IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ 株式会社IHI物流産業システムの特許一覧

特開2024-42353パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置
<>
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図1
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図2
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図3
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図4
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図5
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図6
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図7
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図8
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図9
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図10
  • 特開-パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042353
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240321BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G57/03 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147015
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】516065135
【氏名又は名称】株式会社IHI物流産業システム
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小熊 祐司
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】倉田 優志
【テーマコード(参考)】
3F029
5L049
【Fターム(参考)】
3F029AA01
3F029BA01
3F029DA01
3F029DA21
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】所定の入力データから、所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置で用いるパラメータを、好適な出力データが得られるように生成する、パラメータ生成装置を提供する。
【解決手段】パラメータ生成装置200は、情報処理装置としての積付位置計画装置100で用いるパラメータを生成する。積付位置計画装置100は、所定のパラメータを用いて、積付対象の物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、容器内における物体の積付位置を示した積付位置計画情報を生成する。パラメータ生成装置200は、環境条件ごとに設定された積付対象の物体の形状情報および個数の情報に関し、積付位置計画装置100で生成される積付位置計画情報に対する評価が最も高くなるようにパラメータを生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の入力データから、所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置で用いるパラメータを生成するパラメータ生成装置であって、
環境条件ごとに設定された入力データに関し、前記情報処理装置で出力される出力データに対する評価が最も高くなるように、前記情報処理装置で用いる第1パラメータを生成するパラメータ生成部、を備えたパラメータ生成装置。
【請求項2】
前記環境条件ごとに設定された入力データに関する仮パラメータを生成する仮パラメータ生成部をさらに備え、
前記パラメータ生成部は、環境条件ごとに設定された入力データに関し、前記仮パラメータ生成部で生成された仮パラメータに基づいて仮出力データが出力される処理が繰り返されることで得られる複数の仮出力データを用いて、前記第1パラメータを生成する請求項1に記載のパラメータ生成装置。
【請求項3】
前記環境条件ごとに設定される入力データは複数であり、
前記パラメータ生成部は、複数の前記入力データに関して出力された複数の出力データそれぞれの評価指標の平均値、標準偏差、分散、最小値、および最大値の少なくともいずれか1つに基づいて前記第1パラメータを算出する、請求項1に記載のパラメータ生成装置。
【請求項4】
前記仮パラメータ生成部は、前記複数の仮出力データを用いて前記第1パラメータが生成された後、特定の入力データが入力されると、生成された前記第1パラメータに基づいて複数の仮パラメータを生成し、
前記パラメータ生成部は、前記特定の入力データに関し、前記情報処理装置で出力される出力データに対する評価が最も高くなるように、前記情報処理装置で用いる第2パラメータを生成する、請求項2に記載のパラメータ生成装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、積付対象の物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を生成する積付位置計画装置であり、
前記入力データは、前記物体の形状情報および個数の情報を含み、
前記出力データは、前記積付位置計画情報内のアイテム情報に対応する物体の前記容器内における位置情報である、請求項1に記載のパラメータ生成装置。
【請求項6】
前記環境条件は、季節、曜日、時間帯、仕向先、積付対象の物体の種類数、および前記物体の種類ごとの個数の少なくともいずれか1つの条件に基づいて設定される、請求項5に記載のパラメータ生成装置。
【請求項7】
前記出力データに対する評価指標は、積付位置計画情報の容器数、および積載率の少なくともいずれかに基づいて算出される、請求項5に記載のパラメータ生成装置。
【請求項8】
請求項1~7いずれか1項に記載のパラメータ生成装置で生成された環境条件ごとのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、
前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータの中から、現在の環境条件に対応するパラメータを選択し、選択したパラメータを用いて、所定の入力データから出力データを生成する出力データ生成部と、を備えた情報処理装置。
【請求項9】
請求項1~7いずれか1項に記載のパラメータ生成装置で生成された環境条件ごとのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、
前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータの中から現在の環境条件に対応するパラメータを選択し、選択したパラメータを用いて、積付対象の物体に対応するアイテム情報を積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置を決定する積付位置決定部とを、を備えた積付位置計画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムにおいては、パレット等の容器に複数個の荷物を積み付けて移動させることで、効率良く荷物の搬送を行っている。その際、パレットに対して単一種類の荷物を積み付ける単載を行うとは限らず、複数種類の荷物を積み付ける複載を行う場合もある。単載の場合は、予め好適な荷物の積付パターンを決めておくことで、複数のパレットに対してこの積付パターンで効率良く積付作業を行うことができる。しかし混載の場合は、荷物の種類や数によって好適な積付パターンが異なるため、パレットごとに荷物の積付位置計画を行う必要がある。
【0003】
混載の積み付け作業は、主に作業員が荷物の種類や数を認識して試行錯誤することで行っているため、積付位置計画の優劣や作業時間が作業者によって異なる、試行錯誤を伴う作業を行うことで荷物が劣化したり破損したりする恐れがある、などの問題点がある。
【0004】
これに鑑み、パレットに対する荷物の積付位置計画を自動算出する技術が開示されている。この技術では、積み付け対象の荷物の種類に基づいて、パレットに複数種類の荷物を混載するための各荷物の積付位置を算出する。この技術を用いることで、パレットに複数種類の荷物を混載する場合に、効率良く積み付け作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4313491号公報
【特許文献2】特開2020-196117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように積付位置計画を自動算出する際に用いるアルゴリズムには、複数のパラメータが含まれている。例えば特許文献1では、パレットに積み付ける荷物の荷姿に関する評価関数のパラメータとして「同一荷姿をパレット上に固める」、「同一荷姿を棒積みする」等の項目が例示されており、それぞれに対して適切なパラメータを設定することが要求されている。また特許文献2では、オブジェクトを動的にパッキングするシステムにおいて、ロボットが予め設定されたパラメータに従って積付位置計画を算出している。
