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特開2024-42403アンテナ装置及びこれを備えるICカード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042403
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】アンテナ装置及びこれを備えるICカード
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240321BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G06K19/077 272
G06K19/077 144
G06K19/077 296
G06K19/077 196
H01Q7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147090
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】梶木屋 翔磨
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制しつつ、より大きなキャパシタンスを得ることが可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、基材20と、基材20の一方の表面21に設けられたコイルパターンCP及びコイルパターンCPの最内周ターンに接続されるキャパシタ電極パターン400と、基材20の他方の表面22を覆う磁性体30とを備える。キャパシタ電極パターン400は、基材20と磁性体30との間において他の導体パターンを介することなく基材20を介して磁性体30と重なり、且つ、互いに平行に延在する複数の線状パターン402を含む。これによれば、製造コストを抑制しつつ、より大きなキャパシタンスを得ることが可能なアンテナ装置を提供することが可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方の表面に設けられたコイルパターン及び前記コイルパターンの最内周ターンに接続されるキャパシタ電極パターンと、
前記コイルパターンの少なくとも一部及びキャパシタ電極パターンと重なる磁性体と、を備え、
前記キャパシタ電極パターンは、互いに平行に延在する複数の線状パターンを含み、
前記キャパシタ電極パターンと前記磁性体との間には、絶縁材を介して前記キャパシタ電極パターンと対向する他の導体パターンが設けられておらず、且つ、前記基材の他方の表面のうち前記キャパシタ電極パターンと重なる位置には、他の導体パターンが設けられていない、アンテナ装置。
【請求項2】
前記磁性体は、扁平形状を有する磁性粉末を含んでいる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記磁性体は、接着層を介して前記基材の前記他方の表面に接着されたシート状部材からなる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記磁性体は、接着層を介することなく、前記基材の前記他方の表面に直接接触する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記基材の厚みは、前記磁性体の厚みより薄い、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記キャパシタ電極パターンは、前記コイルパターンの開口面積の50%以上を覆う、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記複数の線状パターン間の距離は、複数の線状パターンのパターン幅より小さい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記磁性体は、貫通孔を有し、
前記コイルパターンは、第1コイルパターンを含み、
前記第1コイルパターンは、前記磁性体と重なるよう前記基材の外縁に沿って周回する第1周回部と、前記第1周回部の各ターンに接続され、前記貫通孔の内縁に沿って前記第1周回部とは逆方向に周回する第2周回部とを含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第2周回部の少なくとも一部は、前記貫通孔と重なるよう、前記貫通孔の前記内縁の内側に沿って周回する、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第2周回部の少なくとも一部は、前記磁性体と重なるよう、前記貫通孔の前記内縁の外側に沿って周回する、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2周回部のパターン幅は、前記第1周回部のパターン幅より小さい、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記コイルパターンは、前記第1コイルパターンの外周端に接続され、前記磁性体と重なるよう、前記第1周回部の外周に沿って前記第1周回部と同方向に周回する第2コイルパターンをさらに含む、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記コイルパターンは、前記第1コイルパターンの内周端に接続され、前記キャパシタ電極パターンの外周に沿って前記第1周回部と同方向に周回する第3コイルパターンをさらに含む、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第2及び第3コイルパターンのパターン幅は、前記第1コイルパターンの前記第1周回部のパターン幅よりも小さい、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第3コイルパターンと前記第2コイルパターンの線路長の差分は、前記第3コイルパターンと前記第2コイルパターンのターン数が同じ場合における線路長の差分より小さい、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記複数の線状パターンのパターン幅は、前記第1コイルパターンの前記第1周回部のパターン幅よりも小さい、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記第2周回部の開口幅は、前記第2周回部の巻き幅より大きい、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記基材とは反対側から前記磁性体を覆うメタルプレートをさらに備える、請求項8乃至17のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
