(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042289
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の設計支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20240321BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240321BHJP
【FI】
G06F30/10
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146892
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】神山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 徹哉
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146DA00
5B146DJ14
5B146DL08
5B146EC01
5B146EC08
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】設計支援システムで、電気電子機器の仕様情報のみならず、電線に関する情報も加味した上で、電気電子機器収納用箱を選定できるようにすること。
【解決手段】設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、筐体と電線の関係若しくは電気電子機器と電線の関係に関する電線関連情報と、を有するデータベースと、利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と、利用者が電気電子機器収納用箱に外部から配線される電線に関して入力した情報である電線情報と、格納仕様情報と、電線関連情報と、を用いて、電気電子機器収納用箱の箱データを特定するように演算可能な演算手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、
設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、筐体と電線の関係若しくは電気電子機器と電線の関係に関する電線関連情報と、を有するデータベースと、
利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と、利用者が電気電子機器収納用箱に外部から配線される電線に関して入力した情報である電線情報と、格納仕様情報と、電線関連情報と、を用いて、電気電子機器収納用箱の箱データを特定するように演算可能な演算手段と、
を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項2】
演算手段は、少なくとも入力仕様情報と格納仕様情報を用いて演算し、電気電子機器収納用箱の電線関連情報を特定可能であるとともに、特定された電線関連情報が入力された電線情報の条件を満たすか否かを判定可能であり、
電線関連情報が電線情報の条件を満たす場合には、電気電子機器収納用箱に対して修正を加えず、
電線関連情報が電線情報の条件を満たさない場合には、電気電子機器収納用箱に対して修正を加えるように制御することが可能な請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項3】
電線情報に、電線の種類に関する情報、電気電子機器への接続に関する情報、電線の長さに関する情報の少なくとも1つを含む請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項4】
電線関連情報に、電気電子機器の端子部に関する情報、電線が挿通される筐体の挿通孔に関する情報、挿通孔から電気電子機器までの距離に関する情報の少なくとも1つを含む請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項5】
演算手段は、入力仕様情報と、電線情報と、格納仕様情報と、電線関連情報を用いて、複数の電気電子機器収納用箱の箱データを特定するように演算可能であり、
出力手段は、演算により導かれた複数の箱データの一部若しくは全部を出力可能である請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の設計支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤、配電盤、システムラック、高圧受電設備などの電気電子機器収納用箱の設計を支援する設計支援システムが知られている。従来の設計支援システムでは、入力された仕様情報とデータベースに格納された電気電子機器収納用箱の仕様に関するデータとを比較して、一致した電気電子機器収納用箱を選定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、設計支援システムは、現在設置されている電気電子機器収納箱(旧製品)をリニューアルし、新たな電気電子機器収納用箱(新製品)を設置する際などに使用されることが多いが、新製品を設置する際に旧製品で使用していた電線を継続利用したいとの要望がある。しかしながら、従来の設計支援システムでは、旧製品で使用していた電線を考慮したものとなっていない。