IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱造船株式会社の特許一覧

特開2024-42170スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法
<>
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図1
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図2
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図3
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図4
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図5
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図6
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図7
  • 特開-スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042170
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/60 20060101AFI20240321BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240321BHJP
   B63J 2/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B01D53/60 200
B01D53/92 331
B01D53/92 228
B01D53/78 ZAB
B63J2/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146688
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】高松 皆光
(72)【発明者】
【氏名】山田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA13
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA01
4D002DA36
4D002EA06
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB05
4D002GB20
(57)【要約】
【課題】吸収液の流量増加及びケーシングの容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑える。
【解決手段】スクラバー装置は、ケーシングと、ケーシング内にアンモニアを含むガスを供給可能なガス供給部と、ケーシングの外部から供給される吸収液を、ケーシング内の上部から散液可能な散液部と、ケーシングの上部からガスを放出可能なガス放出部と、ケーシングの下部から吸収液を排出可能な吸収液排出部と、ケーシングの上部からケーシングの下部にガスを循環させるガス循環ラインと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内にアンモニアを含むガスを供給可能なガス供給部と、
前記ケーシングの外部から供給される吸収液を、前記ケーシング内の上部から散液可能な散液部と、
前記ケーシングの上部からガスを放出可能なガス放出部と、
前記ケーシングの下部から吸収液を排出可能な吸収液排出部と、
前記ケーシングの上部から前記ケーシングの下部にガスを循環させるガス循環ラインと、
を備えるスクラバー装置。
【請求項2】
前記ケーシングから前記ガス放出部への前記ガスの流路を開閉する第一弁と、
前記ケーシングから前記ガス循環ラインへの前記ガスの流路を開閉する第二弁と、
前記ケーシングから前記ガス放出部に流れる前記ガスのアンモニア濃度を検出するアンモニアガス濃度計と、を更に備える
請求項1に記載のスクラバー装置。
【請求項3】
前記アンモニアガス濃度計で検出される前記ガスのアンモニア濃度に基づき、前記第一弁、及び前記第二弁の開閉を制御するガス流路制御部を更に備える
請求項2に記載のスクラバー装置。
【請求項4】
前記ガス流路制御部は、
前記アンモニアガス濃度計で検出される前記ガスのアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値を下回っている場合、前記第一弁を開くとともに、前記第二弁を閉じ、
前記アンモニアガス濃度計で検出される前記ガスのアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値以上となった場合、前記第一弁を閉じるとともに、前記第二弁を開く
請求項3に記載のスクラバー装置。
【請求項5】
前記ケーシングの下部から前記散液部を介して前記ケーシングの上部に吸収液を循環可能な吸収液循環ラインと、
前記ケーシングから前記吸収液排出部に排出される前記吸収液の流路を開閉する第三弁と、
前記ケーシングから前記吸収液循環ラインへの前記吸収液の流路を開閉する第四弁と、
前記ケーシング内の前記吸収液のアンモニア濃度を検出するアンモニア吸収液濃度計と、
を更に備える
請求項1又は2に記載のスクラバー装置。
【請求項6】
前記アンモニア吸収液濃度計で検出される前記吸収液のアンモニア濃度に基づき、前記第三弁、及び前記第四弁の開閉を制御する吸収液流路制御部を更に備える
請求項5に記載のスクラバー装置。
【請求項7】
前記吸収液流路制御部は、
前記アンモニア吸収液濃度計で検出される前記吸収液のアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値を下回っている場合、前記第三弁を閉じるとともに、前記第四弁を開き、
前記アンモニア吸収液濃度計で検出される前記吸収液のアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、前記第三弁を開くとともに、前記第四弁を閉じる
請求項6に記載のスクラバー装置。
【請求項8】
前記ケーシングの外部から前記散液部に前記吸収液を供給する吸収液供給部と、
前記吸収液供給部から前記散液部への前記吸収液の流路を開閉する第五弁を更に備え、
前記吸収液流路制御部は、前記アンモニア吸収液濃度計で検出される前記吸収液のアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、前記第五弁を開く
請求項7に記載のスクラバー装置。
【請求項9】
前記散液部により前記ケーシング内の上部から散液される前記吸収液を冷却可能な吸収液冷却部を更に備える
請求項1又は2に記載のスクラバー装置。
【請求項10】
前記ケーシングの上部から前記ガスを送り出すファンを更に備える
請求項1又は2に記載のスクラバー装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のスクラバー装置におけるガス処理方法であって、
前記ケーシング内にアンモニアを含むガスを供給しつつ、前記ケーシングの外部から供給される水を前記ケーシング内の上部から散水し、前記ケーシングの上部から前記ケーシングの下部にガスを循環させる工程と、
前記ケーシングの上部から放出される前記ガスのアンモニア濃度を検出する工程と、
検出されるアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値を下回った場合、前記ケーシングの上部から前記ケーシングの下部へのガスの循環を停止させるとともに、前記ケーシングの上部からガスを放出する工程と、を含む
スクラバー装置におけるガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアを取り扱う装置、設備等を収容する室内では、アンモニア漏洩の可能性が有る。さらに、上記アンモニアを取り扱う装置、設備等では、アンモニアと反応しない不活性ガスによるパージを行い、不活性ガスとともに残留したアンモニアを排出させる場合がある。アンモニアは、人の粘膜に作用して障害を起こす可能性が有るため、上記漏洩やパージなどにより生じたアンモニアを含む気体を、そのまま大気中に放出することはできない。
【0003】
