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  • 特開-アンモニア処理システム、浮体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042171
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】アンモニア処理システム、浮体
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/58 20060101AFI20240321BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240321BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20240321BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B01D53/58 ZAB
B01D53/78
B01D53/18 110
B01D53/18 150
C02F1/461 Z
B63B25/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146690
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】高松 皆光
(72)【発明者】
【氏名】山田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4D061
【Fターム(参考)】
4D002AA13
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA01
4D002CA06
4D002DA35
4D002DA36
4D002EA02
4D002EA13
4D002EA14
4D020AA10
4D020BB03
4D020BC06
4D020CB02
4D020CB25
4D020CC01
4D061DA04
4D061DB10
4D061DB19
4D061DC15
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB19
(57)【要約】
【課題】アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去する。
【解決手段】アンモニア処理システムは、ケーシング、ケーシング内にアンモニアを含むアンモニアガスを導入するガス導入部、ケーシング内の上部から散水することでアンモニアを吸収してアンモニア水を生成する散水部、及び、ケーシングの下部からアンモニア水を排出する排水部を有する吸収塔と、吸収塔の外部に設けられ、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去して処理水を生成するアンモニア成分除去部と、排水部から排出されたアンモニア水をアンモニア成分除去部へ導入させるアンモニア水導入ラインと、アンモニア成分除去部によって生成された処理水を散水部に供給する第一処理水供給ラインと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング、前記ケーシング内にアンモニアを含むアンモニアガスを導入するガス導入部、前記ケーシング内の上部から散水することで前記アンモニアを吸収してアンモニア水を生成する散水部、及び、前記ケーシングの下部から前記アンモニア水を排出する排水部を有する吸収塔と、
前記吸収塔の外部に設けられ、前記アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去して処理水を生成するアンモニア成分除去部と、
前記排水部から排出された前記アンモニア水を前記アンモニア成分除去部へ導入させるアンモニア水導入ラインと、
前記アンモニア成分除去部によって生成された前記処理水を前記散水部に供給する第一処理水供給ラインと、
を備えるアンモニア処理システム。
【請求項2】
前記アンモニア成分除去部で生成された前記処理水を貯留する処理水貯留タンクを更に備え、
前記第一処理水供給ラインは、前記処理水貯留タンクに貯留された前記処理水を、前記散水部に供給する
請求項1に記載のアンモニア処理システム。
【請求項3】
前記アンモニア水導入ラインは、
前記吸収塔の前記排水部と前記アンモニア成分除去部とを接続する導入ライン本体と、
前記導入ライン本体の途中に設けられて前記排水部から排出された前記アンモニア水を貯留可能なアンモニア水貯留タンクと、を備える
請求項1又は2に記載のアンモニア処理システム。
【請求項4】
アンモニアを吸収する吸収水を貯留可能とされ、前記吸収水の中にアンモニアを含むアンモニアガスを導入させて前記アンモニアガスのアンモニア濃度を低下させる希釈槽と、
前記アンモニア成分除去部によって生成された前記処理水を前記吸収水として前記希釈槽へ供給する第二処理水供給ラインと、を更に備え、
前記ガス導入部は、前記希釈槽で希釈された前記アンモニアガスを前記ケーシング内に導入する
請求項1又は2に記載のアンモニア処理システム。
【請求項5】
海水を取水する取水部を更に備え、
前記アンモニア成分除去部は、
前記取水部から取水された前記海水に電気分解を施すことで、次亜塩素酸ソーダを含む海水電解液を生成する電気分解部と、
前記アンモニア水と前記電気分解部で生成された前記海水電解液との混合液を反応させる脱窒素反応部と、を備える
請求項1又は2に記載のアンモニア処理システム。
【請求項6】
外部から水を導入する外部水導入部と、
前記散水部に供給する水を、前記第一処理水供給ラインにより供給される前記処理水と、前記外部水導入部により導入される水と、の間で切替可能とする水切替部と、
