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特開2024-42036原子層堆積による防湿層を有するPLAフィルムを含むパッケージ包装材
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  • 特開-原子層堆積による防湿層を有するPLAフィルムを含むパッケージ包装材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042036
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】原子層堆積による防湿層を有するPLAフィルムを含むパッケージ包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20240319BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20240319BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65D85/10
B65D65/42 A
B65D65/46
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009993
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2022088318の分割
【原出願日】2017-06-30
(31)【優先権主張番号】15/208,352
(32)【優先日】2016-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594112886
【氏名又は名称】アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーズ・ドン・セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】サミ・イルマリ・スネック
(72)【発明者】
【氏名】ミッコ・ユハニ・ソデルルンド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タバコ又はシガレットパッケージ等のパッケージ用の防湿フィルムを提供する。
【解決手段】フィルムは、生分解性であると共に透明であるポリ乳酸(「PLA」)を含む。フィルムは、比較的低い融点を有する2つの外側層に比べ、比較的高い融点を有するベース層を有するPLAの複数の層を含む。外側層は、フィルムにヒートシール能力を提供する。フィルムは、原子層堆積(「ALD」)コーティング法を使用して、酸化アルミニウム、酸化チタン及び/又は酸化アルミニウムチタンからなる金属酸化物層でコーティングされる。PLAフィルムへのALDコーティングは、ALD金属酸化物層の亀裂を誘発する折り目をフィルムに付けた後に、4g/m2/日未満の透湿度をもたらす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材で形成された本体と;
前記紙材で形成された上部と;
前記上部及び前記本体により形成された中央区画と;
フィルムで形成された包装材と
を備えるパッケージであって、前記フィルムが、
第1の融点を有する第1の材料を含む第1の層と;
第2の融点を有する第2の材料を含む第2の層と、
ここで、前記第2の融点は前記第1の融点より低く、前記第2の層の第1の面は前記第1の層の第1の面に結合されている;
前記第2の層の第2の面に塗布された防湿コーティングであって、金属酸化物を含む防湿コーティングと
を備える、パッケージ。
【請求項2】
前記フィルムが、前記第2の材料を含む第3の層をさらに備え、前記第3の層の第1の面が、前記第1の層の第2の面に結合され、前記第1の層の前記第2の面が、前記第1の層の前記第1の面とは反対側である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記フィルムが、前記第3の層の第2の面に塗布された前記防湿コーティングをさらに備える、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記第1の材料が、第1のポリ乳酸材料であり、前記第2の材料が、第2のポリ乳酸材料である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記第1のポリ乳酸材料又は前記第2のポリ乳酸材料の少なくとも一方が、トウモロコシベースである、請求項4に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記第1の材料が、バイオベースのポリプロピレンである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記防湿コーティングが、透明である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記防湿コーティングが、酸化アルミニウム、酸化チタン、又は酸化アルミニウムチタンの少なくとも1つである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり4グラム未満の透湿度を有する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり2グラム未満の透湿度を有する、請求項9に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記フィルムが、15~30ミクロンの厚さである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項12】
