(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004208
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103744
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA29
2C333CA42
2C333CA52
2C333CA60
2C333CA61
2C333CA76
(57)【要約】
【課題】遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供する。
【解決手段】何れかの有効ライン上にリーチが形成された後、通常の図柄配列に基づく演出図柄に代えて、リーチ形成図柄と同じ数字を示し、かつ複数の停止表示領域Hを跨ぐ大きさの拡大特定図柄KC(この例では拡大特定図柄KC6)を最終停止列に停止させて一旦表示させることで、最終停止列において、拡大特定図柄KCの表示によってブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態となるようにした。このように、最終停止列においてブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態とすることで、ハズレとなる場合における図柄の導出過程やハズレとなる場合に導出され得る図柄組み合わせを想像し難くなり、結果的にハズレとなるイメージを抱き難くすることができる。
【選択図】
図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に複数の図柄列が設定されるとともに1つの装飾図柄を停止表示可能な停止表示領域が前記図柄列毎に複数区画されており、かつ各図柄列における特定の停止表示領域を結ぶ仮想の直線上に表示された装飾図柄の図柄組み合わせを有効とする有効ラインを複数有する表示装置を備え、何れかの有効ライン上に停止表示される装飾図柄の図柄組み合わせにより特典が付与されるか否かが示される遊技機であって、
前記表示装置での装飾図柄の変動表示及び停止表示を制御する表示制御手段を備え、
各図柄列で変動表示される装飾図柄は、有効ライン上の1つの停止表示領域に収まる大きさとされており、
前記表示制御手段は、
何れかの有効ライン上に所定の装飾図柄を停止表示する場合に、前記装飾図柄と同一の図柄を示すものであってかつ複数の停止表示領域を跨ぐ大きさの拡大特定図柄を停止表示させるときがあることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記装飾図柄は、何れかの有効ライン上に所定の組み合わせで停止した場合に特典が付与されることを示す特定図柄と、何れかの有効ライン上に所定の組み合わせで停止した場合であっても特典が付与されることを示さないブランク図柄とで構成され、かつ各図柄列では前記特定図柄と前記ブランク図柄が交互に配置され、
前記表示制御手段は、前記ブランク図柄が停止する停止表示領域に跨って前記拡大特定図柄を表示させる請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記図柄列毎の停止表示領域は、中央に位置する中央停止表示領域と、前記中央停止表示領域の1つ前に位置する前停止表示領域と、前記中央停止表示領域の1つ後ろに位置する後停止表示領域と、で構成されており、
前記拡大特定図柄の表示態様には、
前記前停止表示領域と前記中央停止表示領域に跨って前記拡大特定図柄が表示される第1表示態様と、
前記中央停止表示領域と前記後停止表示領域に跨って前記拡大特定図柄が表示される第2表示態様と、
前記前停止表示領域と前記中央停止表示領域と前記後停止表示領域に跨って前記拡大特定図柄が表示される第3表示態様と、がある請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
何れかの有効ライン上に前記特定図柄でリーチを形成させた後、リーチ形成図柄と同一の図柄を示す前記拡大特定図柄を最終停止列に表示させ、その後、前記拡大特定図柄が1つの停止表示領域に収まるように縮小させて図柄組み合わせを停止表示させるようになっており、
前記特典が付与される場合、
前記拡大特定図柄の表示態様に関わらず、リーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域側に向かって前記拡大特定図柄を縮小させ、縮小後の前記特定図柄をリーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域に表示させることで前記特典が付与されることを示す図柄組み合わせを停止表示させる一方、縮小前の前記拡大特定図柄が表示されていた停止表示領域に前記ブランク図柄を停止表示させる請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記特典の付与が決定されていないがリーチ演出の実行が決定された場合、
最終停止列において、リーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域と対向する停止表示領域側に向かって前記拡大特定図柄を縮小させる一方、リーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域に前記ブランク図柄を表示させることでハズレの図柄組み合わせを停止表示させる請求項3に記載の遊技機。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記ブランク図柄に代えて前記拡大特定図柄を表示させる請求項2に記載の遊技機。
【請求項7】
前記表示装置の表示領域では、複数のリーチラインを形成可能であり、
前記拡大特定図柄となり得る前記特定図柄は、複数のリーチラインを形成する前記特定図柄のうち有利図柄となる方の前記特定図柄である請求項3に記載の遊技機。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記特典が付与される場合、
前記拡大特定図柄の表示態様に関わらず、前記拡大特定図柄の表示状態を維持したまま図柄組み合わせを確定停止させる請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球を契機に大当たり判定が行われ、その大当たり判定の結果が装飾図柄による図柄組み合わせによって遊技者に示されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したようなパチンコ遊技機では、装飾図柄による図柄組み合わせを形成するために、各図柄列において装飾図柄が所定の順序で配置されているが、その装飾図柄の配置は単調であった。これにより、遊技者は導出され得る図柄組み合わせをある程度予測できてしまい、遊技者を楽しませているとは言い難く、遊技の興趣を向上させるための技術については、なお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、表示領域に複数の図柄列が設定されるとともに1つの装飾図柄を停止表示可能な停止表示領域が前記図柄列毎に複数区画されており、かつ各図柄列における特定の停止表示領域を結ぶ仮想の直線上に表示された装飾図柄の図柄組み合わせを有効とする有効ラインを複数有する表示装置を備え、何れかの有効ライン上に停止表示される装飾図柄の図柄組み合わせにより特典が付与されるか否かが示される遊技機であって、前記表示装置での装飾図柄の変動表示及び停止表示を制御する表示制御手段を備え、各図柄列で変動表示される装飾図柄は、有効ライン上の1つの停止表示領域に収まる大きさとされており、前記表示制御手段は、何れかの有効ライン上に所定の装飾図柄を停止表示する場合に、前記装飾図柄と同一の図柄を示すものであってかつ複数の停止表示領域を跨ぐ大きさの拡大特定図柄を停止表示させるときがあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、遊技の興趣を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】演出表示装置の表示領域を示す模式図である。
【
図3】各図柄列における演出図柄を説明する模式図である。
【
図4】主制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図5】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図9】特図変動パターン選択テーブルの説明図である。
【
図10】メイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図11】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図13】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図14】特図大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図15】特図変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図17】特別図柄変動処理のフローチャートである。
【
図18】サブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図19】1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図20】10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図21】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図22】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図23】変動演出パターン選択テーブルの説明図である。
【
図24】図柄拡大演出制御処理のフローチャートである。
【
図25】(a),(b)は、結果導出ラインとして有効ラインL1が決定された場合に選択され得る拡大特定図柄の表示態様を示す模式図、(c)~(e)は、結果導出ラインとして有効ラインL1が決定された場合に選択され得る拡大特定図柄の表示態様を示す模式図である。
【
図26】(a),(b)は、結果導出ラインとして有効ラインL3が決定された場合に選択され得る拡大特定図柄の表示態様を示す模式図、(c)~(e)は、結果導出ラインとして有効ラインL4が決定された場合に選択され得る拡大特定図柄の表示態様を示す模式図である。
【
図27】(a)~(c)は、結果導出ラインとして有効ラインL5が決定された場合に選択され得る拡大特定図柄の表示態様を示す模式図である。
【
図29】(a)は通常の図柄配列を示す模式図、(b)~(e)は、拡大特定図柄を含む図柄配列を示す模式図である。
【
図30】拡大特定図柄表示処理のフローチャートである。
【
図31】(a)~(e)は、大当たり判定の結果がハズレであって結果導出ラインとして有効ラインL1が決定され、かつ拡大特定図柄の表示態様として第1表示態様が決定された場合における図柄拡大演出の流れを示す模式図である。
【
図32】(a)~(e)は、大当たり判定の結果が大当たりであって結果導出ラインとして有効ラインL1が決定され、かつ拡大特定図柄の表示態様として第1表示態様が決定された場合における図柄拡大演出の流れを示す模式図である。
【
図33】(a)~(f)は、大当たり判定の結果がハズレであって結果導出ラインとして有効ラインL4が決定され、かつ拡大特定図柄の表示態様として第2表示態様が決定された場合における図柄拡大演出の流れを示す模式図である。
【
図34】(a)~(f)は、大当たり判定の結果が大当たりであって結果導出ラインとして有効ラインL4が決定され、かつ拡大特定図柄の表示態様として第2表示態様が決定された場合における図柄拡大演出の流れを示す模式図である。
【
図35】(a)~(e)は、大当たり判定の結果が大当たりであって結果導出ラインとして有効ラインL5が決定され、かつ拡大特定図柄の表示態様として第3表示態様が決定された場合における図柄拡大演出の流れを示す模式図である。
【
図36】(a)~(f)は、変更例としての拡大特定図柄の表示態様を示す模式図である。
【
図37】(a),(b)は、変更例としての拡大特定図柄の表示態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る遊技機としてのパチンコ遊技機について図を参照しつつ説明する。以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向及び上下方向は、遊技者から見た左右方向及び上下方向とする。また、パチンコ遊技機を基準として遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0010】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成される。前面枠18は、ハンドル4と、演出レバー6と、スピーカ8と、演出ボタン9と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25とを備えている。
【0011】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図4)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
【0012】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。演出レバー6は、左手で把持できる形状とされており、右回転又は左回転の回転操作の他、上下左右の4方向に傾倒操作可能としている。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6c(
図5)が設けられている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0013】
スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音及び報知音等の音を演出内容に応じて出力する。
演出ボタン9は、前面枠18のうち打球供給皿24の上方を覆う部分に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手又は左手で押圧操作可能な位置に設けられている。また、演出ボタン9は、前面枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押下操作可能な位置に設けられている。演出ボタン9は、例えばプッシュオン式のボタンスイッチを採用することができる。演出ボタン9には、演出ボタン振動モータ9b(
図5)と、演出ボタンランプ9c(
図5)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。演出ボタンランプ9cは、複数色を発光可能であり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときや演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。
【0014】
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0015】
前面枠18のうち、左方には左サイドランプ23aが設けられており、右方には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。
【0016】
打球供給皿(上皿ともいう)24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、貸球払出装置80(
図4)及び賞球払出装置400(
図4)から払い出された遊技球を貯留する、又は発射装置90(
図4)に供給する遊技球を貯留するためのものである。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0017】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7(本発明の「表示装置」に相当)とを備える。
遊技盤2は、パチンコ遊技機1の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。演出表示装置7は、遊技盤2の後方に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。
【0018】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3Aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3Bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられており、
図5では、それら各LEDを総称して「盤ランプ2a」と示している。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。
【0019】
遊技盤2は、固定入賞装置10と、ゲート12と、一般入賞口13と、センター装飾体14と、可動体15と、レール部材17と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、大入賞装置30と、表示器類50とを備える。
【0020】
固定入賞装置10は、遊技盤2の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3Bに配置されており、右遊技領域3Bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。一般入賞口13は、左遊技領域3Aであって固定入賞装置10の左方に配置されている。
【0021】
センター装飾体14は、遊技盤2の上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。
図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0022】
レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(
図4)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。
【0023】
普通可変入賞装置20は、右遊技領域3Bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材(電動チューリップ)21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。なお、
図1に示す例では普通可変入賞装置20は遊技領域3の右方に配置されているが、固定入賞装置10の下方に配置してもよい。
【0024】
大入賞装置30は、右遊技領域3Bであって、固定入賞装置10の右方に配置されている。大入賞装置30は、大入賞口32を開閉する開閉部材31を備える。大入賞口32は、複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。開閉部材31は、左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。
【0025】
前述したように、パチンコ遊技機1では、ハンドル4の発射強度を調節することにより、遊技球の発射強度を調節できるようになっている。よって、パチンコ遊技機1では、左遊技領域3A又は右遊技領域3Bを流下するように遊技球を打ち分けることができる。左遊技領域3Aに向かって遊技球を発射したときには、遊技球は、第1始動口11、一般入賞口13に入賞し得る。一方、右遊技領域3Bに向かって遊技球を発射したときには、遊技球は、ゲート12、第2始動口22、大入賞口32に入賞し得る。
【0026】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって大入賞装置30の下方に設けられている。
図4に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特図保留表示器51aと、第2特図保留表示器52aと、普図保留表示器53aとを備える。第1特図保留表示器51aは、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する。第2特図保留表示器52aは、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する。普図保留表示器53aは、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する。以下、第1特別図柄及び第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0027】
各特別図柄表示器51,52は、それぞれ複数のLEDにより構成されている。各特別図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯・消灯するLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯・消灯するLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
【0028】
また、普通図柄表示器53は、複数(例えば2個)のLEDから構成されている。点灯・消灯するLEDが普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開動作し、第2始動口22が開口する。
【0029】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留される。そして、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0030】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留される。そして、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。
【0031】
次に、演出表示装置7について説明する。
演出表示装置7は、演出図柄(本発明の「装飾図柄」に相当)、メッセージ画像、デモンストレーション画像(デモ画像)等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7では、特別図柄の変動表示と同期させるように、演出図柄の変動表示が行われる。また、演出表示装置7は、各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例えば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
【0032】
以下、
図2に従って、演出表示装置7の表示領域について説明する。
図2に示すように、演出表示装置7の表示領域には、縦方向に3つの停止表示領域が、横方向に3つの停止表示領域がそれぞれ配されており、合計9つの停止表示領域が区画されている。1つの停止表示領域につき1つの演出図柄が停止表示される。以下の説明では、横方向の配列を上方から下方に向かって「行」で区別し、縦方向の配列を左方から右方に向かって「列」で区別する。これにより、1行目×1列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H1」と呼び、1行目×2列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H2」と呼び、1行目×3列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H3」と呼ぶ。同様に、2行目×1列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H4」と呼び、2行目×2列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H5」と呼び、2行目×3列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H6」と呼ぶ。同様に、3行目×1列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H7」と呼び、3行目×2列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H8」と呼び、3行目×3列目に位置する停止表示領域を「停止表示領域H9」と呼ぶ。以下の説明では、停止表示領域H1~H9をまとめて説明する場合、単に「停止表示領域H」と示すことがある。
【0033】