【0007】
これらのパラメータは積付位置計画の算出結果に影響を及ぼすため、評価指標の高い積付位置計画、つまり積み付けの効率が良い積付位置計画を自動算出するためには、これらの各パラメータの値を適宜調整する必要がある。しかし、積付位置計画を算出するアルゴリズムは複雑であるため、各パラメータと積付位置計画の算出結果との関係も単純な数式等で表すことができず、評価指標の高い積付位置計画を算出するためのパラメータの設定が困難であるという問題があった。
【0008】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の入力データから、所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置で用いるパラメータを、好適な出力データが得られるように生成する、パラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るパラメータ生成装置は、所定の入力データから、所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置で用いるパラメータを生成するパラメータ生成装置であって、環境条件ごとに設定された入力データに関し、前記情報処理装置で出力される出力データに対する評価が最も高くなるように、前記情報処理装置で用いる第1パラメータを生成するパラメータ生成部、を備える。
【0010】
前記パラメータ生成装置は、前記環境条件ごとに設定された入力データに関する仮パラメータを生成する仮パラメータ生成部をさらに備え、前記パラメータ生成部は、環境条件ごとに設定された入力データに関し、前記仮パラメータ生成部で生成された複数の仮パラメータに基づいて仮出力データが出力される処理が繰り返されることで得られる複数の出力データを用いて、前記第1パラメータを生成してもよい。
【0011】
前記環境条件ごとに設定される入力データは複数であり、前記パラメータ生成部は、複数の前記入力データに関して出力された複数の出力データそれぞれの評価指標の平均値、標準偏差、分散、最小値、および最大値の少なくともいずれか1つに基づいて前記パラメータを算出してもよい。
【0012】
前記仮パラメータ生成部は、前記複数の仮出力データを用いて前記第1パラメータが生成された後、特定の入力データが入力されると、生成された前記第1パラメータに基づいて複数の仮パラメータを生成し、前記パラメータ生成部は、前記特定の入力データに関し、前記情報処理装置で出力される出力データに対する評価が最も高くなるように、前記情報処理装置で用いる第2パラメータを生成してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、積付対象の物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を生成する積付位置計画装置であり、前記入力データは、前記物体の形状情報および個数の情報を含み、前記出力データは、前記積付位置計画情報内のアイテム情報に対応する物体の前記容器内における位置情報であってもよい。
【0014】
前記環境条件は、季節、曜日、時間帯、仕向先、積付対象の物体の種類数、および前記物体の種類ごとの個数の少なくともいずれか1つの条件に基づいて設定されてもよい。
【0015】
前記出力データに対する評価指標は、積付位置計画情報の容器数、および積載率の少なくともいずれかに基づいて算出されてもよい。
【0016】
また本開示に係る情報処理装置は、上記いずれかのパラメータ生成装置で生成された環境条件ごとのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータの中から、現在の環境条件に対応するパラメータを選択し、選択したパラメータを用いて、所定の入力データから出力データを生成する出力データ生成部と、を備える。
【0017】
また本開示に係る積付位置計画装置は、上記いずれかのパラメータ生成装置で生成された環境条件ごとのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータの中から現在の環境条件に対応するパラメータを選択し、選択したパラメータを用いて、積付対象の物体に対応するアイテム情報を積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置を決定する積付位置決定部を、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本開示のパラメータ生成装置、情報処理装置、および積付位置計画装置によれば、所定の入力データから、所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置で用いるパラメータを、好適な出力データが得られるように生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る積付位置計画装置の構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係るパラメータ生成装置の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る積付位置計画装置の動作を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に係る積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成する際に算出される要素であるサブスコアの種類を示す表である。
図5】一実施形態に係る積付位置計画装置のブロックパターン情報記憶部に記憶されたブロックパターン情報の例である。
図6】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置の空き空間情報記憶部に記憶された所定パレット上の空き空間の情報を示す斜視図であり、(b)は、空き空間情報管理部による更新後の所定パレット上の空き空間の情報を示す斜視図である。
図7】一実施形態に係るパラメータ生成装置が実行するパラメータ生成処理(i)の流れを示すフローチャートである。
図8】(a)は、従来の積付位置計画装置が生成した積付位置計画情報の例であり、(b)は、一実施形態に係る積付位置計画装置が、パラメータ生成処理(i)により生成されたパラメータを用いて生成した積付位置計画情報の例である。
図9】一実施形態に係るパラメータ生成装置が実行するパラメータ生成処理(ii)の流れを示すフローチャートである。
図10】所定の条件に関し、従来の積付位置計画装置が実行した積付位置計画情報生成処理のシミュレーション結果と、一実施形態に係る積付位置計画装置が、パラメータ生成処理(ii)により生成されたパラメータを用いて実行したシミュレーション結果の情報を示す表である。
図11】(a)は、従来の積付位置計画装置が生成した積付位置計画情報の例であり、(b)は、一実施形態に係る積付位置計画装置が、パラメータ生成処理(ii)により生成されたパラメータを用いて生成した積付位置計画情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施形態では、情報処理装置である積付位置計画装置を用いたシステムとして、複数の段ボール箱等の直方体の荷物をパレット等の容器に積み付けて搬送する際の荷物の積付位置情報を管理する積付位置情報管理システムについて説明する。本実施形態において、段ボール箱等の荷物が積付位置決定処理対象の物体であり、パレットが積付先の容器である。
【0021】
〈一実施形態による積付位置計画装置を用いた積付位置情報管理システムの構成〉
一実施形態による積付位置計画装置を用いた積付位置情報管理システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態による積付位置情報管理システムSTは、積付位置計画装置100と、パラメータ生成装置200とが通信可能に接続されて構成されている。
【0022】
積付位置計画装置100は、所定の入力データから所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置であって、図1に示すように、第1入力部110と、第1CPU120と、第1記憶部130と、第1出力部140と、第1通信部150とを備える。
【0023】
第1入力部110は、例えば利用者が操作するマウス、キーボード、または、物流システム全体を統括する上位システムとの通信を行う通信手段で構成される。第1入力部110は、荷物の積付位置の計画情報を生成するための条件として、積付対象の複数の荷物に関する情報と、積付先のパレットに関する情報を、利用者の操作情報または上位システムから送信される情報に基づいて入力する。具体的には、第1入力部110は、積付対象の荷物に関する情報および積付先のパレットの情報として、それぞれ種別ごとの数量、形状、および大きさの情報を入力する。
【0024】
第1CPU120は、予め搭載されたプログラムを実行することで動作し、入力情報取得部121と、ブロックパターン情報生成部122と、ブロックパターン情報管理部123と、空き空間情報管理部124と、積付位置決定部125と、パラメータ設定部126と、積付位置計画情報管理部127と、第1計算統括部128と、出力制御部129とを有する。また、第1記憶部130は、ブロックパターン情報記憶部131と、空き空間情報記憶部132と、積付位置計画情報記憶部133と、パラメータ記憶部134とを有する。
