6dtex~約12dtex、最も好ましくは約7dtex~約10dtexのdtexを有する弾性繊維を利用することができる。
【0088】
これらに加えて、又はその代わりに、剛化繊維は、より優れた構造的一体性を提供するように構成され得る。例えば、剛化繊維は、シースがコポリエチレンテレフタレートであるコア-シース構成の2成分繊維を含んでもよい。しかしながら、このように材料が変化した場合、更なる問題が発生し得る。例えば、材料を流体管理層に接合することは、溶融結合とは対照的に、接着剤のみによるものでもよい。
【0089】
前述に加えて又はそれとは関係なく、更に別の例は、剛化繊維の結合の増加である。吸収性繊維が流体管理層の30重量パーセント超を構成する場合、剛化繊維を結合させる熱を高くすることができ、かつ/又は曝露時間を長くすることができる。これは、湿潤時の吸収性繊維の一体性の損失に対抗する剛化繊維マトリックス中の結合部の数を増加させることになる。しかしながら、結合部の数の増加により、剛性が増大する。剛性が増大すると、ユーザーが柔らかさを知覚しにくくなる場合がある。同様にそれに関して、それに加えて、又はそれに代えて、吸収性繊維の一体性の損失に対抗するために、剛化繊維の線密度を増大させてもよく、吸収性繊維は、30重量パーセント以上を構成する。そのような例では、剛化繊維の線密度は、約3dtex~約6dtex、より好ましくは約4dtex~約6dtexであり得る。
【0090】
湿潤崩壊に対する解決策は単に、dtexがより高い繊維を使用することであるが、それらの使用はバランスを取らなければないことが明らかになり得る点は特記に値する。特に粘性流体の場合、本開示の流体管理層は、物品の着用者対向表面への液体汚物の排出を助けるために、ある程度の毛管現象を有さなければならない。残念ながら、dtexが高い繊維の使用はキャリパの利点を提供することができるが、同時に毛管現象を損ねる。
【0091】
本開示による例示的な流体管理層の概略図が、図2に提供される。図示のように、流体管理層20は、第1の表面300Aと反対側の第2の表面300Bとを備える。流体分配層20は、第1の表面300Aと第2の表面300Bとの間にZ方向に沿った2層以上の層を備えている。
【0092】
流体管理層は、1つ以上の不織布ウェブから形成され得る。本開示の流体管理層を形成するための例示的なプロセスを図5に示す。図に示されるように、複数のカーディングマシン210、220、及び230はそれぞれ、カード処理不織布ウェブ(例えば、それぞれ214、224、及び234)をそれぞれ形成することができ、カード処理不織布ウェブは、キャリアベルト240に移送される。カード処理不織布ウェブ214、224、及び234のそれぞれは、それぞれウェブシュート212、222、232を介してキャリアベルト240に供給することができる。カード処理不織布214がキャリアベルト240上に堆積された後、カード処理不織布224が、キャリアベルト240上の第1のカード処理不織布214上に堆積される点も特記に値する。同様に、第3のカード処理不織布ウェブ234は、キャリアベルト240上の第2のカード処理不織布224及び第1のカード処理不織布214上に堆積される。続いて、第1、第2、及び第3のカード処理不織布ウェブ214、224、及び234のそれぞれは、針及び/又は高圧水流のいずれかを利用して第1、第2、及び第3のカード処理不織布ウェブの繊維を交絡させる一体化処理250に供給される。カーディング処理及び一体化処理はいずれも、当該技術分野では周知のものである。
【0093】
追加のカーディングマシンを利用してもよい。あるいは代替的には、第1のカード不織布ウェブをカーディングマシンの下で再ループして、第1のカード不織布ウェブ上に追加の層を形成してもよい。第2のカード不織布ウェブに対して、同じことが行われ得る。結果として得られる構造は、4つの層を有する不織布ウェブである。更に、本開示の流体管理層は、3枚のカードのうちの2つのみを利用して製造され得る。そのような例では、第1のカード処理ウェブ214が、キャリアベルト240上に堆積される。続いて、第2のカード処理ウェブ224が、第1のカード処理ウェブ214上に堆積される。次いで、本明細書に記載されるように、第1のカード処理ウェブ214と第2のカード処理ウェブ224とが一体化される。
【0094】
図5の概略図に示される構成により、流体管理層の多種多様な構成を実現することができる点は特記に値する。しかしながら、本開示の流体管理層は、流体の迅速な捕捉を可能にするのに十分な開放度を有し、更に、再湿潤の可能性を低減するために液体汚物を閉じ込めることも可能であることが重要である。このことを考慮し、2つ以上のカード処理ウェブが使用される場合、カード処理ウェブ、すなわち214、224、及び/又は234は互いに異なるものとすることができる。例えば、カード処理ウェブのうちの1つが、他とは異なる繊維ブレンドを含んでもよい。具体的には、第1のカード処理ウェブが吸収性物品の着用者対向面に最も近くに位置するものと仮定した場合、第1のカード処理ウェブ214の繊維の選択を、このウェブにより大きな開放度が伴うようなものとすることができる。第2のカード処理ウェブ224も同様に構成することができる。対照的に、第3のカード処理ウェブ234は、第1のカード処理ウェブ214及び第2のカード処理ウェブ224の空隙空間から液体汚物を収集し、これらの液体汚物を吸収性コアに効果的に分配するように構成され得る。あるいは、第1のカード処理ウェブ214、第2のカード処理ウェブ224及び第3のカード処理ウェブ234は、同一に構成され得る。
【0095】
吸収性コア
物品は、排出物の貯蔵層として機能する吸収性コア15を更に備える。吸収性コア15の構成及び構造は異なり得る(例えば、吸収性コア15は、異なるキャリパ領域、親水性勾配、超吸収性勾配又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の捕捉ゾーンを有してもよい)。吸収性コア15は、対向する端縁部17A及び17Bを備え、これらは、横軸Tと概ね平行に延びてもよく、真っ直ぐであっても、あるいは湾曲していてもよい。また、吸収性コア15は、側縁部16A及び16Bを備え、これらは、長手方向軸Lと概ね平行に延びてもよく、真っ直ぐであっても、あるいは湾曲していてもよい。吸収性コア15の寸法及び吸収能力も、様々な着用者に適応するように異なり得る。しかしながら、吸収性コア15の全吸収容量は、使い捨て吸収性物品の設計負荷及び意図される用途に適合したものでなければならない。
【0096】
吸収性コアは、従来の吸収性材料を含有し得る。縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、毛羽立てられたセルロース繊維、レーヨン繊維、エアフェルト又はパルプ繊維としても知られている木材パルプ繊維、及び織物繊維など従来の吸収性材料に加えて、コアは多くの場合、流体を吸収し、ヒドロゲルを形成する超吸収性材料を含む。そのような材料は、吸収性ゲル化材料(AGM)としても既知であり、粒子形態に含まれ得る。AGMは、典型的に、大量の体液を吸収することができ、かつそれらを中程度の圧力下で保持することができる。酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(オーロンなど)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、2成分繊維、3成分繊維、これらの混合物等を含む合成繊維もまた、第2の貯蔵層内に使用することができる。コアはまた、再湿潤問題を低下させる、充填剤材料、例えば、パーライト、珪藻土、バーミキュライト、又は他の好適な材料を含むことができる。
【0097】
特定の実施形態では、吸収性コアは、パルプ繊維、吸収性ゲル化材料、及び2成分繊維を含むエアレイド吸収性コアである。吸収性コアは、少なくとも約100gsm、又は少なくとも約140gsm、又は少なくとも約144gsm、又は少なくとも約150gsm、又は少なくとも約160gsm、又は少なくとも約165gsm、又は少なくとも約170gsm、又は約140gsm~約185gsmの坪量を有してもよく、当該範囲についてその範囲内の5gsm刻みに列挙する。
