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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042367
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】撮影装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240321BHJP
【FI】
G06Q30/02 372
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147038
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戎子 さやか
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】要 雄喜
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 亜優美
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】顔認証サービスのために顔を撮影されることの抵抗感を抑えることができる撮影装置および情報処理システムを提供する。
【解決手段】本開示の撮影装置は、ユーザーの要求に基づいて顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影部と、前記顔を撮影したユーザーに対し、前記顔画像データによる顔認証を用いた顔認証サービスの利用を勧める報知を行う報知部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの要求に基づいて顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影部と、
前記顔を撮影したユーザーに対し、前記顔画像データによる顔認証を用いた顔認証サービスの利用を勧める報知を行う報知部と、
を備える、撮影装置。
【請求項2】
前記顔を撮影したユーザーから、前記顔画像データを記憶することに関する同意が得られた場合に、クーポンを発行するクーポン発行部をさらに備える、
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
ユーザーの要求に基づいて顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影部と、
前記顔を撮影したユーザーに対し、前記顔画像データによる顔認証を用いた顔認証サービスの利用を勧める報知を行う報知部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項4】
前記顔を撮影したユーザーから、前記顔画像データを記憶することに関する同意が得られた場合にクーポンを発行するクーポン発行部と、
前記顔画像データと発行した前記クーポンの識別データとを互いに関連付けて記憶する記憶部と、
をさらに備える、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記クーポンを提示したユーザーから、当該クーポンを提示したユーザーの顔画像データを用いた顔認証サービスに利用することに関する同意が得られた場合に、前記クーポンを提示したユーザーに対して前記クーポンに対応する特典を付与する特典処理を実行する特典処理部をさらに備える、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記クーポンを提示したユーザーの顔を撮影する第2撮影部と、
提示された前記クーポンの前記識別データが示す前記クーポンの種別が所定の条件を満たす場合に、前記第2撮影部が生成した第2顔画像データと、提示された前記クーポンの前記識別データに関連付けられた顔画像データとの照合を行う照合部と、
をさらに備え、
前記特典処理部は、前記照合の結果に基づいて、前記クーポンを提示したユーザーに対して前記特典処理を実行する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記特典処理の実行に関連付けて、前記顔認証サービスへの前記ユーザーの登録を行う登録処理を実行する登録処理部をさらに備える、
請求項5に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔画像データによる顔認証サービスに係る撮影装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーの顔による顔認証を用いた種々の顔認証サービスが普及しつつある。顔認証サービスの例としては、顔認証を用いた決済サービス、販促サービス、入退室管理等が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、顔認証機とサーバ装置とで顔認証に係る処理を分担することによって、処理負荷を軽減する顔認証システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-113749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人によっては、自分の顔画像データが顔認証サービスを提供する組織(企業など)に管理されることや、顔を撮影されること自体に抵抗感を抱く場合がある。このような抵抗感を払拭し、顔認証サービスを普及させたいという要望がある。
