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特開2024-42359点灯制御用のコントローラ、車両用灯具システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042359
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】点灯制御用のコントローラ、車両用灯具システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20240321BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20240321BHJP
   B60Q 1/24 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
B60Q1/04 E
B60Q1/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147023
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 謙一
(72)【発明者】
【氏名】上野 一彦
(72)【発明者】
【氏名】古藤 澄久
(72)【発明者】
【氏名】宋 典其
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA04
3K339AA28
3K339AA43
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA03
3K339CA11
3K339CA28
3K339CA30
3K339DA01
3K339DA05
3K339EA10
3K339GB01
3K339GB11
3K339GB21
3K339JA21
3K339JA22
3K339KA06
3K339KA07
3K339KA09
3K339KA11
3K339KA37
3K339KA39
3K339LA06
3K339LA07
3K339MA01
3K339MA10
3K339MC26
3K339MC35
3K339MC36
3K339MC68
3K339MC77
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照射パターンが形成されている路面をカメラによって撮影した場合において路面状況をより確実に把握可能とする。
【解決手段】車両周辺を撮影するカメラ、当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタ並びに前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットを備える車両に搭載されて当該照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラであって、間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を撮影するカメラ、当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタ並びに前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットを備える車両に搭載されて当該照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラであって、
間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う、
コントローラ。
【請求項2】
前記非撮影期間内において当該非撮影期間よりも短い時間で前記照射ユニットによる光照射が行われるように当該照射ユニットの動作制御を行う、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記撮影期間の前後に、前記照射ユニットによる光照射を実行されず前記カメラによる撮影も行われない期間を設けるように前記照射ユニットの動作制御を行う、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項4】
複数の前記撮影期間に対して1度の割合で当該撮影期間内に前記光照射ユニットによる光照射を実行させる、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記複数の前記撮影期間に対して1度の割合での前記光照射ユニットによる光照射を実行させるか否かを外部スイッチにより切り替え可能である、
請求項4に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記車両は、物体センサを更に備えており、
前記物体センサによって物体の存在が検出された場合に、前記複数の前記撮影期間に対して1度の割合での前記光照射ユニットによる光照射を実行させる、
請求項4に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記車両は、前記カメラによる撮影可能範囲の空間に光を照射可能なランプを更に備えており、
前記ランプによる光照射期間を前記カメラの撮影期間に同期させるように当該ランプの動作制御を行う、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記ランプは、バックランプ、ヘッドランプ又はコーナリングランプである、
請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記ランプは、発光ダイオード又は半導体レーザを用いた光源を備える、
請求項7に記載のコントローラ。
【請求項10】
車両周辺を撮影するカメラと、