を更に備える
請求項1又は2に記載のアンモニア処理システム。
【請求項7】
浮体本体と、
前記浮体本体に設けられた、請求項1又は2に記載のアンモニア処理システムと、を備える
浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンモニア処理システム、浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアを取り扱う装置、設備等を収容する室内では、アンモニア漏洩の可能性が有る。さらに、上記アンモニアを取り扱う装置、設備等では、アンモニアと反応しない不活性ガスによるパージを行い、不活性ガスとともに残留したアンモニアを排出させる場合がある。アンモニアは、人の粘膜に作用して障害を起こす可能性が有るため、上記漏洩やパージなどにより生じたアンモニアを含む気体を、そのまま大気中に放出することはできない。
特許文献1には、冷凍機ユニットから漏洩したアンモニアガスを、大気中に放出する前に無害化処理するアンモニアガスの除害システムが開示されている。この除害システムでは、アンモニアを含む気体を、スクラバやクーリングタワー等の閉鎖空間に導き、水に充分接触させることで、アンモニア成分を水に吸着させている。次いで、アンモニア成分を吸収した水に炭酸ガスを供給し、アンモニア成分を中和することによってアンモニア濃度を下げた後、再度、この水を未処理の気体と接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-26555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、アンモニア成分を吸着した水のアンモニア濃度を下げるために、スクラバやクーリングタワー等の閉鎖空間に炭酸ガスを供給している。スクラバやクーリングタワー等においては、アンモニアを含む気体の除害処理中、アンモニアを含む未処理の気体が順次送り込まれてくる。このため、アンモニアを吸着した水も、順次、継続的に生成される。このため、スクラバやクーリングタワー等の閉鎖空間に炭酸ガスを供給しても、継続的に生成される、アンモニアを含む水に対し、アンモニア濃度を十分に下げることができるとは限らない。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去することができるアンモニア処理システム、浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るアンモニア処理システムは、吸収塔と、アンモニア成分除去部と、アンモニア水導入ラインと、第一処理水供給ラインと、を備える。
前記吸収塔は、ケーシング、ガス導入部、散水部、及び、排水部を有する。前記ガス導入部は、前記ケーシング内にアンモニアを含むアンモニアガスを導入する。前記散水部は、前記ケーシング内の上部から散水することで前記アンモニアを吸収してアンモニア水を生成する。前記排水部は、前記ケーシングの下部から前記アンモニア水を排出する。前記アンモニア成分除去部は、前記吸収塔の外部に設けられている。前記アンモニア成分除去部は、前記アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去して処理水を生成する。前記アンモニア水導入ラインは、前記排水部から排出された前記アンモニア水を前記アンモニア成分除去部へ導入させる。前記第一処理水供給ラインは、前記アンモニア成分除去部によって生成された前記処理水を前記散水部に供給する。
【0007】
本開示に係る浮体は、浮体本体と、上記したようなアンモニア処理システムと、を備える。前記アンモニア処理システムは、前記浮体本体に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のアンモニア処理システム、浮体によれば、アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るアンモニア処理システムを備えた浮体の側面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係るアンモニア処理システムの構成を示す図である。
図3】本開示の第二実施形態に係るアンモニア処理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係るアンモニア処理システム、浮体について、図1図3を参照して説明する。
<第一実施形態>
(浮体の構成)
図1に示すように、この実施形態の浮体1は、浮体本体2と、上部構造4と、アンモニア処理システム10と、を備えている。なお、この第一実施形態の浮体1は、主機等により航行可能な船舶を一例として説明する。浮体1の船種は、特定の船種に限られない。浮体1の船種としては、液化ガス運搬船、フェリー、RORO船、自動車運搬船、客船等を例示できる。この第一実施形態では浮体1が船舶である場合について説明するが、浮体1は船舶に限られず、主機等による航行が不能なFSU(Floating Storage Unit)、FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)等であってもよい。
【0011】
浮体本体2は、海水に浮かぶように形成されている。浮体本体2は、その外殻をなす一対の舷側5A,5Bと船底6とを有している。舷側5A,5Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底6は、これら舷側5A,5Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側5A,5B及び船底6により、浮体本体2の外殻は、船首尾方向FAと垂直な断面においてU字状を成している。
【0012】