【0025】
入力情報取得部121は、第1入力部110から入力された積付対象の荷物に関する情報を、各荷物に対応するアイテム情報として積付位置計画情報記憶部133に記憶させる。また入力情報取得部121は、第1入力部110から入力された積付先のパレットに関する情報を、容器情報(パレット情報)として空き空間情報記憶部132に記憶させる。
【0026】
ブロックパターン情報生成部122は、積付位置計画情報記憶部133に記憶された複数のアイテム情報を組み合わせて構成した、幅、奥行き、および高さそれぞれの差分が所定値以下のブロックパターン情報を生成する。ブロックパターン情報生成部122は、生成したブロックパターン情報を、ブロックパターン情報記憶部131に記憶させる。
【0027】
ブロックパターン情報管理部123は、積付位置計画情報記憶部133に記憶されたアイテム情報のうち、後述する積付位置決定部125により積付位置が決定された荷物に対応するアイテム情報を用いたブロックパターン情報を抽出する。ブロックパターン情報管理部123は、抽出したブロックパターン情報をブロックパターン情報記憶部131から削除することで、ブロックパターン情報記憶部131内の情報を更新する。
【0028】
空き空間情報管理部124は、後述する積付位置決定部125によりいずれかの荷物の積付位置が決定される都度、積付先のパレット上の空き空間の位置、形状、および大きさを示す情報を更新し、空き空間情報記憶部132に記憶させる。
【0029】
積付位置決定部125は、積付位置計画情報の生成指示を取得すると、パラメータ記憶部134に記憶されたパラメータを用いて、ブロックパターン情報記憶部131に記憶されたブロックパターン情報に関する積付位置を決定する。具体的には積付位置決定部125は、ブロックパターン情報記憶部131に記憶されたブロックパターン情報を、空き空間情報記憶部132に記憶されたパレットの空き空間の情報内に割り当てる。このように処理を行うことで、積付位置決定部125は、当該ブロックパターン情報を構成するアイテム情報に対応する荷物に関し、積付先のパレット上における積付位置を決定する。
【0030】
また積付位置決定部125は、パラメータ生成装置200から、後述する仮積付位置計画情報の生成指示とともに仮パラメータおよび所定の計算条件を取得すると、当該仮パラメータを用いて該当する計算条件におけるアイテム情報ごとの仮積付位置を決定する。
【0031】
パラメータ設定部126は、後述するようにパラメータ生成装置200から取得する環境条件ごとのパラメータを、パラメータ記憶部134に記憶させる。
【0032】
積付位置計画情報管理部127は、積付位置計画情報記憶部133に記憶されたアイテム情報のうち、積付位置決定部125により積付位置が決定された荷物のアイテム情報に、積付位置決定処理が実行済みであることを示す情報を付加する。また積付位置計画情報管理部127は、積付位置が決定された荷物に対応するアイテム情報に、積付位置を示す情報を付加する。
【0033】
第1計算統括部128は、ブロックパターン情報生成部122、ブロックパターン情報管理部123、空き空間情報管理部124、積付位置決定部125、パラメータ設定部126、および積付位置計画情報管理部127の動作を統括して制御する。
【0034】
出力制御部129は、積付位置計画情報記憶部133に記憶されたアイテム情報に付加された積付位置の情報に基づいて、決定された積付位置計画情報の画像情報を出力情報として生成して第1出力部140に出力させる。
【0035】
ブロックパターン情報記憶部131は、ブロックパターン情報生成部122が生成したブロックパターン情報を記憶する。空き空間情報記憶部132は、積付先のパレットの空き空間の情報を記憶する。積付位置計画情報記憶部133は、積付位置決定処理対象のアイテム情報に関する、積付位置決定処理が未実行であるか実行済みであるかを示す情報を記憶する。また積付位置計画情報記憶部133は、積付位置決定処理が実行済みのアイテム情報に対して決定された、積付位置を示す情報を記憶する。パラメータ記憶部134は、パラメータ設定部126の制御により、荷物の積付位置の計画情報を生成するための演算に用いる環境条件ごとのパラメータを記憶する。
【0036】
第1出力部140は、出力制御部129が生成した出力情報を、プリンタによる印字、表示画面への表示、AR(Augmented Reality)ディスプレイへの表示、上位システムへのデータ送信等により、出力する。第1通信部150は、パラメータ生成装置200との通信を行う。
【0037】
図2は、パラメータ生成装置200の構成を示すブロック図である。パラメータ生成装置200は、第2記憶部210と、第2入力部220と、第2通信部230と、第2出力部240と、第2CPU250とを備える。
【0038】
第2記憶部210は、計算条件データベース211を有する。計算条件データベース211は、第2CPUがパラメータを生成する際の計算条件の情報を保持する。パラメータを生成する際の計算条件の情報とは、積付位置計画に関する環境条件ごとに複数設定され、典型的な積み付け対象の荷物の種類、形状および大きさ、個数等の情報である。積付位置計画に関する環境条件は、例えば、季節、曜日、時間帯、仕向先、積付対象の荷物の種類数、および荷物の種類ごとの個数等により分類される条件である。
【0039】
ここで、環境条件の分類の仕方は、(a) 何らかの方法で分類が特定できる、(b) 傾向が近しい計算条件に対応する、の2つの条件を満たせば、任意で設定可能である。環境条件は例えば、積み付ける荷物の種類数や個数によって分類してもよい。
【0040】
第2入力部220は、例えば利用者が操作するマウス、キーボード等で構成され、利用者の操作によりパラメータ生成処理の実行指示を入力する。第2通信部230は、積付位置計画装置100との通信を行う。第2出力部240は、後述するように第2CPU250で生成されるパラメータの情報を、プリンタによる印字、表示画面への表示、AR(Augmented Reality)ディスプレイへの表示、上位システムへのデータ送信等により、出力する。
【0041】
第2CPU250は、パラメータ生成部としての第2計算統括部251と、仮パラメータ生成部252と、仮積付位置計画取得部253と、仮積付位置計画評価部254とを有する。
【0042】
第2計算統括部251は、第2入力部220からパラメータ生成処理の実行指示を取得すると、パラメータ生成処理を開始する。第2計算統括部251は、パラメータ生成処理を開始すると、計算条件データベースから所定の環境条件に関する複数の計算条件を入力データとして取得する。そして第2計算統括部251は、取得した複数の計算条件を仮パラメータ生成部252に送出するとともに仮の積付位置計画情報(以下、「仮積付位置計画情報」と記載する)の生成を指示する。また第2計算統括部251は、仮積付位置計画情報の生成を指示したことにより、生成された計算条件ごとの仮積付位置計画情報に関して算出された評価指標を取得し、取得した評価指標に基づいて該当する環境条件に関するパラメータを生成する。その際、第2計算統括部251は、該当する環境条件に関し、そこに属する計算条件に対する平均的な性能を最適化するようにパラメータを生成する。
【0043】
仮パラメータ生成部252は、第2計算統括部251から所定の計算条件とともに仮積付位置計画情報の生成指示を取得すると、該当する計算条件に対する仮積付位置計画情報を生成するための仮のパラメータ(以下、「仮パラメータ」と記載する)を生成する。仮パラメータ生成部252は、取得した計算条件と生成した仮パラメータとともに、仮積付位置計画情報の生成指示を、第2通信部230を介して積付位置計画装置100に送信する。
【0044】
仮積付位置計画取得部253は、積付位置計画装置100から送信される仮積付位置計画情報を取得する。仮積付位置計画評価部254は、仮積付位置計画取得部253で取得した仮積付位置計画情報の要否を定量的に評価し、評価結果である評価指標を第2計算統括部251に送出する。
【0045】
〈一実施形態による積付位置情報管理システムSTの動作〉
次に、本実施形態による積付位置情報管理システムSTの動作として、まず積付位置計画装置で実行される積付位置計画情報の生成に処理ついて、図3のフローチャートを参照して説明する。積付位置計画装置100が、利用者の操作または上位システムからの情報送信により、荷物の積付位置の計画情報の生成を指示する情報を取得すると、第1入力部110が当該情報を第1CPU120に入力する。
【0046】
第1CPU120は、第1入力部110から入力された荷物の積付位置の計画情報の生成を指示する情報を入力情報取得部121が取得し、第1計算統括部128を介して積付位置計画情報管理部127に送出する。積付位置計画情報管理部127は、当該指示に従って、前回の積付位置計画情報の生成処理により生成されて積付位置計画情報記憶部133に記憶されている積付位置計画情報を削除して、積付位置計画情報記憶部133を初期化する(S1)。
【0047】
次に、利用者の操作または上位システムからの情報送信により、荷物の積付位置の計画情報を生成するための条件として、積付対象の荷物に関する情報、および積付先のパレットの情報が第1入力部110から入力される。具体的には、積付対象の荷物に関する情報として、種別ごとの数量、形状および大きさ(幅、奥行き、および高さ)の情報が入力され、積付先のパレットの情報として、数量、形状、および積付に使用可能な内寸(幅、奥行き)の情報が入力される。
【0048】
