(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042137
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】建物におけるバルコニーの構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/00 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
E04B1/00 501Z
E04B1/00 501A
E04B1/00 501J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146630
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】榎本 章宏
(72)【発明者】
【氏名】寺内 知網
(57)【要約】
【課題】屋外設置機器を目隠ししてバルコニーの見栄えを良くしつつ、屋外設置機器からの熱気がバルコニーに溜まりにくくなるようにする。
【解決手段】複数階建ての建物1における各階の正面外壁2にバルコニー10が設けられ、各階のバルコニー10は、当該各階のバルコニー10における幅方向側端部に配置され、かつ、建物1の上下階方向に連続して形成された連結遮蔽壁部20によって連結されており、連結遮蔽壁部20は、正面外壁2の前方に配置されて当該正面外壁2と対向する正面遮蔽部21と、正面外壁2の幅方向側端部と正面遮蔽部21の幅方向側端部との間に配置された側面遮蔽部25と、を備え、側面遮蔽部25には、バルコニー10とバルコニー外の屋外空間とを連通する開口部26が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階建ての建物における各階の正面外壁にバルコニーが設けられ、
各階の前記バルコニーは、当該各階のバルコニーにおける幅方向側端部に配置され、かつ、前記建物の上下階方向に連続して形成された連結遮蔽壁部によって連結されており、
前記連結遮蔽壁部は、
前記正面外壁の前方に配置されて当該正面外壁と対向する正面遮蔽部と、
前記正面外壁の幅方向側端部と前記正面遮蔽部の幅方向側端部との間に配置された側面遮蔽部と、を備え、
前記側面遮蔽部には、前記バルコニーとバルコニー外の屋外空間とを連通する開口部が形成されていることを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記開口部は、前記側面遮蔽部のうち前記正面外壁側の縁部に形成されていることを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項3】
請求項1に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記正面遮蔽部は、
平面視において前記側面遮蔽部と直交し、かつ、前記正面外壁と対向して配置された第一壁部と、
平面視において前記第一壁部と直交し、かつ、前記側面遮蔽部と対向して配置された第二壁部と、を有することを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項4】
請求項3に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記バルコニーのうち、前記側面遮蔽部における正面側の側端部と、前記第一壁部と、前記第二壁部と、によって囲まれた空間に、雨樋装置の竪樋が設置されていることを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項5】
請求項3に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記正面遮蔽部は、
平面視において前記第二壁部と直交するとともに前記正面外壁と対向し、前記第一壁部と平行に、かつ対向せずに配置された第三壁部を更に有することを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項6】
請求項5に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記各階のバルコニーには、前記正面遮蔽部の前記第三壁部と隣接して配置されたバルコニー手摺が設けられ、
前記バルコニー手摺は、
平面視において前記第三壁部と直交し、かつ、前記第二壁部と対向して配置された第一部位と、
平面視において前記第一部位と直交するとともに前記正面外壁と対向して配置され、かつ、前記第一壁部と同一直線上に配置された第二部位と、を有することを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項7】
請求項6に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記側面遮蔽部の外側面と、前記正面遮蔽部における前記第一壁部の外側面と、前記正面遮蔽部における前記第二壁部の外側面と、各階の前記バルコニー手摺における前記第一部位の外側面と、各階の前記バルコニー手摺における前記第二部位の外側面と、に対して同一の外装仕上げが施されていることを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の建物におけるバルコニーの構造において、
