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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042220
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】整流回路およびそれを用いた電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
H02M7/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146784
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 明寛
(72)【発明者】
【氏名】庄司 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】坂野 順一
(72)【発明者】
【氏名】内海 智之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孝裕
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CA07
5H006CB07
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA03
(57)【要約】
【課題】
整流用のスイッチング素子を用いた整流回路において、整流用のスイッチング素子を駆動するための駆動回路に電力を供給するコンデンサの必要容量を削減することができる整流回路を提供する。
【解決手段】
アノードAとカソードKとを有する整流回路2において、整流用のスイッチング素子(MOSFETQ1)と、ダイオード(ボディダイオードDQ1)と、整流用のスイッチング素子(MOSFETQ1)を駆動する駆動回路1と、駆動回路1に電力を供給するコンデンサC1と、を備え、コンデンサC1は、整流用のスイッチング素子(MOSFETQ1)がオフしてから次にオンするまでの期間に、コンデンサC1が充電される第1の充電期間および第2の充電期間と、第1の充電期間と第2の充電期間との間に設けられコンデンサC1への充電が停止される充電停止期間とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードとカソードとを有する整流回路において、
第1の端子が前記整流回路の前記カソードに接続され、第2の端子が前記整流回路の前記アノードに接続された第1のスイッチング素子と、
カソードが前記第1の端子に接続され、アノードが前記第2の端子に接続された第1のダイオードと、
前記第1のスイッチング素子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路に電力を供給する第1のコンデンサと、を備え、
前記第1のコンデンサは、前記第1のスイッチング素子がオフしてから次にオンするまでの期間に、前記第1のコンデンサが充電される第1の充電期間および第2の充電期間と、前記第1の充電期間と前記第2の充電期間との間に設けられ前記第1のコンデンサへの充電が停止される充電停止期間とを有することを特徴とする整流回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の充電期間および前記第2の充電期間は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧が所定の電圧以下の期間であり、
前記充電停止期間は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧が前記所定の電圧より大きい期間であることを特徴とする整流回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の充電期間は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧が増加中の期間であり、
前記第2の充電期間は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧が減少中の期間であることを特徴とする整流回路。
【請求項4】
請求項2において、
第3の端子が前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子に接続された第2のスイッチング素子と、
アノードが前記第2のスイッチング素子の第4の端子に接続され、カソードが前記第2のスイッチング素子の前記第3の端子に接続された第2のダイオードと、
アノードが前記第2のスイッチング素子の前記第4の端子に接続された第3のダイオードと、
正極端子が前記第3のダイオードのカソードに接続され、負極端子が前記第1のスイッチング素子の前記第2の端子に接続された前記第1のコンデンサと、
前記第2のスイッチング素子を制御する信号を、前記第2のスイッチング素子の制御端子に入力する制御回路と、を備え、
前記駆動回路は、電力が前記第1のコンデンサから供給され、前記第2のスイッチング素子の前記第4の端子と前記第1のスイッチング素子の前記第2の端子との間の電圧を検出する第1のコンパレータと、入力端子が前記第1のコンパレータの出力端子に接続され、出力端子が前記第1のスイッチング素子の制御端子に接続され、電力が前記第1のコンデンサから供給され、前記第1のコンパレータの出力信号に基づいて前記第1のスイッチング素子を制御する第1のゲートドライバとを有し、