【0098】
吸収性コアは、均一分布でAGMを有してもよく、又は不均一分布でAGMを有してもよい。AGMは、チャネル、ポケット、ストライプ、十字パターン、渦状、ドット、又は任意の他のパターンの形態であってもよく、人間によって想像され得る、2次元又は3次元のいずれかであり得る。AGMは、一対の繊維性カバー層の間に挟まれていてもよい。あるいは、AGMは、少なくとも部分的に、単一の繊維性カバー層に封入されていてもよい。
【0099】
吸収性コアの一部分を、超吸収性材料のみで形成することができ、又は毛羽立てられた形態のセルロース繊維又は補剛された繊維など好適な担体内に分散された超吸収性材料から形成することができる。非限定的な吸収性コアの一例は、セルロース繊維内の超吸収性材料の分散体から形成される第2の層上に配置される超吸収性材料のみから形成される第1の層である。
【0100】
超吸収性材料の層、及び/又は明細書に詳述される吸収性物品(例えば、生理用ナプキン、失禁用製品)において利用され得るセルロース繊維内に分散される超吸収性材料の層により形成される吸収性コアの詳述される例は、米国特許出願公開第2010/0228209(A1)号に開示されている。様々なコア設計による相対的に高い量のSAPを含む吸収性コアが、Goldmanらに付与された米国特許第5,599,335号、Busamらに付与された欧州特許第1,447,066号、Tanzerらに付与された国際公開第95/11652号、Hundorfらに付与された米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号、Van Malderenに付与された国際公開第2012/052172号、Carlucciに付与された米国特許第8,466,336号、及びCarlucciに付与された米国特許第9,693,910号に開示されている。
【0101】
本開示の吸収性コア15は、楕円形、ディスコ矩形(discorectangle)、矩形、非対称形状及び砂時計形を含むが、これらに限定されない任意の好適な形状を含み得る。例えば、本発明のいくつかの形態では、吸収性コア205は、輪郭形成された形状、例えば中間領域が端部領域よりも狭い形状を含み得る。更に別の例としては、吸収性コアは、パッドの一方の端部領域により広い部分を有し、パッドのもう一方の端部のより狭い端部領域に向かって先細りになる、先細形状を含み得る。吸収性コア15は、MD及びCD方向に変動する剛性を有することができる。
【0102】
バックシート
バックシート14は、吸収性コア15の衣類対向表面に直接隣接して配置してもよい。バックシート14は、トップシート及び/又はコアに少なくとも外周で接合されてもよく、当該技術分野で周知のものなどの取り付け方法によってそれらに接合されてもよい。例えば、バックシート14は、均一な連続層の接着剤、パターン層の接着剤、又は独立した線、螺旋若しくは点の配列の接着剤によって吸収性コア15に固定することができる。あるいは、取り付け方法は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは当該技術分野で既知の他の任意の好適な取り付け方法又はこれら取り付け方法の組み合わせの使用を含んでもよい。
【0103】
バックシート14は、液体(例えば、尿)に対して不透過性又は実質的に不透過性であってもよく、また、薄いプラスチックフィルムから製造されてもよいが、他の可撓性の液体不透過性材料を使用することもできる。本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、順応性があり、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。バックシート207は、吸収性コア205中に吸収されて閉じ込められた浸出物が、下着などの失禁用パッド10に接触する衣類を濡らすことを防ぐか、又は少なくとも抑制し得る。しかしながら、バックシート14は、蒸気を吸収性コア15から逃がすことができる(すなわち、通気性である)が、場合によりバックシート14は蒸気を逃がさない(すなわち、非通気性である)場合もある。したがって、バックシート14は、ポリエチレン又はポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムを含む場合がある。バックシート14に好適な材料は、例えば、約0.012mm(0.5mil)~約0.051mm(2.0mil)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。当該技術分野において既知の任意の好適なバックシートが本発明と共に利用され得る。
【0104】
バックシート14は、その衣類の表面へと吸収性コア15を通過し得る任意の吸収された体液に対するバリアとして作用し、結果として下着又は他の衣類を汚すリスクを低減する。好ましい材料は、柔らかく滑らかで柔軟性のある、液体及び蒸気を通す材料であり、快適さのために柔らかさ及び形状適合性を提供し、低雑音性であり、したがって動きによって望ましくない音が生じない。
【0105】
例示的なバックシートは、1999年3月23日発行の米国特許第5,885,265号(Osborn,III)、2002年10月8日発行の同6,462,251号(Cimini)、2003年9月23日発行の同第6,623,464号(Bewick-Sonntag)、又は2003年12月16日発行の米国特許第6,664,439号(Arndt)に記載されている。本明細書での使用に好適な二層又は多層バックシートとしては、米国特許第3,881,489号、同第4,341,216号、同第4,713,068号、同第4,818,600号、欧州特許第203 821号、同第710 471号、同第710 472号、及び同第793 952号に例示されているものが挙げられる。
【0106】
本明細書で使用する好適な通気性バックシートは、当技術分野で知られているすべての通気性のあるバックシートを含む。原則的に、2つのタイプの通気性バックシートがあり、通気性及び液体不透過性のある単層の通気性バックシートと、組み合わせると通気性と液体不透過性の両方を提供する少なくとも2つの層を有するバックシートとがある。本明細書で使用する好適な単層の通気性バックシートには、例えば英国特許第A 2184 389号、英国特許第A 2184 390号、英国特許第A 2184 391号、米国特許第4,591,523号、米国特許第3,989,867号、米国特許第3,156,242号、及び国際公開第97/24097号に記載されているものが含まれる。
【0107】
バックシートは、約20gsm~約50gsmの坪量を有する不織布ウェブであってもよい。一実施形態では、バックシートは、Fiberweb NeubergerからF102301001の名称で入手可能な4デニールポリプロピレン繊維の、比較的疎水性の23gsmスパンボンド不織布ウェブである。バックシートは、2002年8月20日に発行された米国特許第6,436,508号(Ciammaichella)に記載されるように、非水溶性の液体膨潤性材料でコーティングされていてもよい。
【0108】
バックシートは、衣類対向面と、反対側の身体対向面とを有する。バックシートの衣類対向面は、非接着領域と接着領域とを含む。接着領域は、任意の従来の手段によって提供され得る。感圧性接着剤が、この目的に対して十分に機能することが一般に見出されてきた。
【0109】
層の組み合わせ
トップシートとバックシートとを一緒に接合して、使い捨て吸収性物品の外周部を形成することができる。吸収性コア及び/又は流体管理層の周辺部は、外周部の内部に配置され得る。例えば、吸収性コアは、横軸と概ね平行に延びる端縁部と、長手方向軸と概ね平行に延びる側縁部とを有してもよい。端縁部及び側縁部のそれぞれは、外周部の内部に配置され得る。同様に、流体管理層は、横軸と概ね平行に延びる端縁部と、長手方向軸と概ね平行に延びる側縁部とを有してもよい。端縁部及び側縁部は、外周部の内部に配置され得る。あるいは、端縁部は、端縁部が外周部と交差する限り、外周部と隣接することができる。流体管理層の端縁部に加えて、又はそれとは関係なく、流体管理層の側縁部は、吸収性物品の外周部とともに終端してよい。
