(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042169
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20240321BHJP
A23L 3/365 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H05B3/00 340
A23L3/365
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146687
(22)【出願日】2022-09-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】沖山 丈嗣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】野口 明徳
【テーマコード(参考)】
3K058
4B022
【Fターム(参考)】
3K058AA86
3K058BA06
3K058CA04
3K058FA02
3K058FA08
4B022LA06
4B022LQ04
4B022LQ07
4B022LQ10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させることができる通電加熱を利用する凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法を提供する。
【解決手段】電源2と、電源に接続した一対の電極3と、を備え、一対の電極の間に配置した凍結食材Fを通電加熱で解凍する凍結食材解凍装置1において、凍結食材の周囲の温度を解凍前の凍結食材の温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する冷却装置4を備える。凍結食材を通電加熱によって解凍する凍結食材解凍方法において、凍結食材の周囲の温度を解凍前の凍結食材の温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度にした状態で凍結食材を通電加熱によって解凍する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、前記電源に接続した一対の電極を備え、前記一対の電極の間に配置した凍結食材を通電加熱で解凍する凍結食材解凍装置において、
前記凍結食材の周囲の温度を解凍前の前記凍結食材の温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する冷却装置を備える凍結食材解凍装置。
【請求項2】
前記一対の電極および前記凍結食材を収容する解凍庫を備え、
前記冷却装置は、前記解凍庫の庫内を前記所定の温度に冷却する、
請求項1の凍結食材解凍装置。
【請求項3】
前記一対の電極は、前記凍結食材に接触して当該凍結食材と導通する、
請求項2の凍結食材解凍装置。
【請求項4】
前記一対の電極は、前記凍結食材に対面する面に導電性かつ可撓性を有する接続部材が取り付けられ、
前記接続部材は、前記凍結食材に接触して前記一対の電極と前記凍結食材を導通するとともに耐寒温度が解凍前の凍結食材の温度よりも低い、
請求項2の凍結食材解凍装置。
【請求項5】
前記接続部材は、可撓性かつ吸水性を有する多孔質体と、前記多孔質体にしみ込ませた導電性を有する液体とで構成し、
前記多孔質体は、耐寒温度が解凍前の凍結食材の温度よりも低く、
前記導電性を有する液体は、前記一対の電極と前記凍結食材を導通するとともに凝固点が解凍前の凍結食材の温度よりも低い、
請求項4の凍結食材解凍装置。
【請求項6】
前記一対の電極および前記凍結食材を庫内に収容するとともに前記一対の電極の少なくとも一部および前記凍結食材の全部を浸漬させるための導電性を有する液体を前記庫内に収容する解凍庫を備え、
前記一対の電極は、前記凍結食材から離して配置され、
前記導電性を有する液体は、前記一対の電極と前記凍結食材を導通するとともに凝固点が解凍前の凍結食材の温度よりも低く、
前記冷却装置は、前記導電性を有する液体を前記所定の温度に冷却する、
請求項1の凍結食材解凍装置。
【請求項7】
前記冷却装置は、前記所定の温度に冷却された冷却部材を備え、
前記冷却部材は、前記一対の電極に対面する前記凍結食材の表面を除く当該凍結食材の表面の少なくとも一部に接触する、
請求項1の凍結食材解凍装置。
【請求項8】
凍結食材を通電加熱によって解凍する凍結食材解凍方法において、
前記凍結食材の周囲の温度を解凍前の前記凍結食材の温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度にした状態で前記凍結食材を通電加熱によって解凍する凍結食材解凍方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結食材を通電加熱によって解凍する凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食材を凍結した状態で輸送および保存し、加工または食べる前に凍結した食材を解凍することが広く行われている。食材は、凍結させることで鮮度を保ちながら長期間の保存が可能になる。さらに近年の凍結技術の発達により食材を新鮮な状態で凍結することが可能になった。しかし、特に畜肉および魚介類などの凍結食材では、解凍する際にドリップと呼ばれる旨み成分を含む水分が漏れ出ることが知られている。ドリップが漏れ出た食材は、旨みが低下して、食材の味が悪くなる。
【0003】
ドリップの発生は、凍結食材の全体をできる限りムラなく均一に温度上昇させるように解凍することで抑えられることが知られている。ここで温度上昇にムラがないとは、凍結食材を解凍している最中において、凍結食材のある部分の温度とそれ以外の部分の温度の差が小さいことである。例えば具体的に温度上昇にムラがないとは、凍結食材を解凍している最中において、凍結食材の中心部分の温度と、それ以外の外側部分の温度の差が小さいことである。
【0004】
自然解凍において、摂氏ゼロ℃よりも高くかつ摂氏10℃よりも低い温度の環境下に凍結食材を放置して凍結食材をゆっくりと昇温させることで、凍結食材がムラなく均一に解凍され、ドリップの発生を抑えることができることが知られている。しかし、そうした自然解凍には、数時間にもおよぶ長い解凍時間が必要となる。大きな塊の凍結食材を解凍するには、さらに長い解凍時間が必要となる。特に食品加工工場では、スケジュール通りに加工品を生産する場合であればよいが、突発的な追加生産にも対応することが求められ、大きな塊の凍結食材を短時間に解凍することが望まれる。
【0005】
自然解凍に比べて短い解凍時間で凍結食材の全体を解凍できる解凍装置には、例えば、誘電加熱を利用した解凍装置および通電加熱を利用した解凍装置がある。
【0006】
誘電加熱を利用した解凍装置は、一般的にマイクロ波を凍結食材に照射して、凍結食材の水分子を振動させることで発生する摩擦熱によって、凍結食材を加熱して解凍する。マイクロ波を利用した解凍装置は、例えば、特許文献1(特開2005-000053号公報)の食品解凍装置および特許文献2(特開2001-263929号公報)の解凍庫によって開示されている。
【0007】
マイクロ波は、凍結食材の突起部分に集中しやすいという性質を持ち、突起部分を過剰に加熱することがある。特許文献1の食品解凍装置は、マイクロ波の照射中に凍結食材の突起部分を冷却した気体(以下、冷気と称する。)で冷却することで当該突起部分の過剰な温度上昇を抑制することを開示している。
【0008】
またマイクロ波は、凍結食材の内部に浸透していく間に減衰して、大きな塊の凍結食材の内部の深い部分にまで届かない場合がある。大きな出力のマイクロ波であれば、マイクロ波を大きな塊の凍結食材の内部の深い部分にまで到達させることができる。しかし、大きな出力のマイクロ波は、凍結食材の表面を過剰に加熱する。特許文献2の解凍庫は、マイクロ波の出力を大きくする場合、マイクロ波の照射中に凍結食材の表面を冷気で冷却することで当該表面の過剰な温度上昇を抑制することを開示している。