前記制御回路は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧が前記第1のコンデンサの目標電圧と前記第3のダイオードの順方向電圧との合計電圧以下の期間では前記第2のスイッチング素子をオン状態に制御し、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧が前記第1のコンデンサの目標電圧と前記ダイオードの順方向電圧との合計電圧より大きい期間では前記第2のスイッチング素子をオフ状態に制御することで、前記第1のコンデンサへ流れる充電電流を制御することを特徴とする整流回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1のスイッチング素子は、前記第1の端子がドレイン端子で、前記第2の端子がソース端子で、前記制御端子がゲート端子である第1のMOSFETであり、
前記第1のダイオードは、前記第1のMOSFETのボディダイオードであることを特徴とする整流回路。
【請求項6】
請求項4において、
前記第2のスイッチング素子は、前記第3の端子がドレイン端子で、前記第4の端子がソース端子で、前記制御端子がゲート端子である第2のMOSFETであることを特徴とする整流回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2のMOSFETはnチャネルのデプレッション型MOSFETであることを特徴とする整流回路。
【請求項8】
請求項4において、
前記第1のコンデンサの前記目標電圧は、前記第1のコンパレータの最大定格電圧、前記第1のゲートドライバの最大定格電圧、前記第1のスイッチング素子の前記制御端子と前記第2の端子との間の最大定格電圧のうちの最小のもの以下であることを特徴とする整流回路。
【請求項9】
請求項4において、
前記制御回路は、前記第2のスイッチング素子を制御するタイミングを決定するための微分回路を有することを特徴とする整流回路。
【請求項10】
請求項4において、
前記第1のコンパレータは、第1の閾値電圧と第2の閾値電圧とを有し、検出した前記第2のスイッチング素子の前記第4の端子と前記第1のスイッチング素子の前記第2の端子との間の電圧が前記第1の閾値電圧より小さい場合にオン信号を生成し、前記第2の閾値電圧より大きい場合にオフ信号を生成し、前記第1の閾値電圧は前記第2の閾値電圧以下であることを特徴とする整流回路。
【請求項11】
請求項4において、
前記制御回路は、前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧を分圧する第1の抵抗および第2の抵抗と、電力が前記第1のコンデンサから供給され、前記第2の抵抗の電圧を検出する第2のコンパレータと、入力端子が前記第2のコンパレータの出力端子に接続され、出力端子が前記第2のスイッチング素子の前記制御端子に接続され、電力が前記第1のコンデンサから供給され、前記第2のコンパレータの出力信号に基づいて前記第2のスイッチング素子を制御する第2のゲートドライバとを有することを特徴とする整流回路。
【請求項12】
請求項4において、
第5の端子が前記第1のスイッチング素子の前記第1の端子に接続され、第6の端子が前記第2のスイッチング素子の前記第3の端子に接続された第3の抵抗を有することを特徴とする整流回路。
【請求項13】
請求項4において、
正極端子が前記第2のスイッチング素子の前記第4の端子に接続され、負極端子が前記第1のスイッチング素子の前記第2の端子に接続された第2のコンデンサを有することを特徴とする整流回路。
【請求項14】
請求項1から13の何れかにおいて、
前記整流回路が半導体パッケージに内蔵され、前記整流回路の前記アノードと前記カソードとが前記半導体パッケージの外部端子であることを特徴とする整流回路。
【請求項15】
請求項1から13の何れかにおいて、
複数の前記整流回路が1つの半導体パッケージに内蔵されていることを特徴とする整流回路。
【請求項16】
請求項1から13の何れかに記載の整流回路を有することを特徴とする電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流回路およびそれを用いた電源に関する。
【背景技術】
【0002】
交流を直流に整流する整流回路としては、ダイオードを用いたものや、ダイオードに代えてMOSFET等のスイッチング素子を用いて同期整流を行うものが知られている。
【0003】
ダイオードを用いた整流の場合は、ダイオードの内蔵ポテンシャルによる電圧降下があるため、損失が大きいという問題がある。これに対し、例えばMOSFETを用いた同期整流は、MOSFETの内蔵ポテンシャルがなく0Vから順方向電流が立ち上がるため、損失が低いという利点がある。したがって、特に、フロントエンド電源等の効率規制の厳しいスイッチング電源において、より低損失に整流するために、主にMOSFETを用いた同期整流が用いられている。
【0004】
同期整流を実現する整流回路としては、例えば、特許文献1や特許文献2などがある。
【0005】
同期整流を行う整流回路は、一般的に、同期整流用の第1のスイッチング素子であるMOSFETと、その駆動回路と、駆動回路に電力を供給するコンデンサと、コンデンサの電圧を制御するための第2のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子の制御回路とを有している。駆動回路は、あらかじめ定められた閾値電圧と、検出したMOSFETのドレイン-ソース間電圧とに基づき、MOSFETのオンオフを制御する。