浮体本体2は、最も上層に配置される全通甲板である上甲板7を更に備えている。上部構造4は、この上甲板7上に形成されている。上部構造4内には、居住区等が設けられている。この第一実施形態の浮体1では、例えば、上部構造4よりも船首尾方向FAの船首2a側に、貨物を搭載するカーゴスペース(図示無し)が設けられている。
【0013】
(アンモニア処理システムの全体構成)
アンモニア処理システム10は、浮体本体2に設けられている。この第一実施形態において、アンモニア処理システム10は、浮体本体2内に設けられている。アンモニア処理システム10は、浮体本体2内限らず、例えば、浮体本体2の上甲板7上等、他の場所に設けられていてもよい。
【0014】
アンモニア処理システム10は、アンモニアを取り扱うアンモニア設備から漏洩したアンモニアを含むガスや、アンモニアと反応しない不活性ガスによるパージを行い、不活性ガスとともに排出されたアンモニアを含むガス等を対象として、アンモニアを除去する。
【0015】
図2は、本開示の第一実施形態に係るアンモニア処理システムの構成を示す図である。
図2に示すように、この第一実施形態のアンモニア処理システム10は、吸収塔20と、希釈槽30と、アンモニア水貯留タンク40と、アンモニア成分除去部50と、アンモニア水導入ライン90と、処理水供給ライン100と、外部水導入部80と、を少なくとも備えている。
【0016】
吸収塔20は、ケーシング21と、ガス導入部22と、散水部23と、ガス放出部24と、排水部25と、を備えている。
【0017】
ケーシング21は、上下方向に延びる筒状に形成されている。ケーシング21の内部空間21s(ケーシング内)の下部には、アンモニアガスGに含まれるアンモニア成分を吸収したアンモニア水が貯留可能とされている。
【0018】
ガス導入部22は、少なくともアンモニア成分を含むアンモニアガスGをケーシング21内に導入可能とされている。ガス導入部22は、ガス供給ライン221と、開閉弁222と、を備えている。
【0019】
ガス供給ライン221の一端は、後述する希釈槽30に接続されている。ガス供給ライン221の他端は、ケーシング21に接続されている。ガス供給ライン221の一端は、希釈槽30の気相に開口しており、ガス供給ライン221の他端は、ケーシング21の内部空間21sのうちアンモニア水の液面よりも上方の位置に開口している。
【0020】
開閉弁222は、ガス供給ライン221内の流路を開閉する。開閉弁222を開閉することで、ガス供給ライン221を通した、ケーシング21内へのアンモニアガスGの導入が断続される。この第一実施形態において、ガス供給ライン221は、希釈槽30により希釈されてアンモニア濃度の低減されたアンモニアガスGを、ケーシング21の内部空間21sに導入する。ガス導入部22のガス供給ライン221からケーシング21の内部空間21sに導入されたアンモニアガスGは、ケーシング21の内部空間21sを下部から上部に向かって上昇する。
【0021】
散水部23は、ケーシング21内の上部から散水することで、アンモニアガスGに含まれるアンモニアを吸収してアンモニア水を生成する。散水部23は、ノズル232を備えている。ノズル232には、後述する第一処理水供給ライン60が接続されている。ノズル232は、第一処理水供給ライン60から供給された水を、ケーシング21の内部空間21sの上部から散水する。ノズル232は、水を、噴射、滴下、噴霧等により、ケーシング21の内部空間21sに散水する。この散水された水は、自重により、ケーシング21の内部空間21sを下方に移動していく。そして、散水された水は、ケーシング21の内部空間21sを移動する過程で、ケーシング21の内部空間21sを下部から上部に向かって上昇するアンモニアガスGと接触し、アンモニアガスGに含まれるアンモニア成分を吸収する。これにより、アンモニア水が生成される。
【0022】
ガス放出部24は、ケーシング21の上部から内部空間21sのガスを放出可能とされている。ガス放出部24には、ガス放出ライン241の一端が接続されている。ガス放出ライン241の他端(図示せず)の接続先としては、ファンネル、ベントポスト等を例示できる。ガス放出部24は、上記散水によりアンモニア成分の除去されたガスを、例えば大気放出する。
【0023】
排水部25は、ケーシング21の下部からケーシング21の外部にアンモニア水を排出する。排水部25には、後述するアンモニア水導入ライン90が接続されている。
【0024】
希釈槽30は、アンモニアを吸収する吸収水を貯留可能とされている。希釈槽30は、吸収塔20のガス導入部22に導入させるアンモニアガスGを、事前に希釈する。希釈槽30は、吸収水の中にアンモニアを含むアンモニアガスGを導入させてアンモニアガスGのアンモニア濃度を低下させる。
【0025】
希釈槽30には、アンモニア導入ライン31が接続されている。アンモニア導入ライン31は、上述した活性ガスによりパージした際に、不活性ガスとともに送り出されるアンモニアガスGを希釈槽30へ導入する。
【0026】
アンモニア導入ライン31の途中には、混合部32が設けられている。混合部32は、アンモニア導入ライン31のアンモニアと、希釈槽30に貯留されているアンモニアを吸収可能な吸収水とを混合する。この実施形態の混合部32は、ミキサー321と、吸収水供給ライン322と、吸収水循環ポンプ323と、を備えている。ミキサー321は、アンモニアガスGを、希釈槽30へ導入される前に吸収水と混合する。ミキサー321としては、例えば、エジェクターやマイクロリアクターを用いることができる。このようにミキサー321によって混合されることで、アンモニアガスGが吸収水に吸収され易くなる。吸収水供給ライン322は、希釈槽30の吸収水をミキサー321へ供給する。吸収水循環ポンプ323は、吸収水供給ライン322の吸収水をミキサー321へ向けて送り出す。混合部32によって混合された混合流体は、希釈槽30内に導入される。
