(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042288
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の設計支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240321BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146891
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】神山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 徹哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】利用者が設計支援システムの仕様情報を入力した際に、選定される電気電子機器収納用箱に対する作業内容や、作業にかかる作業日数などを設計支援システムで演算すること。
【解決手段】
格納仕様情報と箱データと格納作業情報と、を有するデータベースと、利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを演算するとともに、格納作業情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に関する作業情報である予定作業情報を演算により導くことが可能な演算手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、
設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱に対する作業に関する作業情報である格納作業情報と、を有するデータベースと、
利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを演算するとともに、格納作業情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に関する作業情報である予定作業情報を演算により導くことが可能な演算手段と、
を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項2】
入力手段は、電気電子機器に対する作業に関する作業情報を入力可能であり、
演算手段は、入力手段を用いて入力される作業情報と、データベースに備えられた格納作業情報を用いて、予定作業情報を演算により導くことが可能である請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項3】
電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に、設計作業、製作作業、輸送作業、設置作業、保守作業の少なくとも1つを含む請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項4】
作業情報に、電気電子機器収納用箱に対する作業の作業者に関する情報、作業難度に関する情報、作業現場の状況に関する情報、作業時間に関する情報、作業方法に関する情報の少なくとも1つを含む請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の設計支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤、配電盤、システムラック、高圧受電設備などの電気電子機器収納用箱の設計を支援する設計支援システムが知られている。従来の設計支援システムでは、入力された仕様情報とデータベースに格納された電気電子機器収納用箱の仕様に関するデータとを比較して、一致した電気電子機器収納用箱を選定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、従来は、仕様情報を入力することで、電気電子機器収納用箱を選定することは可能であるが、選定された電気電子機器収納用箱が納入されるまでの日数を予測することはできていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、利用者が設計支援システムの仕様情報を入力した際に、選定される電気電子機器収納用箱に対する作業内容や、作業にかかる作業日数などを設計支援システムで演算することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱に対する作業に関する作業情報である格納作業情報と、を有するデータベースと、利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを演算するとともに、格納作業情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に関する作業情報である予定作業情報を演算により導くことが可能な演算手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【0007】