【0009】
誘電加熱を利用した解凍装置は、通電加熱を利用した解凍装置に比べて、マイクロ波を利用するため装置構成が複雑であるとともに価格も高くなる。特に大きな塊の凍結食材を解凍するような大型の解凍装置であれば価格差はさらに大きくなる。
【0010】
通電加熱を利用した解凍装置は、一般的に凍結食材が持つ電気抵抗を利用し、一対の電極を使って凍結食材に直接通電することで、凍結食材を加熱して解凍する。通電加熱は、ジュール加熱とも呼ばれている。通電加熱を利用した解凍装置は、誘電加熱を利用した解凍装置に比べて、装置構成が簡単であるとともに価格も低い。通電加熱を利用した解凍装置は、例えば、特許文献3(特開平07-241184号公報)の冷凍すり身の解凍方法、特許文献4(特開平2007-097516号公報)の凍結物の解凍方法および装置、特許文献5(特許第2975593号公報)の冷凍すり身の解凍方法およびその装置、および、特許文献6(特許第2931840号公報)の食品加熱装置及び加熱方法によって開示されている。
【0011】
また、通電加熱を利用した解凍装置において、通電は、交流または直流のどちらでもよいが、好ましくは交流がよいことが特許文献3および特許文献4によって開示されている。交流における電気抵抗であるインピーダンスは、与える交流の周波数に依存しており、周波数が高くなればなるほどインピーダンスが低下して電流が流れやすくなるという特性があるためである。特許文献3では、電圧が215V、周波数が50Hz以上10KHz以下、好ましくは1KHz以上10KHz以下の交流電圧を使用することが開示されている。特許文献4では、電圧が50V以上200V以下、好ましくは60V以上140V以下、さらに好ましくは80V以上120V以下、周波数が50Hz以上500KHz以下、好ましくは50Hz以上50KHz以下の交流電圧を使用することが開示されている。
【0012】
また、通電加熱を利用した解凍装置において、凍結食材の表面の形状に倣って電極を変形させることが、特許文献7(特公平46-010902号公報)の解凍装置、特許文献8(特公平48-002343号公報)の解凍装置、および、特許文献9(特許第5034896号公報)の調理器によって開示されている。また、通電加熱を利用した解凍装置において、凍結食材と同等の導電率または凍結食材よりも低い導電率の導電性を有する液体の中に凍結食材と電極とを離した状態で浸漬し、凍結食材と電極の間の空間を含め凍結食材の周囲が導電性を有する液体で満たされるようにすることが、特許文献10(特開平07-241185号公報)の通電による冷凍食品の解凍方法によって開示されている。また、通電加熱を利用した解凍装置において、導電性を有する液体の中に凍結食材と金網状の電極とを直接接触した状態で浸漬することが特許文献11(特公平52-022463号公報)の水中通電解凍装置によって開示されている。また、通電加熱を利用した解凍装置において、凍結食材と電極の間に設けた隙間にのみ導電性を有する液体を注入することが、特許文献12(特開2005-065690号公報)の冷凍食品解凍装置および電極板によって開示されている。また、通電加熱を利用した解凍装置において、吸水性および可撓性を有するスポンジに導電性を有する液体をしみ込ませ、当該スポンジを凍結食材と電極の間に挟んで導通させることが特許文献13(特開平52-013158号公報)によって開示されている。
【0013】
通電加熱を利用した解凍装置は、誘電加熱を利用した解凍装置に比べて装置構成も簡単であるとともに価格も低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005-000053号公報
【特許文献2】特開2001-263929号公報
【特許文献3】特開平07-241184号公報
【特許文献4】特開平2007-097516号公報
【特許文献5】特許第2975593号公報
【特許文献6】特許第2931840号公報
【特許文献7】特公平46-010902号公報
【特許文献8】特公平48-002343号公報
【特許文献9】特許第5034896号公報
【特許文献10】特開平07-241185号公報
【特許文献11】特公平52-022463号公報
【特許文献12】特開2005-065690号公報
【特許文献13】特開平52-013158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、通電加熱を利用した解凍装置では、例えば、大きな塊の凍結食材を常温で解凍すると、凍結食材の内部よりも表面部分の方が速く温度上昇して、凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させることができない場合があった。特に畜肉および魚介類などの凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させることができなければ、ドリップを発生させる原因となる。
【0016】
出願人が研究を重ねた結果、摂氏ゼロ℃よりも高い温度の環境下に凍結食材が置かれると、環境温度によって凍結食材の表面部分が解凍され、凍結食材の内部のインピーダンスよりも凍結食材の表面部分のインピーダンスが小さくなることで、内部よりもインピーダンスの小さい表面部分に多くの電流が流れてしまうことが原因であることが分かった。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みて、通電加熱を利用した凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法において、さらに凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させることを目的とする。また本発明は、上記課題に鑑みて、通電加熱を利用した凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法において、さらに凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させて、畜肉および魚介類などの凍結食材を解凍する際に凍結食材からドリップが発生するのをより抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の凍結食材解凍装置は、電源と、前記電源に接続した一対の電極を備え、前記一対の電極の間に配置した凍結食材を通電加熱で解凍する凍結食材解凍装置において、前記凍結食材の周囲の温度を解凍前の前記凍結食材の温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する冷却装置を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の凍結食材解凍方法は、凍結食材を通電加熱によって解凍する凍結食材解凍方法において、前記凍結食材の周囲の温度を解凍前の前記凍結食材の温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度にした状態で前記凍結食材を通電加熱によって解凍することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法は、通電加熱を利用する凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法において、さらに凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させることを可能にする。また本発明の凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法は、通電加熱を利用する凍結食材解凍装置において、さらに凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させて、畜肉および魚介類などの凍結食材を解凍する際に凍結食材からドリップが発生するのをより抑えることを可能する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の凍結食材解凍装置の実施の形態を示す模式図である。