ここでは、積付対象の荷物に関する情報として、幅、奥行き、高さのうち少なくともいずれかが異なる複数種類のn個の直方体の荷物A1~Anの情報が入力される。荷物A1~Anは、すべてが異なる種類でもよいし、同じ種類の荷物が複数個含まれていてもよい。また、積付先のパレットの情報として、形状が同一のm個のパレットB1~Bmの情報が入力される。
【0049】
入力情報取得部121は、入力された積付対象の荷物A1~Anに関する情報を、積付位置決定処理対象のアイテム情報a1~anとして積付位置計画情報記憶部133に記憶させる。また入力情報取得部121は、入力されたパレットB1~Bmに関する情報を、積付位置決定処理対象のパレット情報b1~bmとして空き空間情報記憶部132に記憶させる(S2)。
【0050】
次に、第1計算統括部128が空き空間情報管理部124に、空き空間情報の生成を指示する。空き空間情報管理部124は、第1計算統括部128の指示に従って、空き空間情報記憶部132に記憶されたパレット情報b1~bmごとの空き空間の情報を生成する。本実施形態において、空き空間情報管理部124は、各パレット情報b1~bm上の所定高さまでの空き空間の中で、所定方向から見た左、奥、下を基点とした直方体形状の空間を、空き空間の情報として生成する。
【0051】
ここではまだいずれのパレット情報に対しても積み付け計画が生成されていないため、空き空間情報管理部124は、各パレット情報b1~bm上の所定高さまでのすべての空間を空き空間として認識する。そして空き空間情報管理部124は、各パレット情報b1~bmの空き空間に該当する直方体形状の空間の位置、形状、および大きさを示す情報を、空き空間情報記憶部132に記憶させる(S3)。
【0052】
次に、第1計算統括部128がブロックパターン情報生成部122に、ブロックパターン情報の生成を指示する。ブロックパターン情報生成部122は、積付位置計画情報記憶部133に記憶された、積付位置決定処理が未実行の複数のアイテム情報を組み合わせて構成した、幅、奥行き、および高さそれぞれの差分が所定値以下であるブロックパターン情報を生成する。ブロックパターン情報生成部122は、生成したブロックパターン情報を、積付位置決定処理対象としてブロックパターン情報記憶部131に記憶させる(S4)。
【0053】
具体的にはブロックパターン情報生成部122は、複数のアイテム情報を組み合わせることで、外形が直方体の形状または、幅、奥行き、および高さの差分がそれぞれ所定値以下であることで外形を直方体とみなすことができるブロックパターン情報を生成する。ここで、所定値としては、対応する荷物を垂直方向に重ねたときに荷崩れしない範囲の値を設定する。例えば、どの荷物も幅および奥行きの寸法が30cm以上であるとき、荷物を重ねたときに10%の飛び出し部が生じても荷崩れはしないと判断できるのであれば、荷物の幅、奥行き、および高さの差分の許容値を3cmとして、ブロックパターン情報を生成する。
【0054】
ブロックパターン情報生成部122が直方体のブロックパターン情報を生成する際のアイテム情報の組み合わせパターンには、例えば、同一種類のアイテム情報を用いて構成する棒積パターン、ピンホールパターン、レンガパターン等がある。棒積パターンとは、全てのアイテム情報が同一姿勢で隣接した状態になるように組み合わせるパターンである。ピンホールパターンとは、複数のアイテム情報が平面上で互いに直交する姿勢関係になるように環状に並べて組み合わせるパターンである。レンガパターンとは、複数のアイテム情報が上下方向に互いに直交する姿勢関係になるように組み合わせるパターンである。
【0055】
またブロックパターン情報生成部122は、生成した複数のブロックパターン情報をさらに組み合わせて、外形が直方体の形状または、直方体とみなすことができる形状のブロックパターン情報を生成してもよい。このように様々な手法でブロックパターン情報を生成することで、単純なルールでありながらもバリエーションに富んだブロックパターン情報を生成することができる。
【0056】
上述したようにブロックパターン情報生成部122がブロックパターン情報を生成する際には、1つのアイテム情報が、複数のブロックパターン情報の構成要素となっていてもよい。例えば、積付位置計画情報記憶部133に8個の同一種類のアイテム情報が記憶されている場合、これらのアイテム情報の全部または一部を用いて、以下の7通りの形状のブロックパターン情報(a)~(g)を生成することができる。
【0057】
ブロックパターン情報(a):8個のアイテム情報を、幅方向に2個、奥行き方向に2個、高さ方向に2個分、組み合わせたブロックパターン情報
ブロックパターン情報(b):8個のアイテム情報を、幅方向に4個、奥行き方向に1個、高さ方向に2個分、組み合わせたブロックパターン情報
ブロックパターン情報(c):8個のアイテム情報を、幅方向に1個、奥行き方向に4個、高さ方向に2個分、組み合わせたブロックパターン情報
ブロックパターン情報(d):8個のアイテム情報を、幅方向に2個、奥行き方向に1個、高さ方向に4個分、組み合わせたブロックパターン情報
ブロックパターン情報(e):8個のアイテム情報を、幅方向に4個、奥行き方向に1個、高さ方向に2個分、組み合わせたブロックパターン情報
ブロックパターン情報(f):4個のアイテム情報を、幅方向に2個、奥行き方向に2個、高さ方向に1個分、組み合わせたブロックパターン情報
ブロックパターン情報(g):1個のアイテム情報によるブロックパターン情報
【0058】
ブロックパターン情報生成部122は、ブロックパターン情報(f)のように、積付位置計画情報記憶部133に記憶された中の一部のアイテム情報のみを用いてブロックパターン情報を生成してもよい。またブロックパターン情報生成部122は、ブロックパターン情報(g)のように、1個のアイテム情報をブロックパターン情報として認識してもよい。ブロックパターン情報生成部122は、生成したブロックパターン情報をブロックパターン情報記憶部131に記憶させる。
【0059】
次に、第1計算統括部128が、積付位置計画情報記憶部133に積付位置決定処理が未実行のアイテム情報が記憶されているか否かを判定する(S5)。ここでは、第1計算統括部128は積付位置計画情報記憶部133に積付位置決定処理が未実行のアイテム情報が記憶されていると判定し(S5の「YES」)、ステップS6に移行する。
【0060】
次に、第1計算統括部128が積付位置決定部125に、所定パレットの空き空間の情報内にブロックパターン情報記憶部131に記憶されたいずれかのブロックパターン情報を割り当てる指示を送出する。
【0061】
積付位置決定部125は、ブロックパターン情報記憶部131に記憶されている情報と、空き空間情報記憶部132に記憶されている情報とから、割り当て処理が可能なブロックパターン情報と空き空間情報とのペアがあるか否かを判定する(S6)。ここで積付位置決定部125は、所定のブロックパターン情報の幅、奥行き、および高さそれぞれが、所定の空き空間情報の幅、奥行き、および高さより小さい場合に、当該空き空間情報内への当該ブロックパターン情報の割り当て処理が物理的に可能と判定する。そして積付位置決定部125は、このブロックパターン情報と空き空間情報とのペアを、割り当て処理が可能なペアとして認識する。また積付位置決定部125は、割り当て処理が可能か否かの判定条件に、該当するブロックパターン情報の重量に関する情報を含めてもよい。例えば積付位置決定部125は、該当するブロックパターン情報を所定のパレット情報に割り当てることで、対応するパレット上の荷物の重量が、当該パレットの耐荷重を超える場合には、割り当て処理が不可能と判定する。
【0062】
積付位置決定部125は、割り当て処理が可能なブロックパターン情報と空き空間情報とのペアがあると判定すると(S6の「YES」)、該当するペアをすべて抽出する(S7)。積付位置決定部125は、抽出したブロックパターン情報と空き空間情報とのペアの中から、最適なペアを選択する(S8)。
【0063】
積付位置決定部125が最適なペアを選択するための要素として、例えば図4に示すNo.1~No.15の15種類のサブスコアがある。以下に、ブロックパターン情報と空き空間情報とのペアごとに算出される各サブスコアについて説明する。
【0064】
サブスコアNo.1(container_index)は、積付先のパレットの識別番号(1,2,3…)である。番号の小さい容器ほど良いとするスコアを定義することで、番号の若いパレットに集中して積み付けられるようになり、パレット数を抑えた積付計画が得やすくなる。
【0065】
サブスコアNo.2(width_rate)~No.6(volume_rate)は、該当するブロックパターン情報の形状が該当する空き空間にどれだけフィットしているか、つまりどれだけ空き空間を有効利用できるかを示すものである。
【0066】
具体的には、サブスコアNo.2(width_rate)は、該当する空き空間に対する該当するブロックパターン情報の幅方向占有率であり、計算式「ブロックパターン情報の幅÷空き空間の幅」により算出される。また、サブスコアNo.3(depth_rate)は、該当する空き空間に対する該当するブロックパターン情報の奥行き方向占有率であり、計算式「ブロックパターン情報の奥行き÷空き空間の奥行き」により算出される。また、サブスコアNo.4(height_rate)は、該当する空き空間に対する該当するブロックパターン情報の高さ方向占有率であり、計算式「ブロックパターン情報の高さ÷空き空間の高さ」により算出される。また、サブスコアNo.5(top_area_rate)は、該当する空き空間に対する該当するブロックパターン情報の上面積占有率であり、計算式「ブロックパターン情報の上面積÷空き空間の上面積」により算出される。また、サブスコアNo.6(volume_rate)は、該当する空き空間に対する該当するブロックパターン情報の体積占有率であり、計算式「ブロックパターン情報の体積÷空き空間の体積」により算出される。