【0110】
更に、吸収性コア及び/又は流体管理層の端縁部及び/又は側縁部は、本質的に曲線状であり得る。例えば、吸収性コア及び/又は流体管理層の側縁部は、端部から横軸に向かって内向きに湾曲してもよい。このような構成は、吸収性物品の適合性を助けることができる。同様に、端縁部は、吸収性コア及び/又は流体管理層の側縁部と併せて又はそれとは関係なく、概ね凹状又は概ね凸状のいずれかである曲線状経路を備えてもよい。
【0111】
層は、例えば、接着剤結合、機械的結合、超音波結合、及びこれらの組み合わせを含む、任意の好適な手段によって接合され得る。結合は、連続的であっても非連続的であってもよい。
【0112】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の層を組み合わせると、着用中の圧縮及び摩擦にもかかわらず、その形状を保持する柔らかくて乾燥した感触の物品がもたらされる(すなわち、物品が弾性である)ことを見出した。上述のように、トップシートは、開口部及び/又は凹部の形態であり得る複数のマクロ変形部を備えてもよく、マクロ変形部は、物品と着用者の皮膚との間の接触面積を低減し、それによって、張り付き、磨耗、又は濡れた感触の可能性を低減することができる。更に、1つ以上の特徴は、物品に多孔度を提供し、着用者に空気のような快適な感触を提供することができる。このような特徴は、高坪量不織布、エアスルー結合不織布、及び/又はマクロ変形部を含んでもよい。非限定的な例では、トップシート、流体管理層及び/又は吸収性コアには、フィルム材料がなくてもよい。
【0113】
特定の実施形態では、2つ以上の層は、適切な剛性を最終物品に提供するように互いに補完することができる。典型的なライナー物品では、吸収性コアの着用者対向面の各層は、本明細書の3点曲げ試験方法に従って、測定可能な剛性を本質的に有さない。本発明の物品では、流体管理層は、既知の流体管理層よりも高い剛性を有することができる。本発明のトップシートと吸収性コアとを組み合わせると、物品に、より良好な剛性を提供することができる。非限定的な例では、流体管理層は、本明細書の3点曲げ試験方法に従って、少なくとも約0.03N(ピーク負荷)、又は少なくとも約0.05N(ピーク負荷)、又は約0.03N(ピーク負荷)~約0.07N(ピーク負荷)のMD剛性を有してもよい。流体管理層は、少なくとも約0.01N(ピーク負荷)、又は約0.005N(ピーク負荷)~約0.05N(ピーク負荷)、又は約0.01N(ピーク負荷)~約0.03N(ピーク負荷)のCD剛性を有してもよく、各範囲についてその範囲内の0.005刻みに列挙する。加えて、又は代替的に、吸収性コアは、本明細書の3点曲げ試験方法に従って、少なくとも約0.1N(ピーク負荷)、又は少なくとも約0.15N(ピーク負荷)、又は少なくとも約0.2N(ピーク負荷)、又は約0.08N(ピーク負荷)~約2N(ピーク負荷)のMD剛性を有してもよく、当該範囲についてその範囲内の0.05刻みに列挙する。吸収性コアは、本明細書の3点曲げ試験方法に従って、少なくとも約0.1N(ピーク負荷)、又は少なくとも約0.13N(ピーク負荷)、又は少なくとも約0.16N(ピーク負荷)、又は約0.7N(ピーク負荷)~約0.18N(ピーク負荷)、又は約0.9N(ピーク負荷)~約0.16N(ピーク負荷)のCD剛性を有してもよい。
【0114】
加えて、又は代替的に、2つ以上の層が互いに補完して、多孔度を漸進的に変化させてもよく、それにより、集合的に物品は、構造的一体性を維持し、表面の下方に流体を閉じ込めて再湿潤を防止しながら、空気のように/通気性があるように感じる。非限定的な例では、トップシートは、本明細書の空気透過率試験方法に従って、少なくとも約300m/m/分、又は約300m/m/分~約400m/m/分、又は約320m/m/分~約380m/m/分、又は約330m/m/分~約360m/m/分、又は約340m/m/分~約350m/m/分の多孔度を有してもよく、各範囲についてその範囲内の1m/m/分刻みに列挙する。トップシートは、流体管理層の多孔度よりも高い多孔度を有してもよい。流体管理層は、本明細書の空気透過率試験方法に従って、少なくとも約200m/m/分、又は約200m/m/分~約350m/m/分、又は約250m/m/分~約325m/m/分、又は約275m/m/分~約310m/m/分、又は約290m/m/分~約300m/m/分の多孔度を有してもよく、各範囲についてその範囲内の1m/m/分刻みに列挙する。非限定的な例では、トップシートは、2つの透過率値の大きい方の値を取り、2つの値のうちのより小さい方を引き、その差を2つの値のより高い方で割ることによって測定した場合に流体管理層の多孔度の約20%以下、又は約15%以下、又は約5%~約20%以内であってもよい。加えて、又は代替的に、吸収性コアは、本明細書の空気透過率試験方法に従って、少なくとも約25m/m/分、又は少なくとも約30m/m/分、又は約25m/m/分~約60m/m/分、又は約30m/m/分~約50m/m/分、又は35m/m/分~約45m/m/分の多孔度を有してもよく、各範囲についてその範囲内の1m/m/分刻みに列挙する。流体管理層は、本明細書の空気透過率試験方法に従って、吸収性コアの多孔度の約90%以下、又は約86%以下、又は約25%~約90%、又は約45%~約88%、又は約60%~約80%であってもよく、各範囲についてその範囲内の2%刻みに列挙する。
【0115】
特定の実施形態では、物品は、第1のz方向の横断方向中心線において増加多孔度勾配を含む。勾配は、組み立てられた物品において、多孔度がz方向に沿って異なることを意味する。第1のz方向は、バックシートからトップシートに向かって延びる。勾配は、バリアストリップ18の外側の領域に存在し得る。
【0116】
上述したように、本発明の物品は、着用後に形状を保持し、これは、物品が、長期間着用されるライナーである場合に特に有用である。実際に、多くの個人は、8時間以上にわたってライナーを着用する。したがって、ライナーの着用者は、長期間の着用後でさえも、皮膚に張り付かず、変形せず、かつ/又は折り重ならない物品を望んでいる。更に、体格指数が高い(すなわち、BMIが少なくとも30の)着用者は、着用期間にかかわらず、その形状を維持し、高い圧縮に耐えることができる製品を望んでいる。本発明の物品は、これらの要求に対処することができる。
【0117】
上記に加えて、本発明の物品は、着用中の脚の圧縮に起因して、バンチング、すなわち、x-y方向に丸まること又は折り畳まれることを防止するのに十分な一体性を提供する。物品は、少なくとも約310gf、又は少なくとも約325gf、又は少なくとも約350gf、又は少なくとも約400gf、又は約310gf~約550gf、又は約325gf~約500gf、又は約400gf~約475gfの湿潤CDバンチ圧縮を呈してもよく、各範囲についてその範囲内の10刻みに列挙する。加えて、又は代替的に、物品は、約40%以上、又は約42%以上、又は約40%~約50%、又は約42%~約45%の湿潤CDバンチ圧縮回復率を呈してもよく、各範囲についてその範囲内の1%刻みに列挙する。物品は、少なくとも約400gf、又は少なくとも約450gf、又は少なくとも約475gf、又は少なくとも約500gf、又は約400gf~約625gf、又は約450gf~約520gfの乾燥CDバンチ圧縮を呈してもよく、各範囲についてその範囲内の10gf刻みに列挙する。加えて、又は代替的に、物品は、約40%以上、又は約48%以上、又は約50%以上、又は約52%以上、又は約40%~約60%、又は約50%~約55%の乾燥CDバンチ圧縮回復率を呈してもよく、各範囲についてその範囲内の1%刻みに列挙する。CDバンチ圧縮値及びバンチ圧縮回復率値は、バンチ圧縮試験方法によって得られる。
【0118】
いくつかの実施形態では、物品は、3点曲げ試験方法に従って、少なくとも約0.25N、又は少なくとも約0.3N、又は少なくとも0.35N、又は少なくとも約0.4、又は約0.25N~約0.6N、又は約0.3~約0.5NのCD3点曲げ剛性であってもよく、各範囲についてその範囲内の0.1N刻みに列挙する。