【0027】
アンモニア導入ライン31の出口端には、混合流体に含まれる気体を小さな気泡として放出させる散気管315が設けられている。散気管315は、希釈槽30の液相内で希釈槽30の底部に沿って延びており、散気管315から放出される混合流体に含まれた気泡が希釈槽30の吸収水全体に広がるようになっている。これにより、混合流体に含まれるアンモニアガスGと、希釈槽30内の吸収水とが接触して、希釈槽30内でアンモニアガスGに含まれるアンモニア成分が吸収水に吸収され易くなる。
【0028】
希釈槽30には、希釈気体導入ライン33が接続されている。希釈気体導入ライン33は、希釈槽30の気相中に、該気相のアンモニア濃度を低下させる希釈気体を導入可能となっている。言い換えれば、希釈気体導入ライン33は、希釈槽30の気相におけるアンモニアガスの濃度を調整することが可能となっている。希釈気体としては、外気を例示できる。希釈気体導入ライン33には、希釈槽30の気相に送り込む希釈気体の流量を調整可能な希釈ファン33fが設けられている。
【0029】
希釈槽30には、外部から吸収水を導入する吸収水導入ライン35の一端が接続されている。吸収水導入ライン35の他端は、清水導入ライン36と、後述する第二処理水供給ライン70とに接続されている。清水導入ライン36は、例えば、浮体本体2の清水タンクに貯留された清水を、吸収水として供給する。
【0030】
希釈槽30には、ガス供給ライン221が接続されている。ガス供給ライン221は、希釈槽30の気相中の気体(希釈されたアンモニアガスG)を希釈槽30から導出し、ケーシング21内に供給する。ガス供給ライン221には、ケーシング21側からのアンモニアガスGの逆流を防ぐ逆止弁221vが設けられている。ガス導入部22は、希釈槽30で希釈されたアンモニアガスGをケーシング21内に導入する。
【0031】
希釈槽30には、希釈吸収水排出ライン38が接続されている。希釈吸収水排出ライン38は、希釈槽30の吸収水を排出可能とされている。希釈吸収水排出ライン38の一端は、希釈槽30の底部に接続されている。希釈吸収水排出ライン38の他端は、アンモニア水貯留タンク40に接続されている。希釈吸収水排出ライン38は、希釈槽30内で、アンモニアを吸収した吸収水(アンモニア水)を、アンモニア水貯留タンク40に排出可能となっている。
【0032】
アンモニア水貯留タンク40は、アンモニア水導入ライン90を通して排水部25から排出されたアンモニア水と、希釈吸収水排出ライン38を通して希釈槽30から排出された吸収水と、を貯留可能とされている。
【0033】
また、アンモニア水貯留タンク40には、ガス吐出ライン41の一端が接続されている。ガス吐出ライン41の他端は、ガス供給ライン221の途中に接続されている。ガス吐出ライン41は、アンモニア水貯留タンク40内のアンモニア水(アンモニア水、吸収水)から分離したアンモニアガスを、ガス供給ライン221に送給可能とされている。ガス吐出ライン41の途中には、開閉弁42が設けられており、開閉弁42の開閉により、アンモニア水貯留タンク40の気相からガス供給ライン221へのアンモニアガスの供給を断続可能となっている。
【0034】
アンモニア成分除去部50は、吸収塔20の外部に設けられている。アンモニア成分除去部50は、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去して処理水を生成する。アンモニア成分除去部50は、アンモニア水導入ライン90から導入されるアンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去する。
【0035】
アンモニア水導入ライン90は、排水部25から排出されたアンモニア水をアンモニア成分除去部50へ導入させる。アンモニア水導入ライン90は、導入ライン本体91と、導入ライン本体91の途中に設けられた上記アンモニア水貯留タンク40と、を備えている。導入ライン本体91は、排水部25とアンモニア成分除去部50とを接続する。導入ライン本体91は、アンモニア水貯留タンク40に対して吸収塔20側の導入ライン上流部911と、アンモニア水貯留タンク40に対してアンモニア成分除去部50側の導入ライン下流部912と、を有している。導入ライン上流部911は、排水部25とアンモニア水貯留タンク40との間に設けられている。導入ライン下流部912は、アンモニア水貯留タンク40とアンモニア成分除去部50との間に設けられている。
【0036】
アンモニア成分除去部50は、海水に電気分解を施すことで得た次亜塩素酸ソーダを用い、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去する。このため、アンモニア処理システム10は、取水部58を備えている。取水部58は、浮体本体2の浮かぶ周囲の海から海水を取水する。
【0037】
アンモニア成分除去部50は、電気分解部51と、脱窒素反応部53と、を備えている。電気分解部51は、取水部58から取水された海水に電気分解を施すことで、次亜塩素酸ソーダを含む海水電解液を生成する。具体的には、電気分解部51は、導入した海水中に正極と負極(図示せず)とを配置して、これら正極と負極との間に電圧印加することで、海水を電気分解する。この電気分解により、海水から次亜塩素酸ソーダが生成される。
【0038】
脱窒素反応部53は、アンモニア水と電気分解部51で生成された海水電解液との混合液を反応させる。脱窒素反応部53は、電気分解により生成された海水電解液と、アンモニア水貯留タンク40から導入されたアンモニア水とを混合して反応させる。より具体的には、脱窒素反応部53は、(1)式に示すように、アンモニア水に含まれるアンモニア(2NH)と、海水電解液の次亜塩素酸ソーダ(3NaClO)とを、酸性の環境下で反応させて、窒素(N)と塩化ナトリウム(3NaCl)と水(3HO)とに分解する。