そのため、新製品の設置の際に、旧製品で使用していた電線に加工を施したり、電線を新しく配線し直したりする必要があり、新製品の設置作業に負担がかかることがあった。また、リニューアルの場合に限らず、電線の種類や長さなどが決められた状態で、設計支援システムを使用したい場合もあるが、従来の設計支援システムは電線を考慮した利用が想定されたものとなっていないことから、この場合も適切に対応できていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、設計支援システムで、電気電子機器の仕様情報のみならず、電線に関する情報も加味した上で、電気電子機器収納用箱を選定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱に関する仕様情報である格納仕様情報と、格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、筐体と電線の関係若しくは電気電子機器と電線の関係に関する電線関連情報と、を有するデータベースと、利用者が電気電子機器収納用箱に関して入力した情報である入力仕様情報と、利用者が電気電子機器収納用箱に外部から配線される電線に関して入力した情報である電線情報と、格納仕様情報と、電線関連情報と、を用いて、電気電子機器収納用箱の箱データを特定するように演算可能な演算手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【0007】
また、演算手段は、少なくとも入力仕様情報と格納仕様情報を用いて演算し、電気電子機器収納用箱の電線関連情報を特定可能であるとともに、特定された電線関連情報が入力された電線情報の条件を満たすか否かを判定可能であり、電線関連情報が電線情報の条件を満たす場合には、電気電子機器収納用箱に対して修正を加えず、電線関連情報が電線情報の条件を満たさない場合には、電気電子機器収納用箱に対して修正を加えるように制御することが可能な構成とすることが好ましい。
【0008】
また、電線情報に、電線の種類に関する情報、電気電子機器への接続に関する情報、電線の長さに関する情報の少なくとも1つを含む構成とすることが好ましい。
【0009】
また、電線関連情報に、電気電子機器の端子部に関する情報、電線が挿通される筐体の挿通孔に関する情報、挿通孔から電気電子機器までの距離に関する情報の少なくとも1つを含む構成とすることが好ましい。
【0010】
また、演算手段は、入力仕様情報と、電線情報と、格納仕様情報と、電線関連情報を用いて、複数の電気電子機器収納用箱の箱データを特定するように演算可能であり、出力手段は、演算により導かれた複数の箱データの一部若しくは全部を出力可能である構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、設計支援システムで、電気電子機器の仕様情報のみならず、電線に関する情報も加味した上で、電気電子機器収納用箱を選定できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】管理番号と格納仕様情報と箱データが紐づけられている例を示す図である。
【
図2】管理番号と電線関連情報が紐づけられている例を示す図である。
【
図3】管理番号と電線関連情報が紐づけられている例を示す図である。
【
図4】仕様情報及び電線情報の入力例を表す図である。
【
図5】リニューアル前における電気電子機器収納用箱と電線などとの関係例を示す図である。
【
図6】入力仕様情報から特定されたベースとなる電気電子機器収納用箱の例と、実施形態の設計支援システムで演算に用いられる「電線の長さA(天井から電線端部までの長さ)」、「天井から筐体の天面までの長さB」、「筐体の天面から電気電子機器までの長さC」、の例を示す図である。
【
図7】当初の入力内容にできるだけ沿いながら電線を電気電子機器に接続できるようにするために、気電子機器収納用箱に対して端子台を追加する修正をしたことを表す図である。
【
図8】当初の入力内容にできるだけ沿いながら電線を電気電子機器に接続できるようにするために、電気電子機器収納用箱の内部に配置される電気電子機器の位置を
図6に示す例よりも上側に移動させる修正をしたことを表す図である。
【
図9】当初の入力内容にできるだけ沿いながら電線を電気電子機器に接続できるようにするために、電気電子機器収納用箱を基台に載せる修正をしたことを表す図である。
【
図10】他の電気電子機器収納用箱から出線された電線が検討対象となる電気電子機器収納用箱の電気電子機器に接続される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。実施形態の電気電子機器収納用箱1の設計支援システムは、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報を基に、筐体11内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱1の設計を支援することが可能である。また、この電気電子機器収納用箱1の設計支援システムは、「「設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱1に関する仕様情報である格納仕様情報」と、「格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱1の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データ」と、「筐体11と電線91の関係若しくは電気電子機器と電線91の関係に関する電線関連情報」と、を有するデータベース」と、「「利用者が電気電子機器収納用箱1に関して入力した情報である入力仕様情報」と、「利用者が電気電子機器収納用箱1に外部から配線される電線91に関して入力した情報である電線情報」と、「格納仕様情報」と、「電線関連情報」と、を用いて、電気電子機器収納用箱1の箱データを特定するように演算可能な演算手段」と、を備えている。このため、設計支援システムで、電気電子機器の仕様情報のみならず、電線91に関する情報も加味した上で、電気電子機器収納用箱1を選定できるようにすることが可能となる。