前記連結遮蔽壁部は、前記各階のバルコニーにおける幅方向一側端部又は両側端部に配置されていることを特徴とする建物におけるバルコニーの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階建ての建物におけるバルコニーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の階を有する建物において、例えばエアコンの室外機や給湯器などといった屋外設置機器をバルコニーに設置する技術が知られている。
特許文献1に記載の建物においては、バルコニーと室内とを仕切る外壁に形成された出入口の上方に、外壁と対向して室外機設置スペースが設けられている。また、出入口の側方の外壁に、給湯器やダクトが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バルコニーに設置されるエアコンの室外機や給湯器等の屋外設置機器は、室内側からは見えにくい位置にあるため、住人にとってはあまり気にならないが、外側から見えてしまうと見栄えが悪い。そのため、バルコニーに設置される屋外設置機器をなるべく隠すように設置したいという要望がある。ところが、エアコンの室外機や給湯器といった屋外設置機器の多くは放熱や排気が行われるため、熱気が溜まるような構造は好ましくない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、屋外設置機器を目隠ししてバルコニーの見栄えを良くしつつ、屋外設置機器からの熱気がバルコニーに溜まりにくくなるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、建物1におけるバルコニー10の構造であって、
複数階建ての建物1における各階の正面外壁2にバルコニー10が設けられ、
各階の前記バルコニー10は、当該各階のバルコニー10における幅方向側端部に配置され、かつ、前記建物1の上下階方向に連続して形成された連結遮蔽壁部20によって連結されており、
前記連結遮蔽壁部20は、
前記正面外壁2の前方に配置されて当該正面外壁2と対向する正面遮蔽部21と、
前記正面外壁2の幅方向側端部と前記正面遮蔽部21の幅方向側端部との間に配置された側面遮蔽部25と、を備え、
前記側面遮蔽部25には、前記バルコニー10とバルコニー外の屋外空間とを連通する開口部26が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、正面遮蔽部21によって各階のバルコニー10における幅方向側端部の内側を正面側から遮蔽でき、側面遮蔽部25によって各階のバルコニー10における幅方向側端部の内側を側面側から遮蔽できる。そのため、正面遮蔽部21と側面遮蔽部25とで囲まれたバルコニー10の隅部Cに屋外設置機器(室外機30、給湯器31、竪樋32)を設置すれば、当該屋外設置機器を目隠しできるので、バルコニー10の見栄えを良くすることができる。さらに、屋外設置機器から放出される熱気を、側面遮蔽部25に形成された開口部26からバルコニー外の屋外空間に排出できるので、屋外設置機器からの熱気がバルコニー10に溜まりにくくなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、請求項1に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記開口部26は、前記側面遮蔽部25のうち前記正面外壁2側の縁部に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、開口部26が、側面遮蔽部25のうち正面外壁2側に寄せられた位置に形成されるので、屋外設置機器を、開口部26の位置に合わせて正面外壁2の近くに配置することができる。これにより、屋外設置機器からの熱気を開口部26から排出できる。さらに、屋外設置機器を正面遮蔽部21から間隔を空けて配置できるので、屋外設置機器と正面遮蔽部21との間に熱気が溜まりにくくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、請求項1に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記正面遮蔽部21は、
平面視において前記側面遮蔽部25と直交し、かつ、前記正面外壁2と対向して配置された第一壁部22と、
平面視において前記第一壁部22と直交し、かつ、前記側面遮蔽部25と対向して配置された第二壁部23と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、正面遮蔽部21が、平面視において側面遮蔽部25と直交し、かつ、正面外壁2と対向して配置された第一壁部22と、平面視において第一壁部22と直交し、かつ、側面遮蔽部25と対向して配置された第二壁部23と、を有するので、各階のバルコニー10における幅方向側端部に、側面遮蔽部25と第一壁部22及び第二壁部23とからなる凹型の空間C1を形成できる。当該空間C1は、バルコニー外の屋外空間から、より一層見えにくい空間となるので、屋外設置機器を目隠ししやすくなり、バルコニー10の見栄えを更に良くすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図3,