防湿コーティングを有するフィルムの製造方法であって、
第1の融点を有する第1の材料を含む第1の層を形成することと;
第2の融点を有する第2の材料を含む第2の層を形成することと、
ここで、前記第2の融点は前記第1の融点より低く;
前記第2の層の第1の面が、前記第1の層の第1の面に結合されており;
前記第2の層の第2の面を、金属酸化物を含む防湿コーティングでコーティングすることと、
ここで、前記第2の層の前記第2の面が、前記第2の層の前記第1の面とは反対側である、
を含む方法。
【請求項13】
前記フィルムをコアの周りに巻き取って、前記フィルムのロールを形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の材料を含む第3の層を形成することをさらに含み、前記第3の層の第1の面が、前記第1の層の第2の面に結合されている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の層の第2の面を前記防湿コーティングでコーティングすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記防湿コーティングが、原子層堆積工程によって前記第2の層の前記第2の面に塗布される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記原子層堆積工程が、真空下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の層及び前記第2の層が、押出し工程によって形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の材料が、第1のポリ乳酸材料であり、前記第2の材料が、第2のポリ乳酸材料である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポリ乳酸材料又は前記第2のポリ乳酸材料の少なくとも一方が、トウモロコシベースである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の材料が、バイオベースのポリプロピレンである、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記防湿コーティングが、透明である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記防湿コーティングが、酸化アルミニウム、酸化チタン、又は酸化アルミニウムチタンの少なくとも1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり4グラム未満の透湿度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり2グラム未満の透湿度を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルムが、15~30ミクロンの厚さである、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
第1の融点を有する第1の材料を含む第1の層と;
第2の融点を有する第2の材料を含む第2の層と、
ここで、前記第2の融点は前記第1の融点より低く、前記第2の層の第1の面が前記第1の層の第1の面に結合されており;
前記第2の層の第2の面に塗布された防湿コーティングであって、金属酸化物を含む防湿コーティングと
を備えるフィルム。
【請求項28】
前記第2の材料を含む第3の層をさらに備え、前記第3の層の第1の面が、前記第1の層の第2の面に結合され、前記第1の層の前記第2の面が、前記第1の層の前記第1の面とは反対側である、請求項27に記載のフィルム。
【請求項29】
前記第1の材料が、第1のポリ乳酸材料であり、前記第2の材料が、第2のポリ乳酸材料である、請求項27に記載のフィルム。
【請求項30】
前記第1のポリ乳酸材料又は前記第2のポリ乳酸材料の少なくとも一方が、トウモロコシベースである、請求項29に記載のフィルム。
【請求項31】
前記防湿コーティングが、酸化アルミニウム、酸化チタン、又は酸化アルミニウムチタンの少なくとも1つである、請求項27に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年7月12日に出願された米国特許出願第15/208,352号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、防湿パッケージ包装材に関する。
【背景技術】
【0003】
シガレットは、従来パッケージで販売されており、各パッケージは多くの場合20本のシガレットを含んでいる。典型的なシガレットパッケージは、略直方体の形状をしている。ある種類の一般的なシガレットパッケージは、いわゆる「ハードパック」、「クラッシュプルーフボックス」又は「ヒンジ式蓋付きパッケージ」の形態を有する容器を使用している。例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Foxらに対する米国特許第3,874,581号明細書;Niepmannらに対する米国特許第3,944,066号明細書;Allenらに対する米国特許第4,852,734号明細書;Moellerに対する欧州特許第0392737号明細書;及びJonesらに対する米国特許出願公開第2008/0230410号明細書を参照されたい。別の種類の一般的なシガレットパッケージは、いわゆる「ソフトパック」の形態を有する容器を使用している。例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tripodiに対する米国特許第3,695,422号明細書;Sprinkelらに対する米国特許第4,717,017号明細書;及びWolfeに対する米国特許第5,333,729号明細書を参照されたい。両方の種類のシガレットパッケージが、通常、同じく略直方体の形態のカートンで、典型的には1カートンに対して10個のパッケージで包装されている。