そして、このように停止表示領域Hが設定された演出表示装置7では、画面の右方から左方、つまり、横方向に向かって演出図柄がスクロールするようになっている。具体的には、上図柄列7U(1行目)、中図柄列7C(2行目)、及び下図柄列7D(3行目)で示す3つの図柄列が設定されており、各図柄列毎に、演出図柄が画面の右方から左方に向かってスクロールする。上図柄列7Uには、停止表示領域H1と、停止表示領域H2と、停止表示領域H3と、が位置し、上図柄列7Uの図柄配列において連続する3つの演出図柄が各停止表示領域にそれぞれ停止表示される。中図柄列7Cには、停止表示領域H4と、停止表示領域H5と、停止表示領域H6と、が位置し、中図柄列7Cの図柄配列において連続する3つの演出図柄が各停止表示領域Hにそれぞれ1つずつ停止表示される。下図柄列7Dには、停止表示領域H7と、停止表示領域H8と、停止表示領域H9と、が位置し、下図柄列7Dの図柄配列において連続する3つの演出図柄が各停止表示領域H7~H9にそれぞれ停止表示される。
【0034】
本実施形態では、各図柄列7U,7C,7Dにおいて中央に位置する停止表示領域(停止表示領域H2,H5,H8)が、本発明の「中央停止表示領域」に相当する。また、遊技者から見た方向を基準とした場合において、各図柄列7U,7C,7Dを構成する停止表示領域のうち中央停止表示領域の1つ前、すなわち左に位置する停止表示領域(停止表示領域H1,H4,H7)が、本発明の「前停止表示領域」に相当する。同様に、各図柄列7U,7C,7Dを構成する停止表示領域のうち中央停止表示領域の1つ後ろ、すなわち右に位置する停止表示領域(停止表示領域H3,H6,H9)が、本発明の「後停止表示領域」に相当する。
【0035】
ここで、演出図柄の停止表示態様について説明する。
演出図柄の停止表示態様には、「確定表示(確定停止)」と「一旦表示(一旦停止又は仮停止)」と、が含まれる。「確定表示」とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。逆に「一旦表示」とは、演出図柄が上下に揺れる等している停止表示状態のことである。以下の説明では、「確定表示」又は「一旦表示」のいずれにも該当する停止表示態様を、単に「停止表示」と示す場合がある。
【0036】
次に、
図3に従って、各図柄列における演出図柄の図柄配列について説明する。
各図柄列7U,7C,7Dでそれぞれ変動表示される演出図柄は、特定図柄Cとブランク図柄Xによって構成される。
【0037】
パチンコ遊技機1における特定図柄Cは、その構成要素に「1」~「8」までの数字を示す「数字画像」を含む。パチンコ遊技機1では、8種類の特定図柄(特定図柄C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8)が設定されている。以下の説明では、特定図柄C1~C8をまとめて説明する場合、単に「特定図柄C」と示すことがある。
【0038】
特定図柄C1は、「1」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C2は、「2」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C3は、「3」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C4は、「4」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C5は、「5」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C6は、「6」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C7は、「7」を示す数字画像を構成要素に含む。特定図柄C8は、「8」を示す数字画像を構成要素に含む。なお、特定図柄Cは、前述の8種類に限られず、7種類以下でも9種類以上であってもよい。また、特定図柄Cの構成要素となる数字は漢数字であってもよいし、アルファベットやアイコン等の数字以外の要素を採用してもよい。また、前述したように、パチンコ遊技機1では、1つの停止表示領域につき1つの演出図柄が停止表示されるようになっている。つまり、演出図柄(特定図柄C及びブランク図柄X)は、1つの停止表示領域に収まる大きさとされている。
【0039】
上図柄列7Uでは、「特定図柄C8」「ブランク図柄X」「特定図柄C7」「ブランク図柄X」「特定図柄C6」「ブランク図柄X」「特定図柄C5」「ブランク図柄X」「特定図柄C4」「ブランク図柄X」「特定図柄C3」「ブランク図柄X」「特定図柄C2」「ブランク図柄X」「特定図柄C1」「ブランク図柄X」の順に、特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に表示されるよう、図柄の変動順序が定められている。この配列により、上図柄列7Uでは、特定図柄Cに関し、「8」→「7」→「6」→…「1」→「8」といったように、特定図柄Cを構成する数字画像の数字がだんだん小さくなり、「1」に到達した場合には再度「8」から変動が開始される。
【0040】
中図柄列7Cでは、「特定図柄C1」「ブランク図柄X」「特定図柄C2」「ブランク図柄X」「特定図柄C3」「ブランク図柄X」「特定図柄C4」「ブランク図柄X」「特定図柄C5」「ブランク図柄X」「特定図柄C6」「ブランク図柄X」「特定図柄C7」「ブランク図柄X」「特定図柄C8」「ブランク図柄X」の順に、特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に表示されるよう、図柄の変動順序が定められている。また、中図柄列7Cでは、特定図柄Cに関し、「1」→「2」→「3」→…「8」→「1」といったように、特定図柄Cを構成する数字画像の数字がだんだん大きくなり、「8」に到達した場合には再度「1」から変動が開始される。
【0041】
下図柄列7Dでは、「特定図柄C1」「ブランク図柄X」「特定図柄C2」「ブランク図柄X」「特定図柄C3」「ブランク図柄X」「特定図柄C4」「ブランク図柄X」「特定図柄C5」「ブランク図柄X」「特定図柄C6」「ブランク図柄X」「特定図柄C7」「ブランク図柄X」「特定図柄C8」「ブランク図柄X」の順に、特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に表示されるよう、図柄の変動順序が定められている。下図柄列7Dでは、特定図柄Cに関し、「1」→「2」→「3」→…「8」→「1」といったように、特定図柄Cを構成する数字画像の数字がだんだん大きくなり、「8」に到達した場合には再度「1」から変動が開始される。ちなみに、各特定図柄Cの間に位置するブランク図柄Xは、全て見た目が同一の図柄であるが、制御上、各特定図柄Cの間に位置する各ブランク図柄Xを区別できるよう、図柄番号が定められている。そして、同じ数字画像を含む特定図柄Cが、縦方向又は斜め方向に3つ揃った場合に、特典が付与されること(この例では大当たり)を示す。一方、ブランク図柄Xは、星を模した形状とされ、特定図柄Cとは異なり、その構成要素に数字画像を含まない。また、ブランク図柄Xが縦方向又は斜め方向に3つ揃ったとしても特典が付与されること(この例では大当たり)を示さない。本実施形態では、同じ数字画像を含む特定図柄Cが縦方向又は斜め方向に3つ揃うことで形成される図柄組み合わせが、本発明の「特典が付与されることを示す所定の組み合わせ」に相当する。
【0042】
図2の説明に戻り、演出表示装置7では、各図柄列7U,7C,7Dにおける特定の停止表示領域を結ぶ仮想の直線(以下、「有効ライン」と示す)上に表示された演出図柄による図柄組み合わせが有効とされる。「図柄組み合わせが有効」とは、「大当たり判定の結果を示す演出図柄による図柄組み合わせが確定表示される」という意味である。また、パチンコ遊技機1の演出表示装置7は、複数の有効ライン(この例では5本)を有している。
【0043】
具体的には、上図柄列7Uを構成する停止表示領域H1と、中図柄列7Cを構成する停止表示領域H4と、下図柄列7Dを構成する停止表示領域H7を結ぶ仮想線が、「有効ラインL1」として設定されている。
【0044】
また、上図柄列7Uを構成する停止表示領域H2と、中図柄列7Cを構成する停止表示領域H5と、下図柄列7Dを構成する停止表示領域H8を結ぶ仮想線が、「有効ラインL2」として設定されている。
【0045】
また、上図柄列7Uを構成する停止表示領域H3と、中図柄列7Cを構成する停止表示領域H6と、下図柄列7Dを構成する停止表示領域H9を結ぶ仮想線が、「有効ラインL3」として設定されている。
【0046】
また、上図柄列7Uを構成する停止表示領域H1と、中図柄列7Cを構成する停止表示領域H5と、下図柄列7Dを構成する停止表示領域H9を結ぶ仮想線が、「有効ラインL4」として設定されている。
【0047】
また、上図柄列7Uを構成する停止表示領域H3と、中図柄列7Cを構成する停止表示領域H5と、下図柄列7Dを構成する停止表示領域H7を結ぶ仮想線が、「有効ラインL5」として設定されている。
【0048】
図3にて説明したように、パチンコ遊技機1では、上図柄列7Uにおける図柄の配列順序と、中図柄列7C及び下図柄列7Dにおける図柄の配列順序が逆となっている(上図柄列7Uは数字が降順、中図柄列7C及び下図柄列7Dは数字が昇順)。これにより、リーチを形成する有効ライン数や有効ラインの位置に様々なバリエーションが生じることになる。
【0049】
具体的には、大当たり判定の結果を導出する有効ライン(以下、「結果導出ライン」と示す)として有効ラインL1~L3のうちいずれかが決定された場合、2つの有効ラインにおいて同時にリーチが形成されることはなく、有効ラインL1~L3のうち何れか1本の有効ライン上に1つのリーチが形成される(シングルリーチ)。一方、大当たり判定の結果を導出する有効ラインとして有効ラインL4又は有効ラインL5が決定された場合、前述した各図柄列7U,7C,7Dにおける演出図柄の配列順序の違いにより、有効ラインL4及び有効ラインL5上にそれぞれリーチが形成される(ダブルリーチ)。なお、「リーチ」とは、複数列のうち、特定列(本実施形態では上図柄列7Uと下図柄列7D)の演出図柄(この例では特定図柄C)が同一種類となって停止表示され、かつ特定列以外の列(本実施形態では中図柄列7C)の演出図柄が変動表示されている状態を指す。この「リーチ」を認識できる図柄組み合わせが、演出図柄によるリーチの図柄組み合わせ(リーチ形成図柄)となる。また、リーチが形成されている有効ラインが、リーチラインを形成する有効ラインとなる。
【0050】
そして、演出表示装置7では、まず、遊技者が演出図柄の種類を認識できないような速さで各図柄列7U,7C,7Dにおいて演出図柄の変動表示が行われた後、上図柄列7U→下図柄列7Dの順で図柄の変動が停止する。このとき、上図柄列7U及び下図柄列7Dにおいてリーチの図柄組み合わせが停止表示されたとする。中図柄列7Cでは、リーチライン上に位置する停止表示領域Hに、リーチ形成図柄と同じ特定図柄Cよりも変動順序が前である(例えば2つ前)演出図柄が差し掛かった時点で、遊技者が演出図柄の種類を認識できる程度まで図柄の変動速度が遅くなり、コマ送りの態様で演出図柄の変動表示が行われる。そして、リーチライン上に位置する停止表示領域Hでは、リーチ形成図柄と同じ特定図柄Cが停止されるように見せかける演出が行われ、大当たりとなる場合には、当該停止表示領域Hにリーチ形成図柄と同じ特定図柄Cが導出され、大当たりの図柄組み合わせが確定表示される。一方、ハズレとなる場合には、当該停止表示領域Hにリーチ形成図柄と同じ特定図柄Cよりも変動順序が1つ前又は1つ後ろに位置するブランク図柄Xが導出され、ハズレの図柄組み合わせが確定表示される。ちなみに、有効ラインL4が結果導出ラインとなる場合、前述した図柄の配列順序より、2種類のリーチ形成図柄のうち小さい数字を示す特定図柄Cが表示されている有効ラインL5でリーチ形成図柄と同じ特定図柄Cが停止されるように見せかける演出が行われる。その後、2種類のリーチ形成図柄のうち大きい数字を示す特定図柄Cが表示されている有効ラインL4でリーチ形成図柄と同じ特定図柄Cが停止されるように見せかける演出が行われる。
【0051】
また、パチンコ遊技機1では、演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2aの点灯等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
【0052】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、
図4及び
図5に従って、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(
図4)と、払出制御基板73(
図4)と、サブ制御基板100(
図5)と、画像制御基板200(
図5)と、音声制御基板78(
図5)と、ランプ制御基板79(
図5)とを備えている。
【0053】
図4に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64とを備えている。また、主制御基板60は、入出力回路65を備えている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。CPU62は、入賞の検出、大当たり判定、各種乱数の更新等を実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブル、大当たり種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン選択テーブル等の各種のテーブルが記憶されている。
【0054】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。
【0055】
第1特図保留記憶部64aは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口11に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数等は第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0056】
第2特図保留記憶部64bは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口22に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数が記憶される。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数等は第2特図保留記憶部64bに記憶される。
【0057】
大当たり乱数等は、作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64a及び第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため、大当たり乱数等が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている大当たり乱数等が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数等が時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている大当たり乱数等は、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。例えば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数等は第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数等に基づく判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示が始まる前に実行される。
【0058】
普図保留記憶部64cには、遊技球がゲート12を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。パチンコ遊技機1では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0059】
また、入出力回路65は、主制御基板60に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。前述したように、表示器類50は、第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄表示器52と、普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特図保留表示器51aと、第2特図保留表示器52aと、普図保留表示器53aとを備える。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aとが電気的に接続されている。同様に、主制御基板60には、中継基板74を介して大入賞口センサ32aと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、大入賞口ソレノイド30aとが電気的に接続されている。
【0060】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。大入賞口センサ32aは、大入賞口32の直下に設けられており、遊技球が大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21を開閉駆動する。大入賞口ソレノイド30aは、大入賞装置30の開閉部材31を開閉駆動する。
【0061】
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介してカードユニット76と、貸球払出装置80と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読み取りや書き込み等を行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払い出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払い出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払い出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払い出し可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払い出される。
【0062】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払い出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払い出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払い出した賞球数を計数する。
【0063】
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4aの回転量に応じて打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0064】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60、払出制御基板73、及びサブ制御基板100に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
【0065】
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0066】
主制御基板60は、サブ制御基板100に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0067】
図5に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120とを備えている。また、サブ制御基板100は、入出力回路103を備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
【0068】
第1特図保留演出記憶部121は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンド等を記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含むコマンドである。
【0069】
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンド等を記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含むコマンドである。
【0070】
当該変動用演出記憶部123は、当該変動に用いる第1始動入賞コマンド又は第2始動入賞コマンドを記憶する。
【0071】
入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、演出表示装置7が電気的に接続されている。画像制御基板200には、VDP201(Video Display Processor)と、画像制御用CPU202と、制御用ROM203とが実装されている。さらに、画像制御基板200には、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0072】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2a、演出ボタンランプ9c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23bが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
【0073】
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0074】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0075】
また、サブ制御基板100には、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー振動モータ6cと、演出ボタン振動モータ9bとが電気的に接続されている。
【0076】
演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6aから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押下操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。
【0077】
演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位又は演出レバー6の内部に設けられている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。ROM110には、演出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6cを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。
【0078】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。
パチンコ遊技機1の特別図柄表示器及び普通図柄表示器53には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能とが備わっている。特別図柄表示器の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(低確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。高確率状態と通常確率状態のどちらに移行するかは、大当たり時の抽選によって基本的に決定される。本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆる確変機と呼ばれる機種である。
【0079】
また、特別図柄表示器の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始から確定表示までに要する時間)が、非時短状態よりも短くなっている。特別図柄表示器の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して特別図柄の変動時間として短い変動時間が選択され易くなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化ペースを早め、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生し易くなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たり当選を狙うことができる。
【0080】
特別図柄表示器の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器53の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄表示器の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。したがって、時短状態では、普通図柄の抽選において当たりと判定される確率が非時短状態よりも高くなっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器53に確定表示する普通図柄が、普通当たり図柄(普通図柄の抽選において当たりと判定されたことを示す普通図柄)となる確率が高くなる。
