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特開2024-4239タイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法
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  • 特開-タイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法 図1
  • 特開-タイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004239
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】タイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240109BHJP
   E04F 15/08 20060101ALI20240109BHJP
   E04F 15/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E04F13/08 101A
E04F15/08 G
E04F15/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103812
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】519022137
【氏名又は名称】株式会社リンクジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 豊和
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB05
2E110AB22
2E110AB23
2E110GB23Y
2E110GB28W
2E110GB42Z
2E110GB43Z
2E110GB44Z
2E110GB46W
2E110GB46Z
2E110GB52Z
2E110GB54Z
2E110GB55W
2E110GB55Z
2E110GB56Y
2E220AA51
2E220AB14
2E220AC01
2E220BA01
2E220DA05
2E220DB09
2E220EA11
2E220GA24Z
2E220GB22Y
2E220GB26X
2E220GB32X
2E220GB32Z
2E220GB33Z
2E220GB34X
2E220GB34Z
2E220GB35Z
2E220GB37Z
2E220GB39X
2E220GB40Y
(57)【要約】
【課題】使用環境や施工対象ごとに、最適な材質、及び厚さを選択できるタイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法を提供する
【解決手段】本発明は、アスファルトやコンクリート下地に対し加熱溶融させたシートとタイルを接着するもので、下地とタイルの間に介在するタイル用加熱溶融型接着シートである。主成分がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVS)アクリル樹脂(PMMA)、アクリルウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン系樹脂(PUR)、ポリオレフィン系樹脂(PO)、アクリルゴム系樹脂(ACM)及びポリアミド(PA)及びポリアミド(PA)、の少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは250μm~3mmシート状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトやコンクリート下地に対し加熱溶融させたシートとタイルを接着するもので、下地とタイルの間に介在する
タイル用加熱溶融型接着シート。
【請求項2】
主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリルゴム系樹脂、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは250μm~3mmのシート状である
請求項1に記載のタイル用加熱溶融型接着シート。
【請求項3】
前記タイルが合成ゴム又は塩化ビニル樹脂で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは0.2mm~0.5mmである
請求項2に記載のタイル用加熱溶融型接着シート。
【請求項4】
前記タイルが陶器又は磁器で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは1.0mm~2.0mmである
請求項2に記載のタイル用加熱溶融型接着シート。
【請求項5】
前記タイルがMMA樹脂で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは0.5mm~1.0mmである
請求項2に記載のタイル用加熱溶融型接着シート。
【請求項6】
前記タイルがMMA樹脂で、使用条件がアスファルト下地の場合には、厚さは0.8mm~2.0mmである
請求項2に記載のタイル用加熱溶融型接着シート。
【請求項7】
アスファルトやコンクリート下地の異なる空隙や凹凸に応じ、タイル用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、充填作業や下地調整をすることなく、タイルとの最適な接着層を形成でき、強固に接着できる
タイル施工方法。
【請求項8】
