(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042316
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】無線通信システム、基地局制御装置、及び基地局制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20240321BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20240321BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20240321BHJP
H04W 92/12 20090101ALI20240321BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W4/44
H04W84/18
H04W92/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146941
(22)【出願日】2022-09-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、令和4年度における第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発の委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】313005318
【氏名又は名称】パナソニックコネクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 努
(72)【発明者】
【氏名】村松 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067DD27
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】基地局の起動及び停止が適切に制御されることにより、より一層適切な省電力化の制御を可能にする。
【解決手段】道路上を移動可能な移動体としての自動車Vに搭載されたユーザ端末7と、道路沿いに設置されたアクセスポイント4とが無線通信を行う無線通信システムであり、複数のアクセスポイントを制御するエッジサーバ5を備え、エッジサーバは、ユーザ端末が搭載された自動車の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、アクセスポイントの起動を制御すると共に、アクセスポイントに対するユーザ端末の接続状況に基づいて、アクセスポイントの停止を制御する。特に、ユーザ端末が搭載された自動車を検出するセンサ8を備え、エッジサーバは、移動情報としてセンサの検出結果を取得する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
複数の前記基地局を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、
この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、
前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する、無線通信システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末が搭載された移動体を検出するセンサを備え、
前記制御装置は、
前記移動情報として前記センサの検出結果を取得する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記センサは、レーダ、ライダー、及びカメラのいずれかである、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記センサは、
検出範囲が前記基地局の通信エリアを網羅し、
前記制御装置は、
前記センサにより前記ユーザ端末が搭載された移動体が検出されると、その移動体が前記基地局の通信エリアに接近したものとみなして、前記基地局を起動させる、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
移動体としての自動車に搭載された前記ユーザ端末から路車間通信により送信される前記移動情報を受信する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記ユーザ端末からの路車間通信のメッセージを受信したことで、前記ユーザ端末が搭載された移動体が前記基地局の通信エリアに接近したものとみなして、前記基地局を起動させる、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記ユーザ端末からの路車間通信のメッセージを受信したことと、その路車間通信のメッセージに含まれる位置情報とに基づいて、前記ユーザ端末が搭載された移動体の前記基地局の通信エリアへの接近を判定する、請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記移動情報に基づいて、前記基地局の通信エリアに前記ユーザ端末が進入する到達タイミングを予測し、
前記到達タイミングに合わせて前記基地局を起動させる、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記制御装置は、アプリケーション動作時のみ、前記基地局を起動させる、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記基地局は、グループ化されて、同じグループに属する他の基地局とマルチホップ通信を実行し、
前記制御装置は、前記基地局のグループに対応して配置されている、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記制御装置は、
隣り合う制御装置との間で前記移動情報を送受信して、隣り合う前記グループ間で連携して、前記基地局の起動及び停止を制御する、請求項10に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記基地局は、前記制御装置からの停止制御ではスタンバイあるいはサスペンド状態とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項13】
移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の前記基地局を制御する基地局制御装置であって、
前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、
この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、
前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する、基地局制御装置。
【請求項14】
移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の前記基地局を制御する基地局制御方法であって、
複数の前記基地局を制御する制御装置が、
前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、
この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、
前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する、基地局制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と、道路沿いに設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システム、並び複数の基地局を制御する基地局制御装置及び基地局制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルネットワークの分野では、5G(第5世代移動体通信システム)が商用化の段階にある。このような5Gでは、利用される周波数が高く、1つの基地局のサービスエリアが小さくなるため、基地局をより高密度に配置する必要が生じる。そのため、複数の基地局間の無線マルチホップ通信によりバックホール回線のネットワークを構築することが考えられる。