【0119】
特に、上記の剛性、回復率値及び/又はバンチ圧縮値は、好適な流体管理特性を維持しながら達成され得る。実際に、本発明の物品は、z方向に高い弾力性を呈し、z方向の圧力後の流体の再表面化のリスクが低減すること、及び望ましい流体捕捉特性を示す。
【0120】
特定の実施形態では、本発明の物品は、本明細書のZ圧縮試験方法に従って、少なくとも約70%、又は少なくとも約74%、約70%~約85%、又は約74%~約80%のZ圧縮回復率を呈してもよく、各範囲についてその範囲内の1%刻みに列挙する。
【0121】
加えて、又は代替的に、物品は、Z圧縮試験方法よれば、少なくとも約1.5Nmm、又は少なくとも約1.75Nmm、又は少なくとも約2Nmm、又は少なくとも約2.2Nmm、又は約2Nmm~約2.5Nmmの圧縮エネルギーを呈してもよく、当該範囲についてその範囲内の0.1Nmm刻みに列挙する。
【0122】
特定の実施形態では、物品は、本明細書に記載の液体捕捉時間試験方法に従って測定した場合、約10秒未満、約5秒未満、約3秒未満、又は約2.5秒未満、又は約1秒~約2.5秒、又は約1.5秒~約2.2秒の捕捉速度を呈し得る。
【0123】
加えて、又は代替的に、物品は、標準再湿潤試験方法に従って、約10mg以下、又は約5mg以下、又は約2mg以下、又は約1mg以下、又は検出不能の尿の標準再湿潤量を呈してもよい。物品は、瞬間再湿潤試験方法に従って、約65mg以下、又は約50mg以下、約25mg以下、又は約5mg以下、又は約4mg以下、又は検出不可能である尿の瞬間再湿潤量を示し得る。
【0124】
本発明による使い捨て吸収性物品を構築し、試験した。更に、比較例の使い捨て吸収性物品を構築し、試験した。
【0125】
比較例1は、それぞれが18gsmのスパンボンド不織布を含む2つのバリアストライプと、14gsmの2成分繊維、メルトブローン不織布、及び22gsmの成形有孔フィルムを備えるトップシートと、14gsmの2成分繊維のスパンボンド不織布を含む流体管理層/二次トップシートと、を含み、14gsmの2成分繊維が有孔成形フィルムを挟んでいる。物品は、パルプ繊維、吸収性ゲル化材料、及び2成分繊維を含む170gsmのエアレイド吸収性コアを更に含む。物品のバックシートは、14.2gsmのポリエチレンフィルムを含む。感圧接着剤は、12gsmでバックシート上にスロットコーティングされている。層は、接着剤によって結合されている。製品は、ドイツにおいて、名称ALWAYS DAILIES(登録商標)Large EXTRA PROTECT(登録商標)で入手可能である。
【0126】
比較例2は、約16gsmの坪量を有するカード不織布と、約14gsmの坪量を有する成形有孔フィルム層とを含むトップシートを含む。物品はまた、約36gsmの坪量を有するエアスルー結合不織布を含む流体管理層/二次トップシートも含む。物品は、パルプ繊維及び吸収性ゲル化材料を備えるエアレイド吸収性コアを更に含み、吸収性コアは、約178gsmの坪量を有する。バックシートは、約18.5gsmの坪量を有するポリマーフィルムである。製品は、ドイツにおいて、名称CAREFREE(登録商標)PLUS LARGE(登録商標)で入手可能である。
【0127】
本発明の実施例1は、24gsmの坪量を有し、かつ、マクロ変形部(開口部と凹部の両方)が形成されたエアスルー結合不織布であるトップシートを含む。エアスルー結合不織布は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンがコア-シース構成であり、ポリエチレンがシースである2成分繊維を含む。繊維は、2.2dtexである。トップシートは、繊維の重量の60%の親水性繊維と、40%の疎水性繊維とを含む。流体管理層は、1.7dtexである20重量%のビスコースセルロース繊維と、10dtexである30重量%の中空螺旋ポリエチレンテレフタレート繊維と、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンをコア-シース構成で有し、ポリエチレンがシースである50重量パーセントの2成分繊維と、を有する、55gsmの一体型不織布である。吸収材は、比較例1の吸収性コアと同じ構造を有する170gsmのエアレイド吸収性コアである。バリアストリップ、バックシート、及び感圧接着剤は、比較例1のものと同じである。
【0128】
本発明の実施例2は、24gsmの坪量を有し、かつ、マクロ変形部(開口部と凹部の両方)が形成されたエアスルー結合不織布であるトップシートを含む。エアスルー結合不織布は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンがコア-シース構成であり、ポリエチレンがシースである2成分繊維を含む。繊維は、2.2dtexである。トップシートは、繊維の重量の60%の親水性繊維と、40%の疎水性繊維とを含む。流体管理層は、1.7dtexである20重量%のビスコースセルロース繊維と、10dtexである30重量%の中空螺旋ポリエチレンテレフタレート繊維と、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンをコア-シース構成で有し、ポリエチレンがシースである50重量パーセントの2成分繊維と、を有する、45gsmの一体型不織布である。吸収材は、比較例1の吸収性コアと同じ構造を有する170gsmのエアレイド吸収性コアである。バリアストリップ、バックシート、及び感圧接着剤は、比較例1のものと同じである。
【0129】
本発明の実施例3は、24gsmの坪量を有し、かつ、マクロ変形部(開口部と凹部の両方)が形成されたエアスルー結合不織布であるトップシートを含む。エアスルー結合不織布は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンがコア-シース構成であり、ポリエチレンがシースである2成分繊維を含む。繊維は、2.2dtexである。トップシートは、繊維の重量の60%の親水性繊維と、40%の疎水性繊維とを含む。流体管理層は、1.7dtexである20重量%のビスコースセルロース繊維と、10dtexである30重量%の中空螺旋ポリエチレンテレフタレート繊維と、第1の成分のポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンをコア-シース構成で有し、ポリエチレンがシースである50重量パーセントの2成分繊維とを有する、45gsmの一体型不織布である。吸収性は、パルプ繊維、吸収性ゲル化材料、及び2成分繊維を含む、144gsmのエアレイド吸収性コアである。バリアストリップ、バックシート、及び感圧接着剤は、比較例1のものと同じである。
【0130】
本発明の実施例4は、24gsmの坪量を有し、かつ、マクロ変形部(開口部と凹部の両方)が形成されたエアスルー結合不織布であるトップシートを含む。エアスルー結合不織布は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンがコア-シース構成であり、ポリエチレンがシースである2成分繊維を含む。繊維は、2.2dtexである。トップシートは、繊維の重量の60%の親水性繊維と、40%の疎水性繊維とを含む。流体管理層は、1.7dtexである20重量%のビスコースセルロース繊維と、10dtexである30重量%の中空螺旋ポリエチレンテレフタレート繊維と、第1の成分のポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンを有し、ポリエチレンがシースであるコア-シース構成で有する50重量パーセントの2成分繊維と、を有する、55gsmの一体型不織布である。吸収性コアは、パルプ繊維、吸収性ゲル化材料、及び2成分繊維を含む144gsmのエアレイド吸収性コアである。バリアストリップ、バックシート、及び感圧接着剤は、比較例1のものと同じである。
【0131】
【表1】
【0132】
表1を見ると分かるように、本発明の実施例は、既知の物品よりも高いZ圧縮回復率を提供する。加えて、本発明の実施例のうちの2つは、既知の物品よりも高い湿潤CDバンチ圧縮を与え、着用中に物品形状及び配置が保持されることを示す。更に、上記の結果の組み合わせを見ると、本発明の実施例は、フィルム層なしで、捕捉及び再湿潤において同等の又はより良好な性能を達成することができる。