【0014】
なお、実施形態においては主に、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備などの配電を目的とした電気電子機器収納用箱1の設計支援システムについて説明を行うが、もちろんサーバや通信装置、演算装置などを備えたシステムラックの設計支援システムや、通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するための作業用ボックスなどの設計支援システムであってもよい。
【0015】
電気電子機器収納用箱1は、筐体11と、筐体11に収納される電気電子機器を備えている。なお、電気電子機器は、いかなるものであっても良く、ブレーカ、開閉器、端子台15、タイムスイッチ、避雷器、コンセント、変圧器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器などが典型例として挙げられるが、電気や電子に関連する機器や、非常回路や自動点滅回路などの電子機器で構成された回路などでもよい。
【0016】
実施形態の電気電子機器収納用箱1の設計支援システムは、少なくとも、データベースと演算手段を備えている。また、データベースは、少なくとも「設計対象となることが想定された電気電子機器収納用箱1に関する仕様情報である格納仕様情報」と、「格納仕様情報により特定可能な電気電子機器収納用箱1の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データ」と、「筐体11と電線91の関係若しくは電気電子機器と電線91の関係に関する電線関連情報」と、を備えている。また、演算手段は、少なくとも、「利用者が電気電子機器収納用箱1に関して入力した情報である入力仕様情報」と、「利用者が電気電子機器収納用箱1に外部から配線される電線91に関して入力した情報である電線情報」と、「格納仕様情報」と、「電線関連情報」と、を用いて、電気電子機器収納用箱1の箱データを特定するように演算することが可能である。なお、実施形態では、演算手段により導かれた電気電子機器収納用箱1の箱データは出力手段により出力することができる。
【0017】
仕様情報の詳細については以下に記すが、ここで、入力仕様情報と格納仕様情報の違いについて説明をする。入力仕様情報とは、本発明の設計支援システムを用いて電気電子機器収納用箱1を選定する際に、利用者により入力される仕様情報である。一方、格納仕様情報は、データベースの構築時や更新時にデータベースに備えられる仕様情報であり、入力仕様情報と比較可能な仕様情報である。実施形態では、特定の格納仕様情報と箱データに紐づけるように管理番号が付与され、データベースに備えられる(
図1及び
図2参照)。また、設計支援システムに、データベースに格納されない箱データを選定可能とする機能を持たせた場合などには、設計支援システムを利用した際に入力した入力仕様情報と、選定された箱データをデータベースに新たに備えることができるようにするものであってもよい。それまでデータベースに備えられていない仕様情報である入力仕様情報がデータベースに備えられることにより、その入力仕様情報は格納仕様情報の位置づけになる。
【0018】
ところで、本発明における「仕様情報」は、電気電子機器収納用箱1を特定するための仕様に関する情報であり、例えば、以下に記す項目別にグループ分けすることができる。
【0019】
例えば、電気電子機器収納用箱1に収納される電気電子機器に関する仕様情報は以下の項目を挙げることができる。
【0020】
「電気電子機器の種類に関する項目(各電気電子機器の有する性能に関するデータも含む。)」
電気電子機器の種類としては、協約形ブレーカ、漏電ブレーカ、サーキットブレーカ、プラグイン式ブレーカ、端子台15、リレー、電流計、電力計、通信機器、タイムスイッチ、SPD、制御回路などを例示することができる。なお、性能とは、定格電流や定格遮断容量などの電気的性能や、強度などの物理的性能などである。
【0021】
「筐体11内における電気電子機器の配置・位置に関する項目」
筐体11内における電気電子機器の配置・位置としては、主幹ブレーカ13の位置(筐体11の上側や下側など)、主幹ブレーカ13に対する分岐ブレーカ18の位置(主幹ブレーカ13の下や横など)、分岐ブレーカ18の配置(ブレーカを一列に配置又はブレーカを複数列で配置など)などを例示することができる。なお、筐体11の内部に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの配置や位置が筐体11のサイズや形状に大きな影響を与える。
【0022】
「筐体11内における電気電子機器の役割に関する項目」