【0006】
本開示は、顔認証サービスのために顔を撮影されることの抵抗感を抑えることができる撮影装置および情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る撮影装置は、ユーザーの要求に基づいて顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影部と、前記顔を撮影したユーザーに対し、前記顔画像データによる顔認証を用いた顔認証サービスの利用を勧める報知を行う報知部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、ユーザーの要求に基づいて顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影部と、前記顔を撮影したユーザーに対し、前記顔画像データによる顔認証を用いた顔認証サービスの利用を勧める報知を行う報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、顔認証サービスのために顔を撮影されることの抵抗感を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図
図2】第1の実施の形態におけるクーポン発行までの動作例を説明するためのフローチャート
図3】クーポンを提示したユーザーに対する特典付与処理の動作例を説明するためのフローチャート
図4】本開示の第2の実施の形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図
図5】第2の実施の形態におけるクーポン発行までの動作例を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
【0012】
以下では、各開示の実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。情報処理システムは、所定の顔認証サービスの未利用ユーザーに対して、顔を撮影した場合に顔認証サービスに関するクーポンなどの特典を得る権利を与えるとともに、権利を行使しようとするユーザーから顔認証サービスにおいて顔画像を利用することの同意を得るものである。
【0013】
なお、本開示において顔認証サービスとは、ユーザーの顔画像データを用いてユーザーを認証し、認証したユーザーに対して何らかのサービスを提供するものである。本開示では、顔認証サービスが提供するサービスの内容については限定しない。顔認証サービスが提供するサービスとしては、例えば、認証したユーザーの口座残高を用いて自動的に決済する自動決済サービス、特定の施設において認証したユーザーの入退室を管理する入退室管理サービス、認証したユーザーに来店回数や購入金額等に応じたポイントを付与するポイントサービスなどを含む。さらに、顔認証サービスが提供するサービスは、認証したユーザーがこれらのサービスを利用することを通じて収集されたユーザーの特性(購買行動履歴、小売店内の移動経路、年齢、性別、サービス利用地域など)に基づいてユーザーに適した商品を提示するターゲッティング広告を打つなどするマーケティングサービスまで含む。
【0014】
後述するように、ユーザーから顔画像データを顔認証サービスに利用することに関する同意を求める際、主たるサービス(自動決済サービス、入退室管理サービス、ポイントサービスなど)に利用することに関する同意だけではなく、これらのサービスに付随するマーケティングサービスに利用することに関する同意まで求めることになる。
【0015】
<第1の実施の形態>
(全体構成)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る情報処理システム100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、情報処理システム100は、クーポン発行装置1と、特典処理装置2と、管理装置3と、を備える。クーポン発行装置1と、特典処理装置2と、管理装置3とは、インターネットなどのネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0016】
[クーポン発行装置1]
クーポン発行装置1は、クーポンを所望するユーザーの顔を撮影して顔画像を生成し、顔画像を生成したユーザーに対してクーポンを与える。
【0017】
