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特開2024-42409トルクリミット構造、およびそれを備える管固定具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042409
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】トルクリミット構造、およびそれを備える管固定具
(51)【国際特許分類】
   F16D 7/00 20060101AFI20240321BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F16D7/00
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147099
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】久和 孝大
(72)【発明者】
【氏名】黒木 陽一
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AE04
5G352AM01
5G352AM02
(57)【要約】
【課題】必要十分な大きさのトルクをかけることができ、かつ、過剰な回転トルクをかけて先端部が空回りした後で噛み込みが生じるおそれを低減できるトルクリミット構造を提供する。
【解決手段】先端部108を有する操作棒100の回転トルクが、先端部108が挿入可能な先端部挿入穴44が形成されたピニオン部材16に伝達される際のトルクリミット構造を以下のように構成する。先端部挿入穴44における断面内側形状の角数を先端部108における断面外側形状の角数の倍とし、断面内側形状における角形状を構成する複数の辺を、先端部108における角Zが食い込む食込辺Aと、角Zが食い込まないように凹所50が形成された非食込辺Bとで構成し、食込辺Aと非食込辺Bとを断面内側形状の周方向において交互に形成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を有する操作棒の回転トルクが、前記先端部が挿入可能な先端部挿入穴が形成されたピニオン部材に伝達される際のトルクリミット構造であって、
前記先端部は、断面外側形状が角形状に形成されており、
前記先端部挿入穴は、断面内側形状が角形状に形成されており、
前記先端部挿入穴における前記断面内側形状の角数は、前記先端部における前記断面外側形状の角数の倍であり、
前記先端部挿入穴の前記断面内側形状における前記角形状を構成する複数の辺は、
前記先端部における前記断面外側形状の角が食い込む食込辺と、
前記先端部における前記断面外側形状の角が食い込まないように凹所が形成された非食込辺とを有しており、
前記食込辺と前記非食込辺とが前記断面内側形状の周方向において交互に形成されている
トルクリミット構造。
【請求項2】
前記先端部の前記断面外側形状は三角形であり、
前記先端部挿入穴における前記断面内側形状は六角形である
請求項1に記載のトルクリミット構造。
【請求項3】
前記先端部の前記断面外側形状は四角形であり、
前記先端部挿入穴における前記断面内側形状は八角形である。
請求項1に記載のトルクリミット構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に係るトルクリミット構造に用いられる前記ピニオン部材を有しており、前記操作棒によって操作される管固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管固定具等に使用されるトルクリミット構造(すべり軸継手)に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、管固定具等の工具(以下、「管固定具等」という)は、その下端部に配置されたピニオン部材に操作棒の先端部を挿入し、操作棒を回転させることによってピニオン部材を回転させて管固定部材を昇降させることにより、当該管固定部材で管等を所定の位置に固定するようになっている。
【0003】
例えば図13に示すように、ピニオン部材1には断面が六角形状の穴2が穿設されており、また、操作棒の先端部3は断面が六角形状の角棒状に形成されている。このようにして、操作棒の先端部3の回転力をピニオン部材1に伝達させていた。
【0004】
具体的には、ピニオン部材1の穴2における六角形状の大きさと、操作棒の先端部3における六角形状の大きさとを適切に設定することにより、図14に示すように、先端部3の角4をピニオン部材1に食い込ませてピニオン部材1に対して操作棒の先端部3の回転トルクを掛け、そして、当該トルクが過剰となったときに当該ピニオン部材1に対して先端部3を空回りさせることができる(図13から60°回転した位置となり、先端部3の角4がピニオン部材1に食い込んだ状態が解除される)。
【0005】
これにより、ピニオン部材1に対して過剰なトルクがかかるのを回避して管固定具等による管等の過剰な締め付けを防止(トルクリミット)できるようになっていた。
【0006】
このようなトルクリミットの構造としては、上述した例の他に、特許文献1に開示されているように、ピニオン部材の穴(トルク伝達先)の開口に一対の弾性線材を架け渡し、ソケットの穴に挿入した操作棒の先端部(トルク伝達元)がこれら弾性線材の間に挟持されるようになっている例がある。
