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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042276
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】屋根材のジョイント部の防水構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/38 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
E04D3/38 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146874
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 悟志
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AS03
2E108AZ01
2E108BB01
2E108CC00
2E108CC01
2E108CC11
2E108GG09
(57)【要約】
【課題】屋根材自体の形状を変えなくても屋根材の防水性能を向上させることのできる、屋根材のジョイント部の防水構造を提供すること。
【解決手段】屋根材のジョイント部の防水構造(10)は、桁方向において互いに隣接する第1および第2の屋根材(20a,20b)と、第1および第2の屋根材の水上側端部に重ねられる第3の屋根材(20c)と、第1~第3の屋根材のジョイント部(21)において、第1および第2の屋根材の水上側端部を連続して覆うように配置された止水部材(6)とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁方向において互いに隣接する第1および第2の屋根材と、
前記第1および第2の屋根材の水上側端部に重ねられる第3の屋根材と、
前記第1~第3の屋根材のジョイント部において、前記第1および第2の屋根材の前記水上側端部を連続して覆うように配置された止水部材とを備える、屋根材のジョイント部の防水構造。
【請求項2】
前記止水部材は、前記第1および第2の屋根材と前記第3の屋根材とに挟み込まれる第1帯状部と、前記第1帯状部に交差し、前記第1および第2の屋根材の端面に接する第2帯状部とを含む、請求項1に記載の屋根材のジョイント部の防水構造。
【請求項3】
前記第1~第3の屋根材が、前記第1および第2の屋根材の上面に形成された凸部領域が前記第3の屋根材の下面に形成された凹部領域に嵌められた状態で固定されており、
前記止水部材の前記第1帯状部は、前記凸部領域と前記凹部領域とに挟まれる、請求項2に記載の屋根材のジョイント部の防水構造。
【請求項4】
前記第2帯状部が、前記第1および第2の屋根材の端面に接着されている、請求項2に記載の屋根材のジョイント部の防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの建物の屋根に用いられる屋根材のジョイント部の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、住宅の屋根は、一次防水層に瓦材・スレート材・金属材等の仕上げ材(屋根材)、二次防水層の構成材としてアスファルトルーフィング・野地板を用いた複合的な防水構造となっている。そのため、万が一、一次防水層から漏水が生じた場合でも、二次防水層で止水・排水される構造となっている。しかしながら、住宅のメンテナンスコストの低減や、長期保証等の観点からすると、一次防水層における防水性能を高めることが重要である。
【0003】
そのため、たとえば特開2005-299325号公報および特開2011-190578号公報に示されるように、屋根材同士の連結部からの浸水を防止するために、屋根材の端部の形状を工夫することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-299325号公報
【特許文献2】特開2011-190578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋根の一次防水層として採用されている屋根材は、瓦材・スレート材・金属材など、材質および形状は様々で、幅寸法・長さ寸法・厚さ寸法・表面凹凸柄・固定方法・重ね寸法など適宜、工法に合わせて現場施工対応となっている。ただ、長期保証・高耐久を見据えた部材・工法の採用について、開発初期段階や改修段階など、さまざまな時点において、最適な判断を実施する必要がある。そのため、住宅のメンテナンスコストの低減や、長期保証を見込んだ高耐久部材の開発など、新築・改修に伴う最適化工法(性能試験方法など含む)が要求されている。
【0006】
屋根の防水性能を検証するための試験装置は、大掛かりであり、また、各層の浸水状況を目視で確認するしかなかった。そこで、簡易な構成でありながら、一次防水層から二次防水層への浸水状況(つまり、屋根材のジョイント部からの浸水状況)を定量的に把握することのできる試験装置が求められていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易かつ定量的に屋根材の防水性能を検証可能な屋根材の防水試験装置を提供することである。