【0004】
シガレットパッケージの追加の例は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Carterらに対する米国特許第8,522,515号明細書;Guerreraらに対する米国特許第8,118,161号明細書;Wuに対する米国特許第7,823,731号明細書;Koetterらに対する米国特許第7,228,961号明細書;Stringfieldに対する米国特許第7,048,115号明細書;Hensonらに対する米国特許第7,014,039号明細書;Faggらに対する米国特許第6,364,106号明細書;Coblerらに対する米国特許第5,379,889号明細書;Burrowsらに対する米国特許第5,248,031号明細書;Burrowsらに対する米国特許第5,139,140号明細書;及びLangleyらに対する米国特許第4,807,745号明細書に見出すことができる。
【0005】
上記のシガレットパッケージは、典型的には折り曲げられ接着された紙材から形成される。紙材は、シガレットパッケージに構造的剛性を与える。しかしながら、その板紙自体はタバコ製品の適切な保存のために必要な水分保持特性を提供しない。したがって、ほとんどの市販のシガレットパッケージは、パック内から外部への水分の損失を防止するプラスチックフィルム内に封入されている。プラスチックフィルムは、典型的には、固有の防湿層を有する石油由来の透明二軸延伸ヒートシール可能ポリプロピレンフィルムである。これらのポリプロピレンフィルムを通過する透湿度は、ASTM D1249により38℃及び90%相対湿度で測定したときに約4g/m/日である。この防湿層は、パッケージが数ヶ月の貯蔵寿命を有することができるように、パック内のタバコを数ヶ月間加湿状態に維持する。しかしながら、これらのフィルムは、石油ベースの起源のために持続可能とは考えられていない。さらに、石油由来のプラスチックフィルムは、少しも生分解性ではなく、埋立廃棄物の一因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,874,581号明細書
【特許文献2】米国特許第3,944,066号明細書
【特許文献3】米国特許第4,852,734号明細書
【特許文献4】欧州特許第0392737号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0230410号明細書
【特許文献6】米国特許第3,695,422号明細書
【特許文献7】米国特許第4,717,017号明細書
【特許文献8】米国特許第5,333,729号明細書
【特許文献9】米国特許第8,522,515号明細書
【特許文献10】米国特許第8,118,161号明細書
【特許文献11】米国特許第7,823,731号明細書
【特許文献12】米国特許第7,228,961号明細書
【特許文献13】米国特許第7,048,115号明細書
【特許文献14】米国特許第7,014,039号明細書
【特許文献15】米国特許第6,364,106号明細書
【特許文献16】米国特許第5,379,889号明細書
【特許文献17】米国特許第5,248,031号明細書
【特許文献18】米国特許第5,139,140号明細書
【特許文献19】米国特許第4,807,745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、生分解性であり、また必要な防湿特性を与える持続可能に供給される透明フィルムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記及び他の必要性は、第1の態様において防湿コーティングフィルムを提供する本開示の態様によって満たされる。フィルムは、第1の融点を有する第1の材料を含む第1の層を含む。フィルムは、第2の融点を有する第2の材料を含む第2の層をさらに含む。第2の融点は、第1の融点より低い。第2の層の第1の面は、第1の層の第1の面に結合している。フィルムは、第2の層の第2の面に塗布された防湿コーティングを含み、防湿コーティングは金属酸化物を含む。
【0009】
第2の態様では、防湿コーティングを有するフィルムを製造する方法が提供される。方法は、第1の融点を有する第1の材料を含む第1の層を形成することを含む。この方法はさらに、第2の融点を有する第2の材料を含む第2の層を形成することを含む。第2の融点は、第1の融点より低い。第2の層の第1の面は、第1の層の第1の面に結合している。方法は、第2の層の第2の面を、金属酸化物を含む防湿コーティングでコーティングすることをさらに含む。第2の層の第2の面は、第2層の第1の面とは反対側である。
【0010】
第3の態様では、パッケージが提供される。パッケージは、紙材で形成された本体と上部とを含む。パッケージは、上部と本体とによって形成された中央区画を含む。パッケージは、フィルムで形成された包装材をさらに含む。フィルムは、第1の融点を有する第1の材料を含む第1の層と、第2の融点を有する第2の材料を含む第2の層とを含む。第2の融点は、第1の融点より低い。第2の層の第1の面は、第1の層の第1の面に結合されている。フィルムは、第2の層の第2の面に塗布された防湿コーティングをさらに含み、防湿コーティングは金属酸化物を含む。
【0011】
本開示のさらなる特徴及び利点は、以下の説明においてより詳細に説明される。
【0012】