クーポン発行装置1は、例えば、顔認証サービスを提供する施設に設置される。顔認証サービスを提供する施設とは、例えば小売店、飲食店、スポーツジム、駅、役所、銀行、宿泊施設、娯楽施設などの各種施設である。クーポン発行装置1は、例えば施設の入口や大きな通路脇など、目立つ場所に設置されることが望ましい。
【0018】
例えばクーポン発行装置1は、撮影部11と、クーポン発行部12と、ユーザーインターフェース(以下、UI)13と、を備える。
【0019】
撮影部11は、CCDやCMOSなどのイメージセンサを有し、ユーザーの顔を撮影して顔画像データを生成する。撮影部11が撮影した顔画像データを、以下の説明において、第1顔画像データと記載することがある。撮影部11が生成した顔画像データには、顔画像データを識別するための顔画像識別情報が付与される。顔画像識別情報の生成は撮影部11が行ってもよいし、情報処理システム100の他の構成が行ってもよい。顔画像識別情報には、例えば顔画像ごとに付与された識別番号などが含まれる。
【0020】
クーポン発行部12は、撮影部11が顔画像を生成したユーザーに対し、顔認証サービスに関するクーポンを発行する。顔認証サービスに関するクーポンとは、例えば、ターゲッティング広告サービスに関するクーポン、自動決済サービスに関するクーポン、入退室管理サービスに関するクーポンなどである。クーポンは、ユーザーに対し、特典を受ける権利を与えるものである。具体例を挙げると、ターゲッティング広告サービスに関するクーポンは、ターゲッティング広告サービスでユーザーに提示する商品の価格を割り引く、または割引額相当をユーザーに還元する特典をユーザーに与える。また、自動決済サービスに関するクーポンは、自動決済サービスの利用日に応じた倍率でポイントを付与する特典をユーザーに与える。また、入退室管理サービスに関するクーポンは、入退室管理サービスの利用開始にともない景品を提供する特典をユーザーに与える。
【0021】
クーポン発行部12はクーポンを発行した際、クーポンを識別するためのクーポン識別情報を付与する。クーポン識別情報には、それぞれのクーポンの識別番号、クーポンと関連する顔認証サービス、特典の内容、有効期限、クーポンを利用可能な場所(店舗名、売り場名など)などの各種情報が含まれる。クーポンを発行したユーザーの顔IDと当該クーポンのクーポン識別情報とは、管理装置3に送信され、後述のように管理装置3において互いに関連付けられて管理される。
【0022】
クーポン発行部12が発行するクーポンは紙や樹脂などに印刷されたものでもよいし、データ形式のものであってもよい。クーポンが紙に印刷されたものである場合、クーポン発行部12は、プリンタ機能を有し、クーポンの名称やクーポン識別情報を紙や樹脂に印刷すればよい。また、クーポンがデータ形式のものである場合、クーポン発行部12は、例えばユーザーが有する携帯端末装置(スマートフォン、タブレット端末など)にクーポン識別情報を送信し、携帯端末装置に表示させるようにすればよい。
【0023】
UI13は、文字や画像を表示するディスプレイなどの表示デバイス、音声を発する音声デバイス、ユーザーの操作を受け付ける操作デバイスなどを含む。UI13は、クーポンを受け取りに来たユーザーに対し、顔を撮影して顔画像データを情報処理システム100で記憶し管理することに対する同意を求めるとともに、ユーザーによる、同意するか否かの意思を示す操作を受け付ける。
【0024】
以上の構成により、クーポン発行装置1は、顔を撮影し顔画像データを生成したユーザーに対して、顔画像データを情報処理システム100で一定期間、記憶、管理することの同意を求め、報酬としてクーポンを発行する。このように、同意に対して報酬を与えることをユーザーに予め伝えることで、同意を得られやすくなり、顔を撮影されること、および顔画像データを記憶されることに対するユーザーの抵抗感を軽減できる。
【0025】
[特典処理装置2]
特典処理装置2は、クーポン発行装置1がユーザーに発行したクーポンをユーザーが使用しようとしたとき、ユーザーにクーポンに対応した特典を付与する特典処理を実行する。特典処理装置2は、例えば小売店においては商品の会計を受け付けるレジスタ装置である。
【0026】
特典処理装置2は、読取部21と、UI22と、特典処理部23と、撮影部24と、照合部25と、を備える。
【0027】
読取部21は、ユーザーが提示するクーポンを読み取る。読取部21は例えばスキャン機能を有し、紙や樹脂に印刷されたクーポンをスキャンしてクーポンに関する情報を取得する。読取部21は例えばNFC(Near Field Communication)機能を有し、ユーザーの携帯端末装置と通信してクーポンに関する情報を取得してもよい。読取部21は、コードリーダー機能を有し、携帯端末装置に表示された2次元コードなどを読み取ることでクーポンに関する情報を取得してもよい。
【0028】
例えば読取部21は、ユーザーが提示したクーポンから識別番号のみを読み取り、管理装置3に問い合わせて対応するクーポン識別情報を取得してもよい。また、読取部21は、クーポン識別情報に関連付けられた顔画像識別情報に対応する顔画像データを管理装置3から取得してもよい。