【0003】
このようなマルチホップ通信によりバックホール回線のネットワークを構築する技術として、基地局がグループ化され、同じグループに属する基地局間のマルチホップ通信によって、ユーザ端末の通信に用いられる無線通信経路が構築されると共に、基地局のグループに対応してエッジサーバが配置される技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術によれば、エッジサーバが配置されたネットワークにおいて、エッジサーバとユーザ端末との通信に用いられる無線通信経路が適切に構築される。また、従来の技術では、基地局にトラフィックが発生すると、そのトラフィックに応じて基地局の起動及び停止の制御が行われる。これにより、基地局の通信エリアにユーザ端末が存在しない場合には、その基地局は停止状態に制御されるため、システム全体の省電力化を図ることができる。一方、ユーザ端末が移動体としての自動車に搭載されている場合のように、ユーザ端末が搭載された移動体の実際の位置に基づいて、基地局の起動及び停止が制御されると、より一層適切な省電力化の制御が可能になる。
【0006】
そこで、本開示は、基地局の起動及び停止が適切に制御されることにより、より一層適切な省電力化の制御が可能になる無線通信システム、制御装置、及び基地局制御方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の無線通信システムは、移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、複数の前記基地局を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する構成とする。
【0008】
また、本開示の制御装置は、移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の前記基地局を制御する基地局制御装置であって、前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する構成とする。
【0009】
また、本開示の基地局制御方法は、移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の前記基地局を制御する基地局制御方法であって、複数の前記基地局を制御する制御装置が、前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザ端末に利用される可能性が高い基地局のみを起動状態とすることができるため、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの全体構成図
【
図2】NW制御サーバによるユーザ端末とエッジサーバとの通信経路の制御の一例を示す説明図
【
図3】アクセスポイントの概略構成を示すブロック図
【
図7】無線通信システムにおける通信経路の構築動作の手順を示すシーケンス図
【
図8】無線通信システムにおけるユーザ端末のエッジサーバへの接続動作の手順を示すシーケンス図
【
図9】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
【
図10】エッジサーバで行われる処理の流れを示すフロー図
【
図11】第2実施形態に係るエッジサーバの概略構成を示すブロック図
【
図13】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
【
図14】エッジサーバで行われる処理の流れを示すフロー図
【
図15】第2実施形態の変形例に係る無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
【
図16】第3実施形態に係るエッジサーバの概略構成を示すブロック図
【
図17】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
【
図18】エッジサーバで行われる処理の流れを示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、複数の前記基地局を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する構成とする。
【0013】
これによると、ユーザ端末に利用される可能性が高い基地局のみを起動状態とすることができるため、省電力化を図ることができる。
【0014】
また、第2の発明は、前記ユーザ端末が搭載された移動体を検出するセンサを備え、前記制御装置は、前記移動情報として前記センサの検出結果を取得する構成とする。
【0015】
これによると、制御装置が、精度の高い移動情報を取得することができる。
【0016】
また、第3の発明は、前記センサは、レーダ、ライダー、及びカメラのいずれかである構成とする。
【0017】
これによると、ユーザ端末が搭載された移動体を精度よく検出することができる。
【0018】
また、第4の発明は、前記センサは、検出範囲が前記基地局の通信エリアを網羅し、前記制御装置は、前記センサにより前記ユーザ端末が搭載された移動体が検出されると、その移動体が前記基地局の通信エリアに接近したものとみなして、前記基地局を起動させる構成とする。
【0019】
これによると、基地局の通信エリアにユーザ端末が到達するタイミングを予測することなく、基地局の起動を制御することができる。
【0020】
また、第5の発明は、前記制御装置は、移動体としての自動車に搭載された前記ユーザ端末から路車間通信により送信される前記移動情報を受信する構成とする。
【0021】
これによると、制御装置が、精度の高い移動情報を取得することができる。なお、この他に、マクロセル基地局またはスモールセル基地局による広域通信網を利用してユーザ装置から制御装置に移動情報が送信されてもよい。
【0022】
また、第6の発明は、前記制御装置は、前記ユーザ端末からの路車間通信のメッセージを受信したことで、前記ユーザ端末が搭載された移動体が前記基地局の通信エリアに接近したものとみなして、前記基地局を起動させる構成とする。
【0023】
これによると、適切なタイミングで基地局を起動させることができる。
【0024】
また、第7の発明は、前記制御装置は、前記ユーザ端末からの路車間通信のメッセージを受信したことと、その路車間通信のメッセージに含まれる位置情報とに基づいて、前記ユーザ端末が搭載された移動体の前記基地局の通信エリアへの接近を判定する構成とする。
【0025】
これによると、より一層適切なタイミングで基地局を起動させることができる。
【0026】
また、第8の発明は、前記制御装置は、前記移動情報に基づいて、前記基地局の通信エリアに前記ユーザ端末が進入する到達タイミングを予測し、前記到達タイミングに合わせて前記基地局を起動させる構成とする。
【0027】
これによると、制御装置が、基地局の起動及び停止を効率よく制御することができる。なお、移動情報には、位置情報の他に移動速度や移動方向の情報などが含まれてもよい。
【0028】
また、第9の発明は、前記制御装置は、アプリケーション動作時のみ、前記基地局を起動させる構成とする。
【0029】
これによると、必要な状態で基地局を起動させることができる。
【0030】
また、第10の発明は、前記基地局は、グループ化されて、同じグループに属する他の基地局とマルチホップ通信を実行し、前記制御装置は、前記基地局のグループに対応して配置されている構成とする。
【0031】
これによると、ユーザ端末の通信に用いられる無線通信経路を適切に構築することができる。なお、基地局の起動及び停止は、グループ単位でまとめて制御されてもよいし、基地局ごとに制御されてもよい。
【0032】
また、第11の発明は、前記制御装置は、隣り合う制御装置との間で前記移動情報を送受信して、隣り合う前記グループ間で連携して、前記基地局の起動及び停止を制御する構成とする。
【0033】
これによると、移動体の進路上に位置する基地局の起動及び停止を効率よく制御することができる。
【0034】
また、第12の発明は、前記基地局は、前記制御装置からの停止制御ではスタンバイあるいはサスペンド状態とする構成とする。
【0035】
これによると、基地局は、制御装置による起動指示に応じて、自身を起動状態に切り替えることができる。