【0008】
また、屋根材自体の形状を変えなくても屋根材の防水性能を向上させることのできる、屋根材のジョイント部の防水構造を提供することも、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従う屋根材のジョイント部の防水構造は、桁方向において互いに隣接する第1および第2の屋根材と、第1および第2の屋根材の水上側端部に重ねられる第3の屋根材と、第1~第3の屋根材のジョイント部において、第1および第2の屋根材の水上側端部を連続して覆うように配置された止水部材とを備える。
【0010】
好ましくは、止水部材は、第1および第2の屋根材と第3の屋根材とに挟み込まれる第1帯状部と、第1帯状部に交差し、第1および第2の屋根材の端面に接する第2帯状部とを含む。
【0011】
第1~第3の屋根材が、第1および第2の屋根材の上面に形成された凸部領域が第3の屋根材の下面に形成された凹部領域に嵌められた状態で固定されている場合、止水部材の第1帯状部は、凸部領域と凹部領域とに挟まれることが望ましい。
【0012】
好ましくは、第2帯状部が、第1および第2の屋根材の端面に接着されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、屋根材自体の形状を変えなくても、屋根材の防水性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A),(B)は、本発明の実施の形態に係る屋根材の防水試験装置の概略構成を模式的に示す図である。
図2】(A)~(C)は、本発明の実施の形態に係る屋根材の防水試験装置の詳細を示す図である。
図3】3種類の屋根材の(ジョイント部における)防水性能を、二次防水層への浸水量で表わしたグラフである。
図4】本発明の実施の形態に係る屋根材のジョイント部の防水構造を模式的に示す図である。
図5】(A)は、本発明の実施の形態における止水部材を示す斜視図であり、(B)は、屋根材の水上側端部の凸部領域の形状例を模式的に示す図である。
図6】止水部材の有無による屋根材の(ジョイント部における)防水性能を、二次防水層への浸水量で表わしたグラフである。
図7】(A)~(C)は、一般的な試験装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
<屋根材の防水試験装置>
(構成について)
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る屋根材の防水試験装置(以下「試験装置」と略す)1の構成について説明する。図1(A)は、試験装置1の全体構成を示す斜視図である。図1(B)は、試験装置1における屋根材の配置例を示す図である。図2(A)は、試験装置1の断面図であり、図2(B)は、試験装置1を背面側から(図2(A)のIIB方向から)見た図である。なお、図1の矢印A1は勾配屋根の水下側を示し、その反対側が水上側を示す。矢印A2は屋根の桁方向を示す。図2(A)の断面図は、図2(B)のIIA-IIA線に沿う断面を示す。
【0017】
試験装置1は、屋根材20を住宅の屋根に用いた場合の一次防水層の性能を検証するための装置であり、図1(A)に示すように、ジョイント再現部2および屋根下地再現部3を備えている。
【0018】
ジョイント再現部2は、互いに隣接する複数の屋根材20のジョイント部を再現する。具体的には、図1(B)に示されるように、ジョイント再現部2は、桁方向において互いに隣接する第1および第2の屋根材20a,20bと、第1および第2の屋根材20a,20bの水上側端部に重ねられる第3の屋根材20cとを含む。これにより、第1~第3の屋根材20a,20b,20cのジョイント部21を再現する。この場合のジョイント部21は、平面視においてT字状である。
【0019】
なお、ジョイント再現部2は、第1および第2の屋根材20a,20bの水下側端部に重ねられる第4の屋根材20d(想像線で示す)をさらに含んでいてもよく、ジョイント部21は、平面視においてI字状であってもよい。
【0020】
図1(A)を参照して、屋根下地再現部3は、ジョイント部21を下方に露出させた状態で第1~第3の屋根材20a,20b,20cが固定される部材であり、屋根下地を部分的に再現する。一般的な屋根下地は、平板状の板材、典型的には野地板により構成される。本実施の形態において、屋根下地再現部3は、桁方向に分割された2つの野地板31,32により構成されている。2つの野地板31,32は、水下側に位置する桟材33と、桟材33よりも上方かつ水上側に位置する桟材34とを介して、支持台7に下方から支持されている。支持台7および桟材33、34は、ジョイント再現部2の位置で桁方向に分割されていてもよい。
【0021】
試験装置1は、屋根下地再現部3の傾斜角度を調整するための角度調整手段を備えていることが望ましい。角度調整手段は、図2(A),(B)に示されるように、たとえば、支持台7と水上側の桟材34との間を上下方向に延びる昇降装置(ジャッキ)35により実現可能である。昇降装置35によって桟材34の高さを変えることによって、図2(C)に示すように野地板31,32の傾きを変えることができるので、様々な勾配の屋根下地を再現することができる。