特許文献1には、有害物質を含む気体に吸収液をスプレーすることで、有害物質を吸収液に吸収させるいわゆるスクラバー装置が記載されている。より具体的には、特許文献1には、硫黄酸化物(SOx)を除去するSOxスクラバーとして、スプレータワーと、スプレーデバイスと、を備えた船舶排ガス浄化システムが開示されている。スプレータワーは、排ガス取入口と、排ガス排出口と、を備えている。排ガス取入口は、スプレータワーの内部空間に排ガスを導入する。排ガス排出口は、スプレータワーの内部空間から精製済み排ガスを抜き取る。スプレータワーの内部空間を、排ガスの一般流が排ガス取入口から排ガス排出口へ通過する。スプレーデバイスは、スプレータワーの内部空間内で、排ガスの一般流に対向するスクラバー液流を提供する。スクラバー液流は、スプレータワーの内部空間内で、排ガスに接触することで硫黄酸化物を吸収し、排ガス中の硫黄酸化物の量を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7015794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなスクラバー装置により空気中のアンモニアを除去しようとした場合、例えば、アンモニア濃度が予期せず高まったり、スクラバー装置のスプレーに一時的な不具合が生じたりすると、十分にアンモニアを除去できない可能性が有る。また、例えば、予期せぬアンモニア濃度の高まりに対応可能にすると、スクラバー装置に供給する吸収液の量やアンモニアを吸収したアンモニア吸収液の量が増加してしまう。さらに、上記スプレーの一時的な不具合に対応可能にするには、スクラバー装置のケーシングの容量を増加させる等の対策が必要になるという課題がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、吸収液の流量増加及びケーシングの容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑えることができるスクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るスクラバー装置は、ケーシングと、ガス供給部と、散液部と、ガス放出部と、吸収液排出部と、ガス循環ラインと、を備える。前記ガス供給部は、前記ケーシング内にアンモニアを含むガスを供給可能である。前記散液部は、前記ケーシングの外部から供給される吸収液を、前記ケーシング内の上部から散液可能である。前記ガス放出部は、前記ケーシングの上部からガスを放出可能である。前記吸収液排出部は、前記ケーシングの下部から吸収液を排出可能である。前記ガス循環ラインは、前記ケーシングの上部から前記ケーシングの下部にガスを循環させる。
【0008】
本開示に係るスクラバー装置におけるガス処理方法は、上記したようなスクラバー装置におけるガス処理方法である。このスクラバー装置におけるガス処理方法は、ケーシングの下部にガスを循環させる工程と、アンモニア濃度を検出する工程と、ケーシングの上部からガスを放出する工程と、を含む。前記ケーシングの下部にガスを循環させる工程は、前記ケーシング内にアンモニアを含むガスを供給しつつ、前記ケーシングの外部から供給される水を前記ケーシング内の上部から散水し、前記ケーシングの上部から前記ケーシングの下部にガスを循環させる。前記アンモニア濃度を検出する工程は、前記ケーシングの上部から放出される前記ガスのアンモニア濃度を検出する。前記ケーシングの上部からガスを放出する工程は、検出されるアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値を下回った場合、前記ケーシングの上部から前記ケーシングの下部へのガスの循環を停止させるとともに、前記ケーシングの上部からガスを放出する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のスクラバー装置、及びスクラバー装置におけるガス処理方法によれば、吸収液の流量増加及びケーシングの容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第一実施形態に係るスクラバー装置の構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法の手順を示すフローチャートである。
図3】本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法において、ケーシングの下部にガスを循環させる工程を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法において、ケーシングの上部からガスを放出する工程を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係るスクラバー装置において、ケーシングの下部から吸収液を排出する状態を示す図である。
図6】本開示の第二実施形態に係るスクラバー装置の構成を示す図である。
図7】本開示の第二実施形態に係るスクラバー装置の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図8】本開示の第二実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係るスクラバー装置、スクラバー装置におけるガス処理方法について、図1図8を参照して説明する。
<第一実施形態>
(スクラバー装置の全体構成)
図1に示すように、この実施形態のスクラバー装置10は、アンモニアを含むガスGから、アンモニアを除去する処理を行う。このようなスクラバー装置10は、アンモニアを取り扱うアンモニア設備に設けられている。アンモニア設備としては、アンモニアを貯蔵するタンクを備えた設備、アンモニアを燃料として用いる装置を備えた設備、アンモニアが流通する流通系統を備えた設備等が例示できる。また、アンモニア設備は、陸上に設置されるものであってもよいし、各種の船舶をはじめとする、海に浮かぶ浮体に備えられていてもよい。船舶の場合、船種は、特定の船種に限られない。船舶の船種としては、液化ガス運搬船、フェリー、RORO船、自動車運搬船、客船等を例示できる。また、浮体は船舶に限られず、FSU(Floating Storage Unit)、FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)等であってもよい。
【0012】
また、スクラバー装置10は、アンモニアを取り扱うアンモニア設備から漏洩したアンモニアを含むガスや、アンモニアと反応しない不活性ガスによるパージを行い、不活性ガスとともに排出されたアンモニアを含むガス等を対象として、アンモニアを除去する。
【0013】
図1に示すように、スクラバー装置10は、ケーシング11と、ガス供給部15と、吸収液供給部25と、散液部20と、ガス放出部40と、ガス循環ライン80と、吸収液排出部50と、吸収液循環ライン90と、を少なくとも備えている。
【0014】
ケーシング11は、上下方向Dvに延びる筒状に形成されている。ケーシング11の内部空間11s(ケーシング内)の下部には、吸収液Lが貯留可能とされている。
【0015】
ガス供給部15は、ケーシング11内にアンモニアを含むガスG(以下、単にガスGと称する)を供給可能とされている。ガス供給部15は、ガス供給ライン16と、開閉弁17と、を備えている。
【0016】
ガス供給ライン16の一端は、処理対象となるガスGを発生するガス発生源(図示せず)に接続されている。ガス供給ライン16の他端16bは、ケーシング11に接続されている。他端16bは、ケーシング11の内部空間11sのうち吸収液Lの液面よりも上方の位置に開口している。
【0017】
開閉弁17は、ガス供給ライン16内の流路を開閉する。開閉弁17を開閉することで、ガス供給ライン16を通した、ケーシング11内へのガスGの供給が断続される。この第一実施形態において、ガス供給ライン16は、アンモニアを燃料とする燃焼装置の燃料供給系統を不活性ガスによりパージした際に、不活性ガスとともに送り出されるガスGを、ケーシング11の内部空間11sに供給する。
【0018】
また、ガス供給部15は、副ガス供給ライン18を備えている。副ガス供給ライン18は、例えば、廃水タンクの空気抜き管等、アンモニアガスを含む系統から、低濃度、または少量のアンモニアを含むガスGを、ケーシング11内に供給する。副ガス供給ライン18は、ケーシング11に接続されている。副ガス供給ライン18は、ケーシング11の内部空間11sのうち吸収液Lの液面よりも上方の位置に開口するよう、ケーシング11に接続されている。副ガス供給ライン18には、ケーシング11側からのガスGの逆流を防ぐ逆止弁19が設けられている場合を例示している。