【
図3】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図5】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図7】本発明の凍結食材解凍装置の実施の形態を示す模式図である。
【
図8】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図9】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図11】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図12】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図13】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図14】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【
図16】本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の凍結食材解凍装置を
図1から
図16で模式的に示された実施の形態を用いて説明する。
図1は、本発明の凍結食材解凍装置の実施の形態を示す模式図である。
図2は、
図1のA-A矢視断面の模式図である。
図3は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図4は、
図3のB-B矢視断面の模式図である。
図5は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図6は、
図5のC-C矢視断面の模式図である。
図7は、本発明の凍結食材解凍装置の実施の形態を示す模式図である。
図8は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図9は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図10は、
図9のD-D矢視断面の模式図である。
図11は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図12は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図13は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図14は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図15は、
図14のE-E矢視断面の模式図である。
図16は、本発明の凍結食材解凍装置の別の実施の形態を示す模式図である。
【0023】
本発明の凍結食材解凍装置1は、電源2と、電源2に接続した一対の電極3を備え、一対の電極3の間に配置した凍結食材Fを通電加熱で解凍する凍結食材解凍装置1において、凍結食材Fの周囲の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する冷却装置4を備えている。また本発明の凍結食材解凍方法は、凍結食材Fを通電加熱によって解凍する凍結食材解凍方法において、凍結食材Fの周囲の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度にした状態で凍結食材Fを通電加熱によって解凍する。
【0024】
電源2は、一対の電極3と接続されている。凍結食材Fに付与する電圧を可能な限り大きくすれば、凍結食材Fは、短い時間で解凍される。電源2は、直流電源または交流電源である。電源2は、好ましくは、交流電源である。交流電源の場合、交流電圧の周波数を高くすれば、凍結食材Fのインピーダンスが下がり、電流が流れやすくなるので、解凍効率が上がり解凍時間を短くすることができる。交流電圧の周波数は、50Hz以上200kHz以下がよい。交流電源は、高周波電源でもよい。また交流電源は、直流電源とインバータで構成されてもよい。インバータは、直流電圧を所望の周波数および所望の電圧の交流電圧に変換する装置である。また交流電源は、トランス等の変圧器を備えて、当該変圧器で凍結食材Fに付与する交流電圧の大きさを調整可能に構成してもよい。0V以上400V以下の範囲内で変圧可能な変圧器を備えれば、凍結食材Fに付与する交流電圧の大きさを当該範囲内で設定可能になる。また直流電源又は交流電源は、絶縁トランス等の変圧器を備えて、非接地回路を構成しても良い。
【0025】
一対の電極3は、電源2に接続して、凍結食材Fを通電加熱する。一対の電極3の間に凍結食材Fを配置する。通電加熱の際に流れる電流は、まず一方の電極3、つぎに凍結食材F、最後に他方の電極3の順に流れる。また一対の電極3は、板形状、フック形状、クリップ形状などでもよい。また一対の電極3を構成する一方の電極と他方の電極は、どちらも同じ形状でもよいし、互いに異なる形状であってもよい。
【0026】
例えば、一対の電極3と凍結食材Fは、以下のような構成によって導通する。一対の電極3と凍結食材Fは、直接接触させて導通させる場合がある。また、一対の電極3と凍結食材Fは、表面に凹凸がある凍結食材Fと一対の電極3との接触面積をより大きくするために、一対の電極3と凍結食材Fの間に挟み込んだ導電性かつ可撓性を有する接続部材3aによって導通させる場合がある。また、一対の電極3と凍結食材Fは、表面に凹凸がある凍結食材Fと一対の電極3との接触面積をより大きくするために、一対の電極3と凍結食材Fの間に導電性を有する液体Lを介在させて導通させる場合がある。その他にも、一対の電極3と凍結食材Fは、それらが直接接触した状態またはそれらの間に前述の接続部材3aを挟み込んだ状態で、絶縁された容器等に貯留した導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬して導通させるようにしてもよい。なお、浸漬とは、液体の中に物体の一部または全部を入れた状態のことである。
【0027】
導電性かつ可撓性を有する接続部材3aは、一対の電極3における凍結食材Fに対面する面に取り付けられている。接続部材3aは、凍結食材Fに接触して一対の電極3と凍結食材Fを導通するとともに耐寒温度が解凍前の凍結食材Fの温度よりも低い材料で構成されている。耐寒温度は、接続部材3aが所望の可撓性を維持することが可能な最低温度である。例えば、接続部材3aは、可撓性かつ吸水性を有する多孔質体と、多孔質体にしみ込ませた導電性を有する液体Lとで構成するとよい。多孔質体は、耐寒温度が解凍前の凍結食材Fの温度よりも低い材料で形成されている。多孔質体は、例えば、発砲体である。発砲体は、連続する気泡が形成されているとよい。連続する気泡は、1つ1つの気泡が他の気泡とつながっている構造のことであり、導電性を有する液体Lの吸水および通電を可能にする。発砲体は、例えば、連続する気泡が形成されているスポンジである。また導電性を有する液体Lは、一対の電極3と凍結食材Fを導通するとともに凝固点が解凍前の凍結食材Fの温度よりも低い液体である。これは、導電性を有する液体Lが凍るのを抑制するためである。解凍前の凍結食材Fの温度が例えば摂氏マイナス20℃であれば、導電性を有する液体Lは、例えば、凝固点が摂氏マイナス30℃のアルコール塩水を採用できる。接続部材3aは、導電性かつ可撓性を有することができれば、その他の部材および構成を採用してもよい。
【0028】