【0067】
サブスコアNo.7(dead_top_area_rate)~No.8(dead_volume_rate)は、該当するブロックパターン情報を該当する空き空間に置いたときに、どれだけのデッドスペースが生じるかを示すものである。ここでデッドスペースとは,積み付けられるアイテム情報がない空間である。空間の有効利用を考えた場合、デッドスペースはなるべく小さくすることが望ましい。
【0068】
具体的には、サブスコアNo.7(dead_top_area_rate)は、該当する空き空間に対して生じるデッドスペース上面積占有率であり、計算式「生成されるデッドスペースの床面積÷空き空間の床面積」により算出される。また、サブスコアNo.8(dead_volume_rate)は、該当する空き空間に対して生じるデッドスペース体積占有率であり、計算式「生成されるデッドスペースの体積÷空き空間の体積」により算出される。
【0069】
サブスコアNo.9(item_utilization)は、複数個ある残りのアイテム情報を該当するブロックパターン情報にどれだけ多くまとめているかを示すサブスコアである。ある同種類アイテム情報の残りをすべてまとめて該当するブロックパターン情報に含めている場合、該当するブロックパターン情報と空き空間のペアに関するitem_utilizationの値は最大値1をとる。検品性を考えると、item_utilizationの値はなるべく大きいほうが望ましい。
【0070】
具体的には、サブスコアNo.9(item_utilization)は、同種類アイテム情報の残数に対する利用率であり、計算式「ブロックパターン情報に含まれる所定アイテム情報の個数÷未積付の同種類のアイテム情報の個数」により算出される。
【0071】
サブスコアNo.10 (x)~No.15:(z_max)は、該当するブロックパターン情報の積付位置に関するサブスコアである。それぞれの値は規格化のため、パレットの幅、奥行き、または高さで除したものを採用する。これらの値が小さいほど、密な積付が可能となる。特に、z_maxが小さいことは積付頭頂部の高さを抑えること、すなわち平準化のために重要となる。
【0072】
具体的には、サブスコアNo.10 (x)は、パレット上の基点から、該当するブロックパターン情報のx方向(幅方向)の基点に近い側の積付位置までの距離を、パレットの幅で除して算出される。また、サブスコアNo.11 (x_max)は、基点から、該当するブロックパターン情報のx方向(幅方向)の基点に遠い側の積付位置までの距離を、パレットの幅で除して算出される。
【0073】
また、サブスコアNo.12 (y)は、基点から、該当するブロックパターン情報のy方向(奥行き方向)の基点に近い側の積付位置までの距離を、パレットの奥行きで除して算出される。また、サブスコアNo.13 (y_max)は、基点から、該当するブロックパターン情報のy方向(奥行き方向)の基点に遠い側の積付位置までの距離を、パレットの奥行きで除して算出される。
【0074】
また、サブスコアNo.14 (z)は、基点から、該当するブロックパターン情報のz方向(高さ方向)の基点に近い側の積付位置までの距離を、パレットの高さで除して算出される。また、サブスコアNo.15 (z_max)は、基点から、該当するブロックパターン情報のz方向(高さ方向)の基点に遠い側の積付位置までの距離を、パレットの高さで除して算出される。
【0075】
図4中において、サブスコアNo.1~No.15のうち、「BL」が〇となっているサブスコアは、該当するブロックパターン情報への依存性があることを示している。また、サブスコアNo.1~No.15のうち、「SP」が〇となっているサブスコアは、該当する空き空間への依存性があることを示している。
【0076】
また、サブスコアNo.1~No.15のうち、「方向」が↑となっているサブスコアは、対応する値が大きい方が、効率の良い付位置計画情報を生成するために望ましいことを示している。また、サブスコアNo.1~No.15のうち、「方向」が↓となっているサブスコアは、対応する値が小さい方が望ましいことを示している。積付位置決定部125が用いるサブスコアは上記の15種類のサブスコアに限定されず、最適なブロックパターン情報と空き空間情報とのペアの決定に資するものであれば任意のものを採用することができる。
【0077】
積付位置決定部125は、ブロックパターン情報と空き空間情報との最適なペアを選択する際に、これらのサブスコアの中のいずれか1つの値を用いてもよいし、複数のサブスコアを重み付けした加重和であるスコアfを用いてもよい。スコアfは、下記式(1)で示される。
【0078】
【数1】
上記式(1)において、iはサブスコアの番号(No.1~No.15)であり、fiはサブスコアiの値である。Si∈{-1,1}は、サブスコアiが小さい方が望ましいときには-1をとり、大きい方が望ましいときには+1をとる。また、wi≧0はサブスコアiをどれだけ重視するかを定める重みであり、これが積付位置決定部125で用いるパラメータとなる。
【0079】
ここでは、スコアfを各サブスコアの単純な加重和としているが、この関数の形状は各サブスコアからスカラー量のスコアを計算するようなものであれば任意である。例えば各サブスコアに対する2次の項を含んでいてもよいし、ニューラルネットワークやディープニューラルネットワークなどの複雑な関数を採用してもよい。加重和のように単純な数式を採用すれば、パラメータの数が少なくなり、パラメータ調整に要する時間を短くできるというメリットがある。関数を複雑化すれば、パラメータ数が多くなり、パラメータ調整に時間を要することになるが、より高い性能を得られる可能性がある。
【0080】
積付位置決定部125において、上述したパラメータの値を変えることで、得られる積付位置計画は変化する。上述した複数のサブスコアは、互いにトレードオフの関係にある場合がある。例えば、サブスコアNo.9(item_utilization)の値を重視すると、多くのアイテム情報を組み込んだ大きなブロックパターン情報が選ばれる可能性が高くなるが、デッドスペースが多くなってしまう可能性も高くなる。そのため、好適なパラメータは、環境情報等の状況に応じて変化する。
【0081】
本実施形態においては、後述するようにパラメータ生成装置200で生成する環境条件ごとの好適なパラメータをパラメータ記憶部134に記憶しておき、積付位置決定部125は、現在の環境条件に応じたパラメータを取得して積付位置計画情報の生成に用いる。
【0082】
次に積付位置決定部125は、選択したペアに情報に基づいて、該当するパレットの空き空間情報内の所定位置、具体的には基点位置である左、奥、下の位置に、該当するブロックパターン情報の角を合わせて割り当てる。積付位置決定部125が、ブロックパターン情報をパレットの空き空間情報内に割り当てると、当該ブロックパターン情報を構成するアイテム情報に対応する荷物の当該パレット上における積付位置が決定する(S9)。
【0083】
該当する荷物の積付位置が決定すると、積付位置計画情報管理部127が、積付位置計画情報記憶部133内の積付位置が決定した荷物のアイテム情報に、積付位置決定処理が実行済みであることを示す情報を付加する。また積付位置計画情報管理部127は、積付位置が決定された荷物のアイテム情報に、積付位置を示す情報を付加する。これらの情報を付加することで、積付位置計画情報管理部127は、積付位置計画情報記憶部133内の積付位置が決定した荷物のアイテム情報を更新する(S10)。
【0084】
次に、第1計算統括部128がブロックパターン情報管理部123に、積付位置が決定した荷物のアイテム情報を通知する。ブロックパターン情報管理部123は、通知されたアイテム情報を用いたブロックパターン情報を抽出する。そしてブロックパターン情報管理部123は、抽出したブロックパターン情報をブロックパターン情報記憶部131から削除することで、積付位置決定処理対象のブロックパターン情報を更新する(S11)。
【0085】
例えば、ブロックパターン情報記憶部131に、図5に示すような同一形状の4個の直方体のアイテム情報の全部または一部を用いて生成した12個のブロックパターン情報c11~c22が記憶されているとする。この場合に、このアイテム情報4個のうち2個が、積付位置が決定した荷物のアイテム情報であることが通知されると、ブロックパターン情報管理部123は、このアイテム情報を3個または4個使用するブロックパターン情報は利用不可能と判定する。具体的にはブロックパターン情報管理部123は、点線で囲ったブロックパターン情報c15~c22を利用不可能と判定する。
【0086】
そしてブロックパターン情報管理部123は、利用不可能と判定したブロックパターン情報c15~c22をブロックパターン情報記憶部131から削除することで、積付位置決定処理対象のブロックパターン情報を更新する。
【0087】
次に、第1計算統括部128が空き空間情報管理部124に、積付位置が決定した荷物のアイテム情報に関する積付位置の情報を通知する。空き空間情報管理部124は、該当するアイテム情報に関する積付位置の情報に基づいて、ブロックパターン情報が割り当てられたパレットの空き空間情報を更新する(S12)。
【0088】
例えば、図6(a)に示すように、空き空間情報記憶部132にパレット情報b1の空き空間の情報として、空き空間f1の位置、形状、および大きさを示す情報が記憶されているとする。このパレット情報b1の空き空間f1にブロックパターン情報c23が割り当てられると、空き空間情報管理部124が、ブロックパターン情報c23を構成するアイテム情報に関する積付位置の情報を取得する。