【0019】
ガス供給部15のガス供給ライン16からケーシング11の内部空間11sに供給されたガスG、及び、副ガス供給ライン18から、ケーシング11の内部空間11sに供給されたガスGは、それぞれケーシング11内の内部空間11sを下部から上部に向かって上昇する。
【0020】
吸収液供給部25は、ケーシング11の外部から散液部20に吸収液Lを供給する。吸収液供給部25は、吸収液供給ライン26と、第五弁27と、ポンプ28と、を備えている。
【0021】
吸収液供給ライン26の一端は、吸収液Lの供給源(図示せず)に接続されている。吸収液Lとして、清水を用いる場合、吸収液供給ライン26の一端は、供給源としての清水タンク(図示せず)に接続されている。また、スクラバー装置10が浮体に設けられており、浮体が浮かぶ周囲の海水を吸収液として用いる場合、吸収液供給ライン26の一端は、海中に臨むように配置されている。
吸収液供給ライン26の他端26bは、ケーシング11内の内部空間11sの上部に配置された散液ノズル21に接続されている。吸収液供給ライン26の途中には、ポンプ28が設けられ、このポンプ28により散液ノズル21に、吸収液Lが供給される。
【0022】
この第一実施形態で例示する吸収液供給ライン26の途中には、散液部20によりケーシング11内の上部から散液される吸収液Lを冷却可能な吸収液冷却部29が設けられている。吸収液冷却部29は、吸収液供給ライン26内の吸収液Lを、外部の熱媒との熱交換により冷却する。吸収液冷却部29により吸収液Lが冷却されることで、吸収液Lによるアンモニアの吸収効率が高められる。
【0023】
散液部20は、吸収液供給部25から供給される吸収液Lを、ケーシング11内の上部から散液可能とされている。散液部20は、散液ノズル21を備えている。散液ノズル21は、吸収液Lを、噴射、滴下、噴霧等により、ケーシング11の内部空間11sに散液する。散液された吸収液Lは、自重により、ケーシング11の内部空間11sを下方に移動していく。吸収液Lは、ケーシング11の内部空間11sを移動する過程で、ケーシング11の内部空間11sを下部から上部に向かって上昇するガスGと接触し、ガスGに含まれるアンモニア成分を吸収する。
【0024】
ガス放出部40は、ケーシング11の上部から内部空間11sのガスGを放出可能とされている。ガス放出部40は、ガス放出ライン41と、第一弁45と、を備えている。
この第一実施形態で例示するガス放出ライン41の一端41aは、ケーシング11の頂部に接続されている。ガス放出ライン41の他端(図示せず)の接続先としては、ファンネル、ベントポスト等を例示できる。ガス放出部40は、ガスGを、例えば大気放出する。
【0025】
第一弁45は、ケーシング11からガス放出部40へのガスGの流路を開閉する。第一弁45は、ガス放出ライン41の流路を開閉する。第一弁45を開閉することで、ガス放出ライン41を通した、ケーシング11からのガスGの放出が断続される。
【0026】
ガス循環ライン80は、ケーシング11の上部からケーシング11の下部にガスGを循環させる。この第一実施形態のガス循環ライン80は、ケーシング11の上部からケーシング11の外部を通り、ケーシング11の下部にガスGを循環させている。なお、ガス循環ライン80は、ケーシング11の上部からケーシング11の内部を通り、ケーシング11の下部にガスGを循環させるようにしてもよい。
【0027】
ガス循環ライン80は、ガス循環接続管81と、第二弁85と、ファン84と、逆止弁86と、を有している。この第一実施形態のガス循環接続管81の一端81aは、ガス放出ライン41の一端41aと第一弁45との間で、ガス放出ライン41に接続されている。さらに、ガス循環接続管81の他端81bは、ガス供給ライン16の他端16bと開閉弁17との間で、ガス供給ライン16に接続されている。
【0028】
この第一実施形態で例示するガス循環ライン80は、その一部を、ガス放出ライン41、及びガス供給ライン16と共用している。具体的には、ガス循環ライン80は、ガス放出ライン41において、一端41aとガス循環接続管81の一端81aが接続された部分との間の一部区間82を、ガス放出ライン41と共用している。また、ガス循環ライン80は、ガス供給ライン16において、一端16aと、ガス循環接続管81の他端81bが接続された部分との間の一部区間83を、ガス供給ライン16と共用している。すなわち、ガス循環ライン80は、ガス放出ライン41の一部区間82と、ガス循環接続管81と、ガス供給ライン16の一部区間83と、を含んでいる。ガス循環ライン80は、ケーシング11の上部から放出されたガスGを、一部区間82、ガス循環接続管81、一部区間83を通して、ケーシング11の下部に循環させている。
【0029】
第二弁85は、ケーシング11からガス循環ライン80へのガスGの流路を開閉する。この第一実施形態において、第二弁85は、ガス循環接続管81の途中に設けられている。第二弁85を開閉することで、ガス循環接続管81内のガスGの流路が開閉される。第二弁85を開閉することで、ケーシング11から、ガス循環ライン80のガス循環接続管81へのガスGの流入が断続される。
【0030】
ファン84は、ケーシング11の上部からケーシング11の内部空間11sのガスGを吸引して送り出す。この第一実施形態のファン84は、一部区間82に設けられており、より具体的には、後述するアンモニアガス濃度計100と、ガス循環接続管81の一端81aが接続された部分との間に設けられている。なお、ファン84は、ガス循環接続管81の一端81aと第二弁85との間に設けられていてもよい。
【0031】
逆止弁86は、ガス循環接続管81の途中に設けられている。具体的には、逆止弁86は、ガス循環接続管81のうち第二弁85と他端81bとの間に設けられている。逆止弁86は、ガス循環接続管81からガス供給ライン16へのガスGの流れを許容しつつ、一部区間83側からケーシング11内のガスGの逆流を防いでいる。
【0032】
吸収液排出部50は、ケーシング11の下部からケーシング11の外部に吸収液Lを排出可能とされている。吸収液排出部50は、吸収液排出ライン51と、第三弁55と、を備えている。
【0033】
吸収液排出ライン51の一端51aは、ケーシング11の底部に接続されている。吸収液排出ライン51の他端(図示せず)は、廃液タンク(図示せず)等に接続されている。
【0034】
第三弁55は、吸収液排出ライン51の途中に設けられている。第三弁55は、ケーシング11から吸収液排出部50に排出される吸収液Lの流路を開閉する。第三弁55を開閉することで、吸収液排出ライン51を通した、ケーシング11からの吸収液Lの排出が断続される。
【0035】
吸収液循環ライン90は、ケーシング11の下部から散液部20を介してケーシング11の上部に吸収液Lを循環可能とされている。吸収液循環ライン90は、吸収液循環接続管91と、第四弁95と、を有している。吸収液循環接続管91は、吸収液Lの流通する流路を形成している。吸収液循環接続管91の一端91aは、ケーシング11の下部に接続されている。一端91aは、ケーシング11の内部空間11sに貯留された吸収液Lの液面よりも下方の位置で、ケーシング11に接続されている。吸収液循環接続管91の他端91bは、吸収液供給ライン26の第五弁27とポンプ28との間で、吸収液供給ライン26に接続されている。
【0036】
この第一実施形態で例示する吸収液循環ライン90は、その一部を、吸収液供給ライン26と共用している。具体的には、吸収液循環ライン90は、吸収液供給ライン26のうち、吸収液循環接続管91の他端91bが接続された位置と吸収液供給ライン26の他端26bとの間の一部区間92を、吸収液供給ライン26と共用している。すなわち、この第一実施形態の吸収液循環ライン90は、吸収液循環接続管91と、吸収液供給ライン26の一部区間92と、を含んでいる。吸収液循環ライン90は、ケーシング11の下部から抽出した吸収液Lを、吸収液循環接続管91、一部区間92を通して、散液部20の散液ノズル21に供給する。
【0037】
第四弁95は、ケーシング11から吸収液循環ライン90への吸収液Lの流路を開閉する。この第一実施形態の第四弁95は、吸収液循環接続管91の途中に設けられている。第四弁95を開閉することで、吸収液循環接続管91内の吸収液Lの流路が開閉される。第四弁95を開閉することで、ケーシング11の下部から、吸収液循環ライン90の吸収液循環接続管91への吸収液Lの抽出が断続される。
