(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042286
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の設計支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/20 20200101AFI20240321BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240321BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20240321BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G06F30/20
G06Q50/06
G06F30/10 100
H02B3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146889
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】神山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 徹哉
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146DE03
5B146DG01
5B146DL02
5B146DL08
5B146EA01
5B146EC01
5B146EC08
5B146FA00
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】データベースを備えた電気電子機器収納用箱の設計支援システムに対して、データベースを用いてユニット機器として利用できることが確認できる機器情報と確認できない機器情報を含むように入力された場合であっても、なるべく一から図面データなどを作ることが必要な特注品として扱わなくても良いようにすること。
【解決手段】電気電子機器収納用箱の設計支援システムを、格納機器情報と、ユニット情報と、を備えたデータベースと、利用者が収納を希望する電気電子機器の情報が格納機器情報に含まれるか否かを判定する演算が可能であるとともに、ユニット機器31の形成可否を判定する演算が可能な演算手段と、を備え、演算手段は、ユニット機器の特定をするように演算し、独立機器32の特定をするように演算し、特定されたユニット機器と特定された独立機器の可能な配置を特定するように演算することが可能な構成とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、
電気電子機器収納用箱に収納されることが想定された電気電子機器に関する情報である格納機器情報と、ユニット機器に関する情報であるユニット情報と、を備えたデータベースと、
利用者が電気電子機器収納用箱に収納しようとする電気電子機器に関して入力した情報である収納希望機器情報と格納機器情報を用いて、利用者が収納を希望する電気電子機器の情報が格納機器情報に含まれるか否かを判定する演算が可能であるとともに、収納希望機器情報とユニット情報を用いて、ユニット機器の形成可否を判定する演算が可能な演算手段と、
を備え、
演算手段は、
ユニット機器を特定可能な収納希望機器情報を用いて、ユニット機器の特定をするように演算し、
格納機器情報を用いて利用者が収納を希望する電気電子機器を特定できるがユニット情報を用いてユニット機器を特定できない収納希望機器情報が入力された場合に、格納機器情報を用いて、独立機器の特定をするように演算し、
格納機器情報を用いて利用者が収納を希望する電気電子機器を特定できない収納希望機器情報が入力された場合に、更に入力された情報又は格納機器情報以外から読み込んだ情報に基づいて、独立機器の特定をするように演算し、
特定されたユニット機器と特定された独立機器の可能な配置を特定するように演算することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項2】
格納機器情報に、電気電子機器のサイズに関する情報である機器サイズ情報を含むとともに、ユニット情報に、ユニット機器のサイズに関する情報であるユニットサイズ情報を含み、
演算手段は、
機器サイズ情報とユニットサイズ情報に基づいて、ユニット機器への独立機器の搭載可否を判定する演算をすることが可能な請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項3】
演算手段は、入力された収納希望機器情報により複数種類のユニット機器を採用可能との演算結果が得られた場合に、ユニット機器毎にユニット機器及び独立機器の可能な配置を導く演算をすることが可能な請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項4】