【0029】
UI22は、文字や画像を表示するディスプレイなどの表示デバイス、音声を発する音声デバイス、ユーザーの操作を受け付ける操作デバイスなどを含む。UI22は、読取部21にクーポンを提示したユーザーに対し、当該ユーザーの顔画像データを顔認証サービスに利用することに関する同意を求める。
【0030】
顔画像データを顔認証サービスに利用することに関する同意とは、例えば、上述した顔認証サービスおよびこれに付随するマーケティングサービスに利用することに関する同意であり、主たる顔認証サービスへの同意だけではなく、これに付随するマーケティングサービスへの同意まで含む。例えば、顔認証サービスの一例としてのポイントサービスには、マーケティングサービスとしてターゲッティング広告サービスが付随する。このターゲッティング広告サービスでは、小売店内に設置されたカメラで小売店内のユーザーの顔を撮影して顔認証を行い個人を特定するとともに、ユーザーの移動経路、手に取った商品の種類の識別、購買履歴の収集などのユーザーの特性情報を収集し、特性情報に基づいてユーザーに商品の提示を行うことがある。このようなターゲッティング広告サービスの利用に同意するユーザーは、小売店内で顔画像データに基づいて個人を特定されること、および、収集された特性情報をマーケティングなどに利用されることに関して同意することになる。
【0031】
この場合、UI22は、クーポンを提示したユーザーに対し、顔画像データを引き続き情報処理システム100で記憶、管理すること、顔画像データを用いて顔認証を行うこと、購買履歴や店内の移動経路などの情報を収集し、マーケティングに利用することに対する同意を求める表示を行う。UI22は、同意を求める文章や記号などを表示デバイスに表示する代わりに、音声により同意を求めてもよい。さらに、UI22は同意するか否かの選択肢を報知し、操作デバイスによりユーザーのいずれかの選択を受け付ける。
【0032】
特典処理部23は、ユーザーの同意が得られた場合に、読取部21が読み取ったクーポンに応じた特典を付与する特典処理を行う。クーポンに応じた特典としては、上述したように、商品の割引、ポイントの付与、景品の提供などが挙げられる。例えば商品の割引クーポンが提示された場合、特典処理部23は、当該商品をクーポンごとに定められた割引率で割引して割引後の金額の支払いをユーザーに求める。
【0033】
特典処理部23は、あるクーポンに関する特典処理が完了した場合、特典処理が完了したことを管理装置3に通知する。これにより、例えば管理装置3はそのクーポンが使用済みであることを認識できる。
【0034】
撮影部24は、読取部21に対してクーポンを提示したユーザーの顔を撮影し、顔画像データを生成する。撮影部24が生成した顔画像データは、照合部25により用いられる。
【0035】
照合部25は、撮影部24が生成した顔画像データと、ユーザーが提示したクーポンのクーポン識別情報に関連付けられた顔画像識別情報に対応する顔画像データとを照合する。
【0036】
クーポンの種別によっては、クーポン発行装置1においてクーポンの発行を受けたユーザーと、特典処理装置2においてクーポンを使用するユーザーとが同一人物でなければならないと設定されていることがある。このようなクーポンの例としては、例えば小売店が上得意に発行するクーポン、ユーザーの誕生日または誕生月限定で使用できるクーポンなどが挙げられる。このような場合、撮影部24がクーポンを提示したユーザーの顔画像データ(第2顔画像データ)を生成し、照合部25が管理装置3から取得した顔画像データ(第1顔画像データ)との照合を行う。特典処理部23は、照合部25の照合結果に基づいて、特典処理を実行すればよい。すなわち、管理装置3から取得した第1顔画像データと撮影部24が生成した第2顔画像データが一致した場合、特典処理部23は特典処理を実行し、そうでない場合、特典処理を実行しない。
【0037】
なお、クーポンの種別によっては、誰が利用してもよいように設定されているものもあり、このようなクーポンが提示された場合、撮影部24および照合部25は動作しないようにしてもよい。
【0038】
以上の構成により、特典処理装置2は、ユーザーがクーポンを提示して特典を受ける権利を行使しようとするときに、顔画像データを顔認証サービスに利用してもよいことの同意を求める。これにより、ユーザーにとっては、報酬が得られるタイミングで同意を求められることになる。このため、ユーザーの抵抗感を低減し、ユーザーの同意を得られやすくすることができる。
【0039】
[管理装置3]
管理装置3は、クーポン識別情報、顔画像識別情報、顔画像データなどの記憶および管理を行う。管理装置3は、クーポン発行装置1および特典処理装置2と通信可能に接続されており、これらの装置から送信された情報を記憶、管理し、これらの装置から要求された情報を送信するサーバ装置としての機能を有する。
【0040】
管理装置3は、制御部31と、記憶部32と、を備える。
