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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042184
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】蒸気回収装置および加熱装置ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20240321BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F24C15/20 B
F24C1/00 310D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146719
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 健介
(72)【発明者】
【氏名】永井 友三
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制して、蒸気捕集率を向上させることのできる蒸気回収装置を提供する。
【解決手段】
蒸気凝縮部60を備える蒸気回収装置1であって、蒸気凝縮部は、蒸気S1が通過する第1通路61と、第1通路内に第1通路と区画して設けられ、蒸気回収装置の周囲の空気A2が通過する第2通路62と、を有する
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気凝縮部を備える蒸気回収装置であって、
前記蒸気凝縮部は、
蒸気が通過する第1通路と、
前記第1通路内に前記第1通路と区画して設けられ、前記蒸気回収装置の周囲の空気が通過する第2通路と、を有する蒸気回収装置。
【請求項2】
前記第1通路は、複数のバッフル板が互い違いに配置された領域を備え、前記蒸気が蛇行状に通過する、請求項1に記載の蒸気回収装置。
【請求項3】
前記蒸気凝縮部は、
前記第2通路に前記周囲の空気を供給する送風ファンを有する、請求項1または2に記載の蒸気回収装置。
【請求項4】
前記送風ファンによって供給される、前記第2通路を通過する前記周囲の空気の流速は、2.0m/s以上である、請求項3に記載の蒸気回収装置。
【請求項5】
加熱装置から生じた前記蒸気の一部を前記加熱装置の外に排出するために、前記加熱装置に設けられる蒸気排出口と接続される接続部と、
前記蒸気を取り込むための排気ファンと、をさらに有し、
前記排気ファンが作動した状態で、前記接続部における前記蒸気の流速が1.5m/s以下となるように構成した、請求項1または2に記載の蒸気回収装置。
【請求項6】
前記第2通路は、前記蒸気回収装置の少なくとも二つの面に連続するように構成される、請求項1または2に記載の蒸気回収装置。
【請求項7】
前記蒸気回収装置の少なくとも一つの面には前記蒸気および前記周囲の空気が通過する本体開口部が形成され、
前記第2通路は、少なくとも前記本体開口部が設けられる面側に配置される、請求項1または2に記載の蒸気回収装置。
【請求項8】
前記第1通路は、前記複数のバッフル板が互い違いに配置された領域を前記第2通路の一部が通過するように構成されており、
前記第1通路は、前記第2通路の一部が延在する延在方向から視て左右方向の一の端部に、一の前記バッフル板によって前記蒸気が通過する開口領域が形成され、
前記一のバッフル板に隣り合う他の前記バッフル板により前記左右方向の他の端部に前記蒸気が通過する開口領域が形成される、請求項2に記載の蒸気回収装置。
【請求項9】
前記第2通路の一部は、前記第1通路の前記複数のバッフル板が互い違いに配置された領域を貫通するように形成される、請求項2に記載の蒸気回収装置。
【請求項10】
前記第2通路は、一の前記バッフル板および前記一のバッフル板に隣り合う他の前記バッフル板の間に沿って流れる前記蒸気の進行方向ならびに前記一のバッフル板が前記他のバッフル板に臨む方向と交差する方向に複数設けられる、請求項2または8に記載の蒸気回収装置。
【請求項11】
前記蒸気凝縮部は、複数の前記第2通路および送風ファンを連結する連結部をさらに有し、
前記連結部には、前記複数の第2通路にそれぞれ連通して区画されるように、1つ以上の仕切板が設けられる、請求項10に記載の蒸気回収装置。
【請求項12】
請求項1または2に記載の蒸気回収装置と、
前記加熱装置と、を有する加熱装置ユニット。
【請求項13】
前記加熱装置は、加熱庫の開口部に開閉自在なドアを有する、請求項12に記載の加熱装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気回収装置および加熱装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気を使用して食材を調理するスチームコンベクションオーブン(以下、加熱装置と称する)が知られている。加熱装置は、食材を水蒸気と熱風で加熱して調理するものである。加熱装置には、調理によって発生した水蒸気や熱風を排出する蒸気排出口が、装置の天面に設けられている。
【0003】
調理中に加熱装置の蒸気排出口から排出される蒸気、または調理後に加熱装置のドア開放によって排出される蒸気は、厨房空間に排出されるため、加熱装置は換気設備の直下、あるいは近傍に配置されることが望ましい。しかしながら、厨房環境によっては、このような場所に加熱装置を設置できない場合がある。このとき、排出される蒸気によって、施設の天井等において結露を発生させてしまい、厨房環境を悪化させてしまうという問題がある。このため、蒸気を回収することが求められている。
【0004】
これに関連して、例えば下記の特許文献1には、加熱装置の上方に換気装置を接続して、加熱装置から排出される蒸気を回収する蒸気回収装置が開示されている。特許文献1の構成では、排出フード内に複数のバッフルが傾斜または垂直に配置されて蒸気通路部を形成し、蒸気は蒸気通路部で凝縮され、排出空気として出口開口から排出される。
【0005】