また、入力手段は、電気電子機器に対する作業に関する作業情報を入力可能であり、演算手段は、入力手段を用いて入力される作業情報と、データベースに備えられた格納作業情報を用いて、予定作業情報を演算により導くことが可能である構成とすることが好ましい。
【0008】
また、電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に、設計作業、製作作業、輸送作業、設置作業、保守作業の少なくとも1つを含む構成とすることが好ましい。
【0009】
また、作業情報に、電気電子機器収納用箱に対する作業の作業者に関する情報、作業難度に関する情報、作業現場の状況に関する情報、作業時間に関する情報、作業方法に関する情報の少なくとも1つを含む構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、利用者が設計支援システムの仕様情報を入力した際に、選定される電気電子機器収納用箱に対する作業内容や、作業にかかる作業日数などを設計支援システムで演算することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】管理番号と格納仕様情報と箱データと格納作業情報が紐づけられている例を示す図である。
【
図2】管理番号と箱データと格納作業情報が紐づけられている例を示す図である。ただし、箱データが「AAA10-36」であると特定されている。
【
図4】
図3に示す入力がなされた場合の出力例を示す図である。
【
図5】「筐体に関する項目」が「500×600×120」、「電気電子機器に関する項目」が「主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×14」に該当するデータをまとめた例を示す図である。
【
図6】仕様情報と作業情報の入力例を表す図である。
【
図7】
図6に示す入力がなされた場合の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能である。また、この電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、「「設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報」と、「格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データ」と、「格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱に対する作業に関する作業情報である格納作業情報」と、を有するデータベース」と、「利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを演算するとともに、格納作業情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に関する作業情報である予定作業情報を演算により導くことが可能な演算手段」と、を備えている。このため、利用者が設計支援システムの仕様情報を入力した際に、選定される電気電子機器収納用箱に対する作業内容や、作業にかかる作業日数などを設計支援システムで演算することが可能となる。
【0013】
なお、実施形態においては主に、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備などの配電を目的とした電気電子機器収納用箱の設計支援システムについて説明を行うが、もちろんサーバや通信装置、演算装置などを備えたシステムラックの設計支援システムや、通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するための作業用ボックスなどの設計支援システムであってもよい。
【0014】
電気電子機器収納用箱は、筐体と、筐体に収納される電気電子機器を備えている。なお、電気電子機器は、いかなるものであっても良く、ブレーカ、開閉器、端子台、タイムスイッチ、避雷器、コンセント、変圧器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器などが典型例として挙げられるが、電気や電子に関連する機器や、非常回路や自動点滅回路などの電子機器で構成された回路などでもよい。
【0015】
実施形態の電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、少なくとも、電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、該電気電子機器収納用箱に対する作業に関する作業情報である格納作業情報と、をデータベースに備えている。
【0016】