図5に示すように、請求項3に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記バルコニー10のうち、前記側面遮蔽部25における正面側の側端部と、前記第一壁部22と、前記第二壁部23と、によって囲まれた空間C1に、雨樋装置の竪樋32が設置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、バルコニー10のうち、側面遮蔽部25における正面側の側端部と、第一壁部22と、第二壁部23と、によって囲まれた空間C1に、雨樋装置の竪樋32が設置されているので、バルコニー10外の屋外空間から、雨樋装置の竪樋32が見えにくくなる。これにより、竪樋32を目隠ししやすくなり、バルコニー10の見栄えをより一層良くすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、請求項3に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記正面遮蔽部21は、
平面視において前記第二壁部23と直交するとともに前記正面外壁2と対向し、前記第一壁部22と平行に、かつ対向せずに配置された第三壁部24を更に有することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、正面遮蔽部21は、平面視において第二壁部23と直交するとともに正面外壁2と対向し、第一壁部22と平行に、かつ対向せずに配置された第三壁部24を更に有するので、この第三壁部24によって正面遮蔽部21による遮蔽範囲を広くすることができる。これにより、屋外設置機器を目隠ししやすくなり、バルコニー10の見栄えを更に良くすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、請求項5に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記各階のバルコニー10には、前記正面遮蔽部21の前記第三壁部24と隣接して配置されたバルコニー手摺12(支持壁部13)が設けられ、
前記バルコニー手摺12(13)は、
平面視において前記第三壁部24と直交し、かつ、前記第二壁部23と対向して配置された第一部位13aと、
平面視において前記第一部位13aと直交するとともに前記正面外壁2と対向して配置され、かつ、前記第一壁部22と同一直線上に配置された第二部位13bと、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、各階のバルコニー10に設けられたバルコニー手摺12は、平面視において第三壁部24と直交し、かつ、第二壁部23と対向して配置された第一部位13aと、平面視において第一部位13aと直交するとともに正面外壁2と対向して配置され、かつ、第一壁部22と同一直線上に配置された第二部位13bと、を有するので、正面遮蔽部21の第二壁部23と、バルコニー手摺12の第一部位13aとの間に凹部を形成できる。さらに、正面遮蔽部21を含む連結遮蔽壁部20は、上下階方向に連続しているため、第二壁部23と第一部位13aとの間の凹部も上下階方向に連続した状態となる。これにより、正面遮蔽部21とバルコニー手摺12との間に、上下階方向に連続する凹溝27を形成することができる。そして、建物1の正面には、上下階方向に連続する凹溝27が形成されることによって陰影が生じやすくなり、変化に富んだ意匠を提供できるので、バルコニー10の見栄えを良くすることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、請求項6に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記側面遮蔽部25の外側面と、前記正面遮蔽部21における前記第一壁部22の外側面と、前記正面遮蔽部21における前記第二壁部23の外側面と、各階の前記バルコニー手摺12(支持壁部13)における前記第一部位13aの外側面と、各階の前記バルコニー手摺12における前記第二部位13bの外側面と、に対して同一の外装仕上げ(例えばタイル28)が施されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、側面遮蔽部25の外側面と、正面遮蔽部21における第一壁部22の外側面と、正面遮蔽部21における第二壁部23の外側面と、各階のバルコニー手摺12における第一部位13aの外側面と、各階のバルコニー手摺12における第二部位13bの外側面と、に対して同一の外装仕上げ28が施されているので、正面遮蔽部21における第三壁部24の外側面を挟んだ両側の部分を、同一の外装仕上げの意匠面とすることができる。これにより、正面遮蔽部21とバルコニー手摺12との間に形成された凹溝27の存在を際立たせることができるので、意匠性を高めることができ、バルコニー10の見栄えを良くすることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば
