(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042365
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20240321BHJP
H02K 3/28 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K3/28 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147036
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 光生
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB10
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC05
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD06
5H603CD22
(57)【要約】
【課題】コイルの占積率を向上することができるモータを提供する。
【解決手段】モータは、ステータを備える。前記ステータは、径方向に突出した複数の磁極部を有するステータコアと、前記複数の磁極部の間に配置されるコイルと、を備える。前記コイルは、前記複数の磁極部の間に配置される第1導体部と第2導体部と第3導体部と第4導体部と、周方向において前記第1導体部および前記第2導体部をつなぐ第5導体部と、前記周方向において前記第3導体部および前記第4導体部をつなぐ第6導体部と、を有する。前記周方向において、前記第6導体部は、前記第5導体部よりも長い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータを備え、
前記ステータは、
径方向に突出した複数の磁極部を有するステータコアと、
前記複数の磁極部の間に配置される複数のコイルと、
を備え、
前記コイルは、
前記複数の磁極部の間に配置される第1導体部と第2導体部と第3導体部と第4導体部と、周方向において前記第1導体部および前記第2導体部をつなぐ第5導体部と、周方向において前記第3導体部および前記第4導体部をつなぐ第6導体部と、を有し、
周方向において、前記第6導体部は、前記第5導体部よりも大きい、
モータ。
【請求項2】
一つの導電部材で前記第5導体部と前記第6導体部とは形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第5導体部と前記第6導体部とは、同一の相を形成する、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記コイルは、前記相を第1相として、当該第1相のコイルであり、
前記複数のコイルは、前記第1相のコイルと、当該第1相のコイルと異なる第2の相のコイルと、を有し、
前記第2の相のコイルは、径方向において、前記第1相のコイルの内側に配置される、
請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
軸方向において、前記第1相のコイルの、巻き始め端部は、巻き終わり端部が延びる方向に延びる、
請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1相のコイルは、径方向において、折り曲げ部を有する、
請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
軸方向において、前記ステータは、一方の端部と、他方の端部とを備え、
前記第5導体部は、前記第6導体部に対して前記ステータの一方の端部側に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項8】
前記複数の磁極部は、第1磁極部を含み、
周方向において、前記第1導体部は前記第1磁極部の一方の端部側に配置され、前記第2導体部は前記第1磁極部の他方の端部側に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項9】
前記複数の磁極部は、第2磁極部を含み、
前記周方向において、前記第1導体部は前記第2磁極部の他方側に配置され、前記第3導体部は前記第2磁極部の一方側に配置される、
請求項8に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレス成形などで各相のコイル導体を作成し、それらのコイル導体をステータに設けるモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のモータにおいて、高出力化を目的として、コイルのさらなる占積率の向上が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、コイルの占積率を向上することができるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータは、ステータを備え、前記ステータは、径方向に突出した複数の磁極部を有するステータコアと、前記複数の磁極部の間に配置されるコイルと、を備え、前記コイルは、前記複数の磁極部の間に配置される第1導体部と第2導体部と第3導体部と第4導体部と、周方向において前記第1導体部および前記第2導体部をつなぐ第5導体部と、前記周方向において前記第3導体部および前記第4導体部をつなぐ第6導体部と、を有し、前記周方向において、前記第6導体部は、前記第5導体部よりも長い。