【0038】
この第一実施形態で例示するスクラバー装置10は、アンモニアガス濃度計100と、アンモニア吸収液濃度計200と、を更に備えている。
アンモニアガス濃度計100は、ケーシング11からガス放出部40に放出されたガスGのアンモニア濃度を検出する。この第一実施形態のアンモニアガス濃度計100は、ガス放出ライン41の一端41aと、ガス放出ライン41のうちガス循環接続管81の一端81aと接続された位置との間に設けられている。
【0039】
アンモニア吸収液濃度計200は、ケーシング11の吸収液Lのアンモニア濃度を検出する。この第一実施形態において、アンモニア吸収液濃度計200は、ケーシング11の内部空間11sの下部に貯留された吸収液Lのアンモニア濃度を検出する。
【0040】
上記第一弁45、第二弁85、第三弁55、第四弁95、及び第五弁27は、それぞれ、例えばピストン弁等の自動操作弁であり、制御盤(図示せず)等の外部から受信する信号に基づいて、開閉動作を制御可能となっている。第一弁45の弁駆動部45v、第二弁85の弁駆動部85vは、アンモニアガス濃度計100で検出されるアンモニア濃度の検出値に基づいて、それぞれの開閉動作が実行される。第三弁55の弁駆動部55v、第四弁95の弁駆動部95v、第五弁27の弁駆動部27vは、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度の検出値に基づいて、それぞれの開閉動作が実行される。この第一実施形態において、弁駆動部45v,85v,55v,95v,27vの開閉動作は、アンモニアガス濃度計100、アンモニア吸収液濃度計200の検出値を確認したオペレータにより、遠隔操作等によって実行される。
【0041】
(スクラバー装置におけるガス処理方法の手順)
図2は、本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法の手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、スクラバー装置10におけるガス処理方法S10は、ガスGを循環させる工程S11と、ガスGのアンモニア濃度を検出する工程S12と、ガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する工程S13と、ケーシング11の上部からガスGを放出する工程S14と、を含む。
【0042】
図3は、本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法において、ケーシングの下部にガスを循環させる工程を示す図である。
スクラバー装置10では、ガスGに含まれるアンモニアを除去する処理を行うべく起動後に、ガスGを循環させる工程S11を実行する。ガスGを循環させる工程S11では、図3に示すように、開閉弁17を開き、第一弁45を閉じ、第二弁85を開く。開閉弁17を開くことで、アンモニア含んだガスGが、ガス供給ライン16を通してケーシング11の内部空間11sに導入される。導入されたガスGは、ケーシング11の内部空間11sで、散液部20の散液ノズル21から散液される吸収液Lによりアンモニアが吸収される。ケーシング11の内部空間11sでアンモニアが除去されたガスGは、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環され、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触する。これにより、ガスGのアンモニア濃度が低減される。この工程では、第一弁45が閉じているので、処理中にガスGが外部に排出されることがない。したがって、スクラバー装置10が、浮体に搭載されている場合等において、動揺により、ガスGが不用意に漏出することが抑えられる。
【0043】
ガスGのアンモニア濃度を検出する工程S12では、ケーシング11の上部から放出されるガスGのアンモニア濃度を、アンモニアガス濃度計100で検出する。
【0044】
ガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する工程S13では、アンモニアガス濃度計100で検出されたガスGのアンモニア濃度が、ガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する。この判定は、オペレータが目視等により行ってもよいが、アンモニアガス濃度計100で検出されたガスGのアンモニア濃度が、ガス濃度基準値を下回った場合、アンモニアガス濃度計100の監視装置等によりアラーム信号等を出力するようにしてもよい。
【0045】
工程S13において、ガスGのアンモニア濃度が、ガス濃度基準値を下回っていないと判定された場合(工程S13でNo)、工程S11に戻る。一方で、工程S13において、ガスGのアンモニア濃度が、ガス濃度基準値を下回っていると判定された場合(工程S13でYes)、工程S14に進む。
【0046】
図4は、本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法において、ケーシングの上部からガスを放出する工程を示す図である。
ケーシング11の上部からガスGを放出する工程S14では、図4に示すように、第一弁45を開き、第二弁85を閉じる。このように第二弁85を閉じることで、ケーシング11の上部からケーシング11の下部へのガスGの循環が停止する。そして第一弁45を開くことで、ケーシング11の内部空間11sでアンモニア成分を除去されたガスGが、ケーシング11からガス放出部40に放出される。このようにして、アンモニア成分が十分に除去されたガスGのみを、ガス放出部40に放出している。
【0047】
ところで、上記したように、ガスGに含まれるアンモニアを除去する処理を行う際、スクラバー装置10では、基本的に、吸収液循環ライン90により、吸収液Lは、ケーシング11の下部から散液部20を介してケーシング11の上部に循環するようにしている。これには、図3図4に示すように、第三弁55、及び第五弁27を閉じ、第四弁95を開いた状態にする。
スクラバー装置10では、アンモニア吸収液濃度計200で検出された吸収液Lのアンモニア濃度を監視し、検出された吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上であるか否かを判定する。この判定は、オペレータが目視等により行ってもよいが、アンモニア吸収液濃度計200で検出された吸収液Lのアンモニア濃度が、吸収液濃度基準値以上となった場合、アンモニア吸収液濃度計200の監視装置等において、アラーム信号等を出力するようにしてもよい。
【0048】
図5は、本開示の実施形態に係るスクラバー装置において、ケーシングの下部から吸収液を排出する状態を示す図である。
アンモニア吸収液濃度計200で検出された吸収液Lのアンモニア濃度が、吸収液濃度基準値以上となった場合、図5に示すように、第四弁95を閉じ、第三弁55、及び第五弁27を開く。このように第三弁55を開くことによって、アンモニアを含むガスGとの接触によりアンモニアを吸収した吸収液Lが、吸収液排出部50に排出される。また、第五弁27を開くことによって、ケーシング11の外部から、吸収液供給部25によって新たな吸収液Lが散液部20に供給される。これにより、ケーシング11の内部空間11sの吸収液Lのアンモニア濃度を低下させることができる。なお、図5では、ガスGを循環させていないときに第三弁55、及び第五弁27を開く場合を例示したが、ガスGを循環させているときであってもよい。
【0049】
(作用効果)