【0022】
図1(B)に示すように、野地板31,32間の間隔Dは、1枚の屋根材20の横幅寸法(桁方向の長さ)以下である。これにより、野地板を2枚の板材31,32に分割したとしても、第1~第3の屋根材20a,20b,20cを下方から支持することができる。
【0023】
図2(A)および図2(B)には、試験装置1の詳細な構成が示されている。試験装置1は、ジョイント再現部2により再現されたジョイント部21の防水性能を試験するために、放水装置4と、集水部5とをさらに備えている。
【0024】
放水装置4は、本体装置41と放水ノズル42とを含む。本体装置41は、水を溜め込むタンク、および、タンクの水を放水ノズル42に送るポンプなどを含む(図示せず)。放水装置4は、ジョイント部21に局所的に水を吹き付けるための放水手段を構成する。
【0025】
集水部5は、放水ノズル42からジョイント部21に水が吹き付けられている期間中、または、その後に、ジョイント部21を通過した水(ジョイント部21から漏水した水)を受ける。集水部5は、屋根下地再現部3から独立して設けられている。集水部5は、ジョイント再現部2の下方側に略水平に配置される第1の集水板51と、ジョイント再現部2の水上側に起立姿勢で配置される第2の集水板52とを含むことが望ましい。これらの集水板51,52は、たとえばアクリル板により構成されるが、これに限定されず、撥水性を有する素材により形成されていればよい。
【0026】
(防水試験方法について)
本実施の形態に係る試験装置1を用いた屋根材20の防水試験方法について説明する。図2(A)に示されるように、放水装置4の放水ノズル42を第1~第3の屋根材20a,20b,20cのジョイント部21に向け、一定時間、水下側からジョイント部21に局所的に水を吹き付ける。具体的には、図1(B)に示す配置例の場合、第3の屋根材20cの水下側端部に向かって、(台風の時のような横殴りの雨を想定して)高圧の水を吹き付ける。この場合、ジョイント部21の隙間から漏水が生じる。
【0027】
ジョイント部21から滴下する水滴は、下方に位置する第1の集水板51にて受け止められ、風圧によりジョイント部21から勢いよく吹き込む水滴は、上下に起立した状態で配置された第2の集水板52に受け止められる。また、第2の集水板52に受け止められた水の一部は落下し、第1の集水板51にて受け止められる。このように、本実施の形態では、第1の集水板51に加えて第2の集水板52を設けているので、ジョイント部21から漏水した水を逃すことなくキャッチすることができる。
【0028】
第1の集水板51が集水した水と第2の集水板52が集水した水を合わせて計量することで、ジョイント部21からの浸水量を正確に測定することができる。このように、屋根材20を用いた一次防水層から二次防水層への浸水状況(漏水)を数値化して検証することができる。
【0029】
ここで、図7を参照して一般的な試験装置100と比較する。図7(A),(B)に示すように、試験装置100は、一次防水層を再現した一次防水再現部120と、二次防水層を再現した二次防水再現部130とを含み、局所風雨試験装置140で一次防水再現部120の広範囲に風雨を与えることにより、一次防水層の防水性能を検証する。試験装置100の二次防水再現部130は、所定の大きさの野地板(屋根下地)131を含み、一次防水再現部120は、二次防水再現部130上に敷き詰められた多数の屋根材20を含む。
【0030】
図7(B),(C)に示されるように、二次防水再現部130を構成する野地板131に、小さなスリット状の貫通孔132が設けられており、この貫通孔132の下端に透明なアクリル板150が貼り付けられている。試験装置100では、局所風雨試験装置140によって一定時間、風雨を与え、アクリル板150に水滴を集水する。ただし、集水量を測定することは行われず、アクリル板150に溜まった水滴を下方から目視で確認して一次防水層の防水性能を評価することが一般的である。
【0031】
そのため、従来の試験装置100は大掛かりであるだけでなく、一次防水層の防水性能を客観的に評価することが困難であった。
【0032】
これに対し、本実施の形態の試験装置1では、一次防水層を再現するのではなく、屋根材20のジョイント部21を再現するだけでよいため、装置構成を簡易かつ小型化することができる。たとえば、従来の試験装置100では、通常10枚以上の屋根材20が必要であったのに対し、本実施の形態の試験装置1では、3枚~4枚の屋根材20で済み、試験体の数量を最小限に抑えることができる。
【0033】
さらに、本実施の形態では、屋根下地再現部3が屋根下地を部分的に再現し、ジョイント部21を下方に露出させた状態で防水試験を行うので、ジョイント部21からの漏水量を簡易かつ精度良く測定することができる。なお、屋根下地再現部3は、桁方向に分割された2枚の野地板(板材)31,32により構成されることが望ましいものの、このような例に限定されず、たとえば、1枚の野地板に、ジョイント部21を下方に露出できる程度の開口部(貫通孔)を設けてもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態の試験装置1を用いることにより、セメント系軽量瓦、スレート、F型瓦、鋼板材など、様々な種類の屋根材20の防水性能を簡単に検証および比較することが可能となる。