また、実施形態の電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、入力手段により入力された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、演算手段により、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを導くように演算することができる。また、格納作業情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に関する作業情報である予定作業情報を導くように演算することができる。
【0017】
このようなことを可能とするため、入力手段は、電気電子機器に対する作業に関する作業情報を入力可能であり、演算手段は、入力手段を用いて入力される作業情報(入力作業情報)と、データベースに備えられた格納作業情報を用いて、予定作業情報を演算により導くことが可能である構成とするのが好ましい。
【0018】
また、実施形態では、出力手段により、演算された箱データ及び予定作業情報を出力することができる。このため、箱データ及び予定作業情報を確認しながら最適な電気電子機器収納用箱を選定することができる。
【0019】
仕様情報の詳細については以下に記すが、ここで、入力仕様情報と格納仕様情報の違いについて説明をする。入力仕様情報とは、本発明の設計支援システムを用いて電気電子機器収納用箱を選定する際に、利用者により入力される仕様情報である。一方、格納仕様情報は、データベースの構築時や更新時にデータベースに備えられる仕様情報であり、入力仕様情報と比較可能な仕様情報である。実施形態では、特定の格納仕様情報と箱データに紐づけるように管理番号が付与され、データベースに備えられる(
図1及び
図2参照)。また、設計支援システムに、データベースに格納されない箱データを選定可能とする機能を持たせた場合などには、設計支援システムを利用した際に入力した入力仕様情報と、選定された箱データをデータベースに新たに備えることができるようにするものであってもよい。それまでデータベースに備えられていない仕様情報である入力仕様情報がデータベースに備えられることにより、その入力仕様情報は格納仕様情報の位置づけになる。
【0020】
ところで、本発明における「仕様情報」は、電気電子機器収納用箱や電気電子機器を特定するための仕様に関する情報であり、例えば、以下に記す項目別にグループ分けすることができる。
【0021】
例えば、電気電子機器収納用箱に収納される電気電子機器に関する仕様情報は以下の項目を挙げることができる。
【0022】
「電気電子機器の種類に関する項目(各電気電子機器の有する性能に関するデータも含む。)」
例えば、協約形ブレーカ、漏電ブレーカ、サーキットブレーカ、プラグイン式ブレーカ、端子台、リレー、電流計、電力計、通信機器、タイムスイッチ、SPD、制御回路などを電気電子機器の種類として挙げることができる。なお、性能とは、定格電流や定格遮断容量などの電気的性能や、強度などの物理的性能などである。
【0023】
「筐体内における電気電子機器の配置・位置に関する項目」
例えば、主幹ブレーカの位置(筐体の上側や下側など)、主幹ブレーカに対する分岐ブレーカの位置(主幹ブレーカの下や横など)、分岐ブレーカの配置(ブレーカを一列に配置又はブレーカを複数列で配置など)などを筐体内における電気電子機器の配置・位置として挙げることができる。なお、筐体の内部に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの配置や位置が筐体のサイズや形状に大きな影響を与える。
【0024】
「筐体内における電気電子機器の役割に関する項目」
例えば、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、一方を主幹ブレーカとして使用し、もう一方を該主幹ブレーカの二次側に接続して二次送り用として使用する。」、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、両方とも主幹ブレーカとして使用し、筐体内に2系統を形成する」などを筐体内における電気電子機器の役割として挙げることができる。なお、筐体内に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの役割が筐体サイズや形状に大きな影響を与える。
【0025】
もちろん、電気電子機器収納用箱に収納される電気電子機器に関する仕様情報は、その他の項目でも構わず、例えば、「電気電子機器の個数に関する項目」などでもよい。
【0026】
電気電子機器収納用箱に関する仕様情報の項目の例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0027】
「電気電子機器収納用箱の筐体(扉若しくは筐体に収納されない部材を含む)に関する項目」