請求項18に記載のアンテナ装置と、
ICモジュールと、を備え、
前記メタルプレートは、前記ICモジュールが配置される貫通孔を有し、
前記メタルプレートの貫通孔は、前記磁性体の貫通孔と重なる、ICカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置及びこれを備えるICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基材に設けられたコイルパターンと、基材の両面に設けられたキャパシタ電極パターンを備えたICカードが開示されている。しかしながら、基材の両面を用いてキャパシタを形成すると、基材にビア導体を形成する必要があるなど、製造コストが高くなってしまう。これに対し、特許文献2においては、並行に延在する複数の線状パターンを基材の片面に設けることによってキャパシタを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-353440号公報
【特許文献2】特開2001-307053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の構成では、十分なキャパシタンスを得ることが困難である。
【0005】
したがって、本開示は、製造コストを抑制しつつ、より大きなキャパシタンスを得ることが可能なアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施態様によるアンテナ装置は、基材と、基材の一方の表面に設けられたコイルパターン及びコイルパターンの最内周ターンに接続されるキャパシタ電極パターンと、コイルパターンの少なくとも一部及びキャパシタ電極パターンと重なる磁性体とを備え、キャパシタ電極パターンは、互いに平行に延在する複数の線状パターンを含み、キャパシタ電極パターンと磁性体との間には、絶縁材を介してキャパシタ電極パターンと対向する他の導体パターンが設けられておらず、且つ、基材の他方の表面のうちキャパシタ電極パターンと重なる位置には、他の導体パターンが設けられていない。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製造コストを抑制しつつ、より大きなキャパシタンスを得ることが可能なアンテナ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態によるアンテナ装置を備えるICカード3の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、本開示の第1の実施形態によるアンテナ装置1を備えるICカード3の構造を説明するための略分解斜視図である。
図3図3は、本開示の第1の実施形態によるアンテナ装置1を備えるICカード3の構造を説明するための略断面図である。
図4図4は、第1の実施形態において、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンの略平面図である。
図5図5は、キャパシタ電極パターン400によってキャパシタンスが得られるメカニズムを説明するための模式的な断面図である。
図6図6は、ICモジュール50を裏面側から見た略斜視図である。
図7図7は、ICカード3とカードリーダー6が通信を行う状態を示す模式図である。
図8図8は、第1の実施形態の第1の変形例によるアンテナ装置1Aの構成を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態の第2の変形例によるアンテナ装置1Bの構成を説明するための図である。
図10図10は、第1の実施形態の第3の変形例によるアンテナ装置1Cの構成を説明するための図である。
図11図11は、第1の実施形態の第4の変形例によるアンテナ装置1Dの構成を説明するための図である。
図12図12は、第1の実施形態の第5の変形例によるアンテナ装置1Eの構成を説明するための図である。
図13図13は、第1の実施形態の第6の変形例によるアンテナ装置1Fの構成を説明するための図である。
図14図14は、本開示の第2の実施形態によるアンテナ装置2の構成を説明するための図である。
図15図15は、第2の実施形態の第1の変形例によるアンテナ装置2Aの構成を説明するための図である。
図16図16は、第2の実施形態の第2の変形例によるアンテナ装置2Bの構成を説明するための図である。
図17図17は、第2の実施形態の第3の変形例によるアンテナ装置2Cの構成を説明するための図である。
図18図18は、第2の実施形態の第4の変形例によるアンテナ装置2Dの構成を説明するための図である。
図19図19は、第2の実施形態の第5の変形例によるアンテナ装置2Eの構成を説明するための図である。
図20図20は、本開示の第3の実施形態によるICカード3Aの構造を説明するための略断面図である。
図21図21は、第3の実施形態の変形例によるICカード3Bの構造を説明するための略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態によるアンテナ装置を備えるICカード3の外観を示す略斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態によるICカード3は、Y方向を長手方向、X方向を短手方向、Z方向を厚み方向とする板状体であり、XY面を構成する上面3aと裏面3bを有している。ICカード3には後述するICモジュールが内蔵されており、ICモジュールの端子電極EがICカード3の上面3aに露出している。