【0036】
また、第13の発明は、移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の前記基地局を制御する基地局制御装置であって、前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する構成とする。
【0037】
これによると、第1の発明と同様に、ユーザ端末に利用される可能性が高い基地局のみを起動状態とすることができるため、省電力化を図ることができる。
【0038】
また、第14の発明は、移動体に搭載されたユーザ端末と、前記移動体が移動可能な経路に沿って設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の前記基地局を制御する基地局制御方法であって、複数の前記基地局を制御する制御装置が、前記ユーザ端末が搭載された移動体の移動情報を取得し、この移動情報に基づいて、前記基地局の起動を制御すると共に、前記基地局に対する前記ユーザ端末の接続状況に基づいて、前記基地局の停止を制御する構成とする。
【0039】
これによると、第1の発明と同様に、ユーザ端末に利用される可能性が高い基地局のみを起動状態とすることができるため、省電力化を図ることができる。
【0040】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム1の全体構成図である。
【0042】
無線通信システム1(システム1と略称する。)は、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、アクセスポイント(又は基地局)4、エッジサーバ(制御装置の一例)5、ネットワーク制御サーバ(NW制御サーバ6と略称する。)、及びユーザ端末7を備える。
【0043】
システム1が適用されるネットワークでは、複数のスモールセル基地局3の通信エリアであるスモールセルエリア11が、マクロセル基地局2の通信エリアであるマクロセルエリア12上にそれぞれ重畳される。
【0044】
マクロセル基地局2は、例えばLTE(Long Term Evolution)などのUHF帯(周波数:300M Hz~3GHz)を代表とするより大きなセルを構築しやすい周波数帯を利用して無線通信を行うものである。マクロセル基地局2は、制御信号を伝送するための制御プレーン(CPlane)の基地局となる。また、マクロセル基地局2は、ユーザデータを伝送するためのユーザプレーン(U-Plane)の基地局として使用される場合もある。
【0045】
スモールセル基地局3は、例えば低SHF帯(周波数:3GHz~6GHz)などのマクロセル基地局2よりも高い周波数を利用して無線通信を行うものである。なお、スモールセル基地局3は、高SHF帯(周波数:6GHz~30GHz帯)を利用するものであってもよい。スモールセル基地局3は、ユーザプレーンの基地局として使用される。
【0046】
アクセスポイント4は、例えば、Wi-Fi(登録商標)による比較的小容量の無線通信や、WiGig(登録商標)による比較的大容量の無線LAN通信を行うものである。アクセスポイント4の通信エリア13は、スモールセルエリア11及びマクロセルエリア12の少なくとも一方に重畳される。
【0047】
ただし、アクセスポイント4は、スモールセル基地局3よりも高い周波数帯を利用して無線通信を行うマイクロセル基地局であってもよい。その場合、アクセスポイント4による無線通信は、5GのNR(New Radio)となる高SHF帯またはEHF帯(ここでは、28GHz帯、40GHz帯、及び70GHz帯など)を利用して行うことができる。また、複数のアクセスポイント4には、そのようなマイクロセル基地局と、無線LAN通信を行う基地局とが共に含まれてもよい。アクセスポイント4としてマイクロセル基地局が用いられる場合、通信エリア13は、マイクロセル基地局の通信エリアであるマイクロセルに相当する。
【0048】
システム1では、複数のRAT(無線通信方式)が混在する通信環境、いわゆるヘテロジーニアスネットワークが構成される。マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及び一部のアクセスポイント4は、コアネットワーク15及びインターネット16からなる有線ネットワークに有線接続されている。コアネットワーク15には、LTEのコアネットワークに相当するEPC(Evolved Packet Core)を構成するMME(Mobility Management Entity)、S-GW(Serving Gateway)、及びP-GW(Packet data network Gateway)や5Gのコアネットワークに相当する5GC(5G Core network)を構成するAMF(Access and Mobility Management Function)、及びUPF(User Plane Function)などが含まれる。また、システム1において、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、アクセスポイント4、エッジサーバ5、NW制御サーバ6、及びユーザ端末7の数や配置は適宜変更することが可能である。
【0049】
エッジサーバ5は、移動するユーザ端末7と物理的に近い位置において、ユーザ端末7に提供するサービスとして種々のアプリケーション(プログラム)を実行する。各エッジサーバ5の配置には、特に制限はないが、ここではアクセスポイント4のいずれかに接続される。
【0050】
NW制御サーバ(ネットワーク制御装置)6は、システム1が適用されたネットワークにおけるエッジサーバ5とユーザ端末7との通信に用いられる通信経路を制御する。NW制御サーバ6は、コアネットワーク15に接続される。ただし、NW制御サーバ6は、コアネットワーク15の一部を構成してもよいし、インターネット16に接続されてもよい。
【0051】
ユーザ端末7は、各ユーザ(図示せず)によって携帯されるスマートフォンやタブレット端末などの無線通信機能を有する情報機器である。ユーザ端末7は、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4にそれぞれ無線接続することができる。また、ユーザ端末7は、それらマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4を介してエッジサーバ5と通信することにより、エッジサーバ5のアプリケーションを利用することができる。また、ユーザ端末7は、コアネットワーク15及びインターネット16からなる有線ネットワークを介して任意のサーバ(図示せず)と通信することにより、当該サーバのアプリケーションを利用することもできる。
【0052】
図2は、NW制御サーバ6によるユーザ端末7とエッジサーバ5との通信経路の制御の一例を示す説明図である。
図2(A)は、従来の通信経路(比較例)であり、
図2(B)は、NW制御サーバ6によって構築された通信経路である。
【0053】
図2では、有線ネットワークの接続点18を起点としてツリー状またはメッシュ状に複数のアクセスポイント4が配置されている。各アクセスポイント4は、無線通信によって相互に接続されることにより、バックホールを形成する。なお、
図2では、アクセスポイント4を相互に区別するために符号AP1-AP12が付されている。
【0054】
図2(A)では、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信において、無線品質を基準にアクセスポイントが選択される例が示されている。この場合、ユーザ端末7は、最も高い無線品質を得られる近隣のアクセスポイントAP1を接続先として選択するため、結果として、より多くのアクセスポイントAP1-AP9を介してエッジサーバ5と通信を行う必要が生じる。
図2(A)では、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信経路R1には、各アクセスポイントを有線ネットワークの接続点18に接続するためのバックホールを利用することになる。
【0055】
これに対し、