上記第一実施形態では、ガス供給部15により、ケーシング11の内部空間11sにアンモニアを含むガスGが供給される。散液部20は、ケーシング11の外部から供給される吸収液Lを、ケーシング11の内部空間11sの上部から散液する。これにより、吸収液Lがアンモニアを含むガスGに接触することで、ガスGに含まれるアンモニアが吸収液Lに吸収される。アンモニアを吸収した吸収液Lは、自重によりケーシング11の下部に落下する。アンモニアが除去されたガスGは、ガス放出部40により、ケーシング11の上部から放出される。吸収液排出部50は、ケーシング11の下部から、アンモニアを吸収した吸収液Lを、ケーシング11の外部に排出する。ガス循環ライン80は、ケーシング11の上部からケーシング11の下部にガスGを循環させる。つまり、ガス循環ライン80は、散液部20から散液された吸収液Lによってアンモニアが吸収された後のガスGを、ケーシング11の上部からケーシング11の下部に循環させる。ケーシング11の下部に循環されたガスGは、ケーシング11の内部空間11sで、再び、散液部20から散液された吸収液Lに接触する。これにより、吸収液Lによってアンモニアが吸収されたガスGに、アンモニアが残存していた場合であっても、ガスGがケーシング11の下部に循環されることによって、複数回、吸収液Lによるアンモニアの吸収がなされることとなる。したがって、一度のみの吸収液Lとの接触では、十分にアンモニアを除去できない場合であっても、アンモニアを含むガスGからアンモニアの除去を十分に行うことができる。また、そのために、吸収液Lの量を増やす必要や、ケーシング11の容量を増やす必要も無い。したがって、吸収液Lの流量増加及びケーシング11の容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑えることができる。
【0050】
また、上記第一実施形態では、第一弁45を開閉することで、ケーシング11からガス放出部40へのガスGの放出を断続できる。また、第二弁85を開閉することで、ケーシング11からガス循環ライン80へのガスGの循環を断続できる。アンモニアガス濃度計100は、ケーシング11からガス放出部40に流れるガスGのアンモニア濃度を検出する。これにより、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度に基づき、第一弁45、及び第二弁85を開閉することができる。例えば、検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値を下回っている場合、第一弁45を開き、第二弁85を閉じる。これにより、ケーシング11の内部空間11sでアンモニアが除去されたガスGは、ケーシング11からガス放出部40に放出される。また、検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値以上である場合、第一弁45を閉じ、第二弁85を開く。すると、ケーシング11の内部空間11sでアンモニアが除去されたガスGは、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環され、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触する。これにより、ガスGのアンモニア濃度が低減される。
【0051】
また、上記第一実施形態では、吸収液循環ライン90により、ケーシング11の下部から散液部20を介してケーシング11の上部に吸収液Lを循環させることができる。第三弁55は、ケーシング11から吸収液排出部50への吸収液Lの排出を断続できる。第四弁95は、ケーシング11から吸収液循環ライン90を通した吸収液Lの循環を断続できる。アンモニア吸収液濃度計200は、ケーシング11の内部空間11sの吸収液Lのアンモニア濃度を検出する。これにより、ケーシング11の内部空間11sの吸収液Lのアンモニア濃度に基づき、第三弁55、及び第四弁95を開閉して、吸収液Lを、吸収液排出部50に排出するか、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環させるかを、切り替えることができる。
【0052】
また、上記第一実施形態では、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、第五弁27を開く。すると、吸収液供給部25により、ケーシング11の外部から吸収液Lが散液部20に供給される。これにより、吸収液Lのアンモニア濃度を低下させることができる。
【0053】
また、上記第一実施形態では、吸収液冷却部29により、散液部20によりケーシング11の内部空間11sの上部から散液される吸収液Lを冷却できる。特に、吸収液循環ライン90により、循環される吸収液Lは、アンモニアの吸収時における反応熱により温度上昇している。温度上昇した吸収液Lを冷却することで、吸収液Lのアンモニアの吸収効率を高めることができる。
【0054】
また、上記第一実施形態では、ファン84により、ケーシング11の上部からガスGを送り出すことができる。特に、ガスGを、ガス循環ライン80により、ケーシング11の上部からケーシング11の下部に循環させる場合、ガスGの循環を効率良く行うことができる。
【0055】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態に係るスクラバー装置、スクラバー装置におけるガス処理方法ついて説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と制御装置60を備える構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図6は、本開示の第二実施形態に係るスクラバー装置の構成を示す図である。
図6に示すように、この実施形態のスクラバー装置10Bは、ケーシング11と、ガス供給部15と、散液部20と、ガス放出部40と、ガス循環ライン80と、吸収液排出部50と、吸収液循環ライン90と、制御装置60と、を少なくとも備えている。
【0056】
(ハードウェア構成図)
図7は、本開示の第二実施形態に係るスクラバー装置の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図7に示すように、制御装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のストレージ64、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。
【0057】
(機能ブロック図)
図8は、本開示の第二実施形態に係るスクラバー装置の機能ブロック図である。
図8に示すように、制御装置60のCPU61は予めRAM63やストレージ64等に記憶されたプログラムを実行することにより、信号受信部71、ガス流路制御部72、吸収液流路制御部73、指令信号出力部74の各機能構成を実現する。
信号受信部71は、ハードウェアである信号送受信モジュール65を介してアンモニアガス濃度計100、アンモニア吸収液濃度計200からの検出信号を受信する。
【0058】
ガス流路制御部72は、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度に基づき、第一弁45、及び第二弁85の開閉を制御するための指令信号を出力する。出力された指令信号は、指令信号出力部74から、第一弁45の弁駆動部45v、第二弁85の弁駆動部85vに出力される。
ガス流路制御部72は、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値以上となった場合、第一弁45を閉じるとともに、第二弁85を開くように、指令信号を出力する。すると、ケーシング11の内部空間11sでアンモニアが除去されたガスGは、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環され、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触する。これにより、ガスGのアンモニア濃度が低減される。
【0059】
ガス流路制御部72は、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値を下回っている場合、第一弁45を開くとともに、第二弁85を閉じるように、指令信号を出力する。これにより、ケーシング11の内部空間11sでアンモニアが除去されたガスGは、ケーシング11からガス放出部40に放出される。
【0060】
吸収液流路制御部73は、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度に基づき、第三弁55、及び第四弁95の開閉を制御するための指令信号を出力する。出力された指令信号は、指令信号出力部74から、第三弁55の弁駆動部55v、第四弁95の弁駆動部95v、第五弁27の弁駆動部27vに出力される。
【0061】
吸収液流路制御部73は、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値を下回っている場合、第三弁55を閉じるとともに、第四弁95を開くように、指令信号を出力する。これにより、吸収液Lが、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環され、再び、散液部20から散液されてアンモニアを含むガスGに接触する。