図1~
図6に示すように、請求項1から7のいずれか一項に記載の建物1におけるバルコニー10の構造において、
前記連結遮蔽壁部20は、前記各階のバルコニー10における幅方向一側端部又は両側端部に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、連結遮蔽壁部20は、各階のバルコニー10における幅方向一側端部又は両側端部に配置されているので、各階のバルコニー10における幅方向一側端部に連結遮蔽壁部20を配置したい需要と、各階のバルコニー10における幅方向両側端部に連結遮蔽壁部20を配置したい需要のどちらにも対応することができる。各階のバルコニー10における幅方向両側端部に連結遮蔽壁部20が配置されると、バルコニー10を左右の住戸Rで共有する場合に、どちらの住戸Rも連結遮蔽壁部20を使用できるので、左右どちらの住戸Rにおいても屋外設置機器を目隠しすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、屋外設置機器を目隠ししてバルコニーの見栄えを良くしつつ、屋外設置機器からの熱気がバルコニーに溜まりにくくなるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】建物を示す一方から見た場合の斜視図である。
【
図2】建物を示す他方から見た場合の斜視図である。
【
図4】屋外設置機器が設置された状態のバルコニーを示す縦断面図である。
【
図5】屋外設置機器が設置された状態のバルコニーを示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0025】
図1,
図2において符号1は、建物を示す。この建物1は、複数階建ての集合住宅であり、本実施形態においては5階建て(中層建築物)とされている。建物1における建物本体は、鉄骨造とされており、外壁材としてALC(軽量気泡コンクリート)板が用いられている。
なお、本実施形態の建物1は集合住宅であるとしたが、これに限られるものではなく、中層建築物である複数階建ての戸建て住宅であってもよい。
【0026】
建物1における建物本体は、正面外壁2と、左側外壁3と、右側外壁4と、背面外壁5と、屋上6と、を備えて直方体状に形成されている。各外壁2~5(後述する支持壁部13も含む)は、ALC板を並べて配置したものである。すなわち、各外壁2~5は、ALC板によって構成されている。
建物本体の内部における背面側には、図示はしないが、エレベーター及び階段が設けられており、1階から5階までの間を行き来できる。また、1階にはテナントが入り、2階から5階には、人が居住するための住戸Rが一戸ずつ設けられている。
【0027】
1階の正面には、正面出入口7と、正面出入口7の右側に位置するテナント用出入口8と、正面出入口7の左側に位置する収納部9と、が設けられている。
正面出入口7を入ると、エレベーター及び階段まで続く廊下が設けられている。また、テナント用出入口8を入ると、廊下に沿ってテナントが入るスペースが設けられている。
収納部9には、テナント及び各住戸Rのための郵便受け(図示省略)や、上階からの排水を受ける竪樋32が収納設置される。
【0028】
建物本体の正面部分には、2階から5階までの住戸Rごとにバルコニー10が設けられている。建物本体における正面外壁2は、住戸R内とバルコニー10との間を仕切る外壁であり、各階において、建具2bによって開閉されるバルコニー出入口2aが設けられている
【0029】
バルコニー10は、
図1~
図3に示すように、建物1の正面外壁2から張り出した状態に設けられたバルコニー床11上のスペースを指している。そして、住戸Rの住人は、住戸R内からバルコニー出入口2aを通り、バルコニー床11上に移動することでバルコニー10を利用することができる。
なお、5階のバルコニー10においては、正面外壁2のうち、バルコニー出入口2aの上方に位置する部位に庇15が設けられている。
【0030】
バルコニー床11の外周縁部には、後述する連結遮蔽壁部20が設けられる位置を除いてバルコニー手摺12が設けられている。
バルコニー手摺12は、バルコニー床11の外周縁部に沿って設けられた支持壁部13と、この支持壁部13の上端面に設けられた面材部14と、を有する。
面材部14は、例えばガラスやポリカーボネート板等からなる透光性材料(透視性があってもよい)によって構成されており、その上端部に手摺部材が設けられている。
【0031】
各階のバルコニー10は、これら各階のバルコニー10における幅方向側端部(本実施形態においては左側端部)に配置されて上下階方向に連続する連結遮蔽壁部20によって連結されている。連結遮蔽壁部20は、各階のバルコニー10における幅方向側端部を、外側から見えにくい状態にするための壁である。