演算手段は、ユニット機器と独立機器の一つの組み合わせに対して、ユニット機器及び独立機器の可能な配置を演算により複数導くことが可能な請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項5】
演算手段による演算により導かれたユニット機器と独立機器の配置例を示す配置例情報を出力可能な出力手段を備え、
電気電子機器収納用箱に関して入力された仕様情報に基づいて、配置例情報の変更又は出力する配置例情報の順番の変更を行うことが可能な請求項1から4の何れかに記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の設計支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤、配電盤、システムラック、高圧受電設備などの電気電子機器収納用箱の設計を支援する設計支援システムが知られている。従来の設計支援システムでは、入力された仕様情報とデータベースに備えた電気電子機器収納用箱の仕様に関するデータとを比較して、一致した電気電子機器収納用箱を選定するものである。例えば、従来の設計支援システムでは、入力された仕様情報と、データベースに備えられたデータを比較することで、機能単位で電気電子機器を組み合わせたユニット品であるのか、一から新しく設計・製作する特注品であるのかを判定することができる。このユニット品か特注品かの判定は、入力された仕様情報が、データベースに存在するか否かに基づいて行われる。より詳しくは、入力された機器情報のすべてがユニット機器として利用できるという情報がデータベースに存在する場合は、ユニット品とすることが可能である。一方、入力された機器情報がデータベースに存在していない場合や、入力された機器情報がユニット機器として利用できるという情報がデータベースに存在していない場合は、ユニット品とすることはできない。このうち、入力された機器情報がデータベースに存在している場合は、カタログに記載される標準品として対応することができる場合もあるが、そのようなことばかりが生じるわけではない。上記運用で標準品としてもユニット品としても対応できない場合は特注品として扱われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、ユニット品と特注品では、設計・製作の負荷や難度が大きく異なる。例えば、ユニット品は、設計作業や製作作業が概ね標準化されており、設計作業では、過去の図面データや部品図データ、部品表など設計データの流用や、僅かな変更で対応できる。製作作業でも、概ねマニュアル化された対応にて作業することができる。一方、特注品は、一から図面データや部品図データ、部品表などを作成したり、目新しい設計データに基づいて製作したりする必要があるため、手間がかかるし、難度も高くなる傾向にある。その対策として、あらゆるデータをデータベースに備えるようにすることで、ユニット品などに対応させるようにし、特注品という製品種別をなくすことも考えられなくはない。しかしながら、実際には、あらゆるデータをデータベースに備えることは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、データベースを備えた電気電子機器収納用箱の設計支援システムに対して、データベースを用いてユニット機器として利用できることが確認できる機器情報と確認できない機器情報を含むように入力された場合であっても、なるべく一から図面データなどを作ることが必要な特注品として扱わなくても良いようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、電気電子機器収納用箱に収納されることが想定された電気電子機器に関する情報である格納機器情報と、ユニット機器に関する情報であるユニット情報と、を備えたデータベースと、利用者が電気電子機器収納用箱に収納しようとする電気電子機器に関して入力した情報である収納希望機器情報と格納機器情報を用いて、利用者が収納を希望する電気電子機器の情報が格納機器情報に含まれるか否かを判定する演算が可能であるとともに、収納希望機器情報とユニット情報を用いて、ユニット機器の形成可否を判定する演算が可能な演算手段と、を備え、演算手段は、ユニット機器を特定可能な収納希望機器情報を用いて、ユニット機器の特定をするように演算し、格納機器情報を用いて利用者が収納を希望する電気電子機器を特定できるがユニット情報を用いてユニット機器を特定できない収納希望機器情報が入力された場合に、格納機器情報を用いて、独立機器の特定をするように演算し、格納機器情報を用いて利用者が収納を希望する電気電子機器を特定できない収納希望機器情報が入力された場合に、更に入力された情報又は格納機器情報以外から読み込んだ情報に基づいて、独立機器の特定をするように演算し、特定されたユニット機器と特定された独立機器の可能な配置を特定するように演算することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【0007】
