(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042373
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】融雪ヒータ、これを備えた屋根構造及び車両
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20240321BHJP
E01H 5/10 20060101ALI20240321BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
E04D13/00 D
E01H5/10 Z
B62D25/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147045
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】522367355
【氏名又は名称】株式会社総伸
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】中西 伸一
【テーマコード(参考)】
2D026
3D203
【Fターム(参考)】
2D026CL00
3D203BB02
3D203BB12
3D203CB31
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れ、効率的に融雪可能な融雪ヒータを提供する。
【解決手段】 融雪ヒータ2は、長尺状の金属管21と、金属管に収容保持された長尺状の発熱体22と、金属管21と発熱体22の間に設けられたアルミ層23と、を備え、発熱体22から発せられた熱はアルミ層23を介して金属管21に伝わり、アルミ層23はアルミ箔からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の金属管と、
前記金属管に収容保持された長尺状の発熱体と、
前記金属管と前記発熱体の間に設けられたアルミ層と、を備え、
前記発熱体から発せられた熱は前記アルミ層を介して前記金属管に伝わり、
前記アルミ層はアルミ箔からなる融雪ヒータ。
【請求項2】
前記金属管は長手方向端部に開口部を有し、
前記発熱体は、前記アルミ箔で巻かれた状態で前記開口部を介して前記金属管に挿入されたものである請求項1に記載の融雪ヒータ。
【請求項3】
前記発熱体は、線状又はベルト状のシリコンラバーヒータである請求項1又は2に記載の融雪ヒータ。
【請求項4】
前記発熱体の表面に配置された金属線を更に備える請求項1又は2に記載の融雪ヒータ。
【請求項5】
屋根と、
前記屋根に設けられた融雪ヒータと、を備え、
前記融雪ヒータは請求項1又は2に記載の融雪ヒータである屋根構造。
【請求項6】
前記屋根は、複数個のキャップを有する瓦棒葺き屋根であって、
前記融雪ヒータは前記キャップに収容され、
前記融雪ヒータと前記キャップの間には熱伝導層が設けられ、
前記熱伝導層はアルミ箔又は金属メッシュからなる請求項5に記載の屋根構造。
【請求項7】
車体と、
前記車体に装着された車輪と、
前記車体の下面に設けられた融雪ヒータと、を備え、
前記融雪ヒータは請求項1又は2に記載の融雪ヒータである車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪ヒータ、これを備えた屋根構造及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋根から落下した雪塊が人に当たり怪我をするという事故が度々発生している。また、大量の降雪により車両のタイヤが雪に埋まり動けなくなり、除雪作業を余儀なくされることがあり、このようなトラブルは降雪時に車両を駐車しておいた場合に限らず、長時間に亘って渋滞に巻き込まれた場合等にも発生する。
【0003】
そこで、屋根や路面等における積雪を融雪するための融雪装置が提案されている。例えば、特許文献1には、複数個のLEDチップを備える帯状の発熱体を屋根に施設し、LEDチップの発光に伴う発熱で屋根の雪を融雪する融雪方法が開示されている。また、特許文献2には、車両のエンジン廃熱により加温された湯を路面に落下させて路面の雪を融かす装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-233240