【0012】
図2及び図3は、それぞれ本開示の第1の実施形態によるアンテナ装置1を備えるICカード3の構造を説明するための略分解斜視図及び略断面図である。
【0013】
図2及び図3に示すICカード3は、裏面3b側から上面3a側に向かって、プラスチックプレート10、基材20、磁性体30及びメタルプレート40がこの順に積層された構造を有している。プラスチックプレート10は、磁束を妨げない樹脂材料からなる。プラスチックプレート10の表面は、ICカード3の裏面3bを構成する。メタルプレート40は、ステンレスやチタンなどの金属材料からなる。メタルプレート40の表面はICカード3の上面3aを構成する。メタルプレート40には貫通孔41が設けられており、貫通孔41の内部にICモジュール50が配置されている。このように、ICカード3は、本体にメタルプレートが用いられたカードである。
【0014】
基材20は、絶縁性樹脂材料からなるフィルムであり、その一方の表面21にコイルパターンCP及びキャパシタ電極パターン400が設けられている。フィルム状の基材20を構成する絶縁性樹脂材料の例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPI(ポリイミド)などが挙げられる。基材20の一方の表面21はプラスチックプレート10と向かい合い、基材20の他方の表面22は、磁性体30を介してメタルプレート40と向かい合う。プラスチックプレート10と基材20は、接着層61を介して接着される。
【0015】
基材20の他方の表面22は、磁性体30で覆われる。磁性体30は、シート状部材であっても構わないし、基材20の他方の表面22に塗布されたものであっても構わない。磁性体30がシート状部材である場合、磁性体30と基材20は、図3に示すように接着層62を介して互いに接着される。磁性体30が基材20の他方の表面22に塗布されたものである場合、磁性体30と基材20は、接着層を介することなく直接接触する。
【0016】
磁性体30及び接着層62には、ICモジュール50と重なる位置に、それぞれ貫通孔31,64が設けられている。本実施形態によるアンテナ装置1は、基材20及びその一方の表面21に形成された導体パターンと、基材20の他方の表面22を覆う磁性体30によって構成される。基材20の他方の表面22には、導体パターンが形成されていない。このように、基材20には、一方の表面21側にのみ導体パターンが形成されていることから、基材20を貫通するスルーホール導体を設ける必要がない。このため、磁性体30を基材20の他方の表面22に塗布する場合であっても、磁性体30がスルーホールを介して基材20の一方の表面21側に漏れ出すことがない。メタルプレート40に設けられた貫通孔41は、Z方向から見た平面視で、磁性体30の貫通孔31と重なりを有している。磁性体30とメタルプレート40は、接着層63を介して接着される。
【0017】
図4は、第1の実施形態において、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンの略平面図である。尚、図4に示すA-A線は、図3の断面位置を示している。図4においては、基材20の他方の表面22側に位置する磁性体30の貫通孔31が破線で示されている。
【0018】
図4に示すように、基材20の一方の表面21には、コイルパターンCPを構成する第1コイルパターン100及び第2コイルパターン200と、キャパシタ電極パターン400が設けられている。これらのパターンは導電材料から構成されており、例えば、銅、アルミニウム、又はこれらの合金などが挙げられる。
【0019】
第1コイルパターン100は、磁性体30と重なるよう基材20の外縁に沿って周回する第1周回部110と、第1周回部110の各ターンに接続され、磁性体30の貫通孔31の内縁に沿って第2周回部120とを含んでいる。第2周回部120は、第1コイルパターン100の開口100aに向かって突出するように周回する部分である。つまり、第1コイルパターン100の各ターンは、1ターン未満の第1周回部110と、1ターン未満の第2周回部120によって構成されている。
【0020】
第1周回部110は、実使用時に外部のカードリーダーと結合するアンテナコイルとして機能する。第2周回部120は、ICモジュール50と結合するカップリングコイルとして機能する。第2コイルパターン200についてもアンテナコイルの一部として機能するものの、主にインダクタンスなどの特性を調整する役割を果たす。図4に示す例では、第1コイルパターン100のターン数が約3ターンであり、第2コイルパターン200のターン数が約1ターンである。図4に示す境界Bは、第1コイルパターン100と第2コイルパターン200の境界であり、コイルパターンCPの外周端から1ターン周回した位置と定義する。また、第1コイルパターン100のパターン幅と第2コイルパターン200のパターン幅に差がある場合、パターン幅が変化する位置を境界Bと定義しても構わない。コイルパターンCPの外周端は、いずれの外部回路にも接続されておらず、開放されている。
【0021】
第1コイルパターン100は、外周端(つまり境界B)を始点とした場合、第1周回部110については左回り(反時計回り)に周回するのに対し、第2周回部120については右回り(時計回り)に周回する。つまり、第1周回部110と第2周回部120は、互いに逆方向に周回する。第2コイルパターン200については、第1コイルパターン100の第1周回部110と同方向に周回する。また、第1コイルパターン100の第1周回部110のパターン幅をW11、第2周回部120のパターン幅をW12、第2コイルパターン200のパターン幅をW2とした場合、図4に示す例では、W11=W2>W12である。これによれば、第1コイルパターン100の第1周回部110及び第2コイルパターン200の抵抗値を低減しつつ、限られたスペースに第1コイルパターン100の第2周回部120を配置することが可能となる。また、第1コイルパターン100の第1周回部110のパターン幅W11が十分に確保されることから、パターンの厚みを薄くしても低抵抗を確保することができる。パターン幅W11は、後述する線状パターン402のパターン幅W4よりも大きくても構わない。