また、格納機器情報に、電気電子機器のサイズに関する情報である機器サイズ情報を含むとともに、ユニット情報に、ユニット機器のサイズに関する情報であるユニットサイズ情報を含み、演算手段は、機器サイズ情報とユニットサイズ情報に基づいて、ユニット機器への独立機器の搭載可否を判定する演算をすることが可能な構成とすることが好ましい。
【0008】
また、演算手段は、入力された収納希望機器情報により複数種類のユニット機器を採用可能との演算結果が得られた場合に、ユニット機器毎にユニット機器及び独立機器の可能な配置を導く演算をすることが可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、演算手段は、ユニット機器と独立機器の一つの組み合わせに対して、ユニット機器及び独立機器の可能な配置を演算により複数導くことが可能な構成とすることが好ましい。
【0010】
また、演算手段による演算により導かれたユニット機器と独立機器の配置例を示す配置例情報を出力可能な出力手段を備え、電気電子機器収納用箱に関して入力された仕様情報に基づいて、配置例情報の変更又は出力する配置例情報の順番の変更を行うことが可能な構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、データベースを備えた電気電子機器収納用箱の設計支援システムに対して、データベースを用いてユニット機器として利用できることが確認できる機器情報と確認できない機器情報を含むように入力された場合であっても、なるべく一から図面データなどを作ることが必要な特注品として扱わなくても良いようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における電気電子機器収納用箱の設計支援システムに備えられたデータベースに備えられた格納機器情報の例を表す図である。
【
図2】実施形態における電気電子機器収納用箱の設計支援システムに備えられたデータベースに備えられたユニット情報の例を表す図である。
【
図3】管理番号で紐づけられた情報と、その情報で特定可能なユニット機器のイメージ図の例を示す図である。
【
図4】電気電子機器に関する仕様情報の入力例を示す図である。
【
図5】
図4に示す入力から導かれたユニット機器と独立機器の選択及び配置の例の一つを示す図である。ただし、破線はユニットサイズとなる範囲を示しており、一点鎖線は、ユニット機器とは別に設けられたベース部材に必要なサイズを示している。
【
図6】
図4に示す入力から導かれたユニット機器と独立機器の選択及び配置の例の一つを示す図である。ただし、破線はユニットサイズとなる範囲を示しており、一点鎖線は、搭載可能範囲を示している。
【
図7】
図4に示す入力から導かれたユニット機器と独立機器の選択及び配置の例の一つを示す図である。ただし、破線はユニットサイズとなる範囲を示しており、一点鎖線は、ユニット機器とは別に設けられたベース部材に必要なサイズを示している。
【
図8】電気電子機器に関する仕様情報の入力例を示す図である。
【
図9】
図8に示す入力から導かれたユニット機器と独立機器の選択及び配置の例の一つを示す図である。ただし、破線はユニットサイズとなる範囲を示している。
【
図10】
図8に示す入力から導かれたユニット機器と独立機器の選択及び配置の例の一つを示す図である。ただし、破線はユニットサイズとなる範囲を示している。
【
図11】
図8に示す入力から導かれたユニット機器と独立機器の選択及び配置の例の一つを示す図である。ただし、破線はユニットサイズとなる範囲を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。実施形態の電気電子機器収納用箱1の設計支援システムは、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体11内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱1の設計を支援することが可能なものである。また、この電気電子機器収納用箱1の設計支援システムは、「電気電子機器収納用箱1に収納されることが想定された電気電子機器に関する情報である格納機器情報と、ユニット機器31に関する情報であるユニット情報と、を備えたデータベース」と、「利用者が電気電子機器収納用箱1に収納しようとする電気電子機器に関して入力した情報である収納希望機器情報と格納機器情報を用いて、利用者が収納を希望する電気電子機器の情報が格納機器情報に含まれるか否かを判定する演算が可能であるとともに、収納希望機器情報とユニット情報を用いて、ユニット機器31の形成可否を判定する演算が可能な演算手段」と、を備えている。更には、演算手段は、ユニット機器31を特定可能な収納希望機器情報を用いて、ユニット機器31の特定をするように演算し、格納機器情報を用いて利用者が収納を希望する電気電子機器を特定できるがユニット情報を用いてユニット機器31を特定できない収納希望機器情報が入力された場合に、格納機器情報を用いて、独立機器32の特定をするように演算し、格納機器情報を用いて利用者が収納を希望する電気電子機器を特定できない収納希望機器情報が入力された場合に、更に入力された情報又は格納機器情報以外から読み込んだ情報に基づいて、独立機器32の特定をするように演算し、特定されたユニット機器31と特定された独立機器32の可能な配置を特定するように演算することが可能である。このため、データベースを備えた電気電子機器収納用箱1の設計支援システムに対して、データベースを用いてユニット機器31として利用できることが確認できる機器情報と確認できない機器情報を含むように入力された場合であっても、なるべく一から図面データなどを作ることが必要な特注品として扱わなくても良いようにすることが可能となる。
