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  • 特開-融雪ヒータ付き車両 図1
  • 特開-融雪ヒータ付き車両 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042393
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】融雪ヒータ付き車両
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/10 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
E01H5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147077
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】522367355
【氏名又は名称】株式会社総伸
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】中西 伸一
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026CL03
2D026CM03
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で融雪可能な融雪ヒータを備えた融雪ヒータ付き車両を提供する。
【解決手段】 融雪ヒータ付き車両1は、車体2と、車体2に装着された車輪3と、車体3の下面に設けられた融雪ヒータ4と、を備える。融雪ヒータ4は車輪3の接地面に臨み、融雪ヒータ4からの発熱により接地面の雪が融雪される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に装着された車輪と、
前記車体の下面に設けられた融雪ヒータと、を備え、
前記融雪ヒータは、前記車輪の設置面に臨み、前記融雪ヒータからの発熱により前記設置面の雪が融雪される融雪ヒータ付き車両。
【請求項2】
前記車輪は前車輪と後車輪を含み、
前記融雪ヒータは、前記前車輪の前方に配置された前融雪ヒータを含む請求項1に記載の融雪ヒータ付き車両。
【請求項3】
前記車輪は前車輪と後車輪を含み、
前記融雪ヒータは、前記前車輪と前記後車輪の間に配置された中央融雪ヒータを含む請求項1に記載の融雪ヒータ付き車両。
【請求項4】
前記融雪ヒータは、前記後車輪の後方に配置された後融雪ヒータを含む請求項2又は3に記載の融雪ヒータ付き車両。
【請求項5】
前記融雪ヒータは、線状又はベルト状のシリコンラバーヒータを備えて構成されている請求項1~3の何れかに記載の融雪ヒータ付き車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪ヒータを備えた融雪ヒータ付き車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、降雪時に車両の車輪が雪で埋もれ、車両の発進が妨げられることがあった。また、このような問題は、車両を屋外に駐車しておいた場合に限らず、長時間に亘って渋滞にはまった場合等にも発生し、車両が路上で立ち往生する原因となっていた。このような場合には、人力で除雪したり、温水を撒いて融雪したりすることが多かった。
【0003】
一方、特許文献1には、車両のエンジン廃熱により加温された湯を路面に落下させて路面の雪を融かす装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-120046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の装置では、車両に水槽やポンプを設置する必要があり、構成が大がかりになると共に、水槽に水を補給する必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、簡単な構成で融雪可能な融雪ヒータを備えた融雪ヒータ付き車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る融雪ヒータ付き車両は、車体と、前記車体に装着された車輪と、前記車体の下面に設けられた融雪ヒータと、を備え、前記融雪ヒータは前記車輪の設置面に臨み、前記融雪ヒータからの発熱により前記設置面の雪が融雪される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る融雪ヒータ付き車両によれば、車体の下面に設けられた融雪ヒータを備え、当該融雪ヒータは車輪の設置面に臨むので、融雪ヒータからの発熱により設置面上の雪を融雪することができる。これにより、車輪が雪に埋もれるのを防止したり、車輪が雪に埋もれた場合に融雪してこれを解消したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る融雪ヒータ付き車両を示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図。
図2図1の融雪ヒータ付き車両が備える融雪ヒータの一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のIIb-IIb線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る融雪ヒータ付き車両について説明する。
【0011】
図1に示す様に、本実施形態に係る車両1は、車体2と、車体2に装着された車輪3と、車体2の下面に装着されて車輪3の設置面(地面や路面)と対向する融雪ヒータ4と、を備える。ここでは車両1として四輪自動車を例に説明する。
【0012】