吸収液流路制御部73は、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、第三弁55を開くとともに、第四弁95を閉じるように、指令信号を出力する。吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定した吸収液濃度基準値以上である場合、吸収液Lによるアンモニア吸収効率が低下するため、吸収液Lを、ケーシング11から吸収液排出部50に排出させる。
【0062】
また、吸収液流路制御部73は、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、第五弁27を開くように、指令信号を出力する。すると、吸収液供給部25により、ケーシング11の外部から吸収液Lが散液部20に供給される。これにより、吸収液Lのアンモニア濃度を低下させる。
【0063】
(スクラバー装置におけるガス処理方法の手順)
図2は、本開示の実施形態に係るスクラバー装置におけるガス処理方法の手順を示すフローチャートである。
スクラバー装置10Bでは、上記第一実施形態で示したスクラバー装置におけるガス処理方法と同様の手順を、制御装置60が実行する。図2に示すように、スクラバー装置10Bにおけるガス処理方法S20は、ガスGを循環させる工程S21と、ガスGのアンモニア濃度を検出する工程S22と、ガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する工程S23と、ケーシング11の上部からガスGを放出する工程S24と、を含む。
【0064】
ガスGに含まれるアンモニアを除去する処理の起動後、ガスGを循環させる工程S21では、制御装置60が、開閉弁17を開き、第一弁45を閉じ、第二弁85を開く。開閉弁17を開くことで、アンモニア含んだガスGが、ガス供給ライン16を通してケーシング11の内部空間11sに導入される。導入されたガスGは、ケーシング11の内部空間11sで、散液部20の散液ノズル21から散液される吸収液Lによりアンモニアが吸収される。ケーシング11の内部空間11sでアンモニアが除去されたガスGは、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環され、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触する。これにより、ガスGのアンモニア濃度が低減される。
【0065】
ガスGのアンモニア濃度を検出する工程S22では、ケーシング11の上部から放出されるガスGのアンモニア濃度を、アンモニアガス濃度計100で検出する。
【0066】
ガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する工程S23では、制御装置60が、アンモニアガス濃度計100で検出されたガスGのアンモニア濃度がガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する。
工程S23において、ガスGのアンモニア濃度が、ガス濃度基準値を下回っていないと判定された場合(工程S23でNo)、工程S22に戻る。一方で、工程S23において、ガスGのアンモニア濃度が、ガス濃度基準値を下回っていると判定された場合(工程S23でYes)、工程S24に進む。
【0067】
ケーシング11の上部からガスGを放出する工程S24では、制御装置60が、第一弁45を開き、第二弁85を閉じる。これにより、第二弁85を閉じることで、ケーシング11の上部からケーシング11の下部へのガスGの循環が停止される。第一弁45を開くことで、ケーシング11の内部空間11sでアンモニア成分を除去されたガスGが、ケーシング11からガス放出部40に放出される。このようにして、アンモニア成分が十分に除去されたガスGのみを、ガス放出部40に放出している。
【0068】
また、制御装置60は、上記したように、ガスGに含まれるアンモニアを除去する処理を行う際、第三弁55、及び第五弁27を閉じ、第四弁95を開く。これにより、吸収液Lは、吸収液循環ライン90により、ケーシング11の下部から散液部20を介してケーシング11の上部に循環される。
制御装置60は、アンモニア吸収液濃度計200で検出された吸収液Lのアンモニア濃度を監視し、検出された吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上であるか否かを判定する。
【0069】
アンモニア吸収液濃度計200で検出された吸収液Lのアンモニア濃度が、吸収液濃度基準値以上となった場合、制御装置60は、第四弁95を閉じ、第三弁55、及び第五弁27を開く。第三弁55を開くことによって、アンモニアを含むガスGとの接触によりアンモニアを吸収した吸収液Lが、吸収液排出部50に排出される。また、第五弁27を開くことによって、吸収液供給部25により、ケーシング11の外部から、新たな吸収液Lが散液部20に供給される。これにより、ケーシング11の内部空間11sの吸収液Lのアンモニア濃度を低下させることができる。
【0070】
(作用効果)
上記第二実施形態によれば、上記第一実施形態と同様に、吸収液Lの流量増加及びケーシング11の容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑えることができる。
【0071】
また、上記第二実施形態では、ガス流路制御部72が、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度に基づき、第一弁45、及び第二弁85の開閉を制御する。これにより、吸収液Lによるアンモニア除去処理後のガスGのアンモニア濃度に応じて、ガスGをガス放出部40に放出するか、ガスGをガス循環ライン80に循環させるかを、自動的に判断して実行させることができる。
【0072】
また、上記第二実施形態では、ガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値を下回っている場合には、ガス流路制御部72の制御により、ガスGを、ケーシング11からガス放出部40に放出させることができる。また、検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値以上である場合、ガスGを、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環させ、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触させることができる。
【0073】
また、上記第二実施形態では、吸収液流路制御部73が、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度に基づき、第三弁55、及び第四弁95の開閉を制御する。これにより、アンモニアを含むガスGとの接触によりアンモニアを吸収した吸収液Lを、吸収液排出部50に排出するか、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環させるかを、自動的に判断して実行させることができる。
【0074】
また、上記第二実施形態では、吸収液流路制御部73の制御により、吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定した吸収液濃度基準値を下回っている場合には、吸収液Lを、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環させ、再び、散液部20から散液させてアンモニアを含むガスGと接触させることができる。また、検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定した吸収液濃度基準値以上である場合、吸収液Lによるアンモニア吸収効率が低下するため、吸収液Lを、ケーシング11から吸収液排出部50に排出させることができる。
【0075】
また、上記第二実施形態では、吸収液流路制御部73は、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、第五弁27を開く。すると、吸収液供給部25により、ケーシング11の外部から吸収液Lが散液部20に供給される。これにより、吸収液Lのアンモニア濃度を低下させることができる。