【0014】
なお、実施形態においては主に、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備などの配電を目的とした電気電子機器収納用箱1の設計支援システムについて説明を行うが、もちろんサーバや通信装置、演算装置などを備えたシステムラックの設計支援システムや、通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するための作業用ボックスなどの設計支援システムであってもよい。
【0015】
電気電子機器収納用箱1は、筐体11と、筐体11に収納される電気電子機器を備えている。なお、電気電子機器は、いかなるものであっても良く、ブレーカ、開閉器、端子台、タイムスイッチ、避雷器、コンセント、変圧器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器などが典型例として挙げられるが、電気や電子に関連する機器や、非常回路や自動点滅回路などの電子機器で構成された回路などでもよい。
【0016】
実施形態の電気電子機器収納用箱1の設計支援システムは、データベースに格納機器情報と、ユニット情報を備えておき、演算手段により、収納希望機器情報が格納機器情報に含まれるか否かの判定と、収納希望機器情報により構成されるユニットの有無の判定をするように演算する。
【0017】
演算手段は、収納希望機器情報が格納機器情報に含まれ、かつそれらで特定される電気電子機器がユニット機器31として使用可能である場合については、収納希望機器情報で指定される電気電子機器をユニット機器31として扱うように処理する。収納希望機器情報が格納機器情報に含まれない場合、若しくは、収納希望機器情報が格納機器情報に含まれるが、それらで特定される電気電子機器がユニット機器31で取り扱うことができると判定されないものである場合については、収納希望機器情報で特定される電気電子機器を独立機器32として扱うように処理する。
【0018】
演算の処理に利用される機器情報やユニット情報は仕様情報の一部であり、以下に示す仕様情報の系統(グループ)が例示できる。なお、「仕様情報」とは、電気電子機器収納用箱1を特定するための仕様に関する情報である。
【0019】
例えば、電気電子機器収納用箱1に収納される電気電子機器に関する機器情報は以下の項目を挙げることができる。
【0020】
「電気電子機器の種類に関する項目(各電気電子機器の有する性能に関するデータも含む。)」
例えば、協約形ブレーカ、漏電ブレーカ、サーキットブレーカ、プラグイン式ブレーカ、端子台、リレー、電流計、電力計、通信機器、タイムスイッチ、SPD、制御回路などを電気電子機器の種類として挙げることができる。なお、性能とは、定格電流や定格遮断容量などの電気的性能や、強度などの物理的性能などである。
【0021】
「筐体11内における電気電子機器の配置・位置に関する項目」
例えば、主幹ブレーカの位置(筐体11の上側や下側など)、主幹ブレーカに対する分岐ブレーカの位置(主幹ブレーカの下や横など)、分岐ブレーカの配置(ブレーカを一列に配置又はブレーカを複数列で配置など)などを筐体11内における電気電子機器の配置・位置として挙げることができる。なお、筐体11の内部に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの配置や位置が筐体11のサイズや形状に大きな影響を与える。
【0022】
「筐体11内における電気電子機器の役割に関する項目」
例えば、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、一方を主幹ブレーカとして使用し、もう一方を該主幹ブレーカの二次側に接続して二次送り用として使用する。」、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、両方とも主幹ブレーカとして使用し、筐体11内に2系統を形成する」などを筐体11内における電気電子機器の役割として挙げることができる。なお、筐体11内に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの役割が筐体サイズや形状に大きな影響を与える。
【0023】
「他の電気電子機器との関係性に関する項目」
