IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーエヌ大塚製薬株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図1
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図2
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図3
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図4
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図5
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図6
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図7
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図8
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図9
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図10
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図11
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図12
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図13
  • 特開-スパウト及びスパウト付容器 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042194
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】スパウト及びスパウト付容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20240321BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20240321BHJP
   A61J 15/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61J1/10 335C
B65D75/58
A61J15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146738
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】502138359
【氏名又は名称】イーエヌ大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】石川 啓太
【テーマコード(参考)】
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB81
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA06
3E067CA24
3E067EA32
3E067EB32
3E067EE15
3E067FA01
3E067FC01
4C047AA11
4C047BB04
4C047BB11
4C047CC04
4C047CC27
4C047DD03
4C047DD04
4C047DD22
4C047DD32
4C047DD34
4C047DD35
4C047NN13
(57)【要約】
【課題】容器の開封性が使用者の使用方法に依存することなく、容易且つ確実に開封可能なスパウトと、そのスパウトを用いた容器と、を提供する。
【解決手段】固定パーツ21と取付パーツ22と、を備え、固定パーツ21は、容器10の内外間を貫通する貫通孔23が設けられた本体部24と、貫通孔23を前容器10内側で閉塞する封止部25と、封止部25を穿刺可能に貫通孔23内に配置され、脆弱部43を介して本体部24に保持された穿刺部26と、を有し、取付パーツ22は、穿刺部26に係止可能な第1係止部31と、本体部24に係止可能な第2係止部32と、を有し、第1係止部31を係止することで、取付パーツ22を穿刺部26と一体化し、さらに第2係止部32を係止する過程で、取付パーツ22と一体化した穿刺部26を前進させて脆弱部43を破断するとともに穿刺部26の先端で封止部25を穿刺するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に固定される固定パーツと、前記固定パーツに取付可能な取付パーツと、を備え、
前記固定パーツは、前記容器の内外間を貫通する貫通孔が設けられた本体部と、前記貫通孔を前容器内側で閉塞する封止部と、前記封止部を穿刺可能に前記貫通孔内に配置され、脆弱部を介して前記本体部に保持された穿刺部と、を有し、
前記取付パーツは、前記穿刺部に係止可能な第1係止部と、前記本体部に係止可能な第2係止部と、を有し、
前記第1係止部を係止することで、前記取付パーツを前記穿刺部と一体化し、
さらに前記第2係止部を係止する過程で、前記取付パーツと一体化した前記穿刺部を前進させて前記脆弱部を破断するとともに前記穿刺部の先端で前記封止部を穿刺するように構成されている、スパウト。
【請求項2】
前記封止部に予め設定された穿刺位置と対応する位置に前記穿刺部の先端が配置された状態で該穿刺部が前記脆弱部を介して保持され、前記脆弱部を破断して前進した前記穿刺部の先端が前記穿刺位置で前記封止部を穿刺可能である、請求項1に記載のスパウト。