【0089】
空き空間情報管理部124は、該当するアイテム情報に関する積付位置の情報を取得すると、図6(b)に示す3つの空き空間f2、f3、およびf4の情報を生成する。空き空間f2は、ブロックパターン情報c23上部の直方体形状の点線で示す空き空間である。空き空間f3は、ブロックパターン情報c23よりも右側の一点鎖線で示す直方体形状の空き空間である。空き空間f4は、ブロックパターン情報c23よりも手前の二点鎖線で示す直方体形状の空き空間である。
【0090】
空き空間情報管理部124は、空き空間情報記憶部132に記憶されていたパレット情報b1の空き空間f1の情報を、生成した空き空間f2、f3、およびf4の情報で置き換えることで、情報を更新する。
【0091】
上述したように、積付位置計画情報が生成されたことにより、記憶されたアイテム情報、ブロックパターン情報、およびパレットの空き空間情報が更新されると、ステップS5に戻る。
【0092】
以降、ステップS5~S13の処理を繰り返し、積付位置計画情報記憶部133の中に積付位置決定処理が未実行のアイテム情報がなくなると(S5の「NO」)、第1計算統括部128は、積付位置計画情報の生成が成功したと判定して処理を終了する(S13)。
【0093】
また、積付位置決定処理が未実行のアイテム情報があるが割り当て処理が可能なブロックパターン情報と空き空間情報とのペアがないときには(S6の「NO」)、第1計算統括部128は、積付位置計画情報の生成が失敗したと判定して処理を終了する(S14)。
【0094】
積付位置計画情報の生成後、出力制御部129は、積付位置計画情報記憶部133に記憶されたアイテム情報の積付位置の情報に基づいて、決定された積付位置計画情報の画像情報を出力情報として生成して第1出力部140に出力させる。また出力制御部129は、積付位置計画情報の生成処理中の動作の情報や画像情報を出力情報として生成して第1出力部140に出力させてもよい。
【0095】
上述したように動作する積付位置計画装置100で用いるパラメータを、パラメータ生成装置200が生成するパラメータ生成処理(i)および(ii)について説明する。パラメータ生成処理(i)は、一定の傾向を有する不特定多数の計算条件に対して平均的に良い第1パラメータを生成する処理であり、パラメータ生成処理(ii)は、ある特定の計算条件に対して有効な第2パラメータを生成する処理である。
【0096】
[パラメータ生成処理(i)]
図7は、パラメータ生成装置200が実行するパラメータ生成処理(i)の流れを示すフローチャートである。第2入力部220からパラメータ生成処理の実行指示が入力されると、まず第2計算統括部251が計算条件データベース211から、所定の環境条件に関する複数の計算条件を読み込む(S21)。
【0097】
次に第2計算統括部251は、所定の終了条件を満たさなければ(S22の「NO」)、読み込んだ複数の計算条件を仮パラメータ生成部252に送出することで仮の積付位置計画情報の生成を指示し、ステップS23に移行する。ここで「所定の終了条件を満たす」場合とは例えば、所定の計算時間に達した場合、後述するステップS23~S26の処理の反復回数が所定値に達した場合、ステップS23~S26の処理が繰り返されたことにより生成されるパラメータの変化が所定値以下になった場合、または、生成されるパラメータに対する評価指標の変化が所定値以下になった場合等である。
【0098】
仮パラメータ生成部252は、第2計算統括部251から複数の計算条件とともに仮積付位置計画情報の生成指示を取得すると、該当する複数の計算条件に対する仮積付位置計画情報を生成するための仮パラメータを生成する(S23)。この仮パラメータは、積付位置計画情報の生成処理に用いるサブスコアごとに生成される。仮パラメータ生成部252は、取得した複数の計算条件と生成した仮パラメータとともに、仮積付位置計画情報の生成指示を、第2通信部230を介して積付位置計画装置100に送信する(S24)。
【0099】
積付位置計画装置100では、パラメータ生成装置200から送信された複数の計算条件、パラメータ、および仮積付位置計画情報の生成指示を、第1計算統括部128を介して積付位置決定部125が取得する。積付位置決定部125は、取得した仮積付位置計画情報の生成指示およびパラメータに基づいて、複数の計算条件それぞれで特定される各荷物に対するアイテム情報の積付位置を決定することで、計算条件ごとの仮積付位置計画情報を生成する。第1計算統括部128は、積付位置決定部125で生成された計算条件ごとの仮積付位置計画情報を、第1通信部150を介してパラメータ生成装置200に送信する。
【0100】
このとき、第1計算統括部128は、パラメータ生成装置200の仮積付位置計画評価部254における積付位置計画情報の評価に必要な情報を含めて、積付位置計画情報を送信させる。例えば、パレット数や積載率を評価指標として積付位置計画情報を評価するのであれば、これらの値、もしくはこれらの値を算出可能な情報を含める。
【0101】
パラメータ生成装置200では、積付位置計画装置100から送信された計算条件ごとの仮積付位置計画情報を、仮積付位置計画取得部253が取得する(S25)。次に、仮積付位置計画評価部254が、仮積付位置計画取得部253で取得した各仮積付位置計画情報の良否を定量的に評価した評価指標Fを算出する。
【0102】
評価指標Fは例えば、積付の効率を示すパレット数、積載率やその加重和等であり、数値が小さい方が好ましい、つまり評価が高いものとする。ここで、上述したように積付位置計画装置100で用いるスコアfは、各ブロックパターン情報の積付位置の良否を示す値であるのに対し、ここで算出する評価指標Fは所定のパレットに対する積付位置計画情報全体に対する良否を示すものである。評価指標Fは、パレット数、積載率以外にも、積付効率の評価対象となる値であればよく、評価対象によっては数値が大きい方が評価が高く、好ましい場合もあり得る。その場合は、評価指標の値の符号を反転させることで、評価指標の値の大きいものの評価を高くすることができる。
【0103】
仮積付位置計画評価部254は、算出した計算条件ごとの評価指標Fの平均値を算出する(S26)。ステップS23~S26の処理は、終了条件を満たすまで繰り返される。
【0104】
その後、ステップS22で所定の終了条件を満たすと判定されると(S22の「YES」)、第2計算統括部251は、最終的に算出された計算条件ごとの評価指標の平均値に基づいて、該当する環境条件に関する好適な第1パラメータを決定する(S27)。
【0105】
第2計算統括部251が実行する、パラメータ決定処理について説明する。ここで、パラメータ決定処理対象の計算条件の集合をI、I全体に対する仮積付位置計画情報の集合をP、仮パラメータの集合をWとする。積付位置計画装置100が仮積付位置計画情報の生成に用いる積付計画アルゴリズムをA:I×W→Pとして、計算条件I∈I、パラメータw∈Wのもとで生成される仮積付位置計画情報をA(I , w)と記載することとする。また、仮積付位置計画情報に関する評価指標をF:P→R(R:実数の集合)とする。
【0106】
ある環境条件の傾向として,各計算条件I∈Iの発生確率PI≧0が既知であるとし、この確率分布をπIと記載することとする。πIのもとで評価指標F の期待値Eを最小化する問題は、下記式(2)のように示される。
【数2】
【0107】
上記式(2)の(P(πI)が解くことで、同じ環境条件に属する計算条件に対して平均的に最良となるパラメータwが得られる。
【0108】
ただし、一般にπIの情報が利用できるとはかぎらないため、そのモンテカルロ近似を考える。すなわち、πIに近似した計算条件のデータセットS=(I1, IN)を用意した場合、これらに対する評価指標の平均を目的関数としたBlack-Box最適化問題は、下記式(3)のように示される。
【数3】
【0109】
上記式(3)の(P(S))を解くことで、パラメータwを求める。Black-Box最適化問題に対して適用可能な最適化アルゴリズムとしては、(i) 進化戦略(H.G.Beyer, H.P.Schwefel: “Evolution Strategies A Comprehensive Introduction'', Natural Computing, Vol.~1, pp.~3--52 (2002))、(ii) Particle Swarm Optimization(J.Kennedy, R.C.Eberhart:”Particle Swarm Optimization'', in Proceedings of International Conference on Neural Networks 1995, Vol.4, pp.1942-1948 (1995))、(iii) Differential Evolution(R.Storn:“Differential Evolution- A Simple and Efficient Heuristic for Global Optimization over Continuous Space'', Journal of Global Optimization, Vol.11, pp.341-359 (1997))、(iv) CMA-ES(N.~Hansen: “The CMA Evolution Strategy: A Tutorial'', arXiv:1604.00772 [cs.LG] (2016))などが挙げられる。上記の(P(S))を解くアルゴリズムとしては、特に(iv) CMA-ES が適している。
【0110】