【0022】
第1コイルパターン100の第1周回部110及び第2コイルパターン200は、全区間が磁性体30と重なるのに対し、第1コイルパターン100の第2周回部120は、磁性体30の貫通孔31と重なるよう、貫通孔31の内縁の3辺の内側に沿って周回する。このため、第1コイルパターン100の第2周回部120は、少なくとも一部が磁性体30と重なりを有していない。そして、第1コイルパターン100の第2周回部120は、磁性体30の貫通孔31を介して、メタルプレート40の貫通孔41に配置されたICモジュール50とZ方向に重なる。
【0023】
キャパシタ電極パターン400は、第1コイルパターン100の開口100a内に配置され、第1コイルパターン100の内周端に接続されている。キャパシタ電極パターン400は、Y方向に延在する線状パターン401と、線状パターン401から分岐してX方向に平行に延在する複数の線状パターン402とを有している。線状パターン402の延在方向は、厳密にX方向である必要はない。また、線状パターン402の延在方向が直線的である必要はなく、途中で折れ曲がっていても構わないし、延在方向が周期的に変化する蛇行形状であっても構わない。さらに、複数の線状パターン402同士は、厳密に平行である必要はない。上述の通り、基材20の他方の表面22には導体パターンが設けられていないことから、キャパシタ電極パターン400は、基材20と磁性体30との間において、他の導体パターンを介することなく基材20を介して磁性体30と重なることになる。言い換えれば、キャパシタ電極パターン400と磁性体30との間には、絶縁材を介してキャパシタ電極パターン400と対向する導体パターンが設けられておらず、且つ、基材20の他方の表面22のうちキャパシタ電極パターン400と重なる位置には、導体パターンが設けられていない。キャパシタ電極パターン400は終端された導体パターンであり、したがって、コイルパターンCPは両端が開放された構造を有している。
【0024】
図5は、キャパシタ電極パターン400によってキャパシタンスが得られるメカニズムを説明するための模式的な断面図である。
【0025】
図5に示すように、キャパシタ電極パターン400の線状パターン402は、Z方向に向かい合う対向電極を持たないものの、Y方向に隣接する線状パターン402間においてキャパシタンスが生じる。このようなキャパシタンスとしては、Y方向の隣接によって直接的に生じる成分C1だけでなく、磁性体30を介して生じる成分C2が含まれる。ここで、線状パターン402のX方向におけるパターン幅をW4とし、X方向に隣接する線状パターン402の距離をW5とした場合、W4>W5であり、磁性体30との対向面積が十分に確保されている。線状パターン402のZ方向における厚みHについては、パターン間の距離W5よりも十分に小さく、これにより、直接的に生じる成分C1については僅かである。
【0026】
しかしながら、線状パターン402は、基材20を介して磁性体30と重なっていることから、磁性体30を介して生じる成分C2によってキャパシタンスが高められる。キャパシタンスの成分C2は、基材20の厚みT20が薄いほど大きくなり、且つ、基材20の誘電率が磁性体30の誘電率よりも低い状態において、基材20の誘電率が高いほど大きくなる。このため、基材20の厚みT20は、磁性体30の厚みT30よりも薄くても構わない。また、磁性体30の誘電率としては、基材20の誘電率の数十倍から数百倍であっても構わない。一例として、基材20がPET(誘電率ε=約3)からなる場合、磁性体30の誘電率εは1000程度であっても構わない。上述の通り、磁性体30は、シート状部材であっても構わないし、基材20の他方の表面22に塗布されたものであっても構わない。いずれの場合であっても、Fe-Si-Cr系合金磁性体、Fe-Si-Al-Cr系合金磁性体、又は、Fe-Al-Cr系合金磁性体などからなる磁性金属粉末とバインダー樹脂を混合した材料を用いることができる。ここで、成分C2をより高めるためには、磁性体30に含まれる磁性金属粉末がXY平面方向に扁平し、Z方向における厚みが薄い扁平形状を有していることが望ましい。
【0027】
さらに、本実施形態においては、磁性体30から見て基材20の反対側にメタルプレート40が存在していることから、メタルプレート40を介した成分C3が生じる。この成分C3によって、成分C2を形成する誘電体として機能する基材20にかかる電界が高められ、且つ、電界が線状パターン402の面内に広がることから、成分C2が大きくなる。
【0028】
このようなメカニズムにより、線状パターン402は、Z方向に向かい合う対向電極を持たないものの、基材20を介して磁性体30、接着層63及びメタルプレート40によって覆われることから、成分C2によって大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0029】
図6は、ICモジュール50を裏面側から見た略斜視図である。
【0030】
図6に示すように、ICモジュール50は、モジュール基板51と、モジュール基板51に搭載又は内蔵されたICチップ52と、カップリングコイル53とを備えている。ICチップ52は、ドーム状の保護樹脂54で覆われることにより保護されている。保護樹脂54は絶縁部材からなる。モジュール基板51の表面側には、図1に示す端子電極Eが設けられる。このような構成を有するICモジュール50は、メタルプレート40に設けられた貫通孔41に収容される。ICモジュール50が貫通孔41に収容されると、カップリングコイル53と基材20に設けられた第1コイルパターン100の第2周回部120が電磁界結合する。そして、第2周回部120は、アンテナコイルとして機能する第1周回部110に接続されていることから、コイルパターンCPを介して、ICモジュール50が外部と通信可能となる。