例えばユニット情報である。ユニット情報としては、例えば、「電気電子機器Aと電気電子機器Bとはユニットを形成可能である」という情報や「電気電子機器Cが1台に対して、電気電子機器Dを6~54台まで接続してユニット化することができる」という情報などを挙げることができる。
【0024】
もちろん、電気電子機器収納用箱1に収納される電気電子機器に関する機器情報は、その他の項目でも構わず、例えば、「電気電子機器の個数に関する項目」などでもよい。
【0025】
電気電子機器収納用箱1に関する仕様情報の項目の例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0026】
「電気電子機器収納用箱1の筐体11(扉若しくは筐体11に収納されない部材を含む)に関する項目」
例えば、筐体サイズ(W×H×D)、筐体11の材質(鉄製、ステンレス製、樹脂製等)、筐体11の色、筐体11に対する加工(筐体11に収納されない機器と取り付けるための孔加工や溶接加工など)、筐体11内に電気電子機器とは異なる部材を別途収納するために設定するスペース、扉のサイズ、扉の材質、扉の色、扉の数(1枚扉、2枚扉等)、扉の開く方向(右開き、左開き等)に関するデータ、筐体11に収納されない部材の種類や個数、配置や位置などを挙げることができる。なお、筐体11に収納されない部材とは、扉を回動するためのヒンジ、扉を鎖錠するための鎖錠装置(ハンドルなど)、筐体11に取り付けられる熱対策機器(ファン、ルーバなど)や、配線用部材、水抜き用部材、防水対策用に取り付けられるパッキン、筐体11を壁に取り付けるための取付部材や、屋外設置用の屋根部材などを例示することができる。
【0027】
「電気電子機器収納用箱1の性能や種類に関する項目」
例えば、電気電子機器収納用箱1の性能としては防水性能、耐震性能、耐熱性能などを挙げることができる。また、電気電子機器収納用箱1の種類としては、電灯・動力混合分電盤、耐熱分電盤、仮設コンセント用分電盤などを挙げることができる。
【0028】
「電気電子機器収納用箱1の設置に関する項目」
電気電子機器収納用箱1の設置の中でも、設置方法に関する項目としては、例えば基台を用いて自立設置、壁・支柱への設置、壁への埋め込み設置などを挙げることができる。また、設置場所や設置環境に関する項目としては、屋内設置、屋外設置、塩害地域への設置、豪雪地域への設置、標高の高い場所への設置などを挙げることができる。
【0029】
電気電子機器収納用箱1に配線に関する仕様情報の項目例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0030】
「筐体11への入出線に関する項目」
例えば、上入線上出線(筐体11の上面から入線かつ、上面へ出線)、下入線下出線(筐体11の下面から入線かつ、下面から出線)などを挙げることができる。もちろん筐体11の側面や背面から入線若しくは出線するものであってもよい。
【0031】
「電気電子機器同士の配線に関する項目」
例えば、電気電子機器同士の電線による配線、電気電子機器同士の銅バーによる配線などを挙げることができる。
【0032】
「配線のために必要な配線空間に関する項目」
例えば、標準で設定された配線空間よりも大きな空間を設定するなどを挙げることができる。
【0033】
ところで、利用者は入力手段を用いて仕様情報を入力することができる。この入力手段は、パソコンやスマートフォンなどへ入力する際に一般的に使用される手段(キーボードやマウスを使用した入力、ディスプレイ上で指などを動かすことによる入力など)を含むのはもちろんである。また、仕様情報が記載された書類を光学文字認識により取り込むようなものであっても良い。また、音声を検出することによる入力や視線を検出することによる入力であってもよい。また、仕様情報や機器情報、ユニット情報の入力は、各種情報に付与された品名番号などにより入力されるものであってもよい。
【0034】
ところで、実施形態のデータベースには、電気電子機器収納用箱1に収納されることが想定された電気電子機器に関する情報である格納機器情報と、複数の電気電子機器を備えたユニット機器31に関するユニット情報が備えられている。他にも、上述したような電気電子機器収納用データベースに備えられている。
【0035】
実施形態では、格納機器情報、ユニット情報、格納仕様情報など、データベースに備えられたデータは、管理番号が付与されている(
図1、
図2参照)。このため、これらの情報の管理がしやすくなる。管理番号は、どのようなものであっても良いが、数字や英字や記号を含んで構成されるものが例示できる。
【0036】
実施形態のデータベースには格納機器情報として、電気電子機器の概要や性能、価格等の電気電子機器に関する情報が備えられるが、特に、電気電子機器の外形サイズや取付方法などの電気電子機器の取り付けに関するデータが備えられていることが好ましい。
【0037】