車輪3には一対の前車輪31及び一対の後車輪32が含まれる。車体2は、フロントバンパー21と、リアバンパー22と、前車輪31と後車輪32の間に位置する一対のサイドステップ23と、を備える。融雪ヒータ4には、フロントバンパー21の下面に設けられた前融雪ヒータ4Aと、リアバンパー22の下面に設けられた後融雪ヒータ4Bと、一対のサイドステップ23の各々の下面に設けられた一対の中央融雪ヒータ4Cが含まれる。
【0013】
フロントバンパー21の下面に設けられた前融雪ヒータ4Aは、車体2の幅方向Wに沿って延び、一対の前車輪31の前方に位置している。リアバンパー22の下面に設けられた後融雪ヒータ4Bは、車体2の幅方向Wに沿って延び、一対の後車輪32の後方に位置している。各サイドステップ23の下面に設けられた中央融雪ヒータ4Cは、前車輪31と後車輪32の間を車体2の前後方向Lに沿って延びるように配置されている。
【0014】
何れの融雪ヒータ4も車輪3の設置面(地面や路面)に臨むように配置されており、また各融雪ヒータ4は図示しないコントローラに接続されている。コントローラ(図示せず)は車両1のトランク内や助手席の足下などに設置される。
【0015】
融雪ヒータ4の電源としては、家庭用の商用電源を用いるほか、車両1のバッテリーを電源としてもよく、電源を任意に切替可能とするのが好ましい。また、商用電源を用いる場合等においては、変圧器を併用するのが好ましい。
【0016】
かかる構成において、融雪ヒータ4(4A~4C)をオンすることにより、車両1(車体2)の下方の積雪を融雪することができる。即ち、前融雪ヒータ4Aにより前車輪31の前方の雪が融雪され、後融雪ヒータ4Bにより後車輪32の後方の雪が融雪され、中央融雪ヒータ4Cにより前車輪31の後方と後車輪32の前方の雪(即ち、前車輪31と後車輪32の間の雪)が融雪される。
【0017】
よって、長時間にわたって車両1を屋外に駐車したことにより車両1の車輪3が雪で埋もれてしまっても、融雪ヒータ4をオンすることにより融雪することができ、これにより車両1を比較的スムーズに発進させることができる。また、降雪時に渋滞にはまった場合等であっても、融雪ヒータ4をオンにしておけば、車輪3が雪に埋まって立ち往生する危険性を軽減できる。更に、降雪時において融雪ヒータ4をオンにしたまま走行すれば、路面への積雪を軽減・防止することができる。
【0018】
なお、融雪ヒータ4としては、融雪可能なものであれば、どのような構成のものであっても構わない。ここでは、融雪ヒータ4の一例について図2を参照して説明する。
【0019】
図2を参照して、融雪ヒータ4は、熱伝導率の高い長尺円筒状の金属管41と、金属管41に収容された長尺状の発熱体42と、金属管41と発熱体42の間に設けられた多孔性のアルミ層43と、金属管41の両端開口部41a、41bを覆う一対の蓋部材43,44と、を備える。金属管41には例えば鉄管や銅管、ステンレス管等が用いられ、発熱体42には線状又はベルト状のシリコンラバーヒータが用いられる。シリコンラバーヒータとは、2枚のシリコンゴムシートの間に発熱線が配線されて構成されたものであり、100Vタイプ又は200Vタイプのものを用いるのが好ましい。アルミ層43はアルミ箔からなり、発熱体42から発せられた熱がアルミ層43(アルミ箔)を介して金属管41に伝わるようになっている。
【0020】
蓋部材43,44は金属管41の両端に着脱自在に装着されて開口部41a、41bを覆う。蓋部材43は例えばキャップ状であり、金属管41の開口部41aを封止する。蓋部材44は例えばキャップ状であり、蓋部材44には挿通孔(図示せず)が設けられ、発熱体42から延びるリード線45が当該挿通孔(図示せず)を介して上述のコントローラ(図示せず)まで延びている。
【0021】
融雪ヒータ4は例えば次の様にして製造することができる。まず、発熱体42の周囲を家庭用のアルミ箔できつく巻き、これを金属管41の一方の開口部41bから金属管41内へ挿入する。このとき、アルミ箔で巻かれた発熱体42を回転させながら金属管41内へ挿入することで、発熱体42を比較的スムーズに挿入することができる。その後、発熱体42から延びるリード線45を蓋部材44の挿通孔(図示せず)に挿通し、蓋部材43,44を金属管41の両端に装着する。リード線45をコントローラ(図示せず)に所要の通りに接続させる。
【0022】
かかる構成において、コントローラにより発熱体42がオンされると発熱体42が発熱し、発熱体42から発せられた熱はアルミ層43を介して金属管41に伝わり、地面や路面(車輪3の設置面)の雪を融雪する。
【0023】
このように、本実施形態の車両1によれば、発熱により融雪する融雪ヒータ4を車体2の下面に取り付ける構成であるから、従来技術のように水槽等を設ける必要がなく、簡単な構成で効果的に地面(路面等)の雪を融雪することができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態に係る融雪ヒータ付き車両について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0025】
例えば、上記実施形態においては、4個の融雪ヒータ4(4A~4C)を車体2に設けたが、これら4個全てを車体2に設けなる必要はなく、これらの融雪ヒータ4のうちの何れか1個又は複数個のみを設けるようにしても良い。
【0026】
また、融雪ヒータ4は直線状である必要はなく、車体2の形状等に応じて湾曲状に構成されたものであっても構わない。更に、図2に示すのとは異なる構成の融雪ヒータを用いることも可能である。
【0027】
上記実施形態においては、車両1として四輪自動車を例に説明したが、車両1は四輪自動車に限定されず、バイクなどの二輪車両や鉄道車両であってもよい。例えば二輪車両の場合には、融雪ヒータ4が前車輪と後車輪の間に位置するように二輪車両の車体下面に設けるのが好ましい。また、車両1が鉄道車両の場合、車輪3の設置面とは車輪3が設置される線路面をいう。
【符号の説明】
【0028】
1 車両
2 車体
3 車輪
4 融雪ヒータ
21 フロントバンパー
22 リアバンパー
23 サイドステップ
31 前車輪
32 後車輪
図1
図2