特許文献1に開示された蒸気回収装置は、フード入口近傍から排気ファンの直前まで複数のバッフル板をラビリンス構造に多数配置して構成される蒸気凝縮部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第4423557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の蒸気回収装置であれば、調理装置のドア開放により生じる水蒸気や熱気を捕集し装置内で水蒸気を回収できる。しかしながら、蒸気捕集率を向上させるためには、バッフル板の枚数を増やしてラビリンス通路を長くする必要があり、この結果、装置の大型化や装置内部スペースの圧迫につながる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、装置の大型化を抑制して、蒸気捕集率を向上させることのできる蒸気回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)
蒸気凝縮部を備える蒸気回収装置であって、
前記蒸気凝縮部は、
蒸気が通過する第1通路と、
前記第1通路内に前記第1通路と区画して設けられ、前記蒸気回収装置の周囲の空気が通過する第2通路と、を有する蒸気回収装置。
【0011】
(2)
前記第1通路は、複数のバッフル板が互い違いに配置された領域を備え、前記蒸気が蛇行状に通過する、(1)に記載の蒸気回収装置。
【0012】
(3)
前記蒸気凝縮部は、
前記第2通路に前記周囲の空気を供給する送風ファンを有する、(1)または(2)に記載の蒸気回収装置。
【0013】
(4)
前記送風ファンによって供給される、前記第2通路を通過する前記周囲の空気の流速は、2.0m/s以上である、(3)に記載の蒸気回収装置。
【0014】
(5)
加熱装置から生じた前記蒸気の一部を前記加熱装置の外に排出するために、前記加熱装置に設けられる蒸気排出口と接続される接続部と、
前記蒸気を取り込むための排気ファンと、をさらに有し、
前記排気ファンが作動した状態で、前記接続部における前記蒸気の流速が1.5m/s以下となるように構成した、(1)~(4)のいずれか1つに記載の蒸気回収装置。
【0015】
(6)
前記第2通路は、前記蒸気回収装置の少なくとも二つの面に連続するように構成される、(1)~(5)のいずれか1つに記載の蒸気回収装置。
【0016】
(7)
前記蒸気回収装置の少なくとも一つの面には前記蒸気および前記周囲の空気が通過する本体開口部が形成され、
前記第2通路は、少なくとも前記本体開口部が設けられる面側に配置される、(1)~(6)のいずれか1つに記載の蒸気回収装置。
【0017】
(8)
前記第1通路は、前記複数のバッフル板が互い違いに配置された領域を前記第2通路の一部が通過するように構成されており、
前記第1通路は、前記第2通路の一部が延在する延在方向から視て左右方向の一の端部に、一の前記バッフル板によって前記蒸気が通過する開口領域が形成され、
前記一のバッフル板に隣り合う他の前記バッフル板により前記左右方向の他の端部に前記蒸気が通過する開口領域が形成される、(2)に記載の蒸気回収装置。
【0018】
(9)
前記第2通路の一部は、前記第1通路の前記複数のバッフル板が互い違いに配置された領域を貫通するように形成される、(2)または(8)に記載の蒸気回収装置。
【0019】
(10)
前記第2通路は、一の前記バッフル板および前記一のバッフル板に隣り合う他の前記バッフル板の間に沿って流れる蒸気の進行方向ならびに前記一のバッフル板が前記他のバッフル板に臨む方向と交差する方向に複数設けられる、(2)、(8)または(9)に記載の蒸気回収装置。
【0020】
(11)
前記蒸気凝縮部は、複数の前記第2通路および前記送風ファンを連結する連結部をさらに有し、
前記連結部には、前記複数の第2通路にそれぞれ連通して区画されるように、1つ以上の仕切板が設けられる、(1)~(10)のいずれか1つに記載の蒸気回収装置。
【0021】
(12)
(1)~(11)のいずれか1つに記載の蒸気回収装置と、
前記加熱装置と、を有する加熱装置ユニット。
【0022】
(13)
前記加熱装置は、加熱庫の開口部に開閉自在なドアを有する、(12)に記載の加熱装置ユニット。
【発明の効果】
【0023】
上記のように構成された蒸気回収装置によれば、蒸気が通過する第1通路、および第1通路内に第1通路と区画して設けられ、蒸気回収装置の周囲の空気が通過する第2通路が設けられるため、装置の大型化を抑制したまま、熱交換面積を確保でき、蒸気回収装置の周囲の空気によって、好適に蒸気の凝縮を促進させることができる。以上から、装置の大型化を抑制して、蒸気捕集率を向上させることのできる蒸気回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る加熱装置ユニットを示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る蒸気回収装置を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る蒸気回収装置を示す正面図である。
図4図3の4-4線に沿う斜視断面図である。
図5図3の4-4線に沿う断面図である。
図6】本実施形態に係る加熱装置ユニットを左側面から視たときの斜視図である。
図7】本実施形態に係る蒸気回収装置から左側面パネルおよびフード部を取り外したときの図6に対応する図である。
図8】本実施形態に係る蒸気回収装置の蒸気凝縮部の構成を説明するための図である。
図9】本実施形態に係る蒸気回収装置の蒸気凝縮部の構成を説明するための図である。
図10】本実施形態に係る蒸気回収装置の蒸気凝縮部の構成を説明するための図である。
図11】本実施形態に係る蒸気回収装置を示す右側面図である。
図12図11の12-12線に沿う断面図である。
図13】変形例に係る蒸気回収装置の蒸気凝縮部の構成を示す斜視図である。
図14】変形例に係る蒸気回収装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1図12を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る加熱装置ユニット5を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る蒸気回収装置1を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る蒸気回収装置1を示す正面図である。図4は、図3の4-4線に沿う斜視断面図である。図5は、図3の4-4線に沿う断面図である。図6は、本実施形態に係る加熱装置ユニット5を左側面から視たときの斜視図である。図7は、本実施形態に係る蒸気回収装置1から左側面パネル23およびフード部30を取り外したときの図6に対応する図である。図8図10は、本実施形態に係る蒸気回収装置1の蒸気凝縮部60の構成を説明するための図である。図11は、本実施形態に係る蒸気回収装置1を示す右側面図である。図12は、図11の12-12線に沿う断面図である。