筐体11内における電気電子機器の役割としては、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、一方を主幹ブレーカ13として使用し、もう一方を該主幹ブレーカ13の二次側に接続して二次送り用として使用する。」、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、両方とも主幹ブレーカ13として使用し、筐体11内に2系統を形成する」などを例示することができる。なお、筐体11内に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの役割が筐体11のサイズや形状に大きな影響を与える。
【0023】
「他の電気電子機器との関係性に関する項目」
他の電気電子機器との関係性としては、「電気電子機器Aと電気電子機器Bとはユニット形成可能」、「電気電子機器Cが1台に対して、電気電子機器Dが6~54台までユニット化可能」などを例示することができる。
【0024】
もちろん、電気電子機器収納用箱1に収納される電気電子機器に関する仕様情報は、その他の項目でも構わず、例えば、「電気電子機器の個数に関する項目」などでもよい。
【0025】
電気電子機器収納用箱1に関する仕様情報の項目の例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0026】
「電気電子機器収納用箱1の筐体11(扉若しくは筐体11に収納されない部材を含む)に関する項目」
電気電子機器収納用箱1の筐体11(扉若しくは筐体11に収納されない部材を含む)としては、筐体11のサイズ(W×H×D)、筐体11の材質(鉄製、ステンレス製、樹脂製等)、筐体11の色、筐体11に対する加工(筐体11に収納されない機器と取り付けるための孔加工や溶接加工など)、筐体11内に電気電子機器とは異なる部材を別途収納するために設定するスペース、扉のサイズ、扉の材質、扉の色、扉の数(1枚扉、2枚扉等)、扉の開く方向(右開き、左開き等)に関するデータ、筐体11に収納されない部材の種類や個数、配置や位置などを、例示することができる。なお、筐体11に収納されない部材とは、扉を回動するためのヒンジ、扉を鎖錠するための鎖錠装置(ハンドルなど)、筐体11に取り付けられる熱対策機器(ファン、ルーバなど)、配線用部材、水抜き用部材、防水対策用に取り付けられるパッキン、筐体11を壁に取り付けるための取付部材、屋外設置用の屋根部材などを例示することができる。
【0027】
「電気電子機器収納用箱1の性能や種類に関する項目」
電気電子機器収納用箱1の性能としては防水性能、耐震性能、耐熱性能などを例示することができる。また、電気電子機器収納用箱1の種類としては、電灯・動力混合分電盤、耐熱分電盤、仮設コンセント用分電盤などを例示することができる。
【0028】
「電気電子機器収納用箱1の設置に関する項目」
電気電子機器収納用箱1の設置の中でも、設置方法に関する項目としては、基台21を用いて自立設置、壁・支柱への設置、壁への埋め込み設置などを例示することができる。また、設置場所や設置環境に関する項目としては、屋内設置、屋外設置、塩害地域への設置、豪雪地域への設置、標高の高い場所への設置などを挙げることができる。
【0029】
電気電子機器収納用箱1内の配線に関する仕様情報の項目例としては、以下に記載するものを挙げることができる。
【0030】
「筐体11への入出線に関する項目」
筐体11への入出線に関しては、上入線上出線(筐体11の上面から入線かつ、上面へ出線)、下入線下出線(筐体11の下面から入線かつ、下面から出線)などを例示することができる。もちろん筐体11の側面や背面から入線若しくは出線するものであってもよい。
【0031】
「電気電子機器同士の配線に関する項目」
電気電子機器同士の配線に関しては、電気電子機器同士の電線91による配線、電気電子機器同士の銅バーによる配線などを例示することができる。
【0032】
「配線のために必要な配線空間に関する項目」
配線のために必要な配線空間に関しては、標準で設定された配線空間よりも大きな空間を設定するなどを例示することができる。
【0033】
ここで、利用者が電気電子機器収納用箱1に外部から配線される電線91に関して入力した情報である「電線情報」について説明をする。「電線情報」は、選定する電気電子機器収納用箱1に使用する予定の電線91に関する情報である。より具体的には、電気電子機器収納用箱1の筐体11に設けられた挿通孔16から挿通し、内部の電気電子機器に接続する電線91に関する情報である。
【0034】
「電線情報」としては、例えば、「電線91の種類に関する情報」、「電気電子機器への接続に関する情報」、「電線91の長さに関する情報」を挙げることができる。これらに限る必要はないが、電線情報に、電線91の種類に関する情報、電気電子機器への接続に関する情報、電線91の長さに関する情報の少なくとも1つを含むようにするのが好ましい。
【0035】
また、「電線91の種類に関する情報」としては、「電線91のサイズ(導体の直径や面積など)」、「電線91を構成する材料の種類(導体の材料(銅、アルミなど)や絶縁体の材料など)」、を例示することができる。
【0036】
また、「電気電子機器への接続に関する情報」の具体例として、「電線91の端部の状態(端子なし、端子あり)」、「端子の種類(丸形圧着端子、棒型圧着端子、プラグイン端子など)」、「電線91の出所(壁の出線用穴93から出線、床の出線用穴93から出線、別の電気電子機器収納用箱100の出線用穴93(挿通孔16)から出線)」を挙げることができる。
【0037】
