(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042380
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】バスバー、基板及びモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20240321BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147055
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604QB01
5H604QB03
5H604QB04
5H604QB16
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でモータ内の省スペース化を図ることができるバスバー、基板及びモータを提供する。
【解決手段】バスバー60は金属部材61を備え、金属部材61は、端子63(又は64)と、所定の方向において、金属部材61に積み重ねられる他の金属部材61に係合して電気的に接続することが可能な係合部65aと、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材を備え、
前記金属部材は、
端子と、
所定の方向において、前記金属部材に積み重ねられる他の金属部材に係合して電気的に接続することが可能な係合部と、を備えるバスバー。
【請求項2】
前記係合部が孔部である、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記孔部の内周面には螺旋状の溝が形成されている、請求項2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記金属部材が環状であり、
径方向において、前記端子が、前記金属部材の内面から外面に向かう方向に延在している、又は、前記金属部材の外面から内面に向かう方向に延在している、請求項1に記載のバスバー。
【請求項5】
請求項1に記載のバスバーと、当該バスバーとは別の1又は複数の他のバスバーと、を備え、
前記バスバーと前記他のバスバーとは前記所定の方向に積み重なっている、基板。
【請求項6】
前記バスバーの係合部と前記他のバスバーの係合部とは部材を介して係合している、請求項5に記載の基板。
【請求項7】
前記バスバーの係合部及び前記他のバスバーの係合部はそれぞれ、孔部を備え、
前記バスバーの係合部と前記他のバスバーの係合部とが部材を介して係合している、請求項6に記載の基板。
【請求項8】
前記バスバーの係合部及び前記他のバスバーの係合部はそれぞれ、前記孔部の内面に形成された螺旋状の溝を備え、
前記部材は外周面を備え、当該外周面には螺旋状の溝が形成され、
前記バスバーの係合部及び前記他のバスバーの係合部の内面に形成された螺旋状の溝は、前記部材の外周面に形成された螺旋状の溝に螺合している、請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記バスバーの金属部材及び前記他のバスバーの前記金属部材が樹脂部材で覆われている、請求項5又は6に記載の基板。
【請求項10】
請求項5又は6に記載の基板と、
複数のコイルを有するステータと、を備え、
前記バスバーの端子及び前記他のバスバーの端子と前記複数のコイルとが電気的に接続されている、モータ。
【請求項11】
前記バスバーの金属部材及び前記他のバスバーの前記金属部材が樹脂部材で覆われている、請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
シャフトと、
前記シャフトに固定されたロータと、を備え、
前記基板は環状であり、
径方向において、前記基板より内周側に前記シャフトがある、請求項10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー、基板及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにおいて、コイルからの引出線と、外部電源や回路基板に繋がる導線との間に介在し、引出線に大容量の電流を供給する部材としてバスバーが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバーを用いる場合、例えばコイルの数が増大すると、配線の回路が複数必要になり、配線の設計が複雑になりやすい。その結果、モータ内に占めるバスバーの占有スペースが増大してしまう。
【0005】
本発明は、簡易な構造でモータ内の省スペース化を図ることができるバスバー、基板及びモータを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、例えば、以下の本発明の一態様により解決される。本発明の一態様にかかるバスバーは、
金属部材を備え、
前記金属部材は、
端子と、
