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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042383
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147059
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604QB03
5H604QB04
5H604QB16
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でモータ内の省スペース化を図ることができるモータを提供する。
【解決手段】モータ10は、導電材料で形成され、回転軸方向に積み重ねられた複数のリング70A~70Fと、複数のコイル32を有するステータ30と、を備える。複数のリング70A~70Fはそれぞれ、外部装置に電気的に接続される外部接続端子73と、複数のコイル32に電気的に接続される内部接続端子72と、を備え、径方向において、外部接続端子73は内部接続端子72に対して内周側に配置される。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料で形成され、回転軸方向に積み重ねられた複数のリングと、
複数のコイルを有するステータと、を備え、
前記複数のリングはそれぞれ、外部装置に電気的に接続される外部接続端子と、前記複数のコイルに電気的に接続される内部接続端子と、を備え、
径方向において、前記外部接続端子は前記内部接続端子に対して内周側にある、モータ。
【請求項2】
回転軸方向において、隣接する前記リングの間には絶縁部材が配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記複数のリングにおいて、前記内部接続端子は、周方向に互いに異なる位置に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記複数のリングを収容するケースを備え、
前記ケースは、径方向において、前記複数のリングの外周側に配置された外壁を有するケース本体を備え、
前記外壁は、回転軸方向において、凹んだ複数の凹部を有し、
前記複数の凹部は周方向に配列されており、
前記内部接続端子はそれぞれ、前記凹部のそれぞれから前記リングの内周側から外周側に向けて突出する、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記複数の凹部の深さは互いに異なる、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記複数のリングのそれぞれが前記内部接続端子を複数備え、
周方向において、前記複数の内部接続端子が等しい位置に配置される、請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
前記複数のリングのうち、少なくとも2個以上の前記リングの形状が等しい、請求項4に記載のモータ。
【請求項8】
前記ケース本体は、径方向において、前記複数のリングの内周側に配置された内壁を有し、
前記内壁は、回転軸方向において凹んだ複数の第2凹部を有し、
前記外部接続端子のそれぞれは、径方向において、前記第2凹部のそれぞれから前記リングの内周側に突出する、請求項4に記載のモータ。
【請求項9】
回転軸方向において、前記複数の第2凹部の深さは互いに異なる、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記ケースは、回転軸方向において、前記ケース本体を覆う蓋を有し、
前記蓋は、周方向に延在する環状部と、前記環状部から前記複数の凹部に向けて突出する複数の凸部と、を備える、請求項4に記載のモータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにおいて、コイルからの引出線と、外部電源や回路基板に繋がる導線との間に介在し、引出線に大容量の電流を供給する部材としてバスバーが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-171708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバーを用いる場合、例えばコイルの数が増大すると、配線の回路が複数必要になり、配線の設計が複雑になりやすい。その結果、モータ内に占めるバスバーの占有スペースが増大してしまう。
【0005】