また、「電線91の長さに関する情報」としては、「出線用穴93の位置(天井・床・壁などに設けられた出線用穴93の位置)」、「出線用穴93から電線91の端部までの長さ(電線91の長さ)」を例示することができる。なお、出線用穴93の内部に余長分を考慮して、最短の長さと最長の長さとを示すものであってもよい。また、出線用穴93からの長さに限らず、電線91の全長を把握できる場合には、全長の情報であってもよい。また、近くの別の電気電子機器収納用箱100から出線された電線91の場合には、別の電気電子機器収納用箱100の筐体111に設けられた出線用穴93からの長さであってもよいし、別の電気電子機器収納用箱100に備えられた電気電子機器からの長さ(全長)であってもよい。
【0038】
このような「電線情報」の照合対象となる「電線関連情報」がデータベースに備えられている。「電線関連情報」は、電気電子機器収納用箱1を構成する筐体11や電気電子機器と、電線91との関係に関する情報である。「電線関連情報」は、「電気電子機器の端子部に関する情報」、「電線91が挿通される筐体11の挿通孔16に関する情報」、「筐体11の挿通孔16から電気電子機器までの距離に関する情報」などが例示できる。これらに限る必要はないが、電線関連情報に、電気電子機器の端子部に関する情報、電線91が挿通される筐体11の挿通孔16に関する情報、挿通孔16から電気電子機器までの距離に関する情報の少なくとも1つを含むようにするのが好ましい。
【0039】
また、「電気電子機器の端子部に関する情報」は、「端子部や端子穴のサイズ(M5サイズ、M8サイズなど)」、「端子部の種類(線押え端子、圧着端子用、速結端子、プラグイン端子など)」などが例示できる。
【0040】
「筐体11の挿通孔16に関する情報」は、「挿通孔16の位置(筐体11天面の中央、筐体11底面の左端から〇〇mmなど)」、「挿通孔16のサイズ」、「挿通孔16の形状」、「挿通孔16の被覆方法」などが例示できる。
【0041】
「筐体11の挿通孔16から電気電子機器までの距離に関する情報」は、「挿通孔16が天面にあり、上部に配置された電気電子機器まで△△mm」、「挿通孔16が天面にあり、下部に配置された電気電子機器まで□□mm」などが例示できる。
【0042】
ところで、利用者は入力手段を用いて仕様情報を入力することができる。この入力手段は、パソコンやスマートフォンなどへ入力する際に一般的に使用される手段(キーボードやマウスを使用した入力、ディスプレイ上で指などを動かすことによる入力など)を含むのはもちろんである。また、仕様情報が記載された書類を光学文字認識により取り込むようなものであっても良い。また、音声を検出することによる入力や視線を検出することによる入力であってもよい。また、入力手段による入力は、各種情報に付与された品名番号などにより入力されるものであってもよい。
【0043】
ところで、実施形態のデータベースには、電気電子機器収納用箱1に関する仕様情報である格納仕様情報、箱データ、電線関連情報が備えられている。実施形態では、格納仕様情報、箱データ、電線関連情報などは、管理番号が付与されている(
図1から
図3参照)。このため、これらの情報の管理がしやすくなる。管理番号は、どのようなものであっても良いが、数字や英字や記号を含んで構成されるものが例示できる。
【0044】
格納仕様情報、箱データ、電線関連情報の他に、電気電子機器収納用箱1を構成する筐体11や電気電子機器の図面に関する図面データや、筐体11や電気電子機器の種類や個数に関する部品図データ、筐体11や電気電子機器の価格に関する価格データなど、電気電子機器収納用箱1を選定した後の設計作業、製作作業、販売作業のために必要なデータも同様に管理番号により管理できるものであってもよい。
【0045】
ところで、実施形態の演算手段は、入力手段により入力される「入力仕様情報」及び「電線情報」と、データベースに備えられる「格納仕様情報」及び「電線関連情報」を用いて、電気電子機器収納用箱1の選定をするように演算することができる。より詳しくは、実施形態では、入力仕様情報と格納仕様情報に基づいてベースとなる電気電子機器収納用箱1の箱データが特定されるように演算することが可能である。
【0046】
例えば、仕様情報として、「電気電子機器」の情報として「主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×20」という旨の情報が入力され、「配置・位置」の一つ目の情報として「主幹ブレーカが上部に配置され、分岐ブレーカが下部に配置される」という旨の情報が入力され、「配置・位置」の二つ目の情報として「分岐ブレーカが2列に配置され、配線は上から入線、かつ上から出線される」という旨の情報が入力された場合、格納仕様情報に備えられているデータを参照し、「AAA6―20」で表される電気電子機器収納用箱1の箱データが特定されるように演算される。
【0047】
そして、電線関連情報を用いて、演算により導かれた電気電子機器収納用箱1と電線91との関係や、電気電子機器収納用箱1を構成する筐体11や電気電子機器と、電線91との関係が決定される。
【0048】
例えば、演算手段により導かれた「箱データ」が「AAA6-20」の場合、「箱サイズ:500×700×120、天面から主幹ブレーカの距離:100mm、天面から分岐ブレーカの距離:最も近いもので300mm、最も遠いもので600mm」などが特定される(
図2参照)。
【0049】