【0076】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、スクラバー装置10におけるガス処理方法S10,S20の手順を示したが、その順序、具体的な各工程の内容は、適宜変更可能である。
さらに、上記実施形態では、浮体の浮かぶ周囲の海水を直接吸入して吸収液として用いる構成を一例にして説明したが、この構成に限られるものでは無い。例えば、船内に設けられたバラストタンク等の海水タンク(図示せず)に貯蔵された海水を用いたり、浮体の浮かぶ周囲の海水と、船内に設けられた海水タンク(図示せず)の海水と、を適宜切り換えて用いたりしてもよい。
また、上記実施形態では、アンモニア吸収液濃度計200で検出された吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった際に、外部から散液部20にアンモニア濃度の低い新しい吸収液Lを供給する場合について説明した。しかし上記実施形態の構成に限られるものでは無い。上記実施形態の構成に加えて、例えば、アンモニアガス濃度計100により検出されたガスGのアンモニア濃度が予め設定されたアンモニア濃度の上限規定値を超えた場合にも、散液部20に外部からアンモニア濃度の低い新しい吸収液Lを供給してもよい。これにより、循環させている吸収液Lのアンモニア濃度が急上昇するような状況であっても、循環させている吸収液Lのアンモニア濃度を、吸収液濃度基準値を超える前に低下させることができる。
【0077】
<付記>
各実施形態に記載のスクラバー装置10,10B、スクラバー装置10,10Bにおけるガス処理方法S10,S20は、例えば以下のように把握される。
【0078】
(1)第1の態様に係るスクラバー装置10,10Bは、ケーシング11と、前記ケーシング11内にアンモニアを含むガスGを供給可能なガス供給部15と、前記ケーシング11の外部から供給される吸収液Lを、前記ケーシング11内の上部から散液可能な散液部20と、前記ケーシング11の上部からガスGを放出可能なガス放出部40と、前記ケーシング11の下部から吸収液Lを排出可能な吸収液排出部50と、前記ケーシング11の上部から前記ケーシング11の下部にガスGを循環させるガス循環ライン80と、を備える。
吸収液Lとしては、清水、海水が挙げられる。
【0079】
このスクラバー装置10,10Bは、ガス供給部15により、ケーシング11内にアンモニアを含むガスGが供給される。散液部20は、ケーシング11の外部から供給される吸収液Lを、ケーシング11内の上部から散液する。これにより、吸収液Lがアンモニアを含むガスGに接触することで、ガスGに含まれるアンモニアが吸収液Lに吸収される。アンモニアを吸収した吸収液Lは、自重によりケーシング11の下部に落下する。アンモニアが除去されたガスGは、ガス放出部40により、ケーシング11の上部から放出される。吸収液排出部50は、ケーシング11の下部から、アンモニアを吸収した吸収液Lを、ケーシング11の外部に排出する。ガス循環ライン80は、ケーシング11の上部からケーシング11の下部にガスGを循環させる。つまり、ガス循環ライン80は、散液部20から散液された吸収液Lによってアンモニアが吸収された後のガスGを、ケーシング11の上部からケーシング11の下部に循環させる。ケーシング11の下部に循環されたガスGは、ケーシング11内で、再び、散液部20から散液された吸収液Lに接触する。これにより、吸収液Lによってアンモニアが吸収されたガスGに、アンモニアが残存していた場合であっても、ガスGがケーシング11の下部に循環されることによって、複数回、吸収液Lによるアンモニアの吸収がなされることとなる。したがって、一度のみの吸収液Lとの接触では、十分にアンモニアを除去できない場合であっても、アンモニアを含むガスGからアンモニアの除去を十分に行うことができる。また、そのために、吸収液Lの量を増やす必要や、ケーシング11の容量を増やす必要も無い。したがって、吸収液Lの流量増加及びケーシング11の容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑えることができる。
【0080】
(2)第2の態様に係るスクラバー装置10,10Bは、(1)のスクラバー装置10,10Bであって、前記ケーシング11から前記ガス放出部40への前記ガスGの流路を開閉する第一弁45と、前記ケーシング11から前記ガス循環ライン80への前記ガスGの流路を開閉する第二弁85と、前記ケーシング11から前記ガス放出部40に流れる前記ガスGのアンモニア濃度を検出するアンモニアガス濃度計100と、を更に備える。
【0081】
これにより、第一弁45を開閉することで、ケーシング11からガス放出部40へのガスGの放出を断続できる。また、第二弁85を開閉することで、ケーシング11からガス循環ライン80へのガスGの循環を断続できる。アンモニアガス濃度計100は、ケーシング11からガス放出部40に流れるガスGのアンモニア濃度を検出する。これにより、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度に基づき、第一弁45、及び第二弁85を開閉することができる。例えば、検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値を下回っている場合、第一弁45を開き、第二弁85を閉じる。これにより、ケーシング11内でアンモニアが除去されたガスGは、ケーシング11からガス放出部40に放出される。また、検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値以上である場合、第一弁45を閉じ、第二弁85を開く。すると、ケーシング11内でアンモニアが除去されたガスGは、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環され、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触する。これにより、ガスGのアンモニア濃度が低減される。
【0082】
(3)第3の態様に係るスクラバー装置10Bは、(2)のスクラバー装置10Bであって、前記アンモニアガス濃度計100で検出される前記ガスGのアンモニア濃度に基づき、前記第一弁45、及び前記第二弁85の開閉を制御するガス流路制御部72を更に備える。
【0083】
これにより、ガス流路制御部72が、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度に基づき、第一弁45、及び第二弁85の開閉を制御することで、吸収液Lによるアンモニア除去処理後のガスGのアンモニア濃度に応じて、ガスGをガス放出部40に放出するか、ガスGをガス循環ライン80に循環させるかを、自動的に判断して実行させることができる。
【0084】
(4)第4の態様に係るスクラバー装置10Bは、(3)のスクラバー装置10Bであって、前記ガス流路制御部72は、前記アンモニアガス濃度計100で検出される前記ガスGのアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値を下回っている場合、前記第一弁45を開くとともに、前記第二弁85を閉じ、前記アンモニアガス濃度計100で検出される前記ガスGのアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値以上となった場合、前記第一弁45を閉じるとともに、前記第二弁85を開く。
【0085】
これにより、ガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値を下回っている場合には、ガスGを、ケーシング11からガス放出部40に放出させることができる。また、検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値以上である場合、ガスGを、ガス循環ライン80を通してケーシング11の下部に循環させ、再び、散液部20から散液される吸収液Lと接触させることができる。
【0086】
(5)第5の態様に係るスクラバー装置10,10Bは、(1)から(4)の何れか一つのスクラバー装置10,10Bであって、前記ケーシング11の下部から前記散液部20を介して前記ケーシング11の上部に吸収液Lを循環可能な吸収液循環ライン90と、前記ケーシング11から前記吸収液排出部50に排出される前記吸収液Lの流路を開閉する第三弁55と、前記ケーシング11から前記吸収液循環ライン90への前記吸収液Lの流路を開閉する第四弁95と、前記ケーシング11内の前記吸収液Lのアンモニア濃度を検出するアンモニア吸収液濃度計200と、を更に備える。