本発明は、簡易な構造でモータ内の省スペース化を図ることができるモータを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、例えば、以下の本発明の一態様により解決される。本発明の一態様にかかるモータは、
導電材料で形成され、回転軸方向に積み重ねられた複数のリングと、
複数のコイルを有するステータと、を備え、
前記複数のリングはそれぞれ、外部装置に電気的に接続される外部接続端子と、前記複数のコイルに電気的に接続される内部接続端子と、を備え、
径方向において、前記外部接続端子は前記内部接続端子に対して内周側にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態にかかるモータの外観を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるモータの縦断面図であり、図1におけるA-A断面図に相当する。
図3】本発明の一実施形態にかかるモータの横断面図であり、図1におけるB-B断面図に相当する。
図4】本発明の一実施形態にかかるモータからハウジングを取り外した状態のモータの内部構造を概略的に示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態にかかるモータに組み込まれるバスバーユニットの構造を概略的に示すバスバーユニットの分解斜視図である。
図6】バスバーユニットを構成するバスバーリングの構造を概略的に示す平面図である。
図7】バスバーユニットから蓋を取り外した状態のバスバーユニットの構造を概略的に示す平面図である。
図8】本発明の一実施形態にかかるモータに組み込まれるバスバーユニットの構造を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のモータについて一実施形態を挙げて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるモータ10の構造を概略的に示す斜視図であり、図2はモータ10の縦断面図であり、図3はモータ10の横断面図である。なお、図2は、モータ10の回転軸心を構成する軸線xを含む仮想平面に沿った図1のA-A断面図に相当し、図3は、軸線xに直交する仮想平面に沿った図1のB-B断面図に相当する。
【0009】
本実施形態の説明においては、軸線x方向において、矢印a方向の側を上側aとし、矢印b方向の側を下側bと規定する(図1及び図2参照)。なお、上側a及び下側bは重力方向における上下関係とは必ずしも一致しない。また、軸線xに垂直なモータ10の径方向cdにおいて、軸線xから遠ざかる矢印c方向の側を外周側cとし、軸線xに向かう矢印d方向の側を内周側dとする(図2及び図3参照)。さらに、軸線x周りの周方向efにおいて、上側aから見て時計周り方向e及び反時計回り方向fが規定される(図3参照)。
【0010】
図1図3に示されるように、本実施形態にかかるモータ10は、回転軸を構成するシャフト11と、シャフト11に固定されてシャフト11と共に回転するロータ20と、ロータ20を取り囲むように配置されたステータ30と、ステータ30に固定されて、モータ10の構成部品の一部又は全部を内部に収容するハウジング40と、を備える。すなわち、モータ10が組み込まれる外部機器(図示せず)に固定されるハウジング40及びステータ30に対してシャフト11及びロータ20が相対回転する。
【0011】
ロータ20は、磁性体で形成されたロータコア21内にマグネット22が配置されている。ステータ30は、磁性体で形成されたステータコア31にコイル32が巻回され、ハウジング40に固定されている。本実施形態にかかるモータ10は、インナーロータタイプのブラシレスモータの一種であり、IPMモータと称されるモータである。IPMモータとは、ロータコア21内にマグネット22を埋め込んだものであり、埋込マグネット型モータとも呼ばれている。
【0012】
ハウジング40は、上側aに開口する一方で、下側bで閉鎖される筒状のハウジング本体41と、ハウジング本体41の上側aの開口を覆うカバー42と、を有する。ハウジング本体41は、環状の底部41aと、底部41aの内周縁から筒状に下側bに突出する突出部41bと、底部41aの外周縁から筒状に上側aに延在する外周部41cと、を備える。ステータ30は外周部41cの内周面に固定される。
【0013】
一方で、カバー42は、環状の平板部42aと、平板部42aの内周縁に隣接して筒状に下側bに突出する突出部42bと、平板部42aの外周縁に隣接して筒状に下側bに突出する外周部42cと、を備える。ハウジング本体41の外周部41cとカバー42の外周部42cとが嵌合され、かつ、固定(締結)されて、ハウジング40が完成する。このハウジング40の内部にロータ20及びステータ30の全部が収容される。