例えば、筐体サイズ(W×H×D)、筐体の材質(鉄製、ステンレス製、樹脂製等)、筐体の色、筐体に対する加工(筐体に収納されない機器と取り付けるための孔加工や溶接加工など)、筐体内に電気電子機器とは異なる部材を別途収納するために設定するスペース、扉のサイズ、扉の材質、扉の色、扉の数(1枚扉、2枚扉等)、扉の開く方向(右開き、左開き等)に関するデータ、筐体に収納されない部材の種類や個数、配置や位置などを挙げることができる。なお、筐体に収納されない部材とは、扉を回動するためのヒンジ、扉を鎖錠するための鎖錠装置(ハンドルなど)、筐体に取り付けられる熱対策機器(ファン、ルーバなど)や、配線用部材、水抜き用部材、防水対策用に取り付けられるパッキン、筐体を壁に取り付けるための取付部材や、屋外設置用の屋根部材などを例示することができる。
【0028】
「電気電子機器収納用箱の性能や種類に関する項目」
例えば、電気電子機器収納用箱の性能としては防水性能、耐震性能、耐熱性能などを挙げることができる。また、電気電子機器収納用箱の種類としては、電灯・動力混合分電盤、耐熱分電盤、仮設コンセント用分電盤などを挙げることができる。
【0029】
「電気電子機器収納用箱の設置に関する項目」
電気電子機器収納用箱の設置の中でも、設置方法に関する項目としては、例えば基台を用いて自立設置、壁・支柱への設置、壁への埋め込み設置などを挙げることができる。また、設置場所や設置環境に関する項目としては、屋内設置、屋外設置、塩害地域への設置、豪雪地域への設置、標高の高い場所への設置などを挙げることができる。
【0030】
電気電子機器収納用箱に配線に関する仕様情報の項目例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0031】
「筐体への入出線に関する項目」
例えば、上入線上出線(筐体の上面から入線かつ、上面へ出線)、下入線下出線(筐体の下面から入線かつ、下面から出線)などを挙げることができる。もちろん筐体の側面や背面から入線若しくは出線するものであってもよい。
【0032】
「電気電子機器同士の配線に関する項目」
例えば、電気電子機器同士の電線による配線、電気電子機器同士の銅バーによる配線などを挙げることができる。
【0033】
「配線のために必要な配線空間に関する項目」
例えば、標準で設定された配線空間よりも大きな空間を設定するなどを挙げることができる。
【0034】
また、電気電子機器収納用箱の輸送に関する仕様情報の項目例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0035】
「梱包方法に関する項目」、「輸送方法に関する項目」例えば、トラックを用いた輸送や鉄道を用いた輸送や船舶を用いた輸送などを挙げることができる。
【0036】
その他、電気電子機器収納用箱を購入する際の価格などの「電気電子機器収納用箱の価格に関する項目」の分類や、電気電子機器収納用箱の購入確定から、納品までの納期などの「電気電子機器収納用箱の納期に関する項目」の分類や、客先の氏名、会社名、住所など、客先を特定するために必要な情報などの「客先に関する項目」の分類も例示することができる。
【0037】
なお、仕様情報の各項目は、独立したものであってもよいし、それぞれ関連するものであってもよい。例えば、「筐体に関する項目」として「パッキンあり」と入力した入力仕様情報と、「性能に関する項目」における「防水性能あり」との格納仕様情報とを比較した場合、各項目を独立したものとする場合には「一致しない」と判断することになるが、項目を関連するように扱う場合は、「一致する」と判断するようにしてもよい。
【0038】
次に「作業情報」について説明をする。作業情報とは、電気電子機器収納用箱に対する作業に関する情報であるが、特に電気電子機器収納用箱を選定した後の作業をいい、設計から客先へ設置するまでの作業のみならず、設置以降に実行される作業についても含むものであってもよい。
【0039】
なお、電気電子機器収納用箱に対する「作業」には、設計作業、製作作業、輸送作業、設置作業、保守作業、修繕作業などがある。各作業を更に細分化すると、「設計作業」としては、部材(筐体や電気電子機器、締結部材、配線支持部材など)の選定作業や配置の検討作業、図面の作成作業などが例示できる。また、「製作作業」としては、部材の調達作業や加工作業、塗装作業、組立作業、電気電子機器収納用箱内の配線作業、検査作業、梱包作業などが例示できる。また、「輸送作業」としては、輸送手段の検討・調達作業、電気電子機器収納用箱の搬送作業などが例示できる。また、「設置作業」としては、電気電子機器収納用箱の固定・設置作業、電気電子機器収納用箱への配線作業などが例示できる。また、「保守作業」としては、設置が完了した電気電子機器収納用箱を保守・点検する作業などが例示できる。また、「修繕作業」としては、設置が完了した電気電子機器収納用箱を修繕する作業や部材を交換する作業などが例示できる。
【0040】
これらは全て含む必要はないが、電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に、設計作業、製作作業、輸送作業、設置作業、保守作業の少なくとも1つを含むようにするのが好ましい。
【0041】