【0081】
また、時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。例えば、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である。さらに時短状態では、普通可変入賞装置20の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。つまり、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における普通可変入賞装置20の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。つまり、普通可変入賞装置20の開放回数増加機能が作動している。補助遊技とは、確定表示された普通図柄が予め定めた特定の普通図柄である場合に、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口22を開閉させる遊技のことである。
【0082】
普通図柄表示器53の確率変動機能及び変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能及び開放回数増加機能とが作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、普通可変入賞装置20が頻繁に開放され、第2始動口22へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、このように、普通図柄表示器53の確率変動機能及び変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能及び開放回数増加機能とが作動している状況下で、普通可変入賞装置20により第2始動口22への入賞をサポートする制御を電サポ制御という。また、電サポ制御が行われている状態を「高ベース状態」といい、電サポ制御が行われていない状態を「低ベース状態」という。なお、「高ベース状態」は、所謂、電サポ制御が実行されている状態であるため、「高ベース状態」を「電サポ制御状態」や「入球容易状態」ということがある。一方、「低ベース状態」を「非電サポ制御状態」や「非入球容易状態」ということがある。また、「高ベース状態」は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器53の確率変動機能、変動時間短縮機能、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能、開放回数増加機能のうち1つ以上の機能が作動することによって、その機能が作動していないときよりも普通可変入賞装置20が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるものであってもよい。
【0083】
パチンコ遊技機1では、後述する確変大当たりに当選した場合、大当たり遊技終了後の遊技状態は、「高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態」となる。本実施形態においてこの遊技状態は、次回大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されるまで継続する。「大当たり遊技」は、大当たり判定で大当たりと判定された場合に、確定表示された特図の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンで大入賞口32を開放させるものである。
【0084】
また、パチンコ遊技機1では、後述する通常大当たりに当選した場合、大当たり遊技終了後の遊技状態は、「通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態」となる。この遊技状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、あるいは、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、「通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態」である。以下、「高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態」を「高確高ベース状態」といい、「通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態」を「低確高ベース状態」といい、「通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態」を「低確低ベース状態」又は「通常遊技状態」という。
【0085】
「高確高ベース状態」や「低確高ベース状態」のような「高ベース状態」では、電サポ制御によって普通可変入賞装置20が開放され易くなっており、第1始動口11よりも第2始動口22の方が入賞し易い。このため、右打ちにより右遊技領域3Bに向かって遊技球を発射させた方が遊技を有利に進行することができる。
【0086】
一方、「低ベース状態」では、電サポ制御が実行されず、普通可変入賞装置20が開放され難いため、第2始動口22よりも第1始動口11の方が入賞し易い。このため、左打ちにより左遊技領域3Aに向かって遊技球を発射させた方が、遊技が進行し易い。
【0087】
[大当たり判定テーブル]
図6に示す大当たり判定テーブルT1は、遊技制御用マイコン61が大当たりか否かの大当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり判定テーブルT1は、遊技状態と、大当たり乱数値(大当たり判定値)とを対応付けて構成されている。大当たり乱数値は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態では、大当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の大当たり乱数をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の大当たり乱数を発生する。
【0088】
大当たり判定テーブルT1には、通常確率状態時における大当たり乱数値として、0~164の計165個の大当たり乱数が対応付けられている。遊技制御用マイコン61は、通常確率状態時に大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数が0~164の範囲内の値であった場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~164以外であった場合は、大当たりではない、つまり、「ハズレ」と判定する。
【0089】
また、大当たり判定テーブルT1には、高確率状態時における大当たり乱数値として、0~649の計650個の大当たり乱数が対応付けられている。遊技制御用マイコン61は、高確率状態時に大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数が0~649の範囲内の値であった場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~649以外であった場合は、大当たりではない、つまり、「ハズレ」と判定する。このように、高確率状態では、通常確率状態のときよりも多くの大当たり乱数が設定されており、通常確率状態のときよりも大当たりと判定される確率が高くなっている。なお、本実施形態の大当たり判定テーブルT1は、第1特図の抽選と第2特図の抽選で共通としているが、抽選の種類(第1特図の抽選か第2特図の抽選か)に応じてテーブルを分けて設定してもよい。
【0090】
[大当たり種別判定テーブル]
図7に示す大当たり種別判定テーブルT2は、大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルT2は、抽選の種類(第1特図の抽選か第2特図の抽選か)に応じ、大当たり種別(大当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値(大当たり種別判定値)をそれぞれ対応付けて構成されている。大当たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生する大当たり種別乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において大当たり種別乱数カウンタは、0~9の計10個の大当たり種別乱数をカウントする。つまり、0~9の計10個の大当たり種別乱数を発生する。
【0091】
パチンコ遊技機1では、第1特図の抽選で大当たりと判定されたときに決定される大当たり図柄として、「大当たり図柄A」「大当たり図柄B」が設定されている。また、第2特図の抽選で大当たりと判定されたときに決定される大当たり図柄として、「大当たり図柄a」「大当たり図柄b」が設定されている。
【0092】
各大当たり図柄に基づく大当たり遊技は、初回のラウンド遊技が開始される前に実行されるオープニングと、複数回のラウンド遊技と、最終回のラウンド遊技が終了した後に実行されるエンディングと、を含む。各ラウンド遊技は、大入賞口32に入賞した遊技球の個数が予め定めた上限個数(この例では10球)に達するか、所定の開放時間(この例では30秒)が経過するか、いずれか早い方の終了条件が成立すると終了する(大入賞口32が閉鎖される)。ラウンド遊技終了後、所定のインターバル時間が経過すると、次のラウンド遊技が開始される。
【0093】
「大当たり図柄A」で特定される大当たり種別は、大当たり遊技を構成するラウンド遊技数を「7」とする「確変大当たり」である。以下の説明では、当該確変大当たりを「7R確変大当たり」と示す場合がある。「大当たり図柄A」が決定された場合、大当たり遊技終了後の大当たり確率が「高確率状態」とされる。「大当たり図柄B」で特定される大当たり種別は、大当たり遊技を構成するラウンド遊技数を「7」とする「通常大当たり」である。以下の説明では、当該通常大当たりを「7R通常大当たり」と示す場合がある。「大当たり図柄B」が決定された場合、大当たり遊技終了後の大当たり確率が「通常確率状態」とされる。
【0094】
「大当たり図柄a」で特定される大当たり種別は、大当たり遊技を構成するラウンド遊技数を「10」とする「確変大当たり」である。以下の説明では、当該確変大当たりを「10R確変大当たり」と示す場合がある。「大当たり図柄a」が決定された場合、大当たり遊技終了後の大当たり確率が「高確率状態」とされる。「大当たり図柄b」で特定される大当たり種別は、大当たり遊技を構成するラウンド遊技数を「10」とする「通常大当たり」である。以下の説明では、当該通常大当たりを「10R通常大当たり」と示す場合がある。「大当たり図柄b」が決定された場合、大当たり遊技終了後の大当たり確率が「通常確率状態」とされる。
【0095】
また、第1特図の抽選では、取得した大当たり種別乱数が0~4の範囲内の値であった場合は「大当たり図柄A」が、5~9の範囲内の値であった場合は「大当たり図柄B」が、それぞれ選択される。一方、第2特図の抽選では、取得した大当たり種別乱数が0~4の範囲内の値であった場合は「大当たり図柄a」が、5~9の範囲内の値であった場合は「大当たり図柄b」が、それぞれ選択される。
【0096】
なお、本実施形態では、いずれの大当たり種別に当選した場合であっても、大当たり遊技終了後には、電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。ただし、大当たり確率を「高確率状態」とすることに伴って制御される電サポ制御状態は、次回、大当たり判定で大当たりと判定されるまで継続される(図中「次回まで」と示す)。一方、大当たり確率を「通常確率状態」とすることに伴って制御される電サポ制御状態は、その上限回数が「100回」とされる。当該上限回数を超えると、「低確低ベース状態」となる。「電サポ制御状態の上限回数」とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限回数を指す。なお、大当たりの種類、ラウンド遊技数、電サポ制御が行われる上限回数等は、遊技性等に応じて適宜変更してもよい。
【0097】
[リーチ判定テーブル]
図8に示すリーチ判定テーブルT3は、遊技制御用マイコン61が大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定する際に参照するテーブルである。
【0098】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定するための乱数である。リーチ判定テーブルT3は、遊技状態とリーチ乱数値(リーチ判定値)とを対応付けて構成されている。リーチ乱数値は、リーチ乱数カウンタが発生するリーチ乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、リーチ乱数カウンタは、0~255の計256個のリーチ乱数をカウントする。つまり、0~256の計256個のリーチ乱数を発生する。リーチ乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、リーチ乱数カウンタが動作してリーチ乱数が発生する。本実施形態では、遊技状態が非時短状態のときのリーチ乱数値として、0~27の計28個のリーチ乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短状態のときにリーチ乱数カウンタから取得したリーチ乱数が0~27の範囲内の値であった場合は、リーチ判定においてリーチ有りと判定し、0~255のうち0~27以外であった場合は、リーチ無しと判定する。
【0099】
また、本実施形態では、遊技状態が時短状態のときのリーチ乱数値として、0~11の計12個のリーチ乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときにリーチ乱数カウンタから取得したリーチ乱数が0~11の範囲内の値であった場合は、リーチ判定においてリーチ有りと判定し、0~255のうち0~11以外であった場合は、リーチ無しと判定する。
【0100】
リーチ有りと判定されるリーチ乱数は、非時短状態よりも時短状態の方が少なく設定されている。これにより、時短状態ではリーチ有りと判定される確率が非時短状態よりも低くなる。つまり、リーチ無しと判定される確率が高くなるため、その分、特図変動パターンを選択する際に、リーチ無しの特図変動パターンを選択する確率が高くなる。このため、時短状態では、特図保留数の消化のペースが速くなる。
【0101】
[特図変動パターン選択テーブル]
図9に示す特図変動パターン選択テーブルT4は、遊技制御用マイコン61が特図変動パターンを抽選により決定する際に参照するテーブルである。特図変動パターン選択テーブルT4は、遊技状態と、判定(大当たり判定及びリーチ判定)結果と、特図保留数と、変動パターン乱数値(変動パターン判定値)と、特図変動パターンと、変動時間と、を対応付けて構成されている。大当たり種別について対応付けてもよい。また、特図変動パターン選択テーブルT4に示す「変動演出パターン」は、選択された特図変動パターンに対応して演出表示装置7等で行われる演出内容を特定する変動演出パターン(サブ制御基板100側で決定)を指しており、参考のために記載してある。変動パターン乱数値は、変動パターン乱数カウンタが発生する変動パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。パチンコ遊技機1の変動パターン乱数カウンタは、0~99の計100個の変動パターン乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の変動パターン乱数を発生する。変動パターン乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、変動パターン乱数カウンタが動作して変動パターン乱数が発生する。
【0102】
遊技状態が非時短状態のときに大当たり判定において大当たりと判定され、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~94の範囲内の値であった場合は、特図保留数に関係なく、特図変動パターンP1が選択される。また、変動パターン乱数が95~99の範囲内の値であった場合は、特図保留数に関係なく、特図変動パターンP2が選択される。特図変動パターンP1の変動時間は70,000msであり、特図変動パターンP2の変動時間は30,000msである。特図変動パターンP1に対応する変動演出パターンには、SP(スーパー)リーチ演出を実行させる内容が対応付けられている。特図変動パターンP2に対応する変動演出パターンには、ノーマルリーチ演出を実行させる内容が対応付けられている。スーパーリーチ演出は、通常変動とノーマルリーチ演出を経て発展的にリーチ演出が実行される演出であり、ノーマルリーチ演出よりもリーチ後の変動時間が長い。また、大当たり期待度がノーマルリーチ演出よりも高くなるよう、当該テーブルにおいて乱数の振分率が設定されている。ノーマルリーチ演出は、複数列で変動する演出図柄のうち所定列の演出図柄が一旦停止してリーチを形成した後、当該リーチを形成する演出図柄が一旦停止した状態で、残り1つの演出図柄が変動する演出である。また、ノーマルリーチ演出は、リーチ形成後に大当たりとなる可能性があることを示唆する演出でもある。ただし、ノーマルリーチ演出の大当たり期待度がスーパーリーチ演出よりも低くなるよう、当該テーブルにおいて乱数の振分率が設定されている。
【0103】
遊技状態が非時短状態のときに大当たり判定でハズレと判定され、かつリーチ判定でリーチ有りと判定された場合、取得した変動パターン乱数が0~4の範囲内の値であるならば、特図保留数に関係なく、特図変動パターンP3が選択される。取得した変動パターン乱数が5~99の範囲内の値であるならば、特図保留数に関係なく、特図変動パターンP4が選択される。特図変動パターンP3の変動時間は70,000msであり、特図変動パターンP4の変動時間は30,000msである。特図変動パターンP3に対応する変動演出パターンには、スーパーリーチ演出を実行させる内容が対応付けられている。特図変動パターンP4に対応する変動演出パターンには、ノーマルリーチ演出を実行させる内容が対応付けられている。
【0104】
遊技状態が非時短状態のときに大当たり判定でハズレと判定され、かつ、リーチ判定でリーチ無しと判定された場合、特図保留数が0~2個であるならば、取得した変動パターン乱数の値に関係なく、特図変動パターンP5が選択される。また、特図保留数が3~4個であるならば、取得した変動パターン乱数の値に関係なく、特図変動パターンP6が選択される。特図変動パターンP5の変動時間は10,000msであり、特図変動パターンP6の変動時間は5,000msである。特図変動パターンP5,P6に対応する変動演出パターンには、通常変動を表示させる内容が対応付けられている。
【0105】
遊技状態が時短状態のときに大当たり判定で大当たりと判定された場合、取得した変動パターン乱数の値に関係なく、特図変動パターンP7が選択される。特図変動パターンP7の変動時間は50,000msである。特図変動パターンP7に対応する変動演出パターンには、スーパーリーチ演出を実行させる内容が対応付けられている。
【0106】
遊技状態が時短状態のときに大当たり判定でハズレと判定され、かつリーチ判定でリーチ有りと判定された場合、取得した変動パターン乱数の値に関係なく、特図変動パターンP8が選択される。特図変動パターンP8の変動時間は50,000msである。特図変動パターンP8に対応する変動演出パターンには、スーパーリーチ演出を実行させる内容が対応付けられている。
【0107】
遊技状態が時短状態のときに大当たり判定でハズレと判定され、かつ、リーチ判定でリーチ無しと判定された場合、特図保留数が0~1個であるならば、取得した変動パターン乱数の値に関係なく、特図変動パターンP9が選択される。また、特図保留数が2~4個であるならば、取得した変動パターン乱数の値に関係なく、特図変動パターンP10が選択される。特図変動パターンP9の変動時間は5,000msであり、特図変動パターンP10の変動時間は2,500msである。特図変動パターンP9,P10に対応する変動演出パターンには、通常変動を表示させる内容が対応付けられている。なお、この特図変動パターン選択テーブルT4は、第1特図及び第2特図で共通としているが、第1特図と第2特図で分けて設定してもよい。
【0108】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(メイン側主制御処理)
最初に、
図10に従って、メイン側主制御処理の内容について説明する。
【0109】
遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM63からメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初に初期設定を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に到達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタIC等から成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
【0110】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は、例えば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
【0111】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、
図11に従って、メイン側タイマ割込処理(S5)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S10)。この出力処理では、以下に説明する各処理において主制御基板60のRAM64に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等をサブ制御基板100や払出制御基板73等に出力する。遊技制御用マイコン61は、普通図柄が変動を開始した場合に普通図柄が変動を開始したことを示す普図用の変動開始コマンド、及び特別図柄が変動を開始した場合に特別図柄が変動を開始したことを示す特図用の変動開始コマンドについても出力する。続いて、遊技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S11)。この入力処理では、主にパチンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ22a、大入賞口センサ32a、ゲートセンサ12a等)が検出した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行する(S12)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更新(減算)を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S13)。この賞球制御処理では、入力処理(S11)において読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板73に対して出力されるコマンドである。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S14)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、
図10のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0112】
続いて、遊技制御用マイコン61は、後述するセンサ検出処理(S15)、普通動作処理(S16)、特別図柄待機処理(S17)、特別図柄変動処理(S18)、その他の処理(S19)を実行して、本処理を終了する。その他の処理(S19)は、不正入賞を検知して報知するセキュリティ制御処理、磁気を利用した不正行為を検知して報知する磁気検出処理、前面枠18や内枠の開放を検知して報知する扉開放処理、電波を利用した不正行為を検知して報知する不正電波検出処理、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為を検知して報知する衝撃検出処理等である。また、その他の処理では、第1特図保留数に基づいて第1特図保留表示器51aをその数を示す表示態様に制御したり、第2特図保留数に基づいて第2特図保留表示器52aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU62に割込パルスが入力されるまではメイン側主制御処理(
図10)のS2~S4の処理が繰り返し実行され、割込パルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割込処理(S5)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)においては、前回のメイン側タイマ割込処理(S5)にてRAM64の出力バッファにセットされたコマンド等が所定の基板へ出力される。