換言すれば、各階のバルコニー10における幅方向側端部を、外側から見えにくい状態にするための連結遮蔽壁部20が、各階のバルコニー10におけるバルコニー床11を跨いで上下階方向(建物1の高さ方向)に連続して設けられている。
【0032】
連結遮蔽壁部20は、バルコニー10の正面側に位置する正面遮蔽部21と、当該正面遮蔽部21と一体的に設けられて、バルコニー10の左側面側に位置する側面遮蔽部25と、を備えている。これら正面遮蔽部21及び側面遮蔽部25は、平面視において互いに直交する方向に伸びて、その内側に隅部Cを形成しており、当該隅部Cは、外側から見えにくくなっている。
正面遮蔽部21及び側面遮蔽部25は、建物本体の各外壁2~5と同様にALC板によって構成されている。
【0033】
また、連結遮蔽壁部20は、建物1の1階から5階まで設けられている。上端部は、屋上6までは到達せず、かつ、5階の住戸Rにおける天井高の半分程度の高さに位置しており、5階のバルコニー10における手摺壁として機能している。なお、上端部の高さ位置は、屋上6に到達する高さに設定されてもよいし、庇15の高さに設定されてもよい。
【0034】
連結遮蔽壁部20における下端部のうち、正面遮蔽部21と側面遮蔽部25からなる隅部Cが、上記の収納部9として利用されている。
なお、隅部Cは、互いに直交する正面遮蔽部21及び側面遮蔽部25の内角部分に形成されるものであるため、上下階方向に亘って形成されているが、各階のバルコニー床11によって上下に区切られた状態となっている。したがって、上記の収納部9は、隅部Cであって、かつ、2階のバルコニー床11の下方に位置する部分を指している。
【0035】
側面遮蔽部25は、建物本体における左側外壁3と一体的に設けられ、かつ、平面視において左側外壁3と同一直線上に設けられている。すなわち、側面遮蔽部25は、平面視において正背方向に沿って設けられている。
また、側面遮蔽部25は、バルコニー床11における左側の周縁部に沿って設けられている。換言すれば、バルコニー床11における外周縁部のうち左側の周縁部は、側面遮蔽部25を構成する外壁材に沿って設けられている。
さらに、この側面遮蔽部25は、上記のように、平面視において正面遮蔽部21と直交して配置されている。換言すれば、側面遮蔽部25は、正面外壁2の幅方向左側端部と正面遮蔽部21の幅方向左側端部との間に配置されていて、正面外壁2と正面遮蔽部21のどちらに対しても一体的に設けられている。
【0036】
側面遮蔽部25には、
図1,
図3~
図5に示すように、複数の開口部26が形成されている。複数の開口部26は、2階から4階のバルコニー10に対応して設けられている。
各開口部26は、矩形状であり、下縁部が腰高に設定されているとともに、開口幅も200~300mm程度に狭く設定されており、人が容易に通れないようになっている。
また、複数の開口部26は、側面遮蔽部25のうち正面外壁2側の端部に形成されている。より詳細に説明すると、各開口部26は、側面遮蔽部25のうち正面外壁2側の縁部に形成された凹型部であり、側面遮蔽部25が正面外壁2に接することで矩形状に形成されている。ただし、これに限られるものではなく、開口部26は、側面遮蔽部25のうち正面外壁2側の縁部よりも正面側に位置して矩形状に形成されたものでもよい。
なお、側面遮蔽部25のうち、開口部26の下縁部を構成する開口側縁部には笠木26aが設けられている。
【0037】
正面遮蔽部21は、側面遮蔽部25の正面側端部に一体的に設けられて、バルコニー10の幅方向中央部側に伸びている。すなわち、正面遮蔽部21は、平面視において左右方向に沿って設けられている。
【0038】
また、本実施形態の正面遮蔽部21は、
図3,
図5に示すように、平面視においてクランク状に形成されている。
より詳細に説明すると、正面遮蔽部21は、平面視において、最も前方(正面側)に位置して左右方向に配置された第一壁部22と、第一壁部22の右側端部から後方(背面側)に突出する第二壁部23と、第二壁部23の背面側端部から右方に突出する第三壁部24と、を備えている。
ただし、これに限られるものではなく、正面遮蔽部21は、第一壁部22のみを有する構成であってもよいし、第一壁部22と第二壁部23だけを有する構成であってもよい。
【0039】
第一壁部22は、平面視において、建物本体の正面外壁2と平行かつ対向しているとともに、側面遮蔽部25と直交して配置されている。
【0040】
第二壁部23は、平面視において、側面遮蔽部25と平行かつ対向しているとともに、第一壁部22と直交して配置されている。
【0041】
第三壁部24は、平面視において、建物本体の正面外壁2と平行かつ対向しているとともに第一壁部22と平行に、かつ対向せずに配置されている。また、第三壁部24は、第二壁部23と直交して配置されている。
なお、この第三壁部24は、平面視において第一壁部22と第二壁部23との交点部分から右方に突出して配置されてもよい。つまり、正面遮蔽部21は、平面視においてT字型となる。
【0042】
正面遮蔽部21が、以上のように第一壁部22、第二壁部23、第三壁部24を備えて平面視クランク状に形成されていると、隅部Cは、平面視において凹型に囲まれた部分C1を有することになる。