【0006】
図9は、従来の整流回路の動作波形を示す図である。図9において、縦軸は電圧または電流、横軸は時刻tを示している。
【0007】
駆動回路に電力を供給するコンデンサは、時刻t0でMOSFETのゲート-ソース間電圧Vgs1が0になってMOSFETがターンオフした後、時刻t1から時刻t2の間に、MOSFETのドレイン端子、第2のスイッチング素子、コンデンサ、MOSFETのソース端子の経路で流れる電流で充電される。コンデンサの充電が開始されると、MOSFETのドレイン-ソース間電圧Vsd1に追従するようにコンデンサの電圧Vc1は増加する。
【0008】
この整流回路では、コンデンサの電圧Vc1が時刻t2で目標電圧Vcref1まで達した後、MOSFETのドレイン端子とコンデンサの正極端子との間に挿入された第2のスイッチング素子をターンオフすることで、コンデンサの充電電流Icを遮断する。これにより、コンデンサの電圧Vc1は目標電圧Vcref1以下になるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001-251861号公報
【特許文献2】米国特許第10756645号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、従来の整流回路では、図9に示すように、時刻t2から時刻t5までの間は、コンデンサに蓄積された電力は駆動回路の待機電力で消費されるため、コンデンサの電圧Vc1は減少する。さらにその後、時刻t5から開始するMOSFETのオン期間を経て、次の時刻t0で再びMOSFETがターンオフして時刻t1でコンデンサの充電が開始されるまで、コンデンサに蓄積された電力は、駆動回路の消費電力、または、MOSFETのゲート-ソース間電圧の生成に使用されるため、コンデンサの電圧は減少し続ける。
【0011】
そのため、時刻t2でコンデンサの充電が完了してから次の時刻t1で再びコンデンサの充電が開始されるまでの期間において、コンデンサの電圧Vc1が、例えば、駆動回路の動作保証電圧、もしくは、MOSFETのゲート閾値電圧以上になるように、コンデンサの電圧下限値Vcref2を設定し、これを満たすようコンデンサの容量を選定する必要がある。
【0012】
しかしながら、従来の整流回路では、上記の通り同期整流用のMOSFETの駆動回路に電力を供給するコンデンサの容量を確保する必要があるため、コンデンサの体積を小さくするのには限界があり、整流回路の小型化、低コスト化の妨げとなっていた。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、整流用のスイッチング素子を用いた整流回路において、整流用のスイッチング素子を駆動するための駆動回路に電力を供給するコンデンサの必要容量を削減することができ、これによってコンデンサの体積を削減して小型化、低コスト化が可能な整流回路およびそれを用いた電源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の整流回路は、例えば、アノードとカソードとを有する整流回路において、第1の端子が前記整流回路の前記カソードに接続され、第2の端子が前記整流回路の前記アノードに接続された第1のスイッチング素子と、カソードが前記第1の端子に接続され、アノードが前記第2の端子に接続された第1のダイオードと、前記第1のスイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電力を供給する第1のコンデンサと、を備え、前記第1のコンデンサは、前記第1のスイッチング素子がオフしてから次にオンするまでの期間に、前記第1のコンデンサが充電される第1の充電期間および第2の充電期間と、前記第1の充電期間と前記第2の充電期間との間に設けられ前記第1のコンデンサへの充電が停止される充電停止期間とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電源は、例えば、上記整流回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の整流回路および電源によれば、第1の充電期間と第2の充電期間の2回に分けてコンデンサを充電し、第1の充電期間の後の充電停止期間に放電された分の少なくとも一部を第2の充電期間で補うことができるので、コンデンサの必要容量を削減でき、その結果、コンデンサの体積を削減して整流回路および電源の小型化、低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1の整流回路の回路図。
図2】実施例1の整流回路の動作波形を示す図。
図3】実施例2の整流回路の回路図。
図4】実施例3の整流回路の回路図。
図5】実施例4の整流回路の回路図。
図6】実施例5の整流回路の構成の一例を示す図。
図7】実施例5の整流回路の構成の他の例を示す図。
図8】実施例6の電源の回路図。
図9】従来の整流回路の動作波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【実施例0019】
はじめに、実施例1の基本原理について説明する。
【0020】
図1は、実施例1の整流回路の回路図である。
【0021】