【0007】
操作棒の先端部の回転トルクが一対の弾性線材による先端部の挟持力よりも小さい場合、当該先端部の回転に伴ってピニオン部材も回転する。そして、操作棒の先端部の回転トルクが一対の弾性線材による先端部の挟持力よりも大きくなると、先端部が弾性線材の間で空回りするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-170248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のトルクリミット構造には問題があった。例えば、ピニオン部材1に六角形状の穴が穿設されており、操作棒の先端部3が六角形状になっているケースの場合、ピニオン部材1に対して操作棒の先端部3の回転トルクが過剰となったときに当該ピニオン部材1に対して先端部3が空回りしたとき、先端部3における六角形状の角4が勢い余ってピニオン部材1における次の辺に噛み込んでしまう(図14から60°回転した位置)ことがあった。
【0010】
このように先端部3がピニオン部材1に噛み込んでしまうと、操作棒がピニオン部材1から外れなくなるので、再度、操作棒に過剰な回転トルクをかけて先端部を空回りさせるか、操作棒を逆回転させる必要がある。しかし、それぞれ、再度噛み込んでしまうおそれや、ピニオン部材1の締め付けが緩んでしまうおそれがあった。
【0011】
また、一対の弾性線材で回転トルクを管理する場合、六角形状の穴の場合に比べて小さいトルク値で空回りが発生してしまい、規定トルク値を高めようとすると今度は一対の弾性線材の間に操作棒の先端部を差し込むのが難しくなるという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題および要望に鑑みてなされたものであり、その目的は、必要十分な大きさのトルクをかけることができ、かつ、過剰な回転トルクをかけて先端部が空回りした後で噛み込みが生じるおそれを低減できるトルクリミット構造、およびそれを備える管固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一局面によれば、
先端部を有する操作棒の回転トルクが、前記先端部が挿入可能な先端部挿入穴が形成されたピニオン部材に伝達される際のトルクリミット構造であって、
前記先端部は、断面外側形状が角形状に形成されており、
前記先端部挿入穴は、断面内側形状が角形状に形成されており、
前記先端部挿入穴における前記断面内側形状の角数は、前記先端部における前記断面外側形状の角数の倍であり、
前記先端部挿入穴の前記断面内側形状における前記角形状を構成する複数の辺は、
前記先端部における前記断面外側形状の角が食い込む食込辺と、
前記先端部における前記断面外側形状の角が食い込まないように凹所が形成された非食込辺とを有しており、
前記食込辺と前記非食込辺とが前記断面内側形状の周方向において交互に形成されている
トルクリミット構造が提供される。
【0014】
好適には、
前記先端部の前記断面外側形状は三角形であり、
前記先端部挿入穴における前記断面内側形状は六角形である。
【0015】
好適には、
前記先端部の前記断面外側形状は四角形であり、
前記先端部挿入穴における前記断面内側形状は八角形である。
【0016】
本発明の別の局面によれば、
上述したトルクリミット構造に用いられる前記ピニオン部材を有しており、前記操作棒によって操作される管固定具が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピニオン部材に形成された先端部挿入穴における断面内側形状の角数が操作棒の先端部における断面外側形状の角数の倍になっており、先端部挿入穴の断面内側形状における角形状を構成する複数の辺が、先端部における断面外側形状の角が食い込む食込辺と、食い込まないように凹所が形成された非食込辺とが交互に形成されることによって構成されている。
【0018】
これにより、操作棒の先端部における断面外形形状の角がピニオン部材の先端部挿入穴の断面内側形状における食込片に食い込んだ状態で操作棒の回転トルクがピニオン部材に伝達される。そして、操作棒からの回転トルクが過剰となり先端部が空回りしたとき、当該角が次に近づく先端部挿入穴の断面内側形状における辺は非食込辺であることから、当該角が不所望に断面内側形状における辺に食い込んでしまうおそれを低減することができる。
【0019】
結果、必要十分な大きさのトルクをかけることができ、かつ、過剰な回転トルクをかけて先端部が空回りした後で不所望な噛み込みが生じるおそれを低減できるトルクリミット構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明が適用された管固定具10を示す斜視図である。
図2】本発明が適用された管固定具10を示す断面図である。
図3】本発明が適用されたピニオン部材16を示す正面図である。
図4】本発明が適用されたピニオン部材16を示す断面図である。
図5】ピニオン部材16に形成された先端部挿入穴44の断面内側形状を示す図である。
図6】本発明が適用された操作棒100を示す正面図である。
図7】操作部104に形成された先端部108の断面外側形状を示す図である。
