(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042217
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20240321BHJP
F25D 21/08 20060101ALI20240321BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F25D21/06 Q
F25D21/08 B
F25B47/02 D
F25B47/02 H
F25D21/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146780
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】服部 圭介
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046BA01
3L046CA06
3L046CA11
3L046FB01
3L046GA01
3L046GA03
3L046GB03
3L046JA05
3L046JA09
3L046JA11
3L046JA12
3L046KA04
3L046LA02
3L046MA01
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い冷蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵室と、蒸発器、圧縮機及び減圧手段を含み、冷媒が循環する冷凍サイクルと、前記蒸発器の霜を除霜する除霜部と、を備え、前記圧縮機から吐出される前記冷媒を前記蒸発器に供給して前記貯蔵室を冷却する冷却運転と、前記除霜部を動作させて前記蒸発器を除霜する除霜運転と、を行う冷蔵庫であって、前記除霜運転の時間は、前回の前記除霜運転の終了後に行われた前記冷却運転の時間に応じて変動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
蒸発器、圧縮機及び減圧手段を含み、冷媒が循環する冷凍サイクルと、
前記蒸発器の霜を除霜する除霜部と、を備え、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒を前記蒸発器に供給して前記貯蔵室を冷却する冷却運転と、
前記除霜部を動作させて前記蒸発器を除霜する除霜運転と、を行う冷蔵庫であって、
前記除霜運転の時間は、前回の前記除霜運転の終了後に行われた前記冷却運転の時間に応じて変動する、冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1において、
前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサをさらに備え、
前記除霜運転の時間は、前回の前記除霜運転の終了後に行われた前記冷却運転の時間、及び、今回の前記除霜運転中の前記蒸発器温度センサの検知値に応じて変動する、冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1において、
前記除霜部は、前記蒸発器を収容する蒸発器室から前記貯蔵室に送風するファンであって、
前記除霜運転は、前記蒸発器への冷媒供給が停止した状態で、前記ファンが動作するオフサイクル除霜運転である、冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1において、
前記貯蔵室は、冷蔵温度帯の貯蔵室と、冷凍温度帯の貯蔵室と、で構成され、
前記蒸発器は、冷蔵温度帯の貯蔵室のみを冷却する第一蒸発器と、前記冷凍温度帯の貯蔵室を少なくとも冷却する第二蒸発器と、で構成され、
前記第一蒸発器の前記除霜部は、前記第一蒸発器を収容する第一蒸発器室から前記冷蔵温度帯の貯蔵室に送風するファンであって、
前記第一蒸発器の前記除霜運転は、前記第一蒸発器への冷媒供給が停止した状態で、前記ファンが動作するオフサイクル除霜運転であり、
前記第二蒸発器の前記除霜部は、ヒータであって、
前記第二蒸発器の前記除霜運転は、前記第二蒸発器への冷媒供給が停止した状態で、前記ヒータが動作するヒータ除霜運転であり、
前記オフサイクル除霜運転の時間が、前回の前記オフサイクル除霜運転の終了後に、前記第一蒸発器に前記冷媒が供給された時間に応じて変動する、冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1において、