【0027】
以下の説明において、加熱装置90のドア91を正面から視て左右方向をX方向と称し、加熱装置ユニット5の奥行方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する(図1参照)。また、X方向の右側がプラス側、Y方向の奥側がプラス側、Z方向の上側がプラス側とする。また、以下の説明において、第一吸気口32および第二吸気口33から吸気される空気を「外部の空気A1」と称し、第2通路62を通過する空気を「周囲の空気A2」と称して、それぞれ区別する。厳密には区別できるものではないが、第一吸気口32から吸気される「外部の空気A1」は、加熱装置90から距離が離れているため、蒸気の割合が比較的少ない室温空気である。第二吸気口33から吸気される「外部の空気A1」は、加熱装置90から距離が近いため、蒸気の割合が比較的多い室温空気である。第2通路62を通過する「周囲の空気A2」は、加熱装置90のドア91から距離が離れているため、蒸気の割合が最も少ない室温空気である。
【0028】
本実施形態に係る加熱装置ユニット5は、図1に示すように、加熱装置90と、蒸気回収装置1と、を有する。以下、加熱装置90の構成について説明するが、以下の説明は一例であって、加熱装置90の構成は、以下の構成に限定されるものではない。
【0029】
加熱装置90は、食材を水蒸気と熱風で加熱して調理するものである。加熱装置90は、開閉自在なドア91と、調理によって発生した水蒸気や熱風を排出する蒸気排出口92(図7参照)と、を有する。蒸気排出口92は、蒸気回収装置1の接続部64(図8参照)と接続される。
【0030】
ドア91は、加熱装置ユニット5の正面側の開口部90Hに設けられる。蒸気排出口92は、加熱装置90の天面に設けられている。
【0031】
加熱装置90内での調理中において、加熱装置90内の蒸気S1は、蒸気排出口92および接続部64を介して、後述する蒸気凝縮部60の第1通路61(図7図10等参照)に流入する。また加熱装置90の調理後において、ドア91を開放することによって排出される加熱装置90内の蒸気S2(図4参照)は、開口部90HからZ方向のプラス側に移動して、後述するフード部30に流入する。
【0032】
蒸気回収装置1は、図1図12に示すように、筐体本体10と、筐体本体10の内部に配置される送風機40と、を有する。以下、各構成について説明する。
【0033】
<筐体本体10>
筐体本体10は、図1図12に示すように、送風機40を収容する筐体胴部20と、筐体胴部20のY方向のマイナス側(手前側)に隣り合うように配置されるフード部30と、を有し、筐体胴部20の内部には、蒸気凝縮部60が設けられる。
【0034】
<筐体胴部20>
筐体胴部20は、図1図11に示すように、正面側に設けられる正面パネル21と、正面側から視て右側(X方向のプラス側)に設けられる右側面パネル22と、正面側から視て左側(X方向のマイナス側)に設けられる左側面パネル23と、背面側に設けられる背面パネル24と、天面に設けられる天面パネル25と、底面に設けられて結露水が流下する傾斜パネル27と、筐体胴部20の内部に設けられ、外部の空気A1が吸気部80から排気部25Hへ向かう本体風路28と、を有する。
【0035】
正面パネル21には、図4に示すように、筐体本体10の周囲の外部の空気A1を吸気する吸気部80を構成する本体開口部21Aが形成されている。
【0036】
また、正面パネル21は、図4に示すように、X方向のプラス側から視たときに、Y方向のプラス側に延在する一対の縦壁部21Bを有する。下側の縦壁部21Bには、図4に示すように、複数の貫通孔21H(図4では9つ)が形成されており、貫通孔21Hを介して、本体風路28、および後述する蒸気凝縮部60の第1通路61が連通されている。貫通孔21Hは、第1通路61の出口端61Eに相当する。
【0037】
正面パネル21の近傍には、図4に示すように、吸気部80から吸気される外部の空気A1および加熱装置90から排出される蒸気S2の混合を促進する混合部110が設けられる。混合部110において、蒸気S2は外部の空気A1と混合されることによって温度が低下して、蒸気S2が凝縮される。
【0038】
ここで蒸気Sには、調理中に発生して、蒸気排出口92、蒸気凝縮部60の第1通路61、および貫通孔21Hを介して、混合部110近傍まで流れる蒸気S1(図4図8図10参照)と、調理後にドア91を開放した際に、フード部30の吸気部80を介して、混合部110近傍まで流れる蒸気S2(図4参照)が存在する。
【0039】
混合部110の構成は、図4に示すように、外部の空気A1および蒸気Sの混合気体の流れをZ方向のプラス側およびマイナス側に整流する整流板111と、整流板111によって整流された混合気体が互いに衝突する方向に流れる気流衝突領域112と、を有する。気流衝突領域112は、図4に示すように、整流板111に対してY方向の奥側に配置される一対の板部材113によって構成される。ここで気流衝突領域112をより具体的に説明する。混合部110における構成部材は、空気の流れの上流から整流板111、Y方向のプラス側に延在する一対の縦壁部21B、縦壁部21BのY方向の端部からZ方向のプラス側またはマイナス側に延在する板部材113の順に配置されており、Z方向のプラス側に延在する板部材113とZ方向のマイナス側に延在する板部材113との間には混合気体が筐体胴部20の内に流入するための空間が形成されている。ここで気流衝突領域112における混合気体の流れを詳述すると、混合気体が整流板111によってZ方向のプラス側およびマイナス側に整流された後、縦壁部21Bに衝突することによりY方向のプラス側に進路が変更され、その後、板部材113に衝突することにより再びZ方向に進路が変更される。すなわち、整流板111によりZ方向のプラス側に整流された混合気体は板部材113によりZ方向のマイナス側に進路が変更され、整流板111によりZ方向のマイナス側に整流された混合気体は板部材113によりZ方向のプラス側に進路が変更され、気流衝突領域112において衝突して混合が促進される。このように、混合部110は、筐体本体10の正面パネル21の入口近傍に配置されるため、筐体本体10の内部にバッフル板66を多数配置する必要など蒸気の凝縮構造を設ける必要がなく筐体本体10の内部スペースを占有しない。また、縦壁部21Bと板部材113があることによって、吸込み隙間を狭めることができているので、この隙間を通過する混合気体の流速は高くなる。このため混合気体が気流衝突領域112において衝突する際に激しい衝突になり混合が促進される。また、流速が高くなることにより混合気体をもらさず筐体胴部20の中に取り込むことが可能となる。したがって、簡便な機構で外部の空気A1および蒸気Sの混合を促進させることができ、筐体本体10の内部の設計自由度が確保される。