2NH+3NaClO⇒N+3NaCl+3HO・・・(1)
【0039】
脱窒素反応部53における脱窒素反応により生成された窒素は、例えば、上甲板7から延びるファンネル8等を介して大気中に放出される。その一方で、脱窒素反応により生成された塩化ナトリウムと水とは、処理水として、アンモニア成分除去部50に接続された放流部59へ排出される。放流部59は、放流弁59vを備えており、放流弁59vを開くことで処理水を浮体本体2の浮かぶ周囲の海水の中に放流する。
【0040】
処理水供給ライン100は、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水を、吸収塔20、及び希釈槽30に供給する。処理水供給ライン100は、主供給ライン101と、第一処理水供給ライン60と、第二処理水供給ライン70と、を備えている。主供給ライン101の一端101aは、アンモニア成分除去部50に接続されている。第一処理水供給ライン60の一端60aと、第二処理水供給ライン70の一端70aは、主供給ライン101の他端101bに接続されている。換言すると、処理水供給ライン100は、主供給ライン101から第一処理水供給ライン60と第二処理水供給ライン70とに分岐している。主供給ライン101の途中には、アンモニア成分除去部50で生成された処理水を、第一処理水供給ライン60、第二処理水供給ライン70に送り込むポンプ102が設けられている。上記放流部59は、ポンプ102の下流側で、主供給ライン101から分岐して設けられている。
【0041】
第一処理水供給ライン60の他端60bは、散水部23のノズル232に接続されている。第一処理水供給ライン60は、アンモニア成分除去部50によって生成されて主供給ライン101を通して送出された処理水を散水部23のノズル232に供給する。第一処理水供給ライン60の途中には、第一開閉弁61が設けられている。第一開閉弁61を開閉することで、主供給ライン101から第一処理水供給ライン60を通した散水部23への処理水の供給が断続可能とされている。
【0042】
第二処理水供給ライン70の他端70bは、吸収水導入ライン35に接続されている。第二処理水供給ライン70は、アンモニア成分除去部50によって生成されて主供給ライン101を通して送出された処理水を、吸収水として、吸収水導入ライン35を介して希釈槽30に供給する。第二処理水供給ライン70の途中には、第二開閉弁71が設けられている。第二開閉弁71を開閉することで、主供給ライン101から第二処理水供給ライン70を通した希釈槽30への処理水の供給が断続可能とされている。
【0043】
このような処理水供給ライン100では、第一開閉弁61を開くことで、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水を、主供給ライン101、第一処理水供給ライン60を通して散水部23に供給できる。また、処理水供給ライン100では、第二開閉弁71を開くことで、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水を、主供給ライン101、第二処理水供給ライン70を通して、希釈槽30に吸収水として供給できる。
【0044】
外部水導入部80は、外部から第一処理水供給ライン60に水を供給可能とされている。外部水導入部80は、外部水導入ライン81と、第三開閉弁82と、を備えている。
外部水導入ライン81は、第一処理水供給ライン60の途中に接続されている。具体的には、外部水導入ライン81は、第一開閉弁61と散水部23との間の第一処理水供給ライン60の途中に合流接続されている。外部水導入ライン81には、例えば、浮体本体2内に設けられた水タンク(図示せず)に貯留された水(例えば、清水)、または浮体外部より取り入れられた水(例えば、海水等)が供給される。第三開閉弁82は、外部水導入ライン81の途中に設けられている。第三開閉弁82を開閉することで、外部水導入ライン81を通した外部からの水の第一処理水供給ライン60への導入を断続可能とされている。
【0045】
アンモニア処理システム10は、水切替部85を備えている。水切替部85は、散水部23に供給する水を、第一処理水供給ライン60により供給される処理水と、外部水導入部80により導入される水と、の間で切替可能とする。本実施形態の水切替部85は、上記した第一開閉弁61と、第三開閉弁82とにより構成されている。水切替部85では、第一開閉弁61を開くとともに、第三開閉弁82を閉じることで、第一処理水供給ライン60から散水部23に処理水を供給することができる。また、水切替部85においては、第一開閉弁61を閉じるとともに、第三開閉弁82を開くことで、外部水導入ライン81により外部から供給される水を散水部23に供給することができる。
【0046】
(作用効果)
上記第一実施形態では、ガス導入部22からケーシング21内に導入されたアンモニアガスGに対し、散水部23によりケーシング21内の上部から散水することで、アンモニア水に含まれるアンモニアが吸収される。アンモニアを吸収することで生成されたアンモニア水は、ケーシング21の下部から排水部25により排出される。排水部25から排出されたアンモニア水は、アンモニア水導入ライン90により、吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50に導入される。アンモニア成分除去部では、導入されたアンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去し、処理水を生成する。アンモニア成分除去部50によって生成された処理水は、第一処理水供給ライン60により、吸収塔20の散水部23に供給される。