【0113】
(センサ検出処理)
次に、
図12に従って、センサ検出処理(S15)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート12を通過したか否かを判定する(S20)。遊技球がゲート12を通過したことはゲートセンサ12aによって検出される。遊技球がゲート12を通過したと判定した場合(S20:Yes)、遊技制御用マイコン61は、ゲート通過処理を実行する(S21)。このゲート通過処理では、普図保留数が4以上であるか否か判定し、普図保留数が4以上でなければ、普図保留数に「1」を加算し、普通図柄の抽選を行うための当たり乱数を取得して記憶する処理を行う。
【0114】
S21の終了後、又は遊技球がゲート12を通過していないと判定した場合(S20:No)、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第2始動口22に入賞したか否かを判定する(S22)。遊技球が第2始動口22に入賞したことは第2始動口センサ22aによって検出される。遊技球が第2始動口22に入賞したと判定した場合(S22:Yes)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が上限値の「4」に達しているか否かを判定する(S23)。第2特図保留数U2が「4」に達していないと判定した場合(S23:No)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2に1を加算する(S24)。これにより、第2特別図柄の変動保留条件が成立する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S25)。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数カウンタがカウントする大当たり乱数と、大当たり種別乱数カウンタがカウントする大当たり種別乱数と、リーチ乱数カウンタがカウントするリーチ乱数と、変動パターン乱数カウンタがカウントする変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2特図保留記憶部64bのうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に記憶する。例えば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0115】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S26)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S25において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数群に基づいて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示すデータ、S25において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S26において作成した第2始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S27)。このセットされた第2始動入賞コマンドは、出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力され、演出制御用マイコン101が第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0116】
S27の終了後、遊技球が第2始動口22に入賞していないと判定した場合(S22:No)、又は第2特図保留数U2が「4」に達していると判定した場合(S23:Yes)、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口11に入賞したか否かを判定する(S28)。遊技球が第1始動口11に入賞したことは第1始動口センサ11aによって検出される。遊技球が第1始動口11に入賞したと判定した場合(S28:Yes)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1が上限値の「4」に達しているか否かを判定する(S29)。第1特図保留数U1が「4」に達していないと判定した場合(S29:No)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1に1を加算する(S30)。これにより、第1特別図柄の変動保留条件が成立する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S31)。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64aのうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例えば、現在の第1特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0117】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S32)。この第1始動入賞コマンド作成処理では、S31において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示すデータ、S31において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S32において作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S33)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力され、演出制御用マイコン101が第1始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。S33の終了後、遊技球が第1始動口11に入賞していないと判定した場合(S28:No)、又は第1特図保留数U1が「4」に達していると判定した場合(S29:Yes)、遊技制御用マイコン61は、本処理を終了する。
【0118】
(普通動作処理)
次に、普通動作処理(S16)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、普図保留数の加算、普通図柄表示器53による普通図柄の変動表示、普通図柄が当たりか否かの当たり判定、当たり判定の結果が当たりであった場合の普通可変入賞装置20の開閉動作等の処理を行う。
【0119】
(特別図柄待機処理)
次に、
図13に従って、特別図柄待機処理(S17)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が「0」であるか否かを判定する(S40)。「0」ではないと判定した場合(S40:No)、遊技制御用マイコン61は、後述する第2特図大当たり判定処理(
図14)を実行する(S41)。続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する第2特図変動パターン選択処理(
図15,
図16)を実行する(S42)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2から「1」を減算し(S43)、第2特図保留記憶部64bの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S44)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図変動開始処理を実行する(S45)。つまり、第2特別図柄表示器52は、遊技制御用マイコン61が第2特図保留記憶部64bに記憶されている大当たり乱数に基づいて当否判定を実行する順に第2特別図柄の変動表示を行う。また、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄の変動表示を行う毎に、第2特図保留記憶部64bの各記憶領域に記憶されている各データは、記憶の順番が古い方の記憶領域にシフトされる。
【0120】
この第2特図変動開始処理では、特図用の変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする特図用の変動開始コマンドには、後述する第2特図大当たり判定処理(
図14)においてセットされた特図停止図柄のデータや第2特図変動パターン選択処理(
図15,
図16)においてセットされた特図変動パターンのデータが含まれている。S45の実行後、遊技制御用マイコン61は、本処理を終了する。
【0121】
また、遊技制御用マイコン61は、S40で、第2特図保留数U2が「0」であると判定した場合(S40:Yes)、第1特図保留数U1が「0」であるか否かを判定する(S46)。「0」ではないと判定した場合(S46:No)、遊技制御用マイコン61は、後述する第1特図大当たり判定処理(
図14)を実行する(S47)。続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する第1特図変動パターン選択処理(
図15,
図16)を実行する(S48)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1から「1」を減算し(S49)、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S50)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図変動開始処理を実行する(S51)。つまり、第1特別図柄表示器51は、遊技制御用マイコン61が第1特図保留記憶部64aに記憶されている大当たり乱数に基づいて当否判定を実行する順に第1特別図柄の変動表示を行う。また、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄の変動表示を行う毎に、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に記憶されている各データは、記憶の順番が古い方の記憶領域にシフトされる。
【0122】
この第1特図変動開始処理では、特図用の変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする特図用の変動開始コマンドには、後述する第1特図大当たり判定処理(
図14)においてセットされた特図停止図柄のデータや第1特図変動パターン選択処理(
図15,
図16)においてセットされた変動パターンのデータが含まれている。S51の実行後、遊技制御用マイコン61は、本処理を終了する。
【0123】
また、遊技制御用マイコン61は、S46において、第1特図保留数U1が「0」であると判定した場合(S46:Yes)、待機状態中であるか否かを判定する(S52)。待機状態は、大当たり遊技中でなく、特別図柄の変動中ではなく、かつ特図保留数が零である状態を指す。より詳しくは、待機状態は、前述の条件に加え、特別図柄(又は演出図柄)の確定表示後に、図柄が停止した状態が一定時間以上経過したことを契機に生起される状態である。ここで、待機状態中であると判定した場合(S52:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了し、待機状態中ではないと判定した場合(S52:No)、待機画面設定処理を実行する(S53)。この待機画面設定処理では、所定の待機時間(前述の一定時間に相当)の経過を待って、客待ち用のデモ画面である待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。その後、遊技制御用マイコン61は本処理を終了する。なお、遊技制御用マイコン61は、例えば、客待ち用のデモ画面表示フラグのON/OFFによって待機状態であるか否かを判定するようにしてもよい。また、本実施形態では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留数U2が「0」の場合(S40:Yesの場合)に限って行われる。つまり、第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。
【0124】
(第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理))
次に、
図14に従って、第2特図大当たり判定処理(S41)及び第1特図大当たり判定処理(S47)の内容について説明する。なお、第2特図大当たり判定処理(S41)と第1特図大当たり判定処理(S47)とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。また、第1特図保留記憶部64a及び第2特図保留記憶部64bに共通の事項を説明する場合は、単に特図保留記憶部という。
【0125】
遊技制御用マイコン61は、RAM64の特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数を読み出し(S60)、大当たり判定テーブル(この例では大当たり判定テーブルT1)を参照する(S61)。続いて、遊技制御用マイコン61は、確変フラグがONであるか否か、つまり、現在の遊技状態が高確率状態であるか否かを判定する(S62)。確変フラグは、いずれかの確変大当たりに当選したときにONにされ、いずれかの通常大当たりに当選したときにOFFにされる。ここで、確変フラグがONではない、つまり、通常確率状態であると判定した場合(S62:No)、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定テーブルのうち、通常確率状態の大当たり乱数を参照し、S60において読み出した大当たり乱数と同じ乱数が存在するか否か、つまり、大当たりか否かの当否判定を行う(S63)。
【0126】
一方、S62において確変フラグがONである、つまり、現在の遊技状態が高確率状態であると判定した場合(S62:Yes)、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定テーブルのうち、高確率状態の大当たり乱数を参照し、S60において読み出した大当たり乱数と同じ乱数があるか否か、つまり、大当たりか否かの当否判定を行う(S64)。
【0127】
S63で大当たりと判定した場合(S63:Yes)又はS64で大当たりと判定した場合(S64:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し、大当たり種別判定テーブル(この例では大当たり種別判定テーブルT2)を参照して大当たりの種別を判定する(S65)。
【0128】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定において、大当たりと判定したことを示す大当たりフラグをONにする(S66)。S63で大当たりと判定しなかった場合(S63:No)、S66の終了後、又はS64で大当たりと判定しなかった場合(S64:No)、遊技制御用マイコン61は、S67に移行する。大当たりと判定した場合、遊技制御用マイコン61は、S65で判定した大当たりの種別に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし、本処理を終了する。また、大当たりではない、つまり、ハズレと判定した場合、遊技制御用マイコン61は、特図のハズレ図柄を確定表示するための特図停止図柄データを特図バッファにセットし、本処理を終了する。
【0129】
(第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理))
次に、
図15及び
図16に従って、第2特図変動パターン選択処理(S42)及び第1特図変動パターン選択処理(S48)の内容について説明する。なお、第2特図変動パターン選択処理(S42)と第1特図変動パターン選択処理(S48)とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。
【0130】
遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態中であるか否かを判定する(S70)。時短状態中であるか否かは、時短状態中であるか否かを特定可能な情報(時短フラグ)がONである否かによって判定することができる。時短フラグは、時短状態に制御されるときにONにされる一方、時短状態が終了するときにOFFにされる。
【0131】
時短フラグがONではない、つまり、時短状態中ではないと判定した場合(S70:No)、遊技制御用マイコン61は、S71に移行する。一方、時短フラグがONである、つまり、時短状態中であると判定した場合(S70:Yes)、遊技制御用マイコン61は、S77に移行する。S71又はS77に移行した遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S71,S77)。大当たりフラグがONであると判定した場合(S71,S77:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブル(この例では特図変動パターン選択テーブルT4)を参照して特図変動パターンを選択する(S72,S78)。例えば、非時短状態中であれば、遊技制御用マイコン61は、非時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数を参照する。同様に、時短状態中であれば、遊技制御用マイコン61は、時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。
【0132】
また、S71又はS77において大当たりフラグがONではない、つまり、ハズレと判定した場合(S71,S77:No)、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数を取得し、その取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S73,S79)。非時短状態である場合、取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブル(この例ではリーチ判定テーブルT3)のうち非時短状態用のリーチ乱数の中に存在するならば、遊技制御用マイコン61は、リーチ成立乱数であると判定する(S73:Yes)。同様に、時短状態である場合、取得したリーチ乱数がリーチ判定テーブルのうち時短状態用のリーチ乱数の中に存在するならば、遊技制御用マイコン61は、リーチ成立乱数であると判定する(S79:Yes)。
【0133】
その後、遊技制御用マイコン61は、非時短状態であれば、特図変動パターン選択テーブルを参照し、非時短状態に対応付けられているリーチ有りハズレ用の特図変動パターンを選択する(S74)。同様に、遊技制御用マイコン61は、時短状態であれば、特図変動パターン選択テーブルを参照し、時短状態に対応付けられているリーチ有りハズレ用の特図変動パターンを選択する(S80)。
【0134】
また、S73又はS79においてリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合(S73,S79:No)、遊技制御用マイコン61は、非時短状態であれば、特図変動パターン選択テーブルを参照し、非時短状態に対応付けられているリーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択する(S75)。同様に、遊技制御用マイコン61は、時短状態であれば、特図変動パターン選択テーブルを参照し、時短状態に対応付けられているリーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択する(S81)。
【0135】
S72,S74,S75,S78,S80,S81の終了後、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S76)、本処理を終了する。S76において特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS45,S51においてセットされる特図用の変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)により、サブ制御基板100へ出力される。
【0136】
(特別図柄変動処理)
次に、
図17に従って、特別図柄変動処理(S18)の内容について説明する。なお、第2特図の特別図柄変動処理と第1特図の特別図柄変動処理とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。
【0137】
遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間(S42,S48で選択された特図変動パターンに応じて決まる変動時間)が終了したか否かを判定する(S90)。特別図柄の変動時間が終了していないと判定した場合(S90:No)、遊技制御用マイコン61は、本処理を終了する。特別図柄の変動時間が終了したと判定した場合(S90:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示を停止させるための特図用の変動停止コマンドをRAM64に設けた出力バッファにセットする(S91)。続いて、遊技制御用マイコン61は、特別図柄表示器で実行中である特別図柄の変動表示を、特図変動パターンに定められた変動時間の経過後に、特図大当たり判定処理でセットした特図停止図柄データに応じた図柄(特図の大当たり図柄又は特図のハズレ図柄)で停止させる特別図柄停止処理を実行する(S92)。
【0138】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技状態管理処理を実行する(S93)。具体的には、遊技制御用マイコン61は、時短フラグがONになっているか否か判定し、ONになっていると判定した場合は、時短状態中における特別図柄の変動回数を減算方式でカウントする時短カウンタの値を1減算し、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する。そして、「0」であると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。遊技制御用マイコン61は、各フラグの情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、遊技状態管理処理を終了する。なお、パチンコ遊技機1では、確変大当たりに当選した場合、次回大当たりに当選するまで高確率状態が継続されるため、遊技状態管理処理として、確変フラグをOFFにしたり、確変状態中における特別図柄の変動回数をカウントする確変カウンタを設ける必要はない。
【0139】
その後、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定し(S94)、ONであると判定した場合(S94:Yes)、遊技状態リセット処理を実行する(S95)。この遊技状態リセット処理では、確変フラグがONであるか否かを判定し、ONであると判定した場合は、確変フラグをOFFにする。また、時短フラグがONであるか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。つまり、大当たり遊技の実行中は、通常確率状態かつ非時短状態に制御される。一方、大当たりフラグがOFFであると判定した場合(S94:No)、遊技制御用マイコン61は、本処理を終了する。
【0140】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技を開始するために、大当たりオープニング設定を行い(S96)、大当たりオープニングを実行させるためのオープニングコマンドをセットする(S97)。大当たりオープニングとは、大当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、大当たりの発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。オープニング設定では、大当たりオープニングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。