所定の方向において、前記金属部材に積み重ねられる他の金属部材に係合して電気的に接続することが可能な係合部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるモータの外観を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかるモータの縦断面図であり、
図1におけるA-A断面図に相当する。
【
図3】本発明の一実施形態にかかるモータの横断面図であり、
図1におけるB-B断面図に相当する。
【
図4】本発明の一実施形態にかかるモータからハウジングを取り外した状態のモータの内部構造を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかるモータからハウジングを取り外した状態のモータの内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる基板の構造を概略的に示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる基板を構成するバスバーの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる基板を構成するバスバーの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態にかかる基板を構成するバスバーの係合構造を概略的に示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態にかかる基板が複数積み重ねられた構造を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のモータについて一実施形態を挙げて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるモータ10の構造を概略的に示す斜視図であり、
図2はモータ10の縦断面図であり、
図3はモータ10の横断面図である。なお、
図2は、モータ10の回転軸心を構成する軸線xを含む仮想平面に沿った
図1のA-A断面図に相当し、
図3は、軸線xに直交する仮想平面に沿った
図1のB-B断面図に相当する。
【0009】
本実施形態の説明においては、軸線x方向において、矢印a方向の側を上側aとし、矢印b方向の側を下側bと規定する(
図1及び
図2参照)。なお、上側a及び下側bは重力方向における上下関係とは必ずしも一致しない。また、軸線xに垂直なモータ10の径方向cdにおいて、軸線xから遠ざかる矢印c方向の側を外周側cとし、軸線xに向かう矢印d方向の側を内周側dとする(
図2及び
図3参照)。さらに、軸線x周りの周方向efにおいて、上側aから見て時計回り方向e及び反時計回り方向fが規定される(
図3参照)。
【0010】
図1~
図3に示されるように、本実施形態にかかるモータ10は、回転軸を構成するシャフト11と、シャフト11に固定されてシャフト11と共に回転するロータ20と、ロータ20を取り囲むように配置されたステータ30と、ステータ30に固定されて、モータ10の構成部品の一部又は全部を内部に収容するハウジング40と、を備える。すなわち、モータ10が組み込まれる外部機器(図示せず)に固定されるハウジング40及びステータ30に対してシャフト11及びロータ20が相対回転する。
【0011】
ロータ20は、磁性体で形成されたロータコア21の外周面にマグネット22が固定されている。ステータ30は、磁性体で形成されたステータコア31にコイル32が巻回され、ハウジング40に固定されている。本実施形態にかかるモータ10は、インナーロータタイプのブラシレスモータの一種である。
【0012】
ハウジング40は、上側aに開口する一方で、下側bで閉鎖される筒状のハウジング本体41と、ハウジング本体41の上側aの開口を覆うカバー42と、を有する。ハウジング本体41は、環状の底部41aと、底部41aの内周縁から筒状に下側bに突出する突出部41bと、底部41aの外周縁から筒状に上側aに延在する外周部41cと、を備える。ステータ30は外周部41cの内周面に固定される。
【0013】
一方で、カバー42は、環状の平板部42aと、平板部42aの内周縁に隣接して筒状に下側bに突出する突出部42bと、平板部42aの外周縁に隣接して筒状に下側bに突出する外周部42cと、を備える。ハウジング本体41の外周部41cとカバー42の外周部42cとが嵌合され、かつ、固定(締結)されて、ハウジング40が完成する。このハウジング40の内部にロータ20及びステータ30の全部が収容される。
【0014】
図1に示されるように、カバー42の平板部42aには、その中心に円形の開口部42dと、開口部42d周りに周方向に延びる1つの開口部42eと、が設けられている。開口部42dから上側aにシャフト11が突出している。開口部42eは軸線x周りに周方向に延在する。
図2を参照すると、シャフト11は、ハウジング40に固定される2つの軸受12、13に回転自在に支持されている。ハウジング本体41の突出部41bの内部に一方の軸受12が、カバー42の突出部42bの内部に他方の軸受13が、例えば圧入などにより取り付けられている。