前記冷却運転が間欠的に複数回行われる場合、前記除霜運転の時間は、複数の前記冷却運転の合計時間に応じて変動する、冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、蒸発器(冷却器)に霜が付着するため、蒸発器の除霜が行われている。主な除霜手段としては、圧縮機や庫内ファンを停止させた状態でヒータに通電することで蒸発器を加熱するヒータ除霜方式と、圧縮機を停止させた状態で庫内ファンを回転させて冷蔵温度帯の空気の循環により蒸発器を除霜するオフサイクル除霜方式と、が知られている。例えば、特許文献1には、いずれの除霜方式についても、庫内温度が所定の温度まで上昇すると除霜運転を終了することが開示されている(段落0029,0032)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、除霜運転の終了タイミングを庫内温度で判断すると、蒸発器に付着した霜を除霜しきれない場合や、除霜しきれていても必要以上に除霜運転を継続してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、信頼性の高い冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明は、貯蔵室と、蒸発器、圧縮機及び減圧手段を含み、冷媒が循環する冷凍サイクルと、前記蒸発器の霜を除霜する除霜部と、を備え、前記圧縮機から吐出される前記冷媒を前記蒸発器に供給して前記貯蔵室を冷却する冷却運転と、前記除霜部を動作させて前記蒸発器を除霜する除霜運転と、を行う冷蔵庫であって、前記除霜運転の時間は、前回の前記除霜運転の終了後に行われた前記冷却運転の時間に応じて変動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信頼性の高い冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係る冷蔵庫における
図1のII-II断面図。
【
図3】実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図。
【
図4】実施形態における第一蒸発器及びオフサイクル除霜の運転制御を示すタイムチャートの一例。
【
図5】実施形態における第一蒸発器及びオフサイクル除霜の運転制御を示すタイムチャートの他の一例。
【
図6】実施形態における第二蒸発器及びヒータ除霜の運転制御を示すタイムチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
【0010】
図1は、実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
【0011】
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aである。
【0012】
冷凍室7は、基本的に庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-20℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2及び野菜室6は庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)とし、例えば冷蔵室2は平均的に4℃程度、野菜室6は平均的に7℃程度にした貯蔵室である。
【0013】
冷蔵室ドア2aには代表的な庫内の設定や状態を示す表示部19が設けられている。冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部及び下部に設けられている。
【0014】
図2は、実施形態に係る冷蔵庫における
図1のII-II断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1は、外箱10a(鋼板製)と内箱10b(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。断熱箱体10には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。本実施形態では、断熱箱体10の背面、下面、天面及び両側面と、下段冷凍室ドア5aに真空断熱材25を実装して、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。
【0015】
冷蔵室2と、製氷室3及び上段冷凍室4とは、断熱仕切壁27によって隔てられている。下段冷凍室5と、野菜室6とは、断熱仕切壁28によって隔てられている。また、製氷室3と上段冷凍室4の間の前縁部には、仕切部29を備え、製氷室3及び上段冷凍室4と下段冷凍室の間の前縁部には、仕切部30を備える。これらの仕切部により、ドア3a、4a、5aの隙間から各貯蔵室内の空気が庫外へ漏れないよう、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないよう、断熱仕切壁31が設けられている。
【0016】
また、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器(図示せず)、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、野菜室容器6bが設けられている。