前記当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタと、
前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットと、
前記照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う、
車両用灯具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯制御用のコントローラ、車両用灯具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両周辺の路面上に所定形状の照射パターンの光を描画する車両用灯具が知られている(例えば、特開2021-111465号公報参照)。ところで、路面上へ上記のような照射パターンが描画されている際にその路面上をカメラによって撮影してモニタ(表示装置)に表示した場合において、画像中における照射パターンに対応する部分でいわゆる白飛び(階調が失われて真っ白になる現象)を生じ、障害物の有無などの路面状況を把握しにくくなる場合がある。これは、一般的なカメラにおける撮影可能な最高輝度と最低輝度の比が10倍程度であるのに対し、路面上への照射パターンの輝度と周囲の輝度の比は、例えば100倍程度となり得るからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、照射パターンが形成されている路面をカメラによって撮影した場合において路面状況をより確実に把握可能とすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示に係る一態様のコントローラは、(a)車両周辺を撮影するカメラ、当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタ並びに前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットを備える車両に搭載されて当該照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラであって、(b)間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う、コントローラである。
[2]本開示に係る一態様の車両用灯具システムは、(a)車両周辺を撮影するカメラと、(b)前記当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタと、(c)前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットと、(d)前記照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラと、を含み、(e)前記コントローラは、間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う、車両用灯具システムである。
【0006】
上記構成によれば、照射パターンが形成されている路面をカメラによって撮影した場合において路面状況をより確実に把握可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の車両用灯具システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、コンピュータシステムの構成例を示す図である。
図3図3(A)~図3(C)は、カメラ11及び路面描画ユニット12の動作状態を模式的に示す図である。
図4図4は、コントローラ10による制御方法を説明するためのタイムチャートである。
図5図5は、コントローラ10による制御方法の変形例を説明するためのタイムチャートである。
図6図6は、コントローラ10による制御方法の変形例を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の車両用灯具システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の車両用灯具システム1は、コントローラ10、カメラ11、路面描画ユニット12、バックランプ13、スイッチ14、物体センサ15、モニタ(表示装置)16を含んで構成されている。本実施形態では、コントローラ10が「点灯制御装置」に対応し、このコントローラ10によって路面描画ユニット12を制御する方法が「点灯制御方法」に対応する。
【0009】
コントローラ10は、カメラ11、路面描画ユニット12、バックランプ13、スイッチ14、物体センサ15及びモニタ16のそれぞれと接続されており、カメラ11による撮像タイミング等に応じて路面描画ユニット12による光照射を制御するものである。このコントローラ10は、例えばプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶デバイス、入出力インターフェースなどを備えたコンピュータシステム(後述の図2参照)を用いて構成することができる。本実施形態のコントローラ10は、予め記憶デバイス(あるいはROM)に記憶されたプログラムがプロセッサによって読み出されて実行されることにより、所定の機能を発揮できる状態となる。
【0010】
カメラ11は、例えば車両後部の所定位置に設置されており、車両後方の空間を撮影する。カメラ11による撮影によって得られる画像データ(映像データ)はコントローラ10へ出力される。また、カメラ11からは撮像タイミングを示す信号がコントローラ10へ出力される。
【0011】