【0041】
制御部31には、特典管理部311と、登録処理部312と、が含まれる。特典管理部311は、クーポン発行装置1からクーポン識別情報、顔画像識別情報、および顔画像データを受信し、これらを互いに関連づけて記憶部32に記憶する。
【0042】
また、特典管理部311は、クーポン発行装置1が過去に発行したクーポンの有効期限の管理を行う。すなわち、特典管理部311は、クーポン識別情報に含まれる有効期限が超過したか否かをクーポン毎に定期的にチェックし、有効期限を超過したクーポンに関連するクーポン識別情報、顔画像識別情報、および顔画像データを記憶部32から一括削除する。なお、クーポン発行装置1において、顔画像データを一定期間記憶、管理する同意をユーザーから得ているため、特典管理部311は、有効期限を超過したクーポンに関連するクーポン識別情報を削除した場合でも、クーポンの有効期限よりも一定期間の方が長い場合には、一定期間を超過するまで顔画像識別情報および顔画像データを残してもよい。
【0043】
登録処理部312は、特典処理装置2において、クーポンを提示したユーザーが顔画像データを顔認証サービスに利用することに同意した場合、当該ユーザーを当該顔認証サービスへ登録する登録処理を行う。登録処理は、例えば記憶部32に設けられた顔認証サービス登録者データベース(DB)にユーザーの識別情報を登録する処理である。これにより、当該ユーザーは、顔認証サービスを受けることができるようになる。
【0044】
なお、本実施の形態では、顔認証サービスを各ユーザーに対して実際に提供するのは管理装置3とは異なる構成であることが想定されている。この場合、顔認証サービスの提供装置は、管理装置3の記憶部32にアクセスし、顔認証サービス登録者DBから登録したユーザーに関する情報を取得し、当該ユーザーに対して顔認証サービスを提供することになる。
【0045】
なお、本開示において、顔認証サービス登録者DBは管理装置3に設けられている必要はなく、外部の提供装置に設けられていてもよい。この場合、登録処理部312は、新たに顔認証サービスに登録したユーザーに関する情報を提供装置に送信することで、顔認証サービス登録者DBを更新してもよい。
【0046】
また、管理装置3が顔認証サービスを提供する機能をさらに有していてもよい。
【0047】
記憶部32は、上述したように、クーポン識別情報、顔画像識別情報、顔画像データを互いに関連付けて記憶する記憶デバイスである。また、上述したように、記憶部32には、顔認証サービス登録者DBが設けられていてもよい。
【0048】
以上の構成により、管理装置3は、クーポン発行装置1においてクーポンを発行する際に生成された顔画像データと、発行したクーポンに関するクーポン識別情報とを管理することができる。
【0049】
(動作例)
以下では、本開示の第1の実施の形態に係る情報処理システム100の動作例に付いて説明する。
【0050】
図2は、第1の実施の形態におけるクーポン発行までの動作例を説明するためのフローチャートである。図2に示すフローチャートは、ユーザーがクーポンを取得しようとしてクーポン発行装置1に近づいた場合に開始される。
【0051】
ステップS1において、クーポン発行装置1は、ユーザーから、顔を撮影して顔画像データを生成するとともに、顔画像データを一定期間記憶することに対する同意を取得する。
【0052】
ステップS2において、クーポン発行装置1は、ステップS1で同意したユーザーの顔を撮影して顔画像データを生成する。
【0053】
ステップS3において、クーポン発行装置1は、ステップS2で撮影した顔画像データに関する顔画像識別情報を生成する。
【0054】
ステップS4において、クーポン発行装置1は、顔画像データを生成したユーザーに発行するクーポンに関するクーポン識別情報を生成する。このクーポン識別情報には、上述したように、クーポンの識別番号、クーポンと関連する顔認証サービス、特典の内容、有効期限、クーポンを利用可能な場所(施設名、店名など)などが含まれる。
【0055】
ステップS5において、クーポン発行装置1は、ステップS4で生成したクーポン識別情報に基づいてクーポンを発行する。なお、クーポンを発行するとは、紙や樹脂に必要事項を印字すること、または、ユーザーの携帯端末装置などに必要なデータを送信すること、の少なくともいずれかを含む。
【0056】
ステップS6において、管理装置3は、顔画像データを生成したユーザーに関する顔画像データ、顔画像識別情報、およびクーポン識別情報をクーポン発行装置1から受信し、これらを互いに関連付けて記憶する。
【0057】
以上の動作により、クーポンを所望するユーザーに対し、顔画像データを記憶することの同意を得た上でクーポンを発行することができる。
【0058】
図3は、クーポンを提示したユーザーに対する特典付与処理の動作例を説明するためのフローチャートである。図3のフローチャートは、特典処理装置2に対し、クーポンを提示するユーザーが現れた場合に開始される。
【0059】