【0017】
冷蔵用蒸発器である第一蒸発器14aは、冷蔵室2の略背部に備えた冷蔵用蒸発器室である第一蒸発器室8a内に設けられている。第一蒸発器14aと熱交換して低温になった空気は、第一蒸発器14aの上方に設けた第一ファン9aにより、冷蔵室送風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口15から第一蒸発器室8aに戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
【0018】
冷凍用蒸発器である第二蒸発器14bは、下段冷凍室5の略背部に備えた冷凍用蒸発器室である第二蒸発器室8b内に設けられている。第二蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、第二蒸発器14bの上方に設けた第二ファン9bにより、冷凍室風路100を介して、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5に送風され、各貯蔵室内を冷却する。なお、冷凍室風路100には、製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102、下段冷凍室吹き出し口103が設けられている。各貯蔵室に送風された空気は、冷凍室戻り口105から第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bにより冷却される。
【0019】
さらに、第二蒸発器14bは、野菜室6も冷却する。図示は省略しているが、冷凍室風路100から下方に向けて野菜室風路も形成されており、野菜室風路の出口には野菜室吹き出し口と野菜室ダンパが設けられている。下段冷凍室5と野菜室6の間の断熱仕切壁28の下面には野菜室戻り口が開口しており、野菜室戻り口から第二蒸発器室8bの下部前方に至る野菜室戻り風路106を、断熱仕切壁28内に備えている。野菜室6を冷却する際には、第二蒸発器14bで低温になった空気が、第二ファン9bにより野菜室風路、野菜室吹き出し口を介して野菜室6に送風される。野菜室6が低温の場合は、野菜室ダンパを閉じることで野菜室の冷却を抑える。野菜室6に送風された空気は、野菜室戻り風路106から第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bにより冷却される。
【0020】
冷蔵室2、上段冷凍室4、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、野菜室温度センサ44が設けられている。また、第一蒸発器14aの上部には第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器14bの上部には第二蒸発器温度センサ40bが設けられている。これらのセンサにより、各貯蔵室、第一蒸発器14a及び第二蒸発器14bの温度が検知される。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度を検知する外気温度センサ37と湿度を検知する外気湿度センサ38が設けられている。
【0021】
冷蔵庫1の上部には、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御部(図示せず)が配置されている。制御部は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、野菜室温度センサ44、第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器温度センサ40b等と電気配線(図示せず)で接続されている。
【0022】
また、制御部では、各センサの出力値や操作部18の設定、ROMに予め記録されたプログラム等に基づいて、圧縮機24、第一ファン9a、第二ファン9b等の制御を行っている。加えて、本実施形態の冷蔵庫1には、外部機器と接続できる通信基板(図示なし)が設けられている。この通信基板が設けられることで、冷蔵庫1の情報をスマートフォン等のモバイルデバイスやパーソナルコンピュータ等に提供することや、これらの操作により操作部18(
図2参照)と同様にモード等の設定変更も行うことができるようにしている。
【0023】
図3は、実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。
図3に示すように、冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、断熱仕切壁27,28及び仕切部29,30の前面部への結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧させる減圧手段である第一キャピラリチューブ53a及び第二キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて庫内の熱を吸熱する第一蒸発器14a及び第二蒸発器14bを備える。