路面描画ユニット12は、車両後部の所定位置に設置されており、コントローラ10から与えられる制御信号に応じて動作して車両後方の路面上へ所望の照射パターンで光照射を行う。路面上に形成される照射パターンについては固定的であってもよいし、可変に設定されてもよい。照射パターンを可変に設定可能な路面描画ユニット12としては、例えば二方向に配列された複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode)を有し、各発光ダイオードの点消灯を個別に制御可能なものを用いることができる。
【0012】
なお、照射パターンを可変に設定可能な路面描画ユニット12としては、光源バルブと反射鏡や遮蔽板を組み合わせた構成のユニットを用いてもよいし、各画素の光透過状態を個別に制御可能な液晶素子と光源を組み合わせた構成のユニットを用いてもよいし、レーザダイオードなどの半導体レーザの点消灯のタイミングと走査素子による走査タイミングを制御可能なユニットを用いてもよい。さらに、各々が異なる固定配光を照射可能な複数の灯具を組み合わせた構成のユニットを用いてもよい。
【0013】
バックランプ13は、車両後部の所定位置に設置されており、例えば車両のシフトレバーが「後進」に指定された際にコントローラ10から与えられる制御信号に応じて動作して車両後方の空間(路面上を含む)へ広角に光を照射する。
【0014】
スイッチ14は、車両の運転席付近の所定位置に設置されており、路面描画ユニット12による照射パターンのモニタ16での表示態様を切り替えるために用いられる。このスイッチ14は、例えば押しボタンスイッチであってもよいし、トグルスイッチであってもよい。表示態様の具体例については後述する。
【0015】
物体センサ15は、車両後部の所定位置に設置されており、車両後部の周辺(路面上含む)に何らかの物体が存在する場合にその物体の存在を検出する。ここでいう「物体」には、例えば人間や種々の障害物が含まれる。
【0016】
モニタ16は、車両の運転席付近の所定位置に設置されており、カメラ11によって撮影される画像を表示する。モニタ16としては、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置などを用いることができる。
【0017】
上記したコントローラ10がプログラムを実行することによって実現される機能を機能ブロックにより説明する。コントローラ10は、照射タイミング設定部20、照射パターン設定部21、制御信号生成部22を含んで構成されている。
【0018】
照射タイミング設定部20は、路面描画ユニット12による光照射のタイミングを設定する。詳細には、照射タイミング設定部20は、カメラ11から映像信号を取得し、あるいはカメラ11に対して制御信号を与えることにより、カメラ11の撮影タイミングと重ならないタイミングで路面描画ユニット12による光照射が行われるようにその照射タイミングを設定する。
【0019】
照射パターン設定部21は、例えばスイッチ14の操作状況や物体センサ15による物体の検出状況に応じて照射パターンを可変に設定し、当該設定内容を制御信号生成部22へ出力する。
【0020】
制御信号生成部22は、照射パターン設定部21によって設定される照射パターンを実現するための制御信号を生成し、当該制御信号を路面描画ユニット12へ出力する。本実施形態では、制御信号生成部22は、照射タイミング設定部20によって設定される照射タイミングに応じて定まる期間に路面描画ユニット12から光照射が行われるように制御信号を生成する。
【0021】
図2は、コンピュータシステムの構成例を示す図である。上記したコントローラ10は、例えば図示のようなコンピュータシステムを用いて構成することが可能である。CPU(中央演算ユニット)201は、記憶デバイス204に格納されたプログラム207を読み出してこれを実行することにより情報処理を行う。ROM(読み出し専用メモリ)202は、CPU201の動作に必要な基本制御プログラムなどを格納する。RAM(一時記憶メモリ)203は、CPU201の情報処理に必要なデータを一時記憶する。記憶デバイス204は、データを記憶するための大容量記憶装置であり、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどで構成される。通信デバイス205は、外部の他装置との間でのデータ通信に係る処理を行う。入出力部206は、外部装置との接続を図るインターフェースである。CPU201等の相互間はバスにより相互に通信可能に接続されている。
【0022】
図3(A)~図3(C)は、カメラ11及び路面描画ユニット12の動作状態を模式的に示す図である。各図では、車両100の後部にそれぞれ設置されたカメラ11、路面描画ユニット12及びバックランプ13が模式的に示されている。本実施形態の車両用灯具システムは、基本的な動作として、カメラ11による撮影期間と路面描画ユニット12による光照射期間とが相補的になるように、コントローラ10によって路面描画ユニット12の動作を制御する。
【0023】
具体的には、図3(A)は、カメラ11によって路面上を含む車両100の後方空間が撮影されている状態を模式的に示しており、図3(B)は、路面描画ユニット12によって路面上に所定の照射パターン101の光が照射されている状態を模式的に示している。本実施形態では、カメラ11による撮影が行われている状態(図3(A)参照)においては、路面描画ユニット12による路面上への照射パターン101の照射が行われない。カメラ11による撮影期間は間欠的に複数回到来する。
【0024】
そして、ある撮影期間と次の撮影期間との間に挟まれたカメラ11による撮影が行われていない期間(非撮影期間)において、路面描画ユニット12による照射パターン101の照射が行われる状態となる(図3(B)参照)。図示の照射パターン101については一例であり、例えば物体センサ15による物体検知の有無に応じて異なる照射パターンに設定されてもよい。なお、照射パターン101の形状は固定的であってもよい。
【0025】