図2(B)では、エッジサーバ5が接続されたアクセスポイントAP9を含む複数のアクセスポイントAP9-AP12がグループ化される(図中の破線の円を参照)。また、NW制御サーバ6は、それらグループ化されたアクセスポイントAP9-AP12によって無線通信経路R2、R3を形成する。さらに、NW制御サーバ6は無線通信経路R2、R3を優先的に利用するようアクセス回線の接続先優先度を決定しユーザ端末7に提供する。これにより、ユーザ端末7は、アクセスポイントAP10またはAP11を接続先として選択し、無線通信経路R2、R3を利用してエッジサーバ5と通信することが可能となる。
【0056】
図3は、アクセスポイント4の概略構成を示すブロック図である。
【0057】
本実施形態では、アクセスポイント4は道路のわき(路側)や交差点に設置された路側機を構成する。だたし、アクセスポイント4は実質的に路側機を構成すればよく、例えば、既設の路側機及びそれと協働する通信装置から構成されてもよい。
【0058】
アクセスポイント4は、無線通信部21、バックホール通信部22、有線通信部23、記憶部24、及び制御部25を備える。
【0059】
無線通信部21は、ユーザ端末7と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。
【0060】
バックホール通信部22は、周辺のアクセスポイント4と無線通信を行うためのアンテナや回路を備える。これにより、複数のアクセスポイント4によるマルチホップ通信が行われ、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる無線通信経路が形成される。
【0061】
有線通信部23は、コアネットワーク15との有線通信を行うための通信回路を備える。ただし、有線通信部23は、必ずしも全てのアクセスポイント4に設けられる必要はなく、有線ネットワークの近隣のアクセスポイント4に必要に応じて設けられる。
【0062】
記憶部24は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及び他のアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部25を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0063】
制御部25は、無線品質測定部31、位置情報取得部32、経路接続部33、無線制御部34、及び有線制御部35を備える。
【0064】
無線品質測定部31は、他の周辺のアクセスポイント4との無線通信の品質を受信信号強度などの公知の指標に基づき測定する。また、無線品質測定部31は、無線通信の品質の測定結果に基づき無線品質情報を生成する。
【0065】
位置情報取得部32は、自身(アクセスポイント4)の位置情報を取得する。位置情報取得部32は、自装置の位置を適宜測定することにより位置情報を取得するか、記憶部24等に予め記憶された位置情報を用いることができる。
【0066】
経路接続部33は、エッジサーバ5から受信する経路確立指示に基づき、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる通信経路を確立する。経路接続部33は、そのような通信経路の確立にあたり、バックホール通信部22による無線通信を制御することにより、周辺のアクセスポイントとのマルチホップ通信を実現する。
【0067】
無線制御部34は、無線通信部21によるユーザ端末7との無線通信を制御する。
【0068】
有線制御部35は、有線通信部23による通信を制御する。また、有線制御部35は、有線ネットワークにおける通信制御装置や、周辺にあるマクロセル基地局2やスモールセル基地局3との有線通信により、ユーザ端末7の接続先などに関する情報を交換することができる。
【0069】
なお、上述の制御部25における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0070】
図4は、エッジサーバ5の概略構成を示すブロック図である。
【0071】
エッジサーバ5は、通信部41、記憶部42、及び制御部43を備える。
【0072】
通信部41は、自装置が接続されたアクセスポイント4と通信を行うための通信回路を備える。
【0073】
記憶部42は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部43を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0074】
制御部43は、経路確立指示部45、トラフィック情報収集部46、アクセスポイント動作指示部47、通信制御部48、アプリケーション部49、及び移動体検知部50を備える。
【0075】
経路確立指示部45は、NW制御サーバ6から受信する情報に基づき、アクセスポイント4に通信経路を確立させるための経路確立指示を送信する。
【0076】
トラフィック情報収集部46は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に関し、無線通信経路を形成する各アクセスポイント4間のトラフィックの情報を収集する。なお、トラフィック情報収集部46は、適宜省略されてもよい。
【0077】
アクセスポイント動作指示部47は、NW制御サーバ6から受信する情報に基づき、アクセスポイント4に対して動作指示を送信する。そのような動作指示には、アクセスポイント4に対する起動または停止の指示が含まれる。なお、アクセスポイント動作指示部47は、適宜省略されてもよい。
【0078】
通信制御部48は、通信部41による通信を制御する。また、通信制御部48は、周辺のアクセスポイント4やユーザ端末7と必要な情報を交換する。
【0079】
アプリケーション部49は、ユーザ端末7へのサービス内容に応じて種々のアプリケーションを実行する。アプリケーションによる処理には、例えば、スマート工場に設置されたセンサの出力(検出結果)の格納または提供や、交差点などの交通映像その他の検出情報の格納または提供などが含まれる。
【0080】
移動体検知部50は、センサ8の検出結果に基づいて、エッジサーバ5の管理エリア、すなわち、エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4に、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車が接近したことを検知する。
【0081】
ここで、センサ8は、レーダ、カメラ、ライダーなどである。センサ8は、エッジサーバ5に接続され、センサ8の検出結果をエッジサーバ5が取得することができる。センサ8は、ユーザ端末7が搭載された自動車が走行する道路沿いに設置され、ユーザ端末7が搭載された自動車を検出する。
【0082】
なお、上述の制御部43における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0083】
図5は、NW制御サーバ6の概略構成を示すブロック図である。
【0084】
NW制御サーバ6は、通信部51、記憶部52、及び制御部53を備える。
【0085】
通信部51は、コアネットワーク15を介してエッジサーバ5やユーザ端末7と通信を行うための通信回路を備える。
【0086】
記憶部52は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部53を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0087】
制御部53は、情報収集部61、グループ化部62、経路設定部63、トラフィック分析部64、接続先優先度設定部65、サービスエリア設定部66、エッジサーバ動作制御部67、アクセスポイント動作制御部68、及び通信制御部69を備える。
【0088】
情報収集部61は、各アクセスポイント4から周辺機器情報を収集する。この周辺機器情報には、各アクセスポイント4間の無線通信の品質に関する無線品質情報、各アクセスポイント4の位置情報、及び各アクセスポイント4に接続されたエッジサーバ5の有無に関するエッジサーバ情報が含まれる。
【0089】
グループ化部62は、収集された周辺機器情報に基づき、管理下にある複数のアクセスポイント4から、特定のエリアでネットワークを構成するアクセスポイント4を抽出し、それらをグループ化する。これにより、少なくとも1組以上のアクセスポイント4のグループが生成される。「特定のエリア」には、例えば、スマート工場内や、交差点を含む所定領域などが含まれる。なお、アクセスポイント4のグループの少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。また、グループ化部62は、後述するトラフィック分析部64によるトラフィックの分析結果に基づき、既存のアクセスポイント4のグループを再構成することができる。なお、本実施形態では、各アクセスポイント4は、それぞれ対応する路側機を構成し得る。