図1に示すように、実施例1の整流回路2は、アノードAと、カソードKと、整流用の第1のスイッチング素子であるMOSFETQ1と、MOSFETQ1のボディダイオードDQ1と、MOSFETQ1を駆動する駆動回路1と、駆動回路1に電力を供給するコンデンサC1とを有する。さらに、実施例1の整流回路2は、コンデンサC1の電圧Vc1を制御するための第2のスイッチング素子であるMOSFETQ2と、MOSFETQ2のボディダイオードDQ2と、MOSFETQ2を制御する制御回路CTRと、ダイオードDとを有する。駆動回路1は、コンパレータCo1と、ゲートドライバGD1とを有する。
【0022】
図1では、MOSFETQ1としてnチャネルのエンハンスメント型MOSFETを用い、MOSFETQ2としてnチャネルのデプレッション型MOSFETを用いて表記しているが、これに限られず、他のスイッチング素子を用いてもよい。また、ボディダイオードDQ1とボディダイオードDQ2についても、MOSFETに内蔵されたボディダイオードに限られず、例えば外付けのダイオードなど、他のダイオードを用いてもよい。
【0023】
MOSFETQ1は、制御端子であるゲート端子と、一方の主端子であるドレイン端子と、他方の主端子であるソース端子とを有している。MOSFETQ1は、整流用のスイッチング素子であり、ドレイン端子が整流回路2のカソードKに接続され、ソース端子が整流回路2のアノードAに接続され、ゲート端子が駆動回路1に接続されている。
【0024】
ボディダイオードDQ1は、カソードがMOSFETQ1のドレイン端子に接続され、アノードがMOSFETQ1のソース端子に接続されている。
【0025】
図2は、実施例1の整流回路の動作波形を示す図である。
【0026】
図2は、図9に対応する図であり、図1に示した整流回路2を4個使用して構成したブリッジ回路に抵抗負荷を接続し、正弦波電圧を入力した場合の動作波形である。図2において、縦軸は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1、MOSFETQ1のゲート-ソース間電圧Vgs1、コンデンサC1の充電電流Ic、コンデンサC1の電圧Vc1を示しており、横軸は時刻tを示している。また、Vgth1は、MOSFETQ1のゲート閾値電圧である。なお、MOSFETQ2のドレイン-ソース間電圧Vds2、MOSFETQ2のゲート-ソース間電圧Vgs2、MOSFETQ2のゲート閾値電圧Vgth2については図示および詳細な説明を省略する。
【0027】
図2に示すように、実施例1の整流回路2では、駆動回路1に電力を供給するコンデンサC1は、MOSFETQ1が時刻t0でオフしてから次に時刻t5でオンするまでの期間に、第1のコンデンサC1が充電される第1の充電期間(時刻t1から時刻t2)および第2の充電期間(時刻t3から時刻t4)と、第1の充電期間と第2の充電期間との間に設けられコンデンサへC1の充電が停止される充電停止期間(時刻t2から時刻t3)とを有する点で、従来の図9の動作波形と異なっている。
【0028】
従来の図9では、コンデンサの充電期間は時刻t1から時刻t2の1回のみであり、その後、次の充電期間である時刻t1までコンデンサの電圧Vc1を電圧下限値Vcref2以上に維持できるようにコンデンサの容量を選定する必要がある。これに対して、実施例1の整流回路2によれば、第1の充電期間と第2の充電期間の2回に分けてコンデンサC1を充電し、第1の充電期間の後の充電停止期間に放電された分の少なくとも一部を第2の充電期間で補うことができるので、コンデンサC1の必要容量を削減でき、その結果、コンデンサC1の体積を削減して整流回路2およびそれを用いた電源の小型化、低コスト化を実現できる。また、MOSFETのオフ期間における消費電力が大きい駆動回路や制御ICを使用可能となる。
【0029】
図2では、一例として、第1の充電期間および第2の充電期間が、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が所定の閾値電圧Vref1以下の期間であり、充電停止期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が所定の閾値電圧Vref1より大きい期間とした。これによって、第1の充電期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が増加中の期間であり、第2の充電期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が減少中の期間となる。図2では、閾値電圧Vref1は、コンデンサC1の目標電圧Vcref1とダイオードDの順方向電圧Vfとの合計電圧に設定されている。
【0030】
MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が大きい期間にコンデンサC1を充電すると、その途中の経路にあるMOSFETQ2のドレイン-ソース間電圧Vds2も大きくなり、MOSFETQ2で発生する損失(Vds2×Ic)も大きくなってしまう。そこで、実施例1の整流回路2では、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が所定の閾値電圧Vref1より大きい期間では充電停止期間とすることで損失の発生を抑制し、充電効率を高めている。さらに、第2の充電期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が減少中の期間であるため、次の第1の充電期間までの期間を短くすることができ、コンデンサC1の必要容量を削減できる効果が高い。
【0031】
次に、図1および図2を用いて、実施例1の詳細な構成と動作について説明する。