また、一対の電極3を凍結食材Fから離して配置した状態で、絶縁された容器等に貯留した導電性を有する液体Lの中に一対の電極3の少なくとも一部と凍結食材Fの全部とを浸漬することでも一対の電極3と凍結食材Fを導通させることができる。また、前述したように、一対の電極3と凍結食材Fを直接接触した状態または一対の電極3と凍結食材Fの間に接続部材3aを挟み込んだ状態で、絶縁された容器等に貯留した導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬して導通させるようにしてもよい。前述のように導電性を有する液体Lは、一対の電極3と凍結食材Fを導通するとともに凝固点が解凍前の凍結食材Fの温度よりも低い液体である。これは、導電性を有する液体Lが凍るのを抑制するためである。解凍前の凍結食材Fの温度が例えば摂氏マイナス20℃であれば、導電性を有する液体Lは、例えば、凝固点が摂氏マイナス30℃のアルコール塩水を採用できる。なお、前述した各状態のようにして導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬する場合において、冷却装置4は、導電性を有する液体Lを冷却することになる。導電性を有する液体Lを冷却する場合の説明は、後で説明する。
【0029】
また、前述した各状態のようにして導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬する場合において、導電性を有する液体Lは、凍結食材Fと同等の導電率の液体または凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよく、さらに好ましくは凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよい。また、前述した各状態のようにして導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬する場合において、導電性を有する液体Lは、例えば、解凍前の凍結食材Fと同等の導電率の液体または解凍前の凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよく、さらに好ましくは解凍前の凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよい。これにより、凍結食材Fの導電率よりも凍結食材Fを浸漬するための導電性を有する液体Lの導電率が高いことが原因で凍結食材Fよりも導電性を有する液体Lに多くの電流が流れてしまうことを抑制することができる。またこれにより、凍結食材Fよりも導電性を有する液体Lに多くの電流が流れてしまうことが原因で、例えば、解凍時間が長くなることを抑制することができる。
【0030】
冷却装置4は、凍結食材Fの周囲の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する。所定の温度は、例えば、通電加熱による解凍を行っている最中は、解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の範囲のうちの1つの所定の温度を維持するとよい。解凍前の凍結食材Fの温度が摂氏マイナス20℃であれば、例えば、冷却装置4は、通電加熱による解凍を行っている最中において、例えば、所定の温度を摂氏マイナス20℃に維持、摂氏マイナス15℃に維持、摂氏マイナス10℃に維持、摂氏マイナス5℃に維持、または摂氏ゼロ℃に維持などのようにするとよい。所定の温度は、解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下であって、凍結食材Fを解凍したい温度以下、すなわち所望する解凍温度以下に設定されるとよい。畜肉および魚介類などの凍結食材Fは、摂氏マイナス5℃以上摂氏ゼロ℃以下でも包丁などでカット可能な硬さになる。例えば、解凍前の凍結食材Fの温度が摂氏マイナス20℃であり、所望する解凍温度が摂氏マイナス5℃であれば、所定の温度は、摂氏マイナス20℃以上摂氏マイナス5℃以下に設定されるとよい。
【0031】
例えば
図1および
図2に示すように、冷却装置4は、凍結食材Fの周囲に配置した冷気吹き出し口4aから解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却した冷気を凍結食材Fの周囲に直接供給する。冷却装置4は、各種冷却方式を採用することができる。例えば、冷却装置4は、後述するような一般的な圧縮方式を採用し、不図示の蒸発器が周囲から熱を吸収することを利用して冷却した冷気を冷気吹き出し口4aから供給するように構成してもよい。冷却装置4は、単に冷気を供給するだけでもよい。また、冷却装置4は、不図示の冷気回収口を設けて、冷気回収口から回収した冷気を再び冷却したあと冷気吹き出し口4aから再び供給するように構成してもよい。
【0032】
冷気吹き出し口4aは、一対の電極3と凍結食材Fの表面とが接触している部分を除く凍結食材Fの表面の近傍に配置されている。一対の電極3と凍結食材Fとが接続部材3aで接続されている場合は、冷気吹き出し口4aは、接続部材3aと凍結食材Fの表面とが接触している部分を除く凍結食材Fの表面の近傍に配置されているとよい。このとき、冷気吹き出し口4aは、接続部材3aと凍結食材Fの表面とが接触している部分を除く凍結食材Fの表面に向かって冷気を吹き付けるように配置されていてもよい。
【0033】
また、前述のような配置に加えて、冷気吹き出し口4aを一対の電極3における凍結食材Fまたは接続部材3aに接触する面の反対側の面の近傍にも配置してもよい。一対の電極3における凍結食材Fまたは接続部材3aに接触する面の反対側の面の近傍に配置した冷気吹き出し口4aは、一対の電極3における凍結食材Fまたは接続部材3aに接触する面の反対側の面に向かって冷気を吹き付けるように配置されていてもよい。
【0034】
また例えば
図3および
図4に示すように、冷却装置4は、凍結食材Fの周囲に配置した冷却部材4bを備えている。冷却部材4bは、凍結食材Fの周囲の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する。例えば、冷却装置4は、冷却部材4bに冷却媒体を循環させることで冷却部材4bおよび冷却部材4bの周囲を冷却する。冷却装置4は、冷却部材4bをその他の構成および方法によって冷却してもよい。
【0035】
例えば、冷却装置4は、一般的な圧縮方式を採用してもよい。圧縮方式の冷却装置4は、不図示の圧縮機と、不図示の凝縮器と、不図示の減圧器と、蒸発器とを備えている。ここで、蒸発器は、冷却装置4に備える冷却部材4bである。冷却媒体は、圧縮機、凝縮器、減圧器および冷却部材4bの順に流れ、再び圧縮機に戻ることを繰り返す。圧縮機は、冷却部材4bから送られてきた冷却媒体を圧縮して冷却媒体を高温かつ高圧の気体にする。凝縮器は、圧縮機から送られてきた冷却媒体の熱を放熱して冷却媒体を中温かつ高圧の液体にする。減圧器は、凝縮器から送られてきた冷却媒体の圧力を減圧して冷却媒体を低温かつ低圧の液体にする。冷却部材4bは、減圧器から送られてきた冷却媒体が内部で蒸発することで冷却媒体を低温かつ低圧の気体にする。冷却部材4bの中で冷却媒体が気化する際に、冷却部材4bの周囲の熱を吸収することで、冷却部材4bおよび冷却部材4bの周囲を冷却することができる。冷却部材4bの中の冷却媒体は、再び圧縮機に戻される。
【0036】
また圧縮方式の冷却装置4は、冷却部材4bと蒸発器を別々に備えてもよい。このとき、圧縮機、凝縮器、減圧器および蒸発器には、一次冷却媒体が循環する。一次冷却媒体が蒸発器の中で気化する際に、蒸発器の周囲の熱を吸収することを利用して二次冷却媒体を冷却する。冷却装置4と冷却部材4bの間は、蒸発器の周囲を通過することで冷却された二次冷却媒体を循環させる。このときの二次冷却媒体が冷却部材4bおよび冷却部材4bの周囲を冷却する冷却媒体である。なお、二次冷却媒体は、所望する温度に冷却されても流動可能な気体または液体である。
【0037】