【特許文献2】特開2019-120046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、LEDへ投入される電気エネルギーのうち、30%程度が可視光に変換され、残りの70%程度は熱に変わると言われている。そうすると、特許文献1に開示の融雪方法では、投入される電気エネルギーのうち、可視光に変換される30%は損失となり、電気エネルギーを有効に利用できないという問題があった。また、LEDは電源が投入されてから融雪可能な温度に達するまでには相当な時間を要し、実用性に乏しいという問題があった。
【0006】
更に、LEDチップは高温に弱く、高温に晒されると劣化が進む。真夏の炎天下では金属屋根の表面温度は100℃を超えることもあり、LEDチップを熱源とする発熱体を恒常的に屋根に設置するには耐久性に問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示の融雪装置では、車両に水槽やポンプを設置する必要があり、構成が大がかりになると共に、水槽に水を補給する必要があり、手間がかかる。
【0008】
本発明は、耐久性に優れ、効率的に融雪可能な融雪ヒータ、当該融雪ヒータを備えた屋根構造及び車両の提供を目的とする。
【0009】
本発明は、廉価に製造可能な融雪ヒータ、当該融雪ヒータを備えた屋根構造及び車両の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る融雪ヒータは、長尺状の金属管と、前記金属管に収容保持された長尺状の発熱体と、前記金属管と前記発熱体の間に設けられたアルミ層と、を備え、前記発熱体から発せられた熱は前記アルミ層を介して前記金属管に伝わり、前記アルミ層はアルミ箔からなる。
【0011】
本発明に係る屋根構造は、屋根と、前記屋根に設けられた上述の融雪ヒータと、を備え、また本発明に係る車両は、車体と、前記車体に装着された車輪と、前記車体の下面に設けられた上述の融雪ヒータと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る融雪ヒータによれば、金属管と、アルミ箔からなるアルミ層を備えるので、融雪ヒータを容易に入手可能な材料を用いて廉価に製造できる。また、発熱体から発せられた熱はアルミ層を介して金属管に伝わるので、熱伝導率が良く、効率良く融雪することができる。
【0013】
また、本発明に係る屋根構造及び車両は、上述の融雪ヒータを備えるので、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係る融雪装置を示す構成図、(b)は(a)のIb-Ib線断面図。
【
図2】
図1の融雪装置を備えた融雪散水システムの一例を示す構成図。
【
図3】
図1の融雪装置を備えた融雪散水システムの他の例を示す構成図。
【
図5】
図1の融雪装置を備える車両の一例を示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図。
【
図6】
図1に示す融雪装置が備える融雪ヒータの変形形態を示す図であって、(b)は側面図、(b)は(a)のVIb-VIb線断面図であって、アルミ層を省略して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る融雪ヒータを備える融雪装置について説明する。
【0016】
図1を参照して、融雪装置1は、長尺状の融雪ヒータ2と、融雪ヒータ2を制御するコントローラ3と、を備える。融雪ヒータ2は、熱伝導率の高い長尺円筒状の金属管21と、金属管21に収容された長尺状の発熱体22と、金属管21と発熱体22の間に設けられた多孔性のアルミ層23と、金属管21の両端開口部21a、21bを覆う一対の蓋部材23,24と、を備える。金属管21には例えば鉄管や銅管、ステンレス管等が用いられ、発熱体22には線状又はベルト状のシリコンラバーヒータが用いられる。シリコンラバーヒータとは、2枚のシリコンゴムシートの間に発熱線が配線されて構成されたものである。アルミ層23はアルミ箔からなり、発熱体22から発せられた熱がアルミ層23(アルミ箔)を介して金属管21に伝わるようになっている。
【0017】
蓋部材23,24は金属管21の両端に着脱自在に装着されて開口部21a、21bを覆う。蓋部材23は例えばキャップ状であり、金属管21の開口部21aを封止する。蓋部材24は例えばキャップ状であり、蓋部材24には挿通孔(図示せず)が設けられ、発熱体22から延びるリード線25が当該挿通孔(図示せず)を介してコントローラ3まで延びている。
【0018】