本開示を一般的な用語で説明したが、ここで、必ずしも正確な縮尺で描かれていない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な実施形態による防湿フィルムの断面図である。
図2】例示的な実施形態による図1の防湿フィルムを製造する方法のフロー図である。
図3】例示的な実施形態に従って形成されたシガレットパックの斜視図である。
図4図3のシガレットパックの別の斜視図である。
図5図1のフィルムに包装された図3のシガレットパックの図である。
図6】例示的実施形態による、図1のフィルムに包装されたシガレットパックを製造する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、本開示の全てではないが一部の態様が示されている添付の図面を参照して、本開示を以下でより完全に説明する。実際に、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が徹底的及び完全であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝え、また適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0015】
本明細書に記載の様々な実施形態は、タバコ又はシガレットパッケージ等のパッケージ用の防湿フィルムに関する。フィルムは、生分解性であると共に透明であるポリ乳酸(「PLA」)を含む。いくつかの構成では、フィルムはトウモロコシ由来である。フィルムは、比較的低い融点を有する2つの外側層に比べ、比較的高い融点を有するベース層を有するPLAの複数の層を含む。外側層は、フィルムにヒートシール能力を提供する。いくつかの構成では、原子層堆積(「ALD」)コーティング法を使用して、2~10nmのコーティング厚を有する酸化アルミニウム、酸化チタン及び/又は酸化アルミニウムチタンからなる金属酸化物層でフィルムがコーティングされる。PLAフィルムへのALDコーティングは、ALD金属酸化物層の亀裂を誘発する折り目をフィルムに付けた後に、4g/m/日未満の透湿度をもたらす。したがって、記載されたフィルムはシガレットパックを包装するためのポリプロピレンフィルムの代用品としての使用に好適である。PLA包装パックの外観は、ポリプロピレンフィルムで包装されたパックと類似しているか、それよりもさらに優れている。
【0016】
防湿フィルム
図1を参照すると、例示的フィルム100の断面図が示されている。フィルム100は、ベース層102、外側層104、及び内側層106からなる多層フィルムである。ベース層102は、外側層104と内側層106との間に配置されている。ベース層102、外側層104及び内側層106は、合計の厚さが15~30ミクロンの間の厚さである。いくつかの構成では、ベース層102、外側層104及び内側層106の合計の厚さは、20ミクロンの厚さである。いくつかの構成では、外側層104及び内側層106の厚さは、それぞれ1~2ミクロンの間の厚さである。いくつかの構成では、ベース層102、外側層104及び内側層106は、共押出工程によって形成され、互いに結合される。押出し工程の後、フィルム100は、コアの周りに巻かれてもよい。
【0017】
外側層104及び内側層106は、第1の材料からなる。第1の材料は、第1のポリ乳酸(「PLA」)材料である。第1のPLA材料は、透明で生分解性である。いくつかの構成では、第1のPLA材料は、トウモロコシベースである。第1のPLA材料は、第1の溶融温度を有する。いくつかの構成において、第1の溶融温度は、摂氏120度未満である。さらなる構成では、第1の溶融温度は、摂氏100度未満である。ベース層102は、透明で第2の溶融温度を有する第2の材料からなる。第2の溶融温度は、フィルム100にヒートシール能力を与える第1の溶融温度より高い。いくつかの構成において、第2の材料は、第2のポリ乳酸材料である。第2のPLA材料は、トウモロコシベースであってもよい。他の配置において、第2の材料は、バイオベースのポリプロピレンである。さらなる構成では、第2の材料は、第1の溶融温度よりも高い溶融温度を有するように改質された第1のPLA材料である。いくつかの構成において、第2の溶融温度は、摂氏130~220度の間である。
【0018】
フィルム100は、コーティング108を含む。コーティング108は、フィルム100に防湿層を提供する。コーティング108は、外側層104がコーティング108とベース層102との間に配置されるように、外側層104の自由表面に塗布される。いくつかの構成では、コーティング108は、内側層106がコーティング108とベース層102との間に配置されるように、内側層106の自由表面にも塗布される。
【0019】
コーティング108は、透明又は実質的に透明な金属酸化物コーティングである。いくつかの構成では、コーティング108は、酸化アルミニウムチタン(「ATO」)である。他の構成では、コーティング108は、酸化アルミニウム又は酸化チタンである。ATOで作製されたコーティングは、酸化アルミニウム又は酸化チタンから作製されたコーティングよりも柔軟でクラック耐性を有する。他の構成では、コーティングは、二酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)等の他の金属酸化物を含む。コーティング108は、原子層堆積(「ALD」)工程を通してフィルムに塗布される。いくつかの構成では、ALD工程は、真空下で行われる。他の構成では、ALD工程は、大気圧下で行われる。いくつかの構成では、ALDチャンバは、摂氏100度未満の温度を有する。ALD工程は、熱ALD工程又はプラズマALD(「PEALD」)工程であってもよい。ALD工程の間、コーティング108のないフィルム100のロールは、ALDコーティング機を通って供給され、そこでフィルム100は、金属前駆体及び酸化剤の曝露を受けて、フィルム100上に所望のALDコーティングを堆積する。いくつかの構成では、ALDコーティングは、フィルム100の片面にのみ塗布される。他の構成では、ALDコーティングは、フィルム100をALDコーティング機に1回通過させる、又は複数回通過させる間に、フィルム100の両面に塗布される。したがって、金属酸化物は、フィルム100上(例えば、外側層104上及び/又は内側層106上)に堆積されてコーティング108を形成する。いくつかの構成では、コーティング108は、3ナノメートルの厚さに形成される。