【0133】
剥離紙
バックシート表面上にコーティングされた接着剤は、典型的には、保護カバーを備えており、保護カバーは、使用前に除去される。保護カバーは、シリコーンコーティングされた剥離紙、プラスチックフィルム、又は任意の他の容易に除去可能なカバーであってもよい。保護カバーは、単一片又は例えば、個々の接着剤領域を覆うための複数片であってもよい。また、保護カバーは、物品を個別にパッケージすること、又は使い捨ての機能を提供することなど、他の機能を行うこともできる。任意の市販の剥離紙又はフィルムが使用されてもよい。好適な例としては、Akrosil Corporationから入手可能なBL 30 MG-A SILOX EI/O、BL 30 MG-A SILOX 4 P/O、及びドイツのGronauからcode X-5432で入手可能なM&Wフィルムが挙げられる。
【0134】
試験方法
バンチ圧縮試験
試料のバンチ圧縮を、測定される力がセルの限界の1%~99%以内となるロードセルを使用した定速の伸長引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、Testworks 4.0 software又はTestSuite softwareを使用したMTS Alliance、又は等価物である)で測定する。すべての試験は、23℃±3℃かつ相対湿度50%±2%に制御された室内で行われる。試験は湿潤状態又は乾燥状態で実施することができる。
【0135】
図6に示されるように、底部静止固定具3000は、各々幅100mmで、それぞれの可動式プラットフォーム3002a、3002bに各々取り付ける2つの合致する試料クランプ3001からなる。クランプには長さ110mmの「ナイフエッジ」3009があり、これが厚さ1mmの硬質ゴム面3008を把持する。閉じた場合に、クランプはそれぞれのプラットフォームの内側と面一になる。クランプは、バンチしていない試験片を引張試験機の引張軸に対して水平かつ直角に保持するように整列される。これらのプラットフォームはレール3003上に取り付けられ、これにより、プラットフォームを左右に水平に動かし、所定の位置へとロックすることができる。レールは、プラットフォームを引張試験機の引張軸に対して水平かつ直角に固定することができる、引張試験機のマウントに適合するアダプタ3004を有している。上側固定具2000は、全長70mm、直径25.0mmを有する円筒形プランジャ2001である。接触表面2002は、平らであり湾曲がない。プランジャ2001は、プランジャを引張試験機の引張軸に対して直角に固定することができる、ロードセルのマウントに適合するアダプタ2003を有している。
【0136】
試験の少なくとも2時間前に、試料を23℃±3℃、かつ相対湿度50%±2%で調整する。物品全体を試験するときは、物品の衣類対向面にあるパンティ固定接着剤から剥離紙を除去する。接着剤にタルク粉末を軽く塗布して、べたつき感を軽減する。カフがある場合ははさみで切除し、製品のトップシートに影響しないようにする。身体側表面を上にして、物品をベンチ上に置く。物品上で、長手方向中心線と横方向中心線の交点を特定する。長方形の切断ダイを使用して、中心線の交点を中心として、試験片を長手方向100mm、横方向80mmに切断する。物品の吸収性部分だけを試験する場合は、ベンチ上にその吸収性部分を置き、物品内に組み込まれる際と同じ向きにする(すなわち、身体側表面と、横方向軸線及び長手方向軸線を特定する)。長方形の切断ダイを使用して、中心線の交点を中心として、試験片を長手方向100mm、横方向80mmに切断する。
【0137】
試験片は、湿潤時と乾燥時の両方で分析することができる。乾燥試験片は、更なる準備は不要である。湿潤試験片には、0.9%w/vの生理食塩水(すなわち、1Lの脱イオン水に希釈された9.0gのNaCl)を投与する。7mLの投与量の0.9%w/vの生理食塩水を、目盛り付きのエッペンドルフ型ピペットを使用して適用し、約3秒以内に流体を試験試料の身体対向表面全体に広げる。湿潤試験片を投与量の適用の10.0分±0.1分後に試験する。
【0138】
引張試験機のプログラミングによりロードセルのゼロ点調整を行い、次に上側固定具を2.00mm/秒で下げて、プランジャの接触表面が試験片に触れ、ロードセルの読み取り値が2gfとなるようにする。クロスヘッドをゼロにする。システムのプログラミングによりクロスヘッドを2.00mm/秒の速度で15.00mm下げ、すぐにクロスヘッドを2.00mm/秒の速度で15.00mm上げる。このサイクルを、サイクル間に遅延なく、合計5サイクル繰り返す。すべての圧縮/圧縮解除サイクル中のデータを100Hzで収集する。
【0139】
左側プラットフォーム3002aを、上側プランジャの側面から2.5mmの位置に配置する(距離3005)。左側プラットフォームの位置を固定する。このプラットフォーム3002aは実験中、静止したままである。右側プラットフォーム3002bを、静止クランプから50.0mmの位置に整列させる(距離3006)。上側プローブ2001を上げて、試験片のローディングの妨げにならないようにする。両方のクランプを開く。図7Aを参照すると、試験片をクランプ内にその長手方向縁部(すなわち、長さ100mmの縁部)が置かれるように配置する。試験片の横方向の中心を合わせて、両側の縁部をしっかり固定する。図7Bを参照すると、右側プラットフォーム3002bを、静止プラットフォーム3002aに向かって30.0mmの距離だけ移動させる。可動式プラットフォームが配置される際に、試験片は上向きに屈曲する。プローブ2001を手動で、下側表面が、屈曲した試験片の上面から約1cmのところにくるまで下げる。
【0140】
試験を開始し、5回のサイクルすべてについて、力(gf)に対する変位(mm)のデータを収集する。変位(mm)に対する力(gf)のグラフを、すべてのサイクルについて個別に作成する。代表的な曲線を図8Aに示す。この曲線から、各サイクルの最大圧縮力を記録し、サイクルのCDバンチ圧縮として1gf単位で報告する。第1サイクルと第2サイクルとの間の回復率(%)を(TD-E2)/(TD-E1)×100として計算する(式中、TDは合計変位であり、E2は2.0gfを超える第2の圧縮曲線における伸長である)。0.01MPa単位で記録する。同じ要領で、第1サイクルとその他のサイクルとの間の回復率(%)を、(TD-Ei)/(TD-E1)×100として計算し、0.01%単位で記録する。図8Bを参照すると、圧縮曲線の下の面積(すなわち面積A+B)としてサイクル1の圧縮エネルギーを計算し、0.1gfmm単位で記録する。圧縮曲線と圧縮解除曲線との間の面積(すなわち面積A)として、サイクル1のエネルギー損失を計算し、0.1gfmm単位で記録する。圧縮解除曲線の下の面積(すなわち面積B)として、サイクル1の回復エネルギーを計算し、0.1gfmm単位で記録する。同じ要領で、その他のサイクルそれぞれについて圧縮エネルギー(gfmm)、エネルギー損失(gfmm)、及び回復エネルギー(gfmm)を計算し、0.1gfmm単位で記録する。各試料について、合計5回の複製を分析し、各パラメータの算術平均を記録する。具体的には、すべての結果を、乾燥又は湿潤と報告する。
【0141】
3点曲げ試験
試料の曲げ特性を、測定される力がセルの限界の1%~99%以内となるロードセルを使用した定速の伸長引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能なTestworks 4.0 Software又はTestSuite Softwareを使用したMTS Alliance)で測定する。すべての試験は、23℃±3℃かつ相対湿度50%±2%に制御された室内で行われる。
【0142】