【0007】
一つの態様によれば、本発明に係るモータによれば、コイルの占積率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るモータの平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すステータが備える本体部およびステータコアの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すステータが備える複数のコイルの斜視図である。
【
図5】
図5は、複数の導体部と、複数の磁極部との関係を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4に示すコイルを形成する金属材の平面図である(コイルの展開状態を示した展開図である)。
【
図7】
図7は、複数相のコイルのうち、U相を形成する第1コイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
図1は、実施形態に係るモータ1の平面図である。
図2は、
図1に示すモータ1の斜視図である。
図3は、
図2に示すステータ3が備える本体部311およびステータコア31の斜視図である。
図4は、
図2に示すステータ3が備える複数のコイル32の斜視図である。なお、
図1において、複数の相を形成する複数のコイル32(以下、複数相のコイルと呼称する)のうち、U相を形成する第1コイル32Uを実線で示し、V相を形成する第2コイル32V、および、W相を形成する第3コイル32Wを仮想線で示す。また、本実施形態に係るモータ1は、
図1に示すように複数相のコイル32を備えるが、構成の理解を容易にするため、他の図においては、複数相のコイル32のうち、一つの相である第1コイル32Uのみを示し、他の相である第2コイル32Vおよび第3コイル32Wを省略する。
【0011】
各図面において、説明を容易にするため、後述するシャフト22が延びる方向を軸方向Aと言い、後述するロータ2が回転する方向を周方向Cと言い、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト22の軸心22oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと言う。
【0012】
実施形態に係る
図1に示すモータ1は、例えば三相交流電源からの電気エネルギーを、シャフト22の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。また、本実施形態に係るモータ1は、例えばステータ3の径方向Rの内側にロータ2が位置するインナーロータ型のブラシレスモータである。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0013】
モータ1は、例えば、ロータ2と、ステータ3と、を備える。ロータ2は、周方向Cに並んだ複数のマグネット21と、回転軸となるシャフト22と、複数のマグネット21を保持する鉄心23と、を有する。シャフト22は、一方側の端部22aと、他方側の端部22bとを備える。シャフト22の一方側の端部22aは、軸方向Aの一方側にあり、他方側の端部22bは、軸方向Aの他方側にある。ロータ2は、モータ1において回転軸であるシャフト22に固定されている。本実施形態に係るロータ2は、例えば8個のマグネット21を備える。
【0014】
ステータ3は、ロータ2を周方向Cへ回転させるための力を発生させる部分である。ステータ3は、
図2に示すステータコア31と、
図1に示す複数相のコイル32と、を備える。ステータコア31は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性体により形成され、磁性を有する。ステータコア31は、
図3に示すように、本体部311と、複数の磁極部312とを、備える。複数の磁極部312の間には複数のスロット313が形成されている。よって、ステータ3は、周方向Cにおいて、複数の磁極部312の間に形成された、複数のスロット313を備える。本実施形態に係るステータコア31は、例えば1つの本体部311と、24個の磁極部312とを備える。ステータ3は、24個のスロット313を備える。また、ステータ3は、軸方向Aにおいて、一方の端部3aと、他方の端部3bと、を備える。
【0015】
本体部311は、軸方向Aの両端に開口を有して円筒状に形成される。磁極部312は、径方向Rにおいて、本体部311の内周面からロータ2へ向けて突出するように形成される。磁極部312の表面には、例えば、電着塗装が施されることで、磁極部312とコイル32との間の絶縁性が確保される。本実施形態に係るステータ3において、24個の磁極部312は同一形状に形成される。そのため、24個の磁極部312の構成に相違はないが、後に説明するコイル32と磁極部312との配置を説明するため、便宜的に磁極部312の一部を、第1磁極部312a、第2磁極部312b、第3磁極部312c、第4磁極部312d、第5磁極部312e、第6磁極部312f、第7磁極部312g(