【0040】
本体風路28は、フード部30の吸気口31から排気部25Hまでの間の空気の流路を構成する。送風機40によって生じる空気の流れ(外部の空気A1および蒸気Sの流れ)を、図4を用いて説明する。送風機40が作動すると、外部の空気A1や蒸気S2は、上流であるフード部30から本体開口部21Aに形成された混合部110を経て、筐体胴部20の内部へ流入する。蒸気S1も同様で、本体開口部21Aに形成された貫通孔21Hから混合部110へ到達した後、筐体胴部20の内部へ流入する。筐体胴部20の内部を通過する外部の空気A1や蒸気S(S1、S2)は、送風機40を通過して蒸気回収装置1の本体風路28における最下流である排気部25Hへ到達する。ここで、後述する第2凝縮部99における空気の流れを具体的に説明する。混合部110を通過した外部の空気A1と蒸気Sの混合気体は、混合部110の奥側(Y方向のプラス側)に配された第2凝縮部99を通過する。第2凝縮部99を通過する混合気体は第2通路62と接触して凝縮され、傾斜パネルの方向(Z方向のマイナス側)に開口された送風機40の吸込口の方向に移動する。そして、送風機40内を通過して排気部25Hから排気される。
【0041】
背面パネル24には、図8図9に示すように、後述する蒸気凝縮部60の第2通路62に連通する背面パネル貫通孔24Hが設けられる。貫通孔24Hの個数や形状は特に限定されない。背面パネル貫通孔24Hは、第2通路62を通過する周囲の空気A2が最終的に排出される孔である。より具体的には、筐体胴部20の右側面パネル22に配置される送風ファン63から取り込まれた周囲の空気A2は、蒸気回収装置1の正面の第2通路62を通過した後、蒸気回収装置1の左面の第2通路62を通過し、背面パネル24の背面パネル貫通孔24Hから外部に排出される(図10矢印参照)。このように、周囲の空気A2が排気される背面パネル貫通孔24Hが背面パネル24に設けられるため、厨房の作業者や他の調理装置に周囲の空気A2があたることを防止できる。
【0042】
天面パネル25には、図1等に示すように、吸気部80において吸気された外部の空気A1や蒸気凝縮部60において凝縮された後の蒸気S(S1、S2)を排気する排気部25Hが設けられる。排気部25Hは、送風機40の略上方に配置される。排気部25Hから排気される空気は、蒸気凝縮部60における凝縮、混合部110における混合を経て、水分量が少なくなった蒸気であるため、施設の天井等に結露を生じさせにくい。
【0043】
傾斜パネル27は、図4図5に示すように、Y方向のマイナス側に連れて上方となるように傾斜して配置される。この構成によれば、筐体胴部20内で生じた結露水を排水できる。詳細に説明すると、傾斜パネル27は、結露水が奥行方向(Y方向のプラス側)に流れるように傾斜するとともに、Y方向から接続部64の方向(X方向のマイナス側)へ流れるように傾斜するように構成されている。このため、筐体胴部20内で生じた結露水は、奥行方向に流れた後に、接続部64の方向へ流れ、最終的に接続部64から加熱装置90の蒸気排出口92へ排出され、蒸気排出口92と連通している排水口から、加熱装置外部の施設の排水溝へ排水されることになる。なお、同様に、蒸気凝縮部60で生じた結露水は、傾斜パネル27を流下して接続部64から排出される。
【0044】
<フード部30>
フード部30は、吸気口31から取り込まれた外部の空気A1が流入する。フード部30は、筐体胴部20に固定される。フード部30の筐体胴部20に対する固定方法は、特に限定されない。
【0045】
吸気口31は、図4に示すように、フード部30の上方に設けられる第一吸気口32と、第一吸気口32とは異なる方向から外部の空気A1を流入させる第二吸気口33と、を有する。第二吸気口33は、加熱装置90に設置された状態で、加熱装置90の近い位置に設けられるとともに蒸気が排出する方向に開口しているため、ドア91開放時の蒸気を吸気する。第一吸気口32は、フード部30の上方で主に外部の空気A1を吸気する。第二吸気口33は、図4に示すように、フード部30のZ方向のマイナス側に設けられる。このとき、第二吸気口33から比較的温度が高い蒸気が流入し、第一吸気口32から比較的温度が低い蒸気が流入する。この結果、フード部30内部の空間においては、温度の異なる外部の空気A1および蒸気がまだらに存在する状態となり、このまだらに分布する外部の空気A1および蒸気が混合部110において混合されるため、混合部110における外部の空気A1および蒸気の混合がより促進される。
【0046】
加熱装置90において調理が行われた後に、ドア91を開放することによって、ドア91から排出された蒸気S2は、第一吸気口32および第二吸気口33を介して、フード部30内の吸気部80に流入する。
【0047】
<蒸気凝縮部60>
蒸気凝縮部60は、調理中に加熱装置90の蒸気排出口92から排出される蒸気S1を凝縮する。蒸気凝縮部60は、図7図10に示すように、蒸気S1が通過する第1通路61と、蒸気回収装置1の周囲の空気A2が通過する第2通路62と、第2通路62に周囲の空気A2を供給する送風ファン63と、加熱装置90の蒸気排出口92に接続される接続部64と、第2通路62および送風ファン63を連結する連結部65と、を有する。蒸気凝縮部60は、図4図5図8に示すように、蒸気回収装置1の正面側から視て、左側面側に設けられる第1凝縮部98と、蒸気回収装置1の正面側に設けられる第2凝縮部99と、を有する。