コントローラ3は、使用者の設定に応じて融雪ヒータ2(発熱体22)をオン・オフ制御するものであり、リード線25を介して発熱体22に接続されている。コントローラ3の構成は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0019】
融雪ヒータ2は次の様にして製造される。まず、発熱体22の周囲を家庭用のアルミ箔できつく巻き、これを金属管21の一方の開口部21bから金属管21内へ挿入する。このとき、アルミ箔で巻かれた発熱体22を回転させながら金属管21内へ挿入することで、発熱体22を比較的スムーズに挿入することができる。その後、発熱体22から延びるリード線25を蓋部材24の挿通孔(図示せず)に挿通し、蓋部材23,24を金属管21の両端に装着する。リード線25をコントローラ3に所要の通りに接続させる。
【0020】
かかる構成において、コントローラ3により発熱体22がオンされると発熱体22が発熱し、発熱体22から発せられた熱はアルミ層23を介して金属管21に伝わり、対象箇所の雪を融雪する。
【0021】
本実施形態に係る融雪ヒータ2は、アルミ層23で覆われた発熱体22が金属管21に収容されて構成されているので、発熱体22からの熱を効率良く金属管21に伝えて融雪することができる。また、既製品の金属管21及び家庭用のアルミ箔を用いて製造できるので、融雪ヒータ2を廉価に製造できる。更に、発熱体22にアルミ箔を巻くことでアルミ層23を形成できるので、融雪ヒータ2の製造工程を簡素化できる。アルミ層23は多孔性であるため空気(空気層)を含み、この空気が蓄熱層として機能し、これによっても良好に融雪できる。
【0022】
発熱体22としてシリコンラバーヒータを用いるので発熱効率が良く、またシリコンラバーヒータの上限温度は200℃程度と高いため融雪を効率良く行うことができる。なお、シリコンラバーヒータとしては、例えば株式会社ヤガミ製のシリコンベルトヒータ(100V30W又は200V30W)を用いることができ、またコントローラ3としては株式会社ヤガミ製のデジタル温度調節器YD25Nを用いることができる。
【0023】
なお、金属管21は必ずしも直線状である必要はなく、非直線状(例えば湾曲状)のものであっても構わない。そして、このように非直線状の金属管21を用いた場合であっても、シリコンラバーヒータは可撓性を有するので、上述のようにアルミ箔で巻かれた発熱体(シリコンラバーヒータ)22を金属管21の開口部21bから内部に容易に挿入させることができる。また、アルミ層23を構成するアルミ箔もシリコンラバーヒータの可撓性(曲げ性)を阻害しないため、これによっても発熱体22の金属管21への挿入を容易にできる。
【0024】
また、融雪装置1が備える融雪ヒータ2の数は1個に限定されず、複数個の融雪ヒータ2を備えても良く、この場合には複数個の融雪ヒータ2が1個のコントローラ3に接続される。
【0025】
このように構成された融雪装置1は様々な場所で用いることができる。以下、融雪装置1の利用例について説明する。
【0026】
まず、融雪装置1は建築物の屋根に設置して利用することができ、融雪装置1を備える屋根構造及び融雪散水システムの実施形態について
図2を参照して説明する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る融雪散水システム4は、建築物5と、融雪装置1と、散水システム6と、を備える。ここでは、建築物5として家屋を例に説明する。建築物5は、屋根51と、屋根51の下端に沿って設けられた雨樋52と、を備え、融雪装置1が備える融雪ヒータ2は屋根51に設置され、屋根51と融雪装置1の組み合わせにより屋根構造が構成される。
【0028】
融雪ヒータ2は、屋根51の下端近傍位置において、屋根51の傾斜方向に垂直な水平方向に沿って延びように設置されている。融雪ヒータ2の屋根51への設置は複数個のハゼ金具53を用いて行われるのが好ましく、このようにハゼ金具53を用いることで、融雪ヒータ2と屋根51との間に僅かな隙間を設けることができる。
【0029】
なお、屋根51に雪止め金具が設けられている場合には、融雪ヒータ2を複数個の雪止め金具に掛け渡すようにして設置しても良い。この場合であっても、融雪ヒータ2はハゼ金具53を介して雪止め金具に固定するのが好ましい。
【0030】
散水システム6は、貯水タンク61と、貯水タンク61と雨樋52とを接続するパイプ62と、貯水タンク61に貯められた水(融雪水)を散水するための散水手段(図示せず)と、を備える。