【0035】
図3は、3種類の屋根材20の(ジョイント部21における)防水性能を、二次防水層への浸水量で表わしたグラフである。このグラフでは、屋根材(1)、(2)、(3)の順で浸水量の合計および平均が増えている。この結果に基づくと、屋根材(1)の防水性能が比較的高いと判断することができる。このように、複数種類の屋根材20の防水性能を比較することで、長期保証・高耐久を見据えた最適な屋根材20を提案することができる。
【0036】
なお、屋根材20自体の防水性能に加え、防水性能を向上できる手段があれば、選択できる種類の幅が広がると考えられる。以下に、防水性能の向上手段を備えた「屋根材のジョイント部の防水構造」について説明する。
【0037】
<屋根材のジョイント部の防水構造>
図4は、屋根材のジョイント部の防水構造10を模式的に示す図であり、(A)に平面図、(B)に断面図を示す。
【0038】
屋根材のジョイント部の防水構造10は、第1~第3の屋根材20a,20b,20cのジョイント部21において、第1および第2の屋根材20a,20bの水上側端部を連続して覆うように配置された止水部材6を備えている。
【0039】
止水部材6は、図5(A)に示すように、桁方向に長いL字状断面の部材であり、互いに交差する(典型的には直交する)第1帯状部61と第2帯状部62とにより構成されている。止水部材6は、たとえば薄型のシート材が略直角に折り曲げられて形成されている。止水部材6の材質は、耐久性を有していればよく、金属であってもよいし樹脂であってもよい。また、止水部材6は、可撓性を有していてもよい。
【0040】
図4(B)に示すように、設置状態において、第1帯状部61は、第1および第2の屋根材20a,20bと第3の屋根材20cとに挟み込まれ、第2帯状部62は、第1および第2の屋根材20a,20bの水上側の端面22aに接する。
【0041】
第2帯状部62は、第1および第2の屋根材20a,20bの端面22aに、両面テープや接着剤によって接着される。これにより、止水部材6は、屋根勾配方向および桁方向の双方にずれることなく、ジョイント部21に確りと固定される。
【0042】
図4(B)に示すように、一部の屋根材20の種類(たとえばセメント系軽量瓦など)では、第1~第3の屋根材20a,20b,20cは、第1および第2の屋根材20a,20bの水上側端部上面に形成された凸部領域22が、第3の屋根材20cの水下側端部下面に形成された凹部領域24に嵌められた状態で固定される。凹部領域24は、第3の屋根材20cの下面の下方凸部領域23に隣接する領域である。なお、図4(A)には、理解を容易にするために、凸部領域22をハッチングで示している。
【0043】
このような場合、止水部材6の第1帯状部61は、第3の屋根材20cの下方凸部領域23の水上側において、互いに嵌合する凸部領域22と凹部領域24とに挟み込まれる。これにより、水下側から吹き付けられた雨水が、第3の屋根材20cの下方凸部領域23を通過したとしても、止水部材6の第1帯状部61の存在により、第1および第2の屋根材20a,20bの凸部領域22を越えて二次防水層に漏水することを防止または抑制できる。
【0044】
各屋根材20の凸部領域22は、水上側の縁全体に(幅方向一端から他端まで)形成されているが、図5(B)に模式的に示すように、凸部領域22に所々、凹部22cが設けられている場合がある。図5(B)では、相対的に突出している箇所をクロスハッチングで示している。このような場合、止水部材6の第1帯状部61が凸部領域22全体に被せられることにより、凹部22cへの浸水を抑制することもできる。その結果、凹部22cに雨水が溜まることによる屋根材20の劣化を抑制することが可能となる。
【0045】
図6は、止水部材6の有無による屋根材20の(ジョイント部21における)防水性能を、二次防水層への浸水量で表わしたグラフである。このグラフの結果より、止水部材6の無い「現行」の一次防水層よりも、止水部材6を設けた「改善」後の一次防水層の方が、浸水量が少なくなっていることが分かる。なお、図6の検証に用いた屋根材20は、図3の検証に用いた屋根材(1)である。
【0046】
以上より、屋根材20自体の形状を変えなくても、止水部材6を水下側の屋根材20a,20bと水上側の屋根材20cとのジョイント部21に挟むだけの簡単な構成で屋根材20の防水性を向上させることができる。したがって、本実施の形態に係る屋根材のジョイント部の防水構造10は、汎用性が高く、住宅の屋根の一次防水層に有効活用することが可能である。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 屋根材の防水試験装置、2 ジョイント再現部、3 屋根下地再現部、4 放水装置、5 集水部、6 止水部材、10 屋根材のジョイント部の防水構造、20,20a,20b,20c 屋根材、21 ジョイント部、22,23 凸部領域、24 凹部領域、31,32 板材(野地板)、35 昇降装置、51 第1の集水板、52 第2の集水板、61 第1帯状部、62 第2帯状部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7