図8】先端部108における断面外側形状の角Zが先端部挿入穴44における断面内側形状の食込辺Aに食い込んで、操作棒100の回転トルクがピニオン部材16に伝達される状態を示す図である。
図9】先端部108における断面外側形状の角Zが先端部挿入穴44における断面内側形状の非食込辺Bの位置にあり、不所望な噛み込みが回避できている状態を示す図である。
図10】変形例1において、先端部108における断面外側形状の角Zが先端部挿入穴44における断面内側形状の食込辺Aに食い込んで、操作棒100の回転トルクがピニオン部材16に伝達される状態を示す図である。
図11】変形例1において、先端部108における断面外側形状の角Zが先端部挿入穴44における断面内側形状の非食込辺Bの位置にあり、不所望な噛み込みが回避できている状態を示す図である。
図12】本発明が適用された例(電線バインド具)を示す斜視図である。
図13】従来のトルクリミット構造の例を示す図である。
図14】従来のトルクリミット構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(管固定具10の構成)
本実施形態に係る管固定具10は、図1および図2に示すように、大略、本体部材12と、管固定アーム14と、ピニオン部材16とを備えている。
【0022】
本体部材12は、略円筒状のピニオン部材嵌挿部18が中央に配置されており、このピニオン部材嵌挿部18の両側部に管固定アーム14が摺動する第1アーム部材摺動孔20および第2アーム部材摺動孔22がそれぞれ形成されている。
【0023】
ピニオン部材嵌挿部18の略中央部には、ピニオン部材16の回転中心突部46(後述)が嵌め込まれる突部嵌込孔24が形成されている。
【0024】
管固定アーム14は、略「J」字状の本体部26と、当該本体部26の曲がり部34から、本体部26の曲がり方向に対して直交する方向に突出する管押さえ部28とを有している。
【0025】
本体部26は、長尺部30と、当該長尺部30に対して平行に延びる短尺部32と、長尺部30の端部(図中上端)と短尺部32の端部(図中上端)との間に架け渡された曲がり部34とで略「J」字状に形成されている。
【0026】
本体部26における長尺部30および短尺部32の内側側面には、それぞれラックギア36が形成されている。
【0027】
長尺部30は、本体部材12における第1アーム部材摺動孔20に常時嵌挿されている。一方、短尺部32は、本体部材12と曲がり部34との間の距離が長い状態では第2アーム部材摺動孔22から離間しており、本体部材12と曲がり部34との間の距離が短くなってくると、第2アーム部材摺動孔22に嵌挿された状態になる。これにより、本体部材12と曲がり部34との間の距離を比較的長い状態にして短尺部32が第2アーム部材摺動孔22から離間している状態で、管等の被固定材を長尺部30と短尺部32との間に配置し、最終的に本体部材12と管固定アーム14とで固定できるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態では、本体部26と管押さえ部28とは分離可能に固定されているが、本体部26と管押さえ部28とを一体的に形成してもよい。また、管押さえ部28を省略して、本体部26のみで管固定アーム14を構成してもよい。
【0029】
ピニオン部材16は、上述のように本体部材12におけるピニオン部材嵌挿部18に嵌挿される略円筒状の部材であり、図3および図4に示すように、ピニオン部材本体部40と、このピニオン部材本体部40の外周側面に形成されたピニオンギア42と、このピニオン部材本体部40の一方端面(図中下端面)から形成された先端部挿入穴44と、ピニオン部材本体部40の他方端面(図中上端面)から突出するように形成された回転中心突部46とを有している。
【0030】
ピニオンギア42は、ピニオン部材16をピニオン部材嵌挿部18に嵌挿した状態で、第1アーム部材摺動孔20に嵌挿された管固定アーム14の長尺部30に形成されたラックギア36と常時噛み合うようになっている。同様に、ピニオンギア42は、第2アーム部材摺動孔22に嵌挿された管固定アーム14の短尺部32に形成されたラックギア36とも噛み合うようになっている。なお、短尺部32にラックギア36を形成することなく、当該短尺部32がピニオンギア42と噛み合わないようにしてもよい。
【0031】
先端部挿入穴44は、後述する操作棒100の先端部108が挿入可能になっており、当該操作棒100の回転トルクがピニオン部材16に伝達されるようになっている。
【0032】
ここで、先端部挿入穴44の形状について詳しく説明する。図5に示すように、本実施形態に係る先端部挿入穴44の断面内側形状は6つの辺で構成された六角形に設定されている。
【0033】
先端部挿入穴44の断面内側形状を構成する6つの辺は、食込辺Aと非食込辺Bとが断面内側形状の周方向において交互に形成されている。この食込辺Aは、先端部108における断面外側形状の角Zが食い込む辺であり、一例として、本実施形態では断面において直線的に形成されている。また、非食込辺Bは、先端部108における断面外側形状の角Zが食い込まないように凹所50が形成されている。
【0034】
凹所50の形状は、先端部108における断面外側形状の角Zが食い込まなければ特に限定されるものではなく、一例として、本実施例では断面において滑らかに凹む形状となっている。