ステップS11において、特典処理装置2は、ユーザーが提示したクーポンを読み取る。
【0060】
ステップS12において、特典処理装置2は、ユーザーが提示したクーポンに関するクーポン識別情報を取得する。
【0061】
ステップS13において、特典処理装置2は、クーポン識別情報に基づいて、ユーザーが提示したクーポンが本人条件を有しているか否かを判断する。本人条件とは、ユーザーが提示したクーポンが、クーポンを発行された本人でなければ使用できないと予め定められていることを意味する。本人条件が設定されたクーポンは、クーポンの発行を受けたユーザー(クーポン発行部12で顔の撮影を行ったユーザー)本人が使用する必要がある。一方、本人条件が設定されていないクーポンは、クーポンの発行を受けたユーザーから、他のユーザーへ譲渡された場合でも使用が可能である。
【0062】
ステップS13で本人条件を有していると判断された場合(ステップS13:YES)、処理はステップS14に進み、そうでない場合(ステップS13:NO)、処理はステップS16に進む。
【0063】
ステップS14において、特典処理装置2は、クーポンを提示したユーザーの顔を撮影し、第2顔画像データを生成する。
【0064】
ステップS15において、特典処理装置2は、提示されたクーポンのクーポン識別情報と関連付けられた第1顔画像データと、ステップS14で生成した第2顔画像データと、の照合を行う。第1顔画像データは、クーポン発行装置1がクーポンを発行するユーザーの顔を撮影して生成されたデータであり、第2顔画像データは、特典処理装置2に対してクーポンを提示したユーザーの顔画像データである。
【0065】
ステップS15の照合の結果、第1顔画像データと第2顔画像データの一致度が所定の閾値以上である(一致した)場合、クーポン発行装置1で発行されたクーポンを受け取ったユーザーと、特典処理装置2でクーポンを提示したユーザーとが同じ人物であると見なされ、そうでない場合、別人であると見なされる。このため、ステップS15で第1顔画像データと第2顔画像データとが一致した場合(ステップS15:YES)、処理はステップS16に進み、そうでない場合(ステップS15:NO)、クーポンを提示したユーザーには特典を付与することなく通常の処理(会計処理など)に移行して、そのまま処理を終了する。なお、2つの顔画像データの一致度を算出する方法としては、既知の技術が適宜採用されればよい。
【0066】
ステップ16において、特典処理装置2は、クーポンを提示したユーザーに対し、顔画像データを顔認証サービスで利用することに対する同意を取得する。同意を得られなかった場合、クーポンに対応した特典を付与せずに通常の処理(会計処理など)に移行して、そのまま処理を終了する。
【0067】
ステップS17において、特典処理装置2は、クーポンを提示したユーザーに対して特典を付与する。
【0068】
ステップS18において、管理装置3は、特典処理装置2からステップS16で同意を得られたユーザーを、顔認証サービスに登録する登録処理を行う。これにより、ユーザーへの特典処理の実行に関連付けて、登録処理を行うことができる。
【0069】
(作用、効果)
以上説明したように、第1の実施の形態に係る情報処理システム100によれば、顔を撮影し顔画像データを生成したユーザーに対して、顔画像データを情報処理システム100で一定期間、記憶、管理することの同意を求め、同意への報酬としてクーポンを発行する。このように同意に対して報酬を与えることで、同意を得られやすくなるので、顔を撮影されること、および顔画像データを記憶されることに対するユーザーの抵抗感を軽減できる。
【0070】
また、第1の実施の形態に係る情報処理システム100によれば、ユーザーがクーポンを提示して特典を受ける権利を行使しようとするときに、顔画像データを顔認証サービスに利用してもよいことの同意を求める。これにより、特に、ユーザーがクーポンの発行を所望するときに顔画像データを顔認証サービスに利用してもよいことの同意を求める場合と比べ、ユーザーの同意を得られやすくなり、顔画像データを顔認証サービスに利用されることに対するユーザーの抵抗感を低減することができる。
【0071】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、ユーザー自身がクーポンを希望してクーポン発行装置1に顔を撮影させ、クーポンを発行させる例について説明した。以下説明する第2の実施の形態では、ユーザーがクーポンとは関係なく顔の撮影を行った場合に、ユーザーに対して顔認証サービスの利用を勧める例について説明する。
【0072】
図4は、本開示の第2の実施の形態に係る情報処理システム200の構成の一例を示す図である。なお、図4では、第1の実施の形態と同様の構成については同じ符号を付して示している。
【0073】
情報処理システム200は、撮影装置4と、特典処理装置2と、管理装置3と、を備える。撮影装置4と、特典処理装置2と、管理装置3とは、インターネットなどのネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。特典処理装置2および管理装置3については、第1の実施の形態の同様の構成であるため、説明を省略する。