【0014】
図1に示されるように、カバー42の平板部42aには、その中心に円形の開口部42dと、開口部42dを取り囲む一対の開口部42e、42eと、が設けられている。開口部42dから上側aにシャフト11が突出している。開口部42e、42eは軸線x周りに周方向に延在する。図2を参照すると、シャフト11は、ハウジング40に固定される2つの軸受12、13に回転自在に支持されている。ハウジング本体41の突出部41bの内部に一方の軸受12が、カバー42の突出部42bの内部に他方の軸受13が、例えば圧入などにより取り付けられている。
【0015】
ロータ20において、ロータコア21は、軸線x方向に積層される複数の磁性体の積層体から形成される。特に図3に示されるように、ロータコア21は、孔部21aと、環状の内周部21bと、内周部21bの外周面から外周側cに放射状に形成された複数のスポーク21cと、複数のスポーク21cの外周端を連結する環状の外周部21dと、を有する。ロータコア21の孔部21aにはシャフト11が挿入されて固定されている。外周部21dには外周側cに複数のマグネット22が埋め込まれている。
【0016】
一方で、ステータ30では、ステータコア31は、珪素鋼板等の磁性体の積層体から形成される。ステータコア31は、外周側cに配置される環状部31aと、環状部31aから内周側dに延びるように形成された複数の磁極部31bと、を備える。複数の磁極部31bは、外周側dに規定されるその基端部に沿って規定される境界線Rで環状部31aから分割可能である。すなわち、ステータコア31は分割コアである。磁極部31bの内周側dの端部は周方向efに両側に張り出している。
【0017】
複数の磁極部31bの各々の周囲にコイル32が巻き回されている。ステータコア12とコイル32との間には、絶縁体で形成されたインシュレータ33が介在しており、インシュレータ33によってステータコア31とコイル32とが絶縁されている。図2に示されるように、各コイル32からは例えば1本の引出線32aが引き出され、引出線32aは上側aに向けて立ち上がっている。この引出線32aを通じてコイル32に電流が供給される又はコイル32から電流が引き出される。本実施形態では、マグネット22及びコイル32の数は24である。
【0018】
径方向cdにおいて、ステータコア31の磁極部31bの端部が、ロータコア21のマグネット22に対して磁気ギャップGを介して対向している。ステータ30のコイル32に電流が供給されると、ロータ20のマグネット22で生じた磁界との相互作用により、ロータ20が軸線x回りに回転する。こうしてロータ20に取り付けられたシャフト11が、ステータ30及びハウジング40に取り付けられた外部機器(図示せず)に対して相対回転することができる。
【0019】
図4は、モータ10からハウジング40を取り外した状態のモータ10の内部構造を概略的に示す斜視図である。図2及び図4を併せて参照すると、モータ10は、ハウジング40のカバー42とステータ30との間でハウジング40内に収容される環状のバスバーユニット50を備える。バスバーユニット50は、外部装置(図示せず)とコイル32とを電気的に接続する。こうしてバスバーユニット50を通じて各コイル32に例えば大容量の電流が供給されることができる。
【0020】
図5は、一具体例に係るバスバーユニット50の構造を概略的に示す分解斜視図である。特に図4及び図5を併せて参照すると、バスバーユニット50は、筒状のケース60と、ケース60内で軸線x方向に積み重ねられる複数のバスバーリング70A~70Fと、軸線x方向に隣接する2つのバスバーリング70、70の間に配置される絶縁部材80と、を備える。本実施形態では、例えば6つのバスバーリング70A~70Fと5つの絶縁部材80とが軸線x方向に交互に積み重ねられている。
【0021】
各バスバーリング70A~70Fは、銅やアルミニウムなどの金属材料を含む導電材料から形成される。各バスバーリング70A~70Fは、リング本体71と、リング本体71の内周側dから外周側cに向けて突出する1以上の内部接続端子72と、リング本体71の外周側cから内周側dに向けて突出する1つの外部接続端子73と、を備える。リング本体71は、軸線xに直交する仮想平面に沿って広がる平たい環状の部材から形成される。図5から明らかなように、複数のバスバーリング70A~70Fでは、径方向cdにおいて、外部接続端子73は複数の内部接続端子72に対して内周側に配置される。
【0022】