【0032】
MOSFETQ2は、制御端子であるゲート端子と、一方の主端子であるドレイン端子と、他方の主端子であるソース端子とを有している。MOSFETQ2は、コンデンサC1の電圧Vc1を制御するためのスイッチングであり、ドレイン端子がMOSFETQ1のドレイン端子に接続され、ソース端子がダイオードDを介してコンデンサC1に接続され、ゲート端子が制御回路CTRに接続されている。
【0033】
ボディダイオードDQ2は、カソードがMOSFETQ2のドレイン端子に接続され、アノードがMOSFETQ2のソース端子に接続されている。
【0034】
ダイオードDは、アノードがMOSFETQ2のソース端子に接続され、カソードがコンデンサC1の正極端子に接続されている。
【0035】
コンデンサC1は、正極端子がダイオードDのカソードに接続され、負極端子がMOSFETQ1のソース端子に接続されている。
【0036】
駆動回路1は、電力がコンデンサC1から供給され、MOSFETQ2のソース端子とMOSFETQ1のソース端子との間の電圧を検出するコンパレータCo1と、入力端子がコンパレータCo1の出力端子に接続され、出力端子がMOSFETQ1のゲート端子に接続され、電力がコンデンサC1から供給され、コンパレータCo1の出力信号に基づいてMOSFETQ1を制御するゲートドライバGD1とを有する。
【0037】
制御回路CTRは、MOSFETQ2を制御する信号を、MOSFETQ2の制御端子に入力する。そして、制御回路CTRは、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1がコンデンサC1の目標電圧Vcref1とダイオードDの順方向電圧Vfとの合計電圧(閾値電圧Vref1)以下の期間ではMOSFETQ2をオン状態に制御し、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1がコンデンサC1の目標電圧Vcref1とダイオードDの順方向電圧Vfとの合計電圧(閾値電圧Vref1)より大きい期間ではMOSFETQ2をオフ状態に制御することで、コンデンサC1へ流れる充電電流Icを制御する。
【0038】
ここで、コンデンサC1の目標電圧Vcref1は、駆動回路1がMOSFETQ1を駆動できるように、MOSFETQ1のゲート閾値電圧Vgth1より十分大きく設定されている。また、コンデンサC1の目標電圧Vcref1は、コンパレータCo1の最大定格電圧、ゲートドライバGD1の最大定格電圧、MOSFETQ1のゲート-ソース間電圧Vgs1の最大定格電圧のうちの最小のもの以下となるように設定されている。これによって、駆動回路1やMOSFETQ1が破壊されるのを防止できる。
【0039】
なお、制御回路CTRは、MOSFETQ2を制御するタイミングを決定するための微分回路を有する構成としてもよい。例えば、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1の傾きに基づいて充電タイミングを決定することができる。
【0040】
一例としては、図2において、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1の傾きが所定の範囲、例えば、時刻t3における傾きよりも大きく、時刻t2における傾きよりも小さい期間を検出することで、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が閾値電圧Vref1より大きい期間(時刻t2から時刻t3)であることを検出でき、これに基づいてMOSFETQ2を制御することができる。なお、これに限られず、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1の傾きが所定の範囲、例えば、時刻t0から時刻t2または時刻t1から時刻t2における傾きに相当する所定の範囲と、時刻t3から時刻t5または時刻t3から時刻t4における傾きに相当する所定の範囲との何れかに入っていることを検出することで、第1の充電期間または第2の充電期間であることを検出し、これに基づいてMOSFETQ2を制御してもよい。
【0041】
また、他の例としては、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1の大きさを検出するとともに、微分回路でその傾きも検出し、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が閾値電圧Vref1以下、かつ、その傾きが急峻すぎない所定の傾きの範囲である場合にコンデンサC1を充電するように制御してもよい。例えばMOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1がきれいな正弦波ではなくノイズが混じっている場合には、一瞬だけ閾値電圧Vref1を下回るが、すぐに元に戻ってしまう可能性がある。このような場合に、傾きを考慮しないと、MOSFETQ2をオンしたあとすぐにオフすることとなり、損失が発生してしまう。この場合は、傾きが通常よりも急峻になっているので、微分回路でその傾きも検出して制御に用いることで、ノイズによる誤動作を防ぐことができる。
【0042】
次に、図2に基づいて実施例1の整流回路2の動作を説明する。
【0043】
時刻t0では、整流期間が終わり、非整流期間が始まる。
【0044】