底部静止固定具は、研磨ステンレス鋼製で形成された、それぞれが自身のフォーク上に設置された直径3.175mm、長さ60mmの2本のバーからなる。これら2本のバーは水平に取り付けられ、バーの半径頂部が垂直方向に整列した状態で互いに対して前後方向に平行に整列される。更に固定具は、2本のバーを軌道上で互いから離れるように水平方向に動かすことを可能とするため、バーの向きを維持しつつその間に間隙が設定することができる。上側固定具は、フォーク上に取り付けられた研磨ステンレス鋼製で直径3.175mm、長さ60mmの第3のバーからなる。定位置にあるとき、上側固定具のバーは、下側固定具のバーと平行であり、かつ前後方向に整列される。固定具は両方とも、引張試験機上のそれぞれの位置に嵌合して所定の位置に固定するのに適切な一体型のアダプタを含み、その結果、バーは引張試験機のクロスビームの運動と直交する。
【0143】
下側固定具の各バー間の間隙を25mm±0.5mm(バーの中心部からバーの中心部まで)に設定し、上部バーの中心を各下部バー間の中点に合わせる。ゲージ(上部バーの底部から下部バーの頂部まで)を1.0cmに設定する。
【0144】
試験2時間前に、23℃±3℃かつ相対湿度50%±2%で試料を調整する。物品の中心から物品の長手方向(MD)に50.8mmかつ物品の横方向(CD)に50.8mmで、切断後の向きを維持しながら、試験片を切断する。各試験片は、折り目を含まない領域から採取される。0.1kPaの封圧を適用する直径25mmの押さえを装着したデジタルキャリパ(例えば、Ono Sokki GS-503又は等価物)を使用して、各試験片のキャリパを測定する。押さえを試料上に置いて5秒後にキャリパ(mm)を読み取り、0.01mm単位で記録する。
【0145】
撓み曲げ試験用の引張試験機を、上側バーが試験片の頂面に触れるまで上側固定具が1.0mm/秒の速度で下側固定具に対して下方に移動するようにクロスヘッドを移動させ、次いで、更に12mm継続して、100Hzで力(N)及び変位(mm)のデータを収集し、クロスヘッドを元のゲージに戻すようにプログラムする。
【0146】
試験片を、上側バーの下に中心が置かれた2本の下側バーにまたがるようにして、その側部が各バーと平行になるようにロードする。MDの向きについては、MD方向は、3本のバーの長さに垂直である。CDの向きについては、CD方向は各バーの長さに垂直である。クロスヘッド及びロードセルをゼロ点調整する。実験を開始してデータを収集する。
【0147】
変位(mm)に対する力(N)のグラフを作成する。グラフから、最大ピーク力を0.01N単位で記録する。同じ要領で、試験手順の全体を3つのMD試験試料及び3つのCD試験試料について繰り返す。それぞれの向き(MD及びCD)における複製の最大ピーク力の算術平均を計算し、3点曲げ剛性として0.01N単位で報告し、報告された値での向きを記録する。
【0148】
液体捕捉時間
公定法WSP70.3に記載される裏抜けプレート及び電子回路間隔タイマーを使用して、既知の体積の試験液体で汚された試験試料について液体捕捉時間を測定する。試験液体が試験試料内へと通過するのに要する時間を記録する。液体捕捉試験に続いて、試験試料に対して再湿潤試験(本明細書では別個に記載する)を実施する。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0149】
この液体捕捉試験で使用した試験液体は、VWR International(又は同等の供給源)から入手可能な、尿素(NHCONH、CAS番号57-13-6)、塩化ナトリウム(NaCl、CAS番号7647-14-5)、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO 7HO、CAS番号10034-99-8)、塩化カルシウム無水物(CaCl、CAS番号10043-52-4)及び脱イオン水の試薬グレード成分を含む。試験液体を調製するために、2.0%w/vの尿素、0.90%w/vの塩化ナトリウム、0.11%w/vの硫酸マグネシウム七水和物、0.06%w/vの塩化カルシウム無水物を十分な大きさのメスフラスコに添加する。次いで、脱イオン水(十分な量)を充填して、完全に混合する。試験液体は室温で使用する。
【0150】
試験装置は、公定法WSP70.3に記載されている装置の説明に従って、裏抜けプレートと、ベースプレートと、電子タイマーと、投与量の試験液体を放出する磁気弁を備えた漏斗と、漏斗を保持するリングスタンドと、含む。適当な装置は、Lenzing Instruments GmbH & Co(Gampern,Austria)から入手可能なLister ACである。加えて、3.0mLの投与量の試験液体を送達することができるマイクロピペットが使用される。
【0151】
試験試料は、任意の外側パッケージから吸収性物品を取り出すことによって用意され、物品が折り畳まれている場合、それを広げて、存在する場合にはウィングを展開する。パンティ固定用接着剤を覆う保護層は残すことができる。試験位置は、吸収性物品の長手方向の中点と横方向の中点との交点である。試験前に、前述したように試験試料を調整する。
【0152】
以下のように液体捕捉時間を測定する。試験試料をベースプレート上に置き、試験位置をプレートの中心に置く。裏抜けプレートを、プレートのオリフィスの中心の下に試験位置が位置するようにして試験試料の上に置く。次に、ベースプレートと試験試料と裏抜けプレートとのスタック全体を漏斗の下に置き、漏斗の下の中心に試験位置を合わせる。漏斗の高さを、裏抜けプレートの頂面の5+1mm上方(すなわち、試験試料の頂面の30mm上方)になるように調節する。裏抜けプレートの電極を電子タイマーに接続し、タイマーをゼロに設定したことを確かめる。漏斗の放出弁を閉じた状態で、マイクロピペットを使用して、3.0mLの試験液体を漏斗内に分注する。漏斗の磁気放出弁を開き、3.0mLの試験液体を裏抜けプレートのリザーバ内に放出する。電子タイマーは、試験液体が電極と接触するとすぐに開始し、試験液体が電極のレベルを下回る(すなわち、液体投与量全体が試験試料に浸透した状態)と停止する。電子タイマーに示された時間を0.01秒単位で記録する。次いで、試験試料を、本明細書に別個に記載された再湿潤試験のうちの1つにより、直ちに評価する(標準再湿潤量又は瞬間再湿潤量)。次の試料を試験する前に、電極及び裏抜けプレートを脱イオン水で洗浄し、完全に乾燥させる。
【0153】
同じ要領で、5個の複製試験試料について試験手順を繰り返す。液体捕捉時間を複製の算術平均として計算して、0.01秒単位で報告する。
【0154】
標準再湿潤量
液体捕捉試験(本明細書で別個に記載する)の20分後に、試験試料で標準再湿潤量を測定する。再湿潤量は、重量が印加されたときに、予め湿潤させておいた試験試料から出てくる液体の量である。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%に維持された実験室内で実施する。
【0155】
再湿潤重りは、ステンレス鋼又は等価物で構成され、重りの底面の寸法が4.5cm×10cmであり、重りの総質量は、取り付けられ得る任意のハンドルを含めて3150gである。必要に応じて、再湿潤重りの下降及び上昇を補助するために、機械的装置を構築することができる。
【0156】
各試験試料について、直径150mmに切断した2枚重ねの濾紙を再湿潤基材として使用する。試験前に、少なくとも2時間にわたって、23℃±2℃かつ相対湿度50%±2%で試験試料を調整する。好適な濾紙は、約85gsmの坪量、中度の多孔度を有する約180マイクロメートルの厚さを有し、Whatman grade 597としてVWR Internationalから入手可能である。
【0157】
2枚重ねの濾紙の質量を求め、乾燥質量fpとして0.001グラム単位で記録する。液体捕捉試験後、20分が経過した時点で、試験試料から裏抜けプレートを静かに除去し、脇に置く。2枚重ねの予め秤量された濾紙を試験試料上に置き、スタックを投与位置の中心に置く。次に、濾紙の上に再湿潤重りを中心を合わせて置き、15秒タイマーを開始する。15秒経過したらすぐに、再湿潤重りを静かに除去し、脇に置く。2枚重ねの濾紙の質量を求め、湿潤質量fpとして0.001グラム単位で記録する。湿潤質量fpから乾燥質量fpを減算し、標準再湿潤量として0.001グラム単位で報告する。次の試料を試験する前に、再湿潤重りの底面から残っている試験液体を拭き取る。