すなわち、正面遮蔽部21と側面遮蔽部25が直交して配置されたことによって形成された隅部Cは、正面遮蔽部21が平面視クランク状に形成されていることで、側面遮蔽部25の前側端部と、正面遮蔽部21の第一壁部22及び第二壁部23によって凹型に囲まれた空間C1を有することになる。
【0043】
なお、正面遮蔽部21が以上のように構成されているため、バルコニー床11は、正面遮蔽部21の形状に合わせて切欠部11aを有した状態に形成されている。つまり、正面遮蔽部21は、バルコニー床11における正面側の周縁部のうち、幅方向左側の切欠部11aの周囲に設けられている。
また、正面遮蔽部21の右側端部(第三壁部24の右側端部))は、正面外壁2に形成されたバルコニー出入口2aの左側縁部よりも右側には位置していない。正面遮蔽部21の右側端部とバルコニー出入口2aの左側縁部は、正背方向に揃った状態となっている。
【0044】
バルコニー床11が切欠部11aを有する状態に形成されて、正面遮蔽部21が、切欠部11aに沿って設けられている。これに伴って、バルコニー手摺12における支持壁部13も、切欠部11aに沿って設けられている。
より詳細に説明すると、支持壁部13は、平面視において、最も左側に位置して正背方向に配置された第一部位13aと、第一部位13aの正面側端部から右方に突出する第二部位13bと、第二部位13bの右側端部から後方(背面側)に突出する第三部位13cと、を備えている。
【0045】
第一部位13aは、正面遮蔽部21における第三壁部24の右側端部に突き当てられた状態に設けられている。また、第一部位13aは、正面遮蔽部21の第二部位13bと平行かつ対向して配置されている。
なお、正面遮蔽部21が、平面視クランク状に形成されない場合は、この第一部位13aは省略してもよい。
【0046】
第二部位13bは、平面視において第一部位13aと直交して配置されるとともに、正面遮蔽部21における第一壁部22と同一直線上に配置されている。第二部位13bと第一壁部22は間隔を空けて配置されている。また、この第二部位13bは、正面外壁2と平行かつ対向して配置されている。
【0047】
第三部位13cは、バルコニー床11における右側の周縁部に沿って設けられている。換言すれば、バルコニー床11における外周縁部のうち右側の周縁部は、第三部位13cを構成する外壁材に沿って設けられている。
【0048】
バルコニー床11が切欠部11aを有する状態に形成されて、正面遮蔽部21及び支持壁部13が、正面遮蔽部21が、切欠部11aに沿って設けられている。さらに、支持壁部13を含むバルコニー手摺12は各階にのみ設けられるものであるが、正面遮蔽部21を含む連結遮蔽壁部20は、上記のように上下階方向に連続して設けられている。そのため、正面遮蔽部21と支持壁部13との間には、上下階方向に連続する凹溝27(スリット)が形成された状態となっている。
建物1の正面に、上下階方向に連続する凹溝27が形成されるので、陰影が生じやすくなり、変化に富んだ意匠を提供できる。
【0049】
また、
図5に示すように、側面遮蔽部25の外側面と、正面遮蔽部21のうち第一壁部22及び第二壁部23の外側面には、外装仕上げ材として、上下階方向に亘ってタイル28が設けられている。一方で、正面遮蔽部21のうち第三壁部24の外側面には、このようなタイル28が設けられていない。
さらに、バルコニー手摺12における支持壁部13の外側面にも、外装仕上げ材としてタイル28が設けられている。
つまり、凹溝27の溝底部にあたる第三壁部24にはタイル28が設けられておらず、第三壁部24を挟んで両側に位置する部分はタイル28張りとされている。そのため、タイル28による意匠が、凹溝27の存在を際立たせる効果を発揮している。
【0050】
また、連結遮蔽壁部20は、実際にはバルコニー手摺12と隣接している(第三壁部24と第一部位13aが隣接している)ものの、凹溝27を挟んで、バルコニー手摺12と間隔を空けて隣り合っているかのように見える。
しかも、凹溝27は、タイル28による意匠によって、正面に向かって建物1を見る人にとって、より一層、溝(スリット)として認識されやすい状態となっている。そのため、連結遮蔽壁部20は、バルコニー手摺12とは分離された状態に見え、あたかも、建物1正面の幅方向側端部に設けられた袖壁部のように認識されることになる。これにより、連結遮蔽壁部20の内側に形成された隅部Cは、余計に目立たない存在となる効果がある。
【0051】
なお、本実施形態においては、上記の外装仕上げとしてタイル28を採用したが、これに限られるものではなく適宜変更可能である。すなわち、第三壁部24との外観意匠が異なるものになればよいので、例えば、タイル28以外の外装仕上げ材を用いてもよいし、吹き付け塗装でもよい。単純には、第三壁部24と色を変えるだけでもよい。
【0052】
本実施形態においては、屋外設置機器として、エアコンの室外機30と給湯器31が各階のバルコニー10に設けられている。これら室外機30及び給湯器31は、
図4,
図5に示すように、隅部C内に配置されている。
【0053】