図6は、一具体例にかかるバスバーリング70A~70Fの構造を概略的に示す平面図である。図6を併せて参照すると、各内部接続端子72は、リング本体71が広がる仮想平面内でリング本体71の外周端から径方向cdに外周側cに突出する。各内部接続端子72は、フォーク型の端子であり、径方向cdにおいて互いに平行に延びる1対の端子アーム72a、72aを備える。図4から明らかなように、各内部接続端子72は、1対の端子アーム72a、72aの間にコイル32の引出線32aを収容して引出線32aに電気的に接続される。
【0023】
本実施形態では、各バスバーリング70A~70Fは、例えば、90度の等間隔で4つの内部接続端子72を備える。バスバーユニット50は6つのバスバーリング70A~70Fを備えているので、バスバーユニット50は合計24の内部接続端子72を備えている。各バスバーリング70A~70Fにおいて、内部接続端子72の数と互いの間隔とは統一される。言い換えると、各バスバーリング70A~70Fにおいて、リング本体71及び内部接続端子72の形状は互いに等しい。
【0024】
一方で、バスバーユニット50は、各バスバーリング70A~70Fに1つ、すなわち、合計6つの外部接続端子73を備える。各外部接続端子73は、例えば、リング本体71の内周端から径方向cdに内周側dに延在する部分73a(以下、内周側dに突出する突出片73aと呼称する)と、突出片73aの内周端から上側aに延在する部分(以下、上側aに直立する突出片と呼称する)73bと、を備える。突出片73aは、リング本体71が広がる仮想平面内でリング本体71の内周端から突出する。突出片73bは、軸線x方向に平行に広がる仮想平面に沿って広がる板片から形成される。これら突出片73a、73bは、屈曲した形状を有する外部接続端子を形成している。本実施形態では、外部接続端子73は、周方向において、隣接する2つの内部接続端子72から等しい距離の位置に配置される。また、これら複数の外部接続端子73は、周方向において、複数の所定の領域に形成され、いわゆる複数の群を成している。
【0025】
図4から明らかなように、バスバーユニット50では、シャフト11を挟んだ一方の側に3つの外部接続端子73が配置される一方で、シャフト11を挟んだ他方の側に3つの外部接続端子73が配置される。図1及び図2に示されるように、一方の側の3つの外部接続端子73がカバー42aの一方の開口部42eから上側aにモータ10の外部空間に突出する。一方で、他方の側の3つの外部接続端子73がカバー42aの他方の開口部42eから上側aにモータ10の外部空間に突出する。こうして外部接続端子73は外部装置(図示せず)に電気的に接続される。
【0026】
なお、本実施形態では、一方の側の外部接続端子73の突出片73bの上端は、上側aに向かうにつれて直線的に先細る形状を有している。一方で、他方の側の外部接続端子73の突出片73bの上端は、上側aに向かうにつれて曲線的に先細る形状を有している。上述したように、各バスバーリング70A~70Fにおいて、リング本体71及び内部接続端子72の形状は等しい一方で、外部接続端子73が2つの形状を有しているので、本実施形態では、2つのタイプの形状を有するバスバーリング70を使用することによって実現される。
【0027】
絶縁部材80は、例えば、環状の部材で形成され、環状で平板の形状を備えている。絶縁部材80は、例えば、樹脂材料を含む絶縁材料から形成される。上側aから見た絶縁部材80の輪郭は、同様に上側aから見たバスバーリング70A~70Fのリング本体71の輪郭に一致する。、軸方向において相互に隣接する2つのバスバーリング70、70の間にこの絶縁部材80を配置することで、2つのバスバーリング70、70の絶縁が確保される。
【0028】
図5に戻ると、ケース60は、環状の収容空間を形成するケース本体61と、軸線x方向にケース本体61を覆って環状の収容空間を閉鎖する蓋62と、を備える。ケース本体61及び蓋62は、樹脂材料を含む絶縁材料から形成される。ケース本体61は、例えば軸線xに直交する仮想平面に沿って広がる環状の底部61aと、径方向cdにおける底部61aの外周縁から上側aに立ち上がる円筒状の外壁61bと、径方向cdにおける底部61aの内周縁から上側aに立ち上がる円筒状の内壁61cと、を備える。このケース60の環状の収容空間に、6つのバスバーリング70A~70Fと5つの絶縁部材80とで構成される積層体が収容される。
【0029】
図7は、一具体例にかかるバスバーユニット50から蓋62を取り外した状態のバスバーユニット50の構造を概略的に示す平面図であり、図8は、一具体例にかかるバスバーユニット50の構造を概略的に示す側面図である。図4図8を参照すると、ケース60の外壁61bには、各バスバーリング70A~70Fの複数の内部接続端子72にそれぞれ対応する複数の凹部すなわちスリット63が形成される。複数のスリット63は周方向efに配列される。各スリット63は、軸線x方向に外壁61bの上端から下端に向かって凹んだ凹部である。