【0024】
また、冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器54a、54b、冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55を備えている。これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
【0025】
なお、冷蔵庫1は、可燃性冷媒のイソブタン80gを冷媒として用いている。また、圧縮機24は、インバータを備えて回転速度を変えることができる。三方弁52は、2つの流出口52a、52bを備え、流出口52a側に冷媒を流す冷蔵運転と、流出口52b側に冷媒を流す冷凍運転と、を切換えることができる部材である。また、三方弁52は、流出口52aと流出口52bの何れも冷媒が流れないようにする全閉のモードと、何れも冷媒が流れるようにする全開のモードと、を切換えることも可能である。
【0026】
また、冷蔵庫1の冷媒は以下のように流れる。すなわち、圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは、冷媒配管を介して第一キャピラリチューブ53aと接続されている。三方弁52の流出口52bは、冷媒配管を介して第二キャピラリチューブ53bと接続されている。
【0027】
三方弁52を流出口52a側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52aから流出した冷媒は、第一キャピラリチューブ53a、第一蒸発器14a、気液分離器54a、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。第一キャピラリチューブ53aで低圧低温になった冷媒が第一蒸発器14aを流れることで第一蒸発器14aが低温となり、第一蒸発器室8a(
図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を冷蔵室2に送風することで、冷蔵室2が冷却される。
【0028】
一方、三方弁52を流出口52b側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52bから流出した冷媒は、第二キャピラリチューブ53b、第二蒸発器14b、気液分離器54b、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。逆止弁56は、気液分離器54bから冷媒合流部55側には冷媒が流れ、冷媒合流部55から気液分離器54b側へは流れないように配設されている。第二キャピラリチューブ53bで低圧低温になった冷媒が第二蒸発器14bを流れることで第二蒸発器14bが低温となり、第二蒸発器室8b(
図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6に送風することで、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6が冷却される。
【0029】
次に、本実施形態に係る冷蔵庫の運転制御について説明する。前述したように、圧縮機24から吐出される冷媒が、第一蒸発器14aに供給された場合、冷蔵室2を冷却する運転(第一冷却運転)が行われる。一方、圧縮機24から吐出される冷媒が、第二蒸発器14bに供給された場合、製氷室3等を冷却する運転(第二冷却運転)が行われる。ただし、各蒸発器には冷却運転に伴い着霜が進むので、制御部は、冷却運転が停止したタイミングで除霜部を動作させて、各蒸発器を除霜する除霜運転を行う。
【0030】
各蒸発器の除霜部の構造と、その制御方法に関し、それぞれ説明する。
【0031】
まず、第一蒸発器14aの除霜部は、第一蒸発器室8aから冷蔵室2へ送風する第一ファン9a(
図2参照)である。すなわち、第一蒸発器14aの除湿運転では、ヒータは用いられず、第一ファン9aを動作して冷蔵室2の空気を循環させて、冷蔵温度帯の熱で第一蒸発器14aの除霜が行われる(オフサイクル除霜運転)。この第一蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水は、第一蒸発器室8aの下部に設けた第一蒸発器用トイ23aに落下し、第一蒸発器用排水口(図示なし)、第一蒸発器用排水管(図示なし)を介して機械室39に設けた蒸発皿32に排出される。
【0032】
第二蒸発器14bの除霜部は、第二蒸発器室8bの下部に設けられて第二蒸発器14bを加熱する除霜ヒータ21(