【0031】
これにより、図7に示すように、ICカード3の裏面3bをカードリーダー6と向かい合わせれば、カードリーダー6とICチップ52との間で通信を行うことができる。つまり、カードリーダー6は、コイルパターンCPを経由して、ICモジュール50のカップリングコイル53と結合し、これによりICチップ52との通信が実現される。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によるアンテナ装置1は、第1コイルパターン100の内周端に接続されたキャパシタ電極パターン400が複数の線状パターン402を含むとともに、基材20を介して線状パターン402が磁性体30及びメタルプレート40で覆われていることから、基材20の他方の表面22に対向電極を設けることなく、大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。そのため、コイルパターンのターン数を増やさずともアンテナ装置1の共振周波数を容易に調整できることから、コイルパターンのターン数を増やした場合における抵抗の増加、インダクタンスの過剰増加による特性劣化を抑制することができる。また、本実施形態においては、基材20の他方の表面22に導体パターンが形成されないことから、基材20にビア導体を形成する必要がなく、製造コストを削減することが可能となる。
【0033】
図8は、第1の実施形態の第1の変形例によるアンテナ装置1Aの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0034】
図8に示す第1の変形例は、キャパシタ電極パターン400がミアンダパターン403によって構成されている点において、第1の実施形態によるアンテナ装置1と相違している。その他の基本的な構成については、第1の実施形態によるアンテナ装置1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第1の変形例が例示するように、キャパシタ電極パターン400が櫛歯状である必要はなく、ミアンダ状であっても構わない。
【0035】
図9は、第1の実施形態の第2の変形例によるアンテナ装置1Bの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0036】
図9に示す第2の変形例においては、キャパシタ電極パターン400がX方向に延在する複数の線状パターン412,422を有し、これらがY方向に交互に配列された構成を有している。複数の線状パターン412は、Y方向に延在する線状パターン411を介して第1コイルパターン100の内周端に接続されている。複数の線状パターン422は、Y方向に延在する線状パターン421を介して第1コイルパターン100の最内周ターンであって、内周端よりも外周側に位置する接続点に接続されている。その他の基本的な構成については、第1の実施形態によるアンテナ装置1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第2の変形例が例示するように、キャパシタ電極パターン400は、櫛歯状である線状パターン411,412と櫛歯状である線状パターン421,422が噛み合う形状であっても構わない。
【0037】
図10は、第1の実施形態の第3の変形例によるアンテナ装置1Cの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0038】
図10に示す第3の変形例は、キャパシタ電極パターン400がY方向に延在する線状パターン431と、線状パターン431からX方向における両側に分岐する複数の線状パターン432によって構成されている点において、第1の実施形態によるアンテナ装置1と相違している。その他の基本的な構成については、第1の実施形態によるアンテナ装置1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第3の変形例が例示するように、幹線となる線状パターンと幹線から分岐する線状パターンの形状については特に限定されない。
【0039】
図11は、第1の実施形態の第4の変形例によるアンテナ装置1Dの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0040】
図11に示す第4の変形例は、キャパシタ電極パターン400がY方向に延在する線状パターン441と、線状パターン441からX方向に分岐する複数の線状パターン442,443によって構成されている点において、第1の実施形態によるアンテナ装置1と相違している。その他の基本的な構成については、第1の実施形態によるアンテナ装置1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。線状パターン442は、Y方向における位置が第2周回部120と重ならない位置に設けられている。これに対し、線状パターン443は、第1周回部110と第2周回部120によってX方向から挟まれる位置に設けられている。線状パターン442のX方向における長さは、線状パターン443のX方向における長さよりも長い。これにより、第1コイルパターン100の開口100aの開口面積の50%以上がキャパシタ電極パターン400によって占有される。このような構成によれば、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0041】
図12は、第1の実施形態の第5の変形例によるアンテナ装置1Eの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0042】
図12に示す第5の変形例においては、第2コイルパターン200が省略される代わりに第1コイルパターン100のターン数が4ターンに増大しているとともに、第2周回部120におけるパターン幅がより縮小されている。第2周回部120の開口120aの開口幅W6は、第2周回部120の巻き幅W7より大きい。巻き幅とは、最外周ターンの外周エッジから最内周ターンの内周エッジまでの距離を指す。その他の基本的な構成については、第1の実施形態の第4の変形例によるアンテナ装置1Dと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このような構成によれば、第1コイルパターン100のターン数が多い場合であっても、限られたスペースに第2周回部120を配置することが可能となる。