前記タイル用加熱溶融型接着シートは溶融式であり、敷設面であるアスファルトやコンクリートとタイルによる素材温度が低い場合は、接着直前に両方を予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、敷設面に敷き溶融させる
請求項7に記載のタイル施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたアスファルトやコンクリート下地等へのタイル施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機系接着剤を使用したタイル施工方法では、コンクリート下地の床面や壁面に直接接着剤を塗布し、液状の接着剤を施工者が均一に敷均し、下地とタイルの接着を良好な状態にし、接着剤が硬化し始める貼付け可能な時間までに、タイルを並べ接着施工している。
【0003】
このような従来のタイル施工法方法における有機系接着剤の使用量は、単位面積当たりに使用する接着剤の重さが定められており、合成ゴムタイル及び塩化ビニル樹脂タイルで約0.3~0.4kg/m、陶器タイル及び磁器タイルで約1.5~1.9kg/mを使用する事で、最適な接着層の厚さが形成される。
【0004】
一方、主剤と硬化剤を使用したタイル施工方法では、先に主剤と硬化剤をよく混ぜ合わせ、床面や壁面へ直接接着剤を塗布し、化学反応で硬化し始める貼付け可能な時間までに、液状の接着剤を施工者が均一に敷均し、下地とタイルの接着を良好な状態にし、タイルを並べ接着施工している。
【0005】
主剤と硬化剤を使用した接着剤で、MMA樹脂系タイルを施工する際に、最適な接着層の厚さを形成するには、下地がアスファルトの場合は、空隙のバラツキが大きく、約6.2~8.3kg/mだけ必要とし、コンクリート下地の場合は、約4.1~4.2kg/mだけ必要とする。
【0006】
このほか、合成ゴムタイル、塩化ビニル樹脂タイル、陶器タイル、磁器タイルの場合はコンクリート下地であることが殆どであり、接着剤の使用量は、合成ゴムタイル、塩化ビニル樹脂タイルで約0.3~0.4kg/m、陶器タイル及び磁器タイルで約1.5~1.9kg/mとなる。
【0007】
ここで、特許文献1では、床面の表面に設けられた木質の第一床仕上材と、木質床材やプラスチック系床タイル、タイルカーペット又は表示シートからなる第二床仕上材との間に介在する、シート状基材層の裏面側に密着層が形成されてなる床用再剥離型シートにおいて、前記密着層が天然ゴムラテックス100質量部に対して合成樹脂エマルジョン5~90質量部を含むことにより構成され、合成樹脂エマルジョンのガラス転移温度が-70℃~-15℃であって、密着層の厚さが50~150μmであることを特徴とする床用再剥離型シートが開示されています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-53509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、有機系接着剤や主剤と硬化剤を使用した接着剤を用いたタイル施工方法において、接着層を均一に敷均し形成するのは、タイルとの接着面積を増やし、接着強度を増やすための重要な作業である。従って、必ず接着剤が硬化を始める前に作業を終わらせる必要があり、施工環境の温度によって作業工程や主剤と硬化剤の配合を変える等、年間を通して特殊な作業技術を必要とする。
【0010】
すなわち、有機系接着剤や主剤と硬化剤を使用したタイル施工方法では、施工時の温度・湿度・風通しなどの条件によって硬化時間が異なり、貼り付け可能な時間を過ぎると接着剤の流動性が無くなり、接着剤を均し接着層を成形することが困難となり、タイルと接着剤との間に空隙が生じ、接着不良となるため、硬化時間を考慮した作業が重要となる。
【0011】
さらに、有機系接着剤及び主剤と硬化剤を使用した接着剤の多くは、皮膚に接触すると刺激やアレルギー性皮膚炎を引き起こすことがある。また、揮発性有機化合物や硬化過程に発生するガスなどを吸い込むことで、施工者や周囲の人への健康障害を引き起こす原因となっている。
【0012】
このように、有機系接着剤や主剤と硬化剤を使用した接着剤を使用したタイルの施工方法では、化学物質による健康被害に加え、施工時の温度・湿度・風通しなどの条件によって硬化時間が異なり、貼り付け可能な時間を過ぎた接着剤は接着層が形成出来ず、施工を難しいものとし、接着不良となり剥離するという問題がある。
【0013】
一方、特許文献1に開示の床用再剥離型シートでは、使用環境や貼り付け対象ごとに最適な材質、厚さを提案してはいない。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用環境や施工対象ごとに、最適な材質、及び厚さを選択できるタイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るタイル用加熱溶接型接着シートは、アスファルトやコンクリート下地に対し加熱溶融させたシートとタイルを接着するもので下地とタイルの間に介在する。
【0016】
この態様において、主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリルゴム系樹脂、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは250μm~3mmのシート状であってよい。
【0017】
本発明の他の態様に係るタイル施工方法は、アスファルトやコンクリート下地の異なる空隙や凹凸に応じ、タイル用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、充填作業や下地調整をすることなく、タイルとの最適な接着層を形成でき、強固に接着できる。
【0018】