室外機30は、バルコニー床11上に設置されている。また、室外機30の排気は、前方(正面側)に向かうため正面外壁2側に寄せて配置されている。換言すれば、室外機30は、正面遮蔽部21との間に間隔を空けて配置されている。これにより、隅部Cには、室外機30からの排気の熱が溜まりにくくなっている。
【0054】
給湯器31は、側方排気アダプター31aを具備しており、側方(左方)に向かって排気できるように構成されている。そのため、給湯器31は、室外機30の上方で、かつ、側面遮蔽部25に形成された開口部26の横(右方)に配置され、正面外壁2に取り付けられて設置されている。これにより、給湯器31からの排気の熱(例えば
図4,
図5における白抜き矢印)を、開口部26から排出できるので、隅部Cには、給湯器31からの排気の熱が溜まりにくくなっている。
【0055】
室外機30及び給湯器31は、バルコニー出入口2aよりも左側に配置されている。そのため、建物1を正面から見た場合、2階から4階までの室外機30及び給湯器31は、正面遮蔽部21によって遮蔽される。さらに、建物1を左側から見た場合も、2階から4階までの室外機30及び給湯器31は、側面遮蔽部25によって遮蔽される。
一方、5階の室外機30は、2階から4階と同様に、正面遮蔽部21及び側面遮蔽部25によって遮蔽されるが、給湯器31は、連結遮蔽壁部20の上端部よりも上方に配置された状態となる。しかしながら、給湯器31は、正面遮蔽部21及び側面遮蔽部25から間隔を空けて配置されているので、地面に立って建物1を見る人が、正面側又は左側から5階を見上げても給湯器31は視界に入りにくい。
以上のことから、室外機30及び給湯器31は、外側からは見えにくい状態となっているので見栄えが良い。
【0056】
なお、隅部Cのうち、側面遮蔽部25の前側端部と、正面遮蔽部21の第一壁部22及び第二壁部23によって凹型に囲まれた空間C1は、外側から最も見えにくい状態となっている。本実施形態においては、当該空間C1に、雨樋装置における竪樋32が配置されている。雨樋装置は、上階のバルコニー10からの雨水を地上に排水するためのものであり、竪樋32は、正面遮蔽部21のいずれかの部分に固定された保持金具によって保持されている。また、竪樋32は、上記の凹型に囲まれた空間C1の外側に突出しないように配置されているものとする。
また、バルコニー床11の床下にも雨樋装置の一部が配置されている。すなわち、本実施形態のバルコニー10は、表面に雨樋装置が露出しないようにしながら、上階から下階に向かって雨水を排出できるように構成されているので見栄えが良い。
さらに、図示はしないが、屋上6の雨水は、建物1の背面側(背面外壁5)に雨樋装置が設けられて地上へと排水される。そのため、屋上6用の雨樋装置も正面側からは目立たない位置に設けられていることとなり、建物1の見栄えを良くするのに貢献できる。
【0057】
また、隅部C,C1は、上記のように外側から見えにくく目立たないため、各住戸Rの住人が屋外用品の収納場所として利用したり、ゴミの一時置き場として利用したりすることができる。
【0058】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、正面遮蔽部21によって各階のバルコニー10における幅方向側端部の内側を正面側から遮蔽でき、側面遮蔽部25によって各階のバルコニー10における幅方向側端部の内側を側面側から遮蔽できる。そのため、正面遮蔽部21と側面遮蔽部25とで囲まれたバルコニー10の隅部Cに屋外設置機器(室外機30、給湯器31)を設置すれば、当該屋外設置機器を目隠しできるので、バルコニー10の見栄えを良くすることができる。さらに、屋外設置機器から放出される熱気を、側面遮蔽部25に形成された開口部26からバルコニー外の屋外空間に排出できるので、屋外設置機器からの熱気がバルコニー10に溜まりにくくなる。
【0059】
また、開口部26が、側面遮蔽部25のうち正面外壁2側に寄せられた位置に形成されるので、屋外設置機器を、開口部26の位置に合わせて正面外壁2の近くに配置することができる。これにより、屋外設置機器からの熱気を開口部26から排出できる。さらに、屋外設置機器を正面遮蔽部21から間隔を空けて配置できるので、屋外設置機器と正面遮蔽部21との間に熱気が溜まりにくくなる。しかも、屋外設置機器は、その機能を住戸R内で発揮させるためのものである場合が多いため、屋外設置機器を、開口部26の位置に合わせて正面外壁2の近くに配置できれば、配線や配管等の面で都合が良い。
【0060】
また、正面遮蔽部21が、平面視において側面遮蔽部25と直交し、かつ、正面外壁2と対向して配置された第一壁部22と、平面視において第一壁部22と直交し、かつ、側面遮蔽部25と対向して配置された第二壁部23と、を有するので、各階のバルコニー10における幅方向側端部に、側面遮蔽部25と第一壁部22及び第二壁部23とからなる凹型の空間C1を形成できる。当該空間C1は、バルコニー外の屋外空間から、より一層見えにくい空間となるので、屋外設置機器を目隠ししやすくなり、バルコニー10の見栄えを更に良くすることができる。
【0061】