【0043】
図13は、第1の実施形態の第6の変形例によるアンテナ装置1Fの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0044】
図13に示す第6の変形例においては、X方向に延在する線状パターン402のY方向におけるパターン幅が縮小されているとともに、Y方向に延在する線状パターン401との接続部分において、パターン幅がさらに縮小されている。また、図13に示す第6の変形例においては、第2周回部120が貫通孔31の内縁の4辺の内側に沿って周回している部分と貫通孔31の内縁の3辺の内側に沿って周回している部分を含む。図13に示す第6の変形例では、第1周回部110の最内周ターンに接続される第2周回部120が貫通孔31の内縁の3辺の内側に沿って周回し、第1周回部110の最内周ターン以外のターンに接続される第2周回部120が貫通孔31の内縁の4辺の内側に沿って周回している。その他の基本的な構成については、第1の実施形態によるアンテナ装置1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このような形状を有するキャパシタ電極パターン400を用いれば、トリミングによって任意の本数の線状パターン402を線状パターン401から切り離すことによって、キャパシタンスの微調整が可能となる。また、第2周回部120が貫通孔31の内縁の4辺の内側に沿って周回する部分を含むことから、第2周回部120とICモジュール50の結合がより高められる。
【0045】
図14は、本開示の第2の実施形態によるアンテナ装置2の構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0046】
図14に示すように、第2の実施形態によるアンテナ装置2は、コイルパターンCPが第3コイルパターン300をさらに含んでいる点において、第1の実施形態によるアンテナ装置1と相違する。その他の基本的な構成については、第1の実施形態によるアンテナ装置1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0047】
第3コイルパターン300は、第1コイルパターン100の内周端に接続され、キャパシタ電極パターン400の外周に沿って第1周回部110と同方向に周回する。第3コイルパターン300はアンテナコイルの一部として機能するものの、主にインダクタンスなどの特性を調整する役割を果たす。第1コイルパターン100のパターン幅と第3コイルパターン300のパターン幅に差がある場合、パターン幅が変化する位置が第1コイルパターン100と第3コイルパターン300の境界と定義しても構わない。
【0048】
図14に示す例では、第3コイルパターン300のターン数が約2ターンであるのに対し、第2コイルパターン200のターン数は約1ターンである。つまり、第3コイルパターン300のターン数は、第2コイルパターン200のターン数よりも多い。しかしながら、第3コイルパターン300は、第2コイルパターン200よりも1ターン当たりの線路長が長いことから、第3コイルパターン300の線路長は、第2コイルパターン200の線路長はほぼ等しくなる。これにより、コイルパターンCPの線路長のより中心に第1コイルパターン100が位置することから、第2周回部120に流れる電流の電流密度が高められる。
【0049】
図14に示す例では、第3コイルパターン300のパターン幅W3が第2コイルパターン200のパターン幅W2とほぼ同じであり、且つ、第1コイルパターン100の第1周回部110におけるパターン幅W11よりも小さい。これにより、主にインダクタンス調整用として機能する第2コイルパターン200及び第3コイルパターン300の占有面積が縮小されることから、その分、アンテナコイルとして機能する第1コイルパターン100の第1周回部110におけるパターン幅を十分に確保することが可能となる。
【0050】
図15は、第2の実施形態の第1の変形例によるアンテナ装置2Aの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0051】
図15に示す第1の変形例においては、第1コイルパターン100のターン数が4ターンに増大し、第2コイルパターン200のターン数が1ターンに減少しているとともに、第2周回部120におけるパターン幅がより縮小されている。第2周回部120の開口120aの開口幅W6は、第2周回部120の巻き幅W7より大きい。その他の基本的な構成については、第2の実施形態によるアンテナ装置2と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このような構成によれば、第1コイルパターン100のターン数が多い場合であっても、限られたスペースに第2周回部120を配置することが可能となる。また本変形例が例示するように、第2コイルパターン200のターン数と第3コイルパターン300のターン数が同じであっても構わない。
【0052】
図16は、第2の実施形態の第2の変形例によるアンテナ装置2Bの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0053】