【0090】
経路設定部63は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる1以上の無線通信経路を設定する。そのような無線通信経路は、グループ化されたアクセスポイント4のマルチホップ通信によって形成される。なお、そのような無線通信経路の少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。
【0091】
トラフィック分析部64は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられた無線通信経路におけるトラフィック情報をエッジサーバ5から順次取得する。それらの取得されたトラフィック情報は記憶部52に蓄積される。また、トラフィック分析部64は、蓄積されたトラフィック情報に基づき、例えば経路設定部63によって設定された無線通信経路のトラフィックの分布を予測するなどのトラフィックの分析を行う。トラフィック分析部64は、対象のグループに含まれないグループ外のアクセスポイント4を用いる迂回経路の検出を行うこともできる。
【0092】
接続先優先度設定部65は、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて、ユーザ端末7の接続先の候補の優先度を設定する。また、接続先優先度設定部65は、設定した接続先の候補の優先度に基づき接続先優先度情報を生成する。ユーザ端末7の接続先の候補は、通常はアクセスポイント4のいずれかであるが、必要に応じてマクロセル基地局2やスモールセル基地局3が接続先の候補となり得る。また、接続先優先度情報には、接続先の候補の優先順位が含まれる。これに限らず、接続先優先度情報には、例えば、接続先の候補の優先順位を決定するための基準(ルール)に関する情報が含まれてもよい。
【0093】
サービスエリア設定部66は、各アクセスポイント4からの周辺機器情報に基づき、それらのサービスエリア(通信エリアの範囲)を設定する。そのようなサービスエリアは、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて設定される。また、サービスエリア設定部66は、設定したサービスエリアの範囲に関するサービスエリア情報を生成する。なお、サービスエリア情報の少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。
【0094】
エッジサーバ動作制御部67は、エッジサーバ5におけるアプリケーションの起動などを含めエッジサーバ5の動作を制御する。
【0095】
アクセスポイント動作制御部68は、アクセスポイント4の起動及び停止を含めアクセスポイント4の動作を制御する。
【0096】
通信制御部69は、通信部51による通信を制御する。また、通信制御部69は、周辺のアクセスポイント4、エッジサーバ5、及びユーザ端末7と必要な情報を交換することができる。
【0097】
なお、上述の制御部53における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0098】
図6は、ユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。
【0099】
本実施形態では、ユーザ端末7は、移動体(ここでは、自動車)に搭載される端末装置である。ユーザ端末7は、例えば、自動車に設けられた車載器によって構成され得る。また、ユーザ端末7は、自動車のユーザ(運転者や乗員)によって携帯されるスマートフォン等の携帯型のコンピュータであってもよい。
【0100】
ユーザ端末7は、無線通信部71、記憶部72、位置情報取得部73、及び制御部74を備える。
【0101】
無線通信部71は、アクセスポイント4と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。また、無線通信部71は、マクロセル基地局2やスモールセル基地局3との無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。
【0102】
記憶部72は、自装置に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部74を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0103】
位置情報取得部73は、GPS(Global Positioning System)や、ビーコン発信器を用いたシステムなどの公知の測位システムにより、自装置の位置情報を取得する。
【0104】
制御部74は、接続先選択部81、アプリケーション部82、及び無線制御部83を備える。
【0105】
接続先選択部81は、NW制御サーバ6から受信するグループ化情報、接続先優先度情報、及びサービスエリア情報に基づき、アクセスポイント4等の接続先を選択する。これにより、ユーザ端末7は、その選択された接続先及びそれを含む無線通信経路を介してエッジサーバ5と通信可能である。
【0106】
アプリケーション部82は、ユーザ端末7で実行されるアプリケーションの内容に応じた処理を実行し、無線通信部71を介してエッジサーバ5との間でアプリケーションデータを送受信する。
【0107】
無線制御部83は、無線通信部71によるアクセスポイント4との無線通信や、マクロセル基地局2及びスモールセル基地局3との無線通信を制御する。
【0108】
なお、上述の制御部74における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0109】
図7は、システム1における通信経路の構築動作の手順を示すシーケンス図である。
【0110】
システム1では、各アクセスポイント4が、自装置の周辺の他のアクセスポイント4との無線品質を測定することにより、無線品質情報を取得する。また、各アクセスポイント4は、自装置の位置情報を取得する。これにより得られた無線品質情報及び位置情報は、自装置に接続されたエッジサーバ5の有無に関するエッジサーバ情報と共に周辺機器情報としてNW制御サーバ6に送信される。
【0111】
その後、NW制御サーバ6は、周辺機器情報に基づき、アクセスポイント4のグループ化を行う。このグループ化は、特定のエリアにおいて想定されるサービス提供エリアに応じて行われる。
【0112】
続いて、NW制御サーバ6は、グループ化されたアクセスポイント4に関し、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる1以上の無線通信経路を構築する。このとき、NW制御サーバ6は、構築された無線通信経路を構成する複数の接続先の候補に対する優先度を設定することができる。その優先度は、例えば、電力効率やホップ数などを含むQoS(Quality of Service)に基づき設定される。
【0113】
グループ化されたアクセスポイント4に関するグループ情報、及び経路設定部63によって設定された1以上の無線通信経路に関する経路情報は、通信経路の確立に用いられる経路確立用情報としてエッジサーバ5に送信される。
【0114】
エッジサーバ5は、NW制御サーバ6からのグループ情報及び経路情報に基づき、アクセスポイント4に対して経路確立指示を送信する。
【0115】
各アクセスポイント4は、エッジサーバ5からの経路確立指示を受信すると、周辺の他のアクセスポイント4と無線接続を行うことにより、エッジサーバ5との間の通信経路を確立する。
【0116】
なお、NW制御サーバ6は、上述のエッジサーバ5に対する経路確立用情報(グループ情報及び経路情報を含む)の送信を省略し、同様の経路確立用情報をユーザ端末7に対して送信してもよい。そのようなユーザ端末に対する経路確立用情報の送信は、例えば、システム1において、エッジサーバ5の位置や、各アクセスポイント4間の無線通信経路の少なくとも一部が事前に決定(または固定)されている場合に有効である。同様に、例えば、システム1において、各アクセスポイント4間の無線通信経路を変更する余地が殆どない場合(例えば、各アクセスポイント4間の無線品質に基づき、おのずと無線通信経路が定まる場合)などにも有効である。