【0158】
同じ要領で、5個の複製試料について手順全体を繰り返す。標準再湿潤を複製の算術平均として計算して、0.001グラム単位で報告する。
【0159】
瞬間再湿潤量
液体捕捉試験(本明細書で別個に記載する)の1分後に、試験試料で瞬間再湿潤量を測定する。再湿潤量は、重量が印加されたときに、予め湿潤させておいた試験試料から出てくる液体の量である。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%に維持された実験室内で実施する。
【0160】
再湿潤重りは、ステンレス鋼又は等価物で構成され、重りの底面の寸法が4.5cm×10cmであり、重りの総質量は、取り付けられ得る任意のハンドルを含めて3150gである。必要に応じて、再湿潤重りの下降及び上昇を補助するために、機械的装置を構築することができる。
【0161】
各試験試料について、直径150mmに切断した2枚重ねの濾紙を再湿潤基材として使用する。試験前に、少なくとも2時間にわたって、23℃±2℃かつ相対湿度50%±2%で試験試料を調整する。好適な濾紙は、約85gsmの坪量、中度の多孔度を有する約180マイクロメートルの厚さを有し、Whatman grade 597としてVWR Internationalから入手可能である。
【0162】
2枚重ねの濾紙の質量を求め、乾燥質量fpとして0.001グラム単位で記録する。液体捕捉試験後、1分が経過した時点で、試験試料から裏抜けプレートを静かに除去し、脇に置く。2枚重ねの予め秤量された濾紙を試験試料上に置き、スタックを投与位置の中心に置く。次に、濾紙の上に再湿潤重りを中心を合わせて置き、15秒タイマーを開始する。15秒経過したらすぐに、再湿潤重りを静かに除去し、脇に置く。2枚重ねの濾紙の質量を求め、湿潤質量fpとして0.001グラム単位で記録する。湿潤質量fpから乾燥質量fpを減算し、瞬間再湿潤量として0.001グラム単位で報告する。次の試料を試験する前に、再湿潤重りの底面から残っている試験液体を拭き取る。
【0163】
同じ要領で、5個の複製試料について手順全体を繰り返す。瞬間再湿潤量を複製の算術平均として計算して、0.001秒単位で報告する。
【0164】
空気透過率
空気透過率は、特定の試験面積及び圧力低下の条件下で試験片を垂直に通過する空気流の速度である。公定法WSP70.1に従って、本方法に記載される試験装置を使用して、20cmの試験面積及び125Paの圧力低下について空気透過率を測定する。好適な計器は、Textest AG(Schwerzenbach,Switzerland)から入手可能なFX3300 Air Permeability Testerである。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0165】
測定は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験片、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験片について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤がすべて確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料が乾燥した後、試験片を得る。試験片は、任意の固有の材質変動が考慮されるように、可能な限り大きくなければならず、20cmの試験オリフィスよりも大きくなければならない。
【0166】
125Paの圧力低下における20cmのオリフィスを有する試験片の空気透過率を測定し、0.1m/m/分単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験片について試験を繰り返す。評価されるそれぞれの特定の材料層について、空気透過率の算術平均を算出し、0.1m/m/分単位で報告する。
【0167】
キャリパ
試験片のキャリパ又は厚さは、試験片が載置される基準プラットフォームと、特定の時間にわたって試料上に特定の量の圧力をかける押さえとの間の距離として測定される。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験片は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0168】
キャリパは、0.50kPa±0.01kPaの定常圧力を試験片にかけることができる押さえを備えた手動式マイクロメータで測定する。手動で操作されるマイクロメータは、0.01mmまでの正確な読み取り値を有する自重型器具である。好適な器具は、VWR Internationalから入手可能なMitutoyo Series 543 ID-C Digimatic、又は等価物である。押さえは、試験片よりも小さい直径を有し、必要な圧力をかけることが可能な、平坦な接地した円形可動面である。好適な押さえは、25.4mmの直径を有するが、測定される試料の大きさに応じて、より小さい押さえ又はより大きい押さえを使用することができる。試験片は、押さえの表面よりも大きく、かつ押さえの表面に平行な水平の平坦な基準プラットフォームによって支持される。システムは、製造元の指示に従って較正及び操作される。
【0169】
必要に応じて、吸収性物品から切除することによって試験片を得る。試験片を吸収性物品から切除するとき、プロセス中に試験片の層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験片は、折り目又は皺を含まない領域から得られ、押さえよりも大きくなければならない。
【0170】
キャリパを測定するために、最初に、水平平坦な基準プラットフォームに対してマイクロメータをゼロにする。試験位置が押さえの下で中心にある状態で、試験片をプラットフォーム上に置く。全圧力が試験片にかかるまで、3.0mm±1.0mm/秒の下降速度で押さえを静かに下げる。5秒待った後、試験片のキャリパを0.001mm単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験片について繰り返す。すべてのキャリパ測定値について算術平均を計算し、キャリパとして0.001mm単位で報告する。
【0171】
キャリパ係数
キャリパ係数は、前述したように、試料の坪量10gsm当たりのキャリパである。したがって、式はキャリパ/(坪量/10)である。
【0172】
秤量
試験試料の坪量は、単一の材料層の単位面積(平方メートル単位)当たりの質量(グラム単位)であり、公定法WSP130.1に従って測定される。試験試料の塊を既知の面積に切断し、0.0001グラムの精度の分析天秤を用いて試料の質量を測定する。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0173】
測定は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験試料について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤がすべて確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料が乾燥した後、試験片を得る。試験片は、任意の固有の材質変動が考慮されるように、可能な限り大きくなければならない。
【0174】
NISTにトレーサブルな較正された鋼製金属定規又は同等物を使用して、単層試験片の寸法を測定する。試験片の面積を計算し、0.0001平方メートル単位で記録する。分析天秤を使用して試験片の質量を取得し、0.0001グラム単位で記録する。質量(グラム単位)を面積(平方メートル単位)で除算して坪量を計算し、0.01グラム/平方メートル(gsm)単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験片について試験を繰り返す。坪量の算術平均を計算し、0.01グラム/平方メートル単位で報告する。
【0175】
材料の組成分析