さらに、本実施形態の車両用灯具システムでは、カメラ11による撮影が行われている状態(図3(A)参照)と路面描画ユニット12による照射パターン101が照射されている状態(図3(B)参照)との間に、照射パターン101の照射とカメラ11による撮影のいずれもが行われていない状態が存在する。この状態を模式的に示したのが図3(C)である。次に、各状態に対応する各期間についてタイムチャートを用いて詳細に説明する。
【0026】
図4は、コントローラ10による制御方法を説明するためのタイムチャートである。上段には路面描画ユニット12の動作、下段にはカメラ11の動作がそれぞれ帯状のタイムチャートで示されている。路面描画ユニット12の動作における「ON」とは光を照射する期間を示しており、それ以外の期間(図中、ハッチングで示す期間)は光を照射しない期間を示している。また、カメラ11の動作における「ON」とは撮影期間を示しており、それ以外の期間(図中、ハッチングで示す期間)は非撮影期間を示している。
【0027】
カメラ11は、動画像を撮影するものであり、図4に示すように一定の周期Tcごとに撮影を行う。この周期Tcは、カメラ11の採用する規格によって定まるものであり、例えばPAL規格コンポジット信号の場合で25fpsに対応する長さ、NTSC規格コンポジット信号の場合で30fpsに対応する長さである。周期Tcごとに到来する撮影期間tsは、1フレームの画像を取得するのに要する期間であり、シャッター開期間あるいは露光期間とも表現できる。この撮影期間tsの長さは、周期Tcの1/2以下とすることが好ましい。例えば、NTSC規格コンポジット信号の場合であれば、1/60秒間以下とすることが好ましいといえる。
【0028】
路面描画ユニット12は、コントローラ10の制御を受けて所定の照射パターン101(図3(B)参照)を照射するものであり、図4に示すようにカメラ11の撮影期間tsと重複しない非撮影期間内において光を照射する。このときの光照射期間(図中「ON」と表示された期間)tmは、撮影期間tsと重複しない限りにおいてより長い時間に設定されることが好ましい。照射パターン101の明るさをより大きくすることができるからである。この光照射期間tmは、コントローラ10の照射タイミング設定部20によって設定される。
【0029】
光照射期間tmは、カメラ11の撮像タイミングに同期して周期Tcごとに到来することになるので、例えば周期TcがNTSC規格コンポジット信号の場合で30fpsに対応する長さ(1/30秒間)であれば、光照射期間tmの到来する周期は30Hzとなる。人間の目には、路面描画ユニット12からの照射パターン101(図3(B)参照)は30Hzで連続点灯していると知覚され得る。
【0030】
光照射期間tmと撮影期間tsとの間、換言すれば撮影期間tsの前後には、カメラ11による撮影と照射パターン101の照射のいずれもが行われていない期間tnが設けられる。これにより、カメラ11による撮影の前後には必ず路面描画ユニット12による光照射が行われない状態が存在するので、照射パターン101が照射された状態の路面がカメラ11によって撮影されることをより確実に防止できる。期間tnの長さについては、上記の目的を達成し得る限りにおいてなるべく短いことが好ましい。光照射期間tmをより長く確保するためである。
【0031】
図4では、カメラ11による撮影が行われている状態を「状態1」とし、路面描画ユニット12による光照射が行われている状態を「状態2」とし、カメラ11による撮影と照射パターン101の照射のいずれもが行われていない状態を「状態3」とし、それぞれ図4において(1)、(2)、(3)と表記している。図示のように、各状態は、状態1、状態3、状態2、状態3、状態1、状態3・・・という順で遷移する。詳細には、状態1は周期Tcで繰り返されて、状態1の前後にはそれぞれ状態3が存在する。また、状態2も周期Tcで繰り返されて、状態2の前後にもそれぞれ状態3が存在する。状態1の前の状態3と状態2の後の状態3は共通であり、状態1の後の状態3と状態2の前の状態3は共通である。
【0032】
なお、光照射期間tmにおける照射パターン101の照射態様としては、連続照射であってもよいし、パルス照射であってもよい。パルス照射の場合には、例えば200Hz~500Hz程度の周波数でのパルス照射が好ましい。パルス照射とすることで、照射パターン101の照度の増減をパルス幅によって制御できる。
【0033】
図5は、コントローラ10による制御方法の変形例を説明するためのタイムチャートである。基本的な制御方法は上記した図4に即して説明した通りであり、変更点についてのみ詳細に説明する。この変形例の制御方法においても、基本的には上記した通りに、状態1、状態3、状態2、状態3、状態1、状態3・・・という順で遷移するようにコントローラ10による路面描画ユニット12の制御が行われる。
【0034】
さらに本変形例では、カメラ11による撮影期間tsの複数回(例えば5回)に一度の割合で、撮影期間tsと路面描画ユニット12による光照射期間tmとが重複するように路面描画ユニット12が制御される。このような照射パターン101の照射とカメラ11による撮影のいずれもが行わる状態を「状態4」と呼び、図中において(4)と表示する。この状態4を撮影期間tsの複数回に一度発生させることで、間欠的に、カメラ11に路面上の照射パターン101(図3(B)参照)を撮影させることができる。その結果、モニタ16には、路面描画ユニット12によって形成された所定の照射パターン101が間欠的に表示される。状態4の発生周期にもよるが、人間の目には、照射パターン101はモニタ16において点滅表示として知覚される。
【0035】
このような照射パターン101の表示を行わせるか否かは、例えば上記したスイッチ14を用いて選択することができる。すなわち、スイッチ14の状態に応じて、照射タイミング設定部20により路面描画ユニット12の光照射タイミングが設定されることで、状態2と次の状態2との間に状態4を発生させることができる。なお、物体センサ15により物体が検知された場合に状態4を発生させるようにしてもよい。これにより、点滅表示を通じて物体の存在を運転者等に報知することができる。