図16に示す第2の変形例においては、X方向に延在する線状パターン451と、線状パターン451から分岐してY方向に平行に延在する複数の線状パターン452によってキャパシタ電極パターン400が構成されている。また、第3コイルパターン300のターン数は、約1.25ターンである。その他の基本的な構成については、第2の実施形態の第1の変形例によるアンテナ装置2Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第2の変形例においては、第3コイルパターン300のターン数を増やすことによって、第2コイルパターン200と第3コイルパターン300の線路長の差が短縮されている。これにより、第2周回部120が線路長のほぼ中間位置となることから、第2周回部120に流れる電流の電流密度を高めることができる。つまり、第2の変形例においては、第3コイルパターン300と第2コイルパターン200の線路長の差分は、第3コイルパターン300と第2コイルパターン200のターン数が同じ場合における線路長の差分より小さい。また、第2の変形例が例示するように、キャパシタ電極パターン400を構成する線状パターンの延在方向については特に限定されない。
【0054】
図17は、第2の実施形態の第3の変形例によるアンテナ装置2Cの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0055】
図17に示す第3の変形例は、X方向に延在する線状パターン402のY方向におけるパターン幅が縮小されているとともに、Y方向に延在する線状パターン401との接続部分において、パターン幅がさらに縮小されている。その他の基本的な構成については、第2の実施形態の第1の変形例によるアンテナ装置2Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このような形状を有するキャパシタ電極パターン400を用いれば、トリミングによって任意の本数の線状パターン402を線状パターン401から切り離すことによって、キャパシタンスの微調整が可能となる。
【0056】
図18は、第2の実施形態の第4の変形例によるアンテナ装置2Dの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0057】
図18に示す第4の変形例においては、第1コイルパターン100の第2周回部120が磁性体30と重なるよう、貫通孔31の内縁の外側に沿って周回する。このため、第1コイルパターン100の第2周回部120は、磁性体30を介して、メタルプレート40の貫通孔41に配置されたICモジュール50とZ方向に重なることになる。その他の基本的な構成については、第2の実施形態の第3の変形例によるアンテナ装置2Cと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本変形例が例示するように、第1コイルパターン100の第2周回部120が磁性体30の貫通孔31と重なっている点は必須でなく、第2周回部120の少なくとも一部が磁性体30と重なっていても構わない。
【0058】
図19は、第2の実施形態の第5の変形例によるアンテナ装置2Eの構成を説明するための図であり、基材20の一方の表面21に形成された導体パターンを示している。
【0059】
図19に示す第5の変形例においては、第2周回部120が貫通孔31の内縁の4辺の内側に沿って周回している。その他の基本的な構成については、第2の実施形態の第3の変形例によるアンテナ装置2Cと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このように、貫通孔31の内縁の4辺の内側に沿って第2周回部120を周回させれば、第2周回部120とICモジュール50の結合がより高められる。
【0060】
図20は、本開示の第3の実施形態によるICカード3Aの構造を説明するための略断面図である。
【0061】
図20に示すように、第3の実施形態によるICカード3Aは、図3に示したICカード3とは基材20の表裏が逆向きに配置されている。つまり、導体パターンが形成された基材20の一方の表面21が磁性体30側を向き、基材20の他方の表面22がプラスチックプレート10側を向いている。この場合であっても、基材20の他方の表面22側には導体パターンが形成されておらず、且つ、キャパシタ電極パターン400と磁性体30の間には接着層62が存在するのみであり、絶縁材を介してキャパシタ電極パターン400と対向する他の導体パターンは設けられていない。これにより、基材20が接着層62に入れ替わった他は、図5を用いて説明したメカニズムによって、十分なキャパシタンスを得ることができる。しかも、キャパシタ電極パターン400と磁性体30及びメタルプレート40との距離がより短縮されるため、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0062】
また、図20に示す例では、接着層62のICモジュール50と重なる位置に貫通孔64が設けられており、これによって接着層62の露出が防止されている。これに対し、図21に示す第1の変形例によるICカード3Aにおいては、接着層62に貫通孔が設けられておらず、第2周回部120についても接着層62で覆われている。これによれば、導体パターンの保護特性をより高めることが可能となる。
【0063】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0064】
例えば、基材20の表面21に設けられる導体パターンは、間に樹脂を含む他の材料層を介して基材20の表面21に設けられていても構わない。
【0065】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0066】
本開示によるアンテナ装置は、基材と、基材の一方の表面に設けられたコイルパターン及びコイルパターンの最内周ターンに接続されるキャパシタ電極パターンと、コイルパターンの少なくとも一部及びキャパシタ電極パターンと重なる磁性体とを備え、キャパシタ電極パターンは、互いに平行に延在する複数の線状パターンを含み、キャパシタ電極パターンと磁性体との間には、絶縁材を介してキャパシタ電極パターンと対向する他の導体パターンが設けられておらず、且つ、基材の他方の表面のうちキャパシタ電極パターンと重なる位置には、他の導体パターンが設けられていない。これによれば、製造コストを抑制しつつ、より大きなキャパシタンスを得ることが可能なアンテナ装置を提供することが可能となる。
【0067】