CMA-ESも含めたBlack-Box 最適化アルゴリズムは、(1)解(ここでは積付位置計画装置100の仮パラメータが相当する)の生成と(2)評価を繰り返す計算手順をとる。このことを念頭に、図2のパラメータ生成装置200との対応を述べる。
【0111】
パラメータ生成装置200中の計算条件データベース211は計算条件を格納する。仮積付位置計画評価部254は解の評価を担う。具体的には仮パラメータwのもとで、計算条件I∈Sに対して積付位置計画装置100が生成した仮積付位置計画情報に対する評価指標Fとその平均値を計算する。
【0112】
仮パラメータ生成部252と第2計算統括部251は、CMA-ESに類されるBlack-Boxアルゴリズムの計算を統括する部分である。これらの機能部は、アルゴリズム固有の手続きにより仮積付位置計画の評価結果を受けて仮パラメータを都度生成し、計算条件とあわせて積付位置計画装置100に送信する。またこの一連の処理を繰り返し行う。
【0113】
上述したように第2計算統括部251が上述した式(3)の(P(S))を解く際に、最小化するのは各計算条件の結果に対する評価指標の平均値ではなくてもよく、例えば、平均値+n×標準偏差(n=1~3程度)でもよい。このような評価指標を採用することにより、極端に悪い積付位置計画を出力しうるようなパラメータが避けられるようになり、性能が安定するというメリットがある。他にも、分散(実質的には標準偏差と同じ)や最小値、最大値などの統計値を含む任意の評価指標を採用して好適なパラメータが得られるようにしてもよい。
【0114】
上述した処理により、第2計算統括部251は当該環境条件に関する第1パラメータwを決定する。第2計算統括部251は、決定した当該環境条件に関する第1パラメータwを、出力データとして積付位置計画装置100に送信する(S28)。積付位置計画装置100では、パラメータ生成装置200から出力された当該環境条件に関する第1パラメータwをパラメータ設定部126が取得し、パラメータ記憶部134に記憶させる。
【0115】
第2計算統括部251は、環境条件ごとにステップS21~S28の処理を実行する。これにより、環境条件ごとの各サブスコアに対する第1パラメータが、積付位置計画装置100に設定される。
【0116】
また、第2計算統括部251は、生成した各環境条件に関する第1パラメータを、積付位置計画装置100に設定した第1パラメータとして第2出力部240に出力する。
【0117】
以降、積付位置計画装置100の積付位置決定部125は、積付位置計画情報の生成時に現在の環境条件に対応する第1パラメータを選択し、選択した第1パラメータを用いて積付位置を決定することで、積付位置計画情報を生成する。このように処理を実行することで、積付位置計画装置100は、現在の季節、曜日、時間帯、仕向先、積付対象の荷物の種類数、および荷物の種類ごとの個数等に応じた適切な積付位置計画情報を生成することができる。
【0118】
以下に、同じ形状および個数の荷物に関し、従来の積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成した場合と、本実施形態による積付位置計画装置100が積付位置計画情報を生成した場合とのシミュレーション結果について説明する。従来の積付位置計画装置は、人が試行錯誤により手動で調整したパラメータを用いて積付位置計画情報を生成する。本実施形態による積付位置計画装置100は、パラメータ生成装置200によりパラメータ生成処理(i)で生成された第1パラメータを用いて積付位置計画情報を生成する。
【0119】
環境条件として、少品種・多量の出荷傾向にある仕向先を想定し、積付対象の荷物は1種類あたり0~20個が10種類であり、それぞれの荷物の大きさは、幅220mm~550mm、奥行き180mm~550mm、高さ75mm~300mmとした。また、積付先の複数パレットは同一種類であり、それぞれのパットの大きさは、幅1100mm、奥行き1100mm、最大積み付け高さ1450mmである。
【0120】
仮積付位置計画評価部254による積付位置計画に対する評価指標としては、下記式(4)ですFを採用し、仮パラメータを設定する計算条件に対してこの評価指標Fが最小になるパラメータをCMA-ESで求めた。
【数4】
本評価指標Fは、パレット数を第一優先として最小化しつつ、パレット数が増えない範囲で積載率を最大化することを企図したものである。
【0121】
図8(a)は、上記の条件の荷物に関し、従来の積付位置計画装置が生成した積付位置計画情報により積み付けた荷物の荷姿の一例を3次元的に示した図形情報である。図8(b)は、本実施形態による積付位置計画装置が生成した積付位置計画情報により積み付けた荷物の荷姿の一例を3次元的に示した図形情報である。
【0122】
従来の積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成した場合、使用するパレット数の平均は3.18であり、積載率の平均は68.1%であった。これに対し本実施形態による積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成した場合は、使用するパレット数の平均は2.69であり、積載率の平均は73.8%であった。この結果により、本実施形態による積付位置計画装置は、従来の積付位置計画装置よりも効率の良い積付位置計画情報を生成できたことがわかる。
【0123】
[パラメータ生成処理(ii)]
パラメータ生成処理(ii)は、例えば上述したパラメータ生成処理(i)で好適な積付位置計画情報の評価指標が得られなかった場合に用いる。パラメータ生成処理(ii)を用いることで、精度の良い第2パラメータを生成することができる。
【0124】
図9は、パラメータ生成装置200が実行するパラメータ生成処理(ii)の流れを示すフローチャートである。この生成処理では、まずユーザが第2入力部220から積付位置計画情報の生成対象とする計算条件を入力し、パラメータ生成処理の実行指示操作を行う。パラメータ生成処理の実行指示操作が行われると、第2計算統括部251が入力された計算条件を取得する(S31)。
【0125】
次に第2計算統括部251は、所定の終了条件を満たさなければ(S32の「NO」)、取得した計算条件を仮パラメータ生成部252に送出することで仮の積付位置計画情報の生成を指示し、ステップS33に移行する。ここで「所定の終了条件を満たす」場合とは例えば、所定の計算時間に達した場合、後述するステップS33~S36の処理の反復回数が所定値に達した場合、ステップS33~S36の処理が繰り返されたことにより生成されるパラメータの変化が所定値以下になった場合、または、生成されるパラメータに対する評価指標の変化が所定値以下になった場合等である。
【0126】
仮パラメータ生成部252は、第2計算統括部251から計算条件とともに仮積付位置計画情報の生成指示を取得すると、該当する計算条件に対する仮積付位置計画情報を生成するための仮パラメータを生成する(S33)。この仮パラメータは、パラメータ生成処理(i)で算出されたパラメータを基に生成される。このように仮パラメータを生成することで、生成される仮パラメータに対する評価指標の変化が所定値以下になる時間が短くなり、ステップS33~S36の処理の反復回数を少なくして計算時間を短縮させることができる。仮パラメータは、積付位置計画情報の生成処理に用いるサブスコアごとに生成される。仮パラメータ生成部252は、取得した計算条件と生成した仮パラメータとともに、仮積付位置計画情報の生成指示を、第2通信部230を介して積付位置計画装置100に送信する(S34)。
【0127】
積付位置計画装置100では、パラメータ生成装置200から送信された計算条件、仮パラメータ、および仮積付位置計画情報の生成指示を、第1計算統括部128を介して積付位置決定部125が取得する。積付位置決定部125は、取得した仮積付位置計画情報の生成指示および仮パラメータに基づいて、取得した計算条件で特定される各荷物に対するアイテム情報の積付位置を決定することで、当該計算条件に関する仮積付位置計画情報を仮出力データとして生成する。第1計算統括部128は、積付位置決定部125で生成された当該計算条件に関する仮積付位置計画情報を、第1通信部150を介してパラメータ生成装置200に送信する。
【0128】
パラメータ生成装置200では、積付位置計画装置100から送信された仮積付位置計画情報を、仮積付位置計画取得部253が取得する(S35)。次に、仮積付位置計画評価部254が、仮積付位置計画取得部253で取得した仮積付位置計画情報の要否を定量的に評価した評価指標Fを算出する(S36)。
【0129】
第2計算統括部251は、仮積付位置計画評価部254から取得した評価指標Fを取得する。ステップS33~S36の処理は、終了条件を満たすまで繰り返される。
【0130】
その後、ステップS32で所定の終了条件を満たすと判定されると(S32の「YES」)、第2計算統括部251は、最終的に算出された評価指標に基づいて、該当する計算条件に関する第2パラメータを決定する(S37)。
【0131】
第2計算統括部251が実行する、パラメータ決定処理について、以下に詳細に説明する。ここで、パラメータ生成処理(i)の場合と同様に、パラメータ決定処理対象の計算条件の集合をI、I全体に対する仮積付位置計画情報の集合をP、仮パラメータの集合をWとする。積付位置計画装置100が仮積付位置計画情報の生成に用いる積付計画アルゴリズムをA:I×W→Pとして、計算条件I∈I、パラメータw∈Wのもとで生成される仮積付位置計画情報をA(I , w)と記載することとする。また、仮積付位置計画情報に関する評価指標をF:P→R(R:実数の集合)とする。
【0132】