【0015】
ロータ20において、ロータコア21は、軸線x方向に積層される複数の磁性体の積層体から形成される。特に
図3に示されるように、ロータコア21の孔部21aにシャフト11が挿入されて固定されている。ステータコア21の外周面に環状のマグネット22が固定されている。
【0016】
一方で、ステータ30では、ステータコア31は、珪素鋼板等の磁性体の積層体から形成される。
図3に示されるように、ステータコア31は、外周側cに配置される環状部31aと、環状部31aから内周側dに延びるように形成された複数の磁極部31bと、を備える。複数の磁極部31bは、外周側dに規定されるその基端部に沿って規定される境界線Rで環状部31aから分割可能である。すなわち、ステータコア31は分割コアである。磁極部31bの内周側dの端部は周方向efに両側に張り出している。
【0017】
複数の磁極部31bの各々の周囲にコイル32が巻き回されている。ステータコア12とコイル32との間には、絶縁体で形成されたインシュレータ33が介在しており、インシュレータ33によってステータコア31とコイル32とが絶縁されている。
図2に示されるように、各コイル32からは例えば1本の引出線32aが引き出され、引出線32aは上側aに向けて立ち上がっている。この引出線32aを通じてコイル32に電流が供給される又はコイル32から電流が引き出される。本実施形態では、コイル32の数は12である。
【0018】
径方向cdにおいて、ステータコア31の磁極部31bの端部が、ロータコア21のマグネット22に対して磁気ギャップGを介して対向している。ステータ30のコイル32に電流が供給されると、ロータ20のマグネット22で生じた磁界との相互作用により、ロータ20が軸線x回りに回転する。こうしてロータ20に取り付けられたシャフト11が、ステータ30及びハウジング40に取り付けられた外部機器(図示せず)に対して相対回転することができる。
【0019】
図4は、モータ10からハウジング40を取り外した状態のモータ10の内部構造を概略的に示す斜視図であり、
図5は、モータ10からハウジング40を取り外した状態のモータ10の内部構造を概略的に示す平面図である。
図2、
図4及び
図5を併せて参照すると、モータ10は、ハウジング40のカバー42とステータ30との間でハウジング40内に収容される1つ又は複数の基板(以下、「バスバー基板」と称する。)50を備える。本実施形態では、3つのバスバー基板50が軸線x方向に積み重なっている。バスバー基板50はシャフト11より外周側cに配置される。
【0020】
特に
図2に示されるように、バスバー基板50はそれぞれ、軸線x周りで環状に延びる1つ又は複数のバスバー60と、バスバー60を覆う環状の樹脂部材70と、を備える。本実施形態では、例えば2のバスバー60、60が軸線x方向に積み重なっている。本実施形態では、モータ10は3つのバスバー基板50を備えているので、合計6つのバスバー61が軸線x方向に積み重なっている。バスバー60は、銅やアルミニウムなどの金属材料を含む導電材料から形成される。樹脂部材70は、樹脂材料を含む絶縁材料から形成される。
【0021】
図6は、本実施形態にかかるバスバー基板50の構造を概略的に示す斜視図であり、
図7は、本実施形態にかかるバスバー基板50の2つのバスバー60、60の構造を概略的に示す斜視図であり、
図8は、本実施形態にかかるバスバー60単体の構造を概略的に示す斜視図である。まず
図8を参照すると、バスバー60は金属部材(以下、「金属リング」と称する。)61を備える。金属リング61は、環状のリング本体62と、リング本体62から突出する1つ又は複数の端子(以下、「内部接続端子」と称する。)63と、同様にリング本体62から突出する1つ又は複数の端子(以下、「外部接続端子」と称する。)64と、を備える。
【0022】
リング本体62は、軸線xに直交する仮想平面に沿って延在しており、平たい部材で形成されている。内部接続端子63は、径方向cdにおいて、リング本体62の内面62dから外面62cに向かう方向に外周側cに延在する。内部接続端子63は、リング本体62が広がる仮想平面に沿って延在する。本実施形態では、2つの内部接続端子63、63が軸線x周りに180度の角度間隔で配置されている。
【0023】
内部接続端子63はそれぞれ、フォーク型の端子であり、径方向において互いに平行に延びる1対のアーム(以下、「端子アーム」と称する。)63a、63aを備える。
図4から明らかなように、各内部接続端子63は、1対の端子アーム63a、63aの間にコイル32の引出線32aを収容して引出線32aに電気的に接続される。1対の端子アーム63a、63aの間に収容された引出線32aは、はんだ付けにより、1対の端子アーム63a、63aをかしめることにより、あるいは、引出線32aを1対の端子アーム63a、63aの間に収容する際に圧入することにより、内部接続端子63との接続が固定される。