この態様において、前記タイル用加熱溶融型接着シートは溶融式であり、敷設面であるアスファルトやコンクリートとタイルによる素材温度が低い場合は、接着直前に両方を予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、敷設面に敷き溶融させてよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用環境や施工対象ごとに、最適な材質、及び厚さを選択できるタイル用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたタイル施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るシート施工方法の過程を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係るシート施工方法の過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0022】
本発明の加熱溶融型接着シートは、接着剤をシート化し、図1図2に示す様に、敷設面であるアスファルト下地3、又はコンクリート下地4など、表面の異なる空隙や凹凸に加熱することで溶融充填し、レベリングされた接着面を形成し、シートの厚さは250μm~3mmの板状のもので、使用するタイルと下地の条件によりシート厚さを選択することにより最適な接着層を調整できることを特徴とする。
【0023】
加熱溶融型接着シートの主成分は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVS)アクリル樹脂(PMMA)、アクリルウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン系樹脂(PUR)、ポリオレフィン系樹脂(PO)、アクリルゴム系樹脂(ACM)、及びポリアミド(PA)等の少なくともいずれかの樹脂からなる。
【0024】
ここで、使用するタイルと使用条件に好適な加熱溶融型接着シートの厚さは、一例を挙げると次の通りである。
1)タイルが合成ゴムで、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは0.2mm~0.5mm程度が好適である。
2)タイルが塩化ビニル樹脂で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは0.2mm~0.5mm程度が好適である。
3)タイルが陶器で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは1.0mm~2.0mm程度が好適である。
4)タイルが磁器で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは1.0mm~2.0mm程度が好適である。
5)タイルがMMA樹脂で、使用条件がコンクリート下地の場合には、厚さは0.5mm~1.0mm程度が好適である。
6)タイルがMMA樹脂で、使用条件がアスファルト下地の場合には、厚さは0.8mm~2.0mm程度が好適である。
【0025】
すなわち、本発明の加熱溶融型接着シートは、敷設面がアスファルト下地3やコンクリート下地4である場合において、目的とするタイルに応じ接着剤の使用量が異なるものに対して、シートの厚さを変えることで、MMA樹脂系タイル、合成ゴムタイル、塩化ビニル樹脂タイル、陶器タイル、磁器タイルを含む、それに類する屋内外のタイルとの最適な接着層を調整できるものである。
【0026】
下地となるアスファルト下地3,及びコンクリート下地4の表面は、均一ではないため凹凸や空隙率が異なり、直接高温に加熱し溶融させた加熱溶融型接着シート1が、下地3,4の空隙や凹凸に流動し充填することで、下地とシートとの接着面積が増え最適な接着層を形成できるものである。
【0027】
また、加熱することでタイル用加熱溶融型接着シートの表面は平準化し、施工者が接着面を敷均す事なく、タイルとの隙間が生じにくいレベリングされた接着面を形成でき、硬化したさいに強固に接着するものである。
【0028】
タイル用加熱溶融型接着シートは、加熱中は硬化が始まらないため、施工環境の温度による硬化時間が大きく左右されず、ガラス転移温度が100℃~200℃であって、タイルの施工の直前まで溶融状態を保てるものである。
【0029】
加熱溶融型接着シートの主成分は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVS)アクリル樹脂(PMMA)、アクリルウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン系樹脂(PUR)、ポリオレフィン系樹脂(PO)、アクリルゴム系樹脂(ACM)、及びポリアミド(PA)等の少なくともいずれかの樹脂からなる。
【0030】
アスファルト下地3、コンクリート下地4とは、タイルを敷設しようとする下地の事であり、加熱溶融型接着シート1は、溶融流動化し、空隙や凹凸に充填する特徴により、アスファルトに塗料や樹脂が塗布された表面や、コンクリート製ブロックの表面であっても好適にタイルを敷設できる。
【0031】
また、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・アセトアルデヒドのような接着剤に使用される揮発性有機化合物を含まず、加熱による溶融化方式である加熱溶融型接着シートは、主剤と硬化剤を化学反応させ硬化する接着剤と異なり、有毒ガスが発生しない。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1…加熱溶融接着シート
2…タイル
3…アスファルト下地
4…コンクリート下地。
図1
図2