冷却部材4bは、内部空間と、内部空間に冷却媒体を供給する供給口40aと、内部空間から冷却媒体を排出する排出口40bとが形成されている。冷却装置4は、冷却部材4bの供給口40aと排出口40bに接続されていて、一方で供給口40aを通して冷却部材4bの中に冷却媒体を供給して、他方で冷却部材4bの中から排出口40bを通して排出される冷却媒体を回収する。こうして冷却装置4は、冷却部材4bから回収した冷却媒体を再び冷却部材4bに供給するようにして、冷却部材4bに冷却媒体を循環させる。冷却部材4bは、一端を供給口40aとし、他端を排出口40bとした配管を利用してもよい。
【0038】
ここで
図3および
図4に示す実施の形態では、一対の電極3と凍結食材Fとが接続部材3aで接続されているので、冷却部材4bは、接続部材3aと凍結食材Fの表面とが接触している部分を除く凍結食材Fの表面の近傍に配置されている。一対の電極3と凍結食材Fとが直接接触している場合は、冷却部材4bは、一対の電極3と凍結食材Fの表面とが直接接触している部分を除く凍結食材Fの表面の近傍に配置されているとよい。また、冷却部材4bは、前述のような配置に加えて、一対の電極3における凍結食材Fまたは接続部材3aに接触する面の反対側の面の近傍に配置されていてもよい。
【0039】
また例えば
図5および
図6に示すように、冷却部材4bは、一対の電極3と凍結食材Fの表面とが接触している部分を除く凍結食材Fの表面に直接接触させてもよい。このとき冷却部材4bは、少なくとも凍結食材Fと接触する部分を絶縁体で構成する。また、一対の電極3と凍結食材Fとが接続部材3aで接続されている場合は、冷却部材4bは、接続部材3aと凍結食材Fの表面とが接触している部分を除く凍結食材Fの表面に直接接触させてもよい。このときも冷却部材4bは、少なくとも接続部材3aと接触する部分を絶縁体で構成する。また、冷却部材4bは、前述のような配置に加えて、一対の電極3における凍結食材Fまたは接続部材3aに接触する面の反対側の面にも取り付けられていてもよい。このときも冷却部材4bは、少なくとも一対の電極3と接触する部分を絶縁体で構成する。
【0040】
さらに具体的に本発明の凍結食材解凍装置1をいくつかの実施の形態を例にして説明する。
【0041】
図7に示す凍結食材解凍装置1は、電源2と、一対の電極3と、冷却装置4と、解凍庫5と、支持台6と、庫内温度検出装置7と、電極移動装置8と、制御装置9を備えている。
【0042】
解凍庫5は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを庫内に収容する。また、解凍庫5には、庫内に連通する給気口5aと排気口5bが形成されているとともに庫内に気体が満たされている。気体は、例えば、空気である。解凍庫5を設けることによって冷却装置4による冷却の効率を高めることができる。例えば、解凍庫5は、庫内を形成する部材に断熱材を採用することで冷却装置4による冷却の効率を高めることができる。また例えば、解凍庫5は、周囲を断熱材で覆うことでも冷却装置4による冷却の効率を高めることができる。解凍庫5は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体で適宜構成するとよい。解凍庫5は、側面に凍結食材Fを庫内に出し入れする不図示の開閉扉を有する。開閉扉は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体で適宜構成するとよい。凍結食材Fは、解凍庫5の庫内で支持台6の上に置かれている。支持台6は、少なくとも凍結食材Fに接触する部分を絶縁体で構成する。支持台6は、全体を絶縁体で構成してもよい。支持台6は、凍結食材Fを載せる不図示のテーブルと、テーブルを支持する不図示の脚部とで構成されてもよい。
【0043】
一対の電極3は、凍結食材Fに直接接触して導通している。一対の電極3は、電極移動装置8によって凍結食材Fに対して離接可能に庫内で移動することができる。例えば、電極移動装置8は、電動機または流体圧シリンダ等の各種の駆動源8aと、電極3が取り付けられているとともに駆動源8aによって移動する移動部材8bとで構成されている。解凍庫5の貫通孔と当該貫通孔を貫通して移動自在に取り付けられる移動部材8bとの間は、不図示のシール部材によってシールされているとよい。
【0044】
庫内温度検出装置7は、解凍庫5の庫内の温度を検出して制御装置9に庫内温度を示す信号を出力する。
【0045】
制御装置9は、庫内温度検出装置7と、冷却装置4に少なくとも接続されている。制御装置9は、予め設定された凍結食材Fの周囲の所定の温度を示す設定温度が入力され、庫内温度検出装置7が検出した庫内温度に基づき冷却装置4を制御する。制御装置9は、電源2および電極移動装置8にも接続して、凍結食材解凍装置1の全体を制御するように構成してもよい。
【0046】
冷却装置4は、解凍庫5の庫内の気体の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却するために給気口5aから解凍庫5の庫内に冷気を供給する。このとき解凍庫5の庫内から溢れた気体は、排気口5bから排出される。好ましくは、冷却装置4は、給気口5aと排気口5bに接続して、解凍庫5の庫内との間で気体を循環させながら解凍庫5の庫内の気体の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却するように構成すると冷却効率が良くなる。また給気口5aは、解凍庫5の庫内に不図示の配管を設けて、凍結食材Fの表面の近傍に冷気を供給するように配置してもよい。冷却装置4は、各種冷却方式を採用することができる。例えば、冷却装置4は、前述した一般的な圧縮方式を採用し、蒸発器が周囲から熱を吸収することを利用して冷却した冷気を給気口5aから解凍庫5の庫内に供給するように構成してもよい。また、排気口5bから回収した冷気を蒸発器の周囲を通過させることで再び冷却したあと給気口5aから庫内に再び供給するように構成してもよい。
【0047】
図8に示す凍結食材解凍装置1は、前述の
図7に示す冷却装置4とは異なる構成を示す。冷却装置4は、解凍庫5の庫内において一対の電極3および凍結食材Fに接触しない位置に取り付けた冷却部材4bを備える。冷却装置4は、解凍庫5の庫内の冷却部材4bに冷却媒体を循環させることで冷却部材4bを冷却して、解凍庫5の庫内の気体の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する。なお、冷却装置4は、各種冷却方式を採用することができる。例えば、冷却装置4は、前述した一般的な圧縮方式を採用してもよい。
【0048】
例えば、冷却部材4bは、解凍庫5の庫内であって、かつ当該庫内を形成する面に取り付けることが可能である。解凍庫5の庫内は、当該庫内に設けた冷却部材4bによって冷却される。また冷却部材4bは、凍結食材Fの表面の近傍に配置してもよい。また冷却部材4bは、凍結食材Fの表面に直接接触させてもよい。冷却部材4bを凍結食材Fの表面に接触させる場合は、冷却部材4bにおける少なくとも凍結食材Fと接触する部分を絶縁体で構成する。
【0049】
その他にも、冷却部材4bは、解凍庫5の庫内を構成する側壁部、底面部および天井部のうちの必要な個所に内蔵してもよい。また、冷却部材4bは、解凍庫5を構成する側壁部、底面部および天井部のうちの必要な個所を2重構造にして、当該2重構造の間に冷却媒体を循環させるための空間を形成するようにした構成であってもよい。また、冷却部材4bは、後で説明する
図9および
図10に示すように、解凍庫5の庫内を形成する容器51を当該解凍庫5の筐体53の中に収容して、当該筐体53の内側と当該容器51の外側との間に冷却媒体を循環させるための空間を形成するようにした構成であってもよい。冷却媒体を循環させるための空間は、冷却配管によって構成されてもよい。つまりは、解凍庫5の庫内は、庫外に設けた冷却部材4bによって冷却されてもよい。
【0050】
図9および
図10に示す凍結食材解凍装置1は、前述の
図7および