格納機器情報、ユニット情報、格納仕様情報の他に、電気電子機器収納用箱1を構成する筐体11や電気電子機器の図面に関する図面データや、筐体11や電気電子機器の種類や個数に関する部品図データ、筐体11や電気電子機器の価格に関する価格データなど、電気電子機器収納用箱1を選定した後の設計作業、製作作業、販売作業のために必要なデータも同様に管理番号により管理できるものであってもよい(
図3参照)。
【0038】
利用者により収納希望機器情報が入力された場合、収納希望機器情報が格納機器情報に含まれるか否かを演算する。それにより、収納希望機器情報がデータベースに格納された電気電子機器であるか否かを判断することができる。また、ユニット情報に基づいて、収納希望機器情報で指定された電気電子機器がユニット機器31として形成可能であるか否かを判定できるように演算する。
【0039】
また、演算手段は、筐体11内における電気電子機器の配置パターンを演算により導くことができる。具体的には、筐体11の内部にユニット機器31と独立機器32を配置する際に可能となる配置例を演算により導くことができる。
【0040】
なお、ユニット機器31は、複数の電気電子機器をまとまりとしたものである。これに対して、独立機器32は、収納希望機器情報で指定された電気電子機器であるが、ユニット機器31として使用できる電気電子機器であることがあらかじめデータベースに情報として含まれていない電気電子機器である。より具体的には、収納希望機器情報で指定された電気電子機器の情報がデータベースに備えられていない場合や、データベースにはその電気電子機器の情報が備えられているが、その電気電子機器を使用したユニット機器31の情報がデータベースに存在しない場合などに、収納希望機器情報で指定された電気電子機器が独立機器32として扱われる。
【0041】
ユニット機器31は、複数の電気電子機器により形成された集合体であり、一部の電気電子機器同士が電気的に接続されて形成されるものであるが、このユニット機器31は、筐体11の内部に配置された1枚の基板上に配置するようにしてもよいし、筐体11内に配置された2本のレール部材41に固定しやすいように、複数の電気電子機器をベース部材42に搭載したものとしてもよい。
【0042】
次の説明では、後者の形態を採用したもの(筐体11内に配置された2本のレール部材41に固定しやすいように、複数の電気電子機器をベース部材42に搭載してユニット機器31を構成したもの)について説明を行う。例えば、ベース部材42に搭載された主幹ブレーカと、別のベース部材42に搭載された複数の分岐ブレーカを電気的に接続することにより形成されたユニット機器31である。なお、ユニット機器31は、1枚のベース部材42に、主幹ブレーカと複数の分岐ブレーカが搭載されるものであってもよい。
【0043】
この例のユニット機器31は、電気電子機器が搭載されたベース部材42が筐体11の内部に設置されたレール部材41に固定されることで、筐体11の内部に組付けられる。このように、あらかじめベース部材42上に電気電子機器を取り付けておき、そのベース部材42を筐体11の内部に取り付けるようにすれば、電気電子機器を個別に組み付けるよりも、電気電子機器を筐体11内に組み付ける作業を行う際の作業性が良い。
【0044】
ところで、実施形態では、ユニット機器31の他に独立機器32も筐体11に取り付けられる。独立機器32は、ユニット機器31と同様、ベース部材42上に配置され、筐体11の内部に設置されたレール部材41に固定されることが好ましい。そのようなことを可能とするためにも、独立機器32の外形サイズや取付方法など、独立機器32の取り付けに関するデータを取得することが必要となる。独立機器32の取り付けに関するデータの取得方法は、独立機器32の情報がデータベースに備えられている場合には、データベースから取得することが例示できる。また、独立機器32の情報がデータベースに備えられていない場合には、入力手段により別途入力することが考えられる。また、独立機器32についてのホームページや取扱説明書、施工説明書など、データベース以外から独立機器32に関する情報を取得したりしてもよい。
【0045】
ユニット機器31と独立機器32が特定されたら、ユニット機器31と独立機器32の配置を演算部により導き出す。例えば、ユニット機器31が配置されるエリアと、独立機器32が配置されるエリアは、筐体11内で分けて形成されるもの、つまり、ユニット機器31と独立機器32を別個に配置するものであってもよいし、ユニット機器31に独立機器32が搭載されるものであってもよい。具体的には、ユニット機器31の構成要素となるベース部材42に独立機器32を配置するものであってもよい。前者より後者の方が、筐体11内のスペースを有効に活用することができ、電気電子機器の筐体11のサイズを小さくすることができる。なお、ユニット機器31の構成要素となる電気電子機器に独立機器32を接続するように配置しても良い。
【0046】
このため、格納機器情報に、電気電子機器のサイズに関する情報である機器サイズ情報を含むとともに、ユニット情報に、ユニット機器31のサイズに関する情報であるユニットサイズ情報を含み、演算手段は、機器サイズ情報とユニットサイズ情報に基づいて、ユニット機器31への独立機器32の搭載可否を判定する演算をすることが可能な構成とすることが好ましい。