【0074】
[構成]
(撮影装置4)
撮影装置4は、ユーザーの顔を撮影し、顔画像データを生成するための装置である。撮影装置4は、例えば証明写真機、写真シール機、および、撮影した写真を用いた分析サービスを提供する装置など、ユーザーが何らかの理由で自ら顔を撮影したいときに利用する装置を広く含む。なお、撮影装置4は、物理的な装置に限られず、例えばパーソナルコンピューター(PC)やスマートフォン上で動作する撮影アプリ(ユーザーの顔を撮影できるアプリケーションプログラム)であってもよい。
【0075】
第2の実施の形態では、クーポンとは関係なく、撮影装置4に顔を撮影しに来たユーザーがターゲットである。
【0076】
撮影装置4は、ユーザーの要求に応じて顔の撮影を行ったタイミングで、当該ユーザーに対し、顔画像データを用いた顔認証サービスが存在すること、および、顔認証サービスの利用に同意することで特典を得られることを報知する。これにより、ユーザーは、すでに生成された顔画像データを利用した顔認証サービスがあることを認識できるとともに、当該顔認証サービスを利用すれば特典が得られることを理解できる。これにより、顔認証サービスを利用することの抵抗感が低減し、ユーザーに顔認証サービスを利用してもらいやすくなることが期待できる。
【0077】
撮影装置4は、撮影部41と、報知部42と、クーポン発行部43と、UI44と、を有する。
【0078】
撮影部41は、ユーザーの要求に基づいて、ユーザーの顔を撮影し、顔画像データを生成する。ユーザーの要求は、例えばUI44を介した操作により撮影部41に受け付けられる。
【0079】
報知部42は、上述したように、撮影部41が顔の撮影を行ったタイミングで、ユーザーに対し、顔画像データを用いた顔認証サービスが存在すること、および、顔認証サービスの利用に同意することで特典を受けられることを報知する。報知部42による報知は、例えばUI44の表示デバイスまたは音声デバイスにより、ユーザーに提示される。
【0080】
より具体的には、報知部42は、例えば「あなたの顔画像を使えば、便利な〇〇サービスを受けられます。クーポンももらえます。利用しますか?」などのメッセージとともに、ユーザーに対する選択肢をUI44に表示させる。
【0081】
クーポン発行部43は、ユーザーが報知部42の報知に対し、顔認証サービスを利用することに同意した場合に、当該ユーザーに対して特典、すなわちクーポンを発行する。なお、ユーザーが顔認証サービスを利用することに同意しなかった場合、撮影装置4は、当該ユーザーには顔画像データのみを提供し、クーポンの発行を行わない。
【0082】
クーポンの発行は、第1の実施の形態と同様に、紙や樹脂に印刷して行われてもよいし、データ形式でユーザーの携帯端末装置に送信されてもよい。撮影装置4がユーザーの携帯端末装置にインストールされた撮影アプリである場合、例えば携帯端末装置の機能を用いて外部のプリンタ機にクーポンに関する情報を転送し、当該プリンタ機に紙形式のクーポンを印刷させるようにしてもよい。
【0083】
UI44は、表示デバイス、音声デバイス、および操作デバイスなどを含み、ユーザーに対する報知やユーザーの操作の受け付けを行う。
【0084】
(動作例)
図5は、第2の実施の形態におけるクーポン発行までの動作例を説明するためのフローチャートである。なお、第2の実施の形態におけるその後の処理、すなわちクーポンを提示したユーザーに対して特典を付与する特典処理については、第1の実施の形態で説明したものと同様であるため、説明を省略する。
【0085】
ステップS21において、撮影装置4は、ユーザーの操作に基づいてユーザーの顔を撮影し、顔画像データを生成する。
【0086】
ステップS22において、顔の撮影が行われたタイミングで、撮影装置4は、顔認証サービスの利用を勧める報知を行う。なお、情報処理システム200が設置された施設において、複数の顔認証サービスが提供可能である場合、撮影装置4は、複数の顔認証サービスについての報知を行ってもよい。この場合、ユーザーに対し、いずれの顔認証サービスの利用を受け入れるかの選択肢を提示してもよい。
【0087】
ステップS23において、撮影装置4は、ユーザーの操作に基づいて、ユーザーが顔認証サービスの利用を受け入れたか否かを判断する。ユーザーが顔認証サービスの利用を受け入れた場合(ステップS23:YES)、処理はステップS24に進み、そうでない場合(ステップS23:NO)、顔画像データをユーザーに提供して処理を終了する。この場合、撮影装置4は、生成した顔画像データを管理装置3に送信したり、撮影装置4内に記憶したりせず、破棄すればよい。
【0088】
ユーザーが顔認証サービスの利用を受け入れた場合、ステップS24において、撮影装置4は、さらに、顔画像データを情報処理システム200で記憶することに対する同意をユーザーから取得する。本ステップは、例えば個人情報保護の観点から行われる。