【0048】
第1通路61は、入口端である接続部64から取り込まれた蒸気S1が出口端61Eに向かう通路を形成する。第1通路61は、Y方向に隣り合う複数のバッフル板66がX方向に互い違いに配置された領域を備え、蒸気S1が蛇行状に通過する。
【0049】
本実施形態において、バッフル板66は7枚配置されるが、これに限定されない。また、バッフル板66が互い違いに配置される方向はX方向に限定されない。
【0050】
第1通路61は、図7図10に示すように、複数のバッフル板66が互い違いに配置された領域を第2通路62の一部が通過するように構成されている。具体的には、第1通路61は、複数のバッフル板66が互い違いに配置された領域を第2通路62のY方向に延在する箇所が通過するように構成されている。この構成によれば、バッフル板66間における蒸気S1の進行方向(X方向)に対して、第2通路62がY方向に沿って配置されるため、第1通路61を通過する蒸気S1がX方向(左右方向)に蛇行通過する過程で、蒸気S1よりも温度の低い周囲の空気A2が流れる第2通路62と接触することになる。第2通路62と接触した蒸気S1は温度差により凝縮される。そして、このように構成されている領域が、複数のバッフル板66が互い違いに配置されたラビリンス領域において形成されているので、第2通路62と蒸気S1の接触時間を長くすることができ、熱交換を促進させて、蒸気S1をより凝縮させることができる。
【0051】
第1通路61は、Y方向に沿う背面パネル貫通孔24Hから混合部110の出口近傍までの領域に形成される。また、図7図8に示すように、X方向においては、正面パネル21の本体開口部21Aが形成される領域の残余領域21E(加熱装置90のドア形成領域の残余領域に対応する部分でもある)に形成されている。このように第1通路61は、筐体胴部の比較的コンパクトな範囲において蒸気S1を凝縮することが可能となっている。従来技術において十分な捕集、凝縮効果が得られない場合、バッフル板66を拡大したり、バッフル領域を増やすなどして装置が大型化する可能性があるが、本構成によれば、コンパクトな領域で十分な捕集、凝縮効果が得られるため、蒸気回収装置1の大型化を抑制できる。
【0052】
第1通路61は、図10に示すように、第2通路62の一部が延在する延在方向(Y方向)から視て、左右方向(X方向)の一の端部(例えば右端部)に一のバッフル板66によって蒸気S1が通過する開口領域61Aが形成される。また、第1通路61は、第2通路62の一部が延在する延在方向(Y方向)から視て、左右方向(X方向)の他の端部(例えば左端部)に他のバッフル板66によって蒸気が通過する開口領域61Bが形成される。このように複数のバッフル板66がX方向に互い違いに配置されるため、バッフル板66をつたって結露水がバッフル板66の下に落ちる際に、X方向の空気(蒸気S1)の流れがあるため、開口領域(61A、61B)の方に結露水が流れやすい。ここで例えば開口領域がZ方向の上下に存在する場合は、このような空気(蒸気S1)の流れは利用できないので、例えば、バッフル板66と傾斜パネル27との接地部分に、排出スリットを設けて結露水を排出する必要がある。これに対して本構成は、複数のバッフル板66がX方向に互い違いに配置されるため、排出スリットを設ける必要がない。
【0053】
第2通路62は、第1通路61内に第1通路61と区画して設けられる。第2通路62は、送風ファン63によって取り込まれた蒸気回収装置1の周囲の空気A2が通過する。
【0054】
第2通路62は、図8図10に示すように、蒸気回収装置1の少なくとも二つの面に連続するように構成される。具体的には、第2通路62は、蒸気回収装置1の手前側の正面および左側の側面に連続するように構成される。なお、二つの面は、上記の構成に限定されない。換言すれば、第2通路62は、図8図10に示すように、Y方向に延在する箇所およびX方向に延在する箇所を備えるL字形状を備える。この構成によれば、第2通路62を長くすることができ、熱交換する面積を拡大でき、蒸気S1の凝縮をより促進することができる。
【0055】
また、第2通路62のX方向に延在する箇所は、図10に示すように、正面パネル21側に配置される。この構成によれば、調理後に、ドア91を開放することによって排出される加熱装置90内の蒸気S2を、第2通路62に接触させて、第2通路62を通過する周囲の空気A2によって冷却して、凝縮させることができる。第2通路62のX方向に延在する箇所における、X方向に沿う長さは、正面パネル21の本体開口部21AのX方向に沿う長さと略同一である。
【0056】
また、上述したように、蒸気回収装置1の正面側には、フード部30の吸気口31から外部の空気A1が流入するとともに、出口端61Eを介して、複数のバッフル板66で凝縮しきれなかった蒸気S1の残りが流入する。蒸気回収装置1の正面側の本体風路28では、この外部の空気A1と蒸気S1が合流して混ざり合うことになる。これにより、蒸気回収装置1の正面側の本体風路28では、相対湿度が上がり通過空気が結露し易くなる。このため、本体風路28の混合領域やファン領域において、通過空気から水分が回収され、蒸気回収装置1からの蒸気排出を減らすことができる。
【0057】
第2通路62は、一のバッフル板66および一のバッフル板66に隣り合う他のバッフル板66の間に沿って流れる蒸気S2の進行方向(X方向)、ならびに一のバッフル板66が他のバッフル板66に臨む方向(Y方向)に交差する方向(Z方向)に3つ設けられる。この構成によれば、Z方向にそれぞれ離間して設けられる第2通路62の間にも、蒸気S1を流通させることができ、熱交換面積を拡大させて、より好適に蒸気S1を凝縮させることができる。なお、第2通路62が設けられる個数は、3つに限定されない。第2通路62のY方向に延在する箇所は、Y方向から視たときに、X方向に長い横長形状を備えている。この構成によれば、蒸気S1の左右進行方向(X方向)に対して離間して配置され、X方向に横長になっているため、蒸気S1が第2通路62の隙間を通過しやすく、蒸気S1を第2通路62に満遍なく接触させることができる。
【0058】