【0031】
かかる構成において、コントローラ3(
図1)により発熱体22がオンされると、発熱体22が発熱し、発熱体22から発せられた熱はアルミ層23を介して金属管21に伝わり、屋根51上の雪を融雪する。より具体的に、屋根51上の積雪のうち、融雪ヒータ2に接触する部分(屋根51の傾斜方向下方部位)が融雪ヒータ2からの熱により融雪され、融雪水となって流下する。それに伴い、積雪は融雪された分だけ自重により屋根51の勾配に沿って滑落する。このようにして滑落した積雪は融雪ヒータ2が堰となって屋根51からの落下が防止され、融雪ヒータ2により融雪されて融雪水となって流下する。
【0032】
このように、融雪ヒータ2は屋根51上の積雪を融雪させるのと同時に、屋根51上の雪が雪塊となって屋根51から落下するのを防止することから、屋根51からの雪塊の落下による事故を効果的に防止することができる。
【0033】
そして、このようにしてして流下した融雪水は、雨樋52及びパイプ62を介して貯水タンク61に貯められる。貯水タンク61に貯められた融雪水は、散水手段(図示せず)によって所望の場所に散水される。例えば、玄関先に散水して融雪することができ、或いは庭に散水して庭木の水やりに利用することもでき、散水場所や散水目的に制限はない。
【0034】
なお、散水システムに6に加熱手段を設け、貯水タンク61内の融雪水の温度が低すぎる場合に、これを加熱して散水することもできる。
【0035】
ここで、融雪ヒータ2を上述のような屋根構造に用いる場合には、金属管21は円筒状であるのが好ましく、またその直径(外径)は25mmであるのが好ましく、更には鉄管又はステンレス管であるのが好ましい。円筒状の金属管21を用いることにより、角筒状のものを用いた場合と比較して、金属管21の表面温度を均一にできる。また、金属管21の直径は25mmあれば十分な融雪効果が得られるが、小さすぎると効率的に融雪することができなくなる。金属管21として鉄管を用いることで、融雪ヒータ2を廉価に製造することができるが、ステンレス管を用いることで錆に強くできる。
【0036】
また、融雪装置1(融雪ヒータ2)を用いた屋根構造としては、
図2に示すものの他に、
図3に示すものであっても構わない。
図3に示す屋根構造は、瓦棒葺き屋根54と融雪装置1とを備え、本例における融雪装置1は、単一のコントローラ3と、当該単一のコントローラ3に接続された複数個の融雪ヒータ2と、を備える。
【0037】
図4に示す様に、瓦棒葺き屋根54は、複数枚の溝板54aと、隣合う溝板54aの間に設けられた吊子54bと、溝板54aと吊子54bを連結するキャップ54cと、を備える。吊子54b及びキャップ54cは、屋根54の傾斜方向に沿って延び、融雪ヒータ2は各キャップ54の内部に設置されて屋根54の傾斜方向に沿って延びている。また、キャップ54cと融雪ヒータ2の隙間Gには、図示しないアルミ箔又は鉄メッシュが詰め込まれ、当該アルミ箔又は鉄メッシュにより多孔性の熱伝導層が構成されている。
【0038】
かかる構成により、融雪ヒータ2からの熱は隙間Gを埋めるアルミ箔(又は鉄メッシュ)からなる熱伝導層(図示せず)を介して屋根材(溝板54a、吊子54b、キャップ54c)に伝わり、屋根54に積もった雪が融雪される。
【0039】
また、融雪装置1は、上述の様に屋根に設置して利用される他、車両に装着して用いることもでき、融雪装置1を備える車両の一例について
図5を参照して説明する。なお、ここでは車両として自動車(四輪自動車)7を例に説明する。
【0040】
自動車7は、車体70と、車体70に装着された車輪80を備え、車体70の底面に融雪ヒータ2が装着されている。より具体的に、車輪80には一対の前車輪81及び一対の後車輪82が含まれる。車体70は、フロントバンパー71と、リアバンパー72と、前車輪81と後車輪82の間に位置する一対のサイドステップ73と、を備え、これらフロントバンパー71,リアバンパー72,及び一対のサイドステップ73の各々の底面に融雪ヒータ2が設けられている。以下、フロントバンパー71,リアバンパー72,及び一対のサイドステップ73に対応して融雪ヒータ2を区別する必要がある場合には、融雪ヒータ2の符号の後にA,B,Cの文字を付して区別することとする。
【0041】