また、「箱データ」が「AAA6-20」の場合、電気電子機器について、50Aのブレーカは、電源側端子部、負荷側端子部ともに端子のない電線91でも接続可能な線押え端子で、サイズがM5となっている。一方、20Aのブレーカは電源側端子部、負荷側端子部が共に線押え端子であるものと、電源側端子部が銅バーに接続可能なプラグイン端子、負荷側端子部が、直径1.6mmの電線91若しくは棒型圧着端子が接続可能な速結端子の双方が情報として備えられている(
図3参照)。
【0050】
ベースとなる電気電子機器収納用箱1又は筐体11又は電気電子機器と電線91との関係が決定された後、それらが電線情報の条件を満たすか否かを演算手段が判定するようにすればよいが、詳細は、後述する。
【0051】
実施形態では、演算手段により演算された結果は、出力手段を用いて出力される。なお、出力手段を用いた出力は、入力手段と同様パソコンやスマートフォンなどを介して出力される際に一般的に使用される手段(ディスプレイに出力、印刷機等により紙へ出力など)を含むのはもちろん。音声による出力であってもよい。
【0052】
出力手段により出力されるものには、少なくとも箱データを含むのが好ましい。箱データとして、各電気電子機器収納用箱1に付与された品名番号を出力するようにしてもよいし、電気電子機器収納用箱1の概要を表示した箱イメージを出力するようにしてもよい。
【0053】
箱イメージを出力する場合、箱イメージは、実際の電気電子機器収納用箱1を縮尺したものを表す図であることが好ましく、筐体11に収納される電気電子機器が演算により選定された位置に配置されている状態を表す図として出力されることが好ましい。なお、電気電子機器収納用箱1を構成する筐体11や電気電子機器の価格や、輸送費用、納期、部品リスト、図面などについても出力できる構成としてもよい。
【0054】
ここで、具体的な例を挙げて説明をおこなう。「仕様情報」として、「電気電子機器:主幹ブレーカ(100A):1台、分岐ブレーカ(30A):10台、配置・位置:主幹ブレーカ:上方、分岐ブレーカ:下方、配線:上入線、上出線、設置:自立設置」が入力されているものとする(
図4参照)。また、「電線情報」として、「主幹ブレーカへ接続される電線は、1600mm」、「分岐ブレーカへ接続される電線は、2100mm~2500mm」が入力されているものとする(
図4参照)。より厳密にいうと、ここでは「主幹ブレーカへ接続される電線は、高さ2500mmの天井に設けられた出線用穴93から1600mmの長さであり、分岐ブレーカへ接続される電線は、天井に設けられた出線用穴93から2100mm~2500mmの長さ」である旨が入力されているものとする。なお、分岐ブレーカ18へ接続される電線91が2100mm~2500mmというのは、天井から最も近い分岐ブレーカ18へ接続される電線91の長さが2100mm、天井から最も遠い分岐ブレーカ18へ接続される電線91の長さが2500mmであることを意味しているものとする。
【0055】
なお、入力仕様情報に入力された各種情報については、リニューアル前の電気電子機器収納用箱(サイズ:500×1000×120、
図5参照)の仕様情報と同様のものであるが、リニューアル前の電気電子機器収納用箱が設置された年代よりも技術の進歩により、分岐ブレーカ18のサイズが小さくなっているものとする。つまり、同数の分岐ブレーカ18を収納するものであるが、分岐ブレーカ18のサイズが小さくなっているため、電気電子機器収納用箱1全体のサイズは、リニューアル前より小さくすることができるものとして説明を行う。
【0056】
演算手段により、まず、ベースとなる電気電子機器収納用箱1の演算が行われる。つまり、入力仕様情報と格納仕様情報を用いて箱データを演算する。すると、この例においては、ベースとなる電気電子機器収納用箱1は、AAA10-10の箱データの電気電子機器収納用箱1であると演算により導かれる。
【0057】
次に、AAA10-10の箱データの電気電子機器収納用箱1の電線関連情報を特定する。例えばデータベースに備えられる情報から、AAA10-10の箱データで特定される電気電子機器収納用箱1の筐体11のサイズが500×800×120であること、及び、自立設置であることなどが分かるため、これらの情報を組み合わせることにより、ベースとなる電気電子機器収納用箱1の天面と天井との間の距離は、2500-800=1700mmということが特定できる。なお、実施形態では、特段に指定がない限り床面と天井の距離は2500mmとして演算される。
【0058】
また、ベースとなる電気電子機器収納用箱1の天面から主幹ブレーカ13の距離は100mm、天面から分岐ブレーカ18の距離は300~700mmとなる(
図2参照)。そして、ベースとなる電気電子機器収納用箱1の電線関連情報が、入力された電線情報の条件を満たすか否かを判定する。この例においては、天井から垂直に出線された電線91が、筐体11の挿通孔16を通過し、電気電子機器に接続されるという条件で、判定方法を説明する。
【0059】
判定方法は、天井から筐体11の天面までの長さBと、筐体11の天面から電気電子機器までの長さCとを加算した長さが、電線91の長さA(天井から電線91の端部までの長さ)以下となる場合に、条件を満たすものとする(
図6参照)。
【0060】
この例の場合には、天井から筐体11の天面までの長さBは1700mm、筐体11の天面から主幹ブレーカ13までの長さC’は100mmであるのに対して、主幹ブレーカ13用の電線91の長さA’は1600mmとなるため、B+C’(1800)>A’(1600)となり、条件を満たさない。
【0061】