【請求項3】
前記第2係止部は、前記本体部に螺合することで、前記穿刺部の先端刃部を回転させながら前進させて前記封止部を穿刺可能である、請求項2に記載のスパウト。
【請求項4】
前記第1係止部は、前記第2係止部と同軸に同じ方向に回転することで前記穿刺部と螺合可能であり、前記穿刺部に螺合した前記第1係止部が螺合を完了する前に、前記第2係止部が前記本体部に螺合を開始するように構成されている、請求項2に記載のスパウト。
【請求項5】
前記第1係止部の係止を完了することで前記取付パーツと前記穿刺部とを離脱不能に嵌合させる第1離脱防止部を備えている、請求項1に記載のスパウト。
【請求項6】
前記第2係止部の係止を完了することで前記取付パーツと前記本体部とを離脱不能に嵌合させる第2離脱防止部を備えている、請求項1に記載のスパウト。
【請求項7】
前記貫通孔の前記容器内側の開口周縁は、前記貫通孔の軸方向に凹んだ凹形状を有し、
前記封止部は、前記開口周縁に接合されたシート材からなり、前記穿刺部の回転により、該穿刺部の先端刃部で切断されるように構成されている、請求項1に記載のスパウト。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つに記載のスパウトを備えている、スパウト付容器。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト及びスパウト付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動性のある収容物を収容する容器には各種のスパウトが装着されている。スパウトには、収容物を吐出する貫通路が封止部等により容器内側で閉塞されていて、使用時に容器内側の封止部を開封するように構成されたものが多数知られている。
胃ろうに接続するための外部チューブやシリンジなどをスパウトに接続して使用される容器などでは、外部チューブやシリンジなどを接続する際にコネクタなどの別部材をスパウトに装着して封止部を開封するものが存在する。胃ろうに外部チューブを介して直接接続する容器の場合、コネクタなどの別部材は一般医療機器としての条件を満たすものとなっている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、一端側にポート部を密閉するフィルムを突き破って容器内に挿入される筒部及び突き刺し部が設けられ、他端側にシリンジやチューブ等の他の器具が接続される接続部が設けられたコネクタが提案されている。このコネクタでは、突き刺し部を突き刺して回動させることで、ポート部を密封するフィルムを切断して開口を形成するとともに開口に筒部が挿入され、容器内の収容物をチューブから吐出させることができる。
このような特許文献1のコネクタは、容器内の収容物を排出させる際にスパウトに装着して使用されるが、スパウトとは別部材であり、使用後に取り外して他の容器に繰り返し使用されることがあった。繰り返して使用されることで、穿刺部の先端形状が劣化するため、穿刺部を穿刺させる際に封止部に変形や伸びなどを生じさせて穿刺し難くなるなど、開封性が低下することもあった。
【0004】
また下記特許文献2には、ポート本体部に貫通孔からの流出を遮る薄膜が接着されていて、ブリッジを介して連結された連通部材により薄膜を突き破るように構成された医療用ポートが提案されている。この医療用ポートでは、送液チューブを接続する際、チューブ端部に装着されたメス型コネクタを用いて接続していて、メス型コネクタにより連通部材を押し込むことで、連通部材の先端で薄膜を穿刺して開封することができる。この特許文献2でも、スパウトに外部チューブを接続するために、別部材であるメス型コネクタを用いて封止部を開封することが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6527631号公報
【特許文献2】特許第5920339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているスパウトでは、スパウトを開封したり外部チューブを接続したりするために別部材であるコネクタを用いなければならない上、使用者がコネクタを繰り返して使用することで封止部が開封し難くなることがあった。そのため使用者の使用方法により開封性が低下するなど、スパウトの開封性が使用者の使用方法に依存するという問題点があった。
【0007】
また特許文献2に記載されているスパウトでも、外部チューブを接続して開封するために、別部材であるメス型コネクタを用いなければならない上、チューブの接続作業時に使用者がメス型コネクタにより連結部材を直接押圧することで薄膜を穿刺させなければならなかった。そのため使用者がメス型コネクタにより押圧して連結部材の突き刺し部を突き刺す位置や向きなどが安定し難く、やはりスパウトの開封性が使用者の使用方法に依存するという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明では、容器の開封性が使用者の使用方法に依存することなく、容易且つ確実に開封可能なスパウトと、そのスパウトを用いた容器と、を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明のスパウトは、容器に固定される固定パーツと、固定パーツに取付可能な取付パーツと、を備え、固定パーツは、容器の内外間を貫通する貫通孔が設けられた本体部と、貫通孔を容器内側で閉塞する封止部と、封止部を穿刺可能に貫通孔内に配置され、脆弱部を介して本体部に保持された穿刺部と、を有し、取付パーツは、穿刺部に係止可能な第1係止部と、本体部に係止可能な第2係止部と、を有し、第1係止部を係止することで取付パーツを穿刺部と一体化し、さらに第2係止部を係止する過程で、取付パーツと一体化した穿刺部を前進させて脆弱部を破断するとともに穿刺部の先端で封止部を穿刺するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明のスパウトでは、封止部に予め設定された穿刺位置と対応する位置に穿刺部の先端が配置された状態で穿刺部が脆弱部を介して保持され、脆弱部を破断して前進した穿刺部の先端が穿刺位置で封止部を穿刺可能であるのがよい。