時刻t0から時刻t1までの期間は、非整流期間であり、MOSFETQ1はオフしている。また、ブリッジ回路に入力される正弦波電圧の増加に伴って、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は増加する。また、本期間において、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1より小さいため、制御回路CTRはMOSFETQ2をオンに制御する。このとき、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1はコンデンサC1の電圧Vc1より小さいが、ダイオードDがコンデンサC1の正極端子からMOSFETQ1のドレイン端子への電流の逆流を防ぐ。
【0045】
時刻t1から時刻t2までの期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が閾値電圧Vref1より小さいため、引き続き制御回路CTRはMOSFETQ2をオンに制御する。また、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1がコンデンサC1の電圧Vc1とダイオードDの順方向電圧Vfの合計より大きい。その結果、コンデンサC1への充電が開始され、コンデンサC1の電圧Vc1は増加する。コンデンサC1の充電電流Icは、MOSFETQ1のドレイン端子、MOSFETQ2、ダイオードD、コンデンサC1、MOSFETQ1のソース端子の経路で流れる。
【0046】
時刻t2では、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1に等しい。
【0047】
時刻t2から時刻t3までの期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1より大きいため、制御回路CTRはMOSFETQ2をオフに制御し、充電停止期間とする。その結果、コンデンサC1の充電電流Icは遮断される。本期間において、コンデンサC1に蓄積された電力は駆動回路1の待機電力として消費されるが、コンデンサC1は充電されないため、コンデンサの電圧Vc1は減少する。また、本期間において、ブリッジ回路に入力される正弦波電圧は、前半は増加し、後半は減少する。これに伴い、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1も前半は増加し、後半は減少に転ずる。
【0048】
時刻t3では、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1に等しい。
【0049】
時刻t3から時刻t4までの期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1より小さいため、制御回路CTRはMOSFETQ2をオンに制御する。また、時刻t2から時刻t3までの期間において、コンデンサC1の電圧Vc1は減少しているため、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1はコンデンサC1の電圧Vc1とダイオードDの順方向電圧Vfの合計より大きい。その結果、コンデンサC1の充電電流Icは、MOSFETQ1のドレイン端子、MOSFETQ2、ダイオードD、コンデンサC1、MOSFETQ1のソース端子の経路で流れ、コンデンサC1の電圧Vc1は増加する。この期間でもコンデンサC1の充電を行う点が従来の図9との相違点である。
【0050】
時刻t4は、MOSFETQ1の電圧が、コンデンサC1の電圧Vc1とダイオードDの順方向電圧Vfの合計に等しくなった時である。
【0051】
時刻t4から時刻t5までの期間は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1より小さいため、引き続き制御回路CTRはMOSFETQ2をオンに制御する。このとき、ダイオードDがコンデンサC1の正極端子からMOSFETQ1のドレイン端子へ電荷が流出することを防ぐ。
【0052】
最後に、時刻t5から時刻t0までの期間では、再び整流期間となり、駆動回路1がMOSFETQ1をオンして、アノードAからカソードKに整流電流が流れる。
【0053】
ここで、駆動回路1の動作とMOSFETQ1の制御方法について説明する。
【0054】
駆動回路1のコンパレータCo1は、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1を、MOSFETQ2のソース端子とMOSFETQ1のソース端子から検出する。検出した電圧に基づき、駆動回路1はMOSFETQ1をターンオン、ターンオフする。
【0055】
アノードAからカソードKに流れる整流電流は、まず、MOSFETQ1のボディダイオードDQ1を流れる。ボディダイオードDQ1の電圧降下により、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は負の値となる。
【0056】
コンパレータCo1が検出した電圧がコンパレータCo1の持つ第1の閾値電圧より小さくなると、コンパレータCo1はオン信号を出力し、ゲートドライバGD1がMOSFETQ1のゲート-ソース間電圧Vgs1をコンデンサC1の電圧Vc1までプルアップすることで、MOSFETQ1はターンオンする。
【0057】
その後、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は、整流電流とMOSFETQ1のオン抵抗で決まる電圧となる。
【0058】