一方、分岐ブレーカ18については、天井から筐体11の天面までの長さBは1700mm、筐体11の天面から分岐ブレーカ18までの長さC’’は300~700mmであるのに対して、分岐ブレーカ18用の電線91の長さA’’は2100~2500mmとなるため、天井から最も近い分岐ブレーカ18では、B+C’’(2000)<A’’(2100)となり、天井から最も遠い分岐ブレーカ18では、B+C’’(2400)<A’’(2500)となる。それ以外の分岐ブレーカ18については記載を省略するが、条件を満たすものとする。
【0062】
以上より、分岐ブレーカ18の位置と電線91の長さの関係については条件を満たすが、主幹ブレーカ13の位置と電線91の長さの関係については条件を満たさないため、ベースとなる電気電子器収納用箱に対して修正を加える必要があるということとなる。なお、主幹ブレーカ13の位置と電線91の長さとの関係、分岐ブレーカ18の位置と電線91の長さとの関係の両方ともが条件を満たす場合には、ベースとなる電気電子機器収納用箱1に対して修正を加えることなく、ベースとなる電気電子機器収納用箱1が出力手段により出力される。
【0063】
この例から理解されるように、演算手段は、少なくとも入力仕様情報と格納仕様情報を用いて演算し、電気電子機器収納用箱1の電線関連情報を特定可能であるとともに、特定された電線関連情報が入力された電線情報の条件を満たすか否かを判定可能であり、電線関連情報が電線情報の条件を満たす場合には、電気電子機器収納用箱1に対して修正を加えず、電線関連情報が電線情報の条件を満たさない場合には、電気電子機器収納用箱1に対して修正を加えるように制御することが可能な構成とするのが好ましい。
【0064】
なお、電気電子機器収納用箱1の設計支援システムが提案する修正案について以下にいくつか記すが、修正案はこの限りではないことはもちろんのことである。例えば、新たに機器を追加する修正を、電気電子機器収納用箱1の設計支援システムが提案する。
図7に示す例では、電線91に接続する端子台15を新たに追加する修正をするものである。より具体的には、主幹ブレーカ13用の電線91の長さA’に対応するように、天井から1600mmの位置に端子台15を設置し、端子台15に電線91を接続するように修正するものとしている。このようにすれば、端子台15と主幹ブレーカ13を別途、接続することで、主幹ブレーカ13及び分岐ブレーカ18が給電可能となる。
【0065】
この例では、新たに端子台15を追加するため、筐体11のサイズを大きくする必要が生じ、筐体11のサイズは、500×1000×120となり、リニューアル前の電気電子機器収納用箱と同様のサイズとなった。なお、端子台15をベース部材14に搭載するものとした場合、主幹ブレーカ13を搭載するベース部材14に端子台15を搭載してもよいし、主幹ブレーカ13を搭載するベース部材14とは異なるベース部材を別途設け、そのベース部材に端子台15を搭載するようにしてもよい。
【0066】
また、電気電子機器を上方に移動する修正を、電気電子機器収納用箱1の設計支援システムが提案するようにしてもよい。例えば、ベースとなる電気電子機器収納用箱1に収納される電気電子機器を上方に移動させるものである(
図8参照)。
図8に示す例では、主幹ブレーカ13用の電線91の長さA’に対応するように、天井から1600mmの位置に主幹ブレーカ13を含む電気電子機器を移動させ、主幹ブレーカ13に電線91を接続できるように修正したものである。
【0067】
この例では、電気電子機器を移動するため、筐体11のサイズを大きくする必要があり、筐体11のサイズは、500×1000×120となり、リニューアル前の電気電子機器収納用箱と同様のサイズとなった。
【0068】
なお、
図8に示す例では、分岐ブレーカ18についても移動するため、分岐ブレーカ18用の電線91に余長が生じることになるが、余長については、天井の出線用穴93から天井裏に収納するなどの対応も可能であり、問題はない。
【0069】
また、電気電子機器収納用箱1を上方に移動する修正を、電気電子機器収納用箱1の設計支援システムが提案するようにしてもよい。例えば、床面と電気電子機器収納用箱1の間に基台21などを介在させるようにして、ベースとなる電気電子機器収納用箱1を上方に移動させるものである(
図9参照)。
【0070】
主幹ブレーカ13用の電線91の長さA’に対応するように、天井から1600mmの位置に主幹ブレーカ13が位置することができるように、電気電子機器収納用箱1を移動させ、主幹ブレーカ13に電線91を接続できるように修正する。電気電子機器収納用箱1が移動するため、筐体11のサイズを大きくする必要はないが、筐体11の下方に基台21を設けるなど、電気電子機器収納用箱1の設置高さを変更可能とする構成が必要となる。この例では、基台21を含めた全体のサイズはリニューアル前の電気電子機器収納用箱と同様のサイズとなった。
【0071】
なお、
図8に示す例と同様、分岐ブレーカ18用の電線91に余長が生じる可能性があるが、余長については、天井の出線用穴93から天井裏に収納するなどの対応も可能であり問題ないことは、上記したことと同様である。
【0072】
上記した例では、収納する電気電子機器が同様であるが、電気電子機器のサイズが小さくなったことにより、筐体11、電気電子機器収納用箱1のサイズを小さくすることが可能となり得る場合について説明したが、本システムはそのような場合の利用にのみ限定されるものではなく、電気電子機器のサイズが同程度のものや、大きくなるものについても適用できることは言うまでもない。
【0073】