【0011】
本発明のスパウトでは、第2係止部は、本体部に螺合することで、穿刺部の先端刃部を回転させながら前進させて封止部を穿刺するように構成されているのがよい。
その場合、第1係止部は、第2係止部と同軸に同じ方向に回転することで穿刺部と螺合可能であり、穿刺部に螺合した第1係止部が螺合を完了する前に、第2係止部が本体部に螺合を開始するように構成されているのがよい。
【0012】
本発明のスパウトでは、第1係止部の係止を完了することで取付パーツと穿刺部とを離脱不能に嵌合させる第1離脱防止部を備えていてもよい。
また第2係止部の係止を完了することで取付パーツと本体部とを離脱不能に嵌合させる第2離脱防止部を備えていてもよい。
さらに取付パーツは、外部チューブなどに設けられた端部接続部と接続可能な接続機構を備えていてもよい。
【0013】
本発明のスパウトでは、貫通孔の容器内側の開口周縁は、貫通孔の軸方向に凹んだ凹形状を有し、封止部は、開口周縁に接合されたシート材からなり、穿刺部の回転により、穿刺部の先端刃部で切断されるように構成されているのがよい。
【0014】
上記課題を解決する本発明のスパウト付容器は、上述のようなスパウトを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスパウト及びスパウト付容器によれば、固定パーツの貫通孔が封止部により閉塞されるとともに、封止部を穿刺可能な穿刺部が貫通孔内に脆弱部を介して保持されていて、取付パーツが、穿刺部に係止可能な第1係止部と、固定パーツの本体部に係止可能な第2係止部と、を有している。そのため取付パーツを固定パーツに取付ける際、脆弱部により貫通孔内の所定位置に保持された穿刺部を、第1係止部により取付パーツと一体化でき、第2係止部を係止する過程で取付パーツとともに穿刺部を前進させ、脆弱部を破断するとともに穿刺部で封止部を穿刺できる。
【0016】
これにより封止部を穿刺する際に、穿刺部の姿勢や位置を安定に保ちつつ封止部に押し付けることができる。しかも取付パーツを固定パーツの本体部に係止することで穿刺部を前進させるため、穿刺部を封止部に対して予め設定された位置及び向きで押し付けることができ、穿刺部により十分な力で封止部を穿刺してスパウトを開封できる。高いシール性を有して穿刺し難い封止部であっても穿刺でき、スパウトを確実に開封できる。
【0017】
さらに取付パーツを固定パーツへ取付ける際には第1係止部及び第2係止部を係止すればよく、使用者が特別な開封操作を行うことなくスパウトを容易に開封できる。
その結果、本発明によれば、容器の開封性が使用者の使用方法に依存することなく、容易且つ確実に開封可能なスパウトを提供することが可能である。
【0018】
本発明のスパウト及びスパウト付容器において、封止部に予め設定された穿刺位置と対応する位置に穿刺部の先端が配置された状態で穿刺部が脆弱部を介して保持され、脆弱部を破断して前進した穿刺部の先端が穿刺位置で封止部を穿刺可能であれば、封止部のなかで最も穿刺し易い穿刺位置を穿刺部の先端で穿刺することができる。そのため穿刺部により確実に封止部を開封することができ、操作の確実性を向上することができる。
【0019】
本発明のスパウト及びスパウト付容器において、第2係止部が本体部に螺合することで、穿刺部の先端刃部を回転させながら前進させて封止部を穿刺可能であれば、取付パーツの第2係止部を本体部に螺合することで、穿刺部の先端刃部を所定位置で回転させながら前進させることができる。
そのため穿刺部の姿勢や位置をより安定に保ちつつ前進させることができ、穿刺部の先端刃部により封止部を所定の円弧形状に切断して容易に穿刺できる。しかも穿刺部の先端刃部の軸方向の移動距離を少なく抑えて、周方向の移動距離を長く確保できるため、封止部に当接した穿刺部の先端刃部により封止部を引張り、剪断、引裂きなどにより確実に切断することができ、スパウトを容易且つ確実に開封できる。
【0020】
また、第1係止部は、第2係止部と同軸に同じ方向に回転することで穿刺部と螺合可能であり、穿刺部に螺合した第1係止部が螺合を完了する前に、第2係止部が本体部に螺合を開始するように構成されていれば、取付パーツを固定パーツに取付ける際、取付パーツとともに穿刺部が回転及び前進を開始して脆弱部を破断する前に、第2係止部を本体部に螺合できる。そのため取付パーツにより脆弱部を破断する際に穿刺部と一体化した取付パーツを本体部により安定に支持することができ、穿刺部の先端を安定して回転させつつ前進させることが可能である。そのため封止部をより安定して開封することができる。
【0021】
本発明のスパウト及びスパウト付容器において、第1係止部の係止を完了することで取付パーツと穿刺部とを離脱不能に嵌合させる第1離脱防止部を備えていれば、取付パーツと穿刺部とを確実に一体化することができ、この状態で取付パーツが穿刺部から離脱することがない。そのため操作中や使用中に取付パーツと穿刺部との間で外れたり、漏れが生じたりすることがない。