図3、
図5参照)等と呼称する場合がある。また、スロット313は、ステータ3において、軸方向Aへ延びるように形成されている。
【0016】
複数のコイル32は、例えば、銅等の導電性を有する金属の平板を打ち抜いて形成される。このような複数のコイル32は、例えば、ポリイミド等の耐熱性樹脂により形成された絶縁性の被覆層で覆われる。
【0017】
複数相のコイル32は、
図1に示すように、第1コイル32Uと、第2コイル32Vと、第3コイル32Wと、を備える。第1コイル32Uは、モータ1のU相を構成する。また、第2コイル32Vは、モータ1のV相を構成する。さらに、第3コイル32Wは、モータ1のW相を形成する。
【0018】
第1コイル32Uは、第2コイル32Vおよび第3コイル32Wよりも径方向Rの外側に配置される。そして、第1コイル32Uは、軸方向Aから視た場合、環状に配置される。
【0019】
第2コイル32Vは、径方向Rにおいて、第1コイル32Uの内側(ロータ2側)であって、かつ、第3コイル32Wよりも外側(ステータコア31の本体部311側)に配置される。そして、第2コイル32Vは、軸方向Aから視た場合、環状に配置される。
【0020】
第3コイル32Wは、径方向Rにおいて、第1コイル32Uおよび第2コイル32Vよりも内側(ロータ2側)に配置される。そして、第3コイル32Wは、軸方向Aから視た場合、環状に配置される。
【0021】
つまり、本実施形態に係るモータ1は、複数の相を有し、径方向Rにおいて、後述する第5導体部323eおよび第6導体部323fを有するU相の第1コイル32Uの内側に、U相とは異なるV相の第2コイル32V、W相の第3コイル32Wが配置される。
【0022】
第1コイル32U、第2コイル32V、および、第3コイル32Wは、半径の大きさを除いて、同様に形成される。そこで、以下に第1コイル32Uについて説明し、第2コイル32Vおよび第3コイル32Wの説明を省略する。
【0023】
第1コイル32Uは、
図4に示すように、円筒状に形成された部分(以下、外側部と呼称する)321と、円筒状に形成され、外側部321の径方向Rの内側に配置された部分(以下、内側部と呼称する)322と、を備える。外側部321、および、内側部322は、半径の大きさを除いて、同様に形成される。そこで、以下に外側部321について説明し、内側部322は、外側部321と異なる部分についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0024】
外側部321は、軸方向Aに延在する部分(以下、構成部と呼称する)323を4つ有し、4つの構成部323は、周方向Cに配置されている。そこで、重複した説明を避けるため、以下に1つの構成部323について説明し、残りの3つの構成部323の説明を省略する。
【0025】
構成部323は、複数の導体部を有する。より具体的に説明すると、構成部323は、第1導体部323aと、第2導体部323bと、第3導体部323cと、第4導体部323dと、第5導体部323eと、第6導体部323fと、第7導体部323gと、第8導体部323hと、第9導体部323iと、第10導体部323jと、第11導体部323kと、第12導体部323lと、第13導体部323mと、第14導体部323nと、第15導体部323oと、を有する。
【0026】
上記した第1コイル32Uが有する複数の導体部323a~323oは、複数のスロット13のそれぞれに配置される。つまり、本実施形態に係るモータ1において、全部のスロット13に対してそれぞれ第1コイル32Uを形成する導体部が配置されている。
【0027】
第1導体部323aと、第2導体部323bと、第3導体部323cと、第4導体部323dと、第5導体部323eと、第6導体部323fと、第7導体部323gと、第8導体部323hと、第9導体部323iと、第10導体部323jと、第11導体部323kと、第12導体部323lと、第13導体部323mと、第14導体部323nと、第15導体部323oとは、後述するように一体的に形成され、同一の相(本実施形態に係るモータ1においてはU相)を形成する。
【0028】
第1導体部323aと、第2導体部323bと、第3導体部323cと、第4導体部323dと、第7導体部323gと、第8導体部323hとは、軸方向Aに延びる。第5導体部323eと、第6導体部323fと、第9導体部323iと、第10導体部323jと、第11導体部323kと、第12導体部323lと、第13導体部323mと、第14導体部323nと、第15導体部323oとは、周方向Cに延びる。
【0029】
第5導体部323eは、周方向Cにおいて第1導体部323aと第2導体部323bとをつなぐ。第6導体部323fは、周方向Cにおいて第3導体部323cと第4導体部323dとをつなぐ。第9導体部323iは、周方向Cにおいて第7導体部323gと第8導体部323hとをつなぐ。
【0030】
第10導体部323jは、周方向Cにおいて第7導体部323gと、当該第7導体部323gを含む構成部323に対して
図4中、左側に隣接する他の構成部323とをつなぐ。
【0031】
第12導体部323lは、周方向Cにおいて第3導体部323cと、当該第3導体部323cを含む構成部323に対して
図4中、左側に隣接する他の構成部323とをつなぐ。