【0087】
これにより、吸収液循環ライン90は、ケーシング11の下部から散液部20を介してケーシング11の上部に吸収液Lを循環させることができる。第三弁55は、ケーシング11から吸収液排出部50への吸収液Lの排出を断続できる。第四弁95は、ケーシング11から吸収液循環ライン90を通した吸収液Lの循環を断続できる。アンモニア吸収液濃度計200は、ケーシング11内の吸収液Lのアンモニア濃度を検出する。これにより、ケーシング11内の吸収液Lのアンモニア濃度に基づき、第三弁55、及び第四弁95を開閉して、吸収液Lを、吸収液排出部50に排出するか、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環させるかを、切り替えることができる。
【0088】
(6)第6の態様に係るスクラバー装置10Bは、(5)のスクラバー装置10Bであって、前記アンモニア吸収液濃度計200で検出される前記吸収液Lのアンモニア濃度に基づき、前記第三弁55、及び前記第四弁95の開閉を制御する吸収液流路制御部73を更に備える。
【0089】
このような構成では、吸収液流路制御部73が、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度に基づき、第三弁55、及び第四弁95の開閉を制御する。これにより、アンモニアを含むガスGとの接触によりアンモニアを吸収した吸収液Lを、吸収液排出部50に排出するか、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環させるかを、自動的に切り替えることができる。
【0090】
(7)第7の態様に係るスクラバー装置10Bは、(6)の何れか一つのスクラバー装置10Bであって、前記吸収液流路制御部73は、前記アンモニア吸収液濃度計200で検出される前記吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値を下回っている場合、前記第三弁55を閉じるとともに、前記第四弁95を開き、前記アンモニア吸収液濃度計200で検出される前記吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、前記第三弁55を開くとともに、前記第四弁95を閉じる。
【0091】
これにより、吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定した吸収液濃度基準値を下回っている場合には、吸収液Lを、吸収液循環ライン90を通してケーシング11の上部に循環させ、再び、散液部20から散液させてアンモニアを含むガスGと接触させることができる。また、検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定した吸収液濃度基準値以上である場合、吸収液Lによるアンモニア吸収効率が低下するため、吸収液Lを、ケーシング11から吸収液排出部50に排出させることができる。
【0092】
(8)第8の態様に係るスクラバー装置10Bは、(7)のスクラバー装置10Bであって、前記ケーシング11の外部から前記散液部20に前記吸収液Lを供給する吸収液供給部25と、前記吸収液供給部25から前記散液部20への前記吸収液Lの流路を開閉する第五弁27を更に備え、前記吸収液流路制御部73は、前記アンモニア吸収液濃度計200で検出される前記吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、前記第五弁27を開く。
【0093】
これにより、吸収液流路制御部73は、アンモニア吸収液濃度計200で検出される吸収液Lのアンモニア濃度が、予め設定された吸収液濃度基準値以上となった場合、第五弁27を開く。すると、吸収液供給部25により、ケーシング11の外部から吸収液Lが散液部20に供給される。これにより、吸収液Lのアンモニア濃度を低下させることができる。
【0094】
(9)第9の態様に係るスクラバー装置10,10Bは、(1)から(8)の何れか一つのスクラバー装置10,10Bであって、前記散液部20により前記ケーシング11内の上部から散液される前記吸収液Lを冷却可能な吸収液冷却部29を更に備える。
【0095】
これにより、吸収液冷却部29は、散液部20によりケーシング11内の上部から散液される吸収液Lを冷却できる。特に、吸収液循環ライン90により、循環される吸収液Lは、アンモニアの吸収時における反応熱により温度上昇している。温度上昇した吸収液Lを冷却することで、吸収液Lのアンモニアの吸収効率を高めることができる。
【0096】
(10)第10の態様に係るスクラバー装置10,10Bは、(1)から(9)の何れか一つのスクラバー装置10,10Bであって、前記ケーシング11の上部から前記ガスGを送り出すファン84を更に備える。
【0097】
これにより、ファン84により、ケーシング11の上部からガスGを送り出すことができる。特に、ガスGを、ガス循環ライン80により、ケーシング11の上部からケーシング11の下部に循環させる場合、ガスGの循環を効率良く行うことができる。
【0098】
(11)第11の態様に係るスクラバー装置10,10Bにおけるガス処理方法S10,S20は、(1)から(10)の何れか一つのスクラバー装置10,10Bにおけるガス処理方法S10,S20であって、前記ケーシング11内にアンモニアを含むガスGを供給しつつ、前記ケーシング11の外部から供給される水を前記ケーシング11内の上部から散水し、前記ケーシング11の上部から前記ケーシング11の下部にガスGを循環させる工程S11,S21と、前記ケーシング11の上部から放出される前記ガスGのアンモニア濃度を検出する工程S12,S22と、検出されるアンモニア濃度が、予め設定されたガス濃度基準値を下回った場合、前記ケーシング11の上部から前記ケーシング11の下部へのガスGの循環を停止させるとともに、前記ケーシング11の上部からガスGを放出する工程S14,S24と、を含む。
【0099】
このスクラバー装置10,10Bにおけるガス処理方法S10,S20は、アンモニアガス濃度計100で検出されるガスGのアンモニア濃度が、予め設定したガス濃度基準値以上である場合、ケーシング11内でアンモニアが除去されたガスGを、ケーシング11の下部に循環させる。ガスGがケーシング11の下部に循環されることによって、複数回、吸収液Lによるアンモニアの吸収がなされることとなる。したがって、一度のみの吸収液Lとの接触では、十分にアンモニアを除去できない場合であっても、アンモニアを含むガスGからアンモニアの除去を十分に行うことができる。また、そのために、吸収液Lの量を増やす必要や、ケーシング11の容量を増やす必要も無い。したがって、吸収液Lの流量増加及びケーシング11の容量増加を抑制しつつ外部へのアンモニアの放出を抑えることができる。
【符号の説明】
【0100】
10,10B…スクラバー装置 11…ケーシング 11s…内部空間 15…ガス供給部 16…ガス供給ライン 16a…一端 16b…他端 17…開閉弁 18…副ガス供給ライン 19…逆止弁 20…散液部 21…散液ノズル 25…吸収液供給部 26…吸収液供給ライン 26b…他端 27…第五弁 27v…弁駆動部 28…ポンプ 29…吸収液冷却部 40…ガス放出部 41…ガス放出ライン 41a…一端 45…第一弁 45v…弁駆動部 50…吸収液排出部 51…吸収液排出ライン 51a…一端 55…第三弁 55v…弁駆動部 60…制御装置 61…CPU 62…ROM 63…RAM 64…ストレージ 65…信号送受信モジュール 71…信号受信部 72…ガス流路制御部 73…吸収液流路制御部 74…指令信号出力部 80…ガス循環ライン 81…ガス循環接続管 81a…一端 81b…他端 82…一部区間 83…一部区間 84…ファン 85…第二弁 85v…弁駆動部 86…逆止弁 90…吸収液循環ライン 91…吸収液循環接続管 91a…一端 91b…他端 92…一部区間 95…第四弁 95v…弁駆動部 100…アンモニアガス濃度計 200…アンモニア吸収液濃度計 Dv…上下方向 G…ガス L…吸収液 S10,S20…スクラバー装置におけるガス処理方法 S11,S21…ガスを循環させる工程 S12,S22…ガスのアンモニア濃度を検出する工程 S13,S23…ガス濃度基準値を下回ったか否かを判定する工程 S14,S24…ケーシングの上部からガスを放出する工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8