時間の経過とともに、整流電流が減少する。整流電流の減少に伴い、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は増加する。コンパレータCo1の検出した電圧がコンパレータCo1の持つ第2の閾値電圧より大きくなったとき、コンパレータCo1はオフ信号を出力して、ゲートドライバGD1はMOSFETQ1のゲート-ソース間電圧Vgs1を0Vにプルダウンすることで、MOSFETQ1はターンオフする。
【0059】
コンパレータCo1の持つ第1の閾値電圧と第2の閾値電圧は同じ値でも良いし、第1の閾値電圧が第2の閾値電圧より小さくても良い。第1の閾値電圧が第2の閾値電圧より小さい場合、MOSFETが短周期でオンとオフを繰り返すチャタリングを抑制可能である。
【0060】
再び図2の説明に戻る。
【0061】
時刻t5から時刻t0までの期間では、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1は閾値電圧Vref1より小さいため、引き続き制御回路CTRはMOSFETQ2をオンに制御する。一方で、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1はコンデンサC1の電圧Vc1とダイオードDの順方向電圧Vfの合計より小さいため、コンデンサC1は充電されない。このとき、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1がコンデンサC1の電圧Vc1より小さいが、ダイオードDがコンデンサC1の正極端子からMOSFETQ1のドレイン端子への電流の逆流を防ぐ。
【0062】
その結果、本期間では、コンデンサC1に蓄積された電力は駆動回路1の消費電力とMOSFETQ1のゲート-ソース間電圧Vgs1の生成に使用されるため、コンデンサC1の電圧Vc1は減少する。
【0063】
上記の制御を繰り返すことで、実施例1の整流回路2は同期整流を実現する。
【0064】
上記の制御において、時刻t2から時刻t3までの期間と時刻t4から次の時刻t1までの期間は、コンデンサC1が充電されないため、コンデンサC1の電圧Vc1が減少する。いずれかの期間におけるコンデンサC1の電圧Vc1の最小値が、コンデンサC1の電圧下限値Vcref2以上であるように、コンデンサC1の容量を選定する必要がある。コンデンサC1の電圧下限値Vcref2は、例えば、駆動回路1の最低動作電圧より大きく、かつ、MOSFETQ1のオン抵抗が十分小さくなるようなMOSFETQ1のゲート閾値電圧Vgth1より大きい値である。
【0065】
以上説明したとおり、実施例1の整流回路2によれば、コンデンサC1の必要容量を削減でき、その結果、コンデンサC1の体積を削減して整流回路2および電源の小型化、低コスト化を実現できる。
【実施例0066】
図3は、実施例2の整流回路の回路図である。
【0067】
実施例2は、実施例1の変形例である。実施例2は、制御回路CTRの具体的な構成の一例を示している点で実施例1と相違し、その他の構成、効果は基本的に実施例1と同様である。したがって、実施例2では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と重複する説明は省略する。
【0068】
実施例2の整流回路2の制御回路CTRは、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1を分圧する抵抗R1および抵抗R2と、電力がコンデンサC1から供給され、抵抗R2の電圧を検出するコンパレータCo2と、入力端子がコンパレータCo2の出力端子に接続され、出力端子がMOSFETQ2のゲート端子に接続され、電力がコンデンサC1から供給され、コンパレータCo2の出力信号に基づいてMOSFETQ2を制御するゲートドライバGD2とを有する。
【0069】
ここで、抵抗R1および抵抗R2は、抵抗R2の電圧がコンパレータCo2の定格電圧以下となるように設定されている。コンパレータCo2は、検出した抵抗R2の電圧を閾値電圧Vref2と比較し、ゲートドライバGD2に信号を出力する。このとき、MOSFETQ1のドレイン-ソース間電圧Vds1が閾値電圧Vref1と等しくなったときに、抵抗R2の電圧が閾値電圧Vref2と等しくなるように、閾値電圧Vref2を選定しておく。
【0070】
実施例2の整流回路2によれば、実施例1の図2で説明した動作を実現することができる。
【実施例0071】
図4は、実施例3の整流回路の回路図である。
【0072】
実施例3は、実施例1の変形例である。実施例3は、抵抗R3を有する点で実施例1と相違し、その他の構成、効果は基本的に実施例1と同様である。したがって、実施例3では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と重複する説明は省略する。なお、実施例3は、実施例2に適用してもよい。
【0073】
実施例3の整流回路2は、一方の端子がMOSFETQ1のドレイン端子に接続され、他方の端子がMOSFETQ2のドレイン端子に接続された抵抗R3を有する。換言すれば、MOSFETQ1のドレイン端子とMOSFETQ2のドレイン端子との間に挿入された抵抗R3を有する。
【0074】
実施例1から実施例2の整流回路2では、コンデンサC1が充電されるとき、MOSFETQ1のドレイン端子、MOSFETQ2、ダイオードD、コンデンサC1、MOSFETQ1のソース端子の経路でコンデンサC1の充電電流Icが流れる。特に、コンデンサC1の充電が開始された直後は、充電電流Icが急峻に増加する。その結果、充電電流Icの経路での損失増加による整流回路2の効率低下や、MOSFETQ2やダイオードDの定格を超える温度上昇が生じる場合がある。