このように吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50で、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去することで、アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去することが可能となる。
また、アンモニア成分を除去した処理水を、吸収塔20における散水に用いることで、外部から導入する水の量を抑え、アンモニア処理システム10を効率良く運用することができる。
【0047】
また、上記第一実施形態では、吸収塔20の排水部25から排出されたアンモニア水は、導入ライン本体91を通してアンモニア水貯留タンク40に貯留される。その後、アンモニア水貯留タンク40に貯留されたアンモニア水は、アンモニア水導入ライン90により、吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50に導入される。このようにすることで、吸収塔20の排水部25から排出されたアンモニア水を、一旦、アンモニア水貯留タンク40にある程度貯留した後に、アンモニア成分除去部50に供給することができる。したがって、アンモニア成分除去部50を常時稼働させる必要が無くなり、省エネルギー化を図ることができる。
【0048】
さらに、上記第一実施形態では、希釈槽30で、吸収水の中にアンモニアガスGを導入させることで、アンモニア濃度が希釈されたアンモニアガスGを、吸収塔20のケーシング21内に導入することにより、吸収塔20でアンモニアを、より効率良く水に吸収させることができる。また、希釈槽30では、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水が、第二処理水供給ライン70を通して吸収水として供給される。これにより、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水を有効利用し、希釈槽30で吸収水として用いるために、外部から導入する水の量を抑えることができる。
【0049】
また、上記第一実施形態では、取水部58から取水された海水に電気分解部51で電気分解を施すことで、次亜塩素酸ソーダを含む海水電解液を生成し、アンモニア成分除去部50では、アンモニア水と生成された海水電解液との混合液を反応させることによって、脱窒素反応が生じ、アンモニア水からアンモニアが除去される。このように、アンモニア除去のために、海水を用いることで、特に、このようなアンモニア処理システムが浮体1に設けられている場合、浮体1が浮かぶ海から海水を取水すればよいので、アンモニア処理のために必要な次亜塩素酸ソーダを容易に取得することができる。
【0050】
また、上記第一実施形態では、散水部23に供給する水として、外部水導入部80で外部から導入した水を利用可能となる。これにより、散水部23で散水するための水の選択肢を増やすことができる。
【0051】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態に係るアンモニア処理システムについて説明する。この第二実施形態は、第一実施形態と、処理水貯留タンク200を備える構成のみが異なるので、図1を援用し、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0052】
(アンモニア処理システムの全体構成)
図3は、本開示の第二実施形態に係るアンモニア処理システムの構成を示す図である。
図3に示すように、この第二実施形態のアンモニア処理システム10Bは、吸収塔20と、希釈槽30と、アンモニア水貯留タンク40と、アンモニア成分除去部50と、アンモニア水導入ライン90と、処理水供給ライン100Bと、処理水貯留タンク200と、を少なくとも備えている。なお、このアンモニア処理システム10Bは、第一実施形態で示した外部水導入部80を備えていない。
【0053】
処理水供給ライン100Bは、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水を、吸収塔20、及び希釈槽30に供給する。処理水供給ライン100Bは、主供給ライン101Bと、第一処理水供給ライン60と、第二処理水供給ライン70と、を備えている。主供給ライン101Bの一端101cは、アンモニア成分除去部50に接続されている。主供給ライン101Bの他端101dは、第一処理水供給ライン60の一端60a及び第二処理水供給ライン70の一端70aに接続されている。
【0054】
処理水貯留タンク200は、主供給ライン101Bの途中に設けられている。処理水貯留タンク200は、アンモニア成分除去部50で生成された処理水を貯留する。処理水貯留タンク200は、処理水を一時的に貯留可能な、いわゆるバッファタンクとして機能する。処理水貯留タンク200の下流側の主供給ライン101Bには、処理水貯留タンク200に貯留された処理水を、第一処理水供給ライン60、第二処理水供給ライン70に送り込むポンプ103が設けられている。この第二実施形態で例示する処理水貯留タンク200には、浮体1の内部又は外部から清水や海水を注水可能となっている。このような注水可能な構成により、例えば、処理水貯留タンク200に貯留された処理水にアンモニアが残留している場合、処理水のアンモニア濃度を低下させることが可能となっている。
【0055】