【0020】
上述のように、コーティング108は、フィルム100に防湿層を提供する。フィルムがコーティング108でコーティングされた後、フィルム100は、(例えば、フィルムを使用してパッケージを包装する場合に行われるように)フィルム100に折り目を付けた後に4g/m/日未満の透湿度を有する。折り目は、コーティング108の亀裂を誘発する。いくつかの構成では、フィルム100は、フィルム100に折り目を付けた後に2g/m/日未満の透湿度を有する。
【0021】
以下でさらに詳細に説明されるように、フィルム100は、パッケージ内の内容物を周囲からシールするために、パッケージ製品を包装するものとして使用され得る。フィルムに包装された得られるパッケージ製品は、防湿性とヒートシール性の両方を有する。
【0022】
防湿フィルムの製造方法
様々な実施形態において、本明細書に記載の発明は、フィルム100の製造方法に関する。図2を参照すると、例示的実施形態による防湿フィルム100を製造する方法200のフロー図が示されている。
【0023】
方法200は、フィルムのベース層102が形成されたときに始まる。いくつかの構成では、ベース層102は、第2の材料を押し出してベース層102のフィルムを形成することによって形成される。ベース層102は、13~26ミクロンの間の厚さを有するように形成される。いくつかの構成では、ベース層102は、16~18ミクロンの厚さを有するように形成される。上述のように、いくつかの構成では、第2の材料はPLA材料である。PLA材料は、トウモロコシベースであってもよい。他の配置において、第2の材料は、バイオベースのポリプロピレンである。
【0024】
204では、外側層104が形成される。いくつかの構成では、外側層104は、ベース層102の一方の側に第1の材料を押し出すことによって形成される。外側層104は、1~2ミクロンの間の厚さを有するように形成される。上述のように、第1の材料は、トウモロコシベースのPLA材料等のPLA材料である。
【0025】
206では、内側層が形成される。いくつかの構成では、内側層106は、外側層104とは反対側のベース層102の面に第1の材料を押し出すことによって形成される。内側層106は、1~2ミクロンの間の厚さを有するように形成される。上述のように、第1の材料は、トウモロコシベースのPLA材料等のPLA材料である。
【0026】
いくつかの構成では、ベース層102、外側層104及び内側層206は、共押出製造工程等の単一の製造工程で形成される。
【0027】
208では、ベース層102、外側層104及び内側層106を備える部分的に完成したフィルムがコアの周りに巻き取られて、部分的に完成したフィルムのロールが形成される。いくつかの構成では、部分的に完成したフィルムが押出機を出ると、部分的に完成したフィルムがコアの周りに巻き取られる。部分的に完成したフィルムをコアの周りに巻き取って部分的に完成したフィルムのロールを形成することは、部分的に完成したフィルムの容易な保存及び輸送を可能にする。
【0028】
210では、コーティング108が塗布される。部分的に完成したフィルムは、ロールからALDコーティング機に供給される。部分的に完成したフィルムがALDコーティング機を通って供給されると、コーティング108が外側層104の外側表面に堆積される。ALDコーティング機は、PEALD工程を利用してもよい。いくつかの構成では、ALDコーティング機のALDチャンバは、ALDコーティング工程中に摂氏100度未満の温度を有する。いくつかの構成では、コーティング108の厚さは、2~10ナノメートルの間の厚さである。さらなる構成では、コーティング108の厚さは3ナノメートルの厚さである。いくつかの構成では、コーティング108は、ATOである。他の構成では、コーティング108は、酸化アルミニウム又は酸化チタンである。さらなる構成では、コーティング108は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)等の他の金属酸化物を含む。いくつかの実施形態において、ALDコーティング機はまた、コーティング108を内側層106の外側表面に塗布する。そのような実施形態では、コーティング108は、ALDコーティング機を通るフィルム100の1回の通過、又はALDコーティング機を通るフィルム100の複数回の通過で、両面に塗布され得る。完成したフィルム100の全厚は、15~30ミクロンの間の厚さである。いくつかの構成では、フィルムの全厚は、20ミクロンの厚さである。
【0029】
212では、完成したフィルム100がコアの周りに巻き取られて、完成したフィルム100のロールが形成される。ALDコーティング機を出た後、フィルム100は、コアの周りに巻き取られて、完成したフィルム100のロールが形成される。完成したフィルム100のロールは、後の処理又は使用のために保存され得る。完成したフィルム100をコアの周りに巻き取って完成したフィルム100のロールを形成することは、完成したフィルム100の容易な保存及び輸送を可能にする。
【0030】
防湿フィルムに包装されたパッケージ