【0141】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たりオープニングが終了すると、特別電動役物処理を実行する(S98)。まず、遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理において、特別電役作動有効カウンタの値をセットする。特別電役作動有効カウンタは、大当たり遊技におけるラウンド遊技数の残回数をカウントするカウンタである。そして、ラウンド開始時期に到達すると、遊技制御用マイコン61は、ラウンド開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。そして、遊技制御用マイコン61は、大当たりの種類に応じた開放パターンで大入賞口32を開閉させる。そして、ラウンド遊技中、大入賞口32が開状態となってから上限個数の遊技球が入賞するか、あるいは所定の開放時間が経過すると、遊技制御用マイコン61は、開閉部材31の閉動作により大入賞口32を閉状態としてラウンド遊技を終了する。遊技制御用マイコン61は、大当たりの種別毎に定められたラウンド回数分、大入賞口32の開閉動作を行う。また、遊技制御用マイコン61は、ラウンド遊技を開始させる度に特別電役作動有効カウンタの値を1減算し、特別電役作動有効カウンタの値が「0」となった場合、大当たり遊技を終了させる。具体的には、遊技制御用マイコン61は、大当たりエンディングを実行させるためのエンディングコマンドをRAM64の出力バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、大当たりエンディングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。大当たりエンディングの終了により大当たり遊技が終了すると、その後、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグをOFFとする。
【0142】
S98の終了後、遊技制御用マイコン61は、遊技状態設定処理(S99)を実行する。遊技状態設定処理において遊技制御用マイコン61は、大当たりの種別として通常大当たり(実施形態の例では「大当たり図柄B」又は「大当たり図柄b」で特定される大当たり種別)を決定している場合、時短フラグをONにし、時短カウンタに大当たり種別に応じた回数(実施形態の例では100)をセットする。遊技制御用マイコン61は、遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、本処理を終了する。遊技状態指定コマンドには、設定した遊技状態(時短フラグ、時短カウンタ、確変フラグ等)に関する情報が含まれている。一方、大当たりの種別として確変大当たり(実施形態の例では「大当たり図柄A」又は「大当たり図柄a」で特定される大当たり種別)を決定している場合、遊技制御用マイコン61は、確変フラグ及び時短フラグをONにする。なお、本実施例における確変大当たりでは、大当たり遊技終了後、次回大当たりに当選するまで時短状態に制御されるため、時短回数として時短カウンタに特定の値をセットしなくてもよい。そして、遊技制御用マイコン61は、遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、遊技状態設定処理を終了する。
【0143】
(サブ側主制御処理)
次に、
図18に従って、サブ側主制御処理について説明する。
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S100)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしており、かつ、RAM120の内容が正常であるか否かを判定し(S101)、否定判定した場合(S101:No)、RAM120を初期化し(S102)、S103に進む。また、S101において肯定判定した場合(S101:Yes)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化しないでS103に進む。つまり、電源断信号がONになっていない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない場合には(S101:No)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化するが、停電等で電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S101:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等の値はリセットされる。また、このS100~S102は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0144】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S103)、乱数更新処理を実行する(S104)。この乱数更新処理では、種々の演出選択乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出選択乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S105)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78及びランプ制御基板79等に送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S106)。以降、S103~S106を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S107)、1msタイマ割込処理(S108)及び10msタイマ割込処理(S109)の実行が可能となる。
【0145】
(受信割込処理)
次に、受信割込処理(S107)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。例えば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングではないと判定した場合、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、受信するタイミングであると判定した場合、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S108,S109)に優先して実行される処理である。
【0146】
(1msタイマ割込処理)
次に、
図19に従って、1msタイマ割込処理(S108)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S110)。この入力処理では、演出制御用マイコン101が、演出レバー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b、及び演出ボタン検出スイッチ9aからの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0147】
続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S111)。この出力処理では、後述する変動演出開始処理(
図22)においてRAM120の出力バッファにセットされる変動演出開始コマンドを画像制御基板200に出力する。また、演出表示装置7の表示に合わせて盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(S123)等で作成したランプデータをランプ制御基板79に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8から音声を出力させるために、後述する10msタイマ割込処理における音声制御処理(S124)等で作成した音声データを音声制御基板78に出力する。つまり、音声データに従ってスピーカ8から音声を出力させる。また、演出表示装置7の表示に合わせて可動体15を駆動させるために、駆動データ(可動体15を駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体15を所定の動作パターンで駆動させる。
【0148】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したか否かを判定する(S112)。変動演出開始コマンドは、後述する変動演出開始処理(
図22)においてRAM120の出力バッファにセットされ、S111において画像制御基板200に出力される。ここで、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したと判定した場合(S112:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S113)。続いて、演出制御用マイコン101は、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S114)。S114の終了後、又は変動演出開始コマンドを出力していないと判定した場合(S112:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0149】
(10msタイマ割込処理)
次に、
図20に従って、10msタイマ割込処理(S109)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後述する受信コマンド解析処理(
図21)を実行し(S120)、スイッチ状態取得処理を実行する(S121)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処理(S110)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出等の表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S122)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S123)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23b等)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理等を行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0150】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S124)。この音声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声データの音声制御基板78への出力、音声演出の時間管理等を行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S125)、本処理を終了する。その他の処理(S125)では、演出選択乱数である変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数等を更新する等の処理を実行する。
【0151】
(受信コマンド解析処理)
次に、
図21に従って、受信コマンド解析処理(S120)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定する(S130)。遊技状態指定コマンドを受信したと判定した場合(S130:Yes)、演出制御用マイコン101は、サブ側遊技状態設定処理を実行する(S131)。遊技状態指定コマンドには、遊技状態(時短フラグ、時短カウンタ、確変フラグなど)を示す情報等が含まれている。このサブ側遊技状態設定処理では、受信した遊技状態指定コマンドを解析し、遊技状態指定コマンドに含まれている情報に基づき、遊技状態を特定し、特定した遊技状態を記憶する。例えば、遊技状態指定コマンドに含まれる情報に基づき、RAM120に記憶されている時短演出カウンタの値などが更新される。具体的には、時短状態で行われる特別図柄の残り変動回数が時短演出カウンタにセットされる。これにより、主制御基板60側だけでなく、サブ制御基板100側でも時短回数等の情報を保持することができる。
【0152】
S131の終了後、又は遊技状態指定コマンドを受信していないと判定した場合(S130:No)、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを受信したか否かを判定する(S132)。オープニングコマンドを受信したと判定した場合(S132:Yes)、演出制御用マイコン101は、オープニング演出選択処理を実行する(S133)。このオープニング演出選択処理では、大当たり遊技のオープニング中に実行する演出の種類を選択する。この演出は、演出表示装置7が表示する画像及び盤ランプ2a等の発光、各スピーカ8が出力する音声等による演出であり、大当たりの種類によって異なる。詳しくは、オープニングコマンド毎にオープニング演出が対応付けられたオープニング演出選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出を選択する。そして、選択した内容のオープニング演出を開始するためのオープニング演出コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
【0153】
S133の終了後、又はオープニングコマンドを受信していないと判定した場合(S132:No)、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からラウンド指定コマンドを受信したか否かを判定する(S134)。ラウンド指定コマンドを受信したと判定した場合(S134:Yes)、演出制御用マイコン101は、ラウンド演出選択処理を実行する(S135)。このラウンド演出選択処理では、大当たり遊技の各ラウンドにおいて実行する演出の種類を選択する。この演出は、演出表示装置7が表示する画像及び盤ランプ2a等の発光、各スピーカ8が出力する音声等による演出であり、大当たりの種類によって異なる。詳しくは、ラウンド指定コマンド毎にラウンド演出が対応付けられたラウンド演出テーブル(図示せず)を参照し、受信したラウンド指定コマンドと対応付けられているラウンド演出を選択する。そして、選択した内容のラウンド演出を開始するためのラウンド演出コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
【0154】
S135の終了後、又はラウンド指定コマンドを受信していないと判定した場合(S134:No)、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを受信したか否かを判定する(S136)。主制御基板60からエンディングコマンドを受信したと判定した場合(S136:Yes)、演出制御用マイコン101は、エンディング演出選択処理を実行する(S137)。このエンディング演出選択処理では、実行中の大当たり遊技の契機となった大当たりの種類に応じて、大当たりの終了時において実行する演出の種類を選択する。この演出は、演出表示装置7が表示する画像及び盤ランプ2a等の発光、各スピーカ8が出力する音声等による演出であり、大当たりの種類によって異なる。詳しくは、エンディングコマンド毎にエンディング演出が対応付けられたエンディング演出テーブル(図示せず)を参照し、受信したエンディングコマンドと対応付けられているエンディング演出を選択する。そして、選択した内容のエンディング演出を開始するためのエンディング演出コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
【0155】
S137の終了後、又は主制御基板60からエンディングコマンドを受信していないと判定した場合(S136:No)、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図用の変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S138)。特図用の変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S138:Yes)、演出制御用マイコン101は、後述する変動演出開始処理(
図22)を実行する(S139)。
【0156】
S139の終了後、又は主制御基板60から特図用の変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S138:No)、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図用の変動停止コマンドを受信したか否かを判定する(S140)。主制御基板60から特図用の変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S140:Yes)、演出制御用マイコン101は、変動演出終了処理を実行する(S141)。この変動演出終了処理では、演出制御用マイコン101は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S105)によって画像制御基板200に送信されると、画像制御基板200は、演出表示装置7において上図柄列7U、中図柄列7C及び下図柄列7Dにおいて、所定の停止パターンを経て演出図柄を確定表示させる。
【0157】
S141の終了後、又は主制御基板60から特図用の変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S140:No)、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S142)、本処理を終了する。その他の処理(S142)では、上記各コマンド以外のコマンド(例えば、普図用の変動開始コマンドや普図用の変動停止コマンド)に基づく処理等を行う。
【0158】
(変動演出開始処理)
次に、
図22に従って、変動演出開始処理(S139)について説明する。
演出制御用マイコン101は、受信した特図用の変動開始コマンドを解析する(S150)。特図用の変動開始コマンドには、第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理)でセットされた第2特図変動パターン(第1特図変動パターン)の情報、特図停止図柄(大当たり種別判定結果)等が含まれている。続いて、演出制御用マイコン101は、S150において解析した特図用の変動開始コマンドが第1特図用の変動開始コマンドである場合は、第1特図保留数と同期するよう、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し、第2特図用の変動開始コマンドである場合は、第2特図保留数と同期するよう、第2特図保留演出カウンタの値を「1」減算する(S151)。第1特図保留演出カウンタは、第1始動入賞コマンドの受信に基づいて第1特図保留数に対応する数をカウントするカウンタであり、第2特図保留演出カウンタは、第2始動入賞コマンドの受信に基づいて第2特図保留数に対応する数をカウントするカウンタである。続いて、演出制御用マイコン101は、特図保留演出記憶部に記憶されている始動入賞コマンド等の各データを古い記憶領域の方にシフトする(S152)。
【0159】
続いて、演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理を実行する(S153)。演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理として、指示された特図変動パターンに基づいて、変動演出パターン選択テーブルT5(
図23)の中から、演出図柄の変動に伴って行われる演出内容(変動演出パターン)を選択する。
【0160】
[変動演出パターン選択テーブル]
以下、
図23に従って、変動演出パターン選択テーブルT5について説明する。
変動演出パターン選択テーブルT5は、特図変動パターンと、判定結果と、変動演出パターン乱数値(変動演出パターン判定値)と、変動演出パターン(演出内容)とを対応付けて構成されている。特図変動パターン及び判定結果は、特図変動パターン選択テーブルT4に設定されている特図変動パターン及び判定結果と対応しており、実行される演出時間は、前述の特図変動パターンの変動時間と同一である。変動演出パターン乱数値は、演出選択乱数カウンタの一種である変動演出パターン乱数カウンタが発生する変動演出パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、変動演出パターン乱数カウンタは、0~99の計100個の変動演出パターン乱数をカウントする。
【0161】
特図変動パターンP1(大当たり)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL4」と、を特定する変動演出パターンEP1が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL5」と、を特定する変動演出パターンEP2が選択される。
【0162】
特図変動パターンP2(大当たり)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「N(ノーマル)リーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL1」と、を特定する変動演出パターンEP3が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「Nリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL2」と、を特定する変動演出パターンEP4が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「Nリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL3」と、を特定する変動演出パターンEP5が選択される。
【0163】
特図変動パターンP3(リーチ有りハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL4」と、を特定する変動演出パターンEP6が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL5」と、を特定する変動演出パターンEP7が選択される。
【0164】
特図変動パターンP4(リーチ有りハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「Nリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL1」と、を特定する変動演出パターンEP8が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「Nリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL2」と、を特定する変動演出パターンEP9が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「Nリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL3」と、を特定する変動演出パターンEP10が選択される。
【0165】
特図変動パターンP5(リーチ無しハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL1」と、を特定する変動演出パターンEP11が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL2」と、を特定する変動演出パターンEP12が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL3」と、を特定する変動演出パターンEP13が選択される。
【0166】
特図変動パターンP6(リーチ無しハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL1」と、を特定する変動演出パターンEP14が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL2」と、を特定する変動演出パターンEP15が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL3」と、を特定する変動演出パターンEP16が選択される。
【0167】
特図変動パターンP7(大当たり)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL4」と、を特定する変動演出パターンEP17が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL5」と、を特定する変動演出パターンEP18が選択される。
【0168】
特図変動パターンP8(リーチ有りハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL4」と、を特定する変動演出パターンEP19が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「SPリーチ」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL5」と、を特定する変動演出パターンEP20が選択される。
【0169】
特図変動パターンP9(リーチ無しハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL1」と、を特定する変動演出パターンEP21が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL2」と、を特定する変動演出パターンEP22が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、「有効ラインL3」と、を特定する変動演出パターンEP23が選択される。