送風ファン63は、図1に示すように、筐体本体10の右側面パネル22に配置される。送風ファン63は、右側面パネル22側から周囲の空気A2を取り込んで第2通路62に供給する。周囲の空気A2は、第2通路62のX方向に延在する箇所、Y方向に延在する箇所を通過した後、背面パネル24の背面パネル貫通孔24Hから外部に排気される(図10矢印参照)。このように送風ファン63が設けられることによって、強制的に周囲の空気A2を第2通路62に供給することができ、蒸気S1をより好適に冷却させることができる。
【0059】
送風ファン63によって供給される、第2通路62を通過する周囲の空気A2の流速は、2.0m/s以上であることが好ましい。この構成によれば、送風ファン63によって第2通路62と接触する蒸気を凝縮させるのに足る適切な量の周囲の空気A2を供給することができ、蒸気S1を好適に凝縮させることができる。ここで、第2通路62における流速2.0m/s以上となる箇所は、第2通路62の出口端部(背面パネル24の背面貫通孔24H)である。第2通路62の出口端部で流速が2.0m/s~3.0m/s、第2通路62の他の箇所においては流速が3.0m/s~4.0m/sになるよう周囲の空気A2が供給されるのが好ましい。
【0060】
送風ファン63は、送風機40と電源を同じくしているため、送風機40のオンオフと連動して作動する。すなわち、送風機40運転中は、送風ファン63も作動し、常に第2通路62に周囲の空気A2が供給される状態になる。
【0061】
接続部64は、図8に示すように、蒸気凝縮部60のうち、Y方向のプラス側かつX方向のマイナス側に配置される。接続部64は、加熱装置90から生じた蒸気S1の一部を加熱装置90の外に排出するために、加熱装置90に設けられた蒸気排出口92と接続される。
【0062】
連結部65は、図12に示すように、3つの第2通路62および送風ファン63の間に配置され、3つの第2通路62および送風ファン63を連結する。連結部65は、図12に示すように、Y方向から視たときに、第2通路62から送風ファン63に向けて拡大するように、台形形状を備えている。連結部65には、3つの第2通路62にそれぞれ連通して区画されるように、2つの仕切板65Aが設けられる。2つの仕切板65Aは、X方向およびY方向に延在するように配置されている。この構成によれば、第2通路62に供給される周囲の空気A2の流速を、各第2通路62において均等にすることができる。
【0063】
以上のように構成された蒸気凝縮部60において、調理中に加熱装置90の蒸気排出口92から排出された蒸気S1は、接続部64を介して、蒸気回収装置1の第1通路61に流入する。第1通路61に流入した蒸気S1は、バッフル板66に衝突しつつ出口開口61Sに向かう。蒸気S1は、バッフル板66に衝突することによって、蒸気S1に含まれる湯気、油煙が慣性衝突によって捕集される。また、第1通路61を通過する蒸気S1は、蒸気S1よりも温度の低い周囲の空気A2が流れる第2通路62と接触することで熱交換され、好適に凝縮される。
【0064】
<送風機40>
送風機40は、図4図5に示すように、筐体本体10内に配置される。送風機40は、排気ファン41と、ファンモーター42と、ケーシング43と、を有する。送風機40としては、ターボファンを用いることができる。ターボファンは羽根が少なく幅が薄いことを特徴とするファンである。ターボファンである送風機40を水平に配置することによって、蒸気回収装置1の高さを抑制することができる。
【0065】
送風機40は、スイッチにより作動、弱ノッチ・強ノッチ・切スイッチ、加熱装置90と独立して作動するが、加熱装置90の運転やドア91開放に連動して作動してもよい。
【0066】
調理中において送風機40は、加熱装置90の蒸気排出口92から排出される蒸気S1、第一吸気口32および第二吸気口33から外部の空気A1をそれぞれ吸引する。そして、送風機40は、混合部110において、蒸気S1および外部の空気A1を混合させて、筐体胴部20の排気部25Hから外部に排出する。
【0067】
調理中または調理後においてドア91を開放した際に、送風機40は、吸気部80を介してドア91から流出する蒸気S2、第一吸気口32および第二吸気口33から外部の空気A1をそれぞれ吸引する。そして、送風機40は、混合部110において、蒸気S1、S2、外部の空気A1を混合させて、筐体胴部20の排気部25Hから外部に排出する。
【0068】
排気ファン41が作動した状態で、接続部64における蒸気S1の流速は、1.5m/s以下であることが好ましい。ここで例えば、接続部64における蒸気S1の流速が、1.5m/sよりも速い場合、加熱装置90とつながる排水溝から空気を吸い上げて、異臭を発生させる可能性がある。これに対して、本実施形態に係る蒸気回収装置1では、接続部64における蒸気S1の流速は、1.5m/s以下となるように設定しているため、異臭が発生することを好適に抑制することができる。なお、蒸気S1の流速が1.5m/s以下であるときの機器の条件としては、加熱装置90と非接続状態であって、風速300m/sで運転している場合である。また、蒸気S1の流速は、例えば、第1通路61の出口開口61Sの面積によって調整することができる。
【0069】
以下、蒸気回収装置1および加熱装置90の具体的な動作を説明する。
【0070】
加熱装置90において所定の調理(例えば、食材を炒める)が開始された場合、加熱装置90は、高温の蒸気と高温の熱風を使って食材の調理を行う。この際、加熱装置90の天面に設けられる蒸気排出口92から、間欠的に蒸気S1や熱風が排出される。例えば、4.0m/secで蒸気S1が蒸気回収装置1の接続部64に排出される。
【0071】
この調理開始に伴って蒸気回収装置1の運転開始スイッチが操作された場合、送風機40は、例えば、風速300m/hの出力で作動し、送風ファン63は、例えば、第2通路62の流速が流速3.0m/s~4.0m/s程度になる出力で作動する。
【0072】
加熱装置90からの蒸気S1は、加熱装置90から蒸気回収装置1の接続部64へ向けて押し出される力と蒸気回収装置1の送風機40作動により引き込む力により蒸気回収装置1の蒸気凝縮部60に流入する。また、送風機40作動により蒸気回収装置1内では接続部64から排気部25Hへ向かう気流が形成される。
【0073】
このため、接続部64から流入した蒸気S1は、蒸気凝縮部60のバッフル板66が形成された領域を蛇行して通過し、その後、出口開口61Sに流入し、複数の貫通孔21Hを経て混合部110に流入し、本体風路28を経て送風機40に到達し、排気部25Hから排気される。
