(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042203
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】男性用尿漏れパッド
(51)【国際特許分類】
A61F 13/471 20060101AFI20240321BHJP
A61F 13/476 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61F13/471
A61F13/476
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146761
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】504333215
【氏名又は名称】川口 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】川口 俊雄
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA14
3B200BA01
3B200BB03
3B200BB04
3B200BB05
3B200BB09
3B200BB17
3B200CA12
(57)【要約】
【課題】少量の尿漏れにだけ対応でき、かつ、装着時の違和感および肌との接触部分の増大を抑制できる男性用尿漏れパッドを提供する。
【解決手段】男性用尿漏れパッドにおいて、使用時に人体に向く側である表側に配置され、かつ、液体を透過させる表側シート2と、使用時に下着に向く側である裏側に配置され、かつ、液体を透過させない裏側シート3と、表側シート2と裏側シート3との間に配置され、液体を吸収する吸収体4とを備えた。吸収体4は、長手方向の最大寸法である第1寸法Lが15cm以下であり、短手方向の最大寸法である第2寸法Wが5cm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に人体に向く側である表側に配置され、かつ、液体を透過させる表側シートと、
使用時に下着に向く側である裏側に配置され、かつ、液体を透過させない裏側シートと、
前記表側シートと前記裏側シートとの間に配置され、液体を吸収する吸収体と、
を備え、
前記吸収体は、長手方向の最大寸法である第1寸法が15cm以下であり、前記長手方向に直交する短手方向の最大寸法である第2寸法が5cm以下である、
男性用尿漏れパッド。
【請求項2】
前記表側シートの前記長手方向の第1端縁から前記吸収体の中心位置までの第3寸法は、前記表側シートの前記長手方向の最大寸法である第4寸法の30%以上40%以下である、
請求項1に記載の男性用尿漏れパッド。
【請求項3】
前記裏側シートは、前記短手方向の各端縁からそれぞれ前記短手方向に突出する一対の突出部を備え、
前記一対の突出部は、前記短手方向に視て、前記吸収体に内包されている、
請求項1または2に記載の男性用尿漏れパッド。
【請求項4】
前記第1寸法が10cm以下であり、前記第2寸法が4cm以下である、
請求項1に記載の男性用尿漏れパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性が使用する男性用尿漏れパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、男性用尿漏れパッドが種々開発されている。例えば、特許文献1には、男性用の尿吸収パッドが開示されている。当該尿吸収パッドは、立ち上がるように自立して、尿の流れを制御するガイドを備えている。また、特許文献2には、男性用吸収性物品が開示されている。当該男性用吸収性物品は、吸収体により吸収されない体液が戻ることを防止するための液戻り防止シート、および、尿の横漏れ防止のための立体ギャザーを備えている。これらのように、男性用尿漏れパッドは、尿の漏洩を抑制するために様々な工夫がなされているが、そのために複雑な構造になっている。また、これらの男性用尿漏れパッドは、成人男性の一回の排尿量である150~200ccを全量吸収するために、吸収体が大きくなっている。したがって、男性用尿漏れパッドのサイズが大型になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-137554号公報
【特許文献2】特開2019-146657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
男性用尿漏れパッドを使用する者の中には、排尿後に尿道に残った少量の尿が漏れる程度の者もいる。この場合、尿漏れの量は、ごく少量(例えば5cc程度)である。少量の尿漏れでも下着が汚れるので、下着の汚れを防ぐために、男性用尿漏れパッドが使用される。しかしながら、市販されている男性用尿漏れパッドは、尿の漏洩を抑制することに注力しているので、サイズが比較的大型である。サイズが必要以上に大きいので、装着時に違和感が生じる。また、肌との接触部分が増えるので、かぶれの原因にもなる。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、少量の尿漏れにだけ対応でき、かつ、装着時の違和感および肌との接触部分の増大を抑制できる男性用尿漏れパッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明によって提供される男性用尿漏れパッドは、使用時に人体に向く側である表側に配置され、かつ、液体を透過させる表側シートと、使用時に下着に向く側である裏側に配置され、かつ、液体を透過させない裏側シートと、前記表側シートと前記裏側シートとの間に配置され、液体を吸収する吸収体と、を備え、前記吸収体は、長手方向の最大寸法である第1寸法が15cm以下であり、前記長手方向に直交する短手方向の最大寸法である第2寸法が5cm以下である。