また第2係止部の係止を完了することで取付パーツと本体部とを離脱不能に嵌合させる第2離脱防止部を備えていれば、穿刺部の先端刃部により封止部を穿刺してスパウトを開口させた後には、取付パーツと固定パーツの本体部との間が離脱不能に接合されて、固定パーツと取付パーツとが別々に離脱することがない。
そのため取付パーツが固定パーツから外れることがなく、誤使用や再使用を防止することができる。他の容器に繰り返し使用されるようなことを確実に防止できる。
【0022】
本発明のスパウト及びスパウト付容器において、取付パーツが外部チューブなどに設けられた端部接続部と接続可能な接続機構を有していれば、スパウトに外部チューブを接続する操作と、穿刺部を取付パーツに一体化させて穿刺部により封止部を穿刺する操作とを別々に行うことができ、使用状況に応じて使用者が各操作を任意に選択できて使い勝手がよい。
【0023】
本発明のスパウト及びスパウト付容器において、貫通孔の容器内側の開口周縁が貫通孔の軸方向に凹んだ凹形状を有し、封止部が開口周縁に接合されたシート材からなり、穿刺部の回転により、穿刺部の先端刃部で切断されるように構成されていれば、貫通孔の開口周縁付近に配置されたシート材からなる封止部が凹形状を有するので、穿刺部の先端刃部を回転させて圧接させたときに、シート材が延びにくくて先端刃部により開口周縁近傍の封止部を確実に切断することができる。
【0024】
しかも穿刺部が脆弱部により貫通孔の所定位置に配置されているので、穿刺部の先端刃部を凹形状のシート材からなる封止部に対して切断し易い位置に予め配置しておくことができ、穿刺部の先端刃部を回転させることで確実に切断することが可能である。このため高いシール性を有して穿刺し難いシート材からなる封止部であっても、より確実に穿刺できてスパウトを開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るスパウトの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るスパウトの縦断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るスパウトの固定パーツの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るスパウトの固定パーツの縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るスパウトの穿刺部の先端を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るスパウトの穿刺部の先端を示す縦断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るスパウトの脆弱部を示す平面図であり、封止部を除外した状態で固定パーツを容器内側から見た図である。
図8】本発明の実施形態に係るスパウトの取付パーツの斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るスパウトの取付パーツを示し、(a)は縦断面図、(b)は部分拡大縦断面図である。
図10】本発明の実施形態に係るスパウト付容器の側面図であり、使用前の状態を示す。
図11】本発明の実施形態に係るスパウトの開封前の状態を示し、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
図12】本発明の実施形態に係るスパウトの封止部を穿刺部により穿刺する動作を説明する図である。
図13】本発明の実施形態に係るスパウトの開封後の状態を示し、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
図14】本発明の実施形態に係るスパウト付容器の側面図であり、使用中の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
スパウト付容器10は、例えば図10に示すように、容器本体11にスパウト20が固定されたものであり、収容物が収容されて密封されている。このスパウト20は使用時に外部チューブ13を接続して収容物を吐出可能な構造を有する。収容物は流動性を有するものである。
本実施形態のスパウト付容器10は、半固形化栄養剤が収容されていて、外部チューブを介して胃ろうへ直接接続される容器の例である。スパウト20に外部チューブを接続して収容物を吐出して使用可能な容器である。
【0027】
容器本体11は、樹脂製の容器壁17により収容部15が形成されたもので、例えば樹脂シートが周囲で密封されることで収容部15が形成されている。容器壁17は収容物の劣化の要因となる成分の透過をできるだけ低減できるものが使用されており、本実施形態の容器壁17ではアルミニウム層などが積層されて酸素透過性が低減されている。
【0028】
スパウト20は、図1及び図2に示すように、容器本体11に固定される固定パーツ21と、固定パーツ21に取付可能な取付パーツ22と、を備えている。
固定パーツ21は、図3及び図4に示すように、貫通孔23が設けられた本体部24と、貫通孔23を閉塞する封止部25と、貫通孔23内に配置されて封止部25を開封可能な穿刺部26と、を備えている。
貫通孔23は、容器10の内外間を貫通するように、本体部24の中央に略一定の円形断面で形成されている。
【0029】
本体部24は、容器本体11に固定される船形27と、船形27から容器外側に突出して設けられた突出部28と、を備え、船形27及び突出部28に貫通して貫通孔23が形成されている。本体部24は容器壁17の樹脂と溶着可能な樹脂成形体により一体に成形されている。