図8に示す解凍庫5および冷却装置4とは異なる構成を示す。また、
図9に示す電源2は、絶縁トランス等の変圧器を備えた非接地回路で構成された交流電源の場合を示す。
【0051】
解凍庫5は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを庫内に収容する。解凍庫5は、例えば、電極3、凍結食材Fを収容する容器51と、容器51を収容する筐体53とで構成されている。このとき、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間には、冷却媒体を循環させるための空間が形成されている。また、容器51の内部空間が解凍庫5の庫内である。解凍庫5は、例えば、上面または側面に凍結食材Fを庫内に出し入れするための不図示の開閉扉を有する。
【0052】
筐体53は、収容した容器51との間に形成された空間に冷却媒体を供給するための供給口53aと、当該空間から冷却媒体を排出するための排出口53bとが形成されている。供給口53aと排出口53bは、後述する冷却装置4にそれぞれ接続されている。したがって、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に形成された空間と、筐体53に形成された供給口53aおよび排出口53bと、で冷却部材4bを構成している。筐体53は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体によって適宜構成するとよい。筐体53は、冷却媒体による冷却効率を高めるために断熱材を備えてもよい。
【0053】
容器51は、例えば、筐体53の中で支持台60の上に設置されている。支持台60によって容器51の外側の底面と筐体53の内側の底面との間にも冷却媒体が循環できる空間が形成可能である。容器51は、支持台60に替えて底面から下に延びる不図示の脚部を備えてもよい。支持台60または脚部は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体によって適宜構成するとよい。なお、容器51を筐体53の中に設置する手段は、支持台60に限定されず、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に空間を形成することが可能であれば、その他の手段を採用することができる。
【0054】
容器51は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを収容する。また、容器51は、気体で満たされている。気体は、例えば、空気である。容器51は、不図示の開閉扉を開くことで凍結食材Fを出し入れすることができる。容器51は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体で適宜構成するとよい。容器51は、周囲を循環する冷却媒体によって容器51の中を冷却可能な熱伝導率を有する材料で形成されている。凍結食材Fは、容器51の中で支持台6の上に置かれている。支持台6は、少なくとも凍結食材Fに接触する部分を絶縁体で構成する。支持台6は、全体を絶縁体で構成してもよい。支持台6は、凍結食材Fを載せる不図示のテーブルと、テーブルを支持する不図示の脚部とで構成されてもよい。
【0055】
不図示の開閉扉を閉じることで容器51の内部空間は、閉鎖空間になる。また、開閉扉を閉じることで前述の冷却媒体を循環させるための空間は、供給口53aからの冷却媒体の供給および排出口53bからの冷却媒体の排出のみが可能な閉鎖空間になる。開閉扉は、内部に冷却媒体を循環可能に構成することができる。開閉扉は、例えば、冷却部材4bを備えてもよい。このとき、開閉扉は、容器51の内部に露出する面を冷却媒体によって容器51の中を冷却可能な熱伝導率を有する材料で形成するとよい。また、開閉扉は、冷却媒体による冷却効率を高めるために、筐体53の外部に露出する面に断熱材を備えてもよい。また、開閉扉は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体で適宜構成するとよい。
【0056】
一対の電極3は、凍結食材Fに直接接触して導通している。一対の電極3は、電極移動装置8によって凍結食材Fに対して離接可能に容器51の中を移動することができる。例えば、電極移動装置8は、電動機または流体圧シリンダ等の各種の駆動源8aと、電極3が取り付けられているとともに駆動源8aによって移動する移動部材8bとで構成されている。解凍庫5の筐体53および容器51のそれぞれに形成されている貫通孔と、それらの貫通孔を貫通して移動自在に取り付けられる移動部材8bと、の間は、不図示のシール部材によってそれぞれシールされているとよい。
【0057】
庫内温度検出装置7は、解凍庫5の庫内である容器51の中の温度を検出して制御装置9に庫内温度を示す信号を出力する。
【0058】
制御装置9は、庫内温度検出装置7と、冷却装置4に少なくとも接続されている。制御装置9は、予め設定された凍結食材Fの周囲の所定の温度を示す設定温度が入力され、庫内温度検出装置7が検出した庫内温度に基づき冷却装置4を制御する。制御装置9は、電源2および電極移動装置8にも接続して、凍結食材解凍装置1の全体を制御するように構成してもよい。
【0059】
冷却装置4は、筐体53の供給口53aと排出口53bにそれぞれ接続して、供給口53aを通して容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に形成された空間に冷却媒体を供給するとともに当該空間から排出口53bを通して排出される冷却媒体を収容する。冷却装置4は、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に形成された空間に冷却媒体を循環させることで容器51の中を容器51の周囲から冷却して、容器51の中の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する。なお、冷却装置4は、各種冷却方式を採用することができる。例えば、冷却装置4は、前述した一般的な圧縮方式を採用してもよい。
【0060】
図11に示す凍結食材解凍装置1は、前述の
図7に示す一対の電極3に前述の接続部材3aを取り付けて、一対の電極3と凍結食材Fを導通させた場合の構成を示す。
【0061】
図12に示す凍結食材解凍装置1は、前述の
図8に示す一対の電極3に前述の接続部材3aを取り付けて、一対の電極3と凍結食材Fを導通させた場合の構成を示す。
【0062】
図13に示す凍結食材解凍装置1は、前述の
図9に示す一対の電極3に前述の接続部材3aを取り付けて、一対の電極3と凍結食材Fを導通させた場合の構成を示す。
【0063】
図14および
図15に示す凍結食材解凍装置1は、電源2と、一対の電極3と、冷却装置4と、解凍庫5と、支持台6と、庫内温度検出装置7と、制御装置9を備えている。
図14に示す電源2は、絶縁トランス等の変圧器を備えた非接地回路で構成された交流電源の場合を示す。
【0064】
解凍庫5は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを庫内に収容するとともに一対の電極3の少なくとも一部および凍結食材Fの全部を浸漬させるための導電性を有する液体Lも庫内に収容する。解凍庫5は、例えば、電極3、凍結食材Fおよび液体Lを収容する容器51と、容器51の上部の開口を覆う蓋部材52と、容器51の上部以外の部分を収容する筐体53とで構成されている。このとき、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間には、冷却媒体を循環させるための空間が形成されている。また、筐体53の上部の開口は、容器51の上部が嵌ることで閉塞される大きさに形成されている。また、容器51の内部空間が解凍庫5の庫内である。容器51の上部の開口を蓋部材52で閉じることにより、解凍庫5の庫内は、閉じられた空間となる。
【0065】