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記表側シートの前記長手方向の第1端縁から前記吸収体の中心位置までの第3寸法は、前記表側シートの前記長手方向の最大寸法である第4寸法の30%以上40%以下である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記表側シートは、前記短手方向の各端縁からそれぞれ前記短手方向に突出する一対の突出部を備え、前記一対の突出部は、前記短手方向から見た場合、前記吸収体に内包されている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1寸法が10cm以下であり、前記第2寸法が4cm以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、吸収体は、第1寸法が15cm以下であり、第2寸法が5cm以下である。本発明に係る男性用尿漏れパッドは、吸収体の大きさに合わせて、小型化が可能である。これにより、本発明に係る男性用尿漏れパッドは、少量の尿漏れにだけ対応でき、かつ、装着時の違和感および肌との接触部分の増大を抑制できる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る男性用尿漏れパッドを示す平面図である。
【
図3】
図1に示す男性用尿漏れパッドの使用状態を説明するための図である。
【
図4】第2実施形態に係る男性用尿漏れパッドを説明するための図であり、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図3は、本発明に係る男性用尿漏れパッド1の一例を示している。本発明に係る男性用尿漏れパッド1は、男性の使用者が下着(パンツ)に取り付けて使用し、少量の尿漏れが発生したときに、漏れた尿を吸収して閉じ込め、尿が下着を汚すことを抑制する。 本発明においては、
図1~
図3に示すように、使用時に、人体に向く側を表側とし、下着に向く側を裏側とする。また、使用時に、人体の前方に位置する側を前側とし、後方に位置する側を後側とする。また、使用時に、人体の左に位置する側を左側とし、右に位置する側を右側とする。また、表側と裏側とで規定される表裏方向を厚さ方向とし、前側と後側とで規定される前後方向を長手方向とし、左側と右側とで規定される左右方向を短手方向とする。
【0016】
図1は、男性用尿漏れパッド1を示す平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。
図3は、男性用尿漏れパッド1の使用状態を説明するための図である。男性用尿漏れパッド1(以下では、「パッド1」と略する場合がある)は、表側シート2、裏側シート3、および吸収体4を備えている。
【0017】
表側シート2は、パッド1の最も表側(使用時に人体に向く側)に配置される。表側シート2は、液体(具体的には尿)を透過させる。表側シート2は、人体に接触するので、感触が柔らかく、肌に刺激を与えない材料で形成されるのが望ましい。本実施形態では、表側シート2は、例えば親水性不織布である。親水性不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などがあげられる。また、親水性不織布の加工方法としては、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、メルトブローン法、ニードルパンチ法などがあげられる。なお、表側シート2の材料および加工方法は限定されない。また、表側シート2は、複数のシートが積層されたシートであってもよい。
【0018】
表側シート2は、平面視形状が略長矩形状である。表側シート2は、長手方向の寸法が、短手方向の寸法より大きい。なお、表側シート2の平面視形状は、略長矩形状に限定されない。
【0019】
裏側シート3は、パッド1の最も裏側(使用時に下着に向く側)に配置される。裏側シート3は、液体(具体的には尿)を透過させない。裏側シート3は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられる。なお、裏側シート3は、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した不織布シートなどが用いられてもよい。また、裏側シート3は、ムレ防止のために、透湿性を有するものが用いられてもよい。なお、裏側シート3の材料および加工方法は限定されない。また、裏側シート3の裏側の面には、使用時にパッド1を下着に固着するための粘着剤層が配置されてもよい。また、この場合、パッド1は、粘着剤層を保護するための剥離シートを備えてもよい。
【0020】
裏側シート3は、平面視形状が略長矩形状である。裏側シート3は、長手方向の寸法が、短手方向の寸法より大きい。本実施形態では、裏側シート3の平面視形状および各寸法は、表側シート2と同一である。なお、裏側シート3の平面視形状および各寸法は限定されず、表側シート2と異なってもよい。
【0021】
吸収体4は、
図2に示すように、厚さ方向において、表側シート2と裏側シート3との間に配置されている。つまり、吸収体4の表側に表側シート2が配置され、吸収体4の裏側に裏側シート3が配置されている。吸収体4は、液体(具体的には尿)を吸収する。パッド1は、表側シート2と裏側シート3とで吸収体4を挟んで形成されている。パッド1においては、表側シート2が尿を速やかに通過させ、吸収体4が尿を吸収し、裏側シート3が尿の外側への漏れを防ぐ。
【0022】