船形27は、容器本体11の対向する容器壁17間に配置されて液密に固定される部位である。容器内側に配置される内側端面27aは、互いに逆方向に傾斜した複数の面が屈曲部分を挟んで両側に形成されていて、側面視で略への字状に貫通孔23の軸方向に凹んだ凹形状を有する。
内側端面27aの複数の面の交差位置に貫通孔23が開口することで、貫通孔23の容器内側の開口周縁23aは、内側端面27aと同様に、貫通孔23の軸方向に凹んだ略への字状の凹形状を有する。
【0030】
突出部28は、船形27の外側端面27bから容器外側へ略筒状に突出して設けられている。突出部28には、後述する取付パーツ22の第2係止部32が係止される第2被係止部42と、係止された取付パーツ22の端部が当接するストッパ33と、を有する。第2被係止部42は取付パーツ22の第2係止部32と螺合可能に形成されている。
ストッパ33における取付パーツ22の端部との当接位置となる外周縁には、弧状の第2傾斜凹部34bが軸回りに複数設けられている。各第2傾斜凹部34bは螺合方向となる一方の周方向に沿って窪み量が漸増するように形成されていて、後述する取付パーツ22の端部に設けられた複数の第2傾斜突起35bが嵌合可能となっている。
【0031】
封止部25は、本体部24の貫通孔23を容器内側で閉塞するもので、本体部24の内側端面27aの略全面を覆うシート材からなり、貫通孔23の開口周縁23aの全周に連続して気密に溶着等により接合されている。封止部25のシート材は収容物の劣化の要因となる成分の透過をできるだけ低減できて本体部24に溶着可能なものが使用されている。本実施形態では、本体部24と同じ樹脂により形成された樹脂層と、酸素透過性の低いアルミニウム層と、が積層されたシート材を用いており、好ましくはアルミニウム層の両面に樹脂層が積層されたダブルシーラントフィルムを用いている。
本体部24の内側端面27a及び貫通孔23の開口周縁23aが略への字状の凹形状を有するので、封止部25のシート材はこの形状に対応して略への字状に屈曲した形状で内側端面27a及び貫通孔23の開口周縁23aに接合されている。本実施形態では、封止部25の略への字状に屈曲した頂部が、穿刺部26で開封する際に穿刺される穿刺位置25aとして設定されている。
【0032】
本体部24の貫通孔23内には、封止部25を穿刺可能な穿刺部26が配置され、さらに穿刺部26が脆弱部43を介して本体部24に保持されている。
穿刺部26は略筒形状を有し、外周面が貫通孔23の内周面に全周で近接乃至摺接して配置されている。また穿刺部26は貫通孔23より長く形成され、後端側が本体部24の突出部28より後方に突出して配置されている。後端側には、後述する取付パーツ22の第1係止部31が係止される第1被係止部41が設けられるとともに、後端縁には螺合方向となる一方の周方向に沿って突出量が漸増する弧状の複数の第1傾斜突起35aが複数設けられている。第1被係止部41は取付パーツ22の第1係止部31と螺合可能に形成されている。
【0033】
穿刺部26の先端には、図5及び図6に示すように、前方に突出した先端刃部44が設けられている。先端刃部44は封止部25を穿刺可能なものであり、頂部には突き刺し部44aが設けられるとともに、穿刺部26を軸回りに回転することで穿刺部26を切断可能な切断刃44bが設けられている。切断刃44bは固定パーツ21の第2被係止部42に対して取付パーツ22の第2係止部32を螺合させる方向に向けて設けられている。
この穿刺部26の先端刃部44は、できるだけ貫通孔26の内周面に近接するように設けられるのが好ましく、穿刺部26が貫通孔26内で回動することで、先端刃部44が貫通孔23の容器内側の開口周縁23a近傍で開口周縁23aに沿って封止部25を切断可能に設けられている。
【0034】
脆弱部43は、穿刺部26を本体部24に破断可能に保持する部位である。本実施形態では、図4及び図7に示すように、穿刺部26の長手方向の中間位置において、外周の一部、具体的には直径方向に対向する一対の部位と貫通孔23の内面とが、後述するような取付パーツ22の操作時の力で、容易に破断可能な程度に樹脂により連結されている。
本実施形態では、穿刺部26及び脆弱部43は、本体部24と同一の樹脂により一体に成形されていて、例えばPPやPEなどにより成形されている。
さらに穿刺部26が脆弱部43により本体部24と一体に連結されていることで、穿刺部26の先端刃部44が、予め設定されている封止部25の穿刺位置25aに対応する位置に配置されている。具体的には、穿刺部26の先端刃部44が後述のように脆弱部43が破断した直後において、略への字状に屈曲して凹形状に配置された封止部25の頂部であって貫通孔23の開口周縁23a近傍に設定されている穿刺位置25aに穿刺可能な位置に位置決めされた状態で穿刺部26が保持されている。
【0035】
取付パーツ22は、図2図8及び図9(a)(b)に示すように、取付部本体37と、取付部本体37の側周囲に連結された扁平形状の操作部45と、を備えている。
取付部本体37は、概略筒状に形成され、軸方向一端側には固定パーツ21の本体部24との取付部30と、固定パーツ21の穿刺部26との連結部40と、が設けられ、他端側には外部チューブ13との接続機構38が設けられている。
連結部40は、穿刺部26の後端側に設けられた第1被係止部41に係止可能な第1係止部31と、穿刺部26の後端側を接続して支持する後端支持部39と、を有する。
【0036】
第1係止部31は、穿刺部26の第1被係止部41と螺合可能に形成されている。後端支持部39は、第1係止部31が第1被係止部41に螺合を完了した状態で、穿刺部26の後端に軸方向に当接して穿刺部26を支持することで、取付パーツ22が穿刺部26と一体化するように構成されている。第1係止部31により穿刺部26に取付パーツ22が一体化することで、取付パーツ22を操作部45により操作したときに穿刺部26が取付パーツ22とともに動作可能となる。