【0075】
実施例3の整流回路2によれば、充電電流Icの経路上に直列に抵抗R3を挿入することで、コンデンサC1の充電電流Icの急峻な増加を抑制できる。すなわち、抵抗R3は突入電流防止抵抗として機能する。これにより、充電電流Icの経路での損失増加による整流回路2の効率低下と、MOSFETQ2やダイオードDの温度上昇を抑制することができる。
【実施例0076】
図5は、実施例4の整流回路の回路図である。
【0077】
実施例4は、実施例3の変形例である。実施例4は、コンデンサC2を有する点で実施例3と相違し、その他の構成、効果は基本的に実施例3と同様である。したがって、実施例4では、実施例3との相違点を中心に説明し、実施例3と重複する説明は省略する。なお、実施例4は、実施例1から実施例2に適用してもよい。
【0078】
実施例4の整流回路2は、正極端子がMOSFETQ2のソース端子に接続され、負極端子がMOSFETQ1のソース端子に接続されたコンデンサC2を有する。
【0079】
実施例1から実施例3の整流回路では、コンパレータCo1が検出する電圧に含まれる高周波ノイズにより、コンパレータCo1が誤動作する場合がある。その結果、例えば、整流期間中にMOSFETQ1がターンオフしてしまい同期整流による損失低減効果が損なわれる場合がある。
【0080】
実施例4の整流回路2によれば、MOSFETQ2のオン抵抗、抵抗R3、コンデンサC2でローパスフィルタを構成することで、コンパレータCo1が検出する電圧に含まれる高周波ノイズを抑制可能である。なお、抵抗R3を挿入しない場合でも、MOSFETQ2のオン抵抗とコンデンサC2でローパスフィルタを構成するため、同様に、コンパレータCo1が検出する電圧に含まれる高周波ノイズを抑制可能である。これにより、コンパレータCo1の誤動作とMOSFETQ1の意図しないターンオンとターンオフを抑制することができ、同期整流による損失低減効果が損なわれない。
【実施例0081】
図6は、実施例5の整流回路の構成の一例を示す図である。図7は、実施例5の整流回路の構成の他の例を示す図である。
【0082】
実施例5は、実施例1の変形例である。実施例5は、整流回路2を半導体パッケージに内蔵する点で実施例1と相違し、その他の構成、効果は基本的に実施例1と同様である。したがって、実施例5では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と重複する説明は省略する。なお、実施例5の図6および図7では、実施例1の図1に適用した例で説明しているが、実施例1で説明した種々の変形例や、実施例2から実施例4に適用してもよい。
【0083】
図6は、整流回路2を半導体パッケージ3に内蔵した構成を示している。半導体パッケージ3は、カソードKとアノードAとを外部端子として持つ。
【0084】
図7は、例えば4個の整流回路2を使用して構成したブリッジ回路などの複数の整流回路2を1つの半導体パッケージ4に内蔵した構成を示している。半導体パッケージ4は端子T1~T4を外部端子として持つ。
【0085】
実施例5によれば、整流回路を使用する製品を設計・製造する際に、本実施例のような駆動回路とコンデンサを内蔵した整流回路を購入して組み込めばよく、駆動回路とコンデンサの設計および実装の工数がなくなるため、全体の設計および実装の工数を削減できる効果がある。
【実施例0086】
図8は、実施例6の電源の回路図である。
【0087】
実施例6は、実施例1から実施例5で説明した整流回路2の適用対象となる電源の実施例である。
【0088】
実施例1から実施例5の整流回路2の適用範囲は、電源に用いられる整流回路全般である。例えば、図8に示すようなフロントエンド電源においては、商用整流用ダイオードCRD1~CRD4、還流ダイオードFWD、二次側整流ダイオードSSD1~SSD2、逆流防止ダイオードBPDとして実施例1から実施例5の整流回路2を適用可能である。
【0089】
実施例1から実施例5の整流回路2を、フロントエンド電源等の電源に適用することにより、電源の小型化やコスト削減に寄与することができる。
【0090】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1:駆動回路
2:整流回路
3、4:半導体パッケージ
T1~T4:端子
K:カソード
A:アノード
C1、C2:コンデンサ
R1、R2、R3:抵抗
Q1、Q2:MOSFET
DQ1、DQ2:ボディダイオード
D:ダイオード
Co1、Co2:コンパレータ
GD1、GD2:ゲートドライバ
CTR:制御回路
t、t0~t5:時刻
Ic:充電電流
Vc1:コンデンサの電圧
Vref1、Vref2:閾値電圧
Vcref1:コンデンサC1の目標電圧
Vcref2:コンデンサC1の電圧下限値
Vf:ダイオードDの順方向電圧
Vds1~Vds2:MOSFETQ1~Q2のドレイン-ソース間電圧
Vgs1~Vgs2:MOSFETQ1~Q2のゲート-ソース間電圧
Vgth1~Vgth2:MOSFETQ1~Q2のゲート閾値電圧
CRD1~CRD4:商用整流用ダイオード
FWD:還流ダイオード
SSD1~SSD2:二次側整流ダイオード
BPD:逆流防止ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9