また、正面遮蔽部21は、平面視において第二壁部23と直交するとともに正面外壁2と対向し、第一壁部22と平行に、かつ対向せずに配置された第三壁部24を更に有するので、この第三壁部24によって正面遮蔽部21による遮蔽範囲を広くすることができる。これにより、屋外設置機器を目隠ししやすくなり、バルコニー10の見栄えを更に良くすることができる。
【0062】
また、各階のバルコニー10に設けられたバルコニー手摺12は、平面視において第三壁部24と直交し、かつ、第二壁部23と対向して配置された第一部位13aと、平面視において第一部位13aと直交するとともに正面外壁2と対向して配置され、かつ、第一壁部22と同一直線上に配置された第二部位13bと、を有するので、正面遮蔽部21の第二壁部23と、バルコニー手摺12の第一部位13aとの間に凹部を形成できる。さらに、正面遮蔽部21を含む連結遮蔽壁部20は、上下階方向に連続しているため、第二壁部23と第一部位13aとの間の凹部も上下階方向に連続した状態となる。これにより、正面遮蔽部21とバルコニー手摺12との間に、上下階方向に連続する凹溝27を形成することができる。そして、建物1の正面には、上下階方向に連続する凹溝27が形成されることによって陰影が生じやすくなり、変化に富んだ意匠を提供できるので、バルコニー10の見栄えを良くすることができる。
【0063】
また、側面遮蔽部25の外側面と、正面遮蔽部21における第一壁部22の外側面と、正面遮蔽部21における第二壁部23の外側面と、各階のバルコニー手摺12における第一部位13aの外側面と、各階のバルコニー手摺12における第二部位13bの外側面と、に対して同一の外装仕上げ28が施されているので、正面遮蔽部21における第三壁部24の外側面を挟んだ両側の部分を、同一の外装仕上げの意匠面とすることができる。これにより、正面遮蔽部21とバルコニー手摺12との間に形成された凹溝27の存在を際立たせることができるので、意匠性を高めることができ、バルコニー10の見栄えを良くすることができる。
【0064】
また、連結遮蔽壁部20は、各階のバルコニー10における幅方向一側端部又は両側端部に配置されているので、各階のバルコニー10における幅方向一側端部に連結遮蔽壁部20を配置したい需要と、各階のバルコニー10における幅方向両側端部に連結遮蔽壁部20を配置したい需要のどちらにも対応することができる。各階のバルコニー10における幅方向両側端部に連結遮蔽壁部20が配置されると、バルコニー10を左右の住戸Rで共有する場合に、どちらの住戸Rも連結遮蔽壁部20を使用できるので、左右どちらの住戸Rにおいても屋外設置機器を目隠しすることができる。
【0065】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。本実施形態の建物1は、上記のように鉄骨造とされているが、木造建築であってもよい。本実施形態の建物1が木造建築とされれば、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できるので好ましい。
【0066】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。そこで、以下では、上述した実施形態の変形例について説明する。また、以下の変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0067】
本変形例の建物100は、エレベーター及び階段を有する5階建てとなっており、1階にはテナントが入り、2階から5階には、人が居住するための住戸Rが二戸ずつ設けられている。
各階において二つの住戸Rは、左右に並んで配置されており、バルコニー110を共有している。バルコニー110の幅方向中央部には、バルコニー境壁110aが設けられており、バルコニー110を左右に仕切っている。
【0068】
上記の実施形態においては、連結遮蔽壁部20が、バルコニー10の幅方向左側端部に設けられているが、本変形例においては、連結遮蔽壁部20が、バルコニー110の幅方向両側端部に設けられている。すなわち、各階のバルコニー110は、これら各階のバルコニー110における幅方向両側端部に配置されて上下階方向に連続する連結遮蔽壁部20によって連結されている。
【0069】
本変形例によれば、各階において二つの住戸Rが左右に並んで配置された建物100であっても、各住戸Rが連結遮蔽壁部20によって形成されるバルコニー110の隅部Cを利用することができる。これにより、各階において二つの住戸Rが左右に並んで配置された建物100であっても、屋外設置機器(例えばエアコンの室外機30、給湯器31)を隠してバルコニー110の見栄えを良くしつつ、屋外設置機器からの熱気がバルコニー110に溜まりにくくなるようにすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 建物
2 正面外壁
2a バルコニー出入口
3 左側外壁
10 バルコニー
11 バルコニー床
11a 切欠部
12 バルコニー手摺
13 支持壁部
13a 第一部位
13b 第二部位
13c 第三部位
20 連結遮蔽壁部
21 正面遮蔽部
22 第一壁部
23 第二壁部
24 第三壁部
25 側面遮蔽部
26 開口部
27 凹溝
28 タイル
30 室外機
31 給湯器
31a 側方排気アダプター
C 隅部