【0117】
図8は、システム1におけるユーザ端末7のエッジサーバ5への接続動作の手順を示すシーケンス図である。
【0118】
ユーザ端末7がエッジサーバ5と通信する場合、NW制御サーバ6が、グループ情報、接続先優先度情報、及びサービスエリア情報を、マクロセル基地局2またはスモールセル基地局3を介してユーザ端末7に対して送信する。
【0119】
ユーザ端末7は、グループ情報、接続先優先度情報、及びサービスエリア情報を受信すると、周辺のアクセスポイント4との無線品質を測定することにより無線品質情報を取得し、さらに自装置の位置を測定することにより位置情報を取得する。
【0120】
続いて、ユーザ端末7は、無線品質が一定値以上で通信可能な1以上のアクセスポイント4を抽出し、抽出したアクセスポイント4のサービスエリア内に自装置がある場合には、接続先優先度情報に基づき1つのアクセスポイント4を接続先として選択する。このとき、ユーザ端末7は、1つのアクセスポイント4のみを抽出した場合には、そのサービスエリア内に自装置があると、接続先優先度情報に拘わらず当該アクセスポイント4を選択する。なお、ユーザ端末7によるアクセスポイント4の抽出は、所定の周期で定期的に実行される。
【0121】
その後、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4に接続し、当該アクセスポイント4を含む通信経路を介してエッジサーバ5との通信を開始する。この通信経路には、
図7に示した動作によって構築された無線通信経路が用いられる。この場合、利用可能な無線通信経路が複数存在する場合には、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて1つの無線通信経路が選択される。
【0122】
図9は、システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0123】
センサ8は、レーダ、カメラなどである。センサ8は、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vが走行する道路沿いに設置され、ユーザ端末7が搭載された自動車Vを検出する。センサ8はエッジサーバ5に接続され、エッジサーバ5がセンサ8の検出結果を取得することができる。なお、センサ8は、移動体としての自動車Vの検出が容易になるように、信号機の近傍などの見通しが良好な位置に設置されてもよい。
【0124】
エッジサーバ5は、センサ8の検出結果に基づいて、自身が管理するアクセスポイント4の起動を制御する。具体的には、エッジサーバ5では、センサ8により自動車Vが検出されたタイミングで、自身が管理するアクセスポイント4を起動させる制御が行われる。また、エッジサーバ5は、アプリケーション動作時のみ、アクセスポイント4を起動させる。
【0125】
ここで、本実施形態では、センサ8の検出範囲がアクセスポイント4の通信エリアを網羅し、センサ8により自動車Vが検出されたことで、アクセスポイント4の通信エリアに自動車Vが接近したものと判定される。なお、アクセスポイント4の通信エリアに自動車Vが接近するとは、具体的には、アクセスポイント4の通信エリアに自動車Vが進入した状態、またはアクセスポイント4の通信エリアに自動車Vが進入する直前の状態である。また、センサ8の検出範囲がアクセスポイント4の通信エリアを網羅するとは、センサ8の検出範囲がアクセスポイント4の通信エリアより大きく、センサ8の検出範囲がアクセスポイント4の通信エリアの全体を含む状態を表す。また、1つのセンサ8が複数のアクセスポイント4の通信エリアを担当する場合には、センサ8の検出範囲が複数のアクセスポイント4の通信エリアの全てを含む状態となる。
【0126】
また、エッジサーバ5は、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続状況に基づいて、自身が管理するアクセスポイント4の停止を制御する。具体的には、エッジサーバ5では、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断される、すなわち、アクセスポイント4の通信エリア内にユーザ端末7が存在しない状態になったタイミングで、アクセスポイント4を停止させる制御が行われる。
【0127】
これにより、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vが通信エリア内に存在しない場合にはアクセスポイント4が停止状態となり、ユーザ端末7が搭載された自動車Vが通信エリア内に存在する場合にだけアクセスポイント4が起動状態となる。
【0128】
また、上り車線と下り車線とで別々にエッジサーバ5が設置され、道路沿いに設置されたアクセスポイント4が上り車線と下り車線とで別のグループに属する場合には、移動体としての自動車Vが走行する車線に位置するアクセスポイント4が起動され、自動車Vが走行していない車線に位置するアクセスポイント4は停止状態のままとなる。
【0129】
なお、アクセスポイント4は、自身の起動及び停止がエッジサーバ5により制御されるため、アクセスポイント4の停止状態は、エッジサーバ5と通信する機能、及びアクセスポイント4同士で通信する機能が動作する、いわゆるスタンバイやサスペンドの状態となる。これにより、アクセスポイント4は、エッジサーバ5からの起動指示及び停止指示を受信して、自身の起動状態と停止状態(待機状態)とを切り替えることができる。
【0130】
ところで、夜間において、センサ8としてのカメラが、自動車Vに設けられたライトが発する光を検出することで、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された自動車Vが、アクセスポイント4に接近したものと判定されて、アクセスポイント4を起動させる制御が行われてもよい。また、センサ8としてのマイクが、自動車Vが発する騒音(走行音やエンジン音)を検出することで、アクセスポイント4に接近したものと判定されて、アクセスポイント4を起動させる制御が行われてもよい。
【0131】
図10は、エッジサーバ5で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0132】
エッジサーバ5は、センサ8の検出結果を取得する(ST101)。次に、エッジサーバ5は、センサ8の検出結果に基づいて、エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアに、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車が接近したことを検知すると(ST102でYes)、アクセスポイント4を起動させるための起動指示をアクセスポイント4に送信する(ST103)。
【0133】
次に、エッジサーバ5は、ユーザ端末7の接続状況の報告をアクセスポイント4から受信して(ST104)、その報告に基づいて、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断されたか否か、すなわち、アクセスポイント4の通信エリア内のユーザ端末7がいないか否かを判定する(ST105)。ここで、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断された場合には(ST105でYes)、アクセスポイント4を停止させるための停止指示をアクセスポイント4に送信する(ST106)。
【0134】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係るエッジサーバ5の概略構成を示すブロック図である。
図11では、
図4に示した第1実施形態に係るエッジサーバ5と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。第2実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0135】