【0037】
後端支持部39は、穿刺部26の後端の開口に挿入して接続される環状突部46と、環状突部46の外周表面に周方向に複数設けられた第1傾斜凹部34aと、を有する。各第1傾斜凹部34aは螺合方向となる一方の周方向に沿って窪み量が漸増するように形成されていて、穿刺部26の後端縁に設けられた第1傾斜突起35aと嵌合可能となっている。
複数の第1傾斜凹部34aと穿刺部26の後端縁の複数の第1傾斜突起35aとは、取付パーツ22の第1係止部31が穿刺部26の第1被係止部41に完全に螺合したときに、回転に伴い互いに離脱不能に嵌合して、取付パーツ22と穿刺部26との離脱を阻止する第1離脱防止部36aを構成する。
【0038】
取付部30の固定パーツ21側の端部には、固定パーツ21の本体部24の突出部28に設けられた第2被係止部42と係止可能な第2係止部32が設けられている。
第2係止部32は、第1係止部31より大径に形成されていて、固定パーツ21の突出部28の第2被係止部42と螺合可能な形状を有する。また第1係止部31と第2係止部32とは同軸に、同じリードで、形成されていて、同じ回転方向に螺合可能である。
本実施形態では、第1係止部31と第2係止部32との相対位置が所定の範囲に設定されており、第1係止部31が穿刺部26の第1被係止部41に螺合を開始して完了する前に、第2係止部32が本体部24に螺合を開始するように構成されている。
【0039】
第1係止部31及び第2係止部32が設けられた取付部本体37における固定パーツ21側の端縁には、弧状の第2傾斜突起35bが軸回りに複数設けられている。各第2傾斜突起35bは螺合方向となる一方の周方向に沿って突出量が漸増するように形成されている。複数の第2傾斜突起35bは、取付パーツ22の第2係止部32が固定パーツ21の突出部28に設けられた第2被係止部42に完全に螺合したときに、固定パーツ21のストッパ33に設けられた複数の第2傾斜凹部34bに回転に伴い離脱不能に嵌合して、固定パーツ21の本体部24と取付パーツ22との離脱を阻止する第2離脱防止部36bを構成する。
【0040】
取付部本体37後端の接続機構38は、外部チューブ13に設けられた端部接続部13aを接続可能に形成されている。本実施形態では、取付部本体の接続機構38及び外部チューブ13の端部接続部13aはISO80369-3に準拠した小口径コネクタとして構成されていて、取付部本体37の接続機構38からなるメス型コネクタに、外部チューブ13の端部接続部13aからなるオス型コネクタが接続される構成である。
【0041】
以上のような本実施形態のスパウト付容器10を使用するには、まず図10に示すように、固定パーツ21が容器本体11に固定され、収容部15に収容物が収容されて密封された容器10に対し、取付パーツ22を取付ける。このときスパウト20の封止部25は封止状態で維持する。
なお予め取付パーツ22を固定パーツ21に取付けた準備状態にしておいてもよく、この状態で流通することも可能である。
【0042】
固定パーツ21に対して取付パーツ22を取付けるには、図11(a)(b)に示すように、穿刺部26の第1被係止部41に取付パーツ22の第1係止部31を螺合させる。完全に螺合させて螺合を完了することで、第1離脱防止部36aにより取付パーツ22と穿刺部26とを離脱不能に連結させる。具体的には穿刺部26の端部に周方向に複数設けられた第1傾斜突起35aを取付パーツ22の後端支持部39に設けられた第1傾斜凹部34aに嵌合させる。このとき脆弱部43は破断されることなく穿刺部26を本体部24に保持した状態で保たれる。
これにより取付パーツ22が穿刺部26と一体化して準備状態にする。このとき扁平形状の操作部45を容器本体11の扁平形状に沿わせておいてもよい。
【0043】
この状態では、操作部45を把持して取付パーツ22を固定パーツ21に対して回転させることで、固定パーツ21の第2被係止部42に取付パーツ22の第2係止部32を不完全な状態に螺合する。
なお予め取付パーツ22を固定パーツ21に取付けて準備状態にしておく場合には、穿刺部26の第1被係止部41に取付パーツ22の第1係止部31を完全に螺合させるとともに、固定パーツ21の第2被係止部42に取付パーツ22の第2係止部32を不完全な状態に螺合させておくことも可能である。
【0044】
この状態から使用者が容器内の収容物を排出させるには、使用者が取付パーツ22の回転を開始する。すると、取付パーツ22の第2係止部32が第2被係止部42にさらに螺合して係止する過程で、取付パーツ22と一体化した穿刺部26が取付パーツ22とともに回転及び前進する方向に変位する。これにより穿刺部26を本体部24に保持する脆弱部43に剪断力が作用し、脆弱部43が破断される。
【0045】
その後、さらに使用者が取付パーツ22を回転させると、第2係止部32を第2被係止部42に対してさらに螺合して係止する過程で、取付パーツ22とともに穿刺部26がさらに回転しつつ前進する。
すると図12に示すように、穿刺部26の先端刃部44が回転しつつ軸方向に前進することで、貫通孔23の開口周縁23aの近傍の突刺位置25aにおいて、突き刺し部44aにより封止部25を突き刺し、さらに切断刃44bを回転方向に移動させて開口周縁23aに沿って封止部25を切断することができる。
このとき突き刺し部44aや切断刃44b等を有する先端刃部44が、回転しつつ穿刺部26の軸方向に前進するので、先端刃部44が封止部25に当接して封止部25のフィルムに引掛かり、その後さらに先端刃部44が周方向に移動することで、フィルムを引張り、剪断、或いは引裂くことができ、封止部25を確実に円弧形状に切断することができる。