図2参照)である。この除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータで、冷蔵庫1内で最も発熱量の高いヒータであり、本実施形態では120Wのラジアントヒータとしている。すなわち、第二蒸発器14bの除霜運転では、除霜ヒータ21の熱で第二蒸発器14bの除霜が行われる(ヒータ除霜運転)。なお、ヒータ除霜運転は、オフサイクル除霜運転と比べて、除霜能力が高いため、着霜量が多くても除霜が可能であり、オフサイクル除霜運転と比べて長い時間間隔(少ない除霜頻度)で行われる。第二蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水(融解水)は、第二蒸発器室8bの下部に設けた第二蒸発器用トイ23bに落下し、第二蒸発器用排水口(図示なし)、第二蒸発器用排水管22を介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿32に排出される。
【0033】
図4は、実施形態における第一蒸発器及びオフサイクル除霜の運転制御を示すタイムチャートの一例である。時刻t
1は、冷蔵室2を冷却する第一冷却運転を開始した時刻である。第一冷却運転では、制御部が、三方弁52の流出口52a側を開き、圧縮機24を駆動させることで、冷媒の供給される第一蒸発器14aを低温にする。さらに制御部は、この状態で第一ファン9aを動作させることで、第一蒸発器14aを通過して低温になった空気により冷蔵室2を冷却する。ここで、第一冷却運転中の第一蒸発器14aの温度は、第二冷却運転中の第二蒸発器14bの温度よりも高くしている。一般的に蒸発器の温度が高い方が、COP(圧縮機24の入力に対する冷却する熱量の割合)が高く、省エネルギー性能が高い。従って、冷蔵室2を冷却する第一冷却運転では、第一蒸発器14aの温度を高めて省エネルギー性能を高めている。なお、本実施形態の冷蔵庫1では、第一冷却運転中の第一蒸発器14aの温度が高くなるよう、第一冷却運転中の圧縮機24の回転速度を第二冷却運転中よりも低速にしている。
【0034】
第一冷却運転により冷蔵室2が冷却され、冷蔵室温度センサ41により検知する冷蔵室温度が所定閾値(冷蔵終了温度閾値)まで低下すると、制御部は、圧縮機24を駆動させたまま三方弁52の流出口52b側を開いて第二冷却運転に移行するか、圧縮機24を停止させる(時刻t2)。これにより、第一蒸発器14aへの冷媒供給は停止され、第一冷却運転が終了する。このとき、所定の条件を満たすと、第一ファン9aによる第一蒸発器14aのオフサイクル除霜運転が開始される。オフサイクル除霜運転中、第一蒸発器14aに冷媒は供給されないが、第一蒸発器14aに付着した霜が0℃以下の場合、霜の融解熱を利用して冷蔵室2を冷却でき、冷蔵室2の温度上昇の抑制が可能である。
【0035】
ここで、本実施形態では、オフサイクル除霜運転の運転時間(例えばTf1)を、前回のオフサイクル除霜運転の終了後に行われた第一冷却運転の運転時間(Te1)に応じて変動するようにした。第一冷却運転の時間が長いと第一蒸発器14aの着霜量が多くなり除霜しきるまで長い時間を要し、逆に、第一冷却運転の時間が短いと第一蒸発器14aの着霜量が少なくなり除霜しきるまで短い時間で済むと考えられるためである。制御部は、前述の第一冷却運転の運転時間(Te1)に基づいて計算した運転予定時間(この場合Tf1と同じ)が経過すると、第一ファン9aを停止させ、オフサイクル除霜運転を終了する(時刻t3)。オフサイクル除霜運転の終了タイミングを第一冷却運転の運転時間に基づいて判定することで、第一蒸発器14aの着霜量に応じた必要十分な除霜時間を精度よく確保でき、冷蔵庫の信頼性が高まる。
【0036】
さらに、オフサイクル除霜運転の運転時間(例えばTf1)は、前回のオフサイクル除霜運転の終了後に行われた第一冷却運転の運転時間(例えばTe1)だけでなく、今回のオフサイクル除霜運転中の第一蒸発器温度センサ40aの検出値に応じて変動するようにしても良い。この場合、制御部は、オフサイクル除霜運転が開始してから、前述の運転予定時間が経過した時点で、第一蒸発器温度センサ40aにより検知する第一蒸発器14aの温度が所定閾値(除霜終了温度閾値)温度以上であるか否か、も判定する。仮に、第一蒸発器14aの温度が除霜終了温度閾値以上でない場合、制御部は、第一蒸発器14aの温度が除霜終了温度閾値以上になるまでオフサイクル除霜運転を継続する。このように、オフサイクル除霜運転の終了タイミングを、第一冷却運転の運転時間だけでなく、第一蒸発器14aの温度も用いて判定することで、信頼性をより高めることが可能となる。なお、第一蒸発器14aの温度以外にも、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室2の温度や、外気湿度センサ38が検知する外気の湿度を用いて、オフサイクル除霜運転の終了タイミングが判定されても良い。
【0037】