筐体53は、収容した容器51との間に形成された空間に冷却媒体を供給するための供給口53aと、当該空間から冷却媒体を排出するための排出口53bとが形成されている。供給口53aと排出口53bは、後述する冷却装置4にそれぞれ接続されている。したがって、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に形成された空間と、筐体53に形成された供給口53aおよび排出口53bと、で冷却部材4bを構成している。筐体53は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体によって適宜構成するとよい。筐体53は、冷却媒体による冷却効率を高めるために断熱材を備えてもよい。
【0066】
容器51は、例えば、筐体53の中で支持台60の上に設置かれている。支持台60によって容器51の外側の底面と筐体53の内側の底面の間にも冷却媒体が循環できる空間が形成可能である。容器51は、支持台60に替えて底面から下に延びる不図示の脚部を備えてもよい。支持台60または脚部は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体によって適宜構成するとよい。なお、容器51を筐体53の中に設置する手段は、支持台60に限定されず、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に空間を形成することが可能であれば、その他の手段を採用することができる。
【0067】
容器51は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを収容するとともに少なくとも一対の電極の一部および凍結食材Fの全部が浸漬するまで供給される導電性を有する液体Lを収容する。容器51は、上方の開口から凍結食材Fを出し入れすることができる。容器51は、一対の電極3および導電性を有する液体Lと接触する部分などのように通電する箇所と接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。容器51は、周囲を循環する冷却媒体によって容器51の中を冷却可能な熱伝導率を有する材料で形成されている。凍結食材Fは、容器51の中で支持台6の上に置かれている。支持台6は、凍結食材Fの表面に接触する部分および導電性を有する液体Lに接触する部分などのように通電する箇所と接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。
【0068】
蓋部材52は、容器51の上部の開口を開閉する。蓋部材52は、断熱材を備えてもよい。また、蓋部材52は、冷却部材4bを備えてもよい。また、蓋部材52は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体によって構成するとよい。
【0069】
前述のように導電性を有する液体Lは、一対の電極3と凍結食材Fを導通するとともに凝固点が解凍前の凍結食材Fの温度よりも低い液体である。解凍前の凍結食材Fの温度が例えば摂氏マイナス20℃であれば、導電性を有する液体Lは、例えば、凝固点が摂氏マイナス30℃のアルコール塩水を採用できる。また、前述したように導電性を有する液体Lは、凍結食材Fと同等の導電率の液体または凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよく、さらに好ましくは凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよい。また、前述したように導電性を有する液体Lは、例えば、解凍前の凍結食材Fと同等の導電率の液体または解凍前の凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよく、さらに好ましくは解凍前の凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよい。
【0070】
一対の電極3は、凍結食材Fから離して配置されている。例えば、
図14および
図15に示すように、一対の電極3は、容器51の内壁に互いに対面するように取り付けられている。凍結食材Fは、一対の電極3の間に一対の電極3に接触しない位置に置かれている。なお、図示は省略するが、凍結食材解凍装置1は、前述したように一対の電極3と凍結食材Fを直接接触した状態または一対の電極3と凍結食材Fの間に接続部材3aを挟み込んだ状態で、容器51に貯留した導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬して導通させるように構成してもよい。
【0071】
庫内温度検出装置7は、容器51内の導電性を有する液体Lの温度を検出して制御装置9に庫内温度を示す信号を出力する。庫内温度検出装置7は、直接接触して導電性を有する液体Lの温度を検出する場合には、導電性を有する液体Lと接触する部分を絶縁体で構成する。また庫内温度検出装置7は、非接触方式の温度センサを利用してもよい。
図14の庫内温度検出装置7は、容器51内の導電性を有する液体Lの上方に取り付けられた非接触方式の温度センサで構成されている。
【0072】
制御装置9は、庫内温度検出装置7と、冷却装置4に少なくとも接続されている。制御装置9は、予め設定された凍結食材Fの周囲の所定の温度を示す設定温度が入力され、庫内温度検出装置7が検出した庫内温度、ここでは容器51内の導電性を有する液体Lの温度にも基づき冷却装置4を制御する。制御装置9は、電源2にも接続して、凍結食材解凍装置1の全体を制御するように構成してもよい。
【0073】
冷却装置4は、筐体53の供給口53aと排出口53bにそれぞれ接続して、供給口53aを通して容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に形成された空間に冷却媒体を供給するとともに当該空間から排出口53bを通して排出される冷却媒体を収容する。冷却装置4は、容器51における外側の面と筐体53における内側の面との間に形成された空間に冷却媒体を循環させることで容器51の中を容器51の周囲から冷却して、容器51内の導電性を有する液体Lの温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する。なお、冷却装置4は、各種冷却方式を採用することができる。例えば、冷却装置4は、前述した一般的な圧縮方式を採用してもよい。
【0074】
図16に示す凍結食材解凍装置1は、電源2と、一対の電極3と、冷却装置4と、解凍庫5と、支持台6と、庫内温度検出装置7と、制御装置9を備えている。
図16に示す電源2は、絶縁トランス等の変圧器を備えた非接地回路で構成された交流電源の場合を示す。
【0075】
解凍庫5は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを庫内に収容するとともに少なくとも一対の電極の一部および凍結食材Fの全部を浸漬させるための導電性を有する液体Lも庫内に収容する。解凍庫5は、例えば、電極3、凍結食材Fおよび液体Lを収容する容器51と、容器51の上部の開口を覆う蓋部材52と、で構成されている。
【0076】
容器51は、少なくとも一対の電極3と凍結食材Fを収容するとともに一対の電極の少なくとも一部および凍結食材Fの全部が浸漬するまで供給される導電性を有する液体Lを収容する。容器51の上部の開口は、凍結食材Fを出し入れすることができる。容器51は、一対の電極3および導電性を有する液体Lと接触する部分などのように通電する箇所と接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。凍結食材Fは、容器51の中で支持台6の上に置かれている。支持台6は、凍結食材Fの表面に接触する部分および導電性を有する液体Lに接触する部分などのように通電する箇所と接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。