【0024】
一方で、1つの外部接続端子64が、径方向cdにおいて、リング本体62の外面62cから内面62dに向かう方向に内周側dに延在する。外部接続端子64は外部装置(図示せず)に電気的に接続される。外部接続端子64は、例えば、リング本体62の内周端から径方向cdに内周側dに突出する突出片64aと、突出片64aの内周端から上側aに直立する直立片64bと、を備える。突出片64aは、リング本体62が広がる仮想平面内でリング本体62の内周端から突出する。直立片64bは、軸線x方向に平行に広がる仮想平面に沿って広がる板片から形成される。本実施形態では、外部接続端子64は、軸線x周りで一方の内部接続端子63と同じ角度位置に配置される。
【0025】
金属リング61は1つ又は複数の係合片65を備える。本実施形態では、2つの係合片65、65が、リング本体62の内周端から径方向cdに内周側dに突出する。係合片65は、リング本体62が広がる仮想平面に沿って平たく延在する。本実施形態では、一方の係合片65が、軸線x周りで他方の内部接続端子63と同じ角度位置に配置される。他方の係合片65は、軸線x周りに一方の係合片65から反時計回り方向fに90度の角度位置に配置される。
【0026】
係合片65はそれぞれ、軸線xに平行に規定される中心軸線に沿って係合片65を貫通する係合部すなわち孔部65aを備える。孔部65aは例えば円柱状の空間である。孔部65aの内周面には螺旋状の溝すなわち雌ねじ溝65bが形成される。なお、このような孔部65aは例えばバーリング加工によって形成される。したがって、孔部65aは、係合片65の表面から立ち上がる円筒縁65c内にも形成される。
【0027】
次に
図7を参照すると、本実施形態にかかるバスバー基板50では、2つのバスバー60、60が軸線x方向に積み重なっている。すなわち、上側のバスバー60のリング本体62で規定される中心及び下側のバスバー60のリング本体62で規定される中心は軸線xに一致する。本実施形態では、上側aのバスバー60が、下側bのバスバー60に対して、時計回り方向eに90度回転させられて積み重なっている。上側aのバスバー60の他方の係合片65と下側bのバスバー60の一方の係合片65とが位置合わせされている。
【0028】
他方の係合片65の孔部65a及び一方の係合片65の孔部65aの雌ネジ溝65bには部材すなわちネジ66が螺合する。
図9に示すように、ネジ66は、例えば、棒状体であり、その外周面に螺旋状の溝すなわち雄ネジ溝66aが形成される。こうしてネジ66を介して2つのバスバー60、60が相互に係合される。ネジ66は、例えば、銅やアルミニウムなどの金属材料を含む導電材料から形成される。その結果、ネジ66を介して相互に係合された2つのバスバー60、60は相互に電気的に接続される。
【0029】
図7に戻ると、相互に係合された2つのバスバー60、60において、4つの内部接続端子63は、軸線x周りに90度の角度間隔で等間隔に配列される。また、2つの外部接続端子64は、軸線x周りに90度の角度間隔で配列される。なお、2つのバスバー60、60の係合に使用されない上側のバスバー60の一方の係合片65と下側のバスバー60の他方の係合片65とは、軸線x周りに180度の角度間隔で配列される。また、軸線x周りにおいて、下側のバスバー60の他方の係合片65の角度位置は、上側のバスバー60の一方の内部接続端子63及び外部接続端子64の角度位置に一致する。
【0030】
次に
図6を参照すると、相互に係合された2つのバスバー60、60は環状の樹脂部材70で覆われている。具体的には、樹脂部材70は2つのリング本体62、62を完全に覆う一方で、内部接続端子63、外部接続端子64及び係合片65は樹脂部材70から外側に配置される。こうしたバスバー基板50の製造にあたってインサート成形が実施される。具体的には、雄ネジ66を介して相互に係合された2つのバスバー60、60が金型内に装着された状態で金型内に樹脂材料が注入されることによって、相互に係合されたバスバー60、60に樹脂部材70が一体的に形成される。
【0031】
図10は、本発明にかかるバスバー基板50を3つ積み重ねた状態を概略的に示す斜視図である。隣接する2つのバスバー基板50、50同士は例えば接着剤等で接合される。3つのバスバー基板50はそれぞれ、隣接する他のバスバー基板50に対して軸線x周りに30度の角度間隔で回転して配列される。例えば、バスバー基板50における相互に係合する係合片65、65の位置が、下側bのバスバー基板50から中間のバスバー基板50間、及び、中間のバスバー基板50上側aのバスバー基板50の間で、時計回り方向eに30度の角度間隔でずらされる。その結果、
図5に示されるように、3つのバスバー基板60の12の内部接続端子63が軸線x周りに30度の角度間隔で等間隔に配列される。こうして内部接続端子63のそれぞれがコイル32の引出線32aのそれぞれに電気的に接続される。
【0032】
その一方で、3つのバスバー基板50の6つの外部接続端子64も30度の角度間隔で配列される。