図11に示すように、第2実施形態に係るエッジサーバ5は、V2I通信部91を備えている。V2I通信部91は、周辺に存在するユーザ端末7との間でITS通信の一種であるV2I(Vehicle-to-roadside-Infrastructure)通信(路車間通信)を行う。ITS通信は、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)を利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯(例えば700MHz帯や5.8GHz帯)を利用した無線通信である。ここでは、エッジサーバ5が路側機として機能し、ユーザ端末7が車載端末として機能する。
【0136】
図12は、第2実施形態に係るユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。
図12では、
図6に示した第1実施形態に係るユーザ端末7と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。第2実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0137】
図12に示すように、第2実施形態に係るユーザ端末7は、V2I通信部75を備えている。V2I通信部75は、周辺に存在するエッジサーバ5との間でV2I通信(路車間通信)を行う。V2I通信では、移動体の移動情報、すなわち、移動体としての自動車に搭載されたユーザ端末7の移動情報(位置、速度、向きなどの情報)がユーザ端末7からエッジサーバ5に送信される。
【0138】
なお、アクセスポイント4、及びNW制御サーバ6の構成は第1実施形態(
図3,
図5参照)と同様である。
【0139】
図13は、第2実施形態に係る無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0140】
本実施形態では、移動体としての自動車Vに搭載されたユーザ端末7とエッジサーバ5とがV2I通信(路車間通信)を行う。ユーザ端末7では、V2I通信のメッセージがブロードキャストで送信され、エッジサーバ5が、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージを受信する。
【0141】
エッジサーバ5は、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージの受信に基づいて、自身が管理するアクセスポイント4の起動を制御する。具体的には、エッジサーバ5では、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージが受信されたタイミングで、自身が管理するアクセスポイント4を起動させる制御が行われる。
【0142】
ここで、本実施形態では、V2I通信の通信圏がアクセスポイント4の通信エリアを網羅し、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージがエッジサーバ5で受信されたこと、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vがアクセスポイント4のV2I通信の通信圏内に入ることで、自動車Vがアクセスポイント4の通信エリアに接近したものと判定される。また、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージに含まれる移動情報(位置情報)に基づいて、自動車Vのアクセスポイント4の通信エリアへの接近が判定されてもよい。さらに、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージがエッジサーバ5で受信されたことと、V2I通信のメッセージに含まれる移動情報(位置情報)との両方に基づいて、自動車Vのアクセスポイント4の通信エリアへの接近が判定されてもよい。
【0143】
なお、ユーザ端末7から送信されるV2I通信のメッセージは、ITS通信で用いられる一般的なメッセージでよい。このメッセージには、ユーザ端末7(ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車V)の移動情報として、ユーザ端末7の位置情報や端末情報などが含まれる。
【0144】
また、本実施形態では、前記の実施形態と同様に、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断される、すなわち、アクセスポイント4の通信エリア内にユーザ端末7が存在しない状態になったタイミングで、アクセスポイント4を停止させる制御が行われる。また、ユーザ端末7からのV2I通信のメッセージに含まれる位置情報に基づいて、自動車Vがアクセスポイント4の通信エリアから遠ざかったことの判定が行われて、その判定結果に基づいてアクセスポイント4の停止制御が行われてもよい。また、ユーザ端末7の接続状況とユーザ端末7の位置情報との両方に基づいて、アクセスポイント4の停止制御が行われてもよい。
【0145】
図14は、エッジサーバ5で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0146】
エッジサーバ5は、ユーザ端末7からV2I通信で送信されるユーザ端末7の移動情報を受信する(ST201)。次に、エッジサーバ5は、ユーザ端末7の移動情報に基づいて、エッジサーバ5の管理エリア、すなわち、エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアにユーザ端末7が接近したことを検知すると(ST202でYes)、起動指示をアクセスポイント4に送信する(ST203)。
【0147】
次に、エッジサーバ5は、ユーザ端末7の接続状況の報告をアクセスポイント4から受信して(ST204)、その報告に基づいて、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断されたか否かを判定する(ST205)。ここで、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断された場合には(ST205でYes)、停止指示をアクセスポイント4に送信する(ST206)。
【0148】
(第2実施形態の変形例)
図15は、第2実施形態の変形例に係る無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0149】
本変形例では、ユーザ端末7の移動情報、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vの移動情報が、マクロセル基地局2またはスモールセル基地局3による広域通信網を利用して、ユーザ端末7からエッジサーバ5に送信される。
【0150】
エッジサーバ5では、ユーザ端末7の移動情報に基づいて、アクセスポイント4の起動及び停止が制御され、起動指示または停止指示がアクセスポイント4に送信される。具体的には、エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアにユーザ端末7が接近したタイミングでアクセスポイント4が起動され、アクセスポイント4の通信エリア外にユーザ端末7が移動してアクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が切断されたタイミングでアクセスポイント4が停止される。
【0151】
ここで、本変形例では、エッジサーバ5が、ユーザ端末7の移動情報に基づいて、エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアにユーザ端末7が到着するタイミング(到着予測時刻)を推定し、そのタイミングでアクセスポイント4を起動させればよい。なお、移動情報には、位置情報の他に、移動速度及び移動方向に関する情報が含まれてもよく、エッジサーバ5では、ユーザ端末7の位置の変化状況や、移動速度及び移動方向に基づいて、到着予測時刻を推定することができる。
【0152】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係るエッジサーバ5の概略構成を示すブロック図である。
図16では、
図4に示した第1実施形態に係るエッジサーバ5と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。第3実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0153】