上記アンテナ装置において、磁性体が扁平形状を有する磁性粉末を含んでいても構わない。これによれば、キャパシタ電極パターンのキャパシタンスがより高められる。
【0068】
上記アンテナ装置において、磁性体は、接着層を介して基材の他方の表面に接着されたシート状部材からなるものであっても構わない。これによれば、磁性体の形成が容易となる。
【0069】
上記アンテナ装置において、磁性体は、接着層を介することなく、基材の他方の表面に直接接触するものであっても構わない。これによれば、キャパシタ電極パターンのキャパシタンスがより高められるとともに、基材の他方の表面に磁性材料を塗布することによって磁性体を形成することが可能となる。
【0070】
上記アンテナ装置において、基材の厚みは磁性体の厚みより薄くても構わない。これによれば、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0071】
上記アンテナ装置において、キャパシタ電極パターンは、コイルパターンの開口面積の50%以上を覆っても構わない。これによれば、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0072】
上記アンテナ装置において、複数の線状パターン間の距離は、線状パターンのパターン幅より小さくても構わない。これによれば、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0073】
上記アンテナ装置において、磁性体は貫通孔を有し、コイルパターンは第1コイルパターンを含み、第1コイルパターンは、磁性体と重なるよう基材の外縁に沿って周回する第1周回部と、第1周回部の各ターンに接続され、貫通孔の内縁に沿って第1周回部とは逆方向に周回する第2周回部とを含んでいても構わない。これによれば、第2周回部をカップリングコイルとして機能させることが可能となる。
【0074】
上記アンテナ装置において、第2周回部の少なくとも一部は、貫通孔と重なるよう、貫通孔の内縁の内側に沿って周回しても構わない。これによれば、磁性体を介することなくカップリングを行うことが可能となる。
【0075】
上記アンテナ装置において、第2周回部の少なくとも一部は、磁性体と重なるよう、貫通孔の内縁の外側に沿って周回しても構わない。これによれば、磁性体を介してカップリングを行うことが可能となる。
【0076】
上記アンテナ装置において、第2周回部のパターン幅は、第1周回部のパターン幅より小さくても構わない。これによれば、第1コイルパターンのターン数が多い場合であっても、限られたスペースに第2周回部を配置することが可能となる。
【0077】
上記アンテナ装置において、コイルパターンは、第1コイルパターンの外周端に接続され、磁性体と重なるよう、第1周回部の外周に沿って第1周回部と同方向に周回する第2コイルパターンをさらに含んでいても構わない。これによれば、インダクタンスなどの特性を第2コイルパターンによって微調整することが可能となる。
【0078】
上記アンテナ装置において、コイルパターンは、第1コイルパターンの内周端に接続され、キャパシタ電極パターンの外周に沿って第1周回部と同方向に周回する第3コイルパターンをさらに含んでいても構わない。これによれば、インダクタンスなどの特性を第3コイルパターンによって微調整することが可能となる。
【0079】
上記アンテナ装置において、第2及び第3コイルパターンのパターン幅は、第1コイルパターンの第1周回部のパターン幅よりも小さくても構わない。これによれば、第1コイルパターンの第1周回部のパターン幅を十分に確保することが可能となる。
【0080】
上記アンテナ装置において、第3コイルパターンと第2コイルパターンの線路長の差分は、第3コイルパターンと第2コイルパターンのターン数が同じ場合における線路長の差分より小さくても構わない。これによれば、第1コイルパターンの第2周回部の電流密度を高めることが可能となる。
【0081】
上記アンテナ装置において、複数の線状パターンのパターン幅は、第1コイルパターンの第1周回部のパターン幅よりも小さくても構わない。これによれば、第1コイルパターンの第1周回部のパターン幅を十分に確保することが可能となる。
【0082】
上記アンテナ装置において、第2周回部の開口幅は、第2周回部の巻き幅より大きくても構わない。これによれば、第1コイルパターンのターン数が多い場合であっても、限られたスペースに第2周回部を配置することが可能となる。
【0083】
本開示によるアンテナ装置は、基材とは反対側から磁性体を覆うメタルプレートをさらに備えていても構わない。これによれば、キャパシタンスをよりいっそう高めることが可能となる。
【0084】
本開示によるICカードは、上記のアンテナ装置と、ICモジュールとを備え、メタルプレートは、ICモジュールが配置される貫通孔を有し、メタルプレートの貫通孔は、磁性体の貫通孔と重なる。これによれば、第1コイルパターンの第2周回部とICモジュールを結合させることが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1,1A~1F,2,2A~2E アンテナ装置
3,3A,3B ICカード
3a ICカードの上面
3b ICカードの裏面
6 カードリーダー
10 プラスチックプレート
20 基材
21 基材の一方の表面
22 基材の他方の表面
30 磁性体
31 貫通孔
31,41,64 貫通孔
40 メタルプレート
50 ICモジュール
51 モジュール基板
52 ICチップ
53 カップリングコイル
54 保護樹脂
61~63 接着層
100 第1コイルパターン
100a,120a 開口
110 第1周回部
120 第2周回部
200 第2コイルパターン
300 第3コイルパターン
400 キャパシタ電極パターン
401,402,411,412,421,422,431,432,441~443,451,452 線状パターン
403 ミアンダパターン
B 境界
C1~C3 キャパシタンスの成分
CP コイルパターン
E 端子電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21