様々な実施形態において、本明細書に記載の発明は、防湿フィルム100に包装されたパッケージに関する。例えば、パッケージは、シガレットパック、例えばAllenらに対する米国特許第4,852,734号;Carterらに対する米国特許第8,522,515号;Guerreraらに対する米国特許第8,118,161号;Wuに対する米国特許第7,823,731号;Koetterらに対する米国特許第7,228,961号;Stringfieldに対する米国特許第7,048,115号;Hensonらに対する米国特許第7,014,039号;Faggらに対する米国特許第6,364,106号;Coblerらに対する米国特許第5,379,889号;Burrowsらに対する米国特許第5,248,031号;Burrowsらに対する米国特許第5,139,140号;及びLangleyらに対する米国特許第4,807,745号に記載のものであってもよい。
【0031】
図3は、シガレットパック300の斜視図を示す。シガレットパック300は、上蓋302及び本体304を含む。上蓋302及び本体304は、少なくとも部分的に水分を透過する紙材からなる。図4に示されるように、上蓋302は、紙材の折り目から形成されたヒンジ402に沿って本体304から離れるように回転することができる。上蓋302が本体304から離れる方向に回転すると、中央区画404が現れる。中央区画404は、上記で組み込まれた特許文献に記載されている様式のいずれかでシガレットを収納する大きさ及び形状である。上蓋302が閉じられると(例えば、図3に示されるように)、中央区画404は、周囲環境から部分的にシールされる。しかしながら、湿気は依然として紙材を通過することができる(例えば、中央区画404内へ、又は中央区画404外へ)。
【0032】
したがって、内容物(例えば、シガレット)が中央区画404に装填された後、上蓋302が閉じられ、パック300がフィルム100に包装される。図5に示されるように、パック300は、フィルム100に包装されている。フィルム100は、折り曲げられて折り目が付けられ、重なり合うフラップ502及び504を形成する。フラップ502及び504は熱でシールされる。熱にさらされると、外側層104及び内側層106は柔軟になり、部分的に溶融してフラップ502及び504を互いに粘着させ、フラップ502と504の間にシールを形成する。フラップ502及び504がシールされた後、フィルム100がパック300から取り除かれるまで、フィルム100はパック300に防湿層を提供して、中央区画内の内容物を適切な湿度レベルに維持する。
【0033】
防湿フィルムで包装されたシガレットパックの製造方法
様々な実施形態において、本明細書に記載される発明は、フィルム100に包装されたシガレットパック(例えば、図5に示されるようなシガレットパック300)を製造する方法に関する。図6を参照すると、例示的実施形態による、フィルム100に包装されたシガレットパックを製造する方法600のフロー図が示されている。方法600は、シガレットパック製造機によって実行されてもよい。
【0034】
方法500は、602でシガレットパック300が形成されたときに始まる。シガレットパック300は、パッケージブランクを折り目に沿って折り曲げ、シガレットパックを接着剤で固定することによって形成される。604では、内容物がシガレットパック300に挿入される。内容物は、例えば、中央区画404に装填されるシガレットであってもよい。604で内容物がシガレットパック300に装填された後、シガレットパック300は606で閉じられる。シガレットパック300の上蓋302は閉じられる。608でシガレットパック300がフィルム100に包装され、610でフィルム100がシールされる。フィルム100は、フラップ502及び504に熱を加えることによってシールされる。
【0035】
上記の説明及び関連する図面に示された教示の利益を有するこれらの開示に関連する当業者には、本明細書に記載された開示の多くの変更及び他の態様が思い浮かぶであろう。したがって、本開示は、開示された特定の態様に限定されるものではなく、均等物、修正及び他の態様が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは一般的及び説明的な意味でのみ使用され、限定のためではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材で形成された本体と;
前記紙材で形成された上部と;
前記上部及び前記本体により形成された中央区画と;
生分解性フィルムで形成された包装材と
を備えるパッケージであって、前記フィルムが、
第1の材料を含み、摂氏130~220度の間である第1の融点を有するベース層と;
第2の材料を含み、前記第1の融点より低い第2の融点を有する外側層であって、前記外側層の第1の面は前記ベース層の第1の面に結合されており、前記第2の融点は摂氏120度未満である外側層と
前記外側層の第2の面に塗布された防湿コーティングであって、金属酸化物を含む防湿コーティングと
を備える、パッケージ。
【請求項2】