【0032】
第14導体部323nは、周方向Cにおいて第1導体部323aと、当該第1導体部323aを含む構成部323に対して
図4中、左側に隣接する他の構成部323とをつなぐ。
【0033】
第11導体部323kは、周方向Cにおいて第8導体部323hと、当該第8導体部323hを含む構成部323に対して
図4中、右側に隣接する他の構成部323とをつなぐ。
【0034】
第13導体部323mは、周方向Cにおいて第4導体部323dと、当該第4導体部323dを含む構成部323に対して
図4中、右側に隣接する他の構成部323とをつなぐ。
【0035】
第15導体部323oは、周方向Cにおいて第2導体部323bと、当該第2導体部323bを含む構成部323に対して
図4中、右側に隣接する他の構成部323とをつなぐ。
【0036】
第5導体部323e、第6導体部323f、および、第9導体部323iは、軸方向Aの他方側に配置される。そして、第6導体部323fは、軸方向Aにおいて、第5導体部323eと第9導体部323iとの間に隣接して配置される。換言すると、軸方向Aにおいて、第5導体部323eは、第6導体部323fに対してステータ3の一方の端部3a側に配置される。
【0037】
第10導体部323j、第12導体部323l、および、第14導体部323nは、軸方向Aの一方側に配置される。そして、第12導体部323lは、軸方向Aにおいて、第10導体部323jと第14導体部323nとの間に隣接して配置される。
【0038】
第11導体部323k、第13導体部323m、および、第15導体部323oは、軸方向Aの一方側に配置される。そして、第13導体部323mは、軸方向Aにおいて、第11導体部323kと第15導体部323oとの間に隣接して配置される。
【0039】
また、周方向Cにおいて、第6導体部323fの長さは、第5導体部323eの長さよりも大きい。さらに、周方向Cにおいて、第9導体部323iの長さは、第6導体部323fの長さよりも大きい。
【0040】
次に、複数の導体部323a~323oと、複数の磁極部312との関係について
図5を用いて説明する。
図5は、複数の導体部323a~323oと、複数の磁極部312との関係を示す斜視図である。
図5に示すように、軸方向Aにそれぞれ延びる第1導体部323a、第2導体部323b、第3導体部323c、第4導体部323d、第7導体部323g、および、第8導体部323hは、周方向Cにおいて複数の磁極部312の間に配置される。より具体的に説明すると、第1導体部323aは、周方向Cにおいて第1磁極部312aと第2磁極部312bとの間に配置される。換言すると、第1導体部323aは、周方向Cにおいて第1磁極部312aの一方の端部側に配置される。別の言い方をすると、第1導体部323aは、周方向Cにおいて第2磁極部312bの他方の端部側に配置される。
【0041】
また、第1磁極部312aに対して、周方向Cにおいて第1導体部323aと第2導体部323bとが隣接し、かつ、軸方向Aにおいて第5導体部323eが隣接する。そして、第1導体部323aと第2導体部323bとが第5導体部323eを介して電気的に接続される。このため、第1磁極部312aの一部を、第1コイル32Uの導体部が囲んでいる。より具体的に説明すると、軸方向Aにおいて、第1磁極部312aの一方側の端部には、第5導体部323eと、第6導体部323fと、第9導体部323iと、が配置される。つまり、軸方向Aにおいて、第1磁極部312aには、複数の導体部323e、323f、323iが配置される。
【0042】
第2磁極部312bに対して、周方向Cにおいて第1導体部323aと第3導体部323cとが隣接し、かつ、軸方向Aにおいて第6導体部323fと第14導体部323nとが隣接する。第3磁極部312cに対して、周方向Cにおいて第2導体部323bと第4導体部323dとが隣接し、かつ、軸方向Aにおいて第6導体部323fと第15導体部323oとが隣接する。そして、第1導体部323aと第2導体部323bとが第5導体部323eを介して電気的に接続され、かつ、第3導体部323cと第4導体部323dとが第6導体部323fを介して電気的に接続される。これらのため、第2磁極部312bおよび第3磁極部312cの一部を、第1コイル32Uの導体部が囲んでいる。より具体的に説明すると、軸方向Aにおいて、第2磁極部312bの一方側の端部には、第6導体部323fと、第9導体部323iと、が配置される。加えて、第2磁極部312bの他方側の端部には、第14導体部323nが配置される。つまり、軸方向Aにおいて、第2磁極部312bには、複数の導体部323f、323i、323nが配置される。さらに、軸方向Aにおいて、第3磁極部312cの一方側の端部には、第6導体部323fと、第9導体部323iと、が配置される。加えて、第3磁極部312cの他方側の端部には、第15導体部323oが配置される。つまり、軸方向Aにおいて、第2磁極部312bには、複数の導体部323f、323i、323oが配置される。
【0043】