第一処理水供給ライン60は、処理水貯留タンク200に貯留された処理水を、散水部23に供給する。具体的には、第一処理水供給ライン60は、処理水貯留タンク200から主供給ライン101Bを介してポンプ103により送り出された処理水を、散水部23に供給する。また、第二処理水供給ライン70は、処理水貯留タンク200に貯留された前記処理水を希釈槽30に供給する。具体的には、第二処理水供給ライン70は、処理水貯留タンク200から主供給ライン101Bを介してポンプ103により送り出された処理水を、希釈槽30に供給する。
【0056】
(作用効果)
上記第二実施形態のアンモニア処理システム10Bでは、上記第一実施形態と同様、吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50で、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去することで、アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去することが可能となる。
【0057】
また、上記第二実施形態では、アンモニア成分除去部50で生成された処理水は、処理水貯留タンク200に貯留された後、第一処理水供給ライン60を通して散水部23に供給される。これにより、アンモニア成分除去部50における処理水の生成状況の影響を受けるのを抑え、処理水を処理水貯留タンク200から散水部23に安定して供給することができる。
【0058】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、アンモニア成分除去部50で生成された処理水を、散水部23と、希釈槽30とに供給するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、処理水を、その他の供給対象に供給するようにしてもよい。
また、アンモニア成分除去部50で生成された処理水に次亜塩素酸ソーダが残留している場合、アンモニア成分除去部50で生成された処理水を、浮体1における海洋生成物の付着を防止するために利用してもよい。
また、アンモニア成分除去部50は、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去して処理水を生成することができるのであれば、脱窒素反応部53を有するものに限らず、適宜他の方式のものを用いてもよい。
【0059】
<付記>
各実施形態に記載のアンモニア処理システム10,10B、浮体1は、例えば以下のように把握される。
【0060】
(1)第1の態様に係るアンモニア処理システム10,10Bは、ケーシング21、前記ケーシング21内にアンモニアを含むアンモニアガスGを導入するガス導入部22、前記ケーシング21内の上部から散水することで前記アンモニアを吸収してアンモニア水を生成する散水部23、及び、前記ケーシング21の下部から前記アンモニア水を排出する排水部25を有する吸収塔20と、前記吸収塔20の外部に設けられ、前記アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去して処理水を生成するアンモニア成分除去部50と、前記排水部25から排出された前記アンモニア水を前記アンモニア成分除去部50へ導入させるアンモニア水導入ライン90と、前記アンモニア成分除去部50によって生成された前記処理水を前記散水部23に供給する第一処理水供給ライン60と、を備える。
【0061】
このアンモニア処理システム10,10Bによれば、吸収塔20において、ガス導入部22からケーシング21内に導入されたアンモニアガスGに対し、散水部23によりケーシング21内の上部から散水することで、アンモニアガスGに含まれるアンモニアが水に吸収される。アンモニアを吸収することで生成されたアンモニア水は、ケーシング21の下部から排水部25により排出される。排水部25から排出されたアンモニア水は、アンモニア水導入ライン90により、吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50に導入される。アンニア成分除去部では、導入されたアンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去し、処理水を生成する。アンモニア成分除去部50によって生成された処理水は、第一処理水供給ライン60により、吸収塔20の散水部23に供給される。
このようにして、吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50で、アンモニア水に含まれるアンモニア成分を除去することで、アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去することが可能となる。
また、アンモニア成分を除去した処理水を、吸収塔20における散水に用いることで、外部から導入する水の量を抑え、アンモニア処理システム10,10Bを効率良く運用することができる。
【0062】
(2)第2の態様に係るアンモニア処理システム10Bは、(1)のアンモニア処理システム10Bであって、前記アンモニア成分除去部50で生成された前記処理水を貯留する処理水貯留タンク200を更に備え、前記第一処理水供給ライン60は、前記処理水貯留タンク200に貯留された前記処理水を、前記散水部23に供給する。
【0063】
これにより、アンモニア成分除去部50で生成された処理水は、処理水貯留タンク200に貯留された後、第一処理水供給ライン60を通して散水部23に供給される。これにより、アンモニア成分除去部50における処理水の生成状況の影響を受けるのを抑え、処理水を処理水貯留タンク200から散水部23に安定して供給することができる。
【0064】
(3)第3の態様に係るアンモニア処理システム10,10Bは、(1)又は(2)のアンモニア処理システム10,10Bであって、前記アンモニア水導入ライン90は、前記吸収塔20の前記排水部25と前記アンモニア成分除去部50とを接続する導入ライン本体91と、前記導入ライン本体91の途中に設けられて前記排水部25から排出された前記アンモニア水を貯留可能なアンモニア水貯留タンク40と、を備える。