【0036】
また、状態4を発生させる期間における照射パターン101の明るさを例えば1/10程度に減光してもよい。それにより、白飛びを抑制することができる。照射パターン101の減光については、路面描画ユニット12の制御方法がパルス幅制御であればオン期間のパルス幅を小さくすることで実現可能であり、電流制御であれば電流値を下げることで実現可能である。
【0037】
以上のような実施形態等によれば、照射パターンが形成されている路面をカメラによって撮影した場合において、いわゆる白飛びを回避し、路面状況をより確実に把握することが可能となる。また、照射パターン101の照射とカメラ11による撮影のいずれもが行われる状態(状態4)を間欠的に発生させる態様においては、路面状況の把握と路面描画された照射パターン101の視認とを両立させることができる。
【0038】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態におけるバックランプ13についてもその光照射タイミングをカメラ11の撮影期間に同期させるようにしてもよい。具体的には、図6に示すように、カメラ11の撮影期間tsが周期Tcで到来する場合において、バックランプ13もこの周期Tcに同期して光を出射するようにパルス制御することができる。これにより、カメラ11の撮影期間tsに対応してバックランプ13による光照射が行われるので、カメラ11によって撮影されてモニタ16に表示される画像をより明るくすることができる。
【0039】
また、上記した実施形態等では、カメラ11や路面描画ユニット12が車両後部に設置されている場合について例示していたが設置位置はこれに限定されず、車両前部、車両側部など任意の設置位置を選択することができる。例えば、カメラ11が車両前方を撮影するものであり、路面描画ユニット12が車両前方の路面上へ光照射を行うものであってもよい。この場合には、上記した実施形態におけるバックランプ13がヘッドランプやコーナリングランプなど車両前方へ光照射を行うものに置き換えられる。ここでいうコーナリングランプとは、車両の進行方向に応じて車両の斜め前方へ光を照射するランプである。これにより、車両前方における路面状況をより確実に把握可能となる。また、上記の状態4を間欠的に発生させる態様においては、車両前方の路面状況の把握と路面描画された照射パターン101の視認とを両立させることができる。
【0040】
本開示は、以下に付記する特徴を有する。
(付記1)
車両周辺を撮影するカメラ、当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタ並びに前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットを備える車両に搭載されて当該照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラであって、
間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う、
コントローラ。
(付記2)
前記非撮影期間内において当該非撮影期間よりも短い時間で前記照射ユニットによる光照射が行われるように当該照射ユニットの動作制御を行う、
付記1に記載のコントローラ。
(付記3)
前記撮影期間の前後に、前記照射ユニットによる光照射を実行されず前記カメラによる撮影も行われない期間を設けるように前記照射ユニットの動作制御を行う、
付記1又は2に記載のコントローラ。
(付記4)
複数の前記撮影期間に対して1度の割合で当該撮影期間内に前記光照射ユニットによる光照射を実行させる、
付記1~3の何れかに記載のコントローラ。
(付記5)
前記複数の前記撮影期間に対して1度の割合での前記光照射ユニットによる光照射を実行させるか否かを外部スイッチにより切り替え可能である、
付記4に記載のコントローラ。
(付記6)
前記車両は、物体センサを更に備えており、
前記物体センサによって物体の存在が検出された場合に、前記複数の前記撮影期間に対して1度の割合での前記光照射ユニットによる光照射を実行させる、
付記4に記載のコントローラ。
(付記7)
前記車両は、前記カメラによる撮影可能範囲の空間に光を照射可能なランプを更に備えており、
前記ランプによる光照射期間を前記カメラの撮影期間に同期させるように当該ランプの動作制御を行う、
付記1~6の何れかに記載のコントローラ。
(付記8)
前記ランプは、バックランプ、ヘッドランプ又はコーナリングランプである、
付記7に記載のコントローラ。
(付記9)
前記ランプは、発光ダイオード又は半導体レーザを用いた光源を備える、
付記7に記載のコントローラ。
(付記10)
車両周辺を撮影するカメラと、
前記当該カメラにより撮影された画像を表示するモニタと、
前記カメラによる撮影可能範囲の路面に光を照射可能な照射ユニットと、
前記照射ユニットの動作制御を行う点灯制御用のコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、間欠的に到来する前記カメラによる撮影期間の各々において前記照射ユニットによる光照射を実行させず、前記撮影期間同士の間の非撮影期間において前記照射ユニットによる光照射を実行させるように前記照射ユニットの動作制御を行う、
車両用灯具システム。
【符号の説明】
【0041】
10:コントローラ、11:カメラ、12:路面描画ユニット、13:バックランプ、14:スイッチ、15:物体センサ、16:モニタ、20:照射タイミング設定部、21:照射パターン設定部、22:制御信号生成部、100:車両、101:照射パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6