【0035】
図3および図4に戻り、回転中心突部46は、上述のように、ピニオン部材嵌挿部18の略中央部に形成された突部嵌込孔24に対して回転自在に嵌め込まれる部分である。この突部嵌込孔24に回転中心突部46を嵌め込むことにより、ピニオン部材16が本体部材12におけるピニオン部材嵌挿部18内においてピニオンギア42の回転軸Xを中心として回転可能となる。
【0036】
(操作棒100の構成)
次に、上述した管固定具10を管等に固定する際に使用する操作棒100について説明する。操作棒100は、図6に示すように、所定の長さに設定された操作棒本体102と、当該操作棒本体102の先端に形成される操作部104とを有している。なお、操作棒本体102と操作部104とは互いに一体的に形成されてもよいし、別体で構成し、必要に応じて操作部104を操作棒本体102に着脱できるようにしてもよい。本実施形態では、操作棒本体102に着脱できる操作部104を一例として説明する。
【0037】
操作部104は、略丸棒状に形成されており、操作部本体部106と、先端部108と、操作棒本体接続部110とで一体的に形成されている。
【0038】
先端部108は、操作部本体部106の一方端(図中上側端)において角柱状に形成された部分である。この先端部108は、図7に示すように、断面外側形状が角形状に形成されており、本実施形態では、3つの角Zを有する略三角形状に形成されている。
【0039】
図6に戻り、操作棒本体接続部110は、操作部本体部106の他方端(図中下側端)において操作部本体部106よりもやや太径に形成された円筒状部であり、操作部104の他方端側から操作棒本体102の先端を挿入できるようになっている。
【0040】
ここまで説明した、管固定具10におけるピニオン部材16と、操作棒100における先端部108とで「トルクリミット構造」が構成されている。
【0041】
(トルクリミット構造の特徴)
本実施形態に係るトルクリミット構造によれば、ピニオン部材16に形成された先端部挿入穴44における断面内側形状の角数(=六角)が操作棒100の先端部108における断面外側形状の角数(=三角)の倍になっており、先端部挿入穴44の断面内側形状における角形状を構成する複数の辺が、先端部108における断面外側形状の角Zが食い込む食込辺Aと、食い込まないように凹所50が形成された非食込辺Bとが交互に形成されることによって構成されている。
【0042】
これにより、操作棒100の先端部108における断面外形形状の角Zがピニオン部材16の先端部挿入穴44の断面内側形状における食込辺Aに食い込んだ状態で操作棒100の回転トルクがピニオン部材16に伝達される(図8を参照)。そして、操作棒100からの回転トルクが過剰となり先端部108が空回りしたとき、当該角Zが次に近づく先端部挿入穴44の断面内側形状における辺は非食込辺Bであることから、当該角Zが不所望に断面内側形状における辺に食い込んでしまうおそれを低減することができる(図9を参照)。
【0043】
結果、必要十分な大きさのトルクをかけることができ、かつ、過剰な回転トルクをかけて先端部108が空回りした後で不所望な噛み込みが生じるおそれを低減できるトルクリミット構造を提供することができた。
【0044】
(変形例1)
上述した実施形態に係るトルクリミット構造では、ピニオン部材16に形成された先端部挿入穴44における断面内側形状の角数が六角、操作棒100の先端部108における断面外側形状の角数が三角の場合について説明したが、それぞれの角数はこれに限定されるものではなく、例えば、図10および図11に示すように、ピニオン部材16に形成された先端部挿入穴44における断面内側形状の角数が八角、操作棒100の先端部108における断面外側形状の角数が四角であってもよい。
【0045】
(変形例2)
上述した実施形態では、トルクリミット構造を管固定具10に対して適用する例について説明したが、管固定具10以外の用途にトルクリミット構造を適用してもよい。例えば、複数本の電線を束ねるための電線バインド具(図12参照)、電線に鳥等が留まらないようにするための鳥害防止具、電線等を覆う絶縁カバー、変圧器交換工事等の際に一時的に電線を接地するための短絡接地工具、あるいは、活線状態の架空被覆電線等の被覆を剥ぎ取ることなく電線等を接触刃に接続するための被覆貫通クランプ等が考えられる。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
10…管固定具、12…本体部材、14…管固定アーム、16…ピニオン部材、18…ピニオン部材嵌挿部、20…第1アーム部材摺動孔、22…第2アーム部材摺動孔、24…突部嵌込孔、26…本体部、28…管押さえ部、30…長尺部、32…短尺部、34…曲がり部、36…ラックギア、40…ピニオン部材本体部、42…ピニオンギア、44…先端部挿入穴、46…回転中心突部、50…(非食込辺Bの)凹所
100…操作棒、102…操作棒本体、104…操作部、106…操作部本体部、108…先端部、110…操作棒本体接続部
X…(ピニオンギア42の)回転軸、A…食込辺、B…非食込辺、Z…(先端部108の断面外側形状における)角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14