【0030】
スリット63のそれぞれから径方向cdにおいて外周側cに内部接続端子72がそれぞれ突出する。複数のバスバーリング70A~70Fにおいて、複数の内部接続端子72は、周方向efに互いに異なる位置に配置される。複数の内部接続端子72及び対応する複数のスリット63は周方向efに等間隔に配置される。本実施形態では、24の内部接続端子72が配列されるので、図7に示されるように複数の内部接続端子72及び複数のスリット63は15度の角度間隔で等間隔に配列される。
【0031】
特に図5及び図8に示されるように、各スリット63は、上側aから各スリット63内に内部接続端子72を受け入れ可能な形状を有している。具体的には、各スリット63は、軸線x方向に互いに平行に延びる1対の側縁63a、63aと、軸線xに直交する仮想平面に沿って延びる底縁63bと、で形成されている。本実施形態では、スリット63の底縁63bは、内部接続端子72の下面を支持するように構成される。ただし、底縁63bと内部接続端子72の下面との間に隙間が形成されてもよい。
【0032】
図7及び図8に示されるように、24つのスリット63は、6つのバスバーリング70A~70Fの内部接続端子72に対応する1のスリット群、合計6つのスリット群63A~63Fを構成する。スリット群63A~63Fのそれぞれは、90度の等間隔で周方向efに配列される4つのスリット63から構成される。軸線x方向に規定される外壁61bの上端からの各スリット群63A~63Fのスリット63の底縁63bまでの深さは、バスバーリング70A~70Fごとに互いに異なるように設定される。具体的には、各スリット群63A~63Fのスリット63それぞれの底縁63bまでの深さは第1深さ~第6深さに設定される。第1深さから第6深さに向かって深さは増大する。各深さの間の差は、軸線x方向の1の内部接続端子72及び1の絶縁部材80の厚さに相当する。
【0033】
例えば、軸線x方向の一番上側aに配置されるバスバーリング70Aの4つの内部接続端子72は、第1深さを有するスリット群63Aのスリット63のそれぞれから外周側cに突出する。同様に、バスバーリング70B~70Fのそれぞれの内部接続端子72は、第2深さ~第6深さをそれぞれ有するスリット群63A~63Fのスリット63のそれぞれから外周側cに突出する。本実施形態では、周方向f周りに15度の角度間隔で、第2深さのスリット群63B、第5深さのスリット群63E、第3深さのスリット群63C、第6深さのスリット群63F、第1深さのスリット群63A及び第4深さのスリット群63Dの順番で配列される。
【0034】
図5及び図8に示すように、ケース60の蓋62は、周方向cdに延在する環状部62aと、環状部62aの外周縁から軸線x方向に下側bに延在する複数の凸部すなわち凸片62bと、を備える。環状部62aは、軸線xに直交する仮想平面に沿って広がる平たい環状の部材である。凸片62bは、周方向cdにおいて、ケース本体61のスリット63に対応する位置に形成される。
【0035】
また、軸線x方向における環状部62aからの凸片62bの長さは、対応するスリット63の深さに対応して規定される。具体的には、凸片62bの長さは、対応するスリット63の深さから内部接続端子72の厚さを引いた深さに相当する。したがって、蓋62がケース本体61に取り付けられると、蓋62の凸片62bのそれぞれは、ケース本体61の対応のスリット63に向けて突出する。図8に示すように、スリット63は内部接続端子72及び凸片62bで閉ざされる。
【0036】
一方で、図5及び図7に示されるように、ケース60の内壁61cには、各バスバーリング70A~70Fの外部接続端子73にそれぞれ対応する複数、すなわち、6の凹部すなわちスリット64が形成される。具体的には、6のスリット64は、軸線xに対して一方の側及び他方の側にそれぞれ3つのスリット64を含むスリット群64A、64Bを構成する。各スリット群64A、64Bでは、周方向cdにおいて30度の角度間隔で等間隔に配列される。
【0037】
各スリット64は、上側aから各スリット64内に外部接続端子73を受け入れ可能な形状を有している。具体的には、各スリット64は、軸線x方向に互いに平行に延びる1対の側縁64a、64aと、軸線xに直交する仮想平面に沿って延びる底縁64bと、を規定する。本実施形態では、スリット64の底縁64bは、外部接続端子73の下面を支持するように構成される。ただし、底縁64bと外部接続端子73の下面との間に隙間が形成されてもよい。
【0038】