【0046】
そして図13(a)(b)に示すように、取付パーツ22の操作部45を固定パーツ21に対して十分に回転させて、取付パーツ22が固定パーツ21に対して完全に螺合した状態に達すると、穿刺部26が貫通孔23から容器内側に突出して、穿刺部26の先端を十分に容器内側に開口させることができ、これにより封止部25を開封できる。
その際、穿刺部26を1周回以上回転させることで、封止部25を貫通孔23の開口周縁に沿って全周を切断してもよいが、好ましくは半周以上1周未満、より好ましくは270度以上360度未満回転させることで封止部25を切断する。
回転して切断する角度が少ないと、封止部25の開封が不十分となり、収容物を排出する際の流動性が低下することがある。一方、360度以上回転させて切断すると、切断された片が封止部25から分離して内容物に混入することがあり、内容物を排出する際に使用し難くなることがある。
また第2離脱防止部36bでは、固定パーツ21のストッパ33に設けられた第2傾斜凹部34bと取付パーツ22の取付部本体37に設けられた第2傾斜突起35bとが回転に伴って嵌合される。これにより穿刺部26の先端が封止部25を穿刺した開封状態で、本体部24と取付パーツ22との逆回転が阻止されて一体化し、開封状態が維持される。
【0047】
これにより、図14に示すように、取付パーツ22の取付部本体37の接続機構38に端部接続部13aを接続した外部チューブ13から、容器本体11に収容されていた収容物を吐出させることができる。
なお外部チューブ13は、収容物を吐出させる前、例えば封止部25が開封される前に取付パーツ22の接続機構38に接続しておけばよく、取付パーツ22を固定パーツ21に取付ける前に、取付パーツ22の接続機構38に接続していてもよい。
収容物を吐出させる際には、取付パーツ22の第1係止部31及び後端支持部39が穿刺部26の後端側に液密に接続されるため、穿刺部26内を流動する収容物が穿刺部26の外周側に漏れることはない。また取付パーツ22の第2係止部32が固定パーツ21の第2被係止部42と液密に接続されるため、貫通孔23内の収容物がスパウト20の外部に漏れることもない。
【0048】
以上のような本実施形態のスパウト20によれば、上述のように、固定パーツ21の貫通孔23が封止部25により閉塞されるとともに、封止部25を穿刺可能な穿刺部26が貫通孔23内に脆弱部43を介して保持されていて、取付パーツ22が、穿刺部26に係止可能な第1係止部31と、固定パーツ21の本体部24に係止可能な第2係止部32と、を有している。
そのため取付パーツ22を固定パーツ21に取付ける際、脆弱部により貫通孔内の所定位置に保持された穿刺部を、第1係止部31により穿刺部26を取付パーツ22と一体化でき、第2係止部32を係止することによって取付パーツ22とともに穿刺部26を前進させ、脆弱部43を破断するとともに穿刺部26で封止部25を穿刺できる。
【0049】
これにより封止部25を穿刺する際に、穿刺部26の姿勢や位置を安定に保ちつつ封止部25に押し付けることができる。しかも取付パーツ22を固定パーツ21の本体部24に係止することで穿刺部26を前進させるため、穿刺部26を封止部25に対して予め設定された位置及び向きで押し付けることができ、穿刺部26により十分な力で封止部25を穿刺してスパウト20を開封できる。高いシール性を有して穿刺し難い封止部25であっても穿刺でき、スパウト20を確実に開封できる。
【0050】
さらに取付パーツ22を固定パーツ21へ取付ける際には第1係止部31及び第2係止部32を係止すればよく、使用者が特別な開封操作を行うことなくスパウト20を容易に開封できる。
その結果、本実施形態のスパウト20によれば、容器の開封性が使用者の使用方法に依存することなく、容易且つ確実に開封することが可能である。
【0051】
また本実施形態のスパウト20では、穿刺部26の先端が封止部25に予め設定された穿刺位置25aと対応する位置に配置された状態で、穿刺部26が脆弱部43を介して保持され、脆弱部43を破断して前進した穿刺部26の先端が穿刺位置25aで封止部25を穿刺可能に構成されている。
そのため封止部25の中で最も穿刺し易い穿刺位置25aを穿刺部26の先端で穿刺することができる。そのため穿刺部26により確実に封止部25を開封することができ、操作の確実性を向上することができる。
【0052】
また本実施形態のスパウト20では、第2係止部32は、本体部24に螺合することで、穿刺部26の先端刃部44を回転させながら前進させて封止部25を穿刺するように構成されているので、取付パーツ22の第2係止部32を本体部24に螺合することで、穿刺部26の先端刃部44を所定位置で回転させながら前進させることができる。そのため穿刺部26の姿勢や位置をより安定に保ちつつ前進させることができ、穿刺部26の先端刃部44により封止部25を所定の円弧形状に切断して容易に穿刺できる。
しかも、穿刺部26の先端刃部44を容器内部側に向けて軸方向に単に直線的に移動させて穿刺するのではなく、穿刺部26の先端刃部44を回転させながら前進させるため、穿刺部26の先端刃部44の軸方向の移動距離を少なく抑えて、周方向の移動距離を長く確保できる。そのため封止部25に当接した穿刺部26の先端刃部44により、封止部25を引張り、剪断、引裂きなどにより確実に切断することができ、スパウトを容易且つ確実に開封できる。
【0053】
さらに本実施形態のスパウト20では、第1係止部31が第2係止部32と同軸に同じ方向に回転することで穿刺部26と螺合可能であり、穿刺部26に螺合した第1係止部31が螺合を完了する前に、第2係止部32が本体部24に螺合を開始するように構成されている。