また、上記した例では、説明を簡略化するために電線91が天井から垂直に出線された場合を記載したが、天井に設けた出線用の穴93と筐体11の天面の挿通孔16の位置が前後左右方向にずれている場合においても本システムを適用可能である。この場合には、垂直方向の長さのみでなく、水平方向の長さも加味した判定方法に基づいて条件を満たすか否かを判定すればよい。
【0074】
また、例えば、天井に出線用穴93があり、筐体11の天面を除く側面に挿通孔16がある場合でも同様、垂直方向の長さ及び水平方向の長さを加味した判定方法に基づいて条件を満たすか否かを判定すればよい。出線用穴93が天井にある場合のみでなく、壁に設けられる場合や、床に設けられる場合であっても同様である。
【0075】
なお、天井裏や壁裏、床下を通らず、別の電気電子機器収納用箱100から直接電線91が挿通孔16に挿通される場合(
図10参照)であっても、別の電気電子機器収納用箱100から電線91が出線される孔を出線用穴93と定義することで、同様に判定することができる。
【0076】
例えば、本システムで選定する電気電子機器収納用箱1が、周囲に設置された別の電気電子機器収納用箱100から出線された電線91に接続される場合であって、電線91が地上若しくは床上を配線される場合について説明する。具体的には、分電盤と配電盤の組合せや、分電盤と高圧受電設備であるキュービクルの組合せなどが考えられるがそれらに限定されるものではない。
【0077】
別の電気電子機器収納用箱100に収納されるブレーカに接続された電線91が別の電気電子機器収納用箱100から出線されるが、その際に筐体111若しくは基台121などに設けられた出線用穴93から出線される。出線された電線91は、地上若しくは床上を配線され、本システムで選定する電気電子機器収納用箱1に挿通される。この際、筐体11若しくは基台21に設けられた挿通孔16を介して挿通される。挿通された電線91は、筐体11の内部で主幹ブレーカ13まで配線され接続される。
【0078】
このような場合において、入力される電線情報は、電線91の長さに関するものでは、配線用穴(出線用穴93)から電線91の端部までの長さが例示できる。また、本システムで選定する電気電子機器収納用箱1の設置場所と、別の電気電子機器収納用箱100との距離についても入力できる構成としておくのが好ましい。
【0079】
入力された電線情報と、電線関連情報を用いる判定方法としては、別の電気電子機器収納用箱100に備えられた出線用穴93から本システムで選定する電気電子機器収納用箱1の挿通孔16までの長さBと、挿通孔16から電気電子機器までの長さCとを加算した長さが、電線91の長さA(出線用穴93から電線91端部までの長さ)以下となる場合に、条件を満たすものとする。長さB、Cについては、電線91の3次元上の動きを考慮して測定されることが好ましい。
【0080】
ここまでの例では、電気電子機器収納用箱がリニューアルされる場合について説明したが、電気電子機器収納用箱をリニューアルする場合に限られず、新規で電気電子機器収納用箱を設置する際に、電線91を考慮して選定する場合に適用されるものであってもよい。
【0081】
また、入力される電線情報が、電線91の長さに関するものについて例を示したが、電線91の太さについても考慮して選定されてもよい。つまり、電線91の太さによって、許容される曲げ半径が異なっており、筐体の挿通孔から電気電子機器までの配線ルートに影響を与える。そのため、電線の曲げ半径を考慮して、筐体のサイズや電気電子機器の配置が決められることが好ましい。
【0082】
また、上記した例では、入力仕様情報と格納仕様情報を用いて、ベースとなる電気電子機器収納用箱1を演算により特定した後、電線情報と電線関連情報を用いて、ベースとなる電気電子機器収納用箱1を修正することができるようにした構成の説明を行った。つまり、複数のまとまりに分けて段階的に演算が行われるような構成の説明をしたが、これらは、連続的に実行されるものであってもよいし、段階的な演算するのではなく、入力仕様情報及び電線情報と、格納仕様情報及び電線関連情報を一度に用いるなどして電気電子機器収納用箱1を特定するように演算するものであってもよい。
【0083】
例えば、入力手段により入力が完了(演算開始ボタン等により完了を指示するものであってもよい)した後、出力手段によりベースとなる電気電子機器収納用箱1若しくはベースとなる電気電子機器収納用箱1から修正された電気電子機器収納用箱1が出力されるようにしてもよい。
【0084】
また、入力手段により入力が完了した後、出力手段によりベースとなる電気電子機器収納用箱1が出力され、その後、電線情報と電線関連情報に基づいた判定の結果、条件を満たさない場合には、その旨を出力し、かつ、修正された電気電子機器収納用箱1が出力される構成としてもよい。
【0085】
出力までの手順がどのようなものであるにせよ、演算手段は、入力仕様情報と、電線情報と、格納仕様情報と、電線関連情報を用いて、複数の電気電子機器収納用箱1の箱データを特定するように演算可能であり、出力手段は、演算により導かれた複数の箱データの一部若しくは全部を出力可能である構成とするのが好ましい。
【0086】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、修正についての提案はされないが、入力された情報は部分的に利用しつつ、修正を可能な構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 電気電子機器収納用箱
11 筐体
91 電線