【0074】
この蒸気S1の流通経路(バッフル領域)には、上述したように第2通路62が形成されている。このため、蒸気凝縮部60のバッフル板66が形成された領域を蛇行して通過する空気(蒸気)は、バッフル板66への慣性衝突により捕集されるとともに、蒸気S1よりも温度の低い周囲の空気A2が通過する第2通路62と接触して凝縮され、温度が低下するとともに水分を失う。
【0075】
バッフル領域を通過した空気(蒸気)は、次に混合部110で外部の空気A1と混合され、さらに温度が低下されて本体風路28に流入する。
【0076】
そして、本体風路28に流入した空気(蒸気)は、蒸気回収装置1の正面側の第2通路62と再び接触して凝縮され、温度が低下するとともに水分を失う。
【0077】
このようにして温度が低下し水分を失った空気(蒸気)が排気ファン41に到達し、上面に設けられた排気部25Hから厨房空間に排出されることになる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る蒸気回収装置1は、蒸気凝縮部60を備える蒸気回収装置1である。蒸気凝縮部60は、蒸気S1が通過する第1通路61と、第1通路61内に第1通路61と区画して設けられ、蒸気回収装置1の周囲の空気A2が通過する第2通路62と、を有する。このように構成された蒸気回収装置1によれば、蒸気S1が通過する第1通路61、および第1通路61内に第1通路61と区画して設けられ、蒸気回収装置1の周囲の空気A2が通過する第2通路62が設けられるため、装置の大型化を抑制したまま、熱交換面積を確保でき、蒸気回収装置1の周囲の空気A2によって、好適に蒸気S1の凝縮を促進させることができる。以上から、装置の大型化を抑制して、蒸気捕集率を向上させることのできる蒸気回収装置1を提供することができる。
【0079】
また、第1通路61は、複数のバッフル板66が互い違いに配置された領域を備え、蒸気S1が蛇行状に通過する。このように構成された蒸気回収装置1によれば、蒸気S1がバッフル板66に衝突することによって、蒸気S1の捕集が可能となる。さらに、直線状の通路と比較して、蒸気S1の移動距離が長くなり、熱交換がより促進される。
【0080】
また、蒸気凝縮部60は、第2通路62に周囲の空気A2を供給する送風ファン63を有する。このように構成された蒸気回収装置1によれば、強制的に周囲の空気A2を第2通路62に供給することができ、第2通路62との接触により蒸気S1をより好適に凝縮させることができる。
【0081】
また、送風ファン63によって供給される、第2通路62を通過する周囲の空気A2の流速は、2.0m/s以上である。このように構成された蒸気回収装置1によれば、送風ファン63によって凝縮効果を得るために適切な量の周囲の空気A2を供給することができ、蒸気S1を好適に凝縮させることができる。
【0082】
また、蒸気回収装置1は、加熱装置90から生じた蒸気S1の一部を加熱装置90の外に排出するために、加熱装置90に設けられる蒸気排出口92と接続される接続部64と、蒸気S1を取り込むための排気ファン41と、をさらに有し、排気ファン41が作動した状態で、接続部64における蒸気S1の流速が1.5m/s以下となるように構成した。このように構成された蒸気回収装置1によれば、加熱装置1から空気を過剰に吸い込むことなく異臭が発生することを好適に抑制することができる。
【0083】
また、第2通路62は、蒸気回収装置1の少なくとも二つの面に連続するように構成される。このように構成された蒸気回収装置1によれば、第2通路62を長くすることができ、熱交換する面積を拡大でき、蒸気S1の凝縮をより促進することができる。
【0084】
また、蒸気回収装置1の少なくとも一つの面には蒸気S2および周囲の空気A2が通過する本体開口部21Aが形成され、第2通路62は、少なくとも本体開口部21Aが設けられる面側に配置される。このように構成された蒸気回収装置1によれば、調理後に、ドア91を開放することによって排出される加熱装置90内の蒸気S2を、第2通路62を通過する周囲の空気A2によって冷却して、凝縮させることができる。また、上述したように、蒸気回収装置1の正面側には、フード部30の吸気口31から外部の空気A1が流入するとともに、出口端61Eを介して、複数のバッフル板66で凝縮しきれなかった蒸気S1の残りが流入する。すなわち、蒸気回収装置1の正面側の第2凝縮部99では、第2通路62との接触により凝縮が行われるとともに、外部の空気A1と蒸気S1の混合が行われることになる。これにより、蒸気回収装置1の正面側の本体風路28では、相対湿度が上がり通過空気が結露し易くなる。このため、本体風路28において、通過空気から水分が回収され、蒸気回収装置1からの蒸気排出を減らすことができる。
【0085】
また、第1通路61は、第2通路62の一部が延在する延在方向(Y方向)から視て左右方向(X方向)の一の端部に、一のバッフル板66によって蒸気S1が通過する開口領域61Aが形成され、一のバッフル板66に隣り合う他のバッフル板66により左右方向の他の端部に蒸気S1が通過する開口領域61Bが形成される。このように構成された蒸気回収装置1によれば、複数のバッフル板66がX方向に互い違いに配置されるため、結露水が流れやすい。
【0086】
また、第2通路62の一部は、第1通路61の複数のバッフル板66が互い違いに配置された領域を貫通するように形成される。このように構成された蒸気回収装置1によれば、バッフル板66間における蒸気S1の進行方向(X方向)に対して、第2通路62がY方向に沿って配置されるため、第1通路61を通過する蒸気S1がX方向(左右方向)に蛇行通過する過程で、蒸気S1よりも温度の低い周囲の空気A2が流れる第2通路62と接触することになる。第2通路62と接触した蒸気S1は温度差により凝縮される。そして、このように構成されている領域が、複数のバッフル板66が互い違いに配置されたラビリンス領域において形成されているので、第2通路62と蒸気S1の接触時間を長くすることができ、熱交換を促進させて、蒸気S1をより凝縮させることができる。
【0087】
また、第2通路62は、一のバッフル板66および一のバッフル板66に隣り合う他のバッフル板66の間に沿って流れる蒸気S1の進行方向、ならびに一のバッフル板66が他のバッフル板66に臨む方向と交差する方向に複数設けられる。このように構成された蒸気回収装置1によれば、Z方向にそれぞれ離間して設けられる第2通路62の間にも、蒸気S1を流通させることができ、熱交換面積を拡大させて、より好適に蒸気S1を凝縮させることができる。