また、作業情報には「作業時間情報」や「作業関連情報」を含むのが好ましい。なお、「作業時間情報」は、各作業を完了するまでの時間や日数に関する情報や、全ての作業が完了するまでの時間や日数に関する情報などである。また、「作業関連情報」は、各作業に関連する情報であり、「作業者に関する情報(氏名、年齢、作業歴、作業年数など)」、「作業所に関する情報(社名、創業年数、作業歴、作業年数、工員情報など)」、「作業の難度に関する情報(作業レベルの高低など)」、「作業現場の状況に関する情報(繁忙期or閑散期、作業現場や作業者の負荷状況、部材の在庫状況など)」、「作業方法に関する情報(作業手順や作業に使用した機械、設備、道具、ソフトウエアなど)」などが例示できる。
【0042】
これらは全て含む必要はないが、作業情報に、電気電子機器収納用箱に対する作業の作業者に関する情報、作業難度に関する情報、作業現場の状況に関する情報、作業時間に関する情報、作業方法に関する情報の少なくとも1つを含むようにするのが好ましい。
【0043】
ここで、実施形態の「作業時間情報」と「作業関連情報」との関係性について説明をする。作業関連情報は、作業時間情報の値に影響を与える要素(パラメータ)のようなものである。例えば、同程度の習熟度を有する作業者であっても、作業レベルや負荷状況が異なれば、作業完了までの作業日数は異なるし、作業レベルや負荷状況が同じ作業者であっても、習熟度が異なれば、作業完了までの作業日数は異なる。このような「作業レベル」、「負荷状況」、「習熟度」が「作業関連情報」として例示できる。
【0044】
なお、作業情報には、入力手段により入力される現在若しくは将来の作業情報である入力作業情報と、データベースに格納される過去の作業情報である格納作業情報と、演算手段により演算される将来の作業情報である予定作業情報とがある。
【0045】
入力作業情報は、電気電子機器収納用箱を選定する際に、想定される作業に関して入力する情報である。入力作業情報は、主に作業関連情報(現在若しくは将来の作業者の負荷状況などの作業現場の状況に関する情報や、作業者の作業歴などの作業者に関する情報、使用予定の設備などの作業方法に関する情報など)である。入力作業情報を入力することにより、演算される予定作業情報(主に作業時間情報)の絞り込みを行うことができるようになり、より精度の高い選定を行うことができる。
【0046】
「格納作業情報」は、データベースに備えられる箱データで特定可能な電気電子機器収納用箱に対する作業に関する情報で、各作業若しくは作業全体に対する作業時間情報と作業関連情報である。この作業には、実際に実行された作業を含むことはもちろんのこと、実行されなかった作業を含むものであっても良い。
【0047】
例えば、ある電気電子機器収納用箱に対して、過去に設計され図面が完成されている場合には、それ以降の設計作業は不要となるため、格納作業情報として、設計作業が実行される必要がない旨が記録される。
【0048】
「予定作業情報」は、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行されることが想定される作業に関する情報であるが、詳細は、後述する。
【0049】
ところで、利用者は入力手段を用いて入力仕様情報を入力することができる。この入力手段は、パソコンやスマートフォンなどへ入力する際に一般的に使用される手段(キーボードやマウスを使用した入力、ディスプレイ上で指などを動かすことによる入力など)を含むのはもちろんである。また、入力仕様情報が記載された書類を光学文字認識により取り込むようなものであっても良い。また、音声を検出することによる入力や視線を検出することによる入力であってもよい。また、仕様情報の入力は、各種情報に付与された品名番号などにより入力されるものであってもよい。
【0050】
実施形態のデータベースには、電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱に関する箱データと、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱に対して実行された作業に関する作業情報である格納作業情報と、が少なくとも備えられている。このデータベースに備えられたデータは、少なくとも格納仕様情報と箱データ、格納作業情報を組み合わせたデータに対して、管理番号が付与される(
図1及び
図2参照)。
【0051】
管理番号は、データベースに備えられた順に付与されるものであってもよいし、特定の格納仕様情報を含むデータ(例えば、管理番号0101~0104)や、特定の箱データ(例えば、管理番号0001~0004)を含むデータに対して、関連する管理番号を付与するようにしてもよい。もちろん、管理番号は、4桁の数字に限らず必要に応じて英字や記号などを含んで構成されるものであってもよい。
【0052】
データベースに格納されるデータを管理番号で管理することができるようにすれば、各種データの管理が容易となり、予定作業情報の演算を効率的に行うことができる。
【0053】