第4磁極部312dに対して、周方向Cにおいて第3導体部323cと第7導体部323gとが隣接し、かつ、軸方向Aにおいて第9導体部323iと第12導体部323lとが隣接する。第5磁極部312eに対して、周方向Cにおいて第4導体部323dと第8導体部323hとが隣接し、かつ、軸方向Aにおいて第9導体部323iと第13導体部323mとが隣接する。そして、第3導体部323cと第4導体部323dとが第6導体部323fを介して電気的に接続され、かつ、第7導体部323gと第8導体部323hとが第9導体部323iを介して電気的に接続される。これらのため、第4磁極部312dおよび第5磁極部312eの一部を、第1コイル32Uの導体部が囲んでいる。より具体的に説明すると、軸方向Aにおいて、第4磁極部312dの一方側の端部には、第9導体部323iが配置される。加えて、第4磁極部312dの他方側の端部には、第12導体部323lと、第14導体部323nとが配置される。つまり、軸方向Aにおいて、第4磁極部312dには、複数の導体部323i、323l、323nが配置される。さらに、軸方向Aにおいて、第5磁極部312eの一方側の端部には、第9導体部323iが配置される。加えて、第5磁極部312eの他方側の端部には、第13導体部323mと、第15導体部323oとが配置される。つまり、軸方向Aにおいて、第5磁極部312eには、複数の導体部323i、323m、323oが配置される。
【0044】
また、第2導体部323bは、周方向Cにおいて第1磁極部312aと第3磁極部312cとの間に配置される。換言すると、第2導体部323bは、周方向Cにおいて第1磁極部312aの他方の端部側に配置される。別の言い方をすると、第2導体部323bは、周方向Cにおいて第3磁極部312cの一方の端部側に配置される。
【0045】
第3導体部323cは、周方向Cにおいて第2磁極部312bと第4磁極部312dとの間に配置される。換言すると、第3導体部323cは、周方向Cにおいて第2磁極部312bの一方の端部側に配置される。別の言い方をすると、第3導体部323cは、周方向Cにおいて第4磁極部312dの他方の端部側に配置される。
【0046】
第4導体部323dは、周方向Cにおいて第3磁極部312cと第5磁極部312eとの間に配置される。換言すると、第4導体部323dは、周方向Cにおいて第3磁極部312cの他方の端部側に配置される。別の言い方をすると、第4導体部323dは、周方向Cにおいて第5磁極部312eの一方の端部側に配置される。
【0047】
第7導体部323gは、周方向Cにおいて第4磁極部312dと第6磁極部312fとの間に配置される。換言すると、第7導体部323gは、周方向Cにおいて第4磁極部312dの一方の端部側に配置される。別の言い方をすると、第7導体部323gは、周方向Cにおいて第6磁極部312fの他方の端部側に配置される。
【0048】
第8導体部323hは、周方向Cにおいて第5磁極部312eと第7磁極部312gとの間に配置される。換言すると、第8導体部323hは、周方向Cにおいて第5磁極部312eの他方の端部側に配置される。別の言い方をすると、第8導体部323hは、周方向Cにおいて第7磁極部312gの一方の端部側に配置される。
【0049】
次に、第1コイル32Uに設けられる複数の端子部33a、33bの一例について
図4を用いて説明する。端子部33a、33bは、不図示の電源にそれぞれ接続される。本実施形態に係る第1コイル32Uにおいて、一方の端子部33aは、例えばコイル32における巻き始め端部であって外側部321に設けられ、他方の端子部33bは、例えばコイル32における巻き終わり端部であって内側部322に設けられる。本実施形態に係る一方の端子部33aは、軸方向Aの一方側に、言い換えれば、他方の端子部33bが延びる方向に延びている。
【0050】
次いで、上述した第1コイル32Uの形成について
図6を用いて説明する。第1コイル32Uは、例えば銅等の導電性を有する金属の平板を打ち抜いて形成する。つまり、本実施形態に係る第1コイル32Uは、第5導体部323eおよび第6導体部323fを含む外側部321と、内側部322とが一体的に形成される。
図6は、
図4に示す第1コイル32Uを形成する金属材34の平面図である。つまり、
図6は、第1コイル32Uの展開状態を示した展開図である。なお、
図6において、磁極部312は仮想線で示し、ステータ3にコイル32を組み付けた状態での導体部と磁極部312との位置を示してある。また、
図6における横方向Xは、
図1~
図5の周方向Cに対応し、縦方向Yは、
図2~
図5の軸方向Aに対応する。
【0051】
図6に示す金属材34を、作業者は、第1コイル32Uの形状に打ち抜き、その打ち抜いた金属材34の表面に電着塗装を施して絶縁性を確保する。その後、作業者は、打ち抜いた金属材34を、縦方向Yにおいて、金属材34の中央に位置する折り返し線34bで折り曲げる。その後、作業者は、横方向Xおよび縦方向Yにそれぞれ直交する厚さ方向において、外側部321に相当する部分と、内側部322に相当する部分とを対向させる。そのため、横方向Xへ延びる折り返し線34bと、打ち抜いた金属材34における縦方向Yへ延びる部分とが交差する折り曲げ部34aにおいて、外側部321に相当する部分と、内側部322に相当する部分とが電気的に接続された状態に維持される。
【0052】
その後、作業者は、金属材34を、環状になるように折り曲げる。次に作業者は、横方向Xにおいて、一方の端部341と他方の端部345とを連結し、一方の端部342と他方の端部346とを連結し、一方の端部343と他方の端部347とを連結し、一方の端部344と他方の端部348とを連結して