吸収体4は、例えばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、または、パルプ中に化学繊維および高吸水性ポリマーを混入したものが用いられる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものがあげられる。また、高吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(SAP)や高吸水ポリマー繊維(SAF)などが用いられる。なお、吸収体4の構造、材料および加工方法は限定されない。吸収体4は、特に長手方向における変形(屈曲および折れ)に対応できるように、柔軟性を有する構造であることが望ましい。
【0023】
吸収体4は、平面視形状が略長矩形状である。吸収体4は、長手方向の寸法が、短手方向の寸法より大きい。なお、吸収体4の平面視形状は、略長矩形状に限定されない。吸収体4は、平面視において、表側シート2および裏側シート3に内包されている。吸収体4の長手方向の最大寸法Lは、15cm以下であり、好ましくは10cm以下である。また、吸収体4の短手方向の最大寸法Wは、5cm以下であり、好ましくは4cm以下である。吸収体4は、平面視において、表側シート2および裏側シート3の短手方向の中央で、長手方向の前側寄りに配置されている。つまり、吸収体4の平面視における中心点C1は、表側シート2(裏側シート3)の平面視における中心点C2より、長手方向の前側に位置している。本実施形態では、表側シート2の長手方向の前側の端縁から吸収体4の中心点C1までの寸法L1は、表側シート2の長手方向の最大寸法L2の30%以上40%以下である。
【0024】
パッド1は、
図3に示すように、下着9の内側の股間が当接する部分の長手方向の中央の位置に配置される。吸収体4が表側シート2および裏側シート3の長手方向の前側寄りに配置されているので、吸収体4は、下着9の前側寄りに位置する。したがって、男性が下着9を履いた場合に、尿が排出される、下着9の前側寄りの位置に吸収体4が位置する。これにより、パッド1は、吸収体4が小さくても、男性が使用した場合に、適切に尿の吸収を行うことが可能である。
【0025】
次に、第1実施形態に係る男性用尿漏れパッド1の作用効果について説明する。
【0026】
本実施形態によると、吸収体4は、長手方向の最大寸法Lが15cm以下であり、短手方向の最大寸法Wが5cm以下である。パッド1は、吸収体4の大きさに合わせて、小型化が可能である。これにより、パッド1は、少量の尿漏れにだけ対応でき、かつ、装着時の違和感および肌との接触部分の増大を抑制できる。
【0027】
また、本実施形態によると、吸収体4は、表側シート2および裏側シート3の長手方向の前側寄りに配置されている。パッド1が下着9の内側の股間が当接する部分の長手方向の中央の位置に配置された場合、吸収体4は、下着9の前側寄りに位置する。これにより、パッド1は、吸収体4が小さくても、男性が使用した場合に、適切に尿の吸収を行うことが可能である。
【0028】
なお、本実施形態では、吸収体4が、表側シート2および裏側シート3の長手方向前側寄りに配置されている場合について説明したが、これに限られない。吸収体4は、表側シート2および裏側シート3の長手方向中央に配置されてもよい。
【0029】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る男性用尿漏れパッド10を説明するための図である。
図4(a)は、男性用尿漏れパッド10を示す平面図であり、
図1に対応する図である。
図4(b)は、男性用尿漏れパッド10を示す底面図である。
図4において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る男性用尿漏れパッド10は、表側シート2および裏側シート3の平面視形状が、第1実施形態に係る男性用尿漏れパッド1と異なる。
【0030】
第2実施形態に係る裏側シート3は、
図4(b)に示すように、短手方向の各端部31からそれぞれ短手方向に突出する一対の突出部32を備えている。本実施形態では、一対の突出部32は、短手方向に視て、吸収体4に内包されている。また、本実施形態に係る表側シート2は、平面視形状および各寸法が裏側シート3と同一であり、
図4(a)に示すように、短手方向の各端部21からそれぞれ短手方向に突出する一対の突出部22を備えている。なお、表側シート2と裏側シート3とは、平面視形状が異なってもよい。突出部22,32は、特に長手方向における変形(屈曲および折れ)を妨げないように形成されることが望ましい。
【0031】
本実施形態においても、吸収体4が小さいので、男性用尿漏れパッド10は、吸収体4の大きさに合わせて、小型化が可能である。これにより、男性用尿漏れパッド10は、少量の尿漏れにだけ対応でき、かつ、装着時の違和感および肌との接触部分の増大を抑制できる。また、本実施形態においても、吸収体4が表側シート2および裏側シート3の長手方向の前側寄りに配置されているので、男性用尿漏れパッド10は、吸収体4が小さくても、男性が使用した場合に、適切に尿の吸収を行うことが可能である。さらに、本実施形態によると、裏側シート3は、短手方向の各端部31からそれぞれ短手方向に突出する一対の突出部32を備えている。これにより、吸収体4が尿を吸収しきれなかったり、尿の排出位置が左右方向にずれた場合でも、突出部32が、尿によって下着9が汚れることを抑制する。また、表側シート2も短手方向の各端部21からそれぞれ短手方向に突出する一対の突出部22を備えている。これにより、突出部22が、尿の吸収に貢献して、尿によって下着9が汚れることをさらに抑制する。
【0032】
本発明に係る男性用尿漏れパッドは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る男性用尿漏れパッドの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0033】
1,10:パッド
2 :表側シート
21 :端縁
22 :突出部
3 :裏側シート
31 :端縁
32 :突出部
4 :吸収体
9 :下着