【0077】
蓋部材52は、容器51の上部の開口を開閉する。蓋部材52は、断熱材を備えてもよい。また、蓋部材52は、冷却部材4bを備えてもよい。また、蓋部材52は、絶縁が必要な部分または全部を絶縁体によって適宜構成するとよい。
【0078】
前述のように導電性を有する液体Lは、一対の電極3と凍結食材Fを導通するとともに凝固点が解凍前の凍結食材Fの温度よりも低い液体である。例えば、解凍前の凍結食材Fの温度が摂氏マイナス20℃であれば、導電性を有する液体Lは、凝固点が摂氏マイナス30℃のアルコール塩水を採用できる。また、前述したように導電性を有する液体Lは、凍結食材Fと同等の導電率の液体または凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよく、さらに好ましくは凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよい。また、前述したように導電性を有する液体Lは、例えば、解凍前の凍結食材Fと同等の導電率の液体または解凍前の凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよく、さらに好ましくは解凍前の凍結食材Fよりも低い導電率の液体であるとよい。
【0079】
一対の電極3は、凍結食材Fから離して配置されている。例えば、
図16に示すように、一対の電極3は、容器51の内壁に互いに対面するように取り付けられている。凍結食材Fは、一対の電極3の間に一対の電極3に接触しない位置に置かれている。なお、図示は省略するが、凍結食材解凍装置1は、前述したように一対の電極3と凍結食材Fを直接接触した状態または一対の電極3と凍結食材Fの間に接続部材3aを挟み込んだ状態で、容器51に貯留した導電性を有する液体Lの中に凍結食材Fの全部を浸漬して導通させるように構成してもよい。
【0080】
庫内温度検出装置7は、容器51内の導電性を有する液体Lの温度を検出して制御装置9に庫内温度を示す信号を出力する。庫内温度検出装置7は、直接接触して導電性を有する液体Lの温度を検出する場合には、導電性を有する液体Lと接触する部分を絶縁体で構成する。また庫内温度検出装置7は、非接触方式の温度センサを利用してもよい。
図16の庫内温度検出装置7は、容器51内の導電性を有する液体Lの上方に取り付けられた非接触方式の温度センサで構成されている。
【0081】
制御装置9は、庫内温度検出装置7と、冷却装置4に少なくとも接続されている。制御装置9は、予め設定された凍結食材Fの周囲の所定の温度を示す設定温度が入力され、庫内温度検出装置7が検出した庫内温度、ここでは容器51内の導電性を有する液体Lの温度にも基づき冷却装置4を制御する。制御装置9は、電源2にも接続して、凍結食材解凍装置1の全体を制御するように構成してもよい。
【0082】
冷却装置4は、容器51内において一対の電極3および凍結食材Fに接触しない位置に取り付けた冷却部材4bを備える。冷却部材4bは、内部空間と、内部空間に冷却媒体を供給する供給口40aと、内部空間から冷却媒体を排出する排出口40bとが形成されている。冷却装置4は、冷却部材4bの供給口40aと排出口40bに接続されていて、一方で供給口40aを通して冷却部材4bの中に冷却媒体を供給して、他方で冷却部材4bの中から排出口40bを通して排出される冷却媒体を回収する。なお、冷却装置4は、各種冷却方式を採用することができる。例えば、冷却装置4は、前述した一般的な圧縮方式を採用してもよい。
【0083】
冷却装置4は、容器51内の冷却部材4bに冷却媒体を循環させることで冷却部材4bを冷却して、容器51内の導電性を有する液体Lの温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度に冷却する。
【0084】
冷却部材4bは、一対の電極3に対面する凍結食材Fの表面を除く凍結食材Fの表面の近傍に配置してもよい。また、冷却部材4bは、一対の電極3に対面する凍結食材Fの表面を除く凍結食材Fの表面に直接接触させてもよい。
【0085】
冷却部材4bは、導電性を有する液体Lに接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。冷却部材4bは、凍結食材Fの表面に接触する場合は、凍結食材Fの表面に接触する部分および導電性を有する液体Lに接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。また冷却装置4と冷却部材4bの間で冷却媒体を給排するための配管も解凍庫5内に配置されている部分についても導電性を有する液体Lに接触する部分を絶縁体で構成するか、または全部を絶縁体で構成する。
【0086】
以上のように、本発明の凍結食材解凍装置1および凍結食材解凍方法は、凍結食材Fを通電加熱によって解凍する凍結食材解凍装置1および凍結食材解凍方法において、凍結食材Fの周囲の温度を解凍前の凍結食材Fの温度以上摂氏ゼロ℃以下の所定の温度にした状態で凍結食材Fを通電加熱によって解凍することができる。これにより、凍結食材Fを通電加熱によって解凍する場合において、凍結食材Fの表面部分が凍結食材Fの周囲の温度によって解凍が進むことで、凍結食材Fの内部のインピーダンスよりも凍結食材Fの表面部分のインピーダンスの方が小さくなり、内部よりもインピーダンスの小さい表面部分に多くの電流が流れて、内部よりも表面部分の方が速く温度上昇することを抑えることができる。したがって、本発明の凍結食材解凍装置および凍結食材解凍方法は、従来に比べてより凍結食材Fの全体をよりムラなく均一に温度上昇させることを可能にする。
【0087】
また本発明の凍結食材解凍装置1および凍結食材解凍方法は、従来に比べて、より凍結食材Fの全体をムラなく均一に温度上昇させて、畜肉および魚介類などの凍結食材Fを解凍する際に凍結食材Fからドリップが発生するのをより抑えることを可能になる。
【0088】
ちなみに、一例ではあるが、縦50ミリ、横50ミリ、高さが45ミリの大きさの鶏もも肉を摂氏マイナス15℃になるまで凍結させた凍結食材Fを摂氏マイナス5℃の解凍温度になるまで解凍する際に、凍結食材Fの周囲の温度が摂氏25度の環境下において自然解凍した場合の解凍時間は17分であったが、凍結食材Fの周囲の温度が摂氏マイナス5度の環境下において電圧200Vかつ周波数60Hzの交流電圧で通電加熱して解凍した場合の解凍時間は6分であった。また自然解凍では凍結食材の外側は周囲温度の影響を受け高い温度になったが、通電加熱を利用した解凍では凍結食材の全体をムラなく均一に温度上昇させることができ、凍結食材からドリップが発生するのを抑えることができた。
【0089】
本発明は、以上に説明されている実施の形態に限定されるものではなく、すでにいくつかの具体的な例が示されているが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、実施の形態を変形し、部材を置換し、公知の装置と組み合わせることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、凍結食材Fを通電加熱によって解凍する凍結食材解凍装置1および凍結食材解凍方法に適用できる。本発明は、凍結食材Fの全体をよりムラなく均一に温度上昇させ、例えば、畜肉および魚介類などの凍結食材Fを解凍した際にドリップの発生を抑え、解凍後の食材の食味の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 凍結食材解凍装置
2 電源
3 一対の電極
3a 接続部材
4 冷却装置
4a 冷気吹き出し口
4b 冷却部材
5 解凍庫
5a 給気口
5b 排気口
6 支持台
7 庫内温度検出装置
8 電極移動装置
8a 駆動源
8b 移動部材
9 制御装置
40a 供給口
40b 排出口
51 容器
52 蓋部材
53 筐体
53a 供給口
53b 排出口
60 支持台
F 凍結食材
L 導電性を有する液体