【0170】
特図変動パターンP10(リーチ無しハズレ)が選択された場合、取得した変動演出パターン乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL1」と、を特定する変動演出パターンEP24が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL2」と、を特定する変動演出パターンEP25が選択される。また、取得した変動演出パターン乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「リーチ無し(通常変動)」の演出内容と、結果導出ラインとして「有効ラインL3」と、を特定する変動演出パターンEP26が選択される。
【0171】
このような変動演出パターン乱数の振り分けにより、パチンコ遊技機1では、いずれかの変動演出パターンを決定することで、結果導出ラインも決定することが可能となる。また、パチンコ遊技機1では、大当たり判定の結果に関わらずSPリーチまで発展する場合には、2本の有効ライン上に2つのリーチが形成される(ダブルリーチ)。一方、大当たり判定の結果に関わらずNリーチで終了する場合には、ダブルリーチが形成されることはなく、1本の有効ライン上にのみ1つのリーチが形成される(シングルリーチ)。また、これらの変動演出パターンの選択割合や演出内容等は、前述の例に限られず、遊技性等に応じて適宜変更されてもよい。また、結果導出ラインは、変動演出パターンの選択とは別に抽選で決定されてもよい。
【0172】
図22の説明に戻り、続いて、演出制御用マイコン101は、S153で決定した有効ライン上に確定表示させる演出図柄による図柄組み合わせを選択する演出図柄選択処理を実行する(S154)。このとき、大当たりを特定する特図用の変動開始コマンドを受信しているならば、演出制御用マイコン101は、同一種類の特定図柄Cによる大当たりの図柄組み合わせを決定する。より具体的には、「確変大当たり」に当選している場合、奇数を示す特定図柄C(この例では特定図柄C1,C3,C5,C7)による大当たりの図柄組み合わせを決定する。一方、「通常大当たり」に当選している場合、偶数を示す特定図柄C(この例では特定図柄C2,C4,C6,C8)による大当たりの図柄組み合わせを決定する。パチンコ遊技機1では、「通常大当たり」よりも「確変大当たり」の方が、遊技者にとって有利な大当たり種別となるため、「通常大当たり」に当選している場合に決定され得る偶数を示す特定図柄Cよりも、「確変大当たり」に当選している場合に決定され得る奇数を示す特定図柄Cの方が、遊技者にとって有利な有利図柄となる。
【0173】
一方、リーチ有りハズレを特定する特図用の変動開始コマンドを受信しているならば、演出制御用マイコン101は、上図柄列7U及び下図柄列7Dを同一種類の特定図柄Cとし、中図柄列7Cを上図柄列7U及び下図柄列7Dの特定図柄Cとは異なる演出図柄とするリーチ有りハズレの図柄組み合わせを決定する。本実施形態では、演出制御用マイコン101は、中図柄列7Cに確定表示させる演出図柄として、上図柄列7U及び下図柄列7Dの特定図柄Cよりも変動順序が1つ前又は1つ後ろに位置するブランク図柄Xを決定する。なお、中図柄列7Cに確定表示させる演出図柄は、上図柄列7U及び下図柄列7Dの特定図柄Cとは異なる図柄であればよく、前述したブランク図柄Xに限定しなくてもよい。また、リーチ無しハズレを特定する特図用の変動開始コマンドを受信しているならば、演出制御用マイコン101は、リーチ有りハズレの図柄組み合わせを含まないリーチ無しハズレの図柄組み合わせを決定する。このリーチ無しハズレの図柄組み合わせには、ブランク図柄X揃いによる図柄組み合わせを含む。続いて、演出制御用マイコン101は、後述する図柄拡大演出を実行させるための図柄拡大演出制御処理を実行する(S155)。また、前述したように、パチンコ遊技機1では、上図柄列7Uと下図柄列7Dにおける演出図柄の配列順序の違いにより、有効ラインL4及び有効ラインL5上にそれぞれリーチが形成される。これにより、結果導出ラインとして有効ラインL4又は有効ラインL5が決定された場合、結果導出ラインにおける図柄組み合わせを決定すると、他方の有効ラインにおけるリーチの図柄組み合わせも必然的に決定されることになる。
【0174】
その後、演出制御用マイコン101は、S153~S155でそれぞれ選択した演出内容の表示を演出表示装置7に開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする(S156)。変動演出開始コマンドには、演出内容(変動演出パターン)の他、演出図柄を表示させるための演出画像データや図柄拡大演出を表示させるための演出画像データが含まれている。そして、その演出画像データを含む変動演出開始コマンドが、RAM120の出力バッファにセットされることで、1msタイマ割込処理の出力処理(S111)において、演出画像データが画像制御基板200に出力される。これにより、演出画像データに基づく演出図柄や演出画像が演出表示装置7に表示される。その後、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0175】
(図柄拡大演出について)
前述したように、パチンコ遊技機1では、通常、各図柄列7U,7C,7Dにおいて特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に表示されるよう、図柄の変動順序が定められている。このため、いずれかの有効ライン上にリーチが形成されているが、大当たり判定の結果が「ハズレ」となる場合には、次のような流れで最終停止列(この例では中図柄列7C)にブランク図柄Xが確定表示されることになる。具体的には、リーチ形成後の最終停止列では、暫くの間、遊技者が演出図柄の種類を認識できないような速度で図柄スクロールが行われる。その後、結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hに、リーチ形成図柄と同じ特定図柄Cよりも変動順序が前である(例えば2つ前)演出図柄が差し掛かった時点で、遊技者が演出図柄の種類を認識できる程度まで図柄の変動速度が遅くなり、コマ送りの態様で演出図柄の変動表示が行われる。そして、結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hでは、リーチ形成図柄と同じ特定図柄Cが停止するように見せかける演出が行われ、当該停止表示領域Hにリーチ形成図柄と同じ特定図柄Cよりも変動順序が1つ前又は1つ後ろに位置するブランク図柄Xが導出され、ハズレの図柄組み合わせが確定表示される。
【0176】
このように、リーチ形成後、最終停止列における演出図柄の変動速度が低速となることによって、リーチ形成図柄と同じ数字を示す特定図柄Cだけでなく、その特定図柄Cの前後に位置するブランク図柄Xも視認できてしまうため、遊技者は、ハズレとなる図柄の導出過程や、ハズレ時に導出され得る図柄組み合わせを容易に想像できてしまっていた。
【0177】
そこで、パチンコ遊技機1では、例えば
図25等に示す例のように、リーチ形成後の任意のタイミングで、複数の停止表示領域を跨ぐ大きさの拡大特定図柄KCを最終停止列に停止させて一旦表示状態をとるようにし、拡大特定図柄KCの表示によってブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態となるようにした。ブランク図柄Xを視認できない状態とすることで、遊技者は、ハズレとなる場合における図柄の導出過程やハズレとなる場合に導出され得る図柄組み合わせを想像し難くなり、結果的にハズレとなるイメージを抱き難くなる。なお、拡大特定図柄KCは、リーチ形成図柄と同じ数字を示す演出図柄である。
【0178】
そして、拡大特定図柄KCが一旦表示された後、拡大特定図柄KCは1つの停止表示領域Hに収まるように縮小される。詳細は後述するが、大当たり判定の結果が大当たりであれば、拡大特定図柄KCは、結果導出ライン上に位置する停止表示領域H側に向かって縮小する。そして、結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hに縮小後の特定図柄Cが表示されることで、大当たりの図柄組み合わせが確定表示される。一方、大当たり判定の結果がハズレであれば、拡大特定図柄KCは、結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hと対向する停止表示領域H側に向かって縮小する。そして、結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hにブランク図柄Xが表示されることで、ハズレリーチの図柄組み合わせが確定表示される。
【0179】
(図柄拡大演出制御処理)
以下、
図24に従って、図柄拡大演出を実行させるために演出制御用マイコン101が実行する図柄拡大演出制御処理(S155)について説明する。
【0180】
演出制御用マイコン101は、まず、現在の遊技状態が非時短状態(大当たり遊技中を除く)であるか否かを判定する(S160)。時短状態、又は非時短状態であるが大当たり遊技中であると判定した場合(S160:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。つまり、図柄拡大演出は、非時短状態中(大当たり遊技中を除く)のみ実行可能とされている。一方、非時短状態であると判定した場合(S160:Yes)、演出制御用マイコン101は、リーチ無しハズレ用の特図変動パターンが指示されているか否かを判定する(S161)。指示されている特図変動パターンの種類は、受信した特図用の変動開始コマンドを確認することで判定することができる。リーチ無しハズレ用の特図変動パターンが指示されていると判定した場合(S161:Yes)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、リーチ無しハズレ用の特図変動パターンが指示されていないと判定した場合、すなわち、リーチ有りハズレ用の特図変動パターン又は大当たり用の特図変動パターンが指示されていると判定した場合(S161:No)、演出制御用マイコン101は、図柄拡大演出の実行を決定したか否かを判定する(S162)。
【0181】
図柄拡大演出の実行可否決定は、図柄拡大演出の実行を決定することができれば、如何なる方法で行われてもよい。例えば、「有効ラインL4」又は「有効ラインL5」を特定する変動演出パターンを決定した場合には、必ず図柄拡大演出の実行を決定してもよい。また、リーチ有りハズレ用の特図変動パターン又は大当たり用の特図変動パターンが指示された場合、乱数を用いた抽選によって図柄拡大演出の実行可否を決定するようにしてもよい。乱数を用いた抽選を行う場合、大当たり判定の結果に関わらず同一確率で実行可否が決定されてもよいし、ハズレ時よりも大当たり時において図柄拡大演出の実行が決定される確率が高くなるよう、乱数を振り分けてもよい。
【0182】
図柄拡大演出の実行を決定していないと判定した場合(S162:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、図柄拡大演出の実行を決定していると判定した場合(S162:Yes)、演出制御用マイコン101は、指示された特図変動パターンの種類、及び結果導出ラインの位置に従って、拡大特定図柄KCの表示態様を決定する(S163)。拡大特定図柄KCの表示態様を決定した後、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0183】
前述したように、S163で決定した拡大特定図柄KCの表示態様に係る演出画像データは、変動演出開始処理(
図22)のS156でセットされる変動演出開始コマンドに含められる。このデータを含む変動演出開始コマンドが、RAM120の出力バッファにセットされることで、1msタイマ割込処理の出力処理(S111)において、画像制御基板200に対して出力される。これにより、指示されたデータに基づく態様で図柄拡大演出が演出表示装置7にて実行される。
【0184】
以下、
図25~
図27に従って、図柄拡大演出制御処理(
図24)のS163の処理内容について説明する。
(拡大特定図柄KCの表示態様について)
拡大特定図柄KCの表示態様のバリエーションとして、下記に示す3つの表示態様が設定されている。
【0185】
(第1表示態様)
図25(a)、
図25(c)、
図26(c)、
図27(a)に示すように、「第1表示態様」は、最終停止列(この例では中図柄列7C)のうち、前停止表示領域(この例では停止表示領域H4)と中央停止表示領域(この例では停止表示領域H5)に跨って拡大特定図柄KCを表示させる態様である。前述したように、中図柄列7Cでは、通常、特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に配置されているため、通常の図柄配列であれば、停止表示領域H4~H6のうち少なくとも1つ又は2つの領域にブランク図柄Xが停止表示されるはずである。ところが、第1表示態様で拡大特定図柄KCを表示させる場合、拡大特定図柄KCは複数の停止表示領域Hを跨ぐ大きさとされていることにより、通常の図柄配列であればブランク図柄Xが停止表示されていたはずの停止表示領域に跨って拡大特定図柄KCが表示されることになり、結果的にブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態となる。
【0186】
(第2表示態様)
図25(d)、
図26(a)、
図26(d)、
図27(b)に示すように、「第2表示態様」は、最終停止列(この例では中図柄列7C)のうち、中央停止表示領域(この例では停止表示領域H5)と後停止表示領域(この例では停止表示領域H6)に跨って拡大特定図柄KCを表示させる態様である。前述したように、中図柄列7Cでは、通常、特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に配置されているため、通常の図柄配列であれば、停止表示領域H4~H6のうち少なくとも1つ又は2つの領域にブランク図柄Xが停止表示されるはずである。ところが、第2表示態様で拡大特定図柄KCを表示させる場合、拡大特定図柄KCは複数の停止表示領域Hを跨ぐ大きさとされていることにより、通常の図柄配列であればブランク図柄Xが停止表示されていたはずの停止表示領域に跨って拡大特定図柄KCが表示されることになり、結果的にブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態となる。
【0187】
(第3表示態様)
図25(b)、
図25(e)、
図26(b)、
図26(e)、
図27(c)に示すように、「第3表示態様」は、最終停止列(この例では中図柄列7C)のうち、前停止表示領域(この例では停止表示領域H4)と、中央停止表示領域(この例では停止表示領域H5)と、後停止表示領域(この例では停止表示領域H6)に跨って拡大特定図柄KCを表示させる態様である。前述したように、中図柄列7Cでは、通常、特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に配置されているため、通常の図柄配列であれば、停止表示領域H4~H6のうち少なくとも1つ又は2つの領域にブランク図柄Xが停止表示されるはずである。ところが、第3表示態様で拡大特定図柄KCを表示させる場合、拡大特定図柄KCは複数の停止表示領域Hを跨ぐ大きさとされていることにより、通常の図柄配列であればブランク図柄Xが表示されていたはずの停止表示領域に跨って拡大特定図柄KCが停止表示されることになり、結果的にブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態となる。
【0188】
なお、以下の説明では、拡大特定図柄KCの表示態様に関わらず、特定図柄C1と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC1」と示す。また、特定図柄C2と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC2」と示す。また、特定図柄C3と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC3」と示す。また、特定図柄C4と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC4」と示す。また、特定図柄C5と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC5」と示す。また、特定図柄C6と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC6」と示す。また、特定図柄C7と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC7」と示す。また、特定図柄C8と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを「拡大特定図柄KC8」と示す。
【0189】
[表示態様選択テーブル]
以下、
図28に従って表示態様選択テーブルT6について説明する。
表示態様選択テーブルT6は、図柄拡大演出制御処理(
図24)のS163において演出制御用マイコン101が拡大特定図柄KCの表示態様を決定する際に参照するテーブルである。表示態様選択テーブルT6は、特図変動パターンと、判定結果と、結果導出ラインの位置と、演出選択乱数の一種である表示態様選択乱数値(表示態様選択判定値)と、拡大特定図柄KCの表示態様とを対応付けて構成されている。なお、特図変動パターン及び判定結果は、特図変動パターン選択テーブルT4に設定されている特図変動パターン及び判定結果と対応している。表示態様選択乱数値は、演出選択乱数カウンタの一種である表示態様選択乱数カウンタが発生する表示態様選択乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、表示態様選択乱数カウンタは、0~99の計100個の表示態様選択乱数をカウントする。
【0190】
(特図変動パターンP1(大当たりかつSPリーチ)が選択された場合)
特図変動パターンP1が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL4」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~32の範囲内の値であるならば、拡大特定図柄KCの表示態様として「第1表示態様(停止表示領域H4,H5の2つの領域に跨る)」が選択される(
図26(c)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が33~65の範囲内の値であるならば、拡大特定図柄KCの表示態様として「第2表示態様(停止表示領域H5,H6の2つの領域に跨る)」が選択される(
図26(d)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が66~99の範囲内の値であるならば、拡大特定図柄KCの表示態様として「第3表示態様(停止表示領域H4~H6の3つの領域に跨る)」が選択される(
図26(e)参照)。
【0191】
特図変動パターンP1が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL5」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「第1表示態様」が選択される(
図27(a)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「第2表示態様」が選択される(
図27(b)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「第3表示態様」が選択される(
図27(c)参照)。
【0192】
(特図変動パターンP2(大当たりかつNリーチ)が選択された場合)
特図変動パターンP2が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL1」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「第1表示態様」が選択される(
図25(a)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「第3表示態様」が選択される(
図25(b)参照)。つまり、特図変動パターンP2が選択され、かつ有効ラインL1が決定されている場合には、拡大特定図柄KCが結果導出ライン上に掛かることがないので、「第2表示態様」が選択されることはない。
【0193】
特図変動パターンP2が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL2」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~32の範囲内の値であるならば、「第1表示態様」が選択される(
図25(c)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が33~65の範囲内の値であるならば、「第2表示態様」が選択される(
図25(d)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が66~99の範囲内の値であるならば、「第3表示態様」が選択される(
図25(e)参照)。
【0194】
特図変動パターンP2が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL3」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「第2表示態様」が選択される(
図26(a)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「第3表示態様」が選択される(
図26(b)参照)。つまり、特図変動パターンP2が選択され、かつ有効ラインL3が決定されている場合には、拡大特定図柄KCが結果導出ライン上に掛かることがないので、「第1表示態様」が選択されることはない。
【0195】
(特図変動パターンP3(ハズレかつSPリーチ)が選択された場合)
特図変動パターンP3が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL4」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「第1表示態様」が選択される(
図26(c)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「第2表示態様」が選択される(
図26(d)参照)。つまり、特図変動パターンP3が選択され、かつ有効ラインL4が決定されている場合には、「第3表示態様」が選択されることはない。
【0196】
特図変動パターンP3が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL5」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「第1表示態様」が選択される(
図27(a)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「第2表示態様」が選択される(
図27(b)参照)。つまり、特図変動パターンP3が選択され、かつ有効ラインL5が決定されている場合には、「第3表示態様」が選択されることはない。
【0197】
(特図変動パターンP4(ハズレかつNリーチ)が選択された場合)
特図変動パターンP4が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL1」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数の値に関わらず、「第1表示態様」が選択される(
図25(a)参照)。つまり、特図変動パターンP4が選択され、かつ有効ラインL1が決定されている場合には、「第2表示態様」及び「第3表示態様」が選択されることはない。
【0198】
特図変動パターンP4が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL2」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数が0~49の範囲内の値であるならば、「第1表示態様」が選択される(
図25(c)参照)。一方、取得した表示態様選択乱数が50~99の範囲内の値であるならば、「第2表示態様」が選択される(
図25(d)参照)。つまり、特図変動パターンP4が選択され、かつ有効ラインL2が決定されている場合には、「第3表示態様」が選択されることはない。
【0199】
特図変動パターンP4が選択され、かつ結果導出ラインとして「有効ラインL3」が決定された場合、取得した表示態様選択乱数の値に関わらず、「第2表示態様」が選択される(
図26(a)参照)。つまり、特図変動パターンP4が選択され、かつ有効ラインL3が決定されている場合には、「第1表示態様」及び「第3表示態様」が選択されることはない。
【0200】