計算条件I∈Iに対して、好適な評価指標F を得るパラメータを求める問題は、下記式(5)のように、パラメータw∈Wを決定変数とするBlack-Box 最適化問題として定式化できる。
【数5】
つまり本問題は、「好適な積付位置計画を求める問題」を、「好適な積付位置計画が得られるようなパラメータを求める問題」置き換えた問題である。Black-Box最適化問題に対して適用可能な最適化アルゴリズムとしては、(i) 進化戦略(H.G.Beyer, H.P.Schwefel: “Evolution Strategies A Comprehensive Introduction'', Natural Computing, Vol.~1, pp.~3--52 (2002))、(ii) Particle Swarm Optimization(J.Kennedy, R.C.Eberhart:”Particle Swarm Optimization'', in Proceedings of International Conference on Neural Networks 1995, Vol.4, pp.1942-1948 (1995))、(iii) Differential Evolution(R.Storn:“Differential Evolution- A Simple and Efficient Heuristic for Global Optimization over Continuous Space'', Journal of Global Optimization, Vol.11, pp.341-359 (1997))、(iv) CMA-ES(N.~Hansen: “The CMA Evolution Strategy: A Tutorial'', arXiv:1604.00772 [cs.LG] (2016))などが挙げられる。これらのうち、性能面を考えると、本実施形態では特に(iv) CMA-ES が適している。
【0133】
CMA-ESも含めたBlack-Box 最適化アルゴリズムは,(1)解(ここでは積付位置計画装置100の仮パラメータが相当する)の生成と(2)評価を繰り返す計算手順をとる。このことを念頭に、図2のパラメータ生成装置200との対応を述べる。
【0134】
パラメータ生成装置200中の第2入力部220は、計算条件Iを入力する。仮積付位置計画評価部254は解の評価を担う。具体的には仮パラメータwのもとで、計算条件Iに対して積付位置計画装置100が生成した仮積付位置計画情報に対する評価指標Fを計算する。
【0135】
仮パラメータ生成部252と第2計算統括部251は、CMA-ESに類されるBlack-Boxアルゴリズムの計算を統括する部分である。これらの機能部は、アルゴリズム固有の手続きにより仮積付位置計画の評価結果を受けて仮パラメータを都度生成し、計算条件とあわせて積付位置計画装置100に送信する。またこの一連の処理を繰り返し行う。
【0136】
上述した処理により、第2計算統括部251は当該計算条件に関するパラメータwを決定する。第2計算統括部251は、決定した当該計算条件に関するパラメータwを、積付位置計画装置100に送信する(S38)。積付位置計画装置100では、パラメータ生成装置200から送信された当該計算条件に関する第2パラメータwをパラメータ設定部126が取得し、パラメータ記憶部134に記憶させる。
【0137】
また、第2計算統括部251は、生成した計算条件に関する第2パラメータを、積付位置計画装置100に設定した第2パラメータとして第2出力部240に出力する。
【0138】
以降、積付位置計画装置100の積付位置決定部125は、設定された第2パラメータを用いて積付位置を決定することで、積付位置計画情報を生成する。
【0139】
以下に、同じ形状および個数の荷物に関し、従来の積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成した場合と、本実施形態による積付位置計画装置100が積付位置計画情報を生成した場合とのシミュレーション結果について説明する。従来の積付位置計画装置は、人が試行錯誤により手動で調整したパラメータを用いて積付位置計画情報を生成する。本実施形態による積付位置計画装置100は、パラメータ生成装置200によりパラメータ生成処理(ii)で生成された第2パラメータを用いて積付位置計画情報を生成する。
【0140】
計算条件としては、アイテム情報の種類数およびアイテム情報の個数に基づいて図10に示す10個を用いた。
【0141】
仮積付位置計画評価部254による積付位置計画に対する評価指標としては、下記式(6)ですFを採用し、仮パラメータを設定する計算条件に対してこの評価指標Fが最小になるパラメータをCMA-ESで求めた。
【数6】
本評価指標Fは、パレット数を第一優先として最小化しつつ、パレット数が増えない範囲で積載率を最大化することを企図したものである。
【0142】
図11(a)は、上記の条件の荷物に関し、従来の積付位置計画装置が生成した積付位置計画情報により積み付けた荷物の荷姿の一例を3次元的に示した図形情報である。図11(b)は、本実施形態による積付位置計画装置が生成した積付位置計画情報により積み付けた荷物の荷姿の一例を3次元的に示した図形情報である。
【0143】
図10に示すように、従来の積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成した場合、使用するパレット数の平均は2.1であり、積載率の平均は67.3%であった。これに対し本実施形態による積付位置計画装置が積付位置計画情報を生成した場合は、使用するパレット数の平均は2.0であり、積載率の平均は71.7%であった。この結果により、本実施形態による積付位置計画装置は、従来の積付位置計画装置よりも効率の良い積付位置計画情報を生成できたことがわかる。
【0144】
以上の実施形態によれば、パラメータ生成装置200は、積付位置計画装置100で積付位置計画の生成に用いる好適なパラメータを精度良く生成することができる。具体的には、パラメータ生成処理(i)により、一定の傾向を有する不特定多数の計算条件に対して平均的に良い第1パラメータを生成することができる。また、パラメータ生成処理(i)により好適な第1パラメータが得られたかったときには、パラメータ生成処理(ii)により、ある特定の計算条件に対して有効なパラメータを生成することができる。また積付位置計画装置100は、パラメータ生成装置200で生成された第1パラメータまたは第2パラメータを用いて、効率の良い積付位置計画情報を生成することができる。
【0145】
上述した実施形態において、パラメータ生成装置200と積付位置計画装置100とは、独立した別装置で構成される。そのため、積付位置計画装置100の積付位置計画情報の生成アルゴリズムは上述したものに限定されず、所定の計算条件に対して所定のパラメータを用いて積付位置計画情報を生成できればよい。
【0146】
また、上述した実施形態において、パラメータ生成装置200の計算条件データベース211に格納する計算条件は、季節、曜日、時間帯、仕向先、荷物の種類数や個数などの条件をもとに作業者または管理者が手動で設定してもよい。または、計算条件傾向の異なる条件を、クラスタリングに代表される機械学習や統計的手法を用いて、パラメータ生成装置200が自動的に抽出し設定してもよい。
【0147】
また、上述した実施形態において、パラメータ生成装置200がパラメータを生成して積付位置計画装置100に設定する処理は、定期的に自動的に実行してもよい。または、パラメータの生成までは定期的かつ自動で行い、作業者または管理者が積付位置計画装置100に設置する操作を行う半自動で行ってもよい。または、運用傾向の変化を基に作業者または管理者が任意のタイミングで、これらの処理を行ってもよい。
【0148】
上述した実施形態では、容器に積み付ける物体が段ボール箱の場合について説明したが、これには限定されず、個別製品の収納箱、建築資材、米袋やセメント袋等の袋類など、直方体として近似可能な物体であれば用いることができる。
【0149】
また、上述した実施形態では、積付先の容器がパレットの場合について説明したが、これには限定されず、かご車、折り畳みコンテナ、トラック、建設資材置き場などであってもよい。
【0150】
また、上述した実施形態では、パラメータを用いる情報処理装置が積付位置計画装置である場合について説明したが、これには限定されず、所定の入力データから、所定のパラメータを用いて出力データを出力する情報処理装置であればよい。
【0151】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0152】
100 積付位置計画装置
110 第1入力部
120 第1CPU
121 入力情報取得部
122 ブロックパターン情報生成部
123 ブロックパターン情報管理部
124 空き空間情報管理部
125 積付位置決定部
126 パラメータ設定部
127 積付位置計画情報管理部
128 第1計算統括部
129 出力制御部
130 第1記憶部
131 ブロックパターン情報記憶部
132 空き空間情報記憶部
133 積付位置計画情報記憶部
134 パラメータ記憶部
140 第1出力部
150 第1通信部
200 パラメータ生成装置
210 第2記憶部
211 計算条件データベース
220 第2入力部
230 第2通信部
240 第2出力部
250 第2CPU
251 第2計算統括部
252 仮パラメータ生成部
253 仮積付位置計画取得部
254 仮積付位置計画評価部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11