【0088】
また、蒸気凝縮部60は、複数の第2通路62および送風ファン63を連結する連結部65をさらに有し、連結部65には、複数の第2通路62にそれぞれ連通して区画されるように、1つ以上の仕切板65Aが設けられる。このように構成された蒸気回収装置1によれば、第2通路62に供給される周囲の空気A2の流速を、各第2通路62において均等にすることができるとともに、送風ファン63に対して均等に風を送ることができる。
【0089】
以上、実施形態および変形例を通じて本発明に係る蒸気回収装置1の構成について説明したが、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0090】
例えば、上述した実施形態では、蒸気凝縮部60は、送風ファン63を有したが、送風ファン63を有していなくてもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、第2通路62の入口側に送風ファン63を配置したが、送風ファンは、第2通路62の出口側に配置されてもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、第2通路62は右側面側を入口とし、背面側を出口としてが、背面側が入口で右側面側が出口であってもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、第2通路62は、蒸気回収装置1の少なくとも二つの面に連続するように構成された。しかしながら、第2通路162は、図13に示すように、Y方向のみに延在する構成であってもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、第2通路62は、Z方向に沿って3つ設けられた。しかしながら、第2通路62は、図13に示すように、X方向に沿って複数(図13では2つ)設けられてもよい。このとき、複数のバッフル板66は、Z方向が互い違いに開口した構成を備える。この構成において、第2通路62は、一のバッフル板66および一のバッフル板66に隣り合う他のバッフル板66の間に沿って流れる蒸気S1の進行方向(Z方向)、並びに一のバッフル板66が他のバッフル板66に臨む方向(Y方向)と交差する方向(X方向)に複数設けられる。
【0095】
また、上述した実施形態では、蒸気回収装置1は、送風機40を有していた。しかしながら、蒸気回収装置2は、図14に示すように、送風機を有しない、蒸気凝縮部60からなる構成であってもよい。蒸気凝縮部60は、送風ファン63および第2通路62を有する。このとき、調理した際に発生する蒸気は、加熱装置90内の圧力によって、流入されて排気される。なお、第2通路62の本数や長さ、形状は対象とする調理機のサイズや能力によって変更可能である。このように構成された蒸気回収装置2によれば、小型の加熱装置や矮小スペースでも設置可能である。
【0096】
また、上述した実施形態では、蒸気発生源として加熱装置90を例に挙げて説明したが、蒸気発生源は、加熱装置90に限定されず、乾燥機、温風機等であってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、第2通路62は、第1通路61のバッフル板66が互い違いに配置された領域を貫通するように形成される構成として、第2通路62の4つの面がすべて貫通するように構成された。しかしながら、第2通路62が、第1通路61のバッフル板66が互い違いに配置された領域を貫通するように形成される構成として、第2通路62の2または3つの面が貫通するように構成されてもよい。ここで、第2通路62の3つの面がバッフル板66を貫通する構成とは、例えば、第2通路62が左側面パネルに接しており、第2通路62の3つの面(上、下、右側面)がバッフル板66を貫通する構成であることを意味し、第2通路62の2つの面がバッフル板66を貫通する構成とは、例えば、第2通路62が左側面パネルおよび天面パネルに接しており、第2通路62の2つの面(下、右側面)がバッフル板66を貫通する構成であることを意味する。
【0098】
また、上述した実施形態では、第2通路62は矩形状であったが、円筒状であってもよい。第2通路62が円筒状である場合、外周面の全部がバッフル板66を貫通する構成であってもよいし、第2通路62が左側面パネルに接しており、第2通路62の外周面の50%以上がバッフル板66を貫通する構成であってもよいし、第2通路62が左側面パネルおよび天面パネルに接しており、外周面の25%以上がバッフル板66を貫通する構成であってもよい。また、第2通路64は第1通路61に配されるバッフル板66の全てを貫通する構成であってもよいし、一部(例えば、左側面パネル側寄りに設置されているバッフル板66のみ)を貫通する構成であってもよい。また、第2通路62の形状は円筒状に限らず、楕円形状や三角形状でもよく、本願発明の効果を奏する限りにおいて、第2通路62がバッフル板66を貫通する任意の位置に配置することができる。
【0099】
また、上述した実施形態では、外部の空気A1および蒸気S2の混合を促進する混合部110が設けられたが、混合部110が設けられなくてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、吸気口31は、第一吸気口32および第二吸気口33を有したが、吸気口31は、第一吸気口32および第二吸気口33のいずれか一方が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 蒸気回収装置、
5 加熱装置ユニット、
10 筐体本体、
20 筐体胴部、
21A 本体開口部、
25H 排気部、
40 送風機、
41 排気ファン、
60 蒸気凝縮部、
61 第1通路、
61A、61B 開口領域、
62 第2通路、
63 送風ファン、
64 接続部、
65 連結部、
65A 仕切板、
66 バッフル板、
90 加熱装置、
A2 蒸気回収装置の周囲の空気、
S1、S2 蒸気。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14