また、パチンコ遊技機1では、図柄拡大演出の実行が決定された場合、中図柄列7Cの図柄配列が通常の図柄配列から拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列に変更され、その図柄配列で図柄の変動が行われるようになっている(
図29参照)。そして、例えば、リーチ形成図柄と同じ特定図柄Cよりも変動順序が前である(例えば2つ前)演出図柄が結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hに差し掛かった時点で図柄の変動速度が低速となり、その後、決定された停止表示領域Hに跨って拡大特定図柄KCが停止することで、拡大特定図柄KCが一旦表示状態をとる。
【0201】
図29に示すように、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列は、拡大特定図柄KCの配置によって複数のバリエーションが考えられ得る。例えば、
図29(a)に示す通常の図柄配列において、特定図柄C4と特定図柄C5の間に位置するブランク図柄Xを「ブランク図柄4.5X」、特定図柄C5と特定図柄C6の間に位置するブランク図柄Xを「ブランク図柄5.5X」と定義する。そして、図柄拡大演出の対象となる特定図柄として「特定図柄C5」が決定され、かつその表示態様として「第1表示態様」又は「第2表示態様」のいずれかが決定されたとする。この場合、拡大特定図柄KC5を含む専用の図柄配列としては、
図29(b)に示すように、元の図柄配列において特定図柄C5が表示されていた位置を基準とし、ブランク図柄4.5Xと特定図柄C5が表示されていた位置に拡大特定図柄KC5が配置される図柄配列を設定可能である。また、
図29(c)に示すように、元の図柄配列において特定図柄C5が表示されていた位置を基準とし、特定図柄C5とブランク図柄5.5Xが表示されていた位置に拡大特定図柄KC5が配置される図柄配列も設定可能である。
【0202】
なお、拡大特定図柄KCの表示態様として「第1表示態様」又は「第2表示態様」の何れか決定された場合であっても、
図29(b)又は
図29(c)のうちどちらの図柄配列を採用してもよい。また、この例では拡大特定図柄KC5を例示して説明したが、その他の拡大特定図柄KCについても同様の基準で図柄配列を設定可能である。また、
図29(c)に示す例では、拡大特定図柄KC5の停止位置次第では、拡大特定図柄KC5と同時に演出表示装置7に表示され得るかもしれない位置にブランク図柄4.5Xが表示されていた。これに代えて、
図29(d)に示すように、拡大特定図柄KC5の停止位置次第では、拡大特定図柄KC5と同時に演出表示装置7に表示され得るかもしれない位置に何も図柄を表示しないようにしてもよい。
【0203】
また、図柄拡大演出の対象となる特定図柄として「特定図柄C5」が決定され、かつその表示態様として「第3表示態様」が決定されたとする。この場合、拡大特定図柄KC5を含む専用の図柄配列としては、
図29(e)に示すように、元の図柄配列において特定図柄C5が表示されていた位置を基準とし、ブランク図柄4.5Xと特定図柄C5とブランク図柄5.5Xが表示されていた位置に拡大特定図柄KC5が配置される図柄配列を設定可能である。また、この例では拡大特定図柄KC5を例示して説明したが、その他の拡大特定図柄KCについても同様の基準で図柄配列を設定可能である。
【0204】
また、実施形態では、最終停止列の図柄配列を拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列に変更するが、拡大特定図柄KCを所定の停止表示領域Hに跨って停止させることができるのであれば、如何なる方法で拡大特定図柄KCを表示させてもよい。例えば、リーチ形成時点までは通常の図柄配列で図柄変動を行い、図柄拡大演出の実行が決定されている場合は、リーチ形成後の任意のタイミングで、中図柄列7Cの図柄配列を通常の図柄配列から専用の図柄配列に変更してもよい。また、図柄変動の開始前に図柄拡大演出の実行が決定されるため、変動開始の時点から中図柄列7Cは専用の図柄配列で変動を行ってもよい。また、図柄変動の開始前までに、図柄拡大演出を実行させることと、結果導出ライン上に確定表示させる図柄組み合わせが決定される。このため、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列を図柄変動の開始前までに決定するが、リーチ形成までは通常の図柄配列で図柄の変動を行い、リーチ形成後の任意のタイミングで、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列にて図柄変動を行うようにしてもよい。また、専用の図柄配列に変更することなく、リーチ中の任意のタイミング(例えば、変動速度が低速となったタイミング)で図柄配列を構成する図柄に拡大特定図柄KCを追加し、所定の停止表示領域Hに跨って停止させることで表示させるようにしてもよい。また、リーチ形成後、図柄の確定表示の直前で拡大特定図柄KCを表示させるようにしてもよい。
【0205】
また、拡大特定図柄KCの表示態様の選択割合等は、前述の例に限られず、遊技性等に応じて適宜変更されてもよい。例えば、ハズレとなる場合であっても「第3表示態様」が選択されてもよいし、結果導出ラインの位置に応じて、拡大特定図柄KCの表示態様の選択割合を異ならせてもよい。例えば、特図変動パターンP2が選択され、かつ有効ラインL1が決定された場合には、「第1表示態様」が最も選択される確率が高くなるよう、表示態様選択乱数の振分個数を異ならせてもよい。
【0206】
そして、表示態様選択テーブルT6より拡大特定図柄KCの表示態様を決定した演出制御用マイコン101は、前述したように、図柄拡大演出を表示させるための演出画像データを変動演出開始コマンドに含める。この演出画像データには、以下に示す情報が含まれている。すなわち、拡大特定図柄KCを、結果導出ラインにおけるリーチ形成図柄と同じ数字を示す図柄とする情報が含まれている。さらに、拡大特定図柄KCの表示位置を指示する情報が含まれている。さらに、拡大特定図柄KCの縮小タイミングや拡大特定図柄KCの縮小方向を指示する情報が含まれている。また、拡大特定図柄KCの縮小後、縮小前の拡大特定図柄KCが表示されていた位置に表示させる演出図柄の種類を指示する情報が含まれている。これにより、変動演出開始コマンドを受信した画像制御基板200は、当該コマンドに従って拡大特定図柄KCに係る表示制御を実行可能となる。
【0207】
(拡大特定図柄表示処理)
以下、
図30に従って、拡大特定図柄表示処理について説明する。
拡大特定図柄表示処理は、サブ制御基板100から変動演出開始コマンドを入力した画像制御基板200が、当該コマンドに従って図柄拡大演出及び拡大特定図柄KCの縮小を経て、最終的に結果導出ライン上に演出図柄による図柄組み合わせを確定表示させるまでの間に実行する処理である。
【0208】
画像制御基板200の画像制御用CPU202は、受信した変動演出開始コマンドに基づき、図柄拡大演出の実行が指示されているか否かを判定する(S170)。図柄拡大演出の実行が指示されていないと判定した場合(S170:No)、画像制御用CPU202は、S180に移行する。一方、図柄拡大演出の実行が指示されていると判定した場合(S170:Yes)、画像制御用CPU202は、中図柄列7Cの図柄配列として拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列を決定する(S171)。本実施形態では、任意のタイミング(例えばリーチ形成後)で、中図柄列7Cの図柄配列を通常の図柄配列に代えて拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列で図柄の変動が行われるようになっている。その後、画像制御用CPU202は、拡大特定図柄KCの停止タイミングに到達したか否かを判定する(S172)。拡大特定図柄KCの停止タイミングに到達したか否かは、例えば、特図変動パターンで特定される変動時間をベースに拡大特定図柄KCの停止タイミングが予め定められており、画像制御用CPU202が、変動時間を所定のタイマにセットして計測し、拡大特定図柄KCの停止タイミングとなる時間に到達したか否かを判定すること等によって確認することができる。なお、前述したように、パチンコ遊技機1では、図柄拡大演出の実行が決定された場合、任意のタイミング(例えばリーチ形成後)で、中図柄列7Cの図柄配列を通常の図柄配列に代えて拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列で図柄の変動が行われる。そして、例えば、リーチ形成図柄と同じ特定図柄Cよりも変動順序が前である(例えば2つ前)演出図柄が結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hに差し掛かった時点で図柄の変動速度が低速となり、その後、専用の図柄配列に含まれる拡大特定図柄KCが、決定された停止表示領域Hに跨って停止することで、拡大特定図柄KCが一旦表示された状態となる。
【0209】
拡大特定図柄KCの停止タイミングに到達していないと判定した場合(S172:No)、画像制御用CPU202は、本処理を終了する。一方、拡大特定図柄KCの停止タイミングに到達したと判定した場合(S172:Yes)、画像制御用CPU202は、変動演出開始コマンドで指示される停止表示領域Hに、結果導出ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを停止させて一旦表示状態をとるよう、演出表示装置7を制御する(S173)。
【0210】
その後、画像制御用CPU202は、拡大特定図柄KCの縮小タイミングに到達したか否かを判定する(S174)。拡大特定図柄KCの縮小タイミングに到達したか否かは、例えば、特図変動パターンで特定される変動時間をベースに拡大特定図柄KCの縮小タイミングが予め定められており、画像制御用CPU202が、変動時間を所定のタイマにセットして計測し、拡大特定図柄KCの縮小タイミングとなる時間に到達したか否かを判定すること等によって確認することができる。
【0211】
拡大特定図柄KCの縮小タイミングに到達していないと判定した場合(S174:No)、画像制御用CPU202は、本処理を終了する。一方、拡大特定図柄KCの縮小タイミングに到達したと判定した場合(S174:Yes)、画像制御用CPU202は、大当たり用の特図変動パターンが指示されているか否かを判定する(S175)。大当たり用の特図変動パターンが指示されていると判定した場合(S175:Yes)、画像制御用CPU202は、受信した変動演出開始コマンドで指示される内容に従って、拡大特定図柄KCの縮小表示を行う(S176)。具体的には、画像制御用CPU202は、リーチが形成されている有効ライン、すなわち、結果導出ライン上に位置する停止表示領域H側に向かって拡大特定図柄KCを縮小させるように演出表示装置7を制御する(例えば
図32(d)参照)。そして、画像制御用CPU202は、変動演出開始コマンドで指示される内容に従って、縮小後の拡大特定図柄KCを結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hに表示させるとともに、縮小前の拡大特定図柄KCが表示されていた残りの停止表示領域Hに、ブランク図柄Xを表示させるよう、演出表示装置7を制御する(S177)。このブランク図柄Xが表示される停止表示領域Hは、結果導出ライン上に位置しない停止表示領域Hである(例えば
図32(e)参照)。その後、画像制御用CPU202は、S180に移行する。
【0212】
一方、大当たり用の特図変動パターンが指示されていないと判定した場合(S175:No)、画像制御用CPU202は、受信した変動演出開始コマンドで指示される内容に従って、拡大特定図柄KCの縮小表示を行う(S178)。具体的には、画像制御用CPU202は、リーチが形成されていない有効ライン、すなわち、結果導出ライン上に位置しない停止表示領域H側に向かって拡大特定図柄KCを縮小させるように演出表示装置7を制御する(例えば
図31(d)参照)。そして、画像制御用CPU202は、変動演出開始コマンドで指示される内容に従って、縮小後の拡大特定図柄KCを結果導出ライン上に位置しない停止表示領域Hに表示させるとともに、縮小前の拡大特定図柄KCが表示されていた残りの停止表示領域Hにブランク図柄Xを表示させるよう、演出表示装置7を制御する(S179)。このブランク図柄Xが表示される停止表示領域Hは、結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hである(例えば
図31(e)参照)。その後、画像制御用CPU202は、S180に移行する。なお、大当たり用の特図変動パターンが指示されていない場合、拡大特定図柄KCが縮小するとしても、結果導出ライン上にリーチ形成図柄と同一の数字を示す拡大特定図柄KCが表示されると遊技者に大当たりであるかのような印象を与えてしまう。よって、ハズレ時に拡大特定図柄KCを導出する場合、拡大特定図柄KCの停止直後に遅延なく拡大特定図柄KCの縮小を行うことが好ましい。
【0213】
S180において画像制御用CPU202は、入力した変動演出開始コマンドで特定される特図変動パターンに定められた変動時間が経過したか否かを判定する。変動時間が経過していないと判定した場合(S180:No)、画像制御用CPU202は、本処理を終了する。一方、変動時間が経過したと判定した場合(S180:Yes)、画像制御用CPU202は、指示された演出図柄による図柄組み合わせを、指示された有効ライン上に確定表示させ(S181)、本処理を終了する。
【0214】
本実施形態において、画像制御基板200に対して演出図柄の変動表示及び変動停止の指示を行う演出制御用マイコン101は、本発明の「表示制御手段」の一例である。また、演出制御用マイコン101からの指示を受け、演出表示装置7で演出図柄の変動表示及び変動停止を実行させる画像制御基板200も、「表示制御手段」の一例である。
【0215】
(図柄拡大演出の演出例)
以下、
図31~
図35に従って、図柄拡大演出の流れについて説明する。
(シングルリーチ・ハズレの場合)
最初に、
図31に従って、シングルリーチ形成後にハズレとなるまでの演出の流れについて説明する。以下の説明では、結果導出ラインとして「有効ラインL1」が、拡大特定図柄KCの表示態様として「第1表示態様」が、それぞれ決定されたことを前提とする。
【0216】
図31(a)に示すように、各図柄列7U,7C,7Dにおいて図柄の変動が開始された後、前提より、有効ラインL1上にリーチが形成される(
図31(b))。その後、中図柄列7Cでは、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列による図柄変動の変動速度が任意のタイミングで遅くなり、遊技者が演出図柄の種類を認識できる程度まで演出図柄の変動速度が低下する。そして、前提より、
図31(c)に示すように、結果導出ラインに表示されているリーチ形成図柄と同じ数字「6」を示す拡大特定図柄KC6が、停止表示領域H4と停止表示領域H5に跨って停止され、拡大特定図柄KC6が一旦表示状態となる。
【0217】
複数の停止表示領域Hに跨る大きさの拡大特定図柄KC6が結果導出ラインに掛かるように表示されていることと、拡大特定図柄KC6の表示によって結果導出ライン上に停止し得る範囲内にブランク図柄Xを視認できない状態となることにより、遊技者は、ハズレとなる場合における図柄の導出過程やハズレとなる場合に導出され得る図柄組み合わせを想像し難くなり、結果的にハズレとなるイメージを抱き難くなる。
【0218】
その後、
図31(d)に示すように、拡大特定図柄KC6が縮小する。このとき、前提より、大当たり判定の結果が「ハズレ」となるため、拡大特定図柄KC6の停止直後に遅延なく縮小表示が行われ、拡大特定図柄KC6は、結果導出ライン上に位置しない停止表示領域H(停止表示領域H5)側に向かって縮小する。結果導出ラインから離れる方向に拡大特定図柄KC6が縮小する態様を視認した遊技者は、結果導出ライン上に「666」で示す大当たりの図柄組み合わせが表示されないことを認識する。ただし、拡大特定図柄KC6の縮小後、演出図柄のコマ送りが行われた場合には、縮小後の特定図柄C6が、結果導出ラインとしての「有効ラインL1」を構成する停止表示領域H4に移動し、結果的に「666」で示す大当たりの図柄組み合わせが確定表示されるかもしれないということに期待を抱くこともできる。
【0219】
その後、
図31(e)に示すように、拡大特定図柄KC6が1つの停止表示領域Hに収まる元の大きさの「特定図柄C6」となって、停止表示領域H5に表示される。一方、拡大特定図柄KC6の縮小後、縮小前の拡大特定図柄KC6が表示されていた停止表示領域H4には、「特定図柄C6の1つ前にブランク図柄Xが位置する」という中図柄列7Cにおける元の配列順序に従ってブランク図柄Xが表示される。そして、結果的に、有効ラインL1上に「6☆6」で示す図柄組み合わせが確定表示されるため、この図柄組み合わせより大当たり判定の結果が遊技者に報知される。
【0220】
なお、
図31(e)に示す例では、結果導出ライン上に位置せず、かつ拡大特定図柄KC6が表示されていなかった停止表示領域H6には、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列において拡大特定図柄KC6の1つ後ろに配置されている図柄が表示される。この例では、拡大特定図柄KC6の1つ後ろに何も図柄を表示しない、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列を採用しているため(例えば
図29(d)に示すような図柄配列)、この図柄配列に従い、停止表示領域H6には何も図柄が表示されていない。なお、停止表示領域H6に表示される図柄は、大当たり判定の結果に何ら影響を及ぼさないため、如何なる図柄を表示させてもよい。例えば、特定図柄C6を基準とした元の図柄配列に属する演出図柄を表示させてもよい。
【0221】
(シングルリーチ・大当たりの場合)
次に、
図32に従って、シングルリーチ形成後に大当たりとなるまでの演出の流れについて説明する。また、先に説明した内容と異なる点を中心に説明するため、説明の一部を割愛する場合がある。
【0222】
図32(a)に示すように、各図柄列7U,7C,7Dにおいて図柄の変動が開始された後、有効ラインL1上にリーチが形成される(
図32(b))。そして、
図32(c)に示すように、中図柄列7Cでは、結果導出ラインに表示されているリーチ形成図柄と同じ数字「6」を示す拡大特定図柄KC6が、停止表示領域H4と停止表示領域H5に跨って停止され、拡大特定図柄KC6が一旦表示状態となる。
【0223】
その後、
図32(d)に示すように、拡大特定図柄KC6が縮小する。このとき、前提より、大当たり判定の結果が「大当たり」となるため、拡大特定図柄KC6は、結果導出ライン上に位置する停止表示領域H(停止表示領域H4)側に向かって縮小する。結果導出ラインに近づく方向に拡大特定図柄KC6が縮小する態様を視認した遊技者は、「666」で示す大当たりの図柄組み合わせが表示される可能性が高いことを認識する。
【0224】
その後、
図32(e)に示すように、拡大特定図柄KC6が1つの停止表示領域Hに収まる元の大きさの「特定図柄C6」となって、停止表示領域H4に表示される。一方、拡大特定図柄KC6の縮小後、縮小前の拡大特定図柄KC6が表示されていた停止表示領域H5には、「特定図柄C6の1つ後ろにブランク図柄Xが位置する」という中図柄列7Cにおける元の配列順序に従ってブランク図柄Xが表示される。そして、結果的に、有効ラインL1上に「666」で示す図柄組み合わせが確定表示されるため、この図柄組み合わせより大当たり判定の結果が遊技者に報知される。
【0225】
(ダブルリーチ・ハズレの場合)
次に、
図33に従って、ダブルリーチ形成後にハズレとなるまでの演出の流れについて説明する。以下の説明では、結果導出ラインとして「有効ラインL4」が、拡大特定図柄KCの表示態様として「第2表示態様」が、それぞれ決定されたことを前提とする。また、先に説明した内容と異なる点を中心に説明するため、説明の一部を割愛する場合がある。
【0226】
図33(a)に示すように、各図柄列7U,7C,7Dにおいて図柄の変動が開始された後、前提より、有効ラインL4上にリーチが形成される(
図33(b))。前述したように、パチンコ遊技機1では、上図柄列7Uにおける図柄の配列順序と、中図柄列7C及び下図柄列7Dにおける図柄の配列順序が逆となっているので、有効ラインL5上にも別の特定図柄C(この例では特定図柄C6)によってリーチが形成され、ダブルリーチが形成された状態となる。
【0227】
その後、中図柄列7Cでは、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列による図柄変動の変動速度が任意のタイミングで遅くなり、遊技者が演出図柄の種類を認識できる程度まで演出図柄の変動速度が低下する。そして、まず、
図33(c)に示すように、有効ラインL5に位置するリーチ形成図柄と同じ数字を示す「特定図柄C6」が、停止表示領域H5に停止するかのような態様で停止演出が行われる。その後、
図33(d)に示すように、特定図柄C6は停止表示領域H5に停止することなく停止表示領域H4側に移動し、結果導出ライン(有効ラインL4)に表示されているリーチ形成図柄と同じ数字「7」を示す拡大特定図柄KC7が、停止表示領域H5と停止表示領域H6に跨って停止され、拡大特定図柄KC7が一旦表示状態となる。
【0228】
前述同様、複数の停止表示領域Hに跨る大きさの拡大特定図柄KC7が結果導出ラインに掛かるように表示されていることと、拡大特定図柄KC7の表示によって結果導出ライン上に停止し得る範囲内にブランク図柄Xを視認できない状態となることにより、遊技者は、ハズレとなる場合における図柄の導出過程やハズレとなる場合に導出され得る図柄組み合わせを想像し難くなり、結果的にハズレとなるイメージを抱き難くなる。
【0229】
その後、
図33(e)に示すように、拡大特定図柄KC7が縮小する。このとき、前提より、大当たり判定の結果が「ハズレ」となるため、拡大特定図柄KC7の停止直後に遅延なく縮小表示が行われ、拡大特定図柄KC7は、結果導出ライン上に位置しない停止表示領域H(停止表示領域H6)側に向かって縮小する。結果導出ラインから離れる方向に拡大特定図柄KC7が縮小する態様を視認した遊技者は、結果導出ライン上に「777」で示す大当たりの図柄組み合わせが表示されないことを認識する。ただし、拡大特定図柄KC7の縮小後、演出図柄のコマ送りが行われた場合には、縮小後の特定図柄C7が、結果導出ラインとしての「有効ラインL4」を構成する停止表示領域H5に移動し、結果的に「777」で示す大当たりの図柄組み合わせが確定表示されるかもしれないということに期待を抱くこともできる。
【0230】
その後、
図33(f)に示すように、拡大特定図柄KC7が1つの停止表示領域Hに収まる元の大きさの「特定図柄C7」となって、停止表示領域H6に表示される。一方、拡大特定図柄KC7の縮小後、縮小前の拡大特定図柄KC7が表示されていた停止表示領域H5には、「特定図柄C7の1つ前にブランク図柄Xが位置する」という中図柄列7Cにおける元の配列順序に従ってブランク図柄Xが表示される。そして、結果的に、有効ラインL4上に「7☆7」で示す図柄組み合わせが確定表示されるため、この図柄組み合わせより大当たり判定の結果が遊技者に報知される。
【0231】
なお、
図33(f)に示す例では、結果導出ライン上に位置せず、かつ拡大特定図柄KC7が表示されていなかった停止表示領域H4には、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列において拡大特定図柄KC7の1つ前に配置されている図柄が表示される。この例では、元の図柄配列に基づく演出図柄を拡大特定図柄KC7の1つ前に表示する図柄配列を採用しているため(例えば
図29(c)に示すような図柄配列)、この図柄配列に従い、停止表示領域H4には、停止表示領域H5を通過した特定図柄C6が表示されている。なお、停止表示領域H4に表示される図柄は、大当たり判定の結果に何ら影響を及ぼさないため、如何なる図柄を表示させてもよいし、何ら図柄を表示させなくてもよい。
【0232】
(ダブルリーチ・大当たりの場合)
次に、
図34に従って、ダブルリーチ形成後に大当たりとなるまでの演出の流れについて説明する。また、先に説明した内容と異なる点を中心に説明するため、説明の一部を割愛する場合がある。
【0233】
図34(a)に示すように、各図柄列7U,7C,7Dにおいて図柄の変動が開始された後、有効ラインL4上にリーチが形成される(
図34(b))。このとき、有効ラインL5上にも別の特定図柄C6によってリーチが形成され、ダブルリーチが形成された状態となる。その後、中図柄列7Cでは、
図34(c)に示すように、まず、有効ラインL5に位置するリーチ形成図柄と同じ数字を示す「特定図柄C6」が、停止表示領域H5に停止するかのような態様で停止演出が行われる。その後、
図34(d)に示すように、特定図柄C6は停止表示領域H5に停止することなく停止表示領域H4側に移動し、結果導出ライン(有効ラインL4)に表示されているリーチ形成図柄と同じ数字「7」を示す拡大特定図柄KC7が、停止表示領域H5と停止表示領域H6に跨って停止され、拡大特定図柄KC7が一旦表示状態となる。
【0234】
その後、