複数の繊維タイプの混合物を含む試験片の定量的化学組成をISO1833-1を用いて決定する。すべての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%に維持された実験室内で実施する。
【0176】
分析は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験試料について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤がすべて確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料を乾燥させた後、試験片を得て、ISO1833-1に従って試験してその化学組成を定量的に決定する。
【0177】
繊維のデシテックス(Dtex)
織物ウェブ(例えば、織布、不織布、エアレイド)は、材料の個別の繊維から構成されている。繊維を、デシテックス単位で報告された線質量密度を単位として測定する。デシテックス値は、10000メートルの繊維中に存在するその繊維の質量をグラム単位で表したものである。材料ウェブ中の繊維のデシテックス値は、多くの場合、仕様の一部として製造業者によって報告されている。繊維のデシテックス値が既知でない場合、走査電子顕微鏡法(SEM)などの好適な顕微鏡法によって繊維の断面積を測定し、FT-IR(フーリエ変換赤外線)分光法及び/又はDSC(動的走査熱量測定)などの好適な方法を用いて繊維の組成を決定した後、組成物の密度についての文献の値を用いて10000メートルの繊維中に存在する繊維の質量をグラム単位で計算することによって計算することができる。すべての試験は、23℃±2.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施され、試料は、試験前に少なくとも2時間、同じ環境条件下で調整される。
【0178】
必要に応じて、対象とするウェブ材料の代表的な試料を吸収性物品から切除することができる。この場合、試料が伸張、歪み、又は汚染しないようにウェブ材料を切除する。
【0179】
SEM画像を得たら、以下のように分析して、繊維の断面積を決定する。ウェブ材料の試料の断面を分析するため、試験片を以下のように調製する。折り目又は皺を含まない約1.5cm(高さ)×2.5cm(長さ)の試験片をウェブから切断する。試料を液体窒素中で浸漬し、試験片の長さに沿って縁部をかみそり刃(VWR Single Edge Industrial Razor blade No.9、外科用炭素鋼)を用いて折り取る。試験片に金をスパッタコートし、次いで両面導電性テープ(Cu、electron microscopy sciencesより入手可能な3M)を使用してSEMマウントに接着する。測定される断面の斜め歪みを最小限にするため、試験片の向きを、断面が検出器に対してできるだけ垂直となるようにする。SEM画像を、試験片中に存在する繊維の断面が明確に示されるような十分な解像度で得る。繊維断面の形状は様々に異なり、繊維によっては複数の個別のフィラメントで構成されるものもある。それにかかわらず、繊維断面のそれぞれの面積は測定される(例えば、円形繊維では直径、楕円形繊維では長軸及び短軸、より複雑な形状では画像解析を用いて)。繊維断面が不均質な断面組成を示す場合、各認識可能な構成成分の面積を記録し、各構成成分についてdtexの寄与度を計算した後、合計する。例えば、繊維が2成分繊維である場合、コア及びシースについて断面積を別々に測定し、コア及びシースからのdtex寄与度をそれぞれ計算して、合計する。繊維が中空である場合には、繊維のdtexに大きく寄与しない空気からなる繊維の内側部分を断面積から除外する。全体として、少なくとも100回の断面積のこのような測定を試料中に存在する各繊維タイプに対して行い、それぞれについて平方マイクロメートル(μm)の単位で表した断面積の算術平均aを0.1μm単位で記録する。
【0180】
繊維の組成を、FTIR分光法などの一般的な特性評価法を用いて決定する。より複雑な繊維組成(ポリプロピレンコア/ポリエチレンシースの2成分繊維など)の場合には、繊維組成を完全に特徴付けるために一般的な方法(例えば、FTIR分光法とDSC)の組み合わせが必要とされる場合もある。ウェブ材料中に存在する各繊維タイプについて、このプロセスを繰り返す。
【0181】
ウェブ材料中の各繊維タイプのデシテックスd値は、以下のように計算される。 d=10000m×a×ρ×10-6 式中、dの単位は(計算された長さ10000メートル当たりの)グラム数であり、aの単位はμmであり、ρの単位はグラム/立方センチメートル(g/cm)である。デシテックスは、繊維タイプ(例えば、PP、PET、セルロース、PP/PET2成分)と共に0.1g単位(計算された長さ10000メートル当たり)で報告する。
【0182】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0183】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0184】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
液体透過性のトップシートと、
前記トップシートに少なくとも外周で接合されたバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、
前記トップシートと前記吸収性コアとの間に配置され、40gsm~65gsmの坪量を有する一体化された不織布の流体管理層と、を備え
記吸収性コアは、少なくとも140gsmの坪量を有し、
前記トップシートは、少なくとも22gsmの坪量を有し
前記流体管理層は、10重量%~60%重量の吸収性繊維と、15重量%~70重量%の弾性繊維と、25重量%~70%重量の剛化繊維とを含
前記流体管理層が、水流交絡又はニードルパンチによって一体化されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品がライナーである、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性コアが、少なくとも150gsmの坪量を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートにはフィルムがない、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性繊維は、ビスコースセルロース繊維であり、
前記弾性繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維であり、
前記剛化繊維は、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートの2成分繊維である、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品は、本明細書に記載のバンチ圧縮試験方法に従って測定されたときに、325gF以上の湿潤CDバンチ圧縮値を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品は、本明細書に記載のバンチ圧縮試験方法に従って測定されたときに、52%以上の乾燥CDバンチ圧縮回復率を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品は、第1のz方向に増加する多孔度勾配を有し、前記第1のz方向は、前記バックシートから前記トップシートに向かって延びる、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記トップシートの多孔度が、前記流体管理層よりも5%~20%大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記トップシートは、複数の開口部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品は、少なくとも74%のZ圧縮回復率を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【外国語明細書】