【0047】
ユニット機器31に独立機器32を搭載することが可能か否かを判定するためには、例えば、ユニット機器31のベース部材42に搭載可能な範囲がどの程度あるか、独立機器32の外形サイズがどの程度かを把握し、比較する必要がある。そのため、データベースには、ユニット情報として、ユニット機器31の外形サイズであるユニットサイズ及びベース部材42における独立機器32の搭載可能範囲が備えられており、格納機器情報には、電気電子機器のサイズである機器サイズが備えられている。なお、実施形態では、格納機器情報に存在しない電気電子機器について対応できるように、入力手段を用いて電気電子機器のサイズが入力できるようになっている(
図4参照)。
【0048】
なお、ユニット機器31における搭載可能範囲と、独立機器32の機器サイズとを比較し、搭載可能範囲よりも機器サイズが小さい場合には、ユニット機器31のベース部材42に独立機器32が搭載可能であると判定することができる。
【0049】
ここで、電気電子機器収納用箱1の設計支援システムの利用例について具体的に説明をする。より具体的には、仕様情報の一部である収納希望機器情報として、60Aのブレーカが1台、20Aのブレーカが8台、通信機器が1台と入力された場合を例に説明する(
図4参照)。まず演算手段により、各収納希望機器情報が格納機器情報に含まれるか否かを判定できるように演算する。ここでは、60Aのブレーカと20Aのブレーカは、格納機器情報に含まれるが、通信機器は含まれないものとする。
【0050】
次に、格納機器情報に含まれる収納希望機器情報について、ユニット情報に基づいて、ユニット機器31の構成の可否を判定できるように演算する。この例においては、60Aのブレーカ1台と20Aのブレーカ8台で管理番号がAA1-8のユニット機器31が形成可能であるものとする。
【0051】
一方、通信機器は、データベースに格納されない電気電子機器であり、独立機器32となる。通信機器の外形サイズについてのデータは、入力手段により「75×50」と入力されているため(
図4参照)、該入力により独立機器32である通信機器の外形サイズを取得する。なお、独立機器32の外形サイズや取付方法等に関して入力手段による入力がない場合には、独立機器32のホームページや取扱説明書、施工説明書など、独立機器32に関する資料等から外形サイズ等を取得してもよい。
【0052】
その後、演算手段は、筐体11の内部におけるユニット機器31と独立機器32の可能な配置を導くように演算を行う。例えば、ユニット機器31を筐体11の上部側に配置し、独立機器32をベース部材42に搭載した状態で筐体11の下部側に配置するような配置例を導き出す(
図5参照)。
【0053】
その後、演算手段は、決定された配置パターン及び、ユニット機器31の外形サイズ、独立機器32の外形サイズなどのサイズに関するデータなどを考慮して、配置パターンに適合する筐体11を導き出すように演算をする。なお、筐体11を演算により求める際には、ユニット機器31や独立機器32の周囲に、配線用の空間を考慮して筐体11(筐体サイズ)を決定することが好ましい。
【0054】
ところで、上記した例で選択された管理番号がAA1-8のユニット機器31は、ヨコ×タテ=200×150の搭載可能範囲が存在する。これに対して、独立機器32のサイズはヨコ×タテ=75×50であるため、独立機器32のサイズは、搭載可能範囲内に収まっている。つまり、管理番号がAA1-8のユニット機器31に、独立機器32である通信機器を搭載可能であると演算することができる。より具体的には、管理番号がAA1-8のユニット機器31の主幹ブレーカが搭載されたベース部材42に設けられた搭載可能範囲に、独立機器32である通信機器が配置される配置例を演算により導くことができる。例えば、ユニット機器31を筐体11の中央に配置し、独立機器32をユニット機器31のベース上に搭載して配置するような配置例を導き出す(
図6参照)。
【0055】
その後、演算手段は、決定された配置パターン及び、ユニット機器31の外形サイズ、独立機器32の外形サイズなどのサイズに関するデータなどを考慮して、配置パターンに適合する筐体11を特定する。
【0056】
また、収納希望機器情報が入力されたことにより60Aのブレーカ1台と20Aのブレーカ8台が指定された場合には、管理番号がAA1-8のユニット機器31以外に、管理番号がAB1-8のユニット機器31を採用可能であることを演算により導くこともできる。
【0057】
管理番号がAB1-8のユニット機器31には、搭載可能範囲が設けられていないため、独立機器32である通信機器は、ユニット機器31に搭載不可であると判定するように演算がなされる。そして、筐体11の内部におけるユニット機器31及び独立機器32の配置パターンが決定される。例えば、ユニット機器31を筐体11の上部側に配置し、独立機器32を筐体11の下部側に配置するような配置例を導き出す(
図7参照)。
【0058】