オフサイクル除霜運転が終了し、冷蔵室温度センサ41により検知する冷蔵室温度が所定閾値(冷蔵開始温度閾値)以上になると、制御部は、三方弁52の流出口52a側を開き、冷媒を第一蒸発器14aに供給することで、再び第一冷却運転を開始する。以降、第一冷却運転およびオフサイクル除霜運転が同様にして繰り返される。
【0038】
図5は、実施形態における第一蒸発器及びオフサイクル除霜の運転制御を示すタイムチャートの他の一例である。
図4では、1回の第一冷却運転(第一蒸発器14aへの冷媒供給)が終了すると1回のオフサイクル除霜運転が行われる制御であったが、
図5では、間欠的な複数回の第一冷却運転が終了してから1回のオフサイクル除霜運転が行われる。
図5のような制御の場合、オフサイクル除霜運転の運転時間(例えばT
f11)は、1回目の第一冷却運転の運転時間(T
e11)と、2回目の第一冷却運転の運転時間(T
e12)と、の合計時間に応じて変動する。このように、第一冷却運転の頻度と比べてオフサイクル除霜運転の頻度が少ない場合でも、第一蒸発器14aの着霜量に応じた必要十分な除霜時間のオフサイクル除霜運転が実行できる。なお、第一蒸発器14aに対するオフサイクル除霜運転の頻度は、第二蒸発器14bに対するヒータ除霜運転の頻度よりは多いので、冷却運転の合計時間と除霜運転の時間との相関関係のバラツキが小さく、精度の高い制御が可能である。
【0039】
図6は、実施形態における第二蒸発器及びヒータ除霜の運転制御を示すタイムチャートの一例である。第二冷却運転では、制御部が、三方弁52の流出口52b側を開き、圧縮機24を駆動させることで、第二蒸発器14bを低温にする。さらに、制御部は、この状態で第二ファン9bを動作させることで、第二蒸発器14bを通過して低温になった空気により上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6を冷却する。第二冷却運転により各貯蔵室が冷却され、例えば冷凍室温度センサ43が検知する冷凍室温度が所定閾値まで低下すると、第二蒸発器14bへの冷媒供給は停止され、第二冷却運転が終了する。その後、例えば冷凍室温度センサ43により検知する冷凍室温度が所定閾値まで上昇すると、再び第二冷却運転が開始する。このように、複数回の第二冷却運転が間欠的に繰り返される。
【0040】
そして、例えば、前回のヒータ除霜運転から所定時間(24時間など)経過すると、ヒータ除霜運転が行われる。ヒータ除霜運転では、第二蒸発器14bへの冷媒供給は停止され、第二ファン9bも停止するとともに、除霜ヒータ21が動作する。ここで、ヒータ除霜運転の運転時間(例えばTH)についても、1回目の第二冷却時間の運転時間(Te21)から4回目の第二冷却時間(Te24)までの合計時間に応じて変動させるようにした。したがって、第二蒸発器14bの着霜量に応じた必要十分な除霜時間を精度よく確保でき、冷蔵庫の信頼性が高まる。
【0041】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述の実施形態では、第二蒸発器14bがヒータ除霜運転によって除霜されたが、第二蒸発器14bはヒータ除霜運転だけでなくオフサイクル除霜運転も併用して除霜されても良い。さらに、前述した実施形態では、蒸発器を2つ備える冷蔵庫について説明したが、蒸発器は1つであっても良い。また、下段冷凍室5及び野菜室6は、冷凍温度帯または冷蔵温度帯に設定可能な切替室であっても良い。
【0042】
また、除霜手段は、前述のオフサイクル除霜方式及びヒータ除霜方式以外のものであっても良い。例えば、
図3における圧縮機24から庫外放熱器50aに至る前で分岐して蒸発器に至る前で合流するバイパスパイプを設け、圧縮機24から吐出された高温の冷媒を当該パイプに流すことで、冷媒の熱により蒸発器を除霜する方式も適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:冷蔵庫、2:冷蔵室、3:製氷室、4:上段冷凍室、5:下段冷凍室、5b:下段冷凍室容器、6:野菜室、6b:野菜室容器、8a:第一蒸発器室、8b:第二蒸発器室、9a:第一ファン、9b:第二ファン、10:断熱箱体、11:冷蔵室送風路、11a:冷蔵室吐出口、14a:第一蒸発器、14b:第二蒸発器、15:冷蔵室戻り口、21:除霜ヒータ、22:第二蒸発器用排水管、23a:第一蒸発器用トイ、23b:第二蒸発器用トイ、24:圧縮機、25:真空断熱材、40a:第一蒸発器温度センサ、40b:第二蒸発器温度センサ、41:冷蔵室温度センサ、43:冷凍室温度センサ、44:野菜室温度センサ、50a:庫外放熱器、50b:壁面放熱配管、50c:結露防止配管、51:ドライヤ、52:三方弁、52a,52b:流出口、53a:第一キャピラリチューブ、53b:第二キャピラリチューブ、54a,54b:気液分離器、55:冷媒合流部、56:逆止弁、100:冷凍室風路、101:製氷室吹き出し口、102:上段冷凍室吹き出し口、103:下段冷凍室吹き出し口、105:冷凍室戻り口、103:下段冷凍室吹き出し口、106:野菜室戻り風路