そのため取付パーツ22を固定パーツ21に対して回転させるだけで、穿刺部26に取付パーツ22を螺合させるとともに取付パーツ22を固定パーツ21の本体部24に螺合させることができる。
しかも取付パーツ22を固定パーツ21に取付ける際、穿刺部26が取付パーツ22と完全に一体化することで取付パーツ22とともに穿刺部26が回転及び前進を開始して脆弱部43を破断する前に、第2係止部32を本体部24に螺合することができるので、取付パーツ22により脆弱部43を破断する際に穿刺部26と一体化した取付パーツ22を本体部24により安定に支持することができ、穿刺部26の先端を安定して回転させつつ前進させることが可能である。これにより封止部25をより安定して開封することができ、開封時の操作性を向上することができる。
【0054】
また本実施形態のスパウト20では、第1係止部31の係止を完了することで取付パーツ22と穿刺部26とを離脱不能に嵌合させる第1離脱防止部36aを備えている。そのため取付パーツ22と穿刺部26とを確実に一体化することができ、取付パーツ22が穿刺部26から離脱することがない。これにより操作中や使用中に取付パーツ22と穿刺部26との間で外れたり、漏れが生じたりすることを確実に防止することができる。
またスパウト20は、第2係止部32の係止を完了することで取付パーツ22と本体部24とを離脱不能に嵌合させる第2離脱防止部36bを備えている。そのため固定パーツ21に取付パーツ22を完全に取付けて、穿刺部26の先端刃部44により封止部25を穿刺してスパウト20を開口させた後には、固定パーツ21の穿刺部26と取付パーツ22との間、取付パーツ22と固定パーツ21の本体部24との間が、離脱不能に接合されて、固定パーツの穿刺部及び本体部と取付パーツとが完全に一体化し、別々に離脱することがない。
これにより取付パーツや穿刺部が外れることがなく、誤使用や再使用を防止することができる。他の容器に繰り返し使用されるようなことを確実に防止でき、例えば穿刺部26が劣化することがなく、複数回使用されることを確実に防ぐことが可能となる。
【0055】
さらに本実施形態のスパウト20では、取付パーツ22が外部チューブ13に設けられた端部接続部13aと接続可能な接続機構38を有しているので、スパウトに外部チューブ13を接続する操作と、穿刺部26を取付パーツ22に一体化させて穿刺部により封止部を穿刺する操作とを別々に行うことができ、使用状況に応じて使用者が各操作を任意に選択できて使い勝手がよい。
【0056】
さらに本実施形態のスパウト20では、貫通孔23の容器10内側の開口周縁23aが貫通孔23の軸方向に凹んだ凹形状を有し、封止部25が開口周縁23aに接合されたシート材からなり、穿刺部26の回転により穿刺部26の先端刃部44で切断されるように構成されている。ここでは貫通孔23の開口周縁23a付近に配置されたシート材からなる封止部25が凹形状を有するので、穿刺部26の先端刃部44を回転させて圧接させたときに、シート材からなる封止部25が延びにくく、そのため先端刃部44により開口周縁近傍の封止部25を確実に切断することができる。
【0057】
また穿刺部26が脆弱部43により貫通孔23の所定位置に配置されているので、穿刺部26の先端刃部44を凹形状のシート材からなる封止部25に対して切断し易い位置に予め配置しておくことができ、穿刺部26の先端刃部44を回転させることで確実に切断することが可能である。このため高いシール性を有して穿刺し難いシート材からなる封止部25であっても、より確実に穿刺できてスパウト20を開封できる。
特に封止部25を構成するシート材が、凹形状の最奥部に、略への字状に屈曲した位置に穿刺位置25aを設定しているため、穿刺部26の先端刃部44により、一層確実に切断することが可能である。
【0058】
なお上記実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記実施形態では、スパウトとして、容器10に外部チューブ13等の他の部材を接続して収容物を吐出するためのポート部の例を用いて説明したが、特に限定されるものではなく、外部チューブ等を接続しない他のスパウトであっても本発明を適用可能である。
また上記では、容器本体として、樹脂シートが周囲で密封されたものを例示したが、容器本体はスパウトを気密に固定可能で内部に収容物を収容可能なものであれば、何ら限定されるものではない。
さらに上記実施形態では、第1係止部31及び第1被係止部41が互いに螺合可能なねじ部として形成され、第2係止部32及び第2被係止部42も互いに螺合可能なねじ部として形成された例について説明したが、互いに安定した姿勢で軸線方向及び回転方向に移動可能な係止手段であれば、特に限定されない。
【符号の説明】
【0059】
10 容器
11 容器本体
13 外部チューブ
13a 端部接続部
15 収容部
17 容器壁
20 スパウト
21 固定パーツ
22 取付パーツ
23 貫通孔
23a 開口周縁
24 本体部
25 封止部
25a 穿刺位置
26 穿刺部
27 船形
27a 内側端面
27b 外側端面
28 突出部
30 取付部
31 第1係止部
32 第2係止部
33 ストッパ
34a 第1傾斜凹部
34b 第2傾斜凹部
35a 第1傾斜突起
35b 第2傾斜突起
36a 第1離脱防止部
36b 第2離脱防止部
37 取付部本体
38 接続機構
39 後端支持部
40 連結部
41 第1被係止部
42 第2被係止部
43 脆弱部
44 先端刃部
44a 突き刺し部
44b 切断刃
45 操作部
46 環状突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14