図4に示す第1コイル32Uを形成する。ここで、
図7に示す折り曲げ部34aは、第1コイル32Uを径方向Rにおいて折り返す部分となっており、外側部321と内側部322とを電気的に接続する部分となっている。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態に係る複数のコイル32により、複数の磁極部312に対して軸方向Aの双方に導体部が多く配置でき、磁極部312の周囲(磁極部312の軸方向Aおよび周方向C)に配置される導体部の割合(占積率)を高くすることができる。その結果、磁極部312に対するコイル32の占積率を向上することができるから、モータ1の出力を向上することができる。
【0054】
本実施形態に係る複数のコイル33により、複数の磁極部312に分布巻きが施されているので、本実施形態に係るモータ1のコギングトルクを減少することができる。
【0055】
本実施形態に係るコイル32は、複数の磁極部312の間に配置される第1導体部323aと第2導体部323bと第3導体部323cと第4導体部323dと、周方向Cにおいて第1導体部323aおよび第2導体部323bをつなぐ第5導体部323eと、周方向Cにおいて第3導体部323cおよび第4導体部323dをつなぐ第6導体部323fと、を有し、周方向Cにおいて、第6導体部323fは、第5導体部323eよりも大きい。そのため、磁極部312の周囲に配置される導体部の割合を高くすることができる。
【0056】
本実施形態に係るコイル32は、第5導体部323eおよび第6導体部323fを含む外側部321と、内側部322とが一体的に形成される。そのため、各導体部323a~323oを個別に接合する作業が不要であるから、コイル32の製造作業を容易にすることができる。
【0057】
本実施形態に係るモータ1のコイル32において、一方の端子部(巻き始め端部)33aは、他方の端子部(巻き終わり端部)33bが延在する方向に延びているように形成される。そのため、本実施形態に係るモータ1は、軸方向Aにおいて小型化することができる。
【0058】
本実施形態に係るコイル32は、径方向Rにおいて、折り曲げ部34aを有する。そのため、一枚の金属材34を打ち抜いて、外側部321と内側部322とを一体的に形成することができる。
【0059】
また、上述した実施形態に係るモータ1は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータに適用したものを説明したが、これに限られない。本実施形態に係るモータ1は、例えばステータ3の径方向Rの外側にロータ2が位置するアウターロータ型のモータに適用することができる。
【0060】
また、上述した実施形態に係るロータ2は、8個のマグネット21を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るロータ2のマグネット21の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0061】
さらに、上述した実施形態に係るステータ3は、24個の磁極部312と、24個のスロット13とを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3の磁極部312の数とスロット13の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0062】
また、上述した実施形態に係るコイル32は、一枚の金属材34を打ち抜いて形成したプレスコイル型のものを説明した。しかし、本実施形態に係るコイル32はそれに限られない。コイル32は、例えば、平角線または丸線を用いて形成することができる。
【0063】
さらに、上述した実施形態に係るステータ3において、U相を構成する第1コイル32U、V相を構成する第2コイル32V、およびW相を構成する第3コイル32Wのそれぞれは、8個の構成部323で構成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係るステータ3の各コイル32を構成する構成部323の数は、それに限られず、任意に設定することができる。
【0064】
また、上述した実施形態に係る各コイル32は、外側部321と内側部322とを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係る各コイル32は、それに限られない。例えば、端子部33a、33bを引き出す方向に制限がないコイル33は、外側部321および内側部322のいずれか一方だけを有し、軸方向Aの両側に端子部33a、33bをそれぞれ設けてもよい。
【0065】
以上、本発明に係るモータ1の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0066】
1 モータ、 3 ステータ、 31 ステータコア、 312 磁極部、 312a 第1磁極部、 312b 第2磁極部、 32 コイル、 323a 第1導体部、 323b 第2導体部、 323c 第3導体部、 323d 第4導体部、 323e 第5導体部、 323f 第6導体部、 33a 一方の端子部(巻き始め端部)、 33b 他方の端子部(巻き終わり端部)、 34a 折り曲げ部、 A 軸方向、 C 周方向、 R 径方向