【0089】
ステップS25において、撮影装置4は、ステップS21で生成した顔画像データに関する顔画像識別情報を生成する。
【0090】
ステップS26において、撮影装置4は、顔画像データを生成したユーザーに発行するクーポンに関するクーポン識別情報を生成する。このクーポン識別情報には、上述したように、クーポンの識別番号、クーポンと関連する顔認証サービス、特典の内容、有効期限、クーポンを利用可能な場所などが含まれる。
【0091】
ステップS27において、撮影装置4は、ステップS26で生成したクーポン識別情報に基づいてクーポンを発行する。なお、クーポンを発行するとは、紙に必要事項を印字すること、または、ユーザーの携帯端末装置などに必要なデータを送信すること、の少なくともいずれかを含む。
【0092】
ステップS28において、管理装置3は、顔画像データを生成したユーザーに関する顔画像データ、顔画像識別情報、およびクーポン識別情報を撮影装置4から受信し、これらを互いに関連付けて記憶する。
【0093】
(作用、効果)
以上の動作により、特典を受けられることを認識せずに、撮影装置4にて顔を撮影したユーザーに対し、顔認証サービスの存在をアピールし、利用を促すことができる。ユーザーにとっては、自分の意志ですでに生成した顔画像を顔認証サービスに転用することで報酬が得られることになるため、顔画像データを用いた顔認証サービスを利用することに対する抵抗感を低減させることができる。
【0094】
<変形例>
以上、本開示の各実施の形態について説明したが、本開示はこれらの実施の形態に限られず、他の変形例を取ることも可能である。
【0095】
上述した実施の形態では、情報処理システムは、ユーザーの顔を撮影して生成された顔画像データを用いていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、顔画像データに基づく特徴量データを顔画像データの代わりに用いるようにしてもよい。
【0096】
特徴量データとは、顔画像データから顔の特徴を抽出したデータである。具体的には、特徴量データは、顔画像データにおける目、鼻、口の位置関係を数値化したデータである。特徴量データを用いることにより、例えば人工知能(AI)などを用いて顔認証の精度を向上させることができる。
【0097】
上述した実施の形態では、それまでに情報処理システムにおいてクーポンの発行を受けたことがないユーザーが、新たに情報処理システムを利用する場合について説明した。すでに情報処理システムを利用したことがあるユーザーが、再度情報処理システムを利用する場合、顔を撮影し、顔画像データを情報処理システムが記憶することに関する同意や、顔認証サービスを利用することに関する同意を新たに取得する必要はない。
【0098】
なお、すでに顔認証サービスの利用に同意したユーザーの場合、情報処理システムにおいて新たにクーポンを発行する必要性は小さいが、例えば購買履歴情報や移動経路情報などが初回のクーポン発行後に一定以上採取できた場合には、当該ユーザーに新たなクーポンを発行してもよい。
【0099】
上述した実施の形態において、クーポンの発行前に、ユーザーから、顔画像データを記憶することに関する同意を取得しているが、本開示はこれに限られない。例えば、クーポン発行装置または撮影装置の周囲に、顔画像データを生成し記憶させるとクーポンを付与する旨を記したポスター等をあらかじめ掲示したり、同等のパンフレット等を備え付けたりすることで、ユーザーがクーポン発行装置または撮影装置を利用した時点で、ユーザーの同意が既に得られていると見なしてもよい。
【0100】
上述した実施の形態において、ユーザーから、顔画像データを用いた顔認証サービスおよびこれに付随するマーケティングサービスに関する同意を得ることについて説明した。ユーザーが、顔認証サービスまたはこれに付随するマーケティングサービスの利用を停止したいと考えた場合、ユーザーは、例えば顔認証サービスが提供される施設のサービスカウンターなどまで訪れて申し込みをすることで利用を停止することができる。具体的には、ユーザーの顔と登録されている顔画像データとを施設の担当者などが目視で確認し、担当者が一致することを確認した上で利用停止手続きを実行すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示は、顔認証サービスの利用を促進する情報処理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0102】
100,200 情報処理システム
1 クーポン発行装置
11 撮影部
12 クーポン発行部
13 UI(ユーザーインターフェース)
2 特典処理装置
21 読取部
22 UI
23 特典処理部
24 撮影部
25 照合部
3 管理装置
31 制御部
311 特典管理部
312 登録処理部
32 記憶部
4 撮影装置
41 撮影部
42 報知部
43 クーポン発行部
44 UI
図1
図2
図3
図4
図5