軸線x方向に規定される内壁61cの上端からのスリット64の底縁64bまでの深さは、バスバーリング70A~70Fごとに互いに異なるように設定される。具体的には、スリット64それぞれの底縁64bまでの深さは、スリット63の第1深さ~第6深さに一致する。すなわち、バスバーリング70A~70Fのそれぞれの外部接続端子73は、第1深さ~第6深さをそれぞれ有するスリット64のそれぞれから内周側dに突出する。なお、周方向cdにおけるスリット64の位置は、バスバーリング70A~70Fにおける内部接続端子72及び外部接続端子73の位置関係に対応した位置に設定される。
【0039】
図5に示すように、ケース60の蓋62は、環状部62aの内周縁から軸線x方向に下側bに延在する複数の凸部すなわち凸片62cを備える。凸片62cは、周方向cdにおいて、ケース本体61のスリット64に対応する位置に形成される。また、軸線x方向における環状部62aからの凸片62cの長さは、対応するスリット64の深さに対応して規定される。具体的には、凸片62cの長さは、対応するスリット64の深さから外部接続端子73の厚さを引いた深さに相当する。したがって、蓋62がケース本体61に取り付けられると、蓋62の凸片62cのそれぞれは、ケース本体61の対応のスリット64に向けて突出する。こうしてスリット64は外部接続端子73及び凸片62cで閉ざされる。
【0040】
以上のようなモータ10では、バスバーユニット50の各バスバーリング70A~70Fにおいて、外部接続端子73は内部接続端子に対して内周側dに配置される。その結果、例えば内部接続端子72及び外部接続端子73が周方向に配列される場合に比べて、内部接続端子72及び外部接続端子73の位置を径方向cdに分散させることができる。したがって、簡易な構造でモータ10内の省スペース化を図ることができる。しかも、バスバーユニット50は、複数のバスバーリング70A~70Fを積み重ねた構造であるので、複数の回路を形成するために簡素化された作業で足りる。また、簡易な構造であるので、モータ10の製造コストの増大を抑制することができる。
【0041】
一具体例に係るバスバーユニット50の製造にあたって、バスバーリング70Fの4つの内部接続端子72を外壁61bのスリット群64Fに位置合わせしつつ、バスバーリング70Fをケース60の収容空間に収容する。その後、絶縁部材80がバスバーリング70F上に配置される。こうしてバスバーリング70E~70A及び絶縁部材80が交互に積み重ねられる。スリット64の深さはバスバーリング70A~70Fごとに異なるように設定されているので、バスバーリング70A~70Fの位置を容易に特定することができる。こうしてバスバーユニット50が製造される。
【0042】
なお、上述のバスバーユニット50では、24のコイル32に対応すべく24の内部接続端子72を有する例を説明したが、内部接続端子72の数やバスバーリング70の数はコイル32の数に合わせて適宜設定されればよい。こうして設定された数に応じてケース60のスリット63の数や位置が設定されればよい。
【0043】
また、バスバーユニット50以外のモータ10の構成については、上記実施形態の構成に限定されず、あらゆるタイプのモータに対しても本発明を適用することができる。したがって、上記実施形態では、インナーロータ型のモータを例に挙げているが、本発明は、アウターロータ型のモータにも適用することができるし、ブラシレスモータに限らずブラシモータにも適用することができる。その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
10…モータ、11…シャフト、12…軸受、13…軸受、20…ロータ、21…ロータコア、21a…孔部、21b…内周部、21c…スポーク、21d…外周部、22…マグネット、30…ステータ、31…ステータコア、31a…環状部、31b…磁極部、32…コイル、32a…引出線、33…インシュレータ、40…ハウジング、41…ハウジング本体、41a…底部、41b…突出部、41c…外周部、42…カバー、42a…平板部、42b…突出部、42c…外周部、42d…開口部、42e…開口部、50…バスバーユニット、60…ケース、61…ケース本体、62…蓋、61a…底部、61b…外壁、61c…内壁、63…凹部(スリット)、63A~63F…スリット群、63a…側縁、63b…底縁、62a…環状部、62b…凸部(凸片)、62c…凸部(凸片)、64…凹部(スリット)、64A、64B…スリット群、64a…側縁、64b…底縁、70A~70F…バスバーリング、71…リング本体、72…内部接続端子、72a…端子アーム、73…外部接続端子、73a…突出片、73b…突出片、80…絶縁部材

図1
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図8