格納仕様情報や箱データ、格納作業情報の他に、電気電子機器収納用箱を構成する筐体や電気電子機器の図面に関する図面データや、筐体や電気電子機器の種類や個数に関する部品図データ、筐体や電気電子機器の価格に関する価格データなど、電気電子機器収納用箱を選定した後の作業のために必要なデータも同様に管理番号により管理できるものであってもよい。
【0054】
ところで、入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを演算する場合、入力手段により入力された入力仕様情報と、データベースに格納された格納仕様情報を比較し、その格納仕様情報と同じ管理番号が付与された箱データを演算により導くようにすればよい。演算された箱データは出力手段により出力されるのが好ましい。
【0055】
なお、箱データを導く演算を行う場合、入力仕様情報に完全に一致する格納仕様情報の管理番号が付与された箱データを演算により導くことが例示できる。また、その箱データを出力手段により出力するものであってもよい。この他、入力仕様情報と格納仕様情報を比較し、特定された格納仕様情報と同じ管理番号が付与された箱データの入力仕様情報に対する一致率を演算するようにしてもよい。この場合、一致率の最も高い箱データを出力手段により出力したり、一致率の高い箱データから順に複数の箱データを出力手段により出力したりすればよいが、出力の仕方はこれらの例に限る必要はない。
【0056】
また、実施形態の演算手段は、格納作業情報を用いて、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行予定の作業に関する作業情報である予定作業情報を演算により導くことができる。例えば、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に関する箱データを導くように演算した後、該箱データと同じ管理番号で管理される格納作業情報を参照し、入力仕様情報に対応する電気電子機器収納用箱に対して実行されることが想定される作業情報(予定作業情報)を演算により導く。
【0057】
1つの箱データに対して、1つの管理番号しか格納されていない場合には、該管理番号で管理される格納作業情報を参照し、予定作業情報を演算するものとすればよいが、同じ箱データに対して、格納仕様情報の差異や格納作業情報の差異などに起因して、複数の管理番号が紐づけられている場合には、各管理番号で管理される格納作業情報を全て合わせて、予定作業情報を演算するようにしてもよい。
【0058】
また、同じ箱データに対して複数の管理番号が紐づけられている場合などには、入力手段により入力される入力作業情報と類似する格納作業情報を含む管理番号で管理される格納作業情報を組み合わせて、予定作業情報を演算するようにしてもよい。
【0059】
実施形態では、演算手段により演算された結果は、出力手段を用いて出力される。なお、出力手段を用いた出力は、入力手段と同様パソコンやスマートフォンなどを介して出力される際に一般的に使用される手段(ディスプレイに出力、印刷機等により紙へ出力など)を含むのはもちろん。音声による出力であってもよい。
【0060】
出力手段により出力されるものには、少なくとも箱データと、予定作業情報を含むのが好ましい。演算手段により1つの箱データのみが演算された場合には、1つの箱データと、その予定作業情報が出力されるものであればよい。例えば、入力された入力仕様情報と同一の格納仕様情報がある場合(一致率が100%の場合)には、箱データと予定作業情報が出力される。
【0061】
一方、演算手段により複数の箱データが演算された場合には、それぞれの箱データと予定作業情報が出力されるようにするのが好ましい。この場合には、予定作業情報を比較し、適する順に箱データを並べて表示するようにしてもよい。例えば、入力された入力仕様情報に対して、一致率が90%であって作業日数が5日の箱データと、一致率が95%であって作業日数が7日の箱データが演算された場合、作業日数が少ない順に並べて表示するものであってもよいし、作業日数がより少ない前者のみを表示するようにしてもよい。また、システムの利用者により、一致率を重視する旨の指示があった場合に、一致率の高い順に並べて表示することができるように構成してもよい。
【0062】
このとき、箱データとして、各電気電子機器収納用箱に付与された品名番号を出力するようにしてもよいし、電気電子機器収納用箱の概要を表示した箱イメージを出力するようにしてもよい。
【0063】
箱イメージを出力する場合、箱イメージは、実際の電気電子機器収納用箱を縮尺したものを表す図であることが好ましく、筐体に収納される電気電子機器が選定された位置に配置されている状態を表す図として出力されることが好ましい。なお、電気電子機器収納用箱を構成する筐体や電気電子機器の価格や、輸送費用などについても出力できる構成としてもよい。
【0064】
ここで、具体的な例を挙げて説明をおこなう。データベースに、箱データ:AAA10-36を含むデータに管理番号(0001~0004)が付与されて管理されているものとする。
【0065】