図1及び
図3に示されるように、外部接続端子64はカバー42aの開口部42eから上側aにモータ10の外部空間に突出する。こうして外部接続端子64は外部装置(図示せず)に電気的に接続される。
【0033】
以上のようなモータ10では、バスバー基板50のバスバー60、60が軸線x方向に積み重ねられて相互に係合可能である。具体的には、ネジ66を介してバスバー60、60が相互に電気的に接続されることができる。したがって、簡易な構造でモータ10内の省スペース化を図ることができる。しかも、バスバー基板50は、同一の形状を有するバスバー60を軸線x回りに角度を変えて積み重ねた構造であるので、複数の回路を形成するために簡素化された作業で足りる。また、簡易な構造であるので、モータ10の製造コストの増大を抑制することができる。
【0034】
なお、上述のバスバー基板50では、バスバー60、60同士を相互にネジ66を介して係合されたが、ネジ66に代えて、例えば、孔部65a内に棒状体が圧入されることによって孔部65a、65aが相互に係合されてもよい。また、係合片65はリング本体62から外側に配置されたが、孔部65aをリング本体62に形成するとともに係合片65の形成を省略してもよい。
【0035】
また、上述のバスバー基板50では、バスバー60、60同士が相互にネジ66を介して係合されているが、ネジ66等の部材を除して、孔部(係合部)65a間を係合せず、バスバー60、60同士を電気的に独立させることもできる。バスバー基板50内でバスバー60、60同士を電気的に独立させることで、1のバスバー基板50内で独立した2回路のバスバーとすることができる。ネジ66等の部材を除す方法としては、一旦、
図6に示すバスバー基板50を作製した後にネジ66等の部材を抜いても構わないし、ネジ66等の部材で固定しない状態でバスバー60、60を樹脂部材70で一体的に形成しても構わない。
【0036】
さらに、上述の実施形態では、3つのバスバー基板50を重ね合わせたが、1つのバスバー60の内部接続端子63又は外部接続端子64の数を増減させることによって、バスバー基板50の数を増減させることも可能である。またさらに、3つのバスバー基板50の相互間において、ネジ66等の部材を介して、バスバー基板50を跨いで孔部(係合部)65a間を係合して、全体として2回路、あるいは、1回路のバスバーとすることもできる。このとき、各バスバー基板50内でバスバー60、60同士を電気的に独立させた上で、バスバー基板50を跨いで孔部(係合部)65a間を係合させても構わない。この場合、バスバー基板50を跨いだ係合が可能になるように、孔部(係合部)65aの位置合わせをしておけばよい。バスバー基板50を跨いだ係合が可能になるように、孔部(係合部)65aを別途設けておいても構わない。なお、バスバー60は、連続するリング形状を有する必要はなく、リングの一部が欠けた形状を有してもよい。
【0037】
また、上述の例では、2つのバスバー60、60で1のバスバー基板50を構成していたが、1のバスバー基板内に含まれるバスバーの数は2つに限定されず、3つ以上でも構わない。1のバスバー基板内に含まれるバスバーの数を3つ以上として、含まれるバスバーの係合部同士を任意に組み合わせて係合することで、1のバスバー基板内に1回路または2回路以上のバスバーを含む構成とすることができる。例えば、1のバスバー基板内に含まれるバスバーの数を4つとし、積層方向に隣り合うバスバー2つを1組とする2組に分けて、各組のバスバーの係合部同士を係合することで、1のバスバー基板内に2回路のバスバーを含む構成とすることができる。
【0038】
また、バスバー基板50以外のモータ10の構成については、上記実施形態の構成に限定されず、あらゆるタイプのモータに対しても本発明を適用することができる。したがって、上記実施形態では、インナーロータ型のモータを例に挙げているが、本発明は、アウターロータ型のモータにも適用することができるし、ブラシレスモータに限らずブラシモータにも適用することができる。
【0039】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
10…モータ、11…シャフト、12…軸受、13…軸受、20…ロータ、21…ロータコア、21a…孔部、22…マグネット、30…ステータ、31…ステータコア、31a…環状部、31b…磁極部、32…コイル、32a…引出線、33…インシュレータ、40…ハウジング、41…ハウジング本体、41a…底部、41b…突出部、41c…外周部、42…カバー、42a…平板部、42b…突出部、42c…外周部、42d…開口部、42e…開口部、50…バスバー基板、60…バスバー、61…金属部材(金属リング)、62…リング本体、63…端子(内部接続端子)、63a…アーム(端子アーム)、64…端子(外部接続端子)、64a…突出片、64b…直立片、65…係合片、65a…係合部(孔部)、65b…螺旋状の溝(雌ねじ溝)、65c…円筒縁65、66…部材(棒状体、ネジ)、66a…螺旋状の溝(雄ネジ溝)、70…樹脂部材。