フロントバンパー71の底面に設けられた融雪ヒータ2Aは、自動車7の幅方向Wに沿って延び、一対の前車輪81の前方に位置している。リアバンパー72の底面に設けられた融雪ヒータ2Bは、自動車7の幅方向Wに沿って延び、一対の後車輪82の後方に位置している。各サイドステップ73の底面に設けられた融雪ヒータ2Cは、前車輪81と後車輪82の間を自動車7の前後方向Lに沿って延びるように配置されている。これらの融雪ヒータ2は、単一のコントローラ3(
図1)に接続され、コントローラ3は自動車7のトランク内や助手席の足下などに設置される。
【0042】
融雪装置1の電源としては、家庭用の商用電源を用いるほか、自動車7のバッテリーを電源としてもよく、電源を任意に切替可能とするのが好ましい。
【0043】
かかる構成において、融雪ヒータ2(2A~2C)をオンすることにより、自動車7の下方の積雪を融雪することができる。よって、長時間にわたって自動車7を屋外に駐車したことにより自動車7の前車輪81や後車輪82が雪で埋もれてしまっても、融雪ヒータ2をオンすることにより融雪することができ、これにより自動車7を比較的スムーズに発車させることができる。また、降雪時に渋滞にはまった場合等であっても、融雪ヒータ2をオンにしておけば、前車輪81又は/及び後車輪82が雪に埋まって立ち往生する危険性を軽減できる。更に、降雪時において融雪ヒータ2をオンにしたまま走行すれば、路面への積雪を軽減・防止することができる。
【0044】
なお、融雪装置1を上述の様にして車両に用いる場合には、金属管21は銅管又はステンレス管であるのが好ましい。銅管は熱伝導性に優れることから、融雪ヒータ2の表面温度をより効率的に高温とすることができ、
図5(a)に示す様に融雪対象となる雪と融雪ヒータ2との間にある程度の距離があっても効率良く融雪することができる。一方、ステンレス管であれば錆に強く、耐久性に優れる。
【0045】
次に、
図6を参照して、上記実施形態の変形形態に係る融雪ヒータについて説明する。
図6に示す融雪ヒータ102は、上述の融雪ヒータ2と略同一であるが、融雪ヒータ102は1本又は複数本の金属線26を備える点で融雪ヒータ2と異なる。
【0046】
より具体的に、金属線26は金属管21の長手方向に沿って延び、発熱体22の表面に配置されている。
図6に示す例では、金属線26は発熱体22の両面に2本ずつ、間隔を空けて配置されている。金属線26としては直径が2~3mm程度の銅線であるのが好ましく、このように金属線26を設けることにより、発熱体22からの熱をより効率的にアルミ層23を介して金属管21へ伝達させることができる。なお、
図6(b)においてアルミ層23は省略している。
【0047】
このような融雪ヒータ102も融雪ヒータ1と同様にして製造できるが、融雪ヒータ102の場合には、発熱体22の表面に金属線26を配置し、これら発熱体22及び金属線26をアルミ箔で巻いて金属管21に挿入すれば良い。
【0048】
このように構成された融雪ヒータ102を備えた融雪装置も、上記融雪ヒータ2(融雪装置1)と同様に屋根構造や車両に用いることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態に係る融雪装置、これを備えた屋根構造及び車両について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態においては建築物の例として家屋を例に説明したが、建築物は家屋に限定されず、工場や物置、畜舎、野菜栽培用のビニールハウスや温室等であっても構わない。また、車両は上述の自動車7に限定されず、バイクなどの二輪車両や鉄道車両であってもよい。
【0051】
図5に示す例では、上述の例では自動車7の下面に4個の融雪ヒータ2(2A~2C)を設けたが、車両に設置する融雪ヒータ2の個数や配置は任意に選択可能であり、例えば、前車輪81の前方に融雪ヒータ2Aのみを設けたり、一対の融雪ヒータ2を各前車輪81の前方位置に設けたりすることもできる。更に、融雪ヒータ2は直線状でなくても構わない。
【0052】
更に、上記実施形態にかかる融雪ヒータ2は、1本の金属管21の中に1本の発熱体22を収容した構成としているが、1本の金属管21の中に複数本の発熱体22を収容した構成であっても良く、この場合には複数本の発熱体22の各々が個別にアルミ層23で覆われた(即ち、各発熱体22が個別にアルミ箔で巻かれた)構成とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 融雪装置
2 融雪ヒータ
3 コントローラ
5 建築物
7 車
21 金属管
22 発熱体
23 アルミ層
51 屋根
70 車体
80 車輪