また、管理番号0001では、「設計作業」について、作業者Aが、現場負荷が中である旨の作業関連情報と、作業日数が2日である旨の作業時間情報が備えられており、かつ、「製作作業」について、作業者Jが、現場負荷が中である旨の作業関連情報と、作業日数が2日である旨の作業時間情報が備えられており、かつ、「現場作業」について、作業者Sが、現場負荷が小である旨の作業関連情報と、作業日数が1日である旨の作業時間情報が備えられているものとする。なお、0002から0004に関しては
図2に示すような情報の特定などが可能であるが、その説明は省略する。
【0066】
これに対して、入力手段により入力される入力仕様情報に関して、「筐体に関する項目」で、サイズが「500×1000×120」、「電気電子機器に関する項目」で「主幹ブレーカ(100A)×1、分岐ブレーカ(20A)×2」と入力された場合の出力に至る例を説明する(
図3参照)。
【0067】
演算手段により、「AAA10-36」の「箱データ」が演算により導かれ、イメージとともに出力手段により出力される(
図4参照)。次に、演算で特定された「AAA10-36」からデータベースに格納される管理番号0001~0004から格納作業情報を参照する。
【0068】
この例では、入力手段により入力されたのは上記した入力仕様情報のみであるため、管理番号0001~0004の格納作業情報を全て用いて、予定作業情報を演算する。この例では、予定作業情報は作業時間情報のうちの作業日数としており、各管理番号の平均値を算出することにより、予定作業情報を演算するようにしている。そのような演算の結果、「設計作業」については、作業日数は、2.25日(=(2+1+3+3)/4)、「製作作業」については、作業日数は、2日(=(2+2+3+1)/4)、「設計作業」については、作業日数は、1日(=(1+1+1+1)/4)となり、全てを合計した作業日数は、5.25日となる(
図2及び
図4参照)。この例では、平均値にて予定作業情報を算出したが、複数の管理番号の格納作業情報の内の最大値や最小値、中央値を予定作業情報としても構わない。
【0069】
ここから、他の例について説明をするが、次の例では、データベースに、格納作業情報として、筐体サイズ:500×600×120及び電気電子機器:主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×14を含むデータに管理番号(0101~0104)が付与されて管理されているものとする(
図5参照)。
【0070】
管理番号0101では、「設計作業」について、作業者の習熟度が低で、作業者の負荷が中である旨の作業関連情報と、作業日数が3日である旨の作業時間情報が備えられており、「製作作業」について、作業者の習熟度が中で、作業者の負荷が小で、部材の在庫がある旨の作業関連情報と、作業日数が2日である旨の作業時間情報が備えられており、「現場作業」について、作業者の習熟度が中で、作業者の負荷が小である旨の作業関連情報と、作業日数が1日である旨の作業時間情報が備えられているものとする。なお、0102から0104に関しては
図5に示すような情報の特定などが可能であるが、その説明は省略する。
【0071】
これに対して、入力手段により入力される「入力仕様情報」に関して、「筐体に関する項目」で、サイズ「500×600×120」、「電気電子機器に関する項目」で「主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×14」と入力された場合(
図5参照)を前提に、入力した「作業情報」が、設計作業について、作業者の習熟度:中、製作作業について、作業者の習熟度:中、部材(パーツ)の在庫:あり、輸送作業について、作業者の負荷:小と入力された場合の出力に至る例を説明する(
図6参照)。
【0072】
まず、演算手段により、「AAA6-14」の「箱データ」が演算により導かれ、イメージとともに出力手段により出力される(
図7参照)。次に、演算で特定された「AAA6-14」からデータベースに備えられている管理番号0101~0104の格納作業情報を参照する。
【0073】
この例では、入力手段により「作業情報」が入力されているため、管理番号0101~0104の格納作業情報の中から、入力作業情報を加味して予定作業情報を演算する。つまり、設計作業については、入力作業情報として「作業者の習熟度:中」が存在することを加味して、管理番号0102~0104を参照し、作業日数は、2日(=(1+3+2)/3)、「製作作業」については、入力作業情報として「作業者の習熟度:中」及び「部材の在庫:あり」が存在することを加味して、管理番号0101、0104を参照し、作業日数は、1.5日(=(2+1)/2)、「輸送作業」については、入力作業情報として「作業者の負荷:小」が存在することを加味して、管理番号0101、0103、0104を参照し、作業日数は、1日(=(1+1+1)/3)となり、全てを合計した作業日数は、4.5日となる(
図7参照)。
【0074】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。