前記フィルムが、前記第2の材料を含む内側層をさらに備え、前記内側層の第1の面が、前記ベース層の第2の面に結合され、前記ベース層の前記第2の面が、前記ベース層の前記第1の面とは反対側である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記フィルムが、前記内側層の第2の面に塗布された前記防湿コーティングをさらに備える、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記第1の材料が、第1のポリ乳酸材料であり、前記第2の材料が、第2のポリ乳酸材料である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記第1のポリ乳酸材料又は前記第2のポリ乳酸材料の少なくとも一方が、トウモロコシベースである、請求項4に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記第1の材料が、バイオベースのポリプロピレンである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記防湿コーティングが、透明である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記防湿コーティングが、酸化アルミニウム、酸化チタン酸化アルミニウムチタン、二酸化ケイ素、又は酸化亜鉛の少なくとも1つである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり4グラム未満の透湿度を有する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり2グラム未満の透湿度を有する、請求項9に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記フィルムが、15~30ミクロンの厚さである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項12】
防湿コーティングを有する生分解性フィルムの製造方法であって、
第1の材料を含み、摂氏130~220度の間である第1の融点を有するベースを形成することと;
第2の材料を含み、前記第1の融点より低い第2の融点を有する外側層であって、前記外側層の第1の面は前記ベース層の第1の面に結合されており、前記第2の融点は摂氏120度未満である外側層を形成することと;
前記外側層の第2の面を、金属酸化物を含む防湿コーティングでコーティングすることを含み、
ここで、前記外側層の前記第2の面が、前記外側層の前記第1の面とは反対側である方法。
【請求項13】
前記フィルムをコアの周りに巻き取って、前記フィルムのロールを形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の材料を含む内側層を形成することをさらに含み、前記内側層の第1の面が、前記ベース層の第2の面に結合されている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記内側層の第2の面を前記防湿コーティングでコーティングすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記防湿コーティングが、原子層堆積工程によって前記外側層の前記第2の面に塗布される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記原子層堆積工程が、真空下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ベース層及び前記外側層が、押出し工程によって形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の材料が、第1のポリ乳酸材料であり、前記第2の材料が、第2のポリ乳酸材料である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポリ乳酸材料又は前記第2のポリ乳酸材料の少なくとも一方が、トウモロコシベースである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の材料が、バイオベースのポリプロピレンである、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記防湿コーティングが、透明である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記防湿コーティングが、酸化アルミニウム、酸化チタン酸化アルミニウムチタン、二酸化ケイ素、又は酸化亜鉛の少なくとも1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり4グラム未満の透湿度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルムが、1日当たり1平方メートル当たり2グラム未満の透湿度を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルムが、15~30ミクロンの厚さである、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
第1の材料を含み、摂氏130~220度の間である第1の融点を有するベース層と;
第2の材料を含み、前記第1の融点より低い第2の融点を有する外側層であって、前記外側層の第1の面は前記ベース層の第1の面に結合されており、前記第2の融点は摂氏120度未満である外側層と
前記外側層の第2の面に塗布された防湿コーティングであって、金属酸化物を含む防湿コーティングと
を備える、生分解性フィルム。
【請求項28】
前記第2の材料を含む内側層をさらに備え、前記内側層の第1の面が、前記ベース層の第2の面に結合され、前記ベース層の前記第2の面が、前記ベース層の前記第1の面とは反対側である、請求項27に記載のフィルム。
【請求項29】
前記第1の材料が、第1のポリ乳酸材料であり、前記第2の材料が、第2のポリ乳酸材料である、請求項27に記載のフィルム。
【請求項30】
前記第1のポリ乳酸材料又は前記第2のポリ乳酸材料の少なくとも一方が、トウモロコシベースである、請求項29に記載のフィルム。
【請求項31】
前記防湿コーティングが、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムチタン、二酸化ケイ素、又は酸化亜鉛の少なくとも1つである、請求項27に記載のフィルム。