【0065】
これにより、吸収塔20の排水部25から排出されたアンモニア水は、導入ライン本体91を通してアンモニア水貯留タンク40に貯留される。その後、アンモニア水貯留タンク40に貯留されたアンモニア水は、アンモニア水導入ライン90により、吸収塔20の外部に設けられたアンモニア成分除去部50に導入される。このようにすることで、吸収塔20の排水部25から排出されたアンモニア水を、一旦、アンモニア水貯留タンク40にある程度貯留した後に、アンモニア成分除去部50に供給することができる。したがって、アンモニア成分除去部50を常時稼働させる必要が無くなり、省エネルギー化を図ることができる。
【0066】
(4)第4の態様に係るアンモニア処理システム10,10Bは、(1)から(3)の何れか一つのアンモニア処理システム10,10Bであって、アンモニアを吸収する吸収水を貯留可能とされ、前記吸収水の中にアンモニアを含むアンモニアガスGを導入させて前記アンモニアガスGのアンモニア濃度を低下させる希釈槽30と、前記アンモニア成分除去部50によって生成された前記処理水を前記吸収水として前記希釈槽30へ供給する第二処理水供給ライン70と、を更に備え、前記ガス導入部22は、前記希釈槽30で希釈された前記アンモニアガスGを前記ケーシング21内に導入する。
【0067】
これにより、希釈槽30で、吸収水の中にアンモニアガスGを導入させることで、アンモニア濃度が希釈されたアンモニアガスGを、吸収塔20のケーシング21内に導入することができ、吸収塔20でアンモニアを、より効率良く吸収することができる。また、希釈槽30では、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水が、第二処理水供給ライン70を通して吸収水として供給される。これにより、アンモニア成分除去部50によって生成された処理水を有効利用し、希釈槽30で吸収水として用いるために、外部から導入する水の量を抑えることができる。
【0068】
(5)第5の態様に係るアンモニア処理システム10,10Bは、(1)から(4)の何れか一つのアンモニア処理システム10,10Bであって、海水を取水する取水部58を更に備え、前記アンモニア成分除去部50は、前記取水部58から取水された前記海水に電気分解を施すことで、次亜塩素酸ソーダを含む海水電解液を生成する電気分解部51と、前記アンモニア水と前記電気分解部51で生成された前記海水電解液との混合液を反応させる脱窒素反応部53と、を備える。
【0069】
これにより、取水部58から取水された海水に電気分解を施して次亜塩素酸ソーダを含む海水電解液を生成し、この海水電解液とアンモニア水との混合液を反応させることによって、脱窒素反応を生じさせて、アンモニア水からアンモニアを除去することができる。このように、海水を用いてアンモニアを除去できるため、特に、このようなアンモニア処理システム10、10Bが浮体1に設けられている場合、浮体1が浮かぶ周囲の海から海水を取水すればよいので、アンモニア処理のために必要な次亜塩素酸ソーダを容易に取得することができる。
【0070】
(6)第6の態様に係るアンモニア処理システム10は、(1)から(5)の何れか一つのアンモニア処理システム10であって、外部から水を導入する外部水導入部80と、前記散水部23に供給する水を、前記第一処理水供給ライン60により供給される前記処理水と、前記外部水導入部80により導入される水と、の間で切替可能とする水切替部85と、を更に備える。
これにより、散水部23に供給する水として、外部水導入部80で外部から導入した水を利用可能となる。これにより、散水部23で散水するための水の選択肢を増やすことができる。
【0071】
(7)第7の態様に係る浮体1は、浮体本体2と、前記浮体本体2に設けられた、(1)から(6)の何れか一つのアンモニア処理システム10,10Bと、を備える。
これにより、アンモニアを含む水からアンモニアを十分に除去することができるアンモニア処理システム10,10Bを備えた浮体1を提供することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…浮体 2…浮体本体 2a…船首 4…上部構造 5A,5B…舷側 6…船底 7…上甲板 8…ファンネル 10,10B…アンモニア処理システム 20…吸収塔 21…ケーシング 21s…内部空間 22…ガス導入部 221…ガス供給ライン 222…開閉弁 23…散水部 232…ノズル 24…ガス放出部 241…ガス放出ライン 25…排水部 30…希釈槽 31…アンモニア導入ライン 315…散気管 32…混合部 321…ミキサー 322…吸収水供給ライン 323…吸収水循環ポンプ 33…希釈気体導入ライン 33f…希釈ファン 35…吸収水導入ライン 36…清水導入ライン 38…希釈吸収水排出ライン 40…アンモニア水貯留タンク 41…ガス吐出ライン 42…開閉弁 50…アンモニア成分除去部 51…電気分解部 53…脱窒素反応部 58…取水部 59…放流部 60…第一処理水供給ライン 60a…一端 60b…他端 61…第一開閉弁 70…第二処理水供給ライン 70a…一端 70b…他端 71…第二開閉弁 80…外部水導入部 81…外部水導入ライン 82…第三開閉弁 85…水切替部 90…アンモニア水導入ライン 91…導入ライン本体 911…導入ライン上流部 912…導入ライン下流部 100,100B…処理水供給ライン 101,101B…主供給ライン 101a,101c…一端 101b,101d…他端 102,103…ポンプ 200…処理水貯留タンク FA…船首尾方向 G…アンモニアガス
図1
図2
図3