図16に示すように、第3実施形態に係るエッジサーバ5は、エッジ間通信部92を備えている。エッジ間通信部92は、周辺のエッジサーバ5と通信を行う。本実施形態では、隣り合うエッジサーバ5間で、ユーザ端末7の移動情報、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車の移動情報が送受信される。
【0154】
なお、アクセスポイント4、NW制御サーバ6、及びユーザ端末7の構成は第1実施形態(
図3,
図5,
図6参照)と同様である。
【0155】
図17は、第3実施形態に係る無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0156】
本実施形態では、隣り合うエッジサーバ5間で、ユーザ端末7の移動情報、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vの移動情報が送受信される。
【0157】
移動情報は、対象とするユーザ端末7が、隣のエッジサーバ5の管理エリア、すなわち、そのエッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアに到達する時刻(到達予測時刻)であってもよい。また、移動情報は、位置、速度及び方向などの情報であってもよい。この場合、移動情報を受信したエッジサーバ5において、位置、速度及び方向などの情報に基づいて、到達予測時刻を算出することができる。
【0158】
なお、各エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアに対象とするユーザ端末7が到着する時刻を予測する処理は、エッジサーバ5とは別の管理サーバで行われてもよい。
【0159】
各エッジサーバ5では、自身が管理するアクセスポイント4の通信エリアにユーザ端末7が進入するタイミング(到達予測時刻)で、アクセスポイント4に対して起動を指示する。これにより、ユーザ端末7がアクセスポイント4の通信エリア内に進入するのに伴って、アクセスポイント4が順次起動される。
【0160】
一方、アクセスポイント4の停止制御は、前記の実施形態と同様である。すなわち、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断される、すなわち、アクセスポイント4の通信エリア内にユーザ端末7が存在しない状態になると、エッジサーバ5はアクセスポイント4に停止を指示する。これにより、ユーザ端末7がアクセスポイント4の通信エリア外に移動するのに伴って、アクセスポイント4が順次停止される。
【0161】
また、本実施形態では、一部のエッジサーバ5において、第1実施形態と同様に、センサ8を利用して、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vの接近が検知されることで、ユーザ端末7の移動情報、すなわち、ユーザ端末7が搭載された自動車Vの移動情報が取得される。
【0162】
なお、第2実施形態(
図13参照)と同様に、V2I通信を利用してユーザ端末7の移動情報がエッジサーバ5で受信されたり、あるいは、第2実施形態の変形例(
図15参照)と同様に、マクロセル基地局2またはスモールセル基地局3による広域通信網を利用してユーザ端末7の移動情報がエッジサーバ5で受信されたりしてもよい。
【0163】
また、エッジサーバ5では、ユーザ端末7の移動情報に基づいて、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車Vの進路を予測する処理が行われてもよい。この場合、自動車Vの進路上に通信エリアを有するアクセスポイント4を管理するエッジサーバ5にのみ、ユーザ端末7の移動情報が送信される。これにより、自動車の進路上に通信エリアを有するアクセスポイント4のみを起動させることができる。
【0164】
図18は、エッジサーバ5で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0165】
エッジサーバ5は、センサ8の検出結果を取得する(ST301)。次に、エッジサーバ5は、センサ8の検出結果に基づいて、エッジサーバ5が管理するアクセスポイント4の通信エリアに、ユーザ端末7、すなわち、ユーザ端末7が搭載された移動体としての自動車が接近したことを検知すると(ST302でYes)、起動指示をアクセスポイント4に送信する(ST304)。
【0166】
また、ユーザ端末7の接近を検知できない場合でも(ST302でNo)、ユーザ端末7の移動情報を隣のエッジサーバ5から受信した場合には(ST303でYes)、起動指示をアクセスポイント4に送信する(ST304)。また、エッジサーバ5は、ユーザ端末7の移動情報を隣のエッジサーバ5に送信する(ST305)。
【0167】
次に、エッジサーバ5は、ユーザ端末7の接続状況の報告をアクセスポイント4から受信して(ST306)、その報告に基づいて、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断されたか否かを判定する(ST307)。ここで、アクセスポイント4に対するユーザ端末7の接続が全て切断された場合には(ST307でYes)、停止指示をアクセスポイント4に送信する(ST308)。
【0168】
なお、移動体としての自動車に搭載されたユーザ端末7とアクセスポイント4との通信が、他の移動体(自動車など)により遮蔽される場合がある。この場合、アクセスポイント4によるマルチホップ通信と、マクロセル基地局2やスモールセル基地局3による広域通信との切り替えが行われる。
【0169】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0170】
例えば、無線通信システム1において、ユーザ端末7が搭載される移動体は、自動車に限定されず、自転車等のその他の車両であってもよく、また、歩行者などの車両以外の移動体であってよい。
【0171】
また、前記の実施形態では、ユーザ端末7が搭載される移動体が道路上を移動するが、これはあくまで一例であり、ユーザ端末7が搭載される移動体は道路上を移動するものに限定されない。ユーザ端末7が搭載される移動体は、所定の経路に沿って移動するものであればよく、例えば、線路上を移動する列車や、飛行ルートの決められた飛翔体(ドローンなど)などであってもよい。また、アクセスポイント4は、移動体が移動可能な経路に沿って設置される。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本開示に係る無線通信システム、基地局制御装置、及び基地局制御方法は、基地局の起動及び停止が適切に制御されることにより、より一層適切な省電力化の制御が可能になる効果を有し、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と、道路沿いに設置された基地局とが無線通信を行う無線通信システム、並び複数の基地局を制御する基地局制御装置及び基地局制御方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0173】
1 :無線通信システム
2 :マクロセル基地局
3 :スモールセル基地局
4 :アクセスポイント
5 :エッジサーバ(制御装置)
6 :NW制御サーバ
7 :ユーザ端末
8 :センサ
11:スモールセルエリア
12:マクロセルエリア
13:通信エリア
15:コアネットワーク
16:インターネット
18:接続点
21:無線通信部
22:バックホール通信部
23:有線通信部
24:記憶部
25:制御部
31:無線品質測定部
32:位置情報取得部
33:経路接続部
34:無線制御部
35:有線制御部
41:通信部
42:記憶部
43:制御部
45:経路確立指示部
46:トラフィック情報収集部
47:アクセスポイント動作指示部
48:通信制御部
49:アプリケーション部
50:移動体検知部
51:通信部
52:記憶部
53:制御部
61:情報収集部
62:グループ化部
63:経路設定部
64:トラフィック分析部
65:接続先優先度設定部
66:サービスエリア設定部
67:エッジサーバ動作制御部
68:アクセスポイント動作制御部
69:通信制御部
71:無線通信部
72:記憶部
73:位置情報取得部
74:制御部
75:V2I通信部
81:接続先選択部
82:アプリケーション部
83:無線制御部
91:V2I通信部
92:エッジ間通信部
V:自動車