図34(e)に示すように、拡大特定図柄KC7が縮小する。このとき、前提より、大当たり判定の結果が「大当たり」となるため、拡大特定図柄KC7は、結果導出ライン上に位置する停止表示領域H(停止表示領域H5)側に向かって縮小する。結果導出ラインに近づく方向に拡大特定図柄KC7が縮小する態様を視認した遊技者は、「777」で示す大当たりの図柄組み合わせが表示される可能性が高いことを認識する。
【0235】
その後、
図34(f)に示すように、拡大特定図柄KC7が1つの停止表示領域Hに収まる元の大きさの「特定図柄C7」となって、停止表示領域H5に表示される。一方、拡大特定図柄KC7の縮小後、縮小前の拡大特定図柄KC7が表示されていた停止表示領域H6には、「特定図柄C7の1つ後ろにブランク図柄Xが位置する」という中図柄列7Cにおける元の配列順序に従ってブランク図柄Xが表示される。そして、結果的に、有効ラインL4上に「777」で示す図柄組み合わせが確定表示されるため、この図柄組み合わせより大当たり判定の結果が遊技者に報知される。
【0236】
なお、
図34(f)に示す例では、
図33に示す例と同様、結果導出ライン上に位置せず、かつ拡大特定図柄KC7が表示されていなかった停止表示領域H4には、拡大特定図柄KCを含む専用の図柄配列において拡大特定図柄KC7の1つ前に配置されている図柄(この例では特定図柄C6)が表示される。なお、停止表示領域H4に表示される図柄は、大当たり判定の結果に何ら影響を及ぼさないため、如何なる図柄を表示させてもよいし、何ら図柄を表示させなくてもよい。
【0237】
また、
図33及び
図34に示す例では、結果導出ラインを「有効ラインL4」とし、有効ラインL5上に偶数を示す特定図柄C(この例では「特定図柄C6」)のリーチを形成し、有効ラインL4上に、有効ラインL5上の特定図柄Cよりも大きい奇数を示す特定図柄C(この例では「特定図柄C7」)のリーチを形成していた。この場合、拡大特定図柄KCの対象となる特定図柄Cは、複数のリーチラインを構成する特定図柄Cのうち遊技者にとって有利な「奇数を示す特定図柄C」となる。これにより、演出表示装置7では、まず、偶数を示す特定図柄Cによる煽り演出が端的に実行された後(有効ラインL5)、遊技者にとって有利な「奇数を示す拡大特定図柄KC」による長めの煽り演出が実行されることになる(有効ラインL4)。その結果、「通常大当たり」となる可能性のある煽り演出が端的に終了し、「確変大当たり」に期待を持つことのできる「拡大特定図柄KC」による煽り演出が長めに実行されることになり、遊技者は、確変大当たり当選により一層期待を持つことができる。
【0238】
また、結果導出ライン上に停止表示させる演出図柄の種類によっては、前述と反対の流れで演出図柄が導出される場合がある。すなわち、結果導出ラインを「有効ラインL4」とし、かつ結果導出ライン上に停止表示させる演出図柄を「偶数を示す特定図柄C」とした場合、有効ラインL5上に奇数を示す特定図柄C(例えば特定図柄C5)によってリーチが形成され、有効ラインL4上に、有効ラインL5上の特定図柄Cよりも大きい偶数を示す特定図柄C(例えば特定図柄C6)によってリーチが形成されることになる。この場合、演出表示装置7では、まず、奇数を示す特定図柄Cによる煽り演出が端的に実行された後(有効ラインL5)、「偶数を示す拡大特定図柄KC」による長めの煽り演出が実行されることになる(有効ラインL4)。この場合、「確変大当たり」となる奇数の特定図柄Cによる大当たりの図柄組み合わせが導出されなかったことで遊技者を落胆させてしまうが、せめて「通常大当たり」に当選してほしいと気持ちを切り替えて遊技に臨ませることができる。
【0239】
(ダブルリーチ・大当たりの場合)
次に、
図35に従って、ダブルリーチ形成後に大当たりとなるまでの演出の流れについて説明する。以下の説明では、結果導出ラインとして「有効ラインL5」が、拡大特定図柄KCの表示態様として「第3表示態様」が、それぞれ決定されたことを前提とする。また、先に説明した内容と異なる点を中心に説明するため、説明の一部を割愛する場合がある。
【0240】
図35(a)に示すように、各図柄列7U,7C,7Dにおいて図柄の変動が開始された後、有効ラインL5上にリーチが形成される(
図35(b))。このとき、有効ラインL4上にも別の特定図柄C8によってリーチが形成され、ダブルリーチが形成された状態となる。その後、
図35(c)に示すように、結果導出ライン(有効ラインL5)に表示されているリーチ形成図柄と同じ数字「7」を示す拡大特定図柄KC7が、停止表示領域H4~H6に跨って停止され、拡大特定図柄KC7が一旦表示状態となる。
【0241】
その後、
図35(d)に示すように、拡大特定図柄KC7が縮小する。このとき、前提より、大当たり判定の結果が「大当たり」となるため、拡大特定図柄KC7は、結果導出ライン上に位置する停止表示領域H(停止表示領域H5)側に向かって縮小する。結果導出ラインに近づく方向に拡大特定図柄KC7が縮小する態様を視認した遊技者は、「777」で示す大当たりの図柄組み合わせが表示される可能性が高いことを認識する。
【0242】
その後、
図35(e)に示すように、拡大特定図柄KC7が1つの停止表示領域Hに収まる元の大きさの「特定図柄C7」となって、停止表示領域H5に表示される。一方、拡大特定図柄KC7の縮小後、縮小前の拡大特定図柄KC7が表示されていた停止表示領域H4,H6には、「特定図柄C7の1つ前と1つ後ろにそれぞれブランク図柄Xが位置する」という中図柄列7Cにおける元の配列順序に従ってブランク図柄Xが表示される。そして、結果的に、有効ラインL5上に「777」で示す図柄組み合わせが確定表示されるため、この図柄組み合わせより大当たり判定の結果が遊技者に報知される。
【0243】
なお、
図35(e)に示す例では、図柄組み合わせの確定表示のタイミングにおいて、縮小前の拡大特定図柄KC7が表示されていた停止表示領域H4,H6に何ら図柄を表示させない状態を維持するようにしてもよい。
【0244】
また、
図35に示す例では、結果導出ラインを「有効ラインL5」とし、有効ラインL5上に奇数を示す特定図柄C(この例では「特定図柄C7」)のリーチを形成し、有効ラインL4上に、有効ラインL5上の特定図柄Cよりも大きい偶数を示す特定図柄C(この例では「特定図柄C8」)のリーチを形成していた。この場合、拡大特定図柄KCの対象となる特定図柄Cは、複数のリーチラインを構成する特定図柄Cのうち遊技者にとって有利な「奇数を示す特定図柄C」となる。これにより、演出表示装置7では、最初から遊技者にとって有利な「奇数を示す拡大特定図柄KC」による長めの煽り演出が実行され、大当たりとならなかった場合に、偶数を示す特定図柄Cによる煽り演出が端的に実行されることになる。その結果、長めの煽り演出が行われたものの「確変大当たり」を示す奇数の特定図柄Cによる大当たりの図柄組み合わせが導出されなかったことで遊技者を落胆させてしまうが、せめて「通常大当たり」に当選してほしいと気持ちを切り替えて遊技に臨ませることができる。
【0245】
また、結果導出ライン上に停止表示させる演出図柄の種類によっては、前述と反対の流れで演出図柄が導出される場合がある。すなわち、結果導出ラインを「有効ラインL5」とし、かつ結果導出ライン上に停止表示させる演出図柄を「偶数を示す特定図柄C」とした場合、有効ラインL5上に偶数を示す特定図柄C(例えば特定図柄C6)によってリーチが形成され、有効ラインL4上に、有効ラインL5上の特定図柄Cよりも大きい奇数を示す特定図柄C(例えば特定図柄C7)によってリーチが形成されることになる。この場合、演出表示装置7では、まず、偶数を示す拡大特定図柄KCによる長めの煽り演出が実行された後(有効ラインL5)、大当たりとならなかった場合に、奇数を示す特定図柄Cによる煽り演出が実行されることになる(有効ラインL4)。この場合、長めの煽り演出が行われたが「通常大当たり」とならなかったことで、「通常大当たり」よりも有利な「確変大当たり」に当選する可能性に期待を持たせることができる。
【0246】
[実施形態の効果]
(1)実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、有効ライン上に、特定図柄Cと同じ数字を示し、かつ複数の停止表示領域Hを跨ぐ大きさの拡大特定図柄KCが停止表示されるため、拡大特定図柄KCの表示によってハズレとなる場合に停止され得る他の図柄(この例ではブランク図柄X)を遊技者が視認できない状態となる。このように、ハズレとなる場合に停止され得る他の図柄を遊技者が視認できない状態とすることで、ハズレとなる場合における図柄の導出過程やハズレとなる場合に導出され得る図柄組み合わせを想像し難くなり、結果的にハズレとなるイメージを抱き難くなり、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0247】
(2)また、演出図柄(装飾図柄)は、何れかの有効ライン上に所定の組み合わせで停止した場合に大当たり(特典が付与されること)を示す特定図柄Cと、何れかの有効ライン上に所定の組み合わせで停止した場合であっても大当たりを示さないブランク図柄Xとで構成される。加えて、各図柄列7U,7C,7Dでは特定図柄Cとブランク図柄Xが交互に配置されるが、ブランク図柄Xが停止する停止表示領域に跨って拡大特定図柄KCを表示させるようにした。拡大特定図柄KCによってブランク図柄Xを遊技者が視認できない状態とすることで、拡大特定図柄KCが停止して一旦表示された時点で大当たり確定であるかのような印象を与えることができる。
【0248】
(3)また、拡大特定図柄KCの表示態様として、例えば、上図柄列7Uにおける停止表示領域H1(前停止表示領域)と停止表示領域H2(中央停止表示領域)に跨って拡大特定図柄KCを停止させて一旦表示させる第1表示態様を設定した(その他の図柄列7C,7Dについても同様)。さらに、例えば、下図柄列7Dにおける停止表示領域H8(中央停止表示領域)と停止表示領域H9(後停止表示領域)に跨って拡大特定図柄KCを停止させて一旦表示させる第2表示態様を設定した(その他の図柄列7U,7Cについても同様)。さらに、例えば、中図柄列7Cにおける停止表示領域H4(前停止表示領域)と停止表示領域H5(中央停止表示領域)と停止表示領域H6(後停止表示領域)に跨って拡大特定図柄KCを停止させて一旦表示させる第3表示態様を設定した。このように拡大特定図柄KCの表示態様に関するバリエーションを増やすことで、拡大特定図柄KCの縮小方向に関するバリエーションも増えることになる。その結果、拡大特定図柄KCの縮小方向や縮小後の特定図柄Cがどこに表示されるかといった事項にも注目させることができるようになり、ゲーム性の拡張を図ることができる。
【0249】
(4)また、何れかの有効ライン上に特定図柄Cでリーチを形成させた後、リーチ形成図柄と同一の図柄を示す拡大特定図柄KCを最終停止列に表示させ、その後、拡大特定図柄KCが1つの停止表示領域Hに収まるように縮小させて図柄組み合わせを停止表示させるようにした。なお、大当たり判定の結果が大当たりである(特典が付与される)場合、拡大特定図柄KCの表示態様に関わらず、リーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域H側に向かって拡大特定図柄KCを縮小させ、縮小後の特定図柄Cをリーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域Hに表示させることで大当たりの図柄組み合わせを確定表示させるようにした。一方、縮小前の拡大特定図柄KCが表示されていた停止表示領域Hにブランク図柄Xを表示させるようにした。このようにすることで、遊技者は、リーチライン上に位置する停止表示領域H側に向かって拡大特定図柄KCが縮小して大当たりの図柄組み合わせが導出されることを望むため、拡大特定図柄KCの動きに注目させるという新たなゲーム性を与えることができる。
【0250】
(5)ブランク図柄Xは、通常の図柄配列において特定図柄Cの前後に表示されている図柄である。このため、縮小前の拡大特定図柄KCが表示されていた残りの停止表示領域Hに、図柄組み合わせの確定タイミングに合わせてブランク図柄Xを表示させたとしても、確定表示後の画面に違和感を与えない。
【0251】
(6)また、大当たり判定の結果がハズレ(特典の付与が決定されていない)であってリーチ演出の実行が決定された場合、最終停止列においてリーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域Hと対向する停止表示領域H側に向かって拡大特定図柄KCを縮小させる一方、リーチが形成されている有効ライン上に位置する停止表示領域Hにブランク図柄Xを表示させることでハズレの図柄組み合わせを確定表示させるようにした。ハズレ時には有効ライン上に位置しない停止表示領域H側に向かって拡大特定図柄KCが縮小することで、大当たり時とハズレ時とでは拡大特定図柄KCの縮小方向が異なることになる。これにより、拡大特定図柄KCが表示された場合、どの方向に拡大特定図柄KCが縮小するかを単純に予想し難くなり、拡大特定図柄KCの動きに注目させて遊技者を楽しませることができる。
【0252】
(7)また、ブランク図柄Xに代えて拡大特定図柄KCを最終停止列に停止させて一旦表示させるようにした。その結果、画面上にブランク図柄Xが表示されなくなるので、有効ライン上にブランク図柄Xが停止してはずれてしまうというイメージを抱かせ難くなる。
【0253】
(8)また、演出表示装置7(表示装置)の表示領域では、複数のリーチラインを形成可能であり、拡大特定図柄KCとなり得る特定図柄Cは、複数のリーチラインを形成する特定図柄Cのうち奇数を示す特定図柄C(有利図柄となる方の特定図柄)を拡大したものである。ハズレとなるイメージを抱き難くすることができるため、拡大特定図柄KCそのものが遊技者にとって特別な印象を与える図柄である。そして、この拡大特定図柄KCを、奇数を示す特定図柄Cを拡大したものとすることで、偶数を示す拡大特定図柄KCが表示される場合に比して、より一層、拡大特定図柄KCを用いた演出を楽しませることができる。また、仮に、縮小後の拡大特定図柄KCが結果導出ライン上に停止することなく通過したとしても、他方のリーチラインを形成する特定図柄Cと同じ数字を示す特定図柄が結果導出ライン上に導出される可能性が残されているため、大当たりに対する期待感を維持することができる。
【0254】
<他の実施形態>
以下、変更例について説明する。なお、以下の変更例は、互いに適宜組み合わせることが可能である。
【0255】
・図柄拡大演出は、時短状態時にも実行してもよい。
・実施形態では、ダブルリーチ形成時、特定図柄Cが示す数字の種類に関わらず、結果導出ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す拡大特定図柄KCを表示させるようにしていた。これに代えて、ダブルリーチ形成時、結果導出ライン上のリーチ形成図柄が奇数を示す特定図柄Cである場合に限って拡大特定図柄KCを表示させるようにしてもよい。このようにすることで、拡大特定図柄KCが停止表示された段階で、遊技者にとって有利な確変大当たりに当選することに対して期待を持たせることができる。
【0256】
・実施形態の例では、停止表示領域Hに収まる大きさとなるまで拡大特定図柄KCを縮小させて大当たり判定の結果を示す図柄組み合わせを表示させていた。それに代えて、
図36(a)に示すように、大当たり判定の結果が大当たりである(特典が付与される)場合、拡大特定図柄KCを縮小させることなく、拡大特定図柄KCの一旦表示状態を維持したまま図柄組み合わせを確定表示させるようにしてもよい。このような停止バリエーションを設けることで、拡大特定図柄KCが縮小せずとも大当たりとなるケースが生じることになるため、拡大特定図柄KCが停止し、一旦表示された時点で大当たりとなることに期待を持たせることができる。ただし、拡大特定図柄KCを縮小させずに確定表示させる場合、その停止態様より大当たりか否かを判別し難いため、
図36(a)に示す態様で演出図柄による大当たりの図柄組み合わせを確定表示させた後、
図36(b)に示すような大当たりを認識できるメッセージ画像を表示させることが好ましい。
【0257】
・実施形態では、例えば、
図31(c)や
図32(c)に示すように、拡大特定図柄KCの表示中、結果導出ライン上に位置せず、かつ拡大特定図柄KCが表示されていない停止表示領域H(この例では停止表示領域H6)には何ら図柄を表示させないようにした。これに代えて、停止表示領域H6に表示される図柄は、大当たり判定の結果に何ら影響を及ぼすものではないため、ブランク図柄Xを表示させてもよい。
【0258】
・ブランク図柄Xを有形状の図柄(この例では星を模した形状)として表示させるのではなく、単なる空白として定義してもよい。この場合、
図31(c)や
図32(c)において、結果導出ライン上に位置せず、かつ拡大特定図柄KCが表示されていない停止表示領域H(この例では停止表示領域H6)では、遊技者が視認可能な状態ではないがブランク図柄Xが表示されていると定義することもできる。また、図柄拡大演出を実行しない場合には、ブランク図柄Xを有形状の図柄として表示するが、図柄拡大演出を実行する場合には、最終停止列におけるブランク図柄Xを単なる空白として表示させるようにしてもよい。また、図柄拡大演出の実行可否を問わず、最初からブランク図柄Xを有形状の図柄として表示させるのではなく、単なる空白として表示させるようにしてもよい。また、ブランク図柄Xを含まずに特定図柄Cのみによって構成される図柄列で図柄変動を行う遊技機に対しても、本発明の技術を採用してもよい。すなわち、リーチ形成図柄と同一の特定図柄Cの前又は後に位置する特定図柄Cを、拡大特定図柄KCによって遊技者が視認できない状態とする。
【0259】
・実施形態では、例えば、
図31(c)や
図32(c)に示すように、拡大特定図柄KCの表示中、結果導出ライン上に位置せず、かつ拡大特定図柄KCが表示されていない停止表示領域H(この例では停止表示領域H6)には何ら図柄を表示させないようにした。
これに代えて、
図36(d)に示すように、もう一方の有効ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す拡大特定図柄KC(この例では拡大特定図柄KC4)の一部を停止表示領域H6に表示させるようにしてもよい。前述したように、
図31や
図32に示す例において停止表示領域H6に表示される図柄は、大当たり判定の結果に何ら影響を及ぼすものではないため、もう一方の有効ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す拡大特定図柄KCの一部を停止表示領域H6に表示させたとしても何ら支障は生じ得ない。そして、このように停止表示領域H6に拡大特定図柄KCの一部を表示することで、先に表示された拡大特定図柄KCが縮小したが結果導出ライン上に確定表示されなかった場合、見かけ上、新たな拡大特定図柄KCが結果導出ライン上に確定表示されるような印象を与えることができるため、ブランク図柄Xを含むハズレの図柄組み合わせが導出されるというイメージを抱き難い。
【0260】
・同様の理由により、
図36(e)に示すように、中図柄列7Cにおける元の配列順序を考慮することなく、停止表示領域H6に、もう一方の有効ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す特定図柄C(この例では特定図柄C4)を表示させるようにしてもよい。前述したように、
図31や
図32に示す例において停止表示領域H6に表示される図柄は、大当たり判定の結果に何ら影響を及ぼすものではないため、もう一方の有効ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す特定図柄Cを停止表示領域H6に表示させたとしても何ら支障は生じない。そして、このように停止表示領域H6に特定図柄C4を表示させることで、先に表示された拡大特定図柄KCが縮小したが結果導出ライン上に確定表示されなかった場合、見かけ上、拡大特定図柄KCの次に表示される特定図柄C4が結果導出ライン上に確定表示されるような印象を与えることができるため、ブランク図柄Xを含むハズレの図柄組み合わせが導出されるというイメージを抱き難い。
【0261】
・実施形態では、大当たり判定で大当たりと判定された場合のみ、拡大特定図柄KCの表示態様として「第3表示態様(停止表示領域H4~H6の3つの領域に跨る)」を選択可能としていた。これに代えて、大当たり判定で「ハズレ」と判定された場合も、拡大特定図柄KCの表示態様として「第3表示態様」が選択されるようにしてもよい。この場合、例えば、
図36(f)に示すように、停止表示領域H4~H6に跨って拡大特定図柄KC3が停止し、一旦表示された状態とされているが、拡大特定図柄KC3は、停止表示領域H2つ分だけ縮小され、結果的に停止表示領域H4に表示されるようにしてもよい。
【0262】
・実施形態における特定図柄Cは、数字画像のみによって構成されていたが、数字画像と特定のキャラクタ画像を組み合わせた図柄としてもよい。この場合、
図37(a)に示すように、拡大特定図柄KCを構成する数字画像に関しては拡大前の特定図柄Cを構成する数字画像と同じ大きさとし、拡大特定図柄KCを構成するキャラクタ画像に関しては拡大前の特定図柄Cを構成するキャラクタ画像を拡大したかのような画像としてもよい。
【0263】
・実施形態における拡大特定図柄KCは、特定図柄Cを複数の停止表示領域Hに跨るように拡大した態様の画像であった。これに代えて、
図37(b)に示すように、最終停止列において結果導出ライン上に位置する停止表示領域Hと、当該停止表示領域Hの前後に位置する停止表示領域Hのそれぞれに、結果導出ライン上のリーチ形成図柄と同じ数字を示す特定図柄C(この例では特定図柄C4)を1つずつ表示させるようにしてもよい。この例では、停止表示領域H4と停止表示領域H5にそれぞれ表示されている2つの特定図柄C4を合わせたものが「拡大特定図柄KC」に相当する。ただし、大当たり判定でハズレとなる場合には、当該変更例の態様で拡大特定図柄KCを表示させない方が望ましい。
【0264】
・中図柄列7Cにおける元の図柄配列を示す演出画像の手前に、拡大特定図柄KCを示す演出画像のレイヤーを重畳させるようにして表示させてもよい。また、中図柄列7Cにおける元の図柄配列を示す演出画像に代えて、拡大特定図柄KCを含む図柄配列を示す演出画像を表示させてもよい。つまり、遊技者がブランク図柄Xを視認できない状態を作り出すことができれば、ブランク図柄Xの手前側に拡大特定図柄KCを直接重畳させる手法、又は元も図柄配列に代えて、ブランク図柄Xの代わりに拡大特定図柄KCを含む図柄配列で変動を行う手法のいずれを採用してもよい。
【0265】
・図柄拡大演出は、大当たり確定の演出としてもよい。つまり、大当たり判定の結果がハズレとなる場合、拡大特定図柄KCは表示されなくてもよい。
・実施形態は、横スクロール式のパチンコ遊技機を前提として説明したが、縦スクロール式のパチンコ遊技機においても実施可能である。
【0266】
・実施形態は、通常時から複数の有効ラインをするパチンコ遊技機を前提として説明したが、特定条件が成立した場合、リーチラインの本数が複数本に増加するような演出を行うパチンコ遊技機においても実施可能である。
【0267】
・図柄列7U,7C,7Dにおける図柄の停止順序は、実施形態の例に限られない。
・実施形態では、「大当たり」を「特典」の一例として説明したが、遊技者に有利な結果をもたらすことができれば、その内容は「大当たり」に限られない。例えば、小当たりに当選することとしてもよいし、大当たり当選や大当たり遊技を経ることなく図柄変動の終了後にいきなり時短状態に制御する「突然時短」に当選することとしてもよい。また、遊技者にとって有利な遊技状態へ移行する前に設定される、所謂「チャンスゾーン」が生起されることを「特典」としてもよい。
【0268】
・最終停止列以外の図柄列においても、拡大特定図柄KCが表示されることがあってもよい。
・リーチが形成されない場合であっても、拡大特定図柄KCが表示されることがあってもよい。
【0269】
・上記実施形態は、非封入式パチンコ遊技機を前提として説明したが、封入式パチンコ遊技機においても実施可能である。
・大入賞口(大入賞装置)は、複数(例えば2つ)あってもよい。
【0270】
・パチンコ遊技機1として、第1特別図柄のみを変動させて行うパチンコ遊技機に具体化してもよい。
・実施形態は、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)や転落機(抽選結果によって高確率状態が終了する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。
【0271】
・上記実施形態の技術は、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)に適用してもよい。
以上、実施形態及び変更例に基づき、本発明に係る構成について説明したが、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本実施形態の例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0272】
C 特定図柄
H1~H9 停止表示領域
KC 拡大特定図柄
L1~L5 有効ライン
X ブランク図柄
1 パチンコ遊技機
7 演出表示装置(表示装置)
11 第1始動口
22 第2始動口
30 大入賞装置
61 遊技制御用マイコン
101 演出制御用マイコン(表示制御手段)
200 画像制御基板(表示制御手段)