この例から理解されるように、演算手段は、入力された収納希望機器情報により複数種類のユニット機器31を採用可能との演算結果が得られた場合に、ユニット機器31毎にユニット機器31及び独立機器32の可能な配置を導く演算をすることが可能な構成とすることが好ましい。
【0059】
また、演算手段は、ユニット機器31と独立機器32の一つの組み合わせに対して、ユニット機器31及び独立機器32の可能な配置を演算により複数導くことが可能な構成とすることが好ましい。
【0060】
これらの例のように、入力された収納希望機器情報に基づいて、複数の配置パターンを導き出せる場合には、それら複数の配置パターンを出力手段により出力することが好ましい。このとき、各配置パターンに優先度を設定することで、出力する配置パターンを1つ若しくは少数に制限してもよいし、優先度に応じて出力する順番を変更するようにしてもよい。
【0061】
各配置パターンに優先度を設定する方法としては、収納希望機器情報が入力される際に入力される電気電子機器収納用箱1に関する仕様情報に基づいて優先度を設定する方法が例示できる。より詳しくは、例えば、仕様情報として、「筐体サイズを小さくする」旨の入力があった場合には、筐体サイズが小さいものの優先度を上げ、筐体サイズが小さい電気電子機器収納用箱1から順に出力されるように制御する。
【0062】
また、入力された仕様情報で、筐体11への電線の入出線方向の指定がされた場合には、その入出線方向に適した電気電子機器収納用箱1から順に出力されるようにすればよい。また、データベースに本システムを用いた電気電子機器収納用箱1の選定結果を備えるようにしておき、選定された回数の多い電気電子機器収納用箱1の優先順を上げるようにしてもよい。もちろん、これらの例に限る必要はない。
【0063】
これらの例から理解されるように、演算手段による演算により導かれたユニット機器31と独立機器32の配置例を示す配置例情報を出力可能な出力手段を備え、電気電子機器収納用箱1に関して入力された仕様情報に基づいて、配置例情報の変更又は出力する配置例情報の順番の変更を行うことが可能な構成とすることが好ましい。
【0064】
ここで、上記した例とは異なる収納希望機器情報が入力された例について説明をする。この例では仕様情報の一部である収納希望機器情報として、60Aのブレーカを2台、20Aのブレーカを24台、センサ機器を2台と入力された場合とする(
図8参照)。このとき、管理番号がY-901のセンサ機器は、格納機器情報としてデータベースに備えられているが、管理番号がY-901のセンサ機器は、ユニット機器31を形成可能なものではないものとする。
【0065】
この場合、1つ目の出力イメージとしては、60Aのブレーカが2台と20Aのブレーカが24台で形成可能な管理番号がAD1-24のユニット機器31と、管理番号がY-901のセンサ機器が2台配置された電気電子機器収納用箱1である。
【0066】
この電気電子機器収納用箱1は、配線を下から入線するものであり、2台の60Aのブレーカのうちの1台は二次送り回路を形成するために形成されている。また、2台の独立機器32は、1つのベース部材42に搭載され、レール部材41に固定されている(
図9参照)。
【0067】
2つ目の出力イメージとしては、60Aのブレーカ1台と20Aのブレーカ16台で形成可能な管理番号がAA1-16のユニット機器31と、60Aのブレーカ1台と20Aのブレーカ8台で形成可能な管理番号がAA1-8のユニット機器31と管理番号がY-901の独立機器32が2台配置された電気電子機器収納用箱1である。この電気電子機器収納用箱1は、2つのユニット機器31を左右方向に並べて配置し、管理番号がY-901の一方の独立機器32は管理番号がAA1-16のユニット機器31に備えられたベース部材42に搭載し、管理番号がY-901のもう一方の独立機器32はユニット機器31を構成する電気電子機器が搭載されていないベース部材42に搭載され、管理番号がAA1-8のユニット機器31の下部に固定されている(
図10参照)。
【0068】
3つ目の出力イメージとしては、2つ目の出力イメージと同様、管理番号がAA1-16のユニット機器31と、管理番号がAA1-8のユニット機器31と管理番号がY-901の独立機器32が2台配置された電位電子機器であるが、ユニット機器31と独立機器32の位置関係が2つ目の出力イメージと異なる。
【0069】
この電気電子機器収納用箱1は、2つのユニット機器31を上下方向に並べて配置し、管理番号がY-901の一方の独立機器32はユニット機器31を構成する電気電子機器が搭載されていないベース部材42に搭載され、管理番号がAA1-16のユニット機器31と管理番号がAA1-8のユニット機器31の間に固定され、もう一方は、管理番号がAA1-8のユニット機器31に備えられたベース部材42に搭載されている(
図11参照)。
【0070】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 電気電子機